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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-12
(45)【発行日】2022-05-20
(54)【発明の名称】異方導電性シート
(51)【国際特許分類】
   H01R 11/01 20060101AFI20220513BHJP
   H01B 5/16 20060101ALI20220513BHJP
   G01R 1/06 20060101ALI20220513BHJP
【FI】
H01R11/01 501Z
H01B5/16
G01R1/06 A
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2017147906
(22)【出願日】2017-07-31
(65)【公開番号】P2018186062
(43)【公開日】2018-11-22
【審査請求日】2020-06-26
(31)【優先権主張番号】P 2016198237
(32)【優先日】2016-10-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2017095032
(32)【優先日】2017-05-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103517
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 寛之
(74)【代理人】
【識別番号】100149607
【弁理士】
【氏名又は名称】宇田 新一
(72)【発明者】
【氏名】高倉 隼人
(72)【発明者】
【氏名】柴田 周作
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼野 誉大
(72)【発明者】
【氏名】若木 秀一
【審査官】濱田 莉菜子
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-090899(JP,A)
【文献】特開2004-134183(JP,A)
【文献】特開平03-283378(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 11/01
H01B 5/16
G01R 1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検査装置および検査装置を互いに電気的に接続するための異方導電性シートであって、
異方性導電部を備え、
前記異方性導電部は、
厚み方向に貫通する貫通開口部を有する絶縁層と、
前記貫通開口部に配置される接続部と
を備え、
前記絶縁層は、
厚み方向他方面を露出する第1絶縁部と、
前記第1絶縁部の厚み方向一方側に配置され、厚み方向一方面を露出する第2絶縁部とを備え、
前記第1絶縁部は第1開口部を有し、前記第2絶縁部は、前記第1開口部と連通する第2開口部を有し、前記第1開口部と前記第2開口部とは前記貫通開口部を形成し、
前記接続部は、
前記第1開口部に充填される第1導体部と、
前記第1導体部と厚み方向に連続し、前記第2開口部に充填される第2導体部と、
前記第2導体部と厚み方向と直交する直交方向に連続し、前記第2開口部に充填される第3導体部とを備え、
前記第2絶縁部が、前記接続部における前記第3導体部の前記厚み方向一方面および前記直交方向側面を被覆することを特徴とする、異方導電性シート。
【請求項2】
前記第1開口部は、前記厚み方向一方側から厚み方向他方側に向かうに従って、開口断面積が小さくなるテーパ形状を有することを特徴とする、請求項1に記載の異方導電性シート。
【請求項3】
前記第2導体部の厚み方向一方面は、前記第2絶縁部の厚み方向一方面よりも、厚み方向他方側に位置することを特徴とする、請求項1または2に記載の異方導電性シート。
【請求項4】
前記異方性導電部は、側断面図において、前記第1開口部の直交方向中心点を厚み方向に通過する軸にして対称であることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の異方導電性シート。
【請求項5】
前記第2絶縁部が前記接続部の厚み方向一方面を被覆している直交方向長さは、3μm以上であることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の異方導電性シート。
【請求項6】
前記異方性導電部が、複数配置され、
互いに隣接する異方性導電部において、一の異方性導電部の第1開口部の直交方向中心点と、前記一の異方性導電部と隣接する他の異方性導電部の第1開口部の直交方向中心点との距離が、30μm以上、200μm以下であることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の異方導電性シート。
【請求項7】
前記接続部は、前記第1導体部の厚み方向他方側に設けられる第1バンプと、前記第2導体部の厚み方向一方側に配置される第2バンプとをさらに備えることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の異方導電性シート。
【請求項8】
前記接続部は、厚み方向一方面および厚み方向他方面に、Au層またはNiAu層をさらに備えることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の異方導電性シート。
【請求項9】
前記接続部は、金属から形成されていることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の異方導電性シート。
【請求項10】
厚みは、100μm以下であることを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の異方導電性シート。
【請求項11】
前記異方性導電部の厚み方向一方側および厚み方向他方側の少なくともいずれか一方に配置される弾性層をさらに備え、
前記弾性層は、
厚み方向に貫通する第3開口部を有する絶縁性弾性部と、
前記第3開口部に充填され、導電性粒子および樹脂を含有する導電性弾性部と
を備えることを特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載の異方導電性シート。
【請求項12】
前記接続部の厚み方向一方面に、第1凹部が形成されており、
前記第1凹部に充填され、導電性粒子および樹脂を含有する導電性弾性部をさらに備えることを特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載の異方導電性シート。
【請求項13】
前記導電性弾性部の体積割合は、前記異方性導電部の厚み方向一方面に形成される第2凹部の体積に対して、20%以上200%以下であることを特徴とする、請求項12に記載の異方導電性シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異方導電性シート、詳しくは、被検査装置と検査装置とを互いに電気的に接続するために用いられる異方導電性シートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、半導体素子を回路基板に実装する前に、半導体素子や回路基板のそれぞれに対して、正常に機能するか否かの機能検査(導通検査)が実施されている。機能検査では、半導体素子または回路基板などの被検査装置の端子を、プローブテスターなどの検査装置に電気的に接続させる必要があり、そのために、異方導電性シート(コネクター)が用いられている。具体的には、異方導電性シートを被検査装置および検査装置で挟み、異方導電性シートの一方側の接続部を被検査装置の端子に接触させ、他方側の接続部を検査装置のプローブ端子に接触させることにより、これらを電気的に確実に接続している。
【0003】
このような異方導電性シートとして、例えば、特許文献1の複合導電性シートが知られている。特許文献1の複合導電性シートは、複数の貫通孔が形成された絶縁性シートと、貫通孔のそれぞれに充填され、さらに絶縁性シートの両面のそれぞれから突出するように配置された剛性導体とを有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2007-220534号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、異方導電性シートは、機能検査において、被検査対象および検査対象によって、両側から加圧される。特に、被検査装置に反りや変形があると、被検査装置の一部が、異方導電性シートと接触しないおそれがあるため、接触を確実にするために、加圧を強くする場合がある。
【0006】
そして、異方導電性シートは、繰り返し再利用されるため、加圧により、異方導電性シートの接続部に加わる損傷が大きくなり、その結果、接続部が変形したり、脱落する不具合が生じる。
【0007】
