(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-12
(45)【発行日】2022-05-20
(54)【発明の名称】鉄筋輸送管理システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/08 20120101AFI20220513BHJP
B65G 61/00 20060101ALI20220513BHJP
【FI】
G06Q10/08 304
B65G61/00 546
(21)【出願番号】P 2018158844
(22)【出願日】2018-08-28
【審査請求日】2021-07-06
(73)【特許権者】
【識別番号】594045791
【氏名又は名称】株式会社ア-キテック
(74)【代理人】
【識別番号】100181881
【氏名又は名称】藤井 俊一
(72)【発明者】
【氏名】中島 徹
【審査官】萩島 豪
(56)【参考文献】
【文献】特開平7-041115(JP,A)
【文献】特開2002-160810(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2014-0087455(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
B65G 61/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
輸送車両への積載対象となる加工帳レコードを選択する積載鉄筋選択手段と、
前記輸送車両への積載対象として選択された加工帳レコードの加工絵符を出力する加工絵符出力手段と、
前記輸送車両への積載対象として選択された加工帳レコードから輸送用パレットへの積載対象となる加工帳レコードをパレット毎に定めたパレットレコード、又は前記輸送車両への積載対象として選択された加工帳レコードから輸送車両への積載対象となるパレット外鉄筋の加工帳レコードを定めたパレット外鉄筋レコードを作成する手段と、
輸送車両の積載対象となる前記パレットレコード又は前記パレット外鉄筋レコードを輸送車両毎に定めた輸送車両積載レコードを作成する手段と、
前記輸送車両積載レコードが作成された輸送車両から積載先とする輸送車両を選択する輸送車両選択手段と、
前記輸送車両積載レコードのパレットレコード又はパレット外鉄筋レコードを表示する積載リスト出力手段と、
前記積載リスト出力手段で表示されたパレットレコードに含まれる積載済加工帳レコードと、前記パレットレコードにかかるパレット上に存在する鉄筋に付された加工絵符の加工帳レコードとの照合、又は前記積載リスト出力手段で表示されたパレット外鉄筋レコードにかかる積載済加工帳レコードと、パレット外の鉄筋に付された加工絵符の加工帳レコードとの照合を行う積載検証手段と、
前記照合の結果合致した前記輸送車両積載レコードのパレットレコード又はパレット外鉄筋レコードについて積載済の処理を行う積載管理手段を備え、
携帯端末装置に、前記輸送車両選択手段と、前記積載リスト出力手段と、前記積載管理手段を備える鉄筋輸送管理システム。
【請求項2】
輸送車両への積載対象となる加工帳レコードの加工内容を抽出した形式鉄筋レコードを作成する手段と、
前記輸送車両への積載対象として選択された加工帳レコードから輸送用パレットへの積載対象となる加工帳レコード及び当該加工帳レコードから作成された形式鉄筋レコードをパレット毎に定めたパレットレコード、又は前記輸送車両への積載対象として選択された加工帳レコードから輸送車両への積載対象となるパレット外鉄筋の加工帳レコード及び当該加工帳レコードから作成された形式鉄筋レコードを定めたパレット外鉄筋レコードを作成する手段と、
前記積載リスト出力手段で表示されたパレットレコードに含まれる積載済加工帳レコードの加工内容と、前記パレットレコードにかかるパレット上に存在する鉄筋に付された加工絵符の加工帳レコードの加工内容との照合、又は前記積載リスト出力手段で表示されたパレット外鉄筋レコードの加工内容と、パレット外の鉄筋に付された加工絵符の加工帳レコードから導かれる加工内容との照合を行う積載検証手段を備える請求項1に記載の鉄筋輸送管理システム。
【請求項3】
積載リスト出力手段は、前記輸送車両積載レコードのパレットレコード又はパレット外鉄筋レコードの加工内容を表示する請求項2に記載の鉄筋輸送管理システム。
【請求項4】
前記積載管理手段は、前記積載済の処理として、前記積載リスト出力手段による表示から前記照合の結果合致したパレットレコードを削除する請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の鉄筋輸送管理システム。
【請求項5】
前記積載管理手段は、前記積載済の処理として、前記積載リスト出力手段による表示から前記照合の結果合致したパレットレコード及びパレット外鉄筋レコードの加工内容を削除する請求項3に記載の鉄筋輸送管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄筋の輸送に伴う作業遅滞などの問題を解消する鉄筋輸送管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、工場で加工された鉄筋は、クレーンやトラックの積載可能重量に副って搬送され輸送される。
