(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-12
(45)【発行日】2022-05-20
(54)【発明の名称】耐火集成材
(51)【国際特許分類】
E04B 1/94 20060101AFI20220513BHJP
E04C 3/14 20060101ALI20220513BHJP
【FI】
E04B1/94 R
E04C3/14
(21)【出願番号】P 2018002966
(22)【出願日】2018-01-11
【審査請求日】2021-01-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000206211
【氏名又は名称】大成建設株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】591120088
【氏名又は名称】越井木材工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100162396
【氏名又は名称】山田 泰之
(74)【代理人】
【識別番号】100122954
【氏名又は名称】長谷部 善太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100194803
【氏名又は名称】中村 理弘
(72)【発明者】
【氏名】池畠 由華
(72)【発明者】
【氏名】道越 真太郎
(72)【発明者】
【氏名】若山 恵英
(72)【発明者】
【氏名】高橋 愛枝
(72)【発明者】
【氏名】森田 仁彦
(72)【発明者】
【氏名】松尾 浩樹
(72)【発明者】
【氏名】中濱 慎司
(72)【発明者】
【氏名】越井 潤
【審査官】河内 悠
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-030896(JP,A)
【文献】特開2015-034437(JP,A)
【文献】特開2016-065431(JP,A)
【文献】特開2005-048585(JP,A)
【文献】特開2012-040793(JP,A)
【文献】特開2015-129431(JP,A)
【文献】特開2017-193950(JP,A)
【文献】特開2006-218707(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0081844(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/62-1/99
E04C 3/00-3/46
B27M 1/00-3/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中央部に木製荷重支持部を配置し、その外周に炭化防止層、難燃積層板層、
0.5g/cm
3
以上の高密度木材層が順に配置されている
集成材であって、
難燃積層板層が、100kg/m
3
以上の難燃薬剤が含浸されている薄板が積層されている層であって、
炭化防止層が、耐熱性が150℃以上である、水ガラス、レゾルシノール樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、シリコーン樹脂のいずれか、あるいはこれらの組み合わせであり、これらの塗布量が350g/m
2
以上である層であることを特徴とする集成材。
【請求項2】
柱材又は梁材であることを特徴とする請求項1記載の集成材。
【請求項3】
耐火性の集成材であることを特徴とする請求項1
又は2に記載の集成材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木製の集成材に関する。特に、耐火性能を向上させた木製集成材に関する。
【背景技術】
【0002】
木材は、なじみがある素材であって、古来より住宅などの建築に利用されてきており、戦後造林された森林資源も充実してきている。一方、可燃性材料であって、単木では品質のばらつきがあることなど建築材料としては使いにくい点がある。
