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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-12
(45)【発行日】2022-05-20
(54)【発明の名称】フィルター清掃装置及び乾燥機
(51)【国際特許分類】
   D06F 58/22 20060101AFI20220513BHJP
   D06F 58/02 20060101ALI20220513BHJP
【FI】
D06F58/22
D06F58/02 K
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2017175947
(22)【出願日】2017-09-13
(65)【公開番号】P2019050926
(43)【公開日】2019-04-04
【審査請求日】2020-08-28
(73)【特許権者】
【識別番号】391044797
【氏名又は名称】株式会社コーワ
(74)【代理人】
【識別番号】100130074
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 繁元
(72)【発明者】
【氏名】横山 広
【審査官】柿沼 善一
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-018104(JP,A)
【文献】特開2010-091255(JP,A)
【文献】特開2008-006044(JP,A)
【文献】特開2012-112550(JP,A)
【文献】実公昭48-034552(JP,Y1)
【文献】実開昭47-019459(JP,U)
【文献】特開2013-215255(JP,A)
【文献】特開2008-264190(JP,A)
【文献】国際公開第2011/027419(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 58/22
D06F 58/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルター清掃装置は、
通風から塵埃を捕集可能なフィルター面を有するフィルター体と、
前記フィルター面に付着した塵埃を除去する清掃体を有する清掃機構と、を備え、
前記清掃体は、清掃部材と、該清掃部材を固定する固定部とを有し、
前記清掃部材は、フィルター面に作用する作用部と、該作用部と前記固定部とを連結する支持部と、を備え、
前記清掃体の長さは、該清掃体の一方の端部から前記フィルター面までの最短距離よりも長く、前記清掃体が前記フィルター面に接した位置においては、前記清掃体に応力が加えられて前記支持部が変形しながら前記作用部が前記フィルター面と当接した状態で往復移動するものであって、
前記清掃体の移動に伴って、前記支持部の変形量が漸次大きくなり、前記作用部前記フィルター面への押圧力が増加する往路の終端近傍で前記フィルター体から離れることを特徴とするフィルター清掃装置。
【請求項2】
清掃体の往路の終端近傍に塵埃排出口を有することを特徴とする請求項1に記載のフィルター清掃装置。
【請求項3】
フィルター面を清掃した後の清掃体の待機位置では、作用部が加える押圧力が、前記フィルター面に前記作用部が接していた状態で該作用部が加える押圧力以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のフィルター清掃装置。
【請求項4】
清掃体の移動に伴って、前記清掃体とフィルター面のラップ量が漸次増加することを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のフィルター清掃装置。
【請求項5】
フィルター面は円弧状であって、清掃体が回転又は回動して前記フィルター面に付着した塵埃を除去すると共に、前記フィルター面の円弧を形成する中心と、前記清掃体の回転中心又は回動中心が一致していないことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載のフィルター清掃装置。
【請求項6】
