(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-11
(45)【発行日】2022-05-19
(54)【発明の名称】ロボット外科用器具
(51)【国際特許分類】
A61B 34/30 20160101AFI20220512BHJP
【FI】
A61B34/30
(21)【出願番号】P 2019567249
(86)(22)【出願日】2018-06-06
(86)【国際出願番号】 GB2018051545
(87)【国際公開番号】W WO2018224828
(87)【国際公開日】2018-12-13
【審査請求日】2021-03-29
(32)【優先日】2017-06-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】516263638
【氏名又は名称】シーエムアール サージカル リミテッド
【氏名又は名称原語表記】CMR SURGICAL LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】110001966
【氏名又は名称】特許業務法人笠井中根国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100147717
【氏名又は名称】中根 美枝
(74)【代理人】
【識別番号】100103252
【氏名又は名称】笠井 美孝
(72)【発明者】
【氏名】マーシャル,キース
【審査官】槻木澤 昌司
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0158565(US,A1)
【文献】国際公開第2016/090459(WO,A1)
【文献】特開2015-107340(JP,A)
【文献】特開2015-037549(JP,A)
【文献】特開昭61-100335(JP,A)
【文献】特開昭58-082688(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0167945(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 34/30-34/37
B25J 17/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャフトと、
エンドエフェクタを関節運動させるための前記シャフトの遠位端における関節部であって、駆動エレメントのペアによって駆動可能である関節部と、
前記シャフトの近位端における器具インターフェースであって、
シャーシと、
前記駆動エレメントのペアを駆動するためにガイドバーに沿って摺動可能な器具インターフェースエレメントであって、該ガイドバーに対する該器具インターフェースエレメントの変位が該駆動エレメントのペアに伝達されるように、該駆動エレメントのペアが該器具インターフェースエレメントに対して固定されている器具インターフェースエレメントと、を含み、
前記シャーシが、前記ガイドバーの長さの少なくとも一部に沿って該ガイドバーと整合するように構成された支持エレメントを備えており、
前記ガイドバーを前記支持エレメントに対して保持し、それにより該ガイドバーを前記シャーシに固定するための固定エレメントをさらに含んでいる器具インターフェースと、
を含むロボット外科用器具。
【請求項2】
前記支持エレメントが、前記ガイドバーの長さの少なくとも一部に沿って該ガイドバーと整合する湾曲面を含
んでおり、該支持エレメントが、該湾曲面の各面法線が該ガイドバーの長手方向の軸を横断するように配置される請求項1に記載のロボット外科用器具。
【請求項3】
前記支持エレメントが、コーナーを規定するコーナー装備であり、前記固定エレメントが、前記ガイドバーを該コーナーに保持して、該ガイドバーを前記シャーシに固定する
と共に、該コーナー装備が、該コーナーを規定する2つの表面を含む請求項1に記載のロボット外科用器具。
【請求項4】
前記2つの表面が平面である請求項
3に記載のロボット外科用器具。
【請求項5】
前記2つの表面が互いに横断している請求項
3又は
4に記載のロボット外科用器具。
【請求項6】
前記2つの表面間の角度が180度未満
、90度以上180度未満、および90度以下のうちのいずれかである請求項
3又は
4に記載のロボット外科用器具。
【請求項7】
前記2つの表面が出会って、前記シャフトの長手方向の軸に平行な結合部を規定する請求項
3~
6の何れか1項に記載のロボット外科用器具。
【請求項8】
前記固定エレメントがシャフト部と円錐形ヘッドとを含んでおり、該シャフト部が前記シャーシに挿入されて前記ガイドバーを該シャーシに固定する請求項1~
7の何れか1項に記載のロボット外科用器具。
【請求項9】
前記シャフト部が、前記コーナー装備の前記2つの表面のうちの1つに平行に前記シャーシに挿入される
と共に、前記円錐形ヘッドが該コーナー装備の該2つの表面に対して前記ガイドバーを固定するように、該シャフト部が該シャーシに挿入される請求項
3に従属する場合の請求項
8に記載のロボット外科用器具。
【請求項10】
前記シャフト部がネジ山付きシャフト部である請求項
8又は9に記載のロボット外科用器具。
【請求項11】
前記固定エレメントがシャフトおよびヘッドを含んでおり、該シャフトの長手方向の軸が前記コーナー装備の前記2つの表面に対して非平行になるように、該シャフトが該2つの表面に対して角度をなして該コーナー装備に挿入される
と共に、該シャフトが、該コーナー装備の該2つの表面に対して斜めに該コーナー装備に挿入される請求項
3~
7の何れか1項に記載のロボット外科用器具。
【請求項12】
前記固定エレメントが、前記ガイドバーと係合する形状の第1の表面を有すると共に前記シャーシに固定されることにより該ガイドバーを該シャーシに固定する保持エレメントを含んでおり、該保持エレメントが、前記コーナー装備の前記2つの表面と整合するように角度を付けられた第2および第3の表面を含むブロックである請求項
3~7の何れか1項に記載のロボット外科用器具。
【請求項13】
前記ガイドバーがボアを含んでおり、前記固定エレメントが、該ガイドバーを前記シャーシに固定するために、該ボアを通って前記支持エレメントに挿入されるネジまたはボルトである請求項1~
7の何れか1項に記載のロボット外科用器具。
【請求項14】
前記器具インターフェースエレメントが、前記ガイドバーに沿って直線的に摺動可能である
と共に、該器具インターフェースエレメントが、前記シャフトの長手方向の軸に平行な該ガイドバーの長手方向の軸に沿って直線的に摺動可能である請求項1~
13の何れか1項に記載のロボット外科用器具。
【請求項15】
前記器具インターフェースが、前記ガイドバーを前記シャーシに固定するための第2の固定エレメントをさらに
含んでおり、前記固定エレメントおよび該第2の固定エレメントが、該ガイドバーの両端に位置していると共に、該シャーシが第2の支持エレメントを含んでおり、該第2の固定エレメントが該ガイドバーを該第2の支持エレメントに対して保持して、該ガイドバーを該シャーシに固定する請求項1~
14の何れか1項に記載のロボット外科用器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボット外科用器具インターフェースの可動インターフェースエレメントを支持するレールを固定することに関する。
【背景技術】
【0002】
手術を支援して行うためにロボットを用いることが知られている。
図1は、ベース108と、アーム102と、外科用器具105とからなる代表的な外科用ロボット100を示している。ベース108は外科用ロボット100を支持して、それ自体は、例えば、手術室の床や手術室の天井あるいはトロリーに堅固に取り付けられている。アーム102は、ベース108と外科用器具105との間に延在している。アーム102は、その長さに沿って複数の可撓性ジョイント103によって関節接続されており、かかるジョイント103は、患者に対して所望の位置に外科用器具105を配置するために用いられている。外科用器具105は、ロボットアームの遠位端104に取り付けられている。外科用器具105は、手術部位にアクセスするために、ポート107で患者101の身体に刺さっている。その遠位端104において、外科用器具105は、医療処置に携わるエンドエフェクタ106を備えている。
【0003】
図2は、ロボット腹腔鏡手術を行うための代表的な外科用器具200を示している。外科用器具200は、外科用器具200がロボットアームに接続するためのベース201を備えている。シャフト202は、ベース201と関節部203の間に延在している。関節部203は、エンドエフェクタ204で終端している。
図2では、一対の鋸歯状の顎部がエンドエフェクタ204として例示されている。関節部203は、エンドエフェクタ204がシャフト202に対して動くことを可能にしている。関節部203によってエンドエフェクタ204の動きに少なくとも2つの自由度が与えられていることが望ましい。
【0004】
図3は、ピッチジョイント301および2つのヨージョイント302によってエンドエフェクタ204がシャフト202に対して動くことができる公知の外科用器具300の一例を示している。ピッチジョイント301は、エンドエフェクタ204がピッチ軸303周りに回転することを可能にする。ヨージョイント302により、エンドエフェクタ204の各顎部がヨー軸304周りに回転することが可能になる。これらのジョイントはケーブル306,307,308によって駆動される。プーリー305は、ケーブル307および308をピッチジョイント301を越えてヨージョイント302に導くために用いられる。プーリー305は、関節部203の中心軸からオフセットされている。
【0005】
代表的な腹腔鏡手術では外科医は多くの外科用器具を利用し、それゆえ外科医は何度も外科用器具を交換する。したがって、1つの外科用器具がロボットアームから取り外されて異なる外科用器具が取り付けられる時間を最小にし、かつ容易性を最大化することが望ましい。加えて、ロボットアームに取り付けられた後、外科用器具を使用可能な状態にセットアップするのに要する時間を最小化することが望ましい。
