(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-11
(45)【発行日】2022-05-19
(54)【発明の名称】安全機能を備えたスイッチキャビネット装置、および当該装置に対応する方法
(51)【国際特許分類】
F25D 11/00 20060101AFI20220512BHJP
F25B 1/00 20060101ALI20220512BHJP
F25D 23/00 20060101ALI20220512BHJP
F25D 23/02 20060101ALI20220512BHJP
F25B 49/02 20060101ALI20220512BHJP
F25B 49/00 20060101ALI20220512BHJP
【FI】
F25D11/00 101B
F25B1/00 396G
F25B1/00 396Z
F25B1/00 396H
F25B1/00 396A
F25D23/00 307
F25D23/02 306A
F25B49/02 520B
F25D23/00 302Z
F25B49/00 Z
(21)【出願番号】P 2020541388
(86)(22)【出願日】2019-01-25
(86)【国際出願番号】 DE2019100080
(87)【国際公開番号】W WO2019201372
(87)【国際公開日】2019-10-24
【審査請求日】2020-08-05
(31)【優先権主張番号】102018109604.6
(32)【優先日】2018-04-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】512086138
【氏名又は名称】リッタル ゲーエムベーハー ウント コー.カーゲー
【氏名又は名称原語表記】Rittal GmbH & Co.KG
【住所又は居所原語表記】Auf dem Stuetzelberg,35745 Herborn,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110003063
【氏名又は名称】特許業務法人牛木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハイムベルク,トルステン
(72)【発明者】
【氏名】ワーグナー,シュテファン
【審査官】関口 勇
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-067391(JP,A)
【文献】特開2003-322445(JP,A)
【文献】特開2002-184435(JP,A)
【文献】特開2007-212113(JP,A)
【文献】特開2005-156058(JP,A)
【文献】特開2004-178511(JP,A)
【文献】特許第6017045(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 11/00
F25B 1/00
F25D 23/00
F25D 23/02
F25B 49/02
F25B 49/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのスイッチキャビネットの筐体(1)と、スイッチキャビネット装置で受け取られた空気を冷却するための少なくとも1つの冷却装置(2)と、を有し、
前記冷却装置(2)が、可燃性冷媒を有する少なくとも1つの冷媒回路(3)を有し、
少なくとも1つの冷媒センサ(4)を有し、
前記冷媒センサ(4)は、前記空気における可燃性冷媒の濃度を検出して制御ユニット(5)により判断され、
前記制御ユニット(5)は、前記濃度の閾値を超えた場合に、前記空気における前記可燃性冷媒の濃度を低下させるための安全機能を動作させるように構成されるスイッチキャビネット装置において、
前記安全機能が前記冷却装置(2)の閉鎖機構(8)を備え、
前記閉鎖機構(8)を用いて、
前記濃度の閾値以下の場合は、前記スイッチキャビネットの内側に向かって開いている前記冷却装置(2)の吸気口(6)および前記スイッチキャビネットの内側に向かって開いている前記冷却装置(2)の吹出口(7)を
前記濃度の閾値を超えた場合に閉じることができ、
前記安全機能が、少なくとも1つの閉鎖部材(12,16)を備えた換気機構(9)をさらに備え、
前記閉鎖部材(12,16)が、前記冷却装置(2)の内部の空気回路(10)と外部の空気回路(11)との間で、開位置と閉位置との間に調整可能であり、
前記濃度の閾値以下の場合は、前記閉鎖部材(12,16)が前記閉位置であり、
前記閉鎖部材
(12,16)の前記閉位置において、前記外部の空気回路(11)と前記内部の空気回路(10)とが、お互いに流体的に切り離され、
前記濃度の閾値を超えた場合は、前記閉鎖部材(12,16)が前記開位置であり、
前記閉鎖部材
(12,16)の前記開位置において、
前記内部の空気回路(10)と前記スイッチキャビネットの筐体(1)の内部との間のすべての空気通路の開口部が閉じられる一方で、前記内部の空気回路(10)と前記外部の空気回路(11)との間に空気の短絡が設置されて、周囲の空気が前記外部の空気回路(11)から前記内部の空気回路(10)に送り出され、前記内部の空気回路(10)から前記外部の空気回路(11)に送り出され、そして、そこから前記スイッチキャビネット装置の周囲に送り出されることを特徴とするスイッチキャビネット装置。
【請求項2】
前記少なくとも1つの冷媒センサ(4)が、単一チャンネルの信号出力を備えた1つだけのガスセンサ、または単一チャンネルの信号出力を有している複数の冗長なガスセンサを有することを特徴とする請求項1に記載のスイッチキャビネット装置。
【請求項3】
