(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-12
(45)【発行日】2022-05-20
(54)【発明の名称】ニューモシスチス肺炎を診断、予測又はモニタリングするための手段
(51)【国際特許分類】
C12Q 1/6851 20180101AFI20220513BHJP
C12Q 1/689 20180101ALI20220513BHJP
C12N 15/09 20060101ALI20220513BHJP
C12M 1/34 20060101ALI20220513BHJP
【FI】
C12Q1/6851 Z ZNA
C12Q1/689 Z
C12N15/09 Z
C12M1/34 B
(21)【出願番号】P 2017553984
(86)(22)【出願日】2016-04-15
(86)【国際出願番号】 EP2016058355
(87)【国際公開番号】W WO2016166287
(87)【国際公開日】2016-10-20
【審査請求日】2019-04-15
(32)【優先日】2015-04-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】508029653
【氏名又は名称】アンスティテュ・パストゥール
(73)【特許権者】
【識別番号】507139834
【氏名又は名称】アシスタンス ピュブリック-オピト ドゥ パリ
(73)【特許権者】
【識別番号】510224561
【氏名又は名称】ユニヴェルシテ パリ ディドロ パリ 7
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンドル・アラニオ
(72)【発明者】
【氏名】ステファン・ブルターニュ
(72)【発明者】
【氏名】フランソワーズ・ドロメル
(72)【発明者】
【氏名】オードゥ・スターニー-ルクレール
(72)【発明者】
【氏名】バンジャマン・オメル
(72)【発明者】
【氏名】マリオン・ベナズラ
【審査官】小倉 梢
(56)【参考文献】
【文献】J. Clin. Microbiol.,2013年,Vol. 51,p. 136-141
【文献】Clin. Microbiol. Infect.,2011年,Vol. 17,p. 1531-1537
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12Q 1/00 - 1/70
C12N 15/00 - 15/90
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ニューモシスチス・イロベチイ保因者であるヒト患者が、ニューモシスチス肺炎(PCP)を有するか若しくは発症するかどうかを決定若しくは予測するための、又はニューモシスチス・イロベチイ保因者であるヒト患者におけるPCPに対する薬物若しくは治療の有効性を決定若しくは予測するための、逆転写酵素及びオリゴヌクレオチドを含む、in vitroでの使用のためのキットであって、前記オリゴヌクレオチドが、プライマー及び/又はプローブを含み、前記プライマーが、第1のプライマー対及び第2のプライマー対を含み、前記プローブが、第1のプローブ及び第2のプローブを含み、
前記第1のプライマー対及び/又は前記第1のプローブが、第1のP.イロベチイミトコンドリア遺伝子のRNA転写物のcDNA逆転写物に特異的にハイブリダイズし、
前記第2のプライマー対及び/又は前記第2のプローブが、第2のP.イロベチイミトコンドリア遺伝子のRNA転写物のcDNA逆転写物に特異的にハイブリダイズし、
前記第1のP.イロベチイミトコンドリア遺伝子が、その配列がCytbタンパク質をコードするP.イロベチイ遺伝子であるか、又はその配列がスモールサブユニット(mtSSU)リボソームRNAに転写されるP.イロベチイmtSSU遺伝子であり、前記第2のP.イロベチイミトコンドリア遺伝子が、その配列がラージサブユニット(mtLSU)リボソームRNAに転写されるP.イロベチイmtLSU遺伝子である、キット。
【請求項2】
ニューモシスチス・イロベチイ保因者であるヒト患者においてニューモシスチス肺炎(PCP)を決定若しくは予測するのに、又はニューモシスチス・イロベチイ保因者であるヒト患者におけるPCPに対する薬物若しくは治療の有効性を決定若しくは予測するのに適したキットであって、請求項
1に規定の逆転写酵素及びオリゴヌクレオチド並びにポリメラーゼを含み、前記オリゴヌクレオチドが、請求項
1に規定の前記第1のプライマー対、前記第1のプローブ、前記第2のプライマー対及び前記第2のプローブを含み、前記逆転写酵素及び前記ポリメラーゼが、同じチューブ中に含有される、キット。
【請求項3】
RNA抽出内部対照を含む、請求項1又は2に記載のキット。
【請求項4】
前記ヒト患者が、HIV陰性である、請求項1から3のいずれか一項に記載のキット。
【請求項5】
前記第1のP.イロベチイミトコンドリア遺伝子のRNA転写物の定量化の値の前記第2のP.イロベチイミトコンドリア遺伝子のRNA転写物の定量化の値に対する比を算出する手段を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載のキット。
【請求項6】
比の値を閾値と比較する手段を含む、請求項5に記載のキット。
【請求項7】
前記第1のP.イロベチイミトコンドリア遺伝子が、その配列がCytbタンパク質をコードするP.イロベチイ遺伝子であり、前記第2のP.イロベチイミトコンドリア遺伝子が、その配列がP.イロベチイラージサブユニット(mtLSU)リボソームRNAに転写されるP.イロベチイmtLSU遺伝子である、請求項5又は6に記載のキット。
【請求項8】
前記閾値が、1.27~1.66の範囲に存在し、より詳細には1.50を有する、請求項6に記載のキット。
【請求項9】
前記比の算出が、方程式
R=E(CYTb)
-Cq(CYTb)
/E(mtrDNA)
-Cq(mtrDNA)
(式中、
Rは、前記比であり、
CYTBは、その配列がCytbタンパク質をコードする前記P.イロベチイ遺伝子のRNA転写物のcDNA逆転写物であり、
mtrDNAは、その配列がP.イロベチイリボソームRNAに転写される前記P.イロベチイ遺伝子のRNA転写物のcDNA逆転写物であり、
Eは、指示したcDNAに関する対数期での1つの増殖サイクルのPCR効率の値であり、
Cqは、指示したcDNAに関するPCR定量化サイクルの値である)
を使用して実行される、請求項7又は8に記載のキット。
【請求項10】
前記第1のP.イロベチイミトコンドリア遺伝子が、ミトコンドリアP.イロベチイスモールサブユニット(mtSSU)遺伝子であり、前記第2のP.イロベチイミトコンドリア遺伝子が、ミトコンドリアP.イロベチイラージサブユニット(mtLSU)遺伝子である、請求項5又は6に記載のキット。
【請求項11】
前記閾値が、2.7~3.3の範囲に存在し、より詳細には3.2を有する、請求項10に記載のキット。
【請求項12】
前記比の算出が、方程式
R=E(mtSSU)
-Cq(mtSSU)
/E(mtLSU)
-Cq(mtLSU)
(式中、
Rは、前記比であり、
mtSSUは、前記ミトコンドリアP.イロベチイmtSSU遺伝子のRNA転写物のcDNA逆転写物であり、
mtLSUは、前記ミトコンドリアP.イロベチイmtLSU遺伝子のRNA転写物のcDNA逆転写物であり、
Eは、指示したcDNAに関する対数期での1つの増殖サイクルのPCR効率の値であり、
Cqは、指示したcDNAに関するPCR定量化サイクルの値である)
を使用して実行される、請求項10又は11に記載のキット。
【請求項13】
各々のRNA転写物の定量化のための手段をさらに含む、請求項1から12のいずれか一項に記載のキットであって、
前記各々のRNA転写物の定量化が、
- 第1のcDNA逆転写物を得るための第1のプライマー対を使用した前記第1のP.イロベチイミトコンドリア遺伝子のRNA転写物に含有される第1のRNA標的のcDNA逆転写、及び第1のアンプリコンを得るための同じ第1のプライマー対を使用した前記第1のcDNA逆転写物のPCR増幅、並びに
- 第2のcDNA逆転写物を得るための第2のプライマー対を使用した前記第2のP.イロベチイミトコンドリア遺伝子のRNA転写物由来の第2のRNA標的のcDNA逆転写、及び第2のアンプリコンを得るための同じ第2のプライマー対を使用した前記第2のcDNA逆転写物のPCR増幅
を可能にし、
前記キットは、前記第1のアンプリコン及び前記第2のアンプリコンの定量化のための手段を更に含み、
前記第1のアンプリコンの定量化の値が、前記第1のP.イロベチイミトコンドリア遺伝子のRNA転写物の定量化の値であり、前記第2のアンプリコンの定量化の値が、前記第2のP.イロベチイミトコンドリア遺伝子のRNA転写物の定量化の値である、キット。
【請求項14】
前記第1のP.イロベチイミトコンドリア遺伝子が、その配列がCytbタンパク質をコードするP.イロベチイ遺伝子であるとき、
前記第1のRNA標的が、100個~120個のヌクレオチドで構成され、
- 配列番号29の配列、若しくは
- 配列番号29と同じ長さであり、配列番号29に対して少なくとも95%同一であるRNA配列
を含むか、又はその配列であり、並びに、
前記第1のP.イロベチイミトコンドリア遺伝子が、ミトコンドリアP.イロベチイスモールサブユニット(mtSSU)遺伝子であるとき、
前記第1のRNA標的が、60個~110個のヌクレオチドで構成され、
- 配列番号14若しくは配列番号19若しくは配列番号24の配列、又は
- それぞれ配列番号14若しくは配列番号19若しくは配列番号24と同じ長さであり、配列番号14若しくは配列番号19若しくは配列番号24に対して少なくとも95%同一であるRNA配列
を含むか、或いはその配列である、請求項13に記載のキット。
【請求項15】
前記第2のRNA標的が、115個~125個のヌクレオチドで構成され、
- 配列番号9の配列、若しくは
- 配列番号9と同じ長さであり、配列番号9に対して少なくとも95%同一であるRNA配列
を含むか、又はその配列である、請求項13又は14に記載のキット。
【請求項16】
以下の定量化:
- 前記第1のP.イロベチイミトコンドリア遺伝子が、その配列がCytbタンパク質をコードするP.イロベチイ遺伝子であるとき、前記第1のP.イロベチイミトコンドリア遺伝子のRNA転写物の定量化が、配列番号1、配列番号1に相補的な配列、配列番号2及び配列番号2に相補的な配列のいずれにもハイブリダイズせずに、配列番号30又はその相補配列にハイブリダイズする第1のプローブを使用して実行される、
又は、
- 前記第1のP.イロベチイミトコンドリア遺伝子が、ミトコンドリアP.イロベチイスモールサブユニット(mtSSU)遺伝子であるとき、前記第1のP.イロベチイミトコンドリア遺伝子のRNA転写物の定量化が、配列番号3、配列番号3に相補的な配列、配列番号1及び配列番号1に相補的な配列のいずれにもハイブリダイズせずに、配列番号15若しくは配列番号15に相補的な配列に、又は配列番号20若しくは配列番号20に相補的な配列に、又は配列番号25若しくは配列番号25に相補的な配列にハイブリダイズする第1のプローブを使用して実行される、
又は、
- 前記第2のP.イロベチイミトコンドリア遺伝子が、ミトコンドリアP.イロベチイラージサブユニット(mtLSU)遺伝子であるとき、前記第2のP.イロベチイミトコンドリア遺伝子のRNA転写物の定量化が、配列番号3、配列番号3に相補的な配列、配列番号2及び配列番号2に相補的な配列のいずれにもハイブリダイズせずに、配列番号10又は配列番号10に相補的な配列にハイブリダイズする第2のプローブを使用して実行される、
を可能にする手段をさらに含む、請求項1から15のいずれか一項に記載のキット。
【請求項17】
前記キットを用いるRNA転写物の定量化の工程が、リアルタイムPCRによって行われる、請求項1から16のいずれか一項に記載のキット。
【請求項18】
(1) ニューモシスチス・イロベチイ保因者であるヒト患者が、ニューモシスチス肺炎(PCP)を有するか又は発症するかどうかを決定又は予測するためのin vitroでの方法であって、
i.前記ヒト患者の気道から事前に得た生体液の試料のRNA材料において、2つの異なるP.イロベチイミトコンドリア遺伝子のRNA転写物を定量化して、第1のP.イロベチイミトコンドリア遺伝子のRNA転写物の定量化の値及び第2のP.イロベチイミトコンドリア遺伝子のRNA転写物の定量化の値を得る工程であって、前記第1のP.イロベチイミトコンドリア遺伝子が、その配列がCytbタンパク質をコードするP.イロベチイ遺伝子であるか、又はその配列がスモールサブユニット(mtSSU)リボソームRNAに転写されるP.イロベチイmtSSU遺伝子であり、前記第2のP.イロベチイミトコンドリア遺伝子が、その配列がラージサブユニット(mtLSU)リボソームRNAに転写されるP.イロベチイmtLSU遺伝子である、工程と、
ii.i.の前記第1のP.イロベチイミトコンドリア遺伝子のRNA転写物の定量化の値のi.の前記第2のP.イロベチイミトコンドリア遺伝子のRNA転写物の定量化の値に対する比を算出する工程と、
iii.ii.の比の値を閾値と比較する工程
を含み、
ii.の比の値が、前記閾値に等しいか又は前記閾値よりも低い場合、前記ヒト患者は、PCPを有するか又は発症する危険性が高いと決定又は予測され、
ii.の比の値が、前記閾値よりも高い場合、前記ヒト患者は、PCPを有するか又は発症する危険性が低いと決定又は予測され、
前記ヒト患者を、それが属する可能性が最も高い参照コホートの患者に分類するために、前記第1のP.イロベチイミトコンドリア遺伝子のRNA転写物の定量化の値の前記第2のP.イロベチイミトコンドリア遺伝子のRNA転写物の定量化の値に対する比が、
PCPを有するか若しくは発症するP.イロベチイ保因者、又は
PCPを有さず発症もしていないP.イロベチイ保因者
の状態に応じて事前に確立されたP.イロベチイ保因者の参照ヒトコホートを取り入れている、値又は該値の分布を比較することによって、前記閾値が事前に決定されており、
前記工程i.の定量化が、(cDNA)逆転写及びPCR増幅によって実行される、方法、
あるいは、
(2) ニューモシスチス・イロベチイ保因者であり、ニューモシスチス肺炎(PCP)を有するか又は発症すると決定されたヒト患者におけるPCPに対する薬物又は治療の有効性を決定又は予測するin vitroでの方法であって、
- 第1の時点及び第2の時点で、前記ヒト患者の気道から事前に得た生体液の試料のRNA材料において、RNA転写物を定量化して、それぞれ前記第1の時点及び前記第2の時点での第1のP.イロベチイミトコンドリア遺伝子のRNA転写物の定量化の値並びに前記第1の時点及び前記第2の時点での第2のP.イロベチイミトコンドリア遺伝子のRNA転写物の定量化の値を得る工程であって、前記第2の時点が、前記第1の時点よりも遅く、前記第1の時点及び前記第2の時点の少なくとも1つが、前記ヒト患者が前記薬物又は治療を受けている期間に含まれ、前記RNA転写物が、2つの異なるP.イロベチイミトコンドリア遺伝子のRNA転写物であり、前記2つの異なるP.イロベチイミトコンドリア遺伝子の第1が、その配列がCytbタンパク質をコードするP.イロベチイ遺伝子であるか、又はその配列がスモールサブユニット(mtSSU)リボソームRNAに転写されるP.イロベチイmtSSU遺伝子であり、前記2つの異なるP.イロベチイミトコンドリア遺伝子の第2が、その配列がラージサブユニット(mtLSU)リボソームRNAに転写されるP.イロベチイmtLSU遺伝子であり、RNA転写物の前記定量化が、(cDNA)逆転写及びPCR増幅によって実行される工程と、
- 前記第1のP.イロベチイミトコンドリア遺伝子のRNA転写物の定量化の値の前記第2のP.イロベチイミトコンドリア遺伝子のRNA転写物の定量化の値に対する比を算出して、前記第1の時点での前記比の値及び前記第2の時点でのその値を得る工程と、
- 前記第2の時点での前記比の値を前記第1の時点でのその値と比較する工程であって、前記第1の時点と比較した前記第2の時点での前記比の値の増加が、前記治療又は薬物が、前記ヒト患者においてPCPを治療又は緩和するのに効率的であるか、又は効率的と予想されることを示す、工程と
を含む方法
を実行するための説明書を含む、プロセシングユニットのメモリにおける、又は前記プロセシングユニットのリーダーとの連携のためのリムーバブルメモリ支持体上での保存のためのコンピュータープログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、(Pneumocystis)肺炎(PCP)を診断、予測又はモニタリングするための手段に関する。本出願の手段は、2つの異なるP.イロベチイ(P. jirovecii)ミトコンドリア遺伝子のRNA転写物の検出及び/又は定量化、より詳細には定量化を含む。
【0002】
本出願の手段はまた、ヒト患者におけるPCPに対する薬物若しくは治療の有効性を決定若しくは予測するのに、又はPCPを有すると診断されて、PCPに対する薬物若しくは治療を受けているか、若しくは受けたヒト患者において、PCPが退行するか、若しくは治療されたかどうかを決定するのに適している。
【背景技術】
【0003】
ニューモシスチス肺炎(PCP)は、子嚢菌門真菌ニューモシスチス・イロベチイ(Pneumocystis jirovecii)に起因した日和見感染である。この病原体は、ヒトに特異的であるのに対して、他の陸生哺乳動物に関して、関連種が存在し、P.イロベチイを、ヒトの気道の共生生物とみなすことができることを示唆する証拠が増加している。P.イロベチイは、肺胞細胞(I型肺胞細胞)の表面で生存及び繁栄して、通常は2つの主要形態として見出すことができる:(i)二分裂によって無性増殖を受ける栄養性形態及び(ii)性的複製様式の結果である8個の子嚢胞子を含有する子嚢(嚢胞)。ニューモシスチス・カリニ(Pneumocystis carinii)の完全な生活環が、ラットで研究されてきた。動物における実験により、ニューモシスチス属(Pneumocystis)は、最も重要な貯蔵所としての免疫適格性個体及び伝播の潜在的因子としての子嚢を用いて宿主から宿主まで伝播可能であることが示唆される。疫学的及び実験的データにより、P.イロベチイはまた、ヒトにおける伝播性生物であることが示唆される。
【0004】
低いCD4計数を有するHIV感染個体は、PCPを発症する危険性がある。コトリモキザゾール(ジヒドロ葉酸還元酵素阻害剤(トリメトプリム)及びスルホンアミド抗生物質(スルファメトキサゾール)の関連)による非常に有効な予防及び非常に活性な抗レトロウイルス療法にもかかわらず、PCPは、依然としてエイズを患う患者において最も蔓延している感染の1つである。PCPはまた、血液学的又は固形悪性腫瘍を患う患者、移植レシピエント及び自己免疫性又は炎症性疾患に関する免疫抑制治療を受けている患者を含む非HIV免疫低下患者でも起きる。
【0005】
非HIV免疫低下患者では、PCPは通常、HIV患者においてよりも急性であり、また深刻である。平均真菌負荷がHIV患者においてよりも非HIV患者において低いため、PCP診断もより困難である。
【0006】
全体として、PCPは、HIV感染患者における10%~20%と比較して、非HIV免疫低下患者では35%~55%の死亡率を保有する。
【0007】
PCPの診断は通常、従来の染色(カルコフロールホワイト、トリイジンブルーO、ゴモリのメテナミン(methamine)、ギムザ染色)及び抗P.イロベチイ免疫蛍光アッセイ(IFA)(直接的又は間接的IFA)を含む様々な染色方法を使用した呼吸器検体のP.イロベチイの顕微鏡的実証に依存する。免疫蛍光が、従来の染色より感度が高いことは、長い間知られている。或いは、1990年代に、2つの方法が開発された:β-D-グルカン(BDG)検出及びPCR。
【0008】
非HIV免疫低下患者におけるP.イロベチイの低い負荷量に起因する顕微鏡的方法の感度の欠如は、微生物自体ではなく臨床試料中でDNAを検出するための1990年代初期での診断PCRベースの方法の開発を正当化してきた。最初に、DNA検出はまた、診断検体として誘発喀痰(IS)及び/又は上気道検体(URS、鼻咽頭吸引物、口腔洗液又は鼻腔拭き取り検体)を使用する志で、PCPの疑いがある患者において気管支肺胞洗浄(BAL)等の侵襲性手順を回避するためにP.イロベチイ検出の感度を増加させることを目的とした。これらの方法は、顕微鏡的検出(従来の染色及び/又は免疫蛍光)よりも感度が高く、また再現性があり、その時点で気管支肺胞洗浄液(BALF)又は誘発喀痰等の呼吸器試料における代表的な試験とみなされた。
【0009】
DNA検出に関して最初に使用したシングル(sPCR)及びネステッドエンドポイント(nPCR)方式は、反応チューブを開放することなく、増幅中にPCR産物が検出及び定量化される定量的リアルタイムPCR(qPCR)方式で次第に置き換えられた。この方式の主な利点は、これまでに増幅された産物による環境汚染に起因する偽陽性を防止することであり、また迅速な定量結果を提供することである。PCR方式に関するサブグループ分析は、メタアナリシスで実行されて、網羅的分析と比較して、qPCRアッセイにおいてより高い感度及び特異性を示した。更に、診断PCRに対する推奨がすでに存在しており、リアルタイムPCR方式を使用する必要性を強調している。
【0010】
種々のPCRアッセイに関して報告される性能の違いは、増幅に使用される種々のDNA標的及びプライマー設計によって説明することができる。実際、大部分の著者らは、彼ら自身のプライマーを開発してきたが、一般にマルチコピー遺伝子を増幅するように設計し、それは、単一コピー遺伝子と比較して感度を増加させる。P.イロベチイミトコンドリアラージサブユニットリボソームRNA(rRNA)遺伝子(mtLSU)が、最も一般的に使用される。マルチコピー主要表面抗原(MSG)遺伝子もまた、様々な報告で標的とされた。18SリボソームDNA(rDNA)、5S rDNA、内部転写スペーサ(ITS)、DHPS、KEX、HSP70、β-チューブリン(BTUB)及びCDC2等の多重単一コピー核遺伝子もまた使用された。実際、リボソームRNA遺伝子クラスターは、ニューモシスチス属において特有である。
【0011】
分析性能の比較は、外部品質管理の定量化の結果を使用して、容易に達成することができる。MSG(マルチコピー)及びDHPS(単一コピー)標的遺伝子を使用した3つのPCRアッセイの比較は、結果の移行可能を実証した。
【0012】
しかしながら、PCRは、PCPの臨床徴候又は症状を伴わない免疫低下個体由来の肺検体においてニューモシスチス属DNAを検出する可能性を明らかにした。この現象は、P.イロベチイコロニー形成又は保因と呼ばれた。この理由から、PCRは、PCPに関する診断基準として完全には受け入れられていないが、PCRアッセイの感度は、顕微鏡法よりも高く、PCRは、非侵襲性検体において費用効果的であった。
【0013】