集成材は、選別した優良な多数の板材を接着剤で接合して構成された一定品質の材料である。長さ、太さ、大きさも設定することができ、寸法も揃えることができ、大型建築にも利用可能となっている。
可燃性対策も各種検討されている。例えば、難燃薬剤を含浸させる方法や難燃材で被覆する方法などがある。難燃薬剤処理した木材と、モルタルなどの不燃材を組み合わせたものが多く提案されている。
【0003】
可燃性対策に関する従来の提案をいくつか紹介する。
特許文献1(特開2015-196363号公報)には、難燃化処理された木材は塗装の付着が悪く、シランカップリング材をプライマー層として、下地処理することにより、塗装の付着性を向上させる発明が提案されている。
特許文献2(特開2012-136939号公報)には、荷重支持部の外隅部に難燃化処理材を配置し、米松などの外周材を設けて、耐火性能を向上させる提案がなされている。
特許文献3(特開2008-2189号公報)には、荷重支持層とその外側にモルタルや難燃処理材を配置し、その外側に表面材を設けた木質構造材が提案されている。
特許文献4(特開2011-152773号公報)には、リン系難燃基剤を木材へ処理するにあたり、浸透孔を設けないと、深さ方向に十分な薬剤処理ができないことが開示されている。
特許文献5(特開2014-87980号公報)には、モルタルバーを形成した梁材が提案されている。
特許文献6(特開2006-218707号公報)には、内層集成材と外層集成材をエポキシ樹脂、イソシアネート樹脂、又はウレタン樹脂の接着剤で接合し、かつ内層集成材にレゾルシノール樹脂接着剤を用いた木質系構造材が提案されている。
特許文献7(特開2005-53195号公報)には、荷重支持層の外側にモルタルや金属などの不燃材を配置した複合木質構造材が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-196363号公報
【文献】特開2012-136939号公報
【文献】特開2008-002189号公報
【文献】特開2011-152773号公報
【文献】特開2014-087980号公報
【文献】特開2006-218707号公報
【文献】特開2005-053195号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、耐火性を向上させた木質系集成材を開発することを目的とする。特に、荷重支持部に炭化が及ばない耐火性を備えた木質の構造部材を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、荷重支持部材に被覆する層構成として、高密度木材層、難燃積層板層、炭化防止層を組み合わせて配置することによって、全体として被覆層を薄くするとともに、表面的には一般の木材と同様の仕上げが可能な構造材として使用可能な木質耐火構造部材である。
1.中央部に木製荷重支持部を配置し、その外周に炭化防止層、難燃積層板層、0.5g/cm
3
以上の高密度木材層が順に配置されている集成材であって、
難燃積層板層が、100kg/m
3
以上の難燃薬剤が含浸されている薄板が積層されている層であって、
炭化防止層が、耐熱性が150℃以上である、水ガラス、レゾルシノール樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、シリコーン樹脂のいずれか、あるいはこれらの組み合わせであり、これらの塗布量が350g/m
2
以上である層であることを特徴とする集成材。
2.柱材又は梁材であることを特徴とする1.記載の集成材。
3.耐火性の集成材であることを特徴とする1.又は2.に記載の集成材。
【発明の効果】
【0007】
1.耐火性を向上させた木質系集成材を開発することができた。特に、中心部の荷重支持部材が炭化することを防止できるので、構造部材として使用が可能となる。
荷重支持部材に被覆する層構成として、高密度木材層、難燃積層板層、炭化防止層を組み合わせて配置することによって、全体として被覆層を薄くするとともに、表面的には一般の木材と同様の仕上げが可能な構造材として使用可能な木質耐火構造部材を実現できた。
