(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-11
(45)【発行日】2022-05-19
(54)【発明の名称】時間依存ビジュアルデータを検出する画素回路
(51)【国際特許分類】
H04N 5/369 20110101AFI20220512BHJP
【FI】
H04N5/369
(21)【出願番号】P 2019542790
(86)(22)【出願日】2017-10-19
(86)【国際出願番号】 EP2017076780
(87)【国際公開番号】W WO2018073379
(87)【国際公開日】2018-04-26
【審査請求日】2020-08-04
(32)【優先日】2016-10-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】519145230
【氏名又は名称】プロフェセ
(73)【特許権者】
【識別番号】306001703
【氏名又は名称】コンセホ スペリオール デ インベスティガシオネス シエンティフィカス
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100165191
【氏名又は名称】河合 章
(74)【代理人】
【識別番号】100133835
【氏名又は名称】河野 努
(72)【発明者】
【氏名】トマ フィナトゥ
(72)【発明者】
【氏名】ベルナベ リナレス バランコ
(72)【発明者】
【氏名】テレサ セルラノ ゴタレドナ
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ ポシュ
【審査官】橘 高志
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/036592(WO,A1)
【文献】特表2009-508085(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/369
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光強度を検出し、前記検出された光強度を示す信号を生成する光感知デバイスを備える、時間依存ビジュアルデータを検出する画素回路であって、
前記画素回路は、更に、
前記検出された光強度(V
ph)を示す前記信号を増幅し、増幅された信号(V
o)を生成するよう構成される電圧増幅器(3)であって、前記増幅された信号は、前記電圧増幅器の入力電圧オフセットをシフトする制御信号(V
qDC)を考慮して生成される電圧増幅器(3)と、
前記増幅された信号(V
o)を、
1組の閾値(θo+、θo-)
のうちの少なくとも1つの閾値と比較し、基準値(V
ref)と比較し、前記比較に基づいて、
2組の出力信号(V
o+、V
o-;V
o1+、V
o1-)
のうちの少なくとも1組の出力信号のうちの少なくとも1つの出力信号を生成するよう構成されるヒステリシス比較モジュール(4)と、
前記ヒステリシス比較モジュールにより生成される前記少なくとも1つの出力信号に基づいて、前記電圧増幅器(3)の前記制御信号(V
qDC)を生成するよう構成されるフィードバック制御モジュールと、を備えることを特徴とする、画素回路。
【請求項2】
前記ヒステリシス比較モジュール(4)は、前記増幅された信号が前記少なくとも1つの閾値(θo+、θo-)を超える場合、前記
2組の出力
信号(V
o+、V
o-;V
o1+、V
o1-)
のうちの少なくとも1組の出力信号のうちの少なくとも1つの出力信号をアクティブ状態に設定するよう構成される、請求項1に記載の画素回路。
【請求項3】
前記フィードバック制御モジュールは、前記
2組の出力
信号(V
o+、V
o-;V
o1+、V
o1-)
のうちの少なくとも1組の出力信号のうちの少なくとも1つの出力信号がアクティブ状態のとき、前記増幅された信号(V
o)が前記基準値(V
ref)に到達するように、前記制御信号(V
qDC)を修正するよう構成される、請求項2に記載の画素回路。
【請求項4】
前記増幅された信号(V
o)が第1の閾値(θo+)を超える場合、または前記増幅された信号(V
o)が第2の閾値(θo-)を超える場合、前記アクティブ状態は、チャージアップ状態である、請求項2または3に記載の画素回路。
【請求項5】
前記増幅された信号(V
o)が第2の閾値(θo-)を超える場合、または前記増幅された信号(V
o)が、第1の閾値(θo+)を超える場合、前記アクティブ状態は、チャージダウン状態である、請求項2~4のいずれか一項に記載の画素回路。
【請求項6】
前記フィードバック制御モジュール(5)は、前記
2組の出力信号(V
o+、V
o-;V
o1+、V
o1-)
のうちの少なくとも1組の出力信号のうちの少なくとも1つの出力信号に依存して充電されるキャパシタ(50)を備え、
前記電圧増幅器(3)の前記制御信号(V
qDC)は、前記キャパシタ(50)の充電量に関連して生成される、請求項1~5のいずれか一項に記載の画素回路。
【請求項7】
前記フィードバック制御モジュールは、前記
2組の出力信号(V
o+、V
o-;V
o1+、V
o1-)
のうちの少なくとも1組の出力信号のうちの少なくとも1つの出力信号によりアクティブにされる少なくとも
1つの電流源(51a、51b)を備え、
前記キャパシタ(50)は、前記少なくとも1つの電流源(51a、51b)により充電される、請求項6に記載の画素回路。
【請求項8】
前記電圧増幅器(3)は、ダイオード接続される複数のトランジスタ(M
pij)と追加トランジスタ(M
nij)とによりそれぞれが形成される、少なくとも第1のトランジスタスタック
(30)および第2のトランジスタスタック
(31)を備え、
前記第1のトランジスタスタック(30)の前記追加トランジスタ(M
nij)は、前記光強度(V
ph)を示す前記信号を受信し、
前記増幅された信号(V
o)は、前記第2のトランジスタスタック(31)の前記追加トランジスタ(M
nij)の端子から取り出される、請求項1~7のいずれか一項に記載の画素回路。
【請求項9】
前記電圧増幅器(3)は、ダイオード接続される複数のトランジスタ(M
pij)と追加トランジスタ(M
nij)とによりそれぞれが形成される、複数のトランジスタスタック(30、31、32)を備え、
第1のトランジスタスタック(30)の前記追加トランジスタ(M
nij)は、前記光強度(V
ph)を示す前記信号を受信し、
前記増幅された信号(V
o)は、第2のトランジスタスタック(31)および第3のトランジスタスタック(32)のそれぞれの前記追加トランジスタ(M