PCPの危険性がある患者の呼吸器試料におけるP.イロベチイ保因由来の活性なニューモシスチス肺炎を識別する簡素な方法の1つは、定量的閾値を決定することである。PCRは、顕微鏡法よりも遥かに感度が高いため、診断を評価するための閾値を規定することは重要であり、信頼性が高い定量化を伴わずに実行することはできない。リアルタイム定量的PCRは、参照DNA(プラスミド)に基づいて較正曲線を使用して、抽出物中のDNAの量を定量化することが可能であるリアルタイムPCRを指し、コピー/容量単位として表される。しかしながら、定量的な結果は、他の単位で表すことができる。或いは、著者らによっては、粗製qPCRの結果を(定量化サイクル、Cq、Ct又はCpとして)を使用し、又は他の著者らによっては、それを計数に基づく微生物の数(例えば、栄養性形態等価体)に翻訳する。国際標準qPCRアッセイも閾値も、現在合意に基づいていない。大規模な国際研究又は少なくとも前向き研究は、このツールの技術的な確証を可能にするのに非常に必要である。その後、qPCRの結果の臨床的解釈のためのqPCRの使用が可能であり、確証されている。
【0014】
陽性IFAを保有する試料に関して、qPCR及び嚢胞の数として評価される(しばしば+、++又は+++と表される)場合の顕微鏡的定量化は、類似の結果をもたらした。qPCRの結果がIFAと一致する場合、結果の解釈について疑問はほとんどない。しかしながら、IFAの感度限界周辺に重なりが見られ、幾つかの試料は、IFA陰性であり、且つPCR陽性である一方で、他の試料は、低いP.イロベチイDNA含有量を伴ってIFA陽性である。最も低い真菌負荷を保有するIFA陽性試料に相当する最も低いqPCR結果のコンセンサスは、IFAが、試験者及び試料の品質に依存しているため、ほぼ不可能である。範囲の反対側では、qPCR陰性結果の解釈についてほとんど疑いがない。PCRアッセイの陰性予測値は、コンセンサスに達した。チェックされるべき唯一の点は、偽陰性の結果を回避するための内部対照の正しい増幅である。不一致は、IFA陰性qPCR陽性の結果に関して現れる。著者らによっては、グレーゾーンを提案する。例えば、120及び1900の2つのカットオフ値(栄養性形態等価体/mL)は、急性肺炎を保因と識別するのに提唱され、それらの間にグレーゾーンが存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
PCPを診断、予測又はモニタリングするための新たな手段、より詳細にはPCPをP.イロベチイ保因と識別する手段が必要とされている。したがって、本発明者等は、ニューモシスチス属RNAの検出に関する新たなPCR方法を開発した。
【0016】
本発明者等の試験は、患者のBAL液におけるニューモシスチス・イロベチイの2つの遺伝子のRNA転写物の検出及び定量化に基づいている。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本出願は、ニューモシスチス肺炎(PCP)を診断、予測又はモニタリングするのにとりわけ有用である手段を提供する。
【0018】
本出願の手段はとりわけ、患者がHIV陰性である場合を含む、PCP患者を、PCPを有さないか、又は発症しないP.イロベチイ保因者と識別することが可能である。HIV陰性ヒト患者のPCP状態は、これらの患者のP.イロベチイ負荷が、HIV陽性ヒト患者のP.イロベチイ負荷よりも低いため、決定するのが特に困難である。それにより、本出願の手段は、上記P.イロベチイ保因者が不用なPCP治療を受けることを回避し得る。
【0019】
本出願の手段は、2つの異なるP.イロベチイミトコンドリア遺伝子のRNA転写物の検出及び/又は定量化、より詳細には定量化を含む。本出願の手段は、より詳細には、上記2つの異なるP.イロベチイミトコンドリア遺伝子の一方(これ以降、第1のP.イロベチイミトコンドリア遺伝子)のRNA転写物の上記2つの異なるP.イロベチイミトコンドリア遺伝子の他方(これ以降、第2のP.イロベチイミトコンドリア遺伝子)のRNA転写物に対する比を決定することを含む。
【0020】
2つの異なるP.イロベチイミトコンドリア遺伝子はそれぞれ独立して、
その配列がCytbタンパク質をコードするP.イロベチイ遺伝子(配列番号3)、並びに
ミトコンドリアP.イロベチイラージサブユニット(mtLSU)遺伝子(配列番号1)及びミトコンドリアP.イロベチイスモールサブユニット(mtSSU)遺伝子(配列番号2)等の、その各々の配列がP.イロベチイリボソームRNAに転写されるP.イロベチイ遺伝子
からなる群から選択される。
【0021】
上記2つの異なるP.イロベチイミトコンドリア遺伝子の少なくとも1つは、mtLSU遺伝子又はmtSSU遺伝子等の、その配列がP.イロベチイリボソームRNAに転写されるP.イロベチイ遺伝子である。
【0022】
より詳細には、上記2つの異なるP.イロベチイミトコンドリア遺伝子の少なくとも1つは、mtLSU遺伝子である。
【0023】
例えば、上記比の第1のP.イロベチイミトコンドリア遺伝子は、その配列がCytbタンパク質をコードするP.イロベチイ遺伝子であるか、又はmtSSU遺伝子である。
【0024】
例えば、上記比の第2のP.イロベチイミトコンドリア遺伝子は、mtSSU遺伝子又はmtLSU遺伝子(同時に依然として、上記比の第1のP.イロベチイミトコンドリア遺伝子とは異なる)、より詳細にはmtLSU遺伝子である。
【0025】
例えば、第1のP.イロベチイミトコンドリア遺伝子は、その配列がCytbタンパク質をコードするP.イロベチイ遺伝子であり、第2のP.イロベチイミトコンドリア遺伝子は、mtLSU遺伝子又はmtSSU遺伝子等の、その配列がP.イロベチイリボソームRNAに転写されるP.イロベチイ遺伝子である[比Cytb/(mtLSU又はmtSSU)、より詳細には比Cytb/mtLSU]。例えば、第1のP.イロベチイミトコンドリア遺伝子は、mtSSU遺伝子であり、第2のP.イロベチイミトコンドリア遺伝子は、mtLSU遺伝子である[比mtSSU/mtLSU]。
【0026】
本出願の手段は、ニューモシスチス肺炎(PCP)を診断若しくは予測するのに、より詳細にはヒト患者(より詳細には、ニューモシスチス・イロベチイ保因者であるヒト患者)が、PCPを有するか若しくは発症するかどうかを診断若しくは予測するのに、又は
ヒト患者(より詳細には、ニューモシスチス・イロベチイ保因者であるヒト患者)におけるPCPに対する薬物若しくは治療の有効性を決定若しくは予測するのに、又は
PCPを有すると診断されて、PCPに対する薬物若しくは治療を受けているか、若しくは受けたヒト患者において、PCPが退行するか、若しくは治療されたかどうかを決定するのにとりわけ適している。
【0027】
本出願の手段は、方法、産物(例えば、プライマー及び/又はプローブ)、これらの産物の少なくとも2つの結合又は組合せ、並びに上記産物の少なくとも1つを含むキット及び組成物を含む。
【0028】
本出願の手段はまた、上記産物の少なくとも1つが付着されるマイクロアレイ、ナノアレイ、チップ等の固体支持体、並びにP.イロベチイトランスクリプトームの定量化に適している核酸ライブラリー、ヒト患者におけるPCPの治療及び/又は防止及び/又は寛解における使用のためのコンピュータープログラム製品、コンピューターデバイス及びキットを含む。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】患者のBALFにおけるDNA(Cq mtLSU DNA PCR)又はRNA増幅(Cq mtLSU RNA PCR)を用いて得られるmtLSU定量化閾値の比較を示す図である。Cqの平均損失は、3.58(95%CI: 2.68~4.47)であり、約10倍高いRNAに関する発現におおよそ相当する。
【
図2】診断(A、n=41)又は診断及び追跡(B、n=46)試料に関するmtLSU RNA qPCR(qPCR)及びCYTB/mtLSU比(PCP Xpress)試験のROC曲線を示す図である。Sens、感度;Spec、特異性;LR、尤度比。
【
図3A】種々のカテゴリーの試料中の各mtLSU陽性試料に関するmtLSU RNA定量化サイクル(Cq)のプロットを示す図である。より高い尤度比を可能にする閾値の範囲は、点線として表される]30.49~31.78[。白丸は、比が他の群の患者に有利であるカテゴリーに分類される患者由来である。
【
図3B】CYTB及びmtLSU RNAの両方が増幅される試料における患者の各カテゴリーに関するCYTB/mtLSU比の値のプロットを示す図である。PCP試料は、主にCYTB/mtLSU RNA <1.27を保有するのに対して、非PCP試料(保因者)又は最低15日間処理した患者(PCP Rx)は、主にCYTB/mtLSU比>1.66を保有した。16個の試料は、増殖されないCYTBを有し、その結果、比は算出しなかった。それらの試料は、PCPを伴わない患者由来であった。より高い尤度比を可能にする閾値の範囲は、点線として表される]1.27~1.66[。白丸は、比が他の群の患者に有利であるカテゴリーに分類される患者由来である。
【
図4】BTUB、HSP70及びCYTBのmtLSUに対する比に関するROC曲線分析を示す図である。より高い尤度比は、CYTB/mtLSU比を用いて得られた。
【
図5】PCRによるBAL液試料におけるmtLSU及びmtSSU定量化を示す図である。
【
図6】mtSSU及びmtLSUのPCR(サイクル)定量化(BAL液試料における)を用いて得られ、またmtSSU/mtLSU比で得られるROC曲線の分析を示す図である。mtSSU/mtLSU比の最大尤度比(LR)は、10である(最適比2.7に関して)[のに対してmtLSU及びmtSSU定量化単独それぞれの最大LRは、6である]。しかしながら、3.1~3.3の比は、感度100%に到達することが可能であり、正確なPCP検出にとって好適のようであり得る。
【
図7】PCP患者の、及びP.イロベチイ保因者(しかし、非PCP)患者のBAL液試料におけるmtSSU/mtLSU比の分布を示す図である。2.7の比を破線で示す。
【
図8】PCP患者の、及びP.イロベチイ保因者(しかし、非PCP)患者のBAL液試料におけるmtSSU(左側の
図8A)及びmtLSU(右側の
図8B)定量化サイクルの分布を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本出願は、出願時の本明細書中に記載された通りの特許請求の範囲で規定される主題に関する。
【0031】
本出願では、別記しない限り、又は文脈が他の場合を指示しない限りは、用語は全て、関連分野におけるそれらの通常の意味を有する。
【0032】
本出願は、2つの異なるP.イロベチイミトコンドリア遺伝子のRNA転写物の検出及び/又は定量化、より詳細には定量化を含む手段を提供する。
【0033】
本出願の態様は、本出願の手段がRNA転写物の分析に基づき、DNAの分析には基づかないことである。本出願の更なる態様は、本出願のRNA転写物が(P.イロベチイ)ミトコンドリア遺伝子のRNA転写物であることである。
【0034】
本出願の手段は、より詳細には、上記2つの異なるP.イロベチイミトコンドリア遺伝子の一方(これ以降、第1のP.イロベチイミトコンドリア遺伝子)のRNA転写物の上記2つの異なるP.イロベチイミトコンドリア遺伝子の他方(これ以降、第2のP.イロベチイミトコンドリア遺伝子)のRNA転写物に対する比を決定することを含む。
【0035】
2つの異なるP.イロベチイミトコンドリア遺伝子はそれぞれ独立して、
その配列がCytbタンパク質をコードするP.イロベチイ遺伝子(配列番号3)、並びに
ミトコンドリアP.イロベチイラージサブユニット(mtLSU)遺伝子(配列番号1)及びミトコンドリアP.イロベチイスモールサブユニット(mtSSU)遺伝子(配列番号2)等の、その各々の配列がP.イロベチイリボソームRNAに転写されるP.イロベチイ遺伝子
からなる群から選択される。
【0036】
上記2つの異なるP.イロベチイミトコンドリア遺伝子の少なくとも1つは、mtLSU遺伝子又はmtSSU遺伝子等の、その配列がP.イロベチイリボソームRNAに転写されるP.イロベチイ遺伝子である。
【0037】
本出願の態様によれば、上記2つの異なるP.イロベチイミトコンドリア遺伝子の少なくとも1つは、mtLSU遺伝子である。
【0038】
本出願の態様によれば、上記2つのP.イロベチイミトコンドリア遺伝子の第1は、その配列がCytbタンパク質をコードするP.イロベチイ遺伝子(配列番号3)である。
【0039】
上記2つのP.イロベチイミトコンドリア遺伝子の第2は、mtLSU遺伝子(配列番号1)又はmtSSU遺伝子(配列番号2)等の、その配列がP.イロベチイリボソームRNAに転写されるP.イロベチイ遺伝子、より詳細にはmtLSU遺伝子である。
【0040】
本出願の態様によれば、上記2つのP.イロベチイミトコンドリア遺伝子の第1は、mtSSU遺伝子である。
【0041】
上記2つのP.イロベチイミトコンドリア遺伝子の第2は、mtLSU遺伝子、又はその配列がCytbタンパク質をコードするP.イロベチイ遺伝子、より詳細にはmtLSU遺伝子である。
【0042】
本出願の態様によれば、上記2つのP.イロベチイミトコンドリア遺伝子の第1は、mtLSU遺伝子である。
【0043】
上記2つのP.イロベチイミトコンドリア遺伝子の第2は、mtSSU遺伝子、又はその配列がCytbタンパク質をコードするP.イロベチイ遺伝子、より詳細にはmtSSU遺伝子である。
【0044】
本出願の手段は、ニューモシスチス肺炎(PCP)を診断若しくは予測するのに、より詳細にはヒト患者(より詳細には、ニューモシスチス・イロベチイ保因者であるヒト患者)が、PCPを有するか若しくは発症するかどうかを診断若しくは予測するのに、又は
ヒト患者(より詳細には、ニューモシスチス・イロベチイ保因者であるヒト患者)におけるPCPに対する薬物若しくは治療の有効性を決定若しくは予測するのに、又は
PCPを有すると診断されて、PCPに対する薬物若しくは治療を受けているか、若しくは受けたヒト患者において、PCPが退行するか、若しくは治療されたかどうかを決定するのにとりわけ適している。
【0045】
好適には、本発明の手段は、HIV陰性であるヒト患者、より詳細にはHIV陰性且つ免疫低下ヒト患者のPCP状態を決定するのに十分信頼性が高い。HIV陰性ヒト患者のPCP状態は、これらの患者のP.イロベチイ負荷が、HIV陽性ヒト患者のP.イロベチイ負荷よりも低いため、決定するのが特に困難である。
【0046】
上記2つの異なるP.イロベチイミトコンドリア遺伝子のRNA転写物の定量化は、当業者が適切であると認め得る任意の手段によって達成され得る。それにもかかわらず、本出願は、逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)手段を提供し、RT-PCR手段は、リアルタイムで実行され得る。
【0047】
本出願は、ニューモシスチス肺炎(PCP)を診断又は予測するためのin vitroでの方法、より詳細にはヒト患者(より詳細には、ニューモシスチス・イロベチイ保因者であるヒト患者)が、PCPを有するか又は発症するかどうかを診断又は予測するためのin vitroでの方法に関し、上記方法は、
i.上記ヒト患者の気道から事前に得た生体液の試料のRNA材料において、2つの異なるP.イロベチイミトコンドリア遺伝子(それぞれ)のRNA転写物(の数又は濃度)を検出及び/又は定量化して、より詳細には、2つの異なるP.イロベチイミトコンドリア遺伝子(それぞれ)のRNA転写物(の数又は濃度)を定量化して、第1のP.イロベチイミトコンドリア遺伝子のRNA転写物の定量化の値及び第2のP.イロベチイミトコンドリア遺伝子のRNA転写物の定量化の値を得る工程と、
ii.i.の上記第1のP.イロベチイミトコンドリア遺伝子のRNA転写物の定量化の値のi.の上記第2のP.イロベチイミトコンドリア遺伝子のRNA転写物の定量化の値に対する比を算出する工程と、
iii.ii.の比の値を閾値(数値)と比較する工程と
を含み、
ii.の比の値が、上記閾値に等しいか、若しくは上記閾値よりも低いかどうか、又はii.の比の値が、上記閾値よりも高いかどうかに依存して、上記ヒト患者は、PCPを有するか若しくは発症する危険性が高い、又はPCPを有するか若しくは発症する危険性が低いと診断又は予測される。
【0048】
上記2つのP.イロベチイミトコンドリア遺伝子の第1が、その配列がCytbタンパク質をコードするP.イロベチイ遺伝子(配列番号3)であり、上記2つのP.イロベチイミトコンドリア遺伝子の第2が、mtLSU遺伝子若しくはmtSSU遺伝子、より詳細にはmtLSU遺伝子である場合、又は上記2つのP.イロベチイミトコンドリア遺伝子の第1が、mtSSU遺伝子であり、上記2つのP.イロベチイミトコンドリア遺伝子の第2が、mtLSU遺伝子である場合、上記工程iii.は、ii.の比を閾値(数値)と比較する工程であってもよく、ここで、ii.の比の値が、上記閾値に等しいか又は上記閾値よりも低い(より詳細には、上記閾値よりも低い)場合、上記ヒト患者は、PCPを有するか又は発症する危険性が高いと診断又は予測され、
ii.の比の値が、上記閾値よりも高い場合、上記ヒト患者は、PCPを有するか又は発症する危険性が低いと診断又は予測される。
【0049】
当然のことながら、比における第1のミトコンドリア遺伝子及び第2のミトコンドリア遺伝子の反転は、結果的に閾値及び比と閾値との比較から生じる結論の反転をもたらす。
【0050】
したがって、上記2つのP.イロベチイミトコンドリア遺伝子の第1が、mtLSU遺伝子であり、上記2つのP.イロベチイミトコンドリア遺伝子の第2が、その配列がCytbタンパク質をコードするP.イロベチイ遺伝子であるか、若しくはmtSSU遺伝子である場合、又は上記2つのP.イロベチイミトコンドリア遺伝子の第1が、mtSSU遺伝子であり、上記2つのP.イロベチイミトコンドリア遺伝子の第2が、その配列がCytbタンパク質をコードするP.イロベチイ遺伝子である場合、上記工程iii.は、ii.の比を閾値(数値)と比較する工程であってもよく、ここで、ii.の比の値が、上記閾値よりも高いか、又は上記閾値に等しい(より詳細には、上記閾値よりも高い)場合、上記ヒト患者は、PCPを有するか又は発症する危険性が高いと診断又は予測され、
ii.の比の値が、上記閾値よりも低い場合、上記ヒト患者は、PCPを有するか又は発症する危険性が低いと診断又は予測される。
【0051】
例えば、上記ヒト患者を、それが属する可能性が最も高い参照コホートの患者に分類するために、上記第1のP.イロベチイミトコンドリア遺伝子のRNA転写物の定量化の値の上記第2のP.イロベチイミトコンドリア遺伝子のRNA転写物の定量化の値に対する比が、
PCPを有するか若しくは発症するP.イロベチイ保因者、又は
PCPを有さず発症もしていないP.イロベチイ保因者
の状態に応じて事前に確立されたP.イロベチイ保因者の参照ヒトコホートで取る値又は値の分布を比較することによって、上記閾値が事前に決定されていてもよい。
【0052】
PCPを有するか又は発症するP.イロベチイ保因者の参照ヒトコホート、及びPCPを有さず発症もしていないP.イロベチイ保因者の参照ヒトコホートはそれぞれ、例えば100人を超えるヒトを含み得る。P.イロベチイのヒト保因者は、当業者が適切であると認め得る任意の手段によって、上記2つの参照コホートの一方に分類される。例えば、上記手段は、2人の独立した専門家、例えば呼吸器科医及び感染病専門医によるヒト個体の臨床的、放射線学的及び生物学的特色の分析(P.イロベチイの非存在又は存在の顕微鏡的検出を含む)(以下の実施例及び表2を参照)、及び上記ヒト個体それぞれに関して、PCPの存在(PCPの確定、PCPの高い可能性又はPCPの可能性、より詳細にはPCPの確定)、又はPCPの非存在のいずれかの同時結論を含み得る。
【0053】
本出願はまた、ニューモシスチス・イロベチイ保因者であり、PCPを有するか又は発症すると診断されたヒト患者におけるPCPに対する薬物又は治療の有効性を決定又は予測するin vitroでの方法に関し、ここで、上記方法は、
- 第1の時点及び第2の時点で、上記ヒト患者の気道から事前に得た生体液の試料のRNA材料において、RNA転写物(の数又は濃度)を定量化して、それぞれ上記第1の時点及び上記第2の時点での上記第1のP.イロベチイミトコンドリア遺伝子のRNA転写物の定量化の値並びに上記第1の時点及び上記第2の時点での上記第2のP.イロベチイミトコンドリア遺伝子のRNA転写物の定量化の値を得る工程であって、上記第2の時点が、上記第1の時点よりも遅く、上記第1の時点及び上記第2の時点の少なくとも1つが、上記ヒト患者が上記薬物又は治療を受けている期間に含まれ、上記RNA転写物が、2つの異なるP.イロベチイミトコンドリア遺伝子の(各々の)RNA転写物である、工程と、
- 上記第1のP.イロベチイミトコンドリア遺伝子のRNA転写物の定量化の値の上記第2のP.イロベチイミトコンドリア遺伝子のRNA転写物の定量化の値に対する比を算出して、上記第1の時点での上記比の値及び上記第2の時点でのその値を得る工程と、
- 上記第2の時点での上記比の値を上記第1の時点でのその値と比較する工程であって、上記第1の時点と比較した上記第2の時点での上記比の値の増加又は減少が、上記治療又は薬物が、上記ヒト患者においてPCPを治療又は緩和するのに効率的であるか、又は効率的と予想されることを示す、工程と
を含む。
【0054】
上記2つのP.イロベチイミトコンドリア遺伝子の第1が、その配列がCytbタンパク質をコードするP.イロベチイ遺伝子であり、上記2つのP.イロベチイミトコンドリア遺伝子の第2が、mtLSU遺伝子若しくはmtSSU遺伝子、より詳細にはmtLSU遺伝子である場合、又は上記2つのP.イロベチイミトコンドリア遺伝子の第1が、mtSSU遺伝子であり、上記2つのP.イロベチイミトコンドリア遺伝子の第2が、mtLSU遺伝子である場合、上記第1の時点と比較した上記第2の時点での上記比の値の増加は、上記治療又は薬物が、上記ヒト患者においてPCPを治療又は緩和するのに効率的であるか、又は効率的と予想されることを示す。上記第1の時点と比較した上記第2の時点での上記比の値の増加の非存在、より詳細には減少は、上記治療又は薬物が、上記ヒト患者においてPCPを治療又は緩和するのに効率的でないか、又は効率的ではないであろうことを示し得るか、又は示す。
【0055】
当然のことながら、比における第1のミトコンドリア遺伝子及び第2のミトコンドリア遺伝子の反転は、結果的に閾値及び比と閾値との比較から生じる結論の反転をもたらす。
【0056】
したがって、上記2つのP.イロベチイミトコンドリア遺伝子の第1が、mtLSU遺伝子であり、上記2つのP.イロベチイミトコンドリア遺伝子の第2が、その配列がCytbタンパク質をコードするP.イロベチイ遺伝子であるか、若しくはmtSSU遺伝子である場合、又は上記2つのP.イロベチイミトコンドリア遺伝子の第1が、mtSSU遺伝子であり、上記2つのP.イロベチイミトコンドリア遺伝子の第2が、その配列がCytbタンパク質をコードするP.イロベチイ遺伝子である場合、上記第1の時点と比較した上記第2の時点での上記比の値の減少は、上記治療又は薬物が、上記ヒト患者においてPCPを治療又は緩和するのに効率的であるか、又は効率的と予想されることを示す。上記第1の時点と比較した上記第2の時点での上記比の値の減少の非存在、より詳細には増加は、上記治療又は薬物が、上記ヒト患者においてPCPを治療又は緩和するのに効率的でないか、又は効率的ではないであろうことを示し得るか、又は示す。
【0057】
本出願はまた、PCPを有すると診断され、PCPに対する薬物又は治療を受けているか、又は受けたヒト患者において、PCPが退行するか、又は治療されたかどうかを決定するin vitroでの方法に関し、ここで、上記方法は、
