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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-11
(45)【発行日】2022-05-19
(54)【発明の名称】自己免疫阻害剤及びその適用
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/13 20060101AFI20220512BHJP
   C12N 15/62 20060101ALI20220512BHJP
   C07K 16/24 20060101ALI20220512BHJP
   C07K 16/46 20060101ALI20220512BHJP
   C12P 21/08 20060101ALI20220512BHJP
   A61P 37/08 20060101ALI20220512BHJP
   A61P 11/06 20060101ALI20220512BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20220512BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20220512BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20220512BHJP
【FI】
C12N15/13 ZNA
C12N15/62 Z
C07K16/24
C07K16/46
C12P21/08
A61P37/08
A61P11/06
A61P11/00
A61K39/395 D
A61K39/395 U
A61K39/395 N
A61K48/00
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020549864
(86)(22)【出願日】2019-05-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-18
(86)【国際出願番号】 CN2019089031
(87)【国際公開番号】W WO2019228405
(87)【国際公開日】2019-12-05
【審査請求日】2020-06-04
(31)【優先権主張番号】201810528489.8
(32)【優先日】2018-05-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520198568
【氏名又は名称】康▲諾▼▲亞▼生物医▲薬▼科技(成都)有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】徐 ▲剛▼
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼ 博
(72)【発明者】
【氏名】于 俊涛
【審査官】山本 晋也
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2010/070346(WO,A1)
【文献】国際公開第2008/151819(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/114694(WO,A1)
【文献】特表2010-505418(JP,A)
【文献】特表2012-507294(JP,A)
【文献】国際公開第2017/211319(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N15/
C07K
A61K
A61P
SwissProt/GeneSeq
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号172のアミノ酸配列から選択される重鎖CDR1、配列番号173のアミノ酸配列から選択される重鎖CDR2、及び配列番号174のアミノ酸配列から選択される重鎖CDR3;並びに配列番号222のアミノ酸配列から選択される軽鎖CDR1、配列番号223のアミノ酸配列から選択される軽鎖CDR2、及び配列番号224のアミノ酸配列から選択される軽鎖CDR3を含む、IL-4Rαに特異的に結合する抗体又はその機能的断片。
【請求項2】
配列番号171、176のアミノ酸配列から選択される重鎖可変領域、及び配列番号221のアミノ酸配列から選択される軽鎖可変領域を含む、請求項1に記載の抗体又はその機能的断片。
【請求項3】
hIL-4とhIL-4Rαとの相互作用を阻害する、請求項1または2に記載の抗体又はその機能的断片。
【請求項4】
複合体hIL-13Rα/hIL-13に対するhIL-4Rαの結合も阻害する、請求項1から3のいずれか一項に記載の抗体又はその機能的断片。
【請求項5】
ヒト化されている、請求項1から4のいずれか一項に記載の抗体又はその機能的断片。
【請求項6】
配列番号171のアミノ酸配列から選択される重鎖可変領域、及び配列番号221のアミノ酸配列から選択される軽鎖可変領域を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の抗体又はその機能的断片。
【請求項7】
配列番号176のアミノ酸配列から選択される重鎖可変領域、及び配列番号221のアミノ酸配列から選択される軽鎖可変領域を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の抗体又はその機能的断片。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の抗体若しくはその機能的断片をコードする核酸分子。
【請求項9】
請求項8に記載の核酸分子を含むベクター。
【請求項10】
請求項9に記載のベクターを含む細胞。
【請求項11】
請求項1から7のいずれか一項に記載の抗体若しくはその機能的断片、又は請求項8に記載の核酸分子、及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物。
【請求項12】
哺乳動物におけるアレルギー疾患、又は喘息、又は慢性閉塞性肺疾患の処置において使用するための、請求項1から7のいずれか一項に記載の抗体若しくはその機能的断片、又は請求項8に記載の核酸分子、又は請求項9に記載のベクター、又は請求項10に記載の細胞、又は請求項11に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、インターロイキン4及びインターロイキン13を標的とする二重阻害性抗体、その製造方法、及びその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
インターロイキン4(IL-4)は、Th2ヘルパー細胞媒介免疫応答の重要な促進因子である。好酸球性顆粒球、好塩基球性顆粒球、肥満細胞、又は自然リンパ球は、免疫原によって活性化された後にIL-4を分泌し、IL-4は、抗原活性化ナイーブT細胞をTh2細胞へと分化するように誘導することができる。Th2細胞は、IL-4、IL-5、及びIL-13等のサイトカインを発現し、IL-4は、Th2細胞そのものに作用し、これは効果を増幅及び活性化するループを形成することができる。
【0003】
IL-4及びIL-13は、細胞表面上の特異的受容体に結合すること、及び細胞の内部にシグナルを伝達することによって生物活性を発揮する。B細胞に作用することによって、IL-4及びIL-13は、MHCクラスII抗原の発現をアップレギュレートすることができ、B細胞が抗原を提示する能力を増強し、これによって免疫系は少量の抗原刺激に対して免疫応答を生じ、B細胞抗体クラススイッチを誘導し、IgG1及びIgEを産生する。IL-4及びIgEが肥満細胞に結合すると、肥満細胞を活性化させて、ヒスタミン、セロトニン等の放出をもたらす。好酸球性顆粒球は、Th2細胞によって分泌されるIL-4、IL-5、及びIL-13によって動員及び活性化されうる。IL-13は、上皮細胞及び平滑筋細胞に作用し、気道上皮杯細胞の増殖及び平滑筋の収縮をもたらす。
【0004】
IL-4Rα(Uniprot P24394)は、分子量およそ140KDaのI型膜貫通タンパク質であり、IL-4及びIL-13の共受容体である。IL-4は、高い親和性でIL-4Rαに結合し、細胞表面上のγcと複合体を形成し、この複合体はγcを介してシグナルを伝達し、I型受容体複合体IL-4Rα/IL-4Rγcと呼ばれる。IL-4とは対照的に、IL-13は、IL-13Rα1に低い親和性で結合し、その後IL-4Rαに結合して高親和性受容体を形成し、これはIL-13Rα1を介してシグナルを伝達し、II型受容体複合体IL-4Rα/IL-13Rα1と呼ばれる。IL-4は、I型受容体及びII型受容体を通して機能することができるが、IL-13は、II型受容体のみを通して機能することができる。エフェクター細胞におけるI型受容体とII型受容体との間の発現の差によって、IL-4及びIL-13は、部分的に重複する生物効果及びそのそれぞれの特異的機能を生じる。
【0005】
インターロイキン(IL)-13は、2型ヘルパーT細胞(Th2)炎症の重要なメディエータであると考えられ、IL-13レベルの上昇は、喘息、免疫性腸疾患、特発性肺線維症(IPF)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、及びアトピー性皮膚炎、及びその他を含むがこれらに限定されない多様な疾患に関連している(Oh CKら、Eur Respir Rev 19:46~54頁(2010); Fahy JVら、Nat Rev Immunol 15:57~65頁[2015])。IL-13は、Th2細胞、好塩基球性顆粒球、好酸球性顆粒球、肥満細胞、気道上皮細胞、及び2型自然リンパ球を含む複数の細胞タイプによって産生される。IL-13は、ヘテロ二量体受容体であるIL-4Rα/IL-13Rα1に結合するが、これはまたIL-4の受容体でもあり、STAT-6シグナル伝達経路を活性化する(Hershey GK, J Allergy Clin Immunol 111(4):677~90頁[2003])。一部の例では、IL-13は、粘液産生、表皮下線維症、IgE産生、平滑筋過形成、並びに炎症細胞の動員及び活性化を含む、喘息の臨床発現に関連している(Hershey GK, J Allergy Clin Immunol 111(4):677~90頁[2003])。Th2炎症は、2型自然リンパ球(ILC2)を含むTh2細胞以外の幾つかの細胞タイプの活性を伴うことから、「Th2炎症」は、最近では科学論文において「2型炎症」と呼ばれている。Th2細胞に加えて、ILC2もまた、IL-5及びIL-13等のサイトカインの重要な起源として同定されている。従って、これまでTh2サイトカインとして同定されていたIL-13及びIL-5等のサイトカインは、現在では科学論文において2型サイトカインと呼ばれている。同様に、そのようなサイトカインに関連する疾患状態も、現在では2型駆動疾患又は2型関連疾患と呼ばれている。例えば、Noonanら、J. Allergy Clin Immunol., 132(3):567~574頁(2013); Hananiaら、Thorax 70(8):748~56頁(2015);及びCaiら、Bioanalysis 8(4):323~332頁(2016)を参照されたい。例えば、科学論文で使用される場合、用語「2型喘息」は、喘息の理解に関するプロセスの進展を反映し、肺組織における高レベルのインターロイキン(IL-5及びIL-13を含む)によって特徴付けられる。従って、「Th2」及び「2型」は、本明細書において互換的に使用される。
【0006】
.
喘息は、慢性の気道炎症疾患である。喘息を有する患者は、気道過敏症及び様々な程度の可逆性の気道閉塞を有し、長期間の再発性発作は、気道のリモデリング(コラーゲン線維び平滑筋を伴う)を引き起こし、それによって気道の肥厚化及び狭窄をもたらし、閉塞性肺気腫を引き起こす。重度喘息を有する患者の約50%が、Th2細胞媒介性II型炎症応答を有する。健常な人と比較すると、喘息患者は、血清又は気管支生検の両方において上昇したIL-4及びIL-13レベルを有する。アレルゲンによる刺激後、IL-4及びIL-13レベルはいずれも、喘息を有する患者の気管支肺胞洗浄液において増加することが見出されている。アレルギー性喘息を有する患者におけるIL-4の吸入は、気道過敏症及び喀痰中の好酸球性顆粒球の増加等の喘息の特徴的な症状を誘導しうる。研究者らは、アレルギー性喘息の発症が、Th1/Th2型細胞の比率の不均衡に密接に関連し、このように過剰なサイトカインIL-4を産生することを示している。IL-4は、Th1のTh2細胞への分化を決定し、B細胞によるIgEの合成を促進する唯一のサイトカインであるが、IL-13は、呼吸器過敏症、気道のリモデリング、及び過剰な粘液分泌を誘発する主要なパートナーである(Annu Rev Immunol, Wynnら 2003)。
【0007】
好酸球性顆粒球は、アトピー性皮膚炎を有する患者の末梢血に存在し、Th2経路の活性化に関連する分子は、アトピー性皮膚炎を有する患者の非病変皮膚において検出されるが、健康な対照の正常な皮膚には検出されない。更に、胸腺及び活性化調節ケモカインCCL17のレベルは、アトピー性皮膚炎を有する患者の血清中で上昇し、CCL17は、T細胞活性化を選択的に誘導するIL-4及びIL-13誘導ケモカインである。局所コルチコステロイド及び経口シクロスポリンA等の広域スペクトルの治療は、アトピー性皮膚炎の重症度に密接に関連するTARCレベルの急速な低下を誘導することができ、潜在的II型炎症が、疾患としてのアトピー性皮膚炎を駆動することを証明している。アトピー性皮膚炎は一般的に、アレルギー性鼻炎及び喘息等の他のアレルギー疾患によって悪化する。
【0008】
アトピー性鼻炎の発病は、花粉、カビ、及びハウスダストダニ等の一般的なアレルゲンに対するTh2媒介アレルギーであると考えられている。対照群と比較すると、季節性アトピー性鼻炎を有するより若い群は、鼻洗浄液において上昇したIL-4レベルを有する。IL-4及びIL-13のレベルは、慢性感染性鼻炎を有する患者の鼻肥満細胞と比較して、通年性アトピー性鼻炎を有する患者の鼻肥満細胞ではアップレギュレートされている。IL-4は、鼻肥満細胞におけるFcεRI mRNAのアップレギュレーション及び細胞表面タンパク質の発現を誘導する。アトピー性鼻炎は、鼻ポリープを伴う慢性副鼻腔炎へと発達しうるが、鼻ポリープもまたTh2型応答を有し、これは、好酸球性顆粒球、IL-5、IgE、及び組織好酸球性顆粒球のケモカインレベルの上昇をもたらす。鼻ポリープを伴う慢性副鼻腔炎を有する患者の粘膜は、鼻ポリープを伴わない慢性副鼻腔炎を有する患者又は通常の粘膜を有する患者より多くの自然リンパ球ILC2細胞を含有し、自然リンパ球ILC2細胞は、IL-33の刺激下で高レベルのIL-13を分泌する。
【0009】
慢性閉塞性肺疾患は、有意な肺及び全身の炎症によって特徴付けられる閉塞性肺疾患である。患者において、患者の気道のほとんどにおける炎症は、慢性気管支炎及び小気道の炎症をもたらし、これによって管腔の低減及び気流抵抗の増加が起こる。喘息とは対照的に、慢性閉塞性肺疾患における気流制限は、不可逆的である。研究者らは、慢性閉塞性肺疾患を有する患者の気管支肺胞洗浄から得たリンパ球が、混合表現型を有することを示している。非慢性閉塞性肺疾患を有する患者又は対照と比較すると、慢性閉塞性肺疾患を有する患者は、より高い割合のIL-4+CD4、IL-4+CD8、及びIL-13+CD8 T細胞を有する。慢性閉塞性肺疾患が急激に悪化した患者の30%は、呼吸器ウイルスを有し、その77%は、ライノウイルスであり、ライノウイルスは、慢性閉塞性肺疾患の悪化を引き起こす重要な理由である。慢性閉塞性肺疾患の悪化を経験した患者は、肺及び末梢血においてTh1及びTh2応答の両方を有する。IFNγは、これらの患者では広く発現されず、安定期の患者及び対照群と比較して有意差を有しない。これに対し、IL-4はこれらの患者において広く発現され、これは安定期の患者及び対照群と比較してアップレギュレートされている。研究者らは、好酸球性顆粒球のレベルを制御することが慢性閉塞性肺疾患を有する患者にとって非常に重要な臨床上の利益をもたらし、悪化を62%低減させうることを示している。好酸球性顆粒球が>200個/マイクロリットルである患者におけるベラリズマブの使用は、患者において好酸球性顆粒球を有効に除去し、慢性閉塞性肺疾患の急激な悪化の症状を低減し、FEV1及び症状スコアを改善する(Brightling CEら、Lancet Respir Med. 2014)。喘息/慢性閉塞性肺疾患オーバーラップ症候群は、現在では、2つの重要な態様である、喘息と慢性閉塞性肺疾患とを有する疾患であると認識されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】WO 03/038041
【文献】WO 03/035847
【文献】米国特許第7,229,619号
【文献】WO 05/0076990
【文献】WO 03/092610
【文献】WO 00/64944
【文献】WO 2005/062967
【文献】米国特許第3,773,919号
【文献】米国特許第4,522,811号
【非特許文献】
【0011】
【文献】Oh CKら、 Eur Respir Rev 19:46~54頁 (2010);
【文献】Fahy JVら、Nat Rev Immunol 15:57~65頁[2015]
【文献】Hershey GK, J Allergy Clin Immunol 111(4):677~90頁[2003];
【文献】Noonanら、J. Allergy Clin Immunol., 132(3):567~574頁(2013);
【文献】Hananiaら、Thorax 70(8):748~56頁(2015);
【文献】Caiら、Bioanalysis 8(4):323~332頁(2016).
【文献】Annu Rev Immunol、Wynnら 2003
【文献】Brightling CEら、Lancet Respir Med. 2014
【文献】Heinzmannら、Hum Mol Genet 9: 549~559頁(2000)
【文献】Kabatら、「Sequences of Proteins of Immunological Interest」、NationalInstitute of Health、Bethesda, MD(1987)
【文献】Methods in Molecular Biology、Vol 207:「Recombinant Antibodies for Cancer Therapy Methods and Protocols」(2003); Chapter 1;3~25頁、Kipriyanov
【文献】Millerら(2003), J Immunol. 170: 4854~4861頁
【文献】Smithら(2004) J. Clin. Pathol. 57,912~917頁;
【文献】Nelsonら、J Clin Pathol (2000)、53,111~117頁
【文献】Harlow & Lane、1988
【文献】Kabat, E.A.ら(1991)「Sequences of Proteins of Immunological Interest」Fifth Edition, U.S. Department of Health and Human Services, NIH Publication No. 91~3242頁
【文献】Chothia, C.ら(1987) J. Mol. Biol. 196:901~917頁
【文献】Rich and Myszka (2000) Curr. Opin. Biotechnol 11:54頁
【文献】Englebienne (1998) Analyst.123:1599頁
【文献】Paul編、「Fundamental Immunology」、第2版, Raven Press、New York, 332~336頁(1989)
【文献】Malmqvist (2000) Biochem. Soc. Trans.2 7:335頁
【文献】Watsonら、「Molecular Biology of the Gene」、第4版、1987, The Benjamin/Cummings Pub.co., 224頁
【文献】Computational Molecular Biology、Lesk, A.M編、Oxford University Press, New York, 1988;
【文献】Biocomputing: Informatics and Genome Projects, Smith, D.W.編、Academic Press, New York, 1993;
【文献】Computer Analysis of Sequence Data、Part I, Griffin、A.M., and Griffin、H.G.編、Humana Press, New Jersey, 1994;
【文献】Sequence Analysis in Molecular Biology、von Heinje, G., Academic Press、1987
【文献】Sequence Analysis Primer、Gribskov, M., and Devereux、J.編、M Stockton Press、New York、1991
【文献】Carrillo, H. & Lipman、D., SIAM J Applied Math 48:1073頁(1988)
【文献】Codon Usage Database、www.kazusa.orjp/codon/
【文献】Nakamura Y.ら、「Codon usage tabulated from the international DNA sequence databases: status for the year 2000」. Nucl.Acids Res.、28:292頁(2000)
【文献】Remington's Pharmaceutical Sciences
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
様々な関連する疾患におけるIL-4Rα及びIL-13の効果及び機能を考慮すると、患者を処置するために適した改善された抗IL-4Rα特異的抗体を開発することが当技術分野で必要である。
【課題を解決するための手段】
【0013】
広範囲の詳細な研究、及びマススクリーニングを通して、本発明者らは、予想外に、極めて優れた親和性及び特異性を有する抗IL-4Rα抗体、及び抗IL-4Rα抗体に基づいて得たヒト化抗体を得た。本発明の抗体は、IL-4Rα抗原に高い特異性及び高い親和性で結合することが可能であり、IL-4に対するIL-4Rαの結合、及びIL-13に対するIL-4Rαの結合を有意に阻害する。更に、本発明の抗体は、哺乳動物に対して目に見える副作用を有しない。本発明は、上記に基づいて達成されている。
【0014】
一態様では、本開示は、IL-4Rαに特異的に結合する抗体又はその機能的断片に関する。
【0015】