nij)の端子から取り出される、請求項1~7のいずれか一項に記載の画素回路。
【請求項10】
前記光感知デバイス(2)は、電流(I
ph)を生成するフォトダイオード(20)と、前記電流(I
ph)を、前記検出された光強度(V
ph)を示す前記信号に変換するよう構成される対数変換器(21)と、を備える、請求項1~9のいずれか一項に記載の画素回路。
【請求項11】
前記ヒステリシス比較モジュール(4)は、少なくとも1つのヒステリシス比較器(400、401;40)を備え、
前記少なくとも1つの出力信号(V
o+、V
o-)は、前記ヒステリシス比較器の出力に対応する、請求項1~10のいずれか一項に記載の画素回路。
【請求項12】
前記ヒステリシス比較モジュール(4)は、少なくとも1つのヒステリシス比較器(400、401)と、論理モジュール(41)と、を備え、
前記少なくとも1つの出力信号(V
o+、V
o-)は、前記論理モジュール(41)の出力に対応する、請求項1~10のいずれか一項に記載の画素回路。
【請求項13】
前記ヒステリシス比較モジュール(4)は、第1のヒステリシス比較器(400)と第2のヒステリシス比較器(401)とを備え、
前記第1のヒステリシス比較器は、前記増幅された信号(V
o)を第1の閾値(θo+)と比較し、前記比較に基づいて、前記増幅された信号のレベルが前記第1の閾値(θo+)以上の場合、アクティブ状態の第1の出力信号(V
o
+)または第1の出力信号(V
o1
+)を生成
するよう構成され、
前記第2のヒステリシス比較器(401)は、前記増幅された信号(V
o)を第2の閾値(θo-)と比較し、前記増幅された信号(V
o)のレベルが前記第2の閾値(θo-)以下の場合、アクティブ状態の第2の出力信号(V
o
-)または第2の出力信号(V
o1
-)を生成する
よう構成される、請求項1~12のいずれか一項に記載の画素回路。
【請求項14】
前記フィードバック制御モジュール(5)は、前記第1の出力信号(V
o1+)および前記第2の出力信号(V
o1-)に基づいてそれぞれがアクティブにされる2つの電流源(51a、51b)を備える、請求項13に記載の画素回路。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか一項に記載の複数の画素回路(1)を備える、ビジョンセンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光感知デバイス(photo-sensing device)を備える、時間依存ビジュアルデータ(time-dependent visual data)を検出する画素回路(pixel circuit)に関する。
【0002】
本発明は、また、複数の画素回路を備えるビジョンセンサ(vision sensor)にも関する。
【0003】
画像または映像処理システムにおいて、画像センサは、画像を再構築するために処理される視覚情報を取得する。
【0004】
典型的な画像または映像処理システムは、フォトセンサのアレイまたはフォトアレイを備え、アレイの各フォトセンサは、フレームの各画素に対する視覚情報を取得する。
【0005】
リアルタイムな人工視覚により適した他の画像または映像処理システムにおいて、以前に取得された視覚情報に対する視覚情報の変化を示すデータのみが処理される。このような画像または映像処理システムにおいて使用されるセンサは、画像またはフレームを提供せず、文献において、フレームのないビジョンセンサ(frame-free vision sensors)と呼ばれてきたことに留意できる。
【0006】
国際公開第2006/128315号には、時間依存ビジュアルデータを検出するフォトアレイが記述されている。フォトアレイは、セルまたは画素回路のアレイを備え、各セルは、セルにおける光強度を示す信号を生成するフォトセンサを備える。セルは、フォトセンサにより検出される光強度において変化が起きたときに、処理される出力データを生成するのみである。
【0007】
特に、光強度における変化が起きたかどうかを判定するために、セルにおける光強度を示す信号が、スイッチトキャパシタ増幅器(switched capacitor amplifier)に供給され、スイッチトキャパシタ増幅器の出力における電圧が、閾値検出器に供給される。閾値検出器は、その入力における電圧が閾値を超えるときに、出力信号または画素イベントを生成するのみである。このように、この場合、閾値検出器は、出力信号形式のイベントを生成する。
【0008】
出力信号(または画素イベント)がいったん生成されると、出力信号は、周辺通信回路に送られる。これらの周辺通信回路は、異なる画素回路からの信号のアービトレーション(arbitration)の後に、肯定応答信号(acknowledge signal)を画素回路に送り返す。肯定応答信号は、画素回路をリセットするために画素回路により使用され、これにより、新しいイベントサイクルに対する準備を整え、すなわち、新しいイベントを検出して、セルにおける光強度の新しい変化を示す新しい出力信号(または画素イベント)を生成する。
【0009】
より詳細には、スイッチトキャパシタ増幅器は、フォトセンサにより生成される、セルにおける光強度を示す信号に関連して(as a function of)充電される2つのキャパシタを備える。イベントを検出した後、キャパシタの1つは、リセット信号により放電され、これにより、セルをリセットして、光強度における次の変化またはイベントを検出できるようにする。
【0010】
このようなセルまたは画素回路の性能が良好である場合でも、画素回路をリセットするためには、周辺通信回路からの肯定応答信号が必要であり、このような信号の受信を待つことは、画素回路をリセットするのに遅延をもたらす。このように、出力信号が生成されてから、画素回路がリセットされるまで、ある情報が失われ得る。加えて、肯定応答信号を待つことにより導入される遅延は、周辺通信回路におけるデータまたはトラフィックの量により異なり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、光強度における連続する変化の検出を向上することを可能にする画素回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
その目的のため、第1の態様によれば、本発明は、光強度を検出し、検出された光強度を示す信号を生成する光感知デバイスを備える、時間依存ビジュアルデータを検出する画素回路に関する。
【0013】
本発明によれば、画素回路は、更に、
