IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

<>
  • -コネクタホルダ 図1
  • -コネクタホルダ 図2
  • -コネクタホルダ 図3
  • -コネクタホルダ 図4
  • -コネクタホルダ 図5
  • -コネクタホルダ 図6
  • -コネクタホルダ 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-12
(45)【発行日】2022-05-20
(54)【発明の名称】コネクタホルダ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/73 20060101AFI20220513BHJP
   H01R 13/516 20060101ALI20220513BHJP
【FI】
H01R13/73 Z
H01R13/516
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018045775
(22)【出願日】2018-03-13
(65)【公開番号】P2019160563
(43)【公開日】2019-09-19
【審査請求日】2020-12-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】391045897
【氏名又は名称】古河AS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【弁理士】
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100182888
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100196357
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 吉章
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】金次 良高
【審査官】濱田 莉菜子
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-146603(JP,A)
【文献】特開2001-332347(JP,A)
【文献】実開平07-030470(JP,U)
【文献】実開平4-78782(JP,U)
【文献】実開昭61-133985(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R13/60
H01R13/516
H01R13/73
H01R13/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コネクタが挿入される挿入方向に沿って貫通するとともに、前記コネクタが収容される収容空間を有するホルダ本体を備えたコネクタホルダであって、
前記挿入方向に対して逆向きの方向を離脱方向として、
前記ホルダ本体が、
所定位置に位置する前記コネクタの前記離脱方向への移動を規制する規制部と、
前記離脱方向の弾性を有するとともに、前記所定位置に位置する前記コネクタにおける前記挿入方向の端部に対して当接する弾性片と
前記弾性片よりも前記挿入方向側に、前記挿入方向への前記コネクタの移動を規制するストッパ部とを備え
前記規制部、及び前記ストッパ部が、
前記挿入方向から見た挿入方向視において、前記挿入方向に対して直交する方向に沿って所定間隔を隔てて並置され、
前記弾性片が、
前記挿入方向視において、前記規制部と前記ストッパ部との間に並置された
コネクタホルダ。
【請求項2】
前記弾性片が、
前記挿入方向に沿った断面において、前記収容空間を構成する前記ホルダ本体の内面に突設された略平板状であり、前記挿入方向に対して交差する面を有する断面形状に形成された
請求項1に記載のコネクタホルダ。
【請求項3】
前記弾性片が、
前記挿入方向に沿った断面において、前記収容空間を構成する前記ホルダ本体の内面に突設されるとともに、前記挿入方向、または前記離脱方向に湾曲または屈曲した断面形状に形成された
請求項1に記載のコネクタホルダ。
【請求項4】
前記挿入方向に沿った断面において、前記弾性片が、
前記コネクタの角部に対応する形状のコネクタ角受け部を備えた
請求項1から請求項3のいずれか1つに記載のコネクタホルダ。
【請求項5】
前記挿入方向から見た挿入方向視または/および前記挿入方向に沿った断面において、前記弾性片が、
先端に対して基部が幅広の形状に形成された
請求項1から請求項4のいずれか1つに記載のコネクタホルダ。
【請求項6】
前記ホルダ本体が、複数の前記ストッパ部を備え、
前記ホルダ本体の前記収容空間が、
前記挿入方向から見た挿入方向視において挿入方向視矩形に形成され、
前記ストッパ部が、
前記挿入方向視における前記収容空間の隅部に形成され、
前記規制部が、
前記挿入方向視において、前記ストッパ部の間に形成された
請求項1から請求項5のいずれか1つに記載のコネクタホルダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えばコネクタを収容する収容空間を有するとともに、コネクタを車両の車体などに取付けるようなコネクタホルダに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車などの車両において、例えば、車載バッテリと車載機器とを接続するワイヤーハーネスは、その全長が長くなり易いため、適宜の位置で分割するとともに、分割した先端に設けたコネクタ同士を雌雄嵌合させることで、車体への配索を容易にしている。
【0003】
このようなワイヤーハーネスは、予め車体に配索されたワイヤーハーネスのコネクタに対して、別のワイヤーハーネスのコネクタを雌雄嵌合して、車体に配索することがある。この際、コネクタは、例えば、特許文献1のようなコネクタホルダを介して車体に固定されている。
【0004】
具体的には、特許文献1のコネクタホルダは、コネクタの挿通方向に貫通する収容空間を有するとともに、コネクタを着脱自在に支持するコネクタ装着部を備えている。そして、特許文献1のコネクタホルダは、コネクタに設けたホルダ装着部がコネクタホルダのコネクタ装着部に係合することで、収容空間にコネクタを収容保持できるとされている。
【0005】
ところで、コネクタホルダの収容空間は、挿通方向に沿ったコネクタの挿通を許容する必要があるため、コネクタの外形に対して僅かに大きな形状に形成されている。すなわち、収容空間を構成するコネクタホルダの内面とコネクタの外面との間には必ず隙間が生じることになる。
【0006】