2.表面材は、薬剤などを含まない高密度木材であって、カンナなどの通常の木材と同じ加工を施すことが可能であり、また、そのまま露出させて使用ができ、感触も天然木と同等であり、そして表面は高密度材であるので、キズなどにも強く、維持、メンテナンスも容易である。
高密度木の燃焼は低密度の木よりも燃焼速度が緩やかとなり、難燃積層板の厚みを薄くすることができる。難燃積層板層に燃焼が及ぶことを抑制するので炭化遅延層として機能する。
高密度木を表層に設けることで難燃積層板に含浸された難燃薬剤の溶脱を防止することができ、難燃性能の劣化防止、難燃薬剤の溶脱による表面の白華現象も防止可能である。薬剤溶脱防止のための塗装が不要である。
高密度木は仕上げ層を兼ねるので部材断面を小さくすることが可能となる。密度が高いため、傷などもつきにくい。
3.難燃薬剤を薄板に含浸することで、ひき板に含浸させるよりも含浸量を増やすことができ、かつ、均一に含浸することができる。体積あたりの難燃薬液含浸量を増やすことで、炭化防止効果が向上するため、難燃積層板層を薄くでき、耐火集成材の部材断面を小さくすることができる。
4.炭化防止層は耐熱性を発揮して、荷重支持部が炎に直接に曝されることを防止し、着火することを防止する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】燃焼試験に伴う荷重支持部材の温度変化を示すグラフ。
【
図4】難燃薬剤の薬液量による燃焼試験に伴う荷重支持部材の温度変化を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、耐火性を備えた木質系集成材である。
図1に本発明の、耐火集成材1の構成の概略を示す。耐火集成材1は、中央部に木製荷重支持部2を配置し、その外周に炭化防止層3、難燃積層板層4、高密度木材からなる炭化遅延層5を順に配置した木質系集成材である。
火災に被災したときに木製荷重支持部が損傷しにくい構造を実現したので、梁や柱材などの架構材として十分に利用できる。
本発明は、荷重支持部の外側に3層を被覆形成した耐火木質材であって、表面側から密度の高い木材若しくは圧縮して密度を高めた木材(以降、高密度木)で構成された表面層と、その内側に、難燃薬剤を含浸させた薄板を積層した難燃積層板配置し、さらに炭化防止層を設けて、中心部に荷重支持木材を配置した積層材である。
中心部の荷重支持木材に火災の熱による損傷が及ばないように、その表面側に被覆する材料として木質系の材料を用いて選択し、組み合わせることにより、構造用材として建築に利用可能な木質系の耐火集成材を実現したものである。
【0010】
木材は、可燃物であって、その燃焼は次のように一般的に説明されている
木材は、一般的に、180℃前後から可燃性ガスを放出し始め、口火があれば引火し、260℃以上になると引火した後は口火がなくなっても燃え続ける(着火)とされている。この260℃が出火危険温度とされており、さらに、450℃を超えると口火なしでも発火するとされている。木材の燃焼は、燃焼時に燃え焦げて、表面に断熱効果のある炭化層が生じ、酸素の供給を妨げるため、内部の燃焼が遅延される。一般的な燃焼速度は0.6mm/分程度とされている(朝倉書店「建築材料」2009.4.20出版、65頁参照)。
木質耐火構造部材は、加熱終了後に荷重支持部を炭化させずに燃え止まる必要がある。荷重支持部の炭化を防ぐには、目的とする耐火時間に応じて耐火被覆層の厚みが必要になり断面が大きくなる。被覆層の厚みを薄くする方法のひとつに木材に難燃薬液を含浸させる方法があるが、一般的な集成材に用いられる挽き板や小角材に対して必要な薬剤量を均一に含浸させるには、特許文献4に示されるように、工夫と労力を要する。本発明は、荷重支持部材に被覆する層構成として、高密度木材層、難燃積層板層、炭化防止層を組み合わせて配置することによって、全体として被覆層を薄くするとともに、表面的には一般の木材と同様の仕上げが可能な構造材として使用可能な木質耐火構造部材である。
【0011】
1.木製荷重支持部
木製荷重支持部は、建物の梁材や柱材として強度を負担する部分であって、木質集成材や一本の木材で構成される。一本の角柱材は、原木ごとのばらつきがあるので、一定の強度に揃えるには木質集成材が適している。木質集成材は、太さと長さも設計できる。