配列番号2~4、12~14、22~24、32~34、42~44、52~54、62~64、72~74、82~84、92~94、102~104、112~114、122~124、132~134、142~144、152~154、162~164、172~174、177~179、182~184、187~189、192~194、197~199、202~204、及び207~209のアミノ酸配列、若しくはその任意のバリアントから選択される重鎖CDR、並びに/又は配列番号7~9、17~19、27~29、37~39、47~49、57~59、67~69、77~79、87~89、97~99、107~109、117~119、127~129、137~139、147~149、157~159、167~169、212~214、217~219、222~224、227~229のアミノ酸配列、若しくはその任意のバリアントから選択される軽鎖CDRを含む、前述の態様に従う抗体又はその機能的断片。
【0016】
配列番号2、12、22、32、42、52、62、72、82、92、102、112、122、132、142、152、162、172、177、182、187、192、197、202、207のアミノ酸配列、若しくはその任意のバリアントから選択される重鎖CDR1、配列番号3、13、23、33、43、53、63、73、83、93、103、113、123、133、143、153、163、173、178、183、188、193、198、203、208のアミノ酸配列、若しくはその任意のバリアントから選択される重鎖CDR2、及び配列番号4、14、24、34、44、54、64、74、84、94、104、114、124、134、144、154、164、174、179、184、189、194、199、204、209のアミノ酸配列、若しくはその任意のバリアントから選択される重鎖CD3;並びに/又は配列番号7、17、27、37、47、57、67、77、87、97、107、117、127、137、147、157、167、212、217、222、227のアミノ酸配列、若しくはその任意のバリアントから選択される軽鎖CDR1、配列番号8、18、28、38、48、58、68、78、88、98、108、118、128、138、148、158、168、213、218、223、228のアミノ酸配列、若しくはその任意のバリアントから選択される軽鎖CDR2、及び配列番号9、19、29、39、49、59、69、79、89、99、109、119、129、139、149、159、169、214、219、224、229のアミノ酸配列、若しくはその任意のバリアントから選択される軽鎖CDR3を含む、前述の態様のいずれかの抗体又はその機能的断片。
【0017】
配列番号1、11、21、31、41、51、61、71、81、91、101、111、121、131、141、151、161、171、176、181、186、191、196、201、206のアミノ酸配列、若しくはその任意のバリアントから選択される重鎖可変領域、及び/又は配列番号6、16、26、36、46、56、66、76、86、96、106、116、126、136、146、156、166、211、216、221、226のアミノ酸配列、若しくはその任意のバリアントから選択される軽鎖可変領域を含む、前述の態様のいずれかの抗体又はその機能的断片。
【0018】
配列番号171のアミノ酸配列若しくはその任意のバリアントから選択される重鎖可変領域、及び/又は配列番号221のアミノ酸配列若しくはその任意のバリアントから選択される軽鎖可変領域を含む、前述の態様のいずれかの抗体又はその機能的断片。
【0019】
配列番号176のアミノ酸配列若しくはその任意のバリアントから選択される重鎖可変領域、及び/又は配列番号221のアミノ酸配列若しくはその任意のバリアントから選択される軽鎖可変領域を含む、前述の態様のいずれかの抗体又はその機能的断片。
【0020】
配列番号196のアミノ酸配列若しくはその任意のバリアントから選択される重鎖可変領域、及び/又は配列番号211のアミノ酸配列若しくはその任意のバリアントから選択される軽鎖可変領域を含む、前述の態様のいずれかの抗体又はその機能的断片。
【0021】
配列番号196のアミノ酸配列若しくはその任意のバリアントから選択される重鎖可変領域、及び/又は配列番号216のアミノ酸配列若しくはその任意のバリアントから選択される軽鎖可変領域を含む、前述の態様のいずれかの抗体又はその機能的断片。
【0022】
抗体が抗体断片である、前述の態様のいずれかの抗体又はその機能的断片。
【0023】
hIL-4とhIL-4Rαの相互作用を阻害する、好ましくは、複合体hIL-13Rα/hIL-13に対するhIL-4Rαの結合も阻害する、前述の態様のいずれかの抗体又はその機能的断片。
【0024】
ヒト化されている、前述の態様のいずれかの抗体又はその機能的断片。
【0025】
前述の態様のいずれかの抗体又はその機能的断片と、少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、又はそれより高い同一性を有する抗体又はその機能的断片。
【0026】
前述の態様のいずれかの抗体若しくはその機能的断片をコードする核酸分子、又はそれと少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくはそれより高い同一性を有する核酸分子。
【0027】
前述の態様のいずれかの核酸を含むベクター。
【0028】
前述の態様のいずれかのベクターを含む細胞。
【0029】
前述の態様のいずれかの抗体若しくはその機能的断片、又は抗体若しくはその機能的断片をコードする核酸、及び薬学的に許容される担体を含む、医薬組成物。
【0030】
前述の態様のいずれかの抗体若しくはその機能的断片、又は核酸分子、又はベクター、又は細胞、又は医薬組成物の治療有効量を哺乳動物に投与する工程を含む、哺乳動物におけるアレルギー疾患を処置する方法。
【0031】
前述の態様のいずれかの抗体若しくはその機能的断片、又は核酸分子、又はベクター、又は細胞、又は医薬組成物の治療有効量を哺乳動物に投与する工程を含む、がんを処置する方法。
【0032】
前述の態様のいずれかの抗体若しくはその機能的断片、又は核酸分子、又はベクター、又は細胞、又は医薬組成物の治療有効量を哺乳動物に投与する工程を含む、哺乳動物における喘息を処置する方法。
【0033】
前述の態様のいずれかの抗体若しくはその機能的断片、又は核酸分子、又はベクター、又は細胞、又は医薬組成物の治療有効量を哺乳動物に投与する工程を含む、哺乳動物における慢性閉塞性肺疾患を処置する方法。
【0034】
前述の態様のいずれかの抗体若しくはその機能的断片、又は核酸分子、又はベクター、又は細胞、又は医薬組成物の治療有効量を哺乳動物に投与する工程を含む、哺乳動物におけるIL-4及び/又はIL-13の異常な産生に関連する疾患を処置する方法。
【0035】
前述の態様のいずれかの抗体若しくはその機能的断片、又は核酸分子、又はベクター、又は細胞、又は医薬組成物の治療有効量を哺乳動物に投与する工程を含む、哺乳動物におけるTH-2媒介応答を阻害する方法。
【0036】
哺乳動物におけるアレルギー疾患を処置するための薬物の調製における、前述の態様のいずれかの抗体若しくはその機能的断片、又は核酸分子、又はベクター、又は細胞、又は医薬組成物の使用。
【0037】
哺乳動物における喘息を処置するための薬物の調製における、前述の態様のいずれかの抗体若しくはその機能的断片、又は核酸分子、又はベクター、又は細胞、又は医薬組成物の使用。
【0038】
哺乳動物における慢性閉塞性肺疾患を処置するための薬物の調製における、前述の態様のいずれかの抗体若しくはその機能的断片、又は核酸分子、又はベクター、又は細胞、又は医薬組成物の使用。
【0039】
IL-4及び/又はIL-13の異常な産生に関連する疾患を処置するための薬物の調製における、前述の態様のいずれかの抗体若しくはその機能的断片、又は核酸分子、又はベクター、又は細胞、又は医薬組成物の使用。
【0040】
哺乳動物におけるTH-2媒介応答を処置するための薬物の調製における、前述の態様のいずれかの抗体若しくはその機能的断片、又は核酸分子、又はベクター、又は細胞、又は医薬組成物の使用。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1A】ヒトIL-4Rαの細胞外領域のタンパク質がおよそ40Kダルトンのサイズを有することを示す図である。
図1B】カニクイザルIL-4Rαの細胞外領域のタンパク質がおよそ40Kダルトンのサイズを有することを示す図である。
図1C】ヒトIL-4タンパク質がおよそ20Kダルトンのサイズを有することを示す図である。
図1D】ヒトIL-13Rα1の細胞外領域のタンパク質がおよそ55Kダルトンのサイズを有することを示す図である。
図2】hIL-4Rαを安定に発現するモノクローナルHEK293細胞を示す図である。
図3A】免疫したマウス5匹の血清中の抗体力価が全て1:819200に到達しうることを示す図である。
図3B】免疫したマウス#3及び#4の血清中の抗体が、ヒトIL-4及びIL-4受容体の結合を阻害できることを示す図である。
図3C】ELISAによって予めスクリーニングした抗体が全て、IL-4Rαを発現する安定にトランスフェクトしたHEK293細胞に特異的に結合することを示す図である。
図3D】ELISAによって予めスクリーニングした陽性コロニーにおける15個の抗体が、ヒトIL-4に対する、IL-4Rαを発現する安定にトランスフェクトした細胞の結合を阻害できることを示す図である。
図4A】hIL-4Rαが、複合体hIL-13Rα/hIL-13に結合できることを示す図である。
図4B】候補抗体が、複合体hIL-13Rα/hIL-13に対するhIL-4Rαの結合を阻害できることを示す図である。
図5A】ヒト化候補抗体が、IL-4Rαを発現する安定にトランスフェクトしたHEK293細胞に特異的に結合できることを示す図である。
図5B】候補抗体が、hIL-4Rαを発現する細胞に対するヒトIL-4の結合を阻害できることを示す図である。
図6A】hIL-4が、TF-1細胞増殖を刺激できることを示す図である。
図6B】hIL-13が、TF-1細胞増殖を刺激できることを示す図である。
図6C】ヒト化抗体が、hIL-4刺激TF-1細胞増殖を阻害できることを示す図である。
図6D】ヒト化抗体が、hIL-13刺激TF-1細胞増殖を阻害することを示す図である。
図6E】ヒト化抗体が、hIL-4刺激及びhIL-13刺激TF-1細胞増殖を同時に阻害できることを示す図である。
図7A】ヒト化候補抗体が、ヒトIL-4Rαタンパク質に結合することを示す図である。
図7B】ヒト化候補抗体が、カニクイザルIL-4Rαのタンパク質に結合することを示す図である。
図7C】候補ヒト化抗体が、マウスIL-4Rαタンパク質に結合しないことを示す図である。
図7D】ヒト化候補抗体が、ラットIL-4Rαタンパク質に結合することを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
本発明において、本明細書で使用した全ての科学技術用語は、特に明記していない限り、当業者によって一般的に理解される意味を有する。更に、本明細書で使用するタンパク質及び核酸化学、分子生物学、細胞及び組織培養、微生物学、並びに免疫学に関連する用語及び実験操作工程は、対応する技術分野において広く使用されている用語及び通常の工程である。本発明をよりよく理解するために、関連する用語の定義及び説明を以下に提供する。
【0043】
「インターロイキン4」(IL-4)は、天然に存在する若しくは内因性の哺乳動物IL-4タンパク質、又は対応する天然に存在する若しくは内因性の哺乳動物IL-4タンパク質と同じアミノ酸配列を有するタンパク質(例えば、組換えタンパク質、及び合成タンパク質(すなわち、有機合成の化学的方法によって調製されたタンパク質))に関する。従って、本明細書で定義される場合、用語は、成熟IL-4タンパク質、多型又は対立遺伝子バリアント、IL-4の他のアイソフォーム、及び前述の修飾又は非修飾型(例えば、脂質付加又はグリコシル化)を含む。天然に存在する又は内因性のIL-4は、成熟IL-4、多型又は対立遺伝子バリアント等の野生型タンパク質、並びに哺乳動物(例えば、ヒト及び非ヒト霊長類)において天然に存在する他のアイソフォーム及び変異型を含む。そのようなタンパク質は、例えば天然にIL-4を産生する起源から回収又は単離することができる。これらのタンパク質、及び対応する天然に存在する又は内因性のIL-4と同じアミノ酸配列を有するタンパク質は、対応する哺乳動物の名称によって呼ばれる。例えば、対応する哺乳動物がヒトである場合、タンパク質は、ヒトIL-4と呼ばれる。WO 03/038041に開示されているように、幾つかの変異体IL-4タンパク質が当技術分野で公知である。
【0044】
「インターロイキン13」(IL-13)は、天然に存在する若しくは内因性の哺乳動物IL-13タンパク質、又は対応する天然に存在する若しくは内因性の哺乳動物IL-13タンパク質と同じアミノ酸配列を有するタンパク質(例えば、組換えタンパク質、及び合成タンパク質(すなわち、有機合成の化学的方法によって調製されたタンパク質))に関する。IL-13は、2型ヘルパーT細胞(Th2)細胞を含む多くの細胞タイプによって分泌されるサイトカインである。従って、本明細書で定義される場合、用語は、成熟IL-13タンパク質、多型又は対立遺伝子バリアント、IL-13の他のアイソフォーム(例えば、選択的スプライシング又は他の細胞プロセスによって産生されたアイソフォーム)、及び前述の修飾又は非修飾型(例えば、脂質付加又はグリコシル化)を含む。天然に存在する又は内因性のIL-13は、成熟IL-13、多型又は対立遺伝子バリアント等の野生型タンパク質、並びに哺乳動物(例えば、ヒト及び非ヒト霊長類)において天然に存在する他のアイソフォーム及び変異型を含む。例えば、本明細書で使用される場合、IL-13は、成熟ヒトIL-13の110位のArgがGln(成熟IL-13の110位は、前駆体タンパク質の130位に対応する)に置換され、Glnが喘息(アトピー性及び非アトピー性喘息)に関連しているヒトIL-13バリアント、及びIL-13の他のバリアント(Heinzmannら、Hum Mol Genet 9: 549~559頁(2000))を含む。そのようなタンパク質は、例えば天然にIL-13を産生する起源から回収又は単離することができる。これらのタンパク質、及び対応する天然に存在する又は内因性のIL-13と同じアミノ酸配列を有するタンパク質は、対応する哺乳動物の名称によって呼ばれる。例えば、対応する哺乳動物がヒトである場合、タンパク質は、ヒトIL-13と呼ばれる。WO 03/035847に開示されているように、幾つかの変異体IL-13タンパク質が当技術分野で公知である。例示的なヒトIL-13のアミノ酸配列は、例えばUniProtKB受託番号P35225の下で見出されうる。IL-13は、IL-13受容体に結合し、IL-13受容体は、IL-13受容体サブユニットα1(IL13RA1)又はIL-13受容体サブユニットα2(IL13RA2)と複合体を形成したIL-4受容体アルファ(IL4Rα)を含みうる。例えば、IL-13は、IL-4受容体アルファ及びIL-13受容体サブユニットアルファ1の複合体に結合することができる。
【0045】
抗体鎖ポリペプチド配列に関する語句「実質的に同一」は、参照ポリペプチド配列と少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、又はそれより高い配列同一性を示す抗体鎖として解釈されうる。核酸配列に関する語句は、参照核酸配列と少なくとも約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、又はそれより高い配列同一性を示すヌクレオチドの配列として解釈されうる。
【0046】
用語「同一性」又は「相同性」は、配列全体に関して最大のパーセント同一性を達成するために、及び配列同一性の一部として如何なる保存的置換も考慮することなく、配列を整列させて必要に応じてギャップを導入した後に、それが比較される対応する配列の残基と同一である候補配列中のヌクレオチド塩基又はアミノ酸残基のパーセンテージを意味しうる。N末端又はC末端伸長又は挿入は、同一性又は相同性を低減させると解釈すべきではない。アライメントのための方法及びコンピュータープログラムは、容易に入手可能であり、当技術分野で周知である。配列同一性は、配列分析ソフトウェアを使用して測定されうる。
【0047】
抗体又は抗原の「機能的断片、バリアント、誘導体、又はアナログ」等の語句及び用語、並びにその様々な形態は、目的の完全長の抗体又は抗原と共通する定性的生物活性を有する化合物又は分子である。例えば、抗IL-4抗体の機能的断片若しくはアナログは、IL-4分子に結合することができる機能的断片若しくはアナログ、又はリガンド若しくはアゴニスト若しくはアンタゴニスト抗体がIL-4に結合する能力を防止する若しくは実質的に低減することができる機能的断片若しくはアナログである。
【0048】
「置換型」バリアントは、ネイティブ配列における少なくとも1つのアミノ酸残基が除去されており、同じ位置でその場所に挿入された異なるアミノ酸によって置換されているバリアントである。置換は、分子中の1つのみのアミノ酸が置換される単置換でありうるか、又は同じ分子中で2つ若しくはそれより多くのアミノ酸が置換される複数の置換でありうる。複数の置換は、保存的部位に存在しうる。同様に、1つのアミノ酸を複数の残基に置換することができ、この場合、そのようなバリアントは、置換及び挿入の両方を含む。「挿入」バリアントは、1つ又は複数のアミノ酸が、ネイティブ配列における特定の位置のアミノ酸に直ちに隣接して挿入されているバリアントである。アミノ酸に直ちに隣接するとは、アミノ酸のα-カルボキシル又はα-アミノ官能基のいずれかに連結されることを意味する。「欠失」バリアントは、ネイティブアミノ酸配列における1つ又は複数のアミノ酸が除去されているバリアントである。通常、欠失バリアントは、分子の特定の領域で1つ又は2つのアミノ酸が欠失している。
【0049】
本明細書で使用される場合、用語「抗体」は、その最も広い意味で使用され、具体的には、モノクローナル抗体(完全長のモノクローナル抗体を含む)、ポリクローナル抗体、多特異性抗体(例えば、二特異性抗体)、抗体断片、又はポリペプチドが所望の生物活性を示す限り、1つ又は複数のCDR又はCDR由来配列を有する合成ポリペプチドを含む。抗体(Ab)、及び免疫グロブリン(Ig)は、同じ構造特徴を有する糖タンパク質である。「抗体」はまた、天然に産生される、又は部分的若しくは完全に合成によって(例えば、組換えによって)産生されるか否かによらず、免疫グロブリン分子の少なくとも部分的な可変領域を含み、且つ免疫グロブリン分子の完全長の結合特異性を保持するそのいずれかの断片を含む、免疫グロブリン及び免疫グロブリン断片も指しうる。このように、抗体は、免疫グロブリン抗原結合ドメイン(抗体結合部位)と相同である又は実質的に相同である結合ドメインを有する任意のタンパク質を含む。抗体は、抗体断片、例えば抗腫瘍幹細胞抗体断片を含む。本明細書で使用される場合、抗体という用語は、このように合成抗体、組換えにより産生された抗体、多特異性抗体(例えば、二特異性抗体)、ヒト抗体、非ヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、イントラボディ、及び抗体断片、例えば、Fab断片、Fab'断片、F(ab')2断片、Fv断片、ジスルフィド結合Fv(dsFv)、Fd断片、Fd'断片、一本鎖Fv(scFv)、一本鎖Fab(scFab)、ダイアボディ、抗イディオタイプ(抗Id)抗体、又は上記で言及した抗体のいずれかの抗原結合性断片を含むがこれらに限定されない。本明細書に提供する抗体は、任意の免疫グロブリンクラス(例えば、IgG、IgM、IgD、IgE、IgA、及びIgY)、及び任意のタイプ(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、及びIgA2)又はサブタイプ(例えば、IgG2a及びIgG2b)のメンバーを含む。
【0050】
本発明の抗体は、任意のクラス(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgA等)、又はサブクラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG2a、IgG3、IgG4、IgA1、IgA2等)(「タイプ」、及び「クラス」、並びに「サブタイプ」及び「サブクラス」は、本明細書において互換的に使用される)の抗体でありうる。ネイティブ又は野生型(すなわち、人為的に操作されていない集団のメンバーから得られた)抗体、及び免疫グロブリンは、通常、約150,000ダルトンのヘテロ四量体糖タンパク質であり、これは、2つの同一の軽(L)鎖、及び2つの同一の重(H)鎖で構成される。各々の重鎖は、一方の末端に可変ドメイン(VH)を有し、その後に複数の定常ドメインが続く。各々の軽鎖は、一方の末端に可変ドメイン(VL)を有し、他方の末端に定常ドメインを有する。「人為的に操作されていない」とは、外来の抗原結合分子を含有する又は発現するように処置されていないことを意味する。野生型は、集団において見出される最も豊富な対立遺伝子若しくは種を指しうるか、又は抗原結合分子のアミノ酸を変化させるために変異誘発、組換え法の使用等の形態の操作によって得られた対立遺伝子又は多型又はバリアント又は誘導体と比較して、操作されていない動物から得た抗体を指しうる。
【0051】
本明細書で使用される場合、「抗IL-4抗体」は、そのリガンドに対するIL-4の結合を阻害する若しくは実質的に低減させる、又はIL-4活性を阻害する分子を含むがこれらに限定されない、本明細書で定義されるIL-4に特異的に結合する抗体又はそこから誘導されたポリペプチド(誘導体)を意味する。
【0052】
抗体の可変ドメインの文脈における用語「可変」は、抗体間及び抗体において配列が広く異なり、その特定の標的に関する特定の抗体の特異的認識及び結合に使用される関連する分子のある特定の部分を指す。しかし、可変性は、抗体の可変ドメイン全体に均一に分布しているわけではない。可変性は、そのいずれも軽鎖及び重鎖可変ドメインに存在する相補性決定領域(CDR;すなわち、CDR1、CDR2、及びCD3)と呼ばれる3つのセグメント、又は超可変領域に集まっている。可変ドメインの最も高度に保存された部分は、フレームワーク(FR)領域又は配列と呼ばれる。ネイティブの重鎖及び軽鎖の可変ドメインは各々が、3つのCDRによって連結される、主にβ-シート立体配置を採用する4つのFR領域を含み、CDRは、β-シート構造を接続し、一部の例ではその一部を形成するループを形成する。各々の鎖におけるCDRは、しばしば、FR領域及び他の鎖のCDRにより共に近位に保持され、抗体の標的(エピトープ又は決定基)結合部位の形成に寄与する(Kabatら、「Sequences of Proteins of Immunological Interest」、National Institute of Health、Bethesda、MD (1987)を参照されたい)。本明細書で使用される場合、免疫グロブリンアミノ酸残基のナンバリングは、特に示していない限り、Kabatらの免疫グロブリンアミノ酸残基ナンバリングシステムを使用して行われる。1つのCDRは、同起源のエピトープに対する特異的結合能を有することができる。
