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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-12
(45)【発行日】2022-05-20
(54)【発明の名称】灌水チューブ
(51)【国際特許分類】
   A01G 25/02 20060101AFI20220513BHJP
【FI】
A01G25/02 601F
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018049749
(22)【出願日】2018-03-16
(65)【公開番号】P2019154408
(43)【公開日】2019-09-19
【審査請求日】2021-03-10
(73)【特許権者】
【識別番号】596005964
【氏名又は名称】住化農業資材株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】特許業務法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】吉田 葵
(72)【発明者】
【氏名】村上 拓也
【審査官】坂田 誠
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-176319(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 25/02
A01G 9/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
灌水チューブであって、
前記灌水チューブは、農業用ハウス内にて、地面から20cm以下の高さに設置されて農作物の散水に使用されるものであり、
内部に水が通水されるように形成され、且つ、前記内部の水を外部に噴出させる複数の散水孔が長手方向に所定のパターンで形成された通水部を備え、
前記所定のパターンを構成する複数の散水孔として、前記通水部には、農作物のうち前記通水部に近い側の第1の領域と、遠い側の第2の領域とをそれぞれ散水する第1の散水孔と、第2の散水孔とが、それぞれ少なくとも1つ形成されており、
前記灌水チューブが設置されて前記通水部の内部に通水されている状態で、前記通水部の前記長手方向に対する垂直断面の中心を通るように水平方向に沿って前記農作物に向かう方向を正とするX軸、前記中心を通るように鉛直方向に沿って上方向を正とするY軸をとり、前記通水部の任意の位置をXY直交座標で表すとき、
前記第1の散水孔は、その外側開口の中心を通り且つ前記垂直断面の中心を通る第1の仮想直線と前記X軸とがなす角度θ1が0°以上125°以下の範囲となる位置に配されており、その外側開口の中心を通り且つ内側開口の中心を通る第2の仮想直線とその外側開口に接する第3の仮想直線とがなす角度r1が15°以上50°以下であるように形成され、且つ、その孔径が0.100~0.500mmであるように形成されており、
前記第2の散水孔は、その外側開口の中心を通り且つ前記垂直断面の中心を通る第4の仮想直線と前記X軸とがなす角度θ2が0°以上70°以下の範囲となる位置に配されており、その外側開口の中心を通り且つ内側開口の中心を通る第5の仮想直線とその外側開口に接する第6の仮想直線とがなす角度r2が70°以上110°以下であるように形成され、且つ、その孔径が0.100~0.500mmであるように形成されてなる、灌水チューブ。
【請求項2】
前記所定のパターンを構成する複数の散水孔として、前記通水部には、前記第1の領域と前記第2の領域との間の第3の領域を散水する第3の散水孔がさらに形成されており、
前記第3の散水孔は、その外側開口の中心を通り且つ前記垂直断面の中心を通る第7の仮想直線と前記X軸とがなす角度θ3が0°以上125°以下の範囲となる位置に配されており、その外側開口の中心を通り且つ内側開口の中心を通る第8の仮想直線とその外側開口に接する第9の仮想直線とがなす角度r3が15°以上110°以下であるように形成され、且つ、その孔径が0.100~0.500mmであるように形成されている、請求項1に記載の灌水チューブ。
【請求項3】
地面に設置されて使用されるものである、請求項1または2に記載の灌水チューブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、灌水チューブに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、いわゆるビニールハウス等の農業用ハウスを用いて水稲といった農作物の栽培が行われている。かかる農作物の栽培等には、灌水作業が必要であり、かかる灌水作業では、チューブに複数の散水孔が形成されてなる灌水チューブを用いて農作物に水が散布されている。
【0003】