【0006】
したがって、外科用器具300は、その近位端において、器具インターフェースによってロボットアームの遠位端に取り付けられていてもよい。器具インターフェースは、ロボットアームのインターフェースに接続または係合していてもよい。外科用器具のジョイント(例えば、ジョイント301,302)を駆動するための機械的駆動は、ロボットアームインターフェースおよび器具インターフェースを介してロボットアームから外科用器具に伝達されていてもよい。
【発明の概要】
【0007】
本開示の一態様によれば、シャフトと、エンドエフェクタを関節運動させるための前記シャフトの遠位端における関節部であって、駆動エレメントのペアによって駆動可能である関節部と、前記シャフトの近位端における器具インターフェースであって、シャーシと、前記駆動エレメントのペアを駆動するためにガイドバーに沿って摺動可能な器具インターフェースエレメントであって、該ガイドバーに対する該器具インターフェースエレメントの変位が該駆動エレメントのペアに伝達されるように、該駆動エレメントのペアが該器具インターフェースエレメントに対して固定されている器具インターフェースエレメントと、を含み、前記シャーシが、前記ガイドバーの長さの少なくとも一部に沿って該ガイドバーと整合するように構成された支持エレメントを備えており、前記ガイドバーを前記支持エレメントに対して保持し、それにより該ガイドバーを前記シャーシに固定するための固定エレメントをさらに含んでいる器具インターフェースと、を含むロボット外科用器具が提供される。
【0008】
前記支持エレメントが、前記ガイドバーの長さの少なくとも一部に沿って該ガイドバーと整合する湾曲面を含んでもよい。
【0009】
前記支持エレメントが、前記湾曲面の各面法線が前記ガイドバーの長手方向の軸を横断するように配置されてもよい。
【0010】
前記支持エレメントが、コーナーを規定するコーナー装備であり、前記固定エレメントが、前記ガイドバーを該コーナーに保持して、該ガイドバーを前記シャーシに固定してもよい。
【0011】
前記コーナー装備が、前記コーナーを規定する2つの表面を含んでもよい。
【0012】
前記2つの表面が平面であってもよい。
【0013】
前記2つの表面が互いに横断していてもよい。
【0014】
前記2つの表面間の角度が180度未満であってもよい。
【0015】
前記2つの表面間の角度が90度以上180度未満であってもよい。
【0016】
前記2つの表面間の角度が90度以下であってもよい。
【0017】
前記2つの表面が出会って、前記シャフトの長手方向の軸に平行な結合部を規定してもよい。
【0018】
前記固定エレメントがシャフト部と円錐形ヘッドとを含んでおり、該シャフト部が前記シャーシに挿入されて前記ガイドバーを該シャーシに固定してもよい。
【0019】
前記シャフト部が、前記コーナー装備の前記2つの表面のうちの1つに平行に前記シャーシに挿入されてもよい。
【0020】
前記円錐形ヘッドが前記コーナー装備の前記2つの表面に対して前記ガイドバーを固定するように、前記シャフト部が前記シャーシに挿入されてもよい。
【0021】
前記シャフト部がネジ山付きシャフト部であってもよい。
【0022】
前記固定エレメントが皿ネジまたはボルトであってもよい。
【0023】
前記固定エレメントがシャフトおよびヘッドを含んでおり、該シャフトの長手方向の軸が前記コーナー装備の前記2つの表面に対して非平行になるように、該シャフトが該2つの表面に対して角度をなして該コーナー装備に挿入されてもよい。
【0024】
前記シャフトが、前記コーナー装備の前記2つの表面に対して斜めに該コーナー装備に挿入されてもよい。
【0025】
前記固定エレメントが鍋頭ボルトであってもよい。
【0026】
前記固定エレメントが、前記ガイドバーと係合する形状の第1の表面を有すると共に前記シャーシに固定されることにより該ガイドバーを該シャーシに固定する保持エレメントを含んでもよい。
【0027】
前記保持エレメントが、前記コーナー装備の前記2つの表面と整合するように角度を付けられた第2および第3の表面を含むブロックであってもよい。
【0028】
前記固定エレメントが、1つ以上のボルトまたはネジによって前記シャーシに固定されてもよい。
【0029】
前記ガイドバーがボアを含んでおり、前記固定エレメントが、該ガイドバーを前記シャーシに固定するために、該ボアを通って前記支持エレメントに挿入されるネジまたはボルトであってもよい。
【0030】
前記器具インターフェースエレメントが、前記ガイドバーに沿って直線的に摺動可能であってもよい。
【0031】
前記器具インターフェースエレメントが、前記シャフトの長手方向の軸に平行な前記ガイドバーの長手方向の軸に沿って直線的に摺動可能であってもよい。
【0032】
前記器具インターフェースが、前記ガイドバーを前記シャーシに固定するための第2の固定エレメントをさらに含んでもよい。
【0033】
前記固定エレメントおよび前記第2の固定エレメントが、前記ガイドバーの両端に位置してもよい。
【0034】
前記シャーシが第2の支持エレメントを含んでおり、前記第2の固定エレメントが前記ガイドバーを該第2の支持エレメントに対して保持して、該ガイドバーを該シャーシに固定してもよい。
【0035】
本開示を、添付図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】外科手術を実行する外科用ロボットを示す図。
【
図3】外科用器具の関節型エンドエフェクタの公知の構成を示す図。
【
図6】様々な非直線構成の
図5の外科用器具の遠位端のプーリー配置を示す図。
【
図7】器具シャフト内の駆動エレメントの配置を示す図。
【
図8】器具インターフェースを含む外科用器具の2つの図を示す図。
【
図10】
図9a~
図9cに示す支持エレメントと固定エレメントのより詳細な図。
【
図14】固定エレメントを使用してガイドバーを器具インターフェースのシャーシに固定する別の例を示す図。
【
図16a】ロボットアームの駆動アセンブリインターフェースを示す図。
【
図16b】ロボットアームの駆動アセンブリインターフェースを示す図。
【
図16c】ロボットアームの駆動アセンブリインターフェースを示す図。
【
図17】駆動アセンブリインターフェースに係合された器具インターフェースを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本開示は、ロボット外科用器具インターフェースの可動インターフェースエレメントを支持するレールを固定することに関する。
【0038】
外科用ロボットアームは、その遠位端で外科用器具に取り付けることができる。外科用器具は、例えば、手術中の器具の切り替えを容易にするため、典型的には、ロボットアームから取り外し可能である。外科用器具は、器具の近位端に位置する器具インターフェースを介してロボットアームの遠位端に取り付けられてもよい。器具インターフェースは、ロボットアームの遠位端に位置するインターフェースに係合することができる。外科用器具は、器具のシャフトに対して器具のエンドエフェクタを関節運動させるために、それらの遠位端に関節部を備えてもよい。関節部は、機械的に駆動される1つ以上のジョイントを備えてもよい。ジョイントの駆動は、例えば器具の重量を節約するために、ロボットアーム内の駆動アセンブリによって提供されてもよい。このような配置では、ロボットアームから器具の関節部のジョイントに駆動力を伝達する必要がある。これを行う1つのアプローチは、ロボットアームと器具インターフェースを介して駆動を転送することである。器具インターフェースは、可動インターフェースエレメントを含むことができる(すなわち、器具インターフェースに対して可動である)。各インターフェースエレメントは、駆動エレメントのペア(例えば、ケーブル)によって器具の関節部のジョイントに連結できる。器具インターフェースエレメントの変位は、ジョイントの周りの回転を駆動する駆動エレメントの動きを引き起こします。器具インターフェースエレメントは、駆動アセンブリによって駆動されるロボットアームインターフェースのインターフェースエレメントと当該エレメントを機械的に係合させることにより変位させてもよい。
【0039】
器具インターフェースエレメントは、駆動アセンブリによって駆動されるときにインターフェースエレメントの変位を案内するレールまたはバーに沿って摺動可能である。すなわち、器具インターフェースエレメントは、レールまたはバーに摺動可能に取り付けることができる。レールが所定の位置にしっかりと固定されていない場合、外科用器具の操作が損なわれる可能性がある。本開示では、器具インターフェースに対してレールを固定するためのアプローチを説明する。
【0040】
図4は、ベース401から延びるアーム400を有する外科用ロボットを示す。アーム400は、多数の堅くて曲がらない肢部402を備えている。肢部402は、回転ジョイント403によって連結されている。最近位肢402aは、ジョイント403aによってベース401に連結されている。最近位肢402aと他の肢部402は、さらなる回転ジョイント403によって直列に連結されている。リスト404は、4つの個別の回転ジョイント403から構成されている。リスト404は、1つの肢部402bをアームの最遠位肢402cに結合する。最遠位肢402cは、外科用器具406のためのアタッチメント405を担持している。アーム400の各ジョイント403は、それぞれのジョイント403で回転運動を引き起こすように操作可能な1つまたは複数のモータ407と、そのジョイント403における現在の構成および/または負荷に関する情報を提供する1つまたは複数の位置および/またはトルクセンサ408とを有している。モータ407は、重量分布を改善するために、それらが駆動するジョイント403の近位に配置されていてもよい。明確化のために、
図4にはモータおよびセンサの一部のみを図に示している。アーム400は、出願人の同時係属中の特許出願PCT/GB2014/053523に記載されているようにされていてもよい。
【0041】
アーム400は、外科用器具406とインターフェースで接続するためにアタッチメント405で終端している。外科用器具406は、
