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特許7072056コントローラ、システム、および、コンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-11
(45)【発行日】2022-05-19
(54)【発明の名称】コントローラ、システム、および、コンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04L 67/10 20220101AFI20220512BHJP
   D06F 34/04 20200101ALI20220512BHJP
   D06F 101/20 20200101ALN20220512BHJP
【FI】
H04L67/10
D06F34/04
D06F101:20
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020517492
(86)(22)【出願日】2017-12-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-12-03
(86)【国際出願番号】 EP2017084663
(87)【国際公開番号】W WO2019063118
(87)【国際公開日】2019-04-04
【審査請求日】2020-11-12
(31)【優先権主張番号】17193297.3
(32)【優先日】2017-09-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】513121384
【氏名又は名称】ベステル エレクトロニク サナイー ベ ティカレト エー.エス.
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】特許業務法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】サキル イムダト
(72)【発明者】
【氏名】ヴァラン バーリ ブラクハン
【審査官】中川 幸洋
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0250835(US,A1)
【文献】特開2003-047796(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0017913(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 67/10
D06F 34/04
D06F 101/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗濯機を制御するコントローラであって、
データを記憶するデータ記憶装置と、
動作プログラムが入力される入力部と、
プロセッサと、を備え
前記プロセッサは、前記入力部を介して前記動作プログラムを受け取るのに応じて、前記動作プログラムを前記データ記憶装置に記憶し、記憶された前記動作プログラムを前記洗濯機によって実行させ、実行が完了したら、前記動作プログラムを前記データ記憶装置から消去するよう構成され
前記動作プログラムは、前記洗濯機によって行われる複数の工程を有する洗濯サイクルであることを特徴とするコントローラ。
【請求項2】
請求項1に記載のコントローラであって、
前記データ記憶装置は、一度に一つの前記動作プログラムを記憶するだけの記憶容量しか有しないことを特徴とするコントローラ。
【請求項3】
請求項1または2に記載のコントローラであって、
前記データ記憶装置は、不揮発性データ記憶装置を備えることを特徴とするコントローラ。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載のコントローラであって、
前記データ記憶装置は、揮発性データ記憶装置を備えることを特徴とするコントローラ。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載のコントローラを備えることを特徴とする洗濯機
【請求項6】
請求項1から4のいずれか一項に記載のコントローラと
前記洗濯機の動作を制御するユーザデバイスとを備え
前記ユーザデバイスは、ユーザインタフェースと、前記動作プログラムを前記洗濯機に送信可能とする通信インタフェースと、前記プロセッサと、を備え、
前記プロセッサは、前記ユーザインタフェースを介してユーザによる前記動作プログラムの選択を受け取り、選択された前記動作プログラムを前記洗濯機に送信させるよう構成されることを特徴とするシステム。
【請求項7】
請求項6に記載のシステムであって、
前記通信インタフェースは、無線により構成されていることを特徴とするシステム。
【請求項8】
洗濯機を制御するコンピュータプログラムであって、