- 第1の時点及び第2の時点で、上記ヒト患者の気道から事前に得た生体液の試料のRNA材料において、RNA転写物(の数又は濃度)を定量化して、それぞれ上記第1の時点及び上記第2の時点での上記第1のP.イロベチイミトコンドリア遺伝子のRNA転写物の定量化の値並びに上記第1の時点及び上記第2の時点での上記第2のP.イロベチイミトコンドリア遺伝子のRNA転写物の定量化の値を得る工程であって、上記第2の時点が、上記第1の時点よりも遅く、上記第1の時点及び上記第2の時点の少なくとも1つが、上記ヒト患者が上記薬物又は治療を受けている期間に含まれ、上記RNA転写物が、2つの異なるP.イロベチイミトコンドリア遺伝子の(各々の)RNA転写物である、工程と、
- 上記第1のP.イロベチイミトコンドリア遺伝子のRNA転写物の定量化の値の上記第2のP.イロベチイミトコンドリア遺伝子のRNA転写物の定量化の値に対する比を算出して、上記第1の時点での上記比の値及び上記第2の時点でのその値を得る工程と、
上記第2の時点での上記比の値を上記第1の時点でのその値と比較する工程であって、上記第1の時点と比較した上記第2の時点での上記比の値の増加又は減少が、上記ヒト患者において、PCPが退行するか、又は治療されたことを示す、工程と
を含む。
【0058】
上記2つのP.イロベチイミトコンドリア遺伝子の第1が、その配列がCytbタンパク質をコードするP.イロベチイ遺伝子(配列番号3)であり、上記2つのP.イロベチイミトコンドリア遺伝子の第2が、mtLSU遺伝子若しくはmtSSU遺伝子、より詳細にはmtLSU遺伝子である場合、又は上記2つのP.イロベチイミトコンドリア遺伝子の第1が、mtSSU遺伝子であり、上記2つのP.イロベチイミトコンドリア遺伝子の第2が、mtLSU遺伝子である場合、上記第1の時点と比較した上記第2の時点での上記比の値の増加は、上記ヒト患者において、PCPが退行するか、又は治療されたことを示す。上記第1の時点と比較した上記第2の時点での上記比の値の増加の非存在、より詳細には減少は、上記ヒト患者において、PCPが退行しないか、又は治療されなかったことを示し得るか、又は示す。
【0059】
当然のことながら、比における第1のミトコンドリア遺伝子及び第2のミトコンドリア遺伝子の反転は、結果的に閾値及び比と閾値との比較から生じる結論の反転をもたらす。
【0060】
したがって、上記2つのP.イロベチイミトコンドリア遺伝子の第1が、mtLSU遺伝子であり、上記2つのP.イロベチイミトコンドリア遺伝子の第2が、その配列がCytbタンパク質をコードするP.イロベチイ遺伝子であるか、若しくはmtSSU遺伝子である場合、又は上記2つのP.イロベチイミトコンドリア遺伝子の第1が、mtSSU遺伝子であり、上記2つのP.イロベチイミトコンドリア遺伝子の第2が、その配列がCytbタンパク質をコードするP.イロベチイ遺伝子である場合、上記第1の時点と比較した上記第2の時点での上記比の値の減少は、上記ヒト患者において、PCPが退行するか、又は治療されたことを示す。上記第1の時点と比較した上記第2の時点での上記比の値の減少の非存在、より詳細には増加は、上記ヒト患者において、PCPが退行しないか、又は治療されなかったことを示し得るか、又は示す。
【0061】
上記2つのP.イロベチイミトコンドリア遺伝子の第1が、その配列がCytbタンパク質をコードするP.イロベチイ遺伝子である場合、上記2つのP.イロベチイミトコンドリア遺伝子の第2は、例えば、mtLSU遺伝子(配列番号1)又はmtSSU遺伝子(配列番号2)等の、その配列がP.イロベチイリボソームRNAに転写されるP.イロベチイ遺伝子、より詳細にはmtLSU遺伝子であり得る。
【0062】
上記2つのP.イロベチイミトコンドリア遺伝子の第1が、mtSSU遺伝子である場合、上記2つのP.イロベチイミトコンドリア遺伝子の第2は、例えばmtLSU遺伝子であり得る。
【0063】
本出願の態様によれば、上記第2のP.イロベチイリボソームRNAは、ミトコンドリアP.イロベチイラージサブユニット(mtLSU)遺伝子である。
【0064】
本出願の態様によれば、上記第1のP.イロベチイリボソームRNAは、その配列がCytbタンパク質をコードするP.イロベチイ遺伝子であるか、又はミトコンドリアP.イロベチイスモールサブユニット(mtSSU)遺伝子である。
【0065】
好適には、上記2つの異なるP.イロベチイミトコンドリア遺伝子の各々のRNA転写物は、生体液の同じ試料のRNA材料中で定量化される。
【0066】
生体液の上記試料のRNA材料は、試料から抽出及び/又は精製することができる。RNA抽出手段及びRNA精製手段は、当業者に公知である。例えば、RNA抽出手段は、細胞溶解試薬及び/又は緩衝液を含む。例えば、RNA精製手段は、シリカ膜を含む。
【0067】
好適には、生体液の上記試料のRNA材料は、生体液の上記試料のシリカ膜濾過によって精製される。
【0068】
本出願の手段は、核酸抽出及び/又は精製の対照、より詳細には核酸抽出及び/又は精製の内部対照を更に含んでもよい。より詳細には、本出願の手段は、RNA抽出及び/又は精製の対照、より詳細には、RNA抽出及び/又は精製の内部対照を更に含んでもよい。
【0069】
より詳細には、本出願の手段は、RNA抽出及び/若しくは精製の内部対照として作用するRNA、より詳細には人工若しくは外因性RNA、より詳細には内部抽出対照RNA(IECR)(以下の実施例2を参照)として作用するRNAを更に含んでもよく、又はかかるRNAを含む細胞(例えば、遺伝子操作によって)を更に含んでもよい。
【0070】
上記RNA又はIECRは例えば、ヒト又は真菌核酸配列ではなく、より好ましくは任意のヒト又は真菌核酸配列に対して60%未満(例えば、50%未満、40%未満、30%未満、20%未満、10%未満、1%未満)の同一性を有するRNA配列(例えば、35個~500個のヌクレオチドのRNA配列)であってもよい。IECRの例は市販している。IECRの例として、
- BIOLINE社(BIOLINE USA Inc.社;305 Constitution Dr.; TAUNTON; MA 027080;米国)によって、カタログ番号BIO-38040又はBIO-35040で商品化されたRNA抽出対照、
- LIFE TECHNOLOGIES S.A.S.社(route de l'orme des merisiers; Immeuble Discovery - Zone Technologique; 91190 SAINT AUBIN、フランス)によって、カタログ番号4456740で商品化されているAMBION(登録商標)ERCC RNA Spike-In Controls、及び
- QIAGEN(登録商標)社(QIAGEN(登録商標)France S.A.S.社;3, avenue du Canada; LP 809; 91974 COURTABOEUF CEDEX;フランス)によって、カタログ番号211492で商品化されているRNA内部対照が挙げられる。
【0071】
IECRの代わりに、RNA抽出及び/又は精製の内部対照は、ヒト遺伝子が上記抽出及び/又は精製工程後に依然として存在することを検出することによって実行することができる。適切なヒト遺伝子の例は、当該技術分野で公知であり、ヒトアルブミン(ALB)遺伝子又はヒトTATA Box結合タンパク質(TBP)等の構成遺伝子を含む。したがって、本出願の手段は、ヒトアルブミン(ALB)遺伝子又はヒトTATA Box結合タンパク質(TBP)等のヒト遺伝子を特異的に検出する、少なくとも1つのプローブ、より詳細には、少なくとも1つの(リアルタイム)プローブ及び少なくとも1つのプライマー対を更に含んでもよい。以下の実施例2を参照されたい。
【0072】
生体液の上記試料は例えば、気管支肺胞洗浄液、若しくは誘発喀痰の試料等の下気道液の試料、又は痰、鼻咽頭吸引物、口腔洗液若しくは鼻腔拭き取り検体の試料等の上気道液の試料であり得る。
【0073】
上記ヒト患者は、HIV陽性であり得るか、又はHIV陰性であり、より詳細にはHIV陰性である。より詳細には、上記ヒト患者は、HIV陰性であり、且つ免疫低下状態である。好適には、本出願の手段は、HIV陰性ヒト患者で信頼性が高いのに対して、HIV陰性ヒト患者のP.イロベチイ負荷は、HIV陽性ヒト患者のP.イロベチイ負荷よりも低い。
【0074】
好適には、上記ヒト患者は、免疫抑制治療、より詳細には免疫抑制剤又は薬、より詳細には化学療法、抗拒絶反応薬又はステロイドを受けているか、受けたか、又は受けるであろうヒト患者、より詳細にはHIV陰性ヒト患者である。例えば、上記ヒト患者は、臓器及び/又は組織(例えば、骨髄、心臓、腎臓、肝臓臓器及び/又はそれらの組織)の移植を受けているか、受けたか、又は受けるであろうヒト患者、より詳細にはHIV陰性ヒト患者である。上記免疫抑制治療、免疫抑制剤又は薬、抗拒絶反応薬は例えば、上記移植臓器及び組織の拒絶反応並びに/又は移植片対宿主病を防止及び/又は緩和すると意図され得る。例えば、上記ヒト患者は、自己免疫性疾患及び/又は炎症性疾患を患うヒト患者、より詳細にはHIV陰性患者である。
【0075】
好適には、上記ヒト患者は、血液学的悪性腫瘍及び/又は固形悪性腫瘍を患うヒト患者、より詳細にはHIV陰性ヒト患者である。
【0076】
好適には、上記ヒト患者は、早産児(より詳細には、在胎期間37週未満で産まれる早産児)、新生児若しくは生後28日未満の新生児(より詳細には、1日齢から4週齢未満)又は乳児(より詳細には、4週齢から1歳未満)であるヒト患者、より詳細にはHIV陰性ヒト患者である。より詳細には、上記ヒト患者は、早産児(より詳細には、在胎期間37週未満で産まれる早産児)、新生児又は生後28日未満の新生児(より詳細には、1日齢から4週齢未満)であるヒト患者、より詳細にはHIV陰性ヒト患者である。
【0077】
好適には、RNA転写物の上記定量化は、(cDNA)逆転写及びPCR増幅によって実行される(上記2つのP.イロベチイミトコンドリア遺伝子それぞれに関して)。
【0078】
より詳細には、上記(cDNA)逆転写及びPCR増幅は、同じチューブ中で実行することができる(即ち、一工程RT-PCR反応として)(上記2つのP.イロベチイミトコンドリア遺伝子それぞれに関して)。
【0079】
したがって、上記第1のP.イロベチイミトコンドリア遺伝子のRNA転写物の(cDNA)逆転写及びPCR増幅は、同じチューブ中で実行することができ、上記第2のP.イロベチイミトコンドリア遺伝子のRNA転写物の逆転写及びPCR増幅は、同じチューブ中で実行することができる。
【0080】
上記第1のP.イロベチイミトコンドリア遺伝子のRNA転写物の(cDNA)逆転写及びPCR増幅は、上記第2のP.イロベチイミトコンドリア遺伝子のRNA転写物の(cDNA)逆転写及びPCR増幅が実行されるチューブとは異なるチューブ中で、又は同じチューブ中で実行することができる。
【0081】
上記PCRは、好適にはリアルタイムPCRである。
【0082】
好適には、上記PCRは、定量的PCR、より詳細には定量的リアルタイムPCR、より詳細には定量的リアルタイムRT-PCR、より詳細には一工程定量的リアルタイムRT-PCRである。
【0083】
上記閾値は、例えば1.00~2.00の範囲、より詳細には1.00~1.80の範囲、より詳細には1.20~1.70の範囲、より詳細には1.27~1.66の範囲に存在してもよく、より詳細には1.50である。
【0084】
例えば、上記比の算出は、方程式
R=E(CYTb)-Cq(CYTb)/E(mtrDNA)-Cq(mtrDNA)
(式中、
Rは、上記比であり、
CYTBは、その配列がCytbタンパク質をコードする上記P.イロベチイ遺伝子のRNA転写物のcDNA逆転写物であり、
mtrDNAは、その配列がP.イロベチイリボソームRNAに転写される上記P.イロベチイ遺伝子のRNA転写物のcDNA逆転写物であり、
Eは、指示したcDNAに関する対数期での1つの増殖サイクルのPCR効率の値であり、
Cqは、指示したcDNAに関するPCR定量化サイクルの値である)
を使用して実行される。
【0085】
好適には、上記比は、上記第2のP.イロベチイミトコンドリア遺伝子と比較した、上記第1のP.イロベチイミトコンドリア遺伝子のRNA転写物の定量化の値の倍数変化である。
【0086】
これらの特色は、とりわけ上記第1のP.イロベチイミトコンドリア遺伝子が、その配列がCytbタンパク質をコードするP.イロベチイ遺伝子である場合、及び上記第2のP.イロベチイミトコンドリア遺伝子が、mtLSU遺伝子又はmtSSU遺伝子等の、その配列がP.イロベチイリボソームRNAに転写されるP.イロベチイ遺伝子、より詳細にはmtLSU遺伝子である場合に当てはまり得る。
【0087】
当然のことながら、上記第1のP.イロベチイミトコンドリア遺伝子がmtLSU遺伝子であり、上記第2のP.イロベチイミトコンドリア遺伝子が、その配列がCytbタンパク質をコードするP.イロベチイ遺伝子である場合、上記閾値は、例えば1/2.00~1/1.00の範囲、より詳細には1/1.80~1/1.00の範囲、より詳細には1/1.70~1/1.20の範囲、より詳細には1/1.66~1.27の範囲に存在してもよく、より詳細には1/1.50である。
【0088】
上記閾値は、例えば2.7~3.3の範囲、より詳細には3.1~3.3の範囲、例えば3.2であってもよい。
【0089】
例えば、比の算出は、方程式
R=E(mtSSU)-Cq(mtSSU)/E(mtLSU)-Cq(mtLSU)
(式中、
Rは、上記比であり、
mtSSUは、上記ミトコンドリアP.イロベチイmtSSU遺伝子のRNA転写物のcDNA逆転写物であり、
mtLSUは、上記ミトコンドリアP.イロベチイmtLSU遺伝子のRNA転写物のcDNA逆転写物であり、
Eは、指示したcDNAに関する対数期での1つの増殖サイクルのPCR効率の値であり、
Cqは、指示したcDNAに関するPCR定量化サイクルの値である)
を使用して実行される。
【0090】
これらの特色は、とりわけ上記第1のP.イロベチイミトコンドリア遺伝子が、mtSSU遺伝子であり、上記第2のP.イロベチイミトコンドリア遺伝子が、mtLSU遺伝子である場合に当てはまり得る。
【0091】
当然のことながら、上記第1のP.イロベチイミトコンドリア遺伝子がmtLSU遺伝子であり、上記第2のP.イロベチイミトコンドリア遺伝子がmtSSU遺伝子である場合、上記閾値は、例えば1/3.3~1/2.7の範囲、より詳細には1/3.3~1/3.1の範囲、例えば1/3.2であってもよい。
【0092】
本出願の方法において、各々のRNA転写物の定量化は、当業者が適切であると認め得る任意の手段によって達成され得る。かかる手段として、ハイブリダイゼーション又は配列ベースの手段、並びに例えばRNA-Seq方法等のトランスクリプトームを定量化することを可能にする任意の手段が挙げられる(Wang等、2009年を参照)。本出願は、RNA-Seq方法の実行に適しているDNAライブラリー及びコンピューター手段を提供する(以下を参照)。
【0093】
本出願の方法において、各々のRNA転写物の定量化は、
- 第1のcDNA逆転写物を得るための(逆転写酵素を使用した)上記第1のP.イロベチイミトコンドリア遺伝子のRNA転写物のcDNA逆転写、及び第1のアンプリコン(第1のcDNA又はDNA核酸)を得るための(ポリメラーゼを使用した、及び)第1のプライマー対を使用した上記第1のcDNA逆転写物由来の第1のcDNA標的のPCR増幅、並びに
- 第2のcDNA逆転写物を得るための(逆転写酵素を使用した)上記第2のP.イロベチイミトコンドリア遺伝子のRNA転写物のcDNA逆転写、及び第2のアンプリコン(第2のcDNA又はDNA核酸)を得るための(ポリメラーゼを使用した、及び)第2のプライマー対を使用した上記第2のcDNA逆転写物由来の第2のcDNA標的のPCR増幅
を含み、
上記方法は、上記第1のアンプリコン(の数又は濃度)及び上記第2のアンプリコン(の数又は濃度)の定量化を更に含み、
上記第1のアンプリコン(の、例えば数又は濃度)の定量化の値は、上記第1のP.イロベチイミトコンドリア遺伝子のRNA転写物(の、例えば数又は濃度)の定量化の値であり、上記第2のアンプリコン(の、例えば数又は濃度)の定量化の値は、上記第2のP.イロベチイミトコンドリア遺伝子のRNA転写物(の、例えば数又は濃度)の定量化の値である。
【0094】
上記第1のP.イロベチイミトコンドリア遺伝子が、その配列がCytbタンパク質をコードするP.イロベチイ遺伝子である場合、上記第1のcDNA標的は、好適には100個~120個のヌクレオチド(より詳細には100個~110個のヌクレオチド、より詳細には102個~108個のヌクレオチド、より詳細には104個~106個のヌクレオチド、より詳細には105個のヌクレオチド)で構成され、
- 配列番号30の配列、若しくは
- 配列番号30と同じ長さであり、配列番号30に対して少なくとも95%(より詳細には少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%)同一であるcDNA配列
を含むか、又はその配列である。
【0095】
上記第1のP.イロベチイミトコンドリア遺伝子が、mtSSU遺伝子である場合、上記第1のcDNA標的は、好適には60個~110個のヌクレオチドで構成され、
- 配列番号15若しくは配列番号20若しくは配列番号25の配列、又は
- それぞれ、配列番号15若しくは配列番号20若しくは配列番号25と同じ長さであり、配列番号15若しくは配列番号20若しくは配列番号25に対して少なくとも95%同一であるcDNA配列
を含むか、或いはその配列である。
【0096】
上記第2のP.イロベチイミトコンドリア遺伝子が、mtLSU遺伝子である場合、上記第2のcDNA標的は、好適には115個~125個のヌクレオチドで構成され、
- 配列番号10の配列、若しくは
- 配列番号10と同じ長さであり、配列番号10に対して少なくとも95%同一であるcDNA配列
を含むか、又はその配列である。
【0097】
上記第2のP.イロベチイミトコンドリア遺伝子が、mtSSU遺伝子である場合、上記第2のcDNA標的は、好適には60個~110個のヌクレオチドで構成され、
- 配列番号15若しくは配列番号20若しくは配列番号25の配列、又は
- それぞれ、配列番号15若しくは配列番号20若しくは配列番号25と同じ長さであり、配列番号15若しくは配列番号20若しくは配列番号25に対して少なくとも95%同一であるcDNA配列
を含むか、或いはその配列である。
【0098】
本出願の方法において、各々のRNA転写物の定量化は、
- 第1のcDNA逆転写物を得るための(逆転写酵素を使用した、及び)第1のプライマー対を使用した上記第1のP.イロベチイミトコンドリア遺伝子のRNA転写物に含有される第1のRNA標的のcDNA逆転写、及び第1のアンプリコンを得るための(ポリメラーゼを使用した、及び)同じ第1のプライマー対を使用した上記第1のcDNA逆転写物のPCR増幅と、
- 第2のcDNA逆転写物を得るための(逆転写酵素を使用した、及び)第2のプライマー対を使用した上記第2のP.イロベチイミトコンドリア遺伝子のRNA転写物由来の第2のRNA標的のcDNA逆転写、及び第2のアンプリコンを得るための(ポリメラーゼを使用した、及び)同じ第2のプライマー対を使用した上記第2のcDNA逆転写物のPCR増幅と
を含み、
上記方法は、上記第1のアンプリコン(の数又は濃度)及び上記第2のアンプリコン(の数又は濃度)の定量化を更に含み、
上記第1のアンプリコン(の、例えば数又は濃度)の定量化の値は、上記第1のP.イロベチイミトコンドリア遺伝子のRNA転写物(の、例えば数又は濃度)の定量化の値であり、上記第2のアンプリコン(の、例えば数又は濃度)の定量化の値は、上記第2のP.イロベチイミトコンドリア遺伝子のRNA転写物(の、例えば数又は濃度)の定量化の値である。
【0099】
上記第1のP.イロベチイミトコンドリア遺伝子が、その配列がCytbタンパク質をコードするP.イロベチイ遺伝子である場合、上記第1のRNA標的は、好適には100個~120個のヌクレオチド(より詳細には100個~110個のヌクレオチド、より詳細には102個~108個のヌクレオチド、より詳細には104個~106個のヌクレオチド、より詳細には105個のヌクレオチド)で構成されてもよく、
- 配列番号29の配列、若しくは
- 配列番号29と同じ長さであり、配列番号29に対して少なくとも95%(より詳細には少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%)同一であるRNA配列
を含むか、又はその配列である。
【0100】
上記第1のP.イロベチイミトコンドリア遺伝子が、mtSSU遺伝子である場合、上記第1のRNA標的は、好適には60個~110個のヌクレオチドで構成され、
- 配列番号14若しくは配列番号19若しくは配列番号24の配列、又は
- それぞれ、配列番号14若しくは配列番号19若しくは配列番号24と同じ長さであり、配列番号14若しくは配列番号19若しくは配列番号24に対して少なくとも95%同一であるRNA配列
を含むか、或いはその配列である。
【0101】
上記第2のP.イロベチイミトコンドリア遺伝子が、mtLSU遺伝子である場合、上記第2のRNA標的は、好適には115個~125個のヌクレオチドで構成され、
- 配列番号9の配列、若しくは
- 配列番号9と同じ長さであり、配列番号9に対して少なくとも95%同一であるRNA配列
を含むか、又はその配列である。
【0102】
上記第2のP.イロベチイミトコンドリア遺伝子が、mtSSU遺伝子である場合、上記第2のRNA標的は、好適には60個~110個のヌクレオチドで構成され、
- 配列番号14若しくは配列番号19若しくは配列番号24の配列、又は
- それぞれ、配列番号14若しくは配列番号19若しくは配列番号24と同じ長さであり、配列番号14若しくは配列番号19若しくは配列番号24に対して少なくとも95%同一であるRNA配列
を含むか、或いはその配列である。
【0103】
本出願において、また当業者の理解に従って、「逆ポリメラーゼ」という語句は、RNA依存性DNAポリメラーゼを指し、「ポリメラーゼ」という語句は、DNA依存性DNAポリメラーゼを指す。
【0104】
「ヌクレオチド」という用語は、天然に存在するヌクレオチド、並びにロックド核酸(LNA(商標))ヌクレオチド等の天然に存在しないヌクレオチドを包含する。LNA(商標)ヌクレオチドは、当該分野でその通常の意味に従って理解され、即ち、リボース又はデオキシリボース環が、2'-O原子及び4'-C原子を結合させるメチレン架橋によって「ロックされる」ヌクレオチドである。「ヌクレオチド」という用語は、より詳細には天然に存在するヌクレオチド(DNA分子に関してはヌクレオチドA、G、T及びC;RNA分子に関してはヌクレオチドA、G、U及びC)を包含する。
【0105】
換言すると、上記第1又は第2のP.イロベチイミトコンドリア遺伝子が、その配列がCytbタンパク質をコードするP.イロベチイ遺伝子である場合、上記第1又は第2のプライマー対は、100個~120個のヌクレオチド長(より詳細には100個~110個のヌクレオチド長、より詳細には102個~108個のヌクレオチド長、より詳細には104個~106個のヌクレオチド長、より詳細には105個のヌクレオチド長)を有し、
- 配列番号30の配列、若しくは
- 配列番号30と同じ長さであり、配列番号30に対して少なくとも95%(より詳細には少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%)同一であるcDNA配列
