(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-12
(45)【発行日】2022-05-20
(54)【発明の名称】植物栽培ラック
(51)【国際特許分類】
A01G 9/00 20180101AFI20220513BHJP
A01G 7/00 20060101ALI20220513BHJP
【FI】
A01G9/00 B
A01G7/00 601A
(21)【出願番号】P 2018085131
(22)【出願日】2018-04-26
【審査請求日】2021-04-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000175560
【氏名又は名称】三協立山株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000178826
【氏名又は名称】日本山村硝子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090206
【氏名又は名称】宮田 信道
(74)【代理人】
【識別番号】100210826
【氏名又は名称】土肥 千里
(72)【発明者】
【氏名】副島 眸
(72)【発明者】
【氏名】木村 周二
(72)【発明者】
【氏名】小山 竜平
【審査官】坂田 誠
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-153423(JP,A)
【文献】実開平4-45458(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 9/00
A01G 9/02
A01G 7/00
A47B 96/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
棚と、照明取付枠とを備え、棚の下方
の前後に照明取付
具を設けてあり、照明取付
具は
、上下
方向に複数
段の照明取付枠取付部を有し、照明取付枠取付部毎に照明取付枠の脱落を防止する付勢部材を有し、照明取付枠は、
前後の照明取付具の複数段のうちいずれかの照明取付枠取付部に
取り付けられて前後の照明取付具間に架設してあることを特徴とする植物栽培ラック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物工場等において用いられる植物栽培ラックに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、屋内で植物を育てる植物工場が普及している。植物工場において用いられる植物栽培ラックは、植物の成長段階に合わせて照明具の高さを調節することが必要である。特許文献1に示す従来の植物栽培ラックは、上下に複数の受けレールが設けてあり、受けレールが照明取付枠を摺動自在に支持していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、このような植物栽培ラックは照明具の高さ調節を行う際、照明取付枠を棚から完全に取り出した後、異なる高さの受けレールへ載せる必要があったため、作業負担が大きかった。本発明は上記事情を鑑み、照明取付枠の高さ調節が容易な植物栽培ラックを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の植物栽培ラックは、棚と、照明取付枠とを備え、棚の下方の前後に照明取付具を設けてあり、照明取付具は、上下方向に複数段の照明取付枠取付部を有し、照明取付枠取付部毎に照明取付枠の脱落を防止する付勢部材を有し、照明取付枠は、前後の照明取付具の複数段のうちいずれかの照明取付枠取付部に取り付けられて前後の照明取付具間に架設してあることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、照明取付枠取付部は、棚の前後において、上下に複数設けてあり、照明取付枠の脱落を防止する付勢部材を有し、照明取付枠は、いずれかの照明取付枠取付部に架設してあるため、照明取付枠取付部の付勢部材の力を利用して、一人でも容易に照明取付枠の高さを調節することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図3】(a)は植物栽培ラックの平面図であり、(b)はBC部分拡大図である。
【
図4】(a)は
図1のA部分拡大図、(b)は照明取付具の側面図、(c)は照明取付具のD-D線断面図である。
【
図5】(a)(b)は照明取付具の位置決め部を説明する側面図である。
【
図6】(a)は照明取付具の取り付けを説明する斜視図、(b)は要部の拡大図である。
