IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 大王製紙株式会社の特許一覧 ▶ ダイオーエンジニアリング株式会社の特許一覧

特許7072435選別装置、選別方法及び選別プログラム並びにコンピュータで読み取り可能な記録媒体
<>
  • 特許-選別装置、選別方法及び選別プログラム並びにコンピュータで読み取り可能な記録媒体 図1
  • 特許-選別装置、選別方法及び選別プログラム並びにコンピュータで読み取り可能な記録媒体 図2
  • 特許-選別装置、選別方法及び選別プログラム並びにコンピュータで読み取り可能な記録媒体 図3
  • 特許-選別装置、選別方法及び選別プログラム並びにコンピュータで読み取り可能な記録媒体 図4
  • 特許-選別装置、選別方法及び選別プログラム並びにコンピュータで読み取り可能な記録媒体 図5
  • 特許-選別装置、選別方法及び選別プログラム並びにコンピュータで読み取り可能な記録媒体 図6
  • 特許-選別装置、選別方法及び選別プログラム並びにコンピュータで読み取り可能な記録媒体 図7
  • 特許-選別装置、選別方法及び選別プログラム並びにコンピュータで読み取り可能な記録媒体 図8
  • 特許-選別装置、選別方法及び選別プログラム並びにコンピュータで読み取り可能な記録媒体 図9
  • 特許-選別装置、選別方法及び選別プログラム並びにコンピュータで読み取り可能な記録媒体 図10
  • 特許-選別装置、選別方法及び選別プログラム並びにコンピュータで読み取り可能な記録媒体 図11
  • 特許-選別装置、選別方法及び選別プログラム並びにコンピュータで読み取り可能な記録媒体 図12
  • 特許-選別装置、選別方法及び選別プログラム並びにコンピュータで読み取り可能な記録媒体 図13
  • 特許-選別装置、選別方法及び選別プログラム並びにコンピュータで読み取り可能な記録媒体 図14
  • 特許-選別装置、選別方法及び選別プログラム並びにコンピュータで読み取り可能な記録媒体 図15
  • 特許-選別装置、選別方法及び選別プログラム並びにコンピュータで読み取り可能な記録媒体 図16
  • 特許-選別装置、選別方法及び選別プログラム並びにコンピュータで読み取り可能な記録媒体 図17
  • 特許-選別装置、選別方法及び選別プログラム並びにコンピュータで読み取り可能な記録媒体 図18
  • 特許-選別装置、選別方法及び選別プログラム並びにコンピュータで読み取り可能な記録媒体 図19
  • 特許-選別装置、選別方法及び選別プログラム並びにコンピュータで読み取り可能な記録媒体 図20
  • 特許-選別装置、選別方法及び選別プログラム並びにコンピュータで読み取り可能な記録媒体 図21
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-12
(45)【発行日】2022-05-20
(54)【発明の名称】選別装置、選別方法及び選別プログラム並びにコンピュータで読み取り可能な記録媒体
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/00 20170101AFI20220513BHJP
   G01V 8/10 20060101ALI20220513BHJP
   B07C 5/342 20060101ALI20220513BHJP
【FI】
G06T7/00 350C
G01V8/10 S
B07C5/342
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2018085343
(22)【出願日】2018-04-26
(65)【公開番号】P2019188354
(43)【公開日】2019-10-31
【審査請求日】2021-04-08
(73)【特許権者】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】592094519
【氏名又は名称】ダイオーエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142217
【弁理士】
【氏名又は名称】小笠原 宜紀
(74)【代理人】
【識別番号】100119367
【弁理士】
【氏名又は名称】松島 理
(72)【発明者】
【氏名】大石 昇治
(72)【発明者】
【氏名】深瀬 裕之
(72)【発明者】
【氏名】大西 誠人
【審査官】真木 健彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-109197(JP,A)
【文献】特開2012-115785(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 7/00
G06T 1/00
B07C 5/342
G01V 8/10
G06N 20/00
G06N 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数種類の物体で構成される混合物の中から選別対象物を選別する選別装置であって、
種類ごとに分別された前記物体である種別物体又は前記混合物に基づくデータを取得するデータ取得部と、
前記データ取得部で取得された前記種別物体のデータから学習データを作成する学習データ作成部と、
前記学習データ作成部によって作成された学習データを用いて混合物を種類ごとに分別し、種別物体にする方法を学習し、該学習によって得られた知識及び経験をデータ化した学習モデルを作成する学習部と、
前記種別物体の中から前記選別対象物の種類を選択する選別対象選択部と、
前記学習部にて作成された学習モデルに基づいて、前記データ取得部で取得した混合物の撮像データから前記選別対象選択部にて選択された種類の選別対象物の有無及び位置を判断する判断部と、
前記判断部の判断結果に基づいて前記混合物の中から前記選別対象物を選別する選別部と、
前記各部に対して、ユーザからの操作を受けて指示を与える操作部と、
を備える選別装置。
【請求項2】
請求項1に記載の選別装置であって、