特許文献1の複合導電性シートによれば、剛性導体が絶縁シートから脱落することなく、取扱いを容易としている。
【0008】
しかしながら、特許文献1の複合導電性シートにおいても、加圧の繰り返しによる脱落に対する耐久性は不十分であり、さらなる改良が求められている。
【0009】
そのため、本発明の課題は、耐久性に優れた異方導電性シートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明[1]は、被検査装置および検査装置を互いに電気的に接続するための異方導電性シートであって、異方性導電部を備え、前記異方性導電部は、厚み方向に貫通する開口部を有する絶縁層と、前記開口部に配置される接続部とを備え、前記絶縁層は、前記接続部の厚み方向一方面の一部および前記厚み方向に直交する直交方向側面を被覆する、異方導電性シートを備えている。
【0011】
このような異方導電性シートによれば、絶縁層は、接続部の厚み方向一方面の一部および直交方向側面を被覆しているため、接続部は、絶縁層によって固定されている。したがって、被検査装置の検査時において、被検査装置および検査装置によって、接続部が厚み方向両側から内側に向かって加圧されたとしても、接続部の脱落を抑制することができる。その結果、耐久性に優れる。
【0012】
本発明[2]は、前記絶縁層は、厚み方向他方面を露出する第1絶縁部と、前記第1絶縁部の厚み方向一方側に配置され、厚み方向一方面を露出する第2絶縁部とを備え、前記第2絶縁部が、前記接続部の前記厚み方向一方面の一部および前記直交方向側面を被覆する、[1]に記載の異方導電性シートを備えている。
【0013】
このような異方導電性シートによれば、第1絶縁部の厚み方向一方側に配置される第2絶縁部が、接続部の厚み方向一方面の一部および直交方向側面を被覆している。そのため、接続部は、第1絶縁部および第2絶縁部によって固定され、厚み方向両側から固定されている。したがって、接続部の脱落をより確実に抑制することができる。
【0014】
本発明[3]は、前記第1絶縁部は、第1開口部を有し、前記第2絶縁部は、前記第1開口部と連通する第2開口部を有し、前記接続部は、第1開口部に充填される第1導体部と、前記第1導体部と厚み方向に連続し、第2開口部に充填される第2導体部と、前記第2導体部と厚み方向と直交する直交方向に連続し、第2開口部に充填される第3導体部とを備え、前記第2絶縁部が、前記接続部における前記第3導体部の前記厚み方向一方面および前記直交方向側面を被覆する、[2]に記載の異方導電性シートを含んでいる。
【0015】
このような異方導電性シートによれば、第1導体部、第2導体部および第3導体部が、連続しており、第3導体部の厚み方向一方面および直交方向側面が、第2絶縁部で被覆されているため、第3導体部が、第2絶縁部によって固定されている。したがって、被検査装置の検査時において、被検査装置および検査装置によって接続部(具体的には、第1導体部および第2導体部)が厚み方向両側から内側に向かって加圧されたとしても、接続部の脱落を抑制することができる。さらには、被検査装置および検査装置を接続部(具体的には、第1導体部および第2導体部)に確実に接触することができる。これらの結果、確実に被検査装置の検査を可能にしながら、異方導電性シートの耐久性に優れる。
【0016】
本発明[4]は、前記第1開口部が、前記厚み方向一方側から厚み方向他方側に向かうに従って、開口断面積が小さくなるテーパ形状を有する、[3]に記載の異方導電性シートを含んでいる。
【0017】
このような異方導電性シートによれば、第1開口部が、厚み方向他方側に向かうに従って、開口断面積が小さくなるため、第1導体部は、第1開口部から厚み方向他方側に向かって脱落しにくい。そのため、耐久性がより一層優れる。
【0018】
本発明[5]は、前記第2導体部の厚み方向一方面は、前記第2絶縁部の厚み方向一方面よりも、厚み方向他方側に位置する、[3]または[4]に記載の異方導電性シートを含んでいる。
【0019】
このような異方導電性シートによれば、第2導体部は、第2絶縁部の内部に完全に収容されているため、第2絶縁部から脱落しにくい。そのため、耐久性がより一層優れる。
【0020】
本発明[6]は、前記異方性導電部が、側断面図において、前記第1開口部の前記直交方向中心点を厚み方向に通過する軸にして対称である、[3]~[5]のいずれか一項に記載の異方導電性シートを含んでいる。
【0021】
このような異方導電性シートによれば、第1導体部の直交方向中心点と、第2導体部の直交方向中心点が、直交方向において、同一位置にある。よって、被検査装置の端子と、それに対応する検査装置のプローブとを検査する際に、互いの位置調整が容易となる。
【0022】
本発明[7]は、前記第2絶縁部が前記接続部の厚み方向一方面を被覆している直交方向長さが、3μm以上である、[3]~[6]のいずれか一項に記載の異方導電性シートを含んでいる。
【0023】
このような異方導電性シートによれば、第2絶縁部が、接続部をより確実に固定しているため、耐久性がより一層優れる。
【0024】
本発明[8]は、前記異方性導電部が、複数配置され、互いに隣接する異方性導電部において、一の異方性導電部の第1開口部の直交方向中心点と、前記一の異方性導電部と隣接する他の異方性導電部の第1開口部の直交方向中心点との距離が、30μm以上、200μm以下である、[3]~[7]のいずれか一項に記載の異方導電性シートを含んでいる。
【0025】
このような異方導電性シートによれば、隣接する第1開口部の直交方向中心間距離(接続部間ピッチ)が狭いため、より微細化した被検査装置の検査が可能となる。
【0026】
本発明[9]は、前記接続部が、前記第1導体部の厚み方向他方側に設けられる第1バンプと、前記第2導体部の厚み方向一方側に配置される第2バンプとをさらに備える、[3]~[8]のいずれか一項に記載の異方導電性シートを含んでいる。
【0027】
このような異方導電性シートによれば、被検査装置および検査装置に、第1バンプおよび第2バンプを接触させることにより、検査を実施することができる。したがって、より簡易な検査を可能とする。
【0028】
本発明[10]は、前記接続部が、厚み方向一方面および厚み方向他方面に、Au層またはNiAu層をさらに備える、[1]~[9]のいずれか一項に記載の異方導電性シートを含んでいる。
【0029】
このような異方導電性シートによれば、接続部の酸化を抑制できるため、耐久性がより一層優れる。
【0030】
本発明[11]は、前記接続部が、金属から形成されている、[1]~[10]のいずれか一項に記載の異方導電性シートを含んでいる。
【0031】
このような異方導電性シートによれば、導電性に優れるため、検査感度を向上させたり、接続部間ピッチを狭くすることができる。
【0032】
本発明[12]は、厚みが、100μm以下である、[1]~[11]のいずれか一項に記載の異方導電性シートを含んでいる。
【0033】
このような異方導電性シートによれば、厚み方向に可撓することが容易であるため、被検査装置の形や反りに容易に追従できる。したがって、より低圧での検査が可能となる。
【0034】
本発明[13]は、前記異方性導電部の厚み方向一方側および厚み方向他方側の少なくともいずれか一方に配置される弾性層をさらに備え、前記弾性層は、厚み方向に貫通する第3開口部を有する絶縁性弾性部と、前記第3開口部に充填され、導電性粒子および樹脂を含有する導電性弾性部とを備える、[1]~[12]のいずれか一項に記載の異方導電性シートを含んでいる。
【0035】
このような異方導電性シートによれば、被検査装置の複数の端子の高さなどに、ばらつきが生じている場合であっても、被検査装置を異方導電性シートに押圧する際に、これらの端子の高さに応じて、弾性層が圧縮または変形することができる。その結果、複数の端子の高さが不均一である場合であっても、確実に検査することができる。
【0036】
また、弾性層が、被検査装置からの過度の圧力を吸収するとともに、接続部と被検査装置との直接的な接触を回避する。そのため、耐久性がより一層優れる。
【0037】
本発明[14]は、前記接続部の厚み方向一方面に、第1凹部が形成されており、前記第1凹部に充填され、導電性粒子および樹脂を含有する導電性弾性部をさらに備える、[1]~[12]のいずれか一項に異方導電性シートを含んでいる。
【0038】
このような異方導電性シートによれば、第1凹部に導電性弾性部が充填されているため、被検査装置の複数の端子の高さなどに、ばらつきが生じている場合であっても、被検査装置を異方導電性シートに押圧する際に、これらの端子の高さに応じて、導電性弾性部が圧縮または変形することができる。その結果、複数の端子の高さが不均一である場合、確実に検査することができる。
【0039】
また、導電性弾性部が、被検査装置からの過度の圧力を吸収するとともに、接続部と被検査装置との直接的な接触を回避する。そのため、耐久性がより一層優れる。
【0040】
本発明[15]は、前記導電性弾性部の体積割合は、前記異方性導電部の厚み方向一方面に形成される第2凹部の体積に対して、20%以上200%以下である、[14]に記載の異方導電性シートを備えている。