槽体内に回転自在に配置され衣類などを収容する回転ドラム内に、送風手段及び加熱手段により発生した温風を、循環ダクトを経て循環供給して衣類などを乾燥可能とするとともに、前記循環ダクトの前記槽体からの排気側に請求項1~5のいずれか1項に記載のフィルター清掃装置を備えたことを特徴とする乾燥機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルターに付着した塵埃を除去するためのフィルター清掃装置と、このフィルター清掃装置を備えた乾燥機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、塵埃を捕集するフィルターが設置され、このフィルターに付着した塵埃を除去するためのフィルター清掃装置が知られている(特許文献1)。
【0003】
特許文献1のフィルター清掃装置は、乾燥フィルターを収容する第1のケースと、風路に固定して設けられバックアップフィルターを収容する第2のケースとを通過することで塵埃が付着するフィルター清掃装置であって、第1のケースの後部にはブラシが設けられており、第1のケースを前後に摺動させることにより、ブラシがバックアップフィルターに付着した塵埃を掻き落とす構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2008-194439号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載のフィルター清掃装置のブラシは、一定の接触量(ラップ量)でバックアップフィルターを擦る構成となっていることから、バックアップフィルターに多量の塵埃が付着している場合には、塵埃のブラシへの抵抗が増加することでバックアップフィルターに付着している塵埃を除去することができない場合があった。
【0006】
本発明は、前記従来の課題を解決するものであり、塵埃の清掃部材への抵抗が増加した場合でもフィルターに付着している塵埃を除去することが可能なフィルター清掃装置と、このフィルター清掃装置を備えた乾燥機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記従来の課題を解決するために、請求項1のフィルター清掃装置の発明は、フィルター清掃装置は、通風から塵埃を捕集可能なフィルター面を有するフィルター体と、前記フィルター面に付着した塵埃を除去する清掃体を有する清掃機構と、を備え、前記清掃体は、清掃部材と、該清掃部材を固定する固定部とを有し、前記清掃部材は、フィルター面に作用する作用部と、該作用部と前記固定部とを連結する支持部と、を備え、前記清掃体の長さは、該清掃体の一方の端部から前記フィルター面までの最短距離よりも長く、前記清掃体が前記フィルター面に接した位置においては、前記清掃体に応力が加えられて前記支持部が変形しながら前記作用部が前記フィルター面と当接した状態で往復移動するものであって、前記清掃体の移動に伴って、前記支持部の変形量が漸次大きくなり、前記作用部前記フィルター面への押圧力が増加する往路の終端近傍で前記フィルター体から離れることを特徴としている。
【0008】
請求項1の発明では、フィルター清掃時に清掃部材は除去した塵埃が堆積していくことで抵抗が次第に増加していくが、清掃体の移動に伴って、清掃部材の支持部の変形量が漸次大きくなることで、変形した支持部が元の状態に戻ろうとする力が復元力となり、この復元力の増加が作用部のフィルター面への押圧力の増加へと変換されるので、塵埃による抵抗の増加に合わせてフィルター面への押圧力も増加する。そのため、清掃動作の最後まで塵埃を確実に除去することができる。
【0009】
請求項2のフィルター清掃装置の発明は、請求項1の発明において、清掃体の往路の終端近傍に塵埃排出口を有することを特徴としている。これにより、塵埃を捨てる際に、清掃部材の復元力によって、塵埃排出口から塵埃を外部へと弾き出して確実に廃棄場所まで移送することができる。
【0010】
請求項のフィルター清掃装置の発明は、請求項1又は2の発明において、フィルター面を清掃した後の清掃体の待機位置では、作用部が加える押圧力が、前記フィルター面に前記作用部が接していた状態で該作用部が加える押圧力以下であることを特徴としている。したがって、清掃時以外は清掃部材に加わる負荷を軽減することができ、清掃部材の変形を防止することができるので、清掃部材の耐久性を向上させることができ、清掃部材の変形による除塵効率の低下を防止することができる。
【0011】
請求項4のフィルター清掃装置の発明は、請求項1~3のいずれかの発明において、清掃体の移動に伴って、前記清掃体とフィルター面のラップ量が漸次増加することを特徴としている。したがって、フィルター清掃装置の構造を複雑にすること無く、支持部の変形量を漸次大きくすることができる。また、フィルター清掃装置を小型で安価なものとすることができる。