【0053】
本明細書で使用される場合、用語「ヒンジ」又は「ヒンジ領域」は、抗体の第1及び第2の定常ドメインの間のアミノ酸を含むフレキシブルなポリペプチドを指す。
【0054】
本明細書で使用する場合、抗体の「抗体断片」又は「抗原結合性断片」は、完全長より短いが、抗原に結合する抗体の可変領域の少なくとも一部(例えば、1つ若しくは複数のCDR及び/又は1つ若しくは複数の抗体結合部位)を含み、このように完全長の抗体の結合特異性並びに少なくとも部分的な特異的結合能を保持している、完全長の抗体の任意の部分を指す。このように、抗原結合性断片は、抗体断片が由来する抗体と同じ抗原に結合する抗原結合部分を含む抗体断片を指す。抗体断片は、完全長の抗体の酵素処置によって産生された抗体誘導体、及び合成によって産生された誘導体、例えば組換えによって産生された誘導体を含む。抗体は、抗体断片を含む。抗体断片の例には、Fab、Fab'、F(ab')2、一本鎖Fv(scFv)、Fv、dsFv、ダイアボディ、Fd、及びFd'断片、及び修飾された断片を含む他の断片を含むがこれらに限定されない(例えば、Methods in Molecular Biology、Vol 207:「Recombinant Antibodies for Cancer Therapy Methods and Protocols」(2003); Chapter 1;3~25頁、Kipriyanovを参照されたい)。断片は、例えばジスルフィド結合を介して及び/又はペプチドリンカーを介して共に結合した複数の鎖を含みうる。抗体断片は通常、少なくとも又は約50個のアミノ酸、及び典型的には少なくとも又は約200個のアミノ酸を含む。抗原結合性断片は、抗体断片が抗体フレームワークに挿入されると(例えば、対応する領域の置換によって)、抗原に免疫特異的に結合する(すなわち、少なくとも又は少なくとも約107~108M-1のKaを示す)抗体が得られるいずれかの抗体断片を含む。「機能的断片」又は「抗IL-4及び/又はIL-13抗体のアナログ」は、受容体がリガンドに結合する能力又はシグナル伝達を開始する能力を防止する又は実質的に低減させる断片又はアナログである。本明細書で使用される場合、機能的断片は、一般的に「抗体断片」と同じ意味を有し、抗体の場合、Fv、Fab、及びF(ab')2等の、受容体がリガンドに結合する能力又はシグナル伝達を開始する能力を防止する又は実質的に低減させる断片を指しうる。「Fv」断片は、非共有結合により重鎖の可変ドメイン及び軽鎖の可変ドメインによって形成される二量体(VH-VL二量体)からなる。各々の可変ドメインの3つのCDRが相互作用して、インタクト抗体の場合のように、VH-VL二量体の表面上の標的結合部位を定義するのはこの立体配置である。集合的に、6個のCDRは、インタクト抗体に対して抗原結合特異性を付与する。しかし、単一の可変ドメイン(又は標的に対して特異的な3個のみのCDRを含むFvの半分)であっても、標的を認識及び結合する能力を有する。
【0055】
「一本鎖Fv」、「sFv」、又は「scab」抗体断片は、抗体のVH及びVLドメインを含み、これらのドメインは、単一のポリペプチド鎖に存在する。一般的に、Fvポリペプチドは、典型的に、sFvが標的結合にとって所望の構造を形成することが可能となるフレキシブル分子であるポリペプチドリンカーを、VH及びVLの間に更に含む。
【0056】
用語「ダイアボディ」は、2つの抗原結合部位を有する抗体断片を指し、抗体断片は、同じポリペプチド鎖において軽鎖可変ドメイン(VL)に接続された重鎖可変ドメイン(VH)を含みうる。同じ鎖上の2つの可変ドメイン間で対を形成させるには短すぎるリンカーを使用することによって、ダイアボディドメインは、別の鎖の結合ドメインと強制的に対を形成し、2つの抗原結合部位を作製する。
【0057】
Fab断片は、軽鎖の可変及び定常ドメイン、並びに重鎖の可変及び第1の定常ドメイン(CH1)を含む。Fab'断片は、抗体ヒンジ領域からの1つ又は複数のシステインを含むように、CH1ドメインのカルボキシル末端で幾つかの残基を付加することによって、Fab断片とは異なる。Fab'断片は、F(ab')2のペプシン消化産物のヒンジシステインでジスルフィド結合を切断することによって産生することができる。抗体の追加の酵素処置及び化学処置は、目的の他の機能的断片を生じることができる。
【0058】
用語「線形Fab」は、Millerら(Millerら(2003)、J Immunol. 170: 4854~4861頁)によって記載された四価抗体を指す。「線形Fab」は、各々のCH1-VH位置で同一の軽鎖と対を形成した同じCH1-VHドメインの縦列で構成される。これらの分子は、抗体の価数を増加させて、アビディティ効果を通してその機能的親和性を増強するために開発されているが、それらは単特異性である。
【0059】
本明細書で使用される場合、「モノクローナル抗体」は、同一の抗体集団を指し、すなわちモノクローナル抗体集団における各々の個々の抗体分子は、他の抗体分子と同一である。この特性は、複数の異なる配列を有する抗体を含むポリクローナル抗体集団の特性とは対照的である。モノクローナル抗体は、多くの周知の方法(Smithら(2004) J. Clin. Pathol. 57,912~917頁;及びNelsonら、J Clin Pathol (2000), 53,111~117頁)によって調製することができる。例えば、モノクローナル抗体は、B細胞を不死化することによって、例えば骨髄腫細胞との融合によってハイブリドーマ細胞株を産生することによって、又はB細胞にEBV等のウイルスを感染させることによって調製することができる。組換え技術を使用して、宿主細胞を、抗体をコードするヌクレオチドの人工配列を有するプラスミドによってin vitroで形質転換することによって、宿主細胞のクローン集団から抗体を調製することもできる。
【0060】
本明細書で使用される場合、用語「ハイブリドーマ」又は「ハイブリドーマ細胞」は、抗体産生リンパ球と、抗体産生がん細胞との融合によって産生される細胞又は細胞株(典型的には、骨髄腫又はリンパ腫細胞)を指す。当業者に公知であるように、ハイブリドーマは、増殖して、特異的モノクローナル抗体を産生するように供給し続けることができる。ハイブリドーマを産生する方法は、当技術分野で公知である(例えば、Harlow & Lane、1988を参照されたい)。本明細書で言及する場合、用語「ハイブリドーマ」又は「ハイブリドーマ細胞」はまた、ハイブリドーマのサブクローン及び子孫細胞も含む。
【0061】
本明細書で使用される場合、「通常の抗体」は、2つの重鎖(これは、H及びH'と呼ばれうる)、及び2つの軽鎖(これは、L及びL'と呼ばれうる)、及び2つの抗原結合部位を含む抗体を指し、各々の重鎖は、完全長の免疫グロブリン重鎖でありうる、又は抗原結合能を保持しているそのいずれかの機能的領域(例えば、重鎖は、VH鎖、VH-CH1鎖、及びVH-CH1-CH2-CH3鎖を含むがこれらに限定されない)でありえ、各々の軽鎖は、完全長の軽鎖、又はそのいずれかの機能的領域(例えば、軽鎖は、VL鎖、及びVL-CL鎖を含むがこれらに限定されない)でありうる。各々の重鎖(H及びH')は、軽鎖(それぞれ、L及びL')と対を形成する。
【0062】
本明細書で使用される場合、完全長の抗体は、2つの完全長の重鎖(例えば、VH-CH1-CH2-CH3又はVH-CH1-CH2-CH3-CH4)、及び2つの完全長の軽鎖(VL-CL)、及びヒンジ領域を含む抗体であり、例えばB細胞による抗体の分泌によって天然に産生された抗体、及び合成によって産生された同じドメインを有する抗体である。
【0063】
本明細書で使用される場合、dsFvは、VH-VL対を安定化させる工学的に操作された分子間ジスルフィド結合を有するFvを指す。
【0064】
本明細書で使用される場合、Fab断片は、完全長の免疫グロブリンのパパインによる消化に起因する抗体断片、又は合成された、若しくは例えば組換え法によって産生された、同じ構造を有する断片である。Fab断片は、軽鎖(VL及びCLを含む)、並びに重鎖の可変ドメイン(VH)及び重鎖の定常領域ドメイン(CH1)を含む別の鎖を含む。
【0065】
本明細書で使用される場合、F(ab')2断片は、pH 4.0~4.5で免疫グロブリンのペプシンによる消化に起因する抗体断片、又は合成された、若しくは例えば組換え法によって産生された同じ構造を有する断片である。F(ab')2断片は本質的に、各々の重鎖部分が、2つの断片を接続するジスルフィド結合を形成するシステインを含む幾つかの追加のアミノ酸を含む、2つのFab断片を含む。
【0066】
本明細書で使用される場合、Fab'断片は、F(ab')2断片の半分(1つの重鎖及び1つの軽鎖を含む)を含む断片である。
【0067】
本明細書で使用される場合、scFv断片は、ポリペプチドリンカーによって任意の順序で共有結合により連結された可変軽鎖(VL)及び可変重鎖(VH)を含む抗体断片を指す。リンカーは、2つの可変ドメインが、実質的に干渉することなく架橋されるような長さのリンカーである。例示的なリンカーは、溶解度を増加させるために、幾つかのGlu又はLys残基が全体に分散している(Gly-Ser)n残基である。
【0068】
用語「キメラ抗体」は、可変領域配列が1つの種に由来し、定常領域配列が別の種に由来する、例えば可変領域配列がマウス抗体に由来し、定常領域配列がヒト抗体に由来する抗体を指す。
【0069】
「ヒト化」抗体は、キメラ免疫グロブリン、免疫グロブリン鎖、又はその断片(例えば、Fv、Fab、Fab'、F(ab')2、又は抗体の他の抗原結合小配列)であり、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小の配列を含有する非ヒト(例えば、マウス)抗体を指す。好ましくは、ヒト化抗体は、レシピエント抗体の相補性決定領域(CDR)の残基が、マウス、ラット、ウサギ等の、所望の特異性、親和性、及び容量を有する非ヒト種(ドナー抗体)のCDRの残基に置換されているヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)である。
【0070】
更に、ヒト化プロセスにおいて、VH及び/又はVLのCDR1、CDR2、及び/又はCDR3領域内のアミノ酸残基を変異させ、それによって抗体の1つ又は複数の結合特性(例えば、親和性)を改善することも可能である。変異は、例えばPCRによる方法により導入することができ、抗体の結合又は他の機能的特性に及ぼす変異の効果を、本明細書で記載されるin vitro又はin vivoアッセイを使用して評価することができる。典型的に、保存的変異を導入する。そのような変異は、アミノ酸置換、付加、又は欠失でありうる。更に、CDR内の変異の数は、通常1つ又は多くて2つである。このように、本発明のヒト化抗体はまた、CDR内に1つ又は2つのアミノ酸変異を含む抗体も包含する。
【0071】
本明細書で使用される場合、用語「エピトープ」は、抗体のパラトープが結合する抗原上のいずれかの抗原性決定基を指す。エピトープ決定基は通常、アミノ酸又は糖側鎖等の化学的に活性な表面分子群を含み、典型的に特異的三次元構造特徴並びに特異的電荷特徴を有する。
【0072】
本明細書で使用される場合、可変ドメイン又は可変領域は、異なる抗体間で異なるアミノ酸配列を含む、抗体の重鎖又は軽鎖の特異的Igドメインである。各々の軽鎖及び各々の重鎖はそれぞれ、可変領域ドメインVL及びVHを有する。可変ドメインは、抗原特異性を提供し、従って抗原認識に関与する。各々の可変領域は、CDR及びフレームワーク領域(FR)を含み、CDRは、抗原結合部位ドメインの一部である。
【0073】
本明細書で使用される場合、「抗原結合ドメイン」及び「抗原結合部位」は、同義で使用され、同起源の抗原を認識してこれと物理的に相互作用する抗体内のドメインを指す。ネイティブの通常の完全長の抗体分子は、各々が重鎖可変領域部分及び軽鎖可変領域部分を有する2つの通常の抗原結合部位を有する。通常の抗原結合部位は、可変領域ドメイン内に逆平行ベータ鎖を接続するループを含む。抗原結合部位は、可変領域ドメインの他の部分を含みうる。各々の通常の抗原結合部位は、重鎖からの3つの超可変領域及び軽鎖からの3つの超可変領域を含む。超可変領域はまた、相補性決定領域(CDR)とも呼ばれる。
【0074】
本明細書で使用される場合、「超可変領域」「HV」、「相補性決定領域」、及び「CDR」、及び「抗体CDR」は、互換的に使用され、抗体の抗原結合部位を共に形成する各々の可変領域内の複数の部分の1つを指す。各々の可変領域ドメインは、CDR1、CDR2、及びCDR3と呼ばれる3つのCDRを含有する。例えば、軽鎖可変領域ドメインは、VL CDR1、VL CDR2、及びVL CDR3と呼ばれる3つのCDRを含み、重鎖可変領域ドメインは、VH CDR1、VH CDR2、及びVH CDR3と呼ばれる3つのCDRを含む。可変領域における3つのCDRは、直線状のアミノ酸配列に沿うと不連続であるが、折り畳まれたポリペプチドでは非常に近位に存在する。CDRは、可変ドメインのベータシートの平行鎖を接続するループ内に位置する。本明細書で記載される場合、当業者は、Kabat又はChothiaのナンバリング(例えば、Kabat、E.A.ら(1991)「Sequences of Proteins of Immunological Interest」、Fifth Edition、U.S. Department of Health and Human Services、NIH Publication No. 91~3242頁;及びChothia、C.ら(1987) J. Mol. Biol. 196:901~917頁を参照されたい)を承知しており、それらに基づいてCDRを同定することができる。
【0075】
本明細書で使用される場合、フレームワーク領域(FR)は、ベータシートにおける抗体可変領域ドメイン内のドメインである。アミノ酸配列に関して、FR領域は、超可変領域より比較的保存されている。
【0076】
本明細書で使用される場合、「定常領域」ドメインは、可変領域ドメインのアミノ酸配列より比較的保存されているアミノ酸配列を含む、抗体重鎖又は軽鎖におけるドメインである。通常の完全長の抗体分子において、各々の軽鎖は、単一の軽鎖定常領域(CL)ドメインを含み、各々の重鎖は、CH1、CH2、CH3、及びCH4を含む1つ又は複数の重鎖定常領域(CH)ドメインを含む。完全長のIgA、IgD、及びIgGアイソタイプは、CH1、CH2、CH3、及びヒンジ領域を含むが、IgE及びIgMは、CH1、CH2、CH3、及びCH4を含む。CH1及びCLドメインは、抗体分子のFabアームを伸長させ、このように抗原との相互作用及び抗体アームの回転を容易にする。抗体の定常領域は、例えば抗体が、例えば様々な細胞、生体分子、及び組織との相互作用等によって特異的に結合する抗原、病原体、及び毒素のクリアランスを含むがこれらに限定されない、エフェクター機能を実施することができる。
【0077】
本明細書で使用される場合、抗体の機能的領域は、少なくともVH、VL、CH(例えば、CH1、CH2、又はCH3)、CL、又はヒンジ領域ドメイン、又は抗体の少なくとも1つの機能的領域を含む抗体部分である。
【0078】
本明細書で使用される場合、VHドメインの機能的領域は、VHドメインの機能的領域が単独で、又は別の抗体ドメイン(例えば、VLドメイン)又はその領域との組合せのいずれかで抗原に結合するように、(例えば、VHドメイン全体の1つ又は複数のCDRを保持することによって)VHドメイン全体の結合特異性の少なくとも一部を保持するインタクトVHドメインの少なくとも一部である。例示的なVHドメインの機能的領域は、VHドメインのCDR1、CDR2、及び/又はCDR3を含む領域である。
【0079】
本明細書で使用される場合、VLドメインの機能的領域は、VLドメインの機能的領域が単独で、又は別の抗体ドメイン(例えば、VHドメイン)又はその領域と組合せのいずれかで抗原に結合するように、(例えば、VLドメイン全体の1つ又は複数のCDRを保持することによって)VLドメイン全体の結合特異性の少なくとも一部を保持するインタクトVLドメインの少なくとも一部である。例示的なVLドメインの機能的領域は、VLドメインのCDR1、CDR2、及び/又はCDR3を含む領域である。
【0080】
本明細書で使用される場合、抗体又はその抗原結合性断片に関して「特異的に結合する」又は「免疫特異的に結合する」は、本明細書において互換的に使用され、抗体又は抗原結合性断片が、抗体と抗原の抗体結合部位との間で非共有結合による相互作用を介してアロ抗原と1つ又は複数の非共有結合を形成する能力を指す。抗原は、単離された抗原又は腫瘍細胞に存在する抗原でありうる。典型的に、抗原に免疫特異的に結合する(又は特異的に結合する)抗体は、抗原に対して約1×107M-1又は1×108M-1又はそれより高い親和性定数Kaで(又は1×10-7M若しくは1×10-8M又はそれより低い解離定数(Kd)で)結合する。親和性定数は、抗体応答の標準的な動力学的方法、例えばイムノアッセイ、表面プラズモン共鳴(SPR)(Rich and Myszka (2000) Curr. Opin. Biotechnol 11:54; Englebienne (1998) Analyst.123:1599頁)、等温滴定型熱量測定(ITC)、又は当技術分野で公知の他の動力学的相互作用アッセイ(例えば、Paul編、「Fundamental Immunology」、第2版、Raven Press、New York、332~336頁(1989);抗体の結合親和性を計算するための例示的なSPR及びITC法を記載する米国特許第7,229,619号も参照されたい)によって決定することができる。結合速度をリアルタイムで検出及びモニターするための機器及び方法は、公知であり、市販されている(BiaCore 2000、Biacore AB社、Upsala、Sweden、及びGE Healthcare Life Sciences社; Malmqvist (2000) Biochem. Soc. Trans. 27:335頁を参照されたい)。
【0081】
本明細書で使用される場合、抗体に関する用語「競合する」は、第1の抗体又はその抗原結合性断片が、第2の抗体又はその抗原結合性断片と十分に類似の様式でエピトープに結合し、このように、その関連するエピトープに対する第1の抗体の結合結果が、第2の抗体の非存在下での結果と比較して第2の抗体の存在下で検出可能に低減されること、或いはその関連するエピトープに対する第2の抗体の結合が、第1の抗体の非存在下と比較して第1の抗体の存在下で検出可能に低減されうるが、必ずしもその必要はないことを意味する。すなわち、第1の抗体はそのエピトープに対する第2の抗体の結合を阻害することができるが、第2の抗体は、その対応するエピトープに対する第1の抗体の結合を必ずしも阻害しない。しかし、各々の抗体が、その関連するエピトープ又はリガンドに対する別の抗体の結合を、同一の、より高い、又はより低い程度で検出可能に阻害することができる場合、抗体は、その対応するエピトープに対して「交差競合的に」結合すると呼ばれる。競合する及び交差競合する抗体の両方が、本発明に包含される。そのような競合する又は交差競合する機構(例えば、立体妨害、コンフォメーションの変化、又は共通のエピトープ若しくはその断片に対する結合)によらず、当業者は、本発明に提供される教示に基づいてそのような競合及び/又は交差競合抗体が、本発明に包含され、本明細書に開示の方法において使用することができることを認識するであろう。
【0082】
本明細書で使用される場合、「ポリペプチド」は、共有結合により連結された2つ又はそれより多くのアミノ酸を指す。用語「ポリペプチド」及び「タンパク質」は、本明細書において互換的に使用される。
【0083】
「単離されたタンパク質」、「単離されたポリペプチド」、又は「単離された抗体」は、(1)そのネイティブの状態でそれに伴う天然に会合する成分に会合していない;(2)同じ種からの他のタンパク質を含まない;(3)異なる種からの細胞によって発現される;又は(4)天然に存在しない、タンパク質、ポリペプチド、又は抗体を指す。このように、化学合成された、又はそれが天然に起源とする細胞とは異なる細胞系において合成されたポリペプチドは、その天然に会合する成分から「単離されて」いる。タンパク質はまた、単離によって、すなわち、当技術分野で周知のタンパク質精製技術を使用して天然に会合する成分を実質的に含まないようにしてもよい。
【0084】
ペプチド又はタンパク質における適した保存的アミノ酸置換は、当業者に公知であり、一般的に得られた分子の生物活性を変化させることなく実施することができる。典型的には、当業者は、ポリペプチドの非必須領域における単一のアミノ酸置換が、生物活性を実質的に変化させないことを認識している(例えば、Watsonら、「Molecular Biology of the Gene」、第4版、1987, The Benjamin/Cummings Pub.co., 224頁を参照されたい)。
【0085】
本明細書で使用される場合、用語「ポリヌクレオチド」及び「核酸分子」は、通常、ホスホジエステル結合によって連結された、デオキシリボ核酸(DNA)及びリボ核酸(RNA)を含む少なくとも2つの連結したヌクレオチド又はヌクレオチド誘導体を含むオリゴマー又はポリマーを指す。
【0086】
本明細書で使用される場合、単離核酸分子は、核酸分子の天然起源に存在する他の核酸分子から単離されている核酸分子である。例えばcDNA分子の「単離された」核酸分子は、組換え技術によって調製した場合に、他の細胞材料若しくは培養培地を実質的に含まない、又は化学合成の間に化学前駆体若しくは他の化学成分を実質的に含まない分子でありうる。本明細書に提供される例示的な単離核酸分子は、提供される抗体又は抗原結合性断片をコードする単離された核酸分子を含む。
【0087】
配列に関する「同一である」又は「同一性」は、当技術分野で十分に認識される意味を有し、2つの核酸又はポリペプチド分子又は領域間の配列同一性のパーセンテージは、開示された技術を使用して計算することができる。配列同一性は、ポリヌクレオチド又はポリペプチドの全長に沿って、又は分子の領域に沿って測定することができる(例えば、Computational Molecular Biology、Lesk、A.M.編、Oxford University Press, New York, 1988; Biocomputing: Informatics and Genome Projects, Smith, D.W.編、Academic Press, New York, 1993; Computer Analysis of Sequence Data, Part I, Griffin, A.M., and Griffin, H.G.編、Humana Press, New Jersey, 1994; Sequence Analysis in Molecular Biology, von Heinje, G., Academic Press, 1987;及びSequence Analysis Primer, Gribskov, M. and Devereux, J.編、M Stockton Press, New York, 1991を参照されたい)。2つのポリヌクレオチド又はポリペプチド間の同一性を測定するために多くの方法が存在するが、用語「同一性」は、当業者に周知である(Carrillo, H. & Lipman、D., SIAM J Applied Math 48:1073頁(1988))。
