(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-12
(45)【発行日】2022-05-20
(54)【発明の名称】燃料電池装置
(51)【国際特許分類】
H01M 8/04 20160101AFI20220513BHJP
H01M 8/2475 20160101ALI20220513BHJP
H01M 8/2465 20160101ALI20220513BHJP
H01M 8/12 20160101ALI20220513BHJP
H01M 8/243 20160101ALI20220513BHJP
【FI】
H01M8/04 Z
H01M8/2475
H01M8/2465
H01M8/12 101
H01M8/243
(21)【出願番号】P 2017210640
(22)【出願日】2017-10-31
【審査請求日】2020-09-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000109026
【氏名又は名称】ダイニチ工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100075557
【氏名又は名称】西教 圭一郎
(72)【発明者】
【氏名】柳内 晋太郎
(72)【発明者】
【氏名】横尾 直樹
(72)【発明者】
【氏名】中村 淳一
【審査官】笹岡 友陽
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-342511(JP,A)
【文献】特開2011-029117(JP,A)
【文献】特開2006-228664(JP,A)
【文献】再公表特許第2010/122700(JP,A1)
【文献】特開2014-073692(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/04
H01M 8/2475
H01M 8/2465
H01M 8/12
H01M 8/243
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池セルが収納容器に収納されてなる燃料電池モジュールと、
前記燃料電池モジュールを作動させるための複数の補機と、
前記燃料電池モジュールおよび前記補機を収納し、長側面である第1内壁面および排気口を有する第2内壁面と、前記第1内壁面および前記第2内壁面をつなぐ短壁面と、を有する直方体形状の外装ケースと、
前記外装ケース内を換気する気流を発生させるためのファンと、
前記ファンによって発生した気流が、前記第1内壁面、前記短壁面、前記第2内壁面に沿って流れるように偏向させる気流偏向部材と、を備える燃料電池装置。
【請求項2】
前記気流偏向部材は、前記気流を吹き出す吹き出し口を有し、
前記吹き出し口の向きが、前記第1内壁面に対向しない方向となる請求項1記載の燃料電池装置。
【請求項3】
前記排気口は1箇所である、請求項2記載の燃料電池装置。
【請求項4】
前記燃料電池セルには、発電に必要な燃料ガスおよび酸素含有ガスが供給され、
前記外装ケースの内部には前記燃料ガスを検知するガスセンサをさらに備え、
前記ガスセンサは、前記
第2内壁面に沿った位
置にあり、前記吹き出し口の向きに対して前記吹き出し口と前記排気口との間にある、請求項3記載の燃料電池装置。
【請求項5】
前記気流偏向部材は、前記吹き出し口を有するダクトを含み、
前記ダクトは、前記吹き出し口に向かって先細である、請求項2~4のいずれか1つに記載の燃料電池装置
【請求項6】
前記燃料電池モジュールにて発電された電力を外部負荷に供給する供給電力調整部をさらに備え、
前記ファンは、前記供給電力調
整部の熱を排出する排気ファンである、請求項1~5のいずれか1つに記載の燃料電池装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、次世代エネルギーとして、燃料ガス(水素含有ガス)と空気(酸素含有ガス)とを用いて電力を得ることができる燃料電池セルを複数積層したセルスタックを収納容器内に収納してなる燃料電池モジュールや燃料電池モジュールを外装ケース内に収納してなる燃料電池装置が種々提案されている。
【0003】
