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特許7072120投影装置、照明モジュール及び自動車投光装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-11
(45)【発行日】2022-05-19
(54)【発明の名称】投影装置、照明モジュール及び自動車投光装置
(51)【国際特許分類】
   F21S 41/43 20180101AFI20220512BHJP
   F21S 41/143 20180101ALI20220512BHJP
   F21S 41/265 20180101ALI20220512BHJP
   F21S 41/68 20180101ALI20220512BHJP
   F21S 41/663 20180101ALI20220512BHJP
   F21W 102/135 20180101ALN20220512BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20220512BHJP
【FI】
F21S41/43
F21S41/143
F21S41/265
F21S41/68
F21S41/663
F21W102:135
F21Y115:10
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021506452
(86)(22)【出願日】2019-08-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-09
(86)【国際出願番号】 EP2019070984
(87)【国際公開番号】W WO2020030573
(87)【国際公開日】2020-02-13
【審査請求日】2021-04-02
(31)【優先権主張番号】18187731.7
(32)【優先日】2018-08-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】593045569
【氏名又は名称】ツェットカーヴェー グループ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100080816
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 朝道
(74)【代理人】
【識別番号】100098648
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 潔人
(72)【発明者】
【氏名】モーゼル、アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】マンドル、ベルンハルト
(72)【発明者】
【氏名】バウアー、フリートリヒ
【審査官】河村 勝也
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-534503(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0010811(US,A1)
【文献】実開平05-068007(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2018/0010756(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 41/43
F21S 41/143
F21S 41/265
F21S 41/68
F21S 41/663
F21W 102/135
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マトリックス状に配置された複数のマイクロ光学システム(3)から構成されている、自動車投光装置の照明モジュール(1)のための投影装置であって、
各マイクロ光学システム(3)は、マイクロ入射光学系(30)と該マイクロ入射光学系(30)に割り当てられたマイクロ出射光学系(31)とマイクロ絞り(32)を有し、
すべてのマイクロ入射光学系(30)が入射光学系(4)を、すべてのマイクロ出射光学系(31)が出射光学系(5)を、すべてのマイクロ絞り(32)が絞り装置(6)を形成しており、
絞り装置(6)は、投影装置(2)の主放射方向(Z)に対し直角をなす面に―中間像面に―配置されており、入射光学系(4)、出射光学系(5)及び絞り装置(6)は夫々実質的に互いに平行な面に配置されており、
各マイクロ光学システム(3)のマイクロ絞り(32)は光学的有効エッジ(320、320a、320b、320c、320d、320e)を有し、
マイクロ光学システム(3)の全体が少なくとも2つのマイクロ光学システムグループ(G1、G2、G3)に区分けされており、
異なるマイクロ光学システムグループ(G1、G2、G3)のマイクロ光学システム(3)では、光学的有効エッジ(320、320a、320b、320c、320d、320e)は、中間像面の内部で夫々のマイクロ出射光学系(31)に対し相対的に異なるように位置付けられていること、
各マイクロ光学システムグループ(G1、G2、G3)のマイクロ絞り(32)はマイクロ絞りグループ(MG1、MG2)に統合されており、これらのマイクロ絞りグループ(MG1、MG2)は同一に構成されていること、
マイクロ絞りグループ(MG1、MG2)は垂直方向に互いに対しシフトされていること
を特徴とする、投影装置。
【請求項2】
請求項1に記載の投影装置において、
同じマイクロ光学システムグループ(G1、G2、G3)内の各マイクロ光学システム(3)について、マイクロ絞り(32)の光学的有効エッジ(320、320a、320b、320c、320d、320e)はマイクロ出射光学系(31)に対し相対的に或る距離(h1、h2、h3、h4)だけ垂直方向及び/又は水平方向にシフトされており、この距離(h1、h2、h3、h4)は同じマイクロ光学システムグループ(G1、G2、G3)内のすべてのマイクロ光学システム(3)について同じであり、
該距離(h1、h2、h3、h4)は、好ましくは凡そ0mm~凡そ0.1mm、例えば凡そ0.01mm~凡そ0.1mm、好ましくは凡そ0.03mm~凡そ0.06mmであること
を特徴とする、投影装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の投影装置において、
各マイクロ光学システムグループ(G1、G2、G3)のマイクロ光学システム(3)の少なくとも一部分の光学的有効エッジ(320、320a、320b、320c、320d、320e)は、一貫して水平又は垂直な部分明暗境界線又は非対称上昇部を有する部分明暗境界線を生成するよう構成されていること、
当該光学的有効エッジ(320、320a、320b、320c、320d、320e)の各々は、好ましくは、一貫して水平又は垂直なマイクロ明暗境界線(3200)又は非対称上昇部を有するマイクロ明暗境界線(3201)を生成するよう構成されていること
を特徴とする、投影装置。
【請求項4】
請求項1~3の何れかに記載の投影装置において
マイクロ絞り(32)は、貫通穴(321、321a、321b、321c、321d、321e)を有し非透光性材料からなる小プレートとして構成されていること
を特徴とする、投影装置。
【請求項5】
請求項1~4の何れかに記載の投影装置において、
異なるマイクロ光学システムグループ(G1、G2、G3)において、マイクロ入射光学系(30)は夫々のマイクロ出射光学系(31)に対し相対的に同じ高さに位置付けられていること、好ましくは、共通の光軸を有すること
を特徴とする、投影装置。
【請求項6】
