(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-12
(45)【発行日】2022-05-20
(54)【発明の名称】捜索システム及びその管理サーバ
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20220513BHJP
【FI】
G06Q50/10
(21)【出願番号】P 2018116982
(22)【出願日】2018-06-20
【審査請求日】2021-06-01
(73)【特許権者】
【識別番号】515237061
【氏名又は名称】株式会社LIFE
(74)【代理人】
【識別番号】100121371
【氏名又は名称】石田 和人
(72)【発明者】
【氏名】前田 剛之
【審査官】梅岡 信幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-109685(JP,A)
【文献】特開2006-092128(JP,A)
【文献】特開2004-265225(JP,A)
【文献】特開2004-287895(JP,A)
【文献】国際公開第2017/085795(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
捜索依頼者の端末装置(以下「依頼者端末装置」という。)から通信回線を介して送信される、捜索対象に付されたRFタグの固有IDであるタグIDの情報及び捜索対象を特定する情報を含む、該捜索対象の捜索要請(以下「捜索クエスト」という。)の信号である捜索クエスト要請に基づき、通信回線を介して接続された複数のプレイヤが所持するプレイヤ携帯端末装置により、捜索対象に附されるRFタグを捜索する捜索システムの管理サーバであって、
事前に登録された前記各プレイヤ携帯端末装置の情報を管理するプレイヤ管理データベースと、
捜索マップ情報を管理する捜索地図情報データベースと、
前記依頼者端末装置から送信される前記捜索クエスト要請を受信するクエスト受付手段と、
前記捜索クエスト要請が受信されると、該捜索クエスト要請に含まれる前記タグIDの情報及び捜索対象を特定する情報を含む捜索クエスト受付通知を、前記プレイヤ管理データベースに登録された前記各プレイヤ携帯端末装置に対して配信するクエスト情報配信手段と、
前記捜索クエスト受付通知に対して前記各プレイヤ携帯端末装置から返信される、前記タグIDの検出又は未検出の情報及び該プレイヤ携帯端末装置の位置情報を含む捜索結果通知を受信する捜索応答受信手段と、
前記捜索結果通知が受信された場合であって、該捜索結果通知に前記タグIDを検出した情報が含まれていた場合、該捜索結果通知に含まれる位置情報を含む発見通報を前記依頼者端末装置に送信する発見通報手段と、
前記捜索結果通知が受信された場合であって、該捜索結果通知に前記タグIDが未検出である情報が含まれていた場合には、前記捜索地図情報データベースで管理されている前記捜索マップ情報における、該捜索結果通知に含まれる位置情報で特定される位置に、未発見位置を示すマークを追加することで、前記捜索クエスト要請に対する前記捜索マップ情報を更新する探索マップ生成手段と、
前記捜索地図情報データベースで管理されている前記捜索クエスト要請に対する前記捜索マップ情報を、前記捜索結果通知を返信した前記各プレイヤ携帯端末装置又は前記依頼者端末装置に対して配信する探索マップ配信手段と、
を備えたことを特徴とする捜索システムの管理サーバ。
【請求項2】
前記探索マップ生成手段は、前記捜索結果通知が受信された場合であって、該捜索結果通知に前記タグIDを検出した情報が含まれていた場合には、前記捜索地図情報データベースで管理されている前記捜索マップ情報における、該捜索結果通知に含まれる位置情報で特定される位置に、発見位置を示すマークを追加することで、前記捜索クエスト要請に対する前記捜索マップ情報を更新するものであることを特徴とする請求項1記載の捜索システムの管理サーバ。
【請求項3】
前記各プレイヤ携帯端末装置に付与される利得の情報である利得情報を管理する利得管理データベースと、
前記捜索結果通知を受信した場合であって、該捜索結果通知に前記タグIDを検出した情報が含まれていた場合、前記利得管理データベースで管理されている該捜索結果通知を送信した前記プレイヤ携帯端末装置の利得に、所定の発見報酬の利得値を加える発見報酬付与手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1又は2記載の捜索システムの管理サーバ。
【請求項4】
前記捜索結果通知を受信した場合、前記利得管理データベースで管理されている該捜索結果通知を送信した前記プレイヤ携帯端末装置の利得に、所定の参加報酬の利得値を加える参加報酬付与手段、
を備えたことを特徴とする請求項3記載の捜索システムの管理サーバ。
【請求項5】
前記プレイヤ管理データベースは、前記プレイヤ携帯端末装置がパーティに所属する場合には該プレイヤ携帯端末装置が所属するパーティの情報である所属パーティ情報も管理するものであり、
前記発見報酬付与手段は、前記捜索結果通知を受信した場合であって、該捜索結果通知に前記タグIDを検出した情報が含まれていた場合、前記利得管理データベースで管理されている該捜索結果通知を送信した前記プレイヤ携帯端末装置及び該プレイヤ携帯端末装置が属するパーティに所属する前記プレイヤ携帯端末装置の利得に、所定の発見報酬の利得値を加えるものであることを特徴とする請求項3又は4記載の捜索システムの管理サーバ。
【請求項6】
前記依頼者端末装置から送信される捜索クエスト見積要請を受信するクエスト見積受付手段と、
前記捜索クエスト見積要請に含まれる、捜索依頼者にとっての捜索対象の価値を数値化した値を表す成功利得に基づき、該捜索対象の捜索クエストに適した発見報酬の額である最適発見報酬値を計算する最適発見報酬計算手段と、
前記最適発見報酬値を、前記捜索クエスト見積要請を送信した前記依頼者端末装置に対して送信する最適発見報酬通知手段と、を備えたことを特徴とする請求項3乃至5の何れか一記載の捜索システムの管理サーバ。
【請求項7】
前記各プレイヤ携帯端末装置から返信される前記捜索結果通知に含まれる位置情報に基づき、前記捜索クエスト受付通知に係る捜索クエストの期間に前記各プレイヤ携帯端末装置が移動した距離であるプレイヤ移動距離を算出するプレイヤ移動距離算出手段と、
前記プレイヤ移動距離に応じて、前記利得管理データベースで管理されている該捜索結果通知を送信した前記プレイヤ携帯端末装置の利得に、所定の移動探査報酬の利得値を加える移動探査報酬付与手段と、を備えたことを特徴とする請求項3乃至6の何れか一記載の捜索システムの管理サーバ。
【請求項8】
過去に実施された捜索クエストにおける前記各プレイヤ携帯端末装置に対する前記プレイヤ移動距離の平均値である実績移動距離を管理する実績移動距離管理データベース、を備え、
前記実績移動距離管理データベースで管理されている全プレイヤの前記実績移動距離の平均値X
pのξ倍(0<ξ<1)の値を優先プレイヤ決定閾値X
th(=ξX
p)とするとき、
前記クエスト情報配信手段は、前記捜索クエスト要請が受信されると、前記プレイヤ管理データベースに登録された前記各プレイヤ携帯端末装置のうち、前記実績移動距離が、前記優先プレイヤ決定閾値X
th以上であるプレイヤ(以下「積極的プレイヤ」という。)の前記プレイヤ携帯端末装置に対して、前記捜索クエスト受付通知を最初に配信するとともに、
前記捜索クエスト受付通知を最初に配信したから所定時間T
1が経過した時点で、該捜索クエスト要請に含まれる前記タグIDを検出した情報が含まれる前記捜索結果通知がまだ受信されていない場合には、前記プレイヤ管理データベースに登録された前記各プレイヤ携帯端末装置のうち、前記積極的プレイヤ以外のプレイヤの前記プレイヤ携帯端末装置に対して、前記捜索クエスト受付通知を配信するものであること、を特徴とする請求項7記載の捜索システムの管理サーバ。
【請求項9】
捜索対象に附されるRFタグを捜索する捜索システムであって、
請求項1乃至8の何れか一に記載の管理サーバと、
通信回線を介して前記管理サーバに接続された複数のプレイヤ携帯端末装置と、を備え、
前記プレイヤ携帯端末装置は、
RFタグに対する質問信号を無線送信すると共に、該質問信号に対しRFタグから返信される応答信号に含まれる、該RFタグに記憶された固有IDであるタグIDの読み取りを行うRFID通信手段と、
測位システムにより現在位置の検出を行う位置検出手段と、
前記管理サーバから送信される前記捜索クエスト受付通知を受信した場合、該捜索クエスト受付通知に係る捜索クエストを受諾するか否かを選択するクエスト受諾選択手段と、
前記クエスト受諾選択手段により前記捜索クエストを受諾する選択がされた場合、前記RFID通信手段により前記質問信号を無線送信し、前記応答信号の受信及びタグIDの読み取りを試行するRFタグ捜索手段と、
前記RFタグ捜索手段により一乃至複数のタグIDの読み取りがされた場合であって、読み取られたタグIDのうちの何れかが、前記捜索クエスト受付通知に含まれるタグIDの情報と一致する場合には、タグIDの検出の情報及び前記位置検出手段により検出される該プレイヤ携帯端末装置の位置情報を含む前記捜索結果通知を前記管理サーバへ送信し、
それ以外の場合には、タグIDの未検出の情報及び前記位置検出手段により検出される該プレイヤ携帯端末装置の位置情報を含む前記捜索結果通知を前記管理サーバへ送信する、捜索応答送信手段と、を備えたことを特徴とする捜索システム。
【請求項10】
前記プレイヤ携帯端末装置は、
前記管理サーバから送信される前記捜索マップ情報を受信すると、前記捜索クエスト要請に対する前記捜索マップ情報を、該プレイヤ携帯端末装置の表示装置に表示する捜索マップ情報表示手段、を備えたことを特徴とする請求項9記載の捜索システム。
【請求項11】
前記クエスト受諾選択手段は、前記管理サーバから送信される前記捜索クエスト受付通知を受信した場合、該捜索クエスト受付通知に係る捜索クエストを自動的に受諾する自動クエスト参加設定が可能であることを特徴とする請求項9又は10記載の捜索システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、捜索対象に附されるRFタグ(transponder, RF tag)を用いて捜索対象の捜索を行う捜索システム及びその管理サーバに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、様々な分野に於いてRFID(radio frequency identifier)の活用が展開されてきている。RFIDの活用事例の一つとして、物や人のような捜索対象を捜索する場合にRFIDを利用することが提案されている。このようなRFIDを利用した捜索システムとしては、特許文献1-4に記載のものが公知である。
【0003】
特許文献1には、「商品販売センタサーバ1と、商品顧客端末2A,2Bと、捜索協力者端末3A,3B,3Cとを通信ネットワーク4で通信接続した捜索システムαにおいて、商品顧客端末のユーザである依頼者から対象である商品の捜索依頼がある場合、商品販売センタサーバ1は、捜索依頼のあった商品の商品個別IDを捜索協力者端末3A,3B,3Cへ送信し、捜索協力者端末3A,3B,3Cは、商品のタグIDを検出して、検出したタグIDと前記送信された商品個別IDとが一致する場合、当該商品個別ID及び自端末IDを商品販売センタサーバ1へ送信し、商品販売センタサーバ1は、送信された情報に対応する商品名、発見位置及び協力者メールアドレスを記載した電子メールを作成し依頼者の商品顧客端末へ送信する」捜索システムが記載されている(仝文献 要約参照)。ここで、「捜索協力者端末3A,3B,3C」は、携帯端末装置である(仝文献〔0028〕参照)。この捜索システムは、盗難又は紛失にあった商品を捜索し、依頼者に発見した情報を提供するものである(仝文献〔0004〕参照)。
【0004】
特許文献2には、「探索したい対象および該探索したい対象の特徴情報を少なくとも含む探索依頼情報を送ることで、該対象が存在する位置の探索を管理サーバに依頼する端末装置と、前記端末装置からの探索依頼を受け付け、前記探索依頼情報に基づき、少なくとも、個々の対象を識別するための対象識別情報および個々の対象が持つ対象の特徴情報を含んで構成される対象情報を移動体通信装置に発行する管理サーバと、対象の特徴情報を取得する手段と、自機の位置を測位する手段とを有し、前記管理サーバから取得した前記対象情報に基づき、依頼された対象の特徴情報が存在する位置の探索を行なう少なくとも1つ以上の移動体通信装置とを利用した探索方法であって、前記移動体通信装置は、依頼された対象の特徴情報の存在を検知したとき、前記管理サーバに該検知した位置情報および時間情報を、その対象の特徴情報とともに通知し、前記管理サーバは、前記端末装置に前記検知した位置情報、時間情報および対象の特徴情報に基づいて推定される対象の位置情報を通知し、前記端末装置に出力させることを特徴とする探索システム」が記載されている(仝文献 特許請求の範囲参照)。この探索システムによれば、物品等を探索する場合、物品等に無線タグが備わっていなくても効率よく探索し、発見の確率を向上することができると記載されている(仝文献〔0011〕参照)。
【0005】
特許文献3には、基地局3を介して携帯電話会社サーバ1に接続されるRFID受信機能を備える複数のカメラ付き携帯電話機10と、盗品・遺失物検索など物品管理サービスのための物品管理センタサーバ4と、携帯電話会社サーバ1、物品管理センタサーバ4、警察サーバ5及び被害者宅サーバ6を接続するネットワーク網7とを備え、カメラ付き携帯電話機10主制御部21は、RFID受信部29により読み取った物品の固有コードと不揮発性メモリ24に記憶された盗品登録リストの固有コードとを比較し、固有コードが一致した場合には、盗品画像を表示部34に表示し、またバイブレータで知らせるとともに、無音撮影を許可し、物品管理センタサーバ4に無音撮影した画像を添付して通報する物品管理システムが記載されている(仝文献 要約参照)。この物品管理システムは、盗難又は紛失にあった対象物品を検索するシステムである(仝文献〔0008〕参照)。