前記操作部は、
前記データ取得部にデータの取得を指示するデータ取得指示部と、
前記学習データ作成部に前記学習データの作成開始を指示する学習データ作成指示部と、
前記学習部に前記学習モデルの作成を指示する学習開始指示部と、
前記選別対象選択部に前記選別対象物の種類の選択を指示する選別対象選択指示部と、
前記判別部に前記選別対象物の有無及び位置を判断させ、前記選別部に、該判断結果に基づいて前記混合物の中から前記選別対象物を選別させる運転開始指示部と、
を備えることを特徴とする選別装置。
【請求項3】
請求項2に記載の選別装置であって、
前記操作部が、少なくとも、前記データ取得指示部、学習データ作成指示部及び学習開始指示部を表示する学習モードと、少なくとも、前記運転開始指示部を表示する運転モードとを含むモード切替操作を指示するモード切替指示部を備えることを特徴とする選別装置。
【請求項4】
請求項2に記載の選別装置であって、
前記操作部が、前記データ取得指示部、学習データ作成指示部、学習開始指示部、選別対象選択指示部及び運転開始指示部を一画面に表示することを特徴とする選別装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一に記載の選別装置であって、
前記操作部が、タッチパネルであることを特徴とする選別装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一に記載の選別装置であって、
前記データ取得部が可視カメラを備え、
前記データ取得部によって取得されるデータが画像データであることを特徴とする選別装置。
【請求項7】
請求項6に記載の選別装置であって、さらに、
前記種別物体の画像データと該種別物体の種類を特定する情報とを関連付けて保存する記憶部を備え、
前記学習データ作成部は、
前記データ取得部で取得した前記種別物体の画像データから背景を取り除いて該種別物体を抽出してなる抽出画像データを作成する画像抽出部と、
前記画像抽出部にて作成された、前記混合物に含まれる物体全種類の前記抽出画像データの中から、一又は複数の抽出画像データをランダムに選択し、前記データ取得部にて撮像された背景の画像データと該抽出画像データとを合成してなる学習用画像データを作成する画像合成部と、
前記画像合成部にて作成された前記学習用画像データと前記記憶部に保存された情報に基づいて特定される前記学習用画像データに含まれる種別物体の種類及び位置の情報とを関連付けて前記学習データを作成する解答作成部と、
からなることを特徴とする選別装置。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一に記載の選別装置であって、
前記選別部が、前記判断結果に基づいて前記選別対象物に圧縮した空気を当て、前記混合物の中から前記選別対象物を選別することを特徴とする選別装置。
【請求項9】
複数種類の物体で構成される混合物の中から選別対象物を選別する選別方法であって、
データ取得指示部からの操作を受けて、種類ごとに分別された前記物体である種別物体又は前記混合物に基づくデータを取得するデータ取得工程と、
学習データ作成指示部からの操作を受けて、前記データ取得工程にて取得した前記種別物体のデータから学習データを作成する学習データ作成工程と、
学習開始指示部からの操作を受けて、前記学習データ作成工程にて作成した学習データを用いて混合物を種類ごとに分別し、種別物体にする方法を学習し、該学習によって得られた知識及び経験をデータ化した学習モデルを作成する学習工程と、
選別対象選択指示部からの操作を受けて、前記種別物体の中から前記選別対象物の種類を選択する選別対象選択工程と、
運転開始指示部からの操作を受けて、前記学習工程にて作成した学習モデルに基づいて、前記データ取得工程にて取得した混合物のデータから前記選別対象選択工程にて選択された種類の選別対象物の有無及び位置を判断し、該判断結果に基づいて前記混合物の中から前記選別対象物を選別する運転工程と、
を含む選別方法。
【請求項10】
請求項9に記載の選別方法であって、
モード切替指示部からの操作を受けて、少なくとも、前記データ取得指示部、学習データ作成指示部及び学習開始指示部を表示する学習モードと、少なくとも、前記運転開始指示部を表示する運転モードとを含むモード切替操作を行うことを特徴とする選別方法。
【請求項11】
請求項9に記載の選別方法であって、
前記データ取得指示部、学習データ作成指示部、学習開始指示部、選別対象選択指示部及び運転開始指示部を一画面に表示することを特徴とする選別方法。
【請求項12】
複数種類の物体で構成される混合物の中から選別対象物を選別するための選別プログラムであって、
データ取得指示部からの操作を受けて、種類ごとに分別された前記物体である種別物体又は前記混合物に基づくデータを取得する機能と、
学習データ作成指示部からの操作を受けて、前記取得した前記種別物体の撮像データから学習データを作成する機能と、
学習開始指示部からの操作を受けて、前記作成した学習データを用いて混合物を種類ごとに分別し、種別物体にする方法を学習し、該学習によって得られた知識及び経験をデータ化した学習モデルを作成する機能と、
選別対象選択指示部からの操作を受けて、前記種別物体の中から前記選別対象物の種類を選択する機能と、
運転開始指示部からの操作を受けて、前記作成した学習モデルに基づいて、前記取得した混合物のデータから前記選択された種類の選別対象物の有無及び位置を判断し、該判断結果に基づいて前記混合物の中から前記選別対象物を選別する機能と、
をコンピュータに実現させる選別プログラム。
【請求項13】
請求項12に記載のプログラムを記録したコンピュータで読み取り可能な記録媒体又は記憶した機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数種類の物体で構成される混合物の中から選別対象物を選別する選別装置、選別方法及び選別プログラム並びにコンピュータで読み取り可能な記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、廃棄物等を再資源化し、新たな製品の原料として利用するリサイクルは、環境保護の観点や企業イメージの向上等の目的から、多くの企業によって実施されている。
