(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-11
(45)【発行日】2022-05-19
(54)【発明の名称】原子力発電所内のひび割れた溶接部を構造的に代替する装置
(51)【国際特許分類】
G21C 19/02 20060101AFI20220512BHJP
【FI】
G21C19/02 050
G21C19/02 200
(21)【出願番号】P 2020195142
(22)【出願日】2020-11-25
(62)【分割の表示】P 2019143105の分割
【原出願日】2015-02-04
【審査請求日】2020-12-21
(32)【優先日】2014-02-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508177046
【氏名又は名称】ジーイー-ヒタチ・ニュークリア・エナジー・アメリカズ・エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】GE-HITACHI NUCLEAR ENERGY AMERICAS, LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110002516
【氏名又は名称】特許業務法人白坂
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー・エム・ウェルシュ
(72)【発明者】
【氏名】ニコラス・カンダバロウ
(72)【発明者】
【氏名】バリー・エイチ・コープケ
【審査官】大門 清
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-211186(JP,A)
【文献】米国特許第06138353(US,A)
【文献】特表平10-505163(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21C 19/02
G21C 5/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原子力プラント内のひび割れた溶接部を構造的に代替するように構成された装置であって、
第1の端部と、第2の端部と、前記第1の端部と前記第2の端部との間の部分とを備える本体部を備え、
前記第1の端部は、第1の把持部を備え、
前記第2の端部は、第2の把持部を備え、
前記本体が非撓み状態にあるときに、前記第1の把持部および前記第2の把持部は、第1の距離だけ離間し、
前記本体が撓み状態にあるときに、前記第1の把持部および前記第2の把持部は、第2の距離だけ離間し、
前記第2の距離は、前記第1の距離より大きく、
前記本体が前記非撓み状態にあるときに、前記本体は第1の形状を有し、
前記本体が前記撓み状態にあるときに、前記本体は第2の形状を有し、
前記第1の形状は、前記第2の形状より湾曲していている、
装置。
【請求項2】
前記本体は金属を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記金属はステンレス鋼である、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記第1の端部と前記第2の端部との間の部分は、アクセス孔の開口部を定義する、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
原子力プラント内のひび割れた溶接部を構造的に代替するように構成された装置であって、
第1の端部と、第2の端部と、前記第1の端部と前記第2の端部との間の部分とを備える本体部を備え、
前記第1の端部は、第1の把持部を備え、
前記第2の端部は、第2の把持部を備え、
前記本体が非撓み状態にあるときに、前記第1の把持部および前記第2の把持部は、第1の距離だけ離間し、
前記本体が撓み状態にあるときに、前記第1の把持部および前記第2の把持部は、第2の距離だけ離間し、
前記第2の距離は、前記第1の距離より大きく、
前記本体が前記撓み状態にあるときに、前記第1の把持部が、ひび割れた溶接部を含む構造内のひび割れた溶接部の第1の側の第1のスロット内に入るように構成され、前記第2の把持部が、ひび割れた溶接部を含む構造内のひび割れた溶接部の第2の側の第2のスロット内に入るように構成され、
前記本体が前記非撓み状態にあるときに、前記第1の把持部が、ひび割れた溶接部を含む構造内のひび割れた溶接部の第1の側の第1のスロットを把持するように構成され、前記第2の把持部が、ひび割れた溶接部を含む構造内のひび割れた溶接部の第2の側の第2のスロットを把持するように構成される、
装置。
【請求項6】
前記本体は金属を備える、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記金属はステンレス鋼である、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記第1の端部と前記第2の端部との間の部分は、アクセス孔の開口部を定義する、請求項5に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
例示的な実施形態は、一般に、ひび割れた溶接部を構造的に代替する装置および方法に関する。例示的な実施形態はまた、原子力発電所に関し、原子力発電所のひび割れた溶接部を構造的に代替する装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
原子炉、蒸気駆動タービン、または脱気器などの多くの用途において、高温水は、応力腐食割れ、腐食、浸食などを助長することにより、関連する構造に悪影響を及ぼし得る。例えば、高温水は、炭素鋼、合金鋼、ステンレス鋼、ニッケル基合金、コバルト基合金、ジルコニウム基合金などの材料における応力腐食割れ(「SCC」)を助長し得る。SCCは、合金と環境と応力の一定の組み合わせにより優先的に発生し得る。
【0003】
当業者(「PHOSITA」)が理解するように、SCCは、ひび割れ先端における腐食との組み合わせで作用する静的または動的引張応力により伝播するひび割れを含み得る。それらの応力は、構成要素間の熱膨張または熱収縮の差、比較的高い運転圧力または変動する運転圧力、あるいは、構成要素もしくはシステムの製造または組立の間に実行される種々のプロセスの結果としてまたは種々のプロセスにより生じ得る。例えば、冷間加工、研削、機械加工、および他の熱機械的金属処理の結果、しばしば残留応力が生じる。水の化学的性質、溶接、熱処理、および放射線もまた、金属製または合金製の構成要素のSCCの発生しやすさを高め得る。SCCは本質的に粒内型または粒界型であり得る。
【0004】
SCCは、酸素、高放射線束などが存在するなどの種々の条件下ではより高速度で発生し得る。加圧水型原子炉(「PWR」)および沸騰水型原子炉(「BWR」)などの原子炉では、高い放射線束が原子炉冷却材(水)の放射線分解を引き起こし得る。この分解により、酸素、過酸化水素、短寿命ラジカル、および種々の酸化種が生成され得る。これらの放射線分解生成物は、配管、ポンプ、弁、タービンなどの種々のシステム構成要素においてSCCを促進し得る。BWRの運転温度および圧力は、約300℃および約10MPaであり得、PWRの運転温度および圧力は、約325℃および約15MPaであり得る。したがって、BWRおよびPWRの運転環境は、原子炉の構成要素にSCC問題が生じるリスクを増大させ得る。
【0005】
金属および合金の微細構造は、粒界により分離された粒子を含み得る。粒界応力腐食割れ(「IGSCC」)は、粒子の嵩自体はほとんど影響を受けない、粒界に沿ったまたは隣接したより局所的なSCC腐食であり得る。IGSCCは、化学的偏析効果(例えば、粒界における不純物富化)または粒界に析出した特定の相に関連し得る。
【0006】
照射誘起応力腐食割れ(「IASCC」)は、照射によりSCCが加速すること(例えば、核変換による微細構造変化、微量化学変化、および組成変化を含み得る照射誘発変化)を指す場合がある。IASCCは、ベータ線、ガンマ線、中性子線、または他の粒子放射線(例えば、イオン)の影響により生じ得る。しかしながら、BWRおよびPWRに関しては、IASCCは主に中性子線に起因し得る。
【0007】
IASCCの深刻な性質のため、原子力規制委員会(「NRC」)は、約10年間にわたる一連の研究を委託した。これらの研究から得られた報告書の一部は、NUREG/CR 5608「Irradiation-Assisted Stress Corrosion Cracking of Model Austenitic Stainless Steels Irradiated in the Halden Reactor」、NUREG/CR-6892「Fracture Toughness and Crack Growth Rates of Irradiated Austenitic Stainless Steels」、NUREG/CR-6687「Irradiation-Assisted Stress Corrosion Cracking of Model Austenitic Stainless Steel Alloys」、NUREG/CR-6915「Irradiation-Assisted Stress Corrosion Cracking of Austenitic Stainless Steels and Alloy 690 from Halden Phase-II Irradiations」、NUREG/CR-6960「Crack Growth Rates and Fracture Toughness of Irradiated Austenitic Stainless Steels in BWR Environments」、およびNUREG/CR-7018「Irradiation-Assisted Stress Corrosion Cracking of Austenitic Stainless Steels in BWR Environments」を含む。