請求項1~4の何れかに記載の投影装置において、
異なるマイクロ光学システムグループ(G1、G2、G3)において、光学的有効エッジ(320、320a、320b、320c、320d、320e)は、夫々のマイクロ入射光学系(30)に対し相対的に同じ高さに位置付けられていること、
好ましくは、マイクロ入射光学系(30)は、夫々のマイクロ出射光学系(31)に対し相対的に異なるように、例えば互いに対し垂直方向及び/又は水平方向にシフトされて、延在する光軸を有すること
を特徴とする、投影装置。
【請求項7】
請求項1~6の何れかに記載の投影装置において、
マイクロ光学システム(3)は、0.1mm当たり凡そ3°の倍率を有すること
を特徴とする、投影装置。
【請求項8】
請求項1~7の何れかに記載の投影装置において、
異なるマイクロ光学システムグループ(G1、G2、G3)が互いに対し分離されるよう構成されていること、好ましくは、互いに対し離隔されていること
を特徴とする、投影装置。
【請求項9】
請求項1~の何れかに記載の投影装置(2)と光源(7)を有する、自動車投光装置のための照明モジュールにおいて、
投影装置(2)は光放射方向において光源(7)に後置されており、光源(7)から生成される光は照明モジュールの前方の領域へ明暗境界線(80)を有する光分布(8)の形で投影されること、
該光分布は、夫々部分明暗境界線を有する互いに重なり合う複数の部分光分布から形成されていること、
各部分光分布は丁度1つのマイクロ光学システムグループによって形成され、複数の部分明暗境界線は一緒に明暗境界線(80)を形成すること
を特徴とする、照明モジュール。
【請求項10】
請求項9に記載の照明モジュールにおいて、
部分明暗境界線は、垂直線及び/又は水平線に沿って或る角度だけ互いに対しシフトされていること、
該角度は、凡そ0°~凡そ3°、例えば凡そ1°~凡そ3°、好ましくは凡そ2°の値であること
を特徴とする、照明モジュール。
【請求項11】
請求項9又は10に記載の照明モジュールにおいて、
部分明暗境界線は、実質的に真っ直ぐに、例えば垂直又は水平に、延在するか又は非対称上昇部を有すること
を特徴とする、照明モジュール。
【請求項12】
請求項9~11の何れかに記載の照明モジュールにおいて、
光源(7)は、平行化光を生成するよう構成されていること
を特徴とする、照明モジュール。
【請求項13】
請求項9~11の何れかに記載の照明モジュールにおいて、
光源(7)は、光平行化光学素子(9)と、該光平行化光学素子(9)に前置された、好ましくは半導体系の発光素子(10)、例えばLED光源、を含むこと、
光平行化光学素子(9)は、例えばコリメータ又は光平行化前置光学系又はTIRレンズであること
を特徴とする、照明モジュール。
【請求項14】
請求項9~13の何れかに記載の照明モジュールにおいて、
光源(7)は、少なくとも2つの光放出領域(70、71、72)を有すること、
個々の光放出領域は、夫々、光源(7)の他の光放出領域から独立して制御可能、例えばオン・オフ切換可能であること、
各光放出領域(70、71、72)には、少なくとも1つの、好ましくは丁度1つのマイクロ光学システムグループ(G1、G2、G3)が、夫々の光放出領域(70、71、72)から生成された光が直接的にかつ専ら当該光放出領域(70、71、72)に割り当てられたマイクロ光学システムグループ(G1、G2、G3)にのみ入射するよう、割当てられていること
を特徴とする、照明モジュール。
【請求項15】
請求項9~14の何れかに記載の照明モジュールを少なくとも1つ有する自動車投光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マトリックス状に配置された複数のマイクロ光学システムから構成されている、自動車投光装置の照明モジュールのための投影装置であって、各マイクロ光学システムは、マイクロ入射光学系と該マイクロ入射光学系に割り当てられた(対応付けられた)マイクロ出射光学系と該マイクロ入射光学系と該マイクロ出射光学系の間に配置されたマイクロ絞りを有し、好ましくはこれらの素子から構成されており、すべてのマイクロ入射光学系が(1つの)入射光学系を、すべてのマイクロ出射光学系が(1つの)出射光学系を、すべてのマイクロ絞りが(1つの)絞り装置を形成しており、絞り装置は投影装置の主放射方向に対し実質的に直角をなす(丁度1つの)面に―中間像面に―配置されており(即ち全てのマイクロ絞りが同一の中間像面に配されており)、入射光学系、出射光学系及び絞り装置は実質的に互いに平行な面(複数)に夫々配置されている、投影装置に関する。
【0002】
更に、本発明は、上記の投影装置を少なくとも1つ有する照明モジュール、及び、そのような照明モジュールを少なくとも1つ有する自動車投光装置(前照灯等)に関する。
【背景技術】
【0003】
上記のタイプの投影装置は従来技術から既知である(WO2015/058227A1、WO2017/066817A1、WO2017/066818A1参照)。そのような投影装置は自動車投光装置(前照灯等)のためのいわゆるマイクロ投影式照明モジュールに使用されることがよくある。「マイクロ投影式照明モジュール」という名称は、個々の(個別)光学系―マイクロ光学系ないしマイクロレンズ―の特性値(特有の寸法)に基づいている。この値、例えばこれらの光学系の光入射面ないし光出射面の直径は、好ましくはマイクロメートル領域、とりわけサブミリメートル領域にある。上記のマイクロ入射光学系及びマイクロ出射光学系は、同様に、特性値、例えばマイクロメートル領域、好ましくはサブミリメートル領域にあるそれらの光入射面の直径を有することができる。マイクロ絞りは、この場合、対応する寸法を有する。ここで、マイクロ光学系―マイクロ入射光学系及び/又はマイクロ出射光学系―は異なるように構成され得ることに注意すべきである。
【0004】
本出願人の国際出願(の国際公開)WO2015/058227A1は、少なくとも1つの光源と、該少なくとも1つの光源から出射する光を自動車の前方の領域へ少なくとも1つの光分布(配光パターン)の形で結像する少なくとも1つの投影装置を含む、自動車投光装置のためのマイクロ投影式照明モジュールであって、投影装置はマイクロ入射光学系(複数)のアレイから構成されている入射光学系とマイクロ出射光学系(複数)のアレイから構成されている出射光学系を含み、各マイクロ入射光学系には丁度1つのマイクロ出射光学系が割り当てられており、1つのマイクロ入射光学系から出射する光がそれに割り当てられたマイクロ出射光学系にのみ正確に入射するようマイクロ入射光学系は構成され及び/又はマイクロ入射光学系とマイクロ出射光学系は互いに対し配置されており、マイクロ入射光学系によって予め成形された光はマイクロ出射光学系によって自動車の前方の領域へ少なくとも1つの光分布として結像される、マイクロ投影式照明モジュールを記載している。
【0005】
本出願人の国際出願(の国際公開)WO2017/066817A1では、少なくとも1つの光源と、該少なくとも1つの光源から出射する光を自動車の前方の領域へ少なくとも1つの光分布(配光パターン)の形で結像する少なくとも1つの投影装置を含む、自動車投光装置のためのマイクロ投影式照明モジュールであって、投影装置は好ましくは(1つの)アレイに配置されている1つの、2つの又は3つ以上のマイクロ入射光学系を有する入射光学系と好ましくは(1つの)アレイに配置されている1つの、2つの又は3つ以上のマイクロ出射光学系を有する出射光学系を含み、各マイクロ入射光学系には丁度1つのマイクロ出射光学系が割り当てられており、1つのマイクロ入射光学系から出射する実質的に全ての光がそれに割り当てられたマイクロ出射光学系にのみ正確に入射するようマイクロ入射光学系は構成され及び/又はマイクロ入射光学系とマイクロ出射光学系は互いに対し配置されており、マイクロ入射光学系によって予め成形された光はマイクロ出射光学系によって自動車の前方の領域へ少なくとも1つの光分布として結像される、マイクロ投影式照明モジュールがテーマとされている。