【0006】
特許文献4には、タグ識別情報を含む無線タグ情報を記憶する無線タグ11と、無線タグ情報と依頼探索エリア情報とを依頼探索情報として登録し、依頼探索情報に基づき遺失物情報を発行する遺失物管理サーバ装置30と、無線タグ情報を受信する機能、および自己の位置を測位する機能を有し、遺失物情報に基づき無線タグ11の位置探索を行なう複数の携帯端末装置50とを備え、遺失物管理サーバ装置30は、遺失物情報を、登録された依頼探索エリア情報に基づいて発行する遺失物探索システムが記載されている(仝文献 要約参照)。このシステムに於いては、遺失物管理サーバ装置30は、携帯端末装置50から、物品、あるいは無線タグ11を発見したとの発見報告を受け付け、端末装置20に通知することで、その物品の所有者に物品の発見場所を知らせる。すなわち、携帯端末装置50は、依頼された無線タグ11の存在を検知したとき、遺失物管理サーバ装置30に対して、少なくとも依頼された無線タグ11の存在を検知した位置の情報である検知位置情報を通知する。さらに、遺失物管理サーバ装置30は、探索結果通知手段34により依頼探索情報DB32に記憶した無線タグ情報の個人ID等を参照し、端末装置20に対して、発見通知とともに検知位置情報を通知する(仝文献〔0022〕参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2003-150692号公報
【文献】特開2008-245065号公報
【文献】特開2006-092128号公報
【文献】特開2005-003627号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述のような従来の捜索システムの基本的な探索手法は、(1)捜索依頼を行う依頼者端末装置から、捜索対象の特定情報(個別ID・特徴情報)を管理サーバ装置に送信し、(2)管理サーバ装置から、該特定情報を、各所に分散して存在する、測位手段(GPS等)及び特定情報検出手段(RFIDリーダ等)を具備した捜索協力者携帯端末装置に配信し、(3)各捜索協力者携帯端末装置で、捜索対象の特定情報が検出された場合には、該捜索協力者携帯端末装置から管理サーバ装置へ、発見報告及び検知位置情報を通知し、(4)管理サーバ装置が携帯端末装置から発見報告及び検知位置情報を受信すると、依頼者端末装置に対して、発見通知及び検知位置情報を通知する、というものである。この場合、捜索対象の発見確立を実用レベルまで高めるには、相当に多数の捜索協力者携帯端末装置が広範囲に亘って分散して存在することが不可欠である。
【0009】
然し乍ら、現実的には多数の捜索協力者携帯端末装置を都合良く確保することは一般的には困難であり、上記従来の捜索システムを実用的に運用するには、相当な困難があると考えられる。また、実際には捜索対象の捜索範囲は事前に分からないケースが多いと考えられるが、捜索範囲が限定されない場合には、長時間に亘り地理的に広範囲に亘って捜索を行う必要があり、捜索効率が悪いという問題もある。
【0010】
そこで、本発明の目的は、捜索効率をできるだけ高めることが可能で、捜索協力者の確保も効果的に行うことが可能な捜索システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る捜索システムの管理サーバの第1の構成は、捜索依頼者の端末装置(以下「依頼者端末装置」という。)から通信回線を介して送信される、捜索対象に付されたRFタグの固有IDであるタグIDの情報及び捜索対象を特定する情報を含む、該捜索対象の捜索要請(以下「捜索クエスト」という。)の信号である捜索クエスト要請に基づき、通信回線を介して接続された複数のプレイヤが所持するプレイヤ携帯端末装置により、捜索対象に附されるRFタグを捜索する捜索システムの管理サーバであって、
事前に登録された前記各プレイヤ携帯端末装置の情報を管理するプレイヤ管理データベースと、
捜索マップ情報を管理する捜索地図情報データベースと、
前記依頼者端末装置から送信される前記捜索クエスト要請を受信するクエスト受付手段と、
前記捜索クエスト要請が受信されると、該捜索クエスト要請に含まれる前記タグIDの情報及び捜索対象を特定する情報を含む捜索クエスト受付通知を、前記プレイヤ管理データベースに登録された前記各プレイヤ携帯端末装置に対して配信するクエスト情報配信手段と、
前記捜索クエスト受付通知に対して前記各プレイヤ携帯端末装置から返信される、前記タグIDの検出又は未検出の情報及び該プレイヤ携帯端末装置の位置情報を含む捜索結果通知を受信する捜索応答受信手段と、
前記捜索結果通知が受信された場合であって、該捜索結果通知に前記タグIDを検出した情報が含まれていた場合、該捜索結果通知に含まれる位置情報を含む発見通報を前記依頼者端末装置に送信する発見通報手段と、
前記捜索結果通知が受信された場合であって、該捜索結果通知に前記タグIDが未検出である情報が含まれていた場合には、前記捜索地図情報データベースで管理されている前記捜索マップ情報における、該捜索結果通知に含まれる位置情報で特定される位置に、未発見位置を示すマークを追加することで、前記捜索クエスト要請に対する前記捜索マップ情報を更新する探索マップ生成手段と、
前記捜索地図情報データベースで管理されている前記捜索クエスト要請に対する前記捜索マップ情報を、前記捜索結果通知を返信した前記各プレイヤ携帯端末装置又は前記依頼者端末装置に対して配信する探索マップ配信手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0012】
この構成によれば、未発見位置を示すマークを追加した捜索マップ情報を各プレイヤ携帯端末装置又は前記依頼者端末装置に対して配信することで、各プレイヤ携帯端末装置を携帯するプレイヤは、捜索済みのエリアや捜索対象が発見されなかった位置をリアルタイムに把握でき、捜索対象の効率的な捜索を行うことができる。また、捜索依頼者は、捜索対象の捜索の進行状況を、リアルタイムに把握することができる。
【0013】
ここで、「捜索依頼者」(quest-client)とは、捜索対象の捜索を依頼する主体をいう。「捜索対象」(quest-target)とは、捜索の目標となるものをいう。「プレイヤ」(player)とは、自己の意思により、捜索依頼者の依頼に係る捜索クエストに参加して、該捜索クエストの任務を遂行する主体をいう。「クエスト」(quest)とは、特定の結果を追求する任務をいう。「捜索クエスト」(search quest)とは、特定の捜索対象を探し追い求める任務をいう。「クエスト参加プレイヤ」(quest participating player)とは、プレイヤのうち、捜索クエストに参加している者をいう。「捜索タスク」(search task)とは、或る捜索依頼者より捜索対象の捜索要請がされてから、該捜索対象の捜索クエストが開始され、該捜索クエストが終了するまでの一連の捜索業務の一単位をいう。「RFID」(radio frequency identifier)とは、RFタグの固有IDを読み取るシステムをいう(JIS X 0500-3:2009 05.05.60参照)。「RFタグ」(transponder, RF tag)とは、電波(電磁波)を用いて、内蔵したメモリのデータを非接触で読み書きする情報媒体であって、目的物にはり付けられるものをいう(JIS Z 0667:2017, JIS X 0500-3:2009 05.04.02参照)。「タグID」とは、捜索対象に固有のID(識別符号)をいう。「携帯端末装置」とは、人が携帯可能な端末装置をいい、携帯電話、スマートフォン、タブレット等である。「プレイヤ携帯端末装置」とは、プレイヤが携帯する携帯端末装置をいう。「依頼者端末装置」とは、依頼者が所有する端末装置をいう。依頼者端末装置は、必ずしも携帯可能なものである必要はない。依頼者端末装置としては、携帯電話、スマートフォン、タブレット、パーソナルコンピュータ等が挙げられる。「捜索対象を特定する情報」とは、例えば、捜索対象の名称、外観写真等である。「捜索マップ情報」とは、捜索の対象範囲の地図上に、捜索上必要な情報を追加した地図の情報をいう。「未発見位置」とは、捜索対象のタグIDが未検出であったプレイヤ携帯端末装置をいう。
【0014】
本発明に係る捜索システムの管理サーバの第2の構成は、前記第1の構成に於いて、前記探索マップ生成手段は、前記捜索結果通知が受信された場合であって、該捜索結果通知に前記タグIDを検出した情報が含まれていた場合には、前記捜索地図情報データベースで管理されている前記捜索マップ情報における、該捜索結果通知に含まれる位置情報で特定される位置に、発見位置を示すマークを追加することで、前記捜索クエスト要請に対する前記捜索マップ情報を更新するものであることを特徴とする。
【0015】
この構成によれば、捜索依頼者は、捜索対象が発見された場合には、その位置を即座に知ることが出来る。また、捜索対象が移動する対象である場合には、各プレイヤ携帯端末装置を携帯するプレイヤは、捜索済みのエリアや捜索対象が発見された位置をリアルタイムに把握でき、移動する捜索対象を追跡することが容易となる。
【0016】
ここで、「発見位置」とは、捜索対象のタグIDが検出されたプレイヤ携帯端末装置をいう。
【0017】
本発明に係る捜索システムの管理サーバの第3の構成は、前記第1又は2の構成に於いて、前記各プレイヤ携帯端末装置に付与される利得の情報である利得情報を管理する利得管理データベースと、
前記捜索結果通知を受信した場合であって、該捜索結果通知に前記タグIDを検出した情報が含まれていた場合、前記利得管理データベースで管理されている該捜索結果通知を送信した前記プレイヤ携帯端末装置の利得に、所定の発見報酬の利得値を加える発見報酬付与手段と、を備えたことを特徴とする。
【0018】
この構成によれば、発見報酬を付与することによって、プレイヤの捜索クエストへの参加インセンティブを高め、捜索クエストへ参加するプレイヤ(クエスト参加プレイヤ)の数を十分に確保することが可能となる。クエスト参加プレイヤの数が大きくなるほど、捜索対象の発見確率は向上する。ここで、発見報酬を大きくすればクエスト参加プレイヤの数は大きくなり、発見報酬を小さくすれば、クエスト参加プレイヤの数は小さくなると考えられる。従って、捜索依頼者は、捜索対象を発見することによって自らが得る利得の大きさに応じて発見報酬を調整し、捜索対象の発見確率をある程度コントロールすることが可能となる。
【0019】
ここで、「利得値」(payoff information)とは、プレイヤ携帯端末装置のユーザに付与される特別の恩典に関する情報をいう。利得情報としては、例えば、キャッシュバック又は商品還元等に用いるためのポイントや、電子マネー、仮想通貨等が挙げられる。また、ゲームにおいて付与されるキャラクタ等のアイテムなどでも、数値として換算できる物であれば利得値として用いることができる。「発見報酬の利得値」とは、捜索対象に付されたRFタグの固有IDを発見したプレイヤ携帯端末装置のユーザに発見報酬として付与される利得値をいう。
【0020】
本発明に係る捜索システムの管理サーバの第4の構成は、前記第3の構成に於いて、前記捜索結果通知を受信した場合、前記利得管理データベースで管理されている該捜索結果通知を送信した前記プレイヤ携帯端末装置の利得に、所定の参加報酬の利得値を加える参加報酬付与手段、を備えたことを特徴とする。
【0021】
この構成によれば、クエスト参加プレイヤに参加報酬を付与することによって、プレイヤの捜索クエストへの参加インセンティブを高め、クエスト参加プレイヤの数を十分に確保することが可能となる。ここで、発見報酬は、捜索対象を発見したクエスト参加プレイヤにのみ付与されるのに対して、参加報酬は、全てのクエスト参加プレイヤに付与されるものである。従って、捜索クエストに参加することによってプレイヤに報酬が付与されることが補償されるため、より多くのプレイヤが捜索クエストに参加するような参加インセンティブを与えることが出来る。
【0022】
ここで、「参加報酬の利得」とは、捜索対象に付されたRFタグの固有IDの探索に参加したプレイヤ携帯端末装置のユーザに参加報酬として付与される利得をいう。
【0023】
本発明に係る捜索システムの管理サーバの第5の構成は、前記第3又は4の構成に於いて、前記プレイヤ管理データベースは、前記プレイヤ携帯端末装置がパーティに所属する場合には該プレイヤ携帯端末装置が所属するパーティの情報である所属パーティ情報も管理するものであり、
前記発見報酬付与手段は、前記捜索結果通知を受信した場合であって、該捜索結果通知に前記タグIDを検出した情報が含まれていた場合、前記利得管理データベースで管理されている該捜索結果通知を送信した前記プレイヤ携帯端末装置及び該プレイヤ携帯端末装置が属するパーティに所属する前記プレイヤ携帯端末装置の利得に、所定の発見報酬の利得値を加えるものであることを特徴とする。
【0024】
この構成によれば、複数のプレイヤがパーティを組み、集団で捜索対象の捜索を行うことで、プレイヤはより高い確率で発見報酬を獲得することが可能となる。
【0025】
本発明に係る捜索システムの管理サーバの第6の構成は、前記第3乃至5の何れか一の構成に於いて、前記依頼者端末装置から送信される捜索クエスト見積要請を受信するクエスト見積受付手段と、
前記捜索クエスト見積要請に含まれる、捜索依頼者にとっての捜索対象の価値を数値化した値を表す成功利得に基づき、該捜索対象の捜索クエストに適した発見報酬の額である最適発見報酬値を計算する最適発見報酬計算手段と、
前記最適発見報酬値を、前記捜索クエスト見積要請を送信した前記依頼者端末装置に対して送信する最適発見報酬通知手段と、を備えたことを特徴とする。
【0026】
この構成によれば、捜索依頼者は、過去の実績等に基づいて計算される最適発見報酬値b*を参照しながら、発見報酬bの値を決めて捜索クエストの要請を行うことができ、捜索依頼者の利便性が向上すると共に、合理的な発見報酬bの値を設定することが可能となる。
【0027】
