(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-12
(45)【発行日】2022-05-20
(54)【発明の名称】原料ビーズの充填方法と成形体の含水量測定方法および発泡樹脂成形装置
(51)【国際特許分類】
B29C 44/00 20060101AFI20220513BHJP
B29C 44/44 20060101ALI20220513BHJP
G01G 17/00 20060101ALI20220513BHJP
G01G 13/06 20060101ALI20220513BHJP
B29C 44/60 20060101ALI20220513BHJP
【FI】
B29C44/00 G
B29C44/44
G01G17/00 Z
G01G13/06 Z
B29C44/60
(21)【出願番号】P 2018088506
(22)【出願日】2018-05-02
【審査請求日】2021-03-03
(73)【特許権者】
【識別番号】591209361
【氏名又は名称】DAISEN株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001977
【氏名又は名称】特許業務法人なじま特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井田 清孝
(72)【発明者】
【氏名】長瀬 孝次
【審査官】松浦 裕介
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-107131(JP,A)
【文献】特開2017-132127(JP,A)
【文献】特開平09-109170(JP,A)
【文献】特開平05-024125(JP,A)
【文献】特開2002-005729(JP,A)
【文献】特開平04-135830(JP,A)
【文献】特開昭56-028835(JP,A)
【文献】特開平08-156000(JP,A)
【文献】特開平11-309733(JP,A)
【文献】特開平11-277634(JP,A)
【文献】特開平11-139563(JP,A)
【文献】特開2006-291201(JP,A)
【文献】特開昭61-228928(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0226567(US,A1)
【文献】米国特許第4852028(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC C08J 9/00 - 9/42
B29C 44/00 - 44/60
B29C 67/20
G01G 13/00 - 13/34
G01G 15/00 - 17/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
接離自在な一対の凹凸型で形成したキャビティ内に原料ビーズを充填し、それを蒸気で加熱発泡して発泡成形体を成形し、冷却処理後に型開きして発泡成形体を取り出すようにした発泡樹脂成形方法における原料ビーズの
充填方法であって、
前記原料ビーズを原料サイロから計量ホッパーを介してキャビティ内に充填するものとし、
原料ビーズをキャビティ内に充填する前の状態の計量ホッパー
及び計量ホッパー内の原料ビーズの重量と、原料ビーズをキャビティ内に充填した後の状態の計量ホッパー
及び計量ホッパー内に残存する原料ビーズの重量を測定して、
キャビティ内への原料ビーズの充填前後における計量ホッパー
及び計量ホッパー内の原料ビーズの重量差からキャビティ内に充填
された原料ビーズの重量を算出すること
により、
キャビティ内への原料ビーズの供給量を増減するようにフィードバック制御可能としたことを特徴とする原料ビーズの
充填方法。
【請求項2】
ロードセルにより計量ホッパーの重量を測定する請求項1に記載の原料ビーズの
充填方法。
【請求項3】
キャビティ内圧力を大気圧以上の圧力に設定するとともに、原料サイロおよび計量ホッパー内を前記キャビティ内圧力プラス0.5kg/cm
2未満の範囲に加圧して、その差圧によって原料ビーズを原料サイロからキャビティ内に送入・充填する請求項1または2に記載の原料ビーズの
充填方法。
【請求項4】
または、キャビティ内圧力を大気圧からマイナス0.5kg/cm
2までの範囲に減圧設定するとともに、原料サイロおよび計量ホッパー内を大気圧以上の圧力として、その差圧によって原料ビーズを原料サイロからキャビティ内に送入・充填する請求項1または2に記載の原料ビーズの
充填方法。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか
