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  • -起泡性クレンジング組成物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-11
(45)【発行日】2022-05-19
(54)【発明の名称】起泡性クレンジング組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/42 20060101AFI20220512BHJP
   A61Q 19/10 20060101ALI20220512BHJP
   A61K 8/86 20060101ALI20220512BHJP
   A61K 8/92 20060101ALI20220512BHJP
   A61K 8/39 20060101ALI20220512BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20220512BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20220512BHJP
   A61K 8/36 20060101ALI20220512BHJP
   A61K 8/46 20060101ALI20220512BHJP
【FI】
A61K8/42
A61Q19/10
A61K8/86
A61K8/92
A61K8/39
A61K8/37
A61K8/34
A61K8/36
A61K8/46
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2019545315
(86)(22)【出願日】2018-02-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-03-19
(86)【国際出願番号】 GB2018050455
(87)【国際公開番号】W WO2018154298
(87)【国際公開日】2018-08-30
【審査請求日】2021-01-18
(31)【優先権主張番号】1702905.9
(32)【優先日】2017-02-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】519297425
【氏名又は名称】ディーイービー アイピー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】DEB IP LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100134647
【弁理士】
【氏名又は名称】宮部 岳志
(72)【発明者】
【氏名】カンプス,ニコル
(72)【発明者】
【氏名】ベーガー,マーセル
(72)【発明者】
【氏名】ティエマン,アストリッド
(72)【発明者】
【氏名】フェローズ,キャロリン
【審査官】長谷部 智寿
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-520258(JP,A)
【文献】特表2015-518028(JP,A)
【文献】特表平11-505837(JP,A)
【文献】国際公開第2015/161018(WO,A1)
【文献】特表2016-510611(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0242018(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00-8/99
A61Q 1/00-90/00
C11D 1/00-1/94
A47K 5/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
清浄化組成物の全量を基準とした場合において以下の成分を含み、正立型フォームディスペンサー及び倒立型フォームディスペンサーの何れにおいても起泡性の皮膚および手のクレンジング用組成物。
a)ジオレイン酸PEG-18ヒマシ油、ポリグリセリン4-カプロエート(polyglycerin 4-caproate)、水添ヒマシ油、ジオレイン酸PEG-10グリセリル、カプリル酸/カプリン酸グリセレス-7、ジェミニ型界面活性剤およびそれらの混合物から選択される、0.1~5重量%の少なくとも1種の乳化剤
