IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 大正製薬株式会社の特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-12
(45)【発行日】2022-05-20
(54)【発明の名称】ローション剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/49 20060101AFI20220513BHJP
   A61K 8/24 20060101ALI20220513BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20220513BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20220513BHJP
   A61K 31/506 20060101ALI20220513BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20220513BHJP
   A61K 47/10 20060101ALI20220513BHJP
   A61P 17/14 20060101ALI20220513BHJP
   A61Q 5/00 20060101ALI20220513BHJP
   A61Q 7/00 20060101ALI20220513BHJP
【FI】
A61K8/49
A61K8/24
A61K8/34
A61K9/08
A61K31/506
A61K47/02
A61K47/10
A61P17/14
A61Q5/00
A61Q7/00
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2016055038
(22)【出願日】2016-03-18
(65)【公開番号】P2016204362
(43)【公開日】2016-12-08
【審査請求日】2019-03-06
【審判番号】
【審判請求日】2020-11-18
(31)【優先権主張番号】P 2015065397
(32)【優先日】2015-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2015108403
(32)【優先日】2015-05-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002819
【氏名又は名称】大正製薬株式会社
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 一裕
(72)【発明者】
【氏名】有泉 秀彦
【合議体】
【審判長】森井 隆信
【審判官】井上 典之
【審判官】大久保 元浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-022957(JP,A)
【文献】特開2005-145900(JP,A)
【文献】特表2002-512192(JP,A)
【文献】特開2011-051980(JP,A)
【文献】特開昭62-230710(JP,A)
【文献】特開平10-218737(JP,A)
【文献】特開昭63-045212(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)3w/v%以上のミノキシジル、(b)ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、セトステアリルアルコール、ステアリルアルコール、アラキルアルコール、ベヘニルアルコール、及びデシルテトラデカノールからなる群から選ばれる少なくとも1種の高級アルコール(c)pH調節剤、及び(d)35w/v%以上のエタノール又はイソプロパノールを含有し、前記(b)の含有量が0.05~1.5w/v%であることを特徴とするローション剤(ただし、高級脂肪酸、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油及び多価アルコールを含む発毛剤を除く)
【請求項2】
(c)pH調節剤が、無機酸及びその塩、並びに炭素数が6以下の有機酸及びその塩からなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1に記載のローション剤。
【請求項3】
(b)高級アルコールの含有量が0.1~1.5w/v%である、請求項1に記載のローション剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミノキシジルを有効成分とするローション剤に関する。更に詳細には、ミノキシジル含有ローション剤の適用により生じる使用感の悪さを改善する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ミノキシジルは化学名を6-(1-ピペリジニル)-2,4-ピリミジンジアミン-3-オキサイドと称し、育毛剤としての適応が知られており(特許文献1)、優れた育毛・発毛効果を発揮する薬剤として多数の報告がある。