を含むか、又はその配列である、(cDNA又はDNA)アンプリコンを産生するための(又は、cDNA逆転写物並びにそれらの(cDNA又はDNA)アンプリコンを産生するための)、それぞれ、上記第1又は第2のP.イロベチイミトコンドリア遺伝子のRNA転写物のcDNA逆転写物に(又は、上記第1若しくは第2のP.イロベチイミトコンドリア遺伝子のRNA転写物に、並びにそれらのcDNA逆転写物に)アニーリングするプライマー対である。
【0106】
上記第1又は第2のプライマー対の各プライマーのヌクレオチド配列は、独立して、15個~30個のヌクレオチド(より詳細には18個~28個のヌクレオチド、より詳細には19個~27個のヌクレオチド、より詳細には20個~26個のヌクレオチド、より詳細には20個のヌクレオチド)で構成され得る。
【0107】
例えば、上記第1又は第2のプライマー対は、配列番号31及び配列番号32のプライマー対である。或いは、上記第1又は第2のプライマー対は、配列番号60及び配列番号32のプライマー対である。
【0108】
上記第1又は第2のcDNA又はRNA標的は、P.イロベチイmtLSU標的であってもよい。
【0109】
例えば、上記第1又は第2のP.イロベチイミトコンドリア遺伝子がmtLSU遺伝子である場合、上記第1又は第2の(mtLSU)cDNA標的は、115個~125個のヌクレオチド(より詳細には117個~124個のヌクレオチド、より詳細には119個~123個のヌクレオチド、より詳細には121個のヌクレオチド)で構成されてもよく、
- 配列番号10の配列、若しくは
- 配列番号10と同じ長さであり、配列番号10に対して少なくとも95%(より詳細には少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%)同一であるcDNA配列
を含むか、又はその配列である。
【0110】
例えば、上記第1又は第2の(mtLSU)RNA標的は、115個~125個のヌクレオチド(より詳細には117個~124個のヌクレオチド、より詳細には119個~123個のヌクレオチド、より詳細には121個のヌクレオチド)で構成されてもよく、
- 配列番号9の配列、若しくは
- 配列番号9と同じ長さであり、配列番号9に対して少なくとも95%(より詳細には少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%)同一であるRNA配列
を含むか、又はその配列である。
【0111】
換言すると、上記第1又は第2のプライマー対は、例えば、115個~125個のヌクレオチド(より詳細には117個~124個のヌクレオチド、より詳細には119個~123個のヌクレオチド、より詳細には121個のヌクレオチド)を有し、
- 配列番号10の配列、若しくは
- 配列番号10と同じ長さであり、配列番号10に対して少なくとも95%(より詳細には少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%)同一であるcDNA配列
を含むか、又はその配列である、(cDNA又はDNA)アンプリコンを産生するための(又は、cDNA逆転写物並びにそれらの(cDNA又はDNA)アンプリコンを産生するための)、P.イロベチイmtLSU遺伝子のRNA転写物のcDNA逆転写物に(又は、P.イロベチイmtLSU遺伝子のRNA転写物に、並びにそれらのcDNA逆転写物に)アニーリングする(mtLSU)プライマー対であってもよい。
【0112】
上記第1又は第2のプライマー対の各(mtLSU)プライマーのヌクレオチド配列は、独立して、15個~30個のヌクレオチド(より詳細には18個~28個のヌクレオチド、より詳細には19個~27個のヌクレオチド、より詳細には20個~26個のヌクレオチド、より詳細には26個のヌクレオチド)で構成され得る。
【0113】
例えば、上記第1又は第2のプライマー対は、配列番号11及び配列番号12の(mtLSU)プライマー対である。
【0114】
或いは、上記第1又は第2のcDNA又はRNA標的は、例えばP.イロベチイmtSSU標的であってもよい。
【0115】
例えば、上記第1又は第2の(mtSSU)cDNA標的は、60個~110個のヌクレオチド(より詳細には76個~92個のヌクレオチド、より詳細には76個、82個又は92個のヌクレオチド、より詳細には82個のヌクレオチド)で構成されてもよく、
- 配列番号15の配列、若しくは
- 配列番号15と同じ長さであり、配列番号15に対して少なくとも95%(より詳細には少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%)同一であるcDNA配列
を含むか、又はその配列である。
【0116】
例えば、上記第1又は第2の(mtSSU)RNA標的は、60個~110個のヌクレオチド(より詳細には76個~92個のヌクレオチド、より詳細には76個、82個又は92個のヌクレオチド、より詳細には82個のヌクレオチド)で構成されてもよく、
- 配列番号14の配列、若しくは
- 配列番号14と同じ長さであり、配列番号14に対して少なくとも95%(より詳細には少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%)同一であるRNA配列
を含むか、又はその配列である。
【0117】
換言すると、或いは、上記第1又は第2のプライマー対は、60個~110個のヌクレオチド(より詳細には76個~92個のヌクレオチド、より詳細には76個、82個又は92個のヌクレオチド、より詳細には82個のヌクレオチド)を有し、
- 配列番号15の配列、若しくは
- 配列番号15と同じ長さであり、配列番号15に対して少なくとも95%(より詳細には少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%)同一であるcDNA配列
を含むか、又はその配列である、(cDNA又はDNA)アンプリコンを産生するための(又は、cDNA逆転写物並びにそれらの(cDNA又はDNA)アンプリコンを産生するための)、P.イロベチイmtSSU遺伝子のRNA転写物のcDNA逆転写物に(又は、P.イロベチイmtSSU遺伝子のRNA転写物に、並びにそれらのcDNA逆転写物に)アニーリングする(mtSSU)プライマー対であってもよい。
【0118】
上記第1又は第2のプライマー対の各(mtSSU)プライマーのヌクレオチド配列は、独立して、15個~30個のヌクレオチド(より詳細には18個~28個のヌクレオチド、より詳細には19個~27個のヌクレオチド、より詳細には20個~26個のヌクレオチド、より詳細には20個~23個のヌクレオチド)で構成され得る。
【0119】
例えば、上記第1又は第2のプライマー対は、配列番号16及び配列番号17の(mtSSU)プライマー対である。
【0120】
例えば、上記第1又は第2の(mtSSU)cDNA標的は、60個~110個のヌクレオチド(より詳細には76個~92個のヌクレオチド、より詳細には76個、82個又は92個のヌクレオチド、より詳細には92個のヌクレオチド)で構成されてもよく、
- 配列番号20の配列、若しくは
- 配列番号20と同じ長さであり、配列番号20に対して少なくとも95%(より詳細には少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%)同一であるcDNA配列
を含むか、又はその配列である。
【0121】
例えば、上記第1又は第2の(mtSSU)RNA標的は、60個~110個のヌクレオチド(より詳細には76個~92個のヌクレオチド、より詳細には76個、82個又は92個のヌクレオチド、より詳細には92個のヌクレオチド)で構成されてもよく、
- 配列番号19の配列、若しくは
- 配列番号19と同じ長さであり、配列番号19に対して少なくとも95%(より詳細には少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%)同一であるRNA配列
を含むか、又はその配列である。
【0122】
換言すると、或いは、上記第1又は第2のプライマー対は、60個~110個のヌクレオチド(より詳細には76個~92個のヌクレオチド、より詳細には76個、82個又は92個のヌクレオチド、より詳細には92個のヌクレオチド)を有し、
- 配列番号20の配列、若しくは
- 配列番号20と同じ長さであり、配列番号20に対して少なくとも95%(より詳細には少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%)同一であるcDNA配列
を含むか、又はその配列である、(cDNA又はDNA)アンプリコンを産生するための(又は、cDNA逆転写物並びにそれらの(cDNA又はDNA)アンプリコンを産生するための)、P.イロベチイmtSSU遺伝子のRNA転写物のcDNA逆転写物に(又は、P.イロベチイmtSSU遺伝子のRNA転写物に、並びにそれらのcDNA逆転写物に)アニーリングする(mtSSU)プライマー対であってもよい。
【0123】
上記第1又は第2のプライマー対の各(mtSSU)プライマーのヌクレオチド配列は、独立して、15個~30個のヌクレオチド(より詳細には18個~28個のヌクレオチド、より詳細には19個~27個のヌクレオチド、より詳細には20個~26個のヌクレオチド、より詳細には20個~23個のヌクレオチド)で構成され得る。
【0124】
例えば、上記第1又は第2のプライマー対は、配列番号21及び配列番号22の(mtSSU)プライマー対である。
【0125】
例えば、上記第1又は第2の(mtSSU)cDNA標的は、60個~110個のヌクレオチド(より詳細には76個~92個のヌクレオチド、より詳細には76個、82個又は92個のヌクレオチド、より詳細には76個のヌクレオチド)で構成されてもよく、
- 配列番号25の配列、若しくは
- 配列番号25と同じ長さであり、配列番号25に対して少なくとも95%(より詳細には少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%)同一であるcDNA配列
を含むか、又はその配列である。
【0126】
例えば、上記第1又は第2の(mtSSU)RNA標的は、60個~110個のヌクレオチド(より詳細には76個~92個のヌクレオチド、より詳細には76個、82個又は92個のヌクレオチド、より詳細には76個のヌクレオチド)で構成されてもよく、
- 配列番号24の配列、若しくは
- 配列番号24と同じ長さであり、配列番号24に対して少なくとも95%(より詳細には少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%)同一であるRNA配列
を含むか、又はその配列である。
【0127】
換言すると、或いは、上記第1又は第2のプライマー対は、60個~110個のヌクレオチド(より詳細には76個~92個のヌクレオチド、より詳細には76個、82個又は92個のヌクレオチド、より詳細には76個のヌクレオチド)を有し、
- 配列番号25の配列、若しくは
- 配列番号25と同じ長さであり、配列番号25に対して少なくとも95%(より詳細には少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%)同一であるcDNA配列
を含むか、又はその配列である、(cDNA又はDNA)アンプリコンを産生するための(又は、cDNA逆転写物並びにそれらの(cDNA又はDNA)アンプリコンを産生するための)、P.イロベチイmtSSU遺伝子のRNA転写物のcDNA逆転写物に(又は、P.イロベチイmtSSU遺伝子のRNA転写物に、並びにそれらのcDNA逆転写物に)アニーリングする(mtSSU)プライマー対であってもよい。
【0128】
上記第1又は第2のプライマー対の各(mtSSU)プライマーのヌクレオチド配列は、独立して、15個~30個のヌクレオチド(より詳細には18個~28個のヌクレオチド、より詳細には19個~27個のヌクレオチド、より詳細には20個~26個のヌクレオチド、より詳細には20個~23個のヌクレオチド)で構成され得る。
【0129】
例えば、上記第1又は第2のプライマー対は、配列番号26及び配列番号27の(mtSSU)プライマー対である。
【0130】
好適には、上記第1のプライマー対のTmは、上記第2のプライマー対のTmと、5℃を上回っては(より詳細には4℃を上回っては、より詳細には3℃を上回っては、より詳細には2℃を上回っては、より詳細には1℃を上回っては)異ならない。上記第1のプライマー対のTmは、上記第2のプライマー対のTmと同一であってもよい。
【0131】
或いは、又は補足的に、上記第1のプライマー対のTm及び上記第2のプライマー対のTmはともに、53℃又はそれ以上であってもよい。より詳細には、上記第1のプライマー対及び上記第2のプライマー対はともに、53℃~65℃の範囲の(より詳細には56℃~64℃の範囲の、より詳細には57℃~63℃の範囲の、より詳細には58℃~63℃の範囲の、より詳細には59℃~62℃の範囲の、より詳細には59℃~61℃の範囲の)Tmを有してもよい。例えば、上記第1のプライマー対及び上記第2のプライマー対はともに、60℃のTmを有してもよい。
【0132】
例えば、上記第1のプライマー対のTm及び上記第2のプライマー対のTmはともに、58℃~63℃の範囲内であり、互いに5℃を上回っては異ならない。
【0133】
当業者が適切であると認める任意のPCR又はRT-PCR条件が実行され得る。
【0134】
例えば、PCR増幅(上記第1及び第2のP.イロベチイミトコンドリア遺伝子それぞれに関する)は、
- 95℃で2分~10分間のポリメラーゼ活性化、並びに
- 95℃で15秒~30秒間及び60℃で30秒~60秒間を45~50サイクル
を含む。
【0135】
例えば、PCR増幅(上記第1及び第2のP.イロベチイミトコンドリア遺伝子それぞれに関する)は、
- 95℃で2分間のポリメラーゼ活性化、並びに
- 95℃で15秒間及び60℃で30秒間を45サイクル
を含む。
【0136】
例えば、RT-PCR増幅は(上記第1及び第2のP.イロベチイミトコンドリア遺伝子それぞれに関して)、
- 42℃~61℃、好ましくは50℃で2分~15分間の逆転写、
- 95℃で2分間のポリメラーゼ活性化、並びに
- 95℃で15秒間及び60℃で30秒間を45サイクル
を含む。
【0137】
例えば、RT-PCR増幅は(上記第1及び第2のP.イロベチイミトコンドリア遺伝子それぞれに関して)、
- 50℃で2分間の逆転写、
- 95℃で2分間のポリメラーゼ活性化、並びに
- 95℃で15秒間及び60℃で30秒間を45サイクル
を含む。
【0138】
上記第1及び/又は(より詳細には、及び)上記第2のP.イロベチイミトコンドリア遺伝子のRNA転写物の定量化は、プローブを使用して、より詳細には、
上記第1のP.イロベチイミトコンドリア遺伝子(CYTB)のcDNA逆転写物にハイブリダイズする少なくとも1つの第1のプローブ、及び/若しくは(より詳細には、及び)上記第2のP.イロベチイミトコンドリア遺伝子(mtLSU又はmtSSU、より詳細にはmtLSU)のcDNA逆転写物にハイブリダイズする少なくとも1つの第2のプローブを使用して、又はより詳細には、
上記第1のP.イロベチイミトコンドリア遺伝子(mtSSU)のcDNA逆転写物にハイブリダイズする少なくとも1つの第1のプローブ、及び/若しくは(より詳細には、及び)上記第2のP.イロベチイミトコンドリア遺伝子(mtLSU)のcDNA逆転写物にハイブリダイズする少なくとも1つの第2のプローブを使用して実行され得る。
【0139】
上記第1及び第2のプローブはそれぞれ独立して、17個~37個のヌクレオチドで構成され得る。
【0140】
より詳細には、上記第1のP.イロベチイミトコンドリア遺伝子のRNA転写物の定量化は、上記第2のcDNA標的に(又は上記第2のアンプリコンに)ハイブリダイズせずに、上記第1のcDNA標的(又は上記第1のアンプリコン)にハイブリダイズする少なくとも1つの第1のプローブを使用して実行され得る。
【0141】
より詳細には、上記第1のP.イロベチイミトコンドリア遺伝子のRNA転写物の定量化は、上記第1のcDNA標的に(又は上記第1のアンプリコンに)特異的にハイブリダイズする少なくとも1つの第1のプローブを使用して実行され得る。
【0142】
より詳細には、上記第2のP.イロベチイミトコンドリア遺伝子のRNA転写物の定量化は、上記第1のcDNA標的に(又は上記第1のアンプリコンに)ハイブリダイズせずに、上記第2のcDNA標的(又は上記第2のアンプリコン)にハイブリダイズする少なくとも1つの第2のプローブを使用して実行され得る。
【0143】
より詳細には、上記第2のP.イロベチイミトコンドリア遺伝子のRNA転写物の定量化は、上記第2のcDNA標的に(又は上記第2のアンプリコンに)特異的にハイブリダイズする少なくとも1つの第2のプローブを使用して実行され得る。
【0144】
上記第1のP.イロベチイミトコンドリア遺伝子のRNA転写物の定量化は、例えば、上記第1のP.イロベチイミトコンドリア遺伝子のcDNA逆転写物にハイブリダイズする(少なくとも1つの)第1のプローブを使用して実行され得る。
【0145】
例えば、上記第1のP.イロベチイミトコンドリア遺伝子が、その配列がCytbタンパク質をコードするP.イロベチイ遺伝子である場合、上記第1のプローブは、配列番号1(P.イロベチイmtLSU遺伝子)及び配列番号1に相補的な配列のいずれにも、又は配列番号2(P.イロベチイmtSSU遺伝子)及び配列番号2に相補的な配列のいずれにも、より詳細には配列番号1、配列番号1に相補的な配列、配列番号2及び配列番号2に相補的な配列のいずれにもハイブリダイズせずに、配列番号3の配列又はその相補配列に、より詳細には配列番号30の配列又はその相補配列にハイブリダイズし得る。上記第1のプローブはまた、ヒトDNA又はRNAにハイブリダイズし得ない。好適には、上記第1のプローブは、配列番号3の配列又はその相補配列に、より詳細には配列番号30の配列又はその相補配列に特異的にハイブリダイズする。
【0146】
上記第1のプローブの配列は、例えば、プローブのハイブリダイゼーション部分であるか、又はプローブのハイブリダイゼーション部分として作用し、即ち、DNA若しくはRNA部分であるか、又はDNA若しくはRNA部分として作用し、上記第1のP.イロベチイミトコンドリア遺伝子のcDNA逆転写物にハイブリダイズする能力を第1のプローブに付与するハイブリダイゼーション部分で構成され得るか、又はそれを含み得る。
【0147】
上記ハイブリダイゼーション部分は、例えば、配列番号1及び配列番号1に相補的な配列のいずれにも、又は配列番号2及び配列番号2に相補的な配列のいずれにも、より詳細には配列番号1、配列番号1に相補的な配列、配列番号2及び配列番号2に相補的な配列のいずれにもハイブリダイズせずに、配列番号3の配列又は配列番号3に相補的な配列に、より詳細には配列番号30の配列又は配列番号30に相補な配列にハイブリダイズする19個~30個のヌクレオチド(より詳細には20個~24個のヌクレオチド、より詳細には22個のヌクレオチド)のDNA又はRNA配列であってもよい。上記第1のプローブの上記ハイブリダイゼーション部分はまた、ヒトDNA又はRNAにハイブリダイズし得ない。上記第1のプローブの上記ハイブリダイゼーション部分は、配列番号3の配列又はその相補配列に、より詳細には配列番号30の配列又はその相補配列に特異的にハイブリダイズし得る。例えば、上記第1のプローブのハイブリダイゼーション部分は、配列番号33の(22個のヌクレオチド長)配列若しくはその相補配列、又は配列番号58の(22個のヌクレオチド長)配列若しくはその相補配列(配列番号59、以下の実施例3を参照)等のそのLNA対応物である。
【0148】
上記第1のプローブの配列は、上記ハイブリダイゼーション部分で構成されてもよい。
【0149】
或いは、上記第1のプローブの配列は、上記ハイブリダイゼーション部分の他に、他のDNA又はRNA配列、例えば、上記ハイブリダイゼーション部分の5'及び/又は3'末端に連結された他のDNA又はRNA配列を含んでもよい。この(これらの)他のDNA又はRNA配列は、上記ハイブリダイゼーション部分のハイブリダイゼーション特異性を(著しく)低減させるべきではない。上記他のDNA又はRNA配列は、例えば、ハイブリダイズされない場合、上記第1のプローブにヘアピン形状を付与するビーコンアーム、より詳細には5'ビーコンアーム及び3'ビーコンアームであってもよい(例えば、3'ビーコンアームは、5'ビーコンアームに相補的である)。上記第1のプローブの全長は、好適には、28個~32個のヌクレオチド、又は27個~31個のヌクレオチド、又は26個~30個のヌクレオチド、又は25個~29個のヌクレオチドを有する。
【0150】
上記第1のプローブは、少なくとも1つのフルオロフォア(例えば、6-カルボキシフルオレセイン、又はテトラクロロフルオレセイン)及び/又は少なくとも1つのクエンチャー(例えば、カルボキシテトラメチルローダミン蛍光色素(例えば、TAMRA(登録商標))、Black Hole Quencher(登録商標)-0、Black Hole Quencher(登録商標)-1、Black Hole Quencher(登録商標)-2、Black Hole Quencher(登録商標)-3、又はMinor Groove Binder(登録商標)クエンチャー)を含んでもよい(例えば、それらに共有結合されてもよい)。
【0151】
上記第1のプローブは、例えば、ロックド核酸(LNA)プローブであってもよい。
【0152】
上記第1のプローブは、例えば、DNA又はRNAプローブであってもよい。例えば、上記第1のプローブは、TAQMAN(登録商標)プローブ、即ち、フルオロフォアがその5'末端に共有結合されて、クエンチャーがその3'末端に共有結合されるプローブ(例えば、TAMRA(登録商標)又はBHQ(登録商標)-1)であってもよい。TAQMAN(登録商標)プローブは、PCRポリメラーゼの5'-3'エキソヌクレアーゼ活性によって分解され、それによりそれから(及びクエンチャーの近傍から)フルオロフォアを放出させる。
【0153】
或いは、上記第1のプローブは、ビーコンプローブ、即ち、上記ハイブリダイゼーション部分の他に、5'末端に連結されたビーコンアーム及び3'末端に連結されたビーコンアームを含み(それらは、ハイブリダイズされない場合、上記第1のプローブにヘアピン形状を付与する)、上記2つのビーコンアームの一方に共有結合されたフルオロフォア、及び上記2つのビーコンアームの他方に連結されたクエンチャーを保有するプローブであってもよい。
【0154】
或いは、上記第1のプローブは、SCORPION(登録商標)プローブ(即ち、その末端の一方でフルオロフォアに連結され、他方の末端でPCRブロッカーを介してプライマーに連結されるプローブ)であってもよい。
【0155】
定量化はまた、それぞれが少なくとも1つのフルオロフォアを含む上記第1のプローブ(例えば、LIGHTCYCLER(登録商標)ハイブリダイゼーションプローブとして)の少なくとも2つ(即ち、2つの異なる第1のプローブ)を使用して実行され得る。
【0156】
プローブのTmは、プライマー対のTmよりも4℃~10℃高くてもよい。
【0157】
例えば、上記第1のP.イロベチイミトコンドリア遺伝子が、mtSSU遺伝子である場合、上記第1のプローブは、
- 配列番号2であるP.イロベチイmtSSU遺伝子に、若しくは配列番号2に相補的な配列に、より詳細には配列番号15(P.イロベチイmtLSU標的)の配列に、若しくは配列番号15に相補的な配列に、及び/又は