の充填方法を用いて成形された成形体の含水量測定方法であって、測定したキャビティ内に充填した原料ビーズの重量と、成形直後の成形体の重量の差から成形体の含水量を算出することを特徴とする成形体の含水量測定方法。
【請求項6】
接離自在な一対の凹凸型で形成したキャビティ内に原料ビーズを充填し、それを蒸気で加熱発泡して発泡成形体を成形し、冷却処理後に型開きして発泡成形体を取り出すようにした発泡樹脂成
形装置であって、
前記原料ビーズの原料サイロと発泡成形機との間に計量ホッパーを設け、
この計量ホッパーには、ホッパー全体の重量を測定するロードセルを取り付け、
原料ビーズをキャビティ内に充填する前の状態の計量ホッパー
及び計量ホッパー内の原料ビーズの重量と、原料ビーズを充填した後の状態の計量ホッパー
及び計量ホッパー内に残存する原料ビーズの重量の測定値をもとにキャビティ内に充填した原料ビーズの重量を算出する算出手段を設け
、キャビティ内への原料ビーズの供給量を増減するようにフィードバック制御可能としたことを特徴とする
発泡樹脂成形装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャビティ内へ一定重量の原料ビーズを充填して、肉欠け部のない高品質の発泡成形品を生産することができ、また成形体の含水量を把握することができる原料ビーズの充填方法と成形体の含水量測定方法および発泡樹脂成形装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、ポリスチレン樹脂やポリエチレン樹脂等の発泡ビーズ原料から成形した発泡成形品は断熱性容器、建築用断熱材、建設用型材等に広く使用されている。このような発泡成形品の成形方法としては、例えば特許文献1に示されるように、接離自在な一対の凹凸型で形成したキャビティ内に原料ビーズを充填し、それを蒸気で加熱発泡して発泡成形体を成形し、冷却処理後に型開きして発泡成形体を取り出すようにした方法が一般的である。
【0003】
また、キャビティ内への原料ビーズの充填としては、原料サイロから発泡材料を計量することなく、 それをエアとともにキャビティ内へ送り込む方式が一般的である。しかしながら、従来の充填方式では、原料ビーズの粒度や成形時の温度・湿度や原料ビーズに加える圧力等の条件によって発泡成形体の充填量または融着度による含水量が変動する場合があった。この結果、成形品の重量にバラツキが生じ規格範囲を外れた重量の成形品や、融着度のバラツキのある成形品が生産される場合があるという問題や、原料不足により上隅部が欠けた形状の不良品を発生する場合があるという問題があった。
【0004】
一方、特許文献2に示されるように、重量バラツキの少ない樹脂発泡成形体の製造方法が提案されている。しかし、この特許文献2に記載の方法では、原料ビーズの見掛密度を測定し、この結果に基づき金型のクラッキング幅を調節することにより、原料ビーズの充填重量を一定にする方法であるため、調整方法が複雑であり、また調整に長時間かかるという問題点があった。
更には、出願人は成形後の成形体の正確な含水重量を把握して、常に一定含水量の成形品を得るようにすれば成形品の融着度等を一定値以上に管理できることに着目し、成形条件をコントロールする技術の構築を進めているが、含水重量を把握するには前提として原料ビーズの充填重量を正確に測定する必要があり、その技術の開発が要求されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第4090105号公報
【文献】特開平3-166923号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記のような従来の問題点を解決して、キャビティ内へ充填する原料ビーズの重量を簡単かつ正確に測定可能で、常に一定重量の原料ビーズを充填することができ、その結果、原料不足による肉欠け部のない高品質な発泡成形品を容易に生産可能とし、また、成形後の成形体の正確な含水重量を把握することで、常に一定含水量の成形品を得るように成形コントロールすることを可能にする原料ビーズの充填方法と成形体の含水量測定方法および発泡樹脂成形装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するためになされた本発明の原料ビーズの充填方法は、接離自在な一対の凹凸型で形成したキャビティ内に原料ビーズを充填し、それを蒸気で加熱発泡して発泡成形体を成形し、冷却処理後に型開きして発泡成形体を取り出すようにした発泡樹脂成形方法における原料ビーズの充填方法であって、