【
図7】照明取付枠を示し、(a)は斜視図、(b)は正面図、(c)は側面図である。
【
図8】(a)~(g)は照明取付枠の高さ調節作業の手順を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。この植物栽培ラックは、左右方向の寸法が前後方向の寸法より長い植物栽培ラックであって、
図1乃至
図3に示すように、柱材1と棚2からなるラックに照明取付具3を設けて照明取付枠4を取り付けたものである。照明取付枠4は、照明取付具3の上下に複数設けた照明取付枠取付部33のいずれかに架設することにより、高さ調節可能である。
【0009】
柱材1は、断面略矩形であって、前後方向に間隔をおいて配置される柱対が左右方向に少なくとも二対配置してある。本実施形態では左右に三対、即ち六本の柱材1が配置されている。
【0010】
棚2は、左右に延びる横材2aと前後に延びる桟材2bから構成され、横材2aと桟材2bの連結部において柱材1に連結してある。横材2aは
図1、
図4及び
図5に示すように、断面略コ字形であり、開口を対向させて前後に配置されている。桟材2bは断面略矩形であり、端部を横材2aの開口に嵌め込んで左右に配置される。このように構成される棚2は、柱材1の上端部から間隔をおいて上下に複数設けてある。本実施形態では、最上段を含め計五段の棚2が柱材1に連結してある。最上段の棚2を除く各段の棚2には、上面に栽培トレイ5を載置してあり、この栽培トレイ5の上で植物を栽培する。また、最下段の棚2を除く各段の棚2の下方には、照明取付具3を設けてある。なお、最上段と最下段における棚2には、それ以外の段の棚2よりも太い横材2aと桟材2bを用いてある。
【0011】
照明取付具3は、
図1乃至
図3及び
図6に示すように、最下段を除く棚2の各横材2aに固定してある。前後一対の照明取付具3,3が、照明取付枠取付部33を棚2の内側へ向けて対向して配置されるとともに、左右の柱材1,1の間に二対の照明取付具3が配置されることにより、計四つの照明取付具3がひとつの照明取付枠4を支持する。照明取付具3は、基部31と横材固定部32と複数の照明取付枠取付部33と付勢部材34からなる。
図4乃至
図6に示すように、縦長矩形板状の基部31の上部が横材2aの見付面へ取り付けるための取付片31aとなっている。取付片31aの下方からは、棚2の内側に横材固定部32が延びている。横材固定部32には、横材2aの寸法に合わせて二つの位置決め部32a,32bが設けてある。
図5(a)に示すように、寸法の大きい横材2aに合わせて設けた位置決め部32aは、横材固定部32の端部に位置し、端部から上方に立設している。
図5(b)に示すように、寸法の小さい横材2aに合わせて設けた位置決め部32bは、横材固定部32の前後方向略中間部に位置し、端部側が一段高くなるよう横材固定部32を折り曲げて形成された段差部分である。横材固定部32の下方には、基部31から棚2の内側に延びる照明取付枠取付部33が上下に複数形成してある。照明取付枠取付部33の端部には係合部33aが形成してある。係合部33aは照明取付枠取付部33の端部から上方に立設し、先端に基部31側へ向けて膨出する爪部が設けてある。また、照明取付枠取付部33の上面には、基部31から間隔をあけて立設する付勢部材取付壁35が形成してあり、付勢部材取付壁35と係合部33aとの間に付勢部材34が配置してある。
【0012】
付勢部材34は、照明取付具3の各照明取付枠取付部33に取り付けて照明取付枠4の脱落を防止するものであり、本実施形態では板ばねを採用している。付勢部材34は、平面視すると
図4(c)に示すような略S字形状であって、規制片34aと取付部34bと変形部34cが形成してある。
図3(b)に示すように付勢部材34は、規制片34aが照明取付枠4の左右端部側に、変形部34cが照明取付枠4の左右中央側に向くよう配置される。規制片34aは、取付部34bから棚2の内側へ向かって延びており、照明取付枠4の左右方向の位置を規制する。規制片34aより照明取付枠4の左右中央側には、付勢部材取付壁35に沿って取付部34bがネジ止めされている。取付部34bから照明取付枠4の左右中央側には、棚2の内側へ向かって山形に屈曲した変形部34cが形成してある。変形部34cは、照明取付枠4の被係合部42aが当接すると変形して付勢力を備え、棚2の内側へ向かって被係合部42aを押圧する。
【0013】
照明取付枠4は、