【0008】
図1は、従来技術のBWRにおける原子炉圧力容器(「RPV」)100の一部を切り欠いた断面図である。
【0009】
BWRの運転中に、RPV100内を循環する冷却水は、炉心102内で発生する核分裂により加熱され得る。給水は、給水入口104および給水スパージャ106(RPV100内に給水を円周方向に分配するための開口を含み得る環状の配管)を介してRPV100内に導入され得る。給水スパージャ106からの給水は、下降管円環108(RPV100と炉心シュラウド110との間の環状領域)を通って下方に流れ得る。
【0010】
炉心シュラウド110は、炉心102を取り囲むステンレス鋼製の円筒体であり得る。炉心102は、多数の燃料束集合体112(例えば、
図1には2つの2×2アレイが示されている)を含み得る。燃料束集合体112の各アレイは、上部もしくは上部付近で上部ガイド114により支持され、および/または、底部もしくは底部付近で炉心板116により支持され得る。上部ガイド114は、燃料束集合体112の上部を側方から支持し得、および/または、制御棒の挿入を可能にするように適正な燃料-チャネル間隔を維持し得る。
【0011】
給水/冷却水は、下降管円環108を通って下方に流れ得、および/または炉心下部プレナム118に流入し得る。炉心下部プレナム118内の冷却水は、次いで、炉心102を通って上方に流れ得る。冷却水は、燃料集合体112に入り、そこで、沸騰境界層が形成され得る。水と蒸気の混合物は、炉心102から出て、および/または、シュラウドヘッド122の下方の炉心上部プレナム120に入り得る。炉心上部プレナム120は、炉心102から出る蒸気-水混合物とスタンドパイプ124に入る蒸気-水混合物との間を隔離し得る。スタンドパイプ124は、シュラウドヘッド122の上に配置され得、および/または、炉心上部プレナム120と流体連通し得る。
【0012】
蒸気-水混合物は、スタンドパイプ124を通って流れ得、および/または、汽水分離器126(例えば、軸流遠心型であり得る)に入り得る。汽水分離器126は、蒸気-水混合物を実質的に液体水と蒸気に分離し得る。分離された液体水は、混合プレナム128内で給水と混合し得る。この混合物は次に、下降管円環108を介して炉心102に戻り得る。分離された蒸気は、蒸気乾燥器130を通過し得、および/または蒸気ドーム132に入り得る。乾燥された蒸気は、タービンおよび他の機器(図示せず)で用いるために蒸気出口134を介してRPV100から取り出され得る。
【0013】
BWRはまた、必要とされる出力密度を得るために必要である炉心102を通る強制対流流れを供給する冷却材再循環系を含み得る。その水の一部は、下降管円環108の下端部から再循環水出口136を介して吸引され得、および/または遠心再循環ポンプ(図示せず)により再循環水入口140を介して複数のジェットポンプ組立体138(1つのみを図示する)内に送り込まれ得る。ジェットポンプ組立体138は、炉心シュラウド110の周囲に円周方向に分散配置され得、および/または必要とされる炉心流れを提供し得る。
【0014】
図1に示すように、従来技術のジェットポンプ組立体138は、一対の入口ミキサ142を含み得る。従来技術のBWRは、16~24個の入口ミキサ142を含み得る。各入口ミキサ142には、再循環ポンプ(図示せず)から入口ライザ146を介して水を受け取るエルボ144が溶接され得る。例示的な入口ミキサ142は、入口ミキサ142の軸線の周りに等しい角度で円周方向に分散配置された5つのノズルの組を含み得る。各ノズルは、その出口において半径方向内側にテーパ状とされ得る。ジェットポンプ組立体138は、これらの先細ノズルにより勢いを与えられ得る。5つの二次入口開口部は、ノズル出口の半径方向外側に位置し得る。それゆえ、ノズルから出る水の噴流として、下降管円環108からの水は、二次入口開口部を介して入口ミキサ142に引き込まれ得、このミキサ142内で、再循環ポンプからの冷却水と混合され得る。冷却水は、その後、ディフューザ148に流入し得る。
【0015】
図2は、横方向シーム溶接部により、1つの溶接部が次の溶接部に互いに溶接された、縦方向シーム溶接部を有する、複数の外殻セクションを備える関連のBWR炉心シュラウドの内部の展開された方位図(developed azimuthal view)を示す概略図である。
【0016】
図2に示すように、炉心シュラウド200は、第1の外殻セクション202a、202bと、第2の外殻セクション204a、204bと、第3の外殻セクション206a、206bと、第4の外殻セクション208a、208bと、第5の外殻セクション210a、210b、210cとを含み得る。炉心シュラウド200は、シュラウド支持体212a、212b、212c、およびシュラウド支持板214により支持され得る。
【0017】
シュラウド支持体212a、212b、212cは、縦方向シーム溶接部V12、V13、V14により接合され得、また、横方向シーム溶接部H8によりシュラウド支持板214に接合され得る。
【0018】
第5の外殻セクション210a、210b、210cは、炉心シュラウド200の下側外殻セクションを形成するために、縦方向シーム溶接部V9、V10、V11により互いに接合され得、また、横方向シーム溶接部H7によりシュラウド支持体212a、212b、212cに接合され得る。
【0019】
第4の外殻セクション208a、208bは、炉心シュラウド200の底部の中核外殻セクション(mid-core shell section)を形成するために、縦方向シーム溶接部V7、V8により互いに接合され得、また、横方向シーム溶接部H6A、H6Bにより第5の外殻セクション210a、210b、210cに接合され得る。横方向シーム溶接部H6Aは、第4の外殻セクション208a、208bを炉心板支持リング216に接合していることを表し得る。横方向シーム溶接部H6Bは、炉心板支持リング216を第5の外殻セクション210a、210b、210cに接合していることを表し得る。
【0020】
第3の外殻セクション206a、206bは、炉心シュラウド200の中央の中核外殻セクションを形成するために、縦方向シーム溶接部V5、V6により互いに接合され得、また、横方向シーム溶接部H5により第4の外殻セクション208a、208bに接合され得る。
【0021】
第2の外殻セクション204a、204bは、炉心シュラウド200の上部の中核外殻セクションを形成するために、縦方向シーム溶接部V3、V4により互いに接合され得、また、横方向シーム溶接部H4により第3の外殻セクション206a、206bに接合され得る。
【0022】
第1の外殻セクション202a、202bは、炉心シュラウド200の上側外殻セクションを形成するために、縦方向シーム溶接部V1、V2により互いに接合され得、また、横方向シーム溶接部H2、H3により第2の外殻セクション204a、204bに接合され得る。横方向シーム溶接部H2は、第1の外殻セクション202a、202bを上部ガイド支持リング218に接合していることを表し得る。横方向シーム溶接部H3は、上部ガイド支持リング218を第2の外殻セクション204a、204bに接合していることを表し得る。
【0023】
横方向シーム溶接部H1は、第1の外殻セクション202a、202bをシュラウドフランジ220に接合していることを表し得る。
【0024】
PHOSITAに知られているように、縦方向シーム溶接部V1~V14における相対的なずれにより、単一の縦方向シーム溶接部のひび割れがかなりの距離にわたって(例えば、横方向シーム溶接部H1から横方向シーム溶接部H8まで)伝播し得ないことを確実にするようになされる。しかしながら、横方向シーム溶接部H1~H8は、このようなずれ配置とされない。
【0025】
SCC、IGSCC、およびIASCCが研究されてきたが、「解決策」が見出されていない。結果として、原子炉の構成要素内でひび割れが生じ、伝播し続ける。炉心シュラウドは、原子炉の老朽化が進むにつれて、極めて高い中性子フルエンスに起因した影響を特に受けやすくなる可能性がある。例えば、炉心シュラウド200内において、関連する炉心102内の活性燃料は、横方向シーム溶接部H5とH6Aとの間からほぼ横方向シーム溶接部H2またはH3まで縦方向に延び得る。したがって、横方向シーム溶接部H2、H3、H4、H5、および縦方向シーム溶接部V3、V4、V5、V6、V7、V8はすべて、極めて高い中性子フルエンスに曝されるものとして説明され得る。シーム溶接部のSCC、IGSCC、またはIASCCが発生した場合には、炉心シュラウド200が交換される可能性がある。しかしながら、より経済的に実現可能な手法は、溶接補修を行うこと、または横方向シーム溶接部、縦方向シーム溶接部、またはその両方を構造的に代替することであり得る。
【0026】
そのような溶接補修は、シーム溶接部が覆われた(submerged)状態で行われ得るが、この手法は、技術的な観点から困難であり得る。かかる溶接補修はまた、シーム溶接部が覆われない状態でも行われ得るが、この手法は、著しい放射線被曝や休止期間中のクリティカルパスの延長などの他の問題をもたらし得る。
【0027】
PHOSITAに知られているように、一群として縦方向シーム溶接部を構造的に代替するタイロッドが提案されている。タイロッドは、一群として横方向シーム溶接部に十分な支持を与え得るが、かかるタイロッドは、個々の横方向シーム溶接部を構造的に代替するほど有効でない場合がある。
【0028】
更にPHOSITAに知られているように、縦方向シーム溶接部を構造的に代替する種々のデバイスが提案されている。これらのデバイスの大部分は、縦方向シーム溶接部を含む構造を完全に貫通することを含む。かかるデバイスが用いられ得るが、縦方向シーム溶接部を含む構造の完全な貫通は、潜在的な漏出経路の形成、設置手順および原子炉安全性の計算の複雑化、および新たな定期検査要件の確立などの他の問題をもたらし得る。
