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特許7072362固体撮像装置、固体撮像装置の駆動方法、および電子機器
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-12
(45)【発行日】2022-05-20
(54)【発明の名称】固体撮像装置、固体撮像装置の駆動方法、および電子機器
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/335 20110101AFI20220513BHJP
   H04N 5/355 20110101ALI20220513BHJP
   H04N 5/3745 20110101ALI20220513BHJP
【FI】
H04N5/335 500
H04N5/355
H04N5/3745
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2017185505
(22)【出願日】2017-09-26
(65)【公開番号】P2019062400
(43)【公開日】2019-04-18
【審査請求日】2020-07-07
(73)【特許権者】
【識別番号】521182560
【氏名又は名称】ブリルニクス シンガポール プライベート リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001863
【氏名又は名称】特許業務法人アテンダ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】盛 一也
(72)【発明者】
【氏名】大高 俊徳
(72)【発明者】
【氏名】高柳 功
【審査官】大室 秀明
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-328493(JP,A)
【文献】特開2009-130479(JP,A)
【文献】特開2012-079861(JP,A)
【文献】特開2006-262387(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/30-5/378
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光電変換読み出し部および信号保持部を含む画素が配置された画素部と、
前記画素部から画素信号の読み出しを行う読み出し部と、を有し、
前記画素は、
蓄積期間に光電変換により生成した電荷を蓄積する光電変換素子と、
前記光電変換素子に蓄積された電荷を前記蓄積期間後の転送期間に転送可能な転送素子と、
前記転送素子を通じて前記光電変換素子で蓄積された電荷が転送される出力ノードと、
前記出力ノードの電荷を電荷量に応じた電圧信号に変換し、変換した電圧信号を出力する出力バッファ部と、
前記出力ノードに接続された蓄積トランジスタと、
前記蓄積トランジスタを介して前記出力ノードの電荷を蓄積する蓄積容量素子と、
リセット期間に前記出力ノードを所定の電位にリセットするリセット素子と、を含み、
前記信号保持部は、
前記蓄積期間後の前記転送期間に前記出力ノードに転送された前記光電変換素子の蓄積電荷に応じた前記電圧信号に対する信号、並びに、
任意の期間に、前記光電変換素子および前記蓄積容量素子の電荷のうちの少なくとも前記光電変換素子から前記出力ノードに溢れ出たオーバーフロー電荷に応じた前記電圧信号に対する信号を保持可能であり、
前記信号保持部は、
前記出力バッファ部による電圧信号と参照電圧とを比較し、デジタル化した比較結果信号を出力する比較処理を行う比較器と、
前記比較器の比較結果信号に応じたデータを記憶するメモリ部と、を含み、
前記比較器は、前記読み出し部の制御の下、
前記蓄積期間に前記光電変換素子から前記出力ノードに溢れ出たオーバーフロー電荷に応じてサンプリングして得られた前記電圧信号に対するデジタル化した第1の比較結果信号を出力する第1の比較処理と、
前記蓄積期間後の前記転送期間に前記出力ノードに転送された前記光電変換素子の蓄積電荷に応じた前記電圧信号に対するデジタル化した第2の比較結果信号を出力する第2の比較処理と、を行うことが可能であり、
前記読み出し部は、
前記第1の比較処理において、前記蓄積トランジスタを導通状態として前記出力ノードのレベルをサンプリングして得られた電圧信号に対するデジタル化した第1の比較結果信号を得た後、前記第2の比較処理を行う
固体撮像装置。
【請求項2】
前記読み出し部は、
任意の蓄積期間に並行して、照度に応じた出力ノードのレベルをサンプリングする
請求項1記載の固体撮像装置。
【請求項3】
前記読み出し部は、
蓄積期間途中における信号を取り込む
請求項2記載の固体撮像装置。
【請求項4】
前記読み出し部は、
全蓄積期間にて、前記参照電圧を変えながら照度に応じた出力ノードのレベルをサンプリングする
請求項2記載の固体撮像装置。
【請求項5】
前記比較器は、前記第1の比較処理において、
前記オーバーフロー電荷の量に応じた時間に対応する前記第1の比較結果信号を出力する
請求項1から4のいずれか一に記載の固体撮像装置。
【請求項6】
前記比較器は、前記第1の比較処理において、
前記オーバーフロー電荷が前記光電変換素子から前記出力ノードに溢れ始める最大サンプリング時間における前記光電変換素子の信号レベルから最小サンプリング時間で得られる信号レベルまでの光レベルに対応可能である
請求項5記載の固体撮像装置。
【請求項7】
前記蓄積期間は、
前記光電変換素子および前記出力ノードがリセットレベルにリセットされてから、前記転送素子が導通状態に切り替えられて前記転送期間が開始されるまでの期間であり、
前記第1の比較処理の期間は、
前記光電変換素子および前記出力ノードがリセットレベルにリセットされてから、前記転送期間が開始される前に、前記出力ノードがリセットレベルにリセットされるまでの期間であり、
前記第2の比較処理の期間は、
前記出力ノードがリセットレベルにリセットされた後の期間であって、前記転送期間後の期間を含む期間である
請求項1から6のいずれか一に記載の固体撮像装置。
【請求項8】
前記画素は、
前記出力ノードとしてのフローティングディフュージョンと、
リセット期間に前記フローティングディフュージョンを所定の電位にリセットするリセット素子と、を含み、
前記出力バッファ部は、
前記フローティングディフュージョンの電荷を電荷量に応じた電圧信号に変換し、変換した信号を出力するソースフォロワ素子と、
前記ソースフォロワ素子のソースに接続された電流源と、を含む
請求項1から7のいずれか一に記載の固体撮像装置。
【請求項9】
前記光電変換読み出し部において、
前記出力バッファ部は、前記信号保持部の入力部に接続された読み出しノードを含み、
前記蓄積期間中に、前記蓄積容量素子を前記読み出しノード側に直接接続するバイパス部を含む
請求項1から8のいずれか一に記載の固体撮像装置。
【請求項10】
第1の基板と、
第2の基板と、を含み、
前記第1の基板と前記第2の基板は接続部を通して接続された積層構造を有し、
前記第1の基板には、
少なくとも、前記画素の前記光電変換素子、前記転送素子、前記出力ノード、および出力バッファ部が形成され、
前記第2の基板には、
少なくとも、前記比較器、前記メモリ部、および前記読み出し部の少なくとも一部が形成されている
請求項1から9のいずれか一に記載の固体撮像装置。
【請求項11】
前記画素は、
前記出力ノードとしてのフローティングディフュージョンと、
リセット期間に前記フローティングディフュージョンを所定の電位にリセットするリセット素子と、を含み、
前記出力バッファ部は、
前記フローティングディフュージョンの電荷を電荷量に応じた電圧信号に変換し、変換した信号を出力するソースフォロワ素子と、
前記ソースフォロワ素子のソースに接続された電流源と、を含み、
前記フローティングディフュージョン、前記リセット素子、および前記ソースフォロワ素子は前記第1の基板に形成され、
前記電流源は、前記第1の基板または前記第2の基板に形成されている
請求項10記載の固体撮像装置。
【請求項12】
光電変換読み出し部および信号保持部を含む画素が配置された画素部と、
前記画素部から画素信号の読み出しを行う読み出し部と、を有し、
前記画素は、
蓄積期間に光電変換により生成した電荷を蓄積する光電変換素子と、
前記光電変換素子に蓄積された電荷を前記蓄積期間後の転送期間に転送可能な転送素子と、
前記転送素子を通じて前記光電変換素子で蓄積された電荷が転送される出力ノードと、
前記出力ノードの電荷を電荷量に応じた電圧信号に変換し、変換した電圧信号を出力する出力バッファ部と、
前記出力ノードに接続された蓄積トランジスタと、
前記蓄積トランジスタを介して前記出力ノードの電荷を蓄積する蓄積容量素子と、
リセット期間に前記出力ノードを所定の電位にリセットするリセット素子と、を含み、
前記信号保持部は、
前記蓄積期間後の前記転送期間に前記出力ノードに転送された前記光電変換素子の蓄積電荷に応じた前記電圧信号に対する信号、並びに、
任意の期間に、前記光電変換素子および前記蓄積容量素子の電荷のうちの少なくとも前記光電変換素子から前記出力ノードに溢れ出たオーバーフロー電荷に応じた前記電圧信号に対する信号を保持可能であり、
前記信号保持部は、
前記出力バッファ部による電圧信号と参照電圧とを比較し、デジタル化した比較結果信号を出力する比較処理を行う比較器と、
前記比較器の比較結果信号に応じたデータを記憶するメモリ部と、を含み、
固体撮像装置の駆動方法であって、
前記画素の画素信号を読み出す場合、前記比較器において、
前記読み出し部の制御の下、
前記蓄積期間に前記光電変換素子から前記出力ノードに溢れ出たオーバーフロー電荷に応じた前記電圧信号に対するデジタル化した第1の比較結果信号を出力する第1の比較処理を行い、
前記第1の比較処理において、前記出力ノードに溢れ出たオーバーフロー電荷に応じた前記電圧信号に対するデジタル化した第1の比較結果信号を得た後、
前記蓄積期間後の前記転送期間に前記出力ノードに転送された前記光電変換素子の蓄積電荷に応じた前記電圧信号に対するデジタル化した第2の比較結果信号を出力する第2の比較処理を行う
固体撮像装置の駆動方法。
【請求項13】
固体撮像装置と、
前記固体撮像装置に被写体像を結像する光学系と、を有し、
前記固体撮像装置は、
光電変換読み出し部および信号保持部を含む画素が配置された画素部と、
前記画素部から画素信号の読み出しを行う読み出し部と、を有し、
前記画素は、
蓄積期間に光電変換により生成した電荷を蓄積する光電変換素子と、
前記光電変換素子に蓄積された電荷を前記蓄積期間後の転送期間に転送可能な転送素子と、
前記転送素子を通じて前記光電変換素子で蓄積された電荷が転送される出力ノードと、
前記出力ノードの電荷を電荷量に応じた電圧信号に変換し、変換した電圧信号を出力する出力バッファ部と、
前記出力ノードに接続された蓄積トランジスタと、
前記蓄積トランジスタを介して前記出力ノードの電荷を蓄積する蓄積容量素子と、
リセット期間に前記出力ノードを所定の電位にリセットするリセット素子と、を含み、
前記信号保持部は、
前記蓄積期間後の前記転送期間に前記出力ノードに転送された前記光電変換素子の蓄積電荷に応じた前記電圧信号に対する信号、並びに、
任意の期間に、前記光電変換素子および前記蓄積容量素子の電荷のうちの少なくとも前記光電変換素子から前記出力ノードに溢れ出たオーバーフロー電荷に応じた前記電圧信号に対する信号を保持可能であり、
前記信号保持部は、
前記出力バッファ部による電圧信号と参照電圧とを比較し、デジタル化した比較結果信号を出力する比較処理を行う比較器と、
前記比較器の比較結果信号に応じたデータを記憶するメモリ部と、を含み、
前記比較器は、前記読み出し部の制御の下、
前記蓄積期間に前記光電変換素子から前記出力ノードに溢れ出たオーバーフロー電荷に応じてサンプリングして得られた前記電圧信号に対するデジタル化した第1の比較結果信号を出力する第1の比較処理と、
前記蓄積期間後の前記転送期間に前記出力ノードに転送された前記光電変換素子の蓄積電荷に応じた前記電圧信号に対するデジタル化した第2の比較結果信号を出力する第2の比較処理と、を行うことが可能であり、
前記読み出し部は、
前記第1の比較処理において、前記蓄積トランジスタを導通状態として前記出力ノードのレベルをサンプリングして得られた電圧信号に対するデジタル化した第1の比較結果信号を得た後、前記第2の比較処理を行う
