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特許7072108ワイヤレススライドフェンスシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-11
(45)【発行日】2022-05-19
(54)【発明の名称】ワイヤレススライドフェンスシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   B61L 23/00 20060101AFI20220512BHJP
   G08B 21/00 20060101ALI20220512BHJP
【FI】
B61L23/00 A
B61L23/00 E
G08B21/00 U
G08B21/00 A
【請求項の数】 19
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021115960
(22)【出願日】2021-07-13
(65)【公開番号】P2022018114
(43)【公開日】2022-01-26
【審査請求日】2021-09-15
(31)【優先権主張番号】16/928433
(32)【優先日】2020-07-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】505220284
【氏名又は名称】ビーエヌエスエフ レイルウェイ カンパニー
【住所又は居所原語表記】2500 Lou Menk Drive, Fort Worth, Texas 76131 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100120662
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 桂子
(74)【代理人】
【識別番号】100216770
【弁理士】
【氏名又は名称】三品 明生
(74)【代理人】
【識別番号】100217364
【弁理士】
【氏名又は名称】田端 豊
(72)【発明者】
【氏名】ビアード、 ミッチェル
(72)【発明者】
【氏名】シー、 ポール チャン
(72)【発明者】
【氏名】ウェイドル、 ポール アーロン
(72)【発明者】
【氏名】スペクト、 ジェリー ウェイド
(72)【発明者】
【氏名】シュー、 ケント ロバート
【審査官】清水 康
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2011/0313671(US,A1)
【文献】特開2019-162957(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第01600351(EP,A1)
【文献】特開2016-065721(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第02537731(EP,A1)
【文献】英国特許出願公開第02533396(GB,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61L 23/00 - 27/04
B60L 15/40
G08B 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
線路に沿って列車の通行を妨害し得る物体を検出するように構成されたワイヤレススライドフェンスシステムであって、
鉄道線路に近接する信号を送信して、前記鉄道線路に近接した物体から信号の反射を受信するように構成された複数の障害物検出ユニットであって、前記反射された信号が受信されると、1つ以上の障害物検出ユニットが検出区域で物体を検出して検出の警告を生成する障害物検出ユニットと、
前記障害物検出ユニットに動作可能に結合され、前記障害物検出ユニットを制御し、前記警告を受信し、障害物の表示を列車制御システムに送信して列車の速度を低下させるか、又は列車を停止するように構成されたバイタルロジックコントローラと、
を含み、
前記障害物検出ユニットは、前記障害物検出ユニットを損傷から保護するために、開閉するように構成されたシャッターを含み、
前記シャッターは、前記物体に対する前記検出区域を再び走査するために、所定の再走査期間の間、開かれ、
前記バイタルロジックコントローラは、クリア状態がクリア期間にわたって報告された場合、暗号化されたネットワークを介して、前記列車制御システムへの警報状態及び障害物の表示をクリアするように動作する、
システム。
【請求項2】
前記複数の障害物検出ユニットによって送信される信号は、光信号である、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記複数の障害物検出ユニットによって送信される信号は、音響信号である、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記複数の障害物検出ユニットのそれぞれは、他の障害物検出ユニットと異なる視野を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
隣接した視野角は、少なくとも部分的に重なる、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記障害物検出ユニットは、前記物体が所定の幅より大きい幅を有するときに、検出警告を生成する、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記障害物検出ユニットは、前記物体が所定のロイター時間後にもまだ検出される場合にのみ前記検出警告を生成する、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記物体は、有効な警告を判定するために、前記所定のロイター時間中に連続的に検出されなければならない、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記バイタルロジックコントローラは、前記シャッターを開閉する、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
列車の通行を妨害し得る物体が識別されたときに、障害物の表示を生成するように構成されたワイヤレススライドフェンスシステムであって、
コンピュータで実行可能な命令を含むバイタルロジックコントローラを含み、
前記命令は実行されるときに、前記コントローラに、
鉄道線路に近接する検出区域の物体の障害物検出ユニットから障害物検出警告を受信させ、
所定のロイター時間後に前記物体が前記検出区域にあるか否かを判定させ、
前記所定のロイター時間後に前記物体が前記検出区域にある場合、暗号化されたネットワークを介して列車信号システム又は列車制御システムに障害物の表示を送信させ、
送受信機を保護するために、所定の期間、前記障害物検出ユニットに設置されたシャッターを閉じさせ、
前記物体に対する前記検出区域を再び走査するために、所定の再走査期間の間前記シャッターを開かせ、
所定の再走査期間後に前記物体が前記検出区域にあるか否かを判定させ、