b)0.5~7重量%の少なくとも1種の
c)ポリオールエステルから選択される、典型的にはヤシ油脂肪酸PEG-7グリセリル、ポリグリセリン4カプレート(polyglycerin 4 caprate)、グリセレス2-ココエート(glycereth 2-cocoate)、カプリル酸/カプリン酸PEG-6グリセリズ、ポリグリセリル3カプレート(polyglyceryl 3 caprate)、ポリグリセリル4-カパレート(polyglyceryl 4 caparate)およびそれらの混合物から選択される、0~10重量%の少なくとも1種の疎水性エモリエント剤
d)汚れ除去剤として使用される、5~20重量%の少なくとも1種の界面活性剤
e)0.5~12重量%の少なくとも1種の脂肪酸グルカミド
f)起泡剤として使用される、1~8重量%の少なくとも1種の界面活性剤
g)0~1重量%の少なくとも1種の防腐剤
h)0~1重量%のpH調整剤
i)0~10重量%の1種または複数の助剤または添加剤
j)100重量%にする水
【請求項2】
1~5.5%の脂肪酸グルカミド(e)を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
少なくとも1種の脂肪酸グルカミドが、一般式
【化1】
(式中、
=HまたはC1~C4アルキルであり、
=C~C20直鎖状または分岐状、飽和または不飽和炭化水素残基である)
を持つ、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
が、-Hまたは-CH、好ましくは-CHである、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
が、C~C18直鎖または分岐鎖で、飽和または不飽和の炭化水素残基である、請求項3または4に記載の組成物。
【請求項6】
グルカミド(e)が、カプリロイル/カプロイルメチルグルカミド、ラウロイル/ミリストイルメチルグルカミド、およびココイルメチルグルカミドから選択される混合物を含む、請求項1から5に記載の組成物。
【請求項7】
グルカミド(e)が、ココイルメチルグルカミドである、請求項1から5に記載の組成物。
【請求項8】
油(b)が、アルキル脂肪酸エステルである請求項1から7に記載の組成物。
【請求項9】
油(b)が、イソプロピル若しくはエチルヘキシル脂肪酸エステルまたは安息香酸アルキルである、請求項1から7に記載の組成物。
【請求項10】
油(b)が、ステアリン酸エチルヘキシル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸イソプロピルおよびナタネ油のイソプロピルエステルまたはそれらの混合物から選択される、請求項に記載の組成物。
【請求項11】
1~3重量%の油(b)を含む、請求項1から10に記載の組成物。
【請求項12】
起泡剤が、コカミドプロピルベタイン、カプリル/カプラミドプロピルベタイン、脂肪族アルコール、エーテルカルボン酸およびカルボキシレート、アルカノールアミド、アミンオキシド並びにエトキシ化アルキルスルホコハク酸塩から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
1~3重量%の乳化剤(a)を含む、請求項1から12に記載の組成物。
【請求項14】
エモリエント剤(c)として、ヤシ油脂肪酸PEG-7グリセリル、カプリン酸ポリグリセリル-3、ポリグリセリン4カプレート(polyglycerin 4 caprate)、ヤシ油脂肪酸グリセレス-2、またはPEG-6カプリル酸/カプリン酸グリセリズを含む、請求項1から13に記載の組成物。
【請求項15】
8~15%のアニオン性界面活性剤(d)を含む、請求項1から14に記載の組成物。
【請求項16】
2~5重量%の起泡剤(f)を含む、請求項1から15に記載の組成物。
【請求項17】
洗浄活性物質が、組成物の総重量の7~20%を構成する、請求項1から16に記載の組成物。
【請求項18】
請求項1から17に記載の組成物が倒立型フォームディスペンサー内にある、皮膚および/または手の洗浄方法。
【請求項19】
請求項1から17に記載の組成物を含む、倒立型フォームディスペンサー。
【請求項20】