一つ以上のプロセッサによって実行された際に、前記洗濯機によって行われる複数の工程を有する洗濯サイクルである前記洗濯機用の動作プログラムを入力部を介して受け取るのに応じて、前記動作プログラムを前記洗濯機のデータ記憶装置に記憶し、記憶された前記動作プログラムを前記洗濯機によって実行させ、実行が完了したら、前記動作プログラムを前記データ記憶装置から消去するよう構成されるコンピュータ実行可能なコードを含むことを特徴とするコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電化製品の動作制御システム及び制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
洗濯機は、実行される工程のセットからなる「プログラム」(以下、コンピュータプログラムそれ自体と区別するため「動作プログラム」)にしたがって動作する電化製品の一例である。洗濯機において、このプログラムは、通常「洗濯サイクル」と呼ばれる。洗濯機には、製造業者によって内部データ記憶装置に予め記憶される多数の洗濯サイクルが設定されることがあり、各洗濯サイクルは、当該サイクルの実行時間、洗濯温度、回転速度、等の事項に関するそれぞれの異なる要素を有する。衣服を選択する際、ユーザは洗濯機により実行される所望の洗濯サイクル(例:「綿」、「合成繊維」等)を選択可能である。
【0003】
動作プログラムにしたがって動作可能な電化製品は他にもある(例:食器洗浄機、回転式乾燥機、ガス又は電気オーブン、電子レンジ、等)。例えば、ユーザは電子レンジの「解凍」オプションを選択して、電子レンジを低電力で動作させることが可能である。
【発明の概要】
【0004】
本明細書に開示された第一の側面によれば、電化製品を制御するコントローラであって、データを記憶するデータ記憶装置と、動作プログラムが入力される入力部と、プロセッサであって、前記動作プログラムを前記入力部を介して受け取るのに応じて、前記動作プログラムを前記データ記憶装置に記憶し、前記記憶された動作プログラムを前記電化製品によって実行させ、実行が完了したら、前記動作プログラムを前記データ記憶装置から消去するよう構成されるプロセッサとを備えるコントローラが提供される。
【0005】
例の中では、コントローラが実際に必要とされ使われるときにのみ動作プログラムを記憶することから、これによりデータ記憶装置の必要な容量を最小限とすることが可能となる。
【0006】
一つの例では、前記データ記憶装置は、一度に一つの動作プログラムを記憶するだけの記憶容量しか有しない。
【0007】
一つの例では、前記データ記憶装置は、不揮発性データ記憶装置を備える。
【0008】
一つの例では、前記データ記憶装置は、揮発性データ記憶装置を備える。
【0009】
本明細書に記載の第二の側面によれば、電化製品の動作を制御するユーザデバイスであって、ユーザインタフェースと、動作プログラムを前記電化製品に送信可能とする通信インタフェースと、プロセッサであって、前記ユーザインタフェースを介してユーザによる前記動作プログラムの選択を受け取り、選択された前記動作プログラムを前記電化製品に送信させるよう構成されるプロセッサとを備えるユーザデバイスが提供される。
【0010】
一つの例では、前記プロセッサは、前記選択された動作プログラムを取得し、前記選択された動作プログラムを前記通信インタフェースを介して前記ユーザデバイスから前記電化製品に送信することで、前記選択された動作プログラムを前記電化製品に送信させるよう構成される。
【0011】
一つの例では、前記プロセッサは、前記プロセッサは、前記選択された動作プログラムを取得した後、前記動作プログラムを送信する前に前記選択された動作プログラムを編集するユーザ入力を受け取り、前記ユーザ入力にしたがって前記選択された動作プログラムを補正し、前記補正された動作プログラムを前記電化製品に送信するよう構成される。
【0012】
一つの例では、前記プロセッサは、前記選択された動作プログラムを前記ユーザデバイスの内部データ記憶装置から取得するよう構成される。
【0013】
一つの例では、前記プロセッサは、前記選択された動作プログラムを外部データ記憶装置から取得するよう構成される。
【0014】
一つの例では、前記プロセッサは、前記選択された動作プログラムを前記外部データ記憶装置からインターネットを介して取得するよう構成される。
【0015】
本願明細書に開示される第三の側面によれば、上述のコントローラを備える電化製品が提供される。
【0016】
一つの例では、この電化製品は洗濯機である。別の例では、この電化製品は回転式乾燥機、ガスオーブン、電気オーブン、又は電子レンジである。
【0017】
本願明細書に開示される第四の側面によれば、上述のコントローラと上述のユーザデバイスとを備えるシステムが提供される
【0018】