図2で説明した形態であってもよい。アタッチメント405は、外科用器具406の関節運動を行うための駆動アセンブリと、外科用器具406の器具インターフェースを係合するための駆動アセンブリインターフェースとを備えている。駆動アセンブリインターフェースの可動インターフェースエレメントは、ロボットアームから器具に駆動を伝達するために、器具インターフェースの対応する可動インターフェースエレメントに機械的に係合している。代表的な手術の間に、外科用器具は別の外科用器具に数回交換されてもよい。このように、外科用器具は、手術中にロボットアームに着脱可能とされている。駆動アセンブリインターフェースおよび器具インターフェースの機能が、それらがユーザによって位置合わせされるべき精度を低減するために、互いに係合したときにそれらの位置合わせを手助けしてもよい。
【0042】
外科用器具406は、手術を行うエンドエフェクタを備えている。エンドエフェクタは、任意の適切な形態をとることができる。例えば、エンドエフェクタは、滑らかな顎部、鋸歯状の顎部、グリッパ、一対の鋏、縫合用の針、カメラ、レーザ、ナイフ、ステープラ、焼灼器、吸引器であってもよい。
図2で説明したように、外科用器具は、器具シャフトとエンドエフェクタ間に関節部を備えている。関節部は、エンドエフェクタが外科用器具のシャフトに対して動くことを可能にする1つ以上のジョイントを含んでいてもよい。関節部内の1つ以上のジョイントは、ケーブルなどの駆動エレメントによって駆動される。これらの駆動エレメントは、器具シャフトの他端で器具インターフェースの器具インターフェースエレメントに固定されている。それゆえ、ロボットアームは、以下のようにしてエンドエフェクタに駆動を伝達する。すなわち、駆動アセンブリインターフェースエレメントは、器具インターフェースエレメントを動かし、器具インターフェースエレメントは、駆動エレメントを動かし、駆動エレメントは、関節部のジョイントを動かし、関節部のジョイントは、エンドエフェクタを動かす。
【0043】
モータ、トルクセンサ、エンコーダに対するコントローラは、ロボットアームに配備されている。コントローラは、通信バスを介して制御ユニット409に接続されている。制御ユニット409は、プロセッサ410とメモリ411とを備えている。メモリ411は、プロセッサ410によって実行可能なソフトウェアを非一時的な方法で記憶しており、モータ407の動作を制御して、アーム400を本明細書に記載の方法で動作させる。特に、ソフトウェアはプロセッサ410を制御して、トルクセンサ408からの入力および外科医コマンドインターフェース412からの(例えば、分散コントローラを介しての)入力に応じてモータを駆動させることができる。制御ユニット409は、ソフトウェアの実行により生成された出力に応じて駆動するモータ407に接続されている。制御ユニット409は、センサから検知された入力を受け取るためにトルクセンサ408に接続され、そしてセンサからの入力を受け取るために外科医コマンドインターフェース412に接続されている。それぞれの接続は、例えば、それぞれ電気ケーブルまたは光ケーブルであってもよいし、無線接続であってもよい。外科医コマンドインターフェース412は、ユーザが所望の方法でエンドエフェクタの動きを要求できる1つまたは複数の入力デバイスを備えている。入力デバイスは、例えば、制御ハンドルまたはジョイスティックなどの手動操作可能な機械的入力デバイスであってもよいし、光学ジェスチャセンサなどの非接触入力デバイスであってもよい。メモリ411に格納されたソフトウェアは、これらの入力に応じて、所定の制御手順に従って、アームおよび外科用器具のジョイントを動かすように構成されている。制御手順は、コマンド入力に応じてアームおよび外科用器具の動きを調整する安全機能を含んでいてもよい。したがって、要約すると、外科医コマンドインターフェース412において外科医は、所望の外科的処置を実行するように外科用器具406を制御して動かすことができる。制御ユニット409および/または外科医コマンドインターフェース412は、アーム400から離れていてもよい。
【0044】
図5aと
図5bは、例示的な外科用器具の遠位端における対向する図を示す。
図5aと
図5bでは、エンドエフェクタ501は、一対のエンドエフェクタエレメント502,503を備えており、一対のエンドエフェクタエレメント502,503は、この例では、一対の対向する鋸歯状の顎として示されている。これは単に説明のためのものであることが理解されるであろう。エンドエフェクタは、上述のような任意の適切な形態をとることができる。エンドエフェクタ501は、関節部505によって器具シャフト504に接続されている。関節部505は、エンドエフェクタ501がシャフト504に対して移動することを可能にするジョイントを備えている。この例では、関節部505は、3つのジョイントを備えている。第1のジョイント506は、エンドエフェクタ501が第1の軸510周りに回転することを可能にしている。第1の軸510は、シャフト504の長手方向の軸511を横断している。第1のジョイント506は、シャフト504が第1のジョイント506内の遠位端で終端するように配置されている。第2のジョイント507は、第1のエンドエフェクタエレメント502が第2の軸512周りに回転することを可能にしている。第2の軸512は、第1の軸510を横断している。第3のジョイント513は、第2のエンドエフェクタエレメント503が第2の軸512周りに回転することを可能にしている。
【0045】
第1のエンドエフェクタエレメント502および第2のエンドエフェクタエレメント503は、第2および第3のジョイントによって第2の軸512周りに独立して回転可能であってもよい。エンドエフェクタエレメントは、第2および第3のジョイントによって、同じ方向または異なる方向に回転されてもよい。第1のエンドエフェクタエレメント502が第2の軸周りに回転されてもよく、一方第2のエンドエフェクタエレメント503は第2の軸周りに回転されない。第2のエンドエフェクタエレメント503が第2の軸周りに回転されてもよく、一方第1のエンドエフェクタエレメント502は第2の軸周りに回転されない。
【0046】
図5aと
図5bは、エンドエフェクタがシャフト504と整列している外科用器具の直線的な構成を示す。この向きでは、シャフトの長手方向の軸511は、関節部の長手方向の軸とエンドエフェクタの長手方向の軸に一致している。第1、第2および第3のジョイントの関節運動は、エンドエフェクタがシャフトに対して様々な姿勢を取ることを可能にしている。
【0047】
関節部505は、支持体509を備えている。一端において、支持体509は、第1のジョイント506によってシャフト504に連結されている。他端において、支持体509は、第2のジョイント507および第3のジョイント513によってエンドエフェクタ501に連結されている。したがって、第1のジョイント506は、支持体509が第1の軸510を中心としてシャフト504に対して回転することを可能にしており、第2のジョイント507および第3のジョイント513は、エンドエフェクタエレメント502,503が第2の軸512を中心に支持体509に対して回転することを可能にしている。
【0048】
図において、第2のジョイント507および第3のジョイント513は両方とも同じ軸512周りの回転を可能にしている。しかし、第2のジョイント507および第3のジョイント513は、別の軸の周りでエンドエフェクタエレメントの回転を可能にしてもよい。一方のエンドエフェクタエレメントの回転軸が、他方のエンドエフェクタエレメントの回転軸からシャフト504の長手方向にオフセットされていてもよい。一方のエンドエフェクタエレメントの回転軸が、他方のエンドエフェクタエレメントの回転軸からシャフト504の長手方向を横断する方向にオフセットされていてもよい。一方のエンドエフェクタエレメントの回転軸が、他方のエンドエフェクタエレメントの回転軸と平行でなくてもよい。エンドエフェクタエレメント502,503の回転軸は、シャフトの長手方向にオフセットされてもよいし、および/またはシャフトの長手方向に垂直な方向にオフセットされてもよいし、および/または互いに対して傾斜していてもよい。このことは、エンドエフェクタエレメントが非対称である結果として望ましい場合がある。例えば、電気外科用エレメントにおいて、第1のエンドエフェクタエレメントに電力を供給し、第2のエンドエフェクタエレメントに電力を供給せず、第1のエンドエフェクタエレメントから絶縁されていてもよい。これを支援するために、2つのエンドエフェクタエレメントの回転軸は、シャフトの長手方向に垂直な方向にオフセットされていてもよい。別の例では、第1のエンドエフェクタエレメントがブレードであり、第2のエンドエフェクタエレメントが平坦な切断面であってもよい。ブレードの使用を支援するために、2つのエンドエフェクタエレメントの回転軸は互いに角度をつけられていてもよい。
【0049】
関節部505のジョイントは、駆動エレメントによって駆動される。駆動エレメントは、シャフト504を介して関節部内のジョイントから器具インターフェースまで延びる細長いエレメントである。各駆動エレメントは、少なくとも関節部および器具インターフェースの内部コンポーネントと係合する領域において、その主要範囲に対して横方向に屈曲可能であってもよい。換言すれば、各駆動エレメントは、指定された領域においてその長手方向の軸に対して横方向に撓むことができる。この可撓性により、駆動エレメントは、ジョイントおよびプーリーのような器具の内部構造に巻き付けることができる。駆動エレメントは、その長手方向の軸に対して横方向に完全な可撓性を有していてもよい。駆動エレメントは、それらの主要な範囲に沿って可撓性を有していなくてもよい。駆動エレメントは、それらの長さに沿って印加される圧縮および張力に耐えることができてもよい。換言すれば、駆動エレメントは、それらの長手方向の軸の方向に作用する圧縮および張力の力に耐えることができてもよい。駆動エレメントは、高い弾性率を有していてもよい。駆動エレメントは、手術中に張りつめた状態を維持できてもよい。それらは、弛むことを許されなくてもよい。したがって、駆動エレメントは、器具インターフェースからジョイントに駆動を伝達することができる。駆動エレメントは、例えばケーブルであってもよい。