ミノキシジル含有ローション剤は、頭部に長期間にわたって毎日使用するものであるため、使用感においても優れたローション剤が求められている。ミノキシジルの濃度を高めたローション剤について報告されているが(特許文献2)、特許文献2のローション剤を使用した際、くし通りが悪化し、使用感が悪くなることが課題となっている。
したがって、ミノキシジルを配合したローション剤においてくし通りが良好な製剤が望まれている。
一方、高級アルコールは、乳化安定化剤や起泡剤として、クリーム、乳液、あるいはシャンプーなどの剤型で用いられている(特許文献3~4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許第4139619号明細書
【文献】特開2001-288090号公報
【文献】特開平9-169622号公報
【文献】特表2008-500459号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、くし通りが良好なミノキシジル含有ローション剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、高級アルコールを配合すると、ミノキシジルに起因するくし通りの悪さを改善することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち本発明は、
(1)ミノキシジル、高級アルコール、pH調節剤、及び20w/v%より多くの低級アルコールを含有することを特徴とするローション剤、
(2)pH調節剤が、無機酸及びその塩、並びに炭素数が6以下の有機酸及びその塩からなる群から選ばれる少なくとも1種である、(1)に記載のローション剤、
(3)ミノキシジルの含有量が3w/v%以上である、(1)に記載のローション剤、
(4)高級アルコールの含有量が0.1~10w/v%である、(1)に記載のローション剤、
(5)高級アルコールの含有量が0.1~5w/v%である、(1)に記載のローション剤、
(6)高級アルコールの含有量が0.1~1.5w/v%である、(1)に記載のローション剤、
(7)高級アルコールの炭素数が6~24である、(1)、(4)~(6)のいずれかに記載のローション剤、
(8)高級アルコールが、ジアセトンアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ヘキシルデカノール、セトステアリルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、アラキルアルコール、オクチルドデカノール、ベヘニルアルコール、及びデシルテトラデカノールからなる群から選ばれる少なくとも1種である、(1)、(4)~(7)のいずれかに記載のローション剤、
(9)低級アルコールの含有量が35w/v%以上である、(1)に記載のローション剤、
である。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、くし通りが良好なミノキシジル含有ローション剤を提供することが可能になった。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明によれば、ミノキシジル、高級アルコール、pH調節剤、及び20w/v%より多くの低級アルコールを含有するローション剤は、くし通りが良好なものとなる。
本発明のローション剤において用いるミノキシジルは、通常医薬品に用いられる品質のものを適宜使用することができる。また、本発明によれば、ミノキシジルの含有量が多くなるにつれくし通りの課題が大きくなるため、ローション剤中におけるミノキシジルの濃度が高いほど、本発明を実施する意義が大きい。具体的には、本発明のローション剤中1w/v%以上が好ましく、より好ましくは3w/v%以上であり、更に好ましくは5w/v%以上である。
【0009】
さらに、ミノキシジルとpH調節剤の両方を配合すると、さらにくし通りが悪化することもわかった。しかしながら、高級アルコールの配合によって、本発明のローション剤はくし通りが良好なものとなる。本発明のローション剤において用いるpH調節剤としては、本発明のローション剤の液性を7以下に調節する成分が好ましく、無機酸又はその塩もしくは炭素数が6以下の有機酸又はその塩が挙げられる。具体的にはリン酸、クエン酸、乳酸、酒石酸、塩酸、酢酸、ホウ酸、グルコン酸、硫酸、リンゴ酸、マレイン酸、アジピン酸、コハク酸等が挙げられ、好ましくはリン酸、クエン酸、乳酸、酒石酸である。これらpH調節剤を1種又は2種以上組み合わせてもよい。
【0010】
また、本発明のローション剤は、主薬成分のミノキシジルの安定性、使用時の肌への刺激感、薬物の浸透性、使用感等の点から、そのpHを4~9.5の範囲に調整することが好ましく、5~7の範囲がさらに好ましい。
【0011】