このような燃料電池装置には燃料電池モジュールのほか、外装ケース内に熱交換器、供給電力調整部、ラジエター、水タンク、燃料電池モジュールに燃料ガスを送り込むための燃料ポンプおよび燃料電池モジュールに空気を送り込むためのブロアなどの補機を内蔵している。
【0004】
このような燃料電池装置において、外装ケース内を換気するために、外装ケースの側壁に吸気口が設けられており、吸気口に近接して配設された吸気ファンによって吸気口から外気を取り込み、対向する側壁に設けた排気口から外装ケース内の空気を排気するように構成されている(たとえば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、外装ケース内の換気が不十分であると、燃料電池モジュール等の放熱によって発生した熱が外部に排出されにくくなり、外装ケース内に熱が留まって次第に雰囲気温度が高温となってしまうおそれがある。この場合に、外装ケース内に配置される補機の寿命が短くなって燃料電池装置の信頼性が低下するおそれがあった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の燃料電池装置は、燃料電池セルが収納容器に収納されてなる燃料電池モジュールと、前記燃料電池モジュールを作動させるための複数の補機と、前記燃料電池モジュールおよび前記補機を収納し、長側面である第1内壁面および排気口を有する第2内壁面と、前記第1内壁面および前記第2内壁面をつなぐ短壁面と、を有する直方体形状の外装ケースと、前記外装ケース内を換気する気流を発生させるためのファンと、前記第1内壁面、前記短壁面、前記第2内壁面に沿って流れるように偏向させる気流偏向部材と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示の燃料電池装置によれば、外装ケース内の換気効率を向上させることができ、これにより信頼性の高い燃料電池装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1実施形態の燃料電池装置の一例を示すブロック図である。
【
図2】燃料電池モジュールの一例を示す分解斜視図である。
【
図6】第2実施形態の燃料電池装置の気流偏向部材の外観を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、第1実施形態の燃料電池装置の一例を示すブロック図である。また、
図2は燃料電池モジュールの一例を示す分解斜視図である。なお、以降の図において同一の部材については同一の番号を付するものとする。燃料電池装置1は、収容容器24に改質器10およびセルスタック装置20を収納して構成される燃料電池モジュール2を含み、燃料電池モジュール2を作動させるための、熱交換器31、蓄熱タンク32、放熱器33、凝縮水タンク34、供給電力調整部35、燃料供給装置41および空気供給装置42等の複数の補機とともに外装ケースに納められている。外装ケース内には上述の装置全てが収められる必要はなく、例えば、熱交換器31や蓄熱タンク32を外装ケースの外部に設けてもよい。また、上述の装置の一部を省略した燃料電池装置も可能である。
【0011】
改質器10には、原燃料を供給する原燃料供給管100と、改質水を供給する水供給管101が接続されている。原燃料供給管100には、改質器10に原燃料を送り込むための燃料供給装置41が設けられている。原燃料と改質水は、加熱された改質器10で改質反応し、水素を含む改質ガスが生成される。改質器10で生成された改質ガスは、改質ガス供給管102を通ってセルスタック装置20に供給される。
【0012】
セルスタック装置20は、マニホールド21および燃料電池セル23を多数接続したセルスタック22を含む。改質器10から、セルスタック装置20に供給された改質ガスはマニホールド21からセルスタック22内に供給される。セルスタック装置20において、セルスタック22の外側には空気供給管103から酸素含有ガスである空気が導入されている。空気供給管103には、空気供給装置42が接続されており、空気供給装置42によって、セルスタック装置20に空気を送り込む。改質ガスは、セルスタック22内を通過するときに、この空気と反応して発電を行う。発電に使用されなかった改質ガスは、セルスタック22の上部で発電に使用されなかった空気と合流して燃焼し、高温の排ガスが生成される。また、燃焼で発生した熱によって改質器10を加熱する。燃料電池モジュール2で発電された電力は供給電力調整部35に送られ、負荷における電力消費および蓄電池への蓄電などに用いることができる。