【0088】
本明細書で使用される場合、核酸配列、領域、エレメント、又はドメインに関して「作動可能に連結された」は、核酸領域が互いに機能的に関連していることを意味する。例えばプロモーターを、プロモーターが核酸の転写を調節又は媒介することを可能にするポリペプチドをコードする核酸に作動可能に連結させることができる。
【0089】
本明細書で使用される場合、「発現」は、ポリペプチドがポリヌクレオチドの転写及び翻訳によって産生されるプロセスを指す。ポリペプチドの発現レベルは、例えば宿主細胞から産生されたポリペプチドの量を決定する方法を含む、当技術分野で公知のいずれかの方法を使用して評価することができる。そのような方法には、ELISAによる細胞溶解物中のポリペプチドの定量、ゲル電気泳動後のクマシーブルー染色、Lowryタンパク質アッセイ、及びBradfordタンパク質アッセイが挙げられるがこれらに限定されない。
【0090】
本明細書で使用される場合、「宿主細胞」は、ベクターを受容する、維持する、複製する、及び増幅するために使用される細胞を指す。宿主細胞はまた、ベクターによってコードされるポリペプチドを発現させるためにも使用することができる。ベクターに含有される核酸は、宿主細胞が分裂すると複製し、それによって核酸を増幅する。宿主細胞は、真核細胞又は原核細胞でありうる。適した宿主細胞には、CHO細胞、様々なCOS細胞、HeLa細胞、HEK細胞、例えばHEK293細胞が挙げられるがこれらに限定されない。
【0091】
「コドン最適化」は、ネイティブアミノ酸配列を維持しながら、ネイティブ配列の少なくとも1つのコドン(例えば、約1、2、3、4、5、10、15、20、25、50個若しくはそれより多くのコドン、又は約1、2、3、4、5、10、15、20、25、50個より多く、若しくはそれより多くのコドン)を、宿主細胞の遺伝子においてより頻繁に又は最も頻繁に使用されるコドンと置換することによって、目的の宿主細胞において発現を増強させるために核酸配列を修飾する方法を指す。様々な種が、特定のアミノ酸のある特定のコドンに対して特定のバイアスを示す。コドン選択性(生物の間でのコドン使用の差)は通常、メッセンジャーRNA(mRNA)の翻訳効率と相関し、次にこれは翻訳されるコドンの特性及び特定のトランスファーRNA(tRNA)分子の利用能に依存すると考えられている。細胞における選択されたtRNAの優位性は一般的に、ペプチド合成において最も頻繁に使用されるコドンの反映である。従って、コドン最適化に基づいて所定の生物における最適な遺伝子発現となるように遺伝子を適合させることができる。コドン使用表は、例えばwww.kazusa.orjp/codon/で入手可能なCodon Usage Databaseで容易に入手可能であり、これらの表を様々な方法で適合させることができる。Nakamura Y.ら、「Codon usage tabulated from the international DNA配列 databases: status for the year 2000」. Nucl. Acids Res.、28:292頁(2000)を参照されたい。
【0092】
本明細書で使用される場合、「ベクター」は、複製可能な核酸であり、ベクターが適した宿主細胞に形質転換されると、1つ又は複数の異種タンパク質をベクターから発現させることができる。本明細書で使用されるベクターは、ポリペプチド又はその断片をコードする核酸を、典型的には制限消化及びライゲーションによって導入することができるベクターを含む。本明細書で使用されるベクターはまた、ポリペプチドをコードする核酸を含むベクターも含む。ベクターを使用して、ポリペプチドをコードする核酸を宿主細胞に導入し、核酸を増幅するか、又は核酸によってコードされるポリペプチドを発現/表示させる。ベクターは典型的には、遊離のままであるが、遺伝子又はその一部をゲノムの染色体に組み込むように設計することができる。酵母人工ベクター及び哺乳動物人工染色体等の人工染色体のベクターもまた、考慮される。そのような媒体の選択及び使用は、当業者に周知である。
【0093】
本明細書で使用される場合、ベクターはまた「ウイルスベクター」又は「ウイルスのベクター」も含む。ウイルスのベクターは、外因性の遺伝子を細胞内へと移動させるために(媒体又はシャトルとして)外因性の遺伝子に作動可能に連結することができる、工学的に操作されたウイルスである。
【0094】
本明細書で使用される場合、「発現ベクター」は、そのようなDNA断片の発現に影響を及ぼすことが可能であるプロモーター領域等の調節配列に作動可能に連結させることができる、DNAを発現することが可能なベクターを含む。そのような追加の断片は、プロモーター及びターミネーター配列を含んでもよく、任意選択で1つ又は複数の複製開始点、1つ又は複数の選択可能マーカー、エンハンサー、ポリアデニル化シグナル等を含みうる。発現ベクターは一般的に、プラスミド若しくはウイルスDNAに由来するか、又は両方のエレメントを含有しうる。このように、発現ベクターは、プラスミド、ファージ、組換えウイルス、又は適した宿主細胞に導入されるとクローニングされたDNAの発現をもたらす他のベクター等の組換えDNA又はRNA構築物を指す。適した発現ベクターは当業者に周知であり、真核細胞及び/若しくは原核細胞において複製可能である発現ベクター、及び遊離のままである発現ベクター、又は宿主細胞のゲノムに組み入れられる発現ベクターを含む。
【0095】
本明細書で使用される場合、疾患又は状態を有する個体を「処置する」とは、個体の症状が、処置後に、部分的又は完全に軽減するか又は変化しないことを意味する。このように、処置するは、防止する、処置する、及び/又は治癒することを含む。防止するとは、基礎となる疾患の防止、及び/又は症状の悪化若しくは疾患進行の防止を指す。処置するとはまた、提供された抗体又はその抗原結合性断片、及び本明細書に提供される組成物のいずれかの任意の薬学的使用も含む。
【0096】
本明細書で使用される場合、「治療効果」は、疾患若しくは状態の症状を変化させる、一般的には寛解させる若しくは改善する、又は疾患若しくは状態を治癒する、個体における処置によって引き起こされる効果を指す。
【0097】
本明細書で使用される場合、「治療有効量」又は「治療有効用量」は、対象に投与した場合に治療効果を生じるために少なくとも十分である、物質、化合物、材料、又は化合物を含む組成物の量を指す。このように、これは、疾患又は状態の症状を防止する、治癒する、寛解させる、遮断する、又は部分的に遮断するために必須である量である。
【0098】
本明細書で使用される場合、「予防有効量」又は「予防有効用量」は、対象に投与した場合に所望の予防効果を発揮する、例えば疾患又は症状の発症又は再発を防止する又は遅らせる、疾患又は症状が発生又は再発する可能性を低減する、物質、化合物、材料、又は化合物を含む組成物の量を指す。完全な予防有効用量は、必ずしも1用量の投与によって起こる必要はなく、一連の用量の投与によって起こりうる。このように、予防有効量は、1回又は複数回の投与で投与することができる。
【0099】
本明細書で使用される場合、用語「患者」は、ヒト等の哺乳動物を指す。
【0100】
一態様では、本開示は、配列番号2~4、12~14、22~24、32~34、42~44、52~54、62~64、72~74、82~84、92~94、102~104、112~114、122~124、132~134、142~144、152~154、162~164、172~174、177~179、182~184、187~189、192~194、197~199、202~204、207~209のアミノ酸配列、若しくはその任意のバリアントから選択される重鎖CDR、及び/又は配列番号7~9、17~19、27~29、37~39、47~49、57~59、67~69、77~79、87~89、97~99、107~109、117~119、127~129、137~139、147~149、157~159、167~169、212~214、217~219、222~224、227~229のアミノ酸配列、若しくはその任意のバリアントから選択される軽鎖CDRを含む抗体又はその機能的断片に関する。
【0101】
一態様では、本開示は、配列番号2、12、22、32、42、52、62、72、82、92、102、112、122、132、142、152、162、172、177、182、187、192、197、202、207のアミノ酸配列、若しくはその任意のバリアントから選択される重鎖CDR1、配列番号3、13、23、33、43、53、63、73、83、93、103、113、123、133、143、153、163、173、178、183、188、193、198、203、208のアミノ酸配列、若しくはその任意のバリアントから選択される重鎖CDR2、及び配列番号4、14、24、34、44、54、64、74、84、94、104、114、124、134、144、154、164、174、179、184、189、194、199、204、209のアミノ酸配列、若しくはその任意のバリアントから選択される重鎖CDR3、並びに/又は配列番号7、17、27、37、47、57、67、77、87、97、107、117、127、137、147、157、167、212、217、222、227のアミノ酸配列、若しくはその任意のバリアントから選択される軽鎖CDR1、配列番号8、18、28、38、48、58、68、78、88、98、108、118、128、138、148、158、168、213、218、223、228のアミノ酸配列、若しくはその任意のバリアントから選択される軽鎖CDR2、及び配列番号9、19、29、39、49、59、69、79、89、99、109、119、129、139、149、159、169、214、219、224、229のアミノ酸配列、若しくはその任意のバリアントから選択される軽鎖CDR3を含む抗体又はその機能的断片に関する。
【0102】
一態様では、本開示は、配列番号1、11、21、31、41、51、61、71、81、91、101、111、121、131、141、151、161、171、176、181、186、191、196、201、206のアミノ酸配列、若しくはその任意のバリアントから選択される重鎖可変領域、及び/又は配列番号6、16、26、36、46、56、66、76、86、96、106、116、126、136、146、156、166、211、216、221、226のアミノ酸配列、若しくはその任意のバリアントから選択される軽鎖可変領域を含む抗体又はその機能的断片に関する。
【0103】
一態様では、本開示は、配列番号2のアミノ酸配列から選択される重鎖CDR1、配列番号3のアミノ酸配列から選択される重鎖CDR2、及び配列番号4のアミノ酸配列から選択される重鎖CDR3;並びに/又は配列番号7のアミノ酸配列から選択される軽鎖CDR1、配列番号8のアミノ酸配列から選択される軽鎖CDR2、及び配列番号9のアミノ酸配列から選択される軽鎖CDR3を含む抗体又はその機能的断片に関する。
【0104】
一態様では、本開示は、配列番号12のアミノ酸配列から選択される重鎖CDR1、配列番号13のアミノ酸配列から選択される重鎖CDR2、及び配列番号14のアミノ酸配列から選択される重鎖CDR3;並びに/又は配列番号17のアミノ酸配列から選択される軽鎖CDR1、配列番号18のアミノ酸配列から選択される軽鎖CDR2、及び配列番号19のアミノ酸配列から選択される軽鎖CDR3を含む抗体又はその機能的断片に関する。
【0105】
一態様では、本開示は、配列番号22のアミノ酸配列から選択される重鎖CDR1、配列番号23のアミノ酸配列から選択される重鎖CDR2、及び配列番号24のアミノ酸配列から選択される重鎖CDR3;並びに/又は配列番号27のアミノ酸配列から選択される軽鎖CDR1、配列番号28のアミノ酸配列から選択される軽鎖CDR2、及び配列番号29のアミノ酸配列から選択される軽鎖CDR3を含む抗体又はその機能的断片に関する。
【0106】
一態様では、本開示は、配列番号32のアミノ酸配列から選択される重鎖CDR1、配列番号33のアミノ酸配列から選択される重鎖CDR2、及び配列番号34のアミノ酸配列から選択される重鎖CDR3並びに/又は配列番号37のアミノ酸配列から選択される軽鎖CDR1、配列番号38のアミノ酸配列から選択される軽鎖CDR2、及び配列番号39のアミノ酸配列から選択される軽鎖CDR3を含む抗体又はその機能的断片に関する。
【0107】
一態様では、本開示は、配列番号42のアミノ酸配列から選択される重鎖CDR1、配列番号43のアミノ酸配列から選択される重鎖CDR2、及び配列番号44のアミノ酸配列から選択される重鎖CDR3;並びに/又は配列番号47のアミノ酸配列から選択される軽鎖CDR1、配列番号48のアミノ酸配列から選択される軽鎖CDR2、及び配列番号49のアミノ酸配列から選択される軽鎖CDR3を含む抗体又はその機能的断片に関する。
【0108】
一態様では、本開示は、配列番号52のアミノ酸配列から選択される重鎖CDR1、配列番号53のアミノ酸配列から選択される重鎖CDR2、及び配列番号54のアミノ酸配列から選択される重鎖CDR3;並びに/又は配列番号57のアミノ酸配列から選択される軽鎖CDR1、配列番号58のアミノ酸配列から選択される軽鎖CDR2、及び配列番号59のアミノ酸配列から選択される軽鎖CDR3を含む抗体又はその機能的断片に関する。
【0109】
一態様では、本開示は、配列番号62のアミノ酸配列から選択される重鎖CDR1、配列番号63のアミノ酸配列から選択される重鎖CDR2、及び配列番号64のアミノ酸配列から選択される重鎖CDR3;並びに/又は配列番号67のアミノ酸配列から選択される軽鎖CDR1、配列番号68のアミノ酸配列から選択される軽鎖CDR2、及び配列番号69のアミノ酸配列から選択される軽鎖CDR3を含む抗体又はその機能的断片に関する。
【0110】
一態様では、本開示は、配列番号72のアミノ酸配列から選択される重鎖CDR1、配列番号73のアミノ酸配列から選択される重鎖CDR2、及び配列番号74のアミノ酸配列から選択される重鎖CDR3;並びに/又は配列番号77のアミノ酸配列から選択される軽鎖CDR1、配列番号78のアミノ酸配列から選択される軽鎖CDR2、及び配列番号79のアミノ酸配列から選択される軽鎖CDR3を含む抗体又はその機能的断片に関する。
【0111】
一態様では、本開示は、配列番号82のアミノ酸配列から選択される重鎖CDR1、配列番号83のアミノ酸配列から選択される重鎖CDR2、及び配列番号84のアミノ酸配列から選択される重鎖CDR3;並びに/又は配列番号87のアミノ酸配列から選択される軽鎖CDR1、配列番号88のアミノ酸配列から選択される軽鎖CDR2、及び配列番号89のアミノ酸配列から選択される軽鎖CDR3を含む抗体又はその機能的断片に関する。
【0112】
一態様では、本開示は、配列番号92のアミノ酸配列から選択される重鎖CDR1、配列番号93のアミノ酸配列から選択される重鎖CDR2、及び配列番号94のアミノ酸配列から選択される重鎖CDR3;並びに/又は配列番号97のアミノ酸配列から選択される軽鎖CDR1、配列番号98のアミノ酸配列から選択される軽鎖CDR2、及び配列番号99のアミノ酸配列から選択される軽鎖CDR3を含む抗体又はその機能的断片に関する。
【0113】
一態様では、本開示は、配列番号102のアミノ酸配列から選択される重鎖CDR1、配列番号103のアミノ酸配列から選択される重鎖CDR2、及び配列番号104のアミノ酸配列から選択される重鎖CDR3;並びに/又は配列番号107のアミノ酸配列から選択される軽鎖CDR1、配列番号108のアミノ酸配列から選択される軽鎖CDR2、及び配列番号109のアミノ酸配列から選択される軽鎖CDR3を含む抗体又はその機能的断片に関する。
【0114】
一態様では、本開示は、配列番号112のアミノ酸配列から選択される重鎖CDR1、配列番号113のアミノ酸配列から選択される重鎖CDR2、及び配列番号114のアミノ酸配列から選択される重鎖CDR3;並びに/又は配列番号117のアミノ酸配列から選択される軽鎖CDR1、配列番号118のアミノ酸配列から選択される軽鎖CDR2、及び配列番号119のアミノ酸配列から選択される軽鎖CDR3を含む抗体又はその機能的断片に関する。
【0115】
一態様では、本開示は、配列番号122のアミノ酸配列から選択される重鎖CDR1、配列番号123のアミノ酸配列から選択される重鎖CDR2、及び配列番号124のアミノ酸配列から選択される重鎖CDR3;並びに/又は配列番号127のアミノ酸配列から選択される軽鎖CDR1、配列番号128のアミノ酸配列から選択される軽鎖CDR2、及び配列番号129のアミノ酸配列から選択される軽鎖CDR3を含む抗体又はその機能的断片に関する。
【0116】
一態様では、本開示は、配列番号132のアミノ酸配列から選択される重鎖CDR1、配列番号133のアミノ酸配列から選択される重鎖CDR2、及び配列番号134のアミノ酸配列から選択される重鎖CDR3;並びに/又は配列番号137のアミノ酸配列から選択される軽鎖CDR1、配列番号138のアミノ酸配列から選択される軽鎖CDR2、及び配列番号139のアミノ酸配列から選択される軽鎖CDR3を含む抗体又はその機能的断片に関する。
【0117】
一態様では、本開示は、配列番号142のアミノ酸配列から選択される重鎖CDR1、配列番号143のアミノ酸配列から選択される重鎖CDR2、及び配列番号144のアミノ酸配列から選択される重鎖CDR3;並びに/又は配列番号147のアミノ酸配列から選択される軽鎖CDR1、配列番号148のアミノ酸配列から選択される軽鎖CDR2、及び配列番号149のアミノ酸配列から選択される軽鎖CDR3を含む抗体又はその機能的断片に関する。
【0118】
一態様では、本開示は、配列番号152のアミノ酸配列から選択される重鎖CDR1、配列番号153のアミノ酸配列から選択される重鎖CDR2、及び配列番号154のアミノ酸配列から選択される重鎖CDR3;並びに/又は配列番号157のアミノ酸配列から選択される軽鎖CDR1、配列番号158のアミノ酸配列から選択される軽鎖CDR2、及び配列番号159のアミノ酸配列から選択される軽鎖CDR3を含む抗体又はその機能的断片に関する。
【0119】
一態様では、本開示は、配列番号162のアミノ酸配列から選択される重鎖CDR1、配列番号163のアミノ酸配列から選択される重鎖CDR2、及び配列番号164のアミノ酸配列から選択される重鎖CDR3;並びに/又は配列番号167のアミノ酸配列から選択される軽鎖CDR1、配列番号168のアミノ酸配列から選択される軽鎖CDR2、及び配列番号169のアミノ酸配列から選択される軽鎖CDR3を含む抗体又はその機能的断片に関する。
【0120】
一態様では、本開示は、配列番号172のアミノ酸配列から選択される重鎖CDR1、配列番号173のアミノ酸配列から選択される重鎖CDR2、及び配列番号174のアミノ酸配列から選択される重鎖CDR3;並びに/又は配列番号212のアミノ酸配列から選択される軽鎖CDR1、配列番号213のアミノ酸配列から選択される軽鎖CDR2、及び配列番号214のアミノ酸配列から選択される軽鎖CDR3を含む抗体又はその機能的断片に関する。
【0121】
一態様では、本開示は、配列番号182のアミノ酸配列から選択される重鎖CDR1、配列番号183のアミノ酸配列から選択される重鎖CDR2、及び配列番号184のアミノ酸配列から選択される重鎖CDR3;並びに/又配列番号212のアミノ酸配列から選択される軽鎖CDR1、配列番号213のアミノ酸配列から選択される軽鎖CDR2、及び配列番号214のアミノ酸配列から選択される軽鎖CDR3を含む抗体又はその機能的断片に関する。
【0122】
一態様では、本開示は、配列番号187のアミノ酸配列から選択される重鎖CDR1、配列番号188のアミノ酸配列から選択される重鎖CDR2、及び配列番号189のアミノ酸配列から選択される重鎖CDR3;並びに/又配列番号212のアミノ酸配列から選択される軽鎖CDR1、配列番号213のアミノ酸配列から選択される軽鎖CDR2、及び配列番号214のアミノ酸配列から選択される軽鎖CDR3を含む抗体又はその機能的断片に関する。
【0123】
一態様では、本開示は、配列番号192のアミノ酸配列から選択される重鎖CDR1、配列番号193のアミノ酸配列から選択される重鎖CDR2、及び配列番号194のアミノ酸配列から選択される重鎖CDR3;並びに/又は配列番号212のアミノ酸配列から選択される軽鎖CDR1、配列番号213のアミノ酸配列から選択される軽鎖CDR2、及び配列番号214のアミノ酸配列から選択される軽鎖CDR3を含む抗体又はその機能的断片に関する。
【0124】
一態様では、本開示は、配列番号197のアミノ酸配列から選択される重鎖CDR1、配列番号198のアミノ酸配列から選択される重鎖CDR2、及び配列番号199のアミノ酸配列から選択される重鎖CDR3;並びに/又は配列番号212のアミノ酸配列から選択される軽鎖CDR1、配列番号213のアミノ酸配列から選択される軽鎖CDR2、及び配列番号214のアミノ酸配列から選択される軽鎖CDR3を含む抗体又はその機能的断片に関する。
【0125】
一態様では、本開示は、配列番号202のアミノ酸配列から選択される重鎖CDR1、配列番号203のアミノ酸配列から選択される重鎖CDR2、及び配列番号204のアミノ酸配列から選択される重鎖CDR3;並びに/又は配列番号212のアミノ酸配列から選択される軽鎖CDR1、配列番号213のアミノ酸配列から選択される軽鎖CDR2、及び配列番号214のアミノ酸配列から選択される軽鎖CDR3を含む抗体又はその機能的断片に関する。
【0126】
一態様では、本開示は、配列番号207のアミノ酸配列から選択される重鎖CDR1、配列番号208のアミノ酸配列から選択される重鎖CDR2、及び配列番号209のアミノ酸配列から選択される重鎖CDR3;並びに/又は配列番号212のアミノ酸配列から選択される軽鎖CDR1、配列番号213のアミノ酸配列から選択される軽鎖CDR2、及び配列番号214のアミノ酸配列から選択される軽鎖CDR3を含む抗体又はその機能的断片に関する。
【0127】
一態様では、本開示は、配列番号172のアミノ酸配列から選択される重鎖CDR1、配列番号173のアミノ酸配列から選択される重鎖CDR2、及び配列番号174のアミノ酸配列から選択される重鎖CDR3;並びに/又は配列番号217のアミノ酸配列から選択される軽鎖CDR1、配列番号218のアミノ酸配列から選択される軽鎖CDR2、及び配列番号219のアミノ酸配列から選択される軽鎖CDR3を含む抗体又はその機能的断片に関する。
【0128】