クリア状態がクリア期間にわたって報告された場合、暗号化されたネットワークを介して、前記列車制御システムへの警報状態及び障害物の表示をクリアさせる、
システム。
【請求項11】
前記列車信号システムは、前記列車が制限された速度で進み、障害物の手前で停止しなければならないことを列車に示すために、赤く点滅するようにプログラミングされている、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記バイタルロジックコントローラは、前記列車のポジティブトレインコントロール(PTC)システムに前記命令を直接送信する、請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
全ての物体検出ユニットは、前記再走査期間中のクリア期間にわたってクリア状態を連続的に報告しなければならない、請求項10に記載のシステム。
【請求項14】
前記クリア期間は、前記再走査期間の少なくとも一部である、請求項10に記載のシステム。
【請求項15】
列車の通行を妨害し得る物体が識別されるときに、障害物の表示を生成するためのコンピュータに実装された方法において、
前記コンピュータに実装された方法は、
鉄道線路に隣接した検出区域の物体に対して障害物検出ユニットから障害物検出警告を受信するステップと、
所定のロイター時間後に前記物体が前記検出区域にあるかを判定するステップと、
前記所定のロイター時間後に前記物体が前記検出区域にある場合、暗号化されたネットワークを介して列車信号システム又は列車制御システムに障害物の表示を送信するステップと、
送受信機を所定の期間保護するために、前記障害物検出ユニットに設置されたシャッタ
ーを閉じるステップと、
前記検出区域を再走査するために所定の再走査期間の間前記シャッターを開くステップと、
所定の再走査期間後に前記物体が前記検出区域にあるか否かを判定するステップと、
クリア状態がクリア期間にわたって報告された場合、暗号化されたネットワークを介して前記列車制御システムへの警報状態及び障害物の表示をクリアするステップと、
を含む
システム。
【請求項16】
前記列車信号システムは、列車が制限された速度で進み、障害物の手前で停止しなければならないことを列車に示すために、赤く点滅するようにプログラミングされている、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
バイタルロジックコントローラは、前記列車のオンボードポジティブトレインコントロール(PTC)システムに直接前記命令を送信する、請求項15に記載のシステム。
【請求項18】
全ての物体検出ユニットは、前記再走査期間中のクリア期間にわたってクリア状態を連続的に報告しなければならない、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記クリア期間は、前記再走査期間の少なくとも一部である、請求項15に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に物体検出システムに関し、より詳細には、ワイヤレススライド検出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
岩屑及びその他の物体が鉄道線路に落下することは、よくあることである。このような物体は、列車の安全な移動に影響を及ぼし、列車の脱線や機関車の損傷を引き起こす可能性のある障害物となる。物体のサイズは、機関車の破損の程度に大きく影響する可能性がある。
【0003】
従来のスライドフェンスは、線路に沿った移動を妨げ、機関車の損傷や鉄道職員に負傷を引き起こし得る岩滑り/落石を検出するために落石の危険地域に設けられる。このような潜在的な危険を検出するために、様々なスライドフェンスのタイプ及び構成を配置できるが、それぞれ特定の落とし穴がある。例えば、オープンラインワイヤスライドフェンスは、危険エリアの長さの端から端まで張られたラインワイヤで構成される。電源は、ラインワイヤのペアに接続され、リレーに電源を供給するために直列電気回路は、各シーケンシャルラインワイヤ(sequential line wire)のペアを介して生成される(閉ループ原理)。落下する岩や物体がラインワイヤを切断し、直列回路を開き、リレーの電源を切り、危険が検出されたことを示す。
【0004】
このような従来のスライドフェンスは、フェイルセーフ(閉ループ)原理に基づいて電気的に回路化されている。しかし、スライドフェンス危険検出システムは、イベントを見逃し易い傾向がある。列車の運行の危険性を有する滑落する岩石が検出されないままラインワイヤの間を通過したり、スライドフェンスやキャノピー(canopy)/傘体に落下したりする可能性がある。検出された岩滑り及び落石については、従来のスライドフェンス技術では、落石のサイズや場所を特定することができない。サイズが小さい、又は線路に沿った移動を妨げずにスライドフェンスワイヤを切断する落石は、列車の運行に危険をもたらさないが、有効な警報として判定される。さらに、検出された岩滑りや落石が列車の運行に有効な危険を及ぼすかを判断できない場合、誤警報が発生し、不要な列車の遅延やネットワーク速度の低下を引き起こす可能性がある。誤警報は、不要な列車の遅延を引き起こすだけでなく、列車乗務員の現状満足、すなわち、時間の経過に伴い、落石の活発な地域で鉄道職員がスライドフェンス警報の有効性を疑うことを招くようになり、列車の運行に不要なリスクが加わる可能性がある。
【0005】
スライドフェンスがある程度損傷すると、落石が検出されるため、落石が列車の運行に危険を及ぼすか否かに関わらず、保守要員を派遣してスライドフェンスを修理する必要がある。活発な岩滑りの状況や交通のある場所でのスライドフェンスの修理を迅速に行うために、保守要員のリスクが高まる。さらに、スライドフェンスの修理が完了するまで、列車の遅延が発生する。場合によっては、岩滑りはスライドフェンスのいくつかのセクションを破壊するのに十分なほどに重大になり得る。このような状況では、岩や岩屑を取り除いた後に、スライドフェンスを再構築するのにかなりの時間と労力がかかる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、信号反射技術を利用して岩滑りを検出し、線路沿いの移動を妨げる落下した岩石/物体のサイズと位置(例えば、レールの外縁から4フィート以内)を判定できるワイヤレススライドフェンスとしての技術的利点を達成する。本開示は、誤警報を低減するために岩滑り/落石警報を検証するために岩石のサイズ及び位置を判定する技術的問題を解決する。このワイヤレススライドフェンスは、あらゆる量の列車密度、総トン数、旅客列車の移動密度、危険物、鉄道の運行規則、及び運行速度に対応できる。ワイヤレススライドフェンスは、現在のスライドフェンス位置での交換、又は新しいスライドフェンス位置での新規設置として、既存のスライドフェンスシステムに後付けすることもできる。
【0007】
