(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-12
(45)【発行日】2022-05-20
(54)【発明の名称】エレベータ制御システム、及びエレベータ制御プログラム
(51)【国際特許分類】
B66B 1/14 20060101AFI20220513BHJP
【FI】
B66B1/14 L
(21)【出願番号】P 2021026843
(22)【出願日】2021-02-22
【審査請求日】2021-06-30
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】720011302
【氏名又は名称】株式会社777G Studio
(72)【発明者】
【氏名】ジョージ ロー ヒャプセン
【審査官】八板 直人
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第03431429(EP,A1)
【文献】特開2020-104955(JP,A)
【文献】特開昭55-44456(JP,A)
【文献】中国実用新案第211619676(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 1/00-1/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者の携帯端末と、
エレベータの各階の乗り場に設置された乗り場無線装置と、
エレベータの各乗りかごに設置された乗りかご無線装置と、
を備え、
利用者の携帯端末は、
乗り場無線装置から発信される所定周波数帯の無線信号及び建物データ、並びに、乗りかご無線装置から発信される所定周波数帯の無線信号、建物データ及びフロアデータを受信するBLE通信部と、
受信した無線信号、建物データ及びフロアデータに基づいて行先方向、行先階等のコマンドデータを作成する作成部と、
予め行先方向、行先階等のパターン化したデータが記憶されるパターン記憶部と、
乗り場無線装置及び乗りかご無線装置に対し、作成したコマンドデータを送信するBLE UART通信部と、
乗り場無線装置及び乗りかご無線装置から受信した無線信号、建物データ及びフロアデータを記録するメモリと、
からなり、
前記乗り場無線装置は、
乗り場にいる利用者の携帯端末に対し、所定周波数帯の無線信号と建物データを発信するBLE通信部と、
乗り場にいる利用者の携帯端末から送信されるコマンドデータを受信するBLE UART通信部と、
予め行先方向等のパターン化したデータが記憶されるパターン記憶部と、
受信したコマンドデータが、パターン記憶部に記憶されているパターン化したデータと一致するかを判断する可否判断部と、
乗り場操作盤に配設されている行先方向のスイッチを操作するために個々に割り当てて接続されている複数のリレーと、
受信したコマンドデータとパターン記憶部に記憶されているパターン化したデータが一致したら、乗り場操作盤
に配設されている行先方向の特定のスイッチを操作する
ために割り当てて接続されている1のリレーを駆動する汎用IOポート部と、
からなり、
前記乗りかご無線装置は、
乗りかご内にいる利用者の携帯端末に対し、所定周波数帯の無線信号、建物データ、フロアデータを発信するBLE通信部と、
乗りかご内にいる利用者の携帯端末から送信されるコマンドデータを受信するBLE UART通信部と、
予め行先階等のパターン化したデータが記憶されるパターン記憶部と、
受信したコマンドデータが、パターン記憶部に記憶されているパターン化したデータと一致するかを判断する可否判断部と、
乗りかご操作盤に配設されている開閉ボタンや行先階の個々のスイッチを操作するために割り当てて接続されている複数のリレーと、
受信したコマンドデータとパターン記憶部に記憶されているパターン化したデータが一致したら、乗りかご操作盤
に配設されている開閉ボタンや行先階の特定のスイッチを操作する
ために割り当てて接続されている1のリレーを駆動する汎用IOポート部及びSPI IOポート部と、
SPI IOポート部が駆動するリレーの数を増やすためにSPI IOポート部に接続された拡張SPI IOポート部と、
からなり、
利用者の携帯端末が、
乗り場無線装置から受信する建物データ、
乗りかご無線装置から受信する建物データ、フロアデータ、
をもとに、
利用者が作成した行先方向、行先階等のコマンドデータを、
乗り場無線装置及び乗りかご無線装置に送信して、
乗り場無線装置が、
利用者の携帯端末から受信した行先方向等のコマンドデータをもとに、
汎用IOポート部が乗り場操作盤
に配設されている行先方向の特定のスイッチを操作する
ために個々に割り当てて接続されている1のリレーを駆動することで、
駆動された1のリレーが、利用者によって行先方向のスイッチが押下された状態にスイッチの接続を行い、
乗りかごが、利用者がいる階に昇降し、
乗りかご無線装置が、
利用者の携帯端末から受信した行先階等のコマンドデータをもとに、
汎用IOポート部
、SPI IOポート部
または拡張SPI IOポート部が乗りかご操作盤
に配設されている開閉ボタンや行先階の特定のスイッチを操作する
ために割り当てて接続されている1のリレーを駆動することで、
駆動された1のリレーが、利用者によって開閉ボタンや行先階のスイッチが押下された状態にスイッチの接続を行い、
乗りかごが、利用者が行先階として指定する階に昇降する
ことで、利用者が、乗り場及び乗りかごにおいて、それぞれの操作盤を操作することなく、
乗りかごに乗って目的の階まで移動することができる
ことを特徴とするエレベータ制御システム。
【請求項2】
利用者の携帯端末を、
乗り場無線装置から発信される所定周波数帯の無線信号及び建物データ、並びに、乗りかご無線装置から発信される所定周波数帯の無線信号、建物データ及びフロアデータを受信するBLE通信部と、
受信した無線信号、建物データ及びフロアデータに基づいて行先方向、行先階等のコマンドデータを作成する作成部と、
予め行先方向、行先階等のパターン化したデータが記憶されるパターン記憶部と、
乗り場無線装置及び乗りかご無線装置に対し、作成したコマンドデータを送信するBLE UART通信部と、
乗り場無線装置及び乗りかご無線装置から受信した無線信号、建物データ及びフロアデータを記録するメモリと、
前記乗り場無線装置を、
乗り場にいる利用者の携帯端末に対し、所定周波数帯の無線信号と建物データを発信するBLE通信部と、
乗り場にいる利用者の携帯端末から送信されるコマンドデータを受信するBLE UART通信部と、
予め行先方向等のパターン化したデータが記憶されるパターン記憶部と、
受信したコマンドデータが、パターン記憶部に記憶されているパターン化したデータと一致するかを判断する可否判断部と、
乗り場操作盤に配設されている行先方向のスイッチを操作するために個々に割り当てて接続されている複数のリレーと、
受信したコマンドデータとパターン記憶部に記憶されているパターン化したデータが一致したら、乗り場操作盤
に配設されている行先方向の特定のスイッチを操作する
ために割り当てて接続されている1のリレーを駆動する汎用IOポート部と、
前記乗りかご無線装置を、
乗りかご内にいる利用者の携帯端末に対し、所定周波数帯の無線信号、建物データ、フロアデータを発信するBLE通信部と、
乗りかご内にいる利用者の携帯端末から送信されるコマンドデータを受信するBLE UART通信部と、
予め行先階等のパターン化したデータが記憶されるパターン記憶部と、
受信したコマンドデータが、パターン記憶部に記憶されているパターン化したデータと一致するかを判断する可否判断部と、
乗りかご操作盤に配設されている開閉ボタンや行先階の個々のスイッチを操作するために割り当てて接続されている複数のリレーと、
受信したコマンドデータとパターン記憶部に記憶されているパターン化したデータが一致したら、乗りかご操作盤
に配設されている開閉ボタンや行先階の特定のスイッチを操作する
ために割り当てて接続されている1のリレーを駆動する汎用IOポート部及びSPI IOポート部と、
SPI IOポート部が駆動するリレーの数を増やすためにSPI IOポート部に接続された拡張SPI IOポート部と、
して機能させることで、
利用者の携帯端末が、
乗り場無線装置から受信する建物データ、
乗りかご無線装置から受信する建物データ、フロアデータ、
をもとに、
利用者が作成した行先方向、行先階等のコマンドデータを、
乗り場無線装置及び乗りかご無線装置に送信し、
乗り場無線装置が、
利用者の携帯端末から受信した行先方向等のコマンドデータをもとに、
汎用IOポート部が乗り場操作盤
に配設されている行先方向の特定のスイッチを操作する
ために個々に割り当てて接続されている1のリレーを駆動することで、
駆動された1のリレーが、利用者によって行先方向のスイッチが押下された状態にスイッチの接続を行い、
乗りかごが、利用者がいる階に昇降し、
乗りかご無線装置が、
利用者の携帯端末から受信した行先階等のコマンドデータをもとに、
汎用IOポート部
、SPI IOポート部
または拡張SPI IOポート部が乗りかご操作盤
に配設されている開閉ボタンや行先階の特定のスイッチを操作する
ために割り当てて接続されている1のリレーを駆動することで、
駆動された1のリレーが、利用者によって開閉ボタンや行先階のスイッチが押下された状態にスイッチの接続を行い、
乗りかごが、利用者が行先階として指定する階に昇降する
ことで、利用者が、乗り場及び乗りかごにおいて、それぞれの操作盤を操作することなく、
乗りかごに乗って目的の階まで移動することができる
ことを特徴とするエレベータ制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はエレベータ制御システム、及びエレベータ制御プログラムに関する。特に、専用アプリケーションソフトがインストールされた利用者の携帯端末とエレベータの各階の乗り場に設けた乗り場無線装置が、各乗り場無線装置の無線信号に基づいて無線接続し、専用アプリケーションソフトがインストールされた利用者の携帯端末とエレベータの各乗りかごに設けた各乗りかご無線装置が、各乗りかご無線装置の無線信号に基づいて無線接続し、各階の乗り場に設けた乗り場無線装置及び各乗りかごに設けた乗りかご無線装置とが、携帯端末からコマンドデータを受信し、各階の乗り場に設けた乗り場無線装置及び各乗りかごに設けた乗りかご無線装置に接続してある個々のリレーが、エレベータの乗り場操作盤と乗りかご操作盤とに配設されているボタンのスイッチをオンするエレベータ制御システム、及びエレベータ制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、エレベータの各階の乗り場には乗り場操作盤があり、エレベータの各乗りかご内には乗りかご操作盤がある。乗り場操作盤及び乗りかご操作盤の内部には、制御基板が組み込まれており、制御基板にはマイクロコンピュータやマイクロコントローラ等が搭載してある。制御基板は、エレベータの機械室等に設けられた制御装置に接続してある。エレベータの制御装置は、エレベータ全体の制御を行っている。
【0003】
近年では、エレベータの利用者の利便性やウイルス等の接触感染拡大防止への配慮から、エレベータの利用者が持つ無線通信機能付き携帯端末を利用する、非接触型のエレベータシステムが考えられている。利用者は、予め携帯端末にインストールしておいたエレベータシステムと無線通信可能な専用のアプリケーションソフトを使うことで、乗り場操作盤に直接触れずに、エレベータの乗りかごを利用者が待つ階まで移動させることができる。また利用者は、予め携帯端末にインストールしておいたエレベータシステムと無線通信可能な専用のアプリケーションソフトを使うことで、乗りかご操作盤に直接触れずに、利用者が指定した階までエレベータの乗りかごを移動させることができる。
【0004】
上述したエレベータシステムには、エレベータの乗り場付近や乗りかご等に、無線装置が設置してある。無線装置は、専用のアプリケーションソフトがインストールされた利用者の携帯端末からの無線信号を送受信する機能を有し、エレベータ全体の制御を行う制御装置に接続してある。利用者の携帯端末とエレベータに設置された無線装置が無線通信を行うと、無線装置は信号を受信し、その信号を、接続してある制御装置に送信する。信号を受信した制御装置は、エレベータの制御を開始する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで近年のエレベータシステムは、電子的なプログラムにより制御されており、高度化と複雑化が進んでいる。エレベータ全体の制御を行う制御装置を含むネットワークは、独自の通信プロトコルで制御されていることが多い。さらに、乗り場操作盤及び乗りかご操作盤に組み込まれた制御基板は、機能の変更や機能の追加等により、制御基板を構成するコネクタや電子部品の接続方法がネットワーク機能毎に異なっていることもある。そのため、完成しているエレベータシステムの機能の変更や機能の追加等を行う際には、制御装置の仕様毎にソフトウェアの変更及びつくり直しの作業、実際の現場で再度プログラムを組み込む作業等が必要となることがある。ハードウェアについても、制御基板をインタフェースも含めて、全て新規に作り直して、新たに設置する作業が必要になることもある。