一態様では、本開示は、配列番号177のアミノ酸配列から選択される重鎖CDR1、配列番号178のアミノ酸配列から選択される重鎖CDR2、及び配列番号179のアミノ酸配列から選択される重鎖CDR3;並びに/又は配列番号217のアミノ酸配列から選択される軽鎖CDR1、配列番号218のアミノ酸配列から選択される軽鎖CDR2、及び配列番号219のアミノ酸配列から選択される軽鎖CDR3を含む抗体又はその機能的断片に関する。
【0129】
一態様では、本開示は、配列番号182のアミノ酸配列から選択される重鎖CDR1、配列番号183のアミノ酸配列から選択される重鎖CDR2、及び配列番号184のアミノ酸配列から選択される重鎖CDR3;並びに/又は配列番号217のアミノ酸配列から選択される軽鎖CDR1、配列番号218のアミノ酸配列から選択される軽鎖CDR2、及び配列番号219のアミノ酸配列から選択される軽鎖CDR3を含む抗体又はその機能的断片に関する。
【0130】
一態様では、本開示は、配列番号187のアミノ酸配列から選択される重鎖CDR1、配列番号188のアミノ酸配列から選択される重鎖CDR2、及び配列番号189のアミノ酸配列から選択される重鎖CDR3;並びに/又は配列番号217のアミノ酸配列から選択される軽鎖CDR1、配列番号218のアミノ酸配列から選択される軽鎖CDR2、及び配列番号219のアミノ酸配列から選択される軽鎖CDR3を含む抗体又はその機能的断片に関する。
【0131】
一態様では、本開示は、配列番号192のアミノ酸配列から選択される重鎖CDR1、配列番号193のアミノ酸配列から選択される重鎖CDR2、及び配列番号194のアミノ酸配列から選択される重鎖CDR3;並びに/又は配列番号217のアミノ酸配列から選択される軽鎖CDR1、配列番号218のアミノ酸配列から選択される軽鎖CDR2、及び配列番号219のアミノ酸配列から選択される軽鎖CDR3を含む抗体又はその機能的断片に関する。
【0132】
一態様では、本開示は、配列番号197のアミノ酸配列から選択される重鎖CDR1、配列番号198のアミノ酸配列から選択される重鎖CDR2、及び配列番号199のアミノ酸配列から選択される重鎖CDR3;並びに/又は配列番号217のアミノ酸配列から選択される軽鎖CDR1、配列番号218のアミノ酸配列から選択される軽鎖CDR2、及び配列番号219のアミノ酸配列から選択される軽鎖CDR3を含む抗体又はその機能的断片に関する。
【0133】
一態様では、本開示は、配列番号202のアミノ酸配列から選択される重鎖CDR1、配列番号203のアミノ酸配列から選択される重鎖CDR2、及び配列番号204のアミノ酸配列から選択される重鎖CDR3;並びに/又は配列番号217のアミノ酸配列から選択される軽鎖CDR1、配列番号218のアミノ酸配列から選択される軽鎖CDR2、及び配列番号219のアミノ酸配列から選択される軽鎖CDR3を含む抗体又はその機能的断片に関する。
【0134】
一態様では、本開示は、配列番号207のアミノ酸配列から選択される重鎖CDR1、配列番号208のアミノ酸配列から選択される重鎖CDR2、及び配列番号209のアミノ酸配列から選択される重鎖CDR3;並びに/又は配列番号217のアミノ酸配列から選択される軽鎖CDR1、配列番号218のアミノ酸配列から選択される軽鎖CDR2、及び配列番号219のアミノ酸配列から選択される軽鎖CDR3を含む抗体又はその機能的断片に関する。
【0135】
一態様では、本開示は、配列番号172のアミノ酸配列から選択される重鎖CDR1、配列番号173のアミノ酸配列から選択される重鎖CDR2、及び配列番号174のアミノ酸配列から選択される重鎖CDR3;並びに/又は配列番号222のアミノ酸配列から選択される軽鎖CDR1、配列番号223のアミノ酸配列から選択される軽鎖CDR2、及び配列番号224のアミノ酸配列から選択される軽鎖CDR3を含む抗体又はその機能的断片に関する。
【0136】
一態様では、本開示は、配列番号177のアミノ酸配列から選択される重鎖CDR1、配列番号178のアミノ酸配列から選択される重鎖CDR2、及び配列番号179のアミノ酸配列から選択される重鎖CDR3;並びに/又は配列番号222のアミノ酸配列から選択される軽鎖CDR1、配列番号223のアミノ酸配列から選択される軽鎖CDR2、及び配列番号224のアミノ酸配列から選択される軽鎖CDR3を含む抗体又はその機能的断片に関する。
【0137】
一態様では、本開示は、配列番号182のアミノ酸配列から選択される重鎖CDR1、配列番号183のアミノ酸配列から選択される重鎖CDR2、及び配列番号184のアミノ酸配列から選択される重鎖CDR3;並びに/又は配列番号222のアミノ酸配列から選択される軽鎖CDR1、配列番号223のアミノ酸配列から選択される軽鎖CDR2、及び配列番号224のアミノ酸配列から選択される軽鎖CDR3を含む抗体又はその機能的断片に関する。
【0138】
一態様では、本開示は、配列番号187のアミノ酸配列から選択される重鎖CDR1、配列番号188のアミノ酸配列から選択される重鎖CDR2、及び配列番号189のアミノ酸配列から選択される重鎖CDR3;並びに/又は配列番号222のアミノ酸配列から選択される軽鎖CDR1、配列番号223のアミノ酸配列から選択される軽鎖CDR2、及び配列番号224のアミノ酸配列から選択される軽鎖CDR3を含む抗体又はその機能的断片に関する。
【0139】
一態様では、本開示は、配列番号192のアミノ酸配列から選択される重鎖CDR1、配列番号193のアミノ酸配列から選択される重鎖CDR2、及び配列番号194のアミノ酸配列から選択される重鎖CDR3;並びに/又は配列番号222のアミノ酸配列から選択される軽鎖CDR1、配列番号223のアミノ酸配列から選択される軽鎖CDR2、及び配列番号224のアミノ酸配列から選択される軽鎖CDR3を含む抗体又はその機能的断片に関する。
【0140】
一態様では、本開示は、配列番号197のアミノ酸配列から選択される重鎖CDR1、配列番号198のアミノ酸配列から選択される重鎖CDR2、及び配列番号199のアミノ酸配列から選択される重鎖CDR3;並びに/又は配列番号222のアミノ酸配列から選択される軽鎖CDR1、配列番号223のアミノ酸配列から選択される軽鎖CDR2、及び配列番号224のアミノ酸配列から選択される軽鎖CDR3を含む抗体又はその機能的断片に関する。
【0141】
一態様では、本開示は、配列番号202のアミノ酸配列から選択される重鎖CDR1、配列番号203のアミノ酸配列から選択される重鎖CDR2、及び配列番号204のアミノ酸配列から選択される重鎖CDR3;並びに/又は配列番号222のアミノ酸配列から選択される軽鎖CDR1、配列番号223のアミノ酸配列から選択される軽鎖CDR2、及び配列番号224のアミノ酸配列から選択される軽鎖CDR3を含む抗体又はその機能的断片に関する。
【0142】
一態様では、本開示は、配列番号207のアミノ酸配列から選択される重鎖CDR1、配列番号208のアミノ酸配列から選択される重鎖CDR2、及び配列番号209のアミノ酸配列から選択される重鎖CDR3;並びに/又は配列番号222のアミノ酸配列から選択される軽鎖CDR1、配列番号223のアミノ酸配列から選択される軽鎖CDR2、及び配列番号224のアミノ酸配列から選択される軽鎖CDR3を含む抗体又はその機能的断片に関する。
【0143】
一態様では、本開示は、配列番号172のアミノ酸配列から選択される重鎖CDR1、配列番号173のアミノ酸配列から選択される重鎖CDR2、及び配列番号174のアミノ酸配列から選択される重鎖CDR3;並びに/又は配列番号227のアミノ酸配列から選択される軽鎖CDR1、配列番号228のアミノ酸配列から選択される軽鎖CDR2、及び配列番号229のアミノ酸配列から選択される軽鎖CDR3を含む抗体又はその機能的断片に関する。
【0144】
一態様では、本開示は、配列番号177のアミノ酸配列から選択される重鎖CDR1、配列番号178のアミノ酸配列から選択される重鎖CDR2、及び配列番号179のアミノ酸配列から選択される重鎖CDR3;並びに/又は配列番号227のアミノ酸配列から選択される軽鎖CDR1、配列番号228のアミノ酸配列から選択される軽鎖CDR2、及び配列番号229のアミノ酸配列から選択される軽鎖CDR3を含む抗体又はその機能的断片に関する。
【0145】
一態様では、本開示は、配列番号182のアミノ酸配列から選択される重鎖CDR1、配列番号183のアミノ酸配列から選択される重鎖CDR2、及び配列番号184のアミノ酸配列から選択される重鎖CDR3;並びに/又は配列番号227のアミノ酸配列から選択される軽鎖CDR1、配列番号228のアミノ酸配列から選択される軽鎖CDR2、及び配列番号229のアミノ酸配列から選択される軽鎖CDR3を含む抗体又はその機能的断片に関する。
【0146】
一態様では、本開示は、配列番号187のアミノ酸配列から選択される重鎖CDR1、配列番号188のアミノ酸配列から選択される重鎖CDR2、及び配列番号189のアミノ酸配列から選択される重鎖CDR3;並びに/又は配列番号227のアミノ酸配列から選択される軽鎖CDR1、配列番号228のアミノ酸配列から選択される軽鎖CDR2、及び配列番号229のアミノ酸配列から選択される軽鎖CDR3を含む抗体又はその機能的断片に関する。
【0147】
一態様では、本開示は、配列番号192のアミノ酸配列から選択される重鎖CDR1、配列番号193のアミノ酸配列から選択される重鎖CDR2、及び配列番号194のアミノ酸配列から選択される重鎖CDR3;並びに/又は配列番号227のアミノ酸配列から選択される軽鎖CDR1、配列番号228のアミノ酸配列から選択される軽鎖CDR2、及び配列番号229のアミノ酸配列から選択される軽鎖CDR3を含む抗体又はその機能的断片に関する。
【0148】
一態様では、本開示は、配列番号197のアミノ酸配列から選択される重鎖CDR1、配列番号198のアミノ酸配列から選択される重鎖CDR2、及び配列番号199のアミノ酸配列から選択される重鎖CDR3;並びに/又は配列番号227のアミノ酸配列から選択される軽鎖CDR1、配列番号228のアミノ酸配列から選択される軽鎖CDR2、及び配列番号229のアミノ酸配列から選択される軽鎖CDR3を含む抗体又はその機能的断片に関する。
【0149】
一態様では、本開示は、配列番号202のアミノ酸配列から選択される重鎖CDR1、配列番号203のアミノ酸配列から選択される重鎖CDR2、及び配列番号204のアミノ酸配列から選択される重鎖CDR3;並びに/又は配列番号227のアミノ酸配列から選択される軽鎖CDR1、配列番号228のアミノ酸配列から選択される軽鎖CDR2、及び配列番号229のアミノ酸配列から選択される軽鎖CDR3を含む抗体又はその機能的断片に関する。
【0150】
一態様では、本開示は、配列番号207のアミノ酸配列から選択される重鎖CDR1、配列番号208のアミノ酸配列から選択される重鎖CDR2、及び配列番号209のアミノ酸配列から選択される重鎖CDR3;並びに/又は配列番号227のアミノ酸配列から選択される軽鎖CDR1、配列番号228のアミノ酸配列から選択される軽鎖CDR2、及び配列番号229のアミノ酸配列から選択される軽鎖CDR3を含む抗体又はその機能的断片に関する。
【0151】
一態様では、本開示は、配列番号1のアミノ酸配列若しくはその任意のバリアントから選択される重鎖可変領域、及び/又は配列番号6のアミノ酸配列若しくはその任意のバリアントから選択される軽鎖可変領域を含む抗体又はその機能的断片に関する。
【0152】
一態様では、本開示は、配列番号11のアミノ酸配列若しくはその任意のバリアントから選択される重鎖可変領域、及び/又は配列番号16のアミノ酸配列若しくはその任意のバリアントから選択される軽鎖可変領域を含む抗体又はその機能的断片に関する。
【0153】
一態様では、本開示は、配列番号21のアミノ酸配列若しくはその任意のバリアントから選択される重鎖可変領域、及び/又は配列番号26のアミノ酸配列若しくはその任意のバリアントから選択される軽鎖可変領域を含む抗体又はその機能的断片に関する。
【0154】
一態様では、本開示は、配列番号31のアミノ酸配列若しくはその任意のバリアントから選択される重鎖可変領域、及び/又は配列番号36のアミノ酸配列若しくはその任意のバリアントから選択される軽鎖可変領域を含む抗体又はその機能的断片に関する。
【0155】
一態様では、本開示は、配列番号41のアミノ酸配列若しくはその任意のバリアントから選択される重鎖可変領域、及び/又は配列番号46のアミノ酸配列若しくはその任意のバリアントから選択される軽鎖可変領域を含む抗体又はその機能的断片に関する。
【0156】
一態様では、本開示は、配列番号51のアミノ酸配列若しくはその任意のバリアントから選択される重鎖可変領域、及び/又は配列番号56のアミノ酸配列若しくはその任意のバリアントから選択される軽鎖可変領域を含む抗体又はその機能的断片に関する。
【0157】
一態様では、本開示は、配列番号61のアミノ酸配列若しくはその任意のバリアントから選択される重鎖可変領域、及び/又は配列番号66のアミノ酸配列若しくはその任意のバリアントから選択される軽鎖可変領域を含む抗体又はその機能的断片に関する。
【0158】
一態様では、本開示は、配列番号71のアミノ酸配列若しくはその任意のバリアントから選択される重鎖可変領域、及び/又は配列番号76のアミノ酸配列若しくはその任意のバリアントから選択される軽鎖可変領域を含む抗体又はその機能的断片に関する。
【0159】
一態様では、本開示は、配列番号81のアミノ酸配列若しくはその任意のバリアントから選択される重鎖可変領域、及び/又は配列番号86のアミノ酸配列若しくはその任意のバリアントから選択される軽鎖可変領域を含む抗体又はその機能的断片に関する。
【0160】
一態様では、本開示は、配列番号91のアミノ酸配列若しくはその任意のバリアントから選択される重鎖可変領域、及び/又は配列番号96のアミノ酸配列若しくはその任意のバリアントから選択される軽鎖可変領域を含む抗体又はその機能的断片に関する。
【0161】
一態様では、本開示は、配列番号101のアミノ酸配列若しくはその任意のバリアントから選択される重鎖可変領域、及び/又は配列番号106のアミノ酸配列若しくはその任意のバリアントから選択される軽鎖可変領域を含む抗体又はその機能的断片に関する。
【0162】
一態様では、本開示は、配列番号111のアミノ酸配列若しくはその任意のバリアントから選択される重鎖可変領域、及び/又は配列番号116のアミノ酸配列若しくはその任意のバリアントから選択される軽鎖可変領域を含む抗体又はその機能的断片に関する。
【0163】
一態様では、本開示は、配列番号121のアミノ酸配列若しくはその任意のバリアントから選択される重鎖可変領域、及び/又は配列番号126のアミノ酸配列若しくはその任意のバリアントから選択される軽鎖可変領域を含む抗体又はその機能的断片に関する。
【0164】
一態様では、本開示は、配列番号131のアミノ酸配列若しくはその任意のバリアントから選択される重鎖可変領域、及び/又は配列番号136のアミノ酸配列若しくはその任意のバリアントから選択される軽鎖可変領域を含む抗体又はその機能的断片に関する。
【0165】
一態様では、本開示は、配列番号141のアミノ酸配列若しくはその任意のバリアントから選択される重鎖可変領域、及び/又は配列番号146のアミノ酸配列若しくはその任意のバリアントから選択される軽鎖可変領域を含む抗体又はその機能的断片に関する。
【0166】
一態様では、本開示は、配列番号151のアミノ酸配列若しくはその任意のバリアントから選択される重鎖可変領域、及び/又は配列番号156のアミノ酸配列若しくはその任意のバリアントから選択される軽鎖可変領域を含む抗体又はその機能的断片に関する。
【0167】
一態様では、本開示は、配列番号161のアミノ酸配列若しくはその任意のバリアントから選択される重鎖可変領域、及び/又は配列番号166のアミノ酸配列若しくはその任意のバリアントから選択される軽鎖可変領域を含む抗体又はその機能的断片に関する。
【0168】
一態様では、本開示は、配列番号171のアミノ酸配列若しくはその任意のバリアントから選択される重鎖可変領域、及び/又は配列番号211のアミノ酸配列若しくはその任意のバリアントから選択される軽鎖可変領域を含む抗体又はその機能的断片に関する。
【0169】
一態様では、本開示は、配列番号176のアミノ酸配列若しくはその任意のバリアントから選択される重鎖可変領域、及び/又は配列番号211のアミノ酸配列若しくはその任意のバリアントから選択される軽鎖可変領域を含む抗体又はその機能的断片に関する。
【0170】
一態様では、本開示は、配列番号181のアミノ酸配列若しくはその任意のバリアントから選択される重鎖可変領域、及び/又は配列番号211のアミノ酸配列若しくはその任意のバリアントから選択される軽鎖可変領域を含む抗体又はその機能的断片に関する。
【0171】
一態様では、本開示は、配列番号186のアミノ酸配列若しくはその任意のバリアントから選択される重鎖可変領域、及び/又は配列番号211のアミノ酸配列若しくはその任意のバリアントから選択される軽鎖可変領域を含む抗体又はその機能的断片に関する。
【0172】
一態様では、本開示は、配列番号191のアミノ酸配列若しくはその任意のバリアントから選択される重鎖可変領域、及び/又は配列番号211のアミノ酸配列若しくはその任意のバリアントから選択される軽鎖可変領域を含む抗体又はその機能的断片に関する。
【0173】
一態様では、本開示は、配列番号196のアミノ酸配列若しくはその任意のバリアントから選択される重鎖可変領域、及び/又は配列番号211のアミノ酸配列若しくはその任意のバリアントから選択される軽鎖可変領域を含む抗体又はその機能的断片に関する。
【0174】
一態様では、本開示は、配列番号201のアミノ酸配列若しくはその任意のバリアントから選択される重鎖可変領域、及び/又は配列番号211のアミノ酸配列若しくはその任意のバリアントから選択される軽鎖可変領域を含む抗体又はその機能的断片に関する。
【0175】
一態様では、本開示は、配列番号206のアミノ酸配列若しくはその任意のバリアントから選択される重鎖可変領域、及び/又は配列番号211のアミノ酸配列若しくはその任意のバリアントから選択される軽鎖可変領域を含む抗体又はその機能的断片に関する。
【0176】
一態様では、本開示は、配列番号171のアミノ酸配列若しくはその任意のバリアントから選択される重鎖可変領域、及び/又は配列番号216のアミノ酸配列若しくはその任意のバリアントから選択される軽鎖可変領域を含む抗体又はその機能的断片に関する。
【0177】
一態様では、本開示は、配列番号176のアミノ酸配列若しくはその任意のバリアントから選択される重鎖可変領域、及び/又は配列番号216のアミノ酸配列若しくはその任意のバリアントから選択される軽鎖可変領域を含む抗体又はその機能的断片に関する。
【0178】
一態様では、本開示は、配列番号181のアミノ酸配列若しくはその任意のバリアントから選択される重鎖可変領域、及び/又は配列番号216のアミノ酸配列若しくはその任意のバリアントから選択される軽鎖可変領域を含む抗体又はその機能的断片に関する。
【0179】
一態様では、本開示は、配列番号186のアミノ酸配列若しくはその任意のバリアントから選択される重鎖可変領域、及び/又は配列番号216のアミノ酸配列若しくはその任意のバリアントから選択される軽鎖可変領域を含む抗体又はその機能的断片に関する。
【0180】
一態様では、本開示は、配列番号191のアミノ酸配列若しくはその任意のバリアントから選択される重鎖可変領域、及び/又は配列番号216のアミノ酸配列若しくはその任意のバリアントから選択される軽鎖可変領域を含む抗体又はその機能的断片に関する。
【0181】
一態様では、本開示は、配列番号196のアミノ酸配列若しくはその任意のバリアントから選択される重鎖可変領域、及び/又は配列番号216のアミノ酸配列若しくはその任意のバリアントから選択される軽鎖可変領域を含む抗体又はその機能的断片に関する。
【0182】
一態様では、本開示は、配列番号201のアミノ酸配列若しくはその任意のバリアントから選択される重鎖可変領域、及び/又は配列番号216のアミノ酸配列若しくはその任意のバリアントから選択される軽鎖可変領域を含む抗体又はその機能的断片に関する。
【0183】
一態様では、本開示は、配列番号206のアミノ酸配列若しくはその任意のバリアントから選択される重鎖可変領域、及び/又は配列番号216のアミノ酸配列若しくはその任意のバリアントから選択される軽鎖可変領域を含む抗体又はその機能的断片に関する。
【0184】
一態様では、本開示は、配列番号171のアミノ酸配列若しくはその任意のバリアントから選択される重鎖可変領域、及び/又は配列番号221のアミノ酸配列若しくはその任意のバリアントから選択される軽鎖可変領域を含む抗体又はその機能的断片に関する。
【0185】
一態様では、本開示は、配列番号176のアミノ酸配列若しくはその任意のバリアントから選択される重鎖可変領域、及び/又は配列番号221のアミノ酸配列若しくはその任意のバリアントから選択される軽鎖可変領域を含む抗体又はその機能的断片に関する。
【0186】
一態様では、本開示は、配列番号181のアミノ酸配列若しくはその任意のバリアントから選択される重鎖可変領域、及び/又は配列番号221のアミノ酸配列若しくはその任意のバリアントから選択される軽鎖可変領域を含む抗体又はその機能的断片に関する。
【0187】
一態様では、本開示は、配列番号186のアミノ酸配列若しくはその任意のバリアントから選択される重鎖可変領域、及び/又は配列番号221のアミノ酸配列若しくはその任意のバリアントから選択される軽鎖可変領域を含む抗体又はその機能的断片に関する。
【0188】
一態様では、本開示は、配列番号191のアミノ酸配列若しくはその任意のバリアントから選択される重鎖可変領域、及び/又は配列番号221のアミノ酸配列若しくはその任意のバリアントから選択される軽鎖可変領域を含む抗体又はその機能的断片に関する。
【0189】
一態様では、本開示は、配列番号196のアミノ酸配列若しくはその任意のバリアントから選択される重鎖可変領域、及び/又は配列番号221のアミノ酸配列若しくはその任意のバリアントから選択される軽鎖可変領域を含む抗体又はその機能的断片に関する。
【0190】
一態様では、本開示は、配列番号201のアミノ酸配列若しくはその任意のバリアントから選択される重鎖可変領域、及び/又は配列番号221のアミノ酸配列若しくはその任意のバリアントから選択される軽鎖可変領域を含む抗体又はその機能的断片に関する。
【0191】
一態様では、本開示は、配列番号206のアミノ酸配列若しくはその任意のバリアントから選択される重鎖可変領域、及び/又は配列番号221のアミノ酸配列若しくはその任意のバリアントから選択される軽鎖可変領域を含む抗体又はその機能的断片に関する。
【0192】
一態様では、本開示は、配列番号171のアミノ酸配列若しくはその任意のバリアントから選択される重鎖可変領域、及び/又は配列番号226のアミノ酸配列若しくはその任意のバリアントから選択される軽鎖可変領域を含む抗体又はその機能的断片に関する。
【0193】
一態様では、本開示は、配列番号176のアミノ酸配列若しくはその任意のバリアントから選択される重鎖可変領域、及び/又は配列番号226のアミノ酸配列若しくはその任意のバリアントから選択される軽鎖可変領域を含む抗体又はその機能的断片に関する。
