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特許7072301製造プラント及び製造プラントにおける機器の設置方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-12
(45)【発行日】2022-05-20
(54)【発明の名称】製造プラント及び製造プラントにおける機器の設置方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/027 20060101AFI20220513BHJP
   H01L 21/02 20060101ALI20220513BHJP
【FI】
H01L21/30 562
H01L21/30 564Z
H01L21/30 569Z
H01L21/02 D
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021142743
(22)【出願日】2021-09-01
【審査請求日】2021-09-24
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】594185097
【氏名又は名称】伸和コントロールズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100164688
【弁理士】
【氏名又は名称】金川 良樹
(72)【発明者】
【氏名】高山 蹊男
(72)【発明者】
【氏名】森宗 歩
(72)【発明者】
【氏名】山口 俊二
(72)【発明者】
【氏名】青木 公一郎
【審査官】今井 彰
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-169681(JP,A)
【文献】特開2017-137526(JP,A)
【文献】国際公開第2018/154993(WO,A1)
【文献】特開2001-015578(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/027、21/00-21/98
G03F 7/20-7/42、9/00-9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
気体導入口で受け入れた気体を供給される処理室を有する処理装置を備えた処理システムと、
気体を気体供給口から供給する気体供給装置を備えた熱媒体供給システムと、
前記気体導入口と前記気体供給口とを接続するダクトと、を備え、
前記熱媒体供給システムが設置されるフロアの上方のフロアに前記処理システムが設置され、
前記気体供給口の中心と前記気体導入口の中心とを結んだ直線が鉛直方向となす角度が、0度以上45度以下であり、
前記処理システムは、前記気体導入口を有する内部ダクトを備え、前記内部ダクトを通して、前記気体を前記処理室まで送り、
前記ダクトの中心軸線と、前記直線とが一致するか、又は、
前記直線が前記鉛直方向となす角度が0度よりも大きい場合に、前記ダクトの両端部のうちの少なくとも一方の端部を含む一部を除く部分における前記ダクトの中心軸線と、前記直線とが一致するか、又は、
前記気体導入口の中心軸線と、前記気体供給口の中心軸線とが、非平行であり、前記気体導入口の中心軸線は水平方向に延び、前記気体供給口の中心軸線は鉛直方向に延び、前記直線が前記鉛直方向となす角度が0度であり、前記ダクトの両端部のうちの一方の端部を含む一部を除く部分における前記ダクトの中心軸線と、前記直線とが一致するか、又は、
前記気体導入口の中心軸線と、前記気体供給口の中心軸線とが、非平行であり、前記気体導入口の中心軸線は水平方向に延び、前記気体供給口の中心軸線は鉛直方向に延び、前記直線が前記鉛直方向となす角度が0度でない場合に、前記ダクトは、前記鉛直方向と平行に延びる部分と1つの湾曲部分とで前記気体導入口と前記気体供給口とを接続する、製造プラント。
【請求項2】
気体導入口で受け入れた気体を供給される処理室を有する処理装置を備えた処理システムと、
気体を気体供給口から供給する気体供給装置を備えた熱媒体供給システムと、
前記気体導入口と前記気体供給口とを接続するダクトと、を備え、
前記気体供給口の中心と前記気体導入口の中心とを結んだ直線が鉛直方向となす角度が、0度以上45度以下であり、
前記処理システムは、前記気体導入口を有する内部ダクトを通して、前記気体を前記処理室まで送り、
前記処理室は、前記気体を受け入れる受入口を有し、
前記受入口の中心と前記気体供給口の中心とを結んだ直線が鉛直方向となす角度が、0度以上45度以下であり、
前記ダクトの中心軸線と、前記直線とが一致するか、又は、
前記直線が前記鉛直方向となす角度が0度よりも大きい場合に、前記ダクトの両端部のうちの少なくとも一方の端部を含む一部を除く部分における前記ダクトの中心軸線と、前記直線とが一致するか、又は、
前記気体導入口の中心軸線と、前記気体供給口の中心軸線とが、非平行であり、前記気体導入口の中心軸線は水平方向に延び、前記気体供給口の中心軸線は鉛直方向に延び、前記直線が前記鉛直方向となす角度が0度であり、前記ダクトの両端部のうちの一方の端部を含む一部を除く部分における前記ダクトの中心軸線と、前記直線とが一致するか、又は、
前記気体導入口の中心軸線と、前記気体供給口の中心軸線とが、非平行であり、前記気体導入口の中心軸線は水平方向に延び、前記気体供給口の中心軸線は鉛直方向に延び、前記直線が前記鉛直方向となす角度が0度でない場合に、前記ダクトは、前記鉛直方向と平行に延びる部分と1つの湾曲部分とで前記気体導入口と前記気体供給口とを接続する、製造プラント。
【請求項3】
前記処理システムは、前記熱媒体供給システムの上方に配置されている、請求項2に記載の製造プラント。
【請求項4】
前記気体供給装置は、送風機を有し、前記送風機により前記気体を流量調節可能に供給する、請求項1乃至3のいずれかに記載の製造プラント。
【請求項5】
前記処理システムは、複数の前記処理装置を有し、
複数の前記処理装置には、それぞれ別の前記気体供給装置がそれぞれ別の前記ダクトを介して接続される、請求項1乃至4のいずれかに記載の製造プラント。
【請求項6】
複数の前記気体供給装置には、前記気体の供給量の範囲が互いに異なる気体供給装置が含まれる、請求項5に記載の製造プラント。
【請求項7】
複数の前記処理装置には、異なる溶媒を揮発又は乾燥させる互いに異なる処理装置が含まれ、
前記異なる処理装置の一方に前記気体を供給する前記気体供給装置の前記気体の供給量の範囲が、前記異なる処理装置の他方に前記気体を供給する前記気体供給装置の前記気体の供給量の範囲と異なる、請求項6に記載の製造プラント。
【請求項8】
複数の前記気体供給装置には、互いに異なる形式の加湿器を備える気体供給装置が含まれる、請求項7に記載の製造プラント。