本発明は、落下した岩石/物体がサイズの基準を満たし、列車の運行に危険な領域に位置するときに、検証された警報を生成することによってシステム自体の性能を改善する。例示的な一実施形態では、移動する動物などの一時的な物体による誤検知(false positive)を低減するために、物体検出を検証するためのロイター時間(loitering time)を実施し得る。他の例示的な実施形態では、ビデオカメラは、活性化通知をさらに検証するために活用し得る。他の例示的な実施形態では、検証された警報が生成されると、ワイヤレススライドフェンスは、危険が検出されたことを示す出力を列車制御システム又は信号システムに提供し、スライドフェンスの起動通知を列車操車係に送信することができる。線路から物体が除去されたときに、ワイヤレススライドフェンスの通知が削除され得る。従って、落石の検出には有線スライドフェンスの特徴である装備を破壊する必要がないため、保守要員へのリスクが軽減される。修理作業は、影響を受けるワイヤレススライドフェンス障害物検出(OD)装置の交換と適切な構成のセンサへのアップロードに限定されるため、落石によって損傷したワイヤレススライドフェンスの部分の修理中は、人員へのリスクが軽減される。
【0008】
本発明の目的は、線路に沿った列車の通過を妨害し得る物体を検出するように構成されたワイヤレススライドフェンスシステムを提供することにある。本開示のさらなる目的は、列車の通行を妨害し得る物体が識別されたときに、障害物の表示を生成するように構成されたワイヤレススライドフェンスシステムを提供することにある。本開示のさらなる目的は、列車の通行を妨害し得る物体が識別されたときに、障害物の表示を生成するためのコンピュータに実装された方法を提供することにある。これら及び他の目的は、以下の実施形態によって提供される。
【0009】
例示的な一実施形態において、線路に沿って列車の通行を妨害し得る物体を検出するように構成されたワイヤレススライドフェンスシステムは、鉄道線路に近接する信号を送信して、鉄道線路に近接した物体から信号の反射を受信するように構成された複数の障害物検出ユニットであって、その反射した信号が受信されると、1つ以上の障害物検出ユニットが検出区域で物体を検出して検出警告を生成する障害物検出ユニットと、障害物検出ユニットに動作可能に結合され、障害物検出ユニットを制御し、警告を受信し、障害物の表示を信号システム又は列車制御システムに送信して速度を低下又は停止するように構成されたバイタルロジックコントローラと、を含む。複数の障害物検出ユニットによって送信される信号は、ライダ(LiDAR)信号(例えば、レーザ光)であり得る。複数の障害物検出ユニットによって送信される信号は、音響信号、光信号、レーダー(RADAR)信号、又は任意の他の適切な信号であり得る。複数の障害物検出ユニットのそれぞれは、他の障害物検出ユニットと異なる視野を有することができる。隣接した視野は、少なくとも部分的に重なることができる。障害物検出ユニットは、物体が所定の幅より大きいの幅を有するときに、検出警告を生成することができる。障害物検出ユニットは、所定のロイター時間後にも物体がまだ検出される場合にのみ検出警告を生成することができる。物体は、有効な警告を判定するために、所定のロイター時間中に連続的に検出され得る。障害物検出ユニットは、障害物検出ユニットを損傷から保護するために、開閉するように構成されたシャッターを含むことができる。バイタルロジックコントローラは、シャッターを開閉することができる。
【0010】
他の例示的な実施形態では、ワイヤレススライドフェンスシステムは、列車の通行を妨害し得る物体が識別されたときに、障害物の表示を生成するように構成することができ、コンピュータで実行可能な命令を含むバイタルロジックコントローラを含む。前記命令は、実行されるときコントローラに、鉄道線路に近接する検出区域にある物体の障害物検出ユニットから障害物検出警告を受信させ、所定のロイター時間後に、物体が検出区域にあるか否かを判定させ、所定のロイター時間後に物体が検出区域にある場合、暗号化されたネットワークを介して信号システム又は列車制御システムに障害物の表示を送信させ、送受信機を保護するために、所定の期間、前記障害物検出ユニットに設置されたシャッターを閉じさせ、物体に対する検出区域を再び走査するために、所定の再走査期間の間シャッターを開かせ、所定の再走査期間後に物体が検出区域にあるか否かを判定させ、警報状態と列車に対する障害物の表示をクリアさせる。鉄道信号システムは、列車が制限された速度で進み、障害物の手前で停止しなければならないことを列車に示すために、赤く点滅するようにプログラミングし得る。バイタルロジックコントローラは、列車のオンボードポジティブトレインコントロール(PTC)システム又は信号システムに直接表示を送信することができる。全ての物体検出ユニットは、再走査期間中のクリア期間にわたってクリア状態を連続的に報告することができる。クリア期間は、再走査期間の少なくとも一部であり得る。
【0011】
他の例示的な実施形態では、列車の通行を妨害し得る物体が識別されるときに、障害物の表示を生成するためのコンピュータに実装された方法において、コンピュータに実装された方法は、鉄道線路に隣接した検出区域の物体に対して障害物検出ユニットから障害物検出警告を受信するステップと、所定のロイター時間後に物体が検出区域にあるかを判定するステップと、所定のロイター時間後に物体が検出区域にある場合、暗号化されたネットワークを介して列車制御システム又は信号システムに障害物の表示を送信するステップと、送受信機を所定の期間保護するために、障害物検出ユニットに設置されたシャッターを閉じるステップと、物体に対する検出区域を再び走査するために、所定の再走査期間の間シャッターを開くステップと、所定の再走査期間後に物体が検出区域にあるか否かを判定するステップと、暗号化されたネットワークを介して列車制御システムに対する警報状態及び障害物の表示をクリアするステップとを含む。列車信号システムは、列車が制限された速度で進み、障害物の手前で停止しなければならないことを列車に示すために、赤く点滅するようにプログラミングし得る。バイタルロジックコントローラは、列車のオンボードポジティブトレインコントロール(PTC)システム又は信号システムに直接表示を送信することができる。全ての物体検出ユニットは、再走査期間中のクリア期間にわたってクリア状態を連続的に報告することができる。クリア期間は、再走査期間の少なくとも一部であり得る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本開示内容の1つ以上の例示的な実施形態による、ワイヤレススライドフェンスシステムの概略図を示す。
図2】本開示内容の1つ以上の例示的な実施形態による、ワイヤレススライドフェンスシステム設備の概略図を示す。
図3】本開示内容の1つ以上の例示的な実施形態による、スライドフェンスシステム動作のための方法の特徴を実現する制御ロジックを例示するフローチャートを示す。
図4A】本開示内容の1つ以上の例示的な実施形態による、ワイヤレススライドフェンスシステム設備の斜視図を示す。