本発明に係る捜索システムの管理サーバの第7の構成は、前記第3乃至6の何れか一の構成に於いて、前記各プレイヤ携帯端末装置から返信される前記捜索結果通知に含まれる位置情報に基づき、前記捜索クエスト受付通知に係る捜索クエストの期間に前記各プレイヤ携帯端末装置が移動した距離であるプレイヤ移動距離を算出するプレイヤ移動距離算出手段と、
前記プレイヤ移動距離に応じて、前記利得管理データベースで管理されている該捜索結果通知を送信した前記プレイヤ携帯端末装置の利得に、所定の移動探査報酬の利得値を加える移動探査報酬付与手段と、を備えたことを特徴とする。
【0028】
この構成によれば、各クエスト参加プレイヤに対して、プレイヤ移動距離に応じて移動探査報酬を付与することによって、各クエスト参加プレイヤが捜索クエストの期間内により多く移動するような移動インセンティブを与えることが出来る。捜索クエストの期間内に各クエスト参加プレイヤがより多く移動することにより、各クエスト参加プレイヤの捜索対象の発見確率は向上する。従って、結果的に全体として捜索対象の発見確率の向上が図られる。
【0029】
本発明に係る捜索システムの管理サーバの第8の構成は、前記第7の構成に於いて、過去に実施された捜索クエストにおける前記各プレイヤ携帯端末装置に対する前記プレイヤ移動距離の平均値である実績移動距離を管理する実績移動距離管理データベース、を備え、
前記実績移動距離管理データベースで管理されている全プレイヤの前記実績移動距離の平均値Xpのξ倍(0<ξ<1)の値を優先プレイヤ決定閾値Xth(=ξXp)とするとき、
前記クエスト情報配信手段は、前記捜索クエスト要請が受信されると、前記プレイヤ管理データベースに登録された前記各プレイヤ携帯端末装置のうち、前記実績移動距離が、前記優先プレイヤ決定閾値Xth以上であるプレイヤ(以下「積極的プレイヤ」という。)の前記プレイヤ携帯端末装置に対して、前記捜索クエスト受付通知を最初に配信するとともに、
前記捜索クエスト受付通知を最初に配信したから所定時間T1が経過した時点で、該捜索クエスト要請に含まれる前記タグIDを検出した情報が含まれる前記捜索結果通知がまだ受信されていない場合には、前記プレイヤ管理データベースに登録された前記各プレイヤ携帯端末装置のうち、前記積極的プレイヤ以外のプレイヤの前記プレイヤ携帯端末装置に対して、前記捜索クエスト受付通知を配信するものであること、を特徴とする。
【0030】
この構成によれば、積極的プレイヤに先行して捜索クエストの要請を行い、捜索対象の発見状況に応じて積極的プレイヤ以外のプレイヤ(消極的プレイヤ)にも捜索クエストの要請を行う段階的捜索クエスト配信の手法を取り入れることで、結果的に捜索依頼者が得られる期待利得とより大きくすることが可能となる。
【0031】
本発明に係る捜索システムの第1の構成は、捜索対象に附されるRFタグを捜索する捜索システムであって、
請求項1乃至8の何れか一に記載の管理サーバと、
通信回線を介して前記管理サーバに接続された複数のプレイヤ携帯端末装置と、を備え、
前記プレイヤ携帯端末装置は、
RFタグに対する質問信号を無線送信すると共に、該質問信号に対しRFタグから返信される応答信号に含まれる、該RFタグに記憶された固有IDであるタグIDの読み取りを行うRFID通信手段と、
測位システムにより現在位置の検出を行う位置検出手段と、
前記管理サーバから送信される前記捜索クエスト受付通知を受信した場合、該捜索クエスト受付通知に係る捜索クエストを受諾するか否かを選択するクエスト受諾選択手段と、
前記クエスト受諾選択手段により前記捜索クエストを受諾する選択がされた場合、前記RFID通信手段により前記質問信号を無線送信し、前記応答信号の受信及びタグIDの読み取りを試行するRFタグ捜索手段と、
前記RFタグ捜索手段により一乃至複数のタグIDの読み取りがされた場合であって、読み取られたタグIDのうちの何れかが、前記捜索クエスト受付通知に含まれるタグIDの情報と一致する場合には、タグIDの検出の情報及び前記位置検出手段により検出される該プレイヤ携帯端末装置の位置情報を含む前記捜索結果通知を前記管理サーバへ送信し、
それ以外の場合には、タグIDの未検出の情報及び前記位置検出手段により検出される該プレイヤ携帯端末装置の位置情報を含む前記捜索結果通知を前記管理サーバへ送信する、捜索応答送信手段と、を備えたことを特徴とする。
【0032】
本発明に係る捜索システムの第2の構成は、前記第1の構成に於いて、前記プレイヤ携帯端末装置は、
前記管理サーバから送信される前記捜索マップ情報を受信すると、前記捜索クエスト要請に対する前記捜索マップ情報を、該プレイヤ携帯端末装置の表示装置に表示する捜索マップ情報表示手段、を備えたことを特徴とする。
【0033】
本発明に係る捜索システムの第3の構成は、前記第1又は2の構成に於いて、前記クエスト受諾選択手段は、前記管理サーバから送信される前記捜索クエスト受付通知を受信した場合、該捜索クエスト受付通知に係る捜索クエストを自動的に受諾する自動クエスト参加設定が可能であることを特徴とする。
【0034】
この構成によれば、自動クエスト参加設定により、一定数のクエスト参加プレイヤの数を自動で確保することができ、結果的に捜索依頼者が得られる期待利得とより大きくすることが可能となる。
【発明の効果】
【0035】
以上のように、本発明によれば、捜索効率をできるだけ高めることが可能で、捜索協力者の携帯端末装置の確保も容易に行うことが可能な捜索システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】本発明に係る捜索システムの全体の機器構成を表す図である。
【
図2】式(5)の参加インセンティブ関数f
n(x)の例を示す図である。
【
図3】n=2の場合の曲線y=y
1(π
B)と直線y=y
2(π
B)の例を示す図である。
【
図4】(a)m=2, N
B0/N
B=0.2の場合の式(15a)の曲線y=y
1(π
B)と直線y=y
2(π
B)の例を示す図である。(b)N
B0/N
B=0.2の場合の式(15b)のεと式(15a)の最適プレイヤ期待利得π
B
*との関係を示す図である。
【
図5】移動探査報酬を設定した場合の発見報酬bと捜索依頼者Aの期待利得π
Aとの関係を示す図である。
【
図6】移動探査報酬を設定した場合の発見報酬bと発見確率p
aとの関係を示す図である。
【
図7】段階的捜索クエスト配信を行った場合の捜索依頼者Aの期待利得π
Aの変化の一例を示す図である。
【
図8】本発明の実施例1の捜索システムの機能構成を表すブロック図である。
【
図9】
図8のプレイヤ情報データベース101の構成を示すER図(IDEDF1X記法)である。
【
図10】捜索依頼者Aが捜索クエスト要請RQ(QE(C))を行うまでの捜索システムの動作を表すフローチャートである。
【
図11】依頼者端末装置2の表示画面上に表示される捜索クエスト依頼ホームページの画面の一例を示す図である。
【
図12】捜索クエストQE(C)の遂行時における捜索システムの動作を表すフローチャートである。
【
図13】捜索マップ情報MAP(QE(C))の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0038】
〔1〕用語の定義
本システムを利用して行動する行動主体は、捜索依頼者とプレイヤである。「捜索依頼者」(quest-client)とは、捜索対象の捜索を依頼する主体をいう。「捜索対象」(quest-target)とは、捜索の目標となるものをいい、例えば、子供、老人などの人的捜索対象と、商品、自転車、ペット、財布等の遺失物又は準遺失物若しくは盗難物などの物的捜索対象とが含まれる。また、捜索対象は、人的捜索対象や迷子ペットのように時間的に移動する「動的捜索対象」(dynamic quest-target)と、遺失物又は準遺失物のように時間的に移動しない「静的捜索対象」(static quest-target)との2つのカテゴリにも分けることが出来る。各捜索対象には、該捜索対象に固有のID(識別符号)である「タグID」(tag-ID)が記録されたRFタグが附されている。「プレイヤ」(player)とは、自己の意思により、捜索依頼者の依頼に係る捜索クエストに参加して、該捜索クエストの任務を遂行する主体をいう。本システムにおいては、プレイヤは複数存在するものとする。「クエスト」(quest)とは、特定の結果を追求する任務をいう。「捜索クエスト」(search quest)とは、特定の捜索対象を探し追い求める任務をいう。「クエスト参加プレイヤ」(quest participating player)とは、プレイヤのうち、捜索クエストに参加している者をいう。「捜索タスク」(search task)とは、或る捜索依頼者より捜索対象の捜索要請がされてから、該捜索対象の捜索クエストが開始され、該捜索クエストが終了するまでの一連の捜索業務の一単位をいう。「RFID」(radio frequency identifier)とは、RFタグの固有IDを読み取るシステムをいう(JIS X 0500-3:2009 05.05.60参照)。「RFタグ」(transponder, RF tag)とは、電波(電磁波)を用いて、内蔵したメモリのデータを非接触で読み書きする情報媒体であって、目的物に貼り付けられるものをいう(JIS Z 0667:2017, JIS X 0500-3:2009 05.04.02参照)。
【0039】
〔2〕捜索システム全体の機器構成と捜索システムの数理モデル
〔2.1〕捜索システム全体の機器構成
図1は、本発明に係る捜索システムの全体の機器構成を表す図である。本発明に係る捜索システムは、管理サーバ1、依頼者端末装置2、プレイヤ携帯端末装置3、及び捜索対象に付される捜索対象タグ4を備えている。管理サーバ1は、通信回線5に接続するコンピュータであり、捜索システム全体の動作を制御するコンピュータである。依頼者端末装置2は、捜索依頼者が所有する端末装置であり、通信回線5に接続するコンピュータである。依頼者端末装置2としては、パーソナルコンピュータ、タブレット端末、スマートフォン等が用いられる。プレイヤ携帯端末装置3は、各プレイヤが携帯する携帯可能な端末装置であり、無線によって通信回線5に接続するコンピュータである。プレイヤ携帯端末装置3としては、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末等が用いられる。また、プレイヤ携帯端末装置3は、アンチコリジョンにより各RFタグと無線通信をしてRFタグに記録されたタグIDを読み取るRFIDリーダとしての機能を有している。また、プレイヤ携帯端末装置3は、全球測位衛星システム(GNSS:Global Navigation Satellite System)やローカル測位システム(LPS:Local. Positioning System)によって現在の位置情報を検出する位置検出手段も備えている。捜索対象タグ4は、各捜索対象に付されたRFタグである。
【0040】
この捜索システムにおける行動主体は、捜索依頼者Aと複数のプレイヤBj(j=1,…,NB)である。捜索依頼者Aは、依頼者端末装置2を所持している。以下、捜索依頼者A が所持する依頼者端末装置2(client terminal)を、記号CT(A)と記す。また、各プレイヤBjは、プレイヤ携帯端末装置3を携帯している。以下、プレイヤBjが携帯するプレイヤ携帯端末装置3(player mobile terminal)を、記号MT(Bj)と記す。ここで、NBは潜在的全プレイヤ数である。「潜在的全プレイヤ数」とは、捜索クエストに参加する可能性があるプレイヤの全数をいう。
【0041】
〔2.2〕捜索システムの基本動作
この捜索システムにおける基本的な処理の流れは次の通りである。
(1)捜索依頼者Aは、管理サーバ1に対して、捜索対象Cの捜索要請Rq(C)を送信する。ここで、捜索対象Cに附された捜索対象タグ4をTg(C)、捜索対象タグTg(C)のタグIDをIDTG(C)と記す。
(2)管理サーバ1は、捜索要請Rq(C)を受信すると、各プレイヤ携帯端末装置MT(Bj) (j=1,…,NB)に対して捜索クエストQE(C)を配信する。
(3)プレイヤ携帯端末装置MT(Bj)において、捜索クエストQE(C)が受信された場合、プレイヤBjは、該捜索クエストQE(C)に参加するか否かを決定する。
(4)プレイヤBjが該捜索クエストQE(C)に参加すると決定した場合:
(a)プレイヤBjは、該捜索クエストQE(C)に参加すると、プレイヤ携帯端末装置MT(Bj)によってアンチコリジョンにより、該プレイヤBjの周辺に存在するRFタグの走査を行う。この走査によって検出されたRFタグのタグIDの集合を{IDTGk : k=1,…,Nd}と記す。Ndは走査で検出されたRFタグの数である。RFタグが検出されなければ、Nd=0であり、{IDTGk}=φ(φは空集合)となる。
(i)IDTG(C)∈{IDTGk}であった場合:
プレイヤ携帯端末装置MT(Bj)は、現在の位置情報Posj及びターゲット検出情報TDを含む捜索結果通知NORjを、管理サーバ1へ送信する。
(ii)IDTG(C)∈{IDTGk}ではなかった場合:
プレイヤ携帯端末装置MT(Bj)は、現在の位置情報Posj及びターゲット未検出情報TNDを含む捜索結果通知NORjを、管理サーバ1へ送信する。
(b)管理サーバ1は、各クエスト参加プレイヤBjのプレイヤ携帯端末装置MT(Bj)から捜索結果通知NORjを受信すると、各クエスト参加プレイヤBjに対して参加報酬cを付与する。また、ターゲット検出情報TDを含む捜索結果通知NORjを送信したクエスト参加プレイヤBjに対しては、発見報酬bを付与する。
(i)捜索結果通知NORjにターゲット検出情報TDが含まれる場合:
・該捜索結果通知NORjに含まれる位置情報Posjを含む発見通報NOD(C)を、依頼者端末装置CT(A)に送信する。
・捜索マップに発見位置マークを追加して更新し、更新した捜索マップを依頼者端末装置CT(A)及び各クエスト参加プレイヤBjのプレイヤ携帯端末装置MT(Bj)へ配信する。
(ii)捜索結果通知NORjにターゲット未検出情報TNDが含まれる場合:
・捜索マップに未発見位置マークを追加して更新し、更新した捜索マップを依頼者端末装置CT(A)及び各クエスト参加プレイヤBjのプレイヤ携帯端末装置MT(Bj)へ配信する。