【0029】
したがって、SCC、IGSCC、またはIASCCを受ける原子炉の構成要素内の個々の溶接部を構造的に代替する能力を提供し得る装置および方法の必要性が存在する。炉心シュラウド200の場合、これは、個々の横方向シーム溶接部、個々の縦方向シーム溶接部、またはその両方を構造的に代替することを含み得る。特に、個々の溶接部を含む構造を完全に貫通することなく、SCC、IGSCC、またはIASCCを受ける原子炉の構成要素内の個々の溶接部を構造的に代替する能力を提供し得る装置および方法の必要性が存在する。
【0030】
ひび割れた溶接部を構造的に代替する装置および方法のための従来技術のシステム、方法、および/またはフィルタが、例えば、Whitlingらに対する米国特許第5392322号明細書(「’322特許」)、Charnleyらに対する米国特許第5521951号明細書(「’951特許」)、Offerらに対する米国特許第5530219号明細書(「’219特許」)、Erbesに対する米国特許第5538381号明細書(「’381特許」)、Erbesに対する米国特許第5621778号明細書(「’778特許」)、Erbesらに対する米国特許第5675619号明細書(「’619特許」)、Thompsonらに対する米国特許第5712887号明細書(「’887特許」)、Loockらに対する米国特許第5729581号明細書(「Loock」)、Erbesに対する米国特許第5737379号明細書(「’379特許」)、Erbesらに対する米国特許第5742653号明細書(「’653特許」)、Deaverらに対する米国特許第5802129号明細書(「’129特許」)、Erbesらに対する米国特許第5803686号明細書(「’686特許」)、Gleasonらに対する米国特許第5803688号明細書(「’688特許」)、Erbesに対する米国特許第6067338号明細書(「’338特許」)、Weemsらに対する米国特許第6138353号明細書(「Weems I」)、Erbesらに対する米国特許第6343107号明細書(「’107特許」)、Paoらに対する米国特許第6345927号明細書(「’927特許」)、Weemsらに対する米国特許第6371685号明細書(「Weems II」)、Weemsらに対する米国特許第6464424号明細書(「Weems III」)、およびErbesに対する米国特許第7649970号明細書(「’970特許」)、およびThompsonらに対する米国特許出願公開第2003/0234541号明細書(「’541公開」)、Suganumaらに対する米国特許出願公開第2011/0101177号明細書(「Suganuma I」)、Suganumaらに対する米国特許出願公開第2012/0087456号明細書(「Suganuma II」)で論じられている。
【0031】
’107特許、’129特許、’219特許、’322特許、’338特許、’379特許、’381特許、’619特許、’653特許、’686特許、’688特許、’778特許、’887特許、’927特許、’951特許、’970特許の開示内容は、その全体が参照により本出願に組み込まれる。同様に、’541公開の開示内容は、その全体が参照により本出願に組み込まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0032】
【文献】米国特許出願公開第2012/0087456号明細書
【発明の概要】
【0033】
例示的な実施形態は、ひび割れた溶接部を構造的に代替する装置および方法を提供し得る。例示的な実施形態は、原子力プラントのひび割れた溶接部を構造的に代替する装置および方法を提供し得る。
【0034】
いくつかの例示的な実施形態において、原子力プラント内のひび割れた溶接部を構造的に代替するように構成された装置は、第1の把持部を備える第1の本体部、第2の把持部を備える第2の本体部、第1の本体部と第2の本体部との間の楔部、および/または調節部を備え得る。第1の本体部は、第2の本体部に摺動可能に係合するように構成され得る。楔部は、摺動可能に係合した第1および第2の本体部に力を及ぼすように構成され得る。調節部は、摺動可能に係合した第1および第2の本体部に楔部によって及ぼす力を増減させるように構成され得る。調節部が摺動可能に係合した第1および第2の本体部に楔部によって及ぼす力を増大させると、第1の把持部と第2の把持部との間の距離が減少し得る。
【0035】
いくつかの例示的な実施形態において、調節部は、第1の把持部と第2の把持部との間の距離が増大するのを防止するように更に構成され得る。
【0036】
いくつかの例示的な実施形態において、装置は保持部を更に備え得る。保持部は、第1の把持部と第2の把持部との間の距離が増大するのを防止するために、調節部と相互作用するように構成され得る。
【0037】
いくつかの例示的な実施形態において、原子力プラント内のひび割れた溶接部を構造的に代替するように構成された装置は、第1の端部と、第2の端部と、第1の端部と第2の端部との間の部分とを備える本体を備え得る。第1の端部は第1の把持部を備え得る。第2の端部は第2の把持部を備え得る。本体が非撓み状態にあるときに、第1の把持部および第2の把持部は、第1の距離だけ離間し得る。本体が撓み状態にあるときに、第1の把持部および第2の把持部は、第2の距離だけ離間し得る。第2の距離は、第1の距離より大きくてもよい。
【0038】
いくつかの例示的な実施形態において、本体が非撓み状態にあるときに、本体は第1の形状を有し得る。本体が撓み状態にあるときに、本体は第2の形状を有し得る。第1の形状は、第2の形状より湾曲していてもよい。
【0039】
いくつかの例示的な実施形態では、本体が撓み状態にあるときに、第1の把持部が、ひび割れた溶接部を含む構造内のひび割れた溶接部の第1の側の第1のスロット内に入るように構成され得、第2の把持部が、ひび割れた溶接部を含む構造内のひび割れた溶接部の第2の側の第2のスロット内に入るように構成され得る。本体が非撓み状態にあるときに、第1の把持部が、ひび割れた溶接部を含む構造内のひび割れた溶接部の第1の側の第1のスロットを把持するように構成され得、第2の把持部が、ひび割れた溶接部を含む構造内のひび割れた溶接部の第2の側の第2のスロットを把持するように構成され得る。
【0040】
いくつかの例示的な実施形態において、原子力プラント内のひび割れた溶接部を構造的に代替するように構成された装置は、第1の把持部を備える第1の本体部、第2の把持部を備える第2の本体部、および/または調節部を備え得る。第1の本体部は、第2の本体部に摺動可能に係合するように構成され得る。調節部は、摺動可能に係合した第1および第2の本体部に力を及ぼすように構成され得る。調節部は、摺動可能に係合した第1および第2の本体部に及ぼす力を増減させるように更に構成され得る。調節部が摺動可能に係合した第1および第2の本体部に及ぼす力を増大させると、第1の把持部と第2の把持部との間の距離が減少し得る。
【0041】
いくつかの例示的な実施形態において、調節部は、第1の把持部と第2の把持部との間の距離が増大するのを防止するように更に構成され得る。
【0042】
いくつかの例示的な実施形態において、装置は保持部を更に備え得る。保持部は、第1の把持部と第2の把持部との間の距離が増大するのを防止するために、調節部と相互作用するように構成され得る。
【0043】
いくつかの例示的な実施形態において、原子力プラント内のひび割れた溶接部を構造的に代替する方法は、第1の把持部を備える第1の本体部と、第2の把持部を備える第2の本体部と、第1の本体部と第2の本体部との間の楔部と、調節部とを備える装置であって、第1の本体部が第2の本体部に摺動可能に係合するように構成され、楔部が、摺動可能に係合した第1および第2の本体部に第1の力を及ぼすように構成され、調節部が、摺動可能に係合した第1および第2の本体部に楔部によって及ぼす第1の力を増減させるように構成され、調節部が摺動可能に係合した第1および第2の本体部に楔部によって及ぼす第1の力を増大させると、第1の把持部と第2の把持部との間の距離が減少する、装置を得るステップ、ひび割れた溶接部を含む構造内のひび割れた溶接部の両側に、スロットであって、構造を完全に貫通しないスロットを形成するステップ、第1の把持部がひび割れた溶接部の第1の側の第1のスロット内に位置し、第2の把持部がひび割れた溶接部の第2の側の第2のスロット内に位置するように、構造の表面付近に装置を配置するステップ、および/または第1の把持部が第1のスロットを把持しかつ第2の把持部がひび割れた溶接部を構造的に代替する第2の力で第2のスロットを把持するまで第1の本体部と第2の本体部との間の距離を減少させるために、調節部を用いて、摺動可能に係合した第1および第2の本体部に楔部によって及ぼす第1の力を増大させるステップを含み得る。
【0044】
いくつかの例示的な実施形態において、方法は、ひび割れた溶接部から材料を除去するステップを含まなくてもよい。
【0045】
いくつかの例示的な実施形態において、方法は、ひび割れた溶接部周囲の溶接熱影響部から材料を除去するステップを含まなくてもよい。
【0046】
いくつかの例示的な実施形態において、スロットは、ひび割れた溶接部周囲の溶接熱影響部の外側に形成され得る。
【0047】
いくつかの例示的な実施形態において、原子力プラント内のひび割れた溶接部を構造的に代替する方法は、ひび割れた溶接部を含む構造内のひび割れた溶接部の両側に、スロットであって、構造を完全に貫通しないスロットを形成するステップ、構造の表面付近に、本体であって、第1の端部と、第2の端部と、第1の端部と第2の端部との間の部分とを備え、第1の端部が第1の把持部を備え、第2の端部が第2の把持部を備える、本体を配置するステップ、第1の把持部および第2の把持部が第1の距離だけ離間した非撓み状態から、第1の把持部および第2の把持部が第1の距離より大きい第2の距離だけ離間した撓み状態に、本体を変化させるステップ、第1の把持部がひび割れた溶接部の第1の側の第1のスロット内に位置し、第2の把持部がひび割れた溶接部の第2の側の第2のスロット内に位置するように、撓み状態にある本体を移動させるステップ、および/または第1の把持部が第1のスロットを把持し、第2の把持部が、ひび割れた溶接部を構造的に代替する力で第2のスロットを把持するように、撓み状態から非撓み状態に本体を変化させるステップを含み得る。