倒立型フォームディスペンサー内に請求項1から17に記載の組成物を提供する工程と、前記ディスペンサーを操作して泡を生成する工程とを含む、泡を生成する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、起泡性の皮膚および手のクレンジング用組成物、特に、起泡生成物を生成するための倒立型エアポンプと組み合わせて使用することに適合した組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
液体の皮膚および手のクレンジング用処方物は、当技術分野において一般的に公知である。それらは従来、注ぎ口が設けられた容器、または清浄化される皮膚上に液体組成物を噴出させるためのポンプを有する容器に入れられ提供される。そのような液体石鹸は、多くの場合非常に良好な清浄化効率を有する。
【0003】
皮膚または手の上に配置される前に起泡される処方物もまた、当技術分野において一般的に公知である。泡は、対応する液体よりもはるかに容易に広がる傾向があり、さらに、泡は液体よりもはるかに高い表面張力を有するため、飛び散るまたは流れ落ちることによる無駄がはるかに小さい。液体石鹸と比較した泡に関連する1つの問題は、清浄化効率がより低い傾向にあることである。しかしながら、泡は非起泡液体よりもはるかに高い表面積を有するため、泡の清浄化効率を改善することができれば、非起泡液体により得られる清浄化力と同じ清浄化力を有しながら、必要とされる初期使用液体がはるかに少ない泡を生成することが可能である。
【0004】
いくつかのクレンジング処方物では、処置される皮膚または手から泥を除去するのを補助するために、油および乳化剤の組合せが使用される。本出願人は、起泡され得るそのような油ベースのクレンジング処方物の生成を試みることにした。
【0005】
起泡ポンプは、当技術分野において一般的に公知である。それらは通常正立型であり、起泡性液体がボトル等の容器内に入れられる。ポンピングユニットはボトルの頂部に取り付けられ、ディスペンサーを備えており、ディスペンサーは、ボトルに向かって下方に空気を送り込み、液体に押し込み、ディスペンサーから皮膚または手に分注する泡を発生させる。本出願人がそのような正立型ポンプで処方物を生成しようとしたところ、それらは、ラウラミンオキシドおよびベタイン等の従来の洗浄添加剤の添加により、好適な泡を生成することができた。
【0006】
フォームディスペンサーがディスペンサーに挿入される容器の底部に設けられ、ディスペンサーが例えば部屋の壁に設置される倒立型ポンプもまた公知である。そのようなディスペンサーは、貯蔵容器の底部まで延在する管により起泡性液体を容器の底部から汲み上げる必要がないという利点を有する。これによって、液体が欠乏すると、液体を分注する際、容器の底部から液体を上昇させるために、ポンプ操作においてより強い力を加えなければならないという、そのような正立型容器に関連する問題が排除される。倒立型フォームディスペンサーは、例えば、WO99/49769およびWO2014/138958において示されている。そのようなディスペンサーは、上部ポンプ式フォームディスペンサーとは異なり、ディスペンサーの基部から起泡させる。起泡要素および/またはポンプは、代表的なものとしては容器の基部にある。ディスペンサーの起泡部品または要素を通して起泡性組成物を押し出すために手動操作式ポンプ等のポンプを始動させると、ディスペンサーの基部から泡が押し出される。
【0007】
しかしながら、本出願人が、従来の洗浄添加剤と組み合わせた油および乳化剤ベースのクレンジング処方物の使用を試みたところ、同処方物は、従来の正立型ディスペンサーでは機能するものの、倒立型ディスペンサーからは満足のいく品質の泡を得ることができないことがわかった。本出願人が思いも寄らない、倒立型および正立型フォームディスペンサーの両方において使用され得る処方物の生成を可能にする添加剤類の発見に至るまで、広範囲の異なる添加剤が試された。
【0008】
油を含まず洗浄添加剤を含む処方物は、倒立型ディスペンサーから分注されるにあたって、やはり問題を有することが分かったため、この問題の解決策はすぐには明らかとならなかった。洗浄添加剤が油および乳化剤と組み合わされた場合にのみ、倒立型ディスペンサーに関する問題が解決した。
【0009】