【0013】
燃料電池モジュール2は高温となるため、断熱材で包囲されて、外装ケース60内に配置されている。本実施形態では、断熱材を含めて燃料電池モジュール2とすることもできる。また断熱材を固定する枠体を含めて燃料電池モジュール2とすることもできる。収容容器24は、収容容器本体24aと蓋体24bとからなり、蓋体24bにはセルスタック装置20から排出される排ガスが供給される熱交換器31が接続されている。なお、燃料電池モジュール2は、収納容器24内に収納される燃料電池セルの形態にあわせて、適宜その構造は変更してもよい。
【0014】
燃料電池モジュール2内で生じた排ガスは、セルスタック装置20から排出された後、排ガス流路104を通って熱交換器31に供給される。熱交換器31には循環ライン105が接続されており、この循環ライン105に導入されている熱媒体と排ガスとで熱交換される。熱媒体としては水などを用いることができる。熱交換によって、排ガスは冷却され、熱媒体は排ガスの熱によって加熱される。排ガスは冷却されて排ガス中に含まれる水蒸気が水と気体に分離される。気体は排気流路107を通ってガス排気口から外部に排出される。排ガスを冷却することによって分離された水は凝縮水回収流路106を通って凝縮水タンク34に送られる。凝縮水タンク34において、水はイオン交換などを経て純水化され、純水化された水は、水供給管101に導入され、改質水として改質器10に供給される。不要な水は凝縮水タンク34からドレイン109を介して排出される。
【0015】
媒体は、蓄熱タンク32、放熱器33および熱交換器31を順に循環する。蓄熱タンク32には媒体が蓄えられている。媒体は蓄熱タンク32から放熱器33に送られて冷却された後、熱交換器31に送られる。熱交換器31において、媒体は、排ガスと熱交換を行って加熱される。温度が上昇した媒体は蓄熱タンク32に還流する。蓄熱タンク32には冷水を供給する給水管108aと、温水を導出する給湯管108bと、が設けられている。なお、蓄熱タンク32は、直接外部へ温水を供給することもでき、また別の熱交換器等を用いて間接的に外部へ温水を供給することもできる。
【0016】
図3は、燃料電池装置の一例を示す平面図である。なお、内部構造がよくわかるように燃料電池装置の天板を取り除いた平面図としている。
図4および
図5は、燃料電池装置の一例を示す側面図である。なお、内部構造がよくわかるように燃料電池装置の側壁を一部取り除いた側面図としている。
【0017】
本実施形態は、たとえば、燃料電池装置1の外装ケース60内に、燃料供給装置41および空気供給装置42などの補機が配置されている。これら燃料供給装置41および空気供給装置42を含む各種補機は、燃料電池装置1の外装ケース60内に適宜配置される。本実施形態では、例えば、燃料供給装置41および空気供給装置42は、燃料電池装置1の上方側に配置されている。ここで、「上方側」とは、外装ケース60内において、燃料電池モジュール2の収容容器24を上下に二等分する仮想面よりも上側をいう。なお、下方側は、前記仮想面よりも下側をいう。燃料供給装置41および空気供給装置42は、上方側に配置するために、外装ケース60内に設けられた棚部材50に固定することができる。
【0018】
空気供給装置42は、空気取り入れ口42aから流入した空気が、エアフィルタ42bを通ってブロア42cを経由し、さらに空気供給管103を通って燃料電池モジュール2に供給されるように構成されている。本実施形態では、空気取り入れ口42aが、上方側に配置されているので、比較的高温の空気を空気供給装置42に取り込むことができる。これにより、燃料電池モジュール2を高温に保つことができ、燃料電池装置1の発電効率を向上させることができる。なお、空気供給管103は、その一部を樹脂配管とすることができる。
【0019】