農作物の潅水においては、ある程度微細な水滴を自由落下に近いスピードで均一に散水することが重要とされている。灌水チューブからの散水において、散水孔から噴出される水は、噴出直後は高速で分散が不十分なため、ある程度の時間をかけて飛行させて微細な水滴化(水滴微細)とし、その速度を減少させることによって、散水範囲の拡大が進むような工夫がなされている。
【0004】
この種の灌水チューブとして、例えば、支柱等に固定されることによって地面から130cm以上の高さに設置され、垂直散水孔によって近距離、非垂直散水孔によって遠距離の散水を行うように構成された散水チューブが提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】国際公開第WO2016/136988号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1の灌水チューブはハウスの片側もしくは両側にて130cm以上の高さに設置して使用されるように設計されているため、地面に近い低い位置に設置される場合には、農作物のうち近い側の散水領域が狭くなったり、農作物が成長すると、成長した植物に散水が当たったり、遠い側の灌水を十分に行うことが困難になったりするおそれがある。
一方、灌水チューブにおいては、ハウスの壁面に水流が当たることを抑制することも要望されている。
【0007】
上記事情に鑑み、本発明は、農業用ハウス内の地面に近い高さに設置された状態で、農作物にもハウスの壁面にも水流が当たることを抑制しつつ、農作物の近い側及び遠い側の散水を行うことが可能な灌水チューブを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決すべく、本発明者らが鋭意研究したところ、以下の知見を見出した。
すなわち、特許文献1のように比較的高所に設置される灌水チューブを地面に設置すると、近距離散水孔によって直接農作物に向けて水流が噴出され、この水流が、水滴化される前に農作物に当たってしまうおそれがある。特に、農作物が、水稲である場合には、水流が当たると、折れてしまい、生育が困難となる。また、飛行時間を長くして水滴微細化しようとして上方に向けて散水するように散水孔を形成すると、ハウス壁面に当たるおそれがある。
また、地面のように低い位置から遠距離散水孔によって散水すると、低い角度で散水されることになる。このとき、遠距離散水の位置が低い分、強く水を噴出させる必要があるため、農作物が成長すると、噴出された水流が当たることになり、その結果、農作物が病気になりやすく、また、遠い側の散水が困難となるおそれもある。
このように、農作物のうち近い側及び遠い側のいずれを散水しようとしても、農作物に水流が当たるおそれがあり、近い側を散水しようとすると、ハウスの壁面に水流が当たるおそれがあることを見出した。
【0009】
かかる知見に基づいてさらに鋭意研究したところ、灌水チューブを地面に近い低い位置に設置した状態で、近距離用の散水孔として特定の形状の散水孔を特定の位置に形成し、遠距離用の散水孔として特定の形状の散水孔を特定の位置に形成することによって、農作物に水流が当たることなく、また、ハウスの壁面に水流が当たることなく、農作物の近い側及び遠い側の散水を行うことが可能になることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明に係る灌水チューブは、
灌水チューブであって、
前記灌水チューブは、農業用ハウス内にて、地面から20cm以下の高さに設置されて農作物の散水に使用されるものであり、
内部に水が通水されるように形成され、且つ、前記内部の水を外部に噴出させる複数の散水孔が長手方向に所定のパターンで形成された通水部を備え、
前記所定のパターンを構成する複数の散水孔として、前記通水部には、農作物のうち前記通水部に近い側の第1の領域と、遠い側の第2の領域とをそれぞれ散水する第1の散水孔と、第2の散水孔とが、それぞれ少なくとも1つ形成されており、
前記灌水チューブが設置されて前記通水部の内部に通水されている状態で、前記通水部の前記長手方向に対する垂直断面の中心を通るように水平方向に沿って前記農作物に向かう方向を正とするX軸、前記中心を通るように鉛直方向に沿って上方向を正とするY軸をとり、前記通水部の任意の位置をXY直交座標で表すとき、
前記第1の散水孔は、その外側開口の中心を通り且つ前記垂直断面の中心を通る第1の仮想直線と前記X軸とがなす角度θ1が50°以上125°以下の範囲となる位置に配されており、その外側開口の中心を通り且つ内側開口の中心を通る第2の仮想直線とその外側開口に接する第3の仮想直線とがなす角度r1が15°以上50°以下であるように形成され、且つ、その孔径が0.100~0.500mmであるように形成されており、
前記第2の散水孔は、その外側開口の中心を通り且つ前記垂直断面の中心を通る第4の仮想直線と前記X軸とがなす角度θ2が40°以上70°以下の範囲となる位置に配されており、その外側開口の中心を通り且つ内側開口の中心を通る第5の仮想直線とその外側開口に接する第6の仮想直線とがなす角度r2が70°以上110°以下であるように形成され、且つ、その孔径が0.100~0.500mmであるように形成されて構成されている。