【0041】
このような異方導電性シートによれば、被検査装置などが備える複数の端子の高さが不均一である場合であっても、より一層確実に検査することができる。また、導電性弾性部が、異方性導電部への圧力や衝撃を確実に和らげることができるため、耐久性がより一層優れる。
【発明の効果】
【0042】
本発明の異方導電性シートによれば、繰り返し使用しても接続部の脱落を抑制できるため、耐久性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1図1は、本発明の異方導電性シートの第1実施形態の一実施形態の平面図を示す。
図2図2は、図1のA-A線における部分拡大側断面図を示す。
図3図3は、図1に示す異方導電性シートを使用する際の側断面図を示す。
図4図4は、図1に示す異方導電性シートの変形例(ベース開口部が円柱形状である形態)の側断面図を示す。
図5図5は、図1に示す異方導電性シートの変形例(第1導体部がベース開口部の一部を充填している形態)の側断面図を示す。
図6図6は、図1に示す異方導電性シートの変形例(金属導体部の上面に凹部が形成されている形態)の側断面図を示す。
図7図7は、図6に示す異方導電性シートの変形例(ベース開口部が、上側ベース開口部および下側ベース開口部を有する形態)の側断面図を示す。
図8図8は、図1に示す異方導電性シートの変形例(上側カバー開口部が、テーパ形状に形成されている形態)の側断面図を示す。
図9図9は、図1に示す異方導電性シートの変形例(金属接続部の下面および上面が、それぞれベース絶縁層の下面およびカバー絶縁層の上面と面一である形態)の側断面図を示す。
図10図10は、図1に示す異方導電性シートの変形例(めっき層が2層を有する形態)の側断面図を示す。
図11図11は、図1に示す異方導電性シートの変形例(めっき層が2層を有し、金属接続凹部が形成されている形態)の側断面図を示す。
図12図12図1に示す異方導電性シートの変形例(めっき層が2層を有し、ベース開口部が2つのテーパ形状を有する形態)の側断面図を示す。
図13図13図1に示す異方導電性シートの変形例(めっき層が2層を有し、ベース開口部が2つのテーパ形状を有し、上側カバー開口部がテーパ形状を有する形態)の側断面図を示す。
図14図14図1に示す異方導電性シートの変形例(めっき層が2層を有し、第2導体部がカバー絶縁層によって被覆されている形態)の側断面図を示す。
図15図15図1に示す異方導電性シートの変形例(めっき層が2層を有し、第2導体部がカバー絶縁層によって被覆され、ベース開口部が円柱形状を有する形態)の側断面図を示す。
図16図16図1に示す異方導電性シートの変形例(めっき層が2層を有し、第2導体部が円筒形状である形態)の側断面図を示す。
図17図17は、本発明の異方導電性シートの第2実施形態の一実施形態の側断面図を示す。
図18図18は、図17に示す異方導電性シートの変形例(第2弾性層を備える実施形態)の側断面図を示す。
図19図19は、本発明の異方導電性シートの第3実施形態の一実施形態の側断面図を示す。
図20図20は、図19に示す異方導電性シートの変形例(ベース開口部が2つのテーパ形状を有する形態)の側断面図を示す。
図21図21は、図19に示す異方導電性シートの変形例(ベース開口部が2つのテーパ形状を有し、上側カバー開口部がテーパ形状を有する形態)の側断面図を示す。
図22図22は、図19に示す異方導電性シートの変形例(第2導体部がカバー絶縁層によって被覆されている形態)の側断面図を示す。
図23図23は、図19に示す異方導電性シートの変形例(第2導体部がカバー絶縁層によって被覆され、ベース開口部が円柱形状を有する形態)の側断面図を示す。
図24図24は、図19に示す異方導電性シートの変形例(第2導体部が円筒形状である形態)の側断面図を示す。
図25図25は、実施例および比較例で用いた異方導電性シートの比較例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0044】
図1において、紙面上下方向は、前後方向(第1方向)であって、紙面下側が前側(第1方向一方側)、紙面上側が後側(第1方向他方側)である。また、紙面左右方向は、左右方向(第2方向)であって、紙面左側が左側(第2方向一方側)、紙面右側が右側(第2方向他方側)である。また、紙面紙厚方向は、上下方向(厚み方向、第3方向)であって、紙面手前側が上側(厚み方向一方側、第3方向一方側)、紙面奥側が下側(厚み方向他方側、第3方向他方側)である。具体的には、各図の方向矢印に準拠する。
【0045】
<第1実施形態>
図1図3を参照して、本発明の異方導電性シートの第1実施形態である異方導電性シート1について説明する。
【0046】
図1に示すように、異方導電性シート1は、面方向(前後方向および左右方向)に延びる平面視略矩形の平板形状を有している。異方導電性シート1は、複数の異方性導電部2を備えている。
【0047】
複数の異方性導電部2は、異方導電性シート1の平面視略中央部に、前後方向および左右方向に整列するように隣接配置されている。具体的には、異方導電性シート1は、周端部を除いて、複数の異方性導電部2のみから形成されている。換言すると、異方導電性シート1は、連続する複数の異方性導電部2から形成されている。
【0048】
図2に示すように、複数の異方性導電部2は、それぞれ、絶縁層50と、接続部としての金属接続部5とを備えている。絶縁層50は、絶縁層50を上下方向(厚み方向)に貫通する開口部(後述するベース開口部6およびカバー開口部7)を有している。金属接続部50は、絶縁層50の開口部に配置されており、金属接続部5の上面(厚み方向一方面)の一部(周端面)および周側面は、絶縁層50によって被覆されている。
【0049】
具体的には、絶縁層50は、第1絶縁部としてのベース絶縁層3と、第2絶縁部としてのカバー絶縁層4とを備えている。
【0050】
ベース絶縁層3は、平面視略矩形状の平板形状を有し、異方性導電部2の下側に配置されている。ベース絶縁層3の下面(厚み方向他方面)は、露出されている。ベース絶縁層3は、第1開口部としてのベース開口部6を備えている。
【0051】
ベース開口部6は、ベース絶縁層3を上下方向に貫通しており、平面視略円形状に形成されている。ベース開口部6は、下側に向うに従って開口断面積が小さくなるテーパ形状を有している。すなわち、ベース開口部6は、下側に向かって縮径している。
【0052】
ベース絶縁層3は、例えば、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、アクリル樹脂、ポリエーテル樹脂、ニトリル樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂などの合成樹脂から形成され、好ましくは、ポリイミド樹脂から形成される。
【0053】
ベース開口部6の下端の開口の直径L1は、例えば、5μm以上、好ましくは、15μm以上であり、また、例えば、100μm以下、好ましくは、50μm以下である。
【0054】
ベース絶縁層3の下面と、ベース開口部6の斜面(テーパ面)とがなす角度(テーパ角θ)は、例えば、30°以上、好ましくは、45°以上であり、また、例えば、80°以下、好ましくは、65°以下である。テーパ角θが上記範囲であると、耐久性がより一層優れる。また、接続部間ピッチ(後述)をより微細化することができる。
【0055】
ベース絶縁層3の厚み(上下方向長さ)T1は、例えば、3μm以上、好ましくは、5μm以上であり、また、例えば、30μm以下、好ましくは、18μm以下である。
【0056】
カバー絶縁層4は、平面視略矩形状の平板形状を有し、ベース絶縁層3の上側に配置されている。すなわち、カバー絶縁層4は、その下面がベース絶縁層3の上面と接触するように、ベース絶縁層3の上面に配置されている。カバー絶縁層4の上面は、露出されている。
【0057】
カバー絶縁層4は、第2開口部としてのカバー開口部7を備えている。カバー開口部7は、カバー絶縁層4を上下方向に貫通しており、平面視略円形状に形成されている。
【0058】
カバー開口部7は、カバー開口部7の上側を区画する上側カバー開口部8と、カバー開口部7の下側を区画する下側カバー開口部9とを備えている。
【0059】
上側カバー開口部8は、平面視略円形状に形成され、平面視略円形、かつ、側断面視略矩形状に形成されている。すなわち、上側カバー開口部8は、略円柱状に形成されている。
【0060】
下側カバー開口部9は、平面視略円形、かつ、側断面視略矩形状に形成されている。すなわち、下側カバー開口部9は、略円柱状に形成されている。下側カバー開口部9は、下側において上側カバー開口部8と連通し、下側においてベース開口部6と連通している。下側カバー開口部9の上端の開口は、上側カバー開口部8の下端の開口よりも大きく、下側カバー開口部9の下端の開口は、上側カバー開口部8の上端および下端の開口、ならびに、ベース開口部6の上端の開口よりも大きい。下側カバー開口部9の上下方向長さは、上側カバー開口部8の上下方向長さよりも長い。