しかしながら、設備事情、現場事情、交通事情又は作業ミスなどにより、現場への鉄筋の到着に時間差が生じ、作業の滞りが生じる場合が少なくないという実態がある。
例えば、100本で3トンともなるような同一加工が施された鉄筋を輸送する場合には、予め、各荷物が1トン程度の重量となるように分け、それぞれの絵符を出力し、各絵符が付された荷物単位で輸送することとなるが、100本の鉄筋のすべてを同じ現場へ輸送する必要があるにも関わらず、加工工場での作業効率やトラックの積載量の都合等により一部の荷物が他の現場へ届けられ、又は一部の荷物の到着時間に大きな遅延が生じる場合もある。
【0003】
また、複数種類の加工鉄筋を組み合わせて一現場の構築物が成立する場合においては、例えば、各荷物の絵符に、「構築物イ 1/5」,「構築物イ 2/5」,・・・,「構築物イ 5/5」などと記すことによって、5個の荷物が同じ現場に届く措置を講じたとしても、トラックの積載量の都合等により、それら全てが一台のトラックに積載されるとは限らず、複数のトラックに積み込まれることによって、到着時間の時間差が生じることとなる。
【0004】
現場においては、たとえその様に鉄筋の到着に遅延が生じる事態にあっても、100本の鉄筋を漏れなく組み付ける必要があるので、遅延待ちの間、現場における作業は手待ちとなり、無駄なコストが発生するという問題がある。
それを回避するためには、各輸送車両に同じ日時に同じ現場で荷降ろしを行うべき鉄筋を積載するよう管理すれば良いが、その様な輸送計画や積載計画を策定し、且つそれらの計画を遺漏無く効率的に実行することは容易ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
仮に、橋脚の上部につく床板との接続部の支承の想定で、支承自体は、X方向Y方向の両アンカで構成され、単位支承あたり、X方向のアンカ(横方向鉄筋)がハタラキ1000で10本、Y方向のアンカ(縦方向鉄筋)がハタラキ800で12本が必要であり、各橋脚に4個の支承が必要であるとする。
そこで、仮に、一つの橋梁に橋脚が5本必要であれば20個の支承が必要になる。
その際、例えば、前記橋脚1個分の支承が同じ輸送グループとなるように、予め計画して、車両やパレットに載せることで、到着が遅れても致命的とならず且つ現場での作業を減らすことができる。
しかしながら、現実には、加工工場では生産効率を上げるため、例えば横方向鉄筋を5×4×10本まとめて加工が行われるのが一般的である。
【0007】
従来、上記着想に基づいて輸送鉄筋の管理を遺漏無く行うシステムが存在せず、担当者の裁量で輸送鉄筋を管理し、又はまとめて加工された鉄筋(縦方向鉄筋又は横方向鉄筋)を一括りにして輸送車両に積載していたため、管理ミスによって鉄筋を積み忘れた場合や、一部の鉄筋を積載した輸送車両の到着が遅延した場合には、現場は未到着の鉄筋が到着するまでは、橋脚は1本も完成しないという支障が出る。
【0008】
また、加工工場でまとめて加工された鉄筋を一括りで輸送された場合には、X、Y鉄筋を、現場で橋脚1脚分ずつ小分けする作業が伴い、鉄筋を展開するに十分な空間が施工現場に無い場合には、狭いトラックの荷台上で行わざるを得ず、人手が満足に機能できず、煩雑で且つ時間がかかるという問題がある。
【0009】
上記特許文献1に記載の様に、縦方向鉄筋と横方向鉄筋とを予め一体に組み合せた鉄筋ユニットを搬送する手法も存在するが、ユニットが嵩張ることによって、却ってトラック一台の積載重量が減少し、到着時間の遅延を助長しかねないという問題もある。
更に、鉄筋加工帳のレコードを指定する形で管理し、輸送計画や積載計画を立案・実行していたのでは、作業能率の低下という別の問題が生じるという問題がある。
【0010】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであって、合理的に、効率的に且つ遺漏無く鉄筋の輸送計画や積載計画を立案・実行でき、鉄筋の輸送に伴う作業遅滞などの問題を回避できる鉄筋輸送管理システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するためになされた本発明による鉄筋輸送管理システムは、同じ現場を輸送先とする輸送車両への積載対象となる加工帳レコードを選択する積載鉄筋選択手段と、前記輸送車両への積載対象として選択された加工帳レコードの加工絵符を出力する加工絵符出力手段と、前記輸送車両への積載対象として選択された加工帳レコードから輸送用パレットへの積載対象となる加工帳レコードをパレット毎に定めたパレットレコード、又は前記輸送車両への積載対象として選択された加工帳レコードから輸送車両への積載対象となるパレット外鉄筋の加工帳レコードを定めたパレット外鉄筋レコードを作成する手段と、輸送車両の積載対象となる前記パレットレコード又は前記パレット外鉄筋レコードを輸送車両毎に定めた輸送車両積載レコードを作成する手段と、前記輸送車両積載レコードが作成された輸送車両から積載先とする輸送車両を選択する輸送車両選択手段と、前記輸送車両積載レコードのパレットレコード又はパレット外鉄筋レコードを表示する積載リスト出力手段と、前記積載リスト出力手段で表示されたパレットレコードに含まれる積載済加工帳レコードと、前記パレットレコードにかかるパレット上に存在する鉄筋に付された加工絵符の加工帳レコードとの照合、又は前記積載リスト出力手段で表示されたパレット外鉄筋レコードにかかる積載済加工帳レコードと、パレット外の鉄筋に付された加工絵符の加工帳レコードとの照合を行う積載検証手段と、前記照合の結果合致した前記輸送車両積載レコードのパレットレコード又はパレット外鉄筋レコードについて積載済の処理を行う積載管理手段を備え、携帯端末装置に、前記輸送車両選択手段と、前記積載リスト出力手段と、前記積載管理手段を備えることを特徴とする。