【請求項9】
前記処理システムは、複数の前記処理装置を有し、
複数の前記処理装置それぞれの前記受入口の中心と前記気体供給口の中心とを結んだ直線が鉛直方向となす角度が、0度以上45度以下である、請求項2に記載の製造プラント。
【請求項10】
気体導入口を有する内部ダクトと、前記気体導入口で受け入れた気体を前記内部ダクトを通して供給される処理室を有する処理装置と、を備えた処理システムが設けられる製造プラントにおける機器の設置方法であって、
気体を気体供給口から供給する気体供給装置を準備する工程と、
前記気体導入口の中心と前記気体供給口の中心とを結んだ直線が鉛直方向となす角度が、0度以上45度以下になるように、前記気体供給装置を、前記処理システムが設置されるフロアの下方のフロアに配置する工程と、
前記気体導入口と前記気体供給口とをダクトで接続する工程と、を備え、
前記接続する工程で、前記ダクトの中心軸線と、前記直線とが一致するように前記気体導入口と前記気体供給口とを前記ダクトで接続するか、又は、
前記配置する工程で、前記直線が前記鉛直方向となす角度が0度よりも大きくなるように前記気体供給装置を配置し、前記接続する工程で、前記ダクトの両端部のうちの少なくとも一方の端部を含む一部を除く部分における前記ダクトの中心軸線と、前記直線とが一致するように前記気体導入口と前記気体供給口とを前記ダクトで接続するか、又は、
前記気体導入口の中心軸線と、前記気体供給口の中心軸線とが、非平行であり、前記気体導入口の中心軸線は水平方向に延び、前記気体供給口の中心軸線は鉛直方向に延びる場合に、前記配置する工程で、前記直線が前記鉛直方向となす角度が0度になるように前記気体供給装置を配置し、前記接続する工程で、前記ダクトの両端部のうちの一方の端部を含む一部を除く部分における前記ダクトの中心軸線と、前記直線とが一致するように前記気体導入口と前記気体供給口とを前記ダクトで接続するか、又は、
前記気体導入口の中心軸線と、前記気体供給口の中心軸線とが、非平行であり、前記気体導入口の中心軸線は水平方向に延び、前記気体供給口の中心軸線は鉛直方向に延びる場合に、前記配置する工程で、前記直線が前記鉛直方向となす角度が0度にならないように前記気体供給装置を配置し、前記接続する工程で、前記ダクトにおける前記鉛直方向と平行に延びる部分と、1つの湾曲部分とで、前記気体導入口と前記気体供給口とを接続する、製造プラントにおける機器の設置方法。
【請求項11】
前記気体供給装置を準備する工程では、
前記処理装置が要求する気体の要求供給量と、前記気体供給装置、前記ダクト及び前記処理装置で生じる圧損と、を特定し、
候補となる送風機の送風機静圧風量特性曲線において、前記圧損を静圧とし、前記要求供給量を、前記圧損としての静圧に対応する風量として対応点をプロットし、
少なくとも前記対応点を越える送風機静圧風量特性曲線を有する送風機を選定して、選定された送風機を備える前記気体供給装置を準備する、請求項10に記載の製造プラントにおける機器の設置方法。
【請求項12】
気体導入口を有する内部ダクトと、前記気体導入口で受け入れた気体を前記内部ダクトを通して供給される処理室を有する処理装置と、を備え、前記処理装置は、前記気体を受け入れる受入口を有する処理システムが設けられる製造プラントにおける機器の設置方法であって、
気体を気体供給口から供給する気体供給装置を準備する工程と、
前記気体導入口の中心と前記気体供給口の中心とを結んだ直線が鉛直方向となす角度が、0度以上45度以下になるように、且つ、前記受入口の中心と前記気体供給口の中心とを結んだ直線が鉛直方向となす角度が、0度以上45度以下になるように、前記気体供給装置を配置する工程と、
前記気体導入口と前記気体供給口とをダクトで接続する工程と、を備え、
前記接続する工程で、前記ダクトの中心軸線と、前記直線とが一致するように前記気体導入口と前記気体供給口とを前記ダクトで接続するか、又は、
前記配置する工程で、前記直線が前記鉛直方向となす角度が0度よりも大きくなるように前記気体供給装置を配置し、前記接続する工程で、前記ダクトの両端部のうちの少なくとも一方の端部を含む一部を除く部分における前記ダクトの中心軸線と、前記直線とが一致するように前記気体導入口と前記気体供給口とを前記ダクトで接続するか、又は、
前記気体導入口の中心軸線と、前記気体供給口の中心軸線とが、非平行であり、前記気体導入口の中心軸線は水平方向に延び、前記気体供給口の中心軸線は鉛直方向に延びる場合に、前記配置する工程で、前記直線が前記鉛直方向となす角度が0度になるように前記気体供給装置を配置し、前記接続する工程で、前記ダクトの両端部のうちの一方の端部を含む一部を除く部分における前記ダクトの中心軸線と、前記直線とが一致するように前記気体導入口と前記気体供給口とを前記ダクトで接続するか、又は、
前記気体導入口の中心軸線と、前記気体供給口の中心軸線とが、非平行であり、前記気体導入口の中心軸線は水平方向に延び、前記気体供給口の中心軸線は鉛直方向に延びる場合に、前記配置する工程で、前記直線が前記鉛直方向となす角度が0度にならないように前記気体供給装置を配置し、前記接続する工程で、前記ダクトにおける前記鉛直方向と平行に延びる部分と、1つの湾曲部分とで、前記気体導入口と前記気体供給口とを接続する、製造プラントにおける機器の設置方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施の形態は、温度、湿度等を厳格に所望状態に維持することが求められる製造プラント、及びそのような製造プラントにおける機器の設置方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造プラントでは、レジスト塗布処理、露光処理、現像処理、エッチング処理等の各種処理が行われる。こうした処理は、通常、精密に温度及び湿度が制御された処理室内で行われる。
【0003】
例えば、レジスト塗布処理でウェハに塗布されるレジストや、露光処理及び現像処理でパターニングされるレジストは、温度や湿度に応じて、膨張又は収縮する。レジストが、環境温度や湿度に応じて所望状態に維持されない場合には、エッチングされるパターンに不良が生じ得る。したがって、温度及び湿度の管理が必要となる。
【0004】
例えばレジスト塗布処理、露光処理及び現像処理を行う処理室における温度及び湿度の制御は、空調装置で精密に温度及び湿度が調整された空気を各処理室に供給することで行われる。
【0005】
半導体製造プラントでは、一般に、上述のような処理室を有する複数の処理装置をユニットとして一体化したシステムが用いられている。このようなシステムは、フットプリントを抑制し、ウェハの搬送や、不純物の混入回避でもメリットがあり、半導体のスループットを向上させ得る。このようなシステムでは、一般に、空調装置に複数のダクトが接続され、各ダクトが対応する処理室に接続されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2021-44453号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