【0042】
ここで、「捜索マップ」とは、捜索範囲全体を含む地図情報であって、各プレイヤ携帯端末装置MT(Bj)による走査により捜索対象Cの検出された位置、及び検出されなかった位置を図示した地図情報をいう。
【0043】
〔2.3〕捜索システム設計の基礎となる数理モデル
次に、本発明の捜索システムに於いて、その考え方の背景となる数理モデルについて説明する。
【0044】
〔2.3.1〕利得とクエスト参加プレイヤ数
前述した通り、本発明の捜索システムにおける行動主体は、捜索依頼者AとプレイヤBj(j=1,…,NB)である。この捜索システムを数理モデルとして取り扱うため、捜索対象Cに係る捜索クエストQE(C)において、捜索依頼者A及び各プレイヤBjが得る利益を数値化したものを利得(payoff)とする。また、以下の説明に於いて、捜索クエストQE(C)に係る捜索対象Cが発見された場合に捜索依頼者Aが得る利得(成功利得)をa、発見報酬をb、参加報酬をc、参加コストをd、クエスト参加プレイヤ数をnB、潜在的全プレイヤ数をNB、クエスト参加プレイヤ1人当たりの発見確率をp0、クエスト参加プレイヤ全員の発見確率をpa、捜索エリアの面積をSa、1つのプレイヤ携帯端末装置MT(Bj)の走査範囲の面積をS1と定義する。
【0045】
捜索クエストQE(C)を依頼した捜索依頼者Aは、其々のクエスト参加プレイヤBjに対して参加報酬cを支払うものとし、また、捜索クエストQE(C)において捜索対象Cを発見したプレイヤBjに対しては発見報酬bを支払うものとする。「参加コスト」は、1人のプレイヤBjが捜索クエストQE(C)に参加するために必要なコストを数値化したものであり、具体的には、プレイヤ携帯端末装置MT(Bj)がRFタグの走査を行う際に消費される電力消費コストや、捜索クエストQE(C)への参加により生じるプレイヤBjの機会損失コストなどである。「クエスト参加プレイヤ1人当たりの発見確率」は、1人のプレイヤBjがプレイヤ携帯端末装置MT(Bj)により1回の走査を行った場合に、捜索対象CのタグID IDTG(C)が検出される確率をいう。「クエスト参加プレイヤ全員の発見確率」とは、全てのクエスト参加プレイヤBj(j=1,…,nB)が各々のプレイヤ携帯端末装置MT(Bj)により1回の走査を行った場合に、捜索対象CのタグID IDTG(C)が検出される確率をいう。このとき、paとp0との間には、次のような関係がある。
【0046】
【数1】
ここで、r
supは各プレイヤ携帯端末装置MT(B
j)同士の走査範囲が重畳する度合いを表す重畳補正係数であり、0から1の間の値をとる。捜索エリアに対してクエスト参加プレイヤB
jが十分疎らに分布していると仮定すると、r
sup≒1であり、
【0047】
【0048】
簡易化のため、捜索対象Cは静的捜索対象であるとし、各々のプレイヤBjは静止していると仮定する。捜索クエストQE(C)において、捜索依頼者Aが得る利得の期待値をπA、各クエスト参加プレイヤBjが得る利得の期待値をπBとすると、
【0049】
【数3】
となる。クエスト参加プレイヤ数n
Bは、一般に1人のクエスト参加プレイヤB
jが得る利得の期待値π
Bが増加すると増加し、π
Bが減少すると減少すると考えられる。π
B=0であれば、プレイヤB
jは捜索クエストQE(C)に参加するメリットがないのでn
B=0となり、π
B→∞であれば参加すれば多大な利得が得られるので全てのプレイヤB
jは捜索クエストQE(C)に参加すると考えてn
B=N
Bとなるとする。そこで、クエスト参加プレイヤ数n
B及び発見確率p
aを次のようなモデル式で表す。
【0050】
【数4】
ここで、関数f
n(x)はf
n(0)=0, f
n(∞)=1となるxに対して単調増加する関数であり、参加インセンティブ関数と呼ぶ。参加インセンティブ関数f
nは、捜索クエストQE(C)への参加により得られる期待利得に対する各プレイヤB
jの参加意欲の関係をモデル化した関数である。期待利得π
Bは、発見報酬b又は参加報酬cを増加させることによって増加するので、発見報酬b又は参加報酬cを増加させることによって捜索対象Cの発見確率p
aは増加する。実際には、参加インセンティブ関数f
n(x)の具体的な曲線形状は、社会実験等を行うことにより決める必要がある。
【0051】
(例1)
さらに解析を進めるためには、参加インセンティブ関数fn(x)の形を決める必要がある。そこで、自分の得る期待利得πBがxに達した点で捜索クエストQE(C)に参加するプレイヤの数をNBφn(x; m,α)とし、分布関数φn(x; m,α)は次のようなガンマ分布によって近似することが出来ると仮定する。
【0052】
【数5】
ここで、αは尺度母数(scale parameter)、mは形状母数(shape parameter)である。α, mは正の実数値とする。このとき、参加インセンティブ関数f
n(x)は次のようになる。
【0053】
【数6】
ここで、Γ(m)はガンマ関数、γ(m,x/α)は第1種不完全ガンマ関数である。
図2に、式(6)の参加インセンティブ関数f
n(x)の例を示す。各パラメータ(α, m)は、実際の社会実験の結果やシステム運用の結果に基づいて、機械学習によって最適化すればよい。
(例終り)
【0054】
〔2.3.2〕最適発見報酬
次に、捜索依頼者Aは捜索クエストQE(C)に対して参加報酬c及び発見報酬bをどの程度支払うのが妥当であるかについて考える。ここでは簡単のため、参加報酬cは固定値として予め決められているものとする。また、参加コストdも定数とする。即ち、捜索依頼者Aが自由に決められるのは、発見報酬bのみであるとする。上述した通り、発見報酬bを増やせば増やすほど捜索対象Cの発見確率paは増加するが、発見報酬bをある程度増やしたところでクエスト参加プレイヤの数nBの増加は鈍り、潜在的全プレイヤ数NBで頭打ちとなる。従って、発見確率paも頭打ちとなるため、無制限に発見報酬bを無制限に増やせばよいというものでもなく、妥当な発見報酬bの値が存在すると考えられる。そこで、最も妥当な指標として、捜索依頼者Aが得る利得の期待値πAが最大となる点が発見報酬bの最適な値であるとする。式(3a),(3b),(4a),(4b)より、
【0055】
【数7】
である。π
B=π
B
*において期待値π
Aが最大となるとすると∂π
A/∂π
B|
πB=πB*=0なので、
【0056】
【数8】
となる。π
B
*は最適プレイヤ期待利得、b
*は最適発見報酬である。従って、発見報酬bを最適発見報酬b
*に設定することによって、捜索依頼者Aの期待利得π
Aは最大化される。ここで、関数f
n(x)は単調増加の関数であるため、その微分f
n'(x)は常に0以上の値となる。
【0057】
(例2)
参加インセンティブ関数fn(x)として式(6)のようなモデルを採用した場合について考える。このとき、式(8a)に式(6)を代入すると、
【0058】
【数9】
となる。式(9a)を数値的に解くことにより、最適プレイヤ期待利得π
B
*を得ることが出来、求めた最適プレイヤ期待利得π
B
*から、式(8b)により最適発見報酬b
*を求めることが出来る。
図3に、α=1としたときの式(9b)のεと最適発見報酬b
*との関係を示す。式(8b)より、最適発見報酬b
*は最適プレイヤ期待利得π
B
*に比例するので、
図3より、捜索依頼者Aの成功利得aが大きくなるほど、最適プレイヤ期待利得π
B
*は大きくなり、従って、最適発見報酬b
*も大きくなることが分かる。
(例終り)
【0059】
〔2.3.3〕参加報酬をシステム管理者が負担する場合
システム管理者(ゲーム主催者)は、捜索システムを運用していく上で、クエスト参加プレイヤBjをなるべく多く確保する必要がある。クエスト参加プレイヤBjをなるべく多く確保するには、各プレイヤBjがプレイできる捜索クエストをできるだけ多くし各プレイヤBjが得ることができる利得をできるだけ大きくするために、できるだけ多くの捜索クエストQE(C)の依頼が必要となる。捜索クエストQE(C)の依頼を多く確保するためには、捜索クエストQE(C)の依頼により捜索依頼者Aが得る期待利得πAを出来るだけ大きくする必要がある。そのためには、捜索クエストQE(C)の参加報酬cはシステム管理者の側で一部負担することが考えられる。システム管理者は、参加報酬cの負担分を広告料収入や通信サービス提供により生じる利得などにより補填すればよい。
【0060】
参加報酬cのシステム管理者の負担率をrc (0<rc<1)、捜索依頼者Aの負担率を1-rcとすれば、捜索クエストQE(C)に対して捜索依頼者Aが得る期待利得πAは次のようになる。
【0061】
【数10】
従って、最適プレイヤ期待利得π
B
*においては、次式が成り立つ。
【0062】
【数11】
式(8a)と式(11)と比較すると、式(8a)の右辺括弧内のdがd-r
ccに置き換わったと考えることができる。従って、式(8b)より、参加報酬cをシステム管理者が負担しない場合と比較すると、最適発見報酬b
*はr
cc/p
0に応じて減少し、その分、さらに捜索依頼者Aの期待利得π
Aは増加することが分かる。
【0063】
〔2.3.4〕自動クエスト参加設定を設けた場合
プレイヤBjのプレイヤ携帯端末装置MT(Bj)において、捜索クエストQE(C)が受信されると自動的に捜索クエストQE(C)に参加するようにしたプレイヤ携帯端末装置MT(Bj)の設定のことを「自動クエスト参加設定」と呼ぶ。自動クエスト参加設定をしているプレイヤBjは、捜索クエストQE(C)がプレイヤ携帯端末装置MT(Bj)で受信されると、自動的に捜索クエストQE(C)に参加することになる。プレイヤBjは、自動クエスト参加設定をしておけば、捜索クエストが発生する毎に、自動的に参加報酬cを得ることができるというメリットがある。
【0064】
潜在的全プレイヤのうち、自動クエスト参加設定をしているプレイヤの数をNB0、自動クエスト参加設定をしていないプレイヤの数をNB1= NB-NB0とすると、クエスト参加プレイヤ数nB及びクエスト参加プレイヤ全員の発見確率paは、次のように変更される。
【0065】
【数12】
従って、捜索依頼者A及び各プレイヤB
jの期待利得π
A, π
Bは次のようになる。
【0066】
【数13】
従って、捜索依頼者Aの期待利得π
Aが最大となる点π
B=π
B
*では、最適プレイヤ期待利得π
B
*は次のような条件を満たす。
【0067】
【0068】
(例3)
参加インセンティブ関数fn(x)として式(6)のようなモデルを採用した場合について考える。このとき、式(14a)に式(6)を代入すると、最適プレイヤ期待利得πB
*は次のような条件を満たす。
【0069】
【数15】
式(9a)と式(15a)を比較すると、自動クエスト参加設定を設けることにより、式(15a)の右辺第2項の寄与分だけ最適プレイヤ期待利得π
B
*は押し下げられ、最適発見報酬b
*も押し下げられることが分かる。式(15a)の左辺をy
1(π
B)、右辺をy
2(π
B)とおく。
図4(a)に、m=2, N
B0/N
B=0.2の場合の曲線y=y
1(π
B)と直線y=y
2(π
B)の例を示す。
図4(b)に、N
B0/N
B=0.2の場合の式(15b)のεと最適プレイヤ期待利得π
B
*との関係を示す。
図4(b)において、点線は(例2)の場合を比較のために参照線として示したものである。
図4(a)より、N
B0/N
Bが大きくなると曲線y=y
1(π
B)と直線y=y
2(π
B)とが交差しない場合が生じる。この場合には、最適プレイヤ期待利得π
B
*及び最適発見報酬b
*は存在せず、発見報酬bは予め決められた最低発見報酬b
0に設定すればよい。また、
図4(b)より、自動クエスト参加設定をしているプレイヤが増えることにより、最適プレイヤ期待利得π
B
*は減少し、従って最適発見報酬b
*は減少することを見て取ることが出来る。
(例終り)
【0070】
〔2.3.5〕複数回の試行走査を行う場合
以上の解析では、簡単化のため、各クエスト参加プレイヤBjは静止状態にあると仮定してきた。然し乍ら、実際に捜索システムを運用する場合、各クエスト参加プレイヤBjは、移動しながら複数回の試行走査を行いつつ、捜索対象Cの捜索を行うことが想定される。そこで、次に、各クエスト参加プレイヤBjが複数回の試行走査を行う場合について考える。尚、ここでは計算を簡単にするため、捜索対象Cは静的捜索対象であると仮定する。
【0071】
或るプレイヤBjが移動しながらRFタグTg(C)の走査を行うと、プレイヤBjの走査範囲の面積S1jはその分だけ増加する。従って、このプレイヤBjの発見確率をp0j、全てのクエスト参加プレイヤ{Bj}の発見確率paとすれば、発見確率p0j,paは次のように表される。
【0072】
【数16】
ここで、r
sup(S
1j)は、プレイヤB
jの走査範囲が他のプレイヤの走査範囲と重畳することによる補正係数を表す。今、捜索エリア内にクエスト参加プレイヤは十分疎らに分布しており、プレイヤB
jの走査範囲が他のプレイヤの走査範囲と重畳する影響は無視できると仮定すれば、r
sup(S
1j)=1とみなすことができる。プレイヤB
jの走査範囲S
1jは、近似的にそのプレイヤB
jの移動距離r
Bjに比例するので、プレイヤB
jの走査範囲S
1jは次のように表される。
【0073】
【数17】
ここで、S
10はプレイヤB
jが静止している場合に於ける走査範囲の面積、λ
1は単位移動距離当たりの走査範囲面積の増加率を表す。r
sup(S
1j)=1として式(17)を式(16b)に代入すると、発見確率p
aは次のように表される。
【0074】
【0075】
ところで、各プレイヤBjが捜索クエストQE(C)の参加時間内にどのように移動するかは、其々のプレイヤBj毎に異なり一律ではない。そこで、ここでは各プレイヤBjは完全にランダムに移動すると仮定することにする。即ち、各プレイヤBjは捜索クエストQE(C)の期間にランダムウォーク(random walk)を行うものと仮定する。捜索クエストQE(C)の開始からの経過時間をtとすると、ランダムウォークを行うプレイヤの、時刻tにおけるある座標軸(x軸)方向の移動距離xの分布は正規分布関数により表され、移動距離の分布確率φ(x,t)は次のようになる。