【0007】
完成しているエレベータシステムに、利用者が持つ携帯端末と無線通信を可能にする無線装置の接続を前提としているネットワークが予め整備されていれば、それらのネットワークに接続できるように作られた無線装置を導入することは容易である。しかしながら、ある特定のエレベータシステムの規格に沿って作られた無線装置は、そのある特定のエレベータシステムと同じエレベータシステムが導入してある他の建物のエレベータには容易に適応させることができても、その特定のエレベータシステムではない、他のエレベータシステムに適応させることは、容易ではない。近年の高度化及び複雑化を成しているエレベータシステムを鑑みると、ある特定のエレベータシステムの規格に沿って作られた無線装置には、汎用性を持たせることが難しい。そのため、非接触型ではない、完成しているエレベータシステムを、利用者が持つ携帯端末と無線通信可能な非接触型のエレベータシステムへとリニューアルまたは改修するハードルは高い。非接触型のエレベータシステムの導入や運用に際しても、無線装置の設置作業に伴うリニューアルと改修費用のみならず、設置後のメンテナンス作業、特に故障による修理や交換等が必要になると、故障箇所の特定は容易ではなく、各作業によるエレベータのダウンタイムが増えるとともにメンテナンスや修理費用もかさむ。さらに、近年のエレベータシステムが伴わない古い建物とエレベータに、ある特定のエレベータシステムの規格に沿って作られた無線装置を導入する場合、エレベータの大幅なリニューアルに合わせて建物自体も改修工事が必要になることもあり、経済的負担が大きく生じてしまうという問題がある。
【0008】
本発明は、利用者が持つ携帯端末と無線通信を可能にする無線装置を、エレベータ全体の制御を行う制御装置と接続する必要があるという従来技術の問題点を改善し、エレベータ全体の制御を行う制御装置に接続する必要のない、既存のエレベータシステムに容易に対応し、設置作業やメンテナンス作業、故障時の修理作業や交換作業によるエレベータのダウンタイム及びコストの削減を図った、エレベータ制御システム、及びエレベータ制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記課題を解決するために、以下に記載の1)及び2)の手段よりなる。
すなわち、
1)利用者の携帯端末と、
エレベータの各階の乗り場に設置された乗り場無線装置と、
エレベータの各乗りかごに設置された乗りかご無線装置と、
を備え、
利用者の携帯端末は、
乗り場無線装置から発信される所定周波数帯の無線信号及び建物データ、並びに、乗りかご無線装置から発信される所定周波数帯の無線信号、建物データ及びフロアデータを受信するBLE通信部と、
受信した無線信号、建物データ及びフロアデータに基づいて行先方向、行先階等のコマンドデータを作成する作成部と、
予め行先方向、行先階等のパターン化したデータが記憶されるパターン記憶部と、
乗り場無線装置及び乗りかご無線装置に対し、作成したコマンドデータを送信するBLE UART通信部と、
乗り場無線装置及び乗りかご無線装置から受信した無線信号、建物データ及びフロアデータを記録するメモリと、
からなり、
前記乗り場無線装置は、
乗り場にいる利用者の携帯端末に対し、所定周波数帯の無線信号と建物データを発信するBLE通信部と、
乗り場にいる利用者の携帯端末から送信されるコマンドデータを受信するBLE UART通信部と、
予め行先方向等のパターン化したデータが記憶されるパターン記憶部と、
受信したコマンドデータが、パターン記憶部に記憶されているパターン化したデータと一致するかを判断する可否判断部と、
乗り場操作盤に配設されている行先方向のスイッチを操作するために個々に割り当てて接続されている複数のリレーと
受信したコマンドデータとパターン記憶部に記憶されているパターン化したデータが一致したら、乗り場操作盤に配設されている行先方向の特定のスイッチを操作するために割り当てて接続されている1のリレーを駆動する汎用IOポート部と、
からなり、
前記乗りかご無線装置は、
乗りかご内にいる利用者の携帯端末に対し、所定周波数帯の無線信号、建物データ、フロアデータを発信するBLE通信部と、
乗りかご内にいる利用者の携帯端末から送信されるコマンドデータを受信するBLE UART通信部と、
予め行先階等のパターン化したデータが記憶されるパターン記憶部と、
受信したコマンドデータが、パターン記憶部に記憶されているパターン化したデータと一致するかを判断する可否判断部と、
乗りかご操作盤に配設されている開閉ボタンや行先階の個々のスイッチを操作するために割り当てて接続されている複数のリレーと、
受信したコマンドデータとパターン記憶部に記憶されているパターン化したデータが一致したら、乗りかご操作盤に配設されている開閉ボタンや行先階の特定のスイッチを操作するために割り当てて接続されている1のリレーを駆動する汎用IOポート部及びSPI IOポート部と、
SPI IOポート部が駆動するリレーの数を増やすためにSPI IOポート部に接続された拡張SPI IOポート部と、
からなり、
利用者の携帯端末が、
乗り場無線装置から受信する建物データ、
乗りかご無線装置から受信する建物データ、フロアデータ、
をもとに、
利用者が作成した行先方向、行先階等のコマンドデータを、
乗り場無線装置及び乗りかご無線装置に送信して、
乗り場無線装置が、
利用者の携帯端末から受信した行先方向等のコマンドデータをもとに、
汎用IOポート部が乗り場操作盤に配設されている行先方向の特定のスイッチを操作するために個々に割り当てて接続されている1のリレーを駆動することで、
駆動された1のリレーが、利用者によって行先方向のスイッチが押下された状態にスイッチの接続を行い、
乗りかごが、利用者がいる階に昇降し、
乗りかご無線装置が、
利用者の携帯端末から受信した行先階等のコマンドデータをもとに、
汎用IOポート部、SPI IOポート部または拡張SPI IOポート部が乗りかご操作盤に配設されている開閉ボタンや行先階の特定のスイッチを操作するために割り当てて接続されている1のリレーを駆動することで、
駆動された1のリレーが、利用者によって開閉ボタンや行先階のスイッチが押下された状態にスイッチの接続を行い、
乗りかごが、利用者が行先階として指定する階に昇降する
ことで、利用者が、乗り場及び乗りかごにおいて、それぞれの操作盤を操作することなく、
乗りかごに乗って目的の階まで移動することができる
ことを特徴とするエレベータ制御システム。
2)利用者の携帯端末を、
乗り場無線装置から発信される所定周波数帯の無線信号及び建物データ、並びに、乗りかご無線装置から発信される所定周波数帯の無線信号、建物データ及びフロアデータを受信するBLE通信部と、
受信した無線信号、建物データ及びフロアデータに基づいて行先方向、行先階等のコマンドデータを作成する作成部と、
予め行先方向、行先階等のパターン化したデータが記憶されるパターン記憶部と、
乗り場無線装置及び乗りかご無線装置に対し、作成したコマンドデータを送信するBLE UART通信部と、
乗り場無線装置及び乗りかご無線装置から受信した無線信号、建物データ及びフロアデータを記録するメモリと、
前記乗り場無線装置を、
乗り場にいる利用者の携帯端末に対し、所定周波数帯の無線信号と建物データを発信するBLE通信部と、
乗り場にいる利用者の携帯端末から送信されるコマンドデータを受信するBLE UART通信部と、
予め行先方向等のパターン化したデータが記憶されるパターン記憶部と、
受信したコマンドデータが、パターン記憶部に記憶されているパターン化したデータと一致するかを判断する可否判断部と、
乗り場操作盤に配設されている行先方向のスイッチを操作するために個々に割り当てて接続されている複数のリレーと、
受信したコマンドデータとパターン記憶部に記憶されているパターン化したデータが一致したら、乗り場操作盤に配設されている行先方向の特定のスイッチを操作するために割り当てて接続されている1のリレーを駆動する汎用IOポート部と、
前記乗りかご無線装置を、
乗りかご内にいる利用者の携帯端末に対し、所定周波数帯の無線信号、建物データ、フロアデータを発信するBLE通信部と、
乗りかご内にいる利用者の携帯端末から送信されるコマンドデータを受信するBLE UART通信部と、
予め行先階等のパターン化したデータが記憶されるパターン記憶部と、
受信したコマンドデータが、パターン記憶部に記憶されているパターン化したデータと一致するかを判断する可否判断部と、
乗りかご操作盤に配設されている開閉ボタンや行先階の個々のスイッチを操作するために割り当てて接続されている複数のリレーと、
受信したコマンドデータとパターン記憶部に記憶されているパターン化したデータが一致したら、乗りかご操作盤に配設されている開閉ボタンや行先階の特定のスイッチを操作するために割り当てて接続されている1のリレーを駆動する汎用IOポート部及びSPI IOポート部と、
SPI IOポート部が駆動するリレーの数を増やすためにSPI IOポート部に接続された拡張SPI IOポート部と、
して機能させることで、
利用者の携帯端末が、
乗り場無線装置から受信する建物データ、
乗りかご無線装置から受信する建物データ、フロアデータ、
をもとに、
利用者が作成した行先方向、行先階等のコマンドデータを、
乗り場無線装置及び乗りかご無線装置に送信し、
乗り場無線装置が、
利用者の携帯端末から受信した行先方向等のコマンドデータをもとに、
汎用IOポート部が乗り場操作盤に配設されている行先方向の特定のスイッチを操作するために個々に割り当てて接続されている1のリレーを駆動することで、
駆動された1のリレーが、利用者によって行先方向のスイッチが押下された状態にスイッチの接続を行い、
乗りかごが、利用者がいる階に昇降し、
乗りかご無線装置が、
利用者の携帯端末から受信した行先階等のコマンドデータをもとに、
汎用IOポート部、SPI IOポート部または拡張SPI IOポート部が乗りかご操作盤に配設されている開閉ボタンや行先階の特定のスイッチを操作するために割り当てて接続されている1のリレーを駆動することで、
駆動された1のリレーが、利用者によって開閉ボタンや行先階のスイッチが押下された状態にスイッチの接続を行い、
乗りかごが、利用者が行先階として指定する階に昇降する
ことで、利用者が、乗り場及び乗りかごにおいて、それぞれの操作盤を操作することなく、
乗りかごに乗って目的の階まで移動することができる
ことを特徴とするエレベータ制御プログラム。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、各乗り場無線装置及び各乗りかご無線装置は、独自の通信プロトコルで制御を行うエレベータの制御装置と通信しなくてもエレベータの乗りかごを制御できるため、簡単な設置作業で済み、設置費用が抑えられる。各乗り場無線装置及び各乗りかご無線装置は汎用性を持ち、設置後のメンテナンス作業や故障による修理や交換等も容易となり、経済的負担の少ない非接触によるエレベータ制御システム、及びエレベータ制御プログラムを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施例に適用するエレベータ、乗り場無線装置及び乗りかご無線装置の概要を示す図である。
【
図2】実施例に適用するエレベータの各階の乗り場に設けた乗り場無線装置と携帯端末間の通信方法の一例を示す図である。
【
図3】実施例に適用するエレベータの乗り場に設けた乗り場無線装置と携帯端末間の通信方法の一例を示す図である。
【
図4】実施例に適用するエレベータの乗りかご内に設けた乗りかご無線装置と携帯端末間の通信方法の一例を示す図である。
【
図5】実施例に適用する携帯端末にインストールした専用アプリケーションソフトが表示する画像及び文字情報の一例を示す正面画である。
【
図6】実施例に適用する携帯端末にインストールした専用アプリケーションソフトが表示する画像及び文字情報の一例を示す正面図である。
【
図7】実施例に適用する携帯端末にインストールした専用アプリケーションソフトが表示する画像及び文字情報の一例を示す正面図である。
【
図8】実施例に適用する携帯端末のパターン記憶部、乗り場無線装置のパターン記憶部及び乗りかご無線装置のパターン記憶部にプログラムしてあるパターンテーブルの一例である。
【
図9】実施例に適用する乗りかご無線装置に予め設定してある行先階テーブルの一例である。
【
図10】実施例に適用する携帯端末、乗り場無線装置、乗り場操作盤及び警報機の機能構成を示すブロック図である。
【
図11】実施例に適用する携帯端末、乗りかご無線装置、拡張SPI IOポート、乗りかご操作盤及び警報機の機能構成を示すブロック図である。
【
図12】実施例に適用する乗り場無線装置及び乗りかご無線装置の動作の概要を説明するためのフローチャートである。
【
図13】実施例に適用する携帯端末の動作の概要を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係るエレベータ制御システム、及びエレベータ制御プログラムの実施例について添付の図面に従って説明する。なお、各図では、同一または相当する部分には同一の符号を付する。重複する説明は、適宜に簡略化あるいは省略する。