燃料電池装置1には、外装ケース60内を換気するためのファン35aが配設されている。高温の空気は上方に滞留するので、外装ケース60内の比較的高温の空気を外部に排気するには、ファン35aを燃料電池装置1の上方側に配設すればよい。また、ファン35aを上方側に配置することで、燃料供給装置41および空気供給装置42周辺の空気を換気することができる。ファン35aは、例えば、送風方向(回転羽根の回転軸方向)が、水平方向と平行であって、中央に向かう方向となるように配設されている。水平方向と平行であるとは、ファン35aの送風方向と水平方向とのなす角度が±10°の範囲内であればよい。なおファン35aは単体で設けてもよく、後述するように、供給電力調整部35に設けられた排気ファンを兼用することもできる。本実施形態においては、供給電力調整部35に設けられた排気ファンを兼用する例にて説明する。
【0020】
本実施形態は、ファン35aによって発生した気流を偏向する気流偏向部材70を備えている。気流偏向部材70は、ファン35aによって発生した気流を、外装ケース60の第1内壁面61に対向しない方向に流れるように偏向させる。これによって、ファン35aによって発生した気流の流れ方向が、第1内壁面61に対して、直交方向以外の方向となるように偏向される。第1内壁面61は、直方体形状の外装ケース60の、天面および底面を除く4つの内側面のうちいずれか1つである。例えば、外装ケース60の4つの内側面は、平面視で長辺に相当する一対の内側面(長側面)と、短辺に相当するもう一対の内側面(短側面)とからなる。本実施形態では、第1内壁面61を長側面としており、気流が長側面である第1内壁面61に斜め方向に向かうように、気流偏向部材70が設けられる。
【0021】
気流偏向部材70によって流れ方向が偏向され、第1内壁面61に向かった気流は、第1内壁面61に斜めから衝突し、第1内壁面61に沿って流れることになる。この気流は、排気口60aから外装ケース60外部へと排気される。本実施形態では、ファン35aによって発生した気流を気流偏向部材70で偏向し、第1内壁面61に沿って流れるように構成したので、第1内壁面61近傍に留まる空気を押し流すことができる。さらに、第1内壁面61に隣接する他の内壁面と連なる部分である隅部にも気流が到達し易くなり、この隅部に留まる空気も押し流すことができるので、外装ケース60内の換気効率が向上する。これにより、燃料電池モジュール2からの放熱によって発生した熱が留まることを防止して外装ケース60内の温度上昇を抑制することができるので、外装ケース60内に配置される補機への熱の影響を軽減し、補機の信頼性の低下を抑制できる。
【0022】
気流偏向部材70は、ファン35aによって発生した気流の流れを、所望の方向に偏向できる構成であれば、どのようなものであってもよい。例えば、邪魔板、案内板のような板状部材をファン35aに対向して設けてもよいし、ダクトのような管状部材をファン35aに接続して設けてもよい。板状部材であれば、気流の流れ方向は、その延びる方向と平行な方向に偏向される。管状部材であれば、気流の流れ方向は、吹き出し口となる開口の向く方向に偏向される。
【0023】
本実施形態は、例えば、気流偏向部材70がダクトとなっており、その吹き出し口71の向きが、第1内壁面61に対向しない方向となるように設けられている。ダクトは、ファン35aによって発生した気流の風量を保持して吹き出し口71から吹き出すことができる。本実施形態では、気流を偏向させるためにダクトの管路を屈曲させているが、例えば、管路断面の形状または管路断面の断面積は、ファン35aとの接続部分から吹き出し口71まで一定としている。気流偏向部材70の管路断面の形状は、特に限定されず、円形状(真円および楕円を含む)であってもよく、四角形状(正方形および矩形を含む)であってもよく、その他の多角形状などであってもよい。
【0024】
外装ケース60には、換気のために外装ケース60内の空気を排気する排気口が設けられる。ファン35aが燃料電池装置1の上方側に配設される場合は、排気口60aが上方側に設けられる。この場合、下方側にさらに排気口が設けられていてもよい。ファン35aが燃料電池装置1の下方側に配設される場合は、排気口60aが下方側に設けられる。この場合、上方側にさらに排気口が設けられていてもよい。本実施形態では、ファン35aが上方側に配設されており、排気口60aが上方側に1箇所設けられている。ファン35aの送風方向が水平方向に平行であって、排気口60aが上方側のみであれば、ファン35aの動作によって外装ケース60内の、特に上方側の空気は、排気口60aから外部へと排気される。ファン35aと排気口60aとは、同じ高さ位置にあってもよい。同じ高さ位置とは、例えば、燃料電池装置1を側面視したときに、ファン35aの回転軸が、排気口60aと重なる位置である。