【0011】
かかる構成によれば、灌水チューブを地面から20cm以下という従来よりも低い高さに設置した状態、すなわち、農業用ハウス内の地面に近い高さに設置された状態で、農作物にもハウスの壁面にも水流が当たることを抑制しつつ、農作物の近い側及び遠い側の散水を行うことが可能になる。
【0012】
上記構成の灌水チューブにおいては、
前記所定のパターンを構成する複数の散水孔として、前記通水部には、前記第1の領域と前記第2の領域との間の第3の領域を散水する第3の散水孔がさらに形成されており、
前記第3の散水孔は、その外側開口の中心を通り且つ前記垂直断面の中心を通る第7の仮想直線と前記X軸とがなす角度θ3が40°以上125°以下の範囲となる位置に配されており、その外側開口の中心を通り且つ内側開口の中心を通る第8の仮想直線とその外側開口に接する第9の仮想直線とがなす角度r3が15°以上110°以下であるように形成され、且つ、その孔径が0.100~0.500mmであるように形成されていてもよい。
【0013】
かかる構成によれば、農作物にもハウスの壁面にも水流が当たることを抑制しつつ、より広い領域にわたって農作物の散水を行うことが可能となる。
【0014】
上記構成の灌水チューブにおいては、
地面に設置されて使用されるものであってもよい。
【0015】
ここで、地面に設置されるとは、吊り下げられる等、重力に抗して灌水チューブを持ち上げる力が加えられない状態で地面に設置されることを意味する。
【0016】
一般に、灌水チューブが積雪地域で用いられる場合、通常、雪が降る前に農業用ハウス内で農作物の栽培が終了する。栽培の終了後、ハウスを覆うフィルムが外されて支柱が露出した状態で、冬の間、積雪を受ける。その後、雪が解けて春に栽培が再開されると、再びフィルムが取り付けられ、灌水チューブがそのまま再使用される。
【0017】
このような積雪地帯において、特許文献1のような灌水チューブが用いられると、冬の間、支柱等の骨組みと共に設置した灌水チューブが積雪を受けるため、支柱に固定するための冶具が雪の重量によって破損してしまうおそれがある。
【0018】
一方、破損を回避すべく、冶具と共に灌水チューブを支柱から取り外して保管することも考えられるが、灌水チューブを取り外し、再開時に再び設置することは労働負荷がかかるため、作業性に優れるとはいい難い。
【0019】
しかし、上記の通り、灌水チューブが地面に設置されて使用されるものであることによって、支柱等に固定されることが不要となるため、積雪地域においても作業性に優れる。
【発明の効果】
【0020】
以上の通り、本発明によれば、農業用ハウス内の地面に近い高さに設置された状態で、農作物にもハウスの壁面にも水流が当たることを抑制しつつ、農作物の近い側及び遠い側の散水を行うことが可能な灌水チューブが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施形態の灌水チューブが農業用ハウスに設置された状態を示す概略側面図
図2】本実施形態の灌水チューブを示す概略斜視図
図3】各散水孔の形状、及び、形成される位置を示す概略断面図
図4】第1の散水孔の形状、及び、形成される位置を示す概略断面図
図5】第2の散水孔の形状、及び、形成される位置を示す概略断面図
図6】第3の散水孔の形状、及び、形成される位置を示す概略断面図
図7】本実施形態の灌水チューブによって散水している状態を示す概略側面図
図8】実験例における第1の散水孔による散水強度を示すグラフ
図9】実験例における第2の散水孔による散水強度を示すグラフ
図10】実施例における第1、第2及び第3の散水孔による散水強度を示すグラフ
図11】遮孔率の測定方法を示す概略図
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の一実施形態の灌水チューブについて、図面を参照しながら説明する。
【0023】
図1に示すように、本実施形態の灌水チューブ10は、農業用ハウス1内に設置されている。
【0024】
灌水チューブ10は、内部に水が通水されるように形成され、且つ、前記内部の水を外部に噴出させる複数の散水孔が長手方向に所定のパターンで形成された通水部11を備える。図2に示すように、本実施形態では、通水部11は、内部に通水された状態で円筒状であるように形成されている。また、通水部11の内部には、不図示の給水装置から水が供給されるようになっている。なお、通水されていない場合には、灌水チューブ10は、平坦な状態となっている。
【0025】
通水部11は、内部に水が通水され、複数の散水孔から水を噴出するものである。
通水部11の厚みは、0.1~10mmが好ましく、0.15~5mmがより好ましく、0.15~3mmがさらに好ましい。