電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体撮像装置、固体撮像装置の駆動方法、および電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
光を検出して電荷を発生させる光電変換素子を用いた固体撮像装置(イメージセンサ)として、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサが実用に供されている。
CMOSイメージセンサは、デジタルカメラ、ビデオカメラ、監視カメラ、医療用内視鏡、パーソナルコンピュータ(PC)、携帯電話等の携帯端末装置(モバイル機器)等の各種電子機器の一部として広く適用されている。
【0003】
CMOSイメージセンサは、画素毎にフォトダイオード(光電変換素子)および浮遊拡散層(FD:Floating Diffusion、フローティングディフュージョン)を有するFDアンプを持ち合わせており、その読み出しは、画素アレイの中のある一行を選択し、それらを同時に列(カラム)出力方向へと読み出すような列並列出力型が主流である。
【0004】
ところで、特性向上のため、広ダイナミックレンジを持つ高画質のCMOSイメージセンサを実現する方法が種々提案されている(たとえば特許文献1参照)。
【0005】
特許文献1には、フォトダイオードPDと蓄積容量Csを備え、フォトダイオードPDによりも容量密度の高い蓄積容量Csに信号電荷を保持することで、最大信号を増大させてダイナミックレンジを拡大することができるようにした固体撮像装置が記載されている。
【0006】
この固体撮像装置では、高輝度時に、フォトダイオードPDから溢れ出した電荷を蓄積容量Csに保持する。蓄積容量Csに溢れ出した高輝度信号は低変換利得(LCG(FD容量CFd+Cs)で読み出す。低輝度信号は高変換利得(HCG(FD容量CFd)による高利得読み出しを行う。
【0007】
また、列並列出力型CMOSイメージセンサの画素信号読み出し(出力)回路については実に様々なものが提案されている。
それらの中で、その最も進んだ回路のひとつが、列(カラム)毎にアナログ-デジタル変換器(ADC(Analog digital converter))を備え、画素信号をデジタル信号として取り出す回路である(たとえば特許文献2,3参照)。
【0008】
この列並列ADC搭載CMOSイメージセンサ(カラムAD方式CMOSイメージセンサ)では、比較器(コンパレータ)はいわゆるRAMP波と画素信号の比較をして、後段のカウンタでデジタルCDSを行うことによりAD変換を行う。
【0009】
しかしながら、この種のMOSイメージセンサは、信号の高速転送が可能であるが、グローバルシャッタ読み出しができないという不利益がある。
【0010】
これに対して、各画素に比較器を含むADC(さらにはメモリ部)を配置して、画素アレイ部中の全画素に対して同一のタイミングで露光開始と露光終了とを実行するグローバルシャッタをも実現可能にするデジタル画素(ピクセル)センサが提案されている(たとえば特許文献4,5参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】特許4317115号公報
【文献】特開2005-278135号公報
【文献】特開2005-295346号公報
【文献】US 7164114 B2 FIG、4
【文献】US 2010/0181464 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ところが、特許文献1,2,3に記載の固体撮像装置では、グローバルシャッタ機能を実現することは困難で、また、たとえば蓄積期間にフォトダイオードから溢れ出る電荷をリアルタイムに利用していないことから、広ダイナミックレンジ化、高フレームレート化には限界がある。
【0013】
また、上述した従来のデジタル画素センサを備えたCMOSイメージセンサでは、グローバルシャッタ機能を実現することは可能であるが、たとえば蓄積期間にフォトダイオードから溢れ出る電荷をリアルタイムに利用していないことから、広ダイナミックレンジ化、高フレームレート化には限界がある。
【0014】
また、CMOSイメージセンサの重要な性能指標にランダムノイズがあり、主なランダムノイズ源として、画素とAD変換器があることが知られている。
一般的には、ランダムノイズ低減手法として、トランジスタサイズを大きくすることでフリッカノイズ(flicker noise)を低減する、もしくは比較器出力に容量を付加し、帯域を落とすことでCDSによるノイズのフィルタ効果を狙う方法が知られている。
しかし、それぞれの手法では、面積が増大する、容量増により比較器の反転遅延が悪化し、撮像素子のフレームレートが上げられないという不利益がある。
【0015】
また、各画素に比較器を含むADC(さらにはメモリ部)を配置することから、有効画素領域を最大限に拡大することは困難で、コストあたりの価値を最大限に高めることが困難である。
【0016】
本発明は、実質的に広ダイナミックレンジ化、高フレームレート化を実現することが可能な固体撮像装置、固体撮像装置の駆動方法、および電子機器を提供することにある。
また、本発明は、実質的に広ダイナミックレンジ化、高フレームレート化を実現することが可能で、しかも低ノイズ化を図れ、有効画素領域を最大限に拡大することができ、コストあたりの価値を最大限に高めることが可能な固体撮像装置、固体撮像装置の駆動方法、および電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の第1の観点の固体撮像装置は、光電変換読み出し部および信号保持部を含む画素が配置された画素部と、前記画素部から画素信号の読み出しを行う読み出し部と、を有し、前記画素は、蓄積期間に光電変換により生成した電荷を蓄積する光電変換素子と、前記光電変換素子に蓄積された電荷を前記蓄積期間後の転送期間に転送可能な転送素子と、前記転送素子を通じて前記光電変換素子で蓄積された電荷が転送される出力ノードと、前記出力ノードの電荷を電荷量に応じた電圧信号に変換し、変換した電圧信号を出力する出力バッファ部と、前記出力ノードに接続された蓄積トランジスタと、前記蓄積トランジスタを介して前記出力ノードの電荷を蓄積する蓄積容量素子と、リセット期間に前記出力ノードを所定の電位にリセットするリセット素子と、を含み、前記信号保持部は、前記蓄積期間後の前記転送期間に前記出力ノードに転送された前記光電変換素子の蓄積電荷に応じた前記電圧信号に対する信号、並びに、任意の期間に、前記光電変換素子および前記蓄積容量素子の電荷のうちの少なくとも前記光電変換素子から前記出力ノードに溢れ出たオーバーフロー電荷に応じた前記電圧信号に対する信号を保持可能である。
【0018】
本発明の第2の観点は、光電変換読み出し部および信号保持部を含む画素が配置された画素部と、前記画素部から画素信号の読み出しを行う読み出し部と、を有し、前記画素は、蓄積期間に光電変換により生成した電荷を蓄積する光電変換素子と、前記光電変換素子に蓄積された電荷を前記蓄積期間後の転送期間に転送可能な転送素子と、前記転送素子を通じて前記光電変換素子で蓄積された電荷が転送される出力ノードと、前記出力ノードの電荷を電荷量に応じた電圧信号に変換し、変換した電圧信号を出力する出力バッファ部と、前記出力ノードに接続された蓄積トランジスタと、前記蓄積トランジスタを介して前記出力ノードの電荷を蓄積する蓄積容量素子と、リセット期間に前記出力ノードを所定の電位にリセットするリセット素子と、を含み、前記信号保持部は、前記蓄積期間後の前記転送期間に前記出力ノードに転送された前記光電変換素子の蓄積電荷に応じた前記電圧信号に対する信号、並びに、任意の期間に、前記光電変換素子および前記蓄積容量素子の電荷のうちの少なくとも前記光電変換素子から前記出力ノードに溢れ出たオーバーフロー電荷に応じた前記電圧信号に対する信号を保持可能である固体撮像装置の駆動方法であって、前記画素の画素信号を読み出す場合、前記読み出し部の制御の下、前記蓄積期間に前記光電変換素子から前記出力ノードに溢れ出たオーバーフロー電荷に応じた前記電圧信号に対するデジタル化した第1の比較結果信号を出力する第1の比較処理を行い、前記蓄積期間後の前記転送期間に前記出力ノードに転送された前記光電変換素子の蓄積電荷に応じた前記電圧信号に対するデジタル化した第2の比較結果信号を出力する第2の比較処理を行う。
【0019】
本発明の第3の観点の電子機器は、固体撮像装置と、前記固体撮像装置に被写体像を結像する光学系と、を有し、前記固体撮像装置は、光電変換読み出し部および信号保持部を含む画素が配置された画素部と、前記画素部から画素信号の読み出しを行う読み出し部と、を有し、前記画素は、蓄積期間に光電変換により生成した電荷を蓄積する光電変換素子と、前記光電変換素子に蓄積された電荷を前記蓄積期間後の転送期間に転送可能な転送素子と、前記転送素子を通じて前記光電変換素子で蓄積された電荷が転送される出力ノードと、前記出力ノードの電荷を電荷量に応じた電圧信号に変換し、変換した電圧信号を出力する出力バッファ部と、前記出力ノードに接続された蓄積トランジスタと、前記蓄積トランジスタを介して前記出力ノードの電荷を蓄積する蓄積容量素子と、リセット期間に前記出力ノードを所定の電位にリセットするリセット素子と、を含み、前記信号保持部は、前記蓄積期間後の前記転送期間に前記出力ノードに転送された前記光電変換素子の蓄積電荷に応じた前記電圧信号に対する信号、並びに、任意の期間に、前記光電変換素子および前記蓄積容量素子の電荷のうちの少なくとも前記光電変換素子から前記出力ノードに溢れ出たオーバーフロー電荷に応じた前記電圧信号に対する信号を保持可能である。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、実質的に広ダイナミックレンジ化、高フレームレート化を実現することが可能となる。
また、本発明によれば、実質的に広ダイナミックレンジ化、高フレームレート化を実現することが可能で、しかも低ノイズ化を図れ、有効画素領域を最大限に拡大することができ、コストあたりの価値を最大限に高めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の第1の実施形態に係る固体撮像装置の構成例を示すブロック図である。
図2】本発明の第1の実施形態に係る固体撮像装置の画素の一例を示す回路図である。
図3】本発明の第1の実施形態に係る画素の主要部である電荷蓄積転送系の構成例を示す簡略断面図およびオーバーフロー時のポテンシャル図である。
図4】本発明の第1の実施形態に係る固体撮像装置の画素部における画素アレイについて説明するための図である。
図5】本第1の実施形態に係る固体撮像装置の列出力の読み出し系の構成例を説明するための図である。
図6】本第1の実施形態に係る固体撮像装置の積層構造について説明するための図である。
図7】本発明の第1の実施形態に係る固体撮像装置におけるフレーム読み出しシーケンスの一例を示す図である。
図8】本第1の実施形態に係る固体撮像装置の所定シャッタモード時の主として画素部における読み出し動作を説明するための動作シーケンスおよびポテンシャル遷移を示す図である。
図9】本第1の実施形態に係る固体撮像装置の所定シャッタモード時の主として画素部における読み出し動作を説明するためのタイミングチャートである。
図10】本発明の第2の実施形態に係る固体撮像装置の画素の構成例を示す図である。
図11】本発明の第3の実施形態に係る固体撮像装置の構成例を示すブロック図である。
図12】本発明の第3の実施形態に係る固体撮像装置の画素部のデジタル画素アレイの一例を示す図である。
図13】本発明の第3の実施形態に係る固体撮像装置の画素の一例を示す回路図である。
図14】本第3の実施形態に係る比較器の第1の比較処理を説明するための図である。
図15】本第3の実施形態に係る比較器の第1の比較処理を説明するための図であって、参照電圧の他のパターン例を説明するための図である。
図16】本第3の実施形態に係る比較器に種々の参照電圧を入力した場合の光時間変換の状態を示す図である。
図17】本発明の第3の実施形態に係るデジタル画素における光応答カバレッジを示す図である。
図18】本発明の第3の実施形態に係るメモリ部および出力回路の構成例を示す図である。
図19】本発明の第3の実施形態に係る固体撮像装置におけるフレーム読み出しシーケンスの一例を示す図である。
