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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-12
(45)【発行日】2022-05-20
(54)【発明の名称】油冷式圧縮機
(51)【国際特許分類】
   F04C 18/16 20060101AFI20220513BHJP
   F04C 29/02 20060101ALI20220513BHJP
【FI】
F04C18/16 A
F04C29/02 311K
F04C29/02 351D
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2017103027
(22)【出願日】2017-05-24
(65)【公開番号】P2018197531
(43)【公開日】2018-12-13
【審査請求日】2019-09-30
【審判番号】
【審判請求日】2021-04-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000001199
【氏名又は名称】株式会社神戸製鋼所
(73)【特許権者】
【識別番号】521362885
【氏名又は名称】コベルコ・コンプレッサ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【弁理士】
【氏名又は名称】前堀 義之
(74)【代理人】
【識別番号】100218132
【弁理士】
【氏名又は名称】近田 暢朗
(72)【発明者】
【氏名】今城 貴徳
(72)【発明者】
【氏名】田中 孝二
(72)【発明者】
【氏名】藤澤 亮
【合議体】
【審判長】佐々木 芳枝
【審判官】田合 弘幸
【審判官】塩澤 正和
(56)【参考文献】
【文献】特開昭52-134116(JP,A)
【文献】特開昭60-237183(JP,A)
【文献】特開2002-349462(JP,A)
【文献】特開2013-32728(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04C 18/08-18/28
F04C 23/00-29/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
雄雌一対のスクリュロータが収容されたロータ室と、それぞれ前記ロータ室と連通する吸込口と吐出口とを有するケーシングを備えた圧縮機本体と、
前記圧縮機本体の前記ロータ室に油を供給する給油装置と
を備え、
前記給油装置は、
空気が供給される気体供給口と、前記油が供給される油供給口と、前記気体供給口に供給された前記空気と前記油供給口に供給された前記油とが混合されて噴射される噴射口とを有する二流体ノズルを備え、
前記圧縮機本体の前記吐出口に流体的に接続され、前記吐出口から吐出された圧縮空気から油を分離する油分離装置を含む吐出流路と、
前記油分離装置と前記給油装置とを流体的に接続する給油流路と、
をさらに備え
前記油供給口は、前記給油流路に流体的に接続されており、
前記油分離装置よりも下流の前記吐出流路には、前記吐出流路を流れる圧縮空気を冷却するアフタークーラが設けられ、
前記アフタークーラよりも下流の前記吐出流路と前記二流体ノズルの前記気体供給口とを流体的に接続する戻り流路をさらに備える、油冷式圧縮機。
【請求項2】
前記油分離装置は、
前記圧縮機本体の前記吐出口から吐出された圧縮空気から油を一次分離し、一次分離された油を溜める一次貯留部と、
前記一次貯留部を通過した圧縮空気から油を二次分離するための油分離エレメントと
を備え、
前記油分離エレメントと前記二流体ノズルの前記気体供給口とを流体的に接続する戻り流路をさらに備える、請求項1に記載の油冷式圧縮機。
【請求項3】
前記給油装置の前記噴射口は、前記圧縮機本体の圧縮開始位置と圧縮終了位置との間の前記ロータ室に連通している、請求項1又は2のいずれか1項に記載の油冷式圧縮機。
【請求項4】