【0076】
【数19】
ここで、Dは拡散係数であり定数とする。また、σ
r=√(2Dt)は時刻tの移動距離分布の標準偏差である。この仮定のもとで、プレイヤB
jの時刻tにおける移動距離の期待値<r
B(t)>、及び発見確率p
aを計算すると次のようになる。
【0077】
【数20】
従って、其々のプレイヤB
jに対する捜索クエストQE(C)の継続時間T
Qjの平均値<T
Qj>を平均継続時間T
Qとすれば、捜索クエストQE(C)を通しての捜索対象Cの発見確率p
a(T
Q)は次のように表される。
【0078】
【数21】
即ち、各プレイヤB
jが移動しながら複数回の走査を行った場合には、式(21a)の右辺第2項の寄与分だけ捜索対象Cの発見確率p
aが上昇すると考えられる。この場合、最適プレイヤ期待利得π
B
*及び最適発見報酬b
*が満たすべき関係式は次のようになる。
【0079】
【数22】
ここで、参加報酬cのうちr
ccをシステム管理者が負担するとし、自動クエスト参加設定を適用して、自動クエスト参加設定をしているプレイヤの数をN
B0、自動クエスト参加設定をしていないプレイヤの数をN
B1とした。
【0080】
〔2.3.6〕移動捜索報酬を設けた場合
式(21a)より、捜索対象Cの発見確率paを増加させるには、プレイヤの拡散係数Dを増加させればよいことが分かる。プレイヤの拡散係数Dは、各プレイヤBjに対して捜索クエストQE(C)の期間内に出来るだけ広範囲に移動するようなインセンティブを与えることにより達成できると考えられる。そこで、各プレイヤBjに対し、そのプレイヤBjの移動距離xjに応じて移動探査報酬К(xj)を与えることを考える。移動探査報酬К(xj)は、移動距離xjに応じて単調増加する関数とする。ここでは簡単のため、К(xj)=κxjとする。κは、単位移動距離当たりの移動探査報酬であり移動探査報酬係数と呼ぶ。この場合、捜索クエストQE(C)に対して、捜索依頼者Aが得る利得の期待利得πA及び各プレイヤBjが得る利得の期待利得πBは、次のようになる。
【0081】
【数23】
移動探査報酬係数κが大きいほど各プレイヤB
jの平均移動距離の期待値Xは大きくなると考えられる。また、移動探査報酬係数κがある程度まで大きくなると期待値Xは飽和すると考えられる。そこで、期待値Xを次のようにモデル化する。
【0082】
【数24】
ここで、X
0は移動探査報酬К(x
j)がなくても自然に生じる各プレイヤの平均移動距離であり、X
1は移動探査報酬К(x
j)によって追加的に生じる各プレイヤの平均移動距離の増分の最大値を表す。f
m(x)は、利得xに対して生じるプレイヤが移動しようとするインセンティブをモデル化した関数であり、移動インセンティブ関数と呼ぶ。移動インセンティブ関数f
m(x)は、f
m(0)=0, f
m(∞)=1となる、利得xに対し単調増加な関数である。χ
κ,χ
bは、其々、移動探査報酬係数κ,発見報酬bに対する移動インセンティブ感受率である。このモデルでは、移動探査報酬係数κが大きくなるほど各プレイヤB
jの平均移動距離の期待値Xは大きくなり、また、発見報酬bが大きくなるほど各プレイヤB
jの平均移動距離の期待値Xは大きくなる。各プレイヤB
jの立場から見た場合、発見報酬bは運が良ければ獲得できる利得であり、移動探査報酬κXは、移動すれば確実に得られる利得である。従って、一般に、移動探査報酬係数κに対する移動インセンティブ感受率χ
κと発見報酬bに対する移動インセンティブ感受率χ
bとは分けて考えるほうが妥当であると考えられる。式(23a)~(24)より、次式が得られる。
【0083】
【数25】
この式から、捜索依頼者Aの期待利得π
Aが最大となるような組合せ(b,κ)を求め、その組み合わせを(b
*,κ
*)とすることで、最適成功報酬b
*及び最適移動探査報酬係数κ
*を求めることが出来る。
【0084】
(例4)
参加インセンティブ関数fn(x)として式(26a)のようなモデルを採用し、移動インセンティブ関数fm(x)として次式(26b)のようなモデルを採用した場合について考える。
【0085】
【数26】
移動探査報酬係数κの効果を調べるためN
B0=0, N
B1=N
B, r
c=0とする。一例として、他の各パラメータの値を、N
B=500, a=10000, c=2, d=1, p
0=0.001, γ
s=0.00001, X
0=10, X
1=100, n
1=2, α
1=1, n
2=2, α
2=1, χ
κ=10, χ
b=0.01のように設定すると、(b,κ)と期待利得π
Aとの関係は、
図5のようになる。
図5では、(b,κ)=(b
*,κ
*)=(340, 0.10)において、捜索依頼者Aの期待利得π
Aが最大値π
A=3563となる。また、移動探査報酬を設けない場合(κ=0の場合)は、最適成功報酬b
*はb
*=2300であり、このときの捜索依頼者Aの期待利得π
Aは、π
A=2724である。従って、移動探査報酬を設けたことにより、839の捜索依頼者Aの期待利得π
Aの増加が見込まれることが分かる。一方、発見報酬bと発見確率p
aとの関係は
図6のようになり、移動探査報酬係数κを大きくするほど発見確率p
aは増加する。然し乍ら、移動探査報酬係数κを大きくすると、その分、各プレイヤB
jに支払われる移動探査報酬К(x
j)が増大するため、捜索依頼者Aの期待利得π
Aは押し下げられる。従って、捜索依頼者Aの期待利得π
Aと移動探査報酬係数κの丁度良いバランスがとられるように最適移動探査報酬係数κ
*が決定される。
(例終り)
【0086】
〔2.3.7〕段階的捜索クエスト配信
以上の説明では、管理サーバ1から各プレイヤ携帯端末装置3へ捜索クエストQE(C)を同時に配信することを前提としていた。然し乍ら、プレイヤBjには、捜索クエストQE(C)に積極的に取り組む積極的プレイヤと、あまり積極的に取り組まない消極的プレイヤとがいると考えられる。そこで、管理サーバ1が捜索クエストQE(C)を配信するにあたり、積極的プレイヤに先行して捜索クエストQE(C)を配信し、一定の期間、捜索クエストQE(C)が達成されなかった場合に限り、残りの消極的プレイヤに捜索クエストQE(C)を配信することを考える。これにより、捜索依頼者Aの期待利得πAを向上させると共に、各プレイヤBjに対する捜索クエストQE(C)への積極的な取り組み意欲を向上させることが出来ると考えられる。このように、積極的プレイヤを優先して段階的に捜索クエストQE(C)の配信を行う手法を「段階的捜索クエスト配信」と呼ぶ。以下では、段階的捜索クエスト配信により、捜索依頼者Aの期待利得πAがどのように変化するかについて説明する。
【0087】
各プレイヤBjが捜索クエストQE(C)に積極的に取り組んでいるか否かを評価する指標として、過去の捜索クエストに於ける各プレイヤBjの平均移動距離Xpjを用いる。以下、この平均移動距離XpjをプレイヤBjの「実績移動距離」と呼ぶ。捜索クエストQE(C)の期間中に於ける各プレイヤBjの移動はそのプレイヤBjの自由意思によって決まるため、個々のプレイヤの移動形態は不明である。そこで、ここでは各プレイヤはランダムに移動すると仮定し、個々のプレイヤはランダムウォークを行うものとして取り扱うことにする。この場合、捜索クエストQE(C)の開始からの経過時刻tにおける各プレイヤの各方位θpjに対する移動距離rpjの分布関数φ(rpj,θpj,t)は次のように表される。
【0088】
【数27】
ここで、D
jはプレイヤB
jの拡散係数を表す。r
pjの過去の平均値が実績移動距離X
pjであるので、実績移動距離X
pjは次のように表される。
【0089】
【数28】
ここで、TQは1回の捜索クエストQE(C)当たりの平均継続時間である。今、全プレイヤの実績移動距離X
pjの平均値をX
pとおく。
【0090】
【数29】
そして、X
pj≧ξX
pであるプレイヤB
j∈{ B
j | X
pj≧ξX
p }を積極的プレイヤ(positive player)、X
pj<ξX
pであるプレイヤB
j∈{ B
j | X
pj<ξX
p }を消極的プレイヤ(negative player)と定義する。ここで、ξは0以上の実数であり「優先閾値決定パラメータ」と呼ぶ。ξX
p=X
thは、積極的プレイヤと消極的プレイヤとを分ける実績移動距離の閾値であり、「優先プレイヤ決定閾値」と呼ぶ。ξ=1のときにはX
th=X
pとなる。管理サーバ1は、捜索クエストQE(C)の開始時刻には、積極的プレイヤの集団{ B
j | X
pj≧ξX
p }に対して捜索クエストQE(C)の配信を行うこととする。そして、一定の時間T
1(<T
Q)が経過するまでに捜索対象Cが発見されなかった場合には、時刻T
1において、消極的プレイヤの集団{ B
j | X
pj<ξX
p }に対しても捜索クエストQE(C)の配信を行うこととする。時間T
1を「優先期間」と呼ぶ。積極的プレイヤの数をN
Bp、消極的プレイヤの数をN
Bnとする。N
Bp, N
Bnは、各プレイヤB
jの実績移動距離X
pjの分布に依存して決まる。ここでは、計算による見積もりを行うために、実績移動距離X
pjの分布は以下のガンマ分布φ(X; k,θ)により近似できると仮定する。
【0091】
【数30】
ここで、kは形状母数(shape parameter)、θは尺度母数(scale parameter)、Γ(k)はΓ関数である。ガンマ分布φ(X; k,θ)においてはXの平均値E[X]はE[X]=kθなので、
【0092】
【数31】
である。また、積極的プレイヤの数N
Bp、消極的プレイヤの数N
Bnは、次のように表される。
【0093】
【数32】
ここで、γ(k,x)は第1種不完全ガンマ関数、Γ(k,x)は第2種不完全ガンマ関数である。また、全プレイヤの拡散係数の平方根の平均値<√D
0>、積極的プレイヤの拡散係数の平方根の平均値<√D
p>、消極的プレイヤの拡散係数の平方根の平均値<√D
n>は、それぞれ次のように表される。
【0094】
【数33】
従って、捜索クエストQE(C)の開始から時刻tまでの積極的プレイヤの平均移動距離<X
pp(t)>、消極的プレイヤの平均移動距離<X
pn(t)>は、それぞれ、次のように表される。
【0095】
【0096】
捜索クエストQE(C)の開始から時刻T1までに捜索対象Cが発見される確率をpa1(T1)とすると、式(20b)より、発見確率pa1(T1)は次のようになる。
【0097】
【数35】
ここで、P
p1は時刻T
1までの積極的プレイヤ一人当たりの平均発見確率、π
Bpは各積極的プレイヤが得る利得の期待値、n
Bpは捜索クエストQE(C)に参加した積極的プレイヤの数、N
Bp0は積極的プレイヤのうち自動クエスト参加設定をしている者の数である。また、時刻T
1までに捜索対象Cが発見されなかった場合であって、時刻T
Qまでに捜索対象Cが発見される確率p
a2(T
1;T
Q)は次のようになる。
【0098】
【数36】
ここで、P
pは時刻T
Qまでの積極的プレイヤ一人当たりの平均発見確率、P
nは時刻T
1~T
Qでの消極的プレイヤ一人当たりの平均発見確率、π
Bnは各消極的プレイヤが得る利得の期待値、n
Bnは捜索クエストQE(C)に参加した消極的プレイヤの数、N
Bn0は消極的プレイヤのうち自動クエスト参加設定をしている者の数である。従って、捜索クエストQE(C)の開始から終了までに捜索対象Cが発見される確率p
aは、次のようになる。
【0099】
【0100】
以上より、捜索依頼者Aが得る利得の期待値πA、各積極的プレイヤが得る利得の期待値πBp、各消極的プレイヤが得る利得の期待値πBnは、それぞれ次のように表される。
【0101】
【0102】
式(38a)の数値計算によって、期待利得πAが最大となるようにパラメータ(b, κ, T1,ξ)を決定することで、最終的に最適発見報酬b*、並びに最適発見報酬b*に対する捜索依頼者Aの期待利得πA及び発見確率paの予測値を決定することができる。パラメータ(b, κ, T1,ξ)の最適化は、例えば、シンプレックス法などの通常の方法を使用して行うことが可能である。
【0103】
ここで、各パラメータd, c, α1, α2, n1, n2, χκ, χbは、過去の捜索クエストQE(C)の実施結果を教師データとして機械学習によって逐次更新してゆくことで、捜索依頼者Aが得る利得の期待値πA、捜索対象Cが発見される確率paの予測精度を向上させていくことができる。尚、システム管理者やプレイヤBjの便宜に配慮して、参加報酬cは固定値としてもよい。
【0104】
図7に、段階的捜索クエスト配信を行った場合の捜索依頼者Aの期待利得π
Aの変化の一例を示す。
図7は、横軸が発見報酬b、縦軸が期待利得π
Aである。また、各曲線は、T
1/T
Qを0から1まで変化させた場合の値を示している。T
1/T
Q =0は、段階的捜索クエスト配信を行わない場合、すなわち、全てのプレイヤに同時にクエスト配信を行う場合に該当する。また、T
1/T
Q =1は、積極的プレイヤのみにしかクエスト配信を行わない場合に該当する。
図7では、段階的捜索クエスト配信の効果を調べるため、N
Bp0= N
Bn0=0,r
c=0,κ=0としている。また、各パラメータは、a=10000,c=2,d=1,N
B=500,p
0=0.001,X
p=10,k=2,T
Q=100,ξ=0.8,γ
s=0.000005のように設定している。
図7のケースでは、T
1/T
Q =0.3~0.4として段階的捜索クエスト配信を行った場合に、捜索依頼者Aの利得期待利得π
Aは最大化されていることが分かる。
【0105】
尚、ここでは、現実の社会モデルに対するフィッティングの自由度の高さと解析計算の容易さから、参加インセンティブ関数fn(x),移動インセンティブ関数fm(x)として式(26a),(26b)を用いて説明したが、関数fn(x),fm(x)は、現実の社会モデルを近似的に表せる、定義域[0,∞)において値域[0,1]の単調増加関数であればどのようなものでもよい。例えば、fn(x),fm(x)として式(39a)や式(39b)のような関数f(x)を用いて近似することも考えられる。