前記少なくとも1つの冷媒センサ(4)が、前記スイッチキャビネットの内部に向かって開いている前記冷却装置(2)の吸気口(6)で、または前記スイッチキャビネットの内部に向かって開いている前記冷却装置(2)の吹出口(7)で、前記スイッチキャビネット装置のベース領域に配置されることを特徴とする請求項1または2に記載のスイッチキャビネット装置。
【請求項4】
少なくとも1つのスイッチキャビネットの筐体(1)と、スイッチキャビネット装置で受け取られた空気を冷却するための少なくとも1つの冷却装置(2)と、を有し、
前記冷却装置(2)が、可燃性冷媒を有する少なくとも1つの冷媒回路(3)を有し、
前記冷媒回路(3)における前記可燃性冷媒の圧力損失を検出するように構成された少なくとも1つの圧力センサを有し、
前記圧力センサが制御ユニット(5)により判断され、前記圧力センサにより検出された圧力損失が閾値を超えた場合に、前記冷媒回路(3)の漏出と当該制御ユニットから判断され、
前記制御ユニット(5)は、前記閾値を超えた場合に、前記空気における前記可燃性冷媒の濃度を低下させるための安全機能を動作させるように構成されるスイッチキャビネット装置において、
前記安全機能が前記冷却装置(2)の閉鎖機構(8)を備え、
前記閉鎖機構(8)を用いて、
前記濃度の閾値以下の場合は、前記スイッチキャビネットの内側に向かって開いている前記冷却装置(2)の吸気口(6)およ
び前記スイッチキャビネットの内側に向かって開いている前記冷却装置(2)の吹出口(7)を
前記濃度の閾値を超えた場合に閉じることができ、
前記安全機能が、少なくとも1つの閉鎖部材(12,16)を備えた換気機構(9)をさらに備え、
前記閉鎖部材(12,16)が、前記冷却装置(2)の内部の空気回路(10)と外部の空気回路(11)との間で、開位置と閉位置との間に調整可能であり、
前記濃度の閾値以下の場合は、前記閉鎖部材(12,16)が前記閉位置であり、
前記閉鎖部材
(12,16)の前記閉位置において、前記外部の空気回路(11)と前記内部の空気回路(10)とが、お互いに流体的に切り離され、
前記濃度の閾値を超えた場合は、前記閉鎖部材(12,16)が前記開位置であり、
前記閉鎖部材
(12,16)の前記開位置において、
前記内部の空気回路(10)と前記スイッチキャビネットの筐体(1)の内部との間のすべての空気通路の開口部が閉じられる一方で、前記内部の空気回路(10)と前記外部の空気回路(11)との間に空気の短絡が設置されて、周囲の空気が前記外部の空気回路(11)から前記内部の空気回路(10)に送り出され、前記内部の空気回路(10)から前記外部の空気回路(11)に送り出され、そして、そこから前記スイッチキャビネット装置の周囲に送り出されることを特徴とするスイッチキャビネット装置。
【請求項5】
前記冷媒回路(3)の空気/冷媒熱交換器(13)が前記内部の空気回路(10)に配置され、
前記空気/冷媒熱交換器(13)が前記内部の空気回路(10)を、前記空気/冷媒熱交換器(13)の流入側(14)に面する部分と、前記空気/冷媒熱交換器(13)の流出側(15)に面する部分とに分割し、
前記閉鎖部材(12,16)の第1の閉鎖要素(12)を用いて、前記外部の空気回路(11)を前記空気/冷媒熱交換器(13)の前記流入側(14)に面する部分に開くことができ、
前記閉鎖部材(12,16)の第2の閉鎖要素(16)を用いて、前記外側の空気回路(11)を前記空気/冷媒熱交換器(13)の前記流出側(15)に面する部分に開くことができることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載のスイッチキャビネット装置。
【請求項6】
前記安全機能が通気および換気機構(17)を有し、
前記通気および換気機構(17)を経由して、前記スイッチキャビネット装置が周囲の空気を用いて換気され、
前記スイッチキャビネット装置に収容された空気が、前記スイッチキャビネット装置の周囲に送り出されることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載のスイッチキャビネット装置。
【請求項7】
前記安全機能が、不活性ガス供給部(18)を有し、
前記制御ユニット(5)により制御される弁(19)を用いて、前記不活性ガス供給部(18)を前記スイッチキャビネット装置の内部に開くことができることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載のスイッチキャビネット装置。
【請求項8】
前記可燃性冷媒を濃縮して前記スイッチキャビネット装置の内部に受け取られる空気のための吹出口(7)をさらに備えることを特徴とする請求項7に記載のスイッチキャビネット装置。
【請求項9】
前記安全機能が、前記冷却装置(2)の圧縮機用、および/または前記冷却装置(2)の前記内部の空気回路(10)におけるファン用の、前記制御ユニット(5)により制御されるスイッチオフ機能を有していることを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載のスイッチキャビネット装置。
【請求項10】
少なくとも1つのスイッチキャビネットの筐体(1)と、可燃性冷媒を備えた少なくとも1つの冷媒回路(3)を有している少なくとも1つの冷却装置(2)と、を備えたスイッチキャビネット装置の作動方法であって:
- 前記スイッチキャビネット装置に受け取られた空気を前記冷却装置(2)で冷却するステップであって、その目的のために、前記空気が前記冷却装置(2)を通過するステップと、
- 前記空気における前記可燃性冷媒の濃度が閾値を超えているかを監視するステップと、
- 前記閾値を超えたことが監視中に検出された場合、安全機能を動作させて、前記空気における前記可燃性冷媒の濃度を前記閾値未満に低下させるステップと、
を備えた方法において、
前記安全機能を動作させるステップが、前記冷却装置(2)の閉鎖機構(8)の作動を含み、
前記閉鎖機構(8)の作動により、