【0012】
請求項5のフィルター清掃装置の発明は、請求項1~4のいずれかの発明において、フィルター面は円弧状であって、清掃体が回転又は回動して前記フィルター面に付着した塵埃を除去すると共に、前記フィルター面の円弧を形成する中心と、前記清掃体の回転中心又は回動中心が一致していないことを特徴としている。したがって、中心を一致させていない清掃体を回転又は回動させることで、フィルター清掃装置の構造を複雑にすること無く支持部の変形量を漸次大きくすることができる。また、フィルター清掃装置を小型で安価なものとすることができる。
【0013】
請求項6の乾燥機の発明は、槽体内に回転自在に配置され衣類などを収容する回転ドラム内に、送風手段及び加熱手段により発生した温風を、循環ダクトを経て循環供給して衣類などを乾燥可能とするとともに、前記循環ダクトの前記槽体からの排気側に請求項1~5のいずれか1項に記載のフィルター清掃装置を備えたことを特徴としている。したがって、清掃動作の最後まで塵埃を確実に除去することができ、清掃部材の耐久性を向上させることができ、清掃部材の変形による除塵効率の低下を防止することができ、フィルター清掃装置を小型で安価なものとすることができる乾燥機を提供することができる。
【発明の効果】
【0014】
請求項1及び2のフィルター清掃装置の発明は、清掃動作の最後まで塵埃を確実に除去することができる。請求項の発明は、清掃部材の耐久性を向上させることができ、清掃部材の変形による除塵効率の低下を防止することができる。請求項4及び5の発明は、フィルター清掃装置の構造を複雑にすること無く、小型で安価なものとすることができる。
【0015】
また、請求項6の乾燥機の発明は、清掃動作の最後まで塵埃を確実に除去することができ、清掃部材の耐久性を向上させることができ、清掃部材の変形による除塵効率の低下を防止することができ、フィルター清掃装置を小型で安価なものとすることができる乾燥機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明に係る衣類乾燥機を示す斜視図
図2】本発明に係る衣類乾燥機の内部構成を示す断面図
図3】(a)本発明に係るフィルター清掃装置の外観を示す斜視図(b)図3(a)のA-A断面におけるフィルター清掃装置の内部構造を示す斜視図
図4】(a)~(c)本発明に係るフィルター清掃装置を構成する可動手段の動作を示す説明図
図5】本発明に係るフィルター清掃装置の清掃動作の往路を示す説明図
図6】本発明に係るフィルター清掃装置の清掃動作の復路を示す説明図
図7】第1実施形態のフィルター清掃装置の清掃体とフィルター体の位置関係を示す説明図
図8】第2実施形態のフィルター清掃装置の清掃体とフィルター体の位置関係を示す説明図
図9】第3実施形態のフィルター清掃装置の清掃体とフィルター体の位置関係を示す説明図
図10】第4実施形態のフィルター清掃装置の清掃体とフィルター体の位置関係を示す説明図
図11】第5実施形態のフィルター清掃装置の清掃体とフィルター体の位置関係を示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0018】
図1は、本発明に係る衣類乾燥機を示す斜視図であり、図2は、同衣類乾燥機の内部構造を示す断面図である。これらの図を用いて本発明に係る衣類乾燥機について説明する。本発明に係る衣類乾燥機20は、前面にドア20aを備え、槽体20d内に回転自在に配置され衣類などを収容する回転ドラム20b内に、送風手段(ファン)23及び加熱手段22により発生した温風を、循環ダクト21a、21b、21cを経て循環供給して衣類を乾燥可能とするとともに、循環ダクト21a、21b、21cの槽体20dからの排気側にフィルター清掃装置10が設置されている。
【0019】
符号20cは、回転ドラム20bを回転させるモータであり、このモータ20cは、乾燥処理、洗濯処理、すすぎ処理や脱水処理といった様々な処理の間、回転ドラム20bを回転させる。また、加熱手段22には、一例として、熱交換器を使用することができる。尚、熱交換器の方式として、ヒートポンプ式やヒーター式等、様々な方式を採用することができる。また、衣類乾燥機20は、ドラム式としているが、これに限定するものではなく、例えば縦型など様々の方式を採用することができる。
【0020】