【0006】
更に、本出願人の国際出願(の国際公開)WO2017/066818A1は、少なくとも1つの光源と、該少なくとも1つの光源から出射する光を自動車の前方の領域へ少なくとも1つの光分布(配光パターン)の形で結像する少なくとも1つの投影装置を含む、自動車投光装置のためのマイクロ投影式照明モジュールであって、投影装置は好ましくは(1つの)アレイに配置されている1つの、2つの又は3つ以上のマイクロ入射光学系を有する入射光学系と好ましくは(1つの)アレイに配置されている1つの、2つの又は3つ以上のマイクロ出射光学系を有する出射光学系を含み、各マイクロ入射光学系には丁度1つのマイクロ出射光学系が割り当てられており、1つのマイクロ入射光学系から出射する実質的に全ての光がそれに割り当てられたマイクロ出射光学系にのみ正確に入射するようマイクロ入射光学系は構成され及び/又はマイクロ入射光学系とマイクロ出射光学系は互いに対し配置されており、マイクロ入射光学系によって予め成形された光はマイクロ出射光学系によって自動車の前方の領域へ少なくとも1つの光分布として結像され、入射光学系と出射光学系の間に第1の絞り装置が配置されている、マイクロ投影式照明モジュールを記載している。
【0007】
上記のタイプの投影装置の入射光学系、出射光学系及び絞り装置はガラス又はプラスチック製の共通の基板に配される、例えば圧着又は接着されることが可能である。マイクロ光学システムについての更なる詳細については、ここでは、本出願人のWO2015/058227A1、WO2017/066817A1、WO2017/066818A1及びマイクロ投影式照明モジュール及びシステムに関する更なる出願を参照されたい。従って、上記のマイクロ投影式照明モジュールにおける入射光学系、出射光学系及び絞り装置は、夫々、モノリシック構造体を構成することができるが、これらの構造体は、予め設定された光分布を投影することができるよう、互いに対し位置合わせ(位置調整)されている。これらの構造体(入射光学系、出射光学系、絞り装置)は、走行中の調整狂いないし位置ずれ及びその後の再調整を回避するために、互いに位置合わせされた状態で互いに運動不能に(固定的に)結合、例えば接着されていることが好ましい。
【0008】
マイクロ投影式照明モジュールによって生成される光分布は、複数のマイクロ光分布―個別マイクロ光学システム(複数)によって夫々成形される複数の光分布―の重ね合わせとして形成される。マイクロ光学システム(複数)が所定のマイクロ光学システムグループ(複数)に統合される場合、各マイクロ光学システムグループは(夫々1つの)部分光分布を成形するよう構成されている。部分光分布は、同様に、複数のマイクロ光分布の重ね合わせである。光分布ないし全体光分布は部分光分布(複数)の重ね合わせである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】WO2015/058227A1
【文献】WO2017/066817A1
【文献】WO2017/066818A1
【文献】WO2015/031924A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記の投影装置ないし照明モジュールの欠点の1つは、例えば、明暗移行部の鮮明度の調節、例えば減光ライト(ロービーム)用光分布の明暗境界線の鮮明度係数の調節は極めて困難であり、動的に(ダイナミックに)変更することもできないことである。例えば、WO2015/031924A1に記載されている勾配(Gradient)を緩和する(ソフトに結像する:Aufweichen)ための光学構造体は、フライス加工によってレンズの表面にもたらすことができる。しかしながら、フライス加工は、レンズ1つにつき、一日がかりまでの時間を要し得る。
【0011】
なお、明暗移行部の鮮明度ないし明暗境界線の鮮明度係数(Schaerfefaktor)は、しばしば、明暗移行部ないし明暗境界線の勾配(Gradient)とも称される。
【0012】
本発明の課題は、マイクロ光学システム(複数)からなる従来の投影装置の欠点を克服することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
【発明を実施するための形態】
【0014】
【0015】
上記の課題は、上記のタイプの投影装置によって、本発明に応じ、各マイクロ光学システムのマイクロ絞りが、好ましくはマイクロ光分布の明暗境界線を形成/成形するよう構成されており好ましくは同様に中間像面に位置する光学的有効エッジを有し、マイクロ光学システム(複数)の全体が少なくとも2つのマイクロ光学システムグループに区分け(分割)されており、異なるマイクロ光学システムグループのマイクロ光学システムでは、光学的有効エッジは中間像面の内部で夫々のマイクロ出射光学系に対し相対的に異なるように(異なる位置に)位置付けられていることによって、解決される。
【0016】
絞りの(マイクロ絞りの)光学的有効エッジ(光学的に有効なエッジ)とは、通常のように、光像中に、光技術的に重要な視認可能な明暗移行部(Hell-Dunkel-Uebergang)として、例えば視認可能な明暗境界線(Hell-Dunkel-Grenze)として結像されるエッジと理解されるものである。光技術的に重要な明暗移行部例えば明暗境界線とは、通常は、光(照明)セグメントの境界又は減光ライト(ロービーム)用光分布の明暗境界線等のような目標を定めて生成される明暗移行部と理解されるものである。光技術的に重要性がより小さい明暗移行部の一例は遠方ライト(ハイビーム)用光分布の緩和(ソフトに結像)された側方延出部(Auslauf)である。
【0017】
例えばリソグラフィ法によって製造されるマイクロ絞り(複数)は、上述したレンズ表面にフライス加工によって(1つの)光学構造体を形成する場合よりも、より迅速に製造され、かつ、より正確に位置決めされることができる。
【0018】
同じマイクロ光学システムグループ内の各マイクロ光学システムについて、マイクロ絞りの光学的有効エッジはマイクロ出射光学系に対し相対的に或る距離だけ垂直方向及び/又は水平方向にシフトされており、この距離は同じマイクロ光学システムグループ内のすべてのマイクロ光学システムについて同じであり、該距離は、好ましくは凡そ0mm~凡そ0.1mm、例えば凡そ0.01mm~凡そ0.1mm、好ましくは凡そ0.03mm~凡そ0.06mmであると、有利であり得る。即ち、同じマイクロ光学システムグループ内では、全ての光学的有効エッジは、夫々の(対応する)マイクロ出射光学系に対し(相対的に)同じ高さに位置付けられている。
【0019】
上記距離が0mmであるとすれば、これは、マイクロ絞りの水平方向に直線的に延伸する光学的有効エッジが対応するマイクロ光学システムによってH-H線(の際)において水平方向に延伸するマイクロ明暗境界線として結像される零位置(Nulllage)に相当する。
【0020】
更に、各マイクロ光学システムグループのマイクロ光学システム(複数)の少なくとも一部分の光学的有効エッジは、一貫して(端から端まで)水平又は垂直な部分明暗境界線又は非対称上昇部(上凸部ないし増大部:Asymmetrieanstieg)を有する部分明暗境界線を生成するよう構成されること、当該光学的有効エッジの各々は、好ましくは、一貫して水平又は垂直なマイクロ明暗境界線又は非対称上昇部を有するマイクロ明暗境界線を生成するよう構成されることが可能である。