【0012】
上記課題を解決するためになされた本発明による鉄筋輸送管理システムは、更に、輸送車両への積載対象となる加工帳レコードの加工内容を抽出した形式鉄筋レコードを作成する手段と、前記輸送車両への積載対象として選択された加工帳レコードから輸送用パレットへの積載対象となる加工帳レコード及び当該加工帳レコードから作成された形式鉄筋レコードをパレット毎に定めたパレットレコード、又は前記輸送車両への積載対象として選択された加工帳レコードから輸送車両への積載対象となるパレット外鉄筋の加工帳レコード及び当該加工帳レコードから作成された形式鉄筋レコードを定めたパレット外鉄筋レコードを作成する手段と、前記積載リスト出力手段で表示されたパレットレコードに含まれる積載済加工帳レコードの加工内容と、前記パレットレコードにかかるパレット上に存在する鉄筋に付された加工絵符の加工帳レコードの加工内容との照合、又は前記積載リスト出力手段で表示されたパレット外鉄筋レコードの加工内容と、パレット外の鉄筋に付された加工絵符の加工帳レコードから導かれる加工内容との照合を行う積載検証手段を備える構成を採ることもできる。
【0013】
また、積載リスト出力手段は、前記輸送車両積載レコードのパレットレコード又はパレット外鉄筋レコードの加工内容を表示する構成とすることができ、前記積載管理手段は、前記積載済の処理として、前記積載リスト出力手段による表示から前記照合の結果合致したパレットレコードを削除する構成、又は前記積載済の処理として、前記積載リスト出力手段による表示から前記照合の結果合致したパレットレコード及びパレット外鉄筋レコードの加工内容を削除する構成を採ることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明による鉄筋輸送管理システムによれば、搬入場所及び搬入時間に応じてグループ化した鉄筋、鉄筋を載せたパレット及びそれらを積載し輸送する輸送車両を遺漏無く、且つ遅滞無く輸送できる鉄筋輸送作業の実現に貢献できる。
その結果、加工後、例えば橋脚1脚分ずつパレットに載せた場合には、届いた分は確実に完成させることができる。
【0015】
更に、形式鉄筋データ又は形式鉄筋レコードを作成する構成を採ることによって、加工内容に着目してパレットや輸送車両に積載する積載計画を立案し、加工内容に着目して実際に積載することができるため、グループ化の単位となる加工帳レコードに限ることなく、同じ加工内容の鉄筋を積載することを許容する合理的で且つ効率的な積載が可能となる。
また、輸送車両に積載する場合にあっても、パレットに載せられた鉄筋の一つの加工絵符をスキャンするなどにより、加工内容などを入力するだけで、そのパレットの相違及び組成を検出し、極めて簡素な構成及び手続をもって積載の誤りを回避することができる。
【0016】
更に、加工帳から選択したレコード群を形式鉄筋レコードとして個別の名称を付けて登録保存することで、新規に編集した加工帳に、その名称でレコード群を追加することが可能になる。
このように、上記鉄筋輸送管理システムは、加工を終えた鉄筋輸送に伴う諸問題を解決する便宜となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明による鉄筋輸送管理システムの実施態様例を示す概略図である。
【
図2】本発明による鉄筋輸送管理システムで用いられる加工絵符の一例を示すイメージ図である。
【
図3】本発明による鉄筋輸送管理システムで用いられるテーブルを例示した説明図である。
【
図4】本発明による鉄筋輸送管理システムで用いられる鉄筋加工帳を例示した説明図である。
【
図5】本発明による鉄筋輸送管理システムで行われる積載鉄筋の選択手続の一例を示す説明図である。
【
図6】本発明による鉄筋輸送管理システムで行われるパレットレコードの作成処理の一例を示すフローチャートである。
【
図7】本発明による鉄筋輸送管理システムで行われるパレットへの鉄筋の積載処理の一例を示すフローチャートである。
【
図8】本発明による鉄筋輸送管理システムで行われる輸送車両積載計画策定の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図9】本発明による鉄筋輸送管理システムで行われる輸送車両へ積み込むパレット又はパレット外鉄筋の選択手続の一例を示す説明図である。
【
図10】本発明による鉄筋輸送管理システムで行われる輸送車両選択処理から輸送車両へ積み込むパレットの一覧処理に至る手続の一例を示すフローチャートである。
【
図11】本発明による鉄筋輸送管理システムで行われる輸送車両へ積み込むパレットの確認処理及び積載済の処理の一例を示すフローチャートである。