図3(a)は、本発明に係るフィルター清掃装置の外観を示す斜視図であり、図3(b)は、図3(a)のA-A断面におけるフィルター清掃装置の内部構造を示す斜視図である。図3を用いて本発明に係るフィルター清掃装置の実施形態を以下に説明する。
【0021】
フィルター清掃装置10は、清掃機構2と、通風から塵埃を捕集可能なフィルター面1aを有するフィルター体1を有している。また、清掃機構2は、清掃体3を有しており、清掃体3は、ブレードからなる清掃部材12と、この清掃部材12を固定する固定部13とを有し、この固定部13は、回動軸3aと、支持部当接部3bとを有している。また、清掃部材12は、フィルター面1aに作用する作用部12aと、この作用部12aと固定部13とを連結する支持部12bを備えている。
【0022】
衣類乾燥機20の乾燥運転中、清掃体3は乾燥風の妨げにならないよう待機位置4で待機している。そして、乾燥運転後に清掃体3は、フィルター体1に沿って往復回動し、往路においてフィルター面1aに付着した塵埃を除去する。また、フィルター体1は、図3(b)において、回動軸3aの下方より右側は円弧状に、回動軸3aの下方より左側は直線状に形成されている。
【0023】
また、清掃体3の長さは、清掃体3の回動軸3a側の一方の端部からフィルター面1aの最短距離よりも長く、清掃体3がフィルター面1aに接した位置においては、清掃体3に応力が加えられて支持部12bが変形しながら移動するようにしている。
【0024】
そして、後述するように、清掃体3の移動に伴って、支持部12bの変形量が漸次大きくなり、作用部12aのフィルター面1aへの押圧力が増加する構成としている。
【0025】
固定部13の先端に形成されている支持部当接部3bは、往路における清掃体1の進行方向に対して清掃部材12の後方側に当接しており、清掃部材12は、後方に屈曲又は湾曲状態でフィルター体1に当接する。また、ブレードからなる清掃部材12の材質としてエラストマーを使用しているが、これに限定されるものではなく、ゴム、軟質樹脂、発泡樹脂、不織布、などでもよく、またこれらの複合材でもよい。また、清掃部材12は、ブレードに代えてブラシを使用することも可能である。
【0026】
また、フィルター体1は一部が直線状に形成されているため、清掃部材は、往路の終端近傍においてフィルター体1から離れることによって、屈曲又は湾曲状態が解放される(初期状態に戻る)構成としている。このように構成されたフィルター清掃装置10は、清掃体3の長さを清掃体3の回動軸3a側の一方の端部からフィルター面1aの最短距離よりも長く、清掃体3がフィルター面1aに接した位置においては、清掃体3に応力が加えられて支持部12bが変形しながら移動するようにしたことにより、清掃部材12の支持部12bが後方に屈曲又は湾曲状態で、作用部12aがフィルター面1aに当接することとなるので、往路の終端近傍で清掃部材12の復元力によって、塵埃を弾き飛ばすことができると共にブレードの先端に塵埃が残ることを抑制できる。
【0027】
また、支持部12bの後方側に当接する支持部当接部3bが形成されているので、後述するように、作用部12aがフィルター面1aに付着した塵埃を掻き取る効果を高めることができる。尚、本実施の形態では、清掃部材12がフィルター体1から離れながら屈曲又は湾曲状態が解放される構成としているが、フィルター体1を円弧状の部分のみで形成し、清掃部材12がフィルター体1を通り過ぎてから屈曲又は湾曲状態が解放される構成としてもよい。
【0028】
具体的には、図3(b)において、清掃体3の回動軸3aの下方から左側を、フィルター清掃装置10を構成する樹脂材料の壁体で形成してもよい。このように構成すると、清掃部材12は円弧状のフィルター体1を清掃して通り過ぎた後に壁体の内面まで到達し、壁体から離れながら屈曲又は湾曲状態が解放される。この場合、フィルター体1に付着した塵埃の取り残しがないとともに、清掃部材12の摩擦抵抗は、フィルター体1との摩擦より、樹脂材料で形成された壁体との摩擦の方が低減されるので、清掃部材12がスムーズに復元され、より勢い良く塵埃を弾き飛ばすことができる。
【0029】
また、清掃機構2は、塵埃を排出するための塵埃排出口5を備えている。この塵埃排出口5は、フィルター体1に捕集された塵埃の外部への排出を防ぐと共に、開閉可動する塵埃排出抑制体6が設置されている。この塵埃排出抑制体6は、塵埃の外部への排出を防ぐために、格子状に設置された長板6a、6bを備えている。これにより、使用者がフィルター清掃装置10を衣類乾燥機20から取り外し、ゴミ箱等の所定の廃棄場所まで運ぶ際に塵埃がこぼれ落ちることを抑制することができる。