前記原料ビーズを原料サイロから計量ホッパーを介してキャビティ内に充填するものとし、
原料ビーズをキャビティ内に充填する前の状態の計量ホッパー及び計量ホッパー内の原料ビーズの重量と、原料ビーズをキャビティ内に充填した後の状態の計量ホッパー及び計量ホッパー内に残存する原料ビーズの重量を測定して、
キャビティ内への原料ビーズの充填前後における計量ホッパー及び計量ホッパー内の原料ビーズの重量差からキャビティ内に充填された原料ビーズの重量を算出することにより、
キャビティ内への原料ビーズの供給量を増減するようにフィードバック制御可能としたことを特徴とするものであり、これを請求項1に係る発明とする。
【0008】
好ましい実施形態によれば、ロードセルにより計量ホッパーの重量を測定するのが好ましく、これを請求項2に係る発明とする。
【0009】
また、その他の好ましい実施形態によれば、キャビティ内圧力を大気圧以上の圧力に設定するとともに、原料サイロおよび計量ホッパー内を前記キャビティ内圧力プラス0.5kg/cm2未満の範囲に加圧して、その差圧によって原料ビーズを原料サイロからキャビティ内に送入・充填するのが好ましく、これを請求項3に係る発明とする。
【0010】
また、その他の好ましい実施形態によれば、キャビティ内圧力を大気圧からマイナス0.5kg/cm2までの範囲に減圧設定するとともに、原料サイロおよび計量ホッパー内を大気圧以上の圧力として、その差圧によって原料ビーズを原料サイロからキャビティ内に送入・充填するのが好ましく、これを請求項4に係る発明とする。
【0011】
また、上記課題を解決するためになされた本発明の成形体の含水量測定方法は、前記請求項1~4のいずれかの充填方法を用いて成形された成形体の含水量測定方法であって、測定したキャビティ内に充填した原料ビーズの重量と、成形直後の成形体の重量の差から成形体の含水量を算出するのが好ましく、これを請求項5に係る発明とする。
【0012】
また、上記課題を解決するためになされた本発明の発泡樹脂成形装置は、接離自在な一対の凹凸型で形成したキャビティ内に原料ビーズを充填し、それを蒸気で加熱発泡して発泡成形体を成形し、冷却処理後に型開きして発泡成形体を取り出すようにした発泡樹脂成形装置であって、
前記原料ビーズの原料サイロと発泡成形機との間に計量ホッパーを設け、
この計量ホッパーには、ホッパー全体の重量を測定するロードセルを取り付け、
原料ビーズをキャビティ内に充填する前の状態の計量ホッパー及び計量ホッパー内の原料ビーズの重量と、原料ビーズを充填した後の状態の計量ホッパー及び計量ホッパー内に残存する原料ビーズの重量の測定値をもとにキャビティ内に充填した原料ビーズの重量を算出する算出手段を設け、キャビティ内への原料ビーズの供給量を増減するようにフィードバック制御可能としたことを特徴とするものが好ましく、これを請求項6に係る発明とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に係る発明では、原料ビーズを原料サイロから計量ホッパーを介してキャビティ内に充填するものとし、原料ビーズをキャビティ内に充填する前の状態の計量ホッパー及び計量ホッパー内の原料ビーズの重量と、原料ビーズをキャビティ内に充填した後の状態の計量ホッパー及び計量ホッパー内に残存する原料ビーズの重量を測定して、キャビティ内への原料ビーズの充填前後における計量ホッパー及び計量ホッパー内の原料ビーズの重量差からキャビティ内に充填された原料ビーズの重量を算出するようにしたので、原料充填前後の計量ホッパーの重量差から充填した原料ビーズの正確な重量を把握し、原料不足による上隅部が欠けた不良品の発生を確実に防止することができる。
【0014】
また、請求項2に係る発明では、ロードセルにより計量ホッパーの重量を測定するようにしたので、原料ビーズの正確な重量を把握することができる。
【0015】
また、請求項3に係る発明では、キャビティ内圧力を大気圧以上の圧力に設定するとともに、原料サイロおよび計量ホッパー内を前記キャビティ内圧力プラス0.5kg/cm2未満の範囲に加圧して、その差圧によって原料ビーズを原料サイロからキャビティ内に送入・充填するようにしたので、原料ビーズをキャビティ内に正確かつ円滑に送入・充填することができる。
【0016】
また、請求項4に係る発明では、キャビティ内圧力を大気圧からマイナス0.5kg/cm2までの範囲に減圧設定するとともに、原料サイロおよび計量ホッパー内を大気圧以上の圧力として、その差圧によって原料ビーズを原料サイロからキャビティ内に送入・充填するようにしたので、原料ビーズをキャビティ内に正確かつ円滑に送入・充填することができる。
【0017】