【0048】
いくつかの例示的な実施形態において、方法は、ひび割れた溶接部から材料を除去するステップを含まなくてもよい。
【0049】
いくつかの例示的な実施形態において、方法は、ひび割れた溶接部周囲の溶接熱影響部から材料を除去するステップを含まなくてもよい。
【0050】
いくつかの例示的な実施形態において、スロットは、ひび割れた溶接部周囲の溶接熱影響部の外側に形成され得る。
【0051】
いくつかの例示的な実施形態において、原子力プラント内のひび割れた溶接部を構造的に代替する方法は、第1の把持部を備える第1の本体部と、第2の把持部を備える第2の本体部と、調節部とを備える装置であって、第1の本体部が第2の本体部に摺動可能に係合するように構成され、調節部が、摺動可能に係合した第1および第2の本体部に第1の力を及ぼすように構成され、調節部が、摺動可能に係合した第1および第2の本体部に及ぼす第1の力を増減させるように更に構成され、調節部が摺動可能に係合した第1および第2の本体部に及ぼす第1の力を増大させると、第1の把持部と第2の把持部との間の距離が減少する、装置を得るステップ、ひび割れた溶接部を含む構造内のひび割れた溶接部の両側に、スロットであって、構造を完全に貫通しないスロットを形成するステップ、第1の把持部がひび割れた溶接部の第1の側の第1のスロット内に位置し、第2の把持部がひび割れた溶接部の第2の側の第2のスロット内に位置するように、構造の表面付近に装置を配置するステップ、および/または第1の把持部が第1のスロットを把持しかつ第2の把持部がひび割れた溶接部を構造的に代替する第2の力で第2のスロットを把持するまで第1の本体部と第2の本体部との間の距離を減少させるために、調節部を用いて、摺動可能に係合した第1および第2の本体部に及ぼす第1の力を増大させるステップを含み得る。
【0052】
いくつかの例示的な実施形態において、方法は、ひび割れた溶接部から材料を除去するステップを含まなくてもよい。
【0053】
いくつかの例示的な実施形態において、方法は、ひび割れた溶接部周囲の溶接熱影響部から材料を除去するステップを含まなくてもよい。
【0054】
いくつかの例示的な実施形態において、スロットは、ひび割れた溶接部周囲の溶接熱影響部の外側に形成され得る。
【0055】
上記のおよび/または他の態様および利点は、添付の図面と併せて解釈される以下の例示的な実施形態の詳細な説明からより明らかになりかつより容易に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【
図1】
図1は、従来技術のBWRにおけるRPVの一部を切り欠いた断面図である。
【
図2】
図2は、横方向シーム溶接部により、1つの溶接部が次の溶接部に互いに溶接された、縦方向シーム溶接部を有する、複数の外殻セクションを備える関連のBWR炉心シュラウドの内部の展開された方位図を示す概略図である。
【
図3A】
図3Aは、いくつかの例示的な実施形態による、溶接部付近の炉心シュラウドの外表面の準備前の炉心シュラウドの図である。
【
図3B】
図3Bは、いくつかの例示的な実施形態による、溶接部付近の炉心シュラウドの外表面の準備後の炉心シュラウドの図である。
【
図3C】
図3Cは、いくつかの例示的な実施形態による、炉心シュラウド、外表面、溶接部、およびスロットの斜視図である。
【
図3D】
図3Dは、いくつかの例示的な実施形態による、炉心シュラウド、外表面、溶接部、およびスロットの上面図である。
【
図4A】
図4Aは、いくつかの例示的な実施形態による、原子力プラント内のひび割れた溶接部を構造的に代替するように構成された装置の正面斜視図である。
【
図4B】
図4Bは、いくつかの例示的な実施形態による、原子力プラント内のひび割れた溶接部を構造的に代替するように構成された装置の背面斜視図である。
【
図4C】
図4Cは、いくつかの例示的な実施形態による非撓み状態および撓み状態にある本体の上面図である。
【
図4D】
図4Dは、いくつかの例示的な実施形態による、非撓み状態から撓み状態にまたは撓み状態から非撓み状態に本体を変化させる際に作業員を補助するように構成された工具の正面斜視図である。
【
図4E】
図4Eは、いくつかの例示的な実施形態による、原子力プラント内のひび割れた溶接部を構造的に代替するように構成された装置と嵌合された工具の正面斜視図である。
【
図4F】
図4Fは、いくつかの例示的な実施形態による、第1の把持部が第1のスロット内に位置し、第2の把持部が第2のスロット内に位置する、原子力プラント内のひび割れた溶接部を構造的に代替するように構成された装置と嵌合された工具の背面斜視図である。
【
図4G】
図4Gは、いくつかの例示的な実施形態による、非撓み状態から撓み状態にまたは撓み状態から非撓み状態に本体を変化させる際に作業員を補助するように構成された工具を回収した後の、原子力プラント内のひび割れた溶接部を構造的に代替するように構成された装置の背面斜視図である。
【
図4H】
図4Hは、縦方向シーム溶接部V3またはV4における、いくつかの例示的な実施形態による、原子力プラント内のひび割れた溶接部を構造的に代替するように構成された2つの装置の正面図である。
【
図4I】
図4Iは、縦方向シーム溶接部V5またはV6における、いくつかの例示的な実施形態による、原子力プラント内のひび割れた溶接部を構造的に代替するように構成された3つの装置の正面図である。
【
図5A】
図5Aは、いくつかの例示的な実施形態による、原子力プラント内のひび割れた溶接部を構造的に代替するように構成された装置の正面分解斜視図である。
【
図5C】
図5Cは、いくつかの例示的な実施形態による、原子力プラント内のひび割れた溶接部を構造的に代替するように構成された組み立てられた装置の正面斜視図である。
【
図5G】
図5Gは、いくつかの例示的な実施形態による、原子力プラント内のひび割れた溶接部を構造的に代替するように構成された組み立てられた装置の正面外観図である。
【
図5H】
図5H、第1の把持部が第1のスロット内に位置し、第2の把持部が第2のスロット内に位置する、
図5Gの組み立てられた装置の上面図である。
【
図5I】
図5Iは、いくつかの例示的な実施形態による、第1の把持部が第1のスロット内に位置し、第2の把持部が第2のスロット内に位置する、原子力プラント内のひび割れた溶接部を構造的に代替するように構成された組み立てられた装置の中心線に沿った断面図である。
【
図5K】
図5Kは、縦方向シーム溶接部における、いくつかの例示的な実施形態による、原子力プラント内のひび割れた溶接部を構造的に代替するように構成された3つの装置の正面図である。
【
図5M】
図5Mは、縦方向シーム溶接部における、いくつかの例示的な実施形態による、原子力プラント内のひび割れた溶接部を構造的に代替するように構成された2つの装置の正面図である。
【
図6A】
図6Aは、いくつかの例示的な実施形態による、原子力プラント内のひび割れた溶接部を構造的に代替するように構成された装置の正面分解斜視図である。
【
図6G】
図6Gは、いくつかの例示的な実施形態による、原子力プラント内のひび割れた溶接部を構造的に代替するように構成された組み立てられた装置の正面斜視図である。
【
図6I】
図6Iは、第1の把持部が第1のスロット内に位置し、第2の把持部が第2のスロット内に位置する、
図6Gの組み立てられた装置の正面斜視図である。
【
図7】
図7は、いくつかの例示的な実施形態による、原子力プラント内のひび割れた溶接部を構造的に代替する第1の方法を示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、いくつかの例示的な実施形態による、原子力プラント内のひび割れた溶接部を構造的に代替する第2の方法を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、いくつかの例示的な実施形態による、原子力プラント内のひび割れた溶接部を構造的に代替する第3の方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0057】
ここで、添付の図面を参照しながら、例示的な実施形態をより完全に説明する。しかしながら、実施形態は、多くの異なる形態で具体化することができ、本明細書に明記する実施形態に限定されると解釈されるべきではない。むしろ、これらの例示的な実施形態は、本開示が綿密かつ完全なものであり、当業者に本発明の範囲を完全に伝えるために提供されている。図面において、層や領域の厚さは、明確さのために誇張されている。
【0058】
ある要素が別の構成要素の「上にある」、これに「接続される」、「電気的に接続される」、または「結合される」と称される場合には、ある要素が他の構成要素の直上にあり得る、これに接続され得る、電気的に接続され得る、もしくは結合され得るまたは、介在する構成要素が存在し得ることが理解されるであろう。対照的に、ある構成要素が別の構成要素の「直上にある」、これに「直接接続される」、「直接電気的に接続される」、または「直接連結される」と称される場合には、介在する構成要素は存在しない。本明細書で使用する場合、「および/または」という用語は、関連する列挙された項目のうちの1つまたは複数の任意およびすべての組み合わせを含む。
【0059】