本発明のローション剤において用いる高級アルコールとしては、炭素数6~36の高級アルコールが好ましく、例えばカプロイルアルコール、カプリリルアルコール、カプリルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、アラキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナービルアルコール、セリルアルコール、コリヤニルアルコール、ミリシルアルコール、メリシルアルコール、ラクセリルアルコール、ヘプタノール、ノナノール、ウンデカノール、トリデカノール、ペンタデカノール、ヘプタデカノール、ノナデカノール、ヘンイコサノール、トリコサノール、ペンタコサノール、ヘプタコサノール、ノナコサノール、トリトリアコンタノール、テトラトリアコンタノール、ペンタトリアコンタノール、ヘプタトリアコンタノール、ジアセトンアルコール、ラノリンアルコール、セトステアリルアルコール、ヘキシルデカノール、イソセチルアルコール、オレイルアルコール、エライジルアルコール、イソステアリルアルコール、オクチルデカノール、オクチルドデカノール、デシルテトラデカノール、ドデシルヘキサデカノール、テトラデシルオクタデカノール、テトラデシルエイコサノール等が挙げられる。このうち、炭素数が6~24のジアセトンアルコール、カプロイルアルコール、カプリリルアルコール、カプリルアルコール、ラウリルアルコール、トリデカノール、ミリスチルアルコール、ペンタデカノール、セチルアルコール、ヘキシルデカノール、イソセチルアルコール、セトステアリルアルコール、ヘプタデカノール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール、オクチルデカノール、ノナデカノール、アラキルアルコール、オクチルドデカノール、ヘンイコサノール、ベヘニルアルコール、デシルテトラデカノールがより好ましく、そのうち、ジアセトンアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ヘキシルデカノール、セトステアリルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、アラキルアルコール、オクチルドデカノール、ベヘニルアルコール、デシルテトラデカノールがさらに好ましい。本発明の高級アルコールは、1種又は2種以上組み合わせて使用しても良い。また、本発明の高級アルコールは、1気圧、20℃で液状又は固形状のどちらを使用してもよい。1気圧、20℃で液状の高級アルコールとしては、例えば、ジアセトンアルコール、ヘキシルデカノール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、オクチルドデカノール等が挙げられ、1気圧、20℃で固形状の高級アルコールとしては、例えばラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、セトステアリルアルコール、ステアリルアルコール、アラキルアルコール、ベヘニルアルコール、デシルテトラデカノール等が挙げられる。高級アルコールの含有量は、本発明の効果の点からローション剤中0.05~10w/v%が好ましく、0.1~5w/v%がより好ましく、0.25~2w/v%が更に好ましい。なお、固形状の高級アルコールを使用する場合は、ローション剤中2w/v%以上配合すると析出物が発生する場合があるため、上限は1.5w/v%が好ましい。
【0012】
本発明のローション剤において用いる低級アルコールとしては、炭素数1~5のものが好ましく、例えばエタノールやイソプロパノールなどが好ましく、これらを組み合わせて使用しても良い。本発明のローション剤中の低級アルコールの含有量は、全組成物中20w/v%より多くする必要がある。好ましくは35w/v%以上であり、更に好ましくは50w/v%以上である。含有量が20w/v%以下であると、本発明のローション剤を調製することができないからである。
【0013】
本発明のローション剤は、更に必要により多価アルコールや水を配合することができる。多価アルコールの例としては、1,3-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等が挙げられ、これらを1種又は2種以上組み合わせてもよい。多価アルコールの配合量は、全組成物中好ましくは2~55w/v%であり、より好ましくは5~35w/v%である。水の配合量は、2~75w/v%が好ましく、より好ましくは5~50w/v%である。
【0014】
本発明のローション剤は、更に必要により高級脂肪酸を配合することができる。高級脂肪酸の例としては、炭素数10~22のものが好ましく、例えばイソステアリン酸、オレイン酸、ステアリン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エライジン酸、アラキジン酸、アラキドン酸、ベヘン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸等が挙げられ、これらを1種又は2種以上組み合わせてもよい。このうち、炭素数18のものが好ましく、特にイソステアリン酸又はオレイン酸が好ましい。高級脂肪酸の配合量は、全組成物中好ましくは0.1~10w/v%であり、より好ましくは1~6w/v%である。
【0015】
本発明のローション剤は、更に必要により界面活性剤を配合することができる。しかしながら、界面活性剤の添加は、使用感やミノキシジルの皮膚吸収に影響を与える可能性があり、本発明のローション剤では、界面活性剤を配合しなくても充分なくし通り改善効果が得られるため、実質的に界面活性剤を含まないものとすることが好ましい。
【0016】
