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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-11
(45)【発行日】2022-05-19
(54)【発明の名称】接合された接続部を有するパイプ装置
(51)【国際特許分類】
   F16L 47/02 20060101AFI20220512BHJP
   F16L 33/00 20060101ALI20220512BHJP
   F16L 33/34 20060101ALI20220512BHJP
   F16L 13/02 20060101ALI20220512BHJP
【FI】
F16L47/02
F16L33/00 B
F16L33/00 A
F16L33/34
F16L13/02
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020512381
(86)(22)【出願日】2018-08-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-11-05
(86)【国際出願番号】 EP2018073038
(87)【国際公開番号】W WO2019042944
(87)【国際公開日】2019-03-07
【審査請求日】2020-02-28
(31)【優先権主張番号】102017120305.2
(32)【優先日】2017-09-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】591044393
【氏名又は名称】ノルマ ジャーマニー ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100118913
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 邦生
(72)【発明者】
【氏名】クリック, スヴェン
【審査官】渡邉 聡
(56)【参考文献】
【文献】特表2002-504980(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0222214(US,A1)
【文献】独国特許出願公開第102010030718(DE,A1)
【文献】特開2005-042921(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0012309(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0068621(US,A1)
【文献】特表2006-526120(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第03379125(EP,A1)
【文献】特開平07-301374(JP,A)
【文献】特開2013-029169(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 47/02
F16L 33/00
F16L 33/34
F16L 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パイプ(10)および連結部材(20)を有するパイプ装置(1)であって、
前記パイプ(10)が、内表面(12)および外表面(13)を備えたパイプ・ジャケット(11)を備え、流路(14)を形成し、
前記連結部材(20)が、第1の材料(M1)で作製され第1の開口(23)を有する連結部分(22)から第2の開口(24)まで延在する貫通路(21)を形成し、
前記パイプ・ジャケット(11)が、第2の材料(M2)で作製された第1のパイプ端部(15)を用いて前記連結部分(22)に収まっている、パイプ装置(1)において、
前記パイプ・ジャケット(11)の前記内表面(12)と前記連結部分(22)の周囲表面(25)との間の接触ゾーンに、前記第1の材料(M1)と前記第2の材料(M2)の間の接合連結部が形成され、
前記連結部分(22)が周囲カラー部(27)を備え、
前記連結部分(22)における前記周囲カラー部(27)と前記周囲表面(25)との間に、前記第1のパイプ端部(15)がその内部に突出する環状の間隙(28)が形成され、