【0106】
【0107】
〔3〕捜索システムの機能構成
図8は、本発明の実施例1の捜索システムの機能構成を表すブロック図である。
図8(a)は管理サーバ1、
図8(b)はプレイヤ携帯端末装置3を表している。
【0108】
管理サーバ1は、プレイヤ情報データベース101、クエスト情報データベース102、捜索地図情報データベース103、プレイヤ登録部104、パーティ登録部105、クエスト見積受付部106、最適発見報酬計算部107、最適発見報酬通知部108、クエスト受付部109、クエスト情報配信部110、捜索応答受信部111、発見通報部112、捜索マップ生成部113、捜索マップ配信部114、発見報酬付与部115、参加報酬付与部116、プレイヤ移動距離算出部117、移動探査報酬与部118、実績移動距離算出部119、報酬通知部120、クエスト終了判定部121を備えている。尚、これらの各構成部は、管理サーバ1のコンピュータにプログラムを読み込ませ、該プログラムを実行することにより、機能的に構成されるものとする。
【0109】
プレイヤ情報データベース101は、各プレイヤBjに関する情報を管理するデータベースである。プレイヤ情報データベース101は、プレイヤ管理テーブル101a、利得管理テーブル101b、実績移動距離管理テーブル101c、パーティ情報管理テーブル101dを備えている。プレイヤ管理テーブル101aは、事前に登録された各プレイヤBjの情報及び該プレイヤBjが携帯するプレイヤ携帯端末装置3に関する情報を管理するテーブルである。プレイヤ管理テーブル101aでは、プレイヤBjがパーティに所属する場合には該プレイヤが所属するパーティの情報である所属パーティ情報も管理する。利得管理テーブル101bは、各プレイヤBjに付与される利得の情報である利得情報を管理するテーブルである。実績移動距離管理テーブル101cは、各プレイヤBjが捜索クエストQE(C)の期間に移動した距離であるプレイヤ移動距離を管理するテーブルである。パーティ情報管理テーブル101dは、複数のプレイヤが作るパーティに関する管理するテーブルである。クエスト情報データベース102は、各捜索クエストQE(C)に関する情報を管理するデータベースである。捜索地図情報データベース103は、捜索マップ情報を管理するデータベースである。
【0110】
プレイヤ登録部104は、プレイヤ情報データベース101に対して、捜索クエストQE(C)に参加可能なプレイヤBjの登録・削除の処理を行うモジュールである。パーティ登録部105は、プレイヤ情報データベース101に対して、プレイヤ情報データベース101に登録されたプレイヤBjのうちの複数のプレイヤからなるパーティPT({Bj})の登録・削除の処理を行うモジュールである。クエスト見積受付部106は、依頼者端末装置2から送信される捜索クエストQE(C)の捜索クエスト見積要請RQE(QE(C))を受信する処理を行うモジュールである。この捜索クエスト見積要請RQE(QE(C))には、捜索依頼者Aにとっての捜索対象Cの価値を数値化した値を表す成功利得aの情報、発見報酬bの情報、捜索対象Cの情報、捜索対象Cに附された捜索対象タグTg(C)のタグID IDTG(C)の情報、捜索エリアの情報が含まれる。最適発見報酬計算部107は、捜索クエスト見積要請RQE(QE(C))に含まれる成功利得aに基づき、予め設定された計算式に基づき、該捜索対象Cの捜索クエストQE(C)に適した発見報酬bの額である最適発見報酬値b*、予測される捜索対象Cの発見確率pa、捜索依頼者Aの期待利得πAを計算する処理を行うモジュールである。最適発見報酬通知部108は、(最適発見報酬値b*,発見確率pa,期待利得πA)を、捜索クエスト見積要請RQE(QE(C))を送信した依頼者端末装置2に対して送信する処理を行うモジュールである。クエスト受付部109は、依頼者端末装置2から送信される捜索クエストQE(C)の捜索クエスト要請RQ(QE(C))を受信する処理を行うモジュールである。クエスト情報配信部110は、捜索クエスト要請RQ(QE(C))が受信されると、該捜索クエスト要請RQ(QE(C))に含まれる捜索対象CのタグIDの情報及び捜索対象Cを特定する情報を含む捜索クエスト受付通知NOT(QE(C))を、プレイヤ管理テーブル101aに登録された各プレイヤ携帯端末装置3に対して配信する処理を行うモジュールである。クエスト情報配信部110は、前述した段階的捜索クエスト配信に係る処理も行う。捜索応答受信部111は、捜索クエスト受付通知NOT(QE(C))に対して各プレイヤ携帯端末装置3から返信される、捜索対象CのタグID IDTG(C)の検出又は未検出の情報及び該プレイヤ携帯端末装置3の位置情報Posjを含む捜索結果通知NORjを受信する処理を行うモジュールである。発見通報部112は、捜索結果通知NORjが受信された場合であって、該捜索結果通知NORjにタグID IDTG(C)を検出したターゲット検出情報TDが含まれていた場合、該捜索結果通知NORjに含まれる位置情報Posjを含む発見通報NOD(C)を依頼者端末装置2に送信する処理を行うモジュールである。捜索マップ生成部113は、捜索結果通知NORjに基づき、捜索地図情報データベース103で管理されている捜索マップ情報MAP(QE(C))の更新処理を行うモジュールである。捜索マップ生成部113は、捜索結果通知にタグID IDTG(C)が未検出であるターゲット未検出情報TNDが含まれていた場合には、捜索マップ情報MAP(QE(C))における該捜索結果通知NORjに含まれる位置情報Posjで特定される位置に、未発見位置を示すマークを追加する。また、捜索結果通知NORjにタグID IDTG(C)を検出したターゲット検出情報TDが含まれていた場合には、捜索マップ情報MAP(QE(C))における該捜索結果通知NORjに含まれる位置情報Posjで特定される位置に、発見位置を示すマークを追加する。捜索マップ配信部114は、捜索地図情報データベース103で管理されている捜索クエスト要請RQ(QE(C))に対する捜索マップ情報MAP(QE(C))を、捜索結果通知NORjを返信した各プレイヤ携帯端末装置3又は依頼者端末装置2に対して配信する処理を行うモジュールである。発見報酬付与部115は、捜索結果通知NORjを受信した場合であって、該捜索結果通知NORjにタグID IDTG(C)を検出した情報が含まれていた場合、利得管理テーブル101bで管理されている該捜索結果通知NORjを送信したプレイヤBjの利得に、所定の発見報酬bの利得値を加える処理を行うモジュールである。参加報酬付与部116は、捜索結果通知NORjを受信した場合、利得管理テーブル101bで管理されている該捜索結果通知NORjを送信したプレイヤBjの利得に、所定の参加報酬cの利得値を加える処理を行うモジュールである。プレイヤ移動距離算出部117は、各プレイヤ携帯端末装置3から返信される捜索結果通知NORjに含まれる位置情報Posjに基づき、捜索クエスト受付通知に係る捜索クエストQE(C)の期間に各プレイヤBjが移動した距離であるプレイヤ移動距離Xpjを算出する処理を行うモジュールである。移動探査報酬与部118は、プレイヤ移動距離Xpjに応じて、利得管理テーブル101bで管理されている捜索結果通知NORjを送信したプレイヤBjの利得に、所定の移動探査報酬К(Xpj)の利得値を加える処理を行うモジュールである。実績移動距離算出部119は、実績移動距離管理テーブル101cに保存された各プレイヤBjの実績移動距離を集計し、プレイヤ管理テーブル101aにおける各プレイヤBjの優先度の設定を行うモジュールである。報酬通知部120は、各プレイヤ携帯端末装置3に対して付与された報酬値を送信する処理を行うモジュールである。クエスト終了判定部121は、捜索クエストQE(C)の終了を判定する処理を行うモジュールである。
【0111】
プレイヤ携帯端末装置3は、ティスプレイ装置301、入力装置302、位置検出装置303、RFID通信部304、プレイヤ登録要請部305、パーティ登録要請部306、クエスト受諾選択部307、自動クエスト参加設定部308、RFタグ捜索部309、捜索応答送信部310、捜索マップ表示部311、クエスト見積要請部312、情報報知部313を備えている。ここで、プレイヤ携帯端末装置3は、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末等の通常の携帯型端末装置である。尚、ティスプレイ装置301、入力装置302、位置検出装置303、RFID通信部304以外の各構成部については、プレイヤ携帯端末装置3にプログラムを読み込ませ、該プログラムを実行することにより、機能的に構成されるものとする。
【0112】
ティスプレイ装置301及び入力装置302は、通常の携帯型端末装置に備えられたディスプレイ及び入力装置であり、例えば、タッチパネルディスプレイやキーボードなどである。位置検出装置303は、GNSSやLPS等の測位システムにより現在位置の検出を行うモジュールである。RFID通信部304は、RFタグに対する質問信号を無線送信すると共に、該質問信号に対しRFタグから返信される応答信号に含まれる、該RFタグに記憶された固有IDであるタグIDの読み取りを行うモジュールである。プレイヤ登録要請部305は、管理サーバ1と通信を行うことでプレイヤ登録に係る処理を行うモジュールである。パーティ登録要請部306は、管理サーバ1と通信を行うことで該プレイヤ携帯端末装置3を所持するプレイヤBjのパーティ登録に係る処理を行うモジュールである。クエスト受諾選択部307は、管理サーバ1から送信される捜索クエスト受付通知NOT(QE(C))を受信した場合、該捜索クエスト受付通知NOT(QE(C))に係る捜索クエストQE(C)を受諾するか否かを選択する処理を行うモジュールである。自動クエスト参加設定部308は、管理サーバ1から送信される捜索クエスト受付通知NOT(QE(C))を受信した場合、該捜索クエスト受付通知NOT(QE(C))に係る捜索クエストQE(C)を自動的に受諾するようにする自動クエスト参加設定を行うモジュールである。自動クエスト参加設定がされた場合、クエスト受諾選択部307は、捜索クエスト受付通知NOT(QE(C))を受信した場合は捜索クエストQE(C)を自動的に受諾する。RFタグ捜索部309は、クエスト受諾選択部307により捜索クエストQE(C)を受諾する選択がされた場合、RFID通信部304により質問信号を無線送信し、応答信号の受信及びタグIDの読み取りを試行する処理を行うモジュールである。捜索応答送信部310は、RFタグ捜索部309によるRFタグの走査結果と、位置検出装置303により検出される現在の位置情報Posjとを含む捜索結果通知NORjを管理サーバ1へ送信する処理を行うモジュールである。捜索応答送信部310は、RFタグ捜索部309により読み取られたタグIDのうちの何れかが、捜索クエスト受付通知NOT(QE(C))に含まれるタグID IDTG(C)と一致する場合には、ターゲット検出情報TD及び現在の位置情報Posjを含む捜索結果通知NORjを管理サーバへ1送信する。一方、RFタグ捜索部309によりタグIDが検出されなかった場合や、RFタグ捜索部309により読み取られたタグIDの何れもがタグID IDTG(C)と一致しなかった場合には、ターゲット未検出情報TND及び現在の位置情報Posjを含む捜索結果通知NORjを管理サーバへ1送信する。捜索マップ表示部311は、管理サーバ1から送信される捜索マップ情報MAP(QE(C))を受信すると、該捜索マップ情報MAP(QE(C))を、該プレイヤ携帯端末装置3のティスプレイ装置301に表示する処理を行うモジュールである。クエスト見積要請部312は、管理サーバ1に対して捜索クエスト見積要請を送信する処理を行うモジュールである。情報報知部313は、プレイヤ携帯端末装置3のプレイヤに付与された報酬や捜索対象の発見情報等の報知を行うモジュールである。
【0113】
〔4〕データベースの構成
図9は、
図8のプレイヤ情報データベース101の構成を示すER図(IDEDF1X記法)である。プレイヤ情報データベース101は、プレイヤ管理テーブル101a、利得管理テーブル101b、実績移動距離管理テーブル101c、パーティ情報管理テーブル101dを備えている。プレイヤ管理テーブル101aは、各プレイヤの情報と該プレイヤが所持するプレイヤ携帯端末装置3の情報を纏めて管理するテーブルである。プレイヤ管理テーブル101aは、プレイヤの識別コードである「プレイヤID」、プレイヤの名称の情報である「登録名」、プレイヤ携帯端末装置3の電子メールのアドレス情報である「E-mail」、プレイヤが所属するパーティのパーティIDの情報である「所属パーティ」、プレイヤの登録日の情報である「登録日」、プレイヤの優先度(積極的プレイヤか消極的プレイヤか)に関する情報である「優先度」、の各フィールドを有する。「優先度」は、積極的プレイヤが2、消極的プレイヤが1、新規プレイヤ(登録してから一定の期間T
newが経過する前のプレイヤ)が0とする。利得管理テーブル101bは、各プレイヤが得た利得の情報を管理するテーブルである。利得管理テーブル101bは、利得管理レコードの識別コードである「利得管理ID」、プレイヤの識別コードである「プレイヤID」、プレイヤが得た利得値の情報である「利得値」、利得値以外のプレイヤが得た利得(例えば、ベームアイテム等)の情報である「利得付加情報」、の各フィールドを有する。実績移動距離管理テーブル101cは、各プレイヤが捜索クエストQE(C)の期間中に移動した実績移動距離の情報を管理するテーブルである。実績移動距離管理テーブル101cは、実績移動距離管理レコードの識別コードである「移動距離管理ID」、プレイヤの識別コードである「プレイヤID」、プレイヤが捜索クエストに参加した時点の日時情報である「開始日時」、プレイヤが捜索クエストに参加した時点でのプレイヤの位置情報である「開始位置」、プレイヤの実績移動距離の情報である「移動距離」、捜索クエストの継続時間の情報である「クエスト継続時間」、の各フィールドを有する。パーティ情報管理テーブル101dは、複数のプレイヤが作るパーティに関する管理するテーブルである。パーティ情報管理テーブル101dは、パーティの識別コードである「パーティID」、パーティの名称の情報である「パーティ名」、パーティに所属するプレイヤ数N