図20】本第3の実施形態に係る固体撮像装置の積層構造について説明するための模式図である。
図21】本第3の実施形態に係る固体撮像装置の積層構造について説明するための簡略断面図である。
図22】本第3の実施形態に係る固体撮像装置の所定シャッタモード時の主として画素部における第1の読み出し動作を説明するための動作シーケンスおよびポテンシャル遷移を示す図である。
図23】本第3の実施形態に係る固体撮像装置の所定シャッタモード時の主として画素部における第2の読み出し動作を説明するためのタイミングチャートである。
図24】本発明の第3の実施形態に係る固体撮像装置における第2の読み出し方法のフレーム読み出しシーケンスの一例を示す図である。
図25】本第3の実施形態に係る固体撮像装置の所定シャッタモード時の主として画素部における第2の読み出し動作を説明するための動作シーケンスおよびポテンシャル遷移を示す図である。
図26】本第3の実施形態に係る固体撮像装置の所定シャッタモード時の主として画素部における第2の読み出し動作を説明するためのタイミングチャートである。
図27】第2の読み出し方法における蓄積期間途中にオーバーフロー電荷をスキミングする処理の一例を模式的に示す図である。
図28】フォトダイオードから電荷がオーバーフローし、さらに蓄積キャパシタCS1側にオーバーフローする様子を模式的に示す図である。
図29】本発明の第3の実施形態に係る固体撮像装置における第3の読み出し方法のフレーム読み出しシーケンスの一例を示す図である。
図30】本第3の実施形態に係る固体撮像装置の所定シャッタモード時の主として画素部における第3の読み出し動作を説明するための動作シーケンスおよびポテンシャル遷移を示す図である。
図31】第3の読み出し方法における蓄積期間途中にオーバーフロー電荷をスキミングする処理の一例を模式的に示す図である。
図32】本発明の第4の実施形態に係る固体撮像装置の画素の構成例を示す図である。
図33】本発明の実施形態に係る固体撮像装置が適用される電子機器の構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を図面に関連付けて説明する。
【0023】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る固体撮像装置の構成例を示すブロック図である。
本実施形態において、固体撮像装置10は、たとえばCMOSイメージセンサにより構成される。
【0024】
この固体撮像装置10は、図1に示すように、撮像部としての画素部20、垂直走査回路(行走査回路)30、読み出し回路(カラム読み出し回路)40、水平走査回路(列走査回路)50、およびタイミング制御回路60を主構成要素として有している。
これらの構成要素のうち、たとえば垂直走査回路30、読み出し回路40、水平走査回路50、およびタイミング制御回路60により画素信号の読み出し部70が構成される。
【0025】
本第1の実施形態において、固体撮像装置10は、画素部20において、画素として光電変換読み出し部および信号保持部を含み、グローバルシャッタの動作機能を持ち、かつ実質的に広ダイナミックレンジ化、高フレームレート化を実現することを可能とする、たとえば積層型のCMOSイメージセンサとして構成されている。
【0026】
本第1の実施形態の固体撮像装置10において、信号保持部は、蓄積期間後の転送期間に出力ノードであるフローティングディフュージョンFDに転送された光電変換素子としてのフォトダイオードPDの蓄積電荷に応じた電圧信号に対する信号、並びに、任意の期間に、光電変換素子としてのフォトダイオードPDおよび蓄積容量素子としての蓄積キャパシタのうちの少なくともフォトダイオードPDから出力ノードであるフローティングディフュージョンFDに溢れ出たオーバーフロー電荷に応じた電圧信号に対する信号を保持可能である。
本第1の実施形態に係る固体撮像装置10において、後で詳述するように、画素信号ストレージとしての信号保持部に、電圧モードで、画素信号を全画素で同時にサンプリングし、第1から第4の信号保持キャパシタに保持された読み出し信号に対応する変換信号を所定の信号線に読み出すとともに、読み出しリセット信号に対応する変換信号を所定の信号線に同時並列的に読み出し、カラム読み出し回路40に供給する。
【0027】
以下、固体撮像装置10の各部の構成および機能の概要、特に、画素部20の構成および機能、それらに関連した読み出し処理、並びに、画素部20と読み出し部70の積層構造等について詳述する。
【0028】
(画素並びに画素部20の構成)
図2は、本発明の第1の実施形態に係る固体撮像装置10の画素の一例を示す回路図である。
【0029】
画素部20に配置される画素200は、光電変換読み出し部210および信号保持部220を含んで構成されている。
本第1の実施形態の画素部20は、後で詳述するように、第1の基板110と第2の基板120の積層型のCMOSイメージセンサとして構成されるが、本例では、図2に示すように、第1の基板110に光電変換読み出し部210が形成され、第2の基板120に信号保持部2200が形成されている。
【0030】
画素200の光電変換読み出し部210は、フォトダイオード(光電変換素子)と画素内アンプとを含んで構成される。
具体的には、この光電変換読み出し部210は、たとえば光電変換素子であるフォトダイオードPD1を有する。
このフォトダイオードPD1に対して、転送素子としての転送トランジスタTG1-Tr、リセット素子としてのリセットトランジスタRST1-Tr、ソースフォロワ素子としてのソースフォロワトランジスタSF1-Tr、電流源素子としてのカレントトランジスタIC1-Tr、蓄積トランジスタSG1-Tr、蓄積容量素子としての蓄積キャパシタCS1、出力ノードND1としてのフローティングディフュージョンFD1,および読み出しノードND2をそれぞれ一つずつ有する。
このように、第1の実施形態に係るデジタル画素200の光電変換読み出し部210は、転送トランジスタTG1-Tr、リセットトランジスタRST1-Tr、ソースフォロワトランジスタSF1-Tr、カレントトランジスタIC1-Tr、および蓄積トランジスタSG1-Trの5トランジスタ(5Tr)を含んで構成されている。
【0031】
そして、本第1の実施形態においては、ソースフォロワトランジスタSF1-Tr、カレントトランジスタIC1-Tr、および読み出しノードND2を含んで出力バッファ部211が構成されている。
【0032】
本第1の実施形態に係る光電変換読み出し部210は、出力バッファ部211の読み出しノードND2がAD変換部250の入力部に接続されている。
光電変換読み出し部210は、出力ノードとしてのフローティングディフュージョンFD1の電荷を電荷量に応じた電圧信号に変換し、変換した電圧信号VSLを信号保持部220に出力する。
【0033】
より具体的には、光電変換読み出し部210は、蓄積期間PIに光電変換素子であるフォトダイオードPD1および蓄積容量素子としての蓄積キャパシタCS1から出力ノードとしてのフローティングディフュージョンFD1に溢れ出たオーバーフロー電荷に応じた電圧信号VSLを出力する。
【0034】
さらに、光電変換読み出し部210は、蓄積期間PI後の転送期間PTに出力ノードとしてのフローティングディフュージョンFD1に転送されたフォトダイオードPD1の積電荷に応じた電圧信号VSLを出力する。
光電変換読み出し部210は、画素信号としての読み出しリセット信号(信号電圧)(VRST)および読み出し信号(信号電圧)(VSIG)をAD変換部250に出力する。
【0035】
フォトダイオードPD1は、入射光量に応じた量の信号電荷(ここでは電子)を発生し、蓄積する。
以下、信号電荷は電子であり、各トランジスタがn型トランジスタである場合について説明するが、信号電荷が正孔(ホール)であったり、各トランジスタがp型トランジスタであっても構わない。
また、本実施形態は、複数のフォトダイオードおよび転送トランジスタ間で、各トランジスタを共有している場合にも有効である。
【0036】
各画素200において、フォトダイオード(PD)としては、埋め込み型フォトダイオード(PPD)が用いられる。
フォトダイオード(PD)を形成する基板表面にはダングリングボンドなどの欠陥による表面準位が存在するため、熱エネルギーによって多くの電荷(暗電流)が発生し、正しい信号が読み出せなくなってしまう。
埋め込み型フォトダイオード(PPD)では、フォトダイオード(PD)の電荷蓄積部を基板内に埋め込むことで、暗電流の信号への混入を低減することが可能となる。
【0037】
光電変換読み出し部210の転送トランジスタTG1-Trは、フォトダイオードPD1とフローティングディフュージョンFD1の間に接続され、制御線を通じてゲートに印加される制御信号TGにより制御される。
転送トランジスタTG1-Trは、制御信号TGがハイ(H)レベルの転送期間PTに選択されて導通状態となり、フォトダイオードPD1で光電変換され蓄積された電荷(電子)をフローティングディフュージョンFD1に転送する。
なお、フォトダイオードPD1およびフローティングディフュージョンFD1が所定のリセット電位にリセットされた後、転送トランジスタTG1-Trは、制御信号TGがロー(L)レベルの非導通状態となり、フォトダイオードPD1は蓄積期間PIとなるが、このとき、入射する光の強度(量)が非常に高い場合、飽和電荷量を超えた電荷が転送トランジスタTG1―Tr下のオーバーフローパスを通じてオーバーフロー電荷としてフローティングディフュージョンFD1に溢れ出す。
また、非常に高照度の場合、たとえばフローティングディフュージョンFD1の飽和電荷量を超えた電荷が蓄積トランジスタSG1―Tr下のオーバーフローパスを通じてオーバーフロー電荷として蓄積キャパシタCS1側に溢れ出す。
【0038】
リセットトランジスタRST1-Trは、電源電圧VDDの電源線VddとフローティングディフュージョンFD1の間に接続され、制御線を通じてゲートに印加される制御信号RSTにより制御される。
リセットトランジスタRST1-Trは、制御信号RSTがHレベルのリセット期間に選択されて導通状態となり、フローティングディフュージョンFD1を電源電圧VDDの電源線Vddの電位にリセットする。
【0039】
蓄積トランジスタSG1―Trは、フローティングディフュージョンFD1とリセットトランジスタRST1―Trとの間に接続され、その接続ノードND3と基準電位VSSとの間に蓄積キャパシタcs1が接続されている。
蓄積トランジスタSG1-Trは、制御線を通じてゲートに印加される制御信号SGにより制御される。
蓄積トランジスタSG1-Trは、制御信号SGがHレベルのリセット期間に選択されて導通状態となり、フローティングディフュージョンFD1と蓄積キャパシタCS1とを接続する。
【0040】
ソースフォロワ素子としてのソースフォロワトランジスタSF1-Trは、ソースが読み出しノードND2に接続され、ドレイン側が電源線Vddに接続され、ゲートがフローティングディフュージョンFD1に接続されている。
読み出しノードND2と基準電位VSS(たとえばGND)の間に電流源素子としてのカレントトランジスタIC1-Trのドレイン、ソースが接続されている。カレントトランジスタIC1-Trのゲートは制御信号VBNPIXの供給ラインに接続されている。
そして、読み出しノードND2と信号保持部220の入力部間の信号線LSGN1は、電流源素子としてのカレントトランジスタIC1-Trにより駆動される。
【0041】
図3(A)および(B)は、本発明の第1の実施形態に係る画素の主要部である電荷蓄積転送系の構成例を示す簡略断面図およびオーバーフロー時のポテンシャル図である。
【0042】
各画素セルPXLCは、光Lが照射される第1基板面1101側(たとえば裏面側)と、この第1基板面1101側と対向する側の第2基板面1102側とを有する基板(本例では第1の基板110)に形成され、分離層SPLにより分離されている。
そして、図4のデジタル画素セルPXLCは、光電変換読み出し部210を形成するフォトダイオードPD1、転送トランジスタTG1-Tr、フローティングディフュージョンFD1、リセットトランジスタRST1-Tr、分離層SPL、さらには図示しないカラーフィルタ部およびマイクロレンズを含んで構成されている。
【0043】
(フォトダイオードの構成)