【0194】
一態様では、本開示は、配列番号181のアミノ酸配列若しくはその任意のバリアントから選択される重鎖可変領域、及び/又は配列番号226のアミノ酸配列若しくはその任意のバリアントから選択される軽鎖可変領域を含む抗体又はその機能的断片に関する。
【0195】
一態様では、本開示は、配列番号186のアミノ酸配列若しくはその任意のバリアントから選択される重鎖可変領域、及び/又は配列番号226のアミノ酸配列若しくはその任意のバリアントから選択される軽鎖可変領域を含む抗体又はその機能的断片に関する。
【0196】
一態様では、本開示は、配列番号191のアミノ酸配列若しくはその任意のバリアントから選択される重鎖可変領域、及び/又は配列番号226のアミノ酸配列若しくはその任意のバリアントから選択される軽鎖可変領域を含む抗体又はその機能的断片に関する。
【0197】
一態様では、本開示は、配列番号196のアミノ酸配列若しくはその任意のバリアントから選択される重鎖可変領域、及び/又は配列番号226のアミノ酸配列若しくはその任意のバリアントから選択される軽鎖可変領域を含む抗体又はその機能的断片に関する。
【0198】
一態様では、本開示は、配列番号201のアミノ酸配列若しくはその任意のバリアントから選択される重鎖可変領域、及び/又は配列番号226のアミノ酸配列若しくはその任意のバリアントから選択される軽鎖可変領域を含む抗体又はその機能的断片に関する。
【0199】
一態様では、本開示は、配列番号206のアミノ酸配列若しくはその任意のバリアントから選択される重鎖可変領域、及び/又は配列番号226のアミノ酸配列若しくはその任意のバリアントから選択される軽鎖可変領域を含む抗体又はその機能的断片に関する。
【0200】
一態様では、本開示は、配列番号1、11、21、31、41、51、61、71、81、91、101、111、121、131、141、151、161、171、176、181、186、191、196、201、206のアミノ酸配列、若しくはその任意のバリアントから選択される重鎖可変領域、及び/又は配列番号6、16、26、36、46、56、66、76、86、96、106、116、126、136、146、156、166、211、216、221、226のアミノ酸配列、若しくはその任意のバリアントから選択される軽鎖可変領域を含む抗体又はその機能的断片に関する。
【0201】
一態様では、本開示は、本明細書に開示の抗体又はその機能的断片又はバリアントをコードする単離された核酸配列、抗体又は本発明の抗体の機能的断片のIL-4及び/若しくはIL-13結合部分をコードするヌクレオチド配列を含むベクター構築物、ベクターを含有する宿主細胞、並びにポリペプチドを産生する組換え技術に関する。
【0202】
一態様では、本開示は、キットを更に含み、例えばキットは、本開示の抗体、並びにその断片、相同体、及び誘導体等、例えば標識された又は細胞傷害性コンジュゲート、並びに抗体、ある特定のタイプの細胞を殺滅するコンジュゲートの使用説明書等を含む。説明書は、抗体及びコンジュゲート等のin vitro、in vivo、又はex vivoでの使用のための指針を含みうる。抗体は、液体形態又は固体形態でありえ、典型的には凍結乾燥形態でありうる。キットは、他の適した作用剤、例えば緩衝液、再構成溶液、及び意図される使用のための他の必須の成分を含みうる。既定量の作用剤及び使用説明書の包装された組合せが企図され、使用は、例えば治療的使用又は診断アッセイを実施するためである。抗体が標識される場合、例えば酵素によって標識される場合、キットは、基質、及び酵素にとって必要な補因子(例えば、検出可能な発色団又はフルオロフォアを提供する基質前駆体)を含みうる。更に、他の添加剤、例えば安定剤及び緩衝液(例えば、ブロッキング緩衝液又は溶解緩衝液)も同様に含まれうる。様々な作用剤の相対量は、作用剤溶液の濃縮物を提供するために変化させることができ、これはユーザー自由度、スペースの節約、作用剤の節約等をもたらす。これらの作用剤はまた、乾燥粉末形態、典型的には溶解した場合に適切な濃度の作用剤溶液を提供する、賦形剤を含む凍結乾燥形態で提供されうる。
【0203】
本発明の抗体は、哺乳動物の処置において有用である。例えば、一実施形態では、目的の抗体又は均等物は、前臨床データを得る目的のために非ヒト哺乳動物に投与される。処置される例示的な非ヒト哺乳動物には、前臨床試験が実施される非ヒト霊長類、イヌ、ネコ、齧歯類、及び他の哺乳動物が挙げられる。そのような哺乳動物を使用して、抗体によって処置される疾患の動物モデルを確立してもよく、又はそれらを使用して目的の抗体の毒性を試験してもよい。これらの実施形態の各々では、用量漸増試験を哺乳動物について実施してもよい。
【0204】
抗体は、第2の成分(それにコンジュゲートした治療剤成分等)を有するか否かによらず、治療剤として単独又は細胞傷害性因子と組み合わせて使用することができる。本発明は、IL-4及び/又はIL-13媒介疾患、障害、又は状態を処置するために、本発明の抗体を動物、哺乳動物、又はヒトに投与する工程を含む、抗体に基づく治療に関する。
【0205】
本明細書で使用される場合、用語「処置している/処置/処置する」は、治療的処置及び予防的又は防止的手段を指す。これは、疾患の状態、疾患の進行、疾患を引き起こす要因(例えば、細菌又はウイルス)、又は他の異常な状態の有害な効果を防止する、治癒する、逆転する、減弱する、寛解させる、最小限にする、阻害する、又は停止させることを指す。
【0206】
従って、本発明はまた、診断又は治療機能を有するエフェクター分子、原子、又は他の物質が結合した二特異性抗IL-4/IL-13抗体を含む多価抗体も包含する。例えば、抗体は、がんのin vivoでの診断又は処置のために抗体に結合させた、放射診断タグ、又は放射活性細胞傷害性原子、又は金属、又はリシン鎖等の細胞傷害性物質を有しうる。
【0207】
更に、本発明の抗体はまた、イムノアッセイ、精製法、及び免疫グロブリン又はその断片を使用する他の方法にも使用されうる。そのような使用は、当技術分野で周知である。
【0208】
従って、本発明はまた、本発明の抗IL-13及び/又は抗IL-4抗体又はその断片を含む組成物も提供し、抗体は都合よくは、当技術分野で一般的な手段である、薬学的に許容される担体、希釈剤、又は賦形剤と組み合わせられる。
【0209】
本明細書で使用される場合、用語「医薬組成物」は、様々な調製物の製剤を指す。多価抗体の治療有効量を含有する製剤は、滅菌液体溶液、液体懸濁剤、又は凍結乾燥形態であり、任意選択で安定剤又は賦形剤を含有する。
【0210】
本明細書で使用される場合、用語「障害」は、本発明の抗体による処置によって利益が得られるいずれかの状態を指す。これは、哺乳動物、特にヒトを障害に罹りやすくする病的状態を含む、慢性及び急性の障害又は疾患を含む。本明細書で処置される非制限的な障害の例には、がん、炎症、自己免疫疾患、感染症、心血管疾患、呼吸器疾患、神経疾患、及び代謝疾患が挙げられる。
【0211】
本発明の抗体を使用して、アレルギー疾患、Th2媒介疾患、IL-13媒介疾患、IL-4媒介疾患、及び/又はIL-4/IL-13媒介疾患等の疾患を処置、阻害、又は防止することができる。そのような疾患の例には、ホジキン病、喘息、アレルギー性喘息、アトピー性皮膚炎、アトピー性アレルギー、潰瘍性大腸炎、強皮症、アレルギー性鼻炎、COPD3特発性肺線維症、慢性移植拒絶、ブレオマイシン誘発性肺線維症、放射線誘発性肺線維症、肺肉芽腫症、進行性全身性強皮症、住血吸虫症、肝線維症、腎臓がん、バーキットリンパ腫、ホジキン病、非ホジキン病、セザリー症候群、喘息、化膿性関節炎、ヘルペス様皮膚炎、慢性特発性蕁麻疹、潰瘍性大腸炎、強皮症、肥厚性瘢痕、ウィップル病、良性前立腺過形成、IL-4受容体が作用する肺障害、IL-4受容体が上皮バリア機能破壊を媒介する状態、IL-4受容体が作用する消化器系障害、薬物に対するアレルギー反応、川崎病、鎌状赤血球症、チャーグ・ストラウス症候群、グレーヴス病、子癇前症、シェーグレン症候群、自己免疫性リンパ増殖症候群、自己免疫性溶血性貧血、バレット食道、自己免疫性ブドウ膜炎、結核、嚢胞性線維症、アレルギー性気管支肺真菌疾患、慢性閉塞性肺疾患、ブレオマイシン誘発性肺疾患及び線維症、肺胞タンパク症、成人呼吸窮迫症候群、サルコイドーシス、高IgE症候群、特発性好酸球増多症候群、自己免疫性水疱症、尋常性天疱瘡、水疱性類天疱瘡、重症筋無力症、慢性疲労症候群、及び腎疾患が挙げられる。
【0212】
用語「アレルギー疾患」は、患者が過敏であり、通常非免疫原性である物質に対して免疫応答を有する病態を指す。アレルギー疾患の一般的な特徴は、IgEが肥満細胞を活性化して、炎症応答(例えば、局所応答、全身応答)を引き起こし、これらの応答が鼻水等の良性の症状を引き起こしうるが、生命を脅かすアナフィラキシーショック又は死亡も引き起こしうる点である。アレルギー疾患の例には、アレルギー性鼻炎(例えば、花粉症)、喘息(例えば、アレルギー性喘息)、アレルギー性皮膚炎(例えば湿疹)、接触性皮膚炎、食物アレルギー、及び蕁麻疹(hive(蕁麻疹))が挙げられるがこれらに限定されない。
【0213】
本明細書で使用される場合、「Th2媒介疾患」は、その病態が、CD4+Th2Tリンパ系細胞によって調節される免疫応答(Th2型免疫応答)によって引き起こされ(全体が、又は部分的に)、IL-4、IL-5、IL-9、及びIL-13の形成によって特徴付けられる疾患を指す。Th2型免疫応答は、ある特定のサイトカイン(例えば、IL-4、IL-13)、及びある特定のクラスの抗体(例えば、IgE)の産生、並びに液性免疫に関連している。Th2媒介疾患は、Th2サイトカイン(例えば、IL-4、IL-13)レベルの上昇及び/又はある特定のクラスの抗体(例えば、IgE)の存在によって特徴付けられ、これには、例えばアレルギー疾患(例えば、アレルギー性鼻炎、特発性皮膚炎、喘息(例えば、特発性喘息)、アレルギー性気道疾患(AAD)、アナフィラキシーショック、及び結膜炎)、IL-4及び/又はIL-13レベルの上昇に関連する自己免疫障害(例えば、リウマチ性関節炎、宿主対移植片病、腎疾患(例えばネフローゼ症候群、ループス腎炎))、並びにIL-4及び/又はIL-13レベルの上昇に関連する感染症(例えば、ウイルス、寄生虫、真菌(例えば、C.アルビカンス(C. albicans))感染症)が挙げられる。一部のがんは、IL-4及び/又はIL-13レベルの上昇、又はIL-4誘導及び/若しくはIL-13誘導がん細胞増殖(例えば、B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、多発性骨髄腫、頭頸部がん、乳がん、及び卵巣がん)に関連している。これらのがんは、本発明のリガンド(Ii gaud)によって処置、阻害、又は防止することができる。
【0214】
本発明において使用される場合、用語「がん」は、典型的には細胞の制御されない及び調節されない成長を特徴とする哺乳動物、特にヒトの生理的状態を指す又は記載する。がんの例には、癌腫、リンパ腫、芽腫、肉腫、及び白血病が挙げられるがこれらに限定されない。
【0215】
本明細書で使用される場合、用語「自己免疫疾患」は、個体の自身の組織から生じた及び自身の組織に対する非悪性の疾患又は障害を指す。自己免疫疾患又は障害の例には、乾癬及び皮膚炎を含む炎症性皮膚疾患等の炎症応答;湿疹及び喘息等のアレルギー状態;T細胞浸潤及び慢性炎症応答を伴う他の症状;アテローム性動脈硬化症、糖尿病(例えば、I型糖尿病又はインスリン依存性糖尿病);多発性硬化症及び中枢神経系炎症障害が挙げられるがこれらに限定されない。
【0216】
本発明の抗体は、単独投与のための組成物として使用してもよく、他の活性剤と組み合わせて使用してもよい。抗体は、既存のIL-13治療(例えば、抗IL-13Rαl、IL-4/13Trap、抗IL-13等の既存のIL-13活性剤)プラス抗IL-4抗体、並びに既存のIL-4活性剤(例えば、抗IL-4R、IL-4変異体タンパク質、IL-4/13Trap)プラス抗IL-13抗体、及びIL-4抗体(例えば、WO 05/0076990(CAT社)、WO 03/092610(Regeneron社)、WO 00/64944(Genetic Inst.社)、及びWO 2005/062967(Tanox社))との組合せ治療として使用することができる。
【0217】
前述の態様のいずれかの抗体又はその機能的断片をコードする核酸。
【0218】
前述の態様のいずれかの核酸を含むベクター。
【0219】
前述の態様のいずれかのベクターを含む細胞。
【0220】
前述の態様のいずれかの抗体若しくはその機能的断片、又はそれらをコードする核酸、並びに薬学的に許容される担体を含む医薬組成物。
【0221】
前述の態様のいずれかの抗体若しくはその機能的断片、又はそれらをコードする核酸の治療有効量を哺乳動物に投与する工程を含む、哺乳動物におけるアレルギー疾患を処置する方法。
【0222】
前述の態様のいずれかの抗体若しくはその機能的断片、又はそれらをコードする核酸の治療有効量を哺乳動物に投与する工程を含む、がんを処置する方法。
【0223】
前述の態様のいずれかの抗体若しくはその機能的断片、又はそれらをコードする核酸の治療有効量を哺乳動物に投与する工程を含む、哺乳動物における喘息を処置する方法。
【0224】
前述の態様のいずれかの抗体若しくはその機能的断片、又はそれらをコードする核酸の治療有効量を哺乳動物に投与する工程を含む、哺乳動物におけるIL-4及び/又はIL-13の異常な産生に関連する疾患を処置する方法。
【0225】
前述の態様のいずれかの抗体若しくはその機能的断片、又はそれらをコードする核酸の治療有効量を哺乳動物に投与する工程を含む、哺乳動物におけるTH-2媒介応答を阻害する方法。
【0226】
本明細書で使用される場合、用語「薬学的に許容される担体」は、薬学的投与と適合性である、ありとあらゆる溶媒、分散媒体、コーティング、抗菌及び抗真菌剤、等張剤及び吸収遅延剤等を含むと意図される。適した担体は、参照により本明細書に組み込まれる、当技術分野で標準的な基準テキストであるRemington's Pharmaceutical Sciencesの最新版に記載されている。そのような担体又は希釈剤の好ましい例には、水、食塩水、リンゲル液、デキストロース溶液、及び5%ヒト血清アルブミンが挙げられるがこれらに限定されない。リポソーム、及び不揮発性油等の非水性担体もまた、使用してもよい。薬学的に活性な物質と共にそのような媒体及び作用剤の使用は、当技術分野で周知である。如何なる通常の媒体又は作用剤も抗体と不適合でない限り、組成物におけるその使用が企図される。
【0227】
in vivoでの投与のために使用される製剤は、無菌的でなければならない。これは、濾過滅菌膜を通しての濾過によって容易に達成される。
【0228】
本実施形態の医薬組成物は、その意図される投与経路と適合性であるように製剤化される。投与経路の例には、静脈内、皮内、皮下等の非経口、経口(例えば、吸入)、経皮(すなわち、局所的)、粘膜内、及び直腸投与が挙げられる。非経口、皮内、又は皮下投与のために使用される溶液又は懸濁液は、以下の成分を含みうる:注射用滅菌希釈剤、例えば水、食塩水、不揮発性油、ポリエチレングリコール、グリセロール、プロピレングリコール、又は他の合成溶媒;抗菌剤、例えばベンジルアルコール又はメチルパラベン;抗酸化剤、例えばアスコルビン酸又は亜硫酸水素ナトリウム;キレート剤、例えばエチレンジアミン四酢酸(EDTA);緩衝液、例えば酢酸塩、クエン酸塩、及びリン酸塩;並びに浸透圧を調整するための作用剤、例えば塩化ナトリウム又はデキストロース。pHは、酸又は塩基、例えば塩酸又は水酸化ナトリウムによって調整することができる。非経口製剤は、ガラス又はプラスチック製の、アンプル、使い捨てシリンジ又は多用量バイアルに封入することができる。
【0229】
注射での使用にとって適した医薬組成物は、滅菌水溶液(本明細書において水溶性)又は分散液、及び滅菌注射溶液又は分散液を即時調製するための滅菌粉末を含む。静脈内投与の場合、適した担体は、生理食塩水、静菌水、Cremophor EL(商標)(BASF社、Parsippany、N.J.)又はリン酸緩衝食塩水(PBS)を含む。全ての場合において、組成物は無菌的でなければならず、容易な注射針通過性が存在する程度に流体であるべきである。これは、製造及び保存条件で安定であるべきであり、細菌及び真菌等の微生物の混入作用に対して保存されなければならない。担体は、例えば水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコール等)、及びその適した混合物を含有する溶媒又は分散媒体でありうる。適切な流動性は、例えばレシチン等のコーティングの使用によって、分散剤の場合には必要な粒径を維持することによって、及び界面活性剤の使用によって維持することができる。微生物の作用の防止は、様々な抗菌剤及び抗真菌剤、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサル等によって達成することができる。多くの場合、等張剤、例えば糖、マンニトール、ソルビトール等の多価アルコール、塩化ナトリウムを組成物に含めることが好ましい。注射可能組成物の持続的吸収は、組成物に、吸収を遅らせる作用剤、例えばモノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンを含めることによってもたらすことができる。
【0230】
滅菌注射溶液は、抗体又は複数の抗体の必要量を、適した溶媒において上記で列挙した成分の1つ又は組合せと共に組み入れた後、必要に応じて濾過滅菌することによって調製することができる。一般的に、分散剤は、抗体又は複数の抗体を、基本分散媒体及び上記で列挙した成分からの必要な他の成分を含有する滅菌担体に組み入れることによって調製される。滅菌注射可能溶液の調製のための滅菌粉末の場合、調製方法は、上記の成分の濾過滅菌溶液からの活性成分プラスいずれかの追加の所望の成分の粉末を生じる真空乾燥及び凍結乾燥である。
【0231】
吸入投与の場合、化合物は、二酸化炭素等の適した推進剤を含有する加圧容器又はディスペンサー又はネブライザーからのエアロゾルスプレーの形態で送達される。
【0232】
全身投与はまた、経粘膜又は経皮手段によっても実施することができる。経粘膜又は経皮投与に関して、バリアの浸透にとって適切な浸透剤を製剤において使用する。そのような浸透剤は一般的に、当技術分野で公知であり、例えば経粘膜投与のための、洗浄剤、胆汁酸塩、及びフシジン酸誘導体が挙げられる。経粘膜投与は、点鼻スプレー又は坐剤の使用を通して達成することができる。経皮投与の場合、1つ又は複数の抗体を、当技術分野で一般的に公知である軟膏、膏薬、ゲル、又はクリームに製剤化することができる。
【0233】
化合物はまた、直腸内送達のための坐剤(例えば、カカオバター及び他のグリセリド等の通常の坐剤基剤と共に)又は停留浣腸の形態で調製することができる。
【0234】
一実施形態では、抗体は、インプラント及びマイクロカプセル化送達システムを含む、徐放性/制御放出製剤等の、体からの急速な消失に対して抗体を保護する担体と共に調製することができる。生体分解性で、生体適合性のポリマー、例えばエチレン酢酸ビニル、ポリ酸無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、及びポリ乳酸を使用することができる。そのような製剤を調製する方法は、当業者に明らかである。
【0235】
例えば、これらの活性成分を、例えばコアセルベーション技術によって、又は界面重合法によって調製したマイクロカプセル、例えばヒドロキシメチルセルロース又はゼラチンマイクロカプセル及びポリ(メチルメタクリル酸)マイクロカプセルによってそれぞれ、コロイド薬物送達システム(例えば、リポソーム、アルブミンミクロスフェア、マイクロエマルジョン、ナノ粒子、及びナノカプセル)、又はマクロエマルジョンにおいてカプセル化することができる。
【0236】
徐放性製剤を調製することができる。適した徐放性製剤の例には、抗体を含有する固体疎水性ポリマーの半透過性マトリクスが挙げられ、このマトリクスは、成型された製品、例えばフィルム又はマイクロカプセルの形態である。徐放性マトリクスの例には、ポリエステル、ハイドロゲル(例えば、ポリ(2-ヒドロキシエチル-メチルプロピオネート)、又はポリ(ビニルアルコール))、ポリラクチド(米国特許第3,773,919号)、L-グルタミン酸とγ-エチル-L-グルタメートのコポリマー、非分解性エチレン酢酸ビニル、分解性乳酸-グリコール酸コポリマー、例えばLUPRON DEPOT(商標)(乳酸-グリコール酸コポリマー及び酢酸リュープロリドで構成される注射可能なミクロスフェア)、及びポリD-(-)-3-ヒドロキシ酪酸が挙げられる。エチレン酢酸ビニル及び乳酸-グリコール酸等のポリマーは、100日を超える期間、分子の放出を可能にするが、ある特定のハイドロゲルは、より短い期間でタンパク質を放出する。
【0237】
リポソーム懸濁液(ウイルス抗原に対するモノクローナル抗体によって、感染した細胞に標的化されるリポソームを含む)もまた、薬学的に許容可能な担体として使用することができる。これらは、当業者に公知の方法、例えば、米国特許第4,522,811号に従って調製することができる。
【0238】
投与を容易にするため及び投薬量の均一性のために、非経口投与組成物を単位投与剤形に製剤化することは特に有利である。本明細書で使用される単位投与剤形は、処置される対象に関して単位用量として適した物理的に別個の単位を指し、各々の単位は必要な薬学的担体に関連して所望の治療効果を生じるように計算された1つ又は複数の抗体の既定量を含有する。本実施形態の単位投与剤形の仕様は、抗体の独自の特徴、及び達成される特定の治療効果、並びに処置する個体に関してそのような抗体を製剤化する当技術分野で固有の制限によって影響を受け、直接依存する。
【0239】
医薬組成物はまた、投与説明書と共に、容器、包装、又はディスペンサーに入れることができる。
【0240】
本明細書における製剤はまた、処置される特定の適応にとって必要な1つより多くの抗体、好ましくは互いに有害な影響を及ぼさない相補的活性を有する抗体も含有しうる。或いは又は更に、組成物は、その機能を増強する作用剤、例えば細胞傷害剤、サイトカイン、化学療法剤、又は成長阻害剤を含みうる。そのような分子は、好適には、意図される目的にとって有効である量で組み合わせて存在する。
【0241】
一実施形態では、1つ又は複数の抗体を、組合せ療法で、すなわち、他の作用剤、例えば治療剤(様々な形態のがん、自己免疫障害、及び炎症障害等の病的状態又は障害を処置するために使用することができる)と組み合わせて投与することができる。本明細書で使用される場合、用語「組み合わせて」は、実質的に同時、同時、又は連続的に作用剤を投与することを指す。連続的に投与する場合、2つの化合物の第1の化合物は、第2の化合物の投与開始時に、好ましくは処置部位において有効濃度でなおも検出される。
【0242】