【0061】
カバー絶縁層4は、ベース絶縁層3で上記した合成樹脂と同様の合成樹脂から形成され、好ましくは、ポリイミド樹脂から形成される。
【0062】
上側カバー開口部8の上端または下端の開口の直径L2は、例えば、5μm以上、好ましくは、15μm以上であり、また、例えば、100μm以下、好ましくは、50μm以下である。上側カバー開口部8の上下方向長さT3は、例えば、1μm以上、好ましくは、3μm以上であり、また、例えば、20μm以下、好ましくは、10μm以下である。
【0063】
下側カバー開口部9の上端または下端の開口の直径(すなわち、金属導体部10の直径)L3は、例えば、15μm以上、好ましくは、21μm以上であり、また、例えば、190μm以下、好ましくは、180μm以下、より好ましくは、70μm以下、さらに好ましくは、56μm以下である。下側カバー開口部9の上下方向長さT4は、例えば、2μm以上、好ましくは、3μm以上であり、また、例えば、25μm以下、好ましくは、18μm以下である。
【0064】
カバー絶縁層4の厚みT2は、例えば、3μm以上、好ましくは、6μm以上であり、また、例えば、45μm以下、好ましくは、28μm以下である。
【0065】
金属接続部5は、ベース開口部6およびカバー開口部7に配置されている。金属接続部5は、金属導体部10と、バンプ部11と、めっき層12とを備えている。
【0066】
金属導体部10は、ベース開口部6およびカバー開口部7の内部に配置されている。金属導体部10は、第1導体部13と、第2導体部14と、第3導体部15とを備えている。
【0067】
第1導体部13は、ベース開口部6の内部に配置されている。すなわち、第1導体部13は、ベース開口部6に充填されている。具体的には、第1導体部13は、ベース開口部6の全体を埋設するように、ベース開口部6に充填されている。第1導体部13は、ベース開口部6の外形と同一となるように形成されており、第1導体部13の下面は、ベース絶縁層3の下面と面一である。
【0068】
第2導体部14は、第1導体部13の上側に配置され、かつ、カバー開口部7の内部に配置されている。すなわち、第2導体部14は、カバー開口部7に充填されている。具体的には、第2導体部14は、下側カバー開口部9の平面視略中央部を埋設するように、カバー開口部7に充填されている一方、上側カバー開口部8には充填されていない。
【0069】
第2導体部14は、略円柱状に形成されており、その平面視外形は、第1導体部13の上面の平面視外形、すなわち、ベース開口部6の上端の開口の平面視外形と一致する。また、第2導体部14の上下方向長さは、下側カバー開口部9の上下方向長さと一致する。
【0070】
第2導体部14は、第2導体部14の下端縁が第1導体部13の上端縁と連続するように、上下方向において、第1導体部13と一体的に連続している。
【0071】
第3導体部15は、第2導体部14の周側方に配置され、かつ、カバー開口部7の内部に配置されている。すなわち、第3導体部15は、カバー開口部7に充填されている。具体的には、第3導体部15は、下側カバー開口部9の平面視外周縁を埋設するように、カバー開口部7に充填されている一方、上側カバー開口部8には充填されていない。また、第3導体部15は、第2導体部14とともに、下側カバー開口部7の全体を埋設するように、カバー開口部7に充填されている。
【0072】
第3導体部15は、平面視略円環形状、かつ、側断面視略矩形状に形成されている。第3導体部15は、第3導体部15の内周縁が第2導体部14の周縁と連続するように、径方向(前後方向および左右方向)において、第2導体部14と一体的に連続している。第3導体部15の内周縁は、平面視において、ベース開口部6の上端の開口と一致し、第3導体部15の外周縁は、平面視において、下側カバー開口部9と一致する。また、第3導体部15の下面は、ベース絶縁層3の上面と接触する。
【0073】
金属導体部10において、カバー絶縁層4は、金属導体部10の上面(厚み方向一方面)および周側面(径方向側面、直交方向側面)を被覆している。具体的には、カバー絶縁層4は、第3導体部15の上面の全部、および、第3導体部15の外周側面の全部を被覆している。また、ベース絶縁層3は、第3導体部15の下面(厚み方向他方面)の全面および第1導体部13の周側面(斜面)の全面を被覆している。
【0074】
カバー絶縁層4が金属導体部10の上面を被覆している径方向長さ(直交方向長さ)L4は、例えば、1μm以上、好ましくは、3μm以上であり、また、例えば、20μm以下、好ましくは、10μm以下である。上記長さL4が上記範囲であれば、カバー絶縁層4が第2導体部14および第3導体部15をより確実に固定できるため、耐久性がより一層優れる。
【0075】
ベース絶縁層3が第3導体部15の下面を被覆している径方向長さ(すなわち、第3導体部15の径方向長さ)L5は、例えば、1μm以上、好ましくは、5μm以上であり、また、例えば、50μm以下、好ましくは、15μm以下である。上記長さL5が上記範囲であれば、ベース絶縁層3が第3導体部15をより確実に支持できるため、耐久性がより一層優れる。
【0076】
金属導体部10の材料としては、例えば、銅、銀、金、ニッケルまたはそれらを含む合金などの金属材料が挙げられ、好ましくは、銅が挙げられる。
【0077】
バンプ部(突起部)11は、第1バンプ16と、第2バンプ17とを備えている。
【0078】
第1バンプ16は、金属接続部5の下側に配置されている。具体的には、第1バンプ16は、第1導体部13の下面の全面およびベース絶縁層3の下面の一部を被覆するように、第1導体部13およびベース絶縁層3の下側に配置されている。これにより、第1バンプ16は、ベース開口部6の下端を塞ぎ、第1導体部13の下面を保護する。
【0079】
第1バンプ16の下面は、下側に凸となる断面円弧状に突出するように形成され、第1バンプ16の上面は、平坦となるように形成されている。
【0080】
第2バンプ17は、金属接続部5の上側に配置されている。具体的には、第2バンプ17は、第2導体部14の上面全部を被覆するように、第2導体部14およびカバー絶縁層4の上側に配置されている。これにより、第2バンプ17は、カバー開口部7の上端を塞ぎ、第2導体部14の上面を保護する。
【0081】
第2バンプ17の上面は、上側に凸となる断面円弧状に突出するように形成され、第2バンプ17の下面は、平坦となるように形成されている。
【0082】
バンプ部11の材料としては、例えば、銅、銀、金、ニッケルまたはそれらを含む合金、半田などの金属材料が挙げられる。
【0083】
めっき層12は、第1めっき層18と、第2めっき層19とを備えている。
【0084】
第1めっき層18は、第1バンプ16に配置されている。具体的には、第1めっき層18は、第1バンプ16の下面全面を被覆するように、第1バンプ16の下側に配置されている。
【0085】
第2めっき層19は、第2バンプ17に配置されている。具体的には、第2めっき層19は、第2バンプ17の上面全面を被覆するように、第2バンプ17の上側に配置されている。
【0086】
第1めっき層18および第2めっき層19は、それぞれ、単層であってもよく、2層以上の複層であってもよい。
【0087】
めっき層12としては、例えば、Au層(単層の場合)、NiAu層(2層の場合)などが挙げられる。これにより、金属接続部5の酸化を抑制できるため、耐久性がより一層優れる。
【0088】
めっき層12の厚み(単層ごと)は、それぞれ、例えば、0.01μm以上、好ましくは、0.05μm以上であり、また、例えば、70μm以下、好ましくは、50μm以下、より好ましくは、12μm以下、さらに好ましくは、8μm以下である。
【0089】
異方性導電部2は、側断面図において、ベース開口部6の径方向の中心点を上下方向に通過する軸(図2に示す仮想線)にして対称である。換言すると、異方性導電部2は、側断面図において左右対称である。
【0090】
一の異方性導電部2のベース開口部6の直交方向中心点と、隣接する他の異方性導電部2のベース開口部6の径方向中心点との距離L6(接続部間ピッチ)が、例えば、30μm以上、好ましくは、40μm以上であり、また、例えば、200μm以下、好ましくは、80μm以下、より好ましくは、60μm以下である。接続部間ピッチL6が上記範囲内であれば、金属接続部5間同士の間隔が十分に狭いため、より微細化した被検査装置20の検査が可能となる。
【0091】
異方導電性シート1の厚みT5、すなわち、異方性導電部2の最上端から最下端までの上下方向長さは、例えば、100μm以下、好ましくは、50μm以下、より好ましくは、40μm以下であり、また、例えば、10μm以上である。異方導電性シート1の厚みが上記上限以下であれば、上下方向に可撓することが容易であるため、被検査装置の形状や反りに容易に追従できる。したがって、より低圧での検査が可能となる。
【0092】