図4B】本開示内容の1つ以上の例示的な実施形態による、ワイヤレススライドフェンスシステム設備の斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に記載される本開示の好ましいバージョン、並びにその様々な特徴及び有利な詳細は、添付図面に含まれる非限定的な例を参照して、以下の説明に詳述されるようにより完全に説明される。周知の構成要素に関する説明は、本明細書に記載されている主要な特徴を不要に曖昧にしないために省略されている。以下の説明で使用される例は、本開示を実施及び実施する方法の理解を容易にすることを目的とする。従って、これらの例は、特許請求の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。スライドフェンスシステムは、特定のワイヤレス技術の観点から説明することができるが、任意の適切な信号送信及び反射受信技術が使用されてもよい。
【0014】
このように、本明細書の開示は、特定のワイヤレス技術に限定されることを意図するものではない。
【0015】
図1は、本開示内容の例示的な一実施形態によるワイヤレススライドフェンスシステム100の概略図を示す。ワイヤレススライドフェンス100は、障害物検出(OD)ユニット102、警報リレー104、問題出力リレー106、バイタル警報リレー108、バイタルリレー接点110、バイタルロジックコントローラ(VLC)112、及び信号システム及び/又は列車制御システム114を含む。
【0016】
上述したシステム構成要素102,104,106,108,110,112,114は、インターネット、イントラネット、システムバス、又は有線又はワイヤレスの他の適切なネットワークなどのネットワークを介して相互に通信可能に結合され得る。通信は、VPNトンネルを介して、又は他の適切な通信手段によって送信され、暗号化又は復号化することができる。ネットワークは、WAN、LAN、PAN、又は他の適切なネットワークであり得る。システム構成要素102,104,106、108,110,112、114の間のネットワーク通信は、PGP、ブローフィッシュ、AES、3DES、HTTPS、又は他の適切な暗号化を使用して暗号化され得る。ネットワーク通信は、アプリケーションプログラミングインタフェース(API)、ANSI-X12、イーサネット、WiFi、ブルートゥース(登録商標)、PCI-Express、USB、又は他の適切な通信プロトコルを介して行うことができる。さらに、障害物検知又は制御データを備えたデータベースは、システム構成要素VLC112と動作可能に結合され得る。
【0017】
障害物検出ユニット102は、鉄道線路上又は近くで落下した岩石又は他の物体を検出することができるセンサであり得る。障害物検出ユニット102は、レーザ光、光信号、音響信号、又は他の適切な信号を放出することによって物体を検出し、反射ビームが受信機によって受信されるのに必要な時間を測定するために使用される領域センサであり得る。例示的な一実施形態では、障害物検出ユニット102は、190度の弧形状にわたって約100フィートの検出区域を有することができる。他の例示的な実施形態では、障害物検出ユニット102は、IEC60825-1で定義されたクラス1レーザ光(IEC)を組み込むことができ、鉄道線路の上を覆う検出面を課すことができる。
【0018】
他の例示的な実施形態では、各障害物検出ユニット102は、送信機及び受信機、トランシーバ、又は他の適切な通信装置を含むことができる。他の例示的な実施形態では、送信機及び受信機は、単一のセンサハウジングに共に取り付けられ得る。他の実施形態では、送信機と受信機は、別々のハウジングに取り付けられ得る。他の例示的な実施形態では、障害物検出ユニット102は、それぞれの送信機及び受信機に対する別個の音響変換器を含むことができる。他の例示的な実施形態では、単一の音響変換器は、信号の送信とその反射の受信の両方に使用し得る。他の例示的な実施形態では、障害物検出ユニット102は、マイクロパワーインパルスレーダー(MIR)装置を含むことができる。さらに別の例示的な実施形態では、障害物検出ユニット102は、マイクロ波トランシーバ装置を含むことができる。障害物検出ユニット102は、小型の統合アンテナ及び電子インタフェースボードを含むことができる。他の例示的な実施形態では、障害物検出ユニット102は、障害物検出ユニット102が氷又は霧による損傷なしに機能できることを保障するための加熱要素を含むことができる。
【0019】
障害物検出ユニット102は、物体で送信機/トランシーバを介して信号(例えば、レーザ光、音響信号、又は他の適切な信号)を放出することによって物体を検出することができ、及び放出された信号が物体によって反射され、受信機/トランシーバによって受信されるのに必要な時間を測定するステップを含む。障害物検出ユニット102は、障害物検出ユニット102の様々な構成要素を制御するためのプロセッサ及び/又はコントローラを含むことができる。例示的な一実施形態では、障害物検出ユニット102は、プロセッサを介して物体検出を判定し、検出をVLC112に送信することができる。他の例示的な実施形態では、障害物検出ユニット102は、受信したデータをVLC112に送信することができ、VLC112は、障害物検出ユニット102によって物体が検出されたか否かを判定することができる。
【0020】
各障害物検出ユニット102のハウジングは、特定の条件下で作動し、障害物検出ユニット102を汚染又は損傷から保護することができる電動シャッターを含むことができる。例示的な一実施形態では、VLC112は、10-9の危険な状態で故障する可能性があるため(10億回のイベントで1回の故障)「バイタル(重要)」である。あるいは、VLC112は、特定の用途に必要とされる任意の信頼性/故障の確率評価を有することができる。例えば、VLC112は、列車が特定の領域又は検出区域内にあるときに、シャッターを閉じるために、信号を各障害物検出ユニット102に送信することができる。例示的な一実施形態では、障害物検出ユニット102は、列車を検出してVLC112に検出信号を送信することができ、これは、次に各障害物検出ユニット102へのシャッター閉鎖信号を生成する。各障害物検出ユニット102は、信号を送信し、鉄道線路の上又はその近くの物体のサイズ及び位置を検出するのに十分な信号忠実度でその反射を受信するのに十分な距離で鉄道線路に近接する支柱に取り付けられ得る。障害物検出ユニット102は、障害物検出ユニット102の水平及び垂直方向の位置合わせを調整するための外部要素を有することができる。例示的な一実施形態では、障害物検出ユニット102の送信機の出力を低減することができ、障害物検出ユニット102の受信機の感度をVLC112によって増加させることができる。他の例示的な実施形態では、VLC112は、追加の制御ロジック又は外部制御ロジックへのインタフェースを含むことができる。電動シャッターの通常の状態は、検出区域の能動的な走査を可能にするために開いた位置にある。電動式シャッターの動きは、障害物検出ユニット102のプロセッサ又はVLC112から制御信号を受信して、シャッターを開閉することができる線形アクチュエータによって制御され得る。
【0021】