検出された光強度を示す信号を増幅し、増幅された信号を生成するよう構成される電圧増幅器であって、増幅された信号は、電圧増幅器の入力電圧オフセットをシフトする制御信号を考慮して生成される電圧増幅器と、
増幅された信号を、少なくとも1つの閾値と比較し、基準値と比較し、当該比較に基づいて、少なくとも1つの出力信号を生成するよう構成されるヒステリシス比較モジュール(hysteresis comparing module configured for comparing the amplified signal to at least one threshold value and to a reference value and for generating at least one output signal based on said comparison)と、
電圧増幅器の制御信号を、ヒステリシス比較モジュールにより生成される少なくとも1つの出力信号に基づいて生成するよう構成されるフィードバック制御モジュールと、を備える。
【0014】
このように、電圧増幅器、ヒステリシス比較モジュールおよびフィードバック制御モジュールは、フィードバック制御モジュールにより生成される制御信号が、電圧増幅器の入力電圧オフセットに対する影響を有するように動作する。入力電圧オフセットは、このように修正され、すなわち、増大または減少され、電圧増幅器の出力における増幅された信号は、修正される(減少または増大される)。
【0015】
このように、フィードバック制御モジュールにより生成される電圧増幅器の制御信号は、増幅された信号のレベルに影響を与える。
【0016】
したがって、増幅された信号のレベルは、いかなる外部回路をも必要とせずに、画素回路自体により制御され得る。
【0017】
結果として、画素回路は、外部回路により導入される補足的遅延なくリセットされ得、画素回路は、情報を失うことなく、新しいイベントを検出する準備が迅速に整う。
【0018】
1つの特徴によれば、ヒステリシス比較モジュールは、増幅された信号が少なくとも1つの閾値(θo+またはθo-のいずれか)を超える場合、少なくとも1つの出力を、アクティブ状態(チャージアップまたはチャージダウンのいずれか)に設定するよう構成される。
【0019】
このように、増幅された信号が少なくとも1つの閾値を超えるような光強度のとき、少なくとも1つの出力がアクティブ状態に生成される。
【0020】
他の特徴によれば、フィードバック制御モジュールは、少なくとも1つの出力がアクティブ状態のとき、増幅された信号が基準値に到達するように制御信号を修正するよう構成される。
【0021】
このように、少なくとも1つの出力がアクティブ状態に生成されると、制御信号は修正される。
【0022】
したがって、増幅された信号が、少なくとも1つの閾値を超えるとき、増幅された信号が、例えば0である基準レベルに到達するまで増大または減少されるように、制御信号がヒステリシス比較モジュールおよびフィードバック制御モジュールにより生成される。このときの画素回路は、リセットとみなすことができ、光強度における新しい変化を検出する準備が整う。
【0023】
言い換えれば、いったんイベントが検出されると、すなわち、増幅された信号が少なくとも1つの閾値を超えるような光強度にいったんなると、画素回路は、初期時(またはリセット時)に戻され、その後、画素回路は、自律的な様式で、他のイベントを検出する準備が整う。
【0024】
1つの特徴によれば、増幅された信号が第1の閾値を超える場合、または増幅された信号が第2の閾値を超える場合、アクティブ状態は、チャージアップ状態である。
【0025】
このように、チャージアップ状態またはチャージダウン状態のいずれかは、増幅された信号が、例えば0である基準値に到達するまでそれぞれ減少または増大するように、制御信号を修正する。
【0026】
少なくとも1つの出力は、電圧増幅器のゲインに依存して、チャージアップ状態またはチャージダウン状態であるアクティブ状態に設定されることに留意できる。
【0027】
このように、電圧増幅器が正のゲインを有するとき、増幅された信号が第1の閾値を超える場合、アクティブ状態は、チャージアップ状態であり、電圧増幅器が負のゲインを有するとき、増幅された信号が第2の閾値を超える場合、アクティブ状態は、チャージダウン状態である。
【0028】
他の特徴によれば、増幅された信号が第2の閾値を超える場合、または、増幅された信号が第1の閾値を超える場合、アクティブ状態は、チャージダウン状態である。
【0029】
このように、チャージダウン状態またはチャージアップ状態のいずれかは、増幅された信号が、例えば0である基準値に到達するまでそれぞれ増大または減少するように、制御信号を修正する。
【0030】
特に、電圧増幅器が正のゲインを有する場合、増幅された信号が第1の閾値を超える場合、アクティブ状態は、チャージダウン状態であり、電圧増幅器が負のゲインを有する場合、増幅された信号が第2の閾値を超える場合、アクティブ状態は、チャージダウン状態である。
【0031】
したがって、2つのアクティブ状態(「チャージアップ状態」および「チャージダウン状態」)は、増幅された信号を基準値にする、すなわち、画素回路を、「リセット時」と呼ぶことができる開始時に戻す。
【0032】
1つの特徴によれば、フィードバック制御モジュールは、少なくとも1つの出力信号に依存して充電されるキャパシタを備え、電圧増幅器の制御信号は、キャパシタの充電量に関連して生成される。
【0033】
このように、制御信号のレベルは、キャパシタの充電量に依存し、電圧増幅器のオフセットは、キャパシタの充電量に依存する値によりシフトされる。
【0034】
したがって、増幅器のゲインが高い領域は、出力信号に基づくキャパシタの充電量に関連してシフトされる。
【0035】
特に、キャパシタは、少なくとも1つの出力がアクティブ状態のとき、チャージアップまたはチャージダウンされる。
【0036】
ある特徴によれば、フィードバック制御モジュールは、少なくとも1つの出力信号によりアクティブにされる少なくとも1つの電流源を備え、キャパシタは、少なくとも1つの電流源により充電される。
【0037】
このように、少なくとも1つの出力信号は、キャパシタの充電量の増大率または減少率を、少なくとも1つの電流源をアクティブおよび非アクティブにすることにより制御する。
【0038】
1つの特徴によれば、電圧増幅器は、ダイオード接続される複数のトランジスタと追加トランジスタとによりそれぞれが形成される、少なくとも第1のトランジスタスタックおよび第2のトランジスタスタックを備え、第1のトランジスタスタックの追加トランジスタは、光強度を示す信号を受信し、増幅された信号は、第2のトランジスタスタックの追加トランジスタの端子から取り出される。