本明細書に開示された第五の側面によれば、電化製品を制御するコンピュータプログラムであって、前記コンピュータプログラムは、一つ以上のプロセッサによって実行された際に、前記電化製品用の動作プログラムを入力部を介して受け取るのに応じて、前記動作プログラムを前記電化製品のデータ記憶装置に記憶し、前記記憶された動作プログラムを前記電化製品によって実行させ、実行が完了したら、前記動作プログラムを前記データ記憶装置から消去するよう構成されるコンピュータ実行可能なコードを含むコンピュータプログラムが提供される。
【0019】
本明細書に開示される第六の側面によれば、ユーザデバイスに電化製品の動作制御を可能とするコンピュータプログラムであって、前記コンピュータプログラムは、一つ以上のプロセッサによって実行された際に、ユーザインタフェースを介してユーザによる動作プログラムの選択を受け取り、選択された前記動作プログラムを前記電化製品に送信させるよう構成されるコンピュータ実行可能なコードを含むコンピュータプログラムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
本願開示の理解を促進し、どのように実施形態が効果を奏するのかを示すため、例示として添付の図面が参照される。
【0021】
図1】電化製品の動作を制御するシステムの一例を模式的に示す図である。
図2】電化製品の動作を制御するシステムの一例を模式的に示す図である。
図3】ユーザインタフェースの一例を示す図である。
図4】システム内の制御フローの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
例えば洗濯機を含む従来の電化製品では、当該電化製品の内部データ記憶装置に複数の動作プログラムが(通常、製造業者によって予め)登録される。ユーザは、(通常)電化製品自体の前面に設けられるユーザインタフェースによって電化製品により実行されるこれらの動作プログラムの一つを選択可能である。技術の進歩に伴い、(特に白物家電分野の)電化製品に設けられる動作プログラムの数は多数に上ることがある。ユーザは、一般に電化製品で利用可能な動作プログラムがより多い方を好む。というのは、これにより、電化製品でできることが増え、かつユーザが買い替えるまでの期間が長くなる可能性があるからである。しかし、このためには、電化製品の内部データ記憶装置が全ての動作プログラムを一度に記憶できるのに十分な容量を持っている必要がある。大容量のデータ記憶装置は、電化製品のコストの比較的大きな部分を占めることになる可能性がある。
【0023】
本明細書に記載される例では、ユーザデバイスとコントローラとが電化製品の動作を制御するために設けられる。一例では、ユーザは、ユーザデバイスを介して電化製品の動作プログラムを選択する。一例では、ユーザデバイスは選択された動作プログラムを取得して、これを電化製品のコントローラであるコントローラに送信する。別の例では、ユーザデバイスは選択された動作プログラムを何らかの遠隔装置によりコントローラに送信させる。動作プログラムの受信に応じて、コントローラは動作プログラムを電化製品のデータ記憶装置に記憶し、記憶されたプログラムを電化製品に実行させる。動作プログラムの実行完了時に、動作プログラムは電化製品のデータ記憶装置から消去される。
【0024】
図1に模式的に示されるシステム100の一例は、ユーザ210により操作されるユーザデバイス200と、内部コントローラ300を有する電化製品400とを備える。後述される任意に設けられるネットワーク510及びサーバ520も示される。
【0025】
図1に示される例示的な電化製品400は、洗濯機である。しかし、本開示事項は、少なくとも一つの動作の所定のスケジュールまたはプログラム(本明細書中、「動作プログラム」等と記載)にしたがってタスクを実行する他の電化製品にも適用可能である。このような他の電化製品は、例えば食器洗浄機、回転式乾燥機、ガスオーブン、電気オーブン、電子レンジ等を含む。いずれにしても、この電化製品400は何らかのタスク(例えば衣服の洗濯、食品の加熱等)を実行するよう構成され配置されることが理解される。
【0026】
別の例では、この電化製品400は電子レンジである。電子レンジは、加熱プレートを回転させるアクチュエータ(回転モータ)と、マイクロ波を発生するマグネトロンとを備える。この例でのプロセッサ302は、アクチュエータとマグネトロンとを制御し、これにより加熱プレート上に配置されたアイテムの加熱を制御することができる。他の種類の電化製品400についても同様の制御が可能であることが理解される。
【0027】
コントローラ300は、これが電化製品400の動作を制御するためのものであることから、電化製品400のコントローラである。このコントローラ300は、電化製品400の主基板により実装されてもよい。電化製品400の動作は、電化製品400によって実行される工程を含む「動作プログラム」にしたがう。例えば、洗濯機の動作プログラムは、一般に「洗濯サイクル」と呼ばれ、水温、回転速度、継続時間等の洗濯コースについての異なる設定からなる。このコントローラ300は、電化製品400のローカルに(すなわち、図1に示されるように電化製品400自体の内部に)実装されても、図2に示されるように(後述)遠隔に実装されてもよい。