この異方導電性シート1は、例えば、ベース開口部6を有するベース絶縁層3を形成するベース形成工程、金属接続部5を形成する接続部形成工程、カバー開口部7を有するカバー絶縁層4を形成するカバー形成工程、バンプ部11を形成するバンプ形成工程、および、めっき層12を形成するめっき工程を順次実施することにより得られる。
【0093】
ベース形成工程では、例えば、感光性のワニスを塗布し、乾燥した後、ベース開口部6を有するパターンで露光および現像する。その後、必要により、加熱硬化を実施する。
【0094】
金属部形成工程では、例えば、アディティブ法、サブトラクティブ法などの公知の配線を形成するパターニング法により、金属接続部5を形成する。
【0095】
カバー形成工程では、例えば、感光性のワニスを塗布し、乾燥した後、カバー開口部7を有するパターンで露光および現像する。その後、必要により、加熱硬化を実施する。
【0096】
バンプ形成工程としては、例えば、電解めっき法、無電解めっき法、はんだボールを配置する方法、はんだペースト印刷法、インジェクション法などの公知の方法が挙げられる。
【0097】
めっき工程としては、例えば、電解めっき法、無電解めっき法などの公知のめっき方法が挙げられる。
【0098】
そして、この異方導電性シート1は、被検査装置20および検査装置21を互いに電気的に接続するために用いられる。
【0099】
具体的には、複数の端子22を備える被検査装置20、および、複数の検査プローブ23を備える検査装置21を用意する。被検査装置20としては、半導体素子、プリント回路基板などが挙げられる。検査装置21としては、プローブテスター、プリント基板検査装置などの公知または市販の検査装置が挙げられる。
【0100】
次いで、図3に示すように、被検査装置20の端子22を、金属接続部5の上面、すなわち、第2バンプ17の上面と接触させる一方、検査装置21の検査プローブ23を、金属接続部5の下面、すなわち、第1バンプ16の下面と接触させる。
【0101】
その後、検査装置21の作動によって、被検査装置20に対して導通検査などの機能検査を実施することができる。
【0102】
なお、異方導電性シート1は、被検査装置20および検査装置21を含まず、異方導電性シート1そのものが、部品単独で流通し、産業上利用可能なデバイスである。
【0103】
そして、この異方導電性シート1は、複数の異方性導電部2を備えており、複数の異方性導電部2のそれぞれは、ベース開口部6を有するベース絶縁層3と、カバー開口部7を有し、ベース絶縁層3の上側に配置されるカバー絶縁層4と、金属接続部5とを備えている。また、金属接続部5は、ベース開口部6に充填される第1導体部13と、第1導体部13の上側に連続し、カバー開口部7に充填される第2導体部14と、第2導体部14と径方向に連続し、カバー開口部7に充填される第3導体部15とを備えている。また、カバー絶縁層4は、第3導体部15の上面および外周側面を被覆している。
【0104】
したがって、第1導体部13、第2導体部14および第3導体部15が連続しており、第3導体部15の上面および外周側面が、カバー絶縁層4で被覆されている。よって、第3導体部15が、カバー絶縁層4によって固定されている。被検査装置20の検査時において、被検査装置20および検査装置21によって、第1導体部13および第2導体部14が上下方向両側から内側に向かって加圧されたとしても、金属接続部5の脱落を抑制することができる。その結果、耐久性に優れる。
【0105】
また、この異方導電性シート1は、金属接続部5(第1導体部13、第2導体部14、第3導体部15)を公知の微細配線などを形成するパターニング方法により形成することができるため、接続部間ピッチL6を狭くすることができる。よって、より微細な被検査装置20を検査することができる。
【0106】
また、ベース開口部6が、上側から下側に向かうに従って、開口断面積が小さくなるテーパ形状である。
【0107】
したがって、第1導体部13は、ベース開口部6から下側に脱落しにくい。そのため、耐久性がより一層優れる。
【0108】
また、第2導体部14の上面は、カバー絶縁層4の上面よりも、下側に位置する。
【0109】
したがって、第2導体部14は、カバー絶縁層4の内部に完全に収容されているため、カバー絶縁層4から脱落しにくい。そのため、耐久性がより一層優れる。
【0110】
また、異方性導電部2が、側断面図において、ベース開口部6の径方向中心点を上下方向に通過する軸にして対称である。
【0111】
したがって、第1導体部13の径方向中心点と、第2導体部14の径方向中心点が、径方向において、同一位置にある。よって、被検査装置20の端子22と、それに対応する検査装置21の検査プローブ23とを検査する際に、互いの位置調整が容易となる。
【0112】
また、金属接続部5が、第1導体部13の下側に設けられる第1バンプ16と、第2導体部14の上側に配置される第2バンプ17とをさらに備えている。
【0113】
したがって、被検査装置20および検査装置21に、第1バンプ16および第2バンプ17を接触させることにより、検査を実施することができる。そのため、より簡易な検査を可能とする。
【0114】
また、金属接続部5が、金属から形成されている。すなわち、金属導体部10、バンプ部11およびめっき層12が、金属から形成されている。
【0115】
したがって、導電性に優れるため、検査感度を向上させたり、接続部間ピッチを狭くすることができる。
【0116】
<第1実施形態の変形例>
図4図9を参照して、異方導電性シート1の第1実施形態の変形例について説明する。なお、変形例において、上記した図2などに示す実施形態と同様の部材には、同様の符号を付し、その説明を省略する。
【0117】
(1)図2に示す実施形態では、ベース開口部6は、上側から下側に向かうに従って、開口断面積が小さくなるテーパ形状に形成されているが、例えば、図4に示すように、ベース開口部6は、上下方向において、開口断面積が均一である円柱形状に形成されていてもよい。
【0118】
すなわち、図4に示す実施形態では、ベース開口部6は、平面視略円形状、かつ、側断面視略矩形状に形成されている。
【0119】
図4に示す異方導電性シート1においても、図2に示す一実施形態と同様の作用効果を奏することができる。金属導体部10がより一層脱落しにくく、耐久性に優れる観点から、好ましくは、図2に示す一実施形態が挙げられる。
【0120】
(2)図2に示す実施形態では、第1導体部13は、ベース開口部6の全体を埋設するように、ベース開口部6に充填されているが、例えば、図5に示すように、第1導体部13は、ベース開口部6の一部のみを埋設するように、ベース開口部6に充填されていてもよい。
【0121】
すなわち、図5に示す実施形態では、第1導体部13の下面は、ベース絶縁層3の下面よりも上側に位置している。
【0122】
図5に示す異方導電性シート1においても、図2に示す一実施形態と同様の作用効果を奏することができる。金属導体部10がより一層脱落しにくく、耐久性に優れる観点から、好ましくは、図2に示す一実施形態が挙げられる。
【0123】
(3)図2に示す実施形態では、金属導体部10の上面は、平坦であるが、例えば、図6に示すように、金属導体部10の上面には、金属導体凹部30が形成されていてもよい。
【0124】
すなわち、図6に示す実施形態では、第2導体部14は、その上面に下側に向かって凹む金属導体凹部30を有している。金属導体凹部30の底面は、略平面視略矩形状であり、平坦となるように形成されている。
【0125】
図6に示す異方導電性シート1においても、図2に示す一実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0126】
(4)図6に示す実施形態では、ベース開口部6は、上側から下側に向かうに従って、開口断面積が小さくなるテーパ形状に形成されているが、例えば、図7に示すように、ベース開口部6は、上側から下側に向かうに従って開口断面積が小さくなり、その上下方向途中で、下側から上側に向かうに従って開口断面積が小さくなるテーパ形状に形成されていてもよい。
【0127】
すなわち、図7に示す実施形態では、ベース開口部6は、上側から下側に向かうに従って、開口断面積が小さくなるテーパ形状に形成されている上側ベース開口部31と、上側から下側に向かうに従って、開口断面積が大きくなるテーパ形状に形成されている下側ベース開口部32とを備えている。
【0128】
図7に示す実施形態において、ベース開口部6の最も開口断面積が小さい箇所における開口の直径L7は、例えば、3μm以上、好ましくは、10μm以上、より好ましくは、15μm以上であり、また、例えば、100μm以下、好ましくは、50μm以下である。
【0129】
また、図7に示す実施形態では、仮想線に示されるように、ベース絶縁層3は、上側ベース開口部31を有する上側ベース絶縁部と、下側ベース開口部32を有する下側ベース絶縁部とを備えていてもよい。
【0130】
図7に示す異方導電性シート1においても、図2または図6に示す一実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0131】