【0039】
電圧増幅器の電圧ゲインは、スタックにおけるダイオードの数に依存することに留意できる。
【0040】
この実施形態によれば、電圧増幅器の出力における増幅された信号は、ヒステリシス比較モジュールに送られるために、シングルエンドで取り出される。
【0041】
出力をシングルエンドで取り出すことにより、増幅された信号は、第2のトランジスタスタックの追加トランジスタの端子における電圧に対応する。
【0042】
他の特徴によれば、電圧増幅器は、ダイオード接続される複数のトランジスタと追加トランジスタとによりそれぞれが形成される、複数のトランジスタスタックを備え、第1のトランジスタスタックの追加トランジスタは、光強度を示す信号を受信し、増幅された信号は、第2のトランジスタスタックおよび第3のトランジスタスタックのそれぞれの追加トランジスタの端子から取り出される。
【0043】
この実施形態によれば、電圧増幅器の出力における増幅された信号は、ヒステリシス比較モジュールに送られるために、差分で(in a differential way)取り出される。
【0044】
出力を差分で取り出すことにより、増幅された信号は、第2のトランジスタスタックおよび第3のトランジスタスタックのそれぞれの追加トランジスタの端子における電圧差に対応する。
【0045】
この特徴により、電圧増幅器の有効ゲインは、より高くなる。
【0046】
1つの特徴によれば、光感知デバイスは、電流を生成するフォトダイオードと、電流を、検出された光強度を示す信号に変換する対数変換器(logarithmic converter)と、を備える。
【0047】
1つの実施形態によれば、ヒステリシス比較モジュールは、少なくとも1つのヒステリシス比較器を備え、少なくとも1つの出力信号は、ヒステリシス比較器の出力に対応する。
【0048】
このように、少なくとも1つのヒステリシス比較器は、増幅された信号を、少なくとも1つの閾値と比較し、増幅された信号のレベルが閾値を超える場合、少なくとも1つの出力信号は、アクティブ状態に設定される。アクティブ状態は、イベントが起こったこと、すなわち、光強度が、以前に検出された光強度に対して(with respect to)変化したことを示す。
【0049】
他の実施形態によれば、ヒステリシス比較モジュールは、少なくとも1つのヒステリシス比較器と、論理モジュールと、を備え、少なくとも1つの出力信号は、論理モジュールの出力に対応する。
【0050】
このように、ヒステリシス比較モジュールの出力は、少なくとも1つのヒステリシス比較器の出力に基づく。
【0051】
1つの特徴によれば、ヒステリシス比較モジュールは、第1のヒステリシス比較器と第2のヒステリシス比較器とを備え、第1のヒステリシス比較器は、増幅された信号を第1の閾値と比較し、この比較に基づいて、増幅された信号のレベルが第1の閾値以上の場合、アクティブ状態の第1の出力信号を生成し、第2のヒステリシス比較器は、増幅された信号を第2の閾値と比較し、増幅された信号のレベルが第2の閾値以下の場合、アクティブ状態の第2の出力信号を生成する。
【0052】
画素回路は、第1および第2の閾値に関して、光強度における変化を検出し、変化は、増幅された信号が2つの閾値の1つを超えるときに検出される。
【0053】
したがって、増幅された信号が第1の閾値以下であり、第2の閾値以上であるとき、光強度における変化は検出されない。
【0054】
1つの特徴によれば、フィードバック制御モジュールは、第1の出力信号および第2の出力信号に基づいてそれぞれがアクティブにされる2つの電流源を備える。
【0055】
このように、閾値を超える、相対的光強度における変化が検出されたか否かに従って、電流源は、アクティブにされるか、またはされない。
【0056】
1つの特徴によれば、電流源は、出力信号がアクティブ状態のとき、アクティブにされる。
【0057】
したがって、イベント、または閾値を超える、光強度における相対的変化が検出されたとき、電流源は、キャパシタを徐々に充電するためにアクティブにされ、電圧増幅器の入力オフセットをシフトする。
【0058】
第2の態様によれば、本発明は、本発明に係る、複数の画素回路を備えるビジョンセンサに関する。
【0059】
フレームのないビジョンセンサの利点および特別な特徴は、画素回路と類似する。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【
図1】本発明に係る、画素回路の概略ブロック図である。
【
図2】第1の実施形態に係る、画素回路の概略図である。
【
図3a】実施形態に係る対数変換器の概略図である。
【
図3b】実施形態に係る対数変換器の概略図である。
【
図4】
図1および2の電圧増幅器の伝達関数を示す図である。
【
図5a】
図1および2のヒステリシス比較器の出力を示す図である。
【
図5b】
図1および2のヒステリシス比較器の出力を示す図である。
【詳細説明】
【0061】
本発明の更なる他の独自性および利点は、非制限的な例で与えられる添付する図面を参照してなされる記述において明確になるであろう。
【0062】
【0063】
画素回路は、セルに対応し、複数の画素回路またはセルは、ビジョンセンサを形成するために、アレイまたはフォトアレイにグループ化される。
【0064】
上記に記述したように、本発明に係る画素回路1は、時間依存ビジュアルデータを検出する。画素回路1は、画素回路1における光の強度を検出する光感知デバイス2を備える。光感知デバイス2は、更に、それが検出した光強度Vphを示す信号を生成する。
【0065】
1つの実施形態によれば、光感知デバイス2は、電流Iphを生成するフォトダイオード20を備える。電流Iphの値は、画素回路1における光強度に関連する。
【0066】
記述された実施形態によれば、光感知デバイス2は、生成された電流Iphを、検出された光強度Vphを示す信号に変換する対数変換器21を備える。
【0067】
特に、対数変換器21は、電流Iphを、検出された光強度Vphを示す信号に変換し、この電圧信号Vphのそれぞれの値は、電流Iphの値の対数に比例する。
【0068】
対数変換器の回路の例は、
図3aおよび3bを参照して記述される。
【0069】
画素回路1は、更に、電圧増幅器3を備える。電圧増幅器3は、入力3aと、出力3bと、制御入力3cと、を備える。電圧増幅器3は、その入力3aにおいて、光感知デバイス2により生成される、検出された光強度Vphを示す信号を受信し、その出力3bにおいて、増幅された信号Voを生成する。