- 配列番号20(別のP.イロベチイmtLSU標的)の配列に、若しくは配列番号20に相補的な配列に、及び/又は
- 配列番号25(更に別のP.イロベチイmtLSU標的)の配列に、若しくは配列番号25に相補的な配列にハイブリダイズし得る。
【0158】
より詳細には、上記第1のプローブは、配列番号3(P.イロベチイCYTB遺伝子)及び配列番号3に相補的な配列のいずれにも、又は配列番号1(P.イロベチイmtLSU遺伝子)及び配列番号1に相補的な配列のいずれにもハイブリダイズせずに、より詳細には配列番号3、配列番号3に相補的な配列、配列番号1及び配列番号1に相補的な配列のいずれにもハイブリダイズせずに、配列番号2の配列又はその相補配列に、より詳細には配列番号15、配列番号20、配列番号25の配列及びそれらの相補配列の少なくとも1つにハイブリダイズし得る。
【0159】
上記第1のプローブはまた、ヒトDNA又はRNAにハイブリダイズし得ない。
【0160】
好適には、上記第1のプローブは、配列番号2の配列又はその相補配列に、より詳細には配列番号15、配列番号20、配列番号25の配列及びそれらの相補配列の少なくとも1つに特異的にハイブリダイズする。
【0161】
上記第1のプローブの配列は、例えば、プローブのハイブリダイゼーション部分であるか、又はプローブのハイブリダイゼーション部分として作用し、即ち、DNA部分であるか、又はDNA部分として作用し、上記第1のP.イロベチイミトコンドリア遺伝子のcDNA逆転写物にハイブリダイズする能力を第1のプローブに付与するハイブリダイゼーション部分で構成され得るか、又はそれを含み得る。
【0162】
上記ハイブリダイゼーション部分は、例えば、配列番号3及び配列番号3に相補的な配列のいずれにも、又は配列番号1及び配列番号1に相補的な配列のいずれにもハイブリダイズせずに、より詳細には配列番号3、配列番号3に相補的な配列、配列番号1及び配列番号1に相補的な配列のいずれにもハイブリダイズせずに、配列番号2の配列又は配列番号2に相補的な配列に、より詳細には配列番号15、配列番号20、配列番号25の配列及び配列番号10、配列番号20、配列番号25に相補な配列の少なくとも1つにハイブリダイズする23個~29個のヌクレオチド(より詳細には25個~27個のヌクレオチド)のDNA配列であってもよい。
【0163】
上記第1のプローブの上記ハイブリダイゼーション部分はまた、ヒトDNA又はRNAにハイブリダイズし得ない。上記第1のプローブの上記ハイブリダイゼーション部分は、配列番号2の配列又はその相補配列に、より詳細には配列番号15、配列番号20、配列番号25の配列及びそれらの相補配列の少なくとも1つに特異的にハイブリダイズし得る。例えば、上記第1のプローブのハイブリダイゼーション部分は、配列番号18、配列番号23若しくは配列番号28の(25個又は27個のヌクレオチド長)配列又はそれらの相補配列である。
【0164】
上記第1のプローブの配列は、上記ハイブリダイゼーション部分で構成されてもよい。
【0165】
或いは、上記第1のプローブの配列は、上記ハイブリダイゼーション部分の他に、他のDNA配列、例えば、上記ハイブリダイゼーション部分の5'及び/又は3'末端に連結された他のDNA配列を含んでもよい。この(これらの)他のDNA配列は、上記ハイブリダイゼーション部分のハイブリダイゼーション特異性を(著しく)低減させるべきではない。上記他のDNA配列は、例えば、ハイブリダイズされない場合、上記第1のプローブにヘアピン形状を付与するビーコンアーム、より詳細には5'ビーコンアーム及び3'ビーコンアームであってもよい(例えば、3'ビーコンアームは、5'ビーコンアームに相補的である)。上記第1のプローブの全長は、好適には、31個~37個のヌクレオチド、又は30個~36個のヌクレオチド、又は29個~36個のヌクレオチド、又は28個~34個のヌクレオチドを有する。
【0166】
上記第1のプローブは、少なくとも1つのフルオロフォア(例えば、6-カルボキシフルオレセイン、又はテトラクロロフルオレセイン)及び/又は少なくとも1つのクエンチャー(例えば、カルボキシテトラメチルローダミン蛍光色素(例えば、TAMRA(登録商標))、Black Hole Quencher(登録商標)-0、Black Hole Quencher(登録商標)-1、Black Hole Quencher(登録商標)-2、Black Hole Quencher(登録商標)-3、又はMinor Groove Binder(登録商標)クエンチャー)を含んでもよい。
【0167】
上記第1のプローブは、TAQMAN(登録商標)プローブ、即ち、フルオロフォアがその5'末端に共有結合されて、クエンチャーがその3'末端に共有結合されるプローブ(例えば、TAMRA(登録商標)又はBHQ(登録商標)-1)であってもよい。TAQMAN(登録商標)プローブは、PCRポリメラーゼの5'-3'エキソヌクレアーゼ活性によって分解され、それによりそれから(及びクエンチャーの近傍から)フルオロフォアを放出させる。
【0168】
或いは、上記第1のプローブは、ビーコンプローブ、即ち、上記ハイブリダイゼーション部分の他に、5'末端に連結されたビーコンアーム及び3'末端に連結されたビーコンアームを含み(それらは、ハイブリダイズされない場合、上記第2のプローブにヘアピン形状を付与する)、上記2つのビーコンアームの一方に共有結合されたフルオロフォア、及び上記2つのビーコンアームの他方に連結されたクエンチャーを保有するプローブであってもよい。
【0169】
プローブのTmは、プライマー対のTmよりも4℃~10℃高くてもよい。
【0170】
上記第1のP.イロベチイミトコンドリア遺伝子が、mtLSU遺伝子である場合、上記第1のプローブは、配列番号1であるP.イロベチイmtLSU遺伝子又は配列番号1に相補的な配列に、より詳細には配列番号10(P.イロベチイmtLSU標的)の配列又は配列番号10に相補的な配列にハイブリダイズし得る。
【0171】
より詳細には、上記第1のプローブは、配列番号3(P.イロベチイCYTB遺伝子)及び配列番号3に相補的な配列のいずれにも、又は配列番号2(P.イロベチイmtSSU遺伝子)及び配列番号2に相補的な配列のいずれにもハイブリダイズせずに、より詳細には配列番号3、配列番号3に相補的な配列、配列番号2及び配列番号2に相補的な配列のいずれにもハイブリダイズせずに、配列番号1の配列又はその相補配列に、より詳細には配列番号10の配列又はその相補配列にハイブリダイズし得る。
【0172】
上記第1のプローブはまた、ヒトDNA又はRNAにハイブリダイズし得ない。
【0173】
好適には、上記第1のプローブは、配列番号1の配列又はその相補配列に、より詳細には配列番号10の配列又はその相補配列に特異的にハイブリダイズする。
【0174】
上記第1のプローブの配列は、例えば、プローブのハイブリダイゼーション部分であるか、又はプローブのハイブリダイゼーション部分として作用し、即ち、DNA若しくはRNA部分であるか、又はDNA若しくはRNA部分として作用し、上記第1のP.イロベチイミトコンドリア遺伝子のcDNA逆転写物にハイブリダイズする能力を第1のプローブに付与するハイブリダイゼーション部分で構成され得るか、又はそれを含み得る。
【0175】
上記ハイブリダイゼーション部分は、例えば、配列番号3及び配列番号3に相補的な配列のいずれにも、又は配列番号2及び配列番号2に相補的な配列のいずれにもハイブリダイズせずに、より詳細には配列番号3、配列番号3に相補的な配列、配列番号2及び配列番号2に相補的な配列のいずれにもハイブリダイズせずに、配列番号1の配列又は配列番号1に相補的な配列に、より詳細には配列番号10の配列又は及び配列番号10に相補な配列にハイブリダイズする17個~21個のヌクレオチド(より詳細には19個のヌクレオチド)のDNA又はRNA配列であってもよい。
【0176】
上記第1のプローブの上記ハイブリダイゼーション部分はまた、ヒトDNA又はRNAにハイブリダイズし得ない。上記第1のプローブの上記ハイブリダイゼーション部分は、配列番号1の配列又はその相補配列に、より詳細には配列番号10の配列又はその相補配列に特異的にハイブリダイズし得る。例えば、上記第1のプローブのハイブリダイゼーション部分は、配列番号13の(19個のヌクレオチド長)配列又はその相補配列である。
【0177】
上記第1のプローブの配列は、上記ハイブリダイゼーション部分で構成されてもよい。
【0178】
或いは、上記第1のプローブの配列は、上記ハイブリダイゼーション部分の他に、他のDNA又はRNA配列、例えば、上記ハイブリダイゼーション部分の5'及び/又は3'末端に連結された他のDNA又はRNA配列を含んでもよい。この(これらの)他のDNA又はRNA配列は、上記ハイブリダイゼーション部分のハイブリダイゼーション特異性を(著しく)低減させるべきではない。上記他のDNA又はRNA配列は、例えば、ハイブリダイズされない場合、上記第1のプローブにヘアピン形状を付与するビーコンアーム、より詳細には5'ビーコンアーム及び3'ビーコンアームであってもよい(例えば、3'ビーコンアームは、5'ビーコンアームに相補的である)。上記第1のプローブの全長は、好適には、25個~29個のヌクレオチド、又は24個~28個のヌクレオチド、又は23個~27個のヌクレオチド、又は22個~36個のヌクレオチドを有する。
【0179】
上記第1のプローブは、少なくとも1つのフルオロフォア(例えば、6-カルボキシフルオレセイン、又はテトラクロロフルオレセイン)及び/又は少なくとも1つのクエンチャー(例えば、カルボキシテトラメチルローダミン蛍光色素(例えば、TAMRA(登録商標))、Black Hole Quencher(登録商標)-0、Black Hole Quencher(登録商標)-1、Black Hole Quencher(登録商標)-2、Black Hole Quencher(登録商標)-3、又はMinor Groove Binder(登録商標)クエンチャー)を含んでもよい(例えば、それらに共有結合されてもよい)。
【0180】
上記第1のプローブは、例えば、ロックド核酸(LNA)プローブであってもよい。
【0181】
上記第1のプローブは、例えば、DNA又はRNAプローブであってもよい。
【0182】
例えば、上記第1のプローブは、TAQMAN(登録商標)プローブ、即ち、フルオロフォアがその5'末端に共有結合されて、クエンチャーがその3'末端に共有結合されるプローブ(例えば、TAMRA(登録商標)又はBHQ(登録商標)-1)であってもよい。TAQMAN(登録商標)プローブは、PCRポリメラーゼの5'-3'エキソヌクレアーゼ活性によって分解され、それによりそれから(及びクエンチャーの近傍から)フルオロフォアを放出させる。
【0183】
或いは、上記第1のプローブは、ビーコンプローブ、即ち、上記ハイブリダイゼーション部分の他に、5'末端に連結されたビーコンアーム及び3'末端に連結されたビーコンアームを含み(それらは、ハイブリダイズされない場合、上記第1のプローブにヘアピン形状を付与する)、上記2つのビーコンアームの一方に共有結合されたフルオロフォア、及び上記2つのビーコンアームの他方に連結されたクエンチャーを保有するプローブであってもよい。
【0184】
或いは、上記第1のプローブは、SCORPION(登録商標)プローブ(即ち、その末端の一方でフルオロフォアに連結され、他方の末端でPCRブロッカーを介してプライマーに連結されるプローブ)であってもよい。
【0185】
定量化はまた、それぞれが少なくとも1つのフルオロフォアを含む上記第1のプローブ(例えば、LIGHTCYCLER(登録商標)ハイブリダイゼーションプローブとして)の少なくとも2つ(即ち、2つの異なる第1のプローブ)を使用して実行され得る。
【0186】
プローブのTmは、プライマー対のTmよりも4℃~10℃高くてもよい。
【0187】
上記第2のP.イロベチイミトコンドリア遺伝子のRNA転写物の定量化は、例えば、上記第2のP.イロベチイミトコンドリア遺伝子のcDNA逆転写物にハイブリダイズする(少なくとも1つの)第2のプローブを使用して実行され得る。
【0188】
上記第2のP.イロベチイミトコンドリア遺伝子が、mtLSU遺伝子である場合、上記第2のプローブは、配列番号1であるP.イロベチイmtLSU遺伝子又は配列番号1に相補的な配列に、より詳細には配列番号10(P.イロベチイmtLSU標的)の配列又は配列番号10に相補的な配列にハイブリダイズし得る。より詳細には、上記第2のプローブは、配列番号3(P.イロベチイCYTB遺伝子)及び配列番号3に相補的な配列のいずれにも、又は配列番号2(P.イロベチイmtSSU遺伝子)及び配列番号2に相補的な配列のいずれにもハイブリダイズせずに、より詳細には配列番号3、配列番号3に相補的な配列、配列番号2及び配列番号2に相補的な配列のいずれにもハイブリダイズせずに、配列番号1の配列又はその相補配列に、より詳細には配列番号10の配列又はその相補配列にハイブリダイズし得る。
【0189】
上記第2のプローブはまた、ヒトDNA又はRNAにハイブリダイズし得ない。
【0190】
好適には、上記第2のプローブは、配列番号1の配列又はその相補配列に、より詳細には配列番号10の配列又はその相補配列に特異的にハイブリダイズする。
【0191】
上記第2のプローブの配列は、例えば、プローブのハイブリダイゼーション部分であるか、又はプローブのハイブリダイゼーション部分として作用し、即ち、DNA若しくはRNA部分であるか、又はDNA若しくはRNA部分として作用し、上記第2のP.イロベチイミトコンドリア遺伝子のcDNA逆転写物にハイブリダイズする能力を第2のプローブに付与するハイブリダイゼーション部分で構成され得るか、又はそれを含み得る。
【0192】
上記ハイブリダイゼーション部分は、例えば、配列番号3及び配列番号3に相補的な配列のいずれにも、又は配列番号2及び配列番号2に相補的な配列のいずれにもハイブリダイズせずに、より詳細には配列番号3、配列番号3に相補的な配列、配列番号2及び配列番号2に相補的な配列のいずれにもハイブリダイズせずに、配列番号1の配列又は配列番号1に相補的な配列に、より詳細には配列番号10の配列又は及び配列番号10に相補な配列にハイブリダイズする17個~21個のヌクレオチド(より詳細には19個のヌクレオチド)のDNA又はRNA配列であってもよい。
【0193】
上記第2のプローブの上記ハイブリダイゼーション部分はまた、ヒトDNA又はRNAにハイブリダイズし得ない。上記第2のプローブの上記ハイブリダイゼーション部分は、配列番号1の配列又はその相補配列に、より詳細には配列番号10の配列又はその相補配列に特異的にハイブリダイズし得る。例えば、上記第2のプローブの上記ハイブリダイゼーション部分は、配列番号13の(19個のヌクレオチド長)配列又はその相補配列である。
【0194】
上記第2のプローブの配列は、上記ハイブリダイゼーション部分で構成されてもよい。
【0195】
或いは、上記第2のプローブの配列は、上記ハイブリダイゼーション部分の他に、他のDNA又はRNA配列、例えば、上記ハイブリダイゼーション部分の5'及び/又は3'末端に連結された他のDNA又はRNA配列を含んでもよい。この(これらの)他のDNA又はRNA配列は、上記ハイブリダイゼーション部分のハイブリダイゼーション特異性を(著しく)低減させるべきではない。上記他のDNA又はRNA配列は、例えば、ハイブリダイズされない場合、上記第2のプローブにヘアピン形状を付与するビーコンアーム、より詳細には5'ビーコンアーム及び3'ビーコンアームであってもよい(例えば、3'ビーコンアームは、5'ビーコンアームに相補的である)。上記第2のプローブの全長は、好適には、25個~29個のヌクレオチド、又は24個~28個のヌクレオチド、又は23個~27個のヌクレオチド、又は22個~36個のヌクレオチドを有する。
【0196】
上記第2のプローブは、少なくとも1つのフルオロフォア(例えば、6-カルボキシフルオレセイン、又はテトラクロロフルオレセイン)及び/又は少なくとも1つのクエンチャー(例えば、カルボキシテトラメチルローダミン蛍光色素(例えば、TAMRA(登録商標))、Black Hole Quencher(登録商標)-0、Black Hole Quencher(登録商標)-1、Black Hole Quencher(登録商標)-2、Black Hole Quencher(登録商標)-3、又はMinor Groove Binder(登録商標)クエンチャー)を含んでもよい(例えば、それらに共有結合されてもよい)。
【0197】
上記第2のプローブは、例えば、ロックド核酸(LNA)プローブであってもよい。
【0198】
上記第2のプローブは、例えば、DNA又はRNAプローブであってもよい。
【0199】
例えば、上記第2のプローブは、TAQMAN(登録商標)プローブ、即ち、フルオロフォアがその5'末端に共有結合されて、クエンチャーがその3'末端に共有結合されるプローブ(例えば、TAMRA(登録商標)又はBHQ(登録商標)-1)であってもよい。TAQMAN(登録商標)プローブは、PCRポリメラーゼの5'-3'エキソヌクレアーゼ活性によって分解され、それによりそれから(及びクエンチャーの近傍から)フルオロフォアを放出させる。
【0200】
或いは、上記第2のプローブは、ビーコンプローブ、即ち、上記ハイブリダイゼーション部分の他に、5'末端に連結されたビーコンアーム及び3'末端に連結されたビーコンアームを含み(それらは、ハイブリダイズされない場合、上記第2のプローブにヘアピン形状を付与する)、上記2つのビーコンアームの一方に共有結合されたフルオロフォア、及び上記2つのビーコンアームの他方に連結されたクエンチャーを保有するプローブであってもよい。
【0201】
或いは、上記第2のプローブは、SCORPION(登録商標)プローブ(即ち、その末端の一方でフルオロフォアに連結され、他方の末端でPCRブロッカーを介してプライマーに連結されるプローブ)であってもよい。
【0202】
定量化はまた、それぞれが少なくとも1つのフルオロフォアを含む上記第2のプローブ(例えば、LIGHTCYCLER(登録商標)ハイブリダイゼーションプローブとして)の少なくとも2つ(即ち、2つの異なる第2のプローブ)を使用して実行され得る。
【0203】
プローブのTmは、プライマー対のTmよりも4℃~10℃高くてもよい。
【0204】
例えば、上記第2のP.イロベチイミトコンドリア遺伝子が、その配列がCytbタンパク質をコードするP.イロベチイ遺伝子である場合、上記第2のプローブは、配列番号1(P.イロベチイmtLSU遺伝子)及び配列番号1に相補的な配列のいずれにも、又は配列番号2(P.イロベチイmtSSU遺伝子)及び配列番号2に相補的な配列のいずれにも、より詳細には配列番号1、配列番号1に相補的な配列、配列番号2及び配列番号2に相補的な配列のいずれにもハイブリダイズせずに、配列番号3の配列又はその相補配列に、より詳細には配列番号30の配列又はその相補配列にハイブリダイズし得る。上記第2のプローブはまた、ヒトDNA又はRNAにハイブリダイズし得ない。好適には、上記第2のプローブは、配列番号3の配列又はその相補配列に、より詳細には配列番号30の配列又はその相補配列に特異的にハイブリダイズする。
【0205】
上記第2のプローブの配列は、例えば、プローブのハイブリダイゼーション部分であるか、又はプローブのハイブリダイゼーション部分として作用し、即ち、DNA若しくはRNA部分であるか、又はDNA若しくはRNA部分として作用し、上記第2のP.イロベチイミトコンドリア遺伝子のcDNA逆転写物にハイブリダイズする能力を第2のプローブに付与するハイブリダイゼーション部分で構成され得るか、又はそれを含み得る。
【0206】
上記ハイブリダイゼーション部分は、例えば、配列番号1及び配列番号1に相補的な配列のいずれにも、又は配列番号2及び配列番号2に相補的な配列のいずれにも、より詳細には配列番号1、配列番号1に相補的な配列、配列番号2及び配列番号2に相補的な配列のいずれにもハイブリダイズせずに、配列番号3の配列又は配列番号3に相補的な配列に、より詳細には配列番号30の配列又は配列番号30に相補な配列にハイブリダイズする19個~30個のヌクレオチド(より詳細には20個~24個のヌクレオチド、より詳細には22個のヌクレオチド)のDNA又はRNA配列であってもよい。上記第2のプローブの上記ハイブリダイゼーション部分はまた、ヒトDNA又はRNAにハイブリダイズし得ない。上記第2のプローブの上記ハイブリダイゼーション部分は、配列番号3の配列又はその相補配列に、より詳細には配列番号30の配列又はその相補配列に特異的にハイブリダイズし得る。例えば、上記第2のプローブのハイブリダイゼーション部分は、配列番号33の(22個のヌクレオチド長)配列若しくはその相補配列、又は配列番号58の(22個のヌクレオチド長)配列若しくはその相補配列(配列番号59、以下の実施例3を参照)等のそのLNA対応物である。
【0207】
上記第2のプローブの配列は、上記ハイブリダイゼーション部分で構成されてもよい。
【0208】
或いは、上記第2のプローブの配列は、上記ハイブリダイゼーション部分の他に、他のDNA又はRNA配列、例えば、上記ハイブリダイゼーション部分の5'及び/又は3'末端に連結された他のDNA又はRNA配列を含んでもよい。この(これらの)他のDNA又はRNA配列は、上記ハイブリダイゼーション部分のハイブリダイゼーション特異性を(著しく)低減させるべきではない。上記他のDNA又はRNA配列は、例えば、ハイブリダイズされない場合、上記第2のプローブにヘアピン形状を付与するビーコンアーム、より詳細には5'ビーコンアーム及び3'ビーコンアームであってもよい(例えば、3'ビーコンアームは、5'ビーコンアームに相補的である)。上記第2のプローブの全長は、好適には、28個~32個のヌクレオチド、又は27個~31個のヌクレオチド、又は26個~30個のヌクレオチド、又は25個~29個のヌクレオチドを有する。
【0209】
上記第2のプローブは、少なくとも1つのフルオロフォア(例えば、6-カルボキシフルオレセイン、又はテトラクロロフルオレセイン)及び/又は少なくとも1つのクエンチャー(例えば、カルボキシテトラメチルローダミン蛍光色素(例えば、TAMRA(登録商標))、Black Hole Quencher(登録商標)-0、Black Hole Quencher(登録商標)-1、Black Hole Quencher(登録商標)-2、Black Hole Quencher(登録商標)-3、又はMinor Groove Binder(登録商標)クエンチャー)を含んでもよい(例えば、それらに共有結合されてもよい)。
【0210】
上記第2のプローブは、例えば、ロックド核酸(LNA)プローブであってもよい。
【0211】
上記第2のプローブは、例えば、DNA又はRNAプローブであってもよい。例えば、上記第2のプローブは、TAQMAN(登録商標)プローブ、即ち、フルオロフォアがその5'末端に共有結合されて、クエンチャーがその3'末端に共有結合されるプローブ(例えば、TAMRA(登録商標)又はBHQ(登録商標)-1)であってもよい。TAQMAN(登録商標)プローブは、PCRポリメラーゼの5'-3'エキソヌクレアーゼ活性によって分解され、それによりそれから(及びクエンチャーの近傍から)フルオロフォアを放出させる。
【0212】