図7に示すように、前後に延びる縦枠材41と左右に延びる横枠材42によって枠組みされており、横枠材42,42の間には左右に延びる桟材43が縦枠材41,41へ架設され、横枠材42,42と桟材43に照明具6が固定されている。縦枠材41は、断面略コ字形であって、開口を対向させて左右に配置されている。横枠材42と桟材43は、断面矩形の中空材であって、端部を縦枠材41の開口に嵌め込んであり、横枠材42,42は前後に配置してある。横枠材42は、上面が前後外側に延出させてあり、その端部を垂下させた被係合部42aが形成してある。照明取付枠4は、この被係合部42aを係合部33aに係合させるとともに、被係合部42aが付勢部材34に押圧されることによって、前後方向への位置ずれと照明取付枠取付部33からの脱落が防止される。また、横枠材42の下面には、照明具6が左右に複数固定してある。照明具6として、例えば直管状のLED等が用いられ、長手方向を前後方向として横枠材42と桟材43に固定してある。
【0014】
次に、照明取付枠4の高さ調節を行う際の手順を
図8に基づいて説明する。
図8(a)では、照明取付枠4は
図4(a)に示す拡大図と同じく、照明取付枠4は照明取付具3の最下段の照明取付枠取付部33に架設してある。詳しくは、照明取付枠4の横枠材42に設けた被係合部42aが照明取付具3の照明取付枠取付部33に設けた係合部33aへ上方から係合しており、照明取付枠取付部33に固定された付勢部材34が付勢力によって被係合部42aを棚2の内側へ押圧している。
図8(a)の状態から高さ調節をする場合、作業者は植物栽培ラックの前側に立ち、照明取付枠4の前側の横枠材42を把持し、前側の横枠材42を少し上方に浮かせて照明取付枠取付部33の係合部33aから被係合部42aを外し、矢印(1)のように照明取付枠4を付勢部材34に抗して、後側に押し込む。次に、後側の横枠材42を照明取付枠取付部33によって支えた状態で、
図8(b)の矢印(2)のように、後側の横枠材42を高さの異なる照明取付枠取付部33へと移動させる。そして、
図8(c)の矢印(3)のように照明取付枠4を付勢部材34の力を利用して前側へ引き寄せて前側の横枠材42の係合部33aを照明取付枠取付部33の奥へと移動させ、照明取付枠取付部33の被係合部42aを横枠材42の係合部33aに係合させる。次いで、作業者は植物栽培ラックの後側に回り、照明取付枠4の後側の横枠材42を把持し、後側の横枠材42を少し上方に浮かせて照明取付枠取付部33の係合部33aから被係合部42aを外し、
図8(d)の矢印(4)のように照明取付枠4を付勢部材34に抗して、前側に押し込む。そして、前側の横枠材42を照明取付枠取付部33によって支えた状態で、前側の横枠材42を
図8(e)の矢印(5)のように、前側と同じ高さの照明取付枠取付部33へ移動させ、
図8(f)の矢印(6)のように照明取付枠4を付勢部材34の力を利用して後側に引くと、照明取付枠取付部33の被係合部42aが横枠材42の係合部33aに係合され、
図8(g)のように照明取付枠4の異なる高さの照明取付枠取付部33への移動が完了する。
【0015】
このように構成した植物栽培ラックによれば、照明取付枠取付部33は、棚2の前後において上下に複数設けてあり、照明取付枠4の脱落を防止する付勢部材34を有し、照明取付枠4は、いずれかの照明取付枠取付部33に架設してあるため、照明取付枠取付部33の付勢部材34の力を利用して、異なる高さの照明取付枠取付部33へ照明取付枠4をケンドンで移動させることが可能となる。照明取付枠取付部33に照明取付枠4の前後一方の端部を預けた状態で、他方の端部を移動させることが可能であるため、一人でも容易に照明取付枠4の高さを調節することができる。
また、照明取付具3は横材2aの寸法に応じた複数の位置決め部32a,32bが設けてあるため、寸法の異なる横材2aの取り付けが容易である。
さらに、照明取付枠取付部33には係合部33aが設けてあり、係合部33aは照明取付枠4に設けた被係合部42aに上方から係合する。高さ調節の作業中、照明取付枠4の前後いずれかの被係合部42aが係合部33aに係合され、付勢部材34が照明取付枠4の被係合部42aを押圧するため、照明取付枠4の脱落を防止できる。
照明取付枠取付部33に固定した付勢部材34は、照明取付枠4の左右端部側に規制片34aを設けてある。この規制片34aによって照明取付枠4は左右に位置ずれすることなく、脱落が防止される。
【0016】
本発明は、上記の実施形態に限定されない。例えば、付勢部材は必ずしも板バネである必要はなく、同様の作用効果を奏するものであればよい。また、高さ調節の手順は上記に限られない。照明取付枠の位置ずれを防ぐ規制材は、付勢部材に限らず、他の部材に設けてあってもよい。
【符号の説明】
【0017】
1 柱材
2 棚
3 照明取付具
32a 位置決め部
32b 位置決め部
33 照明取付枠取付部
33a 係合部
34 付勢部材
4 照明取付枠
42a 被係合部