このため、例えば、走行による振動やエンジンの振動がコネクタに作用した際、コネクタがガタついて、収容空間を構成するコネクタホルダの内面とコネクタとが接触して異音などが生じるおそれがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2001-185277号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上述した問題に鑑み、収容空間の所定位置に収容されたコネクタのガタつきを抑えられるコネクタホルダを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明は、コネクタが挿入される挿入方向に沿って貫通するとともに、前記コネクタが収容される収容空間を有するホルダ本体を備えたコネクタホルダであって、前記挿入方向に対して逆向きの方向を離脱方向として、前記ホルダ本体が、所定位置に位置する前記コネクタの前記離脱方向への移動を規制する規制部と、前記離脱方向の弾性を有するとともに、前記所定位置に位置する前記コネクタにおける前記挿入方向の端部に対して当接する弾性片と、前記弾性片よりも前記挿入方向側に、前記挿入方向への前記コネクタの移動を規制するストッパ部とを備え、前記規制部、及び前記ストッパ部が、前記挿入方向から見た挿入方向視において、前記挿入方向に対して直交する方向に沿って所定間隔を隔てて並置され、前記弾性片が、前記挿入方向視において、前記規制部と前記ストッパ部との間に並置されたことを特徴とする。
【0010】
上記コネクタは、例えば、電線の先端に圧着した圧着端子を収容保持するコネクタ、あるいは光ファイバーケーブルの先端を収容保持するコネクタなどを含むものとする。
上記規制部は、例えば、係止によってコネクタの移動を規制する構成、嵌合によってコネクタの移動を規制する構成、あるいは当接によってコネクタの移動を規制する構成などを含むものとする。
【0011】
この発明により、コネクタホルダは、収容空間の所定位置に収容されたコネクタのガタつきを抑えることができる。
具体的には、離脱方向の弾性を有する弾性片をホルダ本体に備えたことにより、コネクタホルダは、収容空間の内部において、コネクタを弾性片の弾性力によって離脱方向へ押圧することができる。
【0012】
この際、コネクタホルダは、規制部によって離脱方向へのコネクタの移動を規制できるため、挿入方向及び離脱方向へのコネクタの移動を抑制することができる。換言すれば、コネクタホルダは、挿脱方向におけるコネクタの位置を、規制部と弾性片とによって決定することができる。
【0013】
さらに、例えば、離脱方向に加えて、離脱方向に対して直交する直交方向へコネクタを押圧する形状に弾性片を形成した場合、あるいは、離脱方向にコネクタを押圧する弾性片に加えて、直交方向へコネクタを押圧する弾性片を設けた場合、コネクタホルダは、挿脱方向だけでなく、直交方向へのコネクタの移動も抑制することができる。
加えて、コネクタホルダは、収容空間の内部において、コネクタを揺動させるような荷重を、弾性片の弾性力によって吸収することができる。
【0014】
これにより、コネクタを揺動させるような荷重がコネクタに作用した場合であっても、コネクタホルダは、収容空間の内部において、コネクタのガタつきを抑えることができる。このため、コネクタホルダは、収容空間を構成するコネクタホルダの内面とコネクタとの接触を防止して、コネクタのガタつきによる異音の発生を抑えることができる。
【0015】
さらにまた、例えば、コネクタホルダに収容されたコネクタに対して、別のコネクタを雌雄嵌合する際、コネクタのガタつきを抑えたことで、コネクタホルダは、コネクタ同士の嵌合を容易にすることができる。
このように、コネクタホルダは、少なくとも離脱方向の弾性を有する弾性片によって、収容空間の所定位置に収容されたコネクタのガタつきを抑えることができる。
【0016】
さらに、この発明は、前記ホルダ本体が、前記弾性片よりも前記挿入方向側に、前記挿入方向への前記コネクタの移動を規制するストッパ部を備えたことを特徴とする。
この発明により、コネクタホルダは、コネクタが挿入方向に沿って収容空間から脱出することを、ストッパ部によって確実に防止することができる。
従って、コネクタホルダは、収容空間の所定位置にコネクタを確実に収容することができる。
【0017】
さらにまた、この発明は、前記規制部、及び前記ストッパ部が、前記挿入方向から見た挿入方向視において、前記挿入方向に対して直交する方向に沿って所定間隔を隔てて並置され、前記弾性片が、前記挿入方向視において、前記規制部と前記ストッパ部との間に並置されたことを特徴とする。
この発明により、コネクタホルダは、挿入方向に沿って貫通した収容空間の成形性を損なうことなく、コネクタのガタつきを抑えることができる。
【0018】
具体的には、例えば、挿入方向視において、弾性片、規制部、及びストッパ部が重なり合うように配置された場合、収容空間を形成する金型が複数、かつ複雑な形状となるため、コネクタホルダの成形性が低下するおそれがある。
【0019】
さらに、挿入方向視において、弾性片とストッパ部とが重なり合うように配置された場合、ストッパ部が弾性片の挿入方向への弾性変形を阻害しないように、挿脱方向における弾性片とストッパ部との間隔を大きく確保する必要がある。そうすると、挿脱方向におけるコネクタホルダの長さが長くなり、コネクタホルダが大型化するおそれがあった。
【0020】
これに対して、挿入方向視において、挿入方向に対して直交する方向に沿って弾性片、規制部、及びストッパ部が並置されたことにより、コネクタホルダは、挿入方向の長さを抑えるとともに、収容空間の成形性が低下することを防止できる。
従って、コネクタホルダは、挿入方向に沿って貫通した収容空間の成形性を損なうことなく、コネクタのガタつきを抑えることができる。
【0021】
この発明の態様として、前記弾性片が、前記挿入方向に沿った断面において、前記収容空間を構成する前記ホルダ本体の内面に突設された略平板状であり、前記挿入方向に対して交差する面を有する断面形状に形成されてもよい。
【0022】
この発明により、コネクタホルダは、コネクタの角部に対して弾性片を当接させることができる。このため、コネクタホルダは、弾性片の弾性力によって、離脱方向、及び直交方向にコネクタを押圧することができる。これにより、コネクタホルダは、挿脱方向だけでなく、直交方向へのコネクタの移動も抑制することができる。
従って、コネクタホルダは、収容空間の所定位置にコネクタを安定した状態で収容できるとともに、収容されたコネクタのガタつきを抑えることができる。
【0023】