例えば、組合せ療法は、1つ又は複数の追加の治療剤(例えば、以下により詳細に記載するように、1つ又は複数のサイトカイン及び増殖因子阻害剤、免疫抑制剤、抗炎症剤、代謝阻害剤、酵素阻害剤、及び/又は細胞毒若しくは細胞増殖抑制剤)と同時製剤化される及び/又は同時投与される、本明細書に記載の1つ又は複数の抗体を含みうる。そのような組合せ治療は、有利には、投与される治療剤のより低い投薬量を利用することができ、このように、様々な単剤療法に関連する起こりうる毒性又は合併症を回避する。
【0243】
本明細書に記載の抗体と組み合わせて使用するための好ましい治療剤は、炎症応答の様々な段階を妨害する治療剤である。一実施形態では、本明細書に記載の1つ又は複数の抗体を、他のサイトカイン若しくは増殖因子アンタゴニスト(例えば、可溶性受容体、ペプチド阻害剤、低分子、リガンド融合体)、又は他の標的に結合する抗体若しくは抗原結合性断片(例えば、他のサイトカイン若しくは増殖因子、その受容体、又は他の細胞表面分子に結合する抗体)、及び抗炎症性サイトカイン又はそのアゴニスト等の1つ又は複数の追加の作用剤と共に同時製剤化及び/又は同時投与することができる。
【0244】
他の実施形態では、本明細書に記載の抗体は、自己免疫障害、炎症疾患等のワクチンアジュバントとして使用される。これらのタイプの障害を処置するためのアジュバントの組合せは、様々な抗原と組み合わせて使用するために適しており、抗原は標的となる自己抗原、すなわち自己免疫に関係する自己抗原、例えばミエリン塩基性タンパク質;炎症性自己抗原、例えばアミロイドペプチドタンパク質;又は移植抗原、例えば同種異系抗原に由来する。抗原は、以下のいずれかのタンパク質及び断片に由来するペプチド又はポリペプチドを含みうる:糖、タンパク質、ポリヌクレオチド若しくはオリゴヌクレオチド、自己抗原、アミロイドペプチドタンパク質、移植抗原、アレルゲン、又は他の高分子成分。一部の例では、1つより多くの抗原が抗原性組成物に含まれる。
【0245】
明快にする目的及び簡潔に記載するために、特徴を、同じ又は個別の実施形態の一部として本明細書に記載するが、本発明の範囲は、記載される特色の全て又は一部の組合せを有する一部の実施形態を含みうると理解される。
【0246】
実施形態
1. 真核細胞におけるIL-4Rα細胞外領域のタンパク質の組換え発現
ヒトIL-4Rα細胞外領域(Uniprot P24394、26-232)を含有するプラスミド遺伝子AgH01-pUC57-Amp(SynbioTech社)を合成する。このプラスミドを鋳型として使用して、5'-ctgagaggtgccagatgtatgaaggtgctgcag-3'を上流のプライマーとして、及び5'-tccgcctccgccgctagcgtgctgctcgaaggg-3'を下流のプライマーとして、ヒトIL-4Rα細胞外断片をPCRによって増幅する。増幅された産物を、NEBuilder HiFi DNA Assembly Master Mix(NEB社、カタログ番号M0530L)を使用してライゲートし、施設内で構築した真核細胞発現プラスミド系(c末端の6×ヒスチジンタグを有する融合タンパク質)にクローニングする。同様に、カニクイザルIL-4Rα細胞外領域(Uniprot Q6JHZ9、24-231)をコードするDNA配列を、鋳型として合成プラスミドAgC01-pUC57-Ampを使用して真核細胞発現プラスミド系にクローニングする。ヒトIL-4(Uniprot P05112、25-153)をコードする遺伝子を、鋳型として合成プラスミドAg1104-PUC57-Ampを使用して真核細胞発現プラスミド系にクローニングする。ヒトIL13Rα1(Uniprot P78552、27-343)をコードする遺伝子を、購入したIL13Rα1 cDNAクローニングプラスミド(Sino Biological社、カタログ番号HG10943-M)を鋳型として使用して真核細胞発現プラスミド系にクローニングする。HEK293-6E細胞にこれらのプラスミドを7日間トランスフェクトした後、培養上清を収集し、ニッケル-キレートカラムによって精製し、ヒトIL-4Rα細胞外領域(hIL-4Rα)、カニクイザルIL-4Rα細胞外領域(cynoIL-4Rα)、ヒトIL-13Rα1細胞外領域(hIL-13Rα1)、及びヒトIL-4(hIL-4)の組換えタンパク質を得る。
【0247】
結果は、図1A、1B、1C、及び1Dに示す通りであり、ヒト及びカニクイザルIL-4Rα細胞外領域のタンパク質のサイズがおよそ40Kダルトンであり、ヒトIL-13Rα1細胞外領域のタンパク質のサイズがおよそ55Kダルトンであり、及びヒトIL-4のタンパク質のサイズがおよそ20Kダルトンであることを示している。
【0248】
2. 安定にトランスフェクトしたHEK293-hIL-4Rα細胞株を得る
完全長のhIL-4Rα配列を含有する発現プラスミドを、Opti-MEM培地中でPEIと1:3の比率で混合し、室温で20分間静置する。細胞を6ウェルプレートに接種した翌日に取り出し、細胞のコンフルエンスが顕微鏡下で約80%であることを観察する。DMEM培地(Gibco社)を吸引し、予め加温したOpti-MEM培地(Gibco社)4.5mlを添加する。次に、プラスミド-PEI混合物を細胞に滴下して加え、軽く振とうし、37℃の二酸化炭素インキュベータで培養した;24時間後、真核細胞スクリーニング物質であるピューロマイシン(Gibco社)を、1μg/mlの濃度でスクリーニング培養物に添加する。スクリーニング培地中で成長させた細胞を顕微鏡下で観察し、限界希釈を介したスクリーニングによってサブクローンを得る。単クローン性細胞がウェルにおいてコンフルエントになった後、FACS分析を実施する。
【0249】
培地を吸引し、細胞をPBS緩衝液によって洗浄し、トリプシン200μlを消化のために短期間添加し、完全な培地700μlを添加して、消化を終了させる。細胞浮遊液300μlを染色のために取り、残りの細胞を37℃のインキュベータに入れて培養を継続する。各チューブでの染色のために使用する細胞に、0.5%BSA/PBS 500μlを添加し、これを200*gで3分間遠心分離し、2回洗浄する。対照抗体(Sino Biological社、カタログ番号10402-R209)2μlを、一次抗体として1%BSA/PBS溶液800μlに最終濃度10μg/mlとなるように添加する;この100μlを各チューブに添加し、暗所の氷中で1時間インキュベートする。同様に0.5%BSA/PBS 500μlを各チューブに添加し、200*gで3分間遠心分離し、2回洗浄する。第2抗体であるFITCコンジュゲートヤギ抗ウサギIgG(BD Biosciences社、カタログ番号554020)を、1:200希釈で添加し、この100μlを各チューブに添加し、暗所の氷中で1時間インキュベートする。同様に、0.5%BSA/PBS 500μlを各チューブに添加し、200*gで3分間遠心分離し、3回洗浄する。PBS溶液300μlを添加して、細胞を再浮遊させ、フローサイトメーターによって検出する。結果は図2に示す通りであり、hIL-4Rαを安定に発現する単クローン性HEK293細胞が得られたことを示している。
【0250】
3. 抗hIL-4Rα抗体の調製
3.1 動物の免疫
hIL-4Rα組換えタンパク質を抗原として、等量の免疫学的アジュバント(Freund社のアジュバント)と混合し、6週齢の雌性Balb/cマウス5匹を、腹部領域での皮下注射によって免疫する。初回免疫後、追加免疫を2週間毎に実施する。4回免疫後、血液を尾から採取し、マウス5匹の血清の力価及びリガンドhIL-4に対する結合の阻害をそれぞれ、ELISAによって検出する。
【0251】
1つの96ウェルELISAプレート(Thermo Maxisorp)を取り、PBS(ZSGB-BIO社、商品番号ZLI-9063)100μlを各ウェルに添加し、室温で10分間インキュベートする。1mg/ml IL-4Rα組換えタンパク質5μlを取り、0.05Mカーボネートコーティング緩衝液(pH 9.5)5mlに添加し、上下させて混合し、1μg/ml抗原コーティング溶液を得る。プレートのウェル中のPBS溶液を捨てて、抗原コーティング溶液100μlを各ウェルに添加し、4℃で一晩インキュベートする。コーティング溶液を、プレートのコーティングウェルから捨て、次にPBS-Tによって3回洗浄し、2%ミルク/PBSの追加の200μlを各ウェルに添加した後、室温で2時間ブロッキングし、ブロッキング溶液を捨て、ウェルを、使用するためPBSで3回洗浄する。血清力価実験に関して、マウス5匹からの血清試料を、一連の1:200、1:800、1:3200、1:12800、1:51200、1:204800、及び1:81200に従って希釈し、各希釈液100μlをプレートのウェルに添加し、37℃で1.5時間インキュベートする。ウェルをPBS-T及びPBSによってそれぞれ、3回洗浄し、遠心脱水する。二次抗体である抗mIgG Fc-HRP(Jackson社、カタログ番号115035071)を、0.5%BSAによって1:4000に希釈し、その100μlを各ウェルに添加し、室温で30分間インキュベートする。血清ブロッキング実験に関して、マウス5匹の血清試料を、1:20、1:200、及び1:2000に希釈し、その50μlを各ウェルに添加し、室温で30分間インキュベートする。ブロッキングした5ml EPチューブを取り、ブロッキング溶液を捨て、0.5%BSA 3mlを添加し、ビオチン標識ヒトIL-4 1.1μlを最終濃度625ng/mlとなるように更に添加する;その50μlを各ウェルに添加し、37℃で1時間インキュベートする。ウェルをPBS-T及びPBSによってそれぞれ3回洗浄し、遠心脱水する。二次抗体SA-HRP(BD bioscience社、カタログ番号6222697)を、0.5%BSAによって1:8000に希釈し、その100μlを各ウェルに添加し、室温で30分間インキュベートする。ウェルをPBS-T及びPBSによってそれぞれ3回洗浄し、遠心脱水する。TMB(Sigma社、カタログ番号T2885)基質溶液100μlを各ウェルに添加し、反応を37℃の暗所で行い;基質が中等度に着色すると、H2SO4 50μlを各ウェルに添加して、反応を終了させ、OD 450nmを、マイクロプレートリーダー(BioTek社、Synergy HT)を使用して15分以内に測定し、データを収集して結果をGraph Pad Prism 5ソフトウェアを使用して計算する。結果は図3Aに示す通りであり、免疫したマウス5匹の血清中の抗体力価が1:819200に達しうることを示している。結果は図3Bに示す通りであり、免疫したマウス#3及び#4の血清中の抗体が、IL-4受容体に対するヒトIL-4の結合を阻害できることを示している。
【0252】
3.2 抗体ファージディスプレイライブラリの調製
尾静脈負荷の3日後、上記の免疫マウス#3及び#4を断頭により屠殺し、マウスの脾臓及び末梢リンパ節を収集し、これをPBS緩衝液中で粉砕後、B細胞に富む浮遊液を取り、B細胞を遠心分離によって収集する。総RNAを、Trizol RNA抽出キットを使用してB細胞から抽出し、抗体重鎖cDNAライブラリを、逆転写キットSuperScript(商標)First-Strand Synthesis System、カタログ番号18080051)によって、重鎖特異的プライマーを使用して逆転写によって得る。cDNAを鋳型として使用して、抗体重鎖可変領域断片を、一組の重鎖可変領域プライマーを使用してPCRによって増幅し;NcoI及びNheIによる二重の消化後、増幅した抗体重鎖可変領域断片を、施設内で構築したファージミドpDS-mHCにクローニングする。同様に、軽鎖cDNAライブラリを、軽鎖特異的プライマーを使用して逆転写により得る。cDNAを鋳型として使用して、抗体軽鎖可変領域断片を、一組の軽鎖可変領域プライマーを使用してPCRによって増幅し;NcoI及びBsiw3.Iによる二重の消化後、抗体軽鎖可変領域断片を、施設内で構築したファージミドpDS-LCにクローニングする。次に、ライブラリ容量6×109個の繊維状ファージM13に基づくマウスFabファージディスプレイライブラリを構築する。
【0253】
.
3.3. hIL-4Rαに結合する抗体のELISAスクリーニング
IL-4Rαに対して特異性を有するFab抗体を、一連の組換えヒトIL-4Rαタンパク質の通例のバイオパニングを使用してファージディスプレイライブラリから単離する。簡単に説明すると、1mg/ml IL-4Rα組換えタンパク質25μlを取り、PBS(ZSGB-BIO社、商品番号ZLI-9063)コーティング溶液5mlに添加し、上下させて混合し、5μg/ml抗原コーティング溶液を得る。0.05 Mカーボネートコーティング緩衝液(pH 9.5)中で製剤化したIL-4Rαを、イムノチューブ(Immunotube Maxisorp、Nunc社)に4℃で一晩コーティングする。イムノチューブをPBSで洗浄した後、5%BSAによって2時間ブロッキングする。BSAによって最終濃度1%となるように調製した精製Fabファージをイムノチューブに添加し、コーティングした抗原に1時間結合させる。複数回ラウンドの洗浄をPBS-Tween(0.5%体積/体積)によって実施し、非結合ファージを除去し、結合したファージ粒子を100mMトリエチルアミンによって溶出し;1M Tris-HCl(pH 7.4)によって中和後、溶出したファージ粒子を大腸菌(E. coli)TG1細菌に感染させ、次のラウンドの濃縮スクリーニングのために救出する。2ラウンドのバイオパニング後、単コロニーをIPTG誘導発現のために96ウェルU型プレートに採取し、上清をELISAスクリーニングのために取る。
【0254】
1mg/ml hIL-4Rα溶液10μlを取り、0.05Mカーボネートコーティング緩衝液(pH 9.5)10mlに添加し、上下させて混合し、1μg/ml抗原コーティング溶液を得る。調製した抗原コーティング溶液を、96ウェルELISAプレート(Thermo Maxisorp)に100μl/ウェルで添加する。96ウェルELISAプレートを、密封する膜で包み、4℃で一晩インキュベートする。翌日、ELISAプレートを取り出し、プレートウォッシャー(BioTek社、Synergy HT)に置いて、PBSによって3回洗浄する;2%BSAを含有するPBS溶液を200μl/ウェルで添加し、室温で2時間ブロッキングする。次に、ブロッキング溶液を捨て、プレートをPBSによって3回洗浄する。誘導した上清を、対応するウェルに50μl/ウェルで連続的に添加し、ウェルを室温で1時間インキュベートし、上清を捨て、ウェルをPBS-T及びPBSによってそれぞれ3回洗浄する。TMB溶液(Sigma社、カタログ番号T2885)を96ウェルELISAプレートに1行ずつ100μl/ウェルで添加する。37℃で5分間静置した後、2M濃硫酸溶液50μlを96ウェルELISAプレートに添加することによって反応を直ちに終了させる。96ウェルELISAプレートをマイクロプレートリーダー(BioTek社、Synergy HT)に置いて、OD450値を読み取り、データを収集し、結果を、GraphPad Prism 5ソフトウェアを使用して計算した。全体で3100個の単コロニーをIPTG誘導のために採取し、そのうちの576個がELISAによってhIL-4Rα抗原に結合することが検出される。
【0255】
3.3. ヒトIL-4及びhIL-4Rαの間の相互作用を阻害する抗体のELISAスクリーニング
hIL-4Rα抗原に結合した576個の陽性単コロニーを、IPTGによって再度誘導し、上清をELISAによるスクリーニングのために取る。7個の96ウェルELISAプレートプレート(Thermo Maxisorp)を取り、PBS(ZSGB-BIO社、商品番号ZLI-9063)100μlを各ウェルに添加し、室温で10分間インキュベートする。1mg/ml IL-4Rα組換えタンパク質35μlを取り、0.05Mカーボネートコーティング緩衝液(pH 9.5)35mlに添加し、上下させて混合し、1μg/ml抗原コーティング溶液を得る。プレートのウェル中のPBS溶液を捨て、抗原コーティング溶液100μlを各ウェルに添加し、4℃で一晩インキュベートする。コーティングしたプレートのウェルからコーティング溶液を捨て、次にプレートをPBS-Tで3回洗浄し、2%ミルク/PBSの追加の200μlを各ウェルに添加した後、室温で2時間ブロッキングし、ブロッキング溶液を捨て、ウェルをPBSで3回洗浄する。抗体50μlを各ウェルからピペットで採取して、上清を誘導し、ELISAプレートに50μl/ウェルで添加し、室温で30分間インキュベートする。ブロッキングした5ml EPチューブを取り、ブロッキング溶液を捨て、0.5%BSA 3mlを添加し、ビオチン標識IL-4 1.1μlを、最終濃度625ng/mlとなるように更に添加する;その50μlを各ウェルに添加し、37℃で1時間インキュベートする。各ウェルを、PBS-T及びPBSでそれぞれ、3回洗浄し、遠心脱水する。二次抗体SA-HRP(BD bioscience社、カタログ番号6222697)を、0.5%BSAによって1:8000の比率で希釈し、その100μlを各ウェルに添加し、室温で30分間インキュベートする。ウェルを、PBS-T及びPBSでそれぞれ、3回洗浄し、遠心脱水する。TMB基質溶液100μlを各ウェルに添加し、反応を37℃の暗所で行い、基質が中等度に着色すると、H2SO4 50μlを各ウェルに添加して、反応を終了させ、OD 450nmを、酵素結合検出器(BioTek社、Synergy HT)を使用して15分以内に測定し、データを収集して結果をGraph Pad Prism 5ソフトウェアを使用して計算する。3.2 ELISAで得られた陽性コロニーのうち、120個の単コロニーがhIL-4Rαに対するヒトIL-4の結合を阻害する。
【0256】
3.4. 細胞膜表面に発現されたhIL-4Rαに結合する抗体のFACS分析
ヒトhIL-4Rαに対するヒトIL-4の結合を阻害する上記で検出された120個の陽性単コロニーの上清を、FACS分析のために取る。HEK293細胞及び安定にトランスフェクトされたHEK293-hIL-4Rα細胞株を、細胞5*104個/ウェルで調製し、細胞染色のためのCell Tracker Green CMFDA(Invitrogen社、カタログ番号C2925)の量は、細胞1*106個あたりCell tracker green溶液100μlであり、インキュベーションを37℃のインキュベータにおいて30分間実施する;0.5%BSA/PBS 5mlを添加し、これを1000rpmで3分間遠心分離し、3回洗浄する。細胞各1*106個は、3%BSA/PBS溶液100μlに対応し、溶液を4℃で20分間ブロッキングする;調製した細胞を96ウェルU型プレートに100μl/ウェルの体積で添加し、1100rpmで3分間遠心分離し、上清を捨て、一次抗体溶液を添加し、氷中で1時間インキュベートする。精製Fab抗体を開始濃度500nM(12.5μg/ml)から一連の5つの濃度に作製し、1:5に従って連続希釈する。一次抗体溶液と共にインキュベーション後、追加の0.5%BSA/PBSを150μlの体積で添加し、1100rpmで3分間遠心分離し、上清を捨てる;0.5%BSA/PBS 150μlを更に添加し、1100rpmで3分間遠心分離し、上清を捨てる;二次抗体である抗ヒトIgG、Fab'2-AF647(Jackson社)を添加する前に、これを1%BSA/PBSによって1:300に希釈し、希釈した二次抗体溶液40μlを各ウェルに添加し、氷中で45分間インキュベートする。二次抗体溶液と共にインキュベーション後、追加の0.5%BSA/PBSを150μlの体積で添加し、1100rpmで3分間遠心分離し、上清を捨てる;0.5%BSA/PBS 150μlを更に添加し、1100rpmで3分間遠心分離し、上清を捨てる;PBS 20~100μlを添加して、細胞を1*106個/mlに再浮遊させ、得られた浮遊液をフローサイトメーター(I-Que screener)にロードする。正しいプロセスに従って機器及びオペレーティングシステムを開き、正しいパラメータを設定後、細胞を試験プレートにロードし、蛍光シグナルを検出する;分析を、Graph Pad Prism 5ソフトウェアを使用して実施し、結果は図3Cに示す通りであり、プレELISAによってスクリーニングした抗体が、IL-4Rαを発現する安定にトランスフェクトしたHEK293細胞に特異的に結合することを示している。
【0257】
3.5. ヒトIL-4とhIL-4Rαとの間の相互作用を阻害する抗体のFACS分析
hIL-4Rαに対して強い結合を有する、FACSで分析した最初の100個の陽性単コロニーの上清を、細胞表面上に発現された受容体の阻害実験のために取る。HEK293細胞及び安定にトランスフェクトしたHEK293-hIL-4Rα細胞を、細胞3*104個/ウェルで調製し、細胞染色のためのCell Tracker(商標)Green CMFDA(Invitrogen社、カタログ番号C2925)の量は、細胞1*106個あたりCell tracker green溶液100μlであり、インキュベーションを37℃のインキュベータにおいて30分間実施する;次に、0.5%BSA/PBSの追加の5mlを添加し、これを1000rpmで3分間遠心分離し、3回洗浄する。細胞各1*106個は、3%BSA/PBS溶液100μlに対応し、溶液を4℃で20分間ブロッキングする。調製した細胞を96ウェルU型プレートに100μl/ウェルの体積で添加し、1100rpmで3分間遠心分離し、上清を捨てる;一次抗体溶液を添加し、氷中で1時間インキュベートする。精製Fab抗体を開始濃度100nMから一連の5つの濃度に作製し、1:5に従って連続希釈する。一次抗体溶液と共にインキュベーション後、追加の0.5%BSA/PBSを150μlの体積で添加し、1100rpmで3分間遠心分離し、上清を捨てる;0.5%BSA/PBS 150μlを更に添加し、1100rpmで3分間遠心分離し、上清を捨てる;ビオチン標識ヒトIL-4-mIgG2a Fcを最終濃度0.15μg/mlとなるように添加し、氷中で45分間インキュベートする。二次抗体SA-PEを1%BSA/PBSによって1:300に希釈する;二次抗体溶液40μlを、各ウェルに添加し、氷中で45分間インキュベートする。二次抗体溶液と共にインキュベーション後、追加の0.5%BSA/PBSを150μlの体積で添加し、1100rpmで3分間遠心分離し、上清を捨てる;0.5%BSA/PBS 150μlを更に添加し、1100rpmで3分間遠心分離し、上清を捨てる;PBS 20~100μlを添加して細胞を1*106個/mlに再浮遊させ、得られた浮遊液をフローサイトメーター(I-Que screener)にロードする。正しいプロセスに従って機器及びオペレーティングシステムを開き、正しいパラメータを設定後、細胞を試験プレートにロードし、蛍光シグナルを検出する;分析を、Graph Pad Prism 5ソフトウェアを使用して実施する。結果は図3Dに示す通りであり、プレELISAによってスクリーニングした陽性単コロニー中15個の抗体が、ヒトIL-4に対する、IL-4Rαを発現する安定にトランスフェクトしたHEK293細胞の結合を阻害できることを示している。
【0258】
4. Fortebioによる複合体hIL-13Rα/hIL-13に対するhIL-4Rαの結合を阻害するFab抗体のスクリーニング
4.1 複合体hIL-13Rα/hIL-13に対するhIL-4Rαの結合の検出