近年、例えばEUV(Extreme Ultra Violet)による露光処理により、配線幅が一桁ナノメートルのパターンを有する半導体の製造が実現されている。このような極微細なパターンを適正に形成するには、各種処理を行う処理室の温度や湿度を従前よりも極めて厳しい精度で管理することが求められる。
【0008】
しかしながら、空調装置に接続された複数のダクトを各処理室に接続する場合には、極微細なパターンを形成するための処理環境を形成できない場合がある。
【0009】
例えば、複数のダクトのうちの2本のダクトが、同じ処理を行う2つの処理室に別々に接続される場合がある。この際、2本のダクトのうちの一方と他方とで長さが異なる状況が生じ得る。この際、長い方のダクトから処理室に供給される空気の温度が、短い方のダクトから処理室に供給される空気よりも高くなることがある。その結果、一方の処理室で適正な処理がなされない虞がある。
【0010】
また、極微細なパターンの形成では、ある処理室に供給される空気の所望の流量と、他の処理室に供給される空気の所望の流量とが異なる場合がある。この場合、共通の空調装置から2つの上記処理室に空気を供給する構成では、調節が難しい。ダクトの径を互いに変えたり、ダンパを使用したりすることにより、調節可能であるが、構造が複雑化し且つ所望の精度が得られ難い。また、圧損が大きくなり、エネルギー消費量が多くなり得る。
【0011】
また、例えば半導体製造過程でのレジスト塗布処理、露光処理及び現像処理では、各処理で求められる温度精度や、湿度精度が異なる場合がある。この場合、共通の空調装置から2つの上記処理室に空気を供給する構成では、オーバースペックな温調又は湿調が行われている場合があり、必ずしも合理的とは言えない構成になっている場合がある。
【0012】
さらには、複数のダクトは多くなるほど、曲げられる回数が増え、ダクトの経路が複雑化する。ダクトの経路が複雑になると、圧損が大きくなる。また、処理室に至るまでの空気の温度及び湿度の変化が大きくなる。近年、スループットの向上のために多くの処理装置を一体化させるシステムがある。このようなシステムで上述した一般的なダクト接続を行うと、多大なエネルギーコストが発生する虞がある。また、極微細なパターンを形成するための処理環境を形成することが困難になる虞がある。
【0013】
本発明の課題は、所定処理が行われる処理室の状態をエネルギー消費量を抑制しつつ所望状態に高精度に制御し易くなる製造プラント及び製造プラントにおける機器の設置方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の一実施の形態に係る製造プラントは、気体導入口で受け入れた気体を供給される処理室を有する処理装置を備えた処理システムと、気体を気体供給口から供給する気体供給装置を備えた熱媒体供給システムと、前記気体導入口と前記気体供給口とを接続するダクトと、を備え、前記気体供給口の中心と前記気体導入口の中心とを結んだ直線が鉛直方向となす角度が、0度以上45度以下である。
【0015】
本発明の一実施の形態に係る製造プラントにおける機器の設置方法は、気体導入口で受け入れた気体を供給される処理室を有する処理装置を備えた処理システムが設けられる製造プラントにおける機器の設置方法であって、気体を気体供給口から供給する気体供給装置を準備する工程と、前記気体導入口の中心と前記気体供給口の中心とを結んだ直線が鉛直方向となす角度が、0度以上45度以下になるように前記気体供給装置を配置する工程と、前記気体導入口と前記気体供給口とをダクトで接続する工程と、を備える。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、所定処理が行われる処理室の状態をエネルギー消費量を抑制しつつ所望状態に高精度に制御し易くなる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】第1の実施の形態に係る製造プラントとしての半導体製造プラントの概略図である。
図2図1の矢印IIの方向に半導体製造プラントを見た図である。
図3】第2の実施の形態に係る製造プラントとしての半導体製造プラントの概略図である。
図4】第3の実施の形態に係る製造プラントとしての半導体製造プラントの概略図である。
図5】第4の実施の形態に係る製造プラントとしての半導体製造プラントの概略図である。
図6】第5の実施の形態に係る製造プラントとしての半導体製造プラントの概略図である。
図7】第6の実施の形態に係る製造プラントとしての半導体製造プラントの概略的な斜視図である。
図8図7の矢印VIIIの方向に半導体製造プラントを見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、添付の図面を参照して、各実施の形態を詳細に説明する。
【0019】
<第1の実施の形態>
図1は、第1の実施の形態に係る製造プラントとしての半導体製造プラントP1の概略図である。半導体製造プラントP1は、半導体製造システム1と、熱媒体供給システム10と、第1ダクト30と、第2ダクト40と、を備える。熱媒体供給システム10は、第1気体供給装置100と、第2気体供給装置200と、を有する。半導体製造システム1は、第1ダクト30を介して第1気体供給装置100に接続し、第2ダクト40を介して第2気体供給装置200に接続する。
【0020】
第1気体供給装置100は、所望状態に調節した熱媒体としての空気を、第1ダクト30を通して半導体製造システム1に供給する。第2気体供給装置200は、所望状態に調節した熱媒体としての空気を、第2ダクト40を通して半導体製造システム1に供給する。
【0021】
本実施の形態では、熱媒体供給システム10(第1気体供給装置100及び第2気体供給装置200)が設置されるフロアの上方のフロアに半導体製造システム1が設置されている。そして、第1ダクト30及び第2ダクト40は、半導体製造システム1が設置されるフロアを上下方向に通過して半導体製造システム1に至る。
【0022】
以上のようなレイアウトでは、例えば第1気体供給装置100及び第2気体供給装置200で生じ得る塵埃が半導体製造システム1に影響を及ぼすことが回避される。ただし、半導体製造システム1、第1気体供給装置100及び第2気体供給装置200は同一のフロアに設置されてもよい。以下、半導体製造プラントP1の各部について詳述する。
【0023】
(半導体製造システム)
半導体製造システム1は、複数の処理装置2と、内部ダクト4と、を備えている。
【0024】