【
図12】本発明による鉄筋輸送管理システムで行われる輸送車両へ積み込むパレット外鉄筋の確認処理及び積載済の処理の一例を示すフローチャートである。
【
図13】本発明による鉄筋輸送管理システムで用いられる携帯端末装置及びその表示例を示す説明図である。
【
図14】本発明による鉄筋輸送管理システムが備える具体的手段の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明による鉄筋輸送管理システムの実施の形態を、図面に基づき詳細に説明する。
図1に示す鉄筋輸送管理システムの例は、輸送ステーション等において鉄筋の輸送を管理する演算処理装置(以下「PC1」という)と、当該PC1での処理をローカル通信網やグローバル通信網を通じて提供するサーバー2と、鉄筋の積載現場において鉄筋の積載情報等を採取する携帯端末装置(以下「HT3」という)とで構成される。
【0019】
前記PC1は、CPU及びメモリ並びに各種インターフェースを含むパーソナルコンピュータと、種々の情報を手入力するためのキーボードやマウスなどの入力手段と、画像出力装置やプリンタ等の出力装置からなり、スイッチングハブ等を介してサーバー2等と接続可能な構成を備える。
【0020】
前記PC1は、輸送計画や積載計画を作成する際のツール(輸送・積載計画作成支援手段)として、輸送車両(例えばトラックなど)を登録した輸送車両テーブルと、鉄筋の形状(鉄筋の加工形式)と必要本数をフィールドとして具備する加工帳レコードを作成しユーザーが決めた名称及び加工帳IDを付して明細書化した加工帳を編集し適宜出力する加工帳編集手段と、同じ現場を輸送先とする輸送車両への積載対象となる加工帳レコードを選択する積載鉄筋選択手段と、輸送車両への積載対象となる加工帳レコードの径、材質、形状、切寸及び合計本数(以下「加工内容(形式鉄筋データ)」という)を抽出した形式鉄筋レコードを作成する形式鉄筋レコード作成手段と、前記輸送車両への積載対象として選択された加工帳レコードから輸送用パレットへの積載対象となる加工帳レコード及び当該加工帳レコードから作成された形式鉄筋レコードをパレット毎に定めたパレットレコードを作成するパレットレコード作成手段と、前記輸送車両への積載対象として選択された加工帳レコードから輸送車両への積載対象となるパレット外鉄筋の加工帳レコード及び当該加工帳レコードから作成された形式鉄筋レコードを定めたパレット外鉄筋レコードを作成するパレット外鉄筋レコード作成手段と、輸送車両の積載対象となる前記パレットレコード及び前記パレット外鉄筋レコードを輸送車両毎に定めた輸送車両積載レコードを作成する輸送車両積載レコード作成手段を備える。
【0021】
前記PC1は、積載作業時用のツールとして、前記輸送車両への積載対象として選択された加工帳レコードの加工絵符を出力する加工絵符出力手段と、前記輸送ステーションのPC1が積載対象として指定したパレットレコードに含まれる積載済加工帳レコードと当該パレットレコードにかかるパレット上に実際に存在する鉄筋に付された加工絵符の加工帳レコードとを照合するパレット積載検証手段と、前記輸送ステーションのPC1が積載対象として指定したパレット外鉄筋レコードの加工内容とパレット外の鉄筋に付された加工絵符の加工帳レコードから導かれる加工内容とを照合するパレット外鉄筋積載検証手段を備える。
【0022】
前記サーバー2は、鉄筋の輸送管理に用いる設備事情、現場事情を記録したデータベースと、当該データベースを管理する制御手段と、前記PC1及び前記HT3との通信(データの授受など)を行う通信手段を備える(
図14参照)。
【0023】
前記データベースは、前記加工帳、鉄筋の仕様として登録された形式鉄筋のリスト、鉄筋を載せるパレットの仕様として登録されたパレットのリスト、登録された輸送車両のリスト、登録されたパレットに積載できない鉄筋として登録されたパレット外鉄筋リスト、登録された各輸送車両の仕様(荷台のサイズ及び積載重量など)として登録された輸送車両の積載量リストなどが検索可能となるように体系的に配列して記録された加工帳テーブル、形式鉄筋テーブル、パレットテーブル、輸送車両テーブル、パレット外鉄筋テーブル、輸送車両積載テーブルなどが記録されている(
図3参照)。
【0024】
前記加工帳テーブルには、加工帳レコードが登録され、前記形式鉄筋テーブルには、形式鉄筋レコードが登録され、前記パレットテーブルには、パレットレコードが登録され、前記輸送車両テーブルには、輸送車両レコードが登録され、前記パレット外鉄筋テーブルには、パレット外鉄筋レコードが登録され、前記輸送車両積載テーブルには、輸送車両積載レコードが登録される。
【0025】
前記加工帳レコードは、加工帳レコードID、鉄筋の径、材質、形状、切寸、本数(当該レコードの指定本数)、箇所数、合計本数(同じ加工形式を持つ鉄筋の総数)、定尺長、定尺本数、鋼番を記入するフィールドを備え、前記形式鉄筋レコードは、形式鉄筋ID、鉄筋の径、材質、形状、切寸、合計本数を記入するフィールドを備え、前記パレットレコードは、パレットID、パレットの名称、形式鉄筋ID群、積載済加工帳レコードID群を記入するフィールドを備え、前記輸送車両レコードは、輸送車両レコードID、輸送車両レコードの名称を記入するフィールドを備え、前記パレット外鉄筋レコードは、パレット外鉄筋レコードID、形式鉄筋ID、積載済加工帳レコードIDを記入するフィールドを備え、前記輸送車両積載レコードは、輸送車両積載レコードID、輸送車両ID,パレット名称群、パレット外鉄筋レコード群を記入するフィールドを備える。