(5)図2に示す実施形態では、上側カバー開口部8は、側断面視略矩形状に形成されているが、例えば、図8に示すように、上側カバー開口部8は、下側に向うに従って開口断面積が小さくなるテーパ形状に形成されていてもよい。すなわち、上側カバー開口部8は、上側カバー開口部8は、下側に向かって縮径している。
【0132】
図8に示す異方導電性シート1においても、図2に示す一実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0133】
(6)図2図4図8に示す実施形態では、金属接続部5の最下部または最上部は、側面視において、ベース絶縁層3の下面またはカバー絶縁層4の上面よりも、突出しているが、例えば、図9に示すように、金属接続部5の下面または上面は、側面視において、ベース絶縁層3の下面またはカバー絶縁層4の上面と面一とすることもできる。
【0134】
すなわち、図9に示す実施形態では、第1バンプ16および第1めっき層18は、ベース開口部6に充填され、第1めっき層18の下面は、ベース絶縁層3の下面と面一となっている。また、第2バンプ17および第2めっき層19は、カバー開口部7に充填され、第2めっき層19の上面は、カバー絶縁層4の上面と面一となっている。
【0135】
図9に示す異方導電性シート1においても、図2図4図8に示す一実施形態と同様の作用効果を奏することができる。バンプによる被検査装置20および検査装置21に対する接触(導通)のし易さから、好ましくは、図2図4図8に示す実施形態が挙げられる。
【0136】
(7)図2図4図9に示す実施形態では、金属接続部5は、バンプ部11を備えているが、例えば、図10図16に示すように、金属接続部5は、バンプ部11を備えていなくてもよい。
【0137】
図10図16に示す実施形態では、めっき層12において、第1めっき層18および第2めっき層19は、それぞれ、2層から構成されている。
【0138】
すなわち、第1めっき層18は、金属導体部10の下面に配置される第1内側めっき層18aと、第1内側めっき層18aの下面に配置される第1外側めっき層18bとを備えている。第2めっき層19は、金属導体部10の上面に配置される第2内側めっき層19aと、第2内側めっき層19aの上面に配置される第2外側めっき層19bとを備えている。
【0139】
各めっき層(18a、b、19a、b)としては、例えば、Au層、Ni層などが挙げられる。好ましくは、第1内側めっき層18aおよび第2内側めっき層19aが、Ni層であり、第1外側めっき層18bおよび第2外側めっき層19bが、Au層である。これにより、Au層と複数の端子22との導通性を高めるとともに、Au層と金属導体部10との拡散を抑制することができる。したがって、金属導体部10の酸化をより一層長期的に抑制できるため、耐久性がより一層優れる。
【0140】
各めっき層(18a、b、19a、b)の厚みは、それぞれ、例えば、0.01μm以上、好ましくは、0.05μm以上であり、また、例えば、70μm以下、好ましくは、50μm以下、より好ましくは、12μm以下、さらに好ましくは、8μm以下である。
【0141】
これらのうち、特に、図11図16に示す実施形態では、金属接続部5の上面には、第1凹部としての金属接続凹部35が形成されている。すなわち、金属接続部5は、その上面に下側に向かって凹む金属接続凹部35を有している。金属接続凹部35の底面は、略平面視略矩形状であり、平坦となるように形成されている。
【0142】
これにより、異方性導電部2の上面に、第2凹部としてのシート凹部36が形成されている。シート凹部36は、金属接続凹部35を包含し、さらに、金属接続凹部35の上側に連通するカバー絶縁層4の開口部を包含する。
【0143】
金属接続凹部35の底面の直径L8は、例えば、3μm以上、好ましくは、5μm以上であり、また、例えば、80μm以下、好ましくは、40μm以下である。
【0144】
金属接続凹部35の深さ(上下方向長さ)D1は、例えば、3μm以上、好ましくは、5μm以上であり、また、例えば、30μm以下、好ましくは、20μm以下である。
【0145】
シート凹部36の深さD2は、例えば、5μm以上、好ましくは、8μm以上であり、また、例えば、60μm以下、好ましくは、40μm以下である。
【0146】
特に、図12~13に示す実施形態では、ベース開口部6は、上側から下側に向かうに従って開口断面積が小さくなり、その上下方向途中で、下側から上側に向かうに従って開口断面積が小さくなるテーパ形状に形成されている。
【0147】
すなわち、図12~13に示す実施形態では、図7に参照されるように、ベース開口部6は、上側から下側に向かうに従って、開口断面積が小さくなるテーパ形状に形成されている上側ベース開口部31と、上側から下側に向かうに従って、開口断面積が大きくなるテーパ形状に形成されている下側ベース開口部32とを備えている。すなわち、ベース開口部6は、複数(2つ)のテーパ形状を有する。
【0148】
異方性導電部2の下面には、下側シート凹部37が形成されており、下側シート凹部37の深さD3は、シート凹部36の深さD2と同様である。
【0149】
図12に示す実施形態では、上側カバー開口部8は、開口断面積が均一である円柱形状に形成されており、図13に示す実施形態では、上側カバー開口部8は、下側から上側に向かうに従って、開口断面積が大きくなるテーパ形状に形成されている。
【0150】
特に、図14図15に示す実施形態では、カバー絶縁層4は、第2導体部14および第3導体部15を被覆している。具体的には、カバー絶縁層4は、第2導体部14の上面の周端部(傾斜面)、第3導体部15の上面、および、第3導体部15の外周側面を全体的に被覆している。
【0151】
図14に示す実施形態では、ベース開口部6は、上側から下側に向かうに従って、開口断面積が小さくなるテーパ形状に形成されており、図15に示す実施形態では、ベース開口部6は、上下方向において、開口断面積が均一である円柱形状に形成されている。
【0152】
特に、図16に示す実施形態では、第1導体部13は、ベース開口部6の一部(下部)に埋設されるように、ベース開口部6に充填されている。具体的には、第1導体部13の中央部の上面は、ベース絶縁層3の上面よりも下側に位置している一方、第1導体部13の下面は、ベース絶縁層3の下面と面一である。第2導体部14は、内部が空洞である略円筒状に形成されている。
【0153】
図10図16に示す異方導電性シート1においても、図2図4図8に示す一実施形態と同様の作用効果を奏することができる。バンプによる被検査装置20および検査装置21に対する接触(導通)のし易さから、好ましくは、図2図4図8に示す実施形態が挙げられる。
【0154】
(8)図2図4図16に示す実施形態では、金属接続部5は、バンプ部11およびめっき層12の少なくとも一つを備えているが、例えば、図示しないが、金属接続部5は、バンプ部11およびめっき層12の両方を備えていなくてもよい。
【0155】
すなわち、金属接続部5は、金属導体部10から構成されていてもよい。
【0156】
この異方導電性シート1においても、図2図4図16に示す一実施形態と同様の作用効果を奏することができる。被検査装置20および検査装置21に対する接触(導通)のし易さ、および、耐久性の観点から、好ましくは、図2図4図16に示す実施形態が挙げられる。
【0157】
(9)図2図4図16に示す実施形態では、ベース絶縁層3とカバー絶縁層4との境界が図示されているが、例えば、ベース絶縁層3およびカバー絶縁層4が、互いに同種の材料(例えば、ポリイミド樹脂)から形成される場合、ベース絶縁層3(第1絶縁部)とカバー絶縁層4(第2絶縁部)との境界は存在せず、ベース絶縁層3およびカバー絶縁層4は一体的に形成される。図7などに示すベース絶縁層3内部の境界(破線)についても、同様である。なお、これは、後述する図17図24に示す第2~第3実施形態およびその変形例についても同様である。
【0158】
<第2実施形態>
図17を参照して、本発明の異方導電性シートの第2実施形態である異方導電性シート1について説明する。なお、第2実施形態において、第1実施形態と同様の部材には、同様の符号を付し、その説明を省略する。
【0159】
図17に示すように、第2実施形態の異方導電性シート1は、複数の異方性導電部2と、複数の異方性導電部2の上側に配置される第1弾性層40とを備えている。
【0160】
第1弾性層40は、面方向に延びる平面視略矩形の平板形状を有している。第1弾性層40は、絶縁性弾性部41と、複数の導電性弾性部42とを備えている。
【0161】
絶縁性弾性部41は、面方向に延びる平面視略矩形の平板形状を有している。絶縁性弾性部41は、複数の異方性導電部2に面方向に跨るように、複数の異方性導電部2の上に配置されている。具体的には、絶縁性弾性部41は、その下面が、金属接続部5の上面(第2めっき層19の上面)およびカバー絶縁層4の上面に接触するように配置されている。
【0162】