複数の処理装置2はそれぞれ処理室3を有する。複数の処理装置2は、処理室3内に搬送されるワークとしてのウェハにレジスト膜形成処理、現像処理、機能膜形成処理、洗浄処理等のそれぞれに定められた特定の処理を行う。
【0025】
複数の処理装置2で行う複数の処理の中には、処理室3の状態を、所望の温度及び所望の湿度に高精度に制御することを要するとともに、処理室3に流入する空気の流量を所望の流入状態に制御することを要する処理が含まれる。このような所望状態への制御を要する処理装置2は、第1気体供給装置100又は第2気体供給装置200からの空気により、処理室3を所望状態に制御する。
【0026】
図1においては、複数の処理装置2のうちのレジスト膜形成装置2Aと、現像装置2Bとが示されている。本実施の形態では、複数の処理装置2に、複数(図示例では2つ)のレジスト膜形成装置2Aと、複数(図示例では4つ)の現像装置2Bとが含まれている。複数のレジスト膜形成装置2Aは、上下方向に積層されている。現像装置2Bも、上下方向に積層されている。なお、複数の処理装置2には、その他の処理を行う装置も含まれるが、これらの図示は省略されている。なお、その他の処理を行う装置は、露光装置や洗浄装置等でもよい。
【0027】
内部ダクト4は、第1内部ダクト部4Aと、第2内部ダクト部4Bと、を有する。第1内部ダクト部4Aは、複数のレジスト膜形成装置2Aに側方から隣り合う状態で上下方向に延びている。第2内部ダクト部4Bは、複数の現像装置2Bに側方から隣り合う状態で上下方向に延びている。
【0028】
第1内部ダクト部4Aは気体導入口5Aを有し、気体導入口5Aに第1ダクト30が接続される。レジスト膜形成装置2Aはそれぞれ、処理室3内に空気を導入するための受入口3Aを有する。同様に、第2内部ダクト部4Bは気体導入口5Bを有し、気体導入口5Bに第2ダクト40が接続される。現像装置2Bはそれぞれ、処理室3内に空気を導入するための受入口3Bを有する。第1内部ダクト部4Aにおける気体導入口5A及び第2内部ダクト部4Bにおける気体導入口5Bは下方に開口している。
【0029】
本実施の形態では、第1ダクト30から第1内部ダクト部4Aの気体導入口5Aに受け入れられた空気は、第1内部ダクト部4Aの内部を介して各レジスト膜形成装置2Aの受入口3Aから各レジスト膜形成装置2Aの処理室3に供給される。また、第2ダクト40から第2内部ダクト部4Bの気体導入口5Bに受け入れられた空気は、第2内部ダクト部4Bの内部を介して各現像装置2Bの受入口3Bから各現像装置2Bの処理室3に供給される。
【0030】
図2は、図1の矢印IIの方向に半導体製造プラントP1を見た図である。第2内部ダクト部4Bは、その長手方向が上下方向に沿うように延びている。第2内部ダクト部4Bは、各現像装置2Bにおいて処理室3の上寄りに形成された受入口3Bを介して、各処理室3に流体的に接続する。図示しないが、第1内部ダクト部4Aもその長手方向が上下方向に沿うように延びる。
【0031】
なお、本実施の形態では、第1内部ダクト部4A、第2内部ダクト部4Bから複数の処理装置2(複数のレジスト膜形成装置2A、複数の現像装置2B)に空気が分配されるが、第1内部ダクト部4A又は第2内部ダクト部4Bから一つの処理装置2に空気が供給される構成でもよい。
【0032】
本実施の形態における半導体製造システム1は、レジスト塗布後、EUV(Extreme Ultra Violet)による露光処理を実施されたウェハに対して、極めて微細なパターンを形成することを想定している。この場合、とりわけレジスト膜形成装置2Aでは、処理室3内の温度、湿度を極めて高精度に制御することが求められ、且つ、処理室3内に流入する空気の流量を比較的大きい流量で一定に保つことが求められる。具体的には、レジスト膜形成装置2Aでは、例えば、目標温度に対する制御精度を、±0.5℃以内にすること、目標湿度に対する制御を、±0.5%以内にすることが求められる場合がある。
【0033】
一方で、現像装置2Bでは、レジスト膜形成装置2Aよりも高精度で温度、湿度を制御する必要がない場合もあり、且つ、処理室3内に流入する空気の流量もレジスト膜形成装置2Aが求める流量よりも小さくてよい場合がある。
【0034】
(熱媒体供給システム)
熱媒体供給システム10は、上述したように第1気体供給装置100と、第2気体供給装置200とを有する。まず、第1気体供給装置100は、気体取込口11A及び気体供給口11Bを有する筐体11と、取込口フィルタ12と、冷却器13と、加熱器14と、加湿器15と、送風機16と、インバータ17と、コントローラ18と、を備える。
【0035】
図1における二点鎖線の矢印α1は、第1気体供給装置100により温調及び湿調される空気の流れを示している。矢印α1に示すように、気体取込口11Aに流入する空気は、まず、気体取込口11Aを覆う状態で取り付けられた取込口フィルタ12によって清浄化される。取込口フィルタ12は、ULPAフィルタや、HEPAフィルタ等でもよい。取込口フィルタ12を通過した空気は、次いで、冷却器13により冷却される。この際、除湿も行われる。次いで、空気は、加熱器14により加熱され、その後、加湿器15により加湿される。その後、空気は、気体供給口11Bから第1ダクト30に流入する。気体供給口11Bは、上方に開口している。
【0036】
冷却器13の形式は特に限られるものではなく、冷凍回路の蒸発器で構成されてもよいし、ブライン等の低温の液体(熱媒体)を通過させる熱交換器で構成されてもよい。加熱器14の形式も特に限られるものではなく、電気ヒータで構成されてもよく、冷凍回路の高温の冷媒を通過させる熱交換器で構成されてもよい。加湿器15の形式も特に限られるものではなく、スチーム(蒸気)式、気化式、及び超音波式のいずれで構成されてもよい。
【0037】
上述したように、本実施の形態ではレジスト膜形成装置2Aにおける処理室3内の温度、湿度を極めて高精度に制御することが求められる。この場合、レジスト膜形成装置2Aに空気を供給する第1気体供給装置100では、温度及び湿度を高精度に制御できるように構成機器を選択する必要がある。この点を考慮し、本実施の形態では、冷却器13がブライン等の低温の熱媒体を通過させる熱交換器で構成され、加熱器14が電気ヒータで構成され、加湿器15がスチーム式の加湿器で構成される。
【0038】
冷凍回路では、冷媒を膨張させて蒸発させる際に冷媒の状態が気液混合状態となる。これに対して、ブライン等の低温の熱媒体を通過させる熱交換器では、熱媒体の相変化が基本的にはない。この観点から、熱媒体を通過させる熱交換器は、温度制御に関して有利である。電気ヒータも、高温の冷媒を通過させる熱交換器よりも状態が安定しやすい。また、気化式及び超音波式の加湿器では、水が蒸発せずに、液体のまま流れる虞がある。そのため、スチーム式の加湿器は、湿度制御に関して有利である。ただし、以上に説明した形式の組み合わせは特に限られるものではない。