【0028】
以下で明らかとなるように、ユーザ210はユーザデバイス200を使って電化製品400のコントローラ300に所望の動作プログラムを送らせ、これによりこの所望の動作プログラムを(コントローラ300からの指示のもと)電化製品400に実行させることができる。
【0029】
ユーザデバイス200は、図1に示されるサーバ520等の一つ以上の遠隔記憶装置に接続されてもよい。この接続は、図1に示される一つ以上のネットワーク510を介して提供されてもよい。サーバ520は、電化製品400用の一つ以上の動作プログラムを記憶してもよい。ネットワーク510は、少なくとも部分的にインターネットであってもよい。これにより、ユーザ210は(ネットワーク510を経由して)サーバ520からコントローラ300に送られ電化製品400によって実行される動作プログラムをダウンロードすることができる。このような場合、サーバ520は、ユーザ210が動作プログラムを閲覧しダウンロードする「アプリストア」等を提供するサービスの一部を形成してもよい。
【0030】
上記に代え、又は上記に加えて、動作プログラムは、まずリモートサーバからダウンロードすることを要求するのではなく、ユーザデバイス200の内部記憶装置に予め記憶され(後述)、そこからユーザ210によって選択されてもよい。
【0031】
図2は、図1のシステム100をより詳細に示し、構成要素の内部コンポーネントの一部が模式的に示される。図2のコントローラ300は電化製品400の(分解図で示される)内部コントローラであるが、このコントローラ300は、電化製品400自体と別個に実装され、動作可能に接続される外部コントローラであってもよい。いずれにしても、コントローラ300は、電化製品400の一つ以上のコンポーネントに制御コマンドを送信するよう構成される。例えば、洗濯機は、洗濯ドラムに流出入する水の流れ、この水の温度、及びドラム自体の回転速度等の事項を制御する各種アクチュエータを備える。コントローラ300は、これらのアクチュエータを制御し、これにより電化製品400の動作を制御することができる。
【0032】
コントローラ300は、入力部301とプロセッサ302とデータ記憶装置303とを備える。プロセッサ302は、入力部301とデータ記憶装置303とにそれぞれ動作可能に接続される。
【0033】
入力部301は、データ受信用(及び任意にデータ送信用)の一つ以上のインタフェースを備える。このようなデータインタフェースは、当業種で公知の一つ以上の有線及び/又は無線構成により提供されてもよい。これらの網羅的でない例としては、Bluetooth(登録商標)、WiFi、及びイーサネット(登録商標)接続が挙げられる。一例では、入力部301はユーザデバイス200からデータを受信するよう構成される(詳細後述)。別の例では、コントローラ300は、上記に代えて又は上記に加えて、サーバ520等の他のソースからデータを受信するよう構成される(同様に詳細後述)。
【0034】
データ記憶装置303は、当業種で公知のデータを記憶する記憶装置である。これらの網羅的でない例としては、RAM、フラッシュメモリ、磁気記憶装置(例:ハードディスクドライブ)等が挙げられる。データ記憶装置303は、電力供給がない場合でもデータ記憶を保持する不揮発性データ記憶装置であってもよい。この点、電化製品は、一般にユーザ210が電化製品400を電化製品400のオン/オフスイッチを介して「切った」場合でも主電源等に接続されたままであることが留意される。したがって、電化製品400が一見して「切られている」場合でも、コントローラ300では電力が維持されている可能性がある。これが意味するのは、従来、揮発性データ記憶装置303に記憶されたデータが、電化製品が「切られた」場合でも消去されない可能性があるということである。したがって、本明細書に記載の原理は、データ記憶装置303が(一見して)揮発性データ記憶装置である場合でもあてはまる。
【0035】
プロセッサ302は、これが入力部301を介してユーザデバイス200からデータ及び指示等を受信可能であるという点で、入力部301に動作可能に接続される。プロセッサ302は、動作プログラムをデータ記憶装置303にセーブし、動作プログラムをデータ記憶装置303から読み取り、動作プログラムをデータ記憶装置303から消去するよう構成される点で、データ記憶装置303に動作可能に接続される。すなわち、データ記憶装置303は、プロセッサ302によってアクセス可能な動作プログラム用のデータ記憶場所として動作する。
【0036】