前記噴射口は、細長いスリット状であり、前記スクリュロータの長軸に対して、前記スクリュロータのねじれ角度と実質的に同一の角度で傾斜するように配置されている、請求項1から3のいずれか1項に記載の油冷式圧縮機。
【請求項5】
前記噴射口は、一列に並んで配置された複数の穴部を有し、前記スクリュロータの長軸に対して、前記スクリュロータのねじれ角度と実質的に同一の角度で傾斜するように配置されている、請求項1から3のいずれか1項に記載の油冷式圧縮機。
【請求項6】
前記給油装置は、一流体ノズルをさらに備える、請求項1から5のいずれか1項に記載の油冷式圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油冷式圧縮機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の油冷式圧縮機の給油機構は、潤滑油を霧化状噴射する超音波霧化機構を備えている。潤滑油を霧状に微細化することで、圧縮空気と接触する油滴の全表面積を増加させ、圧縮空気の冷却効率の向上を図ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平11-336683号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1のような超音波霧化機構は、ノズル噴射式の油供給機構と比較して、霧状に微細化できる油の量が少ない。このため、圧縮空気が十分に冷却されず、駆動に必要な動力が却って増加することがある。
【0005】
本発明は、駆動に必要な動力を低減できる油冷式圧縮機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、雄雌一対のスクリュロータが収容されたロータ室と、それぞれ前記ロータ室と連通する吸込口と吐出口とを有するケーシングを備えた圧縮機本体と、前記圧縮機本体の前記ロータ室に油を供給する給油装置とを備え、前記給油装置は、気体が供給される気体供給口と、前記油が供給される油供給口と、前記気体供給口に供給された前記気体と前記油供給口に供給された前記油とが混合されて噴射される噴射口とを有する二流体ノズルを備え、前記圧縮機本体の前記吐出口に流体的に接続され、前記吐出口から吐出された圧縮空気から油を分離する油分離装置を含む吐出流路と、前記油分離装置と前記給油装置とを流体的に接続する給油流路と、をさらに備え、前記油供給口は、前記給油流路に流体的に接続されており、前記油分離装置よりも下流の前記吐出流路には、前記吐出流路を流れる圧縮空気を冷却するアフタークーラが設けられ、前記アフタークーラよりも下流の前記吐出流路と前記二流体ノズルの前記気体供給口とを流体的に接続する戻り流路をさらに備える、油冷式圧縮機を提供する。


【0007】
二流体ノズルを使用すると、一流体ノズルのような他のノズル噴射式の油供給機構を使用する場合と比較して、より微細な油滴を生成できるため、噴射される油滴の表面積及び油滴数を増加できる。油滴の表面積が増加することで、油滴と圧縮空気との熱交換が促進され、圧縮空気の冷却が促進される。このため、圧縮過程が、断熱過程から等温過程に近づき、圧縮機の駆動に必要な動力を低減できる。また、油滴数が増加することで、油滴が広範囲に拡散され、スクリュロータ間及びスクリュロータとケーシングの間のシール性が向上する。このため、スクリュロータ間での圧縮空気の漏れによる風量の低下を防止でき、スクリュロータとケーシングの間から内部漏れしたガスの再圧縮による動力の増加を防止できる。さらに、二流体ノズルは、超音波霧化機構と比較すると、圧電振動子のような駆動要素を必要としないため、構造を単純化できる。
【0009】
前記油分離装置は、前記圧縮機本体の前記吐出口から吐出された圧縮空気から油を一次分離し、一次分離された油を溜める一次貯留部と、前記一次貯留部を通過した圧縮空気から油を二次分離するための油分離エレメントとを備えてもよく、前記油分離エレメントと前記二流体ノズルの前記気体供給口とを流体的に接続する戻り流路をさらに備えてもよい。
【0010】
この構成によれば、戻り流路を流れる圧縮空気を二流体ノズルで油の微粒化に使用する圧縮空気として使用できる。このため、圧縮空気供給源を別途用意する必要がなく、圧縮機の駆動に必要な動力を低減できる。