【0039】
気体取込口11Aから気体供給口11Bまで空気を流すための駆動力は、送風機16が発生させる。送風機16は、ファンを回転させるモータを有し、本実施の形態では、モータとして三相交流モータ又はブラシレスモータが採用される。そして、送風機16は、モータをインバータ17により制御する。インバータ17は、モータに供給する交流電流の周波数を調節することで、モータ回転数を調整する。これにより、送風機16は、流量調節可能に第1内部ダクト部4Aに空気を供給できる。
【0040】
コントローラ18は、冷却器13、加熱器14、加湿器15及びインバータ17を制御する。コントローラ18は、加湿器15の下流側に配置される図示しない一つ又は複数の温度センサ及び一つ又は複数の湿度センサからの検出情報に基づき、冷却器13、加熱器14及び加湿器15の一部又は全部の動作を制御することで、供給する空気の温度が目標温度になるように及び供給する空気の湿度が目標湿度になるように制御する。また、コントローラ18は、加湿器15の下流側に配置される一つ又は複数の流量センサからの検出情報に基づき、処理室3内に流入する空気が目標流量になるようにインバータ17を介して送風機16を制御する。
【0041】
コントローラ18は、CPU、ROM等を含むコンピュータで構成されてもよく、この場合、ROMに格納されたプログラムに従い、各種処理を行う。また、コントローラ18は、その他のプロセッサや電気回路(例えばFPGA(Field Programmable Gate Alley)等)で構成されてもよい。
【0042】
第2気体供給装置200は、第1気体供給装置100と同様に、気体取込口21A及び気体供給口21Bを有する筐体21と、取込口フィルタ22と、冷却器23と、加熱器24と、加湿器25と、送風機26と、インバータ27と、コントローラ28と、を備える。
【0043】
図1における二点鎖線の矢印α2は、第2気体供給装置200により温調及び湿調される空気の流れを示している。矢印α2に示すように、気体取込口21Aに流入する空気は、取込口フィルタ22、冷却器23、加熱器24、加湿器25、及び気体供給口21Bをこの順で通過した後、第2ダクト40に流入する。気体供給口21Bは上方に開口している。
【0044】
第2気体供給装置200を構成する各部の構成は第1気体供給装置100の各部の構成と基本的に同様であるが、本実施の形態では、加湿器25の形式と、送風機26の仕様が、第1気体供給装置100と異なっている。具体的には、加湿器25が気化式の加湿器で構成されている。また、送風機26の空気の供給量の範囲(風量範囲)が、送風機16の空気の供給量の範囲(風量範囲)と異なり、送風機26の空気の最大供給量は、送風機16の空気の最大供給量よりも小さい。
【0045】
上述したように、現像装置2Bでは、レジスト膜形成装置2Aよりも高精度で温度、湿度を制御する必要がない場合もあり、且つ、処理室3内に流入する空気の流量もレジスト膜形成装置2Aが求める流量よりも小さくてよい場合がある。本実施の形態では、このケースに適合している。このようなケースに適合することを考慮し、オーバースペックを回避する合理的な構成を実現すべく、本実施の形態では、第2気体供給装置200の加湿器25の形式及び送風機26の仕様と、第1気体供給装置100の加湿器15の形式及び送風機16の仕様とが変えられている。これにより、イニシャルコスト及びランニングコストの抑制が図られる。
【0046】
(ダクト)
第1ダクト30は、第1気体供給装置100の気体供給口11Bと、半導体製造システム1における第1内部ダクト部4Aに設けられた気体導入口5Aとを接続している。
【0047】
図1において、符号UDは、鉛直方向を示す。符号Caは、気体供給口11Bの中心を示し、符号Cbは、気体導入口5Aの中心を示している。また、符号L1は、気体供給口11Bの中心Caと気体導入口5Aの中心Cbとを結んだ仮想的な直線を示している。
【0048】
ここで、直線L1が鉛直方向となす角度は0度以上45度以下であり、詳しくは、0度である。そして、気体供給口11Bの中心軸線と、気体導入口5Aの中心軸線とが同軸に位置し、気体供給口11Bと気体導入口5Aとが鉛直方向UDで互いに正対している。そして、第1ダクト30は、気体供給口11Bから気体導入口5Aにわたり真っ直ぐに且つ鉛直方向UDに平行に延びる状態で気体供給口11Bと気体導入口5Aとを接続している。そして、第1ダクト30の中心軸線C1と、直線L1とが一致している。
【0049】
また、第2ダクト40は、第2気体供給装置200の気体供給口21Bと、半導体製造システム1における第2内部ダクト部4Bに設けられた気体導入口5Bとを接続している。図1において、符号Ccは、気体供給口21Bの中心を示し、符号Cdは、気体導入口5Bの中心を示している。また、符号L2は、気体供給口21Bの中心Ccと気体導入口5Bの中心Cdとを結んだ仮想的な直線を示している。
【0050】
直線L2が鉛直方向となす角度も0度以上45度以下であり、詳しくは、0度である。そして、気体供給口21Bの中心軸線と、気体導入口5Bの中心軸線とが同軸に位置し、気体供給口21Bと気体導入口5Bとが鉛直方向UDで互いに正対している。そして、第2ダクト40は、気体供給口21Bから気体導入口5Bにわたり真っ直ぐに且つ鉛直方向UDに平行に延びる状態で気体供給口21Bと気体導入口5Bとを接続している。そして、第2ダクト40の中心軸線C2と、直線L2とが一致している。
【0051】
なお、本実施の形態のように気体供給口21Bと気体導入口5Bとが互いに正対する場合には、直線L1、L2が鉛直方向となす角度は、0度が良い。直線L1、L2が鉛直方向となす角度は、好ましくは30度以下であり、より好ましくは22.5度以下であり、さらに好ましくは15度以下、10度以下、5度以下である。
【0052】
また、図1において、符号L11、L12は、各レジスト膜形成装置2Aの受入口3Aの中心と、気体供給口11Bの中心Caとを結ぶ直線を示している。図示から明らかなように、直線L11、L12がそれぞれ鉛直方向となす角度は、0度以上45度以下であり、本実施の形態では10度以下になっている。直線L11及び直線L12がそれぞれ鉛直方向となす角度は、0度以上25度以下であることが好ましい。
【0053】
また、図1において、符号L21、L22、L23、L24は、各現像装置2Bの受入口3Bの中心と、気体供給口21Bの中心Ccとを結ぶ直線を示している。図示から明らかなように、直線L21~L24がそれぞれ鉛直方向となす角度は、0度以上45度以下であり、本実施の形態では10度以下になっている。直線L21~L24がそれぞれ鉛直方向となす角度は、0度以上25度以下であることが好ましい。
【0054】