1つ以上の障害物検出ユニット102は、危険を検出するためのスライドフェンスネットワークを形成するために、VLC112と動作可能に結合され得る。VLC112は、障害物検出ユニット102と信号システム/列車制御システム114との間のインタフェースを提供することができる。さらに、VLC112は、列車の動きを検出し、診断チェックを実行し、警報を生成する時期を判定することができる。例示的な一実施形態では、全ての障害物検出ユニット102からの警報表示がない場合、VLC112は、列車が許可された最大速度で進むことを可能にすることができる。列車が検出区域に存在する場合、VLC112は、アクチュエータを駆動してシャッターを閉じ、センサを汚染から保護することができる。シャッターが閉じられるたびに、VLC112は安全チェックを実行して、障害物検出ユニット102が作動するかを確認できる。安全チェックが失敗した場合、VLC112は信号システムを安全な状態にすることができる。
【0022】
例示的な一実施形態では、2つ以上の障害物検出ユニット102は、鉄道線路の任意の所定の領域を連続的に監視することができ、鉄道線路の監視された領域は、検出区域として指定することができる。他の例示的な実施形態では、1つの障害物検出ユニット102による検出が物体検出表示を生成するのに充分であるように、障害物検出ユニット102を並列に結合してもよい。他の例示的な実施形態では、カメラを障害物検出ユニット102内に配置して、鉄道線路の上又は周辺の物体に対する視覚的確認を提供してもよい。あるいは、カメラは、障害物検出ユニット102の近くに配置することができるが、VLC112に動作可能に結合され得る。鉄道線路の上又は近くの物体の検出表示を確認するためにビデオカメラを使用することは、選択事項である。
【0023】
例示的な一実施形態では、各障害物検出ユニット102は、バイタル警報リレー108のコイルに外部で接続することができる警報リレー104を作動させることによって物体の存在を伝えることができる。問題出力リレー106の接点は、警報リレー104及びバイタル警報リレー108と直列に配線し得る。例示的な一実施形態では、バイタル警報リレー108は、警報リレー104と同一のハードウェアの第2リレーであり得る。問題出力リレー106は、障害物検出ユニット102が、その受信機で反射信号(例えば、光ビーム、音響信号など)の高い割合を識別することによって、その走査面が完全に難読化された(例えば、閉じたシャッター又は汚れた走査窓から)と判断したときに、電源を切ることができる。バイタルリレー接点110は、VLC112への入力を制御することができる。他の例示的な実施形態では、VLC112がバイタルリレー接点110からの入力の受信を中断すると、検出情報を信号システム/列車制御システム114に伝達してもよい。
【0024】
図2は、本開示内容の例示的な一実施形態によるワイヤレススライドフェンスシステム設備200の概略図を示す。ワイヤレススライドフェンスシステム設備200は、鉄道線路202、障害物検出ユニット102、検出区域210、バイタルロジックコントローラ(VLC)112、及び電源206を有し、ネットワーク208にアクセスする設備収容所204を含むことができる。
【0025】
障害物検出ユニット102は、線路202に近接して配置された柱/支柱に取り付けることができる。例示的な一実施形態では、障害物検出ユニット102は、27インチの直径の物体が確実に検出され得る高さで柱に配置される。他の例示的な実施形態では、複数の障害物検出ユニット102は、互いに最大100フィートの間隔で配置し得る。各障害物検出ユニット102は、各障害物検出ユニット102を識別するための固有の識別子を有することができる。各障害物検出ユニット102の位置は、物体位置の特定を支援するために、VLC112又は他の適切な装置に格納され得る。他の例示的な実施形態では、各障害物検出ユニット102は、取り付け支柱の中心から半径100フィート以内の物体を検出するために、レーザ光、音響信号、光信号、又は他の適切な信号を放出することができる。
【0026】
障害物検出ユニット102又はVLC112は、線路202上又はその近くの物体の存在を検出することができる。例示的な一実施形態では、検出は物体のサイズに基づく。他の例示的な実施形態では、検出は物体の位置に基づく。さらに別の例示的な実施形態では、検出は、物体のサイズ及び位置に基づく。線路上又はその近くの物体のサイズが検出の引金になることができる。例えば、7インチをわずかに越える一般的な(132~136ポンド)レールの高さ、最大許容機関車除雪機/操縦の間隔がレール上部から6インチ、典型的な機関車の車体下部の間隔がレール上部から約8インチであることを考慮すると、高さが約15インチ以下の岩は、脱線することなく列車の下を通過する可能性がある。例示的な一実施形態では、障害物検出ユニット102又はVLC112は、障害物検出ユニット102によって受信されたデータを前提として、線路202上又はその近くの物体の高さ及び幅を算出することができる。
【0027】
他の例示的な実施形態では、物体の体積は、受信された信号の反射を使用して判定し得る。他の例示的な実施形態では、物体の体積は、障害物検出ユニット102によって受信された物体の高さ(長軸)及び幅(短縮)を使用して物体を楕円体として数学的に近似することによって判定し得る。物体の位置は、各障害物検出ユニット102の所定の位置を使用して物体を検出する障害物検出ユニット102によって判定され得る。
【0028】
検出区域210を通る線路の長さに沿った間隔は、区域210が少なくとも2つのライダODユニット(LIDAR OD Unit)又は重複によって監視され得ることを保障する。例示的な一実施形態では、設置中に、各ライダODユニット112は、線路202によって規定された検出区域210を記述するために使用されてもよい。例示的な一実施形態では、各ライダODユニット112は、それ自体に視野を有することができる。ライダODユニット112は、第1ライダODユニット112が第2ライダODユニット112の視野と重なるように配置することができ、少なくとも2つのライダODユニット112が検出区域210内の物体を検出することができ、検出区域210の両端に2つのライダODユニット112がある。検出区域210の両端にある2つのライダODユニット112は、それらの視野の半分についてのみ重複を有する。スライドフェンス全体の重複性を保持するために、スライドフェンス検出区域のいずれかの端にあるライダODユニットは、隣接するセンサと重なる領域のみを監視することができる。あるいは、運行及び人員に対するリスクが増加する代価と共に、視野のオーバーラップ(重複)を実現することができ。音響周波数オーバーレイ(AFO)軌道回路は、検出区域210の長さで設置することができる。AFO軌道回路を入換えると、列車通過のためのワイヤレスODシステムを準備することができる。
【0029】
障害物検出ユニット102は、他の適切な通信手段の中でもとりわけ、地下ケーブル、地上ケーブル、又はワイヤレスネットワークなどのインフラストラクチャによって、VLC112及び設備収容所204に配置された電源206に動作可能に結合され得る。例示的な一実施形態では、電源206は、障害物検出ユニット102及びシャッター、作動期、加熱器、送信機、受信機、コントローラ、プロセッサ、又は他の適切な装置などの関連装備に電力を提供するためにインフラストラクチャを使用することができる。他の例示的な実施形態では、VLC112は、障害物検出ユニット102のシャッター制御、送信機制御、受信機制御、リレー制御、及びシステムテスト制御に影響を及ぼすインフラストラクチャを使用することができる。