また、請求項5に係る発明では、前記請求項1~4のいずれかの充填方法を用いて成形された成形体について、測定したキャビティ内に充填した原料ビーズの重量と、成形直後の成形体の重量の差から成形体の含水量を算出するようにしたので、成形後の成形体の正確な含水重量を把握することで、常に一定含水量の成形品を得るように成形コントロールすることができる。
【0018】
また、請求項6に係る発明では、原料ビーズの原料サイロと発泡成形機との間に計量ホッパーを設け、この計量ホッパーには、ホッパー全体の重量を測定するロードセルを取り付け、原料ビーズをキャビティ内に充填する前の状態の計量ホッパー及び計量ホッパー内の原料ビーズの重量と、原料ビーズを充填した後の状態の計量ホッパー及び計量ホッパー内に残存する原料ビーズの重量の測定値をもとにキャビティ内に充填した原料ビーズの重量を算出する算出手段を設け、キャビティ内への原料ビーズの供給量を増減するようにフィードバック制御可能としたので、原料充填前後の計量ホッパーの重量差から充填した原料ビーズの重量を正確かつ迅速に算出することができる。また、ロードセルを取り付けるだけであり、装置が複雑化することなくコスト的にも安価である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実施の形態を示す発泡樹脂成形装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、図面を参照しつつ本発明の好ましい実施の形態を示す。
図1は、本発明を実施するための発泡樹脂成形
装置の一例を示すものであり、図において、1は接離自在な一対の凹型1aと凸型1bを有する発泡樹脂成形機、2は原料ビーズの充填器、3は原料サイロ、4は原料ビーズをキャビティ内へ送入するための空気流をつくるブロアーである。
【0021】
上記の構成は、従来の発泡樹脂成形装置の構成と基本的に同じであり、前記の凹凸型1a、1bで形成したキャビティ内に原料ビーズを充填し、それを蒸気で加熱発泡して発泡成形体を成形し、冷却処理後に型開きして発泡成形体20を取り出す工程を有する。
【0022】
前記原料ビーズの原料サイロ3と発泡成形機1との間には計量ホッパー5が設けられている。この計量ホッパー5は、原料ビーズをキャビティ内に充填する前の状態の計量ホッパーの重量と、原料ビーズをキャビティ内に充填した後の状態の計量ホッパーの重量を測定し、充填前後における計量ホッパーの重量差からキャビティ内に充填した原料ビーズの重量を算出するためのものである。
【0023】
図示のものでは、計量ホッパー5は、1本当たりの容量が約1.5m3のものを3本組み合わせた構造となっているが、容量や本数については成形する品種に応じて任意のものとできることは勿論である。また、前記原料サイロ3は、示のものでは1本当たりの容量が約5~10m3のものを3本組み合わせた構造となっているが、容量や本数については成形する品種に応じて任意のものとすることができる。
【0024】
前記計量ホッパー5には、ホッパー全体の重量を測定するロードセル6が取り付けられている。このロードセル6は、荷重変換器とも称され、荷重を電気信号に変換する装置であり、バネ式や圧電素子式や磁歪式ロードセル、ジャイロ式ロードセル、歪ゲージ式ロードセル等のいずれも使用することができる。
図示のものでは、3本の計量ホッパー5を支持する下部枠体の四隅にロードセル6が取り付けられており、3本の計量ホッパー全体の重量を測定する構造となっているが、ロードセル6の設置個数や設置位置については任意に設計することができる。
【0025】
前記ロードセル6は、算出手段7に連結されており前記計量ホッパー5の重量変化を算出できるよう構成されている。即ち、本発明では、原料ビーズをキャビティ内に充填する前の状態の計量ホッパーの重量と、原料ビーズを充填した後の状態の計量ホッパーの重量の測定値をもとにして、キャビティ内に充填した原料ビーズの重量を正確に算出するよう構成されている。
【0026】
従来、キャビティ内への原料ビーズの充填量については、原料サイロから発泡材料を計量することなく、キャビティ内へ送り込むのが一般的であり、重量の測定は行われておらず、成形品の重量にバラツキが生じ規格範囲を外れた重量の成形品が生産されるという問題や、原料不足により上隅部が欠けた形状の不良品を発生するという問題があった。
これに対し本発明では、充填した原料ビーズの重量を算出するようにしたので、充填した原料ビーズの正確な重量を把握し、常に正確な重量の原料ビーズを供給することから、原料不足による上隅部が欠けた不良品の発生を防止することができることとなる。
【0027】
次に、