【0013】
図1は、実施例に適用するエレベータ、乗り場無線装置12及び乗りかご無線装置14の概要を示す図である。
【0014】
図1に示すように、建物にエレベータが設置してある。エレベータは、昇降路1、釣り合い重り2、ロープ3、巻上機4、制御装置5、乗りかご6、乗り場ドア7及び乗り場8を備えている。昇降路1は、例えば、建物の各階を貫くように形成してある。
【0015】
巻上機4は、例えば、図示しない機械室等に設けてある。ロープ3は、巻上機4に巻き掛けてある。制御装置5は、例えば、昇降路1内または機械室等に設けてある。制御装置5は、乗り場ドア7の開閉や乗りかご6の運転制御を含むエレベータ全体の制御をエレベータ独自のプロトコルで行う。制御装置5は、例えば、1つの乗りかご6の昇降を制御する装置であってもよい。制御装置5は、例えば、複数の乗りかご6の昇降を制御する群管理装置であってもよい。乗りかご6と釣り合い重り2は、制御装置5の制御によって巻上機4が駆動することで昇降する。
【0016】
建物内には、複数の乗り場8の各々が、各階に設けてある。各階の乗り場8の乗り場ドア7付近には、乗り場操作盤11及び非常用の警報機A10が設置してある。
【0017】
乗り場操作盤11には、行先方向を指定するための行先方向ボタンが配設されている。行先方向ボタンとは、例えば、後述する
図10に示す上ボタン11aと下ボタン11bである。通常、エレベータの利用者が行先方向ボタン(上ボタン11a及び下ボタン11b)を押下すると、乗り場操作盤11に配設されている行先方向ボタン(上ボタン11a及び下ボタン11b)のスイッチがオンする。行先方向ボタン(上ボタン11a及び下ボタン11b)のスイッチがオンしたという信号がエレベータ独自の通信プロトコルで制御を行う制御装置5に伝わる。すると、乗りかご6が制御装置5の制御によって利用者のいる階まで昇降する。
【0018】
警報機A10には、例えば、後述する
図10に示すベルAボタン10aが配設されている。通常、エレベータの利用者がベルAボタン10aを押下すると、警報機A10に配設されているベルAボタン10aのスイッチがオンする。ベルAボタン10aのスイッチがオンしたという信号が、エレベータ独自の通信プロトコルで制御を行う制御装置5に伝わる。すると、警報機A10が制御装置5の制御によって鳴る。
【0019】
建物内にある昇降路1内には、乗りかご6が設けてある。乗りかご6には、乗りかご操作盤13が設置してある。
【0020】
乗りかご操作盤13には、行先階を指定するための行先階ボタンが配設されている。行先階ボタンとは、例えば、後述する
図11に示す、5ボタン13aのような数字が付してあるボタンである。通常、エレベータの利用者が行先階ボタン(数字が付してあるボタン)を押下すると、乗りかご操作盤13に配設されている行先階ボタン(数字が付してあるボタン)のスイッチがオンする。行先階ボタン(数字が付してあるボタン)のスイッチがオンしたという信号がエレベータ独自の通信プロトコルで制御を行う制御装置5に伝わる。すると、乗りかご6が制御装置5の制御によって利用者が指定した階まで昇降する。
【0021】
また、乗りかご操作盤13には、乗り場ドア7の開閉を行うための開閉ボタンが配設されている。開閉ボタンとは、例えば、後述する
図11に示す開ボタン19及び閉ボタン20である。通常、エレベータの利用者が開閉ボタン(開ボタン19及び閉ボタン20)を押下すると、乗りかご操作盤13に配設されている開閉ボタン(開ボタン19及び閉ボタン20)のスイッチがオンする。開閉ボタン(開ボタン19及び閉ボタン20)のスイッチがオンしたという信号がエレベータ独自の通信プロトコルで制御を行う制御装置5に伝わる。すると、乗り場ドア7が開いたり閉じたりする。
【0022】
さらに、乗りかご操作盤13には、非常用の警報機B18が設置してある。警報機B18には、例えば、後述する
図11に示すベルBボタン18aが配設されている。通常、エレベータの利用者がベルBボタン18aを押下すると、警報機B18に配設されているベルBボタン18aのスイッチがオンする。ベルBボタン18aのスイッチがオンしたという信号がエレベータ独自の通信プロトコルで制御を行う制御装置5に伝わる。すると、警報機B18が制御装置5の制御によって鳴る。
【0023】
利用者は、Bluetooth(登録商標)の無線通信機能を有する携帯端末9を携帯している。携帯端末9は、例えば携帯電話機やスマートフォン等、小型の端末装置からなる。
【0024】
実施例において、利用者は携帯端末9を操作して、利用者がいる階まで乗りかご6を移動させることができる。また、乗りかご6に乗った利用者は、携帯端末9を操作して、乗りかご6を指定した階まで移動させることができる。利用者が携帯端末9を操作して、利用者がいる階まで乗りかご6を移動させたり、利用者が指定した階まで乗りかご6を移動させたりするには、携帯端末9に専用アプリケーションソフトをインストールする必要がある。利用者がいる階まで乗りかご6を移動させたり、利用者が指定した階まで乗りかご6を移動させたりするための専用アプリケーションソフトは、Bluetooth(登録商標)通信をするために開発したものである。Bluetooth(登録商標)通信は、携帯端末9と乗り場無線装置12間及び携帯端末9と乗りかご無線装置14間とで行う。専用アプリケーションソフトは、携帯端末9のOS(Operating System)に依存するWEBサイトから自由にダウンロードしてインストールを行うことができる。
【0025】
以下の説明では、利用者がいる階まで乗りかご6を移動させたり、利用者が指定した階まで乗りかご6を移動させたりするための専用アプリケーションソフトのことを専用APPと表記する。専用APPは、利用者が携帯する携帯端末9に、すでにインストールされているものとする。携帯端末9の画面には、専用APPによって、様々な画像や文字情報が表示される。
【0026】
専用APPは携帯端末9を携帯する利用者によってオンされる。専用APPはオンの間、ある一定の無線信号を検出できる範囲900を持つ。専用APPはオンの間、ある一定の無線信号を検出するために常にスキャンを続ける。
【0027】
実施例では、各階の乗り場8の乗り場操作盤11内に、無線通信機能を有する乗り場無線装置12を設置している。無線通信の方式には、Bluetooth(登録商標)の近距離無線通信規格を用いている。乗り場無線装置12は、所定周波数帯の無線信号を発信する。以下の説明では、乗り場無線装置12のことを、無線装置A12と表記する。
【0028】
実施例では、乗りかご6の乗りかご操作盤13内に、無線通信機能を有する乗りかご無線装置14を設置している。無線通信の方式には、Bluetooth(登録商標)の近距離無線通信規格を用いている。乗りかご無線装置14は、所定周波数帯の無線信号を発信する。以下の説明では、乗りかご無線装置14のことを、無線装置B14と表記する。
【0029】
実施例では、携帯端末9の範囲900は、無線装置A12が発信する所定周波数帯の無線信号及び無線装置B14が発信する所定周波数帯の無線信号を検出するためにスキャンを続ける。
【0030】
Bluetooth(登録商標)等の屋内利用向けの近距離無線通信規格には、一般的にBluetooth(登録商標)通信が可能な範囲がある。Bluetooth(登録商標)通信が可能な範囲から離れると、Bluetooth(登録商標)通信が切断されるという特性を、実施例にも利用している。よって、専用APPがオンの間、携帯端末9が無線装置A12及び無線装置B14とのBluetooth(登録商標)通信が可能な範囲から離れると、Bluetooth(登録商標)通信は切断される。また、専用APPがオンの間、携帯端末9が無線装置A12及び無線装置B14とのBluetooth(登録商標)通信が可能な範囲内にあっても、専用APPがオフになるとBluetooth(登録商標)通信は切断される。
【0031】
【0032】
図2は、実施例に適用するエレベータの各階の乗り場8に設けた無線装置A12と携帯端末9間の通信方法の一例を示す図である。
【0033】
各々の乗り場8には乗り場操作盤11が設けてある。乗り場操作盤11内には、無線装置A12を設置している。実施例では、無線装置A12と利用者が携帯する携帯端末9とが、Bluetooth(登録商標)の近距離無線通信規格に準拠したBluetooth(登録商標)通信を行う。無線装置A12は、後述する
図10のように予めプログラムしてある。
【0034】
無線装置A12は、オンの時に所定周波数帯の無線信号を発信する。無線装置A12が発信する所定周波数帯の無線信号は、無線装置A12の識別情報を含む無線信号であり、自身の存在を携帯端末9に通知するための無線信号である。
【0035】
無線装置A12が発信する所定周波数帯の無線信号には強度がある。以下の説明では、各々の強度の違う所定周波数帯の無線信号のことを、信号A120、信号AA121及び信号AAA122と表記する。
【0036】
無線装置A12は、常時オンして、乗り場8に信号A120、信号AA121及び信号AAA122を発信し続ける。信号A120、信号AA121及び信号AAA122は、所定周波数帯の無線信号の強度が違う。例えば、無線装置A12に近い信号A120の強度は、信号AA121と信号AAA122より強い。例えば、信号AA121の強度は、信号A120より弱く、信号AAA122より強い。例えば、信号AAA122の強度は、信号A120と信号AA121より弱い。このように無線装置A12に近いほど、無線装置A12が発信する所定周波数帯の無線信号の強度は強くなり、無線装置A12から離れるほど、無線装置A12が発信する所定周波数帯の無線信号の強度は弱くなる。
【0037】
乗りかご6内には乗りかご操作盤13が設けてある。乗りかご操作盤13内には、無線装置B14を設置している。実施例では、無線装置B14と利用者が携帯する携帯端末9とが、Bluetooth(登録商標)の近距離無線通信規格に準拠したBluetooth(登録商標)通信を行う。無線装置B14は、後述する
図11のように予めプログラムしてある。
【0038】
無線装置B14は、オンの時に所定周波数帯の無線信号を発信する。無線装置B14が発信する所定周波数帯の無線信号は、無線装置B14の識別情報を含む無線信号であり、自身の存在を携帯端末9に通知するための無線信号である。
【0039】
無線装置B14が発信する所定周波数帯の無線信号には強度がある。以下の説明では、各々の強度の違う所定周波数帯の無線信号のことを、信号B140、信号BB141及び信号BBB142と表記する。
【0040】
無線装置B14は、常時オンして、乗りかご6に信号B140、信号BB141及び信号BBB142を発信し続ける。信号B140、信号BB141及び信号BBB142は、所定周波数帯の無線信号の強度が違う。例えば、無線装置B14に近い信号B140の強度は、信号BB141と信号BBB142より強い。例えば、信号BB141の強度は、信号B140より弱く、信号BBB142より強い。例えば、信号BBB142の強度は、信号B140と信号BB141より弱い。このように無線装置B14に近いほど、無線装置B14が発信する所定周波数帯の無線信号の強度は強くなり、無線装置B14から離れるほど、無線装置B14が発信する所定周波数帯の無線信号の強度は弱くなる。
【0041】
図2では、利用者の携帯端末9にインストールした専用APPがオンし、携帯端末9が範囲900を持った状態を示している。
【0042】
携帯端末9の範囲900は、無線装置A12から発信される信号A120、信号AA121及び信号AAA122の、いずれかの所定周波数帯の無線信号をスキャンして無線装置A12を検出する。
【0043】
同様に、携帯端末9の範囲900は、無線装置B14から発信される信号B140、信号BB141及び信号BBB142の、いずれかの所定周波数帯の無線信号をスキャンして無線装置B14を検出する。
【0044】
図2では、携帯端末9の範囲900は、無線装置A12から発信されるいずれかの所定周波数帯の無線信号、及び無線装置B14から発信されるいずれかの所定周波数帯の無線信号を、まだ検出していない状態である。よって、無線装置A12と携帯端末9間または無線装置B14と携帯端末9間のBluetooth(登録商標)通信は、まだ成立していないことになる。
【0045】
実施例では携帯端末9の範囲900が、複数の無線装置A12が発信する所定周波数帯の無線信号を同時にスキャンして検出した場合、携帯端末9は検出した複数の所定周波数帯の無線信号の中から、より強度の強い所定周波数帯の無線信号を優先して自動的にBluetooth(登録商標)通信を成立するようにプログラムしてある。
【0046】
同様に、携帯端末9の範囲900が、複数の無線装置B14が発信する所定周波数帯の無線信号を同時にスキャンして検出した場合、携帯端末9は検出した複数の所定周波数帯の無線信号の中から、より強度の強い所定周波数帯の無線信号を優先して自動的にBluetooth(登録商標)通信を成立するようにプログラムしてある。
【0047】
さらに携帯端末9の範囲900が、無線装置A12が発信する所定周波数帯の無線信号、及び無線装置B14が発信する所定周波数帯の無線信号を同時にスキャンして検出した場合、携帯端末9は無線装置B14が発信する所定周波数帯の無線信号を優先して、自動的にBluetooth(登録商標)通信を成立するようにプログラムしてある。