【0026】
通水されている状態での通水部11の内径(直径)は、5~200mmが好ましく、5~150mmがより好ましく、5~100mmがさらに好ましい。
【0027】
灌水チューブ10は、農業用ハウス1内における農作物Qを挟んだ両端側の位置の少なくとも一方(図1では両端側の位置)にて、地面から20cm以下の高さHに設置されている。
上記高さHは、通水部11の最下方と地面とを結ぶ最短距離である。
かかる高さは、10cm以下が好ましく、0cmがさらに好ましい。すなわち、灌水チューブ10が地面に設置されることがさらに好ましい。
【0028】
灌水チューブ1は、農作物から間隔を空けて設置されており、農作物との距離(最短距離)が、15cm以上が好ましく、20cm以上がより好ましい。
一方、農作物との距離が、30cm以下が好ましく、25cm以下がより好ましい。
【0029】
通水部11には、上記所定パターンを構成する複数の散水孔として、農作物のうち通水部11に近い側の第1の領域と、遠い側の第2の領域とをそれぞれ散水する、図3及び図4に示すような第1の散水孔13と、第2の散水孔15とが形成されている。
これら第1及び第2の散水孔13、15は、通水部11から水が供給され、該通水部11内の水圧によって、水を外部に噴出させるものである。
また、本実施形態では、通水部11に所定のパターンで第1の散水孔13及び第2の散水孔15が繰り返し形成されている。
【0030】
第1の散水孔13は、灌水チューブ1の散水領域のうち、水滴の到達距離が比較的短い近距離の散水を担っている。
第2の散水孔15は、灌水チューブ1の散水領域のうち、第1の散水孔13よりも水滴の到達距離が長い遠距離の散水を担っている。
【0031】
ここで、図3に、本実施形態の通水部11に形成される散水孔の形状、通水部11での位置の表示方法を示す。
本実施形態では、図3に示すように、灌水チューブ10が設置されて通水部11の内部に通水されている状態で、通水部11の上記長手方向に対する垂直断面の中心Oを通るように水平方向(図3の右図の左右方向)に沿って農作物Q(図1参照)に向かう方向(図3の右図の右側)を正とするX軸、中心Oを通るように鉛直方向(図3の右図の上下方向)に沿って上方向(図3の上側)を正とするY軸をとり、通水部11の任意の位置をXY直交座標で表すこととする。
また、通水部11における散水孔の位置は、図3の右図に示すように、散水孔の外側中心を通り且つ中心Oを通る仮想直線L1、L4、L7とX軸とがなす角度θで表し、散水孔の形状は、図3の左図に示すように、散水孔の外側中心を通り且つ内側中心を通る仮想直線L2、L5、L8とその外側開口に接する仮想直線L3、L6、L9とがなす角度rで表す。
【0032】
このように表すとき、図4の右図に示すように、第1の散水孔13は、その外側開口の中心を通り且つ上記垂直断面の中心Oを通る第1の仮想直線L1とX軸とがなす角度θ1が50°以上125°以下の範囲となる位置に配されている。
【0033】
また、図4の左図に示すように、第1の散水孔13は、その外側開口の中心を通り且つ内側開口の中心を通る第2の仮想直線L2と、その外側開口に接する第3の仮想直線L3とがなす角度r1が15°以上50°以下であるように形成されている。このような散水孔は、斜め散水孔や、非垂直散水孔と呼ばれる場合がある。
【0034】
さらに、第1の散水孔13は、その孔径が0.100以上0.500mm以下の範囲であるように形成されている。
なお、上記孔径とは、通水部11の外側(表側)から内側(裏側)までの開口部のうち、最も小さい部分の孔径をいう。また、かかる開口の形状が真円でない場合には、開口の面積と同じ面積を有する真円の直径に換算した値を意味する。
【0035】
上記角度r1は、30°以上50°以下の範囲が好ましく、35°以上50°以下の範囲がより好ましい。なお、例えばレーザー光で穿孔する場合、角度r1を大きくする程、穿孔時のレーザー光の通水部11内の通過距離が小さくなるため、裏孔(レーザー光の出口)の孔が大きくなり、孔とび(孔が最後まで空かない)といった穿孔不良が少なくなる傾向にある。この点を考慮すると、上記角度r1が比較的大きい方が好ましい。
上記角度θ1は、90°以上125°以下の範囲が好ましく、100°以上120°以下の範囲がより好ましい。
上記孔径は、0.200mm以上0.400mm以下の範囲が好ましく、0.300mm以上0.400mm以下の範囲がより好ましい。なお、上記孔径が比較的大きい方が、大量生産時の孔径振れによる孔とびが少なくなるため、穿孔不良が少なくなる傾向にあることから、好ましい。
【0036】
図5の右図に示すように、第2の散水孔15は、その外側開口の中心を通り且つ上記垂直断面の中心Oを通る第4の仮想直線L4とX軸とがなす角度θ2が40°以上70°以下の範囲となる位置に配されている。
【0037】