前記第1のパイプ端部(15)が、前記連結部分(22)の前記周囲表面(25)へと押し進められる前、コルゲート加工された内表面(12)およびコルゲート加工された外表面(13)を有し、
前記第1のパイプ端部(15)の前記外表面(13)が周囲カラー部(27)の内表面(29)に接触し、前記周囲カラー部(27)の前記第1の材料(M1)が、接合連結部によって前記第1のパイプ端部(15)の前記第2の材料(M2)に連結されている、パイプ装置(1)。
【請求項2】
前記連結部分(22)がストップ部(26)を備え、
該ストップ部(26)の前記第1の材料(M1)が、接合連結部によって前記第1のパイプ端部(15)の前記第2の材料(M2)に連結されている、請求項1に記載のパイプ装置(1)。
【請求項3】
前記第1の材料(M1)と前記第2の材料(M2)の間の前記接合連結部が、前記第1の材料(M1)を溶融および硬化させることによって、かつ/または前記第2の材料(M2)を溶融および硬化させることによって形成される、請求項1または2に記載のパイプ装置(1)。
【請求項4】
前記第1の材料(M1)と前記第2の材料(M2)の間の前記接合連結部がスピン溶着によって生じる、請求項1からのいずれか一項に記載のパイプ装置(1)。
【請求項5】
前記コルゲート加工された内表面(12)および/または前記コルゲート加工された外表面(13)が、前記連結部分(22)の前記周囲表面(25)へと押し進められた後、前記第1のパイプ端部(15)において、短縮された頂部間距離(A)および/または谷部間距離(B)を有する、請求項1から4のいずれかに記載のパイプ装置(1)。
【請求項6】
前記連結部分(22)の前記周囲表面(25)の少なくとも一部が、前記第1の開口(23)から、また前記第1の開口(23)からの距離が増加するにつれて、最小直径(D1)から最大直径(D2)まで広がる、請求項1からのいずれか一項に記載のパイプ装置(1)。
【請求項7】
前記最小直径(D1)が前記パイプ・ジャケット(11)の前記内表面(12)の直径(D3)よりも小さく、前記最大直径(D2)が前記パイプ・ジャケット(11)の前記内表面(12)の前記直径(D3)よりも大きい、請求項に記載のパイプ装置(1)。
【請求項8】
前記連結部材(20)の前記第1の開口と前記第2の開口(23、24)の間の前記貫通路(21)が、直線的であるか、または好ましくは少なくとも10度、好ましくは180度以下の方向転換を行う、請求項1からのいずれか一項に記載のパイプ装置(1)。
【請求項9】
前記連結部材(20)が、前記第2の開口(24)の領域に、連結対象を噛み合わせて取り付けるための連結要素(32)を有する、請求項1からのいずれか一項に記載のパイプ装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルに記載のパイプ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
パイプまたはパイプラインと連結部材とを備えるパイプ装置が、従来技術から知られている。連結部材は、たとえば別のパイプ、容器、ハウジング、ポンプなどの連結対象にパイプを連結するように機能する。ほとんどの場合、パイプと連結部材の間の連結部は繰り返し取外しできるように設計されていない。一方、連結部材の他方の端部は、ほとんどの場合、迅速かつ簡単な、また着脱可能な連結を可能にするように機能する。
【0003】
こうしたパイプ装置が、たとえば特許文献1に記載されている。特許文献1では、連結部材の連結部分にパイプを押し進めることが示されている。連結部分の辺縁部の保持突起によりパイプが押し進められた後は、連結部分からパイプが外れることが防止される。また、連結部材は、連結部分から離れた端部に、連結対象との間の連結を噛み合わせるための機械的連結要素を有している。
【0004】