【0003】
リサイクル分野は多岐にわたっているが、例えば、古紙をリサイクルして再生紙を生産する分野では、古紙の中に、例えば、ラミネート等のプラスチックが混入すると、紙の純度が下がるといった不純物の問題がある。また、有害物質が混入すると、この有害物質を広く拡散させてしまうこととなる。このため、リサイクルの前に、原料として用いる物体と不純物とを選別する工程が必要となる。また、例えば白色の紙と着色された紙とを選別するというように、リサイクルの用途に応じて自由に選別対象物を選別できることが求められている。
【0004】
また、リサイクルに拘わらず、製品製造時において、良品と不良品とを選別する必要があるため、物体を2以上に選別する技術は、製造業において必要不可欠な技術の1つであるといえる。この種の物体を2以上の種類に選別する技術は、例えば、特許文献1及び特許文献2に開示されている。
【0005】
特許文献1には、光源と光センサとからなる検知手段を備え、反射光の輝度に基づいて物体を選別する選別装置に関する技術が開示されている。
【0006】
また、特許文献2には、重力センサと、撮像装置として、RGBカメラ、X線カメラ、近赤外線カメラ、3Dカメラを備え、人工知能によって物体を自動選別する選別装置に関する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2018-017639号公報
【文献】特開2017-109197号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に開示された選別装置は、反射光の輝度に基づいて物体を選別する基準やアルゴリズムを予め設定しておく必要があり、これらの設定に専門的な知識や経験が必要であるため、ユーザが容易に設定や設定の変更を行うことができなかった。
【0009】
また、人工知能を用いた特許文献2に開示された選別装置は、前述のような設定は必要ないものの、予め人工知能に選別する基準や方法を学習させる工程が必要であり、ユーザが容易に設定できる態様とはなっていなかった。
【0010】
このように、従来の選別装置や選別方法では、選別装置に選別対象物を選別させるための設定を行うことが容易でないため、ユーザは、予め選別対象物に応じた設定がなされた選別装置を提供してもらい運転を行っていた。このため、混合物(廃棄物等)や選別対象物が変更になった場合等に、ユーザが、設定を変更したくても容易に変更できないという問題があった。
【0011】
本発明は、従来のこのような問題点に鑑みてなされたものである。本発明の目的の一は、ユーザが、専門的な技術や知識が無くとも、選別対象物を選別するための設定を容易に行える選別装置、選別方法及び選別プログラム並びにコンピュータで読み取り可能な記録媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0012】
本発明の第1の側面に係る選別装置は、複数種類の物体で構成される混合物の中から選別対象物を選別する選別装置であって、種類ごとに分別された前記物体である種別物体又は前記混合物に基づくデータを取得するデータ取得部と、前記データ取得部で取得された前記種別物体のデータから学習データを作成する学習データ作成部と、前記学習データ作成部によって作成された学習データを用いて混合物を種類ごとに分別し、種別物体にする方法を学習し、該学習によって得られた知識及び経験をデータ化した学習モデルを作成する学習部と、前記種別物体の中から前記選別対象物の種類を選択する選別対象選択部と、前記学習部にて作成された学習モデルに基づいて、前記データ取得部で取得した混合物の撮像データから前記選別対象選択部にて選択された種類の選別対象物の有無及び位置を判断する判断部と、前記判断部の判断結果に基づいて前記混合物の中から前記選別対象物を選別する選別部と、前記各部に対して、ユーザからの操作を受けて指示を与える操作部と、を備えることができる。
【0013】
前記構成によれば、人工知能を用いて混合物の撮像データから選別対象物の有無及び位置を判断することができるため、物体を選別する基準やアルゴリズムの設定が不要である。また、各部材に、ユーザからの操作を受けて指示を与える操作部を備えるので、ユーザが、容易に学習モデルを作成でき、人工知能に学習させる工程も容易に行うことができる。したがって、本発明によれば、簡単な操作により、煩雑な設定作業の大半を人工知能に行わせることができるので、ユーザが、専門的な技術や知識が無くとも、選別対象物を選別するための設定を容易に行える。
【0014】
また、本発明の第2の側面に係る選別装置は、前記操作部は、前記データ取得部にデータの取得を指示するデータ取得指示部と、前記学習データ作成部に前記学習データの作成開始を指示する学習データ作成指示部と、前記学習部に前記学習モデルの作成を指示する学習開始指示部と、前記選別対象選択部に前記選別対象物の種類の選択を指示する選別対象選択指示部と、前記判別部に前記選別対象物の有無及び位置を判断させ、前記選別部に、該判断結果に基づいて前記混合物の中から前記選別対象物を選別させる運転開始指示部と、を備えることができる。
【0015】
さらにまた、本発明の第3の側面に係る選別装置は、前記操作部が、少なくとも、前記データ取得指示部、学習データ作成指示部及び学習開始指示部を表示する学習モードと、少なくとも、前記運転開始指示部を表示する運転モードとを含むモード切替操作を指示するモード切替指示部を備えることができる。前記構成によれば、ユーザは、学習モードと運転モードという選別装置の動作状況のうち、いずれの動作状況下にあるかを把握しながら、作業を行うことができ、学習モードおける設定作業は、設定に係る指示部が集約されているので誤操作を防ぎやすい。
【0016】