また、図5の左図に示すように、第2の散水孔15は、その外側開口の中心を通り且つ内側開口の中心を通る第5の仮想直線L5と、その外側開口に接する第6の仮想直線L6とがなす角度r2が70°以上110°以下であるように形成されている。このうち、角度r2が90°であるような散水孔は、垂直散水孔と呼ばれる場合があり、90°以外の散水孔は、斜め散水孔や、非垂直散水孔と呼ばれる場合がある。
【0038】
さらに、第2の散水孔15は、その孔径が0.100~0.500mmであるように形成されている。
なお、上記孔径とは、前述と同様、通水部11の外側(表側)から内側(裏側)までの開口部のうち、最も小さい部分の孔径をいう。また、かかる開口の形状が真円でない場合には、開口の面積と同じ面積を有する真円の直径に換算した値を意味する。
【0039】
上記角度r2は、80°以上100°以下の範囲が好ましく、85°以上95°以下の範囲がより好ましい。
上記角度θ2は、40°以上60°以下の範囲が好ましく、50°以上60°以下の範囲がより好ましい。
上記孔径は、0.200mm以上0.400mm以下の範囲が好ましく、0.300mm以上0.400mm以下の範囲がより好ましい。
【0040】
農作物への衝突、及び、農業用ハウス1の壁面への衝突を一層抑制するとの観点から、第1の散水孔13は、通水部11から農作物側に水平方向且つ灌水チューブ10と垂直な方向に最短距離で20cm離れた位置での散水高さが、通水部11への給水圧力0.12MPaの条件下、100cm以上160cm以下の範囲であることが好ましく、120cm以上140cm以下の範囲であるように形成されていることがより好ましい。なお、実際の散水は広がっているため、地面から広がっている散水の中心の高さを散水高さと定義する。
【0041】
同様の観点から、第2の散水孔15は、通水部11から農作物側に水平方向且つ灌水チューブ10と垂直な方向に最短距離で灌水チューブ10から20cm離れた位置での散水高さが、通水部11への給水圧力0.12MPaの条件下、20cm以上30cm以下の範囲であるように形成されていることが好ましく、20cm以上25cmの範囲以下であるように形成されていることがより好ましい。
【0042】
第1の散水孔13は、通水部11への給水圧力0.12MPaの条件下、灌水チューブ10から地面(第1の領域)に到達した散水の中心(灌水チューブ10に垂直な方向における散水の広がりの中心)までの距離(中心飛距離)が25cm以上45cm以下の範囲であるように形成されていることが好ましく、30cm以上40cm以下の範囲であるように形成されていることがより好ましい。
このとき、地面(第1の領域)に到達した散水の範囲(灌水チューブ10に垂直な方向における外縁、すなわち、最小飛距離から最大飛距離までの範囲(距離))は、30cm以上60cm以下の範囲であることが好ましく、40cm以上50cm以下の範囲であることがより好ましい。
第2の散水孔15は、通水部11への給水圧力0.12MPaの条件下、灌水チューブ10から地面(第2の領域)に到達した散水の中心(灌水チューブ10に垂直な方向における散水の広がりの中心)までの距離(中心飛距離)が250cm以上330cm以下の範囲であるように形成されていることが好ましく、270cm以上310cm以下の範囲であるように形成されていることがより好ましい。
このとき、地面(第2の領域)に到達した散水の範囲(灌水チューブ10に垂直な方向における外縁、すなわち、最小飛距離から最大飛距離までの範囲(距離))は、150cm以上300cm以下の範囲であることが好ましく、200cm以上250cm以下の範囲であることがより好ましい。
【0043】
なお、第1の散水孔13及び第2の散水孔15は、それぞれ、通水部11の周方向において異なる位置に複数配されていても良いし、長手方向において異なる位置に複数配されていても良いし、周方向の異なる位置の孔が長手方向の同一位置に配されても良い。
【0044】
本実施形態の灌水チューブにおいては、通水部11に、上記所定パターンを構成する複数の散水孔として、第1の散水孔13及び第2の散水孔15に加えて、これら以外の散水孔が形成されていてもよい。
【0045】
例えば、農作物における第1の散水孔13によって散水される第1の領域と、第2の散水孔15によって散水される第2の領域との間が離間しており、これらの領域の間の第3の領域に散水できるような第3の散水孔17が形成されていてもよい。このような場合、第1の領域と第2の領域との間隔が、灌水チューブ10と垂直な方向において50~200cmの範囲であることが好ましく、100~150cmの範囲であることがより好ましい。
【0046】
第3の散水孔17は、灌水チューブ1の散水領域のうち、水滴の到達距離が第1の散水孔13と第2の散水孔15との間であるような距離の散水を担う。
【0047】