第1ダクト30及び第2ダクト40の形式は特に限られるものではなく、折り曲げ可能なフレキシブルダクトでもよいし、折り曲げ不能なリジッドなダクトでもよい。本実施の形態では、第1ダクト30及び第2ダクト40がともに真っ直ぐに延びるため、折り曲げ不要で且つ圧損が抑制される。そのため、リジッドなダクトを用いることで、圧損の更なる抑制とコストダウンを図ってもよい。また、第1ダクト30及び第2ダクト40は断面形状が円形でもよいし、矩形でもよい。すなわち、第1ダクト30及び第2ダクト40は、円形ダクトでもよいし、角形ダクトでもよい。
【0055】
(作用・効果)
次に、本実施の形態の作用について説明する。
【0056】
第1気体供給装置100では、気体取込口11Aに流入する空気が取込口フィルタ12によって清浄化されて、第1気体供給装置100内に導入される。その後、空気は、冷却器13により冷却され、次いで、加熱器14により加熱され、その後、加湿器15により加湿される。その後、空気は、気体供給口11Bから第1ダクト30に流入する。
【0057】
そして、第1ダクト30から第1内部ダクト部4Aの気体導入口5Aに受け入れられた空気は、半導体製造システム1における第1内部ダクト部4Aの内部を介して各レジスト膜形成装置2Aの受入口3Aから各レジスト膜形成装置2Aの処理室3に供給される。
【0058】
同様に、第2気体供給装置200では、気体取込口21Aに流入する空気が取込口フィルタ22によって清浄化されて、第2気体供給装置200内に導入される。その後、空気は、冷却器23により冷却され、次いで、加熱器24により加熱され、その後、加湿器25により加湿される。その後、空気は、気体供給口21Bから第2ダクト30に流入する。
【0059】
そして、第2ダクト40から第2内部ダクト部4Bの気体導入口5Bに受け入れられた空気は、半導体製造システム1における第2内部ダクト部4Bの内部を介して各現像装置2Bの受入口3Bから各現像装置2Bの処理室3に供給される。
【0060】
本実施の形態では、第1気体供給装置100が準備された後、第1気体供給装置100は、直線L1と鉛直方向とがなす角度が0度になるように配置される。そして、第1ダクト30が気体供給口11Bと気体導入口5Aとを接続する。そして、第1ダクト30は、気体供給口11Bから気体導入口5Aにわたり真っ直ぐに延び、第1ダクト30の中心軸線C1を直線L1に一致させる。
【0061】
これにより、気体供給口11Bから第1ダクト30を介して気体導入口5Aに至る空気に対する圧損が抑制され、本実施の形態では、ほぼ無くなる。これにより、送風機16のエネルギー消費量が抑制される。また、レジスト膜形成装置2Aの受入口3Aの中心と気体供給口11Bの中心Caとを結ぶ直線L11、L12がそれぞれ鉛直方向となす角度は、本実施の形態では10度以下になっている。この場合、気体導入口5Aから第1内部ダクト部4Aを介して受入口3Aに至る空気に対する圧損も極めて抑制される。これにより、送風機16のエネルギー消費量が効果的に抑制される。
【0062】
また、第1ダクト30は気体供給口11Bから気体導入口5Aにわたり真っ直ぐに延びるため、全長が抑制される。これにより、第1ダクト30内を流れる空気の温度が第1ダクト30の外部の温度の影響で変化することが抑制される。したがって、処理室3内に導入される空気の温度の制御精度が安定する。また、第1ダクト30の断熱材を設ける場合には、その容量を抑制できる。
【0063】
また、第1ダクト30は気体供給口11Bから気体導入口5Aにわたり真っ直ぐに延びるため、第1ダクト30の内面に接触する第1ダクト30内の空気の量が抑制される。これにより、第1ダクト30の内面での結露の発生が抑制され、空気の湿度の乱れが抑制される。したがって、処理室3内に導入される空気の湿度度の制御精度が安定する。
【0064】
同様に、第2気体供給装置200と半導体製造システム1との間の空気の通流に関しても、第1気体供給装置100と同様に、圧損が抑制される。また、処理室3内に導入される空気の温度の制御精度が安定し、且つ、処理室3内に導入される空気の湿度の制御精度が安定する。
【0065】
そして、以上のように送風機16、26からの空気に対する圧損が抑制されるため、本実施の形態ではモータ容量の小さい送風機16、26を使用した場合でも、処理室3に望まれる流入空気量の仕様を十分に満たし得る。そのため、送風機16,26のイニシャルコストを抑制できる。また、エネルギー消費量の抑制によりランニングコストを効果的に抑制できる。
【0066】
以上に説明したように、本実施の形態に係る半導体製造プラントP1は、気体導入口5A、5Bで受け入れた空気を供給される処理室3を有する処理装置2を備えた半導体製造システム1と、空気を気体供給口11B、21Bから供給する気体供給装置100、200を備えた熱媒体供給システム10と、気体導入口5A、5Bと気体供給口11B、21Bとを接続するダクト30、40と、を備える。そして、気体供給口11B、21Bの中心と気体導入口5A、5Bの中心とを結んだ直線が鉛直方向となす角度が、0度以上45度以下であり、具体的には0度である。これにより、圧損が抑制されることで、送風機16、26のエネルギー消費量が抑制される。また、空気の温度及び湿度の制御精度が安定する。したがって、所定処理が行われる処理室3の状態をエネルギー消費量を抑制しつつ所望状態に高精度に制御し易くなる。
【0067】
特に本実施の形態ではダクト30、40での空気に対する圧損が極めて抑制されるため、気体供給装置100、200側のモータ容量を従来のダクト構成の場合に比較して飛躍的に抑制できる。これにより、送風機16,26のイニシャルコストを抑制でき、且つ、ランニングコストを効果的に抑制できる。EUVを利用する半導体製造プラントは電力消費量が非常に多くなる。このようなプラントにおいて、本実施の形態に係る技術は非常に効果的にエネルギー消費量を抑制できるため、極めて有益である。
【0068】
なお、送風機16,26を選定する際には、まず、処理装置2(本実施の形態では、複数の処理装置2)が要求する気体の要求供給量と、気体供給装置100、200、ダクト30、40及び処理装置2で生じる圧損と、を特定する。次いで、複数の送風機の送風機静圧風量特性曲線において、前記圧損を静圧とし、前記要求供給量を前記圧損としての静圧に対応する風量として対応点をプロットし、少なくとも対応点を越える送風機静圧風量特性曲線を有する送風機を選定する。そして、選定された送風機を備える気体供給装置100、200が準備される。
【0069】
<第2の実施の形態>
次に、第2の実施の形態について説明する。図3は、第2の実施の形態に係る半導体製造プラントP2の概略図である。本実施の形態の構成部分のうちの第1の実施の形態の構成部分と同じものには、同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0070】