【0048】
なお、携帯端末9の範囲900が無線装置A12の所定周波数帯の無線信号をスキャンして検出し、携帯端末9が無線装置A12とBluetooth(登録商標)通信を成立している間に、携帯端末9の範囲900が無線装置B14の所定周波数帯の無線信号をスキャンして検出した場合は、携帯端末9と無線装置A12間のBluetooth(登録商標)通信は切断され、携帯端末9と無線装置B14間のBluetooth(登録商標)通信が自動的に成立する。
【0049】
実施例において、専用APPをインストールした携帯端末9を携帯しない利用者は、従来通り、乗り場操作盤11に配設されている各々の行先方向ボタン(上ボタン11a及び下ボタン11b)を押下することによって、利用者がいる階まで乗りかご6を移動させることができる。専用APPをインストールした携帯端末9を携帯しない利用者は、従来通り警報機A10に配設されているベルAボタン10aを押下することによって警報機A10を鳴らすことができる。
【0050】
また、専用APPをインストールした携帯端末9を携帯しない乗りかご6に乗った利用者は、従来通り、乗りかご操作盤13に配設されている各々の行先階ボタン(数字が付してあるボタン)を押下することによって、乗りかご6を指定した階まで移動させることができる。専用APPをインストールした携帯端末9を携帯しない利用者は、従来通り乗りかご操作盤13の警報機B18に配設されているベルBボタン18aを押下することによって警報機B18を鳴らすことができ、各々の開閉ボタン(開ボタン19及び閉ボタン20)を押下することによって乗り場ドア7を開閉することができる。
【0051】
図3は、実施例に適用するエレベータの乗り場8に設けた無線装置A12と携帯端末9間の通信方法の一例を示す図である。
【0052】
図3では、利用者が携帯する携帯端末9にインストールした専用APPがオンになり、携帯端末9の範囲900は無線装置A12が発信する信号A122をスキャンして検出している。携帯端末9と無線装置A12間のBluetooth(登録商標)通信が成立している状態を示している。携帯端末9と無線装置A12間のBluetooth(登録商標)通信が成立していることで、利用者は携帯端末9を操作して、利用者がいる階まで乗りかご6を移動させることができる。
【0053】
実施例では、後述する
図10に示すように、無線装置A12は複数のリレーA15を備える。個々のリレーA15は、電気回路のオンとオフを行う。個々のリレーA15は、乗り場操作盤11に配設されている各々の行先方向ボタン(上ボタン11a及び下ボタン11b)のスイッチと、警報機A10に配設されているベルAボタン10aのスイッチとに、個々に割り当てて接続してある。携帯端末9と無線装置A12間のBluetooth(登録商標)通信が成立後、利用者が携帯端末9を操作すると、携帯端末9と無線装置A12が無線通信し、無線装置A12のプログラムに基づいた個々のリレーA15が駆動する。
【0054】
例えば、ある階の乗り場8にいる利用者が上の階に行くために、携帯端末9を操作して後述する
図6に示す上記号91を選択する。携帯端末9は、専用APPのプログラムに従って無線装置A12に上記号91が選択されたというデータを送信する。無線装置A12は、上記号91が選択されたというデータを受信すると、無線装置A12のプログラムに基づいて上記号91に対応するリレーA15を駆動する。上記号91に対応するリレーA15は、乗り場操作盤11に配設されている上ボタン11aのスイッチに接続してある。上記号91に対応したリレーA15が駆動すると、上ボタン11aのスイッチがオンする。これは、乗り場操作盤11に配設されている上ボタン11aが利用者によって押下された状態と同様である。上ボタン11aのスイッチは、元よりエレベータに備わっているエレベータ独自の通信プロトコルで制御を行う制御装置5によって制御されている。上ボタン11aのスイッチがオンすると、上ボタン11aのスイッチがオンしたという信号が制御装置5に送信される。制御装置5は、上ボタン11aのスイッチがオンしたという信号を受信すると、乗りかご6を制御して利用者のいる階まで昇降させる。
【0055】
同様に、例えば、ある階の乗り場8にいる利用者が下の階に行くために、携帯端末9を操作して後述する
図6に示す下記号92を選択する。携帯端末9は、専用APPのプログラムに従って無線装置A12に下記号92が選択されたというデータを送信する。無線装置A12は、下記号92が選択されたというデータを受信すると、無線装置A12のプログラムに基づいて下記号92に対応するリレーA15を駆動する。下記号92に対応するリレーA15は、乗り場操作盤11に配設されている下ボタン11bのスイッチに接続してある。下記号92に対応するリレーA15が駆動すると、下ボタン11bのスイッチがオンする。これは、乗り場操作盤11に配設されている下ボタン11bが利用者によって押下された状態と同様である。下ボタン11bのスイッチは、元よりエレベータに備わっているエレベータ独自の通信プロトコルで制御を行う制御装置5によって制御されている。下ボタン11bのスイッチがオンすると、下ボタン11bのスイッチがオンしたという信号が制御装置5に送信される。制御装置5は、下ボタン11bのスイッチがオンしたという信号を受信すると、乗りかご6を制御して利用者のいる階まで昇降させる。
【0056】
同様に、例えば、利用者が警報機を鳴らすために携帯端末9を操作して後述する
図6に示すベルA記号90を選択する。携帯端末9は、専用APPのプログラムに従って無線装置A12にベルA記号90が選択されたというデータを送信する。無線装置A12は、ベルA記号90が選択されたというデータを受信すると、無線装置A12のプログラムに基づいてベルA記号90に対応するリレーA15を駆動する。ベルA記号90に対応するリレーA15は、警報機A10に配設されているベルAボタン10aのスイッチに接続してある。ベルA記号90に対応するリレーA15が駆動すると、ベルAボタン10aのスイッチがオンする。これは、警報機A10に配設されているベルAボタン10aが利用者によって押下された状態と同様である。ベルAボタン10aのスイッチは、元よりエレベータに備わっているエレベータ独自の通信プロトコルで制御を行う制御装置5によって制御されている。ベルAボタン10aのスイッチがオンすると、ベルAボタン10aのスイッチがオンしたという信号が制御装置5に送信される。制御装置5は、ベルAボタン10aのスイッチがオンしたという信号を受信すると、警報機A10を制御して警報機A10を鳴らす。
【0057】
上述のように、無線装置A12は、上ボタン11a、下ボタン11b及びベルAボタン10aのスイッチを介して、制御装置5と相互作用する。上ボタン11a、下ボタン11b及びベルAボタン10aのスイッチが、各々のリレーA15の駆動によってオンした時点で、上ボタン11a、下ボタン11b及びベルAボタン10aは、エレベータ独自の通信プロトコルで制御される。無線装置A12は、上ボタン11a、下ボタン11b及びベルAボタン10aのスイッチの制御を行う。よって、従来のように、無線装置A12を制御装置5に接続する必要はない。そのため、各階の各々の乗り場ドア7付近に設けてある無線装置A12から、通常、昇降路1内や図示しない機械室等に設けてある制御装置5までの配線やコネクション等を考慮する必要がなく、無線装置A12の設置作業やメンテナンス作業は簡単に行うことができる。
【0058】
無線装置A12の設置場所は、無線装置A12が発信する所定周波数帯の無線信号が、携帯端末9の範囲900とBluetooth(登録商標)通信が可能な範囲であればどこでもよい。さらに、無線装置A12の設置場所は、上ボタン11a、下ボタン11b及びベルAボタン10aのスイッチへの配線が可能であればどこでもよい。例えば、無線装置A12は乗り場操作盤11内の位置に設置してもよい。例えば、無線装置A12は建物内の通路において、乗り場ドア7付近の位置に設置してもよい。例えば、無線装置A12は建物内の通路において、乗り場8から離れた位置に設置してもよい。
【0059】
図4は、実施例に適用するエレベータの乗りかご6内に設けた無線装置B14と携帯端末9間の通信方法の一例を示す図である。
【0060】
図4では、利用者の携帯端末9にインストールした専用APPがオンし、携帯端末9の範囲900が、無線装置A12が発信する信号AAA122をスキャンして検出しており、さらに、携帯端末9の範囲900が、無線装置B14が発信する信号BBB142、信号BB141及び信号B140をスキャンして検出している状態を示している。
【0061】
実施例では、携帯端末9の範囲900が、無線装置A12の所定周波数帯の無線信号、及び無線装置B14の所定周波数帯の無線信号を同時にスキャンして検出した場合は、携帯端末9は無線装置B14の所定周波数帯の無線信号を優先して自動的にBluetooth(登録商標)通信を成立する。よって、
図4は、携帯端末9と無線装置B14間のBluetooth(登録商標)通信が成立している状態を示している。携帯端末9と無線装置B14間のBluetooth(登録商標)通信が成立していることで、乗りかご6に乗った利用者は、携帯端末9を操作して、乗りかご6を指定した階まで移動させることができる。
【0062】
また、実施例では、後述する
図11に示すように、無線装置B14は複数のリレーB16を備える。個々のリレーB16は、電気回路のオンとオフを行う。個々のリレーB16は、乗りかご操作盤13に配設されている各々の開閉ボタン(開ボタン19及び閉ボタン20)のスイッチと、乗りかご操作盤13の警報機B18に配設されているベルBボタン18aのスイッチとに、個々に割り当てて接続してある。携帯端末9と無線装置B14間のBluetooth(登録商標)通信が成立後、利用者が携帯端末9を操作すると、携帯端末9と無線装置B14が無線通信し、無線装置B14のプログラムに基づいた個々のリレーB16が駆動する。
【0063】
例えば、利用者が警報機を鳴らすために携帯端末9を操作して後述する
図7に示すベルB記号93を選択する。携帯端末9は、専用APPのプログラムに従って無線装置B14にベルB記号93が選択されたというデータを送信する。無線装置B14は、ベルB記号93が選択されたというデータを受信すると、無線装置B14のプログラムに基づいてベルB記号93に対応するリレーB16を駆動する。ベルB記号93に対応するリレーB16は、警報機B18に配設されているベルBボタン18aのスイッチに接続してある。ベルB記号93に対応するリレーB16が駆動すると、ベルBボタン18aのスイッチがオンする。これは、警報機B18に配設されているベルBボタン18aが利用者によって押下された状態と同様である。ベルBボタン18aのスイッチは、元よりエレベータに備わっているエレベータ独自の通信プロトコルで制御を行う制御装置5によって制御されている。ベルBボタン18aのスイッチがオンすると、ベルBボタン18aのスイッチがオンしたという信号が制御装置5に送信される。制御装置5は、ベルBボタン18aのスイッチがオンしたという信号を受信すると、警報機B18を制御して警報機B18を鳴らす。
【0064】
同様に、例えば、利用者が携帯端末9を操作して後述する
図7に示す開記号95を選択する。携帯端末9は、専用APPのプログラムに従って無線装置B14に開記号95が選択されたというデータを送信する。無線装置B14は、開記号95が選択されたというデータを受信すると、無線装置B14のプログラムに基づいて開記号95に対応するリレーB16を駆動する。開記号95に対応するリレーB16は、乗りかご操作盤13に配設されている開ボタン19のスイッチに接続してある。開記号95に対応するリレーB16が駆動すると、開ボタン19のスイッチがオンする。これは、乗りかご操作盤13に配設されている開ボタン19が利用者によって押下された状態と同様である。開ボタン19のスイッチは、元よりエレベータに備わっているエレベータ独自の通信プロトコルで制御を行う制御装置5によって制御されている。開ボタン19のスイッチがオンすると、開ボタン19のスイッチがオンしたという信号が、制御装置5に送信される。制御装置5は、開ボタン19のスイッチがオンしたという信号を受信すると、乗り場ドア7を制御して乗り場ドア7を開く。
【0065】
同様に、例えば、利用者が携帯端末9を操作して、後述する
図7に示す閉記号96を選択する。携帯端末9は、専用APPのプログラムに従って無線装置B14に閉記号96が選択されたというデータを送信する。無線装置B14は、閉記号96が選択されたというデータを受信すると、無線装置B14のプログラムに基づいて閉記号96に対応するリレーB16を駆動する。閉記号96に対応するリレーB16は、乗りかご操作盤13に配設されている閉ボタン20のスイッチに接続してある。閉記号96に対応するリレーB16が駆動すると、閉ボタン20のスイッチがオンする。これは、乗りかご操作盤13に配設されている閉ボタン20が利用者によって押下された状態と同様である。閉ボタン20のスイッチは、元よりエレベータに備わっているエレベータ独自の通信プロトコルで制御を行う制御装置5によって制御されている。閉ボタン20のスイッチがオンすると、閉ボタン20のスイッチがオンしたという信号が、制御装置5に送信される。制御装置5は、閉ボタン20のスイッチがオンしたという信号を受信すると、乗り場ドア7を制御して乗り場ドア7を閉じる。