【0012】
前記給油装置の前記噴射口は、前記圧縮機本体の圧縮開始位置と圧縮終了位置との間の前記ロータ室に連通していてもよい。
【0013】
前記噴射口は、細長いスリット状であってもよく、前記スクリュロータの長軸に対して、前記スクリュロータのねじれ角度と実質的に同一の角度で傾斜するように配置されていてもよい。
【0014】
この構成によれば、二流体ノズルの噴射口を細長いスリット状とすることで、油滴を広範囲にわたって均一に油を噴射できる。このため、スクリュロータ間及びスクリュロータとケーシングの間のシール性を向上でき、圧縮機本体の駆動に必要な動力を低減できる。また、二流体ノズルの噴射口をスクリュロータの歯と平行に並べることで、噴射口が圧力の異なる複数の歯溝を連通しない。このため、給油装置を介して、圧縮途中の空気が漏れることを防止できる。
【0015】
前記噴射口は、一列に並んで配置された複数の穴部を有してもよく、前記スクリュロータの長軸に対して、前記スクリュロータのねじれ角度と実質的に同一の角度で傾斜するように配置されていてもよい。
【0016】
前記給油装置は、一流体ノズルをさらに備えてもよい。
【0017】
一流体ノズルは、二流体ノズルと比較して噴射可能な油滴の量が多いため、二流体ノズルに加えて一流体ノズルを備えることで、圧縮空気の冷却を促進できる。このため、圧縮機の駆動に必要な動力を低減できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の油冷式圧縮機では、駆動に必要な動力を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の第1実施形態に係る油冷式圧縮機に係る系統図。
図2】スクリュロータと二流体ノズルの配置を示す圧縮機本体の模式的な側方断面図。
図3図2のIII-III線断面図。
図4】圧縮過程のP-V線図。
図5】第1実施形態の変形例を示す図1と同様の系統図。
図6】第1実施形態の他の変形例を示す図1と同様の系統図。
図7】本発明の第2実施形態に係る図3と同様の断面図。
図8】本発明の第3実施形態に係る図3と同様の断面図。
図9】本発明の第4実施形態に係る図2と同様の断面図。
図10図9のX-X線断面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態に係る油冷式圧縮機1を図1から図3を参照して説明する。
【0021】
図1を参照すると、本発明の油冷式圧縮機1は、圧縮機本体10と、圧縮機本体10に流体的に接続されている吐出流路20とを備える。吐出流路20には、油分離装置30と、アフタークーラ21が設けられている。吐出流路20の内部には、主に圧縮空気が流れている。また、油冷式圧縮機1は、給油装置40と、油分離装置30と給油装置40とを流体的に接続する給油流路50とを備える。給油流路50には、油フィルタ51と、油冷却器52とが設けられている。油冷式圧縮機1は、吐出流路20と給油装置40とを流体的に接続する戻り流路60を備える。具体的には、戻り流路60は、後述するように、油分離装置30に設けられた二次貯留部33と給油装置40とを流体的に接続している。
【0022】
(吐出流路)
吸い込まれた空気は、圧縮機本体10で圧縮され、吐出流路20を通り、図示しない供給先へと供給される。吐出流路20では、圧縮空気は、油分離装置30で油を除去され、アフタークーラ21で冷却される。
【0023】
圧縮機本体10は、図2及び図3を併せて参照すると、螺旋状の歯を有して互いに噛み合う雄雌一対のスクリュロータ11A,11Bと、雄雌一対のスクリュロータ11A,11Bを収容するケーシング12と、雄側のスクリュロータ11Aを駆動させるためのモータ13とを備える。
【0024】
雄雌一対のスクリュロータ11A,11Bの両端は、ケーシング12に設けられた軸受14で回転可能に支持されている。雄雌一対のスクリュロータ11A,11Bは、雄雌一対のスクリュロータ11A,11Bの軸方向Cと直交する方向に並んで配置されている。
【0025】