倒立型フォームディスペンサーの使用の問題を克服するために使用される添加剤類は、脂肪酸グルカミドとして知られている。これらは以前にも洗浄用および清浄化用処方物において使用されており、化粧品業界において界面活性剤として使用されている。それらは、EP1072615において概略的に説明されており、Clariant GmbH、ドイツからGlucotain(商標)の商品名で市販されている。代表的なものでは、D-グルコース等の糖から、メチルアミンとの反応および水添によりグルコースの構造を開いてグルカミンが生成される。次いでグルカミンを、例えば脂肪酸メチルエステルまたはトリグリセリドと反応させ、グルカミドを生成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】国際公開99/49769号
【文献】国際公開2014/138958号
【文献】欧州特許1072615公報
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0011】
そこで、本発明は、清浄化組成物の全量を基準とした場合において以下の成分を含む、起泡性の皮膚および手のクレンジング用組成物を提供する。
a)0.1~5重量%の少なくとも1種の乳化剤、
b)0.5~7重量%の少なくとも1種の油;
c)0~10重量%の少なくとも1種の疎水性エモリエント剤;
d)汚れ除去剤として使用される、5~20重量%の少なくとも1種の界面活性剤;
e)0.5~12重量%の少なくとも1種の脂肪酸グルカミド
f)起泡剤として使用される、1~8重量%の少なくとも1種の界面活性剤
g)0~1重量%の少なくとも1種の防腐剤
h)0~1重量%のpH調整剤
i)0~10重量%の1種または複数の助剤または添加剤
j)100重量%にする水
【0012】
組成物は、典型的には、0.7~10重量%、または1~5重量%の少なくとも1種の脂肪酸グルカミド(e)を含む。脂肪酸グルカミド(e)は、典型的には、次の一般化学式を持つ。
【化1】
式中、
=HまたはC1~C4アルキル、最も代表的なものはHまたは-CH、特に-CHであり、
=C~C20直鎖状または分岐状炭化水素残基、最も代表的なものはC~C18直鎖状または非分岐状炭化水素残基である。炭化水素残基は、飽和または不飽和であってもよい。
【0013】
グルカミドの混合物が使用されてもよい。例えば、グルカミドは、カプリロイル/カプロイルメチルグルカミド、ラウロイル/ミリストイルメチルグルカミド、またはココイルメチルグルカミドの混合物であってもよい。これらの混合物が使用されてもよく、例えば、ココイルメチルグルカミドおよびカプリロイル/カプロイルメチルグルカミドの混合物が使用されてもよい。最も代表的なものとして、グルカミドは、ヤシ油からの脂肪酸残基を含むココイルメチルグルカミドである。
【0014】
油(b)は、アルキル脂肪酸エステルであってもよく、最も代表的なものとしてイソプロピル脂肪酸エステルまたはエチルヘキシル脂肪酸エステルであってもよい。エステルの脂肪酸部分は、C~C20、例えばC12~C15飽和または不飽和脂肪酸であってもよい。これらは、例えば飽和脂肪酸を含み、ミリスチン酸、パルミチン酸およびステアリン酸、ならびに例えばナタネ油から誘導された脂肪酸の混合物を含む。最も代表的なものとして、アルキル部分は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソプロピル、ペンチルもしくはエチルヘキシルを含む1~5個の炭素で成るものか、または安息香酸アルキルC12-15のような安息香酸アルキルである。より代表的なものとして、アルキルは、イソプロピルまたはエチルヘキシル、特にイソプロピルである。2種以上の油の混合物が使用されてもよい。最も代表的なものとして、油は、ミリスチン酸イソプロピル、またはミリスチン酸イソプロピルおよびパルミチン酸イソプロピルの混合物である。ステアリン酸エチルヘキシルが使用されてもよい。代表的な油は、実質的に透明な油である。組成物は、1~5重量%、または3~5重量%の油を含んでもよい。
【0015】
乳化剤(a)は、ジオレイン酸PEG-18ヒマシ油、ポリグリセリン4-カプロエート(polyglycerin 4-caproate)、水添ヒマシ油、ジオレイン酸PEG-10グリセリルおよびジェミニ型界面活性剤ならびにそれらの混合物を含む、当技術分野において一般的に公知であるものから選択され得る。ジェミニ型界面活性剤は、1つ以上の疎水鎖と親水基を有する界面活性剤分子群である。ジェミニ型界面活性剤は、通常、等しい鎖長の対応する従来の界面活性剤より良好な界面活性特性を有する。例えば、それらは、スペーサを介して互いに連結された親水基に対する疎水部分を有する。これらは、例えば、S.K.HateおよびS.P.Moulik、Current Science、第82(9)巻(2002) 1101~1111の総説に記載されている。