またこの発明の態様として、前記弾性片が、前記挿入方向に沿った断面において、前記収容空間を構成する前記ホルダ本体の内面に突設されるとともに、前記挿入方向、または前記離脱方向に湾曲または屈曲した断面形状に形成されてもよい。
上記挿入方向、または離脱方向に湾曲または屈曲した断面形状とは、例えば、挿入方向に突出して湾曲した円弧状の断面形状、離脱方向に突出して湾曲した円弧状の断面形状、あるいは離脱方向に突出した略くの字状の断面形状などを含むものとする。
【0024】
この発明により、コネクタホルダは、収容空間の内部において、コネクタに対して弾性片の弾性力を、離脱方向、及び直交方向に作用させることができる。このため、コネクタホルダは、挿脱方向だけでなく、直交方向へのコネクタの移動も抑制することができる。
従って、コネクタホルダは、収容空間の所定位置にコネクタを安定した状態で収容できるとともに、収容されたコネクタのガタつきを抑えることができる。
【0025】
またこの発明の態様として、前記挿入方向に沿った断面において、前記弾性片が、前記コネクタの角部に対応する形状のコネクタ角受け部を備えてもよい。
上記コネクタ角受け部は、例えば、コネクタの角部に対応する凹形状、コネクタの角部に対応する凸形状、あるいはこれらを組み合わせた形状を含むものとする。
【0026】
この発明により、コネクタホルダは、挿入方向に沿った断面において、弾性片にコネクタの角部をより安定した状態で当接させることができる。このため、コネクタホルダは、コネクタに対して弾性片の弾性力をより確実に、かつ安定して作用させることができる。
従って、コネクタホルダは、収容空間の内部において、コネクタのガタつきをより確実に、かつ安定して抑えることができる。
【0027】
またこの発明の態様として、前記挿入方向から見た挿入方向視または/および前記挿入方向に沿った断面において、前記弾性片が、先端に対して基部が幅広の形状に形成されてもよい。
この発明により、コネクタホルダは、挿入方向へ所定の変位量だけ弾性変形させる押圧荷重が、先端から基部へ向かうほど高くなる弾性片を構成することができる。換言すれば、コネクタホルダは、先端の弾性力に対して基部の弾性力の方が高い弾性片を構成することができる。
【0028】
これにより、コネクタホルダは、先端と基部とを等幅で形成した場合に比べて、弾性片の弾性力をより安定して確保することができる。このため、コネクタホルダは、収容空間の内部において、挿入方向におけるコネクタの端部を、より安定した弾性片の弾性力で押圧することができる。
従って、コネクタホルダは、収容空間の内部において、コネクタのガタつきをさらに確実に抑えることができる
【0029】
たこの発明の態様として、前記ホルダ本体が、複数の前記ストッパ部を備え、前記ホルダ本体の前記収容空間が、前記挿入方向から見た挿入方向視において挿入方向視矩形に形成され、前記ストッパ部が、前記挿入方向視における前記収容空間の隅部に形成され、前記規制部が、前記挿入方向視において、前記ストッパ部の間に形成されてもよい。
この発明により、コネクタホルダは、挿入方向視において、ストッパ部がコネクタの隅部と重なり合うように配置されるため、コネクタ同士の雌雄嵌合に必要なスペースを確実に確保することができる。
【0030】
さらに、収容空間を構成するホルダ本体の内面のうち、交差する二つの内面に亘ってストッパ部が形成されるため、コネクタホルダは、ストッパ部の強度をより安定して確保することができる。
従って、コネクタホルダは、コネクタのガタつきを抑えるとともに、コネクタ同士の雌雄嵌合と、ストッパ部における強度とを両立して確保することができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明により、収容空間の所定位置に収容されたコネクタのガタつきを抑えられるコネクタホルダを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】挿入方向から見たコネクタホルダの外観を示す外観斜視図。
図2】離脱方向から見たコネクタホルダの外観を示す外観斜視図。
図3】コネクタホルダの正面、及び背面を説明する説明図。
図4】コネクタを収容保持したコネクタホルダにおける図3中のA-A矢視断面図。
図5】コネクタホルダ単体のA-A矢視断面図。
図6】ホルダ本体の要部を説明する説明図。
図7】別の弾性片を有するコネクタホルダを説明する説明図。
【発明を実施するための形態】
【0033】
この発明の一実施形態を以下図面と共に説明する。
本実施形態では、ワイヤーハーネス1の一端に設けたコネクタ4を収容保持するコネクタホルダ10について、図1から図6を用いて詳しく説明する。
【0034】
なお、図1は挿入方向Xiから見たコネクタホルダ10の外観斜視図を示し、図2は離脱方向Xoから見たコネクタホルダ10の外観斜視図を示し、図3はコネクタホルダ10の正面、及び背面を説明する説明図を示し、図4はコネクタ4を収容保持したコネクタホルダ10における図3中のA-A矢視断面図を示し、図5はコネクタホルダ10単体のA-A矢視断面図を示し、図6はホルダ本体11の要部を説明する説明図を示している。
【0035】
さらに、図3(a)は挿入方向Xiから見たコネクタホルダ10の正面図を示し、図3(b)は離脱方向Xoから見たコネクタホルダ10の背面図を示し、図3中の二点鎖線はコネクタ4を示している。
加えて、図6(a)はコネクタ4が弾性片19に当接した状態を示し、図6(b)はコネクタ4が弾性片19を押圧した状態を示している。
なお、図4中において、コネクタ4は、図示を明確にするために、コネクタハウジング3のみを図示している。
【0036】
また、図中において、矢印Xはコネクタホルダ10に対するコネクタ4の挿脱方向を示し(以下「挿脱方向X」とする)、矢印Yはコネクタホルダ10の幅方向を示している(以下、「幅方向Y」とする)。
さらに、挿脱方向Xにおいて、矢印Xiはコネクタホルダ10に対するコネクタ4の挿入方向を示し(以下、「挿入方向Xi」とする)、矢印Xoはコネクタホルダ10に対するコネクタ4の離脱方向を示している(以下、「離脱方向Xo」とする)。加えて、幅方向Yにおいて、図1中の右側をコネクタホルダ10の右側として、図1中の左側をコネクタホルダ10の左側とするとともに、図中の上側をコネクタホルダ10の上方側とし、図中の下側をコネクタホルダ10の下方側とする。
【0037】
まず、ワイヤーハーネス1は、図1に示すように、先端にオス型圧着端子(図示省略)が圧着接続された複数本の被覆電線2と、オス型圧着端子を収容保持する複数のキャビティ3aを備えたコネクタハウジング3とで構成されている。なお、本実施例では、オス型圧着端子を収容保持したコネクタハウジング3を、ワイヤーハーネス1のコネクタ4とする。
【0038】