【0030】
また、清掃機構2は、清掃体3と連結し、清掃体3を可動させるための可動手段7を備えており、この可動手段7は、フィルター清掃装置10の外側面2aに設置されている。
【0031】
次に、図4(a)~(c)を用いて、本発明に係るフィルター清掃装置10を構成する可動手段7の動作を説明する。可動手段7は、前述したように、フィルター清掃装置10の外側面2aに設置されているものであって、清掃体3の回動軸3aに対して直交する方向に往復動が可能な操作レバー7aと、この操作レバー7aから伝達される直線運動を回転運動に変換させる運動変換手段7bとを備えている。
【0032】
具体的には、操作レバー7aは、ラックギアから構成され、運動変換手段7bは、平歯車から構成されており、この平歯車に、清掃体3の回動軸3aが連結されている。そして、平歯車に伝達された動力は回動軸3aを通じて清掃体3を回動させる。そして、図4(a)に示した初期状態から、操作レバー7aを図面上左方向に押すと、操作レバー7aの先端と接触している塵埃排出抑制体6の押圧部6cが図面上左方向に押され、塵埃排出抑制体6の一方の端部が連結している回動軸8回りに回転して図4(b)に示す状態となる。
【0033】
そして、図4(b)に示す状態から、塵埃排出抑制体6を図面上時計回りに回転させることによって、図4(c)に示す押圧部6cが操作レバー7aの先端と接触する状態となり、更に押圧部6cが操作レバー7aを押すことによって図4(a)に示す初期状態へと復帰する。
【0034】
図5は、往路におけるフィルター清掃装置の清掃動作を示している。待機位置4では、清掃体3の清掃部材12が待機位置4の壁面と接触していないため、作用部12aには押圧力が生じていない。そして、清掃体3を図面上、時計回りに回転させることによって、清掃部材12は、待機位置4から移動してフィルター面1aに当接することとなる。尚、清掃部材12が待機位置4にある時、可動手段7は図4(a)の状態であり、操作レバー7aを図面上左側に押し込むにつれて清掃体3が回動してフィルター体1を清掃する。
【0035】
作用部12aがフィルター面1aに当接している状態では、支持部12bが進行方向に対して後方側に屈曲又は湾曲した状態となっている。そして、往路の終端近傍においてフィルター体1から離れることによって、清掃部材12は、屈曲又は湾曲状態から解放されると共に、塵埃9は、塵埃排出口5から外部へと弾き出されることとなる。この時、可動手段7は図4(b)の状態であり、塵埃排出抑制体6は開いている。このように構成することで、使用者はゴミ箱等の所定の廃棄場所において塵埃を捨てる際に、清掃部材12の復元力によって、塵埃を弾き飛ばすので確実に廃棄場所まで移送する事ができる。
【0036】
次に往路における清掃体3について説明する。図6の破線で示すように、往路では支持部12bは支持部当接部3bに当接して作用部12aの近傍から屈曲又は湾曲する。そのため、往路では支持部当接部3bの先端を支点に支持部12bが略L字状に大きな角度で屈曲又は湾曲するので、フィルター面1aへの作用部12aの当たりが強くなる。したがって、除塵効率が向上すると共に、往路の終端近傍で塵埃9を弾き飛ばす力を強くすることができる。また、詳細は後述するが、フィルター体1の円弧を形成する中心と、清掃体3の回動中心を一致させないようにずらして配置することで、清掃体3が移動するにしたがって支持部12bの変形量が漸次大きくなるよう形成している。すると、清掃動作が進むにつれて、支持部12bの復元力が大きくなるため作用部12aのフィルター面1aに対する押圧力が増加する。そのため、作用部12aはフィルター面1aへ更に押し付けられる。このように、清掃部材12bへの塵埃9の堆積に合わせて押圧力を高められるため、作用部12aとフィルター面1aを強く密着させることができる。そのため、多量に堆積した塵埃9によって作用部12aがフィルター面1aから浮き上がり、その隙間から塵埃9が通り抜けることを防止できる。このように、支持部当接部3bを設けることと、支持部12bを漸次大きくすることにより、特に、衣類乾燥機のように塵埃が厚く堆積する場合であっても確実に塵埃9を除去できる。
【0037】