【0016】
最も代表的なものとして、乳化剤は、ジオレイン酸PEG-18ヒマシ油、ジェミニ型界面活性剤またはPEG10-ジオレート(PEG 10-dioleate)であり、特にPEG10-ジオレート(PEG 10-dioleate)またはジェミニ型界面活性剤である。
【0017】
使用され得る他の乳化剤は、カプリル酸/カプリン酸グリセレス-7(Emanon Ev-E)である。
【0018】
組成物は、1~5重量%または2~3重量%の乳化剤(a)を含んでもよい。
【0019】
エモリエント剤(c)は、当技術分野において可溶化剤としても知られる任意の好適なエモリエント剤であってもよいが、代表的なものとしては、ヤシ油脂肪酸PEG-7グリセリルである。他の好適なエモリエント剤は、ポリグリセリン4カプレート(polyglycerin 4 caprate)、ヤシ油脂肪酸グリセレス-2、またはカプリル酸/カプリン酸PEG-6グリセリズを含む。
【0020】
エモリエント剤は、典型的には、HLB値が、少なくとも10であり、典型的には少なくとも12である。
【0021】
それらの代表的なものは、例えばポリグリセリル部分エステルまたはポリグリセロール脂肪酸エステルのようなポリオールエステルであり、本発明における特に好ましいエモリエント剤は、例えば、カプリン酸ポリグリセリル-3またはカプリン酸ポリグリセリル-4であり、これらはDegussaからTEGOSOFT(登録商標)PC31およびTEGOSOFT(登録商標)PC41の名称で入手可能である。
【0022】
本発明の目的のためのポリオールエステルは、さらに、例えばヤシ油脂肪酸PEG-7グリセリル(上述)のようなポリエチレングリコールエステルであり、これはCroda Chemicals Europe Ltd.からGlycerox HEの名称で入手可能である。
【0023】
組成物は、代表的なものとしては、8~15重量%のアニオン性界面活性剤(d)を含む。アニオン性界面活性剤は、例えばラウリル硫酸ナトリウムもしくはアンモニウムのようなアルキル硫酸塩であってもよく、または、例えばラウレス硫酸ナトリウムのようなアルキルエーテル硫酸塩であってもよい。他の好適な界面活性剤は、アルファオレフィンスルホン酸ナトリウム、N-ココイルグルタミン酸ナトリウム塩、アルキル脂肪酸イセチオン酸塩、アルキルヒドロキシスルタイン、アルキルアミドプロピルベタイン、N-ココイルグリシンナトリウム塩、スルホン化および硫酸化ヒマシ油を含む。
【0024】
2~3%の起泡剤(f)が使用され得る。起泡剤は、当技術分野において一般的に公知である。代表的なものとして、ケイ素含有起泡剤であることはなく、なぜなら、それらは自動車産業において表面塗装能力を変化させることが分かっているためである。起泡剤は、例えば、ココアミドプロピルベタイン(cocoamidopropyl betaine)、カプリル/カプラミドプロピルベタイン、脂肪族アルコール、エーテルカルボン酸およびカルボキシレート、アルカノールアミドおよびアミンオキシド、エトキシ化アルキルスルホコハク酸塩を含む。
【0025】
最大1重量%の1種または複数の防腐剤(g)が使用され得る。これらは、当技術分野において一般的に公知であり、例えば、1,2-ヘキサンジオール、カプリリルグリコールおよびトロポロンを含む。より代表的なものとして、安息香酸ナトリウムが使用される。処方物のpHは、1種または複数のpH調整剤、例えばクエン酸の添加により調整され得る。
【0026】
0~10重量%、より典型的には2~8重量%または3~7重量%の1種もしくは複数の助剤または添加剤(i)が、処方物中に使用され得る。これらは、当業者に一般的に公知である。それらは、例えば、稠度調節剤、フレグランス、ポリマーのような増粘剤、無機および有機紫外線防止剤、顔料、酸化防止剤、植物抽出物、安定剤および保水剤を含み得る。0~1%、より典型的には0.1~0.8%のフレグランスが使用され得る。これは、組成物の匂いを改善する。そのようなフレグランスは、当技術分野において一般的に公知である。