【0025】
ファン35aの送風能力を適宜設定することで、ファン35aによって発生し、気流偏向部材70によってその方向が偏向され、第1内壁面61に衝突したのち、第1内壁面61に沿って流れる気流は、第1内壁面61から、それに連なる短壁面63に沿って流れ、さらには、第1内壁面61に対向する第2内壁面62に沿って流れるように構成することもできる。また、外装ケース60内の空気を排気する排気口60aを、第2内壁面62に設けることによって、第2内壁面62に沿って流れる気流は、この排気口60aから装置外部へと排気される。このように、複数の内壁面に沿って気流が流れるように構成することで、外装ケース60内の広い範囲において効率よく空気を押し流して換気を行うことが可能となる。なお、排気口60aは、気流偏向部材70より偏向された気流が、少なくとも第1内壁面61の一方の隅部に流れた後に、排気口60aに向かうように設ければよく、第1内壁面61に設けることもできる。
【0026】
さらに、排気口を1箇所とすることにより、ファン35aから排気口60aまで、外装ケース60内部の気流の流れを一方向にすることができる。これにより、気流が分散せずに流速を保持することができるので、外装ケース60内の複数の内壁面に沿って流れてきた空気を外装ケース60の外に効率よく押し流すことができる。以上により、外装ケース60内の換気効率がさらに向上し、燃料電池モジュール2からの放熱によって発生した熱を外装ケース60内に留まらせることなく外部に排出することができる。
【0027】
燃料供給装置41によって改質器10に供給される燃料ガスは、例えば、メタンガスなどの可燃性ガスであるため、燃料電池装置1は、外装ケース60内に燃料ガスを検知するガスセンサ80を備える。ガスセンサ80によって燃料ガスが検知されると、燃料供給装置41の動作を停止させたり、ガス漏れを報知するなどの対応が可能となる。本実施形態では、ガスセンサ80は、内壁面の排気口60a側にあり、吹き出し口71の向きに対して吹き出し口71と排気口60aとの間にある。すなわち、上記のように、気流偏向部材70であるダクトの吹き出し口71から吹き出した気流は、第1内壁面61、短壁面63、第2内壁面62に沿って流れ、排気口60aから排気されるが、この吹き出し口71と排気口60aとの間の気流の流れに沿った位置にガスセンサ80が設けられている。なお、気流の流れ方向は一方向であるので、ガスセンサ80の位置よりも下流でガス漏れがあると、ガスセンサ80で検知することが困難となる。したがって、内壁面(短壁面63あるいは第2内壁面62)に沿った位置であり、この気流の最下流である排気口60a側に設けている。ここで、内壁面に沿った位置とは、
図3の平面図に示すように、対向する任意の2つの内壁面の間の寸法(第1内壁面61と第2内壁面62との間の距離である寸法d、短壁面63とこれに対向する内壁面との間の距離である寸法w)をそれぞれ三等分(d/3、w/3)したときに、対応する内壁面側の範囲内にあることをいう。また、排気口60a側とは、排気口60aが設けられた第2内壁面62に沿う範囲であり、かつ短壁面63から排気口60aまでの間にあることをいう。
【0028】
本実施形態においては、ガスセンサ80は、
図3にハッチングで示した範囲内に設けられているのが好ましい。この構成により、ガス漏れが生じた場合には、漏れたガスが気流によってガスセンサ80まで運ばれるので、確実にガス漏れを検知することができる。
【0029】
また、換気用のファン35aとして、供給電力調整部35の排気ファンを利用することができる。供給電力調整部35は、その筐体内に配線基板などの発熱部材が収納されており、筐体内の空気を排気ファンによって筐体外部へと排気することで、配線基板を冷却している。このような供給電力調整部35の排気ファンを換気用のファン35aとして利用する。換気用のファンを別途設ける必要がないので、消費電力を抑え、コストの上昇を防ぐことができる。
【0030】