【0066】
また、実施例では、後述する
図11に示すように、無線装置B14に拡張SPI IOポート14lが接続してある。拡張SPI IOポート14lは、複数のリレーC17を備える。個々のリレーC17は、電気回路のオンとオフを行う。個々のリレーC17は、乗りかご操作盤13に配設されている各々の行先階ボタン(数字が付してあるボタン)のスイッチに、個々に割り当てて接続してある。携帯端末9と無線装置B14間のBluetooth(登録商標)通信が成立後、利用者が携帯端末9を操作すると、携帯端末9と無線装置B14が無線通信し、無線装置B14のプログラムに基づいた個々のリレーC17が駆動する。
【0067】
例えば、乗りかご6に乗った利用者が乗りかご6を5階まで移動させるために、携帯端末9を操作して後述する
図7に示す5記号94を選択する。携帯端末9は、専用APPのプログラムに従って無線装置B14に5記号94が選択されたというデータを送信する。無線装置B14は、5記号94が選択されたというデータを受信すると、無線装置B14のプログラムに基づいて5記号94に対応するリレーC17を駆動する。5記号94に対応するリレーC17は、乗りかご操作盤13に配設されている5ボタン13aのスイッチに接続してある。5記号94に対応するリレーC17が駆動すると、5ボタン13aのスイッチがオンする。これは、乗りかご操作盤13に配設されている5ボタン13aが利用者によって押下された状態と同様である。5ボタン13aのスイッチがオンすると、5ボタン13aのスイッチがオンしたという信号が制御装置5に送信される。制御装置5は、5ボタン13aのスイッチがオンしたという信号を受信すると、乗りかご6を制御して5階まで乗りかご6を昇降させる。
【0068】
上述のように、無線装置B14は、ベルBボタン18a 、開ボタン19、閉ボタン20及び5ボタン13aのスイッチを介して、制御装置5と相互作用する。ベルBボタン18a、開ボタン19及び閉ボタン20のスイッチが、各々のリレーB16の駆動によってオンした時点で、ベルBボタン18a、開ボタン19及び閉ボタン20は、エレベータ独自の通信プロトコルで制御される。また、5ボタン13aのような各々の行先階ボタン(数字が付してあるボタン)のスイッチが、各々のリレーC17の駆動によってオンした時点で、5ボタン13aのような各々の行き先階ボタン(数字が付してあるボタン)は、エレベータ独自の通信プロトコルで制御される。無線装置B14は、ベルBボタン18a、開ボタン19、閉ボタン20及び5ボタン13aのような各々の行先階ボタン(数字が付してあるボタン)のスイッチの制御を行う。よって、従来のように無線装置B14を制御装置5に接続する必要はない。そのため、乗りかご6に設けてある無線装置B14から、通常、昇降路1内や図示しない機械室等に設けてある制御装置5までの配線やコネクション等を考慮する必要がなく、無線装置B14の設置作業やメンテナンス作業は簡単に行うことができる。
【0069】
無線装置B14の設置場所は、無線装置B14が発信する所定周波数帯の無線信号が、携帯端末9の範囲900とBluetooth(登録商標)通信が可能な範囲であればどこでもよい。さらに、無線装置B14の設置場所は、各々の行先階ボタン(数字が付してあるボタン)、ベルBボタン18a及び各々の開閉ボタン(開ボタン19及び閉ボタン20)のスイッチへの配線が可能であればどこでもよい。例えば、無線装置B14は、乗りかご6内の側面の位置に設置してもよい。例えば、無線装置B14は、乗りかご6の外側の側面の位置に設置してもよい。
【0070】
図2、
図3及び
図4の説明のように、無線装置A12及び無線装置B14は、設置作業やメンテナンス作業が簡単に行える上に、無線装置A12及び無線装置B14の設置場所へのアクセスが簡単なため、無線装置A12及び無線装置B14に異常や故障が発生した場合も、異常や故障の発生箇所を突き止め易く、異常や故障等の修理作業によるエレベータのダウンタイムとコストの削減が可能となる。
【0071】
次に、
図5から
図7を用いて、専用APPの表示を説明する。
図5は、実施例に適用する携帯端末9にインストールした専用APPが表示する、画像及び文字情報の一例を示す正面図である。
【0072】
携帯端末9の画面には、検索中と表示してある。携帯端末9にインストールした専用APPは、利用者によってオンされると、無線装置A12が発信する所定周波数帯の無線信号、及び無線装置B14が発信する所定周波数帯の無線信号を、検出するためにスキャンを始める。携帯端末9は、無線装置A12が発信する所定周波数帯の無線信号、または無線装置B14が発信する所定周波数帯の無線信号のどちらかを検出する間、携帯端末9の画面に検索中と表示する。
【0073】
図6は、実施例に適用する携帯端末9にインストールした専用APPが表示する画像及び文字情報の一例を示す正面図である。
【0074】
携帯端末9と無線装置A12間のBluetooth(登録商標)通信が成立すると、専用APPが
図6に示すような画像及び文字情報を、携帯端末9の画面に表示する。画像及び文字情報は、建物名、ベルA記号90、上記号91、下記号92等である。専用APPの表示は、
図10に後述する、BLE通信部T9aがBLE通信部A12aから受信するBluetooth(登録商標)ブロードキャストデータと、作成部T9bがパターン記憶部T9fから引き出したパターンと組み合わせて構成する画像及び文字情報である。
【0075】
例えば、利用者が携帯端末9の画面に表示されたベルA記号90を選択すると、利用者は警報機A10に配設されているベルAボタン10aを押下せずに、警報機A10を鳴らすことができる。例えば、ある階の乗り場8にいる利用者が携帯端末9の画面に表示された上記号91を選択すると、利用者は乗り場操作盤11に配設されている上ボタン11aを押下せずに、乗りかご6を利用者がいる階まで移動させることができる。例えば、ある階の乗り場8にいる利用者が携帯端末9の画面に表示された下記号92を選択すると、利用者は乗り場操作盤11に配設されている下ボタン11bを押下せずに、乗りかご6を利用者がいる階まで移動させることができる。
【0076】
図7は、実施例に適用する携帯端末9にインストールした専用用APPが表示する画像及び文字情報の一例を示す正面図である。
【0077】
携帯端末9と無線装置B14間のBluetooth(登録商標)通信が成立すると、専用APPが
図7に示すような画像及び文字情報を、携帯端末9の画面に表示する。画像及び文字情報は、建物名、ベルB記号93、5記号94のような各々の数字が付してある記号、開記号95、閉記号96等である。専用APPの表示は、
図11に後述する、BLE通信部T9aがBLE通信部B14aから受信するBluetooth(登録商標)ブロードキャストデータと、作成部T9bがパターン記憶部T9fから引き出したパターンとを基に構成した、画像及び文字情報である。
【0078】
例えば、乗りかご6に乗った利用者が携帯端末9の画面に表示された5記号94を選択すると、利用者は乗りかご操作盤13に配設されている5ボタン13aを押下せずに、乗りかご6を5階まで移動させることができる。例えば乗りかご6に乗った利用者が携帯端末9の画面に表示されたベルB記号93を選択すると、利用者は警報機B18に配設されているベルBボタン18aを押下せずに、警報機B18を鳴らすことができる。例えば、乗りかご6に乗ったが携帯端末9の画面に表示された開記号95を選択すると、利用者は乗りかご操作盤13に配設されている開ボタン19を押下せずに、乗り場ドア7を開けることができる。例えば、乗りかご6に乗ったが携帯端末9の画面に表示された閉記号96を選択すると、利用者は乗りかご操作盤13に配設されている閉ボタン20を押下せずに、乗り場ドア7を閉じることができる。
【0079】
携帯端末9の画面には、
図6に示した建物名、ベルA記号90、上記号91及び下記号92と、
図7にて示す建物名、ベルB記号93、5記号94のような各々の数字が付してある記号、開記号95、閉記号96等の他、別の画像や文字情報を表示できるようにしてもよい。
【0080】
携帯端末9の画面には、例えば、ウェルカムメッセージ、エレベータの名前、各階の案内、フロアマップ、テナントの公告、天気予報等を表示してもよい。
【0081】
携帯端末9の画面には、例えば、ある特定の権限を持つ利用者しか降車できない、特定の行先階を表示してもよい。いわゆる要人のみしかアクセスできないVIP階等の、ある特定の権限を持つ利用者しか降車できない特定の行先階がエレベータに設定してある場合、特定の行先階を利用するある特定の権限を持つ利用者には、予め暗証番号を知らせる。ある特定の権限を持つ利用者は、専用APPが携帯端末9の画面に表示する暗証番号入力欄に、予め知らされた暗証番号を入力することで、特定の行先階を選択できる。専用APPが携帯端末9の画面に表示する特定の行先階は、例えば、利用者が特定の行先階の記号を選択すると暗証番号入力欄の表示が出るようにしてもよい。専用APPが携帯端末9の画面に表示する特定の行先階は、例えば、可視できないように隠れていて、利用者が携帯端末9の画面のある一部に触れることによって、暗証番号入力欄の表示が出るようにしてもよい。なお、ある特定の権限を持つ利用者しか降車できない特定の行先階がエレベータに設定してある場合、ある特定の権限を持つ利用者は、一度、暗証番号を入力したら、次回からは暗証番号の入力を省いて特定の行先階を選択できるようにしてもよい。
【0082】
携帯端末9の画面には、例えば、暗証番号を入力することでエレベータを操作する表示が出るようにしてもよい。いわゆる要人のみしか利用できないVIP用エレベータ等の、ある特定の権限を持つ利用者しか利用できない、特定のエレベータが設定してある場合、ある特定の権限を持つ利用者には、予め暗証番号を知らせる。ある特定の権限を持つ利用者は、専用APPが携帯端末9の画面に表示する暗証番号入力欄に、予め知らされた暗証番号を入力することで、特定のエレベータを利用できる。なお、ある特定の権限を持つ利用者しか利用できない特定のエレベータが設定してある場合、ある特定の権限を持つ利用者は、一度、暗証番号を入力したら、次回からは暗証番号の入力を省いて特定のエレベータを操作できるようにしてもよい。
【0083】
専用APPが携帯端末9の画面に表示する内容の言語は、別の言語に変更できるようにしてもよい。
【0084】
なお、利用者は、実施例による無線装置A12及び無線装置B14が設置してあるエレベータであれば、1つの専用APPでどのエレベータも操作することができる。携帯端末9は、後述する
図10及び
図11のように、パターン記憶部T9fにパターン化したデータを記憶している。そのため、携帯端末9は、無線装置A12及び無線装置B14から、建物データやフロアデータを含んだBluetooth(登録商標)ブロードキャストデータを受信する度に、専用APPに画像と文字情報を表示することができ、作成したコマンドデータを無線装置A12及び無線装置B14へ送信することができる。利用者は、エレベータ毎に違う種類のアプリケーションソフトを携帯端末9にインストールするなどの手間が省ける。また利用者は、エレベータ毎にいくつもの種類のアプリケーションソフトを使い分ける煩わしさもなくなる。よって、専用APPは、無線装置A12及び無線装置B14を導入するエレベータ毎に開発しなくてもよい。
【0085】
図8は、実施例に適用する携帯端末9のパターン記憶部T9f、無線装置A12のパターン記憶部A12i及び無線装置B14のパターン記憶部B14iにプログラムしてある、パターンテーブルT1の一例である。
【0086】
後述する
図10及び
図11にて示す、 パターン記憶部T9f、パターン記憶部A12i及びパターン記憶部B14iは、エレベータの乗り場操作盤11、警報機A10、乗りかご操作盤13及び乗りかご操作盤13の警報機B18に配設されている各種のボタンを、パターン化したデータとして記憶している部である。各種のボタンは、基本類型及び特殊類型のパターンに分ける。乗り場操作盤11に配設されている各々の行先方向ボタン(上ボタン11a及び下ボタン11b)、ベルAボタン10a、乗りかご操作盤13に配設されているベルBボタン18a及び各々の開閉ボタン(開ボタン19及び閉ボタン20)は、基本類型のパターンとなり、乗りかご操作盤13に配設されている各々の行先階ボタン(数字が付してあるボタン)は、特定類型のパターンとなる。パターン記憶部T9fは、基本類型及び特殊類型のパターンを記憶している。パターン記憶部A12iは、基本類型の一部のパターンを記憶している。パターン記憶部B14iは、基本類型の一部及び特殊類型のパターンを記憶している。
【0087】