フォトダイオードPD1は、第1基板面1101側と、第1基板面1101側と対向する側の第2基板面1102側とを有する半導体基板に対して埋め込むように形成された第1導電型(本実施形態ではn型)半導体層(本実施形態ではn層)2101を含み、受光した光の光電変換機能および電荷蓄積機能を有するように形成されている。
フォトダイオードPD1の基板の法線に直交する方向(X方向)における側部には第2の導電型(本実施形態ではp型)分離層SPLが形成されている。
【0044】
このように、本実施形態では、各画素セルPXLCにおいて、フォトダイオード(PD)としては、埋め込み型フォトダイオード(PPD)が用いられる。
フォトダイオード(PD)を形成する基板表面にはダングリングボンドなどの欠陥による表面準位が存在するため、熱エネルギーによって多くの電荷(暗電流)が発生し、正しい信号が読み出せなくなってしまう。
埋め込み型フォトダイオード(PPD)では、フォトダイオード(PD)の電荷蓄積部を基板内に埋め込むことで、暗電流の信号への混入を低減することが可能となる。
【0045】
図3のフォトダイオードPD1においては、n層(第1導電型半導体層)2101が、基板110の法線方向(図中の直交座標系のZ方向)に2層構造を持つように構成されている。
本例では、第1基板面1101側にn-層2102が形成され、このn-層2102の第2基板面1102側にn層2103が形成され、このn-層2103の第2基板面1102側にp+層2104およびp層2105が形成されている。
また、n-層2102の第1基板面1101側にp+層2106が形成されている。
p+層2106は、フォトダイオードPD1のみならず分離層SPL、さらには他のデジタル画素セルPXLCにわたって一様に形成されている。
【0046】
なお、このP+層2106の光入射側には、カラーフィルタ部が形成され、さらに、カラーフィルタ部の光入射射側であって、フォトダイオードPD1および分離層SPLの一部に対応するようにマイクロレンズが形成されている。
【0047】
これらの構成は一例であり、単層構造であってもよく、また、3層、4層以上の積層構造であってもよい。
【0048】
(X方向(列方向)における分離層の構成)
図3のX方向(列方向)におけるp型分離層SPLにおいては、フォトダイオードPD1のn-層2102と接する側であって基板の法線に直交する方向(図中の直交座標系のX方向)の右側部に、第1のp層(第2導電型半導体層)2107が形成されている。
さらに、p型分離層SPLにおいては、第1のp層2107のX方向の右側に、第2のp層(第2導電型半導体層)2108が、基板110の法線方向(図中の直交座標系のZ方向)に2層構造を持つように構成されている。
本例では、第2のp層2108において、第1基板面1101側にp-層2109が形成され、このp-層2109の第2基板面1102側にp層2110が形成されている。
【0049】
これらの構成は一例であり、単層構造であってもよく、また、3層、4層以上の積層構造であってもよい。
【0050】
p型分離層SPLの第1のp層2107および第2のp-層2109の第1の基板面1101側にはフォトダイオード2110と同様のp+層2106が形成されている。
【0051】
p型分離層SPLの第1のp層2107の第2の基板面1102側の一部にかかりオーバーフローパスOVPが形成されるように、n層2103が延長するように形成されている。
そして、n層2103の第2基板面1102側のp層2105上に、ゲート絶縁膜を介して転送トランジスタTG1-Trのゲート電極2111が形成されている。
さらに、p型分離層SPLの第1のp層2107の第2の基板面1102側にはフローティングディフュージョンFD1となるn+層2112が形成され、n+層2112に隣接してリセットトランジスタRST1-Trのチャネル形成領域となるp層2113、p層2113に隣接してn+層2114が形成されている。
そして、p層2113上に、ゲート絶縁膜を介してゲート電極2115が形成されている。
【0052】
このような構造において、入射する光の強度(量)が非常に高い場合、飽和電荷量を超えた電荷が転送トランジスタTG1―Tr下のオーバーフローパスOVPを通じてオーバーフロー電荷としてフローティングディフュージョンFD1に溢れ出す。
【0053】
画素21の信号保持部220は、基本的に、入力ノードN22を含む入力部221、サンプルホールド部222、第1の出力部223、第2の出力部224、第3の出力部225、第4の出力部226、および保持ノードND23,ND24、ND25,ND26を含んで構成されている。
【0054】
入力部2121は、光電変換読み出し部210の読み出しノードND2と信号線LSGN1を介して接続され、読み出しノードND2から出力される読み出し信号(VSIG1)および読み出しリセット信号(VRST1)をサンプルホールド部222に入力する。
【0055】
サンプルホールド部222は、第1のスイッチ素子としての第1のサンプリングトランジスタSHR1-Tr、第2のスイッチ素子としての第2のサンプリングトランジスタSHS1-Tr、第3のスイッチ素子としての第3のサンプリングトランジスタSHR2-Tr、第4のスイッチ素子としての第4のサンプリングトランジスタSHS2-Tr、第1の信号保持キャパシタCR21、第2の信号保持キャパシタCS21、第3の信号保持キャパシタCR22、第4の信号保持キャパシタCS22を含んで構成されている。
【0056】
第1のサンプリングトランジスタSHR1-Trは、信号線LSGN1に接続された入力ノードND22と保持ノードND23との間に接続されている。
第1のサンプリングトランジスタSHR1-Trは、グローバルシャッタ期間または信号保持キャパシタのクリア期間に、サンプルホールド部222の第1の信号保持キャパシタCR21を、保持ノードND23を介して光電変換読み出し部210の読み出しノードND2と選択的に接続する。
第1のサンプリングトランジスタSHR1-Trは、たとえば制御信号SHR1がハイレベルに期間に導通状態となる。
第1の信号保持キャパシタCR21は、保持ノードND23と基準電位VSSとの間に接続されている。
【0057】
第2のサンプリングトランジスタSHS1-Trは、信号線LSGN1に接続された入力ノードND22と保持ノードND24との間に接続されている。
第2のサンプリングトランジスタSHS1-Trは、グローバルシャッタ期間または信号保持キャパシタのクリア期間に、サンプルホールド部2122の第2の信号保持キャパシタCS21を、保持ノードND24を介して光電変換読み出し部210の読み出しノードND2と選択的に接続する。
第2のサンプリングトランジスタSHS1-Trは、たとえば制御信号SHS1がハイレベルに期間に導通状態となる。
第2の信号保持キャパシタCS21は、保持ノードND24と基準電位VSSとの間に接続されている。
【0058】
第3のサンプリングトランジスタSHR2-Trは、信号線LSGN1に接続された入力ノードND22と保持ノードND25との間に接続されている。
第3のサンプリングトランジスタSHR2-Trは、グローバルシャッタ期間または信号保持キャパシタのクリア期間に、サンプルホールド部222の第3の信号保持キャパシタCR22を、保持ノードND25を介して光電変換読み出し部210の読み出しノードND2と選択的に接続する。
第3のサンプリングトランジスタSHR2-Trは、たとえば制御信号SHR2がハイレベルに期間に導通状態となる。
第3の信号保持キャパシタCR22は、保持ノードND25と基準電位VSSとの間に接続されている。
【0059】
第4のサンプリングトランジスタSHS2-Trは、信号線LSGN1に接続された入力ノードND22と保持ノードND26との間に接続されている。
第4のサンプリングトランジスタSHS2-Trは、グローバルシャッタ期間または信号保持キャパシタのクリア期間に、サンプルホールド部2122の第4の信号保持キャパシタCS22を、保持ノードND26を介して光電変換読み出し部210の読み出しノードND2と選択的に接続する。
第4のサンプリングトランジスタSHS2-Trは、たとえば制御信号SHS2がハイレベルに期間に導通状態となる。
第4の信号保持キャパシタCS22は、保持ノードND26と基準電位VSSとの間に接続されている。
【0060】
なお、第1のサンプリングトランジスタSHR1-Tr、第2のサンプリングトランジスタSHS1-Tr、第3のサンプリングトランジスタSHR2-Tr、および第4のサンプリングトランジスタSHS2-Trは、MOSトランジスタ、たとえばpチャネルMOS(PMOS)トランジスタにより形成される。
【0061】
第1の出力部223は、グローバルシャッタ期間に、基本的に第1の信号保持キャパシタCR21に保持された信号を保持電圧に応じて出力する第2のソースフォロワ素子としてのソースフォロワトランジスタSF2R-Trを含み、保持した信号を選択的に選択トランジスタSEL1R-Trを介して垂直信号線LSGN11に出力する。
【0062】
ソースフォロワトランジスタSF2R-Trと選択トランジスタSEL1R-Trは、基準電位VSSと垂直信号線LSGN11の間に直列に接続されている。
【0063】
ソースフォロワトランジスタSF2R-Trのゲートには保持ノードND23が接続され、選択トランジスタSEL1R-Trは制御線を通じてゲートに印加される制御信号SEL1により制御される。
選択トランジスタSEL1R-Trは、制御信号SEL1がHレベルの選択期間に選択されて導通状態となる。これにより、ソースフォロワトランジスタSF2R-Trは第1の信号保持キャパシタCR21の保持電圧に応じた列出力の読み出し電圧(VRST)を垂直信号線LSGN11に出力する。
【0064】
第2の出力部224は、グローバルシャッタ期間に、基本的に第2の信号保持キャパシタCS21に保持された信号を保持電圧に応じて出力する第3のソースフォロワ素子としてのソースフォロワトランジスタSF3S-Trを含み、保持した信号を選択的に選択トランジスタSEL2S-Trを介して垂直信号線LSGN12に出力する。
【0065】
ソースフォロワトランジスタSF3S-Trと選択トランジスタSEL2S-Trは、基準電位VSSと垂直信号線LSGN12の間に直列に接続されている。
【0066】
ソースフォロワトランジスタSF3S-Trのゲートには保持ノードND24が接続され、選択トランジスタSEL2S-Trは制御線を通じてゲートに印加される制御信号SEL1により制御される。
選択トランジスタSEL2S-Trは、制御信号SEL1がHレベルの選択期間に選択されて導通状態となる。これにより、ソースフォロワトランジスタSF3S-Trは第2の信号保持キャパシタCS21の保持電圧に応じた列出力の読み出し電圧(VSIG)を垂直信号線LSGN12に出力する。
【0067】
第3の出力部225は、グローバルシャッタ期間に、基本的に第3の信号保持キャパシタCR22に保持された信号を保持電圧に応じて出力する第4のソースフォロワ素子としてのソースフォロワトランジスタSF4R-Trを含み、保持した信号を選択的に選択トランジスタSEL3R-Trを介して垂直信号線LSGN13に出力する。
【0068】
ソースフォロワトランジスタSF4R-Trと選択トランジスタSEL3R-Trは、基準電位VSSと垂直信号線LSGN13の間に直列に接続されている。
【0069】
ソースフォロワトランジスタSF4R-Trのゲートには保持ノードND25が接続され、選択トランジスタSEL3R-Trは制御線を通じてゲートに印加される制御信号SEL1により制御される。
選択トランジスタSEL3R-Trは、制御信号SEL1がHレベルの選択期間に選択されて導通状態となる。これにより、ソースフォロワトランジスタSF4R-Trは第3の信号保持キャパシタCR22の保持電圧に応じた列出力の読み出し電圧(VRST)を垂直信号線LSGN13に出力する。
【0070】
第4の出力部226は、グローバルシャッタ期間に、基本的に第4の信号保持キャパシタCS22に保持された信号を保持電圧に応じて出力する第5のソースフォロワ素子としてのソースフォロワトランジスタSF5S-Trを含み、保持した信号を選択的に選択トランジスタSEL4S-Trを介して垂直信号線LSGN14に出力する。
【0071】
ソースフォロワトランジスタSF5S-Trと選択トランジスタSEL4S-Trは、基準電位VSSと垂直信号線LSGN14の間に直列に接続されている。
【0072】
ソースフォロワトランジスタSF5S-Trのゲートには保持ノードND26が接続され、選択トランジスタSEL4S-Trは制御線を通じてゲートに印加される制御信号SEL1により制御される。