絶縁性弾性部41は、第3開口部としての弾性層開口部43を複数備えている。
【0163】
複数の弾性層開口部43は、複数の異方性導電部2の金属接続部5に対応して形成されている。すなわち、複数の弾性層開口部43は、複数の金属接続部5と1対1対応するよう前後方向および左右方向に整列するように隣接配置されており、上下方向に投影したときに、弾性層開口部43は、金属接続部5に含まれる。弾性層開口部43は、第1弾性層40を上下方向に貫通しており、平面視略円形状の円筒形状に形成されている。
【0164】
絶縁性弾性部41の硬度は、例えば、25Hs以上、好ましくは、35Hs以上であり、また、例えば、65Hs以下、好ましくは、55Hs以下である。絶縁性弾性部41の硬度を上記範囲内とすることにより、複数の端子22に対応して第1弾性層40がより一層柔軟に変形することができる。
【0165】
硬度は、例えば、JIS K 6253に記載の方法により測定することができる。
【0166】
絶縁性弾性部41は、例えば、ゴムなどの弾性材料から形成されている。ゴムとしては、例えば、天然ゴム、ポリブタジエンゴム、ポリイソプレンゴム、クロロプレンゴム、スチレン-ブタジエン共重合体ゴム、アクリロニトリル-ブタジエン共重合体ゴム、スチレン-ブタジエン-ジエンブロック共重合体ゴム、スチレン-イソプレンブロック共重合体などの共役ジエン系ゴムおよびこれらの水素添加物、例えば、ウレタンゴム、ポリエステル系ゴム、エピクロルヒドリンゴム、シリコーンゴム、エチレン-プロピレン共重合体ゴム、エチレン-プロピレン-ジエン共重合体ゴムなどが挙げられる。
【0167】
導電性弾性部42は、弾性層開口部43内に配置されている。すなわち、導電性弾性部42は、弾性層開口部43に充填されている。導電性弾性部42は、その下面が金属接続部5の上面の略中央部に接触するように配置されている。導電性弾性部42の下面は、金属接続部5の上面に沿うように、上側に凸状となるように、形成されている。また、導電性弾性部42の上面は、絶縁性弾性部41の上面と面一となるように、形成されている。
【0168】
導電性弾性部42の硬度は、例えば、30Hs以上、好ましくは、40Hs以上であり、また、例えば、70Hs以下、好ましくは、60Hs以下である。導電性弾性部42の硬度を上記範囲内とすることにより、複数の端子22に対応して第1弾性層40がより一層柔軟に変形することができる。
【0169】
導電性弾性部42は、導電性粒子44および樹脂を含有する導電性樹脂組成物から形成されている。
【0170】
導電性粒子44の材料としては、例えば、鉄、コバルト、ニッケル、金、銀、銅、パラジウム、ロジウムおよびこれらの合金などの金属などが挙げられる。
【0171】
導電性粒子44は、上記金属である金属粒子であってもよい。また、導電性粒子は、例えば、コア材としての非導電性粒子(ポリマー粒子、ガラスビーズなど)と、そのコア材表面に上記金属であるシェル部とを備えるコアシェル型粒子であってもよい。
【0172】
導電性粒子44の平均粒子径は、例えば、1μm以上、10μm以下である。
【0173】
樹脂としては、例えば、絶縁性弾性部41を形成する弾性材料、ベース絶縁層3を形成する樹脂などが挙げられ、好ましくは、ゴムが挙げられる。
【0174】
導電性弾性部42の直径(すなわち、弾性層開口部43の直径)L9は、例えば、30μm以上、好ましくは、40μm以上であり、また、例えば、200μm以下、好ましくは、100μm以下である。
【0175】
第1弾性層40の厚みT6(絶縁性弾性部41の最下面から最上面までの上下方向長さ)は、例えば、50μm以上、好ましくは、100μm以上であり、また、例えば、2000μm以下、好ましくは、1000μm以下である。
【0176】
第2実施形態の異方導電性シート1は、例えば、第1実施形態の異方導電性シート1の上面に対し、第1弾性層40を、熱圧着、または、接着剤を介して圧着することにより、製造することができる。また、例えば、第1実施形態の異方導電性シート1の上面に、弾性層開口部43を有する絶縁性弾性部41を、塗布法などにより形成し、次いで、弾性層開口部43に導電性弾性部42を充填することもできる。
【0177】
第2実施形態の異方導電性シート1も、第1実施形態の異方導電性シート1と同様の作用効果を奏することができる。
【0178】
また、第2実施形態では、異方導電性シート1が、異方性導電部2の上側に、絶縁性弾性部41と導電性弾性部42とを有する第1弾性層40を備えている。そのため、被検査装置20の複数の端子22の高さ(上下方向位置)に、ばらつきが生じている場合であっても、被検査装置20を異方導電性シート1に押圧する際に、これらの端子22の個々の高さに応じて、絶縁性弾性部41および複数の導電性弾性部42が圧縮または変形することができる。すなわち、厚みが部分的に変化する。特に、第1弾性層40の厚みに応じて変化することができ、例えば、第1弾性層40の厚みが1000μm以上である場合は、数百μmの厚みを変化することができる。その結果、複数の端子22の高さが過度に不均一である場合であっても、確実に検査することができる。
【0179】
また、絶縁性弾性部41および導電性弾性部42が、被検査装置20からの過度の圧力を吸収するとともに、導電性弾性部42が、金属接続部5と端子22との直接的な接触を回避する。そのため、耐久性がより一層優れる。
【0180】
<第2実施形態の変形例>
図18を参照して、異方導電性シート1の第2実施形態の変形例について説明する。なお、変形例において、上記した図17に示す実施形態と同様の部材には、同様の符号を付し、その説明を省略する。
【0181】
図17に示す実施形態では、弾性層は、異方性導電部2の上側のみに配置されているが、例えば、図18に示すように、弾性層は、異方性導電部2の上側および下側に配置することもできる。すなわち、図18に示す異方導電性シート1は、複数の異方性導電部2と、複数の異方性導電部2の上側に配置される第1弾性層40と、複数の異方性導電部の下側に配置される第2弾性層45とを備えている。
【0182】
第2弾性層45は、面方向に延びる平面視略矩形の平板形状を有し、絶縁性弾性部41と、複数の導電性弾性部42とを備えている。第2弾性層45における絶縁性弾性部41および導電性弾性部42は、配置される位置を除いて、第1弾性層40における絶縁性弾性部41および導電性弾性部42と同様である。
【0183】
第2弾性層45における絶縁性弾性部41は、複数の異方性導電部2に面方向に跨るように、複数の異方性導電部2の下に配置されている。具体的には、絶縁性弾性部41は、その上面が、金属接続部5の下面(第1めっき層18の下面)およびカバー絶縁層4の下面に接触するように配置されている。また、絶縁性弾性部41は、弾性層開口部43を複数備えている。
【0184】
第2弾性層45における導電性弾性部42は、弾性層開口部43内に配置されている。すなわち、導電性弾性部42は、弾性層開口部43に充填されている。導電性弾性部42は、その上面が金属接続部5の下面の略中央部に接触するように配置されている。導電性弾性部42の上面は、金属接続部5の下面に沿うように、凹状となるように、形成されている。また、導電性弾性部42の下面は、絶縁性弾性部41の下面と面一となるように、形成されている。
【0185】
図18に示す異方導電性シート1においても、図17に示す一実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0186】
特に、図18に示す異方導電性シート1は、異方性導電部2の下側に、第2弾性層45をさらに備えている。そのため、検査装置21の複数の検査プローブ23の高さに、ばらつきが生じている場合であっても、検査装置21を異方導電性シートに押圧する際に、これらの検査プローブ23の個々の高さに応じて、絶縁性弾性部41および複数の導電性弾性部42が上下方向に圧縮することができる。特に、第2弾性層45の厚みT6に応じて厚みが変化することができ、例えば、第2弾性層45の厚みが1000μm以上である場合は、数百μmの厚みを圧縮することができる。その結果、検査プローブ23の高さが不均一である場合であっても、確実に検査することができる。
【0187】
また、第2弾性層45の絶縁性弾性部41および導電性弾性部42が、検査装置21からの過度の圧力を吸収するとともに、導電性弾性部42が、金属接続部5と検査プローブ23との直接的な接触を回避する。そのため、耐久性がより一層優れる。
【0188】
また、図17および図18に示す実施形態では、第1弾性層40および第2弾性層45の導電性弾性部42は、金属接続部5と1対1対応するように、配置されているが、例えば、図示しないが、第1弾性層40および第2弾性層45のそれぞれにおいて、複数の導電性弾性部42が、1つの金属接続部5に対応するように、配置することもできる。すなわち、1つの金属接続部5の上面に、複数の導電性弾性部42が配置され、他方では、1つの金属接続部5の下面に、複数の導電性弾性部42が配置される。
【0189】
<第3実施形態>