【0012】
2.炭化防止層
炭化防止層は、荷重支持部材と難燃積層板層との間にあって、耐熱性能を有する層である。難燃積層材層が高温になっても炎が荷重支持部の木材に直接触れないように遮断する。
炭化防止層を構成する材料は耐熱性が150℃以上の被膜を構成できる物質である。炭化防止層の材料の分解温度は150℃~300℃以上である物質とする。
難燃積層板は薬剤が厚み方向に均一に分布し、表面を平滑化した場合にも単位体積あたりの薬剤量が変化しない。
炭化防止層は、荷重支持部材が燃焼するために必要な酸素を遮断し、炭化防止層が融点を超えた場合に荷重支持部材の温度も下げる傾向に働くので荷重支持部材の炭化を防止する働きがある。炭化防止層は木材で被覆をするよりも厚みを要さないので、被覆厚を従来よりも薄くすることができる。
【0013】
炭化防止層がないまたは不十分な場合は被覆厚が同じでも荷重支持部材の炭化は防止できないが、例えば、フェノール樹脂350g/m
2以上を炭化防止層に設けた場合は荷重支持部材の炭化を防止可能である(
図2)。
炭化防止層を形成する物質は、無機物あるいは高分子化合物を使用することができる。例えば、水ガラス、レゾルシノール樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、シリコーン樹脂などである。これらは、単独又は組み合わせて使用することができる。
炭化防止層は、融点が150℃以上の合成樹脂性接着剤が適している。エポキシ樹脂、レゾルシノール樹脂等を荷重支持部材の周囲に設ける。塗布量は350g/m
2以上とする。荷重支持部材を構成する集成材が燃焼するための酸素を遮断し、炭化を防止する。
【0014】
3.難燃積層板層
難燃化積層板層は、難燃薬剤を含浸させた薄板を積層・接着した層である。スギやヒノキなどは比重が0.5以下であって、空隙が沢山ある材であるが、内部に薬剤を含浸することは難しく、突刺処理などの前処理を施す方法が提案されているが、均一に薬剤を含浸させることは困難であり、品質管理上問題がある。
積層・接着する前の薄い板材に対して、難燃剤を加圧含浸することにより、十分な量を均一に含浸することができ、これを積層することによって、十分な厚さを持った層を形成することができる。
使用する難燃薬剤は、リン系防火薬剤、窒素系防火薬剤、ホウ素系防火薬剤、ハロゲン系防火薬剤を使用することができ、100kg/m3以上の薬剤を含浸させる。
【0015】
難燃薬液処理した木材の層を積層板とすることで、立米あたりの難燃薬液含浸量を容易に約400kg/m3まで増やすことができる。必要な耐火性能に応じて各単板の難燃薬液含浸量を変えることも可能である。例えば、難燃薬液含浸処理用の薄板は3~4mm程度の厚みを用いる。なお、厚みが10mmでは、十分な含浸が困難になる。難燃積層板は薄板に難燃薬剤を含浸させて、乾燥後接着する。薄板に含浸することで、ひき板に含浸させるよりも含浸量を増やすことが可能となり、表面を切削加工して平滑化した場合でも薬剤が均一に含浸されているため、安定した性能を確保することができる。
薬液を含浸させてから接着させるため、確保したい耐火性能により、含浸量の異なる薄板を積層することが可能である。薬液を必要最小限の量にすることが可能である。通常のラミナに薬剤を含浸させた場合は、薬剤を防火上有利な量の分布に調整することは難しい。
【0016】
4.高密度木材層(炭化遅延層)
炭化遅延層の木材密度を0.5g/cm3以上とする。難燃積層板層からの難燃薬剤の溶脱防止と炭化速度の遅延、傷の防止に効果がある。
高密度木材は、木材が高温に暴露された場合、炭化層を形成し、延焼抵抗が大きくなって、その内側が延焼することを防止する機能を果たす。重心部が炭化して劣化することを防止するので、本発明では、この層を炭化遅延層という。
この材の例としては、イペ、ウリン、ジャラなどの樹種が該当し、スギ材など低密度木材は、圧縮して密度を高める処理を施すことによって、十分な高密度を確保できる。
高密度木材層は、金属や無機材層を設けることなく耐火性を備えている。
【実施例】
【0017】