選択トランジスタSEL4S-Trは、制御信号SEL1がHレベルの選択期間に選択されて導通状態となる。これにより、ソースフォロワトランジスタSF5S-Trは第4の信号保持キャパシタCS22の保持電圧に応じた列出力の読み出し電圧(VSIG)を垂直信号線LSGN14に出力する。
【0073】
このように、本第1の実施形態に係る固体撮像装置10においては、画素信号ストレージとしての信号保持部220に、電圧モードで、画素信号を全画素で同時にサンプリングし、第1の信号保持キャパシタCR21,第2の信号保持キャパシタCS21,第3の信号保持キャパシタCR22,第4の信号保持キャパシタCS22に保持された読み出し信号に対応する変換信号を垂直信号線LSGN11~14に読み出し、カラム読み出し回路40に供給する。
【0074】
本第1の実施形態に係る画素部20は、以上のような構成を有する画素21が、たとえば図4に示すように、画素アレイとして配列され、複数の画素アレイが組み合わされて構成されている。
【0075】
図4は、本発明の第1の実施形態に係る固体撮像装置10の画素部20における画素アレイについて説明するための図である。
【0076】
第1の実施形態に係る固体撮像装置10の画素部20は、画素アレイ230および保持部アレイ240を含んで構成されている。
【0077】
画素アレイ230は、複数の画素21の光電変換読み出し部211がN行×M列の2次元の行列状(マトリクス状)に配列されている。
画素アレイ230は、たとえば16:9のアスペクト比の画像が出力可能なように、複数の画素21の光電変換読み出し部211がN行×M列の2次元の行列状(マトリクス状)に配列されている。
【0078】
保持部アレイ240は、複数の画素21の信号保持部212が、画素アレイ230に対応してN行×M列の2次元の行列状(マトリクス状)に配列されている。
保持部アレイ240は、画素アレイ230と同様に、たとえば16:9のアスペクト比の画像が出力可能なように、複数の画素21の信号保持部212がN行×M列の2次元の行列状(マトリクス状)に配列されている。
【0079】
固体撮像装置10が、後述するように、第1の基板(上基板)と第2の基板(下基板)の積層構造を有する場合、第1の基板に画素アレイ230が形成され、第2の基板に保持部アレイ240が画素アレイ230と対向するように形成される。
この場合、保持部アレイ240は、完全にメタル配線層で遮光されていてもよい。
【0080】
画素部20は、読み出し部70の制御の下、グローバルシャッタモード時には、画素アレイ230および保持部アレイ240をアクティブにして画素信号の読み出しが行われる。
【0081】
画素部20において、全画素同時にリセットトランジスタRST1-Trと転送トランジスタTG1-Trを使ってフォトダイオードをリセットすることで、全画素同時並列的に露光を開始する。また、所定の露光期間が終了した後、転送トランジスタTG1-Trを使って光電変換読み出し部からの出力信号を信号保持部220でサンプリングすることで、全画素同時並列的に露光を終了する。これにより、完全なシャッタ動作を電子的に実現する。
【0082】
垂直走査回路30は、タイミング制御回路60の制御に応じてシャッタ行および読み出し行において行走査制御線を通して画素21の光電変換読み出し部210および信号保持部220駆動を行う。
また、垂直走査回路30は、アドレス信号に従い、信号の読み出しを行うリード行と、フォトダイオードPDに蓄積された電荷をリセットするシャッタ行の行アドレスの行選択信号を出力する。
【0083】
カラム読み出し回路40は、画素部20の各列出力に対応して配置された複数の列(カラム)信号処理回路(図示せず)を含み、複数の列信号処理回路で列並列処理が可能に構成されてもよい。
カラム読み出し回路40は、グローバルシャッタモード時に、垂直信号線LSGN11~14に、画素21の信号保持部220から読み出された差動の画素信号pixout(VSL)に対して、増幅処理およびAD変換処理を行う。
【0084】
ここで、画素信号pixout(VSL)は、グローバルシャッタモード時に画素(本例では画素21の光電変換読み出し部210、さらに信号保持部220)から順に読み出される読み出し信号VSIGおよび読み出しリセット信号VRSTを含む画素読み出し信号をいう。
【0085】
本第1の実施形態に係る固体撮像装置10において、カラム読み出し回路40は、動作モードや読み出し信号の信号形態(シングルエンドや差動等の信号)にかかわらず一つの回路構成で共用することが可能に形成されている。
【0086】
カラム読み出し回路40は、たとえば図5に示すように、アンプ(AMP,増幅器)41およびADC(アナログデジタルコンバータ;AD変換器)42を含んで構成される。
【0087】
水平走査回路50は、カラム読み出し回路40のADC等の複数の列信号処理回路で処理された信号を走査して水平方向に転送し、図示しない信号処理回路に出力する。
【0088】
タイミング制御回路60は、画素部20、垂直走査回路30、読み出し回路40、水平走査回路50等の信号処理に必要なタイミング信号を生成する。
【0089】
本第1の実施形態において、読み出し部70は、たとえばグローバルシャッタモード時に、画素アレイ230および保持部アレイ240をアクティブにして、差動の画素信号pixoutの読み出しを行う。
【0090】
(固体撮像装置10の積層構造)
次に、本第1の実施形態に係る固体撮像装置10の積層構造について説明する。
【0091】
図6は、本第1の実施形態に係る固体撮像装置10の積層構造について説明するための図である。
【0092】
本第1の実施形態に係る固体撮像装置10は、第1の基板(上基板)110と第2の基板(下基板)120の積層構造を有する。
固体撮像装置10は、たとえばウェハレベルで貼り合わせた後、ダイシングで切り出した積層構造の撮像装置として形成される。
本例では、第2の基板120上に第1の基板110が積層された構造を有する。
【0093】
第1の基板110には、その中央部を中心として画素部20の各画素21の光電変換読み出し部211が配列された画素アレイ230(領域111)が形成されている。
そして、画素アレイ230の周囲、図6の例では、図中の上側および下側にカラム読み出し回路40の一部用の領域112,113が形成されている。なお、カラム読み出し回路40の一部は、画素アレイ230の領域111の上側および下側のいずれかに配置されるように構成してもよい。
【0094】
このように、本第1の実施形態においては、第1の基板110には、基本的に、画素21の光電変換読み出し部210が行列状に形成されている。
【0095】
第2の基板120には、その中央部を中心として画素アレイ230の各光電変換読み出し部211の出力ノードND21と接続される各画素21の信号保持部220がマトリクス状に配列された保持部アレイ240(領域121)、並びに垂直信号線LSGN11~14が形成されている。
保持部アレイ240は、完全にメタル配線層で遮光されていてもよい。
そして、保持部アレイ240の周囲、図6の例では、図中の上側および下側にカラム読み出し回路40用の領域122,123が形成されている。なお、カラム読み出し回路40は、保持部アレイ240の領域121の上側および下側のいずれかに配置されるように構成してもよい。
また、保持部アレイ240の側部側に垂直走査回路30用の領域や、デジタル系や出力系の領域が形成されてもよい。
また、第2の基板120には、垂直走査回路30、水平走査回路50、およびタイミング制御回路60も形成されてもよい。
【0096】
このような積層構造において、第1の基板110の画素アレイ230の各光電変換読み出し部210の読み出しノードND2と第2の基板120の各画素21の信号保持部212の入力ノードND22とが、たとえば図2に示すように、それぞれビアマイクロバンプBMPや(Die-to-Die Via)等を用いて電気的な接続が行われている。
【0097】
(固体撮像装置10の読み出し動作)
以上、固体撮像装置10の各部の特徴的な構成および機能について説明した。
次に、本第1の実施形態に係る固体撮像装置10の差動の画素信号の読み出し動作等の概要について説明する。
【0098】
図7は、本発明の第1の実施形態に係る固体撮像装置におけるフレーム読み出しシーケンスの一例を示す図である。
図8(A)~(H)は、本第1の実施形態に係る固体撮像装置の所定シャッタモード時の主として画素部における読み出し動作を説明するための動作シーケンスおよびポテンシャル遷移を示す図である。
図9は、本第1の実施形態に係る固体撮像装置の所定シャッタモード時の主として画素部における読み出し動作を説明するためのタイミングチャートである。
【0099】
本第1の実施形態においては、図7に示すように、フォトダイオードPD1における電荷の蓄積期間PIが終了してから、低照度時の信号読み出しを行い、続いて高照度時の信号読み出しを行う。
【0100】
動作シーケンスとしては、まず、転送トランジスタTG1―Tr,蓄積トランジスタSG1-Tr,およびリセットトランジスタRST1―Trを導通状態にして、いわゆるグローバルリセットを行う。
次いで、読み出しリセット信号のサンプリングを行う。そして、フォトダイオードPD1が飽和する前、並びに、飽和した後の読み出しリセット信号のサンプリングを行う。
次いで、フォトダイオードPD1が飽和する前の読み出しリセット信号に対応する読み出し信号のサンプリングを行う。
次いで、フォトダイオードPD1が飽和する後の読み出しリセット信号に対応する読み出し信号のサンプリングを行う。
【0101】
このように、画素200の画素信号VRST、VSIGを読み出す場合、信号保持部220においては、電荷がオーバーフローしていないときは、光電変換読み出し部210から画素信号として第1の読み出しリセット信号VRST1を読み出し、信号保持部220の第1のスイッチングトランジスタSHR1-Trを所定期間導通させて、この読み出しリセット信号VRST1を第1の信号保持キャパシタCR21に保持させる。
そして、光電変換読み出し部210から画素信号として第1の読み出し信号VSIG1を読み出し、信号保持部220の第2のスイッチングトランジスタSHS1-Trを所定期間導通させて、この読み出し信号VSIG1を第2の信号保持キャパシタCS21に保持させる。
【0102】
電荷がオーバーフローしているときは、光電変換読み出し部210から画素信号として第2の読み出し信号VSIG2を読み出し、信号保持部220の第4のスイッチングトランジスタSHS2-Trを所定期間導通させて、この読み出し信号VSIG2を第4の信号保持キャパシタCS22に保持させる。
そして、光電変換読み出し部210から画素信号として第2の読み出しリセット信号VRST2を読み出し、信号保持部220の第3のスイッチングトランジスタSHR2-Trを所定期間導通させて、この読み出しリセット信号VRST2を第3の信号保持キャパシタCR22に保持させる。
【0103】
そして、たとえば読み出し部70の一部を構成するカラム読み出し回路40において、差動で同時並列的に供給される画素信号pixoutの読み出しリセット信号VRSTと読み出し信号VSIGに対する増幅処理、AD変換処理が行われ、また、両信号の差分{VRST-VSIG}がとられてCDS処理が行われる。
【0104】
以上説明したように、本第1の実施形態によれば、画素部20は、複数の画素21の光電変換読み出し部210が行列状に配置された画素アレイ230と、複数の画素21の信号保持部220が行列状に配置された保持部アレイ240と、を含む、たとえば積層型のCMOSイメージセンサとして構成されている。
【0105】
すなわち、本第1の実施形態において、固体撮像装置10は、画素部20において、画素として光電変換読み出し部および信号保持部を含み、グローバルシャッタの動作機能を持ち、かつ実質的に広ダイナミックレンジ化、高フレームレート化を実現することを可能とする、たとえば積層型のCMOSイメージセンサとして構成されている。
本第1の実施形態の固体撮像装置10において、信号保持部は、蓄積期間後の転送期間に出力ノードであるフローティングディフュージョンFDに転送された光電変換素子としてのフォトダイオードPDの蓄積電荷に応じた電圧信号に対する信号、並びに、任意の期間に、光電変換素子としてのフォトダイオードPD1および蓄積容量素子としての蓄積キャパシタCS1のうちの少なくともフォトダイオードPD1から出力ノードであるフローティングディフュージョンFD1に溢れ出たオーバーフロー電荷に応じた電圧信号に対する信号を保持可能である。