本明細書では、種々の要素、構成要素、領域、層、および/またはセクションを説明するために第1の、第2の、第3のなどの用語を使用する場合があるが、これらの要素、構成要素、領域、層、および/またはセクションはこれらの用語により限定されるべきではないことが理解されるであろう。これらの用語は、単に、ある要素、構成要素、領域、層、および/またはセクションを別の要素、構成要素、領域、層、および/またはセクションと区別するために使用されるに過ぎない。第1の要素、構成要素、領域、層、および/またはセクションを、例えば、例示的な実施形態の教示から逸脱することなく、第2の要素、構成要素、領域、層、および/またはセクションと称することができる。
【0060】
「真下に(beneath)」、「下方に(below)」、「下側の(lower)」、「上方に(above)」、「上側の(upper)」などの空間的な相対用語は、図面に示されるような、ある構成要素および/または特徴と別の構成要素および/または特徴、あるいは他の構成要素(複数可)および/または特徴(複数可)との関係を述べる説明を容易にするために本明細書で使用され得る。これらの空間的な相対用語は、図に示す向きに加えて、使用または動作の際のデバイスの様々な向きを包含するように意図されていることが理解されるであろう。
【0061】
本明細書で使用する専門用語は、特定の例示的な実施形態のみを説明するためのものであり、例示的な実施形態を限定するようには意図されていない。本明細書で使用する場合、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈から明らかにそうでないとわかる場合を除き、複数形も含むように意図されている。「備える(comprises)」、「備えている(comprising)」、「含む(includes)」、および/または「含んでいる(including)」という用語は、本明細書で使用する場合、記載される特徴、数字、ステップ、動作、要素、および/または構成要素の存在を明示するが、1つまたは複数の他の特徴、数字、ステップ、動作、要素、構成要素、および/またはこれらの群の存在または追加を除外するものではないことが更に理解されるであろう。
【0062】
他に定義されない限り、本明細書で使用するすべての用語(技術的および科学的用語を含む)は、例示的な実施形態が属する技術分野の当業者により一般に理解されるのと同じ意味を有する。一般に使用される辞書で定義されるような用語は、関連技術の文脈においてそれらの意味と一致する意味を有するものとして解釈されるべきであり、本明細書において明示的に定義されない限り、理想化された意味または過度に形式的な意味に解釈されるべきではないことが更に理解されるであろう。
【0063】
「照射緩和」という用語は、電離放射線、特に原子力プラント内における中性子フルエンスに曝露されることに起因した対応する金属の応力緩和を意味する。
【0064】
「構造的に代替する」という用語は、元々の荷重支持部材が担っていたすべての機械的荷重を負担することを意味する。
【0065】
「熱締付け」という用語は、第2の熱膨張係数がより高い場合に、第1の熱膨張係数を有する第1の本体が第2の熱膨張係数を有する第2の本体の外側にあることを意味する。第1および第2の本体が加熱されると、第2の本体が第1の本体より膨張し、第1の本体にその動きを拘束させるが、第2の本体の基準のフレームから、第1の本体が第2の本体に対して堅く締まる。
【0066】
「溶接熱影響部」という用語は、溶接により微細構造および特性が変化した金属の領域を意味する。
【0067】
ここで、添付の図面に図示される例示的な実施形態を参照するが、これら図面では、全体を通して類似の参照符号が類似の構成要素を指す場合がある。
【0068】
図3Aは、いくつかの例示的な実施形態による、溶接部302c付近の炉心シュラウド300の外表面302aおよび302bの準備前の炉心シュラウド300の図である。
図3Bは、いくつかの例示的な実施形態による、溶接部302c付近の炉心シュラウド300の外表面302aおよび302bの準備後の炉心シュラウド300の図である。
【0069】
図3Aは、入口ライザ306と、ライザブレース308と、左側の移行部品310と、左側の二次入口開口部312と、左側の入口ミキサ314とを含む、ジェットポンプ組立体304を示している。ジェットポンプ組立体304の対応する右側の移行部品、右側の二次入口開口部、および右側の入口ミキサは、溶接部302c付近の炉心シュラウド300の外表面302a、302bへのアクセスを容易にするために除去され得る。炉心シュラウド300に関連するタイロッドは、溶接部302c付近の炉心シュラウド300の外表面302aへのアクセスを容易にするために除去され得るが、本出願の装置および方法は、タイロッドが適所に留まることを可能にし得る。
図3Aはまた、入口ライザ318と、ライザブレース320と、右側の移行部品322と、右側の二次入口開口部324と、右側の入口ミキサ326とを含む、ジェットポンプ組立体316を示している。ジェットポンプ組立体304の対応する左側の移行部品、左側の二次入口開口部、および左側の入口ミキサは、溶接部302c付近の炉心シュラウド300の外表面302a、302bへのアクセスを容易にするために除去され得る。炉心シュラウド300に関連するタイロッドは、溶接部302c付近の炉心シュラウド300の外表面302bへのアクセスを容易にするために除去され得るが、本出願の装置および方法は、タイロッドが適所に留まることを可能にし得る。
【0070】
図3Aと同様に、
図3Bは、入口ライザ306と、ライザブレース308と、左側の移行部品310と、左側の二次入口開口部312と、左側の入口ミキサ314とを含む、ジェットポンプ組立体304を示している。ジェットポンプ組立体304の対応する右側の移行部品、右側の二次入口開口部、および右側の入口ミキサは、溶接部302c付近の炉心シュラウド300の外表面302a、302bへのアクセスを容易にするために除去され得る。炉心シュラウド300に関連するタイロッドは、溶接部302c付近の炉心シュラウド300の外表面302aへのアクセスを容易にするために除去され得るが、本出願の装置および方法は、タイロッドが適所に留まることを可能にし得る。
図3Aと同様に、
図3Bはまた、入口ライザ318と、ライザブレース320と、右側の移行部品322と、右側の二次入口開口部324と、右側の入口ミキサ326とを含む、ジェットポンプ組立体316を示している。ジェットポンプ組立体304の対応する左側の移行部品、左側の二次入口開口部、および左側の入口ミキサは、溶接部302c付近の炉心シュラウド300の外表面302a、302bへのアクセスを容易にするために除去され得る。炉心シュラウド300に関連するタイロッドは、溶接部302c付近の炉心シュラウド300の外表面302bへのアクセスを容易にするために除去され得るが、本出願の装置および方法は、タイロッドが適所に留まることを可能にし得る。
【0071】
加えて、
図3Bは、溶接部302c付近の炉心シュラウド300の外表面302aおよび302bへの準備作業の例を示している。1つまたは複数のスロット328は、溶接部302c付近の炉心シュラウド300の外表面302aに形成され得る。同様に、1つまたは複数のスロット330は、溶接部302c付近の炉心シュラウド300の外表面302bに形成され得る。
【0072】
図3Cは、いくつかの例示的な実施形態による、炉心シュラウド300、外表面302a、302b、溶接部302c、およびスロット328、330の斜視図である。
図3Dは、いくつかの例示的な実施形態による、炉心シュラウド300、外表面302a、302b、溶接部302c、およびスロット328、330の上面図である。
【0073】
図3Cおよび
図3Dに示すように、1つまたは複数のスロット328および1つまたは複数のスロット330は、構造炉心シュラウド300を完全に貫通することに関連する潜在的に不利な効果を回避するために、これを完全に貫通しなくてもよい。炉心シュラウド300の厚さは、例えば、約1.5インチから約2.0インチであり得る。1つまたは複数のスロット328および1つまたは複数のスロット330の深さは、例えば、最大で炉心シュラウド300の厚さの90%までであり得る。1つまたは複数のスロット328および1つまたは複数のスロット330の深さは、例えば、炉心シュラウド300の厚さの50%以上から炉心シュラウド300の厚さの70%以下であり得る。
【0074】
1つまたは複数のスロット328および1つまたは複数のスロット330は、放電加工(「EDM」)などの、PHOSITAに知られている技術を用いて形成され得る。いくつかの例示的な実施形態において、本出願の装置および方法の性能は、このような成形技術の品質および精度(例えば、位置精度および適切な向き)を高めることにより改善され得る。
【0075】
図3B、
図3Dに示すように、各スロット328はスロット330に対応し得、各スロット330はスロット328に対応し得る。特定の形状に限定されるものではないが、1つまたは複数のスロット328に関連する体積は、直方体の体積に近似し得る。同様に、特定の形状に限られるものではないが、1つまたは複数のスロット330に関連する体積は、直方体の体積に近似し得る。直方体の大きさは、例えば、幅が約3インチ、高さが約7インチ、そして深さが約1インチであり得る。しかしながら、スケーラビリティのために、これらの寸法の1つまたは複数が、それらの値より大きくまたは小さくなる可能性がある。加えて、上述のように、1つまたは複数のスロット328および1つまたは複数のスロット330は、特定の形状に限定されるものではない。
【0076】
溶接部302cにより近接する1つまたは複数のスロット328の縁部は、溶接部302cに実質的に平行であり得る。同様に、溶接部302cにより近接する1つまたは複数のスロット330の縁部は、溶接部302cに実質的に平行であり得る。
【0077】
溶接部302cにより近接する1つまたは複数のスロット328の縁部は、溶接部302cにより近接する1つまたは複数のスロット330の縁部に実質的に平行であり得る。1つまたは複数のスロット328は、1つまたは複数のスロット330に実質的に平行であり得る。溶接部302cから1つもしくは複数のスロット328または1つもしくは複数のスロット330までの距離は、例えば、約3インチ以上から約5インチ以下であり得る。