この構成の欠点は、パイプと連結部材の間の連結部が中程度の引っ張り力しか吸収できないこと、小さいねじりモーメントしか伝達できないこと、漏れが生じ得ることである。したがって、耐密性ならびに引っ張り強度およびねじり強度を高めるために、クランプなど、高価で取付けが複雑な補助要素を使用することがしばしば必要とされるが、こうした要素はこれらの課題を部分的にしか解決しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】独国実用新案第202009000328号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明の目的は、従来技術の欠点を克服すること、また高い耐密性を有し、高い引っ張り力およびねじり力に耐えるパイプ装置を開発することである。このパイプ装置はまた、取扱いが容易であり、耐久性が高く、安価である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の主な特徴は、請求項1の特徴部分に示されている。実施形態は、請求項2から13の主題である。
【0008】
パイプおよび連結部材を有するパイプ装置、またはパイプと連結部材の間のパイプ連結部であって、パイプが、内表面および外表面を備えたパイプ・ジャケットを有し、流路を形成し、連結部材が、第1の材料で作製され第1の開口を有する連結部分から第2の開口まで延在する貫通路を形成し、パイプ・ジャケットが、第2の材料で作製された第1のパイプ端部を用いて連結部分に収まっている、パイプ装置、またはパイプ連結部において、本発明では、パイプ・ジャケットの内表面と連結部分の周囲表面との間の接触ゾーンに、第1の材料と第2の材料の間の接合連結部、具体的には第1の材料と第2の材料の間の直接的な、具体的には接続部が形成され、連結部分が周囲カラー部を備え、連結部分における周囲カラー部と周囲表面との間に、第1のパイプ端部がその内部に突出する環状の間隙が形成され、第1のパイプ端部が、連結部分の周囲表面へと押し進められる前、コルゲート加工された内表面(12)およびコルゲート加工された外表面を有し、第1のパイプ端部の外表面が周囲カラー部の内表面に接触し、周囲カラー部の第1の材料が、接合連結部によって第1のパイプ端部の第2の材料に連結されていることが提示される。
【0009】
接合連結部の利点は、引っ張り強度が高く、ねじり強度が高く、連結部材とパイプの間の漏出率が低いことである。
【0010】
パイプは、具体的には、管のような、柔軟でなくても柔軟でもよい細長い中空体であると理解される。
【0011】
基本的に、連結部材は第1の材料から構成され、かつ/またはパイプは第2の材料から構成されることが考えられる。しかし、接触ゾーンから離れるとパイプおよび/または連結部材が他の材料を含む形態も考えられる。
【0012】
接合連結部は、液密および/または気密、あるいは流体密封性であることが好ましく、パイプと連結部材の間に追加の封止要素が配置または形成されないことがさらに好ましい。この結果、製造コストが安くなる。
【0013】
本発明によれば、第1の材料と第2の材料は同じでもよく、異なっていてもよい。第1の材料として適した材料、たとえばPA666、PA66、PPAおよびPA12が存在する。第2の材料として、たとえばPPAおよびPA12が検討される。
【0014】
より詳細な実施形態によれば、パイプ・ジャケットの第1のパイプ端部は連結部分のストップ部に当接する。この結果、取付けを確実に実施することができ、取付け中に第1のパイプ端部を長手方向に圧縮することが可能になる。
【0015】
特定の一実施形態では、連結部分はストップ部を備え、ストップ部の第1の材料は、接合連結部によって第1のパイプ端部の第2の材料に連結される。この結果、実現可能な接合連結部の面積が増加し、高い引っ張り強度、高いねじり強度、および低い漏出率を実現することができる。
【0016】
任意選択の一構成では、連結部分は周囲カラー部を備え、連結部分の周囲カラー部と周囲表面の間に環状の間隙が形成され、第1のパイプ端部はこの環状の間隙へと突出する。この目的のために、環状の間隙は長手方向に、またパイプ・ジャケットの方向に開口するように構成されるべきである。この場合、環状の間隙は環状の溝とも呼ばれる場合がある。周囲カラー部により、環状の間隙内で接合連結部、たとえば溶着部を圧縮することが可能になり、これにより強度が向上する。また、第1の材料および/または第2の材料を溶融させる場合、周囲カラー部により、溶けた材料が外部に溢れ出ることが防止される。したがって、パイプ装置が実用上清潔に見え、審美的要求を満足させる。
【0017】