【0026】
前記データベースを管理する制御手段は、前記PC1及び前記HT3からの指令を受けて前記テーブル、レコード又はフィールドに収められた情報の読み出し、書き込み及び更新を行うものである。
前記通信手段は、前記PC1及び前記HT3からの指令に対する応答、及びデータベースに対して出し入れされた情報の授受を行う通信インターフェース等である。
【0027】
前記HT3は、操作入力及びデータ入力を発生させ、又は読み取る入力手段と、前記入力及びデータ入力を受け付ける入力インターフェースと、前記PC1及び前記HT3とのデータの授受を行う通信インターフェースと、前記入力インターフェース又は前記通信インターフェースを経て入力され更新されたデータを保有する記録手段と、当該HT3で取り扱われたデータを出力する出力インターフェースと、前記出力インターフェースから出力されたデータを人の五感で認識できる様に出力する出力手段を備える(
図13参照)。
【0028】
前記HT3の入力手段は、種々の情報を手入力するためのキーボードやタッチパネルなどと、二次元コードを入力するスキャナーなどである。
前記出力手段は、プリンタと、前記入力インターフェース及び出力インターフェースに接続されて前記入力手段及び出力手段として機能する画像出力手段などである。
【0029】
この例では、前記HT3に、前記輸送車両積載レコードが作成された輸送車両から積載先とする輸送車両を選択する輸送車両選択手段と、前記輸送車両積載レコードのパレットレコード及びパレット外鉄筋レコードの加工内容を表示する積載リスト出力手段と、加工絵符から加工帳レコードIDなどを読み取る絵符読取手段と、前記積載リスト出力手段で表示されたパレットレコードに含まれる積載済加工帳レコードと前記パレットレコードにかかるパレット上に存在する鉄筋に付された加工絵符の加工帳レコードとを照合するパレット積載検証手段と、前記積載リスト出力手段で表示されたパレット外鉄筋レコードの加工内容と、パレット外の鉄筋に付された加工絵符の加工帳レコードから導かれる加工内容とを照合するパレット外鉄筋積載検証手段と、前記照合の結果合致した前記輸送車両積載レコードのパレットレコード及びパレット外鉄筋レコードについて積載済の処理を行う前記積載管理手段を備える。
【0030】
尚、前記パレット積載検証手段と前記パレット外鉄筋積載検証手段は、前記PC1に備える構成や、PC1、サーバー2又はHT3の組合せで一体とする構成を採ることもできる(
図14参照)。
【0031】
(管理手順)
この鉄筋輸送管理システムの例では、鉄筋の径、加工形式及び所要本数を加工内容として入力し、建築物の構造に必要となる鉄筋の加工帳レコードを多数登録した鉄筋加工帳(
図4参照)を編集し、加工帳レコードそれぞれの加工絵符(
図2参照)を出力する。
加工工場では、出力された加工絵符に基づいてストックヤードから定尺材を選択しHT3にて鋼材タグの2次元コードから鋼番を、加工絵符の2次元コード等から加工帳レコードIDを読み出し、サーバー2に送信する。
次に、所要鉄筋の加工を行い、グループ別に所定のパレットに載せパレット毎に所定の輸送車両に積載し、若しくは個々の鉄筋を輸送車両に直接積載する(
図1参照)。
【0032】
この例において、加工を終えた鉄筋を載せるパレットの決定は、当該鉄筋加工帳に含まれる鉄筋の加工帳レコードからパレットに積み込む鉄筋を加工帳レコード単位で選択し登録された前記形式鉄筋テーブルを作成することにより行われる(
図3(B)参照)。
【0033】
(鉄筋加工帳の作成)
前記鉄筋加工帳に加工帳レコードとして登録された鉄筋の加工形式は、前記鉄筋加工帳編集手段によって、加工後に得ようとする鉄筋の全体又は部分の形状を、予め決められた形状記号とフィールド値、又は部分属性情報とその部分を形作る座標から導かれるパラメータで表現する(例えば特開2017-094358参照)。
【0034】
例えば、前記部分属性情報が直線コードである場合には、当該部分属性情報及びその部分を形作る座標から当該直線部分の長さを導き、鉄筋送りコード及び送り長を含む鉄筋送りデータを備える。
一方、前記部分属性情報が円弧コードである場合には、当該部分属性情報及びその部分を形作る座標から円弧部分の半径、円周角及び転回角を導き、鉄筋曲げコード及び曲げ角、曲げ半径コード及び曲げ半径を含む鉄筋曲げデータ並びに鉄筋転回コード及び転回角を含む鉄筋転回データを備える。
【0035】
鉄筋の形状が予め規定されている場合には、形状番号とフィールド値によって加工形式を特定する。
例えば、90度に屈曲した「L」字状(形状番号:2)の片アンカ形状であれば、「形状番号:2」と、直角を形作る二辺の長さに相当する「2フィールドの値:250,2000」で、「2,250,2000」を入力する。
【0036】
<輸送・積載計画の作成>
(形式鉄筋テーブルの作成)
前記PC1の形式鉄筋レコード作成手段は、選択された加工帳のレコードから、前記形式鉄筋テーブルの形式鉄筋レコードを作成する。