コネクタハウジング3は、挿入方向Xiから見て、幅方向Yに長い挿入方向視略矩形に形成されている。さらに、コネクタハウジング3は、挿入方向Xi側が開口するとともに、オス型圧着端子の先端が収容される内部空間を有する形状に形成されている(図4参照)。このコネクタハウジング3の内部空間は、メス型圧着端子を収容保持する別のコネクタ(図示省略)が、離脱方向Xoへ向けて挿入嵌合される形状に形成されている。
【0039】
一方、コネクタホルダ10は、例えば、自動車の車体などに装着されるとともに、上述したワイヤーハーネス1のコネクタ4を収容保持する形状に形成されている。
具体的には、コネクタホルダ10は、図1に示すように、ワイヤーハーネス1のコネクタ4が収容保持されるホルダ本体11と、ホルダ本体11の下部に設けた装着部12とで、挿脱方向Xから見て挿脱方向視略矩形に形成されている。
【0040】
ホルダ本体11は、図1から図3に示すように、挿脱方向視略矩形の閉断面形状を、挿脱方向Xに沿って延設した筒状体に形成されている。すなわち、ホルダ本体11は、コネクタ4の外形よりも一回り大きい略相似形で、挿脱方向Xに沿って貫通する挿脱方向視略矩形の内部空間を有する筒状体に形成されている。このホルダ本体11の内部空間は、挿入方向Xiに沿って挿入されたコネクタ4を、所望される位置で収容保持する収容空間S1として構成されている。
【0041】
装着部12は、図1から図3に示すように、上下方向の長さがホルダ本体11よりも短く、かつ幅方向Yの長さがホルダ本体11における幅方向Yの長さと略同じ挿脱方向視略矩形に形成されている。この装着部12には、挿脱方向Xに沿って貫通した挿脱方向視略矩形の3つの貫通孔12aが、幅方向Yに沿って開口形成されている。
【0042】
この3つの貫通孔12aのうち、幅方向Yの略中央に位置する貫通孔12aは、挿脱方向Xにおける所定範囲において、ホルダ本体11の収容空間S1とで一体的な空間を形成するための内部空間S2として開口形成されている。
なお、詳細な説明、及び図示を省略するが、装着部12は、例えば、自動車の車体に嵌合する樹脂クリップなどを保持可能な形状に形成される、あるいはクリップ状の突起が一体形成されているものとする。
【0043】
次に、上述したホルダ本体11について、より詳しく説明する。
ホルダ本体11は、図1から図3に示すように、上下方向で対向する天板部13、及び底板部14と、幅方向Yで対向する右側面部15、及び左側面部16とで、挿脱方向Xから見て挿脱方向視略矩形の筒状体に形成されている。そして、ホルダ本体11は、天板部13と底板部14と右側面部15と左側面部16とで、コネクタ4を収容する収容空間S1を構成している。
【0044】
天板部13は、図1及び図2に示すように、挿脱方向Xに長い平面視略矩形の平板状に形成されている。
底板部14は、図1及び図2に示すように、天板部13に対してホルダ本体11における上下方向の長さに応じた所定間隔を隔てた下方で対向するとともに、天板部13と略同等の大きさの平面視略矩形の平板状に形成されている。
【0045】
この底板部14には、図2及び図4に示すように、幅方向Yの略中央近傍において、装着部12の内部空間S2と収容空間S1とを連通させる平面視略矩形の開口が、挿入方向Xi側の端部から離脱方向Xo側の端部近傍に至る範囲にかけて開口形成されている。
右側面部15、及び左側面部16は、幅方向Yに所定間隔を隔てて配置されるとともに、幅方向Yに厚みを有する幅方向視略矩形の平板状に形成されている。
【0046】
このような構成のホルダ本体11の内面には、図2から図4に示すように、コネクタ4が収容空間S1の所定位置に収容された状態において、挿脱方向Xで対向するコネクタ4の端面のうち、離脱方向Xo側の端面4aが当接するとともに、離脱方向Xoへのコネクタ4の移動を規制する上側規制部17、及び下側規制部18と、コネクタ4が収容空間S1の所定位置に収容された状態において、コネクタ4における挿入方向Xi側の角部4bが当接するとともに、離脱方向Xoへ向けて弾性を有する6つの弾性片19と、挿入方向Xiへのコネクタ4の移動を規制する4つのストッパ部20とが、挿入方向Xiに沿ってこの順番で形成されている。
【0047】
上側規制部17は、図3から図5に示すように、天板部13における幅方向Yの略中央において、所定位置に位置するコネクタ4の端面4aよりも離脱方向Xo側に形成されている。この上側規制部17は、天板部13における離脱方向Xo側の端部近傍から挿入方向Xiへ向かうほど下方へ突出した形状に形成されている。
【0048】
具体的には、上側規制部17は、図3から図5に示すように、コネクタ4における離脱方向Xo側の端面4aに当接する当接面171aを有する当接部分171と、当接部分171における幅方向Yの両端から離脱方向Xoへ延びる2つの傾斜部分172とで一体形成されている。
【0049】
当接部分171は、図4及び図5に示すように、挿脱方向Xに沿った縦断面において、天板部13から下方へ向けて突設した断面略矩形に形成されている。この当接部分171は、所定位置にコネクタ4が位置する状態において、コネクタ4における端面4aの上部に対して下部が当接する上下方向の長さで突設されている。
【0050】
傾斜部分172は、図4及び図5に示すように、挿脱方向Xに沿った縦断面において、当接部分171の下端から天板部13に向けて傾斜した斜辺を有する側面視略三角形状に形成されている。なお、傾斜部分172は、離脱方向Xo側から挿入方向Xiに沿って収容空間S1にコネクタ4が収容される際、コネクタ4の上面と当接しながら、コネクタ4の挿通を案内するガイド部分として機能する。
【0051】
また、下側規制部18は、図3から図5に示すように、底板部14における幅方向Yの略中央において、上側規制部17に対して上下方向で対向する位置に形成されている。この下側規制部18は、底板部14における離脱方向Xo側の端部近傍から挿入方向Xiへ向かうほど上方へ突出した形状に形成されている。
【0052】
具体的には、下側規制部18は、図3から図5に示すように、底板部14における平面視略矩形の開口の一部を覆うように挿脱方向Xへ向けて延びる略平板状の延設部分181と、コネクタ4における離脱方向Xo側の端面4aに当接する当接面182aを有する当接部分182と、当接部分182における幅方向Yの両端から離脱方向Xoへ延びる2つの傾斜部分183とで一体形成されている。
【0053】
延設部分181は、図4に示すように、挿脱方向Xに沿った縦断面において、底板部14の開口縁における離脱方向Xo側の端部から挿入方向Xiへ向けて延びる略平板状に形成されている。なお、延設部分181は、収容空間S1にコネクタ4が収容される際、下方へ向けて弾性変形可能な厚みを有する平板状に形成されている。