前記濃度の閾値以下の場合は、前記スイッチキャビネットの内部に向かって開いている前記冷却装置(2)の吸気口(6)、および前記スイッチキャビネットの内部に向かって開いている前記冷却装置(2)の吹出口(7)を
前記濃度の閾値を超えた場合に閉じ、
前記換気機構(9)の作動が閉鎖部材(12,16)の作動を備え、
前記冷却装置(2)の内部の空気回路(10)と外部の空気回路(11)との間で、前記閉鎖部材(12,16)を開位置と閉位置との間に調整することができ、
前記濃度の閾値以下の場合は、前記閉鎖部材(12,16)が前記閉位置であり、
前記閉鎖部材(12,16)の前記閉位置において、前記外部の空気回路(11)と前記内部の空気回路(10)とが、お互いに流体的に切り離され、
周囲の空気が前記外部の空気回路(11)を通って運ばれ、前記スイッチキャビネット装置に受け取られた空気が前記内部の空気回路(10)を通って運ばれ、
前記濃度の閾値を超えた場合は、前記閉鎖部材(12,16)が前記開位置であり、
前記閉鎖部材
(12,16)の前記開位置において、
前記内部の空気回路(10)と前記スイッチキャビネットの筐体(1)の内部との間のすべての空気通路の開口部が閉じられる一方で、前記内部の空気回路(10)と前記外部の空気回路(11)との間に空気の短絡が設置されて、周囲の空気が前記外部の空気回路(11)から前記内部の空気回路(10)に送り出され、前記内部の空気回路(10)から前記外部の空気回路(11)に送り出され、かつ、そこから前記スイッチキャビネット装置の周囲に送り出されることを特徴とする方法。
【請求項11】
少なくとも1つのスイッチキャビネットの筐体(1)と、可燃性冷媒を備えた少なくとも1つの冷媒回路(3)を有している少なくとも1つの冷却装置(2)と、を備えたスイッチキャビネット装置の作動方法であって:
- 前記スイッチキャビネット装置に受け取られた空気を前記冷却装置(2)で冷却するステップであって、その目的のために、前記空気が前記冷却装置(2)を通過するステップと、
- 圧力センサにより検出された、前記冷媒回路(3)における前記可燃性冷媒の圧力損失が閾値を超えているかを監視するステップと、
- 前記閾値を超えたことが監視中に検出された場合、安全機能を動作させて、前記空気における前記可燃性冷媒の濃度を前記閾値未満に低下させるステップと、
を有する方法において、
前記安全機能を動作させるステップが、前記冷却装置(2)の閉鎖機構(8)の作動を含み、
前記閉鎖機構(8)の作動により、
前記濃度の閾値以下の場合は、前記スイッチキャビネットの内部に向かって開いている前記冷却装置(2)の吸気口(6)、およ
び前記スイッチキャビネットの内部に向かって開いている前記冷却装置(2)の吹出口(7)を
前記濃度の閾値を超えた場合に閉じ、
前記換気機構(9)の作動が閉鎖部材(12,16)の作動を備え、
前記冷却装置(2)の内部の空気回路(10)と外部の空気回路(11)との間で、前記閉鎖部材(12,16)を開位置と閉位置との間に調整することができ、
前記濃度の閾値以下の場合は、前記閉鎖部材(12,16)が前記閉位置であり、
前記閉鎖部材(12,16)の前記閉位置において、前記外部の空気回路(11)と前記内部の空気回路(10)とが、お互いに流体的に切り離され、
周囲の空気が前記外部の空気回路(11)を通って運ばれ、前記スイッチキャビネット装置に受け取られた空気が前記内部の空気回路(10)を通って運ばれ、
前記濃度の閾値を超えた場合は、前記閉鎖部材(12,16)が前記開位置であり、
前記閉鎖部材
(12,16)の前記開位置において、
前記内部の空気回路(10)と前記スイッチキャビネットの筐体(1)の内部との間のすべての空気通路の開口部が閉じられる一方で、前記内部の空気回路(10)と前記外部の空気回路(11)との間に空気の短絡が設置されて、周囲の空気が前記外部の空気回路(11)から前記内部の空気回路(10)に送り出され、前記内部の空気回路(10)から前記外部の空気回路(11)に送り出され、かつ、そこから前記スイッチキャビネット装置の周囲に送り出されることを特徴とする方法。
【請求項12】
少なくとも1つのスイッチキャビネットの筐体(1)と、可燃性冷媒を備えた少なくとも1つの冷媒回路(3)を有している少なくとも1つの冷却装置(2)と、を備えたスイッチキャビネット装置の作動方法であって:
- 前記スイッチキャビネット装置に受け取られた空気を前記冷却装置(2)で冷却するステップであって、その目的のために、前記空気が前記冷却装置(2)を通過するステップと、
- 内部の空気回路(10)における前記可燃性冷媒の温度と外部の空気回路(11)における前記可燃性冷媒の温度との差が、第1の閾値を超えているかを監視するステップ、および/または前記冷却装置(2)の圧縮器の消費電力が第2の閾値を下回るかを監視するステップと、
- 前記第1の閾値を超えたこと、および/または前記第2の閾値を下回ったことが監視中に検出された場合、安全機能を動作させて、前記空気における前記可燃性冷媒の濃度を低下させるステップと、
を有する方法において、
前記安全機能を動作させるステップが、前記冷却装置(2)の閉鎖機構(8)の作動を含み、
前記閉鎖機構(8)の作動により、
前記濃度の閾値以下の場合は、前記スイッチキャビネットの内部に向かって開いている前記冷却装置(2)の吸気口(6)、およ
び前記スイッチキャビネットの内部に向かって開いている前記冷却装置(2)の吹出口(7)を
前記濃度の閾値を超えた場合に閉じ、
前記換気機構(9)の作動が閉鎖部材(12,16)の作動を備え、
前記冷却装置(2)の内部の空気回路(10)と外部の空気回路(11)との間で、前記閉鎖部材(12,16)を開位置と閉位置との間に調整することができ、
前記濃度の閾値以下の場合は、前記閉鎖部材(12,16)が前記閉位置であり、
前記閉鎖部材(12,16)の前記閉位置において、前記外部の空気回路(11)と前記内部の空気回路(10)とが、お互いに流体的に切り離され、