ケーシング12は、圧縮機本体10の吸い込み側に設けられた吸込口15と、雄雌一対のスクリュロータ11A,11Bを収容するためのロータ室16と、圧縮機本体10の吐き出し側に設けられた吐出口17とを備えている。ロータ室16と、雄雌一対のスクリュロータ11A,11Bとによって、圧縮室が画定されている。
【0026】
図1を参照すると、モータ13は、雄側のスクリュロータ11Aに連結されており、雄側のスクリュロータ11Aを回転駆動させる。雄側のスクリュロータ11Aが回転すると、雌側のスクリュロータ11Bの歯が雄側のスクリュロータ11Aの歯に押されることで、雌側のスクリュロータ11Bは、雄側のスクリュロータ11Aと共に回転する。圧縮機本体10は、モータ13により駆動されると、吸込口15より空気を吸引し、圧縮して吐出口17より吐出流路20に吐出する。
【0027】
油分離装置30は、圧縮機本体10から吐出された圧縮空気に含まれている油を除去する。油分離装置30は、圧縮空気から油を一次分離し、一次分離された油を溜める一次貯留部31と、一次貯留部31を通過した圧縮空気から油を二次分離する油分離エレメント32と、二次分離された油を溜める二次貯留部33とを備える。一次分離は、圧縮空気を旋回流とすることで、圧縮空気に含まれる油を遠心分離することで行われる。一次分離された油は、油分離装置30の下部の一次貯留部31に溜められる。二次分離は、一次分離により油が除去された圧縮空気が、濾過フィルタのような油分離エレメント32を通過し、油が濾過分離されることで行われる。二次分離された油は、二次貯留部33に溜められる。
【0028】
アフタークーラ21は、吐出流路20に設けられており、圧縮機本体10で発生した圧縮熱を回収する。油分離装置30を通過した圧縮空気は、アフタークーラ21によって冷却され、図示しない供給先へと輸送される。
【0029】
(給油流路)
図1を参照すると、圧縮機本体10の潤滑、冷却、及び封止に使用された油は、圧縮機本体10の吐出口17から圧縮空気と共に吐出され、吐出流路20を通り油分離装置30に供給される。その後、油分離装置30によって一次分離され、一次貯留部31に溜められた油は、給油流路50を通り、給油装置40へ回収される。そして、給油装置40により再び圧縮機本体10へと供給される。すなわち、油は、油冷式圧縮機1の内部で循環して使用されている。
【0030】
図2及び図3を参照すると、本実施形態の給油装置40は、内部混合型の二流体ノズル41を備える。二流体ノズル41は、油供給口41aと、気体供給口41bと、混合室41cと、噴射口41dとを備える。油供給口41a、気体供給口41b、混合室41c、及び噴射口41dは、連通している。二流体ノズル41は、油供給口41aから供給された油と、気体供給口41bから供給された圧縮空気とを、混合室41cで混合し、噴射口41dより噴射する。油供給口41aから供給された油は、気体供給口41bから供給された圧縮空気と衝突することで微細化される。図2に示すように、二流体ノズル41の噴射口41dは、圧縮機本体10のロータ室16に連通している。図3に示すように、本実施形態の二流体ノズル41の噴射口41dの形状は、円形である。二流体ノズル41は、噴射口41dが圧縮機本体10の圧縮開始位置X1と圧縮終了位置X2との間に配置され、油滴の噴射方向がスクリュロータ11A,11Bの軸方向Cと垂直になるように配置されている。
【0031】
図1を参照すると、給油流路50は、油分離装置30の一次貯留部31と、二流体ノズル41の油供給口41aとを連通している。給油流路50は、油フィルタ51と、油冷却器52とを備える。油フィルタ51は、油以外の不純物を除去し、油冷却器52は、油を冷却する。
【0032】
(戻り流路)
戻り流路60は、給油装置40の二流体ノズル41の気体供給口41bに圧縮空気を輸送する。さらに、油分離装置30の油分離エレメント32で二次分離された油は、二次貯留部33に溜められ、本実施形態の戻り流路60は、当該油を給油装置40へ輸送する。(この戻り流路60内を流れる流体は、大部分が圧縮空気であり、油分離エレメント32で二次分離された油も少量流れる。)つまり、戻り流路60は、油分離エレメント32と、二流体ノズルの気体供給口41bとを流体的に接続する。給油装置40は、油分離装置30と比較して低圧であるため、油分離装置30を通る圧縮空気は、戻り流路60の内部に流れ込み、二流体ノズル41の気体供給口41bへと供給される。