【0021】
垂直(方向)に延伸する明暗境界線ないし明暗移行部は、例えばセグメント化された(複数のセグメントに分割された)部分遠方ライト用光分布を生成する際に生じ得る。垂直(方向)に延伸する明暗移行部を緩和(ソフトに結像)することは望ましくあり得る。
【0022】
上述のように、本発明の投影装置によって形成され生成される光分布は、複数の部分的ないしマイクロな光分布の重ね合わせとして形成される。これは、以下のように言い表すことができる:1つの個別マイクロ光学システムによって1つのマイクロ光分布が形成される;1つのマイクロ光学システムグループによって、当該マイクロ光学システムグループの複数のマイクロ光学システムによって夫々形成される複数の個別マイクロ光分布の重ね合わせとして形成される1つの部分光分布が形成され、そして、例えば減光ライト用光分布の光分布ないし全体光分布は、投影装置全体によって形成されかつ複数の個別部分光分布の重ね合わせである。例えば、マイクロ光学システムグループ(複数)によって形成される光分布(複数)は互いに適合的に(合同に:kongruent)、とりわけ同一に構成される(同じ形状を有する)が、互いに対しシフトされる(ずらされる)ことが可能である。マイクロ明暗境界線、部分明暗境界線及び明暗境界線という概念も同様に解釈されるべきである。1つのマイクロ明暗境界線は1つの個別マイクロ絞りによって生成される。1つの部分明暗境界線は、同一のマイクロ光学システムグループの複数のマイクロ絞りによって夫々生成される複数のマイクロ明暗境界線の重ね合わせとして生成される。(1つの)光分布ないし全体光分布の(1つの)明暗境界線は、投影装置を構成する複数のマイクロ光学システムグループによって夫々生成される複数の部分明暗境界線の(1つの)重ね合わせとして生成される。
【0023】
更に、各マイクロ光学システムグループのマイクロ絞り(複数)が(1つの)マイクロ絞りグループに統合され、これらのマイクロ絞りグループは同一に構成され、好ましくは、各マイクロ絞りは、貫通穴を有し非透光性材料からなる小プレートとして構成されている場合、目的に適い得る。
【0024】
一実施形態では、異なるマイクロ光学システムグループ(複数)において、マイクロ入射光学系(複数)は夫々の(対応する)マイクロ出射光学系(複数)に対し(相対的に)同じ高さに位置付けられていること、好ましくは、共通の光軸を有することが可能である。この実施形態では、異なるマイクロ光学システムグループ(複数)は、夫々のマイクロ絞り(複数)のシフトによって生じる異なる中間像(複数)を有する。なお、光分布ないし全体光分布は、この場合も、異なって位置付けられた(例えば垂直方向及び/又は水平方向において互いに対しシフトされた)マイクロ明暗境界線(複数)を有する複数のマイクロ光分布の重ね合わせとして形成される。
【0025】
ここで、水平方向及び垂直方向のシフト(の大きさ)は異なり得ることに注意すべきである。この場合、例えば水平方向及び垂直方向に延伸する明暗移行部の鮮明度は異なるように調節される、例えば異なる程度に緩和(ソフトに結像)されることが達成される。例えば、部分遠方ライト用光分布の(1つの)セグメントの垂直(方向)境界(複数)は該セグメントの水平(方向)境界(複数)と異なるように(異なる程度に)緩和(ソフトに結像)することは、目的に適うことがよくあり得る。
【0026】
更なる一実施形態では、異なるマイクロ光学システムグループにおいて、光学的有効エッジ(複数)は、夫々の(対応する)マイクロ入射光学系(複数)に対し(相対的に)同じ高さに位置付けられていること、好ましくは、マイクロ入射光学系(複数)は、夫々の(対応する)マイクロ出射光学系(複数)に対し相対的に異なるように延在する(例えば互いに対し垂直方向及び/又は水平方向にシフトされた(ずらされた))光軸を有することが可能である。そのため、この実施形態では、異なるマイクロ光学システムグループが同じ中間像(複数)を有することができる。更に、この実施形態では、異なるマイクロ光学システムグループのマイクロ出射光学系は異なるように(例えば互いに対し垂直方向及び/又は水平方向にシフトされて)位置付けられている。従って、異なるマイクロ光学システムグループの中間像(同じ又は異なる)は投影装置の光軸に対し異なる角度をなして投射(投影)される。そのため、光分布ないし全体光分布は、この場合、同じ高さに位置付けられたマイクロ明暗境界線を有する複数のマイクロ光分布の重ね合わせとして形成されるが、該マイクロ光分布は互いに対し高さがシフトされている(異なるように、例えば垂直方向及び/又は水平方向に互いに対しシフトされて、位置付けられている)。
【0027】
更に、マイクロ光学システムは、0.1mm当たり凡そ3°の結像倍率(結像変換スケール:Abbildungsmassstab)を有することが可能である。異なる値の倍率も可能である。
【0028】
更に、異なるマイクロ光学システムグループは互いに対し分離されるよう構成されていること、好ましくは、互いに対し離隔されている場合、好都合であり得る。この場合、製造上の更なる利点が生じ得る。更に、異なるマイクロ光学システムグループ間の距離の適合化の際に、クロストーク(Uebersprechen)を減少することができる。
【0029】
異なるマイクロ光学システムグループは一体的に構成可能であることも明らかである。この場合、各マイクロ光学システムグループのマイクロ入射光学系、マイクロ出射光学系及びマイクロ絞りは、夫々、モノリシック構造(体)を形成することが可能である。これらは、例えば、1つの又は複数のガラスないしプラスチック基板上に配され及び/又は互いに接着されることが可能である。
【0030】
上記の課題は、本発明の投影(投射)装置を有する自動車投光装置(前照灯等)のための照明モジュールによっても解決される。照明モジュールは、更に、光源、好ましくは半導体系光源、とりわけLED光源を含み、投影装置は光放射方向において光源に後置(下流側に配置)されており、光源から生成される好ましくは実質的にすべての光は照明モジュールの前方の領域へ明暗境界線を有する光分布(例えば信号灯用光分布を有する又は有しない前方フィールド用光分布(Vorfeld-Lichtverteilung)又は減光ライト用光分布)の形で投影(投射)され、該光分布は夫々部分明暗境界線を有する互いに重なり合う複数の部分光分布から形成され、各部分光分布は丁度1つのマイクロ光学システムグループによって形成され、複数の部分明暗境界線は一緒に(全部合わせて)明暗境界線を形成する。
【0031】
従って、異なる部分光分布の部分明暗境界線(複数)は異なるように(例えば垂直方向及び/又は水平方向に互いに対しシフトされて)配置される。
【0032】
更に、部分明暗境界線(複数)は、(H-H線に対する)垂直線及び/又は(V-V線に対する)水平線に沿って或る角度だけ互いに対しシフトされており、該角度が凡そ0°~凡そ6°、例えば凡そ1°~凡そ3°、好ましくは凡そ2°の値である場合、目的に適うことが実証されることができる。
【0033】
H-H線(H-Hライン)という概念は当業者には明らかなはずである。H-H線と称されるものは、典型的には、光技術試験所において自動車投光装置(前照灯)ないし自動車投光装置(前照灯)照明モジュールによって生成される光分布を測定するための測定スクリーン上の座標系の水平な線(横軸)である。H-H線はしばしば地平線(Horizont)又は水平線(Horizontale)とも称される。H-H線に対し直角をなす縦軸はV-V線(V-Vライン)ないし垂直線と称される。
【0034】
実用上重要な一実施形態では、部分明暗境界線(従って明暗境界線)は、実質的に真っ直ぐに(直線的に)延在するか又は非対称上昇部を有することが可能である。