【0106】
したがって、本第1の実施形態の固体撮像装置10によれば、グローバルシャッターを実現することができることはもとより、蓄積期間にフォトダイオードから溢れ出る電荷をリアルタイムに利用することから、広ダイナミックレンジ化、高フレームレート化を実現することが可能となる。
また、本発明によれば、実質的に広ダイナミックレンジ化、高フレームレート化を実現することが可能で、しかも低ノイズ化を図れ、有効画素領域を最大限に拡大することができ、コストあたりの価値を最大限に高めることが可能となる。
【0107】
また、本第1の実施形態の固体撮像装置10によれば、構成の複雑化を防止しつつ、レイアウト上の面積効率の低下を防止することができる。
【0108】
また、本第1の実施形態に係る固体撮像装置10は、第1の基板(上基板)110と第2の基板(下基板)120の積層構造を有する。
したがって、本第1の実施形態において、第1の基板110側を、基本的に、NMOS系の素子だけで形成すること、および、画素アレイにより有効画素領域を最大限に拡大することにより、コストあたりの価値を最大限に高めることができる。
【0109】
(第2の実施形態)
図10は、本発明の第2の実施形態に係る固体撮像装置の画素の構成例を示す図である。
【0110】
本第2の実施形態に係る固体撮像装置10Aが、上述した第1の実施形態に係る固体撮像装置10と異なる点は、次のとおりである。
本第2の実施形態に係る固体撮像装置10Aの信号保持部220Aにおいて、入力ノードND22と第1のスイッチングトランジスタSHR1-Tr、第2のスイッチングトランジスタSHS1-Tr、第3のスイッチングトランジスタSHR2-Tr、および第4のスイッチングトランジスタSHS2-Trスイッチ素子との間に、参照電圧との比較機能を有するバッファアンプBFAP1が接続されている
【0111】
本第2の実施形態によれば、上述した第1の実施形態の効果と同様の効果を得ることができることはもとより、読み出し処理の高速化、安定化を図ることが可能となる。
【0112】
(第3の実施形態)
図11は、本発明の第3の実施形態に係る固体撮像装置の構成例を示すブロック図である。
本実施形態において、固体撮像装置10Bは、たとえば画素としてデジタル画素(Digital Pixel)を含むCMOSイメージセンサにより構成される。
【0113】
この固体撮像装置10Bは、図3に示すように、撮像部としての画素部20、垂直走査回路(行走査回路)30B、出力回路80、およびタイミング制御回路60を主構成要素として有している。
これらの構成要素のうち、たとえば垂直走査回路30B、出力回路80、およびタイミング制御回路60により画素信号の読み出し部70Bが構成される。
【0114】
本第3の実施形態において、固体撮像装置10Bは、画素部20Bにおいて、デジタル画素として光電変換読み出し部210および信号保持部220Bを有し、信号保持部220Bは、AD(アナログデジタル)変換部、およびメモリ部を含み、グローバルシャッタの動作機能を持つ、たとえば積層型のCMOSイメージセンサとして構成されている。
本第1の実施形態に係る固体撮像装置10において、後で詳述するように、各デジタル画素DPがAD変換機能を有しており、AD変換部は、光電変換読み出し部により読み出される電圧信号と参照電圧とを比較し、デジタル化した比較結果信号を出力する比較処理を行う比較器(コンパレータ)を有している。
そして、比較器は、読み出し部70Bの制御の下、蓄積期間に光電変換素子から出力ノード(フローティングディフュージョン)に溢れ出たオーバーフロー電荷に応じた電圧信号に対するデジタル化した第1の比較結果信号を出力する第1の比較処理と、蓄積期間後の転送期間に出力ノードに転送された光電変換素子の蓄積電荷に応じた電圧信号に対するデジタル化した第2の比較結果信号を出力する第2の比較処理と、を行う。
【0115】
以下、固体撮像装置10Bの各部の構成および機能の概要、特に、画素部20Bおよびデジタル画素の構成および機能、それらに関連した読み出し処理、並びに、画素部20Bと読み出し部70Bの積層構造等について詳述する。
【0116】
(画素部20Bおよびデジタル画素200Bの構成)
図12は、本発明の第3の実施形態に係る固体撮像装置10Bの画素部のデジタル画素アレイの一例を示す図である。
図13は、本発明の第3の実施形態に係る固体撮像装置10Bの画素の一例を示す回路図である。
【0117】
画素部20Bは、図12に示すように、複数のデジタル画素200BがN行M列の行列状(マトリクス状)に配列されている。
なお、図12においては、図面の簡単化のため、9つのデジタル画素200Bが3行3列の行列状(M=3、N=3のマトリクス状)に配置されている例が示されている。
【0118】
本第3の実施形態に係るデジタル画素200Bは、光電変換読み出し部(図12ではPDと表記)210、AD変換部(図12ではADCと表記)250、およびメモリ部(図2ではMEMと表記)260を含んで構成されている。
本第3の実施形態の画素部20Bは、後で詳述するように、第1の基板110と第2の基板120の積層型のCMOSイメージセンサとして構成されるが、本例では、図3に示すように、第1の基板110に光電変換読み出し部210が形成され、第2の基板120に信号保持部220BのAD変換部250およびメモリ部260が形成されている。
【0119】
デジタル画素200Bの光電変換読み出し部210は、図2の構成と同様である。したがって、その詳細な説明は省略する。
【0120】
ただし、本第1の実施形態に係る光電変換読み出し部210は、AD変換部250の第1の比較処理期間PCMP1において、蓄積期間PIに光電変換素子であるフォトダイオードPD1から出力ノードとしてのフローティングディフュージョンFD1に溢れ出たオーバーフロー電荷に応じた電圧信号VSLを出力する。
【0121】
さらに、光電変換読み出し部210は、AD変換部250の第2の比較処理期間PCMP2において、蓄積期間PI後の転送期間PTに出力ノードとしてのフローティングディフュージョンFD1に転送されたフォトダイオードPD1の積電荷に応じた電圧信号VSLを出力する。
光電変換読み出し部210は、第2の比較処理期間PCMP2において、画素信号としての読み出しリセット信号(信号電圧)(VRST)および読み出し信号(信号電圧)(VSIG)をAD変換部250に出力する。
【0122】
デジタル画素200のAD変換部250は、光電変換読み出し部210により出力されるアナログの電圧信号VSLを、所定の傾きを持たせて変化させたランプ波形または固定電圧の参照電圧VREFと比較して、デジタル信号に変換する機能を有する。
【0123】
AD変換部250は、図13に示すように、比較器(COMP)221、カウンタ(CNT)252、入力側結合キャパシタC251、出力側の負荷キャパシタC252、およびリセットスイッチSW-RSTを含んで構成されている。
【0124】
比較器251は、第1の入力端子としての反転入力端子(-)に、光電変換読み出し部210の出力バッファ部211から信号線LSGN1に出力された電圧信号VSLが供給され、第2の入力端子としての非反転入力端子(+)に参照電圧VREFが供給され、電圧信号VSTと参照電圧VREFとを比較し、デジタル化した比較結果信号SCMPを出力する比較処理を行う.
【0125】
比較器251は、第1の入力端子としての反転入力端子(-)に結合キャパシタC251が接続されており、第1の基板110側の光電変換読み出し部210の出力バッファ部211と第2の基板1120側のAD変換部250の比較器251の入力部をAC結合することにより、低ノイズ化を図り、低照度時に高SNRを実現可能なように構成されている。
【0126】
また、比較器251は、出力端子と第1の入力端子としての反転入力端子(-)との間にリセットスイッチSW-RSTが接続され、出力端子と基準電位VSSとの間に負荷キャパシタC252が接続されている。
【0127】
基本的に、AD変換部250においては、光電変換読み出し部210の出力バッファ部211から信号線LSGN1に読み出されたアナログ信号(電位VSL)は比較器251で参照電圧VREF、たとえばある傾きを持った線形に変化するスロープ波形であるランプ信号RAMPと比較される。
このとき、比較器251と同様に列毎に配置されたカウンタ252が動作しており、ランプ波形のあるランプ信号RAMPとカウンタ値が一対一の対応を取りながら変化することで電圧信号VSLをデジタル信号に変換する。
基本的に、AD変換部250は、参照電圧VREF(たとえばランプ信号RAMP)の変化は電圧の変化を時間の変化に変換するものであり、その時間をある周期(クロック)で数えることでデジタル値に変換する。
そして、アナログ信号VSLとランプ信号RAMP(参照電圧VREF)が交わったとき、比較器251の出力が反転し、カウンタ252の入力クロックを停止し、または、入力を停止していたクロックをカウンタ252に入力し、そのときのカウンタ252の値(データ)がメモリ部260に記憶されてAD変換を完了させる。
以上のAD変換期間終了後、各デジタル画素200Bのメモリ部260に格納されたデータ(信号)は出力回路80から図示しない信号処理回路に出力され、所定の信号処理により2次元画像が生成される。
【0128】
(比較器251のおける第1の比較処理および第2の比較処理)
そして、本第1の実施形態のAD変換部250の比較器251は、画素信号の読み出し期間に次の2つの第1の比較処理および第2の比較処理を行うように、読み出し部60により駆動制御される。
【0129】
第1の比較処理CMPR1において、比較器251は、読み出し部60の制御の下、蓄積期間PIに光電変換素子であるフォトダイオードPD1から出力ノードであるフローティングフュージョンFD1に溢れ出たオーバーフロー電荷に応じた電圧信号VSL1に対するデジタル化した第1の比較結果信号SCMP1を出力する。
なお、この第1の比較処理CMPR1の動作は、オーバーフロー電荷のサンプリング動作であるが、タイムスタンプADCモードの動作ともいう。
【0130】
第2の比較処理CMPR2において、比較器251は、読み出し部60の制御の下、蓄積期間PI後の転送期間PTに出力ノードであるフローティングフュージョンFD1に転送されたフォトダイオードPD1の蓄積電荷に応じた電圧信号VSL2(VSIG)に対するデジタル化した第2の比較結果信号SCMP2を出力する。
実際には、第2の比較処理CMPR2において、蓄積電荷に応じた電圧信号VSL2(VSIG)に対するデジタル化の前に、リセット時のフローティングディフュージョンFD1のリセット電圧に応じた電圧信号VSL2(VRRT)に対するデジタル化を行う。
なお、この第2の比較処理CMPR2の動作は、蓄積電荷のサンプリング動作であるが、リニアADCモードの動作ともいう。
【0131】
なお、本実施形態において、基本的に、蓄積期間PIは、フォトダイオードPD1およびフローティングディフュージョンFD1がリセットレベルにリセットされてから、転送トランジスタTG1-Trが導通状態に切り替えられて転送期間PTが開始されるまでの期間である。
第1の比較処理CMPR1の期間PCMPR1は、フォトダイオードPD1およびフローティングディフュージョンFD1がリセットレベルにリセットされてから、転送期間PTが開始される前に、フローティングディフュージョンFD1がリセットレベルにリセットされるまでの期間である。
第2の比較処理CMPR2の期間PCMPR2は、フローティングディフュージョンFD1がリセットレベルにリセットされた後の期間であって、転送期間PT後の期間を含む期間である。
【0132】
ここで、第1の比較処理CMPR1についてさらに詳述する。
図14は、本実施形態に係る比較器251の第1の比較処理CMPR1を説明するための図である。
図14において、横軸が時間を示し、縦軸が出力ノードであるフローティングディフュージョンFD1の電圧レベルVFDを示している。
【0133】
フローティングディフュージョンFD1の電圧レベルVFDは、リセットレベルのときが電荷量が最も少なく電圧レベルVFDは最も高いレベルVFDiniとなる。
一方、飽和状態のときが電荷量が多く、電圧レベルVFDは低いレベルVFDsatとなる。