さらにまた、本発明の第4の側面に係る選別装置は、前記操作部が、前記データ取得指示部、学習データ作成指示部、学習開始指示部、選別対象選択指示部及び運転開始指示部を一画面に表示できる。前記構成によれば、学習モード、運転モードというようにモードとして区別されておらず、設定に係る指示部も運転に係る指示部も一画面に表示されるので、学習モードと運転モードとのモードの切り換え操作を不要とできる。
【0017】
さらにまた、本発明の第5の側面に係る選別装置は、前記操作部をタッチパネルにできる。前記構成によれば、ユーザが簡単に操作できる。
【0018】
さらにまた、本発明の第6の側面に係る選別装置は、前記データ取得部が可視カメラを備え、前記データ取得部によって取得されるデータが画像データであるよう構成できる。前記構成によれば、データ取得部が可視カメラを備え、データを画像データとして取得できることから、選別対象物を、該選別対象物の形態や位置、大きさ、範囲に基づいて選別できる。なお、例えばデータ取得部が分光器付カメラである場合には、データは分光分布データとして取得できる。
【0019】
さらにまた、本発明の第7の側面に係る選別装置は、前記種別物体の画像データと該種別物体の種類を特定する情報とを関連付けて保存する記憶部を備え、前記学習データ作成部は、前記データ取得部で取得した前記種別物体の画像データから背景を取り除いて該種別物体を抽出してなる抽出画像データを作成する画像抽出部と、前記画像抽出部にて作成された、前記混合物に含まれる物体全種類の前記抽出画像データの中から、一又は複数の抽出画像データをランダムに選択し、前記データ取得部にて撮像された背景の画像データと該抽出画像データとを合成してなる学習用画像データを作成する画像合成部と、前記画像合成部にて作成された前記学習用画像データと前記記憶部に保存された情報に基づいて特定される前記学習用画像データに含まれる種別物体の種類及び位置の情報とを関連付けて前記学習データを作成する解答作成部とを有するよう構成できる。前記構成によれば、ユーザの指示によって、人工知能に学習させる学習データ数を制御できるので、学習回数を増やすことによって選別の精度を向上させることができる。
【0020】
さらにまた、本発明の第8の側面に係る選別装置は、前記選別部が、前記判断結果に基づいて前記選別対象物に圧縮した空気を当て、前記混合物の中から前記選別対象物を選別することができる。
【0021】
さらにまた、本発明の第9の側面に係る選別方法は、複数種類の物体で構成される混合物の中から選別対象物を選別する選別方法であって、データ取得指示部からの操作を受けて、種類ごとに分別された前記物体である種別物体又は前記混合物に基づくデータを取得するデータ取得工程と、学習データ作成指示部からの操作を受けて、前記データ取得工程にて取得した前記種別物体のデータから学習データを作成する学習データ作成工程と、学習開始指示部からの操作を受けて、前記学習データ作成工程にて作成した学習データを用いて混合物を種類ごとに分別し、種別物体にする方法を学習し、該学習によって得られた知識及び経験をデータ化した学習モデルを作成する学習工程と、選別対象選択指示部からの操作を受けて、前記種別物体の中から前記選別対象物の種類を選択する選別対象選択工程と、運転開始指示部からの操作を受けて、前記学習工程にて作成した学習モデルに基づいて、前記データ取得工程にて取得した混合物のデータから前記選別対象選択工程にて選択された種類の選別対象物の有無及び位置を判断し、該判断結果に基づいて前記混合物の中から前記選別対象物を選別する運転工程と、を含むことができる。
【0022】
さらにまた、本発明の第10の側面に係る選別方法は、モード切替指示部からの操作を受けて、少なくとも、前記データ取得指示部、学習データ作成指示部及び学習開始指示部を表示する学習モードと、少なくとも、前記運転開始指示部を表示する運転モードとを含むモード切替操作を行うことができる。
【0023】
さらにまた、本発明の第11の側面に係る選別方法は、前記データ取得指示部、学習データ作成指示部、学習開始指示部、選別対象選択指示部及び運転開始指示部を一画面に表示することができる。
【0024】
さらにまた、本発明の第12の側面に係る選別プログラムによれば、複数種類の物体で構成される混合物の中から選別対象物を選別するための選別プログラムであって、データ取得指示部からの操作を受けて、種類ごとに分別された前記物体である種別物体又は前記混合物に基づくデータを取得する機能と、学習データ作成指示部からの操作を受けて、前記取得した前記種別物体の撮像データから学習データを作成する機能と、学習開始指示部からの操作を受けて、前記作成した学習データを用いて混合物を種類ごとに分別し、種別物体にする方法を学習し、該学習によって得られた知識及び経験をデータ化した学習モデルを作成する機能と、選別対象選択指示部からの操作を受けて、前記種別物体の中から前記選別対象物の種類を選択する機能と、運転開始指示部からの操作を受けて、前記作成した学習モデルに基づいて、前記取得した混合物のデータから前記選択された種類の選別対象物の有無及び位置を判断し、該判断結果に基づいて前記混合物の中から前記選別対象物を選別する機能とをコンピュータに実現させることができる。
【0025】
さらにまた、本発明の第13の側面に係るプログラムを格納したコンピュータで読み取り可能な記録媒体は、前記プログラムを格納したものである。記録媒体には、CD-ROM、CD-R、CD-RWやフレキシブルディスク、磁気テープ、MO、DVD-ROM、DVD-RAM、DVD-R、DVD+R、DVD-RW、DVD+RW、Blu-ray(登録商標)、BD-R、BD-RE、HD DVD(AOD)等の磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、半導体メモリその他のプログラムを格納可能な媒体が含まれる。またプログラムには、前記記録媒体に格納されて配布されるものの他、インターネット等のネットワーク回線を通じてダウンロードによって配布される形態のものも含まれる。さらに記録媒体にはプログラムを記録可能な機器、例えば前記プログラムがソフトウエアやファームウエア等の形態で実行可能な状態に実装された汎用もしくは専用機器を含む。さらにまたプログラムに含まれる各処理や機能は、コンピュータで実行可能なプログラムソフトウエアにより実行してもよいし、各部の処理を所定のゲートアレイ(FPGA、ASIC)等のハードウエア又はプログラムソフトウエアとハードウエアの一部の要素を実現する部分的ハードウエアモジュールとが混在する形式で実現してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の実施の形態に係る選別装置の概略図である。