周囲の空気が前記外部の空気回路(11)を通って運ばれ、前記スイッチキャビネット装置に受け取られた空気が前記内部の空気回路(10)を通って運ばれ、
前記濃度の閾値を超えた場合は、前記閉鎖部材(12,16)が前記開位置であり、
前記閉鎖部材
(12,16)の前記開位置において、
前記内部の空気回路(10)と前記スイッチキャビネットの筐体(1)の内部との間のすべての空気通路の開口部が閉じられる一方で、前記内部の空気回路(10)と前記外部の空気回路(11)との間に空気の短絡が設置されて、周囲の空気が前記外部の空気回路(11)から前記内部の空気回路(10)に送り出され、前記内部の空気回路(10)から前記外部の空気回路(11)に送り出され、かつ、そこから前記スイッチキャビネット装置の周囲に送り出されることを特徴とする方法。
【請求項13】
前記安全機能を動作させるステップが換気機構(9)の作動を備え、
前記換気機構の作動により、前記スイッチキャビネット装置が周囲の空気を用いて換気され、かつ、前記スイッチキャビネット装置に収容された前記空気が、前記スイッチキャビネット装置の周囲に送り出されることを特徴とする請求項10~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記安全機能を動作させるステップが、前記冷却装置(2)の前記内部の空気回路(10)におけるファン(21)の動作停止、および/または前記冷却装置(2)の圧縮器(20)の動作停止を備えることを特徴とする請求項10~13のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本発明は、少なくとも1つのスイッチキャビネットの筐体と、スイッチキャビネット装置で受け取られた空気を冷却するための少なくとも1つの冷却装置と、を備えたスイッチキャビネット装置に基づいており、当該冷却装置は、可燃性冷媒を含む少なくとも1つの冷媒回路を備えている。このようなスイッチキャビネット装置は、ドイツ特許出願公開第10 2004 057 432号明細書から周知であり、冷媒を備えている冷媒回路が圧縮ユニットおよび凝縮ユニットを有し、蒸発ユニットを用いて、当該スイッチキャビネット装置で発生する熱が当該スイッチキャビネット装置で受け取られた空気から取り出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0002】
【文献】ドイツ特許出願公開第10 2004 057 432号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この冷媒回路における漏出の場合、可燃性冷媒がスイッチキャビネット装置に収容された空気中に放出される虞があり、特にスイッチキャビネットの筐体にも入り込む虞があり、当該スイッチキャビネットの筐体内に、通常は電気的なスイッチギアシステムの電子部品が収容されている。これらの電子部品が、当該スイッチギアの作動中にアークを点火させる虞があり、当該アークの点火で、冷媒と空気との混合物が発火する虞がある。
【0004】
機械指令2006/42/ECによると、機械において使用されるガスは爆発や火災の危険をもたらさないことが要求されている。さらに、EN規格のEN12100 第5.4節 b)に準拠した必須のリスク分析によると、スイッチキャビネット装置の個々の部品、特に冷却装置が、作動中に故障する可能性があると想定する必要がある。スイッチキャビネットの冷却装置の冷媒を運搬している部品が漏出を示し、冷媒回路からの可燃性冷媒がスイッチキャビネット装置に収容される空気と混合する場合、当該可燃性冷媒のガスがこのスイッチキャビネット装置に入り込み、作動中にアークを点火させる部品で発火する可能性があると想定する必要がある。この問題を解決するために、CO2または水を冷媒として使用することがドイツ特許出願公開第10 2004 057 432号明細書から周知である。しかしながら、不燃性冷媒は可燃性冷媒よりも低い熱容量を有することが多いため、だからこそ一般に、可燃性冷媒で冷凍装置を作動することが望ましい。
【0005】
したがって本発明の目的は、スイッチキャビネット装置における漏出の場合に漏れた可燃性冷媒が発火することを防止するように、上記のタイプのスイッチキャビネット装置をさらに開発することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、請求項1および4のそれぞれの特徴を備えているスイッチキャビネット装置により解決される。従属請求項12および13はそれぞれ、このようなスイッチキャビネット装置の対応している作動方法を記載している。本発明の有利な実施形態は、従属請求項のそれぞれの主題である。
【0007】
したがって、スイッチキャビネット装置が少なくとも1つの冷媒センサを有し、当該冷媒センサは、スイッチキャビネット装置に収容された空気における可燃性冷媒の濃度を検出して制御ユニットにより判断され、当該制御ユニットは、濃度の閾値を超えた場合に、空気中の可燃性冷媒の濃度を閾値未満に低下させるための安全機能を動作させるように構成されていることが提供される。
【0008】
この閾値は、例えば、可燃性冷媒と、スイッチキャビネット装置に収容される空気または当該空気の酸素含有量と、の間の燃えやすい理論混合比の形成が防止されるように決定されてもよい。しかしながら、この閾値が非常に低く設定されて、はるかに低い濃度で安全機能をすでに動作させていてもよい。スイッチキャビネット装置に収容される空気の量が既知であるため、濃度の増加から漏出の度合いを推測することができ、その後で必要に応じて、存在している多数の安全機能から、開始される安全機能を選択することができる。
【0009】