前述と同様、同様農作物への衝突、及び、農業用ハウス1の壁面への衝突を一層抑制するとの観点から、第3の散水孔17は、通水部11から農作物側に水平方向且つ灌水チューブ10と垂直な方向に最短距離で20cm離れた位置での散水高さが、通水部11への給水圧力0.12MPaの条件下、20cm以上160cm以下の範囲であるように形成されていることが好ましく、20cm以上140cmの範囲以下であるように形成されていることがより好ましい。
【0048】
図6の右図に示すように、第3の散水孔17は、その外側開口の中心を通り且つ上記垂直断面の中心Oを通る第7の仮想直線L7とX軸とがなす角度θ3が40°以上125°以下の範囲となる位置に配されている。
【0049】
また、図6の左図に示すように、第3の散水孔17は、その外側開口の中心を通り且つ内側開口の中心を通る第8の仮想直線L8と、その外側開口に接する第9の仮想直線L9とがなす角度r3が15°以上110°以下であるように形成されている。このうち、角度r3が90°であるような散水孔は、垂直散水孔と呼ばれる場合があり、90°以外の散水孔は、斜め散水孔や、非垂直散水孔と呼ばれる場合がある。
【0050】
さらに、第3の散水孔17は、その孔径が0.100~0.500mmであるように形成されている。
なお、上記孔径とは、前述と同様、通水部11の外側(表側)から内側(裏側)までの開口部のうち、最も小さい部分の孔径をいう。また、かかる開口の形状が真円でない場合には、開口の面積と同じ面積を有する真円の直径に換算した値を意味する。
【0051】
上記角度r3は、30°以上80°以下の範囲が好ましく、35°以上80°以下の範囲がより好ましく、40°以上60°以下の範囲がより好ましい。なお、例えばレーザー光で穿孔する場合、角度r3を大きくする程、穿孔時のレーザー光の通水部11内の通過距離が小さくなるため、裏孔(レーザー光の出口)の孔が大きくなり、孔とび(孔が最後まで空かない)といった穿孔不良が少なくなる傾向にある。この点を考慮すると、上記角度r3が比較的大きい方が好ましい。
上記角度θ3は、50°以上120°以下の範囲が好ましく、60°以上100°以下の範囲がより好ましい。
上記孔径は、0.200mm以上0.500mm以下の範囲が好ましく、250mm以上500mm以下の範囲がより好ましい。なお、上記孔径が比較的大きい方が、大量生産時の孔径振れによる孔とびが少なくなるため、穿孔不良が少なくなる傾向にあることから、好ましい。
【0052】
第3の散水孔17は、通水部11への給水圧力0.12MPaの条件下、灌水チューブ10から地面(第3の領域)に到達した散水の中心(灌水チューブ10に垂直な方向における散水の広がりの中心)までの距離(中心飛距離)が45cm以上240cm以下の範囲であるように形成されていることが好ましく、50cm以上200cm以下の範囲であるように形成されていることがより好ましい。
このとき、地面(第3の領域)に到達した散水の範囲(灌水チューブ10に垂直な方向における外縁、すなわち、最小飛距離から最大飛距離までの範囲(距離))は、20cm以上300cm以下の範囲であることが好ましく、30cm以上250cm以下の範囲であることがより好ましい。
【0053】
なお、第3の散水孔17は、通水部11の周方向において異なる位置に複数配されていても良いし、長手方向において異なる位置に複数配されていても良いし、周方向の異なる位置の孔が長手方向の同一位置に配されても良い。
第3の散水孔17が形成されていることによって、図7に示すように、より農作物Qの全体にわたる散水が可能となる。
【0054】
灌水チューブ10は、該灌水チューブ10が設置されて通水部11の内部に通水されている状態で、通水部11におけるX軸の正及び負の少なくとも一方側から突出するフィン部(不図示)を備えていてもよい。例えば、フィン部は、2つ備えられ、これらは、通水部11におけるX軸の正及び負の両方側からそれぞれ突出していてもよい。
【0055】
通水部11の材質は、特に限定されるものではない。これらの材質として、例えば、樹脂、ゴム、金属等が挙げられる。これらのうち、樹脂が好ましい。樹脂としては、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネートやポリエチレンテレフタレレート等のポリエステル系樹脂などが挙げられる。これらのうち、ポリエチレンが好ましく、低密度ポリエチレンがより好ましい。また、樹脂製の通水部11にレーザー光の照射によって穿孔する場合には、かかる樹脂にカーボンブラックを添加することが好ましい。
【0056】
灌水チューブ10の製造方法は、特に限定されるものではないが、樹脂を原料として、円筒状のダイスを用いた押出し法で樹脂製の筒状チューブを形成した後、該筒状チューブに第1の散水孔13、第2の散水孔15、及び、任意に第3の散水孔17を穿孔し、フィン部をヒートシール等によって形成する方法が挙げられる。
樹脂を原料として、円筒の側面部にフィン形成用の型を有するダイスを用いた押出し法で樹脂製の筒状チューブを形成した後、該筒状チューブに第1の散水孔13、第2の散水孔15、及び、任意に第3の散水孔17を穿孔し、円筒状チューブを重ね合わせるように折り畳んで幅方向両端部をヒートシールすることによってフィン部を形成する方法も挙げられる。