【0050】
各ジョイントは、駆動エレメントのペアによって駆動されていてもよい。
図5aおよび
図5bを参照すると、第1のジョイント506は、第1の駆動エレメントのペアA1,A2によって駆動されている。第2のジョイント507は、第2の駆動エレメントのペアB1,B2によって駆動されている。第3のジョイント513は、第3の駆動エレメントのペアC1,C2によって駆動されている。したがって、器具501の各ジョイントは、それ自身の駆動エレメントのペアによって駆動されている。言い換えると、各ジョイントは、専用の駆動エレメントのペアによって駆動されている。ジョイントは独立して駆動されていてもよい。駆動エレメントのペアは、
図5aおよび
図5bにおける第3の駆動エレメントのペアについて示されるように、単一の部品として構成されていてもよい。この場合、この単一の部品は、一点でジョイントに固定されている。例えば、第3の駆動エレメントのペアC1,C2は、第3のジョイント513に固定されたボール装備520を備えている。これにより、駆動エレメントのペアが駆動されると、駆動がその軸の周りのジョイントの運動に確実に伝達される。あるいは、駆動エレメントのペアは2つの部品として構成されていてもよい。この場合、各部品がそれぞれジョイントに固定される。
【0051】
図6は、5つの異なる構成における外科用器具の遠位端を示す。構成(c)は先に述べた直線構成であり、エンドエフェクタが器具シャフトと整列されている。(a),(b),(d)および(e)の構成において、第1のジョイント周りの回転は、構成(c)に対して生じる。(a),(b),(d)および(e)の構成では、構成(c)に対して、第2または第3のジョイント周りの回転は生じない。構成(c)から開始すると、駆動エレメントA2(図示せず)が引っ張られて、第1の軸510周りの回転を引き起こし、構成(b)の配置をもたらす。駆動エレメントA2がさらに引っ張られて、第1の軸510周りの回転を引き起こし、構成(a)の配置をもたらす。構成(c)から開始すると、駆動エレメントA1(図示せず)が引っ張られて、構成(a)および(b)とは反対方向に第1の軸510周りの回転を引き起こし、構成(d)の配置をもたらす。駆動エレメントA1はさらに引っ張られて、第1の軸510周りのさらなる回転を引き起こし、構成(e)の配置をもたらす。
【0052】
エンドエフェクタ501の第1の軸510周りの回転は、第1のジョイント506周りの第1の駆動エレメントのペアA1,A2の最大移動によって制限される。構成(a)は、第1の軸510を中心として一方向に最大回転した際のエンドエフェクタ501を示し、構成(e)は、第1の軸510を中心として反対方向に最大回転した際のエンドエフェクタ501を示す。両構成におけるシャフトの長手方向の軸511に対する最大回転角は、角度φである。
【0053】
第1,第2および第3の駆動エレメントのペアA1,A2,B1,B2,C1,C2は、関節部に連結されたシャフト504の遠位端から器具インターフェースの駆動機構に連結されたシャフトの近位端まで器具シャフトを通って延びている。
【0054】
図8aおよび
図8bは、説明した関節部から例示的な器具インターフェース801まで延びる駆動エレメントの第1、第2および第3のペアの2つの図を示している。例示的な実施形態において、駆動エレメントの第2および第3のペアは、シャフトの遠位端にある配置とは異なる配置でシャフトの近位端から現れるようにシャフトで重なり合う。
図7aおよび7bは、例示的な実施形態による駆動エレメントの位置を示すシャフトの断面を示している。
【0055】
図7aは、駆動エレメントの位置を示す、シャフトの遠位端におけるシャフトの断面図を示す。駆動エレメントA1,A2は、第1のジョイント506を離れた後、シャフトの両側にある。駆動エレメントC1,B2は、互いに隣接する駆動エレメントB1,C2に対して、シャフトの反対側で互いに隣接している。駆動エレメントC1,B2は、駆動エレメントA1,A2をつなぐ軸702を横断する軸701周りで駆動エレメントB1,C2からオフセットされている。
【0056】
図7bは、駆動エレメントの位置を示す、シャフトの近位端におけるシャフトの断面図を示す。換言すれば、
図7bは、駆動エレメントがシャフトを出て器具インターフェースに入る直前の位置を示す。第1の駆動エレメントのペアA1,A2は、
図7aと同様の配置でシャフトの反対側にある。第1の駆動エレメントのペアA1,A2は、それらがシャフトを通る範囲に亘って互いにわずかに動いたために、より接近していてもよい。
図7bでは、駆動エレメントB1は、
図7aの位置に対してシャフトの反対側に配置される。
図7bでは、駆動エレメントC1は、
図7aの位置に対してシャフトの反対側に配置される。これを達成するために、駆動エレメントB1および駆動エレメントC1は、シャフトの長手方向の軸511に平行な軸に沿って延びていない。その代わりに、駆動エレメントB1および駆動エレメントC1は、シャフト内の範囲で互いに重なり合っている。この重なりは、
図7aのオフセット位置のために、駆動エレメントB1およびC1の衝突を起こさない。駆動エレメントB2は、シャフト内でわずかに移動しているが、駆動エレメントB1に隣接してシャフトの近位端に現れるように、
図7aと同じシャフトの側のままである。駆動エレメントC2はシャフト内でわずかに移動しているが、駆動エレメントC1に隣接してシャフトの近位端に現れるように、
図7aと同じシャフトの側のままである。
【0057】
駆動エレメントA1,A2,B1,B2,C1およびC2は、それらが器具インターフェースの部品と直接係合することを可能にする構成でシャフトの近位端に現れる。
【0058】
図8aおよび
図8bに戻ると、器具インターフェースは比較的平坦である。器具インターフェースは、主に
図8aで正面から見た中央平面に広がっている。器具シャフト504は、器具インターフェース801にしっかりと取り付けられている。器具シャフト504は、器具インターフェース801に対して回転も移動もしない。エンドエフェクタエレメント502、503がその周りを回転する第2の軸512は、この例では、器具インターフェースの中央平面に垂直である。これは、
図8aおよび
図8bに示す器具の直線構成の場合である。したがって、器具の直線構成では、エンドエフェクタの顎部は器具インターフェースの中央平面内で移動可能である。
【0059】
駆動エレメントは、その長さに沿って同じ形状およびサイズを有し、その長さに沿って同じ材料で構成された均一な部品であってもよい。あるいは、駆動エレメントは、異なる部分で構成されてもよい。一例では、器具インターフェースの部品(プーリーおよびインターフェースエレメントなど)と係合する駆動エレメントの部分は可撓性を有する。同様に、外科用器具の遠位端の部品(関節部のプーリーやジョイントなど)に係合する駆動エレメントの部分は可撓性を有する。これらの2つの可撓性部分の間には、
図8aおよび
図8bに示されているスポーク802がある。したがって、駆動エレメントの各ペアは、2つのスポークと2つの可撓性部分を備えている。駆動エレメントの各ペアはループを形成する。ループは、スポークと可撓性部分が交互になっている。2本のスポークは、大部分または全体が器具のシャフトに囲まれている。遠位の可撓性部分は、一端がスポークの一方の遠位端で、他端がもう一方のスポークの遠位端で終わっている。遠位の可撓性部分は、関節部の部品と係合する。近位の可撓性部分は、一端がスポークの一方の近位端で、他端がもう一方のスポークの近位端で終わっている。近位の可撓性部分は、器具インターフェースの部品に係合する。スポークは、可撓性部分よりも硬い。適切には、スポークは剛性である。スポークは中空であってもよい。通常、スポークは可撓性部分よりも大きな直径を有する。したがって、可撓性部分はケーブルであり、スポークは中空管であってもよい。可撓性部分は、スポークに出会うところで終端してもよい。あるいは、スポークは、可撓性部分の素材を包み込んでもよい。例えば、スポークは、可撓性ケーブルを覆う剛性の鞘であってもよい。
【0060】
スポークは、可撓性部分よりも硬い。したがって、スポークと可撓性部分から駆動エレメントのペアを形成することにより、駆動エレメントが伸びる可能性が減少する。このため、スポークである各駆動エレメントの割合は、スポークが関節部または器具インターフェースの部品と接触しないこと、および隣接する駆動エレメントが衝突しないことを保証しながら、最大化されることが好ましい。スポークは、可撓性部分よりも強く、したがって、可撓性部分に比して、あらゆる方向に加えられる圧縮力および張力に対してより弾力性がある。したがって、スポークを組み込むことにより、駆動エレメント全体がより硬くなり、伸びにくくなる。したがって、駆動エレメントのリテンションまたは交換が必要になるまでの駆動エレメントの寿命が延長される。
【0061】
ロボットアームからの機械的駆動は、器具インターフェース801と駆動アセンブリインターフェースとを介して、器具の関節部のジョイントを駆動するために、外科用器具に伝達される。器具の関節部のジョイントを駆動するために、駆動アセンブリインターフェースのインターフェースエレメントが動かされ、これにより、器具インターフェースの機械的に係合された器具インターフェースエレメントを動かす。器具インターフェースエレメントの動きは、関節部のジョイントを駆動する駆動エレメントを動かす。機械的駆動が伝達されるメカニズムは、
図9a,
図9bおよび
図9cを参照して以下により詳細に説明される。
【0062】
図9a,
図9b,および
図9cは、器具インターフェース801の3つのより詳細な図を示している。
【0063】
器具インターフェース801は、器具の関節部のジョイントを駆動するための駆動機構(全体が901で示される)を支持するシャーシ900を備えている。駆動機構は、以下でより詳細に説明するように、ロボットアームによって提供される駆動力をジョイントに伝達する駆動エレメントおよびプーリーの配置を含む。
【0064】
図9bおよび