図2】本発明の実施の形態に係るラインセンサカメラとコンベアとの位置関係の説明図である。
図3】本発明の実施の形態に係るラインセンサカメラで作成する画像データの説明図である。
図4】画像データから物体が写る部分を抽出し、抽出画像データを作成する方法の説明図である。
図5】画像データから物体が写る部分を抽出し、抽出画像データを作成する方法の説明図である。
図6】人工的な混合物の画像データを作成する方法の説明図である。
図7】噴射領域及びエアー噴射ノズルごとの噴射タイミングを設定する方法の説明図である。
図8】本発明の実施の形態に係る選別装置の機能ブロック図である。
図9】学習モードにおける選別装置の操作方法の流れを示すフローチャートである。
図10】コントローラに表示される画面の説明図である。
図11】コントローラに表示される画面の説明図である。
図12】コントローラに表示される画面の説明図である。
図13】コントローラに表示される画面の説明図である。
図14】コントローラに表示される画面の説明図である。
図15】コントローラに表示される画面の説明図である。
図16】コントローラに表示される画面の説明図である。
図17】コントローラに表示される画面の説明図である。
図18】運転モードにおける選別装置の操作方法の流れを示すフローチャートである。
図19】コントローラに表示される画面の説明図である。
図20】コントローラに表示される画面の説明図である。
図21】コントローラに表示される画面の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施の形態は、本発明の技術思想を具体化するための選別装置を例示するものであって、本発明はそれらを以下のものに特定しない。また、本明細書は特許請求の範囲に示される部材を、実施の形態の部材に特定するものでは決してない。特に実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。さらに、本発明を構成する各要素は、複数の要素を同一の部材で構成して一の部材で複数の要素を兼用する態様としてもよいし、逆に一の部材の機能を複数の部材で分担して実現することもできる。
(選別装置1)
【0028】
本発明の実施の形態に係る選別装置1について、概略図である図1、機能ブロック図である図8、及びラインセンサカメラ11とコンベアと13の位置関係の説明図である図2に基づいて説明する。
【0029】
図1に示すように、本実施の形態に係る選別装置1は、供給装置2から供給され、コンベア13に流れる複数種類の物体で構成される混合物MOの中から選別対象物SOを、圧縮空気を放つエアー噴射ノズル14を用いて選別する装置であって、主として、ラインセンサカメラ11(特許請求の範囲における「データ取得部」の一例に対応する。)、第一制御部12、コントローラ15(特許請求の範囲における「操作部」の一例に対応する。)、コンベア13及びエアー噴射ノズル14とで構成される。供給装置2は、例えば、投入ホッパー21と移送コンベア22と投入フィーダー23とからなる。投入ホッパー21は、混合物MOを受け入れ可能に構成されている。移送コンベア22は、投入ホッパー21から供給される混合物MOを投入フィーダー23に供給する。投入フィーダー23は、振動フィーダー又は電磁フィーダー等で構成されており、振動することによって、混合物MO同士の重畳を防止しながら混合物MOをコンベア13に供給する。
【0030】
選別装置1は、学習モードLM及び運転モードOMの2つのモードを備えている。学習モードLMは、選別装置1を動作させるための準備、設定を行うモードである。一方、運転モードOMは、実際に混合物MOから選別対象物SOを選別するモードである。以下、各部材について詳細に説明する。なお、以下の説明(第二の実施例を含む。)において、便宜上、混合物MOは物体A~C(特許請求の範囲における「種別物体」の一例に対応する。)で構成され、選別対象物SOとして物体Aを選択したものとする。
(ラインセンサカメラ11)
【0031】
選別装置1は、図2に示すように、2つのラインセンサカメラ11がコンベア13の幅方向に並べて設けられている。ラインセンサカメラ11は、コンベア13のエンコーダ131からパルスを受ける度に撮像を行い、この撮像結果から画像データIDを取得する部材である。
【0032】
ラインセンサカメラ11のX方向はコンベア13の幅方向、Y方向はコンベア13の進行方向に対応しており、図2に示すように、1つのラインセンサカメラ11で、所定のX方向撮像範囲11aを撮像できる。このX方向範囲11aから、コンベア13両端の除外範囲11bとコンベア13中央の除外範囲11cとを除いたX方向有効範囲11dを2つ足し合わせたX方向範囲11eを、図3に示すように、Y方向に所定のY方向範囲11fで抜き出して画像データIDを作成する。作成された画像データIDのうち、Y方向の一端から所望の重複範囲11gは、直前に作成された画像データIDと重複する範囲である。
【0033】
学習モードにおけるラインセンサカメラ11は、混合物MOに含まれる物体を、物体ごとに撮像し、各物体の画像データIDを作成する。具体的には、複数の物体Aがコンベア13に流された状態で撮像を行い、物体Aの画像データIDを作成する。物体B、Cも同様にして、物体B、Cの画像データIDを作成する。作成された各物体の画像データIDは、撮像された物体の名称(特許請求の範囲における「種別物体の種類を特定する情報」の一例に対応する。)と関連付けてられた状態で記憶部121に送信される。また、物体をコンベア13に流していない状態で撮像を行い、背景画像BIを作成し、図8に示す記憶部121に送信する。