少なくとも1つの冷媒センサが、単一チャンネルの信号出力を備えた1つだけのガスセンサを有してもよく、または単一チャンネルの信号出力を備えた複数の冗長なガスセンサを有してもよい。例としてこのガスセンサが、例えばR32、R1234yf、R1234ze、プロパン、ブタンなどの可燃性冷媒に反応する単一チャンネルのセンサであってもよい。あるいは、例えば前述の例の1つなど、少なくとも1つの可燃性冷媒に反応するいくつかのセンサが使用されてもよい。これら複数のセンサを上述のガスセンサに重複して使用されてもよく、これにより、当該センサが、これらの信号を単一チャンネルで出力する。単一チャンネルの非分散型赤外線(non-dispersive infrared:NDIR)センサ2つがこれらのセンサとして使用されてもよく、当該NDIRセンサは可燃性冷媒に敏感に反応し、例えば、例として前述された冷媒の1つに敏感に反応する。
【0010】
少なくとも1つの冷媒センサが、スイッチキャビネットの内部に開いている冷却装置の吸気口で、スイッチキャビネット装置の床面に位置していてもよく、またはスイッチキャビネットの内部に開いている冷却装置の吹出口で、スイッチキャビネット装置の床面に位置していてもよい。この少なくとも1つの冷媒センサは、冷却装置の吸気口または吹出口に位置しているときに、この冷却装置の内部の空気回路に位置していてもよい。例として、第1の冷媒センサが蒸発器の入口における冷凍装置の内部の空気回路に位置していてもよく、第2の冷媒センサが蒸発器の出口における冷凍装置の内部の空気回路に位置していてもよい。特に第1の冷媒センサが、冷凍機器の内部の空気回路を通る空気の流れの方向で、冷凍機器の内部の空気回路における蒸発器の上流側についての上流に位置していてもよい。第2の冷媒センサが、冷凍機器の内部の空気回路を通る空気の流れの方向で、冷凍機器の内部の空気回路における蒸発器の下流側についての下流に位置していてもよい。特に、熱交換器が空気/冷媒熱交換器であってもよい。
【0011】
安全機能が冷却装置の閉鎖機構を有していてもよく、当該閉鎖機構により、スイッチキャビネットの内側に開いている冷却装置の吸気口および/またはスイッチキャビネットの内側に開いている冷却装置の吹出口が閉じられてもよい。したがって漏出の場合、電子部品が位置しているスイッチキャビネットの内部に可燃性冷媒が入り込むのを防止するために、必要に応じて、冷却装置の内部の空気回路とスイッチキャビネットの内部との間の単一の空気通路の開口部を選択的に閉じることができ、または、冷却装置の内部の空気回路とスイッチキャビネットの内部との間の空気通路の両方の開口部を選択的に閉じることができる。
【0012】
安全機能が、少なくとも1つの閉鎖部材を備えた換気機構をさらに備えてもよく、当該閉鎖部材が、冷却装置の内部の空気回路と外部の空気回路との間で、開位置と閉位置との間に閉じられてもよく、この閉鎖部材の閉位置において、外部の空気回路と内部の空気回路とが、お互いに流体的に切り離され、かつ当該閉鎖部材の開位置において、周囲の空気が外部の空気回路から内部の空気回路に送り出され、内部の空気回路から外部の空気回路に送り出され、かつ、そこからスイッチキャビネット装置の周囲に送り出される。
【0013】
閉鎖要素を用いて、冷却装置の内部の空気回路と外部の空気回路との間に空気の短絡が設置されてもよく、当該内部の空気回路と当該外部の空気回路とは、冷却装置の通常の作動中にお互いに流体的に切り離されている。この空気の短絡経由で、冷媒を収容しているスイッチギアキャビネット装置内部の空気を当該スイッチギアキャビネット装置の外に導くことができ、当該目的のために必要に応じて、空気を運ぶための冷却装置のファンが使用されてもよい。
【0014】
例として、冷媒回路の空気/冷媒熱交換器が内部の空気回路に位置していてもよく、当該空気/冷媒熱交換器が当該内部の空気回路を、この空気/冷媒熱交換器の上流側に面する部分と、この空気/冷媒熱交換器の下流側に面する部分とに分け、閉鎖部材の第1の閉鎖要素を用いて、外部の空気回路を空気/冷媒熱交換器の当該上流側に面する部分に開くことができ、閉鎖部材の第2の閉鎖要素を用いて、外部の空気回路を空気/冷媒熱交換器の下流側に面する部分に開くことができる。
【0015】
安全機能が換気機構を有していてもよく、当該換気機構を通って、スイッチキャビネット装置が周囲の空気を用いて換気され、かつ当該スイッチキャビネット装置に収容された空気が、このスイッチキャビネット装置の周囲に送り出される。冷却装置が故障した場合、この換気機構がスイッチキャビネットの部品に収容された空気の緊急冷却を行なってもよく、当該故障は通常、この冷却装置の漏出に関連している。
【0016】
安全機能が、制御ユニットにより制御される冷媒回路の噴出弁を含んでもよく、当該噴出弁を通って、可燃性冷媒が冷却装置の外部の空気回路に噴き出される。
【0017】
また、安全機能が不活性ガス供給部を有してもよく、制御ユニットにより制御される弁を用いて、当該不活性ガス供給部をスイッチキャビネット装置の内部に開くことができる。検出された閾値を超えた場合に、この不活性ガスを使用して、制御キャビネットの内部に収容されたガス混合物を当該ガス混合物の着火が不可能になる程度に希釈してもよい。この不活性ガスの代わりに、反応ガスがスイッチキャビネット装置の内部に噴き出されてもよく、当該反応ガスが当該空気における冷媒ガスと化学結合する。あるいはまた、安全機能が消火剤供給部を有してもよく、当該消火剤供給部が、制御ユニットにより制御される弁を用いてスイッチキャビネット装置の内部に開かれてもよい。
【0018】
またスイッチキャビネットの部品が、可燃性冷媒を濃縮してスイッチキャビネットの部品に収容される空気のための吹出口を有してもよい。この吹出口とファンが関連して、スイッチキャビネットの部品の内部からスイッチキャビネットの部品の周囲への空気の運搬を促進してもよい。またスイッチキャビネットの部品が吸気口を有し、ファンが作動したときにスイッチキャビネットの内部の均圧を行なってもよい。
【0019】