図9cに示されるように、器具インターフェースは、3つの器具インターフェースエレメント905,906,907を備えている。器具インターフェースエレメントは、器具インターフェース駆動機構の一部を形成している。第1の器具インターフェースエレメント905は、第1の駆動エレメントのペアA1,A2に係合している。第2の器具インターフェースエレメント906は、第2の駆動エレメントのペアB1,B2に係合している。第3の器具インターフェースエレメント907は、第3の駆動エレメントのペアC1,C2に係合している。各駆動エレメントは、その関連する器具インターフェースエレメントに固定されている。言い換えると、各駆動エレメントは、その関連する器具インターフェースエレメントに固定されている。
【0065】
したがって、
図9a,
図9bおよび
図9cに示される実施例では、駆動エレメントの各ペアは、器具インターフェース801内の単一の器具インターフェースエレメントに係合している。各駆動エレメントは、器具インターフェース内の器具インターフェースエレメントに係合している。すなわち、各駆動エレメントは、それ自体の器具インターフェースエレメントに係合している。単一の器具インターフェースエレメントは、駆動エレメントのペアを駆動する。各駆動エレメントは、単一の器具インターフェースによって独立に駆動される。別の構成では、複数の器具インターフェースエレメントが単一の駆動エレメントを駆動する、あるいは単一の器具インターフェースエレメントが複数の駆動エレメントのペアを駆動する、または複数の器具インターフェースエレメントが複数の駆動エレメントを集合的に駆動する、複合駆動動作があってもよい。
【0066】
器具インターフェースエレメント905,906,907は、
図9bに示されるように、器具インターフェースの幅に亘って分散配置されている。
図9bに描かれた配置では、1つの器具インターフェースエレメント905は、器具インターフェースの内部部分950内にある。具体的には、駆動エレメントと係合する器具インターフェースエレメント905の部分は、器具インターフェースの内部部分950内にある。器具インターフェースエレメント905は、
図9bに示されるように、その全体が実質的に器具インターフェースの内部部分950内にあってもよい。器具インターフェースエレメント905は、その全体が完全に器具インターフェースの内部部分950内にあってもよい。器具インターフェースエレメント905は、この例では、シャフト504の長手方向の軸511と整列している。例示的な配置では、器具インターフェースの内部部分に位置する器具インターフェースエレメントは1つだけである。残りの器具インターフェースエレメント906,907は、器具インターフェースの外部部分内にある。これらの他の器具インターフェースエレメント906,907は、整列された器具インターフェースエレメント905の両側に配置されている。具体的には、他の器具インターフェースエレメント906,907は、シャフトの長手方向の軸511に垂直な方向で、整列された器具インターフェースエレメント905の両側に配置されている。器具インターフェースエレメント906および907は、シャフト504の長手方向の軸511と整列していない。
【0067】
器具インターフェースエレメント905は、駆動エレメントA1,A2の第1のペアと係合する。
図9aに見られるように、シャフトの近位端と器具インターフェースエレメント905との間で、駆動エレメントのペアA1,A2が内部部分950内に完全に位置する。シャフトの近位端と器具インターフェースエレメント905との間で、駆動エレメントのペアA1,A2は、シャフト511の長手方向の軸に完全に平行に位置する。示された配置では、シャフトの近位端と器具インターフェースエレメント
905との間において、器具インターフェース内に、その周りを移動するように駆動エレメントのペアA1,A2が拘束される介在プーリーまたは他の構造はない。この配置では、器具インターフェースエレメント905のみが、器具インターフェースの内部部分950内の自身の駆動エレメントのペアA1,A2と係合している。
【0068】
器具インターフェースエレメント906は、第2の駆動エレメントのペアB1,B2と係合する。器具インターフェースエレメント906は、器具インターフェースの外部部分で第2の駆動エレメントのペアB1,B2と係合する。
【0069】
器具インターフェースエレメント907は、第3の駆動エレメントのペアC1,C2と係合する。器具インターフェースエレメント907は、器具インターフェースの外部部分で第3の駆動エレメントのペアC1,C2と係合する。
【0070】
プーリー装置を使用して、駆動エレメントを上にシフトさせ、外部部分にある器具インターフェースエレメントと係合させる。駆動エレメントの各ペアは、それをシャフト504の近位端からそれぞれの器具インターフェースエレメントにシフトするために第1のプーリーのペアと係合し、さらに、それを器具インターフェースエレメントとの整列からシャフト504との整列にシフトして戻すために第2のプーリーのペアと係合する。
【0071】
示された配置において、第2の駆動エレメントのペアB1,B2は、シャフトの近位端からシャフトと整列した方向に現れる。駆動エレメントB1,B2は、
図7に関して説明した方向の変化の結果として、シャフト504の長手方向の軸511に厳密に平行に走らない。次に、第2の駆動エレメントのペアB1,B2は、プーリーのペア908,909の周りを移動するように拘束され、シャフト504から出現する場所からシフトされて第2の器具インターフェースエレメント906と係合する。第2の駆動エレメントのペアB1,B2は、第2の駆動エレメントのペアB1,B2がシャフトの近位端から出現する方向と平行でかつオフセットする方向に、プーリーのペア908,909から出現する。第2の駆動エレメントのペアB1,B2は、プーリーのペア910,911の周りを移動するように拘束され、第2の器具インターフェースエレメント906との整列からシャフト504との整列にシフトされる。
【0072】
示された配置において、第3の駆動エレメントのペアC1,C2は、シャフトの近位端からシャフトと整列した方向に現れる。駆動エレメントC1,C2は、
図7に関して説明した方向の変化の結果として、シャフト504の長手方向の軸511に厳密に平行に走らない。次に、第3の駆動エレメントのペアC1,C2は、プーリーのペア912,913の周りを移動するように拘束され、シャフト504から出現する場所からシフトされて第3の器具インターフェースエレメント907と係合する。第3の駆動エレメントのペアC1,C2は、第3の駆動エレメントのペアC1,C2がシャフトの近位端から出現する方向と平行でかつオフセットする方向に、プーリーのペア912,913から出現する。第3の駆動エレメントのペアC1,C2は、プーリーのペア914,915の周りを移動するように拘束され、第3の器具インターフェースエレメント907との整列からシャフト504との整列にシフトされる。
【0073】
したがって、要約すると、
図9a,
図9b,および
図9cに示されている配置では、駆動エレメントのペアA1,A2が第1の器具インターフェースエレメント905と係合する。駆動エレメントのペアA1,A2は第1の軸510周りの関節部の回転を駆動し、それゆえ第1の軸510周りのエンドエフェクタの回転を駆動する(
図5a参照)。駆動エレメントのペアB1,B2は第2の器具インターフェースエレメント906と係合する。駆動エレメントB1,B2は、第2のジョイント507の回転を駆動する。駆動エレメントのペアC1,C2は第3の器具インターフェースエレメント907と係合する。駆動エレメントC1,C2は、第3のジョイント513の回転を駆動する。したがって、器具関節部の各ジョイントは、駆動エレメントの各ペアによって駆動され、駆動エレメントの各ペアは、各器具インターフェースエレメントによって駆動される。
【0074】
各器具インターフェースエレメントは、器具インターフェース801内で変位可能であり、各駆動エレメントのペアを駆動する。各器具インターフェースエレメントは、対応する駆動エレメントのペアに固定されているため、器具インターフェースエレメントの変位は、駆動エレメントのペアの変位に伝達される。各器具インターフェースエレメントは、それが固定されている駆動エレメントのペアのラインと同じラインに沿って変位可能であってもよい。各器具インターフェースエレメントは、ロボットアームの対応する駆動アセンブリインターフェースエレメントと係合している。したがって、器具インターフェースエレメントの変位は、ロボットアームによって駆動される。このようにして、ロボットアームは、駆動エレメントのペア(したがって、器具の関節部のジョイント)を駆動する。
【0075】
各器具インターフェースエレメント905,906,907は、器具インターフェース801内で直線的に変位可能である。器具インターフェースエレメントは、シャフトの長手方向の軸511に平行な変位軸に沿って変位可能であってもよい。各器具インターフェースエレメントは、器具インターフェース内の器具インターフェースエレメントの動きを支持するか、または拘束するか、または案内するために、レールに取り付けられている。このため、レールはガイドバーと呼ばれる場合がある。レール/ガイドバーは、直線状であってもよい。
図9bおよび
図9cに最も明確に示されるように、第1の器具インターフェースエレメント905はレール928に取り付けられ、第2の器具インターフェースエレメント906はレール929に取り付けられ、第3の器具インターフェースエレメント907はレール930に取り付けられている。器具インターフェースエレメントはレールに摺動可能に取り付けられ、レールと器具インターフェースエレメントとの間の相対的な直線運動を可能にしている。すなわち、各器具インターフェースエレメント905,906,907は、各レール928,929,930に沿って摺動可能である。レールは、シャーシ900に対して固定されており、したがって、器具インターフェースエレメントは、シャーシに対して摺動可能である。
【0076】