【0030】
他の例示的な実施形態では、列車がスライドフェンス検出区域を通過するたびに、障害物検出ユニット102の完全性を検証するために診断を実行してもよい。システム200は、列車の接近時に障害物検出ユニット102の保護シャッターを閉じるように設計してもよい。保護シャッターが閉じると、障害物検出ユニット102は、閉じたシャッターを検出し、バイタル警報リレー108の電源を遮断することができる。重複する障害物検出ユニット102のペアが列車の通過中に対応するバイタル警報リレー108の電源を遮断する場合、セルフテストは成功(通過)したと見ることができる。
【0031】
例示的な一実施形態では、列車通過中に重複する障害物検出ユニット102のペアのうちの1つがセルフテストに失敗した場合、メンテナンスのために重要でない警告メッセージが生成される。
【0032】
重要でない警告メッセージの原因となる状態が所定の時間(例えば、5時間)以内に修復されない場合、その状態は警報となる。他の例示的な実施形態では、列車の通過中に、重複する障害物検出ユニット102のペアがセルフテストに失敗した場合、物体が検出された場合と同じ方法で警報が生成される。
【0033】
図3は、本開示内容の例示的な一実施形態による、スライドフェンスシステム動作のための方法の特徴を実現する制御ロジックを例示するフローチャート300を示す。スライドフェンス制御ロジック300は、VLC112装置、サーバ上のアルゴリズム、機械学習モジュール、又は他の適切なシステムとして実装され得る。VLC112は、機械可読命令を有するサーバであり得る。スライドフェンス制御ロジック300は、ソフトウェア、ハードウェア、アプリケーションプログラミングインタフェース(API)、ネットワーク接続、ネットワーク転送プロトコル、HTML、DHTML、JavaScript、Dojo、Ruby、Rails、他の適切な用途、又はこれらの適切な組み合わせで実現し得る。
【0034】
サーバは、ハードウェア、ソフトウェア、又はそれらのハードウェアとソフトウェアの適切な組み合せで実装することができ、メモリにアクセスできる1つ以上のプロセッサを有する1つ以上のサーバで動作する1つ以上のソフトウェアシステムを備えてもよい。サーバには、電子記憶装置、1つ以上のプロセッサ、及び/又は他の構成要素を含むことができる。サーバには、ネットワーク及び/又は他のコンピューティングプラットフォームとの情報交換を可能にする通信回線又はポートを含むことができる。サーバはまた、サーバに帰属する機能を提供するために、共に動作する複数のハードウェア、ソフトウェア、及び/又はファームウェア構成要素を含むことができる。例えば、サーバは、サーバとして共に動作するコンピューティングプラットフォームのクラウドによって実装し得る。さらに、サーバにメモリを含むこともできる。
【0035】
メモリは、情報を電子的に格納する非一時的記憶媒体を含むことができる電子記憶装置を備えることができる。電子記憶装置の電子記憶媒体は、サーバと一体に(即ち、実質的に取り外し不可能に)提供するシステム及び/又は例えばポート(例えば、USBポート、ファイアワイヤポートなど)又はドライブ(例えば、ディスクドライブなど)を介して取り外し可能に接続される取り外し可能な記憶装置を含んでもよい。電子記憶装置は、1つ以上の光学的に読み取り可能な記憶媒体(例:光ディスクなど)、磁気的に読み取り可能な記憶媒体(例:磁気テープ、磁気ハードドライブ、フロッピードライブなど)、電荷ベースの記憶媒体(例:EEPROM、RAMなど)、固体記憶媒体(例:フラッシュドライブなど)及び/又は他の電子的に読み取り可能な記憶媒体を含んでもよい。電子記憶装置は、1つ以上の仮想ストレージ資源(例:クラウドストレージ、仮想私設ネットワーク、及び/又は他の仮想ストレージ資源)を含んでもよい。電子記憶装置は、機械可読命令、ソフトウェアアルゴリズム、プロセッサによって決定された情報、サーバから受信した情報、コンピューティングプラットフォームから受信した情報及び/又はサーバが本明細書に記載されるように機能することを可能にするその他の情報を格納してもよい。電子記憶装置には、ネットワーク接続を介してアクセスすることもできる。
【0036】
プロセッサは、サーバにおいて情報処理機能を提供するように構成してもよい。従って、プロセッサは、デジタルプロセッサ、アナログプロセッサ、情報を処理するように設計されたデジタル回路情報を処理するように設計されたアナログ回路、ステートマシン、及び/又はFPGAsやASICなどの情報を電子的に処理するための他のメカニズムのうちの1つ以上を含んでもよい。プロセッサは、単一のエンティティであるか、又は複数の処理ユニットを含んでもよい。これらの処理ユニットは、同じ装置内に物理的に配置してもよく、又はプロセッサは、協調して動作する複数の装置の処理機能又はソフトウェア機能を表してもよい。
【0037】
プロセッサは、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア、及びソフトウェア、ハードウェア、及び/又はファームウェアのいくつかの組み合わせ、及び/又はプロセッサの処理機能を構成するための他の機構によって、機械可読命令又は学習モジュールを実行するように構成し得る。本明細書で使用される場合、用語「機械可読命令」という用語は、機械可読命令構成要素に起因する機能を実行する任意の構成要素又は構成要素の集合を指すことができる。これは、プロセッサ可読命令を実行する物理的プロセッサ、プロセッサ可読命令、回路、ハードウェア、記憶媒体のうちの1つ以上、又は他の任意の構成要素を含むことができる。
【0038】
サーバは、1つ以上の機能モジュールを有する機械可読命令で構成し得る。機械可読命令は、メモリアクセスできる1つ以上のプロセッサを有する1つ以上のサーバで実現し得る。機械可読命令は、単一ネットワーク化されたノード、又は複数のネットワーク化されたノードの分散アーキテクチャを含むことができるマシンクラスタ上で実行され得る。以下により詳細に説明するように、機械可読命令には、様々な機能を実装するための制御ロジックを含むことができる。VLC112は、スライドフェンスシステム動作のための方法の特徴を具体化する制御ロジックを実装する機械可読命令を含むことができる。
【0039】
スライドフェンス制御ロジック300は、データを同時に処理することによって、多重プロセス及びスレッドを生成するコンピュータプラットフォームの能力を活用することができる。スライドフェンス制御ロジック300の速度及び効率は、様々なスライドフェンスシステム機能を作動するために、1つ以上のプロセスをインスタンス化することによって大幅に改善することができる。しかしながら、プログラミング分野の当事者であれば、単一の処理スレッドの使用もまた用いることができ、本開示の範囲内にあることを理解するであろう。
【0040】
本実施形態のスライドフェンス制御ロジック300のプロセスの流れは、制御ロジックが物体を検出することのできるステップ302で開始される。他の例示的な実施形態では、物体は、障害物検出ユニット102によって検出され、検出の表示、検出の通知(警告)、又は物体に関する他の適切な信号をVLC112に送信する。1つ以上の障害物検出ユニット102から、同じ物体に対して1つ以上の検出/表示が受信され得る。他の例示的な実施形態では、制御ロジック300は、上記に開示された方法で物体を検出することができる。