図1に示す装置を用いて発泡成形体を成形する方法について説明する。
原料サイロ3から原料ビーズを一対の凹凸型1a、1bで形成したキャビティ内に充填し、それを蒸気で加熱発泡して発泡成形体を成形し、冷却処理後に型開きして発泡成形体20を取り出す点は、従来の発泡樹脂成形方法と基本的に同じである。
なお、成形直後の発泡成形体20は、定期的あるいはランダムに抜き取られて、計量計8により重量の測定が行われ、所定範囲内の重量を有しているか否かのチェックが行われることとなる。
【0028】
本発明では、原料ビーズの原料サイロ3と発泡成形機1との間に計量ホッパー5が設けられており、前記原料ビーズは原料サイロ3から計量ホッパー5を介してキャビティ内に充填される。また、前記計量ホッパー5には、ホッパー全体の重量を測定するロードセル6が取り付けられていて、原料ビーズをキャビティ内に充填する前の状態の計量ホッパーの重量と、原料ビーズをキャビティ内に充填した後の状態の計量ホッパーの重量が測定される。
【0029】
前記ロードセル6で測定した電気信号は算出手段7に送られ、この算出手段7によって充填前後における計量ホッパーの重量差からキャビティ内に充填した原料ビーズの重量が正確に算出されることとなる。算出した原料ビーズの重量が、予め設定されている所定の重量範囲内にない場合は、原料ビーズの充填量を増減するようにフィドバック制御がなされ自動的に最適重量の原料ビーズを投入するように制御することができる。
【0030】
また、前記原料ビーズをキャビティ内に供給するに際して、キャビティ内圧力を大気圧以上の圧力に設定するとともに、原料サイロおよび計量ホッパー内を前記キャビティ内圧力プラス0.5kg/cm2未満の範囲に加圧して、その差圧によって原料ビーズを原料サイロからキャビティ内に送入・充填することが好ましい。この条件を満たすように圧力調整することで、原料ビーズをキャビティ内にスムースかつ短時間で充填することができ、成形効率を向上させることができる。
【0031】
また、キャビティ内圧力を大気圧からマイナス0.5kg/cm2までの範囲に減圧設定するとともに、原料サイロおよび計量ホッパー内を大気圧以上の圧力として、その差圧によって原料ビーズを原料サイロからキャビティ内に送入・充填することも好ましく、この場合も原料ビーズをキャビティ内にスムースかつ短時間で充填することができ、成形効率を向上させることができる。
以上のように、圧力の設定を所定の範囲に設定するだけでなく、充填器の復動操作によって原料ビーズをキャビティ内に効率よく充填することもできる。
【0032】
以上のようにして測定したキャビティ内に充填した原料ビーズの重量と、成形直後の成形体の重量の差から成形体の含水量を正確に算出することが可能となる。
従来は、充填した原料ビーズを体積で管理していて正確な重量がわからなかったため、成形後の成形体の正確な含水重量は把握できなかった。しかし、本発明では原料ビーズの充填重量を正確に測定することから、成形後の成形体の正確な含水重量を算出可能とした。即ち、充填した原料ビーズの重量と、成形直後の成形体の重量の差から成形サイクル中に成形体に付着等した含水重量を正確に算出するのである。
このようにして含水重量を算出した後は、例えば、蒸気圧力と加熱時間等のパラメータを制御することにより、含水量を一定に保ち成形品の融着度を一定以上に維持することができるという効果を発揮する。
例えば、含水量を一定に保つ操作として、含水量が多い場合は、加熱工程での蒸気の供給量を増やすようにパラメータ操作を行い、逆に、含水量が少ない場合は、加熱工程での蒸気の供給量を減らすようにパラメータ操作を行うことで含水量を一定に保つことが可能となる。
【0033】
以上の説明からも明らかなように、本発明は原料ビーズをキャビティ内に充填する前後における計量ホッパーの重量差を測定することにより、キャビティ内に充填した原料ビーズの重量を正確に算出できるようにしたので、従来の原料ビーズの容量管理と異なり、重量のバラツキのない所定重量の発泡成形品を安定して生産することが可能となる。また、原料不足による肉欠け部の発生を防止して高品質な発泡成形品を生産することが可能となる。更には、キャビティ内に充填した原料ビーズの重量を正確に算出できることから、成形直後の発泡成形品の重量を測定すれば製品の含水量を求めることもでき、含水率の管理に応用することや、加熱条件および含水率等から発泡成形品の融着度管理などにも発展させることができる。
【符号の説明】
【0034】
1 発泡樹脂成形機
1a 凹型
1b 凸型
2 充填器
3 原料サイロ
4 ブロアー
5 計量ホッパー
6 ロードセル
7 算出手段
8 計量計
20 発泡成形体