所定の大きさに切断して得られた2枚の樹脂製の長尺原反シートに第1の散水孔13、第2の散水孔15、及び、任意に第3の散水孔17を穿孔した後、これら2枚の長尺原反シートを重ね合わせ、幅方向両端部をヒートシールすることによってフィン部を形成する方法も挙げられる。
【0057】
上記穿孔方法としては、例えば、通水部11にレーザー光の照射を行うことが挙げられる。
なお、筒状のチューブを形成した後に穿孔する場合には、該筒状チューブ内に空気が存在し、筒状をなしている状態で、所定の位置に穿孔を行っても、筒状チューブを折り畳んだ状態で、レーザー光が反対側のシート部分に孔を開けないように、所定の位置に穿孔を行ってもよい。
また、2枚の原反シートを重ね合わせて幅方向両端部をヒートシールする場合には、ヒートシールする前に、各原反シート、または、一方の原反シートに穿孔を行うことが好ましく、このように穿孔を行うことによって、穿孔が容易となる。また、このような場合には、通常、筒状とされたときに表面となる側から、穿孔が行われるがこれに限らない。
【0058】
上記した本実施形態の灌水チューブ10によれば、第1の散水孔と第2の散水孔とを有することによって、灌水チューブ10を地面から20cm以下という従来よりも低い高さに設置した状態で、すなわち、農業用ハウス内の地面に近い高さに設置された状態で、農作物にもハウスの壁面にも水流が当たることを抑制しつつ、近距離側及び遠距離側の散水を行うことが可能になる。
【0059】
また、本実施形態の灌水チューブ10は、第3の散水孔を有することによって、農作物にもハウスの壁面にも水流が当たることを抑制しつつ、より広い領域にわたって農作物の散水を行うことが可能となる。
【0060】
本実施形態の灌水チューブ10においては、
地面に設置されて使用されるものであってもよい。
【0061】
ここで、地面に設置されるとは、吊り下げられる等、重力に抗して灌水チューブを持ち上げる力が加えられない状態で地面に置かれることを意味する。
【0062】
一般に、灌水チューブ10が積雪地域で用いられる場合、通常、雪が降る前に農業用ハウス1内で農作物の栽培が終了する。栽培の終了後、ハウスを覆うフィルムが外されて支柱が露出した状態で、冬の間、積雪を受ける。その後、雪が解けて春に栽培が再開されると、再びフィルムが取り付けられ、灌水チューブがそのまま再使用される。
【0063】
このような積雪地帯において、前述した特許文献1の灌水チューブが用いられると、冬の間、支柱等の骨組みと共に設置した灌水チューブが積雪を受けるため、支柱に固定するための冶具が雪の重量によって破損してしまうおそれがある。
【0064】
一方、破損を回避すべく、冶具と共に灌水チューブを支柱から取り外して保管することも考えられるが、灌水チューブ10を取り外し、再開時に再び設置することは労働負荷がかかるため、作業性に優れるとはいい難い。
【0065】
しかし、上記の通り、灌水チューブ10が地面に設置されて使用されるものであることによって、支柱等に固定されることが不要となるため、積雪地域においても作業性に優れる。さらに、ハウスの片側または両側隅に設置することによって、農地の耕作や、苗床の設置作業性も良くなる。
【0066】
以上の通り、本実施形態によれば、農作物にもハウスの壁面にも水流が当たることを抑制しつつ、農作物の近い側及び遠い側の散水を行うことが可能な灌水チューブ10が提供される。
【実施例
【0067】
次に実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0068】
[実験例]
・灌水チューブの作製
低密度ポリエチレンとカーボンブラックとを、カーボンブラックが総重量の2重量%となるように混合した混合物を原料として使用した。
Tダイ押出機を用い、上記混合物をTダイ押出機に投入して、550μm厚みのシートに加工し、得られたシートを所定の幅となすように切断してシート片を形成した後、チューブを構成する二枚のシート片のうち、上面を形成する原反の所定の位置に、所定の構造の孔を、YAGレーザーを用いて穿孔することによって形成した。こうして得られた孔付きシート片を二枚重ね合わせ、幅方向両端部のシール間距離が53.4mmになるように、両側をヒートシールすることによって、表1、表2に示す所定の孔形状を有する散水孔が所定の位置に1つ穿孔されてなる灌水チューブを、製造した。また、ヒートシールによって、幅方向両端部にフィン部が形成された。このときのヒートシールのシール幅(フィン部の幅)を、4.5mmとした。こうして製造された灌水チューブの内径(直径)は、通水部に水を注加したとき、34mmφであった。
【0069】
YAGレーザーによる実験例1(第1の散水孔)、実験例2(第2の散水孔)、比較実験例1、及び、比較実験例2の穿孔は、シート片を平板上でシート面に対して所定の角度になるようにレーザーを照射することによって行った。