図8に示すパターンテーブルT1のように、パターンAは上91記号のデータとなり、乗り場操作盤11に配設されている上ボタン11aに当る。パターンBは下92記号のデータとなり、乗り場操作盤11に配設されている下ボタン11bに当る。パターンCはベルA記号のデータとなり、警報機A10に配設されているベルAボタン10aに当る。パターンDはベルB記号のデータとなり、警報機B18に配設されているベルBボタン18aに当る。パターンEは開95記号のデータとなり、乗りかご操作盤13に配設されている開ボタン19に当る。パターンFは閉96記号のデータとなり、乗りかご操作盤13に配設されている閉ボタン20に当る。パターンLVLは5記号94のような各々の数字が付してある記号のデータとなり、乗りかご操作盤13に配設されている5ボタン13aのような各々の行先階ボタン(数字が付してあるボタン)に当る。
【0088】
なお、エレベータによっては、
図7にて説明したような、いわゆる要人のみしかアクセスできないVIP階やいわゆる要人のみしか利用できないVIP用エレベータ等がある。セキュリティの関係上、乗り場操作盤11にVIP階への行先方向ボタン(上ボタン11a及び下ボタン11b)が配設されていない場合でも、ある特定の権限を持つ利用者が専用APPのインストールされた携帯端末9を操作して暗証番号を入力すれば、無線装置A12は各々の行先方向ボタン(上ボタン11a及び下ボタン11b)のスイッチに対応するリレーA15を駆動して、各々の行先方向ボタン(上ボタン11a及び下ボタン11b)のスイッチをオンすることが可能である。
【0089】
同様に、セキュリティの関係上、乗りかご操作盤13にVIP階への行先階ボタン(数字が付してあるボタン)が配設されていない場合でも、ある特定の権限を持つ利用者が専用APPのインストールされた携帯端末9を操作して暗証番号を入力すれば、無線装置B14は各々の行先階ボタン(数字が付してあるボタン)に対応するリレーC17を駆動して、各々の行先階ボタン(数字が付してあるボタン)のスイッチをオンすることが可能である。
【0090】
図9は、実施例に適用する無線装置B14に予め設定しておく、行先階テーブルT2の一例である。
【0091】
図10にて後述する無線装置A12のBLE通信部A12a、及び
図11にて後述する無線装置B14のBLE通信部B14aは、携帯端末9にBluetooth(登録商標)ブロードキャストデータを送信する。Bluetooth(登録商標)ブロードキャストデータには、建物の行先階で構成されるフロアデータの他、各々の無線装置A12及び無線装置B14が設置してある建物のデータが含まれる。建物のデータとは、エレベータの乗り場操作盤11及び乗りかご操作盤13に配設されている行先階以外の各種ボタンや暗証番号、ウェルカムメッセージ、エレベータの名前、各階の案内、各階のフロアマップ、テナントの広告、天気予報等である。
【0092】
無線装置A12のBLE通信部A12aが送信するBluetooth(登録商標)ブロードキャストデータには、建物のデータが含まれる。
【0093】
無線装置B14のBLE通信部B14aが送信するBluetooth(登録商標)ブロードキャストデータには、建物のデータのほかに、
図9に示す行先階テーブルT2のような、行先階で構成されるフロアデータが含まれる。
【0094】
例えば、XYZビルという名前の建物があるとする。XYZビルという名前のデータを、建物のデータの一部として、無線装置A12のBLE通信部A12a及び無線装置B14のBLE通信部B14aに予め設定しておく。携帯端末9は、無線装置A12または無線装置B14からXYZビルという名前のデータが含まれたBluetooth(登録商標)ブロードキャストデータを受信すると、そのXYZビルという名前のデータを基に、
図6及び
図7に示すような、XYZビルという文字情報を画面に表示する。
【0095】
例えば、XYZビルという名前の建物が1階から6階まであるとする。1階から6階までの建物の行先階を、フロアデータとして行先階テーブルT2のように構成する。行先階テーブルT2は、無線装置B14のBLE通信部B14aに予め設定しておく。携帯端末9は、無線装置B14からXYZビルという名前のデータ及びフロアデータが含まれたBluetooth(登録商標)ブロードキャストデータを受信すると、XYZビルという名前のデータを基に、
図7に示すようなXYZビルという文字情報を画面に表示し、フロアデータを基に、
図7に示すような1階から6階までの行先階を画像及び文字情報を画面に表示する。
【0096】
図10は、実施例に適用する携帯端末9、無線装置A12、乗り場操作盤11及び警報機A10の機能構成を示すブロック図である。まずは、
図10に沿って各ブロック図を説明する。
【0097】
図10に示すように、携帯端末9は、BLE通信部T9a、図示しないプロセッサT、BLE UART通信部T9d、メモリT9e、パターン記憶部T9f及びリアルタイムクロック部T9gを備える。
【0098】
携帯端末9は、図示しないプロセッサTに、作成部T9b及び送受信部T9cを内蔵する。携帯端末9は、作成部T9bに、図示しない暗号化復号化部Tを内蔵する。
【0099】
無線装置A12は、BLE通信部A12a、BLE UART通信部A12b、図示しないプロセッサA、汎用IOポート部A12g、メモリA12h、パターン記憶部A12i及びリアルタイムクロック部A12jを備える。
【0100】
無線装置A12は、図示しないプロセッサAに送受信部A12c、可否判断部A12d、図示しない暗号化復号化部A、作成部A12e及び送信部A12fを内蔵する。
【0101】
無線装置A12は、複数のリレーA15を備える。個々のリレーA15は、乗り場操作盤11に配設されている各々の行先方向ボタン(上ボタン11a及び下ボタン11b)のスイッチ及び警報機A10に配設されているベルAボタン10aのスイッチに、個々に割り当てて接続してある。
【0102】
BLE通信部T9aは、無線装置A12が発信する所定周波数帯の無線信号を検出するために常にスキャンを続ける。これは、
図1から
図4にて説明した、携帯端末9が範囲900を持ってスキャンを行う状態のことである。BLE通信部A12aは、
図2にて説明したように、所定周波数帯の無線信号を発信する。
図3にて説明した携帯端末9と無線装置A12間のBluetooth(登録商標)通信が成立した状態は、
図10に示すBLE通信部T9aがスキャンをしており、BLE通信部A12aが発信する所定周波数帯の無線信号を検出して、自動的にBluetooth(登録商標)通信を成立した状態と同様である。
【0103】
携帯端末9と無線装置A12間のBluetooth(登録商標)通信が成立すると、BLE通信部A12aはBLE通信部T9aにBluetooth(登録商標)ブロードキャストデータを送信する。
図9にて説明したように、Bluetooth(登録商標)ブロードキャストデータは、無線装置A12が設置してあるエレベータの建物のデータを含む。建物のデータは、予めBLE通信部A12aが送信するBluetooth(登録商標)ブロードキャストデータとして設定しておく。BLE通信部T9aが受信した建物のデータを含むBluetooth(登録商標)ブロードキャストデータは、メモリT9eに保存する。
【0104】
作成部T9bは、パターン記憶部T9fからパターンを引き出す。パターンとは、
図8にて説明したパターンテーブルT1に示すパターン化したデータのことである。パターンはパターン記憶部T9fに予めプログラムしてある。作成部T9bは、メモリT9eに保存したBLE通信部A12aから受信したBluetooth(登録商標)ブロードキャストデータと、パターン記憶部T9fに予めプログラムしてあるパターンとを組み合わせて、コマンドデータを作成する。作成したコマンドデータは、コマンドコードとそれに続くデータを含む。
【0105】
例えば、XYZビルという名前の建物があり、1階から6階まであるとする。パターン記憶部T9fに予めプログラムしてあるパターンは、
図8にて説明したパターンテーブルT1とする。仮に、エレベータの利用者が、ある階の乗り場8で、携帯端末9の画面表示の、
図6に示す上記号91を選択したとする。上記号91は、パターンテーブルT1に当てはめるとパターンAとなる。作成部T9bは、パターンAと上記号91とを組み合わせて、文字列に置き換えた{A:上}というコマンドデータを作成する。仮に、エレベータの利用者が、ある階の乗り場8で携帯端末9の画面表示の、
図6に示す下記号92を選択したとする。下記号92は、パターンテーブルT1に当てはめるとパターンBとなる。作成部T9bは、パターンBと下記号92とを組み合わせて、文字列に置き換えた{B:下}というコマンドデータを作成する。仮に、エレベータの利用者が、ある階の乗り場8で、携帯端末9の画面表示の、
図6に示すベルA記号90を選択したとする。ベルA記号90は、パターンテーブルT1に当てはめるとパターンCとなる。作成部T9bは、パターンCとベルA記号90とを組み合わせて、文字列に置き換えた{C:ベルA}というコマンドデータを作成する。
【0106】
携帯端末9の図示しない暗号化復号化部T及び無線端末A12の図示しない暗号化復号化部Aは、コマンドデータの暗号化及び復号化を行う。
図7にて説明したような、ある特定の権限を持つ利用者しか降車できない、特定の行先階がエレベータに設定してある場合や、ある特定の権限を持つ利用者しか利用できない、特定のエレベータが設定してある場合等は、暗証番号を用いるため、携帯端末9の図示しない暗号化復号化部T及び無線端末A12の図示しない暗号化復号化部Aを利用する。携帯端末9の作成部T9bで作成したコマンドデータの暗号化及び復号化には、リアルタイムクロック部T9gを用いる。また、無線装置A12の作成部A12eで作成したコマンドデータの複合化及び暗号化には、リアルタイムクロック部A12jを用いて、日時の設定及び読み込みを行う。
【0107】
作成部T9bは、作成したコマンドデータを送受信部T9cに送信する。作成部T9bで作成したコマンドデータの暗号化をする場合は、携帯端末9の図示しない暗号化復号化部Tで暗号化を行う。なお、図示しない暗号化復号化部Tは、無線端末A12の送受信部A12cが送信してくる暗号化したコマンドデータを受信して、復号化を行うこともある。
【0108】
上述したように、作成部T9bで作成したコマンドデータの暗号化には、リアルタイムクロック部T9gを用いる。作成部T9bは、作成したコマンドデータまたは暗号化したコマンドデータを送受信部T9cに送信する。
【0109】
送受信部T9cは、作成部T9bで作成したコマンドデータまたは暗号化したコマンドデータを受信し、BLE UART通信部T9dに送信する。
【0110】
BLE UART通信部T9dは、送受信部T9cから受信したコマンドデータまたは暗号化したコマンドデータを、BLE UART通信部A12bに送信する。
【0111】
BLE UART通信部A12bは、BLE UART通信部T9dからコマンドデータまたは暗号化したコマンドデータを受信し、メモリA12hに保存し、同時に送受信部A12cに送信する。
【0112】
送受信部A12cは、BLE UART通信部A12bからコマンドデータまたは暗号化したコマンドデータを受信し、否判断部A12dに送信する。
【0113】
可否判断部A12dは、送受信部A12cからコマンドデータまたは暗号化したコマンドデータを受信すると、コマンドデータまたは暗号化したコマンドデータの可否判断を行う。可否判断部A12dは、パターン記憶部A12iに予めプログラムしてある、
図8にて説明したパターンテーブルT1に示す、パターン化したデータを引き出す。可否判断部A12dは、送受信部A12cから受信したコマンドデータまたは暗号化したコマンドデータが、パターン記憶部A12iに予めプログラムしてあるパターン化したデータと合致するか分析し、可否判断を行う。コマンドデータの可否判断が可の場合、可否判断部A12dはコマンドデータを作成部A12eに送信する。暗号化したコマンドデータの可否判断が可の場合、可否判断部A12dは、無線装置A12の図示しない暗号化復号化部Aに暗号化したコマンドデータを送信する。無線装置A12の図示しない暗号化復号化部Aは、暗号化したコマンドデータを受信すると、リアルタイムクロック部A12jを用いて復号化を行う。無線装置A12が受信した携帯端末9の図示しない暗号化復号化部Tで暗号化したコマンドデータは、図示しない暗号化復号化部Aで復号化したコマンドデータとなる。なお、図示しない暗号化復号化部Aは、作成部A12eで作成したコマンドデータの暗号化を行うこともある。
【0114】
可否判断部A12dは、コマンドデータまたは復号化したコマンドデータを作成部A12eに送信する。なお、コマンドデータの可否判断が否の場合、可否判断部A12dはコマンドデータを作成部A12eに送信しない。また、暗号化したコマンドデータの可否判断が否の場合、可否判断部A12dは、暗号化したコマンドデータを無線装置A12の図示しない暗号化復号化部Aに送信しない。
【0115】
作成部A12eは、可否判断部A12dからコマンドデータまたは復号化したコマンドデータを受信すると、コマンドデータまたは復号化したコマンドデータを基に、汎用IOポート部A12g用の信号を作成する。作成部A12eは、作成した汎用IOポート部A12g用の信号を送信部A12fに送信する。
【0116】
送信部A12fは、作成部A12eから受信した汎用IOポート部A12g用の信号を、汎用IOポート部A12gに送信する。
【0117】