【0034】
また、運転モードOMにおけるラインセンサカメラ11は、混合物MOがコンベア13に流された状態で撮像を行い、混合物MOの画像データIDを作成する。作成された混合物MOの画像データIDは、判断部125に送信される。
【0035】
なお、特許請求の範囲における「データ取得部」の一例としてラインセンサカメラ11を説明したが、「データ取得部」はこれに限定されず、エリアセンサカメラであってもよいし、可視光、赤外線、X線のいずれを用いたものであってもよい。X線を用いた場合、X線光源をコンベアで搬送される物体の上部、X線カメラをコンベアのベルトの下部に配置することができるし、その逆の配置も可能である。また、特許請求の範囲における「種別物体の種類を特定する情報」は、物体の名称に限定されず、後述する選別対象選択部124において、選別対象物SOを選択する際にユーザが物体の種類が何であるか分かる情報であればよい。また、背景画像BIは必ずしもラインセンサカメラ11で撮像、作成する必要はなく、選別装置1の製造段階で、別途用意された背景画像BIを記憶部121に保存しておいてもよい。
(第一制御部12)
【0036】
第一制御部12は、記憶部121、学習データ作成部122、学習部123、選別対象選択部124及び判断部125を備える。第一制御部12は、運転モードOMにおいて、ラインセンサカメラ11で取得した混合物MOの画像データIDから選別対象物SOの有無及び位置を判断する。また、学習モードLMにおいては、該判断のための準備、設定が行われる。以下、各部材について詳細に説明する。
(記憶部121)
【0037】
記憶部121は、ラインセンサカメラ11で作成された物体A~Cの画像データID及び画像データIDに関連づけられた物体の名称と、背景画像BIとを保存する部材である。
(学習データ作成部122)
【0038】
学習データ作成部122は、ラインセンサカメラ11にて撮像され、取得された物体A~Cの画像データIDと背景画像BIから、学習データLDを作成し、保存する。学習データ作成部122は、画像抽出部122a、画像合成部122b及び画像合成部122cの3つの部材で構成される。各部材の構成は後述の通りである。
【0039】
作成された学習データLDは学習部123で行う学習に用いられる。1回の学習につき、1つの学習データLDが用いられ、この学習を繰り返す回数が多いほど運転モードOMにおける選別の精度は向上する。すなわち、学習データ作成部122で作成する学習データLDが多いほど、運転モードOMにおける選別の精度は向上する。なお、本発明の第一の実施例に係る選別装置1は、上限を4万回とし、ユーザが学習の繰り返し回数を自由に設定することができる態様である(詳細は後述する。)。
(画像抽出部122a)
【0040】
画像抽出部122aは、記憶部121から物体A~Cの画像データID及び背景画像BIを呼び出し、背景画像BIに基づいて、物体A~Cの画像データIDから物体が写る部分を抽出し、抽出画像データSDを作成する。例えば、物体Aの画像データIDを抽出する場合、図4に示すように、直前の画像データIDと重複する範囲を除く範囲を1ピクセルごとに背景画像BIと比較する。比較の結果、背景画像BIと一致しない部分を物体Aが写る部分として切り出し、物体Aの抽出画像データSDを作成する。以上の通り、基本的に、直前の画像データIDと重複する範囲を除く範囲で比較を行うが、図5に示すように、物体Aがこの範囲からはみ出る位置にある場合、重複する範囲にまで範囲を広げて比較を行う。同様にして、物体B、Cの画像データIDからも物体B、Cの抽出画像データSDを作成する。
【0041】
なお、厳密に物体が写る部分のみを抽出する必要はなく、背景画像BIが残っていてもよい。
(画像合成部122b)
【0042】
画像合成部122bは、図6に示すように、画像抽出部122aで作成された物体A~Cの抽出画像データSDの中から、ランダムにいくつかのデータを選択し、背景画像BIに、ランダムな位置、角度、サイズで合成して、人工的な混合物MOの画像データID(特許請求の範囲における「学習用画像データ」の一例に対応する。)を作成する。
【0043】
すなわち、抽出画像データSDの位置、角度、サイズを変更することで、少ない物体A~Cの画像データIDから、多数の人工的な混合物MOの画像データIDを作成することができる。
(解答作成部122c)
【0044】
解答作成部122cは、画像合成部で作成された人工的な混合物MOの画像データIDのどの位置に物体A~Cのいずれが配置されているかを記録した情報を人工的な混合物MOの画像データIDに関連付けたデータである学習データLDを作成する。
(学習部123)
【0045】
学習部123は、人工知能を有し、学習データ作成部122にて作成された学習データLDを用いて、物体A~Cを判別する方法を学習し、学習モデルGMを作成する。
【0046】
具体的には、学習データLD中の人工的な混合物MOの画像データIDに写る各物体が何であるかを予想し、解答作成部122cで関連付けられた情報に基づいて予想が当たっていたか否かを調べる。これを繰り返して得られた知識や経験をデータ化したものである学習モデルGMを作成し、保存する。
(選別対象選択部124)
【0047】
選別対象選択部124は、ユーザが物体A~Cの中から選択した選別対象物SO(ここの説明では例として物体Aを選別対象物SOに選択する。)の情報を学習モデルGMに関連付けたデータであるレシピREを作成し、保存する。運転モードにおいて、ユーザに選択されたレシピREは判断部に読み出される。
【0048】
以上のとおり、選別装置1は、学習部123には物体A~Cを判別する方法を学習させ、選別対象物SOがいずれであるかは学習させない態様である。これにより、例えば、選別対象物SOを物体Aから物体Bに変更したい場合であっても、選別対象選択部124にて選別対象物SOとして物体Bを選択するだけでよいので、学習部123に学習をやり直させる必要がない。なお、学習部123に学習させる前に、選別対象物SOを選択する態様としてもよい。