【0035】
光源は平行化光(コリメートされた光)を生成するよう構成されていることが好ましい。
【0036】
具体的には、光源は、光平行化光学素子と、該光平行化光学素子に前置された(主放射方向に見て上流側に配置された)、好ましくは半導体系の発光素子、例えば(複数の、好ましくは個別に制御可能なLEDからなる)LED光源、を含むことが可能であり、この場合、光平行化光学素子は、例えばコリメータ又は(例えばシリコーン製の)光平行化前置光学系又はTIRレンズである。「TIR」は“total innere Reflexion(全内面反射)”の頭字語である。
【0037】
本照明モジュールの格別に好ましい一実施形態では、光源は、少なくとも2つの光放出領域を有すること、個々の光放出領域は、夫々、光源(7)の他の光放出領域から独立して制御可能、例えばオン・オフ切換可能であること、各光放出領域には、少なくとも1つの、好ましくは丁度1つのマイクロ光学システムグループが、夫々の光放出領域から生成された光が直接的に(即ち更なる光学的活性面、光学的活性素子等において屈折、反射、偏向されて又は他の態様・方法でその強度及び/又は伝搬方向を変更することなく)かつ専ら当該光放出領域に割り当てられた(対応付けられた)マイクロ光学システムグループに(のみ)入射するよう、割当てられている(対応付けられている)ことが可能である。
【0038】
以下の(添付の)図面において、別段の指定がない限り、同じ図面参照符号は同じ特徴(構成要素)を表す。
【0039】
本発明及びその更なる利点は以下において図面に記載されている例示的実施例を用いてより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】複数のマイクロ光学システムからなる投影装置を有する照明装置の一例の斜視図。
図1a図1のマイクロ光学システム(複数)の1つの分解斜視図。
図1b図1aのマイクロ光学システムの矢視A-A断面図。
図2a】複数の光放出領域を有する光源と、複数の並置されたマイクロ光学システムグループを有する投影装置とを有する照明装置の一例の斜視図。
図2b】上下に配置された複数のマイクロ光学システムグループを有する投影装置の一例の部分拡大図。
図3】複数の光放出領域を有する光源と、複数の投影装置とを有する照明装置の一例の斜視図。
図4】並置された2つのマイクロ絞りグループの一例。
図5a】マイクロ絞りグループの一例。
図5b図5aのマイクロ絞りグループの一部分とそのマイクロ光分布の一例。
図6】信号灯用光分布を有する減光ライト(ロービーム)用光分布の一例。
【実施例
【0041】
図面は、本発明の説明の助けとなり得る構成要素のみを示す模式図である。自動車投光装置(前照灯等)のための投影装置及び照明モジュールは、調節・調整装置、電力供給手段等のような複数の更なる、ここでは不図示の構成要素を有し得ることは、当業者であれば直ちに理解する。
【0042】
可読性の単純化(理解の容易化)のために、及び、目的に適う部位に、図面には参照(基準)軸線が付されている。これらの参照軸線は、自動車に発明対象物が専門技術的に適切に組み込まれた状態に関するものであり、及び、自動車に関係する座標系を示す。
【0043】
更に、「水平」、「垂直」、「上」、「下」等のような方向に関係する概念は本発明との関係では相対的な意味で理解されるべきものであり、自動車に発明対象物が専門技術的に適切に組み込まれた上記の状態又は光像ないし交通空間における放射された光分布の専門技術的に慣用の位置合わせ状態(配向)に関するものであることは、明らかなはずである。
【0044】
従って、参照軸線も方向関係概念も限定的に解釈されるべきではない。
【0045】
図1は自動車投光装置(前照灯等)のための照明装置1の一例を示すが、これは本発明の照明モジュールに相当し得る。照明装置1は、マトリックス状に配置された複数のマイクロ光学システム3から構成されている投影装置(投射装置)2を含み、各マイクロ光学システム3は、マイクロ入射光学系30と、該マイクロ入射光学系30に割り当てられた(対応付けられた)マイクロ出射光学系31と、該マイクロ入射光学系30と該マイクロ出射光学系31の間に配置されたマイクロ絞り32を有する。各マイクロ光学システム3は、丁度1つのマイクロ入射光学系30、丁度1つのマイクロ出射光学系31及び丁度1つのマイクロ絞り32から構成されることが好ましい(図1aのそのようなマイクロ光学システムの分解図参照)。この場合、すべてのマイクロ入射光学系30が(1つの)例えば一体的な入射光学系4を形成する。同様に、すべてのマイクロ出射光学系31が(1つの)例えば一体的な出射光学系5を形成し、(すべての)マイクロ絞り32が(1つの)例えば一体的な絞り装置6を形成する。従って、入射光学系4、出射光学系5及び絞り装置6は(1つの)例えば一体的な投影装置(投射装置)2を形成する。一体的に構成されていない投影装置2の一例は例えば図3に見出すことができる。絞り装置6は、投影装置2の主放射方向Zに対し実質的に直角をなす面に―中間像面322に―配置されている。従って、全てのマイクロ絞り32も同様に中間像面322に位置している。入射光学系4、出射光学系5及び絞り装置6は互いに対し実質的に平行な面に(それぞれ)配置されている。
【0046】
更に、各マイクロ光学システムのマイクロ絞り32は光学的に有効なエッジ(光学的有効エッジ)320、320a、320b、320c、320d、320eを有する。光学的有効エッジも同様にマイクロ中間像面322に位置していることが好ましい。光学的有効エッジ320、320a、320b、320c、320d、320eは、マイクロ光分布の明暗境界線―いわゆるマイクロ明暗境界線3200、3201―を生成するよう、適合化ないし構成されることが可能である(図5b参照)。マイクロ光分布は、夫々の(対応する)マイクロ光学システム3を貫通通過する光によって形成される。従って、各マイクロ光学システム3は丁度1つのマイクロ光分布を成形(形成)することが好ましく、その逆も、即ち、各マイクロ光分布は丁度1つのマイクロ光学システム3によって成形(形成)されることが好ましい。光学的有効エッジ320、320a、320b、320c、320d、320eは夫々異なる推移(輪郭)を有することができる。マイクロ絞り32が、図1bに示されているように、貫通穴としてその他の部分が非透光性の小プレートに構成されている場合、光学的有効エッジ320、320a、320b、320c、320d、320eは、この場合貫通穴境界(輪郭)として構成されているが、閉じた形状を有する。この場合、光学的有効エッジ320、320a、320b、320c、320d、320eの少なくとも一部は、マイクロ明暗境界線3200、3201を成形/形成するよう適合化/構成されている。図1a、図4図5a及び図5bに示されているマイクロ絞りでは、光学的有効エッジ320、320a、320b、320c、320d、320eの下側部分がそれである。
【0047】
本発明に応じ、マイクロ光学システム3の全体は、少なくとも2つのマイクロ光学システムグループG1、G2、G3に区分け(分割)されている。個別のマイクロ光学システムグループG1、G2、G3は、それらが、そのマイクロ光学システム3の光学的有効エッジ320、320a、320b、320c、320d、320eが中間像面322内において夫々の(対応する)マイクロ出射光学系31に対し相対的に異なるよう(異なる位置に)に位置付けられている、例えば垂直方向及び/又は水平方向にシフトされているマイクロ光学システム3を夫々含むこと[光学的有効エッジと対応するマイクロ出射光学系との相対的位置関係がマイクロ光学システムグループ間で異なっていること]によって、互いに区別される。この場合、同じマイクロ光学システムグループG1、G2、G3内における光学的有効エッジ320、320a、320b、320c、320d、320eの夫々の(対応する)マイクロ出射光学系31に対する相対位置が同じである場合、目的に適う。