環状の間隙は、好ましくは、連結部分の周囲表面へと押し進められる前の第1のパイプ端部の肉厚よりも広く、パイプ・ジャケットのコルゲート加工された内表面および/またはコルゲート加工された外表面の場合、肉厚は最小内径から最大外径までで決まる。したがって、パイプ端部が連結部分へと押し進められているとき、周囲カラー部は、最初は障害物にならない。
【0018】
任意選択の一実施形態によれば、周囲カラー部の第1の材料は、接合連結部によって第1のパイプ端部の第2の材料に連結される。この結果、実現可能な接合連結部の面積が増加し、高い引っ張り強度、高いねじり強度、および低い漏出率を実現することができる。
【0019】
実質的に円筒形の内表面を備えた周囲カラー部を形成することが好都合である。この結果、環状の間隙を簡単に離型または生産することが可能になる。用語「実質的に」は、少なくとも抜き勾配および案内用面取り部(lead-in chamfer)を含むべきである。
【0020】
さらに、周囲カラー部には1つまたは複数の穴が形成されてもよく、これらの穴は、周囲カラー部の周辺部に分布していることが好ましい。この結果、パイプ端部を環状の間隙へと挿入する際、空気または気体が環状の間隙から出て行くことができる。
【0021】
好ましい一実施形態によれば、第1の材料と第2の材料の間の接合連結部(または複数の接合連結部もしくは連結領域)は、第1の材料を溶融および硬化させることによって、かつ/または第2の材料を溶融および硬化させることによって形成される。これにより、安定的な連結部が生じる。たとえば、接合連結部とあいまった付着性を得るために、一方の材料のみを溶融させ、これを他方の構成要素、すなわちパイプまたは連結部材に行き渡らせることが考えられる。接合連結部(または複数の接合連結部もしくは連結領域)の第1の材料および第2の材料が互いに染み渡っている、かつ/または互いへと広がっている、かつ/または互いに混ざっている接合変形形態がさらに考えられる。第1の材料と第2の材料が同時に溶融および硬化するとき、特に堅く密な連結部が得られる。
【0022】
特定の一変形実施形態では、第1の材料と第2の材料の間の接合連結部はスピン溶着によって生じる。これは安価であり、信頼性が高い。スピン溶着の使用は、接続部ゾーンに微細構造を巻き付けることにより、製品中において検出することができる。スピン溶着は、第1の、好ましくは回転対称の対象を、第2の、好ましくは回転対称の対象に接合することを意味すると理解され、接合中、第1の対象と第2の対象の間の相対的回転が実施される。ほとんどの場合、この目的のために2つの対象のうちの一方のみが回転され、他方の対象は回転しない。相対的回転中、第1の対象と第2の対象の間に摩擦、したがって摩擦熱が生じ、これにより溶融が生じる。さらに、生じる摩擦熱は2つの対象の間の圧縮力によって著しい影響を受ける場合がある。硬化のため、相対的回転が停止される。硬化は、冷却手段によって加速させることができる。本発明の場合、所定の位置にパイプを固定し、連結部材を回転させることが好ましい。
【0023】
パイプ装置の第1の変形形態では、パイプ・ジャケットの第1のパイプ端部は、連結部分の周囲表面へと押し進められる前には、円筒形の内表面および円筒形の外表面を有していた。すなわちこの形態は、特に、平滑なパイプまたは少なくとも平滑なパイプ連結部分を使用することを意図したものである。
【0024】
ここでは、連結部の強度の向上は、具体的には、パイプ・ジャケットの第1のパイプ端部が連結部分へと押し進められ、任意選択で連結部分のストップ部に当たった結果、下方に曲がっているという点で実現され得る。下方に曲がることにより接触面積が増加し、したがって接合連結部の面積が増加する。下方に曲がることにより、任意選択の周囲カラー部との間の接合連結部も実現され得る。
【0025】
第2の変形形態では、パイプ・ジャケットの第1のパイプ端部は、連結部分の周囲表面へと押し進められる前、コルゲート加工された内表面および/またはコルゲート加工された外表面を有していた。すなわちこの形態は、特に、平滑なパイプよりも曲げ弾性が大きい、平滑なパイプ連結部分がないコルゲート・パイプを使用することを意図したものである。
【0026】