hIL-13Rα(濃度400ng/ml)1ml、及びhIL-13(Sino Biological社、商品番号10369-HNAC、濃度400ng/ml)1mlを取り、1:1の比率で混合して200ng/mlの希釈標準濃度を得て、これを室温で2時間静置し、インキュベートし、結合させる。hIL-13Rα/hIL-13複合体は、初回濃度200ng/mlを有し、これを1:1に従って連続希釈する;一連の3つの濃度:200ng/ml、100ng/ml、及び50ng/mlを96ウェルプレートにおいて100μl/ウェルで設定し、ブランク対照群を設定する。最初に、ビオチン標識hIL-4RαをSAプローブ(10ng/mlの希釈標準濃度で)に固定化して結合させ、その100μlを各ウェルに添加し、hIL-13Rα/hIL-13に対する結合をFortebioによって検出する;実験方法を実行するよう編集し、実験結果をFortebioソフトウェアによって分析する。結果は、図4Aに示す通りであり、hIL-4Rαが複合体hIL-13Rα/hIL-13に結合できることを示している。
【0259】
4.2 複合体hIL-13Rα/hIL-13に対するhIL-4Rαの結合を阻害する抗体の検出
上記の実験は、hIL-4Rαが、複合体hIL-13Rα/hIL-13に結合できることを証明し、これに基づいて、複合体hIL-13Rα/hIL-13に対するhIL-4Rαの結合を阻害するFab抗体を更にスクリーニングし、以前の期間でスクリーニングされた候補Fab抗体の阻害効果を比較し、希釈標準緩衝液を陰性対照群として設定する。ビオチン標識hIL-4Rαをプローブ(濃度10ng/mlで)によって固定化し、候補Fab抗体の希釈標準濃度を100μg/mlに調整し、複合体hIL-13Rα/hIL-13の濃度は200ng/mlである;最初に、ビオチン標識hIL-4RαをSAプローブ(10ng/mlの希釈標準濃度で)によって固定化し、その100μlを各ウェルに添加し、hIL-4Rα及び複合体hIL-13Rα/hIL-13に対する候補Fab抗体の阻害効果を、Fortebioによって検出する;実験方法を実行するように編集し、実験結果をFortebioソフトウェアによって分析する。結果は、図4Bに示す通りであり、候補抗体が、複合体hIL-13Rα/hIL-13に対するhIL-4Rαの結合を阻害できることを示している。
【0260】
5. 候補陽性モノクローナル抗体の可変領域配列
陽性単クローン性プラスミドを抽出し、シークエンシングして、候補陽性コロニーの重鎖及び軽鎖可変領域の配列を得る:
クローン1A6:
重鎖
【0261】
【化1】
【0262】
核酸配列
【0263】
【化2】
【0264】
軽鎖
【0265】
【化3】
【0266】
核酸配列
【0267】
【化4】
【0268】
クローン1D8:
重鎖
【0269】
【化5】
【0270】
核酸配列
【0271】
【化6】
【0272】
軽鎖
【0273】
【化7】
【0274】
核酸配列
【0275】
【化8】
【0276】
クローン1H9:
重鎖
【0277】
【化9】
【0278】
核酸配列
【0279】
【化10】
【0280】
軽鎖
【0281】
【化11】
【0282】
核酸配列
【0283】
【化12】
【0284】
クローン2H1:
重鎖
【0285】
【化13】
【0286】
核酸配列
【0287】
【化14】
【0288】
軽鎖
【0289】
【化15】
【0290】
核酸配列
【0291】
【化16】
【0292】
クローン2F8:
重鎖
【0293】
【化17】
【0294】
核酸配列
【0295】
【化18】
【0296】
軽鎖
【0297】
【化19】
【0298】
核酸配列
【0299】
【化20】
【0300】
クローン9B4:
重鎖
【0301】
【化21】
【0302】
核酸配列
【0303】
【化22】
【0304】
軽鎖
【0305】
【化23】
【0306】
核酸配列
【0307】
【化24】
【0308】
クローン9E7:
重鎖
【0309】
【化25】
【0310】
核酸配列
【0311】
【化26】
【0312】
軽鎖
【0313】
【化27】
【0314】
核酸配列
【0315】
【化28】
【0316】
クローン24G10:
重鎖
【0317】
【化29】
【0318】
核酸配列
【0319】
【化30】
【0320】
軽鎖
【0321】
【化31】
【0322】
核酸配列
【0323】
【化32】
【0324】
クローン25D6:
重鎖
【0325】
【化33】
【0326】
核酸配列
【0327】
【化34】
【0328】
軽鎖
【0329】
【化35】
【0330】
核酸配列
【0331】
【化36】
【0332】
クローン25G9:
重鎖
【0333】
【化37】
【0334】
核酸配列
【0335】
【化38】
【0336】
軽鎖
【0337】
【化39】
【0338】
核酸配列
【0339】
【化40】
【0340】
クローン35A7:
重鎖
【0341】
【化41】
【0342】
核酸配列
【0343】
【化42】
【0344】
軽鎖
【0345】
【化43】
【0346】
核酸配列
【0347】
【化44】
【0348】
クローン31B9:
重鎖
【0349】
【化45】
【0350】
核酸配列
【0351】
【化46】
【0352】
軽鎖
【0353】
【化47】
【0354】
核酸配列
【0355】
【化48】
【0356】
クローン34A2:
重鎖
【0357】
【化49】
【0358】
核酸配列
【0359】
【化50】
【0360】
軽鎖
【0361】
【化51】
【0362】
核酸配列
【0363】
【化52】
【0364】
クローン34H11:
重鎖
【0365】
【化53】
【0366】
核酸配列
【0367】
【化54】
【0368】
軽鎖
【0369】
【化55】
【0370】
核酸配列
【0371】
【化56】
【0372】
クローン35D5:
重鎖
【0373】
【化57】
【0374】
核酸配列
【0375】
【化58】
【0376】
軽鎖
【0377】
【化59】
【0378】
核酸配列
【0379】
【化60】
【0380】
クローン35A7:
重鎖
【0381】
【化61】
【0382】
核酸配列
【0383】
【化62】
【0384】
軽鎖
【0385】
【化63】
【0386】
核酸配列
【0387】
【化64】
【0388】
クローン36F4:
重鎖
【0389】
【化65】
【0390】
核酸配列
【0391】
【化66】
【0392】
軽鎖
【0393】
【化67】
【0394】
核酸配列
【0395】
【化68】
【0396】
6. キメラ抗体発現ベクターの構築
上記の重鎖及び軽鎖の可変領域配列断片をPCR増幅し、重鎖可変領域を、ヒト重鎖定常領域及び調節エレメントを含有するベクターにクローニングして、哺乳動物細胞において完全なIgG重鎖を発現させる。同様に、軽鎖可変領域を、ヒト軽鎖定常領域及び調節エレメントを含有するベクターにクローニングして、哺乳動物細胞において完全なIgG軽鎖を発現させる。正しいシークエンシングの後、ベクターをHEK293-6E哺乳動物細胞にトランスフェクトし、IgGを発現によって培養培地に分泌させ、上清をプールして収集し、濾過によって精製する。IgGをプロテインAクロマトグラフィーによって精製し、培養上清を適当なサイズを有するプロテインAカラムにロードし、50mM Tris-HCl(pH 8.0)及び250mM NaClによって洗浄し、結合したIgGを、0.1M グリシン-HCl(pH 3.0)によって溶出させる。タンパク質を、濃縮チューブ(Millipore)を使用して限界濾過によって濃縮し、OD280を検出し、IgGの濃度を分光光度計によって決定する。精製IgGの凝集又は分解をSDS-PAGEによって分析する。
【0397】
7. 抗体親和性のFortebioアッセイ
PBSを96ウェルプレートのいずれかのカラムに100μl/ウェルで添加し、96ウェルプレートをプローブホルダーカセットに置く。プローブを取る際に、プローブがホルダーに触れないようにホルダーに完全に引っかけるように注意すること。固定化したビオチン標識hIL-4RαをPBSによって5μg/mlに希釈する;新規96ウェルプレートを取り、希釈した固定化材料をカラム毎に添加し、抗体100μl/ウェルをPBSによって50μg/mlに希釈し、次に1:1に希釈して、一連の6つの濃度:50μg/ml、25μg/ml、12.5μg/ml、6.25μg/ml、3.125μg/ml、0μg/mを100μl/ウェルで調製し、この量は特異的検体の結合能に応じて適切に調整することができる。新しい96ウェルプレートを取り、PBSをカラム1及び2に100μl/ウェル(ベースライン及び解離の両方に関して同じ緩衝液)で添加し;希釈した固定化材料をカラム3に添加し;連続希釈した検体をカラム4に添加し;10mM HCl(pH 1.9)をカラム11に添加し;PBSをカラム12に添加する。SAプローブは、固定化したビオチン材料に非常に強く結合する。再生すると、固定化材料はなおもプローブに結合したままであり、単に一度固定化するだけで再利用することができる。次に、Fortebioソフトウェアにおいて実験方法を設定した後、実験プログラムを検出のために実行する。抗体親和性の検出結果は以下のTable 1(表1)に示す通りである。
【0398】
【表1】
【0399】
8. 抗体のヒト化
選択されたモノクローナル抗体可変領域配列を、CDR移植に関して高い相同性を有する配列を発見するためにヒト抗体の生殖系列配列と整列させる;次に、コンピューターを使用して相同性モデリングを実施し、CDR領域及びその周囲のフレームワークのアミノ酸配列を分析し、その空間的立体映像的組合せを調べる。静電気力、ファンデルワールス力、疎水性、及びエントロピーを計算することによって、IL-4Rαと相互作用し、陽性モノクローナル抗体の遺伝子配列において空間的フレームワークを維持しうる重要な個々のアミノ酸を分析し、復帰変異部位をこれに基づいて設計する。HLA-DR親和性を分析して調べ、低い免疫原性を有するヒト胚フレームワーク配列を選択する。
【0400】
全体で8個の重鎖誘導体(VH1021~VH1028)、及び4個の軽鎖誘導体(VL1011~VL1014)を設計する;軽鎖及び重鎖誘導体は、個別に合成し(SynbioTech社、Suzhou、及びGENE WIZ社、Suzhou)、抗体カッパ鎖定常領域Ckappa又はヒトIgG1定常領域CH1-CH3を含有するベクターpHCT2及びHCT1にクローニングする;プラスミドをマッチさせ、これを使用して発現のためにHEK293.6E細胞に5~6日間トランスフェクトさせ、上清をとり、プロテインAカラムによって精製する。
【0401】
ヒト化抗体の重鎖可変領域配列
VH1021:
【0402】
【化69】
【0403】
VH1022:
【0404】
【化70】
【0405】
VH1023:
【0406】
【化71】
【0407】
VH1024:
【0408】
【化72】
【0409】
VH1025:
【0410】
【化73】
【0411】
VH1026:
【0412】
【化74】
【0413】
VH1027:
【0414】
【化75】
【0415】
VH1028:
【0416】
【化76】
【0417】
ヒト化抗体の軽鎖可変領域配列:
VL1011:
【0418】
【化77】
【0419】
VL1012:
【0420】
【化78】
【0421】
VL1013:
【0422】
【化79】
【0423】
VL1014:
【0424】
【化80】
【0425】
9. IL-4Rαに対する候補ヒト化抗体の結合のFACS分析
9.1 安定にトランスフェクトしたHEK293-IL-4Rα細胞株に対する候補ヒト化抗体の結合のFACS分析
IL-4Rαに対する候補ヒト化抗体の結合をFACSによって更に確認するために、HEK293細胞及び安定にトランスフェクトした293-hIL-4Rα細胞を、細胞5*104個/ウェルで調製する;0.5% BSA/PBS 5mlを添加し、1000rpmで3分間遠心分離した後、3回洗浄する。細胞各1*106個は、3%BSA/PBS溶液100μlに対応し、溶液を4℃で20分間ブロッキングする。調製した細胞を96ウェルU型プレートに100μl/ウェルの体積で添加し、1100rpmで3分間遠心分離し、上清を捨てる;一次抗体溶液を添加し、氷中で1時間インキュベートする。精製Fab抗体を開始濃度500nM(12.5μg/ml)から一連の5つの濃度に作製し、1:5に従って連続希釈する。一次抗体溶液と共にインキュベーション後、追加の0.5%BSA/PBSを150μlの体積で添加し、1100rpmで3分間遠心分離し、上清を捨てる。0.5%BSA/PBS 150μlを更に添加し、1100rpmで3分間遠心分離し、上清を捨てる;二次抗体である抗ヒトIgG、Fab'2-AF647を添加する前に、これを1%BSA/PBSによって1:300に希釈する;二次抗体溶液40μlを、各ウェルに添加し、氷中で45分間インキュベートする。二次抗体溶液と共にインキュベーション後、追加の0.5%BSA/PBSを150μlの体積で添加し、1100rpmで3分間遠心分離し、上清を捨てる;0.5%BSA/PBS 150μlを更に添加し、1100rpmで3分間遠心分離し、上清を捨てる;PBS 20~100μlを添加して細胞を1*106個/mlに再浮遊させ、得られた浮遊液をフローサイトメーター(I-Que screener)にロードする。正しいプロセスに従って機器及びオペレーティングシステムを開き、正しいパラメータを設定後、細胞を試験プレートにロードし、蛍光シグナルを検出する;分析は、Graph Pad Prism 5ソフトウェアを使用して実施する。結果は図5Aに示す通りであり、ヒト化候補抗体が、IL-4Rαを発現する安定にトランスフェクトしたHEK293細胞に特異的に結合することを示す。
【0426】
9.2 ヒト化候補抗体による安定にトランスフェクトしたHEK293-IL-4Rα細胞に対するヒトIL-4の結合の阻害に関するFACS分析
HEK293細胞及び安定にトランスフェクトした293-hIL-4Rα細胞を、細胞3*104個/ウェルで調製する;0.5% BSA/PBS 5mlを添加し、1000rpmで3分間遠心分離し、3回洗浄する。細胞各1*106個は、3%BSA/PBS溶液100μlに対応し、溶液を4℃で20分間ブロッキングする。調製した細胞を96ウェルU型プレートに100μl/ウェルの体積で添加し、1100rpmで3分間遠心分離し、上清を捨てる;一次抗体溶液を添加し、氷中で1時間インキュベートする。精製候補抗体を開始濃度100nMから一連の5つの濃度に作製し、1:5に従って連続希釈する。一次抗体溶液と共にインキュベーション後、追加の0.5%BSA/PBSを150μlの体積で添加し、1100rpmで3分間遠心分離し、上清を捨てる;0.5%BSA/PBS 150μlを更に添加し、1100rpmで3分間遠心分離し、上清を捨てる;ビオチン標識IL-4を最終濃度0.15μg/mlで添加し、氷中で45分間インキュベートする。二次抗体SA-PEを1%BSA/PBSによって1:300に希釈する;二次抗体溶液40μlを、各ウェルに添加し、氷中で45分間インキュベートする。二次抗体溶液と共にインキュベーション後、追加の0.5%BSA/PBSを150μlの体積で添加し、1100rpmで3分間遠心分離し、上清を捨てる;0.5%BSA/PBS 150μlを更に添加し、1100rpmで3分間遠心分離し、上清を捨てる;PBS 20~100μlを添加して細胞を1*106個/mlに再浮遊させ、得られた浮遊液をフローサイトメーター(I-Que screener)にロードする。正しいプロセスに従って機器及びオペレーティングシステムを開き、正しいパラメータを設定後、細胞を試験プレートにロードし、蛍光シグナルを検出し、Graph Pad Prism 5ソフトウェアを使用して分析を実施する。結果は図5Bに示す通りであり、候補抗体が、IL-4Rαを発現する細胞に対するヒトIL-4の結合を阻害できることを示す。
【0427】
10. 候補ヒト化抗体によるTF-1細胞の増殖に及ぼすhIL-4又はhIL-13の効果の阻害
10.1 hIL-4又はhIL-13によるTF-1細胞増殖の刺激の実験
凍結保存したTF-1細胞(ATCC:CRL-2003(商標))を液体窒素タンクから取り出し、37℃の水浴中で軽く振とうさせながら速やかに溶解させる。溶解した細胞浮遊液を、予め加温した1640培地(Gibco社、カタログ番号C11875500BT)10mlを含有する50ml遠心チューブに移し、1000rpmで3分間遠心分離する;上清を捨て、GM-CSFを含有する1640完全培地を添加し、T75細胞培養フラスコに移し、静置培養のために37℃の5%二酸化炭素細胞インキュベータに入れる。細胞浮遊液を2~3日毎に取り、800rpmで3分間遠心分離し、1640完全培地15mlを添加して再浮遊させ、細胞1*106個を取り、1640完全培地10mlを含有するT75培養フラスコに入れて2~3回連続して継代培養する。細胞が単細胞の浮遊状態で明白でわずかに不規則な形態であり、細胞生存率が90%より高い場合、細胞活性検出実験を実施する。
【0428】
実験の設計に従って、細胞1.5×106個を含む細胞浮遊液を調製し、1000rpmで5分間遠心分離した後、上清を捨てる;細胞沈降物を、GM-CSFを含まない完全培地に再浮遊させ、1000rpmで5分間遠心分離し、上清を捨て、得られた細胞沈降物を、GM-CSFを含まない完全培地4.2mlに再浮遊させる。試料を、顕微鏡によって計数し、細胞の液体密度を、計数結果に基づいて細胞3×105個/mlに調整する。次に、細胞浮遊液及び培養培地を96ウェルプレートに100μl/ウェルで添加し、PBS 200μlをブランク群に添加し、プレートをインキュベータにおいて37℃及び5%CO2の条件で24時間培養する。最初に、hIL-4(Sino Biological社、カタログ番号11846-HNAC)及びhIL-13(Sino Biological社、カタログ番号10369-HNAC)をそれぞれ、100ng/ml及び800ng/mlに希釈した後、これを2倍希釈で9回希釈し、実験の設計に従って、希釈したIL-4及びIL-13をマルチチャネルピペットによってプレートのウェルに10μl/ウェルで添加し、均一に混合する。プレートを更に72時間インキュベータに戻した後、プレートを取り出し、細胞をマルチチャネルピペットによって均一に混合し、細胞浮遊液80μlを均一にピペットで採取し、96ウェル黒色ELISAプレートの対応するウェルに添加する。次に、予め溶解し、均一に混合したCell titer-Glo(Promega社、カタログ番号G7570)80μlを各ウェルに添加し、96ウェル黒色ELISAプレート(JET社、カタログ番号LTP-021-896)をシェーカー(Thermo社、カタログ番号8880024)上で2分間軽く振とうさせ、室温で10分間インキュベートして安定な発光シグナルを産生させる。発光をELISAリーダーによって検出し検出時間を1秒間に設定する。結果は図6A及び図6Bに示す通りであり、それぞれ、hIL-4が、TF-1細胞増殖を刺激できること、及びhIL-13がTF-1細胞増殖を刺激できることを示している。
【0429】
10.2 候補ヒト化抗体によるTF-1細胞の増殖に及ぼすhIL-4又はhIL-13の効果の阻害のELISAによる検出
TF-1細胞を、5.1に記載されるように培養し、細胞浮遊液(細胞3×105個/ml)100μlを実験設計に従って96ウェルプレートに添加し、如何なるサイトカインも含まない条件下で24時間培養し、端部の穴をPBSによって密封する。抗体を濃度1mMに希釈し、hIL-4を3ng/mlに希釈し、hIL-13を30ng/mlに希釈する。抗体を連続2倍希釈し、細胞に10μl/ウェルで添加し、均一に混合し、37℃及び5%CO2の条件下で1時間インキュベートする。1640培地10μlをブランク群に添加し、均一に混合し、37℃及び5%CO2の条件下で1時間インキュベートする。実験設計に従って、hIL-4及びhIL-13を細胞に10μl/ウェルで添加し、均一に混合し、37℃及び5%CO2の条件下で72時間培養する。1640培地10μlをブランク群に添加し、均一に混合し、37℃及び5%CO2の条件下で72時間培養する。均一に混合した細胞浮遊液を、96ウェル黒色ELISAプレートに80μl/ウェルで接種する;Cell Titer-Glo 80μlを各ウェルに添加し、次に、マイクロウェルプレートを軽く振とうさせ、シェーカー上で2分間均一に混合し、室温で10分間インキュベートして、安定な発光シグナルを産生させる。発光をELISAリーダーによって検出し、検出時間を1秒間に設定する。結果は、図6C図6D、及び図6Eに示す通りであり、ヒト化抗体がhIL-4刺激TF-1細胞増殖を阻害できること、ヒト化抗体が、hIL-13刺激TF-1細胞増殖を阻害できること、ヒト化抗体がhIL-4刺激及びhIL-13刺激TF-1細胞増殖をそれぞれ、阻害できることを示している。
【0430】
11. カニクイザル、マウス、及びラットIL-4Rαタンパク質に対するヒト化候補抗体の結合
1μg/ml ヒトhIL-4Rα、10μg/ml カニクイザルcynoIL-4Rα、1μg/mlマウスmIL-4Rα(Sino Biological社、カタログ番号80198-R08H)、及び1μg/mlラット由来ratIL-4Rα(Sino Biological社、カタログ番号51180-M08H)を、0.05Mカーボネートコーティング緩衝液(pH 9.5)中で、4℃で一晩希釈する。ウェル中の溶液を翌日に捨て、ウェルをPBS洗浄緩衝液によって3回洗浄する。2%BSAを含有するPBS溶液をブロッキングのために2時間添加する。PBS洗浄緩衝液によって3回洗浄後、様々な希釈濃度のヒト化候補抗体100μlを添加し、室温で1時間インキュベートした後、PBS洗浄緩衝液によって3回洗浄する;HRP架橋抗体(Jackson Immuno Research社)をPBS洗浄緩衝液によって1:10000に希釈し、室温で1時間インキュベートする。PBS洗浄緩衝液によって3回洗浄後、TMB基質溶液100μlを添加して発色させ、室温で10分間反応後、0.5M濃硫酸溶液50μlを添加することによって反応を停止させ、450nmでの吸光度を読み取る。結果は以下の通りである:図7Aは、ヒト化候補抗体がヒトIL-4Rαタンパク質に結合することを示し;図7Bは、ヒト化候補抗体がカニクイザルIL-4Rαのタンパク質に結合することを示し;図7Cは、候補ヒト化抗体がマウスIL-4Rαタンパク質に結合しないことを示し;図7Dは、ヒト化候補抗体がラットIL-4Rαタンパク質に結合することを示す;ヒト化抗体が、ヒト又はカニクイザル又はラットIL-4Rαタンパク質に対して類似の親和性で結合することができるが、マウスIL-4Rαタンパク質とは相互作用しないことが認められうる。
図1A
図1B
図1C
図1D
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図7A
図7B
図7C
図7D
【配列表】
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