「動作プログラム」ないし「動作プログラムフロー」等の本明細書内の用語は、電化製品400の内部装置によって実行される操作の所定のセットを指すものとして用いられる。プログラム(動作プログラム)は、電化製品400(の装置)によって実行される動作のスケジュールを含む。この動作プログラムは、したがって、電化製品400によって実行される具体的な動作特性を規定する。
【0037】
本明細書に記載される例では、動作プログラムが電化製品コントローラ300のプロセッサ302によって受信され、その後はじめて電化製品400のデータ記憶装置303に記憶される。この動作プログラムは、その前には電化製品400のデータ記憶装置に記憶されていない。プロセッサ302は、記憶された動作プログラムを電化製品400に実行させ、動作プログラムの実行が完了した時点で動作プログラムをデータ記憶装置303から消去する。これが意味するのは、データ記憶装置303(動作プログラムを記憶するためのデータ記憶装置)が、複数の動作プログラムを一度に記憶し、多数の予め記憶された動作プログラムを備えなくても良いことから、先行技術のシステムと比較してより小さな記憶容量であってもよいということである。代わりに、動作プログラムは、コントローラ300により「オンザフライ」で受信され電化製品400によって実行される。
【0038】
動作プログラムは、後述するようにユーザデバイス200を介してユーザによりコントローラ300に提供される。いくつかの例では、これは、動作プログラムをユーザデバイス200から直接電化製品400のコントローラ300に送信することを含む。別の例では、動作プログラムは外部ソース(例えばサーバ520)から、電化製品400のコントローラ300に、ユーザデバイス200の指示のもと送信される。
【0039】
ユーザデバイス200は図2中、例えばスマートフォンである携帯電話として示される。しかし、ユーザデバイス200は動作プログラムをコントローラ300に送信させることのできる別の種類のコンピュータ装置であってもよい。適切なコンピュータ装置の例は、ラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータ、タブレットコンピュータ等を含む。
【0040】
ユーザデバイス200は、ユーザインタフェース(UI)201と、プロセッサ202(ユーザデバイスプロセッサ202とも記載)と、データ記憶装置203(ユーザデバイスデータ記憶装置323とも記載)と、通信インタフェース204とを備える。
【0041】
ユーザデバイス200の通信インタフェース204は、データ送信用(及び任意にデータ受信用)の一つ以上のインタフェースを備える。このようなデータインタフェースは、当業種で公知の一つ以上の有線及び/又は無線構成により提供されてもよい。これらの網羅的でない例としては、Bluetooth(登録商標)、WiFi、及びイーサネット(登録商標)接続が挙げられる。ユーザデバイス200が動作プログラムを電化製品400のコントローラ300に送信するよう構成される例では、このユーザデバイス200の通信インタフェース204は、電化製品400の入力部301と互換性がある。
【0042】
ユーザデバイス200のデータ記憶装置203は、データ記憶用の記憶装置である。これらの網羅的でない例としては、RAM、フラッシュメモリ、磁気記憶装置(例:ハードディスクドライブ)等が挙げられる。
【0043】
ユーザデバイス200のプロセッサ202は、通信インタフェース204とデータ記憶装置203とに動作可能に接続される。
【0044】
ユーザインタフェース201は、図2中、タッチスクリーン式のグラフィカルユーザインタフェースとして示される。ユーザ210に動作プログラムの選択を可能とし、選択された動作プログラムをプロセッサ202に示すことのできる他の種類のユーザインタフェース201を用いてもよい。このような他のユーザインタフェースの(網羅的でない)例としては、したがってキーボード及び音声入力が挙げられる。
【0045】
プロセッサ202は、ユーザインタフェース201を介してユーザ210による動作プログラムの選択を受信し、選択された動作プログラムをコントローラ300に送信させるように構成される。これは、一部の例では、プロセッサ202により選択された動作プログラムを取得し、これを通信インタフェース204を介して電化製品400のコントローラ300に送信することを含んでもよい。上述のように、選択された動作プログラムを取得する工程は、動作プログラムを、例えばネットワーク510を介して、リモートコンピュータ記憶装置(例えばサーバ520)から受信し、当該動作プログラムをユーザデバイス200のデータ記憶装置203から取り込む工程を含んでもよい。
【0046】
図3を参照して、ユーザデバイス200のユーザインタフェース201によりユーザ210が動作プログラムを選択して実行する例を説明する。図3の例では、ユーザインタフェース201はグラフィカルユーザインタフェースである。このユーザインタフェース201は、図3中、4つの動作プログラム(「綿」、「下着類」、「おしゃれ着(fashion care)」、及び「ベビー服」)を表示するものとして示されるが、より多くの又は少ない動作プログラムが表示されてもよく、一度にユーザインタフェース201上に表示される動作プログラムよりも多くの動作プログラムがあってもよい。