図6は、復路におけるフィルター清掃装置の動作を示しており、この時、可動手段7は図4(c)の状態から図4(a)に示す初期状態へと復帰している。復路において清掃体3は、清掃部材12が屈曲又は湾曲状態から解放された状態から、フィルター面1aに当接することによって、進行方向に対して後方側に支持部12bの根元近傍を支点として緩やかに屈曲又は湾曲した状態となる。これは、清掃体3が進行方向に対して支持部12bの前方側に当接する支持部当接部3bを備えているが、後方側には支持部当接部3bが形成されていないからである。支持部12bは一方の端部が固定部13に固定されているが、支持部当接部3bには固定されていない。また、復路における進行方向に対して支持部12bの後方側には、支持部当接部3bが形成されていない。したがって、フィルター面1aに当接した状態の支持部12bは、往路と復路とでは屈曲方向と屈曲の支点及び角度が異なるようになるのである。このように清掃動作の復路では作用部12aのフィルター面1aへの当りを弱くすることができるため、往路と比べて軽い力で清掃体3を待機位置4へ戻すことができる。
【0038】
次に待機位置4について説明する。待機位置4では作用部12aが壁面と接触していないため、支持部12bの屈曲又は湾曲状態が解放された状態で待機できる。このように清掃体3の変形を防ぐことで、清掃体3の耐久性の向上や、変形による除塵効率の低下を防止できる。また、待機位置4を設けることで、清掃体3の復路から往路への切り替え時に必要な力を軽減できる。図6の破線で示すように、復路では清掃部材12が進行方向に対して後方側に大きく変形しながら待機位置4に戻る。仮に、待機位置4で待機している時も支持部12bが大きく変形した状態だと、復路から往路への切り替えに大きな力が必要となる。具体的には、待機位置4において、支持部12bが図6の破線で示すような塵埃排出口5側への変形状態で待機していると、次回の清掃開始時に、図5の破線で示すような待機位置4側への変形状態へ移行する際に、大きな力が必要となる。一方、図6に示すように待機位置4を作用部12aと当接しないよう形成すると、作用部12aが押圧力を生じていない状態、即ち、支持部12bの変形が解放された元の状態に戻るため、前述の復路から往路への切り替え時に必要な力を軽減できる。
【0039】
図7は、第1実施形態のフィルター清掃装置の清掃体とフィルター体の位置関係を示す説明図である。第1実施形態のフィルター清掃装置10では、清掃体3の長さをフィルター面1aの円弧を形成する中心Aからフィルター面1aまでの距離よりも短く形成すると共に、回動軸3a側の端部からフィルター面1aまでの最短距離よりも長くなるよう配置されている。図7における最短距離は、清掃体3の回動中心Bから直下のフィルター面1aまでの距離である。そして、清掃体3の移動に伴って、清掃体3とフィルター面1aのラップ量が漸次増加するようにしている。即ち、図7の破線で示した清掃体3は、支持部12bが屈曲しなかった場合を示しており、往路では、清掃体3の移動が進むに連れて、清掃体3の作用部12aのフィルター面1aよりも下方に位置する部分(清掃体3とフィルター面1aのラップ量)が増えて行くのがわかる。具体的には、フィルター面1aを円弧状にした場合には、清掃体3が回動してフィルター面1aに付着した塵埃を除去すると共に、フィルター面1aの円弧を形成する中心Aと、清掃体3の回動中心Bが一致していないようにしている。即ち、清掃体3の回動中心Bを、フィルター面1aの円弧を形成する中心Aよりもフィルター面1a側に近づけると共に、フィルター体1の円弧状部分の清掃終端側へずらしている。尚、清掃体3を回転させる場合は図示しないが、回動させる場合と同様に、清掃体3の回転中心Bをフィルター面の円弧を形成する中心Aよりもフィルター体の清掃終端側へと近づけて配置することで、清掃体の移動に伴って、清掃体とフィルター面のラップ量が漸次増加するようにすることができる。
【0040】
図8は、第2実施形態のフィルター清掃装置の清掃体とフィルター体の位置関係を示す説明図である。第2実施形態のフィルター清掃装置30でも図7に示した第1実施形態と同様に、清掃体3の移動に伴って、清掃体3とフィルター面1aのラップ量が漸次増加するようにしている。即ち、清掃体3が回転又は回動してフィルター面1aに付着した塵埃を除去すると共に、フィルター面1aの円弧を形成する中心Cと、清掃体3の回動中心Dが一致していないようにしている。具体的には、清掃体3の長さをフィルター面1aの円弧を形成する中心Cからフィルター面1aまでの距離よりも長く形成し、清掃体3の回動中心Dを、フィルター面1aの円弧を形成する中心Cよりも待機位置4から遠ざけると共に、フィルター体1の円弧状部分の清掃終端側へずらしている。