本実施の形態では、図3に示すように半導体製造システム1の第1内部ダクト部4Aにおける気体導入口5A及び第2内部ダクト部4Bにおける気体導入口5Bが水平方向に開口している。そして、気体導入口5Aの中心軸線は気体供給口11Bの中心軸線と非平行となる。また、気体導入口5Bの中心軸線は気体供給口21Bの中心軸線と非平行となる。
【0071】
本実施の形態では、直線L1が鉛直方向となす角度が45度以下になっており、詳しくは、直線L1が鉛直方向となす角度は、5度以上15度以下であり、詳しくは、10度以上15度以下になっている。そして、第1ダクト30が、気体供給口11Bと気体導入口5Aとを接続している。また、直線L2が鉛直方向となす角度が45度以下になっており、詳しくは、直線L2が鉛直方向となす角度は、5度以上15度以下であり、詳しくは、10度以上15度以下になっている。そして、第2ダクト40は、気体供給口21Bと気体導入口5Bとを接続している。
【0072】
また、第1ダクト30は、気体導入口5A側の端部を含む一部が湾曲している一方、この湾曲部分と気体供給口11Bとの間の部分は鉛直方向UDに平行に延びている。同様に、第2ダクト40は、気体導入口5B側の端部を含む一部が湾曲している一方、この湾曲部分と気体供給口21Bとの間の部分は鉛直方向UDに平行に延びている。
【0073】
また、各レジスト膜形成装置2Aの受入口3Aの中心と、気体供給口11Bの中心Caとを結ぶ直線L11、L12がそれぞれ鉛直方向となす角度は、0度以上45度以下であり、本実施の形態では30度以下になっている。直線L11、L12がそれぞれ鉛直方向となす角度は小さいほうが良く、25度以下であることが好ましく、20度以下であることがより好ましい。また、各現像装置2Bの受入口3Bの中心と、気体供給口21Bの中心Ccとを結ぶ直線L21~L24がそれぞれ鉛直方向となす角度は、0度以上45度以下であり、本実施の形態では30度以下になっている。直線L21~L24がそれぞれ鉛直方向となす角度は、小さいほうが良く、25度以下であることが好ましく、20度以下であることがより好ましい。
【0074】
本実施の形態でも、第1の実施の形態と同様に、所定処理が行われる処理室3の状態をエネルギー消費量を抑制しつつ所望状態に高精度に制御し易くなる。
【0075】
<第3の実施の形態>
次に、第3の実施の形態について説明する。図4は、第3の実施の形態に係る半導体製造プラントP3の概略図である。本実施の形態の構成部分のうちの第1及び第2の実施の形態の構成と同じものには、同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0076】
本実施の形態では、図4に示すように直線L1が鉛直方向となす角度が45度以下になっており、詳しくは、直線L1が鉛直方向となす角度は0度ではなく、約30度になっている。そして、第1ダクト30が、気体供給口11Bと気体導入口5Aとを接続している。また、直線L2が鉛直方向となす角度が45度以下になっており、詳しくは、直線L2が鉛直方向となす角度は、約30度になっている。そして、第2ダクト40は、気体供給口21Bと気体導入口5Bとを接続している。
【0077】
また、第1ダクト30は、気体導入口5A側の端部を含む一部が湾曲するとともに、気体供給口11B側の端部を含む一部が湾曲する。一方で、第1ダクト30における両端側の湾曲部の間の部分は、その中心軸線C1が直線L1と一致するように真っ直ぐに延びている。同様に、第2ダクト40は、気体導入口5B側の端部を含む一部が湾曲するとともに、気体供給口21B側の端部を含む一部が湾曲する。一方で、第2ダクト40における両端側の湾曲部の間の部分は、その中心軸線C2が直線L2と一致するように真っ直ぐに延びている。
【0078】
また、各レジスト膜形成装置2Aの受入口3Aの中心と、気体供給口11Bの中心Caとを結ぶ直線L11、L12がそれぞれ鉛直方向となす角度は、0度以上45度以下であり、本実施の形態では30度以下になっている。直線L11、L12がそれぞれ鉛直方向となす角度は小さいほうが良く、25度以下であることが好ましく、20度以下であることがより好ましい。また、各現像装置2Bの受入口3Bの中心と、気体供給口21Bの中心Ccとを結ぶ直線L21~L24がそれぞれ鉛直方向となす角度は、0度以上45度以下であり、本実施の形態では30度以下になっている。直線L21~L24がそれぞれ鉛直方向となす角度は、小さいほうが良く、25度以下であることが好ましく、20度以下であることがより好ましい。
【0079】
本実施の形態でも、所定処理が行われる処理室3の状態をエネルギー消費量を抑制しつつ所望状態に高精度に制御し易くなる。
【0080】
<第4の実施の形態>
次に、第4の実施の形態について説明する。図5は、第4の実施の形態に係る半導体製造プラントP4の概略図である。本実施の形態の構成部分のうちの第1乃至第3の実施の形態の構成と同じものには、同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0081】
本実施の形態では、図5に示すように半導体製造システム1の第1内部ダクト部4Aにおける気体導入口5A及び第2内部ダクト部4Bにおける気体導入口5Bが水平方向に開口している。そして、気体導入口5Aの中心軸線は気体供給口11Bの中心軸線と非平行となる。また、気体導入口5Bの中心軸線は気体供給口21Bの中心軸線と非平行となる。
【0082】
そして、直線L1が鉛直方向となす角度が45度以下になっており、詳しくは、直線L1が鉛直方向となす角度は0度ではなく、約30度になっている。そして、第1ダクト30は、気体供給口21Bと気体導入口5Bとを接続している。また、直線L2が鉛直方向となす角度が45度以下になっており、詳しくは、直線L2が鉛直方向となす角度は、約30度になっている。そして、第2ダクト40は、気体供給口21Bと気体導入口5Bとを接続している。
【0083】
また、第1ダクト30は、気体導入口5A側の端部を含む一部が湾曲するとともに、気体供給口11B側の端部を含む一部が湾曲する。一方で、第1ダクト30における両端側の湾曲部の間の部分は、その中心軸線C1が直線L1と一致するように真っ直ぐに延びている。同様に、第2ダクト40は、気体導入口5B側の端部を含む一部が湾曲するとともに、気体供給口21B側の端部を含む一部が湾曲する。一方で、第2ダクト40における両端側の湾曲部の間の部分は、その中心軸線C2が直線L2と一致するように真っ直ぐに延びている。その他の直線L11、L12がそれぞれ鉛直方向となす角度に関する態様、及び、直線L21~L24がそれぞれ鉛直方向となす角度に関する態様は、第3の実施の形態と同様である。
【0084】
本実施の形態でも、所定処理が行われる処理室3の状態をエネルギー消費量を抑制しつつ所望状態に高精度に制御し易くなる。