【0070】
・単孔の評価
実験例1、2、比較実験例1、2の散水孔を、単孔として、評価した。
(灌水強度)
実験例1、2の灌水チューブの、各灌水チューブからの距離と灌水強度(散水強度)との関係を調べた。
灌水チューブからの距離ごとの灌水強度は、正方形のシャーレを散水方向に並べた状態で、灌水チューブから散水を行い(給水圧力0.12MPa)、シャーレ内に入った灌水量を測定し、この灌水量を散水強度とした。
実験例1(第1の散水孔)の結果を図8、実験例2(第2の散水孔)の結果を図9に示す。
【0071】
・農作物及びハウスの壁面への直撃の有無
農業用ハウスに生育させた農作物として水稲に見立てた板(高さ20cm)から20cm離れた位置の地面に実験例1、2、比較実験例1、2の灌水チューブをそれぞれ設置(灌水チューブの直上90cmの位置にハウスの壁面が位置するように設置)し、給水圧力0.12MPaで給水し、各散水孔から水を噴出したときの、水稲への水流の直撃の有無、及び、ハウスの壁面への水流の直撃の有無を、目視によって確認した。なお、実際の散水は広がっているため、地面から広がっている散水の中心がそれぞれ直撃しないかを確認した。
結果を表1、表2に示す。
【0072】
【表1】
【0073】
【表2】
【0074】
(実施例1)
表3に示すような、灌水チューブに近い位置から遠い位置まで順次散水し得る散水孔を長手方向に有する灌水チューブを、実験例と同様にして作製した。なお、表3には、長手方向における散水孔が形成された位置を、順に、No.1~No.5と示す。)。
No.1~No.5の各散水孔の散水距離を、下記の方法に従って測定したところ、以下の通りであった。なお、散水範囲は、散水の最小飛距離から最大飛距離までの範囲(距離)である。
No.1: 散水中心の飛距離:36cm
散水範囲 :12cm~60cm
No.2: 散水中心の飛距離:60cm
散水範囲 :40cm~80cm
No.3: 散水中心の飛距離:100cm
散水範囲 :50cm~150cm
No.4: 散水中心の飛距離:170cm
散水範囲 :100cm~250cm
No.5: 散水中心の飛距離:290cm
散水範囲 :180cm~400cm
【0075】
各散水孔の遮孔率、散水角度を下記の測定方法によって測定した。
また、作製した灌水チューブを用いて、実験例と同様にして、農作物への水流の直撃の有無、及び、ハウスの壁面への水流の直撃の有無を評価した。
結果を表3に示す。
【0076】
・散水距離の測定方法
正方形のシャーレを散水方向に並べ、チューブから散水を行い(0.12MPa)、チューブから散水の中心までの距離を散水中心の飛距離、水が入ったシャーレの範囲を散水範囲とすることによって、各散水孔からの散水距離を、測定した。
【0077】
・遮孔率
散水孔を真上から灌水チューブと垂直な方向に向かって顕微鏡にて観察したとき、平面状態に投影したときの散水孔の内側(裏面側)開口の孔径bに対する、散水孔の内面によって該内側開口が遮孔(遮蔽)される長さ(遮孔長さ)mの比を遮孔率S(%)とし、遮孔率S=m/b×100で表すことによって、各散水孔の遮率を測定した。
【0078】
・散水角度
チューブ孔から水が飛び出す棒状の散水(水流)の角度を、角度計を使用して測定することによって、各散水孔の散水角度を測定した。
【0079】
【表3】
【0080】
(比較例1)
表4に示すような、灌水チューブに近い位置から遠い位置まで順次散水し得る散水孔を長手方向に有する灌水チューブを、実験例と同様にして作製した。なお、表4には、長手方向における散水孔が形成された位置を、順に、No.1~No.5と示す。)。
No.1~No.5の各散水孔の散水距離を、実施例1と同様にして測定したところ、以下の通りであった。
No.1: 散水中心の飛距離:20cm
散水範囲 :0cm~40cm
No.2: 散水中心の飛距離:65cm
散水範囲 :30cm~100cm
No.3: 散水中心の飛距離:140cm
散水範囲 :80cm~200cm
No.4: 散水中心の飛距離:285cm
散水範囲 :170cm~400cm
No.5: 散水中心の飛距離:340cm
散水範囲 :200cm~480cm
【0081】
各散水孔の遮孔率、散水角度を、実施例1と同様にして測定した。
また、作製した灌水チューブを用いて、実験例と同様にして、農作物への水流の直撃の有無、及び、ハウスの壁面への水流の直撃の有無を評価した。
結果を表4に示す。
【0082】
【表4】
【0083】
表3、4に示すように、実施例1の灌水チューブでは、水稲への水流の直撃も、ハウスの壁面への水流の直撃も観察されなかった。
【符号の説明】
【0084】
1:農業用ハウス、10:灌水チューブ、11:通水部、13:第1の散水孔、15:第2の散水孔、17:第3の散水孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11