【0078】
溶接部302cにより近接する1つまたは複数のスロット328の縁部は、外表面302aに対して実質的に垂直であり得る。溶接部302cにより近接する1つまたは複数のスロット328の縁部は、外表面302aにない1つまたは複数のスロット328の少なくとも一部が外表面302aにおける1つまたは複数のスロット328の縁部より溶接部302cに近接するように、アンダーカットされ得る。いくつかの例示的な実施形態において、本出願の装置および方法の性能は、このようなアンダーカットにより改善され得る。
【0079】
1つまたは複数のスロット328は、1つまたは複数のスロット330に対して所定の角度で位置し得る(例えば、ダブテールの関係を形成する)。角度は、例えば、約5°以上から約20°以下であり得る。角度は、例えば、約10°であり得る。この角度関係は、EDM技術により生じ得る。この角度関係はまた、例えば、溶接部302c付近の炉心シュラウド300の外表面302a、302bの曲率により生じ得る。加えて、この角度関係は、例えば、湾曲表面または円筒表面に対するEDMの半径方向の向きにより生じ得る。いくつかの例示的な実施形態において、本出願の装置および方法の性能は、この角度関係により改善され得る。
【0080】
図4Aは、いくつかの例示的な実施形態による、原子力プラント内のひび割れた溶接部を構造的に代替するように構成された装置400の正面斜視図である。
図4Bは、いくつかの例示的な実施形態による装置400の背面斜視図である。
【0081】
装置400は本体402を備え得る。本体402は、ばねクランプとして働くように構成され得る。
【0082】
本体402は金属を含み得る。金属の熱膨張係数は、炉心シュラウド300の材料に関連する熱膨張係数未満であり得る。したがって、原子力プラントを、例えば、通常の運転温度まで加熱すると、この熱膨張係数の差により、炉心シュラウド300に対する本体402の熱締付けが生じ得る。金属は、例えば、XM19ステンレス鋼、600番台のインコネル(例えば、600、617、625、もしくは690)、700番台のインコネル(例えば、718もしくはX750)または同等物であり得る。
【0083】
本体402は、第1の端部404と、第2の端部406と、第1の端部404と第2の端部406との間の部分408とを備え得る。第1の端部404は、第1の把持部410を備え得る。第2の端部406は、第2の把持部412を備え得る。部分408は、非撓み状態から撓み状態にまたは撓み状態から非撓み状態に本体402を変化させる際に作業員を補助するように構成されたセクション414を備え得る。
【0084】
本体402は、非撓み状態から撓み状態にまたは撓み状態から非撓み状態に本体402を変化させる際に作業員を補助するように、工具(図示せず)が本体402に係合できるように構成されたアクセス孔416を更に備え得る。
【0085】
図4Cは、いくつかの例示的な実施形態による非撓み状態418および撓み状態420にある本体402の上面図である。本体402が非撓み状態418にあるときに、第1の把持部410および第2の把持部412は、第1の距離d1だけ離間し得る。本体402が撓み状態420にあるときに、第1の把持部410および第2の把持部412は、第2の距離d2だけ離間し得る。第2の距離d2は、第1の距離d1より大きくてもよい。
【0086】
本体402が非撓み状態418にあるときに、本体402は第1の形状を有し得る。本体402が撓み状態420にあるときに、本体402は第2の形状を有し得る。第1の形状は、第2の形状より湾曲していてもよい。
【0087】
本体402が撓み状態420にあるときに、第1の把持部410は、溶接部302c(例えば、ひび割れた溶接部)付近の炉心シュラウド300の外表面302aに形成されたスロット328内に入るように構成され得、第2の把持部412は、溶接部302c付近の炉心シュラウド300の外表面302bに形成されたスロット330内に入るように構成され得る。本体402が非撓み状態418にあるときに、第1の把持部410はスロット328を把持するように構成され得、第2の把持部412はスロット330を把持するように構成され得、溶接部302cが圧縮される。
【0088】
図4Dは、いくつかの例示的な実施形態による、非撓み状態418から撓み状態420にまたは撓み状態420から非撓み状態418に本体402を変化させる際に作業員を補助するように構成された工具422の正面斜視図である。
図4Eは、いくつかの例示的な実施形態による装置400と嵌合された工具422の正面斜視図である。
図4Fは、いくつかの例示的な実施形態による、第1の把持部410がスロット328内に位置し、第2の把持部412がスロット330内に位置する、装置400と嵌合された工具422の背面斜視図であり(
図4Fにおいて、セクション414は、溶接部302cと接触していてもいなくてもよい)、および
図4Gは、いくつかの例示的な実施形態による、第1の把持部410がスロット328内に位置し、第2の把持部412がスロット330内に位置する、工具422を回収した後の装置400の背面斜視図である(
図4Gにおいて、セクション414は、溶接部302cと接触していてもいなくてもよい)。
【0089】
工具422は、本体424と、アクチュエータ426と、第1のアーム428と、第2のアーム430とを含み得る。工具422は、アクセス孔416を用いて装置400と嵌合するように構成され得る。アクチュエータ426(例えば、脱イオン水を用いた液圧アクチュエータ)は、第1の端部404に係合する第1のアーム428と、第2の端部406に係合する第2のアーム430とを使用し得る。アクチュエータ426に液圧動力を加えることにより、第1のアーム428および第2のアーム430が、非撓み状態418から撓み状態420に本体402を変化させ得る。セクション414を炉心シュラウド300に対して押し付けることにより、非撓み状態418から撓み状態420に本体402を変化させる際に得られる機械的利点が増大し得る。
【0090】
PHOSITAであれば理解するように、工具422は、業界標準機器により遠隔操作され得る(例えば、整備用プラットホームから作業員により使用されるハンドリングポールに取り付けられ得る)。更にPHOSITAであれば理解するように、工具422は、業界標準機器により液圧駆動され得る。加えて、PHOSITAであれば理解するように、工具422は、装置400の材料の降伏強度を超えるほど装置400を撓ませるべきではない。
【0091】
図4Hは、縦方向シーム溶接部V3またはV4における、いくつかの例示的な実施形態による、原子力プラント内のひび割れた溶接部を構造的に代替するように構成された2つの装置400の正面図であり、
図4Iは、縦方向シーム溶接部V5またはV6における、いくつかの例示的な実施形態による、原子力プラント内のひび割れた溶接部を構造的に代替するように構成された3つの装置400の正面図である。
【0092】
いくつかの例示的な実施形態によれば、装置400は、大きさおよび加える力の量において変更可能であり得る。したがって、使用する装置400の大きさと使用する装置400の数との間にはトレードオフが存在し得る(例えば、より少ない大きい装置400対より多くの小さい装置400)。PHOSITAであれば理解するように、多くのファクタは、休止期間の長さ、クリティカルパスの考慮、溶接部302cなどへのアクセスに対する物理的な制限などのような決定に関わり得る。
【0093】
いくつかの例示的な実施形態によれば、装置400は、簡単に設置され、取り外され、交換され、または検査され得る。いくつかの例示的な実施形態によれば、装置400は、単一部品構成を有し得る。
【0094】
いくつかの例示的な実施形態によれば、装置400は、照射緩和および熱締付けなどのファクタを考慮に入れて、振動に起因する損傷を防止するために予荷重がかけられ得る。いくつかの例示的な実施形態によれば、装置400は、通常の、異常な、および冷却材喪失事故(「LOCA」)時のフープ応力などのフープ応力を考慮して予荷重がかけられ得る。いくつかの例示的な実施形態によれば、装置400は、通常の、異常な、およびLOCA時の差圧などの、炉心シュラウド300前後の圧力差を考慮して予荷重がかけられ得る。
【0095】
図5Aは、いくつかの例示的な実施形態による、原子力プラント内のひび割れた溶接部を構造的に代替するように構成された装置500の正面斜視図であり、
図5Bは、
図5Aの装置500の外観図である。
【0096】
装置500は、第1の本体部502と、第2の本体部504と、調節部506とを備え得る。装置500は、(例えば、燃料交換フロア上に)設置される前に予め組み立てられ得、そのプロセスを簡略化する。装置500は、自動位置合わせクランプとして働くように構成され得る。
【0097】
第1の本体部502は、第1の把持部508を備え得る。第2の本体部504は、第2の把持部510を備え得る。第1の本体部502は、第2の本体部504に摺動可能に係合するように構成され得る。
【0098】
調節部506は、摺動可能に係合した第1の本体部502および第2の本体部504に力を及ぼすように構成され得る。調節部506は、摺動可能に係合した第1の本体部502および第2の本体部504に及ぼす力を増減させるように更に構成され得る。調節部506が摺動可能に係合した第1の本体部502および第2の本体部504に及ぼす力を増大させると、第1の把持部508と第2の把持部510との間の距離が減少し得、溶接部302cが圧縮される(ひび割れた溶接部を構造的に代替するために装置500が使用されていると考えられる)。
【0099】