【0041】
図9は、第3実施形態のフィルター清掃装置の清掃体とフィルター体の位置関係を示す説明図である。第3実施形態のフィルター清掃装置40では、フィルター面1aを清掃した後の清掃体3の待機位置4では、作用部12aが加える押圧力が、フィルター面1aに作用部12aが接していた状態で作用部12aが加える押圧力以下となるようにしている。即ち、この場合には、待機位置4で作用部12aと壁面4aは接している状態となっているが、その押圧力は、作用部12aがフィルター面1aに接している状態の押圧力に等しくなるか、小さくなるようにしている。これにより、清掃時以外は清掃部材12に加わる負荷を軽減することができ、清掃部材12の変形を防止することができるので、清掃部材12の耐久性を向上させることができ、清掃部材12の変形による除塵効率の低下を防止することができる。なお、待機位置4では支持部12bが湾曲して作用部12aが下方に下がっているが、これは前回の清掃動作の復路で、支持部12bが下方に湾曲した状態で待機位置4で待機したためである。
【0042】
図10は、第4実施形態のフィルター清掃装置の清掃体とフィルター体の位置関係を示す説明図である。これまでの実施形態では、待機位置4の壁面を樹脂材料で形成していたが、第4実施形態のフィルター清掃装置50では、待機位置4の壁面をフィルター面4bとしている。それ以外の構成は、第1実施形態のフィルター清掃装置10と同様なので説明は省略する。
【0043】
なお、図示しないが、第4実施形態のフィルター清掃装置50の支持部12bを、フィルター清掃装置40の支持部のように長く形成し、待機位置4の壁面であるフィルター面4bと作用部12aが接するように構成してもよい。このように構成すると、作用部12aはフィルター面4bに当接した状態で待機するため、作用部12aがフィルター面4bに加える最小の押圧力が待機位置4での押圧力となる。そして、支持部12bの変形量が待機位置4で最も小さい状態としておけば、復路から往路への切り替え時に必要な力は軽減される。
【0044】
図11は、第5実施形態のフィルター清掃装置の清掃体とフィルター体の位置関係を示す説明図である。第5実施形態のフィルター清掃装置60では、清掃体61が水平方向に移動するに際して、フィルター体62を水平方向に対して傾斜させる構成としている。これにより、清掃体61の移動に伴って、支持部63の変形量が漸次大きくなり、作用部64のフィルター面62aへの押圧力を増加させることができ、フィルター体62の終点側に傾斜面65を配置することによって、塵埃9を弾き飛ばすことができる。尚、フィルター面が円弧状でも直線状でもない曲面であっても、清掃体の移動に伴って支持部の変形量が漸次大きくなり、作用部のフィルター面への押圧力が増加する構成であれば、本発明に含まれる。
【0045】
上記の各実施の形態で述べたように、フィルター体の形状をはじめ、各実施の形態の組み合わせは自由に行うことができる。例えば、待機位置の壁面は樹脂材料でもフィルター体で形成されていても良く、更に、作用部は支持部の変形が軽減されるならば待機位置の壁面と当接していても良い。そして、これらを組み合わせた場合も本発明に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明に係るフィルター清掃装置は、フィルターに付着した塵埃を除去するために利用されるものである。また、本発明に係る乾燥機は、フィルター清掃装置を備えた乾燥機として利用される。
【符号の説明】
【0047】
1 フィルター体
1a、4b フィルター面
2 清掃機構
2a 外側面
3 清掃体
3a 回動軸
3b 支持部当接部
4 待機位置
4a 壁面
5 塵埃排出口
6 塵埃排出抑制体
6a、6b 長板
6c 押圧部
7 可動手段
7a 操作レバー
7b 運動変換手段
8 回動軸
9 塵埃
10、30、40、50、60 フィルター清掃装置
12 清掃部材
12a 作用部
12b 支持部
13 固定部
20 衣類乾燥機
20a ドア
20b 回転ドラム
20c モータ
20d 槽体
21a、21b、21c 循環ダクト
22 加熱手段
23 送風手段(ファン)
図1
図2
図3
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図8
図9
図10
図11