【0047】
各動作プログラムは名前210によって識別される。各動作プログラムには異なる属性(すなわち、動作プログラムの特性)が関連付けられる。この例では、各動作プログラムは、回転速度211、洗濯温度212、及び継続時間213を有する洗濯サイクルである。
【0048】
ユーザ210には、動作プログラムを編集220するオプションが与えられてもよい。例えば、ユーザ210は所定の動作プログラムの編集オプション220を選択し、当該プログラムの一つ以上の属性(電化製品400が洗濯機である場合の回転速度211、温度212、及び継続時間213等)を変更(新たな値を入力)することが可能である。ユーザ210が動作プログラムの属性について新たな値を入力するのに応じて、データ記憶装置203に記憶される動作プログラムの属性がこの新たな値に更新される。したがって、将来の時点でこの動作プログラムが電化製品400上で実行された場合、これは当該属性の新たな値にしたがって実行される。
【0049】
ユーザ210には、新たな動作プログラムを追加(すなわち動作プログラムを作成)するオプションが与えられてもよい。例えば、ユーザ210はユーザデバイス200を使って、利用可能な動作プログラムセット中に(現状では)見つからない完全に新しい動作プログラムの名前210、回転速度211、温度212、及び継続時間213を特定可能である。別の例として、電化製品400がオーブンである場合、ユーザ210は(ユーザインタフェース201を介して)焼き温度及び焼き時間等の属性についての値を特定することにより、このオーブン用の特別な焼き方プログラムを作成可能である。
【0050】
動作プログラムは、外部ソースからユーザデバイス200によってアクセス可能であってもよい。例えば、ユーザ210は、ネットワーク510を介してリモートサーバ520からの追加の動作プログラムにアクセスしてもよい。したがって、ユーザデバイス200は、いくつかの例では、外部ソースから動作プログラムをダウンロードし、これをその内部データ記憶装置203にセーブし、その後に選択された動作プログラムをユーザデバイス200から電化製品400のコントローラ300に送る。これに加えて又はこれに代えて、ユーザデバイス200は、いくつかの例では、リモートサーバ520等の外部ソースに指示を送り、外部ソースに選択された動作プログラムを直接(ユーザデバイス200を経由せず)電化製品400のコントローラ300に送らせることができる。
【0051】
この外部ソースは、ユーザ210が新しい動作プログラムを閲覧し購入してダウンロードする「アプリストア」等を提供する一つ以上のサーバ(例:サーバ520)であってもよい。
【0052】
上記に照らし、ユーザ210はユーザインタフェース201を使って所望の一つの動作プログラムを選択することができることが理解される。図3の例では、ユーザ210は「綿」を選択している。ユーザ210には、図3に示されるように、選択された動作プログラムを実行230するオプションが与えられる。あるいは、選択された動作プログラムは自動的に実行されてもよい。ここでいう「実行(run)」とは、ユーザ210が、選択された動作プログラムが電化製品400により実行される(enacted)ことを希望することを意味する。一例においてこのシステム100によってそのように実行される工程を、図4を参照して以下に記載する。
【0053】
図4は、システム100内の制御フローの一例を示す。工程S101において、ユーザ210は、(例えば、図3を参照して説明されたように)ユーザデバイス200を使って所望の動作プログラムを選択する。上述のように、これはユーザ210が「アプリストア」又は他の動作プログラムの外部ソースを閲覧することを含んでもよい。
【0054】
ユーザ210が所望の動作プログラムを選択するのに応じて、ユーザデバイス200のプロセッサ202はこの所望の動作プログラムを取得する。図4の例では、これは、工程S102でプロセッサ202が(例えばネットワーク510を介して)サーバ520にアクセスし、動作プログラムを工程S103で取得することを含む。
【0055】
このとき、プロセッサ202は、動作プログラムをユーザデバイス200の内部データ記憶装置203に記憶してもよい。これにより、ユーザ210は複数の動作プログラムを(下記の工程S104-S018にしたがって)将来使うためにユーザデバイス200にセーブすることが可能となる。
【0056】
工程S104では、プロセッサ202は(例えば、通信インタフェース204を使って)動作プログラムをコントローラ300に送信する。コントローラ300は動作プログラムを入力部301を介して受信し、これをコントローラ300の内部データ記憶装置303に記憶する。