第1の把持部508は、溶接部302c(例えば、ひび割れた溶接部)付近の炉心シュラウド300の外表面302aに形成されたスロット328内に入るように構成され得、第2の把持部510は、溶接部302c付近の炉心シュラウド300の外表面302bに形成されたスロット330内に入るように構成され得る。調節部506が、摺動可能に係合した第1の本体部502および第2の本体部504に力を及ぼすときに、第1の把持部508はスロット328を把持するように構成され得、第2の把持部510はスロット330を把持するように構成され得、溶接部302cが圧縮される。
【0100】
調節部506は、第1の本体部502と第2の本体部504との間の距離が増大するのを防止するように更に構成され得る。このような保持機能部は、例えば、ディテント機構、係止タブ、ピン、またはラチェット機構を含み得る。
【0101】
調節部506は、スタッド512とナット514とを備え得る。スタッド512は、第1の端部516と第2の端部518とを備え得る。スタッド512の第1の端部516は、第1の本体部502におけるアクセス孔520に嵌るように構成され得る。スタッド512の第1の端部516は、ナット514と相互作用するように更に構成され得る。例えば、スタッド512は、ナット514と嵌合するように、第1の端部516付近にねじ山が付けられ得る。ナット514を締め付けることにより、ナット514を通して第1の端部516を引き寄せることができ、第1の把持部508と第2の把持部510が互いに接近移動するか、または第1の把持部508が既にスロット328を把持しており、第2の把持部510が既にスロット330を把持している場合には、溶接部302cが圧縮される。
【0102】
アクセス孔520は、第1の本体部502と第2の本体部504が互いに真っ直ぐに整列していないときに第1の本体部502と第2の本体部504の摺動可能な係合を可能にするために、ナット514と相互作用するように構成され得る。この自動位置合わせ機能部は、例えば、アクセス孔520が実質的に球状の座部を提供しかつナット514が対応する実質的に球状のボールを提供する、ボールと座部の配置を含み得る。この自動位置合わせ機能部により、1つまたは複数のスロット328および1つまたは複数のスロット330に対する成形技術の品質および精度への依存を減らすことができる。
【0103】
スタッド512の第2の端部518は、第2の本体部504におけるアクセス孔522に嵌るように構成され得る。第1の本体部502と第2の本体部504を摺動可能に係合させたときに、スタッド512の第2の端部518は、第2の本体部504に対するスタッド512の回転を防止するために、アクセス孔522と相互作用し得る。
【0104】
装置500は保持部516を更に備え得る。保持部516は、第1の本体部502と第2の本体部504との間の距離が増大するのを防止するために、ナット514と相互作用するように構成され得る。このような保持機能部は、例えば、ディテント機構、係止タブ、ピン、またはラチェット機構を含み得る。
【0105】
図5Cは、いくつかの例示的な実施形態による、原子力プラント内のひび割れた溶接部を構造的に代替するように構成された組み立てられた装置500の正面斜視図であり、
図5Dは、
図5Cの組み立てられた装置500の別の正面斜視図であり、
図5Eは、
図5Cの組み立てられた装置500の上面図であり、また
図5Fは、
図5Cの組み立てられた装置500の背面斜視図である。
【0106】
図5Gは、いくつかの例示的な実施形態による、原子力プラント内のひび割れた溶接部を構造的に代替するように構成された組み立てられた装置500の正面斜視外観図であり、また
図5Hは、第1の把持部508がスロット328内に位置し、第2の把持部510がスロット330内に位置する、
図5Gの組み立てられた装置500の上面図である。
【0107】
図5Iは、いくつかの例示的な実施形態による、第1の把持部508がスロット328内に位置し、第2の把持部510がスロット330内に位置する、原子力プラント内のひび割れた溶接部を構造的に代替するように構成された組み立てられた装置500の中心線に沿った断面図である。および
図5Jは、
図5Iの組み立てられた装置500の中心線に沿った別の断面図である。
【0108】
図5Kは、縦方向シーム溶接部V5またはV6における、いくつかの例示的な実施形態による、原子力プラント内のひび割れた溶接部を構造的に代替するように構成された3つの装置500の正面図であり、また
図5Lは、
図5Kの3つの装置500の外観図である。タイロッド524は、
図5Kと
図5Lで視認可能である。
【0109】
図5Mは、縦方向シーム溶接部V3またはV4における、いくつかの例示的な実施形態による、原子力プラント内のひび割れた溶接部を構造的に代替するように構成された2つの装置500の正面図である。
図5Nは、
図5Mの2つの装置500を下方から見た図であり、また
図5Oは、
図5Kの3つの装置500を下方から見た図である。
【0110】
PHOSITAであれば理解するように、装置500は、業界標準機器を用いて遠隔設置され得る(例えば、整備用プラットホームから作業員により使用されるハンドリングポールに取り付けられ、遠隔操作具を用いて締め付けられ得る)。
【0111】
いくつかの例示的な実施形態によれば、装置500は、大きさおよび加える力の量において変更可能であり得る。したがって、使用する装置500の大きさと使用する装置500の数との間にはトレードオフが存在し得る(例えば、より少ない大きい装置500対より多くの小さい装置500)。PHOSITAであれば理解するように、多くのファクタは、休止期間の長さ、クリティカルパスの考慮、溶接部302cなどへのアクセスに対する物理的な制限などのような決定に関わり得る。
【0112】
いくつかの例示的な実施形態によれば、装置500は、簡単に設置され、取り外され、交換され、または検査され得る。いくつかの例示的な実施形態によれば、装置500は、炉心シュラウド300に関連するタイロッドが取り外されないとしても、溶接部302cへのアクセス性を高めるために、(例えば、設置されたときに、炉心シュラウド300から約4インチを超えて突出しない)薄型の外形(low profile)を有し得る。
【0113】
いくつかの例示的な実施形態によれば、装置500は、照射緩和および熱締付けなどのファクタを考慮に入れて、振動に起因する損傷を防止するために予荷重がかけられ得る。いくつかの例示的な実施形態によれば、装置500は、通常の、異常な、およびLOCA時のフープ応力などのフープ応力を考慮して予荷重がかけられ得る。いくつかの例示的な実施形態によれば、装置500は、通常の、異常な、およびLOCA時の差圧などの、炉心シュラウド300前後の圧力差を考慮して予荷重がかけられ得る。
【0114】
図6Aは、いくつかの例示的な実施形態による、原子力プラント内のひび割れた溶接部を構造的に代替するように構成された装置600の正面分解斜視図である。
【0115】
装置600は、第1の本体部602と、第2の本体部604と、第1の本体部602と第2の本体部604との間の楔部606と、調節部608とを備え得る。装置600は、(例えば、燃料交換フロア上に)設置される前に予め組み立てられ得、そのプロセスを簡略化する。装置600は、楔型クランプとして働くように構成され得る。
【0116】
第1の本体部602は、第1の把持部610を備え得る。第2の本体部604は、第2の把持部612を備え得る。第1の本体部602は、第2の本体部604に摺動可能に係合するように構成され得る。
【0117】
楔部606は、摺動可能に係合した第1の本体部602および第2の本体部604に力を及ぼすように構成され得る。調節部608は、摺動可能に係合した第1の本体部602および第2の本体部604に楔部606によって及ぼす力を増減させるように更に構成され得る。調節部608が摺動可能に係合した第1の本体部602および第2の本体部604に楔部606によって及ぼす力を増大させると、第1の把持部610と第2の把持部612との間の距離が減少し得、溶接部302cが圧縮される(ひび割れた溶接部を構造的に代替するために装置600が使用されていると考えられる)。
【0118】
調節部608は、楔部606の端部付近で働き得る(例えば、楔部606はねじ付き端部を有し得、調節部608はナットであり得る)。ナットを締め付けることにより、摺動可能に係合した第1の本体部602および第2の本体部604を通して楔部606を引き寄せることができ、第1の把持部610と第2の把持部612が互いに接近移動するか、または第1の把持部610が既にスロット328を把持しており、第2の把持部612が既にスロット330を把持している場合には、溶接部302cが圧縮される。
【0119】
調節部608は、第1の把持部610と第2の把持部612との間の距離が増大するのを防止するように更に構成され得る。
【0120】
便宜上、調節部608は、操作具を調節部608に嵌合するプロセスを簡略化するために、縦向きに配置され得る(例えば、操作具は、調節部608より上の整備用プラットホームから作業員により使用されるハンドリングポールに取り付けられ得る)。
【0121】
装置600は保持部614を更に備え得る。保持部614は、第1の把持部610と第2の把持部612との間の距離が増大するのを防止するために、調節部608と相互作用するように構成され得る。
【0122】
【0123】
図6Gは、いくつかの例示的な実施形態による、原子力プラント内のひび割れた溶接部を構造的に代替するように構成された組み立てられた装置600の正面斜視図であり、
図6Hは、
図6Gの組み立てられた装置600の背面斜視図であり、
図6Iは、第1の把持部610がスロット328内に位置し、第2の把持部612がスロット330内に位置する、
図6Gの組み立てられた装置600の正面斜視図であり、
図6Jは、
図6Iの組み立てられた装置600の正面斜視外観図であり、
図6Kは、
図6Iの組み立てられた装置600の上面図であり、また
図6Lは、
図6Iの組み立てられた装置600の底面外観図である。
【0124】