基本的に、第1の変形形態および第2の変形形態では他のパイプ形態も検討される。たとえば、パイプ・ジャケットは、第1のパイプ端部に隣接した円筒形の内表面および/または円筒形の外表面を有してもよく、あるいはパイプ・ジャケットは、第1のパイプ端部に隣接した、コルゲート加工された内表面および/またはコルゲート加工された外表面を有する。したがって、コルゲート・パイプの形をとる第1のパイプ端部を有する平滑なパイプの場合にも、また好ましくは円筒形の平滑なパイプ連結部分を備えた第1のパイプ端部を有するコルゲート・パイプの場合にも、連結が可能である。
【0027】
平滑な領域がない、エンドレスに押出し成形されたコルゲート・パイプが使用される場合、最大の経済的利点が得られる。この変形形態では、連結部材のすぐ後に、パイプのパイプ屈曲部を組み込むことがさらに可能になる。したがって、必要とされる設置空間がより小さくなる。
【0028】
コルゲート・パイプの場合、パイプ・ジャケットにより、内表面および/または外表面に頂部および谷部が形成される。こうしたパイプは、任意の所望の長さに切断し、連結部材に連結させることができる。
【0029】
特定のパイプ装置によれば、コルゲート加工された内表面および/またはコルゲート加工された外表面は、(連結部分の)周囲表面へと押し進められた後、第1のパイプ端部では、短縮された頂部間距離および/または谷部間距離を有する。これらは、コルゲート・パイプが押し進められるときにコルゲート・パイプが圧縮された結果である。これにより、接合連結部を形成するための接触面積が拡大する。任意選択の周囲カラー部と組み合わせると、この圧縮を使用して、外側の頂部を周囲カラー部の内側に接触させることができる。これにより周囲表面の領域での圧力が上昇し、これによってより強い摩擦熱が生じるので、このことは、特に任意選択のスピン溶着の場合にプラスの効果をもつ。また、任意選択のスピン溶着の場合、圧力は、周囲カラー部の内側と第1のパイプ端部との間の接合連結部を形成するのにも十分になり得る。
【0030】
さらに、特定の一実施形態では、連結部分の周囲表面の少なくとも一部が、第1の開口から、また第1の開口からの距離が増加するにつれて、最小直径から最大直径まで広がることが提示される。これにより、一方では、案内用面取り部によってパイプを簡単に取り付けることが可能になる。また、案内用面取り部によってパイプ・ジャケットの内壁に圧縮力を加えることもできる。これにより耐密性が向上し、また任意選択のスピン溶着の場合、パイプ・ジャケットにおける半径方向の応力の結果、摩擦熱を強めることが可能になる。これは、具体的には、最小直径がパイプ・ジャケットの内表面の直径よりも小さく、最大直径がパイプ・ジャケットの内表面の直径よりも大きい特定の形態の場合に実現され得る。
【0031】
使用箇所に応じて、連結部材の第1の開口と第2の開口の間の貫通路が直線的であるかまたは好ましくは少なくとも10度、好ましくは180度以下の方向転換を行う、連結部材の形態が検討される。10度未満の方向転換は、好ましくは連結部分の後ろでパイプを曲げることによって形成される。したがって、こうした小さい方向転換においては、特別に準備された連結部材は必要とされない傾向にある。
【0032】
特定の一形態では、連結部材は、第2の開口の領域に、連結対象を噛み合わせて取り付けるための連結要素を備える。したがって、連結部材を用いて、たとえば別のパイプ、容器、ハウジング、ポンプなどの連結対象に、単純な方式でパイプを連結させることができる。連結要素はラッチ要素を備えることが好ましい。これにより、単純で確実な連結が可能になる。液密および/または気密、あるいは流体密封性でありかつ解除可能な連結部を得るために、第2の開口の領域には、封止リングが配置されるべきであり、かつ/または封止表面が形成されるべきである。たとえば、連結部材が第2の開口の領域ではプラグまたはプラグ・タイプ継手の形をとる場合、簡単な取付けが可能になる。
【0033】
本発明のさらなる特徴、詳細および利点は、図面を参照すると、特許請求の範囲の文言および例示的な実施形態の以下の説明から明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】平滑な端部分がないコルゲート・パイプと連結部材とを有するパイプ装置の縦断面図である。
図2】平滑な端部分を備えたコルゲート・パイプと連結部材とを有するパイプ装置の縦断面図である。