【0070】
電圧増幅器3は、その制御入力3cにおいて、上記電圧増幅器3の入力電圧オフセットをシフトする制御信号VqDCを受信する。
【0071】
増幅された信号Voは、制御信号VqDCを考慮して生成される。
【0072】
電圧増幅器3の伝達機能は、
図4に示される。この図は、電圧増幅器3の入力V
phと出力V
oとの関係を示し、出力V
oは、単一出力(V
o、n)または差分出力(V
o、n-V
o、n-1)であり、nは、増幅器モジュール3の段を示す。
【0073】
図4に示されるように、電圧増幅器3は、値f(V
qDC)の周辺に位置する領域に対応するゲインが高い第1の領域Aと、ゲインのない2つの飽和領域B、Cと、を有する。
【0074】
制御信号VqDCの変動が、ゲインが高い領域AをX軸に沿ってシフトし、電圧増幅器3の入力における信号Vphを追尾する(track)。
【0075】
出力3bにおける増幅された信号Voは、ヒステリシス比較モジュール4に供給される。
【0076】
ヒステリシス比較モジュール4は、増幅された信号Voを、少なくとも1つの閾値θo+、θo-と比較し、例えば0である基準値Vrefと比較する。ヒステリシス比較モジュール4は、更に、上記比較に基づいて、少なくとも1つの出力信号Vo1+、Vo1-を生成する。
【0077】
図5aおよび5bは、それぞれ、
図1に示されるヒステリシス比較器400、401の出力を、入力(増幅された信号V
o)に関連して示す。
【0078】
図5aにおいて、増幅された信号V
oが第1の閾値θo+に到達すると、出力信号は、(電圧増幅器3のゲインが正のとき)制御信号V
qDCが増大し、または(電圧増幅器3のゲインが負のとき)減少するような値となり、増幅された信号V
oを、基準値V
ref(この例では0)に到達するまでそれぞれ減少または増大させる。
【0079】
増幅された信号Voが第1の閾値θo+に到達する前で、増幅された信号Voが第1の閾値θo+と基準値Vrefとの間である間は、出力信号Vo+は固定値であり、制御出力VqDCは安定している。
【0080】
増幅された信号Voが第1の閾値θo+に到達した後で、増幅された信号Voが第1の閾値θo+と基準値Vrefとの間である間は、出力信号Vo+はアクティブ状態であり、VqDCをVoが基準値に到達するまで変化させる。
【0081】
図5bは、
図5aと等価であるが、増幅された信号V
oを、第2の閾値θo-と比較するヒステリシス比較器401に関する。増幅された信号V
oが第2の閾値θo-と基準値V
refとの間である間(増幅された信号V
oが第2の閾値θo-に到達する前)は、出力信号Vo+は固定値を有し、制御出力V
qDCは安定している。増幅された信号V
oが第2の閾値θo-に到達すると(増幅された信号V
oが第2の閾値θo-と基準値V
refとの間である間は)、出力信号Vo+は、制御信号V
qDCが、(電圧増幅器3のゲインが正のとき)減少するように、または(電圧増幅器3のゲインが負のとき)増大するように、そして、増幅された信号が、基準値V
refに到達するまでそれぞれ増大または減少するような値である。
【0082】
ヒステリシス比較モジュール4は、比較デバイス40と、論理モジュール41と、を備える。比較デバイス40は、入力40aにおける増幅された信号Voを、少なくとも1つの閾値θo+、θo-と比較して、その出力40bにおいて、比較の結果に基づいて、少なくとも1つの中間出力信号Vo+、Vo-を生成する。論理モジュール41は、比較デバイス40の少なくとも1つの中間出力信号Vo+、Vo-を受信し、少なくとも1つの出力信号Vo1+、Vo1-を生成する。
【0083】
論理モジュール41は、更に、イベントが起きたこと、すなわち、画素回路1における光の強度が、所与の相対量だけ変化したことを示す、少なくとも1つのイベント信号ev+、ev-を生成する。
【0084】
【0085】
図2により示される図は、
図1により示されるブロック図を実現するための可能な実施形態に対応することに留意できる。このブロック図は、他の実施形態に従って実現され得る。
【0086】
画素回路1は、更に、電圧増幅器3の制御信号VqDCを生成するフィードバック制御モジュール5を備える。
【0087】
フィードバック制御モジュール5は、その入力5aにおいて、少なくとも1つの出力信号Vo1+、Vo1-を受信して、その出力5bにおいて、制御信号VqDCを生成する。制御信号VqDCは、ヒステリシス比較モジュール4により生成される少なくとも1つの出力信号Vo1+、Vo1-の値に基づいて、一定の率で変化させられるか、または一定に保たれる。
【0088】
特に、制御信号VqDCは、増幅された信号が少なくとも1つの閾値を超えるときに、VqDCが、例えば、一定の率で増大または減少するように生成される。
【0089】
画素回路における光の強度が閾値を超えて変化するとき(すなわち、イベントが起こるとき)は、増幅された信号は、閾値を超えることに留意できる。このような場合、制御信号VqDCは、上記電圧増幅器3の入力電圧オフセットが、増幅された信号Voを、例えばゼロの基準値にするために、シフトされるように修正される。
【0090】
この実施形態において、制御信号VqDCは、一定の率で修正される。増幅された信号Voが基準値Vrefに到達すると、ヒステリシス比較モジュール4は、その対応する出力Vo+、Vo-;Vo1+、Vo1-を、非アクティブ状態(「保持状態(hold state)」と命名される)に設定する。この非アクティブ状態または保持状態において、制御信号VqDCは、(次のイベントまで)一定に保たれる。
【0091】
1つの実施形態によれば、ヒステリシス比較モジュール4は、増幅された信号Voが、上記少なくとも1つの閾値を超える場合、少なくとも1つの出力Vo1+、Vo1-を、アクティブ状態に設定する。
【0092】
逆に、増幅された信号が、少なくとも1つの閾値を超えない(すなわち、イベントは起きない)場合、非アクティブ状態の少なくとも1つの出力Vo1+、Vo1-が生成される。
【0093】
1つの実施形態によれば、ヒステリシス比較モジュール4は、増幅された信号Voを、2つの閾値θo+、θo-と比較する。
【0094】
第1の閾値θo+は、光の強度が変化したことを示す最小の正の値である。増幅された信号Voが第1の閾値θo+を超えると、すなわち、第1の閾値θo+より大きくなると、ヒステリシス比較モジュール4は、事前に設定された相対量だけ、光強度が変化したとみなす。増幅された信号Voの値が第1の閾値θo+を超えないとき、すなわち、第1の閾値θo+以下のとき、ヒステリシス比較モジュール4は、光の強度は、事前に設定された相対量だけ変化していないとみなす。