【0048】
例えば、或るマイクロ光学システムグループ、例えばG1内のマイクロ絞り(複数)32はその全体が、それらが夫々の(対応する)マイクロ出射光学系31に対し相対的に垂直方向及び/又は水平方向シフトを有しないよう、位置付けられることが可能である―これは例えば調心型(zentriert)マイクロ光学システム3をもたらす(下記参照)。これらのマイクロ絞り32の光学的有効エッジ320b、320dが、例えば、例えば図6に示されているような減光ライト用光分布のためのマイクロ明暗境界線3200、3201を形成するよう適合化されている場合、(H-H線HHに対する)垂直方向及び/又は(V-V線VVに対する)水平方向のシフトを有しない部分明暗境界線(即ち1つのマイクロ光学システムグループによって形成される明暗境界線)が生じるであろう。同時に、他のマイクロ光学システムグループ、例えばG2内のマイクロ絞り(複数)32はその全体が、それらが夫々の(対応する)マイクロ出射光学系31に対し相対的に垂直方向に(図示)及び/又は水平方向に(不図示)或る(ゼロとは異なる)距離だけシフトされているよう、位置付けられることが可能であり、それ故、異なるマイクロ光学システムグループG1、G2、G3の光学的有効エッジと夫々の(対応する)マイクロ出射光学系の相対位置間に相違が生じる。そのため、図1のマイクロ光学システムグループG2のマイクロ光学システム(複数)3は、減光ライト用光分布のための、H-H線HHに対し例えば垂直方向にシフトされているマイクロ明暗境界線(複数)の生成のために使用されることができる。既述のように、異なるマイクロ光学システムグループG1、G2、G3によって提供される互いに対しシフトされたマイクロ明暗境界線(複数)は光像中において重なり合い、かくして、減光ライト用光分布の人間の眼のために快適に知覚可能な緩和な(ソフトな)明暗境界線が生じることができる。
【0049】
上記の例は減光ライト用光分布の明暗境界線に限定されておらず、一般的な明暗移行部へ一般化可能であることは、明らかなはずである。
【0050】
光学的有効エッジ320、320a、320b、320c、320d、320eの夫々の(対応する)マイクロ出射光学系31に対する異なる高さの位置付け(位置決め)を達成可能にする仕方は、例えば図1a及び図1bを参照して納得できる説明をすることができる。図1aはただ1つのマイクロ光学システム3を斜視図で示す。図1bは図1aの矢視A-A断面図である。これらの図に示されたマイクロ光学システム3は調心(軸合わせ)されている。即ち、マイクロ入射光学系30とマイクロ出射光学系31は、共通の光軸MOAを有し、かつ、マイクロ絞り32は、この場合、良好に認められるように、非対称上昇部を有するマイクロ明暗境界線を形成するよう成形(形成)されているその光学的有効エッジ320がマイクロ光学システム3の光軸MOAと境を接するよう、位置付けられている。これは、図1aに示されている調心型マイクロ光学システム3に(マイクロ入射光学系30の側部(紙面左側)から)入射する平行化(コリメート)光線が、H-H線に少なくとも部分的に位置するマイクロ明暗境界線を有するマイクロ光分布の形で結像されることを意味する。そのような調心型マイクロ光学システム(複数)は、例えば、図1のマイクロ光学システムグループG1のような(1つの)マイクロ光学システムグループへと統合されることができる。
【0051】
例えば図1a、図1bのマイクロ絞り32又はマイクロ出射光学系31が垂直方向に(X方向に沿って)シフトされるとする。なお、(Y方向に沿った)不図示の水平方向シフトも同様に考えられる。マイクロ出射光学系31がシフトされる場合、マイクロ光学システム3の全体が偏心される―マイクロ入射光学系30とマイクロ出射光学系31の光軸は最早一致しない。どちらの場合でも、マイクロ光分布のマイクロ明暗境界線もシフトする。そのような「不完全調心型」マイクロ光学システムは、例えば、図1のマイクロ光学システムグループG2のような、(1つの)更なるマイクロ光学システムグループに統合されることができる。垂直方向及び/又は水平方向シフトは、光学的有効エッジとマイクロ出射光学系がそれらの本来の面に留まっていることも意味する。
【0052】
図1に戻ると、図1は、並置された2つのマイクロ光学システムグループG1、G2、G3を示しており、これらのマイクロ光学システムグループの一方―即ちマイクロ光学システムグループG2―は、偏心型マイクロ光学システム(マイクロ出射光学系31が距離h2だけ紙面下方にシフトされている)から構成されている(図2aも参照)。
【0053】
異なるマイクロ光学システムグループG1、G2、G3は、図2bから分かるように、互いに対し上下に配置されることも可能である。
【0054】
投影装置2は、複数のマイクロ光学システムグループを含むことも可能である。
【0055】
個別マイクロ光学システムグループG1、G2、G3の各々のために、当該1つのマイクロ光学システムグループG1、G2、G3内の各マイクロ光学システム3について、マイクロ絞り32の光学的有効エッジ320、320a、320b、320c、320d、320eがマイクロ出射光学系31に対し相対的に距離h1、h2だけ垂直方向にシフトされており、この距離h1、h2が同じマイクロ光学システムグループG1、G2、G3内のすべてのマイクロ光学システム3について同一である場合、好都合であり得、この場合、距離h1、h2は好ましくは凡そ0mm(図1図2aのマイクロ光学システムグループG1参照)~凡そ0.1mm、例えば凡そ0.01mm~凡そ0.1mm、好ましくは凡そ0.03mm~凡そ0.06mmである。
【0056】
例えば図1又は図2aのh1のような0に等しい距離は、光学的有効エッジ320、320a、320b、320c、320d、320eの零位置(Nulllage)に相当し、マイクロ光学システム3が調心されている場合(上記参照)に生じる。零位置に配置された光学的有効エッジ320、320a、320b、320c、320d、320eによって、V-V線VV(H-H線HHに対し直角をなす縦軸)上の0°に位置するマイクロ明暗境界線を生成することができる。
【0057】
既述の通り、各マイクロ光学システムグループG1、G2、G3のマイクロ光学システム(複数)3の少なくとも一部の光学的有効エッジは、一貫して(端から端まで)水平な明暗境界線―例えば図4又は図5aのエッジ320a、320c又は320e―又は非対称上昇部3201を有する明暗境界線―例えば図4又は図5aのエッジ320b及び320d―を生成するよう構成されることができる。
【0058】
更に、図4から、各マイクロ光学システムグループG1、G2、G3のマイクロ絞り(複数)32は(丁度)1つのマイクロ絞りグループMG1、MG2に統合可能であること、この場合、マイクロ絞りグループMG1、MG2は同一に構成されていることを見出すことができる。投影装置2のすべてのマイクロ絞り32が同一に構成されることも考えられる。
【0059】
とりわけ図1a、図4図5a及び図5bから、各マイクロ絞り32は貫通穴321、321a、321b、321c、321d、321eを有する非透光性材料からなる小プレートとして構成可能であることを見出すことができる。既述のように、貫通穴の内縁部(内周輪郭)は光学的有効エッジを形成することができる。この例では、光学的有効エッジの下側部分は、減光ライト用光分布のためのマイクロ明暗境界線を成形/形成するよう適合化/構成されることができる。
【0060】