【0057】
あるいは、ユーザデバイス200のプロセッサ202により、サーバ520(または他のデータ記憶装置)に、サーバ520が選択された動作プログラムを電化製品400のコントローラ300に直接送ることを求める指示を送信してもよい。このような場合、工程S103とS104とは、サーバ520からコントローラ300に動作プログラムを送信することを含む単一の工程によって置き換えられる。
【0058】
工程S105-S107において、コントローラ300のプロセッサ302は、動作プログラムを電化製品400上で実行させる。工程S105は動作プログラムの開始を表し、工程S106は動作プログラムが実行されることを表し、工程S107は動作プログラムの終了を表す。
【0059】
動作プログラムが完了するのに応じて、電化製品400のプロセッサ302は、工程S108に表されるように、動作プログラムを電化製品400のデータ記憶装置303から消去する。したがって、コントローラ300(例えば電化製品400の主基板上)のデータ記憶装置303は、一度に一つだけの動作プログラムを保持するのに十分なデータ記憶容量だけ持っていればよい。これにより、電化製品400が実質的に動作プログラムが必要となったときのみ一度に一つの動作プログラムのみを記憶すればよいことから、複数の動作プログラムを記憶する従来の電化製品と比較して著しく必要なデータ記憶空間が減少する。
【0060】
ユーザデバイス200は、ユーザに一つ以上の動作プログラムを「お気に入り」として指定可能とし、必要な時にユーザが素早くかつ簡単に選択可能となるように構成されてもよい。これは、洗濯機等の従来型電化製品には、製造業者によって多数のオプション付きの多数の動作プログラムが設けられるのに対し、経験上多くのユーザは、実際にはわずかな動作プログラムしか使わないという事実を反映したものである。
【0061】
プロセッサ、プロセシングシステムまたは回路と本明細書に記載されるものは、実務上、単一のチップまたは集積回路により実装されても、複数のチップまたは集積回路により実装されてもよく、あるいはチップセット、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、デジタル・シグナル・プロセッサ(DSP)、グラフィクス・プロセッシング・ユニット(GPUs)等によって実装されてもよい。このチップまたは複数のチップは、実施形態にしたがって動作するよう構成可能なデータプロセッサ、デジタル・シグナル・プロセッサ、ベースバンド回路及び無線周波数回路の少なくとも一方を実装するための回路(ならびに場合によってファームウェア)を備えてもよい。この点に関し、例示的実施形態は、少なくとも部分的に(不揮発性)メモリーに記憶されプロセッサにより実行可能なコンピュータソフトウェア、ハードウェア、または実体的に記憶されたソフトウェアとハードウェア(および実体的に記憶されたファームウェア)との組み合わせにより実装されてもよい。
【0062】
データ記憶用のデータ記憶装置について本明細書に記載する。これは、単一のデバイスまたは複数のデバイスにより実装されてもよい。適切なデバイスとしては、例えばハードディスクおよび不揮発性半導体メモリーが挙げられる。
【0063】
図面を参照して本明細書に記載される実施形態のいくつかの側面では、処理システム又はプロセッサによって実行されるコンピュータプロセスを含むものの、本発明の範囲は、本発明を実施可能なコンピュータプログラム、とくに媒体上/内のコンピュータプログラムにも及ぶ。このプログラムは、非一時的なソースコード、オブジェクトコード、部分的にコンパイルされた形態等のコード中間ソースおよびオブジェクトコード(a code intermediate source and object code such as in partially compiled form)、または、本発明にしたがったプロセスの実施に使用されるのに適切ないずれの他の非一時的形態であってもよい。媒体は、プログラムを記憶可能ないずれの物体ないし装置であってもよい。例えば、この媒体は、ソリッドステートドライブ(SSD)又は他の半導体ベースのRAM、CD-ROMまたは半導体ROM等のROM、フロッピィディスク又はハードディスク等の磁気記憶媒体、一般の光学記憶装置等の記憶媒体を含んでもよい
【0064】
本明細書に記載される例は、本発明の実施形態を説明するための例として理解されるべきである。別の実施形態および例が想定される。一つの例または実施形態に関して記載される任意の特徴は、単独で、またはほかの特徴と組み合わせて使用可能である。加えて、一つの例または実施形態に関連して記載された任意の特徴は、他の例または実施形態、または他の例または実施形態の任意の組み合わせのいずれかの特徴と組み合わせても使用可能である。さらに、本明細書に記載されない均等物および変形例も、請求項に定義される本発明の範囲内で利用可能である。
図1
図2
図3
図4