【0054】
当接部分182は、図4及び図5に示すように、挿脱方向Xに沿った縦断面において、上側規制部17の当接部分171と上下方向で対向する位置で、延設部分181から上方へ向けて突設した断面略矩形に形成されている。この当接部分182は、所定位置にコネクタ4が位置する状態において、コネクタ4における端面4aの下部に対して上部が当接する上下方向の長さで突設されている。
【0055】
傾斜部分183は、図4及び図5に示すように、挿脱方向Xに沿った縦断面において、当接部分182の上端から延設部分181に向けて傾斜した斜辺を有する側面視略三角形状に形成されている。なお、この傾斜部分183は、離脱方向Xo側から挿入方向Xiに沿って収容空間S1にコネクタ4が収容される際、コネクタ4の下面に当接しながら、コネクタ4の挿通を案内するガイド部分として機能する。
【0056】
また、6つの弾性片19は、図2及び図5に示すように、コネクタ4と当接する上側規制部17の当接面171a、及び下側規制部18の当接面182aに対して、挿入方向Xi側にコネクタ4における挿脱方向Xの長さと略同等の間隔を隔てた位置に形成されている。
【0057】
具体的には、6つの弾性片19は、図2図3、及び図5に示すように、天板部13、及び底板部14からそれぞれ収容空間S1の内部へ向けて2つずつ突設され、右側面部15、及び左側面部16からそれぞれ収容空間S1の内部へ向けて1つずつ突設されている。
【0058】
この6つの弾性片19のうち、天板部13から下方に向けて突設された2つの弾性片19を弾性片19Aとし、底板部14から上方へ向けて突設された2つの弾性片19を弾性片19Bとし、右側面部15から左側面部16へ向けて突設された1つの弾性片19を弾性片19Cとし、左側面部16から右側面部15へ向けて突設された1つの弾性片19を弾性片19Dとする。
【0059】
天板部13に突設した2つの弾性片19Aは、図3(a)に示すように、挿入方向Xiから見た挿入方向視において、上側規制部17を挟んで幅方向Yに並置されている。より詳しくは、弾性片19Aは挿入方向視において、上側規制部17とストッパ部20との間(上側規制部17と後述する右上ストッパ部20Aとの間、及び上側規制部17と後述する左上ストッパ部20Bとの間)に配置されている。
【0060】
底板部14に突設した2つの弾性片19Bは、図3(a)に示すように、挿入方向視において、下側規制部18を挟んで幅方向Yの両側に並置されている。より詳しくは、弾性片19Bは、挿入方向視において、下側規制部18とストッパ部20の間(下側規制部18と後述する右下ストッパ部20Cとの間、及び下側規制部18と後述する左下ストッパ部20Dとの間)に配置されている。
【0061】
右側面部15に突設した1つの弾性片19Cは、図3(a)に示すように、挿入方向視において、収容空間S1における上下方向の略中央に配置されている。より詳しくは、弾性片19Cは、挿入方向視において、ストッパ部20の間(後述する右上ストッパ部20Aと右下ストッパ部20Cとの間)における上下方向の略中央に配置されている。
【0062】
左側面部16に突設した1つの弾性片19Dは、図3(a)に示すように、挿入方向視において、収容空間S1における上下方向の略中央に配置されている。より詳しくは、弾性片19Dは、挿入方向視において、ストッパ部20の間(後述する左上ストッパ部20Bと左下ストッパ部20Dとの間)における上下方向の略中央に配置されている。
【0063】
上述した6つの弾性片19は、図3(b)に示すように、いずれも同一形状であって、離脱方向Xoから見てコネクタ4の開口を覆わない大きさの挿入方向視略矩形に形成されている。この弾性片19は、図5に示すように、挿脱方向Xに沿った断面において、基部に対して先端が挿入方向Xi側に位置するように傾斜するとともに、先端に対して基部が挿脱方向Xに幅広な略平板状に形成されている。換言すると、弾性片19は、挿入方向Xiに対して交差する面を有する断面形状に形成されている。
【0064】
また、4つのストッパ部20は、図2及び図3に示すように、挿入方向視において、収容空間S1を構成するホルダ本体11の内面における四隅に、収容空間S1の内部へ向けて突設されている。このストッパ部20は、コネクタ4が弾性片19を押し退けて挿入方向Xiへ移動した際、挿入方向Xiへのコネクタ4の移動を規制するために設けている。このため、ストッパ部20は、挿脱方向Xの所望される位置にコネクタ4が位置する状態では、コネクタ4と当接しない位置、及び大きさで形成されている。
【0065】
具体的には、4つのストッパ部20は、図3(a)に示すように、挿入方向視において、収容空間S1を構成するホルダ本体11の内面における右上隅、左上隅、右下隅、及び左下隅に、挿入方向視略矩形の平板状に形成されている。なお、4つのストッパ部20は、図3(b)に示すように、離脱方向Xoから見た離脱方向視において、コネクタ4の開口を覆わない大きさの略矩形の平板状に形成されている。
【0066】
この4つのストッパ部20のうち、右上隅に形成されたストッパ部20を右上ストッパ部20Aとし、左上隅に形成されたストッパ部20を左上ストッパ部20Bとし、右下隅に形成されたストッパ部20を右下ストッパ部20Cとし、左下隅に形成されたストッパ部20を左下ストッパ部20Dとする。
【0067】
右上ストッパ部20Aは、図3に示すように、挿入方向視において、天板部13及び右側面部15の双方から延設された挿入方向視略矩形に形成されている。
左上ストッパ部20Bは、図3に示すように、挿入方向視において、天板部13及び左側面部16の双方から延設された挿入方向視略矩形に形成されている。
【0068】
右下ストッパ部20Cは、図3に示すように、挿入方向視において、底板部14及び右側面部15の双方から延設された挿入方向視略矩形に形成されている。
左下ストッパ部20Dは、図3に示すように、挿入方向視において、底板部14及び左側面部16の双方から延設された挿入方向視略矩形に形成されている。
【0069】
すなわち、挿入方向視において、右上ストッパ部20A、上側規制部17、及び左上ストッパ部20Bが、この順番で幅方向Yに沿って並置され、弾性片19Aが、右上ストッパ部20Aと左上ストッパ部20Bとの間において、上側規制部17を挟んで並置されている。
【0070】
同様に、挿入方向視において、右下ストッパ部20C、下側規制部187、及び左下ストッパ部20Dが、この順番で幅方向Yに沿って並置され、弾性片19Bが、右下ストッパ部20Cと左下ストッパ部20Dとの間において、下側規制部18を挟んで並置されている。
【0071】