各器具インターフェースエレメントは、最小変位位置と最大変位位置の間の変位範囲に亘って変位させることができる。例えば、最小および最大変位位置は、器具インターフェースエレメントが摺動するレールの端部によって決定されてもよい。最小および最大変位位置は、第2および第3器具インターフェースエレメント906および907については
図9bで931および932とラベル付けされている。最小および最大変位位置は、第1の器具インターフェースエレメント905については
図9bで931および943とラベル付けされている。第1の器具インターフェースエレメントは、最大距離d
1から第1の器具インターフェースエレメントの長さを引いた距離に亘ってx方向に直線的に変位可能である。第2の器具インターフェースエレメントは、最大距離d
2から第2の器具インターフェースエレメントの長さを引いた距離に亘ってx方向に直線的に変位可能である。第3の器具インターフェースエレメントは、最大距離d
3から第3の器具インターフェースエレメントの長さを引いた距離に亘ってx方向に直線的に変位可能である。ここで、d
1<d
2およびd
1<d
3であり、d
2=d
3である。
【0077】
図9a~
図9cに示す例では、エンドエフェクタがシャフトと整列されている器具の直線構成において、第1、第2、および第3の器具インターフェースエレメント905,906,および907はすべて、シャフトの長手方向の軸に垂直な同一の平面上に位置している。あるいは、器具の直線構成において、第1の器具インターフェースエレメント905は、第2および第3の器具インターフェースエレメント906,907が中心に置かれる平面とは異なる平面に中心が置かれていてもよい。これは、第1の器具インターフェースエレメント905のd
1上の移動の中点が、第2および第3の器具インターフェースエレメント906,907のd
2、d
3上の移動の中点からオフセットされているためである。
【0078】
各器具インターフェースエレメントは、本体933,934,935およびラグ927,936,937を含む。本体933,934,935は、器具インターフェースエレメントの最小変位位置と最大変位位置との間で直線的に変位可能である。器具インターフェースエレメントと係合する駆動エレメントのペアは、器具インターフェースエレメントのラグに固定される。ラグは、本体が変位可能な方向に平行に、本体内で直線的に変位可能である。ラグは、シャフトの長手方向の軸511に平行なシャフトの長手x方向に沿って直線的に変位可能である。
【0079】
ガイドバー928,929,930は、シャーシ900に固定されてもよい。ガイドバーをシャーシに固定して、操作中に器具インターフェースエレメントの動きを厳密に拘束して、正しい方向軸に沿った直線的な動きが保たれるようにしてもよい。これにより、例えば、駆動エレメントがプーリーに対して滑るリスクを低減し、インターフェースエレメントの変位と所定の関節周りの回転との間の補正関係を維持し得る。
【0080】
ガイドバーは、固定エレメントによってシャーシに固定されている。これは、ガイドバー930,928について、
図9cで最も明確に確認できる。ガイドバー930は、固定エレメント902Aおよび902Bによってシャーシに固定され、ガイドバー928は、固定エレメント904Aおよび904Bによってシャーシに固定される。ガイドバー929も、固定エレメントのペア(
図9cには示されていない)によってシャーシに固定されている。したがって、
図9a~
図9cに示す配置では、各ガイドバーは、固定エレメントのペアによってシャーシに固定されている。各ガイドバーの固定エレメントのペアは、ガイドバーの両端に位置してもよい。固定エレメントは、ガイドバーの終端に位置してもよい(すなわち、第1の固定エレメントはガイドバーの第1終端に位置し、第2の固定エレメントはガイドバーの第2終端に位置する)。ガイドバーの終端にある固定エレメントのペアでシャーシにガイドバーを固定すると、ガイドバーに沿ったインターフェースエレメントの動きを妨げないため、ガイドバーの使用可能な長さが増し、便利である。
【0081】
ガイドバーのシャーシへの固定を容易にするために、シャーシは、ガイドバーの長さの少なくとも一部に沿ってガイドバーと整合する支持エレメントを備えてもよい。そして、固定エレメントと支持エレメントが協働して、ガイドバーをシャーシに固定してもよい。例えば、固定エレメントは、ガイドバーを支持エレメントに対して保持し、それによりガイドバーをシャーシに固定してもよい。シャーシは、複数の支持エレメントを備えてもよい。各固定エレメントは、それぞれの支持エレメントに対してガイドバーを保持してもよい。したがって、シャーシは、各ガイドバー用の複数の支持エレメントを備えてもよい。
【0082】
図9cに示す例では、支持エレメントはコーナー装備の形状を有する。これは、2つのコーナー装備が903Aと903Bで示されているガイドバー930について、最も明確に確認できる。ガイドバーは、第1コーナー装備903Aがガイドバー930の第1末端に位置し、第2コーナー装備がガイドバー930の第2末端に位置するように配置される。各コーナー装備はコーナーを規定し、固定エレメントがガイドバーをコーナーに保持して、ガイドバーをシャーシ900に固定する。したがって、固定エレメント902Aは、コーナー装備903Aによって規定されるコーナーに対してガイドバーを保持し、固定エレメント902Bは、コーナー装備903Bによって規定されるコーナーに対してガイドバーを保持する。コーナー装備は、シャーシ900の一部を形成する。例えば、コーナー装備は、シャーシ本体の残りの部分と一体化していてもよいし、シャーシ本体に固定的に取り付けられていてもよい。
【0083】
固定エレメント902Aおよびコーナー装備903Aは、シャーシ900を通る断面図を示す
図10により詳細に示されている。分かりやすさのため、器具インターフェース801の残りの特徴(固定エレメント902Bおよびコーナー装備903Bを含む)は、
図10から省略されている。
【0084】
コーナー装備903Aは、コーナーを規定する2つの表面1001および1003を含む。この例では、表面1001および1003は平面である。2つの表面1001および1003は、ここでは互いに横断するものとして示されているが、2つの表面の間の他の角度も可能である。例えば、2つの表面間の内角(すなわち、ガイドバー930が保持される表面によって規定される角度)は、一般に180度未満であってもよい。2つの表面間の角度は90度以上、180度未満であってもよい。2つの表面間の角度は90度未満であってもよい。
【0085】
都合のよいことに、2つの表面1001および1003が出会い、シャフト511の長手方向の軸に平行な結合部1005を規定する。加えて、表面1001および1003の両方の面法線は、シャフト511の長手方向の軸を横断し得る。そのような配置により、ガイドバーがコーナー装備903に対して保持されるとき、ガイドバーの長手方向の軸がシャフト511の長手方向の軸と平行になるように、器具インターフェース内でガイドバー930が位置合わせされる。したがって、固定エレメント902Aは、結合部1005がガイドバー930の長手方向の軸に平行であり、表面1001および1003の法線がガイドバー930の長手方向の軸を横断するように、コーナー装備903Aによって規定されるコーナーにガイドバーを保持する。
【0086】
この例では、固定エレメント902Aは、ネジ山付きシャフト1007と円錐形ヘッド1009を含むネジである。ネジは、例えば皿ネジであってもよい。ネジは、ガイドバー930をシャーシに固定するために、シャーシに(特に、シャーシのコーナーに)ねじ込まれている。ネジは、表面1003に平行にシャーシにねじ込まれる。つまり、ネジ山付きシャフト1007は、表面1003に平行である(すなわち、ネジ山付きシャフトの長手方向の軸は、表面1003に平行である)。円錐形ヘッド1009がコーナー装備903Aの2つの表面1001および1003に対してガイドバーを固定するため、表面1003に平行にシャーシにネジをねじ込むことは有利である(すなわち、固定エレメント902Aは表面1001および1003の両方に対してガイドレール930を押圧する)。これにより、コーナー装備のコーナーにガイドバー930がしっかりと保持される。より一般的には、固定エレメント902Aは、シャフト部(ネジ山付きまたはネジ山なし)および円錐形ヘッドを備えてもよい。シャフトは、(例えば、固定エレメントがネジ山のないシャフトを有するボルトである例において)コーナー装備の表面の1つにあるインサートまたはボアに挿入されてもよい。あるいは、例えば、固定エレメントがネジ山付きシャフトを備えたネジである例において、シャフトは、コーナー装備にねじ込まれてもよい。
【0087】
ネジ/ボルトは、表面1003に平行にシャーシに挿入される必要はなく、代わりに、表面1001に平行にシャーシに挿入され得ることが理解されるであろう。これによっても、円錐形ヘッド1009がコーナー装備の両方の表面に対してガイドバー930を保持できるようになる。
【0088】
コーナー装備は、固定エレメントがコーナー装備に挿入されることを可能にするために、固定エレメントよりも柔らかい材料で形成されていてもよい。コーナー装備は、シャーシの残りの部分と同じ材料で形成することも、異なる材料で形成することもできる。コーナー装備(および場合によってはシャーシ)は、例えばプラスチック製であってもよく、固定エレメントは金属製であってもよい。
【0089】
図10には固定エレメント902Aおよびコーナー装備903Aのみが示されているが、固定エレメント902Bおよびコーナー装備903Bが同様の形態をとることが理解されるであろう。さらに、固定エレメントおよび支持エレメントはガイドバー930についてのみ詳細に説明してきたが、ガイドバー928および929の固定エレメントおよび支持エレメントが同等の形態を取り得ることが理解されるであろう。
【0090】