安全機能が、冷却装置の圧縮機用、および/または冷却装置の内部の空気回路におけるファン用の、制御ユニットにより制御されるシャットダウン機能を含んでもよい。このシャットダウン機能を使用して冷却装置の動作を完全に停止させることにより、冷媒が冷媒回路から漏出することを防止することができ、その結果、スイッチキャビネットの内部に冷媒が入り込むことを防ぐことができる。
【0020】
安全機能が制御ユニットにより起動される電気的な緊急停止機能を含んでもよく、当該緊急停止機能において、スイッチキャビネット装置、好ましくはスイッチキャビネット装置に収容された少なくとも電気的なスイッチギアが、電源から切り離されている。この電気的なスイッチギアが、通常の作動中または故障の場合に電気アークを生成可能な技術的な装置であってもよい。
【0021】
また本発明の目的は、少なくとも1つのスイッチギアキャビネットの筐体と、スイッチギアキャビネット装置に収容された空気の冷却用の少なくとも1つの冷却装置と、を備えたスイッチギアキャビネット装置により解決され、この冷却装置が、可燃性冷媒を包含する少なくとも1つの冷媒回路を有し、このスイッチギアキャビネット装置が、当該冷媒回路における可燃性冷媒の圧力損失を検出するように構成された少なくとも1つの圧力センサを有し、当該圧力センサが制御ユニットにより判断され、この圧力センサにより検出された圧力損失が閾値を超えた場合に、当該制御ユニットから冷媒回路の漏出が推測され、
当該閾値を超えた場合に、前記空気における可燃性冷媒の濃度を低下させるための前述された安全機能の1つを動作させるために、この制御ユニットが配置されている。
【0022】
本発明の別の態様によれば、スイッチキャビネット装置の作動方法が提案され、当該スイッチキャビネット装置は、少なくとも1つのスイッチキャビネットの筐体と、可燃性冷媒を備えた少なくとも1つの冷媒回路を備えている少なくとも1つの冷却装置と、を備えている。当該方法は以下のステップ:
- スイッチキャビネット装置に収容された空気を冷却装置で冷却するステップであって、その目的のために、当該空気がこの冷却装置を通過するステップと、
- 当該空気における可燃性冷媒の濃度が閾値を超えているかを監視するステップと、
- 閾値を超えたことが監視中に検出された場合、安全機能を動作させて、当該空気における可燃性冷媒の濃度を閾値未満に低下させるステップと、を備えている。
【0023】
安全機能を動作させるステップが、冷却装置の閉鎖機構の作動を備えていてもよく、当該閉鎖機構の作動により、スイッチキャビネットの内部に開いている冷却装置の吸気口、および/またはスイッチキャビネットの内部に開いている冷却装置の吹出口を閉じている。
【0024】
安全機能を動作させるステップが換気機構の作動を備えてもよく、当該換気機構の作動により、スイッチキャビネット装置が周囲の空気を用いて換気され、かつ当該スイッチキャビネット装置に収容された空気が、このスイッチキャビネット装置の周囲に送り出される。
【0025】
換気機構の作動が閉鎖部材の作動を備えてもよく、当該閉鎖部材が、冷却装置の内部の空気回路と外部の空気回路との間で、開位置と閉位置との間に調整可能であり、この閉鎖部材の閉位置において、外部の空気回路と内部の空気回路とが、お互いに流体的に切り離され、周囲の空気が外部の空気回路を通って運ばれ、スイッチキャビネット装置に収容された空気が内部の空気回路を通って運ばれ、当該閉鎖部材の開位置において、周囲の空気が外部の空気回路から内部の空気回路に送り出され、内部の空気回路から外部の空気回路に送り出され、かつ、そこからスイッチキャビネット装置の周囲に送り出される。冷却装置のファンが当該空気を運ぶために使用されてもよい。
【0026】
また安全機能を動作させるステップが、冷却装置の内部の空気回路におけるファンの動作停止、および/または冷却装置の圧縮器の動作停止が含まれてもよい。一実施形態において、安全機能の作動には、冷却装置のすべてのアクティブな部品の動作停止を含んでいる。また動作停止には、電気的なスイッチギアの電気的な切断を含んでもよい。
【0027】
また本発明は、少なくとも1つのスイッチキャビネットの筐体と、可燃性冷媒を備えた少なくとも1つの冷媒回路を備えている少なくとも1つの冷却装置と、を備えているスイッチキャビネット装置の作動方法により解決され、当該方法は以下のステップ:
- スイッチキャビネット装置で受け取った空気を冷却装置で冷却するステップであって、その目的のために、当該空気がこの冷却装置を通過するステップと、
- 圧力センサにより検出された、冷媒回路における可燃性冷媒の圧力損失が閾値を超えているかを監視するステップと、
- 閾値を超えたことが監視中に検出された場合、安全機能を動作させて、当該空気における可燃性冷媒の濃度を閾値未満に低下させるステップと、を備えている。
【0028】
また本発明は、少なくとも1つのスイッチキャビネットの筐体と、可燃性冷媒を備えた少なくとも1つの冷媒回路を備えている少なくとも1つの冷却装置と、を備えているスイッチキャビネット装置の作動方法により解決され、当該方法は以下のステップ:
- スイッチキャビネット装置で受け取った空気を冷却装置で冷却するステップであって、その目的のために、当該空気がこの冷却装置を通過するステップと、
- 内部の空気回路における可燃性冷媒の温度と外部の空気回路における可燃性冷媒の温度との差が、第1の閾値を超えているかを監視するステップ、および/または冷却装置の圧縮器の消費電力が第2の閾値を下回るかを監視するステップと、
- 第1の閾値を超えたこと、および/または第2の閾値を下回ったことが監視中に検出された場合、安全機能を動作させて、当該空気における可燃性冷媒の濃度を閾値未満に低下させるステップと、を備えている。
【0029】