【0095】
第2の閾値θo-は、事前に設定された相対量だけ、光の強度が変化したことを示す最小の負の値である。増幅された信号Voが、第2の閾値θo-を超えるとき、すなわち、第2の閾値θo-より小さいとき、ヒステリシス比較モジュール4は、事前に設定された相対量だけ、光強度が変化したとみなす。増幅された信号Voの値が第2の閾値θo-を超えないとき、すなわち、第2の閾値θo-以下のとき、ヒステリシス比較モジュール4は、事前に設定された相対量だけ光の強度は変化していないとみなす。
【0096】
もちろん、他の実施形態によれば、ヒステリシス比較モジュールは、増幅された信号が、第1の閾値以上、または第2の閾値以下のいずれかのときに、光強度の変化が起きたとみなしてもよい。
【0097】
記述された実施形態によれば、増幅された信号Voは、光強度が、以前に検出された光強度に対して増大するときに、第1の閾値θo+に到達することに留意できる。増幅された信号Voは、光強度が、以前に検出された光強度に対して減少するときに、第2の閾値θo-に到達する。
【0098】
もちろん、第1の閾値θo+および第2の閾値θo-は、逆にして(inversely)使用してもよく、すなわち、第1の閾値を最小の正の値として、そして第2の閾値を最小の負の値として、使用してもよい。
【0099】
1つの実施形態によれば、ヒステリシス比較モジュール4は、増幅された信号Voを、第1の閾値θo+と比較し、上記比較に基づいて、増幅された信号のレベルが第1の閾値θo+以上の場合、アクティブ状態の第1の出力信号Vo1+を生成する第1のヒステリシス比較器400を備える。
【0100】
ヒステリシス比較モジュール4は、更に、増幅された信号を、第2の閾値θo-と比較し、増幅された信号のレベルが第2の閾値θo-以下の場合、アクティブ状態の第2の出力信号Vo1-を生成する第2のヒステリシス比較器401を備える。
【0101】
第1のヒステリシス比較器400および第2のヒステリシス比較器401は、更に、増幅された信号Voを、例えば0である基準値Vrefと比較する。
【0102】
記述された実施形態によれば、フィードバック制御モジュール5は、少なくとも1つの出力Vo1+、Vo1-がアクティブ状態のとき、制御信号VqDCを修正する。
【0103】
このように、イベントが起きたとき、制御信号VqDCは、電圧増幅器3のオフセットが修正されるように修正され、このように、増幅された信号Voは、例えばゼロである基準値Vrefに到達するように修正される。
【0104】
フィードバック制御モジュール5は、少なくとも1つの出力信号Vo1+、Vo1-に依存して充電されるキャパシタ50を備える。
【0105】
フィードバック制御モジュール5は、更に、ヒステリシス比較モジュール4から、少なくとも1つの出力信号Vo1+、Vo1-を受信し、キャパシタ50を、少なくとも1つの出力信号Vo1+、Vo1-に関連して充電する充電ポンプデバイス51を備える。
【0106】
フィードバック制御モジュール5は、電圧増幅器3の制御信号VqDCを、キャパシタ50の充電量に関連して生成する。
【0107】
図2は、第1の実施形態に係る画素回路1の概略図を例示する。
【0108】
この図において、光感知デバイス2、電圧増幅器3、ヒステリシス比較モジュール4およびフィードバック制御モジュール5は、より詳細に例示される。
【0109】
上記のように、光感知デバイス2は、共に接続されるフォトダイオード20と対数変換器21とを備える。
【0110】
この実施形態によれば、フォトダイオード20は、対数電圧変換器21の入力21aに接続される。対数電圧変換器21は、出力21bにおける光強度Vphを示す信号を生成する。
【0111】
対数電圧変換器21は、並列に接続されるトランジスタ210と増幅器211とを備える。記述された実施形態によれば、トランジスタ210は、PMOSトランジスタであり、そのドレイン210dおよびソース210sは、増幅器211の入力および出力のそれぞれに接続される。バイアス電圧Vgp1は、トランジスタ210のゲート210gに印加される。
【0112】
変換器のこの構造は、コンパクトであり、最適速度応答を提示する。
【0113】
他の実施形態によれば、対数変換器21の構造は、異なってもよい。
図3aおよび3bは、本発明に係る画素回路1において使用できる対数電圧変換器21’、21”の2つの例を示す。他の対数変換器を、画素回路において使用してもよい。
【0114】
図3aにおいて、トランジスタ210’は、NMOSトランジスタであり、増幅器211’は、ゲート210g’とソース210s’との間に接続され、対数電圧変換器21’の出力は、トランジスタ210’のゲート210g’において取り出される。
【0115】
図3bは、対数電圧変換器21”の別の例を示す。この対数電圧変換器21”は、
図2に示される対数電圧変換器21のように接続される、トランジスタ210”(この例では、PMOSトランジスタ)と増幅器211”とを備える。加えて、
図3bにより示される対数電圧変換器21”は、カスケード接続される第2のトランジスタ212”と、ダイオード接続されるMOS213”のグループと、を備える。
【0116】
この例において、第2のトランジスタ212”は、PMOSトランジスタであり、そのソース212s”は、第1のトランジスタ210”のソース210s”に接続され、そのドレイン212d”は、ダイオード接続されるMOS213”のグループに接続される。
【0117】
この例において、ダイオード接続されるMOS213”のグループは、3つのNMOSトランジスタMn1、Mn2、Mn3を備え、対数電圧変換器21”の出力Vphは、ダイオード接続されるMOS213”のグループの、第1のトランジスタMn1のゲートにおいて取り出される。
【0118】
この対数電圧変換器21”は、その入力において印加される信号の、より大きな増幅を提供する。
【0119】
図2に戻って、示される実施形態に係る電圧増幅器3は、トランジスタの複数のスタック30、31、32を備える。この例においては、電圧増幅器3は、3つのスタックを備える。しかしながら、トランジスタのスタック(トランジスタスタック)の数は、異なってもよい。
【0120】
それぞれのトランジスタスタック30、31、32は、ダイオード接続される複数のトランジスタMpijと追加トランジスタMnijとから形成され、iは、電圧増幅器3におけるスタックの順番を示すインデックスであり、jは、スタックにおけるトランジスタの順番を示すインデックスである。
【0121】