【0041】
他の例示的な実施形態では、検出区域210に接近する列車は、音響周波数オーバーレイ(AFO)軌道回路を分路(shunt)してもよい。他の例示的な実施形態では、電源が遮断されたオーバーレイ軌道回路は、障害物検出ユニット102のシャッター制御回路を活性化するか、又は制御ロジック300をトリガーして、保護シャッターを閉じることができる。障害物検出ユニット102を保護するために、列車の通過中に保護シャッターを閉じたままにすることができる。列車が検出区域210を離れると、AFO軌道回路が作動することができ、従って、制御ロジック300をトリガーして、ライダODシャッター制御を不活性化にし、保護シャッターを開く。適格な物体が検出されると、検出ライダODユニット102の警報リレー104は、電源を遮断して制御ロジック300に警報(検出)を示すことができる。制御ロジック300は、順にネットワーク208を介して信号システム又は列車制御システム114に警報を伝達することができる。他の例示的な実施形態では、スライドフェンス活性化表示(警告)はまた、制御ロジック300によってネットワーク208を介してディスパッチャーなどの遠隔地に送信することができる。さらに別の例示的な実施形態では、VLC112は、システムを非警報(許容)状態に保つために、全ての障害物検出ユニット102から安定した電気入力を要求することができる。
【0042】
例示的な一実施形態では、制御ロジック300は、他の障害物検出ユニット102のカバレッジ領域の重複に関係なく、1つのライダODユニット102の電源が遮断された状態を線路上の障害物の確実な識別として解釈するようにプログラミングしてもよい。
【0043】
他の例示的な実施形態では、各ライダODユニット112は、直線視線(データムから0°)において12インチを超える幅を有する任意の障害物を、線路上の障害物として識別するように構成し得る。これにより、閉じたシャッターが常にライダODユニット112からの警報を生成する。検出区域210内で識別された適切なサイズの物体は、障害物検出ユニット102に制御ロジック300に警報を鳴ならすことができる。他の例示的な実施形態では、ライダODユニット112に蓄積する汚れ又は岩屑は、ライダODユニット112がその検出区域を適切に走査するのを防げるのに十分な量が集まる場合、警報を生成することができる。次に、制御ロジック300は、ステップ304に進む。
【0044】
ステップ304で、スライドフェンス制御ロジック300は、ロイター時間を実装することができる。誤警報を防止するために、スライドフェンス制御ロジック300は、ロイター時間機能を含むことができ、物体は、有効な警報であると判定される前に、物体が30秒間連続的して検出されなければならない。ロイター時間を実装することにより、制御ロジックは、線路を横切って歩く動物などの条件による誤った危険検出を防ぐための時間枠を提供する。例示的な一実施形態では、特徴は、ビデオカメラからのビデオを使用して検証されなければならない。ロイター機能は、瞬間的に検出された障害物(例えば、鳥、動物、風に飛ばされた岩屑など)がシステムに警告を鳴らすのを防止する。他の例示的な実施形態では、30秒以下のロイター時間は、安全ケースにさらなるリスクを追加しないと想定される。例えば、列車は、信号表示に応答して動作するために、30秒のプレビュー時間を必要とする場合がある。従って、ロイター時間の有無に関わらず、岩石が落下して列車の通行を妨げ、危険な事件につながるリスクがある。他の例示的な実施形態では、運用効率のための誤警報を防止することに加え、ロイター時間は、システムによって誤警報が繰り返し増える場合に発生し得る、システムに対する列車乗務員の信頼喪失を軽減するために活用し得る。大きい物体を検出すると、障害物検出ユニット102は、VLC112に送信されるメッセージ、通知、又は他の適切な信号を生成することによって、VLC112に警報条件を表示することができる。任意の単一のライダODユニットからこの表示を受信すると、VLC112がタイマーカウントダウン(例えば、30秒)を開始するようにトリガーすることができる。タイマーカウントダウンが満了すると、VLCは、警報状態を信号システム又は列車制御システムに伝達し、ネットワーク208を介してスライドフェンス表示をディスパッチャーに送信することができる。次に、制御ロジック300は、ステップ306に進む。
【0045】
ステップ306で、スライドフェンス制御ロジック300は、物体がまだ所定の位置にあるか否かを判定する。例示的な一実施形態では、再開放後、障害物検出ユニット102は、領域を再走査し、クリア状態を判定するための所定の走査期間を有する。他の例示的な実施形態では、検出区域212がクリアであると見なされるために、全ての障害物検出ユニット102は、再走査期間(例えば、20秒)の間、クリア期間(例えば、少なくとも10秒)にわたってクリア状態を連続的に報告しなければならない。物体が除去され、再走査期間(例えば、20秒)がクリア状態を宣言した場合、警報はリセットされ、制御ロジック300はステップ318に進む。物体が除去されない場合、システムは警報状態を維持し、制御ロジック300はステップ308に進む。
【0046】
ステップ308で、スライドフェンス制御ロジック300は、スライドフェンス表示を活性化することができる。例示的な一実施形態では、制御ロジック300は、ネットワーク208を介して信号システム又は列車制御システム114に物体の表示を伝達することができる。例示的な一実施形態では、列車制御システムは、列車信号システムを含むことができ、列車信号システムは、機関車に、制限された速度で進み、障害物の手前で停止しなければならないことを示すために、赤く点滅するようにプログラミングされ得る。他の例示的な実施形態では、制御ロジックは、機関車のオンボードポジティブトレインコントロール(PTC)システムに表示を直接送信することができる。他の例示的な実施形態では、スライドフェンス活性化表示(警告)は、スライドフェンス制御ロジック300によって、ネットワーク208を介してディスパッチャーなどの遠隔位置に送信することもできる。次に、制御ロジック300は、ステップ310に進む。
【0047】
ステップ310で、スライドフェンス制御ロジック300は、障害物検出ユニット102を保護するために閉じることができる。次に、制御ロジック300は、ステップ312に進む。
【0048】
ステップ312で、スライドフェンス制御ロジック300は、55秒などの保護シャッター活性化期間、又は任意の適切な期間の間、シャッターを閉じた状態にする。次に、制御ロジック300は、ステップ314に進む。
【0049】
ステップ314で、スライドフェンス制御ロジック300は、再走査サイクル(例えば、20秒)の間、シャッターを再び開くことができる。例示的な一実施形態では、再開放後、障害物検出ユニット102は領域を再走査し、クリア状態を判定するための所定の走査期間を有する。他の例示的な実施形態では、検出区域212がクリアであると見なされるために、全ての障害物検出ユニット102は、再走査期間(例えば、20秒)の間、次にクリア期間(例えば、少なくとも10秒)の間、クリア状態を連続的に報告しなければならない。次に、制御ロジック300は、ステップ316に進む。