【0027】
典型的には、さらなる助剤は処方物に添加されない。
【0028】
水は、組成物を100重量%とするために使用される。
【0029】
典型的には、洗浄添加剤は、組成物の総重量の7~20%を構成する。洗浄活性物質は、界面活性剤、アルキルグルカミドおよび起泡剤(D、E、F)の合計重量となる。
【0030】
より典型的には、組成物は、8~16または10~14重量%の洗浄添加剤を含有する。
【0031】
皮膚および/または手の洗浄のための組成物の使用、ならびに皮膚および/または手の洗浄のための組成物に処方物を使用する方法もまた提供される。
【0032】
ここで、以下の図面を参照しながら、例示のみを目的として本発明を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】Stephalen(商標)Flash FoamおよびRefresh(商標)Azure Foamとの比較、ならびに2種の液体クレンザー、GojoEco Soy(商標)およびEstesol(商標)Mild Washとの比較における、本発明に従って作製された2種の泡(Estesol Foam PureおよびEstesol Foam)の平均清浄化効率を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0034】
「泡生成」
以下で説明される処方物は、Albea(Le Cignac、Gennevilliers、フランス)から市販されている正立型フォームポンプを使用して試験された。倒立型ポンプ(Optidose)は、Deb Limited、英国から入手可能な市販の壁取付け用ディスペンサーである。
【0035】
「クレンジングの実施」
クレンジングの実施は、代表的なものとして以下の方法を使用して行った。
【0036】
標準化された汚れまたは塗料を用いた手の洗浄試験の試験モデルは、試験される生成物の清浄化効果に関する情報を与える。実際の使用に適合したものとなるために、全ての対象が手作業によりもたらされた手のひらの特徴的皮膚構造を有することが必要である。1度に1つの生成物を使用して、午前および午後に以下の試験を行う。
【0037】
「水を用いた試験手順」
0.5gの汚れ(モデル汚れ、実際の汚れまたは塗料)を手のひらおよび手の甲に広げ、擦り付ける。
1分半乾燥させる。
1.2gのクレンジング組成物を塗布し、擦り付ける。
1mlの水を加え、30秒間洗浄する。
さらに1mlの水を加え、30秒間洗浄する。
冷たい流水で濯ぐ。
スケールに従った手の甲および手のひらの残留汚れ(RS)の視覚的評価。以下を参照されたい。
【0038】
「水を用いない試験手順」
0.5gの汚れ(モデル汚れ、実際の汚れまたは塗料)を手のひらおよび手の甲に広げ、擦り付ける。
1分半乾燥させる。
1.2gの清浄化組成物を塗布し、擦り付ける。
セルロース紙を使用して、手の表面上の汚れを生成物と一緒に除去する。
スケールに従った手の甲および手のひらの残留汚れ(RS)の視覚的評価。以下を参照されたい。
【0039】
0=清浄、5=清浄化効果なし(可能な限り0.5段階での等級化)。
【0040】
清浄化効果のパーセンテージは、以下の式に従って計算される。
【数1】
RSpalm=n測定シリーズ(対象)の手のひらの残留汚れの平均値。
RSback=n測定シリーズ(対象)の手の甲の残留汚れの平均値。
【0041】
清浄化効果の低下はより広い変動範囲を有するため、2つの測定シリーズ間の5%の絶対偏差が許容され得る。
【0042】
「好適なモデル汚れの組成」
火炎煤:5.42%
酸化鉄(Fe2):0.72%
【0043】
「比較例1」
先行技術の処方物Sasolナンバー11574。
【表1】
【0044】
Sasol Formulation11574は、マイルドで優しいシャワーフォーム組成物であり、油を含み、本発明者が特定しようとしていた意図される最終生成物に近い。従来の正立型Albeaフォームを使用して、処方物を起泡させることが可能であった。しかしながら、倒立型Optidoseポンプは、泡を生成することができなかった。
【0045】
「比較例2」
【表2】
【0046】