いくつかの例示的な実施形態によれば、装置600は、大きさおよび加える力の量において変更可能であり得る。したがって、使用する装置600の大きさと使用する装置600の数との間にはトレードオフが存在し得る(例えば、より少ない大きい装置600対より多くの小さい装置600)。PHOSITAであれば理解するように、多くのファクタは、休止期間の長さ、クリティカルパスの考慮、溶接部302cなどへのアクセスに対する物理的な制限などのような決定に関わり得る。
【0125】
いくつかの例示的な実施形態によれば、装置600は、簡単に設置され、取り外され、交換され、または検査され得る。いくつかの例示的な実施形態によれば、装置600は、炉心シュラウド300に関連するタイロッドが取り外されないとしても、溶接部302cへのアクセス性を高めるために、(例えば、設置されたときに、炉心シュラウド300から約4インチまたは約100ミリメートルを超えて突出しない)薄型の外形を有し得る。
【0126】
いくつかの例示的な実施形態によれば、装置600は、照射緩和および熱締付けなどのファクタを考慮に入れて、振動に起因する損傷を防止するために予荷重がかけられ得る。いくつかの例示的な実施形態によれば、装置600は、通常の、異常な、およびLOCA時のフープ応力などのフープ応力を考慮して予荷重がかけられ得る。いくつかの例示的な実施形態によれば、装置600は、通常の、異常な、およびLOCA時の差圧などの、炉心シュラウド300前後の圧力差を考慮して予荷重がかけられ得る。
【0127】
図7は、いくつかの例示的な実施形態による、原子力プラント内のひび割れた溶接部を構造的に代替する方法を示すフローチャートである。
【0128】
図7に示すように、原子力プラント内のひび割れた溶接部を構造的に代替する方法は、第1の把持部を備える第1の本体部と、第2の把持部を備える第2の本体部と、第1の本体部と第2の本体部との間の楔部と、調節部とを備える装置であって、第1の本体部が第2の本体部に摺動可能に係合するように構成され、楔部が、摺動可能に係合した第1および第2の本体部に第1の力を及ぼすように構成され、調節部が、摺動可能に係合した第1および第2の本体部に楔部によって及ぼす第1の力を増減させるように構成され、調節部が摺動可能に係合した第1および第2の本体部に楔部によって及ぼす第1の力を増大させると、第1の把持部と第2の把持部との間の距離が減少する、装置を得るステップ(S700)と、ひび割れた溶接部を含む構造内のひび割れた溶接部の両側に、スロットであって、構造を完全に貫通しないスロットを形成するステップ(S702)と、第1の把持部がひび割れた溶接部の第1の側の第1のスロット内に位置し、第2の把持部がひび割れた溶接部の第2の側の第2のスロット内に位置するように、構造の表面付近に装置を配置するステップ(S704)と、第1の把持部が第1のスロットを把持しかつ第2の把持部がひび割れた溶接部を構造的に代替する第2の力で第2のスロットを把持するまで第1の本体部と第2の本体部との間の距離を減少させるために、調節部を用いて、摺動可能に係合した第1および第2の本体部に楔部によって及ぼす第1の力を増大させるステップ(S706)とを含み得る。
【0129】
図8は、いくつかの例示的な実施形態による、原子力プラント内のひび割れた溶接部を構造的に代替する方法を示すフローチャートである。
【0130】
図8に示すように、原子力プラント内のひび割れた溶接部を構造的に代替する方法は、ひび割れた溶接部を含む構造内のひび割れた溶接部の両側に、スロットであって、構造を完全に貫通しないスロットを形成するステップ(S800)と、構造の表面付近に、本体であって、第1の端部と、第2の端部と、第1の端部と第2の端部との間の部分とを備え、第1の端部が第1の把持部を備え、第2の端部が第2の把持部を備える本体を配置するステップ(S802)と、第1の把持部および第2の把持部が第1の距離だけ離間した非撓み状態から、第1の把持部および第2の把持部が第1の距離より大きい第2の距離だけ離間した撓み状態に、本体を変化させるステップ(S804)と、第1の把持部がひび割れた溶接部の第1の側の第1のスロット内に位置し、第2の把持部がひび割れた溶接部の第2の側の第2のスロット内に位置するように、撓み状態にある本体を移動させるステップ(S806)と、第1の把持部が第1のスロットを把持し、第2の把持部が、ひび割れた溶接部を構造的に代替する力で第2のスロットを把持するように、撓み状態から非撓み状態に本体を変化させるステップ(S808)とを含み得る。
【0131】
図9は、いくつかの例示的な実施形態による、原子力プラント内のひび割れた溶接部を構造的に代替する方法を示すフローチャートである。
図9に示すように、原子力プラント内のひび割れた溶接部を構造的に代替する方法は、第1の把持部を備える第1の本体部と、第2の把持部を備える第2の本体部と、調節部とを備える装置であって、第1の本体部が第2の本体部に摺動可能に係合するように構成され、調節部が、摺動可能に係合した第1および第2の本体部に第1の力を及ぼすように構成され、調節部が、摺動可能に係合した第1および第2の本体部に及ぼす第1の力を増減させるように更に構成され、調節部が摺動可能に係合した第1および第2の本体部に及ぼす第1の力を増大させると、第1の把持部と第2の把持部との間の距離が減少する、装置を得るステップ(900)と、ひび割れた溶接部を含む構造内のひび割れた溶接部の両側に、スロットであって、構造を完全に貫通しないスロットを形成するステップ(902)と、第1の把持部がひび割れた溶接部の第1の側の第1のスロット内に位置し、第2の把持部がひび割れた溶接部の第2の側の第2のスロット内に位置するように、構造の表面付近に装置を配置するステップ(904)と、第1の把持部が第1のスロットを把持しかつ第2の把持部がひび割れた溶接部を構造的に代替する第2の力で第2のスロットを把持するまで第1の本体部と第2の本体部との間の距離を減少させるために、調節部を用いて、摺動可能に係合した第1および第2の本体部に及ぼす第1の力を増大させるステップ(906)とを含み得る。
【0132】
PHOSITAであれば理解するように、本出願のひび割れた溶接部を構造的に代替する装置および方法について炉心シュラウド300を参照して概説してきたが、本出願のひび割れた溶接部を構造的に代替する装置および方法は、原子力プラント内の他の構成要素にも、また原子力プラント内にない他の構成要素にも適用可能である。
【0133】
特に例示的な実施形態を示しかつ説明してきたが、当業者であれば、以下の特許請求の範囲により定義される本発明の精神および範囲から逸脱することなく、形態または細部に種々の変更を加えることができることを理解するであろう。
【符号の説明】
【0134】
100…原子炉圧力容器、RPV、102…炉心、104…給水入口、106…給水スパージャ、108…下降管円環、100…RPV、110…炉心シュラウド、112…燃料束集合体、燃料集合体、114…上部ガイド、116…炉心板、118…炉心下部プレナム、120…炉心上部プレナム、122…シュラウドヘッド、124…スタンドパイプ、126…汽水分離器、128…混合プレナム、130…蒸気乾燥器、132…蒸気ドーム、134…蒸気出口、136…再循環水出口、138…ジェットポンプ組立体、140…再循環水入口、142…入口ミキサ、ミキサ、144…エルボ、146…入口ライザ、148…ディフューザ、200…炉心シュラウド、202a…第1の外殻セクション、202b…第1の外殻セクション、204a…第2の外殻セクション、204b…第2の外殻セクション、206a…第3の外殻セクション、206b…第3の外殻セクション、208a…第4の外殻セクション、208b…第4の外殻セクション、210a…第5の外殻セクション、210b…第5の外殻セクション、210c…第5の外殻セクション、212a…シュラウド支持体、212b…シュラウド支持体、212c…シュラウド支持体、214…シュラウド支持板、216…炉心板支持リング、218…上部ガイド支持リング、220…シュラウドフランジ、300…炉心シュラウド、302a…外表面、302b…外表面、302c…溶接部、304…ジェットポンプ組立体、306…入口ライザ、308…ライザブレース、310…移行部品、312…二次入口開口部、314…入口ミキサ、316…ジェットポンプ組立体、318…入口ライザ、320…ライザブレース、322…移行部品、324…二次入口開口部、326…入口ミキサ、328…スロット、330…スロット、400…装置、402…本体、404…第1の端部、406…第2の端部、408…部分、410…第1の把持部、412…第2の把持部、414…セクション、416…アクセス孔、418…非撓み状態、420…撓み状態、422…工具、424…本体、426…アクチュエータ、428…第1のアーム、430…第2のアーム、500…装置、502…第1の本体部、504…第2の本体部、506…調節部、508…第1の把持部、510…第2の把持部、512…スタッド、514…ナット、516…第1の端部、保持部、518…第2の端部、520…アクセス孔、522…アクセス孔、524…タイロッド、600…装置、602…第1の本体部、604…第2の本体部、606…楔部、608…調節部、610…第1の把持部、612…第2の把持部、614…保持部、H1…横方向シーム溶接部、H2…横方向シーム溶接部、H3…横方向シーム溶接部、H4…横方向シーム溶接部、H5…横方向シーム溶接部、H6…横方向シーム溶接部、H6A…横方向シーム溶接部、H6B…横方向シーム溶接部、H7…横方向シーム溶接部、H8…横方向シーム溶接部、V1…縦方向シーム溶接部、V2…縦方向シーム溶接部、V3…縦方向シーム溶接部、V4…縦方向シーム溶接部、V5…縦方向シーム溶接部、V6…縦方向シーム溶接部、V7…縦方向シーム溶接部、V8…縦方向シーム溶接部、V9…縦方向シーム溶接部、V10…縦方向シーム溶接部、V11…縦方向シーム溶接部、V12…縦方向シーム溶接部、V13…縦方向シーム溶接部、V14…縦方向シーム溶接部