本発明のローション剤は、上記した各成分の他に、本発明の効果を損なわない範囲で、必要な活性成分や補助成分を加えることができる。本発明のローション剤に添加、配合することが好ましい薬効成分としては、メントール、ビタミンEアセテート、パントテニルエチルエーテル、ヒノキチオール、塩酸ピリドキシン、グリチルレチン酸、塩酸ジフェンヒドラミン、パンテノールから成る群より選ばれた成分が挙げられる。
これら選択成分の添加量は、特に制約はなく、使用感やミノキシジルの安定性あるいは溶剤系組成等を考慮しながら実験的に定めることができる。
【0017】
本発明のローション剤においては、上記した成分の他、本発明の効果を損なわない範囲で、一般の外用剤に用いられる種々の活性成分や補助成分を配合することができる。例えば、賦形剤、育毛成分(6-ベンジルアミノプリン、アデノシン、ペンタデカン酸グリセリド、何首鳥等)、血管拡張剤(塩化カルプロニウム、ニコチン酸ベンジル、センブリ抽出液、オタネニンジンエキス、チクセツニンジンチンキ、トウガラシチンキ等)、抗ヒスタミン剤(塩酸イソチペンジル等)、抗炎症剤(グアイアズレン等)、角質溶解剤(尿素、サリチル酸等)、殺菌剤(グルコン酸クロルヘキシジン、イソプロピルメチルフェノール、第4級アンモニウム塩、ピロクトンオラミン等)、保湿剤(ヒアルロン酸又はその塩、コンドロイチン硫酸等)、各種動植物(イチイ、ボタンピ、カンゾウ、オトギリソウ、附子、ビワ、カワラヨモギ、コンフリー、アシタバ、サフラン、サンシシ、ローズマリー、セージ、モッコウ、セイモッコウ、ホップ、プラセンタ、ノコギリヤシ、パンプキンシード等)の抽出物、ビタミン類(酢酸レチノール、アスコルビン酸、硝酸チアミン、シアノコバラミン、ビオチン等)、抗酸化剤(ジブチルヒドロキシトルエン、ピロ亜硫酸ナトリウム、トコフェロール、エデト酸ナトリウム、アスコルビン酸、イソプロピルガレート等)、溶解補助剤(アジピン酸ジイソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、各種植物油、各種動物油、アルキルグリセリルエーテル、炭化水素類等)、代謝賦活剤、ゲル化剤(水溶性高分子等)、粘着剤、香料、清涼化剤(ハッカ油、カンフル等)、染料等の通常使用される成分を配合することができる。
【0018】
本発明のローション剤の調製は、常法に従い、上記各成分を含有することにより調製される。
【0019】
かくして得られる本発明のローション剤は、頭髪用剤、睫毛用剤、眉毛用剤等の皮膚適用製剤等として使用することができる。
【0020】
以下に、実施例、比較例及び試験例を記載し、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例等により何ら制約されるものではない。
【実施例
【0021】
(実施例1)
ミノキシジル5g、1,3-ブチレングリコール30g、セチルアルコール0.25g、エタノール35g、リン酸適量、精製水で全量を100mLとし、撹拌溶解してpH5.9のローション剤を得た。
【0022】
(実施例2)
ミノキシジル5g、1,3-ブチレングリコール10g、ステアリルアルコール0.1g、エタノール67g、リン酸適量、精製水で全量を100mLとし、撹拌溶解してpH6.4のローション剤を得た。
【0023】
(実施例3)
ミノキシジル5g、1,3-ブチレングリコール10g、ミリスチルアルコール0.1g、エタノール67g、リン酸適量、精製水で全量を100mLとし、撹拌溶解してpH6.4のローション剤を得た。
【0024】
(実施例4)
ミノキシジル5g、1,3-ブチレングリコール10g、ベヘニルアルコール0.1g、エタノール67g、リン酸適量、精製水で全量を100mLとし、撹拌溶解してpH6.3のローション剤を得た。
【0025】
(実施例5)
ミノキシジル5g、1,3-ブチレングリコール10g、オレイルアルコール0.1g、エタノール67g、リン酸適量、精製水で全量を100mLとし、撹拌溶解してpH6.4のローション剤を得た。
【0026】
(実施例6)
ミノキシジル5g、1,3-ブチレングリコール10g、セチルアルコール0.1g、エタノール60g、リン酸適量、精製水で全量を100mLとし、撹拌溶解してpH6.2のローション剤を得た。
【0027】
(実施例7)
ミノキシジル5g、1,3-ブチレングリコール10g、セチルアルコール0.25g、エタノール60g、リン酸適量、精製水で全量を100mLとし、撹拌溶解してpH6.2のローション剤を得た。
【0028】
(実施例8)
ミノキシジル5g、1,3-ブチレングリコール10g、セチルアルコール0.5g、エタノール60g、リン酸適量、精製水で全量を100mLとし、撹拌溶解してpH6.2のローション剤を得た。
【0029】
(実施例9)
ミノキシジル5g、1,3-ブチレングリコール10g、セチルアルコール1.5g、エタノール67g、リン酸適量、精製水で全量を100mLとし、撹拌溶解してpH6.4のローション剤を得た。
【0030】
(実施例10)
ミノキシジル5g、1,3-ブチレングリコール10g、セチルアルコール2g、エタノール67g、リン酸適量、精製水で全量を100mLとし、撹拌溶解してpH6.5のローション剤を得た。
【0031】
(実施例11)