【0033】
前述したように、二流体ノズル41では、気体供給口41bから供給された圧縮空気を油に衝突させることで、油を微細化する。このため、二流体ノズル41を使用すると、一流体ノズルのような他のノズル噴射式の油供給機構を使用する場合と比較して、より微細な油滴を生成でき、噴射される油滴の表面積及び油滴数を増加できる。油滴の表面積が増加することで、油滴と圧縮空気との熱交換が促進され、圧縮空気の冷却が促進される。このため、図4に示すように圧縮過程が、断熱過程から等温過程に近づき、圧縮機の駆動に必要な動力を低減できる。また、油滴数が増加することで、油滴が広範囲に拡散され、雄雌一対のスクリュロータ11A,11B間及びスクリュロータ11A,11Bとケーシング12の間のシール性が向上する。このため、雄雌一対のスクリュロータ11A,11B間での圧縮空気の漏れによる風量の低下を防止でき、スクリュロータ11A,11Bとケーシング12の間から内部漏れしたガスの再圧縮による動力の増加を防止できる。さらに、二流体ノズル41は、超音波霧化機構と比較すると、圧電振動子のような駆動要素を必要としないため、構造を単純化できる。
【0034】
二流体ノズル41の気体供給口41bは、戻り流路60によって油分離エレメント32と流体的に接続されており、戻り流路60を流れる圧縮空気を二流体ノズル41で油の微細化に使用する圧縮空気として使用できる。このため、圧縮空気供給源を別途用意する必要がなく、油冷式圧縮機1の駆動に必要な動力を低減できる。
【0035】
以下、図5及び図6を参照して、本実施形態の変形例を説明する。
【0036】
図5に示す変形例では、戻り流路60は、油分離装置30とアフタークーラ21の間の吐出流路20と、二流体ノズル41の気体供給口41bとを流体的に接続している。本変形例の戻り流路60の内部には、油分離装置30によって油が除去された圧縮空気が流れている。この場合、二次貯留部33と圧縮機本体10は、戻り流路61によって流体的に接続されている。二次貯留部33に溜められた油は、戻り流路61を経由して圧縮機本体10の圧縮開始前の吸込歯溝、又は給油側より低圧の圧縮途中の歯溝等に戻される。
【0037】
図6に示す変形例では、戻り流路60は、アフタークーラ21の下流の吐出流路20と、二流体ノズル41の気体供給口41bとを流体的に接続している。本変形例の戻り流路60の内部には、油分離装置30によって油が除去され、アフタークーラ21で冷却された圧縮空気が流れている。この場合、二次貯留部33と圧縮機本体10は、戻り流路61によって流体的に接続されている。二次貯留部33に溜められた油は、戻り流路61を経由して圧縮機本体10の圧縮開始前の吸込歯溝、又は給油側より低圧の圧縮途中の歯溝等に戻される。
【0038】
以下に説明する第2実施形態及び第3実施形態では、第1実施形態と同一ないし同様の要素には、同一の参照符号を付して、その詳細な説明は省略する。さらに、これらの実施形態では、特に言及する点を除いて、第1実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0039】
(第2実施形態)
図7を参照すると、本実施形態の二流体ノズル41の噴射口41dは、細長いスリット状である。本実施形態の二流体ノズル41の噴射口41dは、スクリュロータ11A,11Bの軸方向Cに対して傾斜して配置されている。具体的には、スクリュロータ11A,11Bの軸方向Cと噴射口41dの長軸方向D1のなす角度(傾斜角度)A1は、スクリュロータ11A,11Bの軸方向Cとスクリュロータ11A,11Bの歯のなす角度(ねじれ角度)A2と実質的に等しい。すなわち、二流体ノズル41は、噴射口41dとスクリュロータ11A,11Bの歯が平行になるように配置されている。
【0040】