実施例として、難燃LVLを用いた耐火集成材の例を
図3に示す。
図3は、難燃LVL耐火集成材11の平面断面図である。この実施例は建物の柱を構成する部材であり、断面は正方形を呈している。なお、部材の断面は矩形でも円形でも良い。
本難燃LVL耐火集成材は、荷重を支持する荷重支持木材21とその周囲に炭化防止層31、難燃積層板41、炭化遅延層51を備えている。
荷重支持部木材21は、正方形断面でスギ構造用集成材を用いている。接続された梁等を支持することが可能な断面寸法を有している。
炭化防止層31は、通常の接着剤量は350g/cm
2以下であるが、本発明では炭化防止層としてレゾルシノール樹脂接着剤を荷重支持木材と難燃積層板の間に通常の2倍以上の800g/m
2塗布し、炭化防止層を形成する。
難燃積層板は、3mm程度のスギの薄板にリン酸・ホウ酸系の難燃薬剤を含浸させ積層したLVLである。薄板に難燃薬剤を含浸させることで厚み方向に均一に薬剤が含浸するため、安定した性能の被覆材とすることができる。
炭化遅延層51は、通常のスギ材の密度は0.4g/cm
3前後であるが、これを圧縮加工により密度0.7g/cm
3程度に高め、炭化遅延層とする。
【0018】
この実施例の耐火集成材と、炭化防止層を設けない比較集成材とを燃焼試験すると、荷重支持部の温度変化は
図2に示すようになり、炭化防止層を設けることにより荷重支持部の温度の上昇を抑制することができる。
また、
図4に示す試験例では、難燃薬剤の含浸量は、150kg/m
3でも、120分間(2時間)十分に木材の着火温度200℃以下にすることができ、さらに、多くすることにより、荷重支持部の温度上昇が抑制できる。この試験例では、400kg/m
3以上含浸させることにより、最高温度が木材の着火温度200℃以下に抑えられている。
【0019】
[比較例1]
比較例1(
図5)は、荷重支持部材121と燃え代層151を木材とし、その間に燃え止まり層131を形成した耐火集成材101である。
荷重支持部材121は、米松、ヒノキ、スギ、カラマツ等の集成材である。燃え代層151は、荷重支持部材と同様の樹種である。燃え止まり層131は、モルタル、石材、ガラス、繊維補強セメントなどの無機材料である。
この比較例1の耐火集成材101の構成では、燃え止まり層131で燃え止まらせるために燃え代層+燃え止まり層の厚みが必要である。燃え止まり層にモルタルなどを使用しているため、切断などの加工や製作が困難であり、一般的な木材加工が適用できない。また、木材とモルタルという異種材料の接合のため、界面剥離が生じやすい。
木材を燃え止まらせるためには燃え止まり層に十分な厚みが必要となり、比較例1では、燃え代層+燃え止まり層の厚みが60mm程度必要となる。
【0020】
[比較例2]
比較例2(
図6)の耐火集成材102は、無処理の集成材を荷重支持部122に使用し、その外周に難燃薬剤を含浸させた挽き板材からなる集成材142を配置し、その表面に通常の木材152を化粧用に貼着した集成材である。
燃え止まり層となる集成材142の難燃処理は、挽き板に穴をあけて薬液を注入するために手間がかかり、薬液の分布の管理も難しい。
表層となる木材152は、普通木であり、難燃処理層に用いられている薬剤が年月を経て溶脱して染みなどの汚染になる可能性がある。
燃え止まりのために、薬剤を注入した難燃処理層を用いているが、表層に薬剤が多くなり、均一な分布とならない。そのため、インサイジング処理で薬剤を注入し非常に製作が困難である。木材は製作の都合上、表面を削る必要があるため、所定の密度で薬剤を注入したい場合は無駄な薬液が発生する。
木材を燃え止まらせるためには燃え止まり層に十分な厚みが必要となる。比較例2では、難燃処理層の厚みを50~75mm程度必要とする。
【符号の説明】
【0021】
1 耐火集成材
2 荷重支持部
3 炭化防止層
4 難燃積層板層
5 炭化遅延層
11 耐火集成材
21 荷重支持木材
31 炭化防止層
41 難燃積層板
51 炭化遅延層
101 耐火集成材
121 荷重支持部材
131 燃え止まり層
151 燃え代層
102 耐火集成材
122 荷重支持部
142 挽き板材からなる集成材
152 通常の木材