(判断部125)
【0049】
判断部125は、人工知能を有し、運転モードOMにおいて、選別対象選択部124からレシピREを読み出し、このレシピREに基づいて、ラインセンサカメラ11にて作成され、送信された混合物MOの画像データIDの中から、物体Aの有無を判断し、物体Aがある場合は、そのピクセル単位の位置の情報を第二制御部141に送信する。
(コンベア13)
【0050】
コンベア13は、ラインセンサカメラ11の撮像範囲を通過し、エアー噴射ノズル14の位置に物体を流して移動させる部材である。コンベア13は、所定の速度で物体を移動させる。また、コンベア13にはエンコーダ131が設けられ、エンコーダ131はコンベア13が所定距離移動する度に、ラインセンサカメラ11、第一制御部12及び第二制御部141にパルスを送信する。ラインセンサカメラ11は、このパルスを受ける度に撮像を行う。すなわち、ラインセンサカメラ11で撮像される画像データIDの1ピクセルは所定距離に相当する。また、第一制御部12及び第二制御部141は、このパルスに基づいて、物体の位置を特定する。
(エアー噴射ノズル14)
【0051】
エアー噴射ノズル14は、選別対象物SOに対して圧縮空気を放ち、選別対象物SOを選別する部材である。選別装置1は、複数のエアー噴射ノズル14が、コンベア13の幅方向の全体に微小間隔で配される。
【0052】
エアー噴射ノズル14は、第二制御部141に、圧縮空気を噴射するタイミングである噴射タイミングが指示される。具体的に第二制御部は、まず、図7に示すように、判断部125から送信された物体Aの位置情報に基づき、圧縮空気を噴射する噴射領域IRを設定する。次に、エアー噴射ノズル14ごとに噴射領域IRに基づいて噴射タイミングを設定する。噴射タイミングは、コンベア13の進行方向に対して所定の時間間隔で設けられる。すなわち、図7に示す混合物MOの画像データIDを例として考えると、画像データIDの上端部がエアー噴射ノズル14の位置に到達した時間T0を基準に、d~h列のエアー噴射ノズル14に対して、エアー噴射ノズル14が噴射領域IRを通過するタイミングで圧縮空気を噴射するよう指示する。
【0053】
エア噴射ノズル14で圧縮空気を噴射された物体Aは、コンベア13の下部に配置され、選別される材質の種類毎に設けられた回収ホッパー3のホッパー31によって回収される。エア噴射ノズル14で圧縮空気が噴射されない物体B、物体Cは、ホッパー32によって回収される。
(コントローラ15)
【0054】
コントローラ15は、タッチパネル式のコントローラであって、ユーザは、コントローラ15を用いることで、選別装置1を容易に操作することができる。コントローラ15は、モード切替ボタン15a(特許請求の範囲における「モード切替指示部」の一例に対応する。)、撮像ボタン15b(特許請求の範囲における「データ取得指示部」の一例に対応する。)、学習データ作成ボタン15c(特許請求の範囲における「学習データ作成指示部」の一例に対応する。)、学習開始ボタン15d(特許請求の範囲における「学習開始指示部」の一例に対応する。)、選別対象選択ボタン15e(特許請求の範囲における「選別対象選択指示部」の一例に対応する。)、運転開始ボタン15f(特許請求の範囲における「運転開始指示部」の一例に対応する。)及び運転終了ボタン15gを備える。
(選別装置1の操作方法)
【0055】
以下でコントローラ15を用いて選別装置1を操作する方法について説明する。
(学習モードLMにおける操作方法)
【0056】
学習モードLMにおける、選別装置1の操作方法について図8の機能ブロック図、図9のフローチャート及び図10図17のコントローラ15に表示される画面の説明図に基づき説明する。
【0057】
まず、ステップST101でモード切替ボタン15aを用いて、選別装置1を学習モードLMに切り替える。選別装置1を起動した際、コントローラ15には図10に示す画面が表示されるので、学習モードボタン151aを押下することで選別装置1を学習モードLMに切り替えられ、コントローラ15に図11に示す画面が表示される。
【0058】
次に、ステップST102でラインセンサカメラ11に物体A~Cの画像データID及び背景画像BIを作成させる。ユーザは、複数の物体Aをコンベアに流し、図11に示される画面における撮像ボタン15bを押下するとラインセンサカメラ11は撮像を開始し、物体Aの画像データIDを作成する。物体Aの画像データIDの取得が完了すると、コントローラ15には、図12に示す画面が表示されるので、ユーザは名称入力部151bに物体Aの名称を入力し、記憶部121に保存する。物体Aの保存が完了すると、コントローラ15には再度図11の画面が表示されるので、ユーザは、同様の手順で、物体B、C及び背景画像BIの撮影を行う。
【0059】
次いで、ステップST103で学習データ作成部に学習データLDを作成させる。ユーザが、図11に示される画面における学習データ作成ボタン15cを押下すると、コントローラ15には図13に示す画面が表示される。ユーザは、物体選択ボタン151cを押下することで図14に示すように表示される記憶部121に保存された物体の名称の一覧から、学習データLDの作成に用いる物体(本説明の場合は「物体A」、「物体B」、「物体C」)を選択する。選択を完了すると、コントローラ15には再度、図13に示す画面が表示されるので、データ数入力部152cに作成する学習データLDの数を入力する。入力が完了すると、コントローラ15には図15に示すように、ユーザに学習データLDの作成が完了するまでの予想時間を示す待機画面が表示される。学習データLDの作成が完了すると、コントローラ15には図11に示す画面が表示される。
【0060】