ptの情報である「所属プレイヤ数」、の各フィールドを有する。
【0114】
〔5〕捜索システムの動作
以上のように構成された本実施例に係る捜索システムについて、以下その動作を説明する。
【0115】
〔5.1〕プレイヤ登録とパーティ登録
まず、捜索クエストQE(C)を受ける各プレイヤBjは、事前にプレイヤ携帯端末装置3のプレイヤ登録要請部305により管理サーバ1にプレイヤ登録要請を行い、管理サーバ1のプレイヤ登録部104は、プレイヤ登録要請に従って、プレイヤBjをプレイヤ管理テーブル101aに登録する。また、複数のプレイヤ{Bj}がパーティを組む場合には、プレイヤ携帯端末装置3のパーティ登録要請部306によって管理サーバ1にパーティ登録要請を行い、管理サーバ1のパーティ登録部105は、パーティ登録要請に従って、プレイヤ{Bj}のパーティPT({Bj})をパーティ情報管理テーブル101dに登録する。また、パーティPT({Bj})を組む各プレイヤBjは、プレイヤ携帯端末装置3のプレイヤ登録要請部305により管理サーバ1にパーティ所属登録要請を行い、管理サーバ1のプレイヤ登録部104は、パーティ所属登録要請に従って、プレイヤ管理テーブル101aのプレイヤBjのレコードの「所属パーティ」フィールドに、パーティPT({Bj})のパーティIDを登録する。これらの各登録手続きについては、通常広く実施されている登録手続きの方法と同様であるため、詳細な動作説明に関しては省略する。
【0116】
〔5.2〕捜索クエスト要請
図10は、捜索依頼者Aが捜索クエスト要請RQ(QE(C))を行うまでの捜索システムの動作を表すフローチャートである。
【0117】
まず、捜索依頼者Aは、依頼者端末装置2により、通信回線5を介して、管理サーバ1が公開している捜索クエスト依頼ホームページにアクセスする(S101,S201)。そして、捜索依頼者Aは、依頼者端末装置2の表示画面に表示される捜索クエスト依頼ホームページにおいて、捜索対象Cの捜索を依頼するための捜索クエストQE(C)の依頼内容に関する情報を入力装置302により入力する(S102)。ここで、「捜索クエストQE(C)の依頼内容に関する情報」には、少なくとも、捜索対象Cに付されたRFタグ(捜索対象タグTg(C))のタグID IDTG(C)の情報、捜索対象Cそのものに関する情報(例えば、自転車、財布、迷子、老人等)、捜索エリアの情報(例えば、○○市内、○○町内等)、捜索依頼者Aが主観的に評価する捜索対象Cの価値(即ち、捜索対象Cが無事に発見された場合において捜索依頼者Aが得る利得)である成功利得aの情報、報酬上限額(捜索依頼者Aが全プレイヤに対して支払い可能な報酬の上限)Vmaxの情報が含まれている。ここで、成功利得aは、例えば、金額換算値、ポイント換算値、仮想通貨換算値のように、何らかの価値単位により数値化して表されているものとする。そして、捜索クエストQE(C)の依頼内容に関する情報が入力されると、プレイヤ携帯端末装置3のクエスト見積要請部312は、入力された捜索クエストQE(C)の依頼内容に関する情報を含む、捜索クエスト見積要請RQE(QE(C))を管理サーバ1へ送信する(S103)。
【0118】
管理サーバ1において、クエスト見積受付部106が依頼者端末装置2から送信された捜索クエスト見積要請RQE(QE(C))を受信すると(S202)、実績移動距離算出部119は、実績移動距離管理テーブル101cに保存された各プレイヤBjの実績移動距離を集計し、プレイヤ管理テーブル101aにおける各プレイヤBjの優先度の設定を行う(S203)。ここで、或るプレイヤBjについて、現時点においてプレイヤ管理テーブル101aに記録された登録日から一定の期間Tnew経過する前であれば、実績移動距離算出部119は、該プレイヤBjの優先度を0(新規プレイヤ)に設定する。プレイヤBjが登録日から一定の期間Tnewを経過している場合、実績移動距離算出部119は、実績移動距離管理テーブル101cから、該プレイヤBjが過去に参加した各捜索クエストQE(Ck)における移動距離Xpkj及びクエスト継続時間TQkを読み出し、次のようにして該プレイヤBjの実績移動距離Xpjを算出する。
【0119】
【数40】
ここで、S
QEjはプレイヤB
jが参加した捜索クエストQE(C
k)の集合、S
QEは過去の全ての捜索クエストQE(C
k)の集合、N
QEは過去の全ての捜索クエストQE(C
k)の数(集合のS
QE大きさ)、N
QEjは過去のプレイヤB
jが参加した捜索クエストQE(C
k)の数(集合のS
QEj大きさ)、T
Qは過去の全ての捜索クエストQE(C
k)の平均継続時間である。式(40)において、各捜索クエストQE(C
k)における移動距離X
pkjの平均値を算出する際に、移動距離X
pkjを該捜索クエストQE(C
k)の継続時間の平方根√(T
Qk)により規格化しているのは、各プレイヤB
jは捜索クエストQE(C
k)の期間中にランダムウォークにより移動すると仮定したことによるものである(式(20a)参照)。尚、プレイヤB
jが過去に捜索クエストに一度も参加していない場合にはX
pj=0とする。次いで、実績移動距離算出部119は、全てのプレイヤB
jの実績移動距離X
pjの平均値X
pを式(29)により算出する。そして、プレイヤB
jがX
pj≧ξX
pの場合には該プレイヤB
jの優先度を2(積極的プレイヤ)、プレイヤB
jがX
pj<ξX
pの場合には該プレイヤB
jの優先度を1(消極的プレイヤ)に設定する。
【0120】
そして、最適発見報酬計算部107は、捜索クエスト見積要請RQE(QE(C))に含まれる成功利得a、捜索エリア等の情報に基づき、捜索依頼者Aの期待利得πAが最大となるように、該捜索対象Cの捜索クエストQE(C)に適した発見報酬bの額である最適発見報酬値b*、最適な移動探査報酬係数κ、最適な優先閾値決定パラメータξ、最適な優先期間T1、予測される捜索対象Cの発見確率pa、捜索依頼者Aの期待利得πAを計算する(S204)。最適発見報酬値b*の計算は、予め設定された予測計算式に基づき行われる。予測計算式は、例えば、〔2〕で説明したような数理モデルによる解析から導出される式(38a)~(38d),(35d),(36e),(37)を用いて数値的に算出することが出来る。最適発見報酬通知部108は、算出された(最適発見報酬値b*,発見確率pa
*,期待利得πA
*)を、捜索クエスト見積要請RQE(QE(C))を送信した依頼者端末装置2に対して送信する(S205)。
【0121】
依頼者端末装置2では、管理サーバ1から送信された(最適発見報酬値b*,発見確率pa
*,期待利得πA
*)を受信すると(S104)、依頼者端末装置2の表示画面上に参考値として表示する(S105)。捜索依頼者Aは、この参考値を参照して発見報酬bの値を設定する(S106)。〔2〕の数理モデルによる解析で説明したように、発見報酬bを増加させれば発見確率paは増加するが、最適発見報酬b*を超えると期待利得πAは減少する。捜索依頼者Aは、発見報酬bや成功利得aの値を所望の値に変更しながら、最適発見報酬値b*、最適発見報酬値b*における(発見確率pa
*,期待利得πA
*)、及び発見報酬bにおける(発見確率pa,期待利得πA)を再計算することを反復して行い(S107,S108,S206)、最終的に、捜索依頼者Aにとって最も望ましい(発見報酬b,発見確率pa,期待利得πA)の組合せとなるように、発見報酬bと成功利得aの値を決める。このとき、発見報酬bの値が変更されると依頼者端末装置2のクエスト見積要請部312は、管理サーバ1に対し発見報酬bにおける(発見確率pa,期待利得πA)の計算要請を行い、管理サーバ1の最適発見報酬計算部107は発見報酬bにおける(発見確率pa,期待利得πA)の計算を行い、その結果を最適発見報酬通知部108が依頼者端末装置2に返信し、依頼者端末装置2のクエスト見積要請部312は、発見報酬bにおける(発見確率pa,期待利得πA)の予測値をティスプレイ装置301に表示する。また、成功利得aの値が変更された場合には、ステップS103に戻り、(最適発見報酬値b*,発見確率pa
*,期待利得πA
*)を再計算して依頼者端末装置2の表示画面上に参考値として表示するとともに、現在設定されている発見報酬bに対する(発見確率pa,期待利得πA)も再計算して表示画面上に参考値として表示する。
【0122】
このようにして、発見報酬bと成功利得aの値が決まると、捜索依頼者Aは、依頼者端末装置2により管理サーバ1へ、捜索クエストQE(C)の依頼内容に関する情報等を含む捜索クエスト要請RQ(QE(C))を送信する(S109)。ここで、捜索クエスト要請RQ(QE(C))には、設定した成功利得a及び発見報酬bの情報、捜索対象Cそのものに関する情報(例えば、自転車、財布、迷子、老人等)、捜索対象Cに附された捜索対象タグTg(C)のタグID IDTG(C)の情報、捜索エリアの情報(例えば、○○市内、○○町内等)、報酬上限額(捜索依頼者Aが全プレイヤに対して支払い可能な報酬の上限)Vmaxの情報が含まれる。
【0123】
図11に、依頼者端末装置2の表示画面上に表示される捜索クエスト依頼ホームページの画面の一例を示す。捜索依頼者Aは、画面上部の[捜索依頼情報]の欄の各マスに、捜索対象の名称及びタグID、捜索エリア(捜索範囲)、対象価値(成功利得a)、発見報酬(発見報酬b)、報酬上限額V
maxを入力する。捜索依頼者Aが[設定]ボタンをクリック又はタップすると、入力された情報が管理サーバ1に送信され、(最適発見報酬値b
*,発見確率p
a
*,期待利得π
A
*)の組合せと(発見報酬b,発見確率p
a,期待利得π
A)の組合せとが計算され、その結果が依頼者端末装置2に返信され、[捜索クエスト参考予測情報]の欄に表示される。[捜索クエスト参考予測情報]の欄において、[現状設定予測値]の列には、現在の発見報酬bの設定値に対する(発見報酬b,発見確率p
a,期待利得π
A)の情報が参考として表示され、[最適設定予測値]の列には、最適発見報酬b
*に対する(最適発見報酬値b
*,発見確率p
a
*,期待利得π
A
*)の情報が参考として表示される。捜索依頼者Aは、[捜索クエスト参考予測情報]の欄に表示された情報を参考にして、[捜索依頼情報]の欄の対象価値(成功利得a)や発見報酬(発見報酬b)を変更し、再度[設定]ボタンをクリック又はタップすると、[捜索クエスト参考予測情報]の欄に、新たな設定で再計算された情報が表示される。これを繰り返すことで、最終的に、捜索依頼者Aにとって最も望ましい(発見報酬b,発見確率p
a,期待利得π
A)の組合せとなるように、対象価値(成功利得a)と発見報酬(発見報酬b)の値を決める。対象価値(成功利得a)と発見報酬(発見報酬b)の値が決まると、捜索依頼者Aは[クエスト要請]ボタンをクリック又はタップする。これにより、最後に設定された各値で、管理サーバ1へ捜索クエスト要請RQ(QE(C))が送信される。
【0124】
以上のようにして、本システムでは、捜索依頼者Aは、過去の実績に基づいて計算される(最適発見報酬値b*,発見確率pa,期待利得πA)を参照しながら、発見報酬bと成功利得aの値を決めて捜索クエストQE(C)の要請を行うことができる。通常、捜索依頼者Aは、捜索対象Cの捜索を依頼するにあたって、発見報酬bをどの程度にすればよいのか分からないので、参考値として(最適発見報酬値b*,発見確率pa,期待利得πA)を提示されることは極めて有効であると考えられる。また、成功利得aも、捜索依頼者Aの主観により大きく変化するものであるため、捜索依頼者Aが最初考えていた成功利得aと、捜索依頼者Aが(最適発見報酬値b*,発見確率pa,期待利得πA)を参考にして改めて考え直した成功利得aとは異なるものとなると考えられる。例えば、捜索対象Cが「迷子」等の場合、当所設定した成功利得aで(最適発見報酬値b*,発見確率pa,期待利得πA)を参照すると十分な発見確率paが得られないと予測された場合には、捜索依頼者Aは成功利得aを増加さようと判断する場合も考えられる。従って、捜索依頼者Aが(最適発見報酬値b*,発見確率pa,期待利得πA)を参考にしながら、発見報酬bと成功利得aの値を決めていくことで、捜索依頼者Aが捜索クエストQE(C)の要請を行うに当たっての納得感を充足させることができる。
【0125】
〔5.3〕捜索クエストの遂行
図12は、捜索クエストQE(C)の遂行時における捜索システムの動作を表すフローチャートである。
【0126】
管理サーバ1において、クエスト受付部109が捜索クエスト要請RQ(QE(C))を受信すると(S207)、クエスト情報配信部110は、該捜索クエスト要請RQ(QE(C))に含まれるタグID IDTG(C)の情報及び捜索対象Cを特定する情報、捜索エリアの情報、発見報酬bの情報、参加報酬cの情報、移動探査報酬К(Xj)の情報を含む捜索クエスト受付通知NOT(QE(C))を、プレイヤ管理テーブル101aに登録されたプレイヤのうち、「優先度」が2(積極的プレイヤ)又は0(新規プレイヤ)のプレイヤ(以下「優先プレイヤ」という。)Bjのプレイヤ携帯端末装置3に対して配信する(S211)。
【0127】
プレイヤ携帯端末装置3において、捜索クエスト受付通知NOT(QE(C))を受信すると(S311)、クエスト受諾選択部307は、捜索クエスト受付通知NOT(QE(C))を受信したことを報知し(S312)、捜索クエスト受付通知NOT(QE(C))に係る捜索クエストQE(C)に参加するか否かを判定する(S313)。ここで、自動クエスト参加設定部308により事前に自動クエスト参加設定がされている場合には、クエスト受諾選択部307は、自動的に捜索クエストQE(C)に参加するように判定する。また、自動クエスト参加設定がされていない場合、クエスト受諾選択部307は、ティスプレイ装置301に捜索クエストQE(C)に参加するか否かの選択入力を促す画面を表示し、プレイヤ携帯端末装置3を携帯するプレイヤBjが入力装置302により参加するか否かの選択を行う。このプレイヤBjの選択入力に従って、クエスト受諾選択部307は捜索クエストQE(C)に参加するか否かを判定する。捜索クエストQE(C)に参加しないと判定された場合には、ステップS311に戻る。一方、捜索クエストQE(C)に参加すると判定された場合には、次のステップS314に進む。