既述のように、異なるマイクロ光学システムグループG1、G2、G3のマイクロ入射光学系30は夫々の(対応する)マイクロ出射光学系31に対し(相対的に)同じ高さに位置付けられることが可能であり、好ましくは、共通の光軸OAを有する。この場合、異なるマイクロ光学システムグループG1、G2、G3に属しかつ異なるマイクロ絞りグループMG1、MG2に統合可能なマイクロ絞り(複数)は、異なるように(ないし異なる態様で)(例えば垂直方向及び/又は水平方向に互いに対しシフトされて)位置付けられている。図4からは、或るマイクロ絞りグループ―この場合第1マイクロ絞りグループMG1―は(共通の)光軸OAに対して或る距離h3だけ(紙面下方に)シフトされていることを見出すことができる。この場合、他のマイクロ絞りグループ―この場合第2マイクロ絞りグループMG2―は(共通の)光軸OAに対し他の距離h4だけシフトされていることができる。
【0061】
図4は、マイクロ絞りグループMG1、MG2が同じ方向へシフトされている一例を示す。マイクロ絞りグループは異なる寸法だけ垂直方向(紙面上方又は紙面下方)へシフト可能であることが分かる。距離h3とh4の間には、相対距離h34が生じる。マイクロ絞りグループは(異なる寸法だけ)水平方向へもシフト可能である(不図示)。
【0062】
既述のように、図1図2a、図2bは、異なるマイクロ光学システムグループG1、G2、G3において、光学的有効エッジ320、320a、320b、320c、320d、320eが夫々の(対応する)マイクロ入射光学系に対し相対的に同じ高さに位置付けられており、好ましくは、マイクロ入射光学系30が、夫々の(対応する)マイクロ出射光学系31に対し相対的に異なるように(例えば垂直方向及び/又は水平方向に互いに対しシフトされて)延伸する光軸を有する、即ち偏心されている、実施例を示している。
【0063】
マイクロ光学システム3は、例えば0.1mm当たり凡そ3°の倍率を有することができる。他の倍率も可能であり、マイクロ光学システム3の夫々の実施例に依存して定まる。即ち、そのようなマイクロ光学システム3においてマイクロ出射光学系31に対し光学的有効エッジ320、320a、320b、320c、320d、320eが凡そ0.1mmだけ相対的にシフトすると、当該光学的有効エッジ320、320a、320b、320c、320d、320eによって生成される明暗移行部、例えばマイクロ明暗境界線は、V-V線VVに沿って(即ち角度空間において)凡そ3°シフトする。
【0064】
ここで、異なるマイクロ光学システムグループG1、G2、G3は互いに分割(区分け)されて構成されること、好ましくは互いに対し離隔されることが可能であることに注意すべきである。これは(後者)例えば図3から分かる。
【0065】
照明装置1は、更に、光源7、好ましくは半導体系光源、とりわけLED光源を有し、投影装置2は光放射方向Zにおいて光源7に後置(下流側に配置)されており、光源7から生成される好ましくは実質的にすべての光を照明装置1の前方の領域へ或る光分布の形で、例えば前方フィールド(Vorfeld)用光分布又は明暗境界線80を有する信号灯用光分布を有するか又は有しない減光ライト(ロービーム)用光分布8の形で、投影(投射)する(図6参照)。光分布は、通常、夫々部分明暗境界線を有し互いに重なり合う複数の部分光分布から形成され、各部分光分布は丁度1つのマイクロ光学システムグループG1、G2、G3によって形成され、これらの部分明暗境界線は一緒に(全部合わせて)明暗境界線を形成する。部分明暗境界線は夫々複数のマイクロ明暗境界線から形成されている。更に、上記の帰結として、異なる部分光分布の部分明暗境界線は異なるように(例えば垂直方向及び/又は水平方向に互いに対しシフトされて)配置されている。
【0066】
その際、部分明暗境界線は垂直線(V-V線VV)に沿ってないしは水平線/地平線(H-H線HH)に沿って或る角度だけ互いに対しシフトされることが可能であり、該角度は凡そ0°~凡そ3°、例えば凡そ1°~凡そ3°、好ましくは凡そ2°の値である。かくして、光像中に、異なるように(例えば垂直方向及び/又は水平方向に互いに対しシフトされて)位置付けられた部分明暗境界線(複数)を有する部分光分布(複数)の重ね合わせが生じる。部分明暗境界線(複数)(従って光分布全体の明暗境界線)は例えば実質的に真っ直ぐに(直線的に)延在するか又は非対称上昇部80を有することができる。
【0067】
光源7は平行化光(コリメートされた光)を生成するよう構成可能である。
【0068】
そのために、光源7は、光平行化光学素子9と、該光平行化光学素子9に前置された、好ましくは半導体系の発光素子10、例えば、例えば複数の、好ましくは個別に制御可能な複数のLEDから構成されるLED光源を含むことができる。この場合、光平行化光学素子9は例えばコリメータ又は(例えばシリコーン製の)光平行化前置光学系又はTIRレンズである。
【0069】
図2a及び図3に見出すことができるように、光源7は2つ以上の光放射領域70、71、72を有することができ、個別光放射領域の各々は光源7の他の光放射領域から独立に(依存しないで)制御可能、例えばオン・オフ切替可能である。
【0070】
更に、光放射領域70、71、72の各々には少なくとも1つの、好ましくは丁度1つのマイクロ光学システムグループG1、G2、G3が、夫々の光放射領域70、71、72から生成された光が直接的に即ち光学的に活性な更なる面、素子等において屈折、反射、偏向されるか又はその他の態様・方法でその強度及び/又は伝搬方向を変化することなくかつ当該光放射領域70、71、72に割り当てられた(対応付けられた)マイクロ光学システムグループG1、G2、G3にのみ入射するよう、割り当てられている(対応付けられている)ことが可能である。
【0071】
図2aは一体的に構成された2つのマイクロ光学システムグループG1及びG2を示す。この場合、相応のマイクロ入射光学系(複数)、マイクロ絞り(複数)及びマイクロ出射光学系(複数)は同一のガラス基板に配されていることができる。
【0072】
図3では、光源7は、互いに分割(区分け)されて構成された、好ましくは互いに対し離隔された3つのマイクロ光学システムグループG1、G2、G3に割り当てられている(対応付けられている)3つの光放射領域70、71、72を有し得ることが分かる。個別光放射領域の各々は、光源7の他の光放射領域から独立に(依存しないで)制御可能、例えばオン・オフ切替可能であり得る。各光放射領域70、71、72に割り当てられた(対応付けられた)マイクロ光学システムグループG1、G2、G3は、好ましくは、夫々の(対応する)光放射領域70、71、72から生成された光が夫々に(当該グループに)直接的に、即ち光学的に活性な更なる面、素子等において屈折、反射、偏向され又はその他の態様・方法でその強度及び/又は伝搬方向を変更することなく入射するよう、配置されている。
【0073】
光放射領域70、71、72は、例えば半導体系光源として構成可能であり、とりわけ1つ以上のLED光源を含むことができる。
【0074】
本発明の投影装置によって、例えば、減光ライト用光分布の明暗境界線の鮮明度係数(Schaerfefaktor)(これは「勾配(Gradient)」とも称される)又は、一般的に、光分布の明暗移行部の鮮明度を調節すること、好ましくは低減する(ぼかす)ことができる。これは、とりわけ、マイクロ入射光学系及びマイクロ出射光学系の特性値、例えばそれらの光入射面の直径がマイクロメートル領域ないしサブミリメートル領域にある場合、有利である。光学系/レンズがこの特性値(寸法)を有する場合、例えば勾配の緩和ないしソフト結像(鮮明度係数の低減)は、一般的な方法によっては、例えば光学系の光出射面に光学構造体を配することによっては、極めて困難である(からである)。上記の本発明の投影装置によって、鮮明度係数は低減されることができる。