或いは、上記第2のプローブは、ビーコンプローブ、即ち、上記ハイブリダイゼーション部分の他に、5'末端に連結されたビーコンアーム及び3'末端に連結されたビーコンアームを含み(それらは、ハイブリダイズされない場合、上記第2のプローブにヘアピン形状を付与する)、上記2つのビーコンアームの一方に共有結合されたフルオロフォア、及び上記2つのビーコンアームの他方に連結されたクエンチャーを保有するプローブであってもよい。
【0213】
或いは、上記第2のプローブは、SCORPION(登録商標)プローブ(即ち、その末端の一方でフルオロフォアに連結され、他方の末端でPCRブロッカーを介してプライマーに連結されるプローブ)であってもよい。
【0214】
定量化はまた、それぞれが少なくとも1つのフルオロフォアを含む上記第2のプローブ(例えば、LIGHTCYCLER(登録商標)ハイブリダイゼーションプローブとして)の少なくとも2つ(即ち、2つの異なる第2のプローブ)を使用して実行され得る。
【0215】
プローブのTmは、プライマー対のTmよりも4℃~10℃高くてもよい。
【0216】
上記第2のP.イロベチイミトコンドリア遺伝子が、mtSSU遺伝子である場合、上記第2のプローブは、
- 配列番号2であるP.イロベチイmtSSU遺伝子に、若しくは配列番号2に相補的な配列に、より詳細には配列番号15(P.イロベチイmtSSU標的)の配列に、若しくは配列番号15に相補的な配列に、及び/又は
- 配列番号20(別のP.イロベチイmtSSU標的)の配列に、若しくは配列番号20に相補的な配列に、及び/又は
- 配列番号25(更に別のP.イロベチイmtSSU標的)の配列に、若しくは配列番号25に相補的な配列にハイブリダイズし得る。
【0217】
より詳細には、上記第2のプローブは、配列番号3(P.イロベチイCYTB遺伝子)及び配列番号3に相補的な配列のいずれにも、又は配列番号1及び配列番号1に相補的な配列のいずれにもハイブリダイズせずに、より詳細には配列番号3、配列番号3に相補的な配列、配列番号1及び配列番号1に相補的な配列のいずれにもハイブリダイズせずに、配列番号2の配列又はその相補配列に、より詳細には配列番号15、配列番号20、配列番号25の配列及びそれらの相補配列の少なくとも1つにハイブリダイズし得る。
【0218】
上記第2のプローブはまた、ヒトDNA又はRNAにハイブリダイズし得ない。
【0219】
好適には、上記第2のプローブは、配列番号2の配列又はその相補配列に、より詳細には配列番号15、配列番号20、配列番号25の配列及びそれらの相補配列の少なくとも1つに特異的にハイブリダイズする。
【0220】
上記第2のプローブの配列は、例えば、プローブのハイブリダイゼーション部分であるか、又はプローブのハイブリダイゼーション部分として作用し、即ち、DNA部分であるか、又はDNA部分として作用し、上記第2のP.イロベチイミトコンドリア遺伝子のcDNA逆転写物にハイブリダイズする能力を第2のプローブに付与するハイブリダイゼーション部分で構成され得るか、又はそれを含み得る。
【0221】
上記ハイブリダイゼーション部分は、例えば、配列番号3及び配列番号3に相補的な配列のいずれにも、又は配列番号1及び配列番号1に相補的な配列のいずれにもハイブリダイズせずに、より詳細には配列番号3、配列番号3に相補的な配列、配列番号1及び配列番号1に相補的な配列のいずれにもハイブリダイズせずに、配列番号2の配列又は配列番号2に相補的な配列に、より詳細には配列番号15、配列番号20、配列番号25の配列及び配列番号10、配列番号20、配列番号25に相補な配列の少なくとも1つにハイブリダイズする23個~29個のヌクレオチド(より詳細には25個~27個のヌクレオチド)のDNA配列であってもよい。
【0222】
上記第2のプローブの上記ハイブリダイゼーション部分はまた、ヒトDNA又はRNAにハイブリダイズし得ない。上記第2のプローブの上記ハイブリダイゼーション部分は、配列番号2の配列又はその相補配列に、より詳細には配列番号15、配列番号20、配列番号25の配列及びそれらの相補配列の少なくとも1つに特異的にハイブリダイズし得る。例えば、上記第2のプローブのハイブリダイゼーション部分は、配列番号18、配列番号23若しくは配列番号28の(25個又は27個のヌクレオチド長)配列又はそれらの相補配列である。
【0223】
上記第2のプローブの配列は、上記ハイブリダイゼーション部分で構成されてもよい。
【0224】
或いは、上記第2のプローブの配列は、上記ハイブリダイゼーション部分の他に、他のDNA配列、例えば、上記ハイブリダイゼーション部分の5'及び/又は3'末端に連結された他のDNA配列を含んでもよい。この(これらの)他のDNA配列は、上記ハイブリダイゼーション部分のハイブリダイゼーション特異性を(著しく)低減させるべきではない。上記他のDNA配列は、例えば、ハイブリダイズされない場合、上記第2のプローブにヘアピン形状を付与するビーコンアーム、より詳細には5'ビーコンアーム及び3'ビーコンアームであってもよい(例えば、3'ビーコンアームは、5'ビーコンアームに相補的である)。上記第2のプローブの全長は、好適には、31個~37個のヌクレオチド、又は30個~36個のヌクレオチド、又は29個~36個のヌクレオチド、又は28個~34個のヌクレオチドを有する。
【0225】
上記第2のプローブは、少なくとも1つのフルオロフォア(例えば、6-カルボキシフルオレセイン、又はテトラクロロフルオレセイン)及び/又は少なくとも1つのクエンチャー(例えば、カルボキシテトラメチルローダミン蛍光色素(例えば、TAMRA(登録商標))、Black Hole Quencher(登録商標)-0、Black Hole Quencher(登録商標)-1、Black Hole Quencher(登録商標)-2、Black Hole Quencher(登録商標)-3、又はMinor Groove Binder(登録商標)クエンチャー)を含んでもよい。
【0226】
上記第2のプローブは、TAQMAN(登録商標)プローブ、即ち、フルオロフォアがその5'末端に共有結合されて、クエンチャーがその3'末端に共有結合されるプローブ(例えば、TAMRA(登録商標)又はBHQ(登録商標)-1)であってもよい。TAQMAN(登録商標)プローブは、PCRポリメラーゼの5'-3'エキソヌクレアーゼ活性によって分解され、それによりそれから(及びクエンチャーの近傍から)フルオロフォアを放出させる。
【0227】
或いは、上記第2のプローブは、ビーコンプローブ、即ち、上記ハイブリダイゼーション部分の他に、5'末端に連結されたビーコンアーム及び3'末端に連結されたビーコンアームを含み(それらは、ハイブリダイズされない場合、上記第2のプローブにヘアピン形状を付与する)、上記2つのビーコンアームの一方に共有結合されたフルオロフォア、及び上記2つのビーコンアームの他方に連結されたクエンチャーを保有するプローブであってもよい。
【0228】
プローブのTmは、プライマー対のTmよりも4℃~10℃高くてもよい。
【0229】
好適には、上記少なくとも1つの第1のプローブは、リアルタイムPCRで実行される。より詳細には、上記少なくとも1つの第1のプローブは好適には、リアルタイムPCR増幅で、上記第1のプライマー対と同じチューブ中で実行される。
【0230】
好適には、上記少なくとも1つの第2のプローブは、リアルタイムPCRで実行される。より詳細には、上記少なくとも1つの第2のプローブは好適には、リアルタイムPCR増幅で、上記第2のプライマー対と同じチューブ中で実行される。
【0231】
好適には、上記少なくとも1つの第1のプローブ及び1つの第2プローブは、リアルタイムPCRで実行される。より詳細には、上記少なくとも1つの第1のプローブ及び上記少なくとも1つの第2のプローブは、リアルタイムPCR増幅で、上記第1のプライマー対及び第2のプライマー対と同じチューブ中で実行される。
【0232】
本出願はまた、本出願の方法によって実行されるか、又は得られ得る個々の産物に関する。
【0233】
より詳細には、本出願はまた、独立して産物として、上記第1のプライマー対、上記第2のプライマー対、上記第1のプローブ及び上記第2のプローブそれぞれに関する。
【0234】
より詳細には、本出願はまた、独立して産物として、上記第1のcDNA標的、上記第2のcDNA標的、上記第1のRNA標的、上記第2のRNA標的、上記第1のアンプリコン及び上記第2のアンプリコンそれぞれに関する。
【0235】
本出願はまた、かかる産物の結合又は組合せに関する。
【0236】
より詳細には、本出願は、4つの(異なる)要素の下記リスト:上記第1のプライマー対、上記第2のプライマー対、上記第1のプローブ及び上記第2のプローブからの少なくとも2つ若しくは少なくとも3つの異なる要素の結合若しくは組合せ、又はそれら4つの結合若しくは組合せに関する。
【0237】
より詳細には、本出願は、上記第1のプローブ及び上記第2のプローブの結合又は組合せに関する。
【0238】
より詳細には、本出願は、上記第1のプライマー対及び上記第2のプライマー対の結合又は組合せに関する。
【0239】
より詳細には、本出願は、上記第1のプローブ及び上記第1のプライマー対の結合又は組合せに関する。
【0240】
より詳細には、本出願は、上記第2のプローブ及び上記第2のプライマー対の結合又は組合せに関する。
【0241】
例えば、それらは、キット中で、より詳細には同時使用、別個の使用若しくは順次使用のためのキット中で、又は組成物中で、より詳細には増幅組成物等の液体組成物中で、結合され得るか、又は組み合わせられ得る。上記結合、組合せ、キット又は組成物は、少なくとも1つの逆転写酵素(即ち、少なくとも1つのRNA依存性DNAポリメラーゼ)、又は少なくとも1つの逆転写酵素及び少なくとも1つのDNA依存性DNAポリメラーゼを更に含んでもよい。
【0242】
好適には、上記キットは、少なくとも上記第1のプライマー対及び/又は少なくとも上記第1のプローブ、より詳細には少なくとも上記第1のプライマー対及び少なくとも上記第1のプローブを含む。
【0243】
上記キットは、ヒト遺伝子を特異的に検出する、IECR等の又は少なくとも1つの(リアルタイム)プローブ、より詳細には少なくとも1つの(リアルタイム)プローブ及び少なくとも1つのプライマー対等のRNA抽出及び/又は精製ための内部対照を更に含んでもよい(上記及び以下の実施例2を参照)。
【0244】
より詳細には、本出願は、6つの(異なる)要素の下記リスト:上記第1のcDNA標的、上記第2のcDNA標的、上記第1のRNA標的、上記第2のRNA標的、上記第1のアンプリコン及び上記第2のアンプリコンからの少なくとも2つ若しくは少なくとも3つ若しくは少なくとも4つ若しくは少なくとも5つの異なる要素の結合若しくは組合せ、又はそれら6つの結合若しくは組合せに関する。より詳細には、本出願は、上記第1のアンプリコン及び上記第2のアンプリコンの結合又は組合せに関する。上記6つの要素はそれぞれ、組成物中に、より詳細には増幅組成物等の液体組成物中に含有され得る。上記結合、組合せ又は組成物は、少なくとも1つの逆転写酵素(即ち、少なくとも1つのRNA依存性DNAポリメラーゼ)、又は少なくとも1つの逆転写酵素及び少なくとも1つのポリメラーゼ(より詳細には、少なくとも1つのDNA依存性DNAポリメラーゼ)を更に含んでもよい。
【0245】
上記逆転写酵素(又は上記逆転写酵素及びDNA依存性DNAポリメラーゼ)は、当業者が適切であると認め得る任意の逆転写酵素(又は任意の逆転写酵素及びDNA依存性DNAポリメラーゼ)であり得る。
【0246】
逆転写酵素の例として、INVITROGEN(商標)(LIFE TECHNOLOGIES(商標)社によるINVITROGEN(商標);5791 Van Allen way; Carlsbad; CA 92008;米国)によって商品化されたSUPERSCRIPT(登録商標)III逆転写酵素(RT)が挙げられる。
【0247】
ポリメラーゼ(即ち、DNA依存性DNAポリメラーゼ)の例としては、サーマス・アクアチクス(Thermus aquaticus)ポリメラーゼが挙げられる。
【0248】
上記産物、結合、組合せ、キット、組成物は、ニューモシスチス肺炎(PCP)を診断又は予測するのに、より詳細には、ヒト患者(より詳細には、ニューモシスチス・イロベチイ保因者であるヒト患者)が、PCPを有するか若しくは発症するかどうかを診断若しくは予測するのに、又はヒト患者(より詳細には、ニューモシスチス・イロベチイ保因者であるヒト患者)におけるPCPに対する薬物若しくは治療の有効性を決定若しくは予測するのに、又はPCPを有すると診断され、PCPに対する薬物若しくは治療を受けているか、若しくは受けたヒト患者において、PCPが退行するか、若しくは治療されたかどうかを決定するのに適している。
【0249】
したがって、本出願はまた、ニューモシスチス肺炎(PCP)を診断若しくは予測するための、より詳細には、ヒト患者(より詳細には、ニューモシスチス・イロベチイ保因者であるヒト患者)が、PCPを有するか若しくは発症するかどうかを診断若しくは予測するための、又はヒト患者(より詳細には、ニューモシスチス・イロベチイ保因者であるヒト患者)におけるPCPに対する薬物若しくは治療の有効性を決定若しくは予測するための、又はPCPを有すると診断され、PCPに対する薬物若しくは治療を受けているか、若しくは受けたヒト患者において、PCPが退行するか、若しくは治療されたかどうかを決定するための、上記産物、結合、組合せ、キット、組成物の(in vitroでの)使用に関する。
【0250】
より詳細には、本出願はまた、
- ニューモシスチス肺炎(PCP)を診断若しくは予測するための、より詳細には、ヒト患者(より詳細には、ニューモシスチス・イロベチイ保因者であるヒト患者)が、PCPを有するか若しくは発症するかどうかを診断若しくは予測するための、又は
- ヒト患者(より詳細には、ニューモシスチス・イロベチイ保因者であるヒト患者)におけるPCPに対する薬物若しくは治療の有効性を決定若しくは予測するための、又は
- PCPを有すると診断され、PCPに対する薬物若しくは治療を受けているか、若しくは受けたヒト患者において、PCPが退行するか、若しくは治療されたかどうかを決定するための
逆転写酵素(即ち、RNA依存性DNAポリメラーゼ)及びオリゴヌクレオチドのin vitroでの使用に関し、
ここで、上記オリゴヌクレオチドは、プライマー及び/又はプローブを含み、上記プライマーは、第1のプライマー対及び第2のプライマー対を含み、上記プローブは、第1のプローブ及び第2のプローブを含み、
上記第1のプライマー対及び/又は上記第1のプローブは、上記第1のP.イロベチイミトコンドリア遺伝子のRNA転写物のcDNA逆転写物に特異的にハイブリダイズし(上記を参照)、
上記第2のプライマー対及び/又は上記第2のプローブは、上記第2のP.イロベチイミトコンドリア遺伝子のRNA転写物のcDNA逆転写物に特異的にハイブリダイズする(上記を参照)。
【0251】
例えば、上記第1のP.イロベチイミトコンドリア遺伝子は、その配列がCytbタンパク質をコードするP.イロベチイ遺伝子であり、上記第2のP.イロベチイミトコンドリア遺伝子は、その配列がP.イロベチイリボソームRNAに転写されるP.イロベチイ遺伝子(mtLSU遺伝子又はmtSSU遺伝子、より詳細にはmtLSU遺伝子)である。
【0252】
例えば、上記第1のP.イロベチイミトコンドリア遺伝子は、mtSSU P.イロベチイ遺伝子であり、上記第2のP.イロベチイミトコンドリア遺伝子は、P.イロベチイmtLSU遺伝子である。
【0253】
上記使用は、ポリメラーゼ(即ち、DNA依存性DNAポリメラーゼ)の使用を更に含んでもよい。
【0254】
上記使用は、ヒト遺伝子を特異的に検出する、IECR等の又は少なくとも1つの(リアルタイム)プローブ、より詳細には少なくとも1つの(リアルタイム)プローブ及び少なくとも1つのプライマー対等のRNA抽出及び/又は精製内部対照の使用を更に含んでもよい(上記及び以下の実施例2を参照)。
【0255】
本出願はまた、上記逆転写酵素及び上記オリゴヌクレオチドを含むキットに関する。上記キットは、ポリメラーゼ(即ち、DNA依存性DNAポリメラーゼ)を更に含んでもよい。上記キットは、ヒト患者(より詳細には、ニューモシスチス・イロベチイ保因者であるヒト患者)においてニューモシスチス肺炎(PCP)を診断若しくは予測するのに、又はヒト患者(より詳細には、ニューモシスチス・イロベチイ保因者であるヒト患者)におけるPCPに対する薬物若しくは治療の有効性を決定若しくは予測するのに、又はPCPを有すると診断され、PCPに対する薬物若しくは治療を受けているか、若しくは受けたヒト患者において、PCPが退行するか、若しくは治療されたかどうかを決定するのに適しているキットとみなすことができる。上記キットは、これらの使用又は用途において上記逆転写酵素及び上記オリゴヌクレオチド(及び任意選択で、上記ポリメラーゼ)を実行するための取扱説明書を更に含んでもよい。
【0256】
上記キットは、上記逆転写酵素及び少なく上記オリゴヌクレオチド(又は上記逆転写酵素、上記オリゴヌクレオチド及び上記ポリメラーゼ)の同時使用、別個の使用又は順次使用のための、より詳細には同時使用のためのキットであり得る。上記キットは、容器(例えば、チューブ)を含んでもよく、ここに上記逆転写酵素及び上記オリゴヌクレオチド(又は上記逆転写酵素、上記オリゴヌクレオチド及び上記ポリメラーゼ)が含有される。好適には、上記逆転写酵素及び上記ポリメラーゼは、同じ容器中に(例えば、同じチューブ中に)含有される。上記第1のプライマー対は、上記第2のプライマー対が含有される容器(例えば、チューブ)とは異なる容器(例えば、チューブ)中に含有され得る。上記第1のプローブは、上記第2のプローブが含有される容器(例えば、チューブ)とは異なる容器(例えば、チューブ)中に含有され得る。上記第1のプライマー対及び上記第1のプローブは、同じ容器(例えば、同じチューブ)中に存在してもよい。上記第2のプライマー対及び上記第2のプローブは、同じ容器(例えば、同じチューブ)中に存在してもよい。
【0257】
上記キットは、RNA抽出及び/又は精製のための手段を更に含んでもよい。例えば、上記キットは、細胞溶解試薬及び/又は緩衝液、及び/又は例えばシリカ膜等のRNA精製手段を更に含んでもよい。
【0258】
上記キットは、ヒト遺伝子を特異的に検出する、IECR等の又は少なくとも1つの(リアルタイム)プローブ、より詳細には少なくとも1つの(リアルタイム)プローブ及び少なくとも1つのプライマー対等のRNA抽出及び/又は精製ための内部対照を更に含んでもよい(上記及び以下の実施例2を参照)。
【0259】
本出願の方法の状況で記載されてきた各特色又は特色の組合せは、各産物、組合せ、結合、キット又は組成物自体に、並びにそれらの使用に準用する。
【0260】
例えば、上記第1及び第2のプライマー対の各プライマーのヌクレオチド配列は、独立して15個~30個のヌクレオチド(例えば、18個~28個又は19個~27個又は20個~26個のヌクレオチド)で構成され得る(上記を参照)。
【0261】
例えば、上記第1及び第2のプローブそれぞれのヌクレオチド配列は、独立して17個~37個のヌクレオチド(例えば、20個~24個又は28個~32個又は17個~21個又は25個~29個又は23個~29個又は31個~37個のヌクレオチド)で構成される(上記を参照)。
【0262】
例えば、上記第1又は第2のプライマー対は、100個~120個のヌクレオチド長(より詳細には100個~110個のヌクレオチド長、より詳細には102個~108個のヌクレオチド長、より詳細には104個~106個のヌクレオチド長、より詳細には105個のヌクレオチド長)を有し、
- 配列番号30の配列、若しくは
- 配列番号30と同じ長さであり、配列番号30に対して少なくとも95%(より詳細には少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%)同一であるcDNA配列
を含むか、又はその配列である、cDNAアンプリコンを産生するための、上記第1又は第2のP.イロベチイミトコンドリア遺伝子のRNA転写物のcDNA逆転写物に(又は、上記第1又は第2のP.イロベチイミトコンドリア遺伝子のRNA転写物に、並びにそれらのcDNA逆転写物に)アニーリングするプライマー対である。例えば、上記第1又は第2のプライマー対は、配列番号31及び配列番号32のプライマー対である。例えば、上記第1又は第2のプライマー対は、配列番号60及び配列番号32のプライマー対である。
【0263】
例えば、上記第1又は第2のプライマー対は、例えば、115個~125個のヌクレオチド(より詳細には117個~124個のヌクレオチド、より詳細には119個~123個のヌクレオチド、より詳細には121個のヌクレオチド)を有し、
- 配列番号10の配列、若しくは
- 配列番号10と同じ長さであり、配列番号10に対して少なくとも95%(より詳細には少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%)同一であるcDNA配列
を含むか、又はその配列である、cDNAアンプリコンを産生するための、P.イロベチイmtLSU遺伝子のRNA転写物のcDNA逆転写物に(又は、P.イロベチイmtLSU遺伝子のRNA転写物に、並びにそれらのcDNA逆転写物に)アニーリングする(mtLSU)プライマー対であってもよい。例えば、上記第1又は第2のプライマー対は、配列番号11及び配列番号12の(mtLSU)プライマー対である。
【0264】
例えば、上記第1又は第2のプライマー対は或いは、60個~110個のヌクレオチド(より詳細には76個~92個のヌクレオチド、より詳細には76個、82個又は92個のヌクレオチド、より詳細には82個のヌクレオチド)を有し、
- 配列番号15の配列、若しくは
- 配列番号15と同じ長さであり、配列番号15に対して少なくとも95%(より詳細には少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%)同一であるcDNA配列
を含むか、又はその配列である、cDNAアンプリコンを産生するための、P.イロベチイmtSSU遺伝子のRNA転写物のcDNA逆転写物に(又は、P.イロベチイmtSSU遺伝子のRNA転写物に、並びにそれらのcDNA逆転写物に)アニーリングする(mtSSU)プライマー対であってもよい。例えば、上記第1又は第2のプライマー対は、配列番号16及び配列番号17の(mtSSU)プライマー対である。
【0265】
例えば、上記第1又は第2のプライマー対は或いは、60個~110個のヌクレオチド(より詳細には76個~92個のヌクレオチド、より詳細には76個、82個又は92個のヌクレオチド、より詳細には92個のヌクレオチド)を有し、
- 配列番号20の配列、若しくは
- 配列番号20と同じ長さであり、配列番号20に対して少なくとも95%(より詳細には少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%)同一であるcDNA配列
を含むか、又はその配列である、cDNAアンプリコンを産生するための、P.イロベチイmtSSU遺伝子のRNA転写物のcDNA逆転写物に(又は、P.イロベチイmtSSU遺伝子のRNA転写物に、並びにそれらのcDNA逆転写物に)アニーリングする(mtSSU)プライマー対であってもよい。例えば、上記第1又は第2のプライマー対は、配列番号21及び配列番号22の(mtSSU)プライマー対である。
【0266】
例えば、上記第1又は第2のプライマー対は或いは、60個~110個のヌクレオチド(より詳細には76個~92個のヌクレオチド、より詳細には76個、82個又は92個のヌクレオチド、より詳細には76個のヌクレオチド)を有し、