最後に、ステップST104で学習部123に学習データLDを用いて学習させ、学習モデルGMを作成させる。ユーザが、図11に示される画面における学習開始ボタン15dを押下すると、コントローラ15には図16に示す画面が表示される。ユーザは、図16に示すように表示される学習データ作成部122に保存された学習データLDの一覧(学習データLDの作成に用いられた物体の名称が表示される。)から、学習部123の学習に用いる学習データLD(本説明の場合は「物体A、物体B、物体C」)を選択する。選択を完了すると、コントローラ15には図17に示すように、ユーザに学習モデルGMの作成が完了するまでの予想時間を示す待機画面が表示される。学習モデルGMの作成が完了すると、コントローラ15には図11に示す画面が表示される。
(運転モードOMにおける操作方法)
【0061】
運転モードOMにおける、選別装置1の操作方法について図8の機能ブロック図、図18のフローチャート及び図19図21のコントローラ15に表示される画面の説明図に基づき説明する。
【0062】
まず、ステップST201でモード切替ボタン15aを用いて、選別装置1を運転モードOMに切り替える。選別装置1を起動した際、コントローラ15には図10に示す画面が表示されるので、運転モードボタン152aを押下することで選別装置1は運転モードOMに切り替えられ、コントローラ15に図19に示す画面が表示される。
【0063】
次に、ステップST202で選別対象物SOに物体Aを選択し、選別対象選択部124にレシピREを作成させる。ユーザが、図19に示される画面における選別対象選択ボタン15eを押下すると、コントローラ15には図20に示す画面が表示される。ユーザは、図20に示すように表示される学習部123に保存された学習モデルGMの一覧(学習モデルGMの作成に用いられた物体の名称が表示される。)から、判別に用いる学習モデルGM(この実施例の場合は「物体A、物体B、物体C」)を選択する。選択を完了すると、コントローラ15には図21に示す画面が表示される。ユーザは、図21に示すように表示される選択した学習モデルGMの作成に用いられた物体の一覧から、選別対象物SO(本説明の場合は「物体A」)を選択する。選択を完了すると、選別対象選択部124はレシピREを作成し、コントローラ15には図19に示す画面が表示される。
【0064】
次いで、ステップST203で物体Aを選別させる。ユーザは、混合物MOをコンベアに流し、図19に示される画面における運転開始ボタン15fを押下すると、ラインセンサカメラ11は撮像を開始し、判断部125は物体Aの有無及び物体Aのピクセル単位の位置を判断し、この判断に基づいて、エアー噴射ノズル14は物体Aを選別する。
【0065】
最後に、ステップST204で、運転終了ボタン15gを押下し、選別を終了させる。
【0066】
なお、コントローラ15の態様や、画面の表示は前述のものに限定されず、ユーザが選別装置1を容易に操作できるよう適宜変更してよい。例えば、押しボタンを用いたコントローラ15であってもよく、この場合、モード切替ボタン15aは不要である。また、モード切替ボタン15aを設けず、一画面にすべてのボタンを表示する態様としてもよい。また、コントローラ15に、ユーザに対して次の操作を指示する表示をしてもよい。
【0067】
また、前述した実施の形態では、各々のボタンにそれぞれ別々の機能を持たせているが、各々の機能が連動したり、所定のボタンが種々の機能を兼用するようにしてもよい。例えば、学習データ作成ボタン15cを押下することによって、学習データLDを作成するとともに、該学習データに基づいて学習モデルGMを作成するようにしてもよい。また、例えば、運転開始ボタン15fが運転終了を指示する機能を兼ねており、一回目の運転開始ボタン15fの押下で運転が開始し、二回目の押下で運転が終了するようにしてもよい。また、前述した実施の形態では、物体Aを選別対象にして説明しているが、複数の物体を選別対象とし、それに応じてエアー噴射ノズルやホッパーを複数個設けるようにしても良い。
【0068】
以上説明したように、本発明を適用した選別装置1は、人工知能を用いて混合物MOの撮像データから選別対象物SOの有無及び位置を判断することができるため、物体を選別する基準やアルゴリズムの設定が不要である。また、コントローラ15に表示される各種ボタンを用いて、人工知能に学習させる工程を含め、容易に操作することができる。したがって、本発明によれば、簡単な操作により、煩雑な設定作業の大半を人工知能に行わせることができるので、ユーザが、専門的な技術や知識が無くとも、選別対象物SOを選別するための設定を容易に行える。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明に係る選別装置、選別方法及び選別プログラム並びにコンピュータで読み取り可能な記録媒体は、物体を2以上の種類に選別する用途に適用できる。
【符号の説明】
【0070】
1…選別装置
11…ラインセンサカメラ
11a…X方向撮像範囲;11b、11c…除外範囲;11d…X方向有効範囲;11e…X方向範囲11f…Y方向範囲;11g…重複範囲
12…第一制御部
121…記憶部
122…学習データ作成部;122a…画像抽出部;122b…画像合成部;122c…解答作成部
123…学習部
124…種類選択部
125…判断部
13…コンベア
131…エンコーダ
14…エアー噴射ノズル
141…第二制御部
15…コントローラ
15a…モード切替ボタン;151a…学習モードボタン;152a…運転モードボタン
15b…撮像ボタン;151b…名称入力部
15c…学習データ作成ボタン;151c…物体選択ボタン;152c…データ数入力部
15d…学習開始ボタン;151d…学習データ選択ボタン
15e…選別対象選択ボタン
15f…運転開始ボタン
15g…運転終了ボタン
2…供給装置
21…投入ホッパー;22…移送コンベア;23…投入フィーダー
3…回収ホッパー
31、32…ホッパー
MO…混合物
SO…選別対象物
ID…画像データ
LD…学習データ
SD…抽出画像データ
BI…背景画像
GM…学習モデル
RE…レシピ
IR…噴射領域
LM…学習モード
OM…運転モード
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21