汎用IOポート部A12gは、送信部A12fから汎用IOポート部A12g用の信号を受信すると、個々のリレーA15に電気信号を送信して、個々のリレーA15を駆動する。
【0118】
例えば、上ボタン11aに対応するリレーA15が駆動すると、上ボタン11aのスイッチがオンする。上ボタン11aのスイッチがオンすると、エレベータ独自の通信プロトコルで制御されている上ボタン11aのスイッチがオンしたという信号が、制御装置5に送信される。制御装置5は、上ボタン11aのスイッチがオンしたという信号を受信すると、乗りかご6を制御して利用者のいる階まで昇降させる。
【0119】
例えば、下ボタン11bに対応するリレーA15が駆動すると、下ボタン11bのスイッチがオンする。下ボタン11bのスイッチがオンすると、エレベータ独自の通信プロトコルで制御されている下ボタン11bのスイッチがオンしたという信号が、制御装置5に送信される。制御装置5は、下ボタン11bのスイッチがオンしたという信号を受信すると、乗りかご6を制御して利用者のいる階まで昇降させる。
【0120】
例えば、ベルAボタン10aに対応するリレーA15が駆動すると、ベルAボタン10aのスイッチがオンする。ベルAボタン10aのスイッチがオンすると、エレベータ独自の通信プロトコルで制御されているベルAボタン10aのスイッチがオンしたという信号が、制御装置5に送信される。制御装置5は、ベルAボタン10aのスイッチがオンしたという信号を受信すると、警報機A10を制御して警報機A10を鳴らす。
【0121】
携帯端末9及び無線装置A12は、上述のようなプログラムに基づいて個々のリレーA15を駆動し、各々の行先方向ボタン(上ボタン11a及び下ボタン11b)やベルAボタン10aのスイッチをオンして、エレベータ及び警報機A10の制御を行う。よって、無線装置A12は、エレベータ全体の制御を行う制御装置5に接続する必要がない。
【0122】
図11は、実施例に適用する携帯端末9、無線装置B14、拡張SPI IOポート、乗りかご操作盤13及び警報機B18の機能構成を示すブロック図である。まずは、
図11に沿って、各ブロック図を説明する。
【0123】
図11に示すように、携帯端末9は、BLE通信部T9a、図示しないプロセッサT、BLE UART通信部T9d、メモリT9e、パターン記憶部T9f及びリアルタイムクロック部T9gを備える。
【0124】
携帯端末9は、図示しないプロセッサTに、作成部T9b及び送受信部T9cを内蔵する。携帯端末9は、作成部T9bに、図示しない暗号化復号化部Tを内蔵する。
【0125】
無線装置B14は、BLE通信部B14a、BLE UART通信部B14b、図示しないプロセッサB、汎用IOポート部B14g、メモリB14h、パターン記憶部B14i、リアルタイムクロック部B14j及びSPI IOポート部B14kを備える。
【0126】
無線装置B14は、図示しないプロセッサBに送受信部B14c、可否判断部B14d、図示しない暗号化復号化部B、作成部B14e及び送信部B14fを内蔵する。
【0127】
無線装置B14は、複数のリレーB16を備える。個々のリレーB16は、乗りかご操作盤13の警報機B18に配設されているベルBボタン18a、乗りかご操作盤13に配設されている開ボタン19及び乗りかご操作盤13に配設されている閉ボタン20のスイッチに、個々に割り当てて接続してある。
【0128】
無線装置B14が備えるSPI IOポート部B14kには、拡張SPI IOポート14lが接続してある。拡張SPI IOポート14lは、デイジーチェーン方式で接続してある。拡張SPI IOポート14lは、複数のリレーC17を備えている。拡張SPI IOポート14lに備わっている個々のリレーC17は、乗りかご操作盤13に配設されている各々の行先階ボタン(数字が付してあるボタン) のスイッチに、個々に割り当てて接続してある。なお、拡張SPI IOポート14lは、複数台あってもよい。無線装置B14が設置してある建物の行先階の数によって追加が可能である。
【0129】
BLE通信部T9aは、無線装置B14が発信する所定周波数帯の無線信号を検出するために常にスキャンを続ける。これは、
図1から
図4にて説明した、携帯端末9が範囲900を持ってスキャンを行う状態のことである。BLE通信部B14aは、
図4にて説明したように、所定周波数帯の無線信号を発信する。
図4にて説明した携帯端末9と無線装置B14間のBluetooth(登録商標)通信が成立した状態は、
図11に示すBLE通信部T9aがスキャンをしており、BLE通信部B14aが発信する所定周波数帯の無線信号を検出して、自動的にBluetooth(登録商標)通信を成立した状態と同様である。
【0130】
携帯端末9と無線装置B14間のBluetooth(登録商標)通信が成立すると、BLE通信部B14aは、BLE通信部T9aにBluetooth(登録商標)ブロードキャストデータを送信する。
図9にて説明したように、Bluetooth(登録商標)ブロードキャストデータは、行先階テーブルT2のフロアデータの他、無線装置B14が設置してあるエレベータの建物のデータを含む。行先階テーブルT2のフロアデータを含む建物のデータは、予め無線装置B14に設定しておく。BLE通信部T9aが受信した建物のデータ及び行先階テーブルT2のフロアデータを含むBluetooth(登録商標)ブロードキャストデータは、メモリT9eに保存する。
【0131】
作成部T9bは、パターン記憶部T9fからパターンを引き出す。パターンとは、
図8にて説明したパターンテーブルT1に示すパターン化したデータのことである。パターンはパターン記憶部T9fに予めプログラムしてある。作成部T9bは、メモリT9eに保存した、BLE通信部B14aから受信したBluetooth(登録商標)ブロードキャストデータと、パターン記憶部T9fに予めプログラムしてあるパターンとを組み合わせて、コマンドデータを作成する。作成されたコマンドデータには、コマンドコードとそれに続くデータを含む。
【0132】
例えば、XYZビルという名前の建物があり、1階から6階まであるとする。1階から6階までの建物の各階は、フロアデータとして、
図9にて示す行先階テーブルT2のように構成する。パターン記憶部T9fに予めプログラムしているパターンは、
図8にて示すパターンテーブルT1とする。仮に、エレベータの利用者が、乗りかご6内で携帯端末9の画面表示の、
図7に示すベルB記号93を選択したとする。ベルB記号93は、パターンテーブルT1に当てはめるとパターンDとなる。作成部T9bは、パターンDとベルB記号93とを組み合わせて、文字列に置き換えた{D:ベルB}というコマンドデータを作成する。仮に、エレベータの利用者が、乗りかご6内で携帯端末9の画面表示の、
図7に示す開記号95を選択したとする。開記号95は、パターンテーブルT1に当てはめるとパターンEとなる。作成部T9bは、パターンEと開記号95とを組み合わせて、文字列に置き換えた{E:開}というコマンドデータを作成する。仮に、エレベータの利用者が、乗りかご6内で携帯端末9の画面表示の、
図7に示す閉記号96を選択したとする。閉記号96は、パターンテーブルT1に当てはめるとパターンFとなる。作成部T9bは、パターンFと閉記号96とを組み合わせて、文字列に置き換えた{F:閉}というコマンドデータを作成する。仮に、エレベータの利用者が、乗りかご6内で携帯端末9の画面表示の、
図7に示す5記号94を選択したとする。5記号94は、パターンテーブルT1に当てはめるとパターンLVLとなる。作成部T9bは、パターンLVLと5記号94とを組み合わせて、文字列に置き換えた{LVL:5}というコマンドデータを作成する。
【0133】
携帯端末9の図示しない暗号化復号化部T及び無線端末B14の図示しない暗号化復号化部Bは、コマンドデータの暗号化及び復号化を行う。
図7にて説明したような、ある特定の権限を持つ利用者しか降車できない、特定の行先階がエレベータに設定してある場合や、ある特定の権限を持つ利用者しか利用できない、特定のエレベータが設定してある場合等は、暗証番号を用いるため、携帯端末9の図示しない暗号化復号化部T及び無線端末B14の図示しない暗号化復号化部Bを利用する。携帯端末9の作成部T9bで作成したコマンドデータの暗号化及び復号化には、リアルタイムクロック部T9gを用いる。また、無線装置B14の作成部B14Eで作成したコマンドデータの暗号化及び複合化には、リアルタイムクロック部B14jを用いて、日時の設定及び読み込みを行う。
【0134】
作成部T9bは、作成したコマンドデータを送受信部T9cに送信する。作成部T9bで作成したコマンドデータの暗号化をする場合は、携帯端末9の図示しない暗号化復号化部Tで暗号化を行う。なお、図示しない暗号化復号化部Tは、無線端末B14の送受信部B14cが送信してくる暗号化したコマンドデータを受信して、復号化を行うこともある。
【0135】
上述したように、作成部T9bで作成したコマンドデータの暗号化には、リアルタイムクロック部T9gを用いる。作成部T9bは、作成したコマンドデータまたは暗号化したコマンドデータを送受信部T9cに送信する。
【0136】
送受信部T9cは、作成部T9bで作成したコマンドデータまたは暗号化したコマンドデータを受信し、BLE UART通信部T9dに送信する。
【0137】
BLE UART通信部T9dは、送受信部T9cから受信したコマンドデータまたは暗号化したコマンドデータを、BLE UART通信部B14bに送信する。
【0138】
BLE UART通信部B14bは、BLE UART通信部T9dからコマンドデータ及び暗号化したコマンドデータを受信し、メモリB14hに保存し、同時に送受信部B14cに送信する。
【0139】
送受信部B14cは、BLE UART通信部B14bからコマンドデータまたは暗号化したコマンドデータを受信し、可否判断部B14dに送信する。
【0140】
可否判断部B14dは、送受信部B14cからコマンドデータまたは暗号化したコマンドデータを受信すると、コマンドデータまたは暗号化したコマンドデータの可否判断を行う。可否判断部B14dは、パターン記憶部B14iに予めプログラムしてある、
図8にて説明したパターンテーブルT1で示す、パターン化したデータを引き出す。可否判断部B14dは、送受信部B14cから受信したコマンドデータまたは暗号化したコマンドデータが、パターン記憶部B14iに予めプログラムしてあるパターン化したデータと合致するか分析し、可否判断を行う。コマンドデータの可否判断が可の場合、可否判断部B14dはコマンドデータを作成部B14eに送信する。暗号化したコマンドデータの可否判断が可の場合、可否判断部B14dは、無線装置B14の図示しない暗号化復号化部Bに、暗号化したコマンドデータを送信する。無線装置B14の図示しない暗号化復号化部Bは、暗号化したコマンドデータを受信すると、リアルタイムクロック部B14jを用いて復号化を行う。無線装置B14が受信した、携帯端末9の図示しない暗号化復号化部Tで暗号化したコマンドデータは、図示しない暗号化復号化部Bで復号化したコマンドデータとなる。なお、図示しない暗号化復号化部Bは、作成部B14eで作成したコマンドデータの暗号化を行うこともある。
【0141】
可否判断部B14dは、コマンドデータまたは復号化したコマンドデータを作成部B14eに送信する。なお、コマンドデータの可否判断が否の場合、可否判断部B14dはコマンドデータを作成部B14eに送信しない。また、暗号化したコマンドデータの可否判断が否の場合、可否判断部B14dは、暗号化したコマンドデータを無線装置B14の図示しない暗号化復号化部Bに送信しない。
【0142】
作成部B14eは、可否判断部B14dからコマンドデータまたは復号化したコマンドデータを受信すると、コマンドデータまたは復号化したコマンドデータを基に、汎用IOポート部B14g用の信号またはSPI IOポート部B14k用の信号を作成する。作成部B14eは、作成した汎用IOポート部B14g用の信号またはSPI IOポート部B14k用の信号を、送信部B14fに送信する。
【0143】
送信部B14fは、作成部B14eから受信した汎用IOポート部B14g用の信号を、汎用IOポート部B14gに送信する。また、送信部B14fは、作成部B14eから受信したSPI IOポート部B14k用の信号をSPI IOポート部B14kに送信する。
【0144】
汎用IOポート部B14gは、送信部B14fから汎用IOポート部B14g用の信号を受信すると、個々のリレーB16に電気信号を送信して、個々のリレーB16を駆動する。
【0145】
例えば、ベルBボタン18aに対応するリレーB16が駆動すると、ベルBボタン18aのスイッチがオンする。ベルBボタン18aのスイッチがオンすると、エレベータ独自の通信プロトコルで制御されているベルBボタン18aのスイッチがオンしたという信号が、制御装置5に送信される。制御装置5は、ベルBボタン18aのスイッチがオンしたという信号を受信すると、警報機B18を制御して警報機B18を鳴らす。
【0146】
例えば、開ボタン19に対応するリレーB16が駆動すると、開ボタン19のスイッチがオンする。開ボタン19のスイッチがオンすると、エレベータ独自の通信プロトコルで制御されている開ボタン19のスイッチがオンしたという信号が、制御装置5に送信される。制御装置5は、開ボタン19のスイッチがオンしたという信号を受信すると、乗り場ドア7を制御して乗り場ドア7を開く。