- 配列番号25の配列、若しくは
- 配列番号25と同じ長さであり、配列番号25に対して少なくとも95%(より詳細には少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%)同一であるcDNA配列
を含むか、又はその配列である、cDNAアンプリコンを産生するための、P.イロベチイmtSSU遺伝子のRNA転写物のcDNA逆転写物に(又は、P.イロベチイmtSSU遺伝子のRNA転写物に、並びにそれらのcDNA逆転写物に)アニーリングする(mtSSU)プライマー対であってもよい。例えば、上記第1又は第2のプライマー対は、配列番号26及び配列番号27の(mtSSU)プライマー対である。
【0267】
当業者の理解に従って、(標的)cDNA又はRNA又はDNAにアニーリングするプライマー対は、フォワード及びリバースプライマーの対としてみなすことができる。フォワードプライマーは、上記(標的)cDNA又はRNA又はDNA中に含有される第1の配列にアニーリングし、リバースプライマーは、上記(標的)cDNA又はRNA又はDNAに相補的な配列中に含有される第2の配列にアニーリングする。上記第1の(標的)配列の5'末端及び上記第2の(標的)配列の5'末端は、上記プライマー対によって産生されるアンプリコンの開始位置及び停止位置としてみなすことができる。より詳細には、及び更に当業者の理解に従って、(標的)cDNA又はRNA又はDNAにアニーリングするプライマー対は、プライマー対としてみなすことができ、ここで、
- 対の第1のプライマーが、上記(標的)cDNA又はRNA又はDNA中に含有され、上記第1のプライマーと同じ長さを有する第1の配列に対して少なくとも95%(より詳細には少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%)同一であり、
- 同じ対の第2のプライマーが、上記(標的)cDNA又はRNA又はDNAに相補的な配列中に含有され、上記第2のプライマーと同じ長さを有する、第2の配列に対して少なくとも95%(より詳細には少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%)同一である。
【0268】
当業者の理解に従って、上記第1の(標的)配列の5'末端及び上記第2の(標的)配列の5'末端は、上記プライマー対によって産生されるアンプリコンの開始位置及び停止位置としてみなすことができる。
【0269】
本出願はまた、上記第1のプライマー対及び/又は上記第1のプローブが付着又は結合される核酸マイクロアレイ、ナノアレイ、チップ又はレーン等の固体支持体に関する。上記固体支持体は、それに付着又は結合された上記第2のプライマー対及び/又は上記第2のプローブを更に含んでもよい。上記固体支持体は、例えば、プラスチック、ガラス若しくはケイ素のマイクロアレイ、ナノアレイ、チップ又はレーンであり得る。
【0270】
本出願はまた、ニューモシスチス肺炎(PCP)を診断若しくは予測するための、より詳細には、ヒト患者(より詳細には、ニューモシスチス・イロベチイ保因者であるヒト患者)が、PCPを有するか若しくは発症するかどうかを診断若しくは予測するための、又はヒト患者(より詳細には、ニューモシスチス・イロベチイ保因者であるヒト患者)におけるPCPに対する薬物若しくは治療の有効性を決定若しくは予測するための、又はPCPを有すると診断され、PCPに対する薬物若しくは治療を受けているか、若しくは受けたヒト患者において、PCPが退行するか、若しくは治療されたかどうかを決定するための、P.イロベチイトランスクリプトームの(in vitroでの)使用に関する。上記使用は、上記第1のP.イロベチイミトコンドリア遺伝子のRNA転写物(の数又は濃度)及び上記第2のP.イロベチイミトコンドリア遺伝子のRNA転写物(の数又は濃度)を検出及び/又は定量化すること、より詳細には定量化することを含む。例えば、上記使用は、上記第1のP.イロベチイミトコンドリア遺伝子(CYTB遺伝子)のRNA転写物(の数又は濃度)及び上記第2のP.イロベチイミトコンドリア遺伝子(mtLSU又はmtSSU、より詳細にはmtLSU)のRNA転写物(の数又は濃度)を検出及び/又は定量化すること、より詳細には定量化することを含む。例えば、上記使用は、上記第1のP.イロベチイミトコンドリア遺伝子(mtSSU)のRNA転写物(の数又は濃度)及び上記第2のP.イロベチイミトコンドリア遺伝子(mtLSU)のRNA転写物(の数又は濃度)を検出及び/又は定量化すること、より詳細には定量化することを含む。
【0271】
本出願はまた、P.イロベチイのトランスクリプトーム、より詳細にはP.イロベチイのRNA転写物であるか、又はそれらを含む核酸ライブラリーに関する。このトランスクリプトーム又は転写物は、上記で論述されるような患者の生物学的試料のトランスクリプトーム又は転写物であり得る。かかるライブラリーは、上記第1のP.イロベチイミトコンドリア遺伝子のRNA転写物(の数又は濃度)及び上記第2のP.イロベチイミトコンドリア遺伝子のRNA転写物(の数又は濃度)を検出及び/又は定量化するのに、より詳細には定量化するのに有用である。例えば、かかるライブラリーは、上記第1のP.イロベチイミトコンドリア遺伝子(CYTB遺伝子)のRNA転写物(の数又は濃度)及び上記第2のP.イロベチイミトコンドリア遺伝子(mtLSU又はmtSSU)のRNA転写物(の数又は濃度)を検出及び/又は定量化するのに、より詳細には定量化するのに有用である。例えば、かかるライブラリーは、上記第1のP.イロベチイミトコンドリア遺伝子(mtSSU)のRNA転写物(の数又は濃度)及び上記第2のP.イロベチイミトコンドリア遺伝子(mtLSU)のRNA転写物(の数又は濃度)を検出及び/又は定量化するのに、より詳細には定量化するのに有用である。
【0272】
本出願のライブラリーは、ハイスループットシーケンシングに、例えばWang等、2009年に記載されるRNA-Seq方法の実行にとりわけ適している。
【0273】
上記ライブラリーは、本出願に従って、例えばニューモシスチス肺炎(PCP)を診断若しくは予測するのに、より詳細には、ヒト患者(より詳細には、ニューモシスチス・イロベチイ保因者であるヒト患者)が、PCPを有するか若しくは発症するかどうかを診断若しくは予測するのに、又はヒト患者(より詳細には、ニューモシスチス・イロベチイ保因者であるヒト患者)におけるPCPに対する薬物若しくは治療の有効性を決定若しくは予測するのに、又はPCPを有すると診断され、PCPに対する薬物若しくは治療を受けているか、若しくは受けたヒト患者において、PCPが退行するか、若しくは治療されたかどうかを決定するのに使用することができる。
【0274】
上記核酸ライブラリーは、例えば、40~400bpのDNA断片を含むか、又はそれらで構成されるDNAライブラリーであってもよく、ここで上記DNA断片はそれぞれ、40個~400個のヌクレオチドのP.イロベチイRNA断片のcDNA逆転写物を含み、40個~400個のヌクレオチドの上記P.イロベチイRNA断片は、P.イロベチイミトコンドリア遺伝子のRNA転写物由来の40個~400個のヌクレオチドの断片である。
【0275】
好適には、上記P.イロベチイミトコンドリア遺伝子は、mtLSU遺伝子、mtSSU遺伝子又はCYTB遺伝子である。
【0276】
好適には、上記DNAライブラリーは、
- P.イロベチイCYTB遺伝子のRNA転写物由来の40個~400個のヌクレオチドの断片のcDNA逆転写物を含む、40~400bpの少なくとも1つの第1のDNA断片、及び
- P.イロベチイmtLSU又はmtSSU遺伝子のRNA転写物由来の40個~400個のヌクレオチドの断片のcDNA逆転写物を含む、40~400bpの少なくとも1つの第2のDNA断片
を含むか、又はそれらで構成され、
ここで、P.イロベチイCYTB遺伝子のRNA転写物由来の40個~400個のヌクレオチドの上記断片は、P.イロベチイmtLSU又はmtSSU遺伝子のRNA転写物由来の40個~400個のヌクレオチドの上記断片と異なる。
【0277】
好適には、
- P.イロベチイCYTB遺伝子のRNA転写物由来の40個~400個のヌクレオチドの上記断片は、P.イロベチイCYTB遺伝子のRNA転写物に特異的であり、
- P.イロベチイmtLSU遺伝子のRNA転写物由来の40個~400個のヌクレオチドの上記断片は、P.イロベチイmtLSU遺伝子のRNA転写物に特異的であり、
- P.イロベチイmtSSU遺伝子のRNA転写物由来の40個~400個のヌクレオチドの上記断片は、P.イロベチイmtSSU遺伝子のRNA転写物に特異的である。
【0278】
好適には、上記DNAライブラリーは、
- P.イロベチイmtSSUのRNA転写物由来の40個~400個のヌクレオチドの断片のcDNA逆転写物を含む、40~400bpの少なくとも1つの第1のDNA断片、及び
- P.イロベチイmtLSU遺伝子のRNA転写物由来の40個~400個のヌクレオチドの断片のcDNA逆転写物を含む、40~400bpの少なくとも1つの第2のDNA断片
を含むか、又はそれらで構成され、
ここで、P.イロベチイmtSSU遺伝子のRNA転写物由来の40個~400個のヌクレオチドの上記断片は、P.イロベチイmtLSUのRNA転写物由来の40個~400個のヌクレオチドの上記断片と異なる。
【0279】
上記DNAライブラリーにおいて、上記DNA断片はそれぞれ、任意選択で、
- P.イロベチイcDNA又はDNAの断片ではなく、上記cDNA逆転写物の5'末端に(共有)結合される、30~150bpの第1のDNA(例えば、第1のシーケンシングアダプターである30~150bpのDNA)、及び
- P.イロベチイcDNA又はDNAの断片ではなく、上記cDNA逆転写物の3'末端に(共有)結合される、30~150bpの第2のDNA(例えば、第2のシーケンシングアダプターであり、上記第1のシーケンシングアダプターと異なる30~150bpのDNA)
を更に含んでもよい。
【0280】
本出願はまた、本出願の方法を実行する(プロセッサー又はマイクロプロセッサーによって、読み取られるか、又は実行される場合に)ための(コード)説明書を含む、プロセシングユニットのメモリにおける、又は上記プロセシングユニットのリーダーとの連携のためのリムーバブルメモリ支持体上での保存のためのコンピュータープログラム製品に関する。
【0281】
より詳細には、本出願のコンピュータープログラム製品は、(プロセッサー又はマイクロプロセッサーによって、読み取られるか、又は実行される場合に)P.イロベチイのミトコンドリアDNA配列に関してRNA又はcDNA配列の読取りを整列させて、上記第1のP.イロベチイミトコンドリア遺伝子(例えば、cytb又はmtSSU)及び上記第2のP.イロベチイミトコンドリア遺伝子(例えば、mtLSU又はmtSSU)のRNA転写物(の数又は濃度)を検出及び/又は定量化する(コード)説明書を含んでもよい。
【0282】
本出願はまた、本出願のコンピュータープログラム製品と、上記第1のP.イロベチイミトコンドリア遺伝子(例えば、cytb又はmtSSU)及び上記第2のP.イロベチイミトコンドリア遺伝子(例えば、mtLSU又はmtSSU)のRNA転写物の定量化の各々の値に関する測定値とがメモリに保存されているプロセシングユニットを含むコンピューターデバイスに関する。
【0283】
本出願は、ヒト患者(より詳細には、ニューモシスチス・イロベチイ保因者であるヒト患者)におけるPCPの治療及び/又は防止及び/又は寛解における使用のためのキットであって、上記治療及び/又は防止及び/又は寛解における同時使用、別個の使用又は順次使用のための1つ又は幾つかの成分を含むキットに関する。上記1つ又は幾つかの有効成分は、例えば、
- 少なくとも1つのジヒドロ葉酸還元酵素阻害剤及び少なくとも1つのスルホンアミド抗生物質(の組合せ又は結合)、例えばトリメトプリム及びスルファメトキサゾール(の組合せ又は結合)(例えば、コトリモキザゾール複合薬)、又は
- エアロゾル化ペンタミジン、又は
- プリマキン及びクリンダマイシン、又は
- アトバクオン、又は
- ピリメタミン、又は
- エキノキャンディン(カスポファンギンを含む)、又は
- コルチコステロイド(プレドニゾンを含む)、又は
- 抗炎症性有効成分、又は
- ダプソン、又は
- ダプソン及びピリメタミン及びロイコボリン
であり得る。
【0284】
より詳細には、上記ヒト患者は、本出願の方法を用いて、PCPを有するか又は発症する危険性が高いと診断又は予測されたヒト患者である。
【0285】
本出願はまた、それを必要とするヒト患者におけるPCPの治療及び/又は防止及び/又は寛解に関する方法に関し、ここで上記ヒト患者は、ニューモシスチス・イロベチイ保因者である。上記方法は、
本出願の方法を用いて、上記ヒト患者が、PCPを有するか又は発症する危険性が高いかどうかを診断又は予測する工程と、
PCPの治療及び/又は防止及び/又は寛解のための薬物又は薬物の組合せを供給する工程と、
上記薬物又は薬物の組合せを上記ヒト患者に投与する工程と
を含む。
【0286】
上記薬物又は薬物の組合せは、
- 少なくとも1つのジヒドロ葉酸還元酵素阻害剤及び少なくとも1つのスルホンアミド抗生物質(の組合せ又は結合)、例えばトリメトプリム及びスルファメトキサゾール(の組合せ又は結合)(例えば、コトリモキザゾール複合薬)、又は
- エアロゾル化ペンタミジン、又は
- プリマキン及びクリンダマイシン、又は
- アトバクオン、又は
- ピリメタミン、又は
- エキノキャンディン(カスポファンギンを含む)、又は
- コルチコステロイド(プレドニゾンを含む)、又は
- 抗炎症性有効成分、又は
- ダプソン、又は
- ダプソン及びピリメタミン及びロイコボリン
を含み得る。
【0287】
「を含んでいる」という用語は、「を包含している」又は「を含有している」と同義であり、制約がなく、更なる、列挙されていない要素、成分又は方法工程を排除しない一方で、「で構成されている」という用語は、閉じた用語であり、明確に列挙されていない任意の更なる要素、工程又は成分を排除する。
【0288】
「で本質的に構成されている」という用語は、部分的に開いた用語であり、更なる、列挙されていない要素、工程又は成分が、本発明の基本的且つ新規特性に実質的に影響を及ぼさない限りは、これらの更なる要素、工程又は成分を排除しない。
【0289】
したがって、「を含んでいる」(又は「を含む」)という用語は、「で構成されている」(「で構成される」)という用語、並びに「で本質的に構成されている」(「で本質的に構成される」)という用語を包含する。したがって、「を含んでいる」(又は「を含む」)という用語は、本出願では、より詳細には「で構成されている」(「で構成される」)という用語、及び「で本質的に構成されている」(「で本質的に構成される」)という用語を包含すると意図される。
【0290】
本出願の読者を助長するために、記述を、様々なパラグラフ又はセクションに分離させてきた。これらの分離は、パラグラフ又はセクションの物質を、別のパラグラフ又はセクションの物質から切り離すとみなされるべきではない。それとは逆に、本出願は、意図され得る様々なセクション、パラグラフ及び文の組合せ全てを包含する。
【0291】
本明細書中で引用する参考文献全ての関連開示はそれぞれ、参照により明確に組み込まれる。下記実施例は、説明の目的で提供されるものであり、限定の目的で提供されるものではない。
【実施例】
【0292】
(実施例1)
材料及び方法
試料
総計200個の連続した気管支肺胞洗浄(BAL)液(BALF)を、2013年1月1日~2013年8月31日に予め収集した。患者が、新たな診断手順を実験するためのBALFの使用に対して反対しないことを宣言した後に、光ファイバー気管支鏡検査法を実行した。BALの部位は、肺高分解能コンピューター断層撮影法による病巣のトポグラフィーによって導かれ、BALは、Alanio等、2011年の標準プロトコールに倣って、滅菌生理食塩水の4つ50mL分取量を用いて実行した。BALFを収集後、時間内に研究室に送った。到着したら、BALFを2,800gで10分間遠心分離して、ペレットを、リン酸緩衝生理食塩水4mLで再懸濁して、1mLの4つの画分に分割した。次に、4本のチューブを8,000gで5分間遠心分離して、2本のチューブのペレットを凍結させて、-80℃で保管した。2つの他のペレットは、Alanio等、2011年に記載されるように、古典的な染色、免疫蛍光手順及びDNA抽出に使用した。
【0293】
DNA PCRの古典的な染色、免疫蛍光及びCq値(Alanio等、2011年)は、各BALFに関して、また同様にBALF前に実行した任意の非侵襲性診断検体(主に、痰及び誘発喀痰)に関しても記録した。
【0294】
7つの試料を繰り返して、免疫蛍光に基づくPCP診断が以前では陽性であった場合を除いて、新たな感染エピソードとしてみなされた。
【0295】
患者
192名の対応する患者は、パリ北部にある3つの病院で管理した(Hospital Saint Louis、1 avenue Claude Vellefaux 75010、パリ、フランス;Hospital Lariboisiere、2 rue Ambroise Pare 75010、パリ、フランス;及びHospital Robert Debre、48 Boulevard Serrurier 75019、パリ、フランス)。性別比は1.5であり、年齢中央値は、2歳~82歳の範囲で50歳であった。P.イロベチイの兆候(免疫蛍光、DNA又はRNA検出)を有する患者において、臨床的、放射線学的及び生物学的特色を含む医療ファイル全体が、2人の専門家(呼吸器科医1人及び感染病専門医1人)によって遡及的に分析された。特異的分析に関して、BAL時のコトリモキザゾール療法の導入日及び持続期間を記録した。最終的な追訪の結果を電子医療ファイルから記録した。基礎疾患を4つのカテゴリー(HIV陽性、血液学的悪性腫瘍、実質臓器移植、その他)に分けた。
【0296】
PCP分類の可能性
急性肺炎エピソードの病因としてのニューモシスチス肺炎(PCP)診断は、PCPの確定、PCPの高い可能性、PCPの可能性及びPCPなしと分類した。確定、高い可能性、可能性の分類に関して使用される判断基準を以下のTable 1(表1)に概要する。他の臨床的状況は、PCPなしと分類した。
【0297】
【0298】
RNA抽出
実験当日、1本のチューブのペレットを解凍して、QIAGEN(登録商標)France S.A.S.社(3 avenue du Canada; LP 809; 91974 COURTABOEUF CEDEX;フランス)からのRNeasy(登録商標)plusミニキット(カタログ番号74136)を使用して、RNAを抽出した。簡潔に述べると、溶解緩衝液RLT350μL+1%ベータメルカプトエタノールをペレットに添加して、ボルテックスした。70%エタノール350μLを添加して、穏やかに混合した。最終容量をカラム中にのせて、製造業者の推奨に倣って、更なる工程を行った。本発明者等は、最終的に、抽出RNA 50μLを得た。
【0299】
遺伝子配列
ミトコンドリアラージサブユニット(mtLSU、RNLとしても公知)のRNA転写物の定量化のためのプライマー及びプローブを設計するのに使用した参照配列は、GENBANK(登録商標)において、受託番号JX499143.1 REGION: 12373..15076(配列番号1)で言及され、それは、
【0300】
【0301】
である。
【0302】
ミトコンドリアスモールサブユニット(mtSSU、RNSとしても公知)のRNA転写物の定量化のためのプライマー及びプローブを設計するのに使用した参照配列は、GENBANK(登録商標)において、受託番号JX499143.1, REGION: 31755..33192(配列番号2)で言及され、それは、
【0303】
【0304】
である。
【0305】
シトクロムB(CYTB)のRNA転写物の定量化のためのプライマー及びプローブを設計するのに使用した参照配列は、GENBANK(登録商標)において、受託番号AF074871.1(配列番号3)で言及され、それは、
【0306】
【0307】
である。
【0308】
ベータチューブリン(BTUB)のRNA転写物の定量化のためのプライマー及びプローブを設計するのに使用した参照配列は、GENBANK(登録商標)において、受託番号AF170964.1(配列番号4)で言及され、それは、
【0309】
【0310】
である。
【0311】
HSP70のRNA転写物の定量化のためのプライマー及びプローブを設計するのに使用した参照配列は、GENBANK(登録商標)において、受託番号DQ987621.1(配列番号5)で言及され、それは、
【0312】
【0313】
である。
【0314】
COX1のRNA転写物の定量化のためのプライマー及びプローブを設計するのに使用した参照配列は、GENBANK(登録商標)において、受託番号JX499143.1, REGION: 16256..17836(配列番号6)で言及され、それは、
【0315】
【0316】
である。
【0317】
NAD1のRNA転写物の定量化のためのプライマー及びプローブを設計するのに使用した参照配列は、GENBANK(登録商標)において、受託番号JX499143.1, REGION: 29671..30672(配列番号7)で言及され、それは、
【0318】
【0319】
である。
【0320】
ATP9のRNA転写物の定量化のためのプライマー及びプローブを設計するのに使用した参照配列は、GENBANK(登録商標)において、受託番号JX499143.1, REGION: 20225..20449(配列番号8)で言及され、それは、
【0321】
【0322】
である。
【0323】
qRT-PCR増幅
各試料に関して、mtLSU、CYTB、BTUB、HSP70、COX1、NAD1及びATP9遺伝子の発現を試験した(RNA転写物の定量化)。PCR反応は全て、0.3μMの各プライマー、0.1μMのプローブ及びRNAの1:2希釈液2μLを用いて、一工程qRT-PCR用のEXPRESS SuperScript(登録商標)III Mix(LIFE TECHNOLOGIES(商標)社によるINVITROGEN(商標);5791 Van Allen way; Carlsbad; CA 92008;米国)0.2μL、1X EXPRESS SuperScript(登録商標)III SuperMix Universal緩衝液(LIFE TECHNOLOGIES(商標)社によるINVITROGEN(商標);5791 Van Allen way; Carlsbad; CA 92008;米国)を含有する最終容量10μL中で、LIGHTCYCLER(登録商標)480機器(ROCHE DIAGNOSTICS社;2, Avenue du Vercors; BP 59; 38242 MEYLAN CEDEX;フランス)で実行した。反応は、50℃15分の逆転写工程、続く95℃2分のDNAポリメラーゼ活性化並びに95℃15秒及び60℃30秒の45サイクルで構成された。
【0324】
mtLSU(RNA)標的は、
【0325】
【0326】
であった。
【0327】
mtLSU標的のcDNA逆転写物は、(配列番号1由来の断片861~981):
【0328】
【0329】
であった。
【0330】
mtLSU RNAの標的領域の検出に使用したプライマー及びプローブは、TAQMAN(登録商標)方式(5'ではFAM(商標)及び3'ではMGB(登録商標))で、