コーナー装備と、円錐形ヘッドを持つネジ又はボルト形状の固定エレメントを使用すると、ガイドレールを器具インターフェースのシャーシに固定するための低コストで効果的なアプローチが提供される。円錐形ヘッドがガイドレールと係合して、コーナー装備の両面に対してガイドレールを保持する。ガイドバーを保持するための2つの表面を使用することにより、ガイドバーを所定の位置にしっかりと保持し、長手方向の軸がシャフト511の長手方向の軸に平行となる所望の向きに保持して、器具インターフェースを通じた器具のジョイントへの直線駆動の伝達が行われる。
【0091】
さらに、ネジ山用のボアの位置および/または向きの公差、およびガイドバーの直径の変動は、固定エレメントによって適応可能である。例えば、
図10を参照すると、円錐形ヘッド1009がコーナー装備の両面に対してガイドバーを保持するために、シャフト1007を表面1003に対して厳密に平行にシャーシに挿入する必要がないことが理解できる。ヘッド1009の円錐面の法線が、表面1001および1003の両方の面法線に対して非横断的である限り、ヘッド1009は、両方の表面1001および1003に対する保持力をガイドバーに加えることができる。シャフト1007を収容するためのボアの位置の公差も適応可能である。
図10に示される例では、エレメント902Aは、ヘッド1009の外縁または周辺部が他方の表面1003に当接するような位置で表面1001に挿入されるが、これはガイドバーを表面1001および1003に固定するのに必須ではないことが理解されるであろう。ネジが表面に挿入され、他方の表面1003とヘッド1009の外縁との間に隙間がある場合であっても、固定エレメント902Aは依然として表面1001および1003に対してガイドバーを保持するように機能することができる。言い換えれば、
図10に例示されている設計は、ネジ1007を収容するボアの位置および/または向きにある程度の公差を提供する。これは、製造誤差に適応するのに有用である場合がある。
【0092】
例えば、エレメント902Aが表面1001に挿入される角度および/または位置を変えることによって、ガイドバーの直径の大きさの変動にも適応することができる。固定エレメント902Aがシャーシに挿入される量を変えることによっても、ガイドバーの直径の変動に対応することができる。例えば、
図10に示されているネジが示されている位置から後退させた場合(それにより、シャフト1007の一部のみが表面1001に挿入されている)、図示されているものよりも大きな直径のガイドレールをシャーシに固定できるであろう。換言すれば、
図10に例示されている設計は、ガイドレール930の直径の変動に適応することができる。これは、設計にある程度の柔軟性を提供し、ガイドバーの直径を変更するなど、設計変更に対する回復力を提供するのに有用である。
【0093】
ガイドバーをシャーシ900に固定するための支持エレメントおよび固定エレメントの他の形態が可能であり、その例を次に説明する。
【0094】
図11は、固定エレメントの別形態の例を示している。
図11もまた、器具インターフェースの断面を示しており、固定エレメント、支持エレメント、およびガイドレールが示されているが、分かりやすさのため、器具インターフェースの残りの部品は省略されている。
【0095】
この例でも、支持エレメントは、コーナーを規定する表面1001および1003を含むコーナー装備903Aの形態である。しかしながら、この例では、固定エレメントは保持エレメント1101と狭圧エレメント1103を含む。保持エレメントは、コーナーにガイドバーを保持するように機能する。保持エレメントは、狭圧エレメントによってシャーシに固定され、それによってガイドバーをシャーシに固定する。
【0096】
保持エレメント1101は、ガイドバー930と係合するような形状の第1の表面1105を含むブロックの形態である。第1の表面は、ガイドバーの外側表面に相補的であってもよい。第1の表面は、例えば凹面であってもよい(例えば、ガイドバーが円筒形である場合)。第1の表面は、(ガイドバーの外面と整合するため)ガイドバー表面と呼ばれることがある。ブロック1101は、コーナー装備の表面1001,1003とそれぞれ係合する第2および第3の表面1107,1109をさらに備える。第2および第3の表面は、コーナー装備の表面と同一平面に位置するように角度を付けられていてもよい(すなわち、ブロック1101の表面1107,1109の両方がコーナー装備のそれぞれの表面1001,1003と同一平面に位置する)。この形状の固定エレメントは、コーナー装備とガイドバーとの比較的大きな表面積接触により、ガイドバーを所定の位置にしっかりと保持できるため、有利である。
【0097】
狭圧エレメント1103は、保持エレメント1101をコーナー装備に固定する。この例では、狭圧エレメントは、保持エレメントをコーナー装備の表面に固定するボルトまたはネジの形態である。別の構成では、保持エレメントは、複数のボルトまたはネジによってコーナー装備に固定されてもよい。例えば、第1のボルト/ネジが保持エレメント1101をコーナー装備の第1の表面に固定し、第2のボルト/ネジが保持エレメント1101をコーナー装備の第2の表面に固定してもよい。
【0098】
図11に示す配置の変形例では、保持エレメントはブロック1101の形態をとってもよいが、狭圧エレメント1103を使用するのではなく、ブロック1101を接着剤によってコーナー装備に固定したり、他の方法(例えば、溶接など)でコーナー装備に固定したりしてもよい。したがって、一般に、固定エレメントは、ガイドバーの外面に係合し、シャーシ900に固定され、それによってガイドバーをシャーシに固定する保持エレメントを備えてもよい。
【0099】
図12は、固定エレメントの別の形態のさらなる例を示している。
図12もまた、器具インターフェースの断面図を示しており、分かりやすさのため、器具インターフェースの残りの部品は省略されている。
【0100】
この例でも、支持エレメントは、コーナーを規定する表面1001および1003を含むコーナー装備903Aの形態である。この例の固定エレメントは、ボルト1201の形態である。ボルトは、シャフト1203とヘッド1205を含む。
図10に示す例とは異なり、ボルト1201は、コーナー装備の表面1001と1003の両方に対して非平行にシャーシに挿入される。すなわち、シャフト1203の長手方向の軸は、表面1001および1003の両方に対して非平行である。ボルトは、コーナー装備の表面1001および1003に対して斜めにシャーシに挿入されてもよい。すなわち、ボルトシャフト1203の長手方向の軸は、表面1001および1003の両方に対して45度の角度であってもよい。ボルトは、シャフト1203がガイドレール930の外面と同一平面になるようにシャーシに挿入されてもよい。すなわち、ボルトはガイドレールを通過しない、つまりガイドレールには挿入されない。シャフトとヘッドは協働して、コーナー装備によって規定されるコーナーにガイドバー930を保持する。ヘッド1205は、ガイドバーをコーナーに保持するために、ガイドバー930の外面と整合してもよい。ボルト1201は、鍋頭ボルトであってもよい。あるいは、固定エレメントは平頭ネジであってもよい。
【0101】
図12に例示される固定エレメントの形態は、ガイドレールの直径および/またはシャフト1205を収容するためのボアの位置および場所の公差に適応するという、
図10に関して上述したものと同じ利点を提供し得る。
【0102】
図13に、支持エレメントの別の形態の例を示す。
図13は、器具インターフェースの断面図を示している。
【0103】
図13は、支持エレメント
1301を示している。ここでも、支持エレメントは器具インターフェースシャーシの一部を形成するが、分かりやすさのため、シャーシの残りの部分は図から省略されている。支持エレメント1301は、湾曲面1303を含む。湾曲面1303は、ガイドバーの長さの少なくとも一部に沿ってガイドバー930と整合する。湾曲面1303は、ガイドバー930が収まる溝を規定する。したがって、湾曲面はシャーシに対してガイドバーを保持するのを補助する。湾曲面1303は、表面の法線がシャフト511の長手方向の軸を横断するようになっていてもよい。したがって、ガイドバーが湾曲面1303によって規定される溝内に位置するとき、溝に対する面法線は、ガイドバーの長手方向の軸を横断する。したがって、支持エレメント1301は、器具インターフェース内でガイドバーの向きを正確に定めるように機能する。
【0104】
1つ以上の固定エレメント(
図13には図示せず)が、ガイドバー930を支持エレメント1301に対して保持し、それによりガイドバーをシャーシに固定してもよい。固定エレメントは、上記の例のいずれかの形態をとってもよい。1つ以上の固定エレメントは、例えば、支持エレメント1301に挿入された皿ネジ、または平頭ネジまたはボルトであり得る。ガイドバーを固定するために、支持エレメント1301に互いに横断するように挿入された2つの固定エレメントがあってもよい。各固定エレメントは、シャフトとヘッドを備えていてもよい(シャフトの長手方向の軸は互いに横断している)。シャフトが支持エレメント1301に挿入されると、各ヘッドは、ガイドバーを支持エレメントに対して固定するために、ガイドバーの外面に係合してもよい。
【0105】
図14に示す別の例では、ガイドバー930’はボア1401を含む。ボアはガイドバーの終端に位置している。シャフト1405およびヘッド1407を備える固定エレメント1403は、ガイドバー930’を支持エレメントに固定するために、ボア1401を通って支持エレメント1301に挿入される。ボア1401は、ガイドバーの長手方向の軸を横断する方向にガイドバーを通って延びてもよい。シャフト1405はネジ山付きであってもよい。この場合、ボア1401にもネジが切られていてもよい。固定エレメント1403がボアを通って挿入されると、ヘッド1407はガイドレール930’の外面に係合して、ガイドレールを支持エレメントに固定する。固定エレメントは、ボルトまたはネジであり得る。この構成には、ガイドバーをシャーシに固定する強度を高めるという利点がある。
【0106】
また、ガイドバー930’(ボア1401を含む)および固定エレメント1403は、