比較例2は、脂肪酸アルキルグルカミドを含有する非油ベースクレンザーを示す。ここでも、その処方物は、正立型フォーマーを使用して起泡させることができたが、倒立型起泡装置を使用して泡を生成することはできず、また好適なクレンジング性能を有していなかった。
【0047】
倒立型フォーマーの使用に関する問題を特定するに当たり、出願人は、正立型および倒立型ポンプの両方において起泡をもたらす満足のいく組成物の生成を試みるため、いくつかの異なる種類の添加剤を試した。これらは、以下を含んでいた。
【0048】
良好な清浄化効力を有するが起泡品質を阻害する、脂肪アルコールエトキシレートのような非イオン系物質(nonionics)、例えばトリデシルアルコールのポリエチレングリコールエーテル。泡を安定化させるための脂肪アルコールエトキシレートを使用した様々な試みは、失敗に終わった。
【0049】
クレンジング特性と組み合わせて起泡性を改善するために、出願人はまた、ラウレス-6カルボン酸およびラウレス硫酸MIPAを試した。アルキルポリグルコース、ラウレススルホサクシネート2Na、ラウレス-10、ココアンホプロピオン酸NaおよびN,N-ジメチル9-デセンアミドを代替物として試したが、これもまた失敗に終わった。
【0050】
ポリエチレングリコールエーテルからメチルグルカミド(例えばカプリロイル/カプロイルメチルグルカミド、ラウロイル/ミリストイルメチルグルカミド、ココイルメチルグルカミド)への変更は、少なくとも起泡において有益な効果を示し、良好なクレンジング性能をもたらした。
【0051】
【表3】
【0052】
【表4】
【0053】
【表5】
【0054】
【表6】
【0055】
結果は、油を脂肪酸アルキルグルカミドと組み合わせることにより、正立型および倒立型起泡ポンプの両方で使用され得る処方物が生成されることを示している。アルキルグルカミドを含まない代替の処方物を使用すると、倒立型ポンプではより低い泡品質を有する処方物が生成される。
【0056】
図1は、市販の2種の起泡組成物および2種の液体クレンジング組成物との比較における、2種の処方物(Estesol Foam PureおよびEstesol Foam)の平均清浄化効力を示す。Estesol Foamは、両方とも処方物A3をベースとしている。Estesol Foamは、0.2重量%のフレグランスおよび0.001重量%の染料が添加され、添加される水の量は低減されている。
【0057】
Stephalen(商標) Fresh Foamは、Peter Greven Physioderm GmbH、Euskirchen、ドイツから入手可能であり、以下を含む
水、
グリセリン、
ラウレス硫酸ナトリウム、
ヤシ油脂肪酸PEG-7グリセリル、
コカミドプロピルベタイン、
クエン酸ナトリウム、
クエン酸、
安息香酸ナトリウム、
ソルビン酸カリウム、
香料、および
C.I.42051
【0058】
Refresh(商標) Azure Foamは、Deb Limited、英国から入手可能である。これは、以下を含有する。
アクア(Aqua)
ラウレス硫酸ナトリウム
プロピレングリコール
グリセリン
ヤシ油脂肪酸PEG-7グリセリル
コカミドプロピルベタイン、
パルファム
クエン酸
2-ブロモ-2-ニトロプロパン-1,3-ジオール
メチルクロロイソチアゾリノン
メチルイソチアゾリノン
硝酸Mg
塩化Mg
C.I.42090
【0059】
Gojo(商標)Eco Soy(商標)は、Gojoから入手可能な液体手用クレンザーである。これは、アルコールベースの手用クレンザーであり、以下を含む。

エトキシ化された分岐C11~14、高C13アルコール
脂肪酸、大豆Meエステル
ポリオキシエチレントリデシルエーテル
エタノール
プロピレングリコール
プロパン2-オール
【0060】
Estesol Mild Washは、Deb Limited、英国から入手可能であり、以下を含む。
アクア(Aqua)
ラウレス硫酸ナトリウム
塩化ナトリウム
スルホコハク酸ラウレス2Na
ラウレス-2
硫酸化ヒマシ油
ジステアリン酸グリコール
ステアレス-4
ポリクオタニウム-7
クエン酸
PEG-30グリセリルココエート
安息香酸ナトリウム
【0061】
図は、従来の泡生成物が、従来の液体の非起泡手用洗浄剤よりも低い清浄化効力を有することを示している。本発明の起泡組成物は、従来の起泡組成物を超える、および液体清浄化組成物を超える、またはそれと同等の清浄化効率を有する泡を生成する。

図1