圧縮器により吸収される容量は、冷媒回路を通る冷媒の質量流量に依存し、かつ内部の空気回路と外部の空気回路との間の冷媒の圧力差に依存するため、後者を監視することにより、この冷媒回路が漏出しているという結論を引き出すことができる。同様に、漏出がカルノーサイクルプロセス(Carnot cycle process)の特徴点をシフトさせ、当該特徴点のシフトにより、冷媒回路の漏出を検出できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
本発明のさらなる詳細は、以下の図を使用して説明される:
【
図1】現在の水準によるスイッチキャビネット装置を示す概略図である。
【
図2】本発明のスイッチキャビネット装置の異なる実施形態を示す概略図である。
【
図3】本発明のスイッチキャビネット装置の異なる実施形態を示す概略図である。
【
図4】本発明のスイッチキャビネット装置の異なる実施形態を示す概略図である。
【
図5】本発明のスイッチキャビネット装置の異なる実施形態を示す概略図である。
【
図6】本発明のスイッチキャビネット装置の異なる実施形態を示す概略図である。
【
図7】本発明のスイッチキャビネット装置の異なる実施形態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1に示される現在の水準のスイッチキャビネット装置は、冷却装置2が取り付けられた状態でスイッチキャビネットの筐体1を有している。本発明は、1つだけのスイッチキャビネットの筐体1および1つだけの冷却装置2を備えた、
図1に示される配置のスイッチキャビネット装置に基本的には限定されない。特に、本発明によるスイッチキャビネット装置がいくつかのスイッチキャビネット1を有してもよく、例として、当該いくつかのスイッチキャビネット1がスイッチキャビネットの列を形成している。同様に、いくつかの冷却装置2が設けられてもよく、またはスイッチキャビネットの列においてインライン冷却装置として一体化された冷却装置が設けられてもよい。また本発明の原理は、データセンター用の空調のソリューション(air conditioning solutions)にも転換可能である。しかしながら簡素化のため、以下の図において、1つのスイッチキャビネットの筐体1および当該スイッチキャビネットの筐体1に取り付けられた1つの冷却装置2のみで構成される例示的なスイッチキャビネット装置により本発明が説明される。
【0032】
スイッチキャビネットの筐体1は通常、作動中に電気アークを点火する部品を有する可能性がある電気的なスイッチギア23を収容している。冷却装置2の内部の空気回路10とスイッチキャビネットの筐体1の内部とが、空気の体積Lを形成し、当該内部の空気回路10は、外部の空気回路11から流体的に切り離され、したがってスイッチキャビネット装置の周囲からも流体的に切り離されている。冷却装置2の冷媒回路3の蒸発器(図示せず)が内部の空気回路10に収容され、冷却装置2の内部の空気回路10を通って運ばれた空気を冷却している。例えば冷媒回路3の蒸発器や配管が内部の空気回路10に収容されている限りにおいて、当該蒸発器または配管に漏出24がある場合、冷媒がスイッチキャビネット1の内部における空気の体積Lに入り込むことができる。この冷媒が可燃性冷媒である場合、可燃性の空気/冷媒混合物がこのスイッチギアキャビネット装置の内側に形成され、説明された電気アークが原因で、当該空気/冷媒混合物が電気的なスイッチギア23で発火する虞がある。
【0033】
対照的に、
図2は、本発明によるスイッチギアキャビネット装置の第1の実施形態を示している。このスイッチギアキャビネット装置はさらに2つの冷媒センサ4を有しており、当該2つの冷媒センサ4は、スイッチキャビネット装置の内部の空気において冷媒回路3に収容された可燃性冷媒の濃度を検出している。冷媒センサ4の測定信号が制御ユニット5により判断され、当該制御ユニット5は、スイッチキャビネット装置の内部の空気における可燃性冷媒の濃度用の閾値を超えた場合に、安全機能を動作させるように構成されている。この閾値が、このスイッチキャビネット装置の内部の空気に含有された冷媒の発火に必要な最小濃度を表すように、特に選択されてもよい。しかしながら、この閾値が非常に低く設定され、実際には、冷媒の存在検査のみが実行され、すなわち空気の体積Lの定性検査のみが実行されてもよい。
【0034】
図2に示す実施形態において、制御ユニット5が主電源スイッチ22に接続され、制御ユニット5からの命令により、当該主電源スイッチ22が電気的なスイッチギア23への電気供給を停止することができ、その結果、電気アークの形成を防止し、したがって、スイッチギアキャビネット装置に収容された空気/ガス混合物の発火の危険性を回避している。
【0035】
図2に示される第1の実施形態と同様に、
図3に示される実施形態もやはり、冷却装置2の吸気の流れにおいて第1のセンサ4を有し、かつ、冷却装置の吹き出しの流れにおいて、当該第1のセンサ4の下方に第2のセンサ4を有している。これらの第1センサ4および第2センサ4に接続された制御ユニット5は、通気および換気機構17を制御する。この通気および換気機構17が、例えばファンを有していてもよく、当該ファンはスイッチキャビネット装置の周囲から当該スイッチキャビネット装置の内部、特に電子部品23を備えたスイッチキャビネット1の内部に空気を吹き込んでいる。また、この換気機構17が吹出口を有してもよく、当該吹出口を経由して、冷媒ガスと混合された空気Lが、スイッチギアキャビネット装置の内部からスイッチギアキャビネット装置の周囲へと吹き出される。この吹出口が冷却装置2に関連していることが好ましい一方で、スイッチギアキャビネット装置の周囲からスイッチギアキャビネット装置の部品の内部への空気注入用のファンが、当該吹出口から離れて位置している。吸気口と吹出口との間で、これら2つの間の空気流の方向に電気部品23が配置され、冷却装置2に関連する当該吹出口が、冷却装置2から漏出している冷却装置ガスを電子装置23から遠ざけることができるようにしている。