上述した4つのストッパ部20は、図5及び図6に示すように、挿脱方向Xに沿った断面において、挿入方向Xi側の端面が、ホルダ本体11における挿入方向Xi側の端面と略一致する位置に形成されている。さらに、4つのストッパ部20は、図5及び図6に示すように、挿脱方向Xに沿った断面において、コネクタ4が所定位置で弾性片19と当接した状態において、コネクタ4における挿入方向Xi側の端面4cに対して挿入方向Xi側へ所定間隔を隔てた位置に、離脱方向Xo側の端面が位置する挿脱方向Xの長さで形成されている。
【0072】
引き続き、上述した構成のコネクタホルダ10に対して、挿入方向Xiに沿ってコネクタ4を挿入する過程について説明する。
コネクタホルダ10の収容空間S1に対して、離脱方向Xo側から挿入方向Xiに沿ってコネクタ4が挿入されると、コネクタ4における挿入方向Xi側の角部4bが、コネクタホルダ10の上側規制部17の傾斜部分172、及び下側規制部18の傾斜部分183と当接する。この際、下側規制部18が下方へ弾性変形することで、コネクタ4は、上側規制部17の傾斜部分172、及び下側規制部18の傾斜部分183に案内されながら、コネクタホルダ10の収容空間S1に挿入される。
【0073】
そして、収容空間S1へのコネクタ4の挿入が進行すると、コネクタ4における挿入方向Xi側の角部4bが、図6(a)に示すように、コネクタホルダ10における6つの弾性片19に当接開始する。
【0074】
6つの弾性片19に当接したコネクタ4が、さらに収容空間S1へ挿入されると、弾性片19は、図6(b)に示すように、コネクタ4の角部4bによって挿入方向Xiへ押圧されることで、挿入方向Xiへ向けて弾性変形を開始する。
【0075】
その後、上側規制部17、及び下側規制部18を乗り越えるまでコネクタ4を挿入すると、コネクタホルダ10の収容空間S1へのコネクタ4の挿入が完了し、コネクタ4が収容空間S1の所定位置に収容される。この際、コネクタ4には、6つの弾性片19の弾性変形による弾性力が、離脱方向Xo、幅方向Y、及び上下方向に作用する。
【0076】
より詳しくは、天板部13の2つの弾性片19Aが、その弾性力によって、コネクタ4を離脱方向Xo、及び下方へ押圧し、底板部14の2つの弾性片19Bが、その弾性力によって、コネクタ4を離脱方向Xo、及び上方へ押圧する。
【0077】
さらに、右側面部15の1つの弾性片19Cが、その弾性力によって、コネクタ4を離脱方向Xo、及び幅方向Yにおける左側へ押圧し、左側面部16の1つの弾性片19Dが、その弾性力によって、コネクタ4を離脱方向Xo、及び幅方向Yにおける右側へ押圧する。
【0078】
このため、コネクタ4は、図4に示すように、コネクタ4における離脱方向Xo側の端面4aが、上側規制部17、及び下側規制部18に当接して、収容空間S1の内部における挿脱方向Xの位置が決定される。さらに、コネクタ4は、図4に示すように、6つの弾性片19の弾性力によって、収容空間S1の内部における幅方向Yの位置、及び上下方向の位置が決定される。
【0079】
以上のように、コネクタ4が挿入される挿入方向Xiに沿って貫通するとともに、コネクタ4が収容される収容空間S1を有するホルダ本体11を備えたコネクタホルダ10は、ホルダ本体11が、所定位置に位置するコネクタ4の離脱方向Xoへの移動を規制する上側規制部17、及び下側規制部18と、離脱方向Xoの弾性を有するとともに、所定位置に位置するコネクタ4における挿入方向Xiの角部4bに対して当接する6つの弾性片19とを備えたことにより、収容空間S1の所定位置に収容されたコネクタ4のガタつきを抑えることができる。
【0080】
具体的には、離脱方向Xoの弾性を有する弾性片19をホルダ本体11に備えたことにより、コネクタホルダ10は、収容空間S1の内部において、コネクタ4を弾性片19の弾性力によって離脱方向Xoへ押圧することができる。
【0081】
この際、コネクタホルダ10は、上側規制部17、及び下側規制部18によって離脱方向Xoへのコネクタ4の移動を規制できるため、挿入方向Xi及び離脱方向Xoへのコネクタ4の移動を抑制することができる。換言すれば、コネクタホルダ10は、挿脱方向Xにおけるコネクタ4の位置を、上側規制部17、及び下側規制部18と弾性片19とによって決定することができる。
【0082】
さらに、離脱方向Xoに加えて、幅方向Y、及び上下方向へコネクタ4を押圧するように弾性片19を形成したため、コネクタホルダ10は、挿脱方向Xだけでなく、幅方向Y、及び上下方向へのコネクタ4の移動も抑制することができる。
加えて、コネクタホルダ10は、収容空間S1の内部において、コネクタ4を揺動させるような荷重を、弾性片19の弾性力によって吸収することができる。
【0083】
これにより、例えば、走行による振動やエンジンの振動によって、ワイヤーハーネス1の被覆電線2が揺動した際、被覆電線2を介して伝達された荷重がコネクタ4に作用した場合であっても、コネクタホルダ10は、収容空間S1の内部において、コネクタ4のガタつきを抑えることができる。このため、コネクタホルダ10は、収容空間S1を構成するコネクタホルダ10の内面とコネクタ4との接触を防止して、コネクタ4のガタつきによる異音の発生を抑えることができる。
【0084】
さらにまた、例えば、コネクタホルダ10に収容されたコネクタ4に対して、メス型圧着端子を備えた別のコネクタを雌雄嵌合する際、コネクタ4のガタつきを抑えたことで、コネクタホルダ10は、コネクタ同士の嵌合を容易にすることができる。
このように、コネクタホルダ10は、離脱方向Xoの弾性を有する弾性片19によって、収容空間S1の所定位置に収容されたコネクタ4のガタつきを抑えることができる。
【0085】
また、弾性片19が、挿入方向Xiから見た挿入方向視において、収容空間S1を構成するホルダ本体11の内面に形成されるとともに、挿入方向Xiに沿った断面において、挿入方向Xiに対して交差する面を有する断面形状に形成されたことにより、コネクタホルダ10は、コネクタ4の角部4bに対して弾性片19を当接させることができる。このため、コネクタホルダ10は、弾性片19の弾性力によって、離脱方向Xo、幅方向Y、及び上下方向にコネクタ4を押圧することができる。
【0086】
これにより、コネクタホルダ10は、挿入方向Xi及び離脱方向Xoだけでなく、幅方向Y、及び上下方向へのコネクタ4の移動も抑制することができる。
従って、コネクタホルダ10は、収容空間S1の所定位置にコネクタ4を安定した状態で収容できるとともに、収容されたコネクタ4のガタつきを抑えることができる。
【0087】