【0128】
ステップS314において、プレイヤ携帯端末装置3の位置検出装置303は、現在のプレイヤ携帯端末装置3の位置情報(経緯座標)Posjを検出する(S314)。そして、RFタグ捜索部309は、RFID通信部304により質問信号を無線送信し、該質問信号に対する応答信号の受信及びタグIDの読み取りを試行する(S315)。ここで、RFタグ捜索部309により一乃至複数のタグIDの読み取りがされた場合であって、読み取られたタグIDのうちの何れかが、捜索クエスト受付通知NOT(QE(C))に含まれる捜索対象タグTg(C)のタグID IDTG(C)の情報と一致する場合には(S316)、捜索応答送信部310は、タグID IDTG(C)が検出されたことを示すターゲット検出情報TD、及び現在の現在の位置情報Posjを含む捜索結果通知NORjを管理サーバ1へ送信する(S317)。一方、RFタグ捜索部309により一つのタグIDも読み取られなかった場合、又は読み取られたタグIDの中にタグID IDTG(C)の情報と一致するものがなかった場合には(S316)、捜索応答送信部310は、タグID IDTG(C)が検出されなかったことを示すターゲット未検出情報TND、及び現在の現在の位置情報Posjを含む捜索結果通知NORjを管理サーバ1へ送信する(S318)。
【0129】
管理サーバ1において、捜索応答受信部111は、プレイヤ携帯端末装置3から送信される捜索結果通知NORjを受信する(S212)。捜索結果通知NORjが受信されると、捜索応答受信部111は、該捜索結果通知NORjにターゲット検出情報TDが含まれているか否かを検査する。また、このとき、参加報酬付与部116は、捜索結果通知NORjを送信したプレイヤ携帯端末装置3を所持するクエスト参加プレイヤBjの報酬値Vjに対して、まだ参加報酬cを付与していない場合であって、該捜索結果通知NORjに含まれる位置情報Posjが捜索クエストQE(C)の捜索エリアに含まれている場合(プレイヤBjが捜索エリア内の場合)には、参加報酬cを加算する。また、プレイヤ移動距離算出部117は、プレイヤBjが捜索エリア内の場合、捜索クエストQE(C)におけるプレイヤBjの実質の移動距離Xpkjを計算し、実績移動距離管理テーブル101cに格納する。移動探査報酬与部118は、プレイヤ移動距離算出部117により算出された実質の移動距離Xpkjに応じてプレイヤBjの移動探査報酬К(Xpkj)=κXpkjを計算し、プレイヤBjの報酬値Vjに対して移動探査報酬К(Xpkj)の増分を加算する。ここで、「実質の移動距離」とは、プレイヤBjが捜索クエストQE(C)に参加した時点の位置からの移動距離をいう。即ち、プレイヤBjが捜索クエストQE(C)に参加した時点のプレイヤBjの位置ベクトルをqkj(0)、捜索クエストQE(C)の期間内の時刻tkiにおけるプレイヤBjの位置ベクトルをqkj(tki)としたとき、捜索クエストQE(C)におけるプレイヤBjの実質の移動距離Xpkjは次のように計算される。
【0130】
【数41】
従って、プレイヤB
jが同じ場所を行ったり来たりしたとしても、実質の移動距離X
pkjは増加しないことになる。
【0131】
ステップS213において、該捜索結果通知NORjにターゲット未検出情報TNDが含まれていた場合(S213)、後述のステップS216に進む。一方、該捜索結果通知NORjにターゲット検出情報TDが含まれていた場合(S213)、発見通報部112は、該捜索結果通知NORjに含まれる位置情報Posjを含む発見通報NOD(C)を、依頼者端末装置2及び各プレイヤ携帯端末装置3に送信する(S214)。次いで、発見報酬付与部115は、捜索結果通知NORjを送信したプレイヤ携帯端末装置3を所持するクエスト参加プレイヤBjの報酬値Vjに対して、発見報酬を加算し(S215)、後述のステップS216に進む。このとき、発見報酬付与部115は、プレイヤ管理テーブル101aを参照して、プレイヤBjがパーティに所属しているか否かを判定し、プレイヤBjがパーティに所属していない場合には、プレイヤBjの報酬値Vjに対して、発見報酬bを加算する。一方、プレイヤBjがパーティPTに所属している場合には、該パーティPTに所属している全てのプレイヤBjの報酬値Vjに対して、発見報酬b/Npt(NptはプレイヤBjのパーティPTに所属する所属プレイヤ数)を加算する。
【0132】
ステップS216において、報酬通知部120は、各プレイヤ携帯端末装置3を所持するクエスト参加プレイヤBjの報酬値Vjに変更があった場合には、該プレイヤ携帯端末装置3に対して、プレイヤBjの報酬値Vjを送信する(S216)。次いで、捜索マップ生成部113は、捜索結果通知NORjに含まれる位置情報Posjとターゲット検出情報TD又はターゲット未検出情報TNDとに基づき、捜索地図情報データベース103の捜索クエストQE(C)に関する捜索マップ情報MAP(QE(C))を更新し(S217)、捜索マップ配信部114は、更新された捜索マップ情報MAP(QE(C))を、捜索依頼者Aの依頼者端末装置2及び各クエスト参加プレイヤBjのプレイヤ携帯端末装置3に配信する(S218)。ここで、捜索結果通知NORjにターゲット検出情報TDが含まれる場合には、捜索マップ生成部113は、捜索マップ情報MAP(QE(C))において、位置情報Posjで特定される位置に発見位置を示すマーク(発見位置マーク)を追加することで、捜索マップ情報MAP(QE(C))を更新する。捜索結果通知NORjにターゲット未検出情報TNDが含まれる場合には、捜索マップ生成部113は、捜索マップ情報MAP(QE(C))において、位置情報Posjで特定される位置に未発見位置を示すマーク(未発見位置マーク)を追加することで、捜索マップ情報MAP(QE(C))を更新する。
【0133】
図13に、捜索マップ情報MAP(QE(C))の一例を示す。
図13において、未発見位置マーク及び発見位置マークは、円形で表されている。これらの円の半径は、プレイヤ携帯端末装置3が備えるRFID通信部304の通信エリアの面積を表している。
【0134】
次いで、クエスト情報配信部110は、現時刻に於いて、捜索クエストQE(C)の開始時刻からの優先期間T1が経過したか否かを判定し(S219)、現時刻に於いて優先期間T1が経過していた場合には、捜索クエストQE(C)の捜索クエスト受付通知NOT(QE(C))をまだ配信していないすべてのプレイヤ携帯端末装置3(即ち、捜索クエスト受付通知NOT(QE(C))が未配信の消極的プレイヤのプレイヤ携帯端末装置3)に対して、捜索クエスト受付通知NOT(QE(C))を配信する(S220)。これにより、前述した段階的捜索クエスト配信が実行されることになる。
【0135】
次いで、クエスト終了判定部121は、捜索クエストQE(C)の終了判定を行う(S221)。ここで、捜索クエストQE(C)の終了判定は、捜索依頼者Aの依頼者端末装置2から捜索クエストQE(C)のクエスト終了要請RQF(QE(C))が送信されてきた場合には、クエスト終了と判定される。また、現時点に於いて、利得管理テーブル101bにおいて記録されている捜索クエストQE(C)に参加した各クエスト参加プレイヤBjに対して付与された報酬値Vjの合計が報酬上限額Vmaxを超えた場合には、クエスト終了と判定される。それ以外の場合には、クエスト未終了と判定される。ここで、クエスト未終了と判定された場合は、ステップS212へ戻る。一方、クエスト終了と判定された場合には、クエスト終了判定部121は、捜索クエストQE(C)の各クエスト参加プレイヤBjのプレイヤ携帯端末装置3に対してクエスト終了通知NOF(QE(C))を配信し(S222)、管理サーバ1における捜索クエストQE(C)に関する一連の処理を終了する。
【0136】
クエスト参加プレイヤBjのプレイヤ携帯端末装置3においては、ステップS216において管理サーバ1から配信されたプレイヤBjの報酬値Vjを受信すると(S319)、情報報知部313は、受信したプレイヤBjに付与された報酬値Vjを報知する(S320)。このように、プレイヤBjには、報酬値Vjが増える度に逐次報酬値Vjが報知されるため、プレイヤBjは、自分の報酬値Vjが増加していっていることを逐次認識することができ、より報酬を得るために移動し、捜索対象Cを発見しようとするインセンティブが働くことになる。
【0137】
また、プレイヤ携帯端末装置3において、ステップS214において管理サーバ1から配信された捜索対象Cの発見通報NOD(C)を受信すると(S321)、情報報知部313は、捜索対象Cが発見されたことを報知する(S322)。これにより、各プレイヤBjは、捜索対象Cが発見されたことをすぐに認知することができる。
【0138】
また、プレイヤ携帯端末装置3において、ステップS218において管理サーバ1から配信された捜索マップ情報MAP(QE(C))を受信すると(S323)、捜索マップ表示部311は、捜索クエストQE(C)に対する捜索マップ情報MAP(QE(C))を、該プレイヤ携帯端末装置3のティスプレイ装置301に表示する(S324)。これにより、各プレイヤBjは、捜索済みのエリアや捜索対象Cが発見されなかった位置をリアルタイムに把握できるため、捜索対象Cの効率的な捜索を行うことができる。
【0139】
また、プレイヤ携帯端末装置3において、ステップS222において管理サーバ1から配信されたクエスト終了通知NOF(QE(C))を受信すると(S325)、該プレイヤ携帯端末装置3における捜索クエストQE(C)に関する一連の処理を終了する。
【0140】
一方、捜索依頼者Aの依頼者端末装置2においては、ステップS214において管理サーバ1から配信された捜索対象Cの発見通報NOD(C)を受信すると(S111)、依頼者端末装置2は、捜索対象Cが発見されたことを報知する(S112)。これにより、捜索依頼者Aは、捜索対象Cが発見されたことをすぐに認知することができる。
【0141】
また、依頼者端末装置2において、ステップS218において管理サーバ1から配信された捜索マップ情報MAP(QE(C))を受信すると(S113)、依頼者端末装置2は、捜索クエストQE(C)に対する捜索マップ情報MAP(QE(C))を、該依頼者端末装置2の表示装置に表示する(S114)。これにより、捜索依頼者Aは、捜索済みのエリアや捜索対象Cが発見されなかった位置、捜索対象Cが発見された位置をリアルタイムに把握できる。
【0142】
また、依頼者端末装置2において、捜索依頼者Aにより、捜索クエストQE(C)の打ち切りを支持するクエスト終了指示が入力された場合(S115)、依頼者端末装置2は、管理サーバ1に対して、捜索クエストQE(C)の終了を要請するクエスト終了要請RQF(QE(C))を送信する(S116)。これにより、捜索依頼者Aは捜索クエストQE(C)を終了させることができる。
【0143】
以上のように、依頼者端末装置2及び各プレイヤ携帯端末装置3に発見位置マーク又は未発見位置マークが記された捜索マップ情報MAP(QE(C))をリアルタイムに表示させることによって、各プレイヤBjは、捜索済みのエリアや捜索対象Cが発見されなかった位置をリアルタイムに把握でき、捜索対象Cの効率的な捜索を行うことができる。また、捜索依頼者Aは捜索対象Cの捜索の進行状況を、リアルタイムに把握することができ、捜索対象Cが発見された場合には、その位置を即座に知ることが出来る。
【0144】
また、捜索依頼者Aは、
図11のように、依頼者端末装置2の表示装置に表示される捜索クエスト参考予測情報に基づき、適切な捜索対象Cの価値(成功利得a)や発見報酬bを決めて設定することが容易となる。そして、適切な成功利得aや発見報酬bを設定することで、必要十分な数のクエスト参加プレイヤB
jを集めることが容易となる。さらに、各クエスト参加プレイヤB
jに対して移動探査報酬К(x
j)を与えることにより、捜索クエストQE(C)の期間中における個々のクエスト参加プレイヤB
jの移動インセンティブを高めてより多くの移動を促し、個々のクエスト参加プレイヤB
jの発見確率p
0を高めることで、捜索対象Cの発見確率p
aを高めることが可能となる。
【0145】
さらに、ステップS211,S220のように、段階的捜索クエスト配信を行うことによって、捜索依頼者Aの期待利得πAを高めて、より多くの捜索クエストQE(C)の依頼を呼び込むことに繋げることが出来る。また、段階的捜索クエスト配信を行うことで、各プレイヤBjに対しては、優先プレイヤになろうとするインセンティブが働く。その結果、捜索クエストQE(C)の期間中に積極的に移動するプレイヤを増やすことにも繋がり、その結果として捜索対象Cの発見確率paをより高めることが可能となる。
【符号の説明】
【0146】
1 管理サーバ
101 プレイヤ情報データベース
101a プレイヤ管理テーブル
101b 利得管理テーブル
101c 実績移動距離管理テーブル
101d パーティ情報管理テーブル
102 クエスト情報データベース
103 捜索地図情報データベース
104 プレイヤ登録部
105 パーティ登録部
106 クエスト見積受付部
107 最適発見報酬計算部
108 最適発見報酬通知部
109 クエスト受付部
110 クエスト情報配信部
111 捜索応答受信部
112 発見通報部
113 捜索マップ生成部
114 捜索マップ配信部
115 発見報酬付与部
116 参加報酬付与部
117 プレイヤ移動距離算出部
118 移動探査報酬与部
119 実績移動距離算出部
120 報酬通知部
121 クエスト終了判定部
2 依頼者端末装置
3 プレイヤ携帯端末装置
301 ティスプレイ装置
302 入力装置
303 位置検出装置
304 RFID通信部
305 プレイヤ登録要請部
306 パーティ登録要請部
307 クエスト受諾選択部
308 自動クエスト参加設定部
309 RFタグ捜索部
310 捜索応答送信部
311 捜索マップ表示部
312 クエスト見積要請部
313 情報報知部
4 捜索対象タグ
5 通信回線