二流体ノズル41の噴射口41dを細長い形状とすることで、油滴を広範囲にわたって均一に油を噴射できる。このため、スクリュロータ11A,11B間のシール性を向上でき、圧縮機本体10の駆動に必要な動力を低減できる。
【0041】
また、二流体ノズル41の噴射口41dをスクリュロータ11A,11Bの歯と平行に並べることで、噴射口41dは、圧力の異なる複数の歯溝を連通しない。このため、給油装置40を介して、圧縮途中の空気が漏れることを防止できる。
【0042】
(第3実施形態)
図8を参照すると本実施形態の二流体ノズル41の噴射口41dは、一列に並んだ複数の穴部を有している。スクリュロータ11A,11Bの軸方向Cと複数の穴部が並ぶ方向D2(整列方向)のなす角度(傾斜角度)A3は、スクリュロータ11A,11Bのねじれ角度A2と実質的に等しい。すなわち、噴射口41dの複数の穴部は、スクリュロータ11A,11Bの歯と平行に並んでいる。
【0043】
二流体ノズル41の噴射口41dが一列に並んだ複数の穴部を有することで、油滴を広範囲にわたって均一に油を噴射できる。このため、スクリュロータ11A,11B間のシール性を向上でき、圧縮機本体10の駆動に必要な動力を低減できる。
【0044】
また、二流体ノズル41の噴射口41dの複数の穴部をスクリュロータ11A,11Bの歯と平行に並べることで、噴射口41dは、圧力の異なる複数の歯溝を連通しない。このため、給油装置40を介して、圧縮途中の空気が漏れることを防止できる。
【0045】
(第4実施形態)
図9及び図10を参照すると、本実施形態の給油装置40は、二流体ノズル41と、一流体ノズルと42を備える。本実施形態の二流体ノズル41の噴射口41dは、細長いスリット状である。二流体ノズル41は、噴射口41dとスクリュロータ11A,11Bの歯が平行になるように配置されている。一流体ノズル42は、油供給口42aと噴射口42bとを備えており、油供給口42aは、給油流路50と流体的に接続されている。一流体ノズル42の噴射口42bの形状は、円形である。一流体ノズル42は、噴射方向がスクリュロータ11A,11Bの軸方向Cと垂直であるように配置されている。給油装置40は、一流体ノズル42の噴射口42b及び二流体ノズル41の噴射口41dが圧縮機本体10の圧縮開始位置X1と圧縮終了位置X2との間に配置されるように配置されている。
【0046】
液体のみを噴射する一流体ノズル42は、油と圧縮空気とを噴射する二流体ノズル41と比較して、噴射口の単位断面積当たりの油の供給量が多い。このため、供給可能な油量を増加でき、圧縮空気の冷却を促進できるため、圧縮機の駆動に必要な動力を低減できる。
【0047】
以上、本発明を好適な実施形態により説明してきたが、本発明は特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲において、種々の変更が可能である。
【0048】
例えば、二流体ノズル41は、外部混合型であってもよく、衝突型であってもよい。
【0049】
給油装置40の噴射方向は、スクリュロータ11A,11Bの軸方向Cに対して垂直な方向(軸垂直方向)に限定されず、軸垂直方向に対して傾斜していてもよい。
【0050】
一流体ノズル42の噴射口42b及び二流体ノズル41の噴射口41dの形状は、円形又は矩形に限定されず、楕円形、円環形、又は多角形のような、他の形状であってもよい。
【符号の説明】
【0051】
1 油冷式圧縮機
10 圧縮機本体
11A スクリュロータ
11B スクリュロータ
12 ケーシング
13 モータ
14 軸受
15 吸込口
16 ロータ室
17 吐出口
20 吐出流路
21 アフタークーラ
30 油分離装置
31 一次貯留部
32 油分離エレメント
33 二次貯留部
40 給油装置
41 二流体ノズル
41a 油供給口
41b 気体供給口
41c 混合室
41d 噴射口
42 一流体ノズル
42a 油供給口
42b 噴射口
50 給油流路
51 油フィルタ
52 油冷却器
60 戻り流路
61 戻り流路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10