また、挿入方向Xiに沿った断面において、弾性片19が、先端に対して基部が幅広の形状に形成されたことにより、コネクタホルダ10は、挿入方向Xiへ所定の変位量だけ弾性変形させる押圧荷重が、先端から基部へ向かうほど高くなる弾性片19を構成することができる。換言すれば、コネクタホルダ10は、先端の弾性力に対して基部の弾性力の方が高い弾性片19を構成することができる。
【0088】
これにより、コネクタホルダ10は、先端と基部とを等幅で形成した場合に比べて、弾性片19の弾性力をより安定して確保することができる。
【0089】
このため、コネクタホルダ10は、収容空間S1の内部において、挿入方向Xiにおけるコネクタ4の角部4bを、より安定した弾性片19の弾性力で押圧することができる。
従って、コネクタホルダ10は、収容空間S1の内部において、コネクタ4のガタつきをさらに確実に抑えることができる。
【0090】
また、ホルダ本体11が、弾性片19よりも挿入方向Xi側に、挿入方向Xiへのコネクタ4の移動を規制する少なくとも1つのストッパ部20を備えたことにより、コネクタホルダ10は、コネクタ4が挿入方向Xiに沿って収容空間S1から脱出することを、ストッパ部20によって確実に防止することができる。
従って、コネクタホルダ10は、コネクタ4のガタつきを抑えて、収容空間S1の所望される位置にコネクタ4を確実に収容することができる。
【0091】
また、上側規制部17、右上ストッパ部20A、及び左上ストッパ部20Bが、挿入方向視において、幅方向Yに所定間隔を隔てて並置され、下側規制部18、右下ストッパ部20C、及び左下ストッパ部20Dが、挿入方向視において、幅方向Yに所定間隔を隔てて並置され、弾性片19Aが、挿入方向視において、右上ストッパ部20Aと左上ストッパ部20Bとの間で、上側規制部17を挟んで並置され、弾性片19Bが、右下ストッパ部20Cと左下ストッパ部20Dとの間で、下側規制部18を挟んで並置されたことにより、コネクタホルダ10は、挿入方向Xiに沿って貫通した収容空間S1の成形性を損なうことなく、コネクタ4のガタつきを抑えることができる。
【0092】
具体的には、例えば、挿入方向視において、弾性片、上側規制部、及びストッパ部が重なり合うように配置された場合、収容空間を形成する金型が複数、かつ複雑な形状となるため、コネクタホルダの成形性が低下するおそれがある。
【0093】
さらに、挿入方向視において、弾性片とストッパ部とが重なり合うように配置された場合、ストッパ部が弾性片の挿入方向Xiへの弾性変形を阻害しないように、挿脱方向Xにおける弾性片とストッパ部との間隔を大きく確保する必要がある。そうすると、挿脱方向Xにおけるコネクタホルダの長さが長くなり、コネクタホルダが大型化するおそれがあった。
【0094】
これに対して、挿入方向視において、右上ストッパ部20A、弾性片19A、上側規制部17、弾性片19A、及び左上ストッパ部20Bが、この順番で幅方向Yに並置され、右下ストッパ部20C、弾性片19B、下側規制部18、弾性片19B、及び左下ストッパ部20Dが、この順番で幅方向Yに並置されことにより、コネクタホルダ10は、挿入方向Xiの長さを抑えるとともに、収容空間S1の成形性が低下することを防止できる。
従って、コネクタホルダ10は、挿入方向Xiに沿って貫通した収容空間S1の成形性を損なうことなく、コネクタ4のガタつきを抑えることができる。
【0095】
また、ホルダ本体11の収容空間S1が、挿入方向Xiから見た挿入方向視において挿入方向視矩形に形成され、ストッパ部20が、挿入方向視における収容空間S1の隅部に形成され、上側規制部17、及び下側規制部18が、挿入方向視において、ストッパ部20の間に形成されたことにより、コネクタホルダ10は、挿入方向視において、挿入方向視において、ストッパ部20がコネクタ4の隅部と重なり合うように配置されるため、コネクタ同士の雌雄嵌合に必要なスペースを確実に確保することができる。
【0096】
さらに、収容空間S1を構成するホルダ本体11の内面のうち、交差する二つの内面に亘ってストッパ部20が形成されるため、コネクタホルダ10は、ストッパ部20の強度をより安定して確保することができる。
従って、コネクタホルダ10は、コネクタ4のガタつきを抑えるとともに、コネクタ4同士の雌雄嵌合と、ストッパ部20における強度とを両立して確保することができる。
【0097】
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、
この発明の規制部は、実施形態の上側規制部17、及び下側規制部18に対応し、
以下同様に、
コネクタにおける挿入方向の端部は、コネクタ4における挿入方向Xiの角部4bに対応し、
挿入方向に対して直交する方向は、幅方向Y、及び上下方向に対応するが、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
【0098】
例えば、上述した実施形態において、ワイヤーハーネス1におけるコネクタとしたが、これに限定せず、例えば、光ファイバーケーブルの先端を収容保持したコネクタなどであってもよい。
また、オス型圧着端子を収容保持したコネクタ4としたが、これに限定せず、例えば、メス型圧着端子を収容保持したコネクタ、メス型コネクタハウジングに雌雄嵌合するオス型コネクタハウジングで構成したコネクタであってもよい。
【0099】
また、挿入方向Xiから見て幅方向Yに長い挿入方向視略矩形のコネクタハウジング3としたが、これに限定せず、幅方向Yの長さと上下方向の長さとが略同じ挿入方向視略矩形のコネクタハウジング、あるいは幅方向Yの長さに対して上下方向の長さが長い挿入方向視略矩形のコネクタハウジングとしてもよい。この場合であっても、ホルダ本体11の収容空間S1は、コネクタハウジングよりひと回り大きく、かつ略相似形に形成されているものとする。
【0100】
また、1つのコネクタ4を収容保持するコネクタホルダ10としたが、これに限定せず、少なくとも1つのコネクタを収容保持するコネクタホルダであればよく、例えば、複数のコネクタを幅方向Yに並置するように収容保持するコネクタホルダとしてもよい。この場合、収容空間を構成するコネクタホルダの内面のうち、上下方向で対向する内面には、上側規制部、下側規制部、弾性片、及びストッパ部が、各コネクタに対応する位置に形成されるものとする。
【0101】
また、装着部12に設けた樹脂クリップが、自動車の車体などに嵌合することで、車体に装着されるコネクタホルダ10としたが、これに限定せず、装着部12の貫通孔12aに、自動車などの車体に設けた嵌合爪が挿入嵌合することで、車体に装着されるコネクタホルダであってもよい。
【0102】
また、離脱方向Xoへのコネクタ4の移動を規制する規制部として、コネクタ4に当接する上側規制部17、及び下側規制部18を備えたホルダ本体11としたが、これに限定せず、例えば、コネクタに係止することで、コネクタの移動を規制する規制部、あるいはコネクタに嵌合することでコネクタの移動を規制する規制部などしてもよい。