ミノキシジル5g、1,3-ブチレングリコール10g、オレイルアルコール5g、エタノール56g、リン酸適量、精製水で全量を100mLとし、撹拌溶解してpH6.2のローション剤を得た。
【0032】
(実施例12)
ミノキシジル5g、1,3-ブチレングリコール10g、オレイルアルコール10g、エタノール51g、リン酸適量、精製水で全量を100mLとし、撹拌溶解してpH6.2のローション剤を得た。
【0033】
(実施例13)
ミノキシジル5g、1,3-ブチレングリコール10g、アラキルアルコール0.1g、エタノール67g、リン酸適量、精製水で全量を100mLとし、撹拌溶解してpH6.3のローション剤を得た。
【0034】
(実施例14)
ミノキシジル5g、1,3-ブチレングリコール10g、オクチルドデカノール0.1g、エタノール67g、リン酸適量、精製水で全量を100mLとし、撹拌溶解してpH6.5のローション剤を得た。
【0035】
(実施例15)
ミノキシジル5g、1,3-ブチレングリコール10g、デシルテトラデカノール0.1g、エタノール67g、リン酸適量、精製水で全量を100mLとし、撹拌溶解してpH6.4のローション剤を得た。
【0036】
(実施例16)
ミノキシジル5g、1,3-ブチレングリコール10g、ラウリルアルコール0.1g、エタノール67g、リン酸適量、精製水で全量を100mLとし、撹拌溶解してpH6.4のローション剤を得た。
【0037】
(実施例17)
ミノキシジル5g、1,3-ブチレングリコール10g、ジアセトンアルコール0.1g、エタノール67g、リン酸適量、精製水で全量を100mLとし、撹拌溶解してpH6.4のローション剤を得た。
【0038】
(実施例18)
ミノキシジル5g、1,3-ブチレングリコール10g、イソステアリルアルコール0.1g、エタノール67g、リン酸適量、精製水で全量を100mLとし、撹拌溶解してpH6.4のローション剤を得た。
【0039】
(実施例19)
ミノキシジル5g、1,3-ブチレングリコール10g、ヘキシルデカノール0.1g、エタノール67g、リン酸適量、精製水で全量を100mLとし、撹拌溶解してpH6.4のローション剤を得た。
【0040】
(比較例1)
ミノキシジル5g、1,3-ブチレングリコール10g、エタノール60g、リン酸適量、精製水で全量を100mLとし、撹拌溶解してpH6.2のローション剤を得た。
【0041】
(比較例2)
ミノキシジル5g、1,3-ブチレングリコール30g、セチルアルコール0.25g、エタノール18g、リン酸適量、精製水で全量を100mLとし、撹拌溶解してローション剤を得た。
【0042】
(処方例)
ミノキシジル5g、1,3-ブチレングリコール3g、プロピレングリコール3g、ジプロピレングリコール3g、グリセリン3g、セチルアルコール0.5g、エタノール50g、l-メントール0.3g、塩酸ピリドキシン0.05g、ビタミンEアセテート0.08g、パントテニルエチルエーテル1g、パンテノール1g、塩化カルプロニウム2g、グリチルレチン酸0.1g、塩酸ジフェンヒドラミン0.1g、ヒノキチオール0.05g、サリチル酸0.2g、抗酸化剤適量、リン酸適量、精製水で全量を100mLとし、撹拌溶解してローション剤を得た。
【0043】
実施例1~19及び比較例1~2の処方を表1~3に示す。
【0044】
【表1】
【0045】
【表2】
【0046】
【表3】
【0047】
<試験例1:くし通り試験>
実施例1~実施例19及び比較例1に関し、頭髪模型(Beaulax社製)の頭部にローション剤1mL/25cmを塗布し、12時間から20時間後にくし通りを評価した。評価は、1(くし通りに抵抗がない)、2(くし通りにほとんど抵抗がない)、3(くし通りに抵抗がある)、4(くし通りにかなり抵抗がある)の4段階とし、2回評価した平均値が2以下のものを◎、2より大きく3以下のものを○、3より大きいものを×とした。結果を表4~5に示す。
【0048】
【表4】
【0049】
【表5】
【0050】
表4~5から明らかなように、比較例1のくし通りスコアの平均値が4と著しくくし通りが悪かったが、実施例1~実施例19のくし通りスコアの平均値は、意外にも3以下であり、高級アルコールを配合することにより、比較例と比べてくし通りが改善した。
【0051】
<試験例2:ローション剤の調製試験>
実施例1~実施例19及び比較例2に関し、ローションの調製試験を実施した。配合成分全てが溶解したものを○、溶解しない成分があったものを×とした。結果を表6~7に示す。
【0052】
【表6】
【0053】
【表7】
【0054】
表6~7から明らかなように、エタノールが18gしか含まれない比較例2は、セチルアルコールを全て溶解することができなかった。一方、実施例1~実施例19のローション剤は、配合成分が全て溶解し、析出物のない澄明なローション剤が得られた。また、実施例10に関しては、数時間後に高級アルコール様の析出がわずかに認められたため、固形状の高級アルコールは1.5%までがより好ましい結果となった。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明により、ミノキシジル含有ローション剤において、くし通りが良好なミノキシジル含有ローション剤を提供することが可能になった。