【0075】
ここで、ECE(Economic Commission for Europe)規則第112号によれば、鮮明度係数は、現在、0.13(最小鮮明度)~0.40(最大鮮明度)であることに注意すべきである。
【0076】
更に、本発明の照明モジュールは、勾配の静的緩和(上記参照)のみならず、動的調節も、好ましくは鮮明度係数の低減も可能にする。動的調節とは、照明モジュールの運転中の調節と理解されるものである。動的調節を可能にする照明モジュールの例は、複数の光放射領域を有する(1つの)光源を備えた照明モジュールであるが、この場合、光放射領域(複数)は、上述したように、個別に制御可能である。例えば、図2a及び図3の照明装置は、鮮明度係数の動的調節を可能にする照明モジュールの例を表す。この場合、既述のように、例えば半導体系光源として構成可能な1つの光放射領域には、1つ以上のマイクロ光学システムグループが割り当て(対応付け)可能である。そのようなシステム即ち光放射領域及び当該光放射領域に割り当てられた少なくとも1つのマイクロ光学システムグループは、予め設定される鮮明度係数に調節可能である、即ち、予め設定される鮮明度係数を有する明暗境界線を有する部分光分布を生成するよう、適合化(構成)可能である。例えば、凡そ0.35の鮮明度係数を有する3つのそのようなシステムと凡そ0.19の鮮明度係数を有する1つのシステムを含む照明モジュールが考えられる。該照明モジュールの4つのすべてのシステムがスイッチオンされている状態で凡そ0.28の鮮明度係数を有する明暗境界線を有する光分布が生じることが判明した。更に、凡そ0.19の鮮明度係数を有する3つのシステムと凡そ0.35の鮮明度係数を有する1つのシステムを備える照明モジュールは、4つの全てのシステムがスイッチオンされている場合、凡そ0.21の鮮明度係数を有する明暗境界線を有する光分布を生成することが判明した。これらの例から、異なる鮮明度係数を有する複数のそのようなシステムを備える照明モジュールは光分布の明暗境界線の動的調節―低減及び増大―、一般的には、光分布の明暗移行部の鮮明度の動的調節が可能であることが分かる。かくして、可変的な、好ましくは走行状況に依存する鮮明度係数を実現することができる。これは、種々異なる走行状況において有利であり得る。周囲が暗い場合(例えば田舎の道路)、減光ライト用光分布の明暗移行部、好ましくは明暗境界線をより快適なものとして形成するためには、よりソフトな(より小さな)鮮明度係数が有利である。他方で、ソフトな鮮明度係数は、対向車及び/又は歩行者がより強く眩惑される(geblendet)という危険をはらんでいる。従って、周囲照明を有する市街地では、より強い(より大きい)鮮明度係数へ切り換えることが有利であり得る。
【0077】
中間像面内における光学的有効エッジ320、320a、320b、320c、320d、320eの夫々の(対応する)マイクロ出射光学系31に対する本発明による相対位置は、予め設定される勾配に依存して計算する(求める)ことができる。かくして、照明モジュールにおいて、例えば(鮮明度係数の)勾配の緩和を達成することができる。
【0078】
従来の照明装置の場合、勾配は例えばレンズ表面に光学構造(体)を配することによって緩和されることができる(例えば本出願人のWO2015/031924A1参照)。この場合、緩和されることが必要な勾配を有する明暗境界線ないし明暗移行部を有する本来の(未修正の)光分布を出発点とする。目標―緩和された勾配―は予め設定される。この予設定値(Vorgabe)を用いて、散乱関数(Streufunktion)が計算される/求められる。未修正光分布をこの散乱関数で畳み込むことにより、予設定値に応じて緩和された勾配を有する修正光分布が生成される。この場合、散乱関数は重み関数の役割を果たす。散乱関数を用いることにより、レンズ表面上の光学構造体―WO2015/031924A1の場合―複数の個別凸部の形状も計算される。この計算に応じて、光学構造体(個別凸部)はレンズ表面に形成される(設けられる)。
【0079】
既述のように、鮮明度係数は、本発明の場合、光学的有効エッジ320、320a、320b、320c、320d、320eの夫々の(対応する)マイクロ出射光学系31に対する異なる相対位置によって影響される(変化される)ことができる。従って、レンズ表面における光学構造体の面倒な形成(そのような構造体のフライス加工はレンズ一枚当たり一日がかりまでの時間を要し得る)は最早不要である。上述の方法の場合も同様に、大抵は未修正光分布の勾配よりも小さい勾配が目標値として予め設定される。この予設定値を用いて、散乱関数が計算される/求められる。この散乱関数は、すべてのマイクロ光学システムグループG1、G2、G3について、中間像面内における光学的有効エッジ320、320a、320b、320c、320d、320eの夫々の(対応する)マイクロ出射光学系31に対する相対位置へ換算されることができ、そのため、この散乱関数で本来の(未修正の)光分布の畳み込みを行うと、予め設定された勾配を有する光分布が生成される。この場合、基本思想(基本的原理)は、光学的有効エッジの夫々の(対応する)マイクロ出射光学系に対する相対的なその零位置(NulllageないしNullposition)からのシフトは、光分布ないし光像の相応の、例えば倍率に依存する、シフトを引き起こすという点にある。零位置とは、光学的有効エッジが相応のマイクロ出射光学系に対しシフトされていない位置、例えばマイクロ減光ライト用光分布の場合、シフトされない明暗境界線として結像される位置と理解されるものである。通常は、離散的な(有限の)数の光学的有効エッジが存在することによって、(上記の)畳み込みは、互いに対し相応にシフトされたマイクロ光分布(マイクロ遠方ライト用光分布(複数)又はマイクロ減光ライト用光分布(複数))の総和(重ね合わせ)として理解することができる。
【0080】
既述のように、マイクロ絞りの夫々の(対応する)マイクロ出射光学系に対するシフトは、倍率に依存する光像のシフトを表す(与える)。この関係に基づき、勾配の予め設定される変化を表す(与える)散乱関数は、球座標系の角度座標([°])から直交座標[mm]へ換算されることができる。散乱関数を直交座標で表すことによって、各マイクロ光学システムグループG1、G2、G3における中間像面内における光学的有効エッジ320、320a、320b、320c、320d、320eの夫々の(対応する)マイクロ出射光学系31に対する相対位置及び各マイクロ光学システムグループG1、G2、G3におけるマイクロ光学システムの個数を求めることができる。
【0081】
例えば、光分布の2°のシフトは、マイクロ絞りの0.06mmのシフトに相当し得る。この場合、強度値は、夫々のマイクロ光学システムグループG1、G2、G3におけるマイクロ光学システムの個数に相当し得る。即ち、カンデラ(Candela)重み付け係数(複数)は異なる位置(複数)の数に換算される。
【0082】
特許請求の範囲に付記した図面参照符号は専ら本発明のより良い理解のためのものであり、本発明を限定することは意図していない。
【0083】
上記の実施形態ないし実施例の1つの説明から必然的ではない限り、既述の実施形態ないし実施例は任意に組み合わせることができることを前提としている。とりわけ、このことは、或る実施形態ないし実施例の技術的特徴が他の実施形態ないし実施例の技術的特徴と個別にかつ相互に依存することなく任意に組み合わせ、このようにして本発明の更なる実施形態をもたらすことができることを意味する。
【0084】
図1
図1a
図1b
図2a
図2b
図3
図4
図5a
図5b
図6