図19図24を参照して、本発明の異方導電性シートの第3実施形態の一実施形態である異方導電性シート1について説明する。なお、第3実施形態において、第1実施形態および第2実施形態と同様の部材には、同様の符号を付し、その説明を省略する。
【0190】
図19図24に示すように、第3実施形態の異方導電性シート1は、複数の異方性導電部2と、複数の異方性導電部2の上側に配置される複数の導電性弾性部42とを備えている。具体的には、図19に示す実施形態は、図11に示す異方導電性シート1が、さらに導電性弾性部42を備える実施形態であり、図20に示す実施形態は、図12に示す異方導電性シート1が、さらに導電性弾性部42を備える実施形態であり、図21に示す実施形態は、図13に示す異方導電性シート1が、さらに導電性弾性部42を備える形態であり、図22に示す実施形態は、図14に示す異方導電性シート1が、さらに導電性弾性部42を備える実施形態であり、図23に示す実施形態は、図15に示す異方導電性シート1が、さらに導電性弾性部42を備える実施形態であり、図24に示す実施形態は、図16に示す異方導電性シート1が、さらに導電性弾性部42を備える実施形態である。
【0191】
複数の異方性導電部2では、金属接続部5は、それぞれ、金属導体部10と、めっき層12(第1めっき層18および第2めっき層19)と備え、第1めっき層18および第2めっき層19は、2層構成である。すなわち、第1めっき層18は、第1内側めっき層18aと、第1外側めっき層18bとを備え、第2めっき層19は、第2内側めっき層19aと、第2外側めっき層19bとを備えている。
【0192】
また、異方性導電部2の上面に、シート凹部36が形成されており、シート凹部36において、金属接続部5の上面に、金属接続凹部35が形成されている。
【0193】
第3実施形態において、導電性弾性部42は、シート凹部36(ひいては、金属接続凹部35)内に配置されている。すなわち、導電性弾性部42は、シート凹部36(ひいては、金属接続凹部35)内に充填されている。導電性弾性部42の上面は、カバー絶縁層4の上面と面一となるように、形成されている。
【0194】
導電性弾性部42の厚みは、例えば、1μm以上、好ましくは、2μm以上であり、また、例えば、120μm以下、好ましくは、90μm以下である。
【0195】
導電性弾性部42の硬度は、例えば、30Hs以上、好ましくは、40Hs以上であり、また、例えば、70Hs以下、好ましくは、60Hs以下である。導電性弾性部42の硬度を上記範囲内とすることにより、複数の端子22に対応して導電性弾性部42がより一層柔軟に変形することができる。
【0196】
第3実施形態の異方導電性シート1は、例えば、第1実施形態の異方導電性シート1の上面全面に、導電性粒子44および樹脂を含有する組成物を塗布し、次いで、スキージで異方導電性シート1の上面をこすり、組成物をシート凹部36に移動させることによって、製造することができる。具体的には、特開2015-26584号公報に記載の製造方法を参照することができる。
【0197】
第3実施形態の異方導電性シート1も、第1実施形態の異方導電性シート1と同様の作用効果を奏することができる。
【0198】
また、第3実施形態では、金属接続凹部35に、導電性弾性部42が充填されている。そのため、被検査装置20の複数の端子22の高さに、ばらつきが生じている場合であっても、被検査装置20を異方導電性シート1に押圧する際に、これらの端子22の個々の高さに応じて、導電性弾性部42が上下方向に圧縮することができる。特に、導電性弾性部42は、その厚みに応じて圧縮され、例えば、数μmの厚みを圧縮することができる。その結果、複数の端子22の高さが不均一である場合であっても、確実に検査することができる。
【0199】
また、導電性弾性部42が、被検査装置20からの圧力を吸収するとともに、金属接続部5と端子22との直接的な接触を回避する。そのため、耐久性がより一層優れる。
【0200】
また、図19図24に示す実施形態では、導電性弾性部42は、その上面が、カバー絶縁層4の上面と面一となるように、形成されている。すなわち、導電性弾性部42は、その体積割合が、シート凹部36の体積に対して、100%となるように充填されている。しかし、例えば、図示しないが、導電性弾性部42は、その上面が、カバー絶縁層4の上面よりも上側または下側となるように、形成されていてもよい。そのような場合、導電性弾性部42の体積割合は、シート凹部36の体積に対して、例えば、20%以上、好ましくは、50%以上であり、また、例えば、200%以下、好ましくは、150%以下である。
【0201】
導電性弾性部42の体積割合が上記範囲内であれば、被検査装置20の複数の端子22の高さが不均一である場合であっても、確実に検査することができる。また、導電性弾性部42が、異方性導電部2への圧力や衝撃を確実に和らげることができるため、耐久性がより一層優れる。
【実施例
【0202】
以下に実施例および比較例を示し、本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明は、何ら実施例および比較例に限定されない。以下の記載において用いられる配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなどの具体的数値は、上記の「発明を実施するための形態」において記載されている、それらに対応する配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなど該当記載の上限値(「以下」、「未満」として定義されている数値)または下限値(「以上」、「超過」として定義されている数値)に代替することができる。
【0203】
実施例1
図1および図2に示す異方導電性シートを作製した。
【0204】
ただし、異方性導電部2は、前後方向に100列、左右方向に100列に整列配置し、その数は、合計10,000個とした。ベース絶縁層およびカバー絶縁層の材料として、ポリイミド樹脂を用い、金属導体部の材料として、銅を用い、バンプ部の材料として、Niを用い、めっき材料として、Auを用いた。
【0205】
また、図2において、L1を20μm、L2を30μm、L3を40μm、L4を5μm、L5を5μm、テーパ角θを60°、接続部間ピッチL6を50μmとした。
【0206】
実施例2
図2において、L2を36μm、L4を2μmに変更した以外は、実施例1と同様にして、異方導電性シートを製造した。
【0207】
実施例3
図2において、L1を30μm、L5を5μm、テーパ角θを30°に変更した以外は、実施例1と同様にして、異方導電性シートを製造した。このとき、隣接する2つの異方性導電部(金属導体部10)の距離を実施例1と同程度にするために、接続部間ピッチL6を80μmとした。
【0208】
実施例4
図4に示す異方導電性シートを製造した。すなわち、ベース開口部6において、側断面視略テーパ形状とせずに、円柱状に形成した以外は、実施例1と同様にして、異方導電性シートを製造した。また、L1を30μm、L5を5μmとした。
【0209】
比較例1
カバー絶縁層を形成しなかった以外は、実施例1と同様にして、異方導電性シートを製造した(図25参照)。
【0210】
比較例2
カバー絶縁層を金属接続部5の上面と面一となる高さまで形成した以外は、実施例1と同様にして、異方導電性シートを製造した(仮想線が示す図25参照)。
【0211】
(耐久性試験)
各異方性導電部2に30gの荷重が印加されるように、サンプル用測定対象を異方性導電部の上面(第2めっき層)に繰り返し、押圧した。
【0212】
実施例1の異方導電性シートでは、押圧を50,000回繰り返しても、異方性導電部は一つも脱落しなかった。
【0213】
実施例3の異方導電性シートでは、押圧を10,000~50,000回繰り返した場合に、異方性導電部が少なくとも1つ脱落した。
【0214】
実施例2および4の異方導電性シートでは、押圧を1,000~10,000回繰り返した場合に、異方性導電部が少なくとも1つ脱落した。
【0215】
比較例1~2の異方性導電部の異方性導電部では、押圧回数が1,000回以下の場合において、異方性導電部が少なくとも1つ脱落した。
【0216】
(導電性試験)
異方性導電部の上面および下面のそれぞれに抵抗測定計のプローブを当てて、抵抗値を測定した。その結果、各実施例および各比較例の抵抗値は、いずれも、1×10-4Ω以下であり、導電性に優れていることが分かった。
【符号の説明】
【0217】
1 異方導電性シート
2 異方性導電部
3 ベース絶縁層
4 カバー絶縁層
5 金属接続部
6 ベース開口部
7 カバー開口部
11 バンプ部
12 めっき層
13 第1導体部
14 第2導体部
15 第3導体部
20 被検査装置
21 検査装置
35 金属接続凹部
36 シート凹部
40 第1弾性層
41 絶縁性弾性部
42 導電性弾性部
43 弾性層開口部
44 導電性粒子
45 第2弾性層
50 絶縁層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25