図10に示されるようなコーナー装備903Aなどのコーナー装備の形態の支持エレメントとともに使用されてもよいことが理解されよう。この場合、ボア1401は、コーナー装備の表面1001,1003の一方に平行であってもよい。あるいは、ボア1401は、両方の表面1001および1003に対して角度を付けられて(すなわち、両方の表面に対して非平行である)、それによって、固定エレメント1403が、コーナー装備の1つの表面だけでなく、両方の表面に対してガイドバーを保持するようになっていてもよい。固定エレメントのヘッド1407は、固定エレメントがボアを通ってコーナー装備に挿入された際、ヘッドがコーナー装備の両方の表面1001および1003に係合するような大きさにすることができる。
【0107】
ガイドバーがボアを含む場合、シャーシ900は支持エレメントを含まなくてもよい。代わりに、ガイドバーは、ボアを通ってシャーシに挿入される固定エレメントによって、シャーシに直接固定することができる。
【0108】
図15は、器具インターフェース801の下面図を示している。インターフェースエレメント905,906,907の器具インターフェース本体933,934,935の下面は、突起の形態であることが分かる。器具インターフェース本体は、シャーシ900の下面で規定される平面より下に突出していてもよい。各器具インターフェース本体933,934,935は、駆動アセンブリインターフェースエレメントの対応するソケットに収容可能である。本体とソケットの形状は、駆動アセンブリインターフェースエレメントが変位されたときに、この変位がずれなく器具インターフェースエレメントに伝達されるように対応している。したがって、本体は、変位方向の少なくとも1本の線に沿ってソケットにぴったりと嵌合する。器具インターフェースエレメントは、対応する駆動アセンブリインターフェースエレメントと同じ変位範囲に亘って変位可能であってもよい。
【0109】
図16a,
図16b,
図16cは、駆動アセンブリインターフェース1600を示している。駆動アセンブリインターフェースは、ロボットアームのターミナルリンクの終端にある。そのターミナルリンクは、ロールジョイントによって隣のリンクに接続される。ロールジョイントによって、ターミナルリンクはターミナルリンクの長手方向の軸1604を中心に回転可能である。駆動アセンブリインターフェース1600は、駆動アセンブリインターフェースエレメント1601,1602,1603を備える。駆動アセンブリインターフェースエレメントは、器具インターフェースエレメント905,906,907を収容するように構成される。第1の駆動アセンブリインターフェースエレメント1602は、第1の器具インターフェースエレメント905を収容するように構成される。第2の駆動アセンブリインターフェースエレメント1601は、第2の器具インターフェースエレメント906を収容するように構成される。第3の駆動アセンブリインターフェースエレメント
1603は、第3の器具インターフェースエレメント907を収容するように構成される。
【0110】
各駆動アセンブリインターフェースエレメントは、駆動アセンブリの長手方向の軸1604に平行な方向に沿って変位可能である。各駆動アセンブリインターフェースエレメントは、変位範囲に亘って変位可能である。
図17に示すように、器具インターフェースが駆動アセンブリに設置されると、各駆動アセンブリインターフェースエレメントは、係合する器具インターフェースエレメントが変位可能な方向と同じ方向に変位可能である。
【0111】
第1の駆動アセンブリインターフェースエレメント1602は、駆動アセンブリの長手方向の軸1604上で第1の器具インターフェースエレメント905と係合する。したがって、第1の駆動アセンブリインターフェースエレメント1602は、駆動アセンブリの長手方向の軸に沿って、ひいてはロボットアームのターミナルリンクの長手方向の軸に沿って、第1の器具インターフェースエレメント905を駆動する。適切には、駆動アセンブリ内のすべての駆動アセンブリインターフェースエレメントのうち、第1の駆動アセンブリインターフェースエレメント1602のみが、ターミナルリンクの長手方向の軸1604に沿って変位可能である。第1の器具インターフェースエレメント905は、第1の駆動エレメントのペアA1,A2を駆動して、器具シャフトの軸511に垂直な第1の軸510の周りの器具の遠位端の回転を駆動する。器具インターフェース801が駆動アセンブリ1600に設置されると、器具シャフトの長手方向の軸511は、ターミナルリンクの長手方向の軸1604と平行になる。適切には、器具シャフトの長手方向の軸511は、ターミナルリンクの長手方向の軸1604と一致する。
【0112】
第2の駆動アセンブリインターフェースエレメント1601は、駆動アセンブリの長手方向の軸1604に平行であるがオフセットした軸上で第2の器具インターフェースエレメント906と係合する。第2の駆動アセンブリインターフェースエレメント1601は、この軸に沿って第2の器具インターフェースエレメント906を駆動するように、この軸に沿って変位可能である。第2の器具インターフェースエレメント906は、第2の駆動エレメントのペアB1,B2を駆動して、第2のジョイント507の周りのエンドエフェクタエレメント502の回転を駆動する。
【0113】
第3の駆動アセンブリインターフェースエレメント1603は、駆動アセンブリの長手方向の軸1604に平行であるがオフセットした軸上で第3の器具インターフェースエレメント907と係合する。第3の駆動アセンブリインターフェースエレメント1603は、この軸に沿って第3の器具インターフェースエレメント907を駆動するように、この軸に沿って変位可能である。第3の器具インターフェースエレメント907は、第3の駆動エレメントのペアC1,C2を駆動して、第3のジョイント513の周りのエンドエフェクタエレメント503の回転を駆動する。
【0114】
駆動アセンブリインターフェースエレメントは、対応する器具インターフェースエレメントと解除可能に係合してもよい。
【0115】
図16a,
図16b,
図16cに示される駆動アセンブリは、
図9a,
図9b,
図9cに示される器具インターフェースを駆動し、その結果、
図5aおよび
図5bに示される第1、第2、および第3のジョイントが駆動されてもよい。これにより、第1の駆動アセンブリインターフェースエレメント1602が第1のジョイント506を駆動し、第2の駆動アセンブリインターフェースエレメント1601が第2のジョイント507を駆動し、第3の駆動アセンブリインターフェースエレメント1603が第3のジョイント513を駆動する。別の構成では、駆動アセンブリのインターフェースエレメントは、異なるジョイントを駆動してもよい。例えば、第1の駆動エレメントのペアA1,A2が第2の器具インターフェースエレメント906に接続される場合、第2の駆動アセンブリインターフェースエレメント1601は第1のジョイント506を駆動する。第2の駆動エレメントのペアB1,B2が第1の器具インターフェースエレメント905に接続される場合、第1の駆動アセンブリインターフェースエレメント1602は第2のジョイント507を駆動する。この例では、第3の駆動エレメントのペアC1,C2は、第3の器具インターフェースエレメント907に接続され、これにより、第3の駆動アセンブリインターフェースエレメント1603は、第3のジョイント513を駆動する。この例では、第1の駆動アセンブリインターフェースエレメント1602は、最大距離s
1に亘って直線的に変位可能である。第2の駆動アセンブリインターフェースエレメント1601は、最大距離s
2に亘って直線的に変位可能である。第3の駆動アセンブリインターフェースエレメント
1603は、最大距離s
3に亘って直線的に変位可能である。適切には、s
2<s
1およびs
2<s
3である。適切には、s
1=s
3である。
【0116】
本明細書に記載の実施例では、駆動アセンブリインターフェースは、器具シャフトの遠位端における関節部の3つのジョイントに駆動を伝達する3つの器具インターフェースエレメントに駆動を伝達する3つの駆動アセンブリインターフェースエレメントを含んでいた。本明細書に記載の駆動アセンブリインターフェースは、さらなるまたはより少ない器具インターフェースエレメントに駆動を伝達するために、さらなるまたはより少ない駆動アセンブリインターフェースエレメントを含むように変更され得ることが理解されるであろう。本明細書に記載された器具インターフェースは、器具シャフトの遠位端における関節部のさらなるまたはより少ないジョイントに駆動を伝達するためのさらなるまたはより少ない器具インターフェースエレメントを含むように変更することができる。関節部自体も、さらなるあるいはより少ないジョイントを含むように修正されてもよい。したがって、器具インターフェースは、本明細書に記載の実施例よりも多数のまたは少数のガイドバーを含むことができる。器具インターフェースは、例えば、(単一の器具インターフェースエレメントが取り付けられている)単一のガイドバーを含んでもよい。
【0117】
また、エンドエフェクタは、1つのエンドエフェクタエレメントのみを有していてもよいことも理解されるであろう。この場合、関節部は第3のジョイント513を含まず、器具インターフェースは第3のジョイント513を駆動するための器具インターフェースエレメントを含まず、駆動アセンブリはその器具インターフェースエレメントを駆動するための駆動アセンブリインターフェースエレメントを含まない。
【0118】
器具は、非外科的目的のために使用することができる。例えば、美容目的の処置に用いることができる。
【0119】
出願人はこれによって、ここに記載の各個別の特徴および2つ以上のそのような特徴の任意の組み合わせを別々に開示しており、そのような特徴または特徴の組み合わせが当業者の共通の一般的な知識に照らして全体として本明細書に基づいて実施されることが可能な程度に開示されている。なお、そのような特徴または特徴の組合せが本明細書に開示される任意の問題を解決するかどうかは関係がなく、またかかる具体的記載が特許請求の範囲を限定するものでもない。出願人は、本発明の態様は、このような個々の特徴または特徴の組み合わせから成ってもよいことを示している。以上の説明に鑑みて、種々の改変が本発明の範囲内でなされ得ることは当業者にとって明らかであろう。