【0050】
ステップ316で、スライドフェンス制御ロジック300は、オブジェクトがまだ所定の位置にあるか否かを判定する。
【0051】
例示的な一実施形態では、再開放後、障害物検出ユニット102は、領域を再走査してクリア状態を判定するための所定の走査期間を有する。他の例示的な実施形態では、検出区域212がクリアであると見なされるために、全ての障害物検出ユニット102は、再走査期間(例えば、20秒)の間、クリア期間(例えば、少なくとも10秒)にわたってクリア状態を連続的に報告しなければならない。物体が除去され、再走査期間(例えば、20秒)がクリア状態を宣言する場合、制御ロジック300は警報をリセットすることができ、制御ロジック300はステップ318に進む。物体が除去されない場合、システムは警報状態を維持し、制御ロジック300はステップ310に進む。
【0052】
ステップ318で、スライドフェンス制御ロジック300は、通常の動作に復元され、警報状態をクリアすることができる。次に、制御ロジック300は、新しい物体検出信号を終了又は待機し、上述したステップを繰り返すことができる。
【0053】
図4A及び図4Bは、本開示の例示的な一実施形態による、ワイヤレススライドフェンスシステム設備400の斜視図を示す。ワイヤレススライドフェンスシステム設備400は、鉄道線路202、複数の障害物検出ユニット102、検出区域210、ネットワークにアクセスできるロジックコントローラ及び電源を有する設備収容所204を含むことができる。障害物検出ユニット102は、個別の区域又は視野1、2、3、4を走査するように構成し得る。このような個別の視野1、2、3、4は、検出区域212を構成することができる。例示的な一実施形態では、検出区域は、少なくとも2つの重複区域によって監視することができる、線路上又はその周辺の領域によって画定され得る。障害物検出ユニット102は、任意の物体/危険に対して線路202に垂直に能動的に走査することができる。例示的な一実施形態では、障害物検出ユニット102は、レールの間、及びレールのいずれかの側から4フィート以内、及び線路から27インチ上にある任意の物体に対して検出区域212を走査することができる。他の例示的な実施形態では、障害物検出ユニット102は、障害物検出ユニット102の動作限界内の鉄道線路周辺の任意の領域内の任意の物体に対して検出区域212を走査することができる。他の例示的な実施形態では、走査寸法は、危険を引き起こしたり、線路に沿った列車の移動を妨害したりする可能性のある最小物体サイズの寸法に合わせてサイズが設定される。水平面内の物体の幅が27インチ以上の場合、その最小寸法が警報のトリガーになることができる。あるいは、水平面内の物体の幅は、特定の用途に関連する任意の幅になるように構成してもよい。図4Aは、危険なく線路202を監視するシステム設備400を示す。図4Bは、物体/危険物404のある線路202を監視するシステム設備400を示す。物体404が検出区域212内にあるとき、障害物検出センサ102は、障害物のサイズを判定し、物体404が、その高さ、幅、長さ、動き、又はその他の適切な特性を含む物体の特性に基づいて危険であると判定される場合、VLC112に警報出力を提供することができる。
【0054】
ワイヤレススライドフェンスシステムは、サイドフェンスの修理を容易にするために、保守要員を配置することへの安全性のリスクと運行費用の両方を減らすことができる。有利なことは、ワイヤレススライドフェンスは、小さい岩石や線路から離れた岩石(即ち、列車の通行に潜在的な危険や妨げにならない物体)に対しては警報を鳴らさないため、列車の遅延が減少し、検出区域を通る列車の運行が最適化される。
【0055】
本開示は、少なくとも以下の利点を達成する。
1.ワイヤレススライドフェンスシステムは、警報を自動的に再設定し、信号システム/列車制御システムを通常の操作に復元し、スライドフェンスの修理が保留されている間に発生する追加の列車の遅延を排除する。
2.ワイヤレススライドフェンスシステムは、従来の安全レベルを損なうことなく、誤警報や不要な列車の遅延を大幅に減らし、向上した物体検出及び警報の検証を提供する。及び、
3.このシステムは、運行コストを削減し、さらに重要なことに、現在のスライドフェンスの設置、保守、及び修理に関連する保守員の安全上のリスクを軽減する。
【0056】
当技術分野の当業者であれば、これらの利点(及び要約に示される利点)、及びこのシステムの目的は、本発明のシステムで組み立てられたコンピュータハードウェア及び他の構造的な構成要素及びメカニズムの特定の組み合せなしでは不可能であることを容易に理解するであろう。また、当技術分野の当業者に知られている様々なプログラミングツールが、前述の資料に記載された機能及び操作の制御を実施するために利用可能であることがさらに理解されるであろう。さらに、プログラミングツールの特定の選択は、本明細書及び添付された特許請求の範囲に記載された概念を実現するために選択された実施計画に課せられた特定の目標及び制約によって統制されてもよい。特に、市販(COTS)製品の統合は、本明細書に記載されている新しくかつ従来にはない方法で使用されてもよい。
【0057】
本明細書に含まれる説明は、特定の要素、ステップ、又は機能が特許請求の範囲に含まれなければならない必須又は重要な要素であり得ることを意味するものとして解釈されるべきではない。また、「のための手段(means for)」又は「のためのステップ(step for)」という正確な言葉が、列挙する機能に続いて特定の許請求又は請求の要素のいずれにも明示的に使用されていない限り、米国特許法112条(f)が適用されることを意図していない。請請求項内における「メカニズム」、「モジュール」、「デバイス」、「ユニット」、「構成要素」、「要素」、「構成部品」、「装置」、「機械」、「システム」、「プロセッサ」、「処理装置」、又は「コントローラ」を含むが、用語の使用はこれらに限定されず、関連技術分野における当業者に周知の構造を意味することと理解されかつ意味し得ることが意図され、請求項自体の特徴により、さらに変更又は改善されたものとして、米国特許法112条(f)を適用することを意図するものではない。
【0058】
本開示は、その精神又は本質的な特性から逸脱することなく、他の特定の形態で具体化してもよい。例えば、本明細書に記載の新しい構造のそれぞれは、それらの基本構成又は相互の構造的関係を保持しながら、又は本明細書に記載の同じ又は類似の機能を実行しながら、特定の局所的変動又は要件に適合するように変更してもよい。従って、本実施形態は、全ての点において例示的であり、限定的でないと見なされるべきである。従って、本発明の範囲は、上述した説明でなく添付の特許請求の範囲によって確立される。従って請求の範囲の意味及び同等性の範囲内にある全ての変更は、ここに含まれることが意図される。さらに、特許請求の範囲の個々の要素は、周知的、日常的、従来的なものではない。代わりに、特許請求項は、明細書に記載されている型にはまらない発明の概念に関する。
図1
図2
図3
図4A
図4B