その際、前記積載鉄筋選択手段で前記形式鉄筋レコードの作成の対象となる加工帳レコードを選択し、前記形式鉄筋レコード作成手段は、選択された加工帳レコードの径、材質、形状、切寸及び合計本数(加工内容)を抽出し、新規に作成した形式鉄筋レコードの所定のフィールドに書き込み、当該形式鉄筋レコードに同じ加工内容のものが存在しない限り、新規に登録すべき形式鉄筋レコードとして前記形式鉄筋テーブルに登録する処理を行う。
前記形式鉄筋レコード作成手段は、同じ加工形式で合計本数が異なる複数の加工帳レコードを形式鉄筋レコードに変換する場合には、異なるIDを持つ形式鉄筋レコードを複数作成する。
【0037】
前記形式鉄筋レコードの作成処理は、選択された加工帳レコードの全てについて加工内容の抽出が完了するまで継続する。
前記形式鉄筋レコードの作成の対象となる加工帳レコードの選択は、加工帳表示画面におけるクリック操作又はドラッグ操作によって行うことができる。
【0038】
<積載鉄筋のグループ分け>
積載鉄筋のグループ分けは、前記積載鉄筋選択手段によって行われる。
例えば、加工帳の一覧フォームにおいて、ドラッグ操作等により領域指定を行うことで指定された加工帳レコードにかかる鉄筋を、特定の輸送車両又は特定のパレットに積載する積載鉄筋として指定するものである。
その際、各グループは、名称を指定し、固有の識別子(ID)を付すことによって、新規なレコードとして前記形式鉄筋テーブル、パレットテーブル、パレット外鉄筋テーブル又は輸送車両積載テーブルに登録される(
図5参照)。
【0039】
(パレットテーブルの作成)
前記PC1のパレットレコード作成手段は、先ず、上記の如く加工帳から選択された加工帳レコードから加工内容のみが抽出された形式鉄筋データを抽出し、当該形式鉄筋テーブルに含まれる形式鉄筋レコードのID(以下「形式鉄筋ID(単数の場合)」又は「形式鉄筋ID群(複数の場合)」という)を検出する処理を行う。
続いて、当該パレットレコード作成手段は、GUID(Globally Unique Identifier)などの識別子(ID)が付された新規のパレットレコードに、ユーザーが入力した任意のパレット名称を所定のフィールドに記入し、選択された加工帳レコードから抽出した加工内容と同一の加工内容を有する形式鉄筋レコードの前記形式鉄筋IDを形式鉄筋ID群のフィールドに追加する。
以上の処理を、前記ドラッグ操作で指定したすべての加工帳レコードについて、各々の形式鉄筋IDを重複なく形式鉄筋ID群のフィールドに追加する処理を完了するまで繰り返す(
図6参照)。
【0040】
上記パレットテーブルの作成作業は、積載対象とするすべてのパレットの積載計画が完了するまで繰り返される。
前記絵符出力手段は、当該パレットテーブルに登録されたパレットレコード毎に前記加工帳レコードのIDを表す二次元コードを印刷した加工絵符を出力する。
【0041】
(輸送車両テーブルの作成)
この鉄筋輸送管理システムは、使用できる輸送車両のそれぞれを輸送車両レコードとして体系的に登録した輸送車両テーブルを備える。
この例は、輸送車両レコード作成手段を備える。
輸送車両レコード作成手段は、GUIDなどの識別子(ID)が付された新規の輸送車両レコードを作成し、当該輸送車両レコードの所定のフィールドに、ユーザーが任意に入力した輸送車両の名称を記入する。
【0042】
<パレットへの鉄筋の積載>
この例は、輸送ステーションのPC1と、サーバー2と、HT3とが相互に通信を行うことで積載支援手段を構成し、以下の様にパレットへの鉄筋の積載の支援を行う。
前記積載支援手段は、所望の鉄筋を適切に輸送すべく、上記の如く構成されたPC1により、そのサーバー2から、前記パレットテーブルに登録されたパレットレコードを積載現場のユーザーが携帯するHT3へ送信する。
前記サーバー2からパレットレコードの送信を受けたHT3は、そのディスプレイ画面にパレットレコードのパレット名称を一覧表示する(
図7参照)。
【0043】
当該HT3を所持するユーザーは、積載作業を行うパレットレコードのパレット名称を一つ選択し、パレット名称の選択を受けたHT3は、選択を受けたパレットレコードのパレットIDを前記サーバー2へ送信する。
サーバー2へパレットIDを送信したHT3は、サーバー2から当該パレットIDにかかるパレットレコードを受ける。
これをもって、この際、選択された輸送車両の積載対象となるパレットが決定する。
【0044】
前記パレットIDにかかるパレットレコードのIDをHT3で受けたユーザーは、前記絵符出力手段が出力した加工絵符の二次元コードをHT3のスキャナーで読み取り、加工帳レコードの加工帳レコードIDを当該HT3で前記サーバー2に送信する。
前記サーバー2は、HT3から送信された加工帳レコードIDから形式鉄筋データ(加工内容)を作成し、前記形式鉄筋テーブルから前記形式鉄筋データと同じ加工内容の形式鉄筋IDを検索する。
【0045】
前記形式鉄筋データと同じ加工内容の形式鉄筋IDが取得できた場合には、当該HT3から先に受信したパレットIDにかかるパレットレコードの形式鉄筋ID群から前記形式鉄筋データと同じ加工内容の形式鉄筋IDを検索する。
前記形式鉄筋テーブルから前記形式鉄筋データと同じ加工内容の形式鉄筋IDを取得できなかった場合には、HT3へNG情報を送信する。