このような条件に従って、比較器251の参照電圧VREF1を、飽和状態となる手前の非飽和状態時のレベルに固定した電圧VREFsatに設定する、あるいはリセットレベル時の電圧レベルVREFrstから電圧レベルVREFsatに至るランプ電圧VREFrampに設定する。
【0134】
第1の比較処理CMPR1のときに、このような参照電圧VREF1がVREFsatまたはVREFrampに設定されると、図14に示すように、入射光の強度が高い高照度のときほど電荷量が多いため比較器251の出力がフリップ(反転)する時間が速い。
最も高い照度の例EXP1の場合には、比較器251の出力が時刻t1に直ちにフリップ(反転)する。
例EXP1より低い照度の例EXP2の場合には、比較器251の出力が時刻t1より遅い時刻t2にフリップ(反転)する。
例EXP2より低い照度の例EXP3の場合には、比較器251の出力が時刻t2より遅い時刻t3にフリップ(反転)する。
【0135】
このように、比較器251は、第1の比較処理CMPR1において、蓄積期間PIの所定期間にフォトダイオードPD1からフローティングディフュージョンFD1へのオーバーフロー電荷の量に応じた時間に対する第1の比較結果信号SCMP1を出力する。
【0136】
より具体的には、比較器251は、第1の比較処理CMPR1において、オーバーフロー電荷がフォトダイオードPD1から出力ノードであるフローティングディフュージョンFD1に溢れ始める最大サンプリング時間におけるフォトダイオードPD1の所定の閾値に対応した信号レベルから最小サンプリング時間で得られる信号レベルまでの光レベルとの比較処理に対応可能である。
【0137】
上述したように、タイムスタンプADCモードにおける光変換動作(Photo conversion operation)は、蓄積期間PIにおいて、光―時間変換(Light to time conversion)を伴って実行される。
図14に示すように、非常に明るい光の下では、リセット活性化期間の直後に比較器251の出力状態が反転され、その光レベルは、以下の時間で説明される飽和信号(ウェル容量)に対応する。
【0138】
((FD飽和量×蓄積時間)/サンプリング期間)+PD飽和量
たとえば、FD飽和:8Ke @ 150uV / e~FD容量の1.1fF、最小サンプリング時間:15nsec、蓄積時間:3msec:
であると仮定する。
【0139】
このタイムスタンプADC動作モードでは、上述したように、オーバーフロー電荷がフォトダイオードPD1から出力ノードであるフローティングディフュージョンFD1に溢れ始める最大サンプリング時間におけるフォトダイオードPD1の所定の閾値に対応した信号レベルから最小サンプリング時間で得られる信号レベルまでの光レベルをカバーすることができる。
【0140】
図15は、本実施形態に係る比較器251の第1の比較処理CMPR1を説明するための図であって、参照電圧の他のパターン例を説明するための図である。
【0141】
参照電圧VREFは、図15中に(1)で示す所定の傾きを持たせて変化させたランプ波形(信号)RAMPまたは図15中に(2)で示す固定電圧DCであってもよく、また、図15中に(3)で示すログ(log)や図15中に(4)で示す指数関数的な値をとる電圧信号あってもよい。
【0142】
図16は、本実施形態に係る比較器に種々の参照電圧VREFを入力した場合の光時間変換の状態を示す図である。
図16において,横軸がサンプリング時間を示し、縦軸がオーバーフロー信号における推定信号を示している。なお、ここでのオーバーフロー信号とは、転送トランジスタTG1-Trを導通状態にしてフォトダイオードPD1に電荷をためない条件(非オーバーフロー)にして見積もったものである。
【0143】
図16は、適用される光の性質(適性)によるオーバーフロー電荷(信号)に対応する比較器251が反転するサンプリング時間を示している。
図16においては、さまざまな固定基準電圧DC1、DC2、DC3とランプ基準電圧VRAMPに対して反転するサンプリング時間を示している。ここでは、線形基準ランプが使用されている。
【0144】
以上の飽和したオーバーフロー電荷に対する第1の比較処理CMPR1を行うタイムスタンプADCモードの動作が終了すると、フローティングディフュージョンFD1と比較器251をリセットした後に、非飽和電荷に対する第2の比較処理CMPR2を行うリニアADCモードの動作に移行する。
【0145】
図17は、本発明の第3の実施形態に係るデジタル画素における光応答カバレッジを示す図である。
図17において、Aがタイムオーバーフロー電荷を蓄積期間PIの開始から第1の比較処理CMPR1を行う、あるいは蓄積期間PIにオーバーフロー電荷をスキミングするSスタンプADCモード動作による信号を示し、Bが蓄積電荷に対する第2の比較処理CMPR2を行うリニアADCモード動作による信号を示している。
【0146】
タイムスタンプADCモードは,非常に明るい光に対する光応答を有することができることから、リニアADCモードは暗いレベルからの光応答を有することができる。たとえば、120dBのダイナミックレンジ性能を実現することができる。
たとえば、上述したように、光変換範囲の飽和信号は900Keである。
リニアADCモードは、ADCを適用した通常の読み出しモード動作のため、2eのノイズレベルから8KeのフォトダイオードPD1とフローティングディフュージョンFD1の飽和までカバーすることがでる。
リニアADCモードのカバレッジは、追加のスイッチと容量で30Keに拡張することができる。
【0147】
図18は、本発明の第3の実施形態に係るメモリ部および出力回路の構成例を示す図である。
【0148】
比較器251において、第1の比較処理CMPR1によりフローティングディフュージョンFD1のオーバーフロー電荷に応じた電圧信号がデジタル化された第1の比較結果信号SCMP1、および、第2の比較処理CMPR2によりフォトダイオードPD1の蓄積電荷がデジタル化された第2の比較結果信号SCMP2は、関連付けられてメモリ231,232にデジタルデータとして記憶される。
メモリ部260はSRAMやDRAMにより構成され、デジタル変換された信号が供給され、フォトコンバージョン符号に対応し、画素アレイ周辺の出力回路80の外部IOバッファ81により読み出すことができる。
【0149】
図19は、本発明の第3の実施形態に係る固体撮像装置10におけるフレーム読み出しシーケンスの一例を示す図である。
ここで、固体撮像装置10Bにおけるフレーム読み出し方式の一例について説明する。
図19において、TSはタイムスタンプADCの処理期間を示し、LinはリニアADCの処理期間を示している。
【0150】
上述したように、オーバーフロー電荷は蓄積期間PI中にフローティングディフュージョンFD1に蓄積される。タイムスタンプADCモードは蓄積時間PI中に動作する。
実際には、タイムスタンプADCモードは、蓄積期間PI中であって、フローティングディフュージョンFD1がリセットされるまでの期間に動作する。
タイムスタンプADCモードの動作が終了すると、リニアADCモードに遷移し、フローティングディフュージョンFD1のリセット時の信号(VRST)を読み出してデジタル信号をメモリ部260に格納するように変換する。
さらに蓄積期間PIの終了後、リニアADCモードではフォトダイオードPD1の蓄積電荷に応じた信号(VSIG)を読み取ってデジタル信号をメモリ部260に格納するように変換する。
読み出されたフレームは、メモリノードからのデジタル信号データの読み出しによって実行され、そのようなMIPIデータフォーマットを有する、たとえば出力回路80のIOバッファ81(図18)を介して固体撮像装置10(イメージセンサ)の外部に送られる。この動作は、全画素(ピクセル)アレイに対してグローバルに実行することができる。
【0151】
また、画素部20において、全画素同時にリセットトランジスタRST1-Trと転送トランジスタTG1-Trを使ってフォトダイオードPD1をリセットすることで、全画素同時並列的に露光を開始する。また、所定の露光期間(蓄積期間PI)が終了した後、転送トランジスタTG1-Trを使って光電変換読み出し部からの出力信号をAD変換部250、メモリ部260でサンプリングすることで、全画素同時並列的に露光を終了する。これにより、完全なシャッタ動作を電子的に実現する。
【0152】
垂直走査回路30Bは、タイミング制御回路50の制御に応じてシャッタ行および読み出し行において行走査制御線を通してデジタル画素200の光電変換読み出し部210の駆動を行う。
垂直走査回路30Bは、タイミング制御回路50の制御に応じて、各デジタル画素200の比較器251に対して、第1の比較処理CMPR1、第2の比較処理CMPR2に準じて設定される参照電圧VREF1,VREF2を供給する。
また、垂直走査回路30Bは、アドレス信号に従い、信号の読み出しを行うリード行と、フォトダイオードPDに蓄積された電荷をリセットするシャッタ行の行アドレスの行選択信号を出力する。
【0153】
出力回路80は、たとえば図18に示すように、画素部20Bの各デジタル画素200Bのメモリ出力に対応して配置されたIOバッファ81を含み、各デジタル画素200Bから読み出されるデジタルデータを外部に出力する。
【0154】
タイミング制御回路60は、画素部20、垂直走査回路30B、出力回路80等の信号処理に必要なタイミング信号を生成する。
【0155】
本第3の実施形態において、読み出し部70Bは、たとえばグローバルシャッタモード時に、デジタル画素200Bからの画素信号の読み出し制御を行う。
【0156】
(固体撮像装置10Bの積層構造)
次に、本第3の実施形態に係る固体撮像装置10Bの積層構造について説明する。
【0157】
図20(A)および(B)は、本第3の実施形態に係る固体撮像装置10Bの積層構造について説明するための模式図である。
図21は、本第3の実施形態に係る固体撮像装置10Bの積層構造について説明するための簡略断面図である。
【0158】
本第3の実施形態に係る固体撮像装置10Bは、第1の基板(上基板)110Bと第2の基板(下基板)120Bの積層構造を有する。
固体撮像装置10Bは、たとえばウェハレベルで貼り合わせた後、ダイシングで切り出した積層構造の撮像装置として形成される。
本例では、第1の基板110Bと第2の基板120Bが積層された構造を有する。
【0159】
第1の基板110Bには、その中央部を中心として画素部20Bの各デジタル画素200Bの光電変換読み出し部210が形成されている。
第1の基板110Bの光Lが入射側である第1面111側にフォトダイオードPDが形成され、その光入射側にマイクロレンズMCLやカラーフィルタが形成されている。
第1の基板110Bの第2面側に転送トランジスタTG1-Tr,リセットトランジスタRST1-Tr,ソースフォロワトランジスタSF1-Tr,カレントトランジスタIC1-Tr、蓄積トランジスタSG1-Tr、蓄積キャパシタCS1が形成されている
【0160】
このように、本第3の実施形態においては、第1の基板110Bには、基本的に、デジタル画素200Bの光電変換読み出し部210が行列状に形成されている。
【0161】
第2の基板120Bには、各デジタル画素200BのAD変換部250、メモリ部260がマトリクス状に形成されている。
また、第2の基板120Bには、垂直走査回路30B、出力回路80、およびタイミング制御回路60も形成されてもよい。
【0162】
このような積層構造において、第1の基板110Bの各光電変換読み出し部210の読み出しノードND2と第2の基板120Bの各デジタル画素200の比較器251の反転入力端子(-)とが、たとえば図13に示すように、それぞれ信号線LSGN1、マイクロバンプBMPやビア(Die-to-Die Via)等を用いて電気的な接続が行われている。
また、本実施形態においては第1の基板110Bの各光電変換読み出し部210の読み出しノードND2と第2の基板120Bの各デジタル画素200の比較器251の反転入力端子(-)とが、結合キャパシタC251によりAC結合されている。
【0163】
(固体撮像装置10Bの読み出し動作)
以上、固体撮像装置10の各部の特徴的な構成および機能について説明した。
次に、本第1の実施形態に係る固体撮像装置10Bのデジタル画素200Bの画素信号の読み出し動作等の概について説明する。
以下では、第1の読み出し方法RDO1、第2の読み出し方法RDO2、および第3の読み出し方法の概要について説明する。