このように、示される実施形態において、第1のトランジスタスタック30は、ダイオード接続される3つのトランジスタMp11、Mp12、Mp13と、追加トランジスタMn14と、を備え、第2のトランジスタスタック31は、ダイオード接続される3つのトランジスタMp21、Mp22、Mp23と、追加トランジスタMn24と、を備え、第3のトランジスタスタック32は、ダイオード接続される3つのトランジスタMp31、Mp32、Mp33と、追加トランジスタMn34と、を備える。
【0122】
もちろん、トランジスタスタックの数と、各スタックにおけるトランジスタの数と、は異なってもよい。
【0123】
示される例において、ダイオード接続されるトランジスタMpijは、PMOSトランジスタであり、追加トランジスタMnijは、NMOSトランジスタである。しかしながら、電圧増幅器の他の構造において、ダイオード接続されるトランジスタがPMOSタイプであり、追加トランジスタがNMOSタイプであってもよく、または、すべてのトランジスタが、PMOSもしくはNMOSであってもよい。
【0124】
加えて、この例において、すべてのトランジスタスタックの構造は、類似している。しかしながら、他の(記述されず、示されない)実施形態において、各スタックの構造は、異なってもよく、すなわち、あるスタックは、多数のトランジスタを有し、または、他のスタックとは異なるタイプのトランジスタを有してもよい。
【0125】
示される例において、光強度Vphを示す信号は、第1のトランジスタスタック30の追加トランジスタMn14のゲートに印加される。
【0126】
電圧増幅器3は、その出力において、増幅された信号Voを生成する。この実施形態において、増幅された信号Voは、第2および第3のトランジスタスタック31、32の追加トランジスタMn24、Mn34のドレインにおいて、差分で(differentially)取り出される。
【0127】
他の(図には示されない)実施形態によれば、電圧増幅器出力は、シングルエンドであってよい。この場合、増幅された信号は、追加トランジスタのドレインにおいて取り出される。
【0128】
示される例において、正の電源VDDが、トランジスタスタック30、31、32に印加され、特に、各トランジスタスタック30、31、32の第1のトランジスタMpi1に印加される。
【0129】
電圧増幅器3aの制御入力3cは、この例において、第1のトランジスタスタック30の追加トランジスタMn14のソースに対応する。制御信号VqDCは、制御入力3cに印加される。
【0130】
上記のように、制御信号VqDCは、電圧増幅器3の入力電圧オフセットをシフトする。このように、増幅された信号Voは、出力3bにおいて、入力3aにおける信号(検出された光強度Vphを示す信号)と、制御入力3cにおける制御信号VqDCと、に関連して生成される。
【0131】
第2および第3の制御スタック31、32の追加トランジスタMni4のソースは、電圧Vqに接続される。電圧Vqは、すべての画素が設定される、共通低インピーダンス基準電圧Vqである。
【0132】
増幅された信号Voは、ヒステリシス比較モジュール4の入力4aに印加される。この実施形態において、ヒステリシス比較モジュール4は、第1の出力信号Vo1+および第2の出力信号Vo1-を生成する。
【0133】
記述された実施形態において、ヒステリシス比較モジュール4は、ヒステリシス比較器40を備える。ヒステリシス比較モジュール4の入力4aは、ヒステリシス比較器40の入力に対応する。
【0134】
ヒステリシス比較器40は、増幅された信号Voを、第1の閾値θo+と比較する。この比較に基づいて、ヒステリシス比較器40は、第1の中間出力信号Vo+を生成する。この実施形態において、第1の中間出力信号Vo+は、ヒステリシス比較モジュール4の第1の出力Vo1+に対応する。
【0135】
ヒステリシス比較器40は、更に、増幅された信号Voを、第2の閾値θo-と比較する。この比較に基づいて、ヒステリシス比較器40は、第2の中間出力信号Vo-を生成する。この実施形態において、第2の中間出力信号Vo-は、ヒステリシス比較モジュール4の第2の出力Vo1-に対応する。
【0136】
ヒステリシス比較器40は、増幅された信号のレベルが第1の閾値θo+以上の場合、第1の出力信号Vo+(または、第1の中間出力信号Vo1+)をアクティブ状態に設定する。
【0137】
加えて、ヒステリシス比較器40は、増幅された信号のレベルが第2の閾値θo-以下の場合、第2の出力信号Vo-(または、第2の中間出力信号Vo1-)をアクティブ状態に設定する。
【0138】
ヒステリシス比較器40は、
図1に示されるような2つのヒステリシス比較器400、401と等価であることに留意できる。
【0139】
記述された実施形態によれば、ヒステリシス比較モジュール4は、更に、論理モジュール41を備える。論理モジュール41は、2つの入力41a、41bおよび2つの出力41c、41dを備える。
【0140】
ヒステリシス比較器40の第1の中間出力信号Vo1+および第2の中間出力信号Vo1-(この実施形態において、ヒステリシス比較モジュール4の第1の出力Vo+および第2の出力Vo-にそれぞれ対応する)は、論理モジュール41の第1の入力41aおよび第2の入力41bのそれぞれに印加される。論理モジュール41は、第1の出力信号Vo+がアクティブ状態の場合、第1のイベント信号ev+を生成し、第2の出力信号Vo-がアクティブ状態の場合、第2のイベント信号ev-を生成する。
【0141】
例えば、第1のイベント信号ev+および第2のイベント信号ev-は、インパルスである。このように、インパルスは、増幅された信号Voが、第1の閾値θo+または第2の閾値θo-を超えるときに生成される。
【0142】
第1のイベント信号ev+および第2のイベント信号ev-は、周辺通信回路に送信される。
【0143】
他の実施形態(図により示されない)によれば、論理モジュールは、ヒステリシス比較モジュールの第1の出力信号および第2の出力信号を生成する。これらの出力信号は、ヒステリシス比較器の出力に基づいて、論理モジュールにより生成される。
【0144】
この実施形態に係るフィードバック制御モジュール5は、充電ポンプモジュール51を備える。記載された実施形態において、充電ポンプモジュール51は、2つの電流源51a、51bを備える。第1の電流源51aは、ヒステリシス比較モジュール4により生成される第1の出力信号Vo1+を受信する。第2の電流源51bは、ヒステリシス比較モジュール4により生成される第2の出力信号Vo1-を受信する。
【0145】
1つの実施形態によれば、第1の電流源51aは、PMOSトランジスタ510を備え、第2の電流源51bは、NMOSトランジスタ511を備える。