【0046】
前記HT3から先に受信したパレットIDにかかるパレットレコードの形式鉄筋ID群に、HT3から送信された加工帳レコードIDにかかる加工帳レコードから作成された形式鉄筋データと同じ加工内容の形式鉄筋レコードにかかる形式鉄筋IDを検出した場合には、前記サーバー2は、当該パレットレコードの積載済加工帳レコードのID群にHT3から受信した加工帳レコードのIDを追加登録し、HT3に対してパレットレコードに当該積載済加工帳レコードのIDを追加した旨の情報(以下「OK情報」という)を送信する。
更に、サーバー2は、当該パレットレコードの形式ID群がすべて使用されたかを検証し、すべて使用されたと判断された場合には、HT3に当該パレットレコードの名称を消去する指令(以下「パレット消去指令」という)を送信する。
前記OK情報及び前記パレット消去指令を受信したHT3は、パレット名称一覧表示から当該パレットレコードの名称を消去しパレットテーブルから当該パレットレコードを削除する(
図7参照)。
【0047】
指定されたパレットレコードの形式鉄筋ID群から前記形式鉄筋データと同じ加工内容の形式鉄筋IDを検出できない場合は、サーバー2は、HT3にNG情報を送信する。
NG情報を受信したHT3は、スキャナーで読み込まれた鉄筋は誤りである旨の情報をディスプレイ画面や音声などで出力し、当該HT3を所持するユーザーに通知する。
以上の処理を、パレット名称一覧表示からすべてのパレット名称が消去されるまで繰り返す(
図7参照)。
【0048】
(輸送車両積載テーブルの作成)
輸送車両積載テーブルは、輸送・積載計画に含まれる各輸送車両に積載されるパレットと、パレットに積載されること無く当該輸送車両に積載される鉄筋群(パレット外鉄筋レコード群)を、それぞれ輸送車両積載レコードとして登録したものである。
【0049】
輸送車両積載テーブルは、前記輸送車両積載レコード作成手段によって、輸送車両ごとに作成され、先ず、前記輸送車両レコードの固有識別子(ID)を付した新規な輸送車両積載レコードを作成し、前記輸送ステーションは、新規に作成された輸送車両積載レコードの担当輸送車両を、前記輸送車両テーブルに登録された輸送車両群から任意に選択し、輸送車両積載レコードの輸送車両IDに、選択された輸送車両IDを登録する(
図8、
図13(A)参照)。
次に、前記パレットテーブルから、当該輸送車両に積載するパレット及びパレット外鉄筋を選択し、当該パレットレコードの名称及びパレット外鉄筋レコードを当該輸送車両積載レコードのパレット名称群及びパレット外鉄筋レコード群に追加する。
積載するパレット及びパレット外鉄筋の選択は、ドラッグ操作等で行うことができる(
図9参照)。
【0050】
(パレット外鉄筋テーブルの作成)
パレット外鉄筋テーブルは、加工帳レコードからパレット外(パレットに積載しない)鉄筋レコードを作成し、当該パレット外鉄筋レコードに、パレット外鉄筋IDを付したものである。
各パレット外鉄筋レコードは、当該レコード固有の識別子(ID)、当該パレット外鉄筋の加工内容を抽出した形式鉄筋レコードの形式鉄筋ID及び積載済加工帳レコードIDをフィールドとして備える。
【0051】
前記パレット外鉄筋レコード作成手段は、前記積載鉄筋選択手段で加工帳から所望の加工帳レコードを選択し、選択された加工帳レコードについて、各々IDが付された新規のパレット外鉄筋レコードを作成する。
その際、パレット外鉄筋の加工帳レコードから、前記形式鉄筋レコードを作成し、前記形式鉄筋テーブルに追加する。
既に同じ加工内容のパレット外鉄筋の形式鉄筋レコードが存在する場合には、選択された加工帳レコードに固執することなく、既存のパレット外鉄筋レコードの形式鉄筋IDを当該パレット外鉄筋の形式鉄筋IDに更新し、積載済加工帳レコードIDを空白にして輸送車両積載レコードのパレット外鉄筋レコード群に追加する(
図8)。
以上の処理を、パレット外鉄筋の加工帳レコードがなくなるまで繰り返す(
図8及び
図9参照)。
【0052】
<輸送車両への積載>
この鉄筋輸送管理システムの管理の下、前記積載支援手段の支援を受けつつ所望の輸送車両に鉄筋を積む場合には、前記PCは、サーバー2からHT3に対し輸送車両積載テーブルにある輸送車両積載レコード群と、当該輸送車両積載レコードに記載の輸送車両IDから、輸送車両名称群を導き、その一覧を送信する。
前記サーバー2から輸送車両名称群の送信を受けたHT3は、それらのHT3のディスプレイ画面に一覧表示する。
当該HT3を所持するユーザーは、当該名称一覧から所望の輸送車両を一つ選択し、輸送車両の選択を受けたHT3は、選択された輸送車両積載レコードのIDをサーバー2へ送信する(
図10、
図13(A)参照)。
【0053】
<輸送車両へのパレットの積載>
前記輸送車両積載レコードのIDを受けたサーバー2は、輸送車両積載レコードのパレット名称群から、パレットテーブルを検索し、この輸送車両に積み込まれるべきパレットレコード群を検出すると共に、パレットレコードの一覧を、HT3に対して送信する。
前記サーバー2からこの輸送車両に積み込まれるべきパレットレコードの名称の一覧の送信を受けたHT3は、それらをHT3のディスプレイ画面に一覧表示する(