【0147】
例えば、閉ボタン20に対応するリレーB16が駆動すると、閉ボタン20のスイッチがオンする。閉ボタン20のスイッチがオンすると、エレベータ独自の通信プロトコルで制御されている閉ボタン20のスイッチがオンしたという信号が、制御装置5に送信される。制御装置5は、閉ボタン20のスイッチがオンしたという信号を受信すると、乗り場ドア7を制御して乗り場ドア7を閉じる。
【0148】
SPI IOポート部B14kは、送信部B14fからSPI IOポート部B14k用の信号を受信すると、デイジーチェーン方式で接続してある拡張SPI IOポート14lに、SPI IOポート部B14k用の信号を送信する。
【0149】
拡張SPI IOポート14lは、SPI IOポート部B14kからSPI IOポート部B14k用の信号を受信すると、個々のリレーC17に電気信号を送信して、個々のリレーC17を駆動する。
【0150】
例えば、5ボタン13aに対応するリレーC17が駆動すると、5ボタン13aのスイッチがオンする。5ボタン13aのスイッチがオンすると、エレベータ独自の通信プロトコルで制御されている5ボタン13aのスイッチがオンしたという信号が、制御装置5に送信される。制御装置5は、5ボタン13aのスイッチがオンしたという信号を受信すると、乗りかご6を制御して5階まで乗りかご6を昇降させる。
【0151】
携帯端末9及び無線装置B14は、上述のようなプログラムに基づいてリレーB16の個々のリレーを駆動し、ベルBボタン18a及び各々の開閉ボタン(開ボタン19及び閉ボタン20)のスイッチをオンして、エレベータ及び警報機B18の制御を行う。同様に、携帯端末9及び無線装置B14は、上述のようにプログラムに基づいてリレーC17の個々のリレーを駆動し、各々の行先階ボタン(数字が付してあるボタン)のスイッチをオンして、エレベータの制御を行う。よって、無線装置B14は、エレベータ全体の制御を行う制御装置5に接続する必要がない。
【0152】
図10及び
図11の説明のように、実施例は、ハードウェア、ソフトウェア及びファームウェアの組み合わせにより実現する。ハードウェアである無線装置A12のソフトウェア及びファームウェアは、予めプログラムしてあり、専用APPがインストールされた携帯端末9と協働する。同様に、ハードウェアである無線装置B14のソフトウェア及びファームウェアは、予めプログラムしてあり、専用APPがインストールされた携帯端末9と協働する。その結果、乗り場操作盤11、警報機A10、乗りかご操作盤13及び警報機B18に配設されている各々のボタンが押下された状態と同じ状況を作り出すことが可能となる。無線装置A12及び無線装置B14に接続されている個々のリレーは、対応する各々のボタンのスイッチに接続するので、無線装置A12及び無線装置B14の設置作業において、乗り場操作盤11、警報機A10、乗りかご操作盤13及び警報機B18に、元より備わっている制御基板の機能変更、機能追加によるソフトウェアの変更、ハードウェアの作り直し等は必要ない。また、無線装置A12及び無線装置B14は、エレベータを制御するための制御装置5と通信をしなくてもエレベータの制御を行えるので、エレベータシステムの既存ネットワークに干渉することがない。よって、無線装置A12及び無線装置B14は、既存のエレベータシステムの機能変更や追加等を行うことなく簡単に設置でき、メンテナンス作業、故障時の修理、故障時の交換等も容易である。このような理由から、無線装置A12及び無線装置B14は汎用性を持ち、近年のエレベータシステムのみならず、近年のエレベータシステムが伴わない古い設備のエレベータにも対応可能となる。
【0153】
次に、実施例の無線装置A12及び無線装置B14の動作について、
図12を用いて説明する。
【0154】
図12は、実施例に適用する無線装置A12及び無線装置B14の動作の概要を説明するためのフローチャートである。
【0155】
無線装置A12及び無線装置B14は、エレベータに設置後、常時オンしている。無線装置A12及び無線装置B14は、所定周波数帯の無線信号を絶えず発信している(S1000)。
【0156】
図2から
図4の説明のように、無線装置A12または無線装置B14から発信する所定周波数帯の無線信号は、携帯端末9の範囲900に検出される(S1001)。無線装置A12、無線装置B14、またはその両方が携帯端末9の範囲900に検出されない場合(S1001のNO)、ステップS1000に戻る。
【0157】
一方、ステップS1001で、無線装置A12、無線装置B14、またはその両方が携帯端末9の範囲900に検出された場合(S1001のYES)、無線装置A12または無線装置B14は、携帯端末9と通信を成立する(S1002)。
【0158】
ステップS1002で、無線装置A12または無線装置B14と携帯端末9間の通信が成立すると、無線装置A12または無線装置B14は、携帯端末9にBluetooth(登録商標)ブロードキャストデータを送信する(S1003)。
【0159】
図10及び
図11の説明のように、Bluetooth(登録商標)ブロードキャストデータを受信した携帯端末9は、
図5から
図7の説明のように画像及び文字情報を画面表示する。利用者が携帯端末9を操作すると、携帯端末9は、無線装置A12または無線装置B14にコマンドデータを送信する。ステップS1004で、無線装置A12または無線装置B14が行うコマンドデータの処理とは、
図10及び
図11にて説明した可否判断に当る。無線装置A12または無線装置B14が、携帯端末9から受信したコマンドデータを処理しない場合(S1004のNO)、ステップS1000に戻る。
【0160】
一方、ステップS1004で、無線装置A12または無線装置B14が、携帯端末9から受信したコマンドデータを処理する場合(S1004のYES)、無線装置A12はコマンドデータに対応する無線装置A12に接続されているリレーA15を駆動し、無線装置B14はコマンドデータに対応する無線装置B14に接続されているリレーB16またはリレーC17を駆動する(S1005)。以上で、無線装置A12及び無線装置B14の動作は終了となる。
【0161】
次に、実施例の携帯端末9の動作について、
図13を用いて説明する。
【0162】
図13は、実施例に適用する携帯端末9の動作の概要を説明するためのフローチャートである。
【0163】
携帯端末9に予めインストールした専用APPは、利用者によってオンされる(S2000)。
【0164】
図2から
図4の説明のように、携帯端末9の範囲900は、無線装置A12、または無線装置B14から発信される所定周波数帯の無線信号を検出する(S2001)。携端末9が無線装置A12、無線装置B14、またはその両方を検出しない場合(S2001のNO)、ステップS2000に戻る。
【0165】
一方、ステップS2001で、携帯端末9が、無線装置A12、無線装置B14、またはその両方を検出した場合(S2001のYES)、携帯端末9は、無線装置A12、または無線装置B14と通信を成立させる(S2002)。
【0166】
ステップS2002で、携帯端末9と無線装置A12間、または携帯端末9と無線装置B14間の通信が成立すると、通信が成立した無線装置A12または無線装置B14から、Bluetooth(登録商標)ブロードキャストデータを受信する(S2003)。
【0167】
ステップS2003では、携帯端末9が、無線装置A12または無線装置B14が送信してきたBluetooth(登録商標)ブロードキャストデータを受信する。
【0168】
図10及び
図11の説明のように、Bluetooth(登録商標)ブロードキャストデータを受信した携帯端末9は、
図5から
図7の説明のように、画像及び文字情報を画面表示する。利用者が携帯端末9を操作すると、携帯端末9は、無線装置A12、または無線装置B14にコマンドデータを送信する。また、
図1の説明のように、携帯端末9は、ある一定の時間オンしている。ある一定の時間が経つと、携帯端末9は自動的にオフする(S2004)。利用者が携帯端末9を操作しないまま、ある一定のオンしている時間が経過した場合(S2004のYES)、携帯端末9の動作は終了する。
【0169】
一方、ステップS2004で、ある一定のオンしている時間がまだ経過していない場合(S2004のNO)、携帯端末9は、引き続き、利用者の操作を待つ。
【0170】
図10及び
図11の説明のように、利用者が携帯端末9を操作して、
図5から
図7の説明にある専用APPに表示された画像及び文字情報を選択すると、携帯端末9は、無線装置A12、または無線装置B14にコマンドデータを送信する。ステップ2005で、携帯端末9がある一定の時間オンしている間に、無線装置A12、または無線装置B14にコマンドデータを送信しない場合(S2005のNO)、ステップS2004に戻る。
【0171】
一方、携帯端末9が、無線装置A12または無線装置B14にコマンドデータを送信した場合(S2005のYES)、携帯端末9の動作は終了となる。
【0172】
以上説明したエレベータの制御システムにより、各無線装置A12及び各無線装置B14は、独自の通信プロトコルで制御を行うエレベータの制御装置と通信しなくてもエレベータを制御できるため、各乗り場8及び各乗りかご6に設置する際も、簡単な作業で済む。各無線装置A12及び各無線装置B14の設置は、エレベータのリニューアルや改修が伴わず、設置費用を抑えられる。汎用性を持つ各無線装置A12及び各無線装置B14は、設置後のメンテナンス作業、故障による修理、交換等も容易となり、経済的負担の少ないエレベータ制御システムを実現できる。
【0173】
近年、不特定多数の人が利用するエレベータの各乗り場操作盤11及び各乗りかご操作盤13は、接触感染の危険性が指摘されている。接触感染への不安から、エレベータの各乗り場操作盤11及び各乗りかご操作盤13は、消毒液を吹き付けられたり、配設されているボタンが、鍵やペン等の鋭利なもので押下されたりする事例が伝えられている。これらの事例は、エレベータの故障や不具合にも繋がる。以上説明したエレベータの制御システムのような、利用者が携帯する携帯端末9と無線通信できる、設置及びメンテナンスが簡単かつ汎用性を持つ各無線装置A12及び各無線装置B14を既存のエレベータに導入することで、利用者によるエレベータの遠隔操作が可能となる。エレベータの各乗り場操作盤11及び各乗りかご操作盤13が、消毒液を吹き付けられたり、配設されているボタンが、鍵やペン等の鋭利なもので押下されたりする数を減らすことに繋がる。エレベータの故障や不具合が発生する要因を減らすにことにもなり、安心かつ安全なエレベータの利用環境が整い、利用者の公衆衛生に配慮した非接触のエレベータの提供が可能となる。
【符号の説明】
【0174】
1・・・昇降路、2・・・釣り合い重り、3・・・ロープ、4・・・巻上機、5・・・制御装置、6・・・乗りかご、7・・・乗り場ドア、8・・・乗り場、9・・・携帯端末、9a・・・BLE通信部T、9b・・・作成部T、9c・・・送受信部T、9d・・・BLE UART通信部T、10a・・・ベルボタンA、11・・・乗り場操作盤、11a・・・上ボタン、11b・・・下ボタン、12・・・乗り場無線装置、12a・・・BLE通信部A、12b・・・BLE UART通信部A、12c・・・送受信部A、12d・・・可否判断部A、12e・・・作成部A、12f・・・送信部A、12g・・・汎用IOポート部A、13・・・乗りかご操作盤、13a・・・5ボタン、14・・・乗りかご無線装置、14a・・・BLE通信部B、14b・・・BLE UART通信部B、14c・・・送受信部B、14d・・・可否判断部B、14e・・・作成部B、14f・・・送信部B、14g・・・汎用IOポート部B、14k・・・SPI IOポート部B、14l・・・拡張SPI IOポート、15・・・リレーA、16・・・リレーB、17・・・リレーC、18・・・警報機B、18a・・・ベルボタンB、19・・・開ボタン、20・・・閉ボタン90・・・ベルA記号、91・・・上記号、92・・・下記号、93・・・ベルB記号、94・・・5記号、95・・・開記号、96・・・閉記号、120・・・所定周波数帯の無線信号A、140・・・所定周波数帯の無線信号B
【要約】
【課題】エレベータ全体の制御を行う制御装置に接続する必要のない、既存のエレベータシステムに容易に対応し、設置作業やメンテナンス作業、故障時の修理作業や交換作業によるエレベータのダウンタイム及びコストの削減を図った、エレベータ制御システム、及びエレベータ制御プログラムを提供することを目的とする。
【解決手段】乗り場操作盤内、乗りかご操作盤内にはそれぞれ、無線装置を設置している。無線装置と利用者が携帯する携帯端末とが、Bluetooth(登録商標)の近距離無線通信規格に準拠したBluetooth(登録商標)通信を行う。複数の無線装置が発信する所定周波数帯の無線信号を同時にスキャンして検出した場合、携帯端末は検出した複数の所定周波数帯の無線信号の中から、より強度の強い所定周波数帯の無線信号を優先して自動的にBluetooth(登録商標)通信を成立するようにプログラムしてある。
【選択図】
図2