【0146】
PMOSトランジスタ510は、一定のゲート電圧Vpchによりバイアスがかけられ、信号Vo1+によりアクティブにされ、NMOSトランジスタ511は、一定のゲート電圧Vnchによりバイアスがかけられ、信号Vo1-によりアクティブにされる。バイアスVpchおよびVnchは、保持キャパシタ50のチャージアップ率およびチャージダウン率を設定する。
【0147】
もちろん、第1および第2の電流源は、異なるタイプのトランジスタを備えてもよい。代替として、第1および第2の電流源は、同じ機能を行う、異なる構造を備えてもよい。
【0148】
記述された実施形態において、第1の出力信号Vo1+は、PMOSトランジスタ510のソース510sに印加され、第2の出力信号Vo1-は、NMOSトランジスタ511のソースに511s印加される。
【0149】
PMOSトランジスタ510のドレインは、NMOSトランジスタ511のドレイン511dに接続され、両トランジスタ510、511のドレイン510d、511dは、キャパシタ50の第1の端子50aに接続される。キャパシタ50の第2の端子50bは、基準電力電圧に接続される。
【0150】
第1の電流源51aは、第1の出力信号Vo1+によりアクティブにされ、第2の電流源51bは、第2の出力信号Vo1-によりアクティブにされる。
【0151】
このように、第1の出力信号Vo1+がアクティブ状態のとき、第1の電流源51aは、アクティブにされる。
【0152】
同様に、第2の出力信号Vo1-がアクティブ状態のとき、第2の電流源51bは、アクティブにされる。
【0153】
保持キャパシタ50により蓄積される電圧は、ヒステリシス比較モジュール4からの出力信号Vo1+、Vo1-の状態に依存する。
【0154】
キャパシタ50は、電流源51a、51bの1つによりチャージアップまたはチャージダウンされる。
【0155】
出力信号Vo1+、Vo1-のいずれかの状態が保持状態のとき、保持キャパシタ50における電圧は、一定のままである。状態がチャージアップ状態のとき、保持キャパシタ50における電圧は、例えば、一定の率で増大する。保持キャパシタ50は、第1の電流源51aから来る、正の充電電流により充電される。状態がチャージダウン状態のとき、保持キャパシタ50は、第2の電流源51bから来る、負の電流により放電される。
【0156】
増幅された信号Voが、閾値θo+、θo-の1つを超えない場合、出力信号は保持状態であることに留意できる。
【0157】
光が、第1の閾値θo+に到達するように増大する場合、第1の電流源50aは、アクティブ(チャージアップ状態)にされ、保持キャパシタにおける電圧(VqDC)を、一定の速度で増大させる。これは、増幅された信号Voを、基準値(Vref)に到達するまで下げさせる。この時点で、「保持状態」に戻る(the 'hold state' is returned to)。対称的な行動(Symmetric behavior)が、光が減少するときに起こり、出力信号をチャージダウン状態にさせる。
【0158】
フィードバック制御モジュール5は、更に、キャパシタ50と、電圧増幅器3の制御信号VqDCを生成する出力5cと、の間に接続される増幅器52を備える。
【0159】
画素回路1がリセットされると、すなわち、増幅された信号Voが、例えば0である基準値に到達し、光強度が画素回路1において増大すると、光強度Vphを示す信号は、増大する。
【0160】
このように、記述された実施形態において、増幅された信号Voに対応する、ヒステリシス比較器40の差分入力は、徐々に減少する。ヒステリシス比較器40の増幅された信号Voまたは差分入力が、第1の閾値θo+に到達する場合、ヒステリシス比較器40は、第1の出力信号Vo1+をアクティブ状態に設定する。
【0161】
記述された実施形態において、増幅器モジュール3は、ダイオードの奇数個のスタックを有する。増幅器モジュール3が、偶数個のスタックを有する場合、各スタックは、電圧を反転するので、増幅された信号は、反対になることに留意されたい。
【0162】
第1の出力信号Vo+、Vo1+は、アクティブ状態であるので、第1の電流源51aは、アクティブにされる。記述された実施形態において、PMOSトランジスタ510は、電圧Vo1+によりアクティブにされる。キャパシタ50は充電され、制御信号VqDCは徐々に増大する。
【0163】
制御信号VqDCにおける増大は、電圧増幅器3の入力DCオフセットを徐々に増大させ、それは、増幅された信号Voが、基準値(例えば、ゼロ)を超えるまで、徐々に減少することを意味する。このとき、ヒステリシス比較器40は、第1の出力信号Vo+を、低または非アクティブ状態に設定する。
【0164】
第1の出力信号Vo+が、低または非アクティブ状態のとき、第1の電流源51aは、もはやアクティブにはされず、キャパシタ50は、その充電レベルを、増幅された信号Voが、第1の閾値θo+または第2の閾値θo-のいずれかに到達するまで維持することに留意できる。
【0165】
光強度が画素回路1において減少する場合、光強度Vphを示す信号は、減少する。このように、ヒステリシス比較器40の差分入力または増幅された信号Voは、徐々に増大する。ヒステリシス比較器40の増幅された信号Voまたは差分入力が第2の閾値θo-に到達する場合、ヒステリシス比較器40は、第2の出力Vo-、Vo1-をアクティブ状態に設定する。
【0166】
第2の出力信号Vo-、Vo1-がアクティブ状態のとき、第2の電流源51bは、アクティブにされる。記述された実施形態において、NMOSトランジスタ511は、電圧Vo1-によりアクティブにされる。このように、キャパシタ50は、充電され、制御信号VqDCは、徐々に減少する。
【0167】
減少する制御信号VqDCは、電圧増幅器3の入力DCオフセットを徐々に減少させ、これは、増幅された信号Voが、基準値(例えば、ゼロ)を超えるまで、徐々に増大することを意味する。このとき、ヒステリシス比較器40は、第2の出力信号Vo+を、低または非アクティブ状態に設定する。
【0168】
第2の出力信号Vo-が低または非アクティブ状態のとき、第2の電流源51bは、もはやアクティブにされることはなく、キャパシタ50は、増幅された信号Voが、第1の閾値θo+または第2の閾値θo-のいずれかに到達するまで、その充電レベルを維持することに留意できる。
【0169】
フィードバック制御モジュール5のPMOS510およびNMOS511トランジスタのゲート電圧Vpch、Vnchは、複数の画素回路により共有され得るバイアス回路により、所定の値に設定されることに留意できる。