図3】連結部材の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1および図2には、コルゲート・パイプであるパイプ10と連結部材20とを有するパイプ装置1(またはコルゲート・パイプであるパイプ10と連結部材20の間のパイプ連結部)が縦断面図でそれぞれ示してある。さらに、連結部材20は図3の斜視図にも示してある。
【0036】
図1図2、および図3による連結部材20は、第1の開口23を有する連結部分22から第2の開口24まで延在する貫通路21を形成する。貫通路21は直線的であり、すなわちいかなる方向転換も行わない。連結部分22は周囲表面25を形成し、ストップ部26および周囲カラー部27を有する。連結部分22の周囲カラー部27と周囲表面25の間には環状の間隙28が形成される。環状の間隙28は貫通路21の長手方向であって、第1の開口23の方向に開口している。周囲カラー部27は、円筒形の内表面29と、案内用面取り部とを有する。また、周囲カラー部27には穴30が形成され、これらの穴は周囲カラー部27の周辺部に分布している。特に図3から分かるように、穴30は様々な形状を有する。連結部分22の周囲表面25の一部は、第1の開口23からはじまり、第1の開口23からの距離が増加するにつれて、最小直径D1から最大直径D2に広がる。
【0037】
さらに、連結部材20は、第2の開口24の領域に、連結対象40を噛み合わせて取り付けるための連結要素32を有する。図1および図2から分かるように、連結要素32と連結対象40は、互いに係合するアンダーカットをそれぞれ有する。この固定は、連結部材20の固定リングをラッチ操作することによってロックおよび解除することができる。第2の開口24の領域では、連結部材20により封止具座面が形成され、この封止具座面に封止リング31が配置される。封止リングは、連結対象40の封止表面に対応する。連結部材20は、第2の開口24の領域を用いて連結対象40へと突出しており、プラグと呼ばれる場合がある。
【0038】
パイプ10は図1および図2にのみ示されており、図3には示されていない。パイプ10は内表面12および外表面13を備えたパイプ・ジャケット11を有し、流路14を形成している。パイプ・ジャケット11は、連結部材20の連結部分22に収まる第1のパイプ端部15を形成する。したがって、第1のパイプ端部15は、連結部分22の周囲カラー部27と周囲表面25の間の環状の間隙28へと突出する。
【0039】
連結部材20の連結部分22、また残りの部分は第1の材料M1で作製され、パイプ・ジャケット11の第1のパイプ端部15および残りの部分は第2の材料M2で作製される。パイプ・ジャケット11の内表面12と連結部分22の周囲表面25との間の接触ゾーンには、第1の材料M1と第2の材料M2の間の接合連結部、すなわち接着剤などの追加の材料なしで接合連結部が形成される。第1の材料M1と第2の材料M2は同じでもよく、異なっていてもよい。連結部分22と第1のパイプ端部15は接合されており、一体に形成されていない。
【0040】
パイプ・ジャケット11の第1のパイプ端部15は、連結部分22のストップ部26に当接する。ストップ部26の第1の材料M1と第1のパイプ端部15の第2の材料M2は、ここでも接合連結部によって連結される。また、周囲スリーブ27の第1の材料M1は、接合連結部によって第1のパイプ端部15の第2の材料M2に連結される。
【0041】
接合連結の結果、引っ張り強度を有し、回転的に固定され、液密および/または気密、あるいは流体密封性である連結部が形成される。パイプ10と連結部材20の間には、いかなる追加の封止要素も配置または形成されない。
【0042】
第1の材料M1と第2の材料M2の間の接合連結部(または複数の接合連結部もしくは連結領域)は、第1の材料M1を溶融および硬化させることによって、かつ/または第2の材料M2を溶融および硬化させることによって生じる。これはスピン溶着によって実施されることが好ましい。この目的のために、周囲表面25は回転対称な形態であり、第1のパイプ端部15は円形である。また、環状の間隙28は、連結部分22の周囲表面25へと押し進められる前の第1のパイプ端部15の肉厚よりも広い。図1によるパイプ・ジャケット11のコルゲート加工された内表面12およびコルゲート加工された外表面13の場合、肉厚は最小内径から最大外径までで決まる。周囲表面25の最小直径D1はパイプ・ジャケット11の内表面12の最小直径D3よりも小さく、周囲表面25の最大直径D2はパイプ・ジャケット11の内表面12の最小直径D3よりも大きい。この結果、第1のパイプ端部15が連結部分22に押し進められるにつれて、また連結部材20に対してパイプ10が相対的に回転するのとともに、第1のパイプ端部15が広げられる。これにより、パイプ・ジャケット11における半径方向の応力が増加し、接触ゾーンにおける周囲表面25との間の摩擦熱が大きくなる。パイプ10は回転を固定され、連結部材20が回転されることが好ましい。摩擦熱により、第1の材料M1および/または第2の材料M2が溶融する。