【0331】
【0332】
であった。
【0333】
FAM(商標)=6-カルボキシフルオレセイン色素
MGB(登録商標)=Minor Groove Binder(登録商標)クエンチャー
【0334】
mtSSU(RNA)標的は、
【0335】
【0336】
であり得る。
【0337】
このmtSSU標的のcDNA逆転写物は、(配列番号2由来の断片1154~1235):
【0338】
【0339】
であり得る。
【0340】
このmtSSU RNA標的領域の検出用のプライマー及びプローブは、TAQMAN(登録商標)方式(5'ではFAM(商標)及び3'ではBHQ-1(登録商標))で、
【0341】
【0342】
であり得る。
【0343】
BHQ-1(商標)=Black Hole Quencher(登録商標)-1。
【0344】
別のmtSSU(RNA)標的は、
【0345】
【0346】
であり得る。
【0347】
このmtSSU標的のcDNA逆転写物は、(配列番号2由来の断片1150~1241):
【0348】
【0349】
であり得る。
【0350】
このmtSSU RNA標的領域の検出用のプライマー及びプローブは、TAQMAN(登録商標)方式(5'ではFAM(商標)及び3'ではBHQ-1(登録商標))で、
【0351】
【0352】
であり得る。
【0353】
更に別のmtSSU(RNA)標的は、
【0354】
【0355】
であり得る。
【0356】
このmtSSU標的のcDNA逆転写物は、(配列番号2由来の断片1098~1173):
【0357】
【0358】
であり得る。
【0359】
このmtSSU RNA標的領域の検出用のプライマー及びプローブは、TAQMAN(登録商標)方式(5'ではFAM(商標)及び3'ではBHQ(登録商標))で、
【0360】
【0361】
であり得る。
【0362】
CYTB(RNA)標的は、
【0363】
【0364】
であった。
【0365】
CYTB標的のcDNA逆転写物は、(配列番号3由来の断片242~346):
【0366】
【0367】
であった。
【0368】
CYTB RNAの標的領域の検出に使用したプライマー及びプローブは、TAQMAN(登録商標)方式(5'ではFAM(商標)及び3'ではTAMRA(商標))で、
【0369】
【0370】
であった。
【0371】
TAMRA(商標)=カルボキシテトラメチルローダミン蛍光色素。
【0372】
BTUB RNAの検出に使用したプライマー及びプローブは、TAQMAN(登録商標)方式(5'ではFAM(商標)及び3'ではTAMRA(商標))で、
【0373】
【0374】
であった。
【0375】
HSP70 RNAの検出に使用したプライマー及びプローブは、TAQMAN(登録商標)方式(5'ではFAM(商標)及び3'ではTAMRA(商標))で、
【0376】
【0377】
であった。
【0378】
規定の定量化による試料の分取量を各PCRで使用して、内部対照として実行されて、再現性を測定した。mtLSU、CYTB、BTUB及びHSP70に関して、Cq値±SDは、それぞれ24.1±0.3、23.6±0.3、32.5±0.3、29.0±0.2であった。
【0379】
COX1 RNAの検出に使用したプライマー及びプローブは、TAQMAN(登録商標)方式(5'ではFAM(商標)及び3'ではBHQ-1(商標))で、
【0380】
【0381】
であった。
【0382】
BHQ-1(商標)=Black Hole Quencher(登録商標)-1。
【0383】
NAD1 RNAの検出に使用したプライマー及びプローブは、TAQMAN(登録商標)方式(5'ではFAM(商標)及び3'ではBHQ-1(商標))で、
【0384】
【0385】
であった。
【0386】
ATP9 RNAの検出に使用したプライマー及びプローブは、TAQMAN(登録商標)方式(5'ではFAM(商標)及び3'ではBHQ-1(商標))で、
【0387】
【0388】
であった。
【0389】
遺伝子発現の決定
種々の試料の遺伝子発現レベルの決定のために、定量化データ(Cq)全てを、BTUB発現と比較して正規化した。実験較正曲線により、各PCRに関する遺伝子発現を決定するのに必要とされるPCR効率(e)の決定が可能となった。最終的に、
CYTB/mtLSU比=E(CYTB)-Cq(CYTB)/E(mtLSU)-Cq(mtLSU)
としてPfaffl、2001年の式の変更を伴って、BTUB発現を考慮せずに、CYTBの発現をmtLSU遺伝子と比較した。
【0390】
対数期における1つのサイクルのリアルタイムPCR効率(E)は、Pfaffl、2001年に記載されるように式E=10[-1/slope]に従って算出した。CYTB、mtLSU、BTUB及びHSP70に関するリアルタイムPCR効率の値をTable 8(表8)に報告する。
【0391】
データ分析
患者1人当たり試料1つのみを用いて、臨床データとの相関を行った。PRISM(登録商標)v5.0(GraphPAD Software Inc.社;7825 Fay Avenue; Suite 230; LA JOLLA; CA 92037、米国)を用いて、統計学的分析を行った。
【0392】
結果
BALF中でのRNAの検出
試料200個全てから、mtLSU RNA PCRを、日常的な試験として実行されるmtLSU DNA PCRと比較した。試料200個から、RNA及びDNA PCRを用いた場合に、34名(17%)がともに陽性であり、148名(74%)がともに陰性であった。以下のTable 2(表2)を参照されたい。
【0393】
【0394】
試料5個(2.5%)において、mtLSU DNAは検出されたが、RNAは検出されなかったのに対して、13個の試料では、mtLSU RNAは検出されたが、DNAは検出されなかった(上記Table 2(表2)を参照)。RNA検出(n=47)は、BALF中でDNA検出(n=39)よりも感度が高い。
【0395】
更に、真菌負荷は、DNA検出を用いた場合よりも、RNAを用いた場合に有意に高かった(
図1、対応のあるt検定:p<0.0001)。RNA検出は、3.577の平均ΔCq(DNA-RNA)(95%信頼区間:2.681~4.473)で、DNAよりも10倍高い検出をもたらした。
【0396】
mtLSU rRNAに関して陽性である試料47個において、CYTB、BTU及びHSP70 mRNAは、それぞれ31個(66%)、32個(68%)及び32個(68%)の試料で検出された。
【0397】
PCP分類の臨床的可能性
192名の患者から予め収集した200個のBALFから、陽性DNA PCRを保有する試料2個(患者2名)を、臨床データの欠如のため排除した。
【0398】
最終的に、RNA又はDNA検出のいずれかを伴う総計49名の患者(試料50個)を分類のために調査した。18名の患者をPCP(14名の患者においてPCPの確定、1名の患者においてPCPの高い可能性、及び3名の患者においてPCPの可能性)と、また31名の患者をPCPなしとみなした。
【0399】
疾患の種々の群の配分の差は、PCPを患う患者及びPCPを患わない患者において観察されなかった(chi-2、p=0.063、以下のTable 3(表3)を参照)。
【0400】
【0401】
PCP患者において、14個の試料(14名の患者)が、診断的試料であり、5個の試料(4名の患者)は、診断的試料として遂行されず、PCP診断後及びコトリモキサゾール処理の15日超後の持続性の又は最近感染された肺炎の他の病因に関して検査するように遂行された(他の検体に関して別々に分析されて、追跡試料と呼ばれた)。PCPを患う患者は、血液学的悪性腫瘍(7/14、50%)、HIV患者(8/14、57%)、実質臓器移植(SOT)(1/14、7%)及びその他の背景(2/14、14%)で構成された。免疫蛍光は、8/14(57%)の患者で陽性であり、6/14(43%)の患者で陰性であった。免疫蛍光の結果に基づいて、感度及び特異性は、それぞれ0.57(95% CI、0.289~0.823)及び1.00(95% CI、0.888~1.000)であった。定量化の結果(mtLSU RNA PCR)のROC曲線分析により、30.49と31.78との間の最良の定量化サイクル(Cq)閾値の決定が可能となった(
図2A及び
図3B)。定量化の結果に基づいて、最適な感度及び特異性は、診断的試料に関しては0.812(95% CI、0.543~0.959)及び0.960(95% CI、0.796~0.999)であり(n=41、
図2A及びTable 7(表7))、診断的及び追跡試料に関しては、0.650(94% CI、0.408~0.846)及び0.961(95% CI、0.804~0.999)であった(n=46、
図2B及びTable 7(表7))。
【0402】
患者の種々のカテゴリーにおける可変的なCYTB/mtLSU比
PCPなしの患者は、陽性mtLSU RNA及び陰性CYTB RNA PCRを有する16個の試料において、また陰性mtLSU及びCYTB RNA PCRを有する152個の試料において記録された(以下のTable 6(表4)を参照)。
【0403】
【0404】
CYTB/mtLSU比のROC曲線分析を行い、1.27と1.66との間の閾値は、より高い尤度比(LR: 12.96)が可能であることを示した(以下のTable 4(表5)を参照、
図2A及び
図3Bを参照)。
【0405】
【0406】
5個の追跡試料の添加後、同じ範囲の比により、より高い尤度比(LR: 13.13)が可能であった(以下のTable 5(表6)を参照、
図2B及び
図3Bを参照)。
【0407】
【0408】
【0409】
処理を伴わない場合、IF陽性試料は全て、1.27未満の比を有した。IF陽性試料を有する患者におけるコトリモキサゾールの15日後、CYTB及びmtLSUは増幅することができ、比は、1.66を上回った。IF陰性試料では、PCPを患うが、陰性IFを有する患者に、又はコロニー形成された患者に相当する、1.27未満の比及び1.66を上回る比が観察された。臨床的分類後、PCP患者由来の試料は、主に1.27未満の比を有していた(13/14、92.9%)のに対して、15日を上回ってコトリモキサゾールで処理した患者由来の試料(5/5、100%)及びPCPを患わない患者由来の試料は、主に1.66を上回る比(9/11、81.9%)を有していた(上記Table 6(表4)を参照、
図3Bを参照)。
【0410】
PCP Xpress試験の性能
続いて、本発明者等の試験の診断性能を、試料の種々のカテゴリーに基づいて算出した。比が、1.5でのCYTB/mtLSU比の閾値(]1.27から1.66[の間の閾値)を用いて決定可能である試料(陽性CYTB及びmtLSU RNA PCR、n=25)を考慮して、感度、特異性、陽性予測値(PPV)及び陰性予測値(NPV)並びに尤度比(LR)は、0.867、0.900、0.929、0.818、8.667であった(以下のTable 7(表7)を参照)。
【0411】
【0412】
【0413】
陰性CYTB発現を伴う16個の試料が、1.5でのCYTB/mtLSU比の閾値(]1.27から1.66[の間の閾値)で添加される場合、感度、特異性、PPV及びNPV並びにLRは、0.867、0.961、0.929、0.926、22.53であった(上記Table 7(表7)を参照)。1.5でのCYTB/mtLSU比の閾値(]1.27から1.66[の間の閾値)を伴う全ての診断的試料が考慮される場合、感度、特異性、PPV及びNPV並びにLRは、0.867、0.994、0.929、0.989、154.3であった(上記Table 7(表7)を参照)。試料の各カテゴリーにおいて追跡試料が含まれる場合、尤度比は、診断的試料単独を用いた場合よりも高かった(上記Table 7(表7)を参照)。概して、尤度比は、mtLSU RNA定量化を用いた場合よりも、PCP Xpressを用いた場合に高かった(LR=158.6)(上記Table 7(表7)を参照)。
【0414】
mtLSUと比較した他の遺伝子(HSP70、BTUB、COX1、NAD1、ATP9)に関する遺伝子発現の実験
HSP70遺伝子は、そのmRNAが、ニューモシスチス症のラットモデルにおける劇症(fulminate)感染中のニューモシスチス・カリニのトランスクリプトーム分析で見出される最も豊富な転写物のうちの1つであったため試験した。BTUB遺伝子は、参照遺伝子として使用し、同様にmtLSUと比較して試験した。他のミトコンドリア遺伝子もまた研究した:COX1、NAD1及びATP9。
【0415】
BTUB及びHSP70遺伝子発現は、CYTB及びmtLSUと並行して、全ての試料において試験した。COX1、NAD1及びATP9は、9個の陽性試料(PCP患者から回収した4個、及びPCPを患わない患者から回収した5個)で試験した。ATP9は、診断的マーカーとして使用されるよう十分発現されなかった。
【0416】
各遺伝子に関して、mtLSUと比較した比は、上述するように算出した。
【0417】
本発明者等の研究におけるHSP70及びBTUB比は、それぞれ5.83及び9.69の最大尤度比をもたらした。これらの値は、CYTBに関するよりも低かった(
図4を参照)。他の比(CYTB対BTUB、mtLSU対BTUB、HSP70対BTUB、HSP70対CYTB)は、PCPと非PCP試料との間に正確な識別をもたらさなかった。更に、PCP及び非PCP試料において、COX1及びNAD1比においていかなる差も観察することはできなかった(以下のTable 8(表8)を参照)。
【0418】
【0419】
(実施例2)
RNA抽出及び/又は精製の対照としての内部対照の添加
人工又は外因性RNAを、抽出及び/又は精製工程に先立って試料に添加することができる。かかる人工又は外因性RNAは、内部抽出対照RNA(IECR)として公知である。
【0420】
IECRは、較正されたRNAを含有する人工細胞であり得る。RNA抽出後に、また標的遺伝子(CYTB及びmtLSU)を試験することと並行して、対照IECRの存在及び量を、専用の混合物において、及び特定のウェル中の特定のプライマーにおいて、添加時に試験される。内部対照RNAに由来するシグナルにより、抽出工程の成功が確認され、またRNA試料における阻害剤の存在を決定するのにも使用される。IECRは、任意の公開された配列に対して著しく公知の相同性を有さず、試料RNA(ヒト及び真菌)の検出を妨害すべきでない配列を含有する。陰性対照反応もまた実行され得る。
【0421】
IECRの例として、
- BIOLINE社(BIOLINE USA Inc.社;305 Constitution Dr.; TAUNTON; MA 027080;米国)によって、カタログ番号BIO-38040又はBIO-35040で商品化されたRNA抽出対照、
- LIFE TECHNOLOGIES S.A.S.社(route de l'orme des merisiers; Immeuble Discovery - Zone Technologique; 91190 SAINT AUBIN、フランス)によって、カタログ番号4456740で商品化されているAMBION(登録商標)ERCC RNA Spike-In Controls、及び
- QIAGEN(登録商標)社(QIAGEN(登録商標)France S.A.S.社;3, avenue du Canada; LP 809; 91974 COURTABOEUF CEDEX;フランス)によって、カタログ番号211492で商品化されているRNA内部対照
が挙げられる。
【0422】
抽出及び/又は精製工程に先立つ人工又は外因性RNAの導入に代わって、対照は、上記抽出及び/又は精製工程後に、ヒト遺伝子が依然として存在することを検出することによって実行することができる。適切なヒト遺伝子の例は、当該技術分野で公知であり、ヒトアルブミン(ALB)遺伝子又はヒトTATA Box結合タンパク質(TBP)等の構成遺伝子を含む。
【0423】
上記ヒト遺伝子は、上記ヒト遺伝子を特異的に検出するプローブ、より詳細にはプライマー対及び(リアルタイム)プローブを使用して検出することができる。
【0424】
ヒトアルブミン(ALB)遺伝子に関するプライマー対及び(リアルタイム)プローブの例として、
【0425】
【0426】
が挙げられる。
【0427】
ヒトTATA Box結合タンパク質(TBP)に関するプライマー対及び(リアルタイム)プローブの例として、
【0428】
【0429】
が挙げられる。
【0430】
(実施例3)
代替的なCYTBプローブ及びプライマー
上記実施例1で使用したCYTB(cDNA)プローブは、5'ではFAM(商標)フルオロフォアを、及び3'ではTAMRA(商標)クエンチャーを使用した、TAQMAN(登録商標)方式での配列番号33のプローブであった。
【0431】
TAMRA(登録商標)クエンチャーに代わって、Black-Hole Quencher(登録商標)-1(BHQ(登録商標)1)を首尾よく使用した。この代替的なクエンチャーを用いて、シンプレックスRT-PCRの効率は、1.94であった。
【0432】
シンプレックスRT-PCR効率は、mtLSU(実施例1に記載するように配列番号11~配列番号13のプライマー及びプローブ)に関して1.92であった。
【0433】
シンプレックスRT-PCR効率は、mtSSU(実施例1に記載するように配列番号26~配列番号28のプライマー及びプローブ)に関して1.95であった。
【0434】
各シンプレックスRT-PCRを、実施例1に記載するように、即ち、0.3μMの各プライマー、0.1μMのプローブ及びRNAの1:2希釈液2μLを用いて、一工程qRT-PCR用のEXPRESS SuperScript(登録商標)III Mix(LIFE TECHNOLOGIES(商標)社によるINVITROGEN(商標);5791 Van Allen way; Carlsbad; CA 92008;米国)0.2μL、1X EXPRESS SuperScript(登録商標)III SuperMix Universal緩衝液(LIFE TECHNOLOGIES(商標)社によるINVITROGEN(商標);5791 Van Allen way; Carlsbad; CA 92008;米国)を含有する最終容量10μL中で、LIGHTCYCLER(登録商標)480機器(ROCHE DIAGNOSTICS社;2, Avenue du Vercors; BP 59; 38242 MEYLAN CEDEX;フランス)で実行した。反応は、50℃15分の逆転写工程、続く95℃2分のDNAポリメラーゼ活性化並びに95℃15秒及び60℃30秒の45サイクルで構成された。
【0435】
配列番号33のヌクレオチド配列(CYTB cDNAプローブ)は、少なくとも1つのヌクレオチドをそのロックド核酸(LNA(商標))様式(EXIQON(商標)Inc.社、14 F Gill Street Woburn MA 01801、米国)で置き換えるように修飾することができる。
【0436】
例えば、配列番号33の配列のT、A及びGヌクレオチドの少なくとも1個を、それぞれLNA(商標)-T、LNA(商標)-A又はLNA(商標)-Gで置き換えることができる。
【0437】
例えば、配列番号33の配列の1個~5個のヌクレオチドは(それぞれ)、それらの(各々の)LNA(商標)様式で置き換えることができる。
【0438】
例えば、配列番号33の配列のT、A及びGヌクレオチドの1個~5個は(それぞれ)、それらの(各々の)LNA(商標)対応物、即ち、それぞれLNA(商標)-T、LNA(商標)-A又はLNA(商標)-Gで置き換えることができる。
【0439】
例えば、配列番号33のヌクレオチド配列(CTT-TCT-TGG-GAT-ATG-TTC-TGC-C)は、CT8-TCT-8GG-G5T-ATG-8TC-T7C-C(式中、8=LNA(商標)-T、5=LNA(商標)-A及び7=LNA(商標)-G)(配列番号58)へと修飾することができる[配列番号58に相補的な配列は、G-G6A-GA5-CAT-A8C-CC5-AGA-5AG(式中、8=LNA(商標)-T、5=LNA(商標)-A、7=LNA(商標)-G及び6=LNA(商標)-C)(配列番号59)である]。
【0440】
かかるLNA修飾は、ヌクレオチド配列の特異性を増加させると(即ち、配列番号33又はその相補配列の場合では、CYTB cDNAプローブの特異性を増加させると)意図される。
【0441】
上記実施例1で使用したCYTBフォワードプライマーは、配列番号31の配列のプライマーであった。或いは、配列番号13のヌクレオチド配列(CYTB_Pj242F: 5'-CTC-CCA-GAA-TTC-TCG-TTT-GG-3')は、IUPACヌクレオチドコードに従って、CTC-CCA-GAA-TTC-TMG-TTT-GG(式中、M=C又はA)(配列番号60)に修飾することができる。
【0442】
かかる縮重プライマーは、このゲノムにおいて、CYTB遺伝子に相当する配列番号3のヌクレオチド配列の255位にC又はAのいずれかを有する患者由来の試料におけるCYTB mRNAの検出及び定量化を可能にすると意図される。
【0443】
(実施例4)
代替的な比(mtSSU/mtLSUの比)
18名の患者の気管支肺胞洗浄(BAL)液試料を、mtSSU及びmtLSUのRNA転写物の検出及び定量化に関して分析した[P.肺炎保因者である12名の非PCP患者、及びいかなる抗PCP治療も受けていないか、又は多くても15日間、抗PCP治療を受けた6名のPCP患者]。
【0444】
試料は全て、両方のRNA転写物(mtSSU及びmtLSU)に関して陽性であった。
【0445】
mtLSU RT-PCRは、上記実施例1に記載するように実行した(配列番号11~配列番号12のmtLSUプライマー及び配列番号13のプローブを用いて)。
【0446】
mtSSU RT-PCRは、上記実施例1に記載するように実行した(配列番号26~配列番号27のmtSSUプライマー及び配列番号28のプローブを用いて)。
【0447】
mtSSU及びmtLSUの定量化:
mtSSU遺伝子は、それぞれ、30.00[CI95% 26.51~31.36]と比較して27.90[CI95% 24.39~28.55]の中央値で、mtLSUよりも有意に良好なサイクルの結果をもたらす(p<0.001)。
図5を参照されたい。
【0448】
mtSSU/mtLSU比:
mtSSU/mtLSU RNA比は、PCPと保因との間の識別を可能にする(最適比は、2.7である)。
【0449】
3.1~3.3の比は、感度100%をもたらすが、より低い特異性を伴う(3.1で75%、及び3.3で66.6%)。しかしながら、その目的が、保因を有する患者を同定するとともに、PCP診断を可能にすることであった場合、3.1~3.3の比は、PCPに関して治療される必要があるPCP患者の誤認を回避するのに最適である。
【0450】
mtLSU又はmtSSU定量化(サイクル)で得られるROC曲線の比較は単独で、両方に関して6の最大尤度比を付与した。mtSSU/mtLSU比は、最良の結果を付与した(2.7の比に関して、10の尤度比)。
図6を参照されたい。
【0451】
図7は、PCP患者における、及び保因者患者におけるmtSSU/mtLSU RNA比の値の分布を示す。
【0452】
図8は、PCP患者における、及び保因者患者におけるmtSSU及びmtLSU遺伝子のRNA転写物の定量化値(サイクル)の分布を示す。
(参考文献)
【配列表】