排気ファンは、供給電力調整部35の外装ケース60内における配置位置、供給電力調整部35の筐体内の排気効率などが考慮されて設けられる。換気用のファン35aとして、供給電力調整部35の排気ファンを利用する場合、換気用のファン35aとしての考慮はされていないので、気流偏向部材70を用いて、気流の流れを制御することで、排気ファンとしても換気用ファンとしても機能させることができる。この排気ファンからの気流により、排気ファンから排出される空気の温度よりもさらに高温である燃料電池モジュール2からの放熱によって発生した熱を外装ケース60外部に排出するので、外装ケース60内の温度上昇を抑制することができる。
【0031】
本実施形態において棚部材50は、例えば、燃料電池モジュール2の直上から空間をあけて設けられている。すなわち、燃料電池モジュール2の収容容器24の外周に設けられた断熱材及び枠体と棚部材50との間に空隙が設けられている。燃料電池モジュール2の収容容器24は、燃料電池モジュール2の動作によって表面温度が上昇するが、燃料電池モジュール2と棚部材50との間の空隙によって、収容容器24から棚部材50への伝熱を軽減できるので、棚部材50はもちろんのこと、棚部材50に載置した補機の信頼性の低下を抑制することができる。
【0032】
図6は、第2実施形態の燃料電池装置の気流偏向部材の外観を示す平面図である。
図7は、気流偏向部材の外観を示す正面図であり、
図8は、気流偏向部材の外観を示す斜視図である。第2実施形態は、気流偏向部材70Aの形状が異なっている以外は、第1実施形態と同じ構成であるので、以下では、気流偏向部材70Aについて説明し、他の構成については、説明を省略する。
【0033】
第1実施形態の気流偏向部材70は、上記のようにダクトであり、管路断面の形状が一定となっている。本実施形態の気流偏向部材70Aは、第1実施形態と同様にダクトであるが、吹き出し口71Aに向かって先細である。例えば、気流偏向部材70Aの管路断面形状が四角形状である場合には、吹き出し口71Aに向かって、幅方向の寸法は一定のままで、高さ方向の寸法が徐々に小さくなるものであってもよく、吹き出し口71Aに向かって、高さ方向の寸法は一定のままで、幅方向の寸法が徐々に小さくなるものであってもよく、吹き出し口71Aに向かって、高さ方向の寸法も幅方向の寸法も徐々に小さくなるものであってもよい。本実施形態の例では、
図6の平面図に示すように、幅方向の寸法が徐々に小さくなっており、
図7の正面図に示すように、高さ方向の寸法も徐々に小さくなっている。
【0034】
ダクトである気流偏向部材70Aを、吹き出し口71Aに向かって先細となる形状とすることで、吹き出し口71Aに向かうにつれて管路断面の断面積が小さくなり、気流偏向部材70A内において、流速は増加する。したがって、本実施形態のような先細の気流偏向部材70Aを用いることで、ファン35aによって生じた気流の流速よりも流速を増加させて吹き出し口71Aから吹き出させることができる。このように、気流の流速を増加させることで、換気効率がさらに向上する。
【0035】
ダクトである気流偏向部材70Aは、部材全体にわたって先細となっていてもよく、一部が先細となっていてもよい。本実施形態では、ファン35aとの接続部分から管路長さが所定長さ分までは管路断面が一定または断面積がやや大きくなっており、残りの管路長さ分については、吹き出し口71Aに向かって先細となっている。
【0036】
本実施形態の気流偏向部材70Aは、
図8に示すように、ファン35aの周りを3面の板状部材で囲うことによりダクトを形成しているが、本実施形態では少なくとも3面によって囲われていれば、気流の出口を吹き出し口と呼ぶ。なお、ファン35aの周りを4面の板状部材で囲って筒状の気流偏向部材70Aを形成してもよい。
【0037】
以上、本発明について詳細に説明したが、本発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更、改良等が可能である。
【符号の説明】
【0038】
1 燃料電池装置
2 燃料電池モジュール
22 セルスタック
23 燃料電池セル
24 筐体
35 供給電力調整部
35a ファン
60 外装ケース
60a 排気口
61 第1内壁面
62 第2内壁面
63 短壁面
70,70A 気流偏向部材
71,71A 吹き出し口
80 ガスセンサ