【0043】
第1のパイプ端部15が押し進められているときに第1のパイプ端部15がストップ部26に当たると、直ちに圧縮される。この結果、第1のパイプ端部15は周囲カラー部27の内表面29にも接触して摩擦熱が生じ、この摩擦熱を使用して第1の材料M1および/または第2の材料M2を溶融させることができる。
【0044】
第1の材料M1および第2の材料M2は、相対的回転が停止すると直ちに固化し始め、接合連結部が形成される。
【0045】
図1によれば、パイプ・ジャケット11の第1のパイプ端部15は、連結部分22の周囲表面25へと押し進められる前、コルゲート加工された内表面12およびコルゲート加工された外表面13を有していた。全体としてのパイプ・ジャケット11は、具体的には、内表面12および外表面13に頂部16、17および谷部18、19を備えたコルゲート・パイプである。接触ゾーンから離れると、パイプ・ジャケット11は、頂部16と頂部17の間の定められた頂部間距離Aと、谷部18と谷部19の間の谷部間距離Bとを取付け後も保持する。一方、コルゲート加工された内表面12およびコルゲート加工された外表面13は、押し進められた後、第1のパイプ端部15では、短縮された頂部間距離Aおよび谷部間距離Bを有する。頂部16、17および谷部18、19は、いわばハーモニカの方式で圧縮される。十分な摩擦熱が存在する場合、これにより、頂部16、17の側面間、すなわち第2の材料M2で作製された異なる領域間の接合連結部も生じる。
【0046】
図2による実施形態では、パイプ・ジャケット11の第1のパイプ端部15は、連結部分22の周囲表面25へと押し進められる前、円筒形の内表面12および円筒形の外表面13を有していた。押し進められて熱が加えられた結果、第1のパイプ端部15は変形している。第1のパイプ端部15は、周囲表面25に載っている第1の部分では広がり、第2の部分では周囲表面25から離れるように持ち上がり、次いで、第1のパイプ端部15の末端部では、連結部分22のストップ部26に当たって内側に曲がり、または内側に入る。
【0047】
パイプ・ジャケット11は、第1のパイプ端部15に隣接して、コルゲート加工された内表面12およびコルゲート加工された外表面13を有する。具体的には、これは端部に平滑な終端連結部分を有するコルゲート・パイプである。頂部16、17は定められた頂部間距離Aを有し、谷部18、19は定められた谷部間距離Bを有する。
【0048】
本発明は上に記載した実施形態のうちの1つに限定されるのではなく、多くの様々な形で修正することができる。構造的詳細、空間的配置および方法ステップを含め、特許請求の範囲、説明および図面から得られるあらゆる特徴および利点は、これら自体で本発明の基礎をなすとともに、非常に様々な組合せにおいても本発明の基礎をなす場合がある。
【符号の説明】
【0049】
1 パイプ装置
10 パイプ
11 パイプ・ジャケット
12 内表面(パイプ・ジャケット)
13 外表面(パイプ・ジャケット)
14 流路
15 第1のパイプ端部
16 頂部(内表面)
17 頂部(外表面)
18 谷部(内表面)
19 谷部(外表面)
20 連結部材
21 貫通路
22 連結部分
23 第1の開口
24 第2の開口
25 周囲表面(連結部分)
26 ストップ部(連結部分)
27 周囲カラー部
28 環状の間隙
29 内表面(周囲カラー部)
30 穴
31 封止リング
32 連結要素
40 連結対象
A 頂部間距離
B 谷部間距離
D1 最小直径(周囲表面)
D2 最大直径(周囲表面)
D3 直径(パイプ・ジャケットの内表面)
M1 第1の材料(連結部分)
M2 第2の材料(第1のパイプ端部)
図1
図2
図3