【0085】
<第5の実施の形態>
次に、第5の実施の形態について説明する。図6は、第5の実施の形態に係る半導体製造プラントP5の概略図である。本実施の形態の構成部分のうちの第1乃至第4の実施の形態の構成と同じものには、同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0086】
本実施の形態では、図6に示すように半導体製造システム1の第1内部ダクト部4Aにおける気体導入口5Aが水平方向に開口している。そして、気体導入口5Aの中心軸線は気体供給口11Bの中心軸線と非平行となる。そして、直線L1が鉛直方向となす角度が0度になっており、第1ダクト30が、気体供給口11Bと気体導入口5Aとを接続している。第1ダクト30は、気体導入口5A側の端部を含む一部が湾曲する。一方で、第1ダクト30における気体導入口5A側の湾曲部と気体供給口11Bとの間の部分は、その中心軸線C1が直線L1と一致するように真っ直ぐに且つ鉛直方向UDに平行に延びている。
【0087】
本実施の形態でも、所定処理が行われる処理室3の状態をエネルギー消費量を抑制しつつ所望状態に高精度に制御し易くなる。
【0088】
<第6の実施の形態>
次に、第6の実施の形態について説明する。本実施の形態の構成部分のうちの第1乃至第5の実施の形態の構成と同じものには、同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0089】
図7は、第6の実施の形態に係る半導体製造プラントP6の概略的な斜視図であり、図8は、図7で示した矢印VIIIの方向で第2気体供給装置200を見た図に対応する。本実施の形態では、第1気体供給装置100が複数の第1気体供給装置100A、100Bを含む。第2気体供給装置200が複数の第2気体供給装置200A、200Bを含む。
【0090】
そして、複数の第1気体供給装置100A、100Bはそれぞれ、対応する第1ダクト30を介して対応するレジスト膜形成装置2Aに別々に接続されている。複数の第2気体供給装置200A、200Bはそれぞれ、対応する第2ダクト40を介して対応する2つの現像装置2Bに別々に接続されている。第1ダクト30、第2ダクト40の接続態様及び向きは、第1乃至第5の実施の形態の態様のいずれかが採用されればよい。
【0091】
本実施の形態では、複数のレジスト膜形成装置2Aの各々で異なる温度及び湿度制御を実施できるため、レジスト膜形成装置2Aの処理室3の状態を所望状態に確実に高精度に制御し易くなる。また、4つの現像装置2Bに関しては、2つの現像装置2Bに分けて、別々に温度及び湿度制御を実施できる。この場合、空気を4つの現像装置2Bに分配する場合に比較して、現像装置2Bの処理室3の状態を所望状態に高精度に制御し易くなる。なお、4つの現像装置2Bに別々の第2気体供給装置200が接続されてもよい。
【0092】
また、本実施の形態では、第1気体供給装置100Aの筐体11と、第1気体供給装置100Bの筐体11とが側面の一部を接触させた状態で配置される。そして、第1気体供給装置100Aの気体供給口11Bに接続された第1ダクト30と、第1気体供給装置100Bの気体供給口11Bに接続された第1ダクト30とが平行に延び、互いに側面の一部を接触させた状態で隣り合っている。そして、隣り合う筐体11は、板材等により固定されている。第1気体供給装置100Bの気体供給口11Bは、筐体11の上面の外縁から広がるように、又は、筐体11の上面の外縁に近接して設けられている。
第1気体供給装置100Aの筐体11と第1気体供給装置100Bの筐体11とが接する場合、両装置の振動が抑制され、空気の温度湿度制御の精度が向上し得る。また、複数(図示例では2つ)の第1ダクト30が互いに接する場合、ダクト外部の温度からのダクト内の空気への影響が抑制されるため、ダクト内の空気の状態変化が抑制され、空気の温度湿度制御の精度が向上し得る。なお、第1ダクト30が互いに接する構成を採用する場合、第1ダクト30は角形ダクトのほうが望ましいが、特に限られない。第2気体供給装置200A、200Bも、第1気体供給装置100A、100B側と同様のレイアウト及びダクト接続態様になっており、同様の効果が得られる。
【0093】
以上、本発明の一実施の形態について説明したが、本発明は、上述の実施の形態に限定されるものではない。例えば、上述の実施の形態では本発明が半導体製造プラントに適用されているが、本発明は、その他の製造プラントにも適用され得る。
【0094】
上述の実施の形態では、レジスト膜形成装置2Aと現像装置2Bとに異なる気体供給装置100、200から温度及び湿度が制御された空気が供給される。これに加えて又はこれに代えて、複数の処理装置2は、異なる溶媒を揮発又は乾燥させる互いに異なる処理装置が含まれる場合において、それぞれに別の気体供給装置から気体を供給してもよい。この場合に、異なる処理装置2の一方に気体を供給する気体供給装置の気体の供給量の範囲を、異なる処理装置の他方に気体を供給する気体供給装置の気体の供給量の範囲と異ならせてもよい。
【符号の説明】
【0095】
P1,P2,P3,P4,P5,P6…半導体製造プラント
1…半導体製造システム
2…処理装置
2A…レジスト膜形成装置
2B…現像装置
3…処理室
3A,3B
4…内部ダクト
4A…第1内部ダクト部
4B…第2内部ダクト部
5A…気体導入口
5B…気体導入口
10…熱媒体供給システム
100…第1気体供給装置
11A…気体取込口
11B…気体供給口
11…筐体
12…取込口フィルタ
13…冷却器
14…加熱器
15…加湿器
16…送風機
17…インバータ
18…コントローラ
200…第2気体供給装置
21A…気体取込口
21B…気体供給口
21…筐体
22…取込口フィルタ
23…冷却器
24…加熱器
25…加湿器
26…送風機
27…インバータ
28…コントローラ
30…第1ダクト
40…第2ダクト
UD…鉛直方向
Ca,Cc…気体供給口の中心
Cb,Cd…気体導入口の中心
L1,L2…直線
【要約】
【課題】所定処理が行われる処理室の状態をエネルギー消費量を抑制しつつ所望状態に高精度に制御し易くなる製造プラントの提供。
【解決手段】一実施の形態に係る製造プラントP1は、気体導入口5Aで受け入れた気体を供給される処理室3を有する処理装置2を備えた処理システム1と、気体を気体供給口11Bから供給する気体供給装置100を備えた熱媒体供給システム10と、気体導入口5Aと気体供給口11Bとを接続するダクト30と、を備える。そして、気体供給口11Bの中心と気体導入口5Aの中心とを結んだ直線L1が鉛直方向となす角度が、0度以上45度以下である。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8