【0036】
また通気および換気機構17が、空気注入部の代わりに排気部を有していてもよい。この場合、前述のファンが通気および換気機構17の吹出口の開口部に割り当てられる。また通気および換気機構17の、吸気口の開口部および吹出口の開口部の両方が、それぞれファンを有していることも想定される。
【0037】
さらに制御ユニット5が不活性ガスの供給部18の弁19を制御しており、当該弁19を経由して、スイッチキャビネット装置に不活性ガスを吹き込み、冷媒が貯留することを抑制し、その結果、可燃性ガスの混合物の形成を防止している。
【0038】
しかしながら原則として、
図3による実施形態に示される2つの安全機能を、お互いに独立して実施することができる。
【0039】
図4に示す実施形態は、
図3を参照して既に説明された通気および換気機構17に加えて、制御ユニット5により冷却装置2を制御することを特徴としている。したがって制御ユニット5は、スイッチキャビネット装置の内部の空気Lにおける冷媒の濃度用の閾値を超えたことが検出されたときに、冷却装置2の動作を停止させるように構成される。この冷却装置2の動作の停止が、冷却装置2の内部の空気回路におけるファン21の動作の停止および/または冷媒回路3の圧縮機の動作の停止を、特に含んでもよい。冷却装置2の動作を停止させたにもかかわらず、依然として冷却装置2から漏出している冷媒ガスは、通気および換気機構17を経由してスイッチキャビネット装置の内部からスイッチキャビネット装置の周囲へと排出されてもよい。
【0040】
図5に示す実施形態において、
図2に示される実施形態を参照して既に説明された主電源切断部22に加えて、扉開放機構25も実装されており、当該扉開放機構25は制御ユニット5により制御されて、スイッチキャビネット装置の内部の空気Lにおける冷媒の濃度が閾値を超えて検出された場合に、スイッチキャビネット装置のスイッチキャビネットの扉26を開いている。この扉開放機構25がサーボモータを有していてもよく、当該サーボモータは、制御ユニット5により制御され、冷媒センサ4を用いて閾値の超過が検出されたときに、スイッチキャビネットの扉26を開いている。例として、空調システムが故障した場合にスイッチギアを過熱から保護するための、適切な扉開放機構が周知である。
【0041】
図6は、本発明によるスイッチギアキャビネット装置を実施するために必要なすべての部品が冷却装置2に収容されている実施形態を示している。このことは、スイッチキャビネットの筐体1の構造を変更する必要がない、ということを意味している。冷却装置2の実施形態のさらなる詳細が
図7に示されている。したがって冷却装置2がロック機構8を有し、当該ロック機構8が、このスイッチキャビネットの内部に開いている冷却装置2の吸気口6と、このスイッチキャビネットの内部に開いている冷却装置2の吹出口7とをロックするために使用されてもよい。吸気口6および吹出口7が、例えば閉鎖機構8の蓋や滑動部などの別個の閉鎖手段によりお互いに独立して閉鎖されてもよい。
【0042】
さらに冷却装置2が換気機構9を有し、当該換気機構9は、冷却装置2の内部の空気回路10と外部の空気回路11との間に、2部品からなる閉鎖要素12,16を有している。これらの閉鎖要素12,16の閉位置において、外部の空気回路11と内部の空気回路10とが、お互いに流体的に切り離されている。閉鎖要素12,16の開位置において、外部の空気回路11から内部の空気回路10へと周囲の空気を排出することができ、かつ内部の空気回路10から外部の空気回路11へと周囲の空気を排出することができる。外部の空気回路11を経由して、内部の空気回路10から外部の空気回路11に入った空気をスイッチキャビネット装置の周囲に送り出すことができる。
【0043】
冷媒回路3の空気/冷媒熱交換器13は内部の空気回路10に配置される。この空気/冷媒熱交換器13は、その上流側14に第1のセンサ4を有し、かつ、その下流側15に第2のセンサ4を有している。外部の空気回路11が、前述の閉鎖要素の第1の閉鎖要素12を経由して、空気/冷媒熱交換器13の上流側に面する部分に開かれてもよい。さらに外部の空気回路11が、第2の閉鎖要素16を経由して、空気/冷媒熱交換器13の下流側に面する部分に開かれてもよい。
【0044】
第1および第2のセンサ4により漏出24が検出された場合、同様に冷却装置2のユニットの内部に位置している制御ユニット5が閉鎖機構8を制御してもよく、この冷却装置2の内部の空気回路10とスイッチキャビネットの筐体の内部との間のすべての空気通路の開口部を閉じる一方で、閉鎖要素12,16を開き、冷却装置2の内部の空気回路10と外部の空気回路11との間に空気の短絡が設置されるようにしている。
【0045】
その後、冷却装置2のファンを用いて、周囲の空気が吸気口の開口部を経由して外部の空気回路11に吸い込まれ、第1の閉鎖要素12を通って内部の空気回路10に吹き込まれ、内部の空気回路10および空気/冷媒熱交換器13を通過してもよく、内部の空気回路10から空気/冷媒熱交換器13の流出側15における第2の閉鎖要素16を通って外部の空気回路11に戻り、その後、冷却装置2から外部の空気回路11の吹出口の開口部を経由してスイッチキャビネット装置の周囲に移動している。
【0046】
図面を参照すると、本発明による安全機能を実装するための、本発明のスイッチキャビネット装置の様々な実施形態、特に本発明のスイッチキャビネット装置の変形が再現されている。特に非常に豊富な解決策(redundant solutions)を提供する目的で、様々な実施形態で再現された安全機能が、本発明に準拠した基準から逸脱することなく、お互いに任意の組み合わせで実装されてもよい。
【0047】
詳細な説明、図面および特許請求の範囲に開示された本発明の特徴が、本発明を個別に実現するために不可欠であってもよく、または任意の組み合わせで実現するために不可欠であってもよい。