【0164】
第1の読み出し方法RDO1は、オーバーフロー電荷を蓄積期間PIの開始から第1の比較処理CMPR1を行う方法である。
第2の読み出し方法RDO2は、蓄積期間PIにオーバーフロー電荷をスキミングして第1の比較処理CMPR1を行う方法である。
第3の読み出し方法RDO3は、蓄積期間PIにオーバーフロー電荷をスキミングして第1の比較処理CMPR1を行い、続いて第2の比較処理CMPR2を行う方法である。
【0165】
(第1の読み出し方法RDO1)
図22(A)~(E)は、本第3の実施形態に係る固体撮像装置の所定シャッタモード時の主として画素部における第1の読み出し動作を説明するための動作シーケンスおよびポテンシャル遷移を示す図である。
図23は、本第3の実施形態に係る固体撮像装置の所定シャッタモード時の主として画素部における第2の読み出し動作を説明するためのタイミングチャートである。
【0166】
本第1の読み出し方法RDO1においては、蓄積トランジスタSG1-Trを導通状態にしてリセット状態をサンプリングして、フォトダイオードPD1における電荷の蓄積期間PI開始から、オーバーフロー電荷に応じた電圧信号読み出しを行う。そして、蓄積期間PI終了後にフォトダイオードPD1の蓄積電荷に応じた電圧信号読み出しを行う。
【0167】
動作シーケンスとしては、まず、転送トランジスタTG1―Tr,蓄積トランジスタSG1-Tr,およびリセットトランジスタRST1―Trを導通状態にして、いわゆるグローバルリセットを行う。
次いで、蓄積キャパシタCS1に関連する読み出しリセット信号のサンプリングを行う。そして、読み出しリセット信号に対応する読み出し信号のサンプリングを行う。
次いで、フローティングディフュージョンFD1に関連する読み出しリセット信号のサンプリングを行う。そして、読み出しリセット信号に対応する読み出し信号のサンプリングを行う。
【0168】
(第2の読み出し方法RDO2)
図24は、本発明の第3の実施形態に係る固体撮像装置における第2の読み出し方法のフレーム読み出しシーケンスの一例を示す図である。
図25(A)~(H)は、本第3の実施形態に係る固体撮像装置の所定シャッタモード時の主として画素部における第2の読み出し動作を説明するための動作シーケンスおよびポテンシャル遷移を示す図である。
図26は、本第3の実施形態に係る固体撮像装置の所定シャッタモード時の主として画素部における第2の読み出し動作を説明するためのタイミングチャートである。
図27は、第2の読み出し方法における蓄積期間途中にオーバーフロー電荷をスキミングする処理の一例を模式的に示す図である。
図28は、フォトダイオードから電荷がオーバーフローし、さらに蓄積キャパシタCS1側にオーバーフローする様子を模式的に示す図である。
【0169】
本第2の読み出し方法RDO2においては、図27および図28に示すように、フォトダイオードPD1からフローティングディフュージョンFD1に電荷がオーバーフローし、さらに蓄積キャパシタCS1側にオーバーフローする場合を想定して、蓄積期間途中にオーバーフロー電荷をスキミングする。
【0170】
動作シーケンスとしては、まず、転送トランジスタTG1―Tr,蓄積トランジスタSG1-Tr,およびリセットトランジスタRST1―Trを導通状態にして、いわゆるグローバルリセットを行う。
蓄積期間PIが開始され、蓄積期間PI中に、フローティングディフュージョンFD1のフォトダイオードPD1が飽和する前の信号を読み出す。
次いで、蓄積期間PI中に、フローティングディフュージョンFD1のフォトダイオードPD1が飽和した後で、蓄積キャパシタCS1側が飽和する前の信号を読み出す。
次いで、蓄積期間PI中に、フローティングディフュージョンFD1のフォトダイオードPD1が飽和した後で、蓄積キャパシタCS1側が飽和した後の信号を読み出す。
次に、フローティングディフュージョンFD1をリセットする。
次いで、転送トランジスタTG1-Trを所定期間導通状態にして蓄積電荷をフローティングディフュージョンFD1に転送する。
次いで、フローティングディフュージョンFD1に関連する読み出し信号のサンプリングを行う
そして、蓄積キャパシタCS1に関連する読み出し信号のサンプリングを行う。
【0171】
(第3の読み出し方法RDO3)
図29は、本発明の第3の実施形態に係る固体撮像装置における第3の読み出し方法のフレーム読み出しシーケンスの一例を示す図である。
図30(A)~(H)は、本第3の実施形態に係る固体撮像装置の所定シャッタモード時の主として画素部における第3の読み出し動作を説明するための動作シーケンスおよびポテンシャル遷移を示す図である。
図31は、第3の読み出し方法における蓄積期間途中にオーバーフロー電荷をスキミングする処理の一例を模式的に示す図である。
【0172】
第3の読み出し方法RDO3では、全蓄積期間PIにて、参照電圧VREFを変えながら照度に応じた出力ノードのレベルをサンプリングする。
【0173】
動作シーケンスとしては、まず、転送トランジスタTG1―Tr,蓄積トランジスタSG1-Tr,およびリセットトランジスタRST1―Trを導通状態にして、いわゆるグローバルリセットを行う。
次いで、蓄積キャパシタCS1に関連する読み出しリセット信号のサンプリングを行う。そして、フォトダイオードPD1が飽和する前、並びに、飽和した後の読み出しリセット信号のサンプリングを行う。
次いで、フォトダイオードPD1が飽和する前の読み出しリセット信号に対応する読み出し信号のサンプリングを行う。
次いで、フォトダイオードPD1が飽和する後の読み出しリセット信号に対応する読み出し信号のサンプリングを行う。
【0174】
以上説明したように、本第3の実施形態によれば、固体撮像装置10Bは、画素部20Bにおいて、デジタル画素として光電変換読み出し部210、AD変換部250、およびメモリ部260を含み、グローバルシャッタの動作機能を持つ、たとえば積層型のCMOSイメージセンサとして構成されている。
本第3の実施形態に係る固体撮像装置10Bにおいて、各デジタル画素200がAD変換機能を有しており、AD変換部250は、光電変換読み出し部210により読み出される電圧信号と参照電圧とを比較し、デジタル化した比較結果信号を出力する比較処理を行う比較器251を有している。
そして、比較器251は、読み出し部70Bの制御の下、蓄積期間にフォトダイオードPD1から出力ノード(フローティングディフュージョン)FD1に溢れ出たオーバーフロー電荷に応じた電圧信号に対するデジタル化した第1の比較結果信号SCMP1を出力する第1の比較処理CMPR1と、蓄積期間後の転送期間にフローティングノードFD1(出力ノード)に転送されたフォトダイオードPD1の蓄積電荷に応じた電圧信号に対するデジタル化した第2の比較結果信号SCMP2を出力する第2の比較処理CMPR2と、を行う。
【0175】
本第3の実施形態に係る固体撮像装置10Bにおいて、第1の読み出し方法RDO1では、オーバーフロー電荷を蓄積期間PIの開始から第1の比較処理CMPR1を行う。
第2の読み出し方法RDO2では、蓄積期間PIにオーバーフロー電荷をスキミングして第1の比較処理CMPR1を行う。
第3の読み出し方法RDO3では、全蓄積期間PIにて、参照電圧VREFを変えながら蓄積期間PIにオーバーフロー電荷をスキミングして第1の比較処理CMPR1を行い、続いて第2の比較処理CMPR2を行う。
【0176】
したがって、本第3の実施形態の固体撮像装置10Bによれば、蓄積期間にフォトダイオードから溢れ出る電荷をリアルタイムに利用することから、広ダイナミックレンジ化、高フレームレート化を実現することが可能となる。
また、本第3の実施形態によれば、実質的に広ダイナミックレンジ化、高フレームレート化を実現することが可能で、しかも低ノイズ化を図れ、有効画素領域を最大限に拡大することができ、コストあたりの価値を最大限に高めることが可能となる。
【0177】
また、本第3の実施形態の固体撮像装置10Bによれば、構成の複雑化を防止しつつ、レイアウト上の面積効率の低下を防止することができる。
【0178】
また、本第3の実施形態に係る固体撮像装置10Bは、第1の基板(上基板)110Bと第2の基板(下基板)120Bの積層構造を有する。
したがって、本第3の実施形態において、第1の基板110B側を、基本的に、NMOS系の素子だけで形成すること、および、画素アレイにより有効画素領域を最大限に拡大することにより、コストあたりの価値を最大限に高めることができる。
【0179】
(第4の実施形態)
図32は、本発明の第4の実施形態に係る固体撮像装置の画素の構成例を示す図である。
【0180】
本第4の実施形態に係る固体撮像装置10Cが、上述した第3の実施形態に係る固体撮像装置10Bと異なる点は、次のとおりである。
本第4の実施形態に係る固体撮像装置10Cの光電変換読み出し部210Cにおいて、蓄積容量素子としての蓄積キャパシタCS1を出力バッファ部211の読み出しノードND2側に直接接続するバイパス部としてバイパストランジスタBP1-Trが設けられている。
これにより、蓄積容量素子としての蓄積キャパシタCS1の容量成分を直接比較器251に入力することができる。
【0181】
本第4の実施形態によれば、上述した第1の実施形態の効果と同様の効果を得ることができることはもとより、消費電力を抑えつつ、全蓄積期間にて参照電圧VREFを変えながら信号をサンプリングできることから、さらなる広ダイナミックレンジ化、高フレームレート化を実現することが可能となる。
【0182】
以上説明した固体撮像装置10,10A,10B,10Cは、デジタルカメラやビデオカメラ、携帯端末、あるいは監視用カメラ、医療用内視鏡用カメラなどの電子機器に、撮像デバイスとして適用することができる。
【0183】
図33は、本発明の実施形態に係る固体撮像装置が適用されるカメラシステムを搭載し
た電子機器の構成の一例を示す図である。
【0184】
本電子機器300は、図33に示すように、本実施形態に係る固体撮像装置10が適用可能なCMOSイメージセンサ310を有する。
さらに、電子機器300は、このCMOSイメージセンサ310の画素領域に入射光を導く(被写体像を結像する)光学系(レンズ等)20を有する。
電子機器00は、CMOSイメージセンサ310の出力信号を処理する信号処理回路(PRC)330を有する。

【0185】
信号処理回路330は、CMOSイメージセンサ310の出力信号に対して所定の信号処理を施す。
信号処理回路330で処理された画像信号は、液晶ディスプレイ等からなるモニタに動画として映し出し、あるいはプリンタに出力することも可能であり、またメモリカード等の記録媒体に直接記録する等、種々の態様が可能である。
【0186】
上述したように、CMOSイメージセンサ310として、前述した固体撮像装置10,10A,10B、10Cを搭載することで、高性能、小型、低コストのカメラシステムを提供することが可能となる。
そして、カメラの設置の要件に実装サイズ、接続可能ケーブル本数、ケーブル長さ、設置高さなどの制約がある用途に使われる、たとえば、監視用カメラ、医療用内視鏡用カメラなどの電子機器を実現することができる。
【符号の説明】
【0187】
10,10A,10B、10C・・・固体撮像装置、20・・・画素部、PD1・・・フォトダイオード、TG1-Tr・・・転送トランジスタ、RST1-Tr・・・リセットトランジスタ、SF1-Tr・・・ソースフォロワトランジスタ、IC1-Tr・・・カレントトランジスタ、SG1-Tr・・・蓄積トランジスタ、FD1・・・フローティングディフュージョン、CS1・・・蓄積キャパシタ、200,200B・・・画素、210・・・光電変換読み出し部、211・・・出力バッファ部、220・・・AD変換部、251・・・比較器、252・・・カウンタ、260・・・メモリ部、30,30B・・・垂直走査回路、40・・・カラム読み出し回路、50・・・水平転送回路、60・・・タイミング制御回路、70,70B・・・読み出し部、300・・・電子機器、310・・・CMOSイメージセンサ、320・・・光学系、330・・・信号処理回路(PRC)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
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図19
図20
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図32
図33