【0103】
また、天板部13に上側規制部17を備え、底板部14に下側規制部18を備えたホルダ本体11としたが、これに限定せず、離脱方向Xoへのコネクタ4の移動を規制できる構成であれば、少なくとも1つの規制部を備えたホルダ本体としてもよい。例えば、上側規制部17、及び下側規制部18のいずれか一方だけを備えたホルダ本体11としてもよい。あるいは、右側面部15または/および左側面部16に、離脱方向Xoへのコネクタ4の移動を規制する規制部を設けてもよい。
【0104】
また、4つのストッパ部20を備えたホルダ本体11としたが、これに限定せず、少なくとも1つのストッパ部20を備えたホルダ本体、あるいはストッパ部20を設けていないホルダ本体としてもよい。
また、収容空間S1を構成するホルダ本体11の内面における四隅にストッパ部20を備えたが、これに限定せず、ホルダ本体11の内面にストッパ部を設けてもよい。
【0105】
また、同一形状の6つの弾性片19としたが、これに限定せず、異なる形状、及び異なる大きさの6つの弾性片としてもよい。例えば、天板部13の2つの弾性片19A、及び底板部14の2つの弾性片19Bを同一形状とし、右側面部15の1つの弾性片19C、及び左側面部16の1つの弾性片19Dを、挿入方向視において、弾性片19A、及び弾性片19Bよりも大きい形状としてもよい。このようにすることで、コネクタホルダ10をバランスの良い荷重で離脱方向Xoへ押圧することができる。
【0106】
また、天板部13の2つの弾性片19Aと、底板部14の2つの弾性片19Bと、右側面部15の1つの弾性片19Cと、左側面部16の1つの弾性片19Dを備えたホルダ本体11としたが、これに限定せず、コネクタ4に対して離脱方向Xoへ弾性力を作用させることができれば、少なくとも1の弾性片を適宜の位置に備えたホルダ本体であってもよい。
【0107】
例えば、収容空間S1を構成するホルダ本体11の内面に、1つ弾性片19と、弾性片に対して幅方向Yで対向配置されるとともに、収容空間S1の内部に向けて突出した突起部とを備えた構成としてもよい。この場合であっても、弾性片19の弾性力によって、コネクタ4を突起部に確実に当接させることができるため、コネクタホルダ10は、収容空間S1の内部におけるコネクタ4の位置を安定させることができる。
なお、弾性片19は、上述したように幅方向Y、または上下方向において、少なくとも1つあればよいが、より好ましくは、幅方向Yまたは/および上下方向において、対向配置されていることが望ましい。
【0108】
また、挿入方向視略矩形の弾性片19としたが、これに限定せず、挿入方向視において、先端に対して基部が幅方向Yに幅広な挿入方向視略台形状の弾性片としてもよい。
また、挿脱方向Xに沿った断面において、先端に対して基部が挿脱方向Xに幅広な弾性片19としたが、これに限定せず、先端と基部とが等幅な弾性片としてもよい。
または、挿入方向Xiから見た挿入方向視において、先端に対して基部が幅方向Yに幅広で、かつ挿脱方向Xに沿った断面において、先端に対して基部が挿脱方向Xに幅広な弾性片としてもよい。
【0109】
また、コネクタ4における挿入方向Xi側の角部4bに当接する弾性片19としたが、これに限定せず、コネクタ4における挿入方向Xi側の端面に当接する形状の弾性片であってもよい。
【0110】
また、挿脱方向Xに沿った断面において、基部に対して先端が挿入方向Xi側に位置するように傾斜した断面形状の弾性片19としたが、これに限定せず、コネクタ4に対して離脱方向Xoに弾性力を付与することができる形状であれば、例えば、挿入方向Xiに沿った断面において、挿入方向Xi、または離脱方向Xoに突出した断面形状に形成された弾性片であってもよい。
【0111】
具体的には、別の弾性片を有するコネクタホルダ10を説明する説明図を示す図7(a)のように、ホルダ本体11の内面から挿入方向Xiへ延設されたのち、収容空間S1の内部に屈曲した側面視略くの字状の弾性片21であってもよい。
あるいは、例えば、挿入方向Xiに突出して湾曲した側面視略円弧状の弾性片、離脱方向Xoに突出して湾曲した側面視略円弧状の弾性片などであってもよい。
【0112】
このように、収容空間S1を構成するホルダ本体11の内面に形成されるとともに、挿入方向Xiに沿った断面において、挿入方向Xi、または離脱方向Xoに突出した断面形状に形成された弾性片であっても、コネクタホルダ10は、収容空間S1の内部において、コネクタ4に対して弾性片の弾性力を、離脱方向Xo、及び幅方向Yまたは上下方向の一方に作用させることができる。
【0113】
このため、コネクタホルダ10は、挿脱方向Xだけでなく、挿脱方向Xに直交する方向へのコネクタ4の移動も抑制することができる。
従って、コネクタホルダ10は、収容空間S1の所定位置にコネクタ4を安定した状態で収容できるとともに、収容されたコネクタ4のガタつきを抑えることができる。
【0114】
また、挿入方向Xiに沿った断面において、弾性片が、コネクタ4の角部4bに対応する形状のコネクタ角受け部を備えたものであってもよい。
具体的には、別の弾性片を有するコネクタホルダ10を説明する説明図を示す図7(b)のように、コネクタ4の角部4bと挿脱方向Xで対向する部分を挿入方向Xiに凹設した凹部分22aと、凹部分22aの上端、及び下端から離脱方向Xo側へ突出した凸部分22bとで構成したコネクタ角受け部22を備えた弾性片23としてもよい。
なお、コネクタ角受け部22は、凹部分22aのみ、または凸部分22bのみであってもよい。
【0115】
これにより、コネクタホルダ10は、挿入方向Xiに沿った断面において、弾性片21にコネクタ4の角部4bをより安定した状態で当接させることができる。このため、コネクタホルダ10は、コネクタ4に対して弾性片19の弾性力をより確実に、かつ安定して作用させることができる。
従って、コネクタホルダ10は、収容空間S1の内部において、コネクタ4のガタつきをより確実に、かつ安定して抑えることができる。
【産業上の利用可能性】
【0116】
本発明は、例えば、自動車の車体や各種装置にワイヤーハーネスのコネクタを固定するためのコネクタホルダに適用することができる。
【符号の説明】
【0117】
4…コネクタ
4b…角部
10…コネクタホルダ
11…ホルダ本体
17…上側規制部
18…下側規制部
19…弾性片
20…ストッパ部
21…弾性片
22…コネクタ角受け部
23…弾性片
S1…収容空間
Xi…挿入方向
Xo…離脱方向
Y…幅方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7