図13(B)参照)。
当該HT3を所持するユーザーは、加工済鉄筋が載せられたパレットの一つの加工鉄筋絵符の二次元コードをHT3のスキャナーで読み取り、読み取った加工帳レコードIDをサーバー2に送信する。
【0054】
前記HT3から加工帳レコードIDを受けたサーバー2は、パレットテーブルの積載済加工帳レコードID群から、受信した加工帳レコードのIDを検索し、パレットIDを検出する。
パレットテーブルの積載済加工帳レコードID群から、受信した加工帳レコードIDを検出した場合には、前記サーバー2は、HT3に対してOK情報を送信する。
サーバー2からOK情報を受信したHT3は、パレット名称一覧表示から当該パレットの名称を消去する。
一方、パレットテーブルの積載済加工帳レコードID群から、受信した加工帳レコードIDを検出できなかった場合には、前記サーバー2は、HT3に対してNG情報を送信する。
以上の処理を、名称一覧表示からすべてのパレット名称が無くなるまで繰り返す(
図11参照)。
【0055】
<輸送車両へのパレット外鉄筋の積載>
この例では、輸送車両への必要なパレットの積載作業を終えた後、前記HT3は、輸送車両積載レコードのパレット外鉄筋レコードのID群をサーバー2に送信する。
パレット外鉄筋レコードのID群を受けたサーバー2は、パレット外鉄筋レコードID群の形式鉄筋ID群から各々の加工内容を検出し、サーバー2から受信したパレット外鉄筋レコードID順にHT3へ送信する。
加工内容を受信したHT3は、それらを当該HT3のディスプレイ画面に一覧表示する(
図12及び
図13(C)参照)。
【0056】
当該HT3を所持するユーザーは、任意にパレット外の鉄筋絵符の二次元コードを、当該HT3のスキャナーで読み取ると共に、読み取った加工帳レコードIDをサーバー2へ送信する。
前記加工帳レコードIDを受信したサーバー2は、当該加工帳レコードから加工内容を検出し、当該加工内容に基づいて形式鉄筋テーブルを検索し、同じ加工内容の形式鉄筋IDを検出する。
形式鉄筋テーブルから、前記加工内容が同じ形式鉄筋IDを検出できない場合は、サーバー2は、HT3にNG情報を送信する。
【0057】
次に、サーバー2は、選択した輸送車両にかかる輸送車両積載テーブルのパレット外鉄筋レコード群から形式鉄筋IDを検索し、前記パレット外鉄筋テーブルから一個のパレット外鉄筋レコードを特定すると共に、当該パレット外鉄筋レコードの積載済加工帳レコードIDを、それに固執することなく受信した加工帳レコードIDに更新する。
前記パレット外鉄筋テーブルから、前記形式鉄筋IDを特定できない場合は、サーバー2は、HT3にNG情報を送信する。
【0058】
更に、前記サーバー2は、HT3に対し特定したパレット外鉄筋レコードのパレット外鉄筋レコードIDを送信する。
前記サーバー2からパレット外鉄筋レコードIDを受けたHT3は、当該IDをパレット外加工帳レコードID群から消去し、当該パレット外加工帳レコードIDが付されたパレット外鉄筋レコードの加工内容を削除する。
ユーザーは、このような処理を経た鉄筋を輸送車両に積載し、HT3のディスプレイ画像の一覧表示されたパレット外加工帳レコードがなくなるまで同じ処理を繰り返す(
図11参照)。
当該鉄筋輸送管理システムによる鉄筋輸送管理作業は、稼動させるべき輸送車両の表示がなくなるまで繰り返される。
【0059】
この様に形式鉄筋レコードを作成し、形式鉄筋データに基づく輸送・積載計画を立てることによって、積載計画の立案時のみならず積載時における融通性をともに高めることができる。
即ち、パレットや輸送車両の積載計画の立案や積載作業の際に、加工帳レコードを指定して行う場合に、仮に、加工形式と合計本数が積載要件を満たしていたとしても、指定された加工帳レコードにかかる加工絵符が付された鉄筋を積載しなければ管理ができなくなるという問題があるため、複数存在する同じ加工形式で同じ合計本数のレコード又は鉄筋群から指定の加工帳レコードのものを探して載せなければならないという縛りがあり、煩雑な処理・作業が余儀なくされるという問題がある。
この例の形式鉄筋データを利用する構成は、このような煩雑な処理・作業を回避できる。
【0060】
この例は、上記運用に限定されるものではなく、IDの受信からレコードデータの返信に至る処理、受信データからレコードの更新に至る処理、又は受信データから形式鉄筋データの抽出に至る処理などのサーバー2の処理は、作業前に、HT3側に、SQL処理関数や形式鉄筋データ抽出プログラムなどを予めインストールし、必要最小限の加工帳レコード群、形式鉄筋レコード群、パレットレコード群、輸送車両レコード群、パレット外鉄筋レコード群及び輸送車両積載レコード群を送信しておけば、作業中にサーバー2との通信を逐一行うことなくHT3が仮に保持する上記レコード群を更新し、作業完了後に、更新後のレコード群をサーバー2に送信し、サーバー2のデータベースを更新する構成を採っても良い。
【0061】
上記構成を採ることによって、鉄による電波の反射が多い鉄筋加工現場にあっても、HT3の無線通信が途絶することによって、長いレスポンス時間を介在することなく、待ち時間がほとんど無い速やかな作業が可能となる。
【符号の説明】
【0062】
1 演算処理装置(PC),2 サーバー,3 携帯端末装置(HT),