(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-12
(45)【発行日】2022-05-20
(54)【発明の名称】皮膚科学的処置のための方法および装置
(51)【国際特許分類】
A61B 17/34 20060101AFI20220513BHJP
A61B 17/04 20060101ALI20220513BHJP
【FI】
A61B17/34
A61B17/04
(21)【出願番号】P 2018121710
(22)【出願日】2018-06-27
(62)【分割の表示】P 2015520708の分割
【原出願日】2013-07-05
【審査請求日】2018-07-24
【審判番号】
【審判請求日】2020-01-20
(32)【優先日】2012-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】592017633
【氏名又は名称】ザ ジェネラル ホスピタル コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】アンダーソン リチャード アール.
(72)【発明者】
【氏名】アヴラム マシュー
(72)【発明者】
【氏名】サカモト フェルナンダ エイチ.
(72)【発明者】
【氏名】リムピアングカナン ウィクンダ
(72)【発明者】
【氏名】ファリネッリ ウィリアム エー.
【合議体】
【審判長】佐々木 一浩
【審判官】平瀬 知明
【審判官】栗山 卓也
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2005/0283141(US,A1)
【文献】国際公開第2011/140497(WO,A2)
【文献】特表2009-545382(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/34
A61B 17/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮膚組織内に美容効果をもたらすためのシステムであって
前記皮膚組織のある領域内に複数の穴を形成するように構築された
内径が0.2mmから0.7mmの間の少なくとも1つの円形の中空のコアリング針と、
前記穴が形成された後、前記領域の少なくとも一部にわたって圧縮応力を生成し該圧縮応力を維持するように構成された皮膚圧縮手段と、を備え、
前記穴が前記領域の表面の5%から50%の間の部分的な表面積にわたって前記皮膚表面から真皮層まで延在し、
前記皮膚圧縮手段が、前記穴が閉鎖されるまで前記皮膚表面に平行な方向に沿って前記領域内にある力を提供する前記応力を維持するように構成されるシステム。
【請求項2】
前記少なくとも1つの中空のコアリング針が複数の中空のコアリング針である、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記少なくとも1つの中空のコアリング針の前記内径が、0.2mmから0.5mmの間である、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記少なくとも1つの中空のコアリング針が、前記皮膚表面から前記皮膚の真皮層全体を貫通するように延在する前記穴を形成するように構築される、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記皮膚圧縮手段が、皮膚の前記領域の少なくとも一部に付着させる事前に引き延ばされたフィルムである、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記皮膚圧縮手段が、皮膚の前記応力がかけられた領域の少なくとも一部に剛性材を付着させるように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記皮膚圧縮手段が、外科用ステープルまたは縫合糸の少なくとも一方を皮膚の前記領域に、または前記領域に隣接するように適用するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記穴が前記領域の表面の10%から30%の間の部分的な表面積にわたって前記皮膚表面から真皮層まで延在することを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2012年7月6日に提出された米国仮特許出願番号61/668、744号に関連し、そこから優先権を主張しており、この開示はその全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【0002】
本開示は、皮膚組織の改善された部分的な表面修復ための美容法およびシステム、ならびに同様の手順に関し、具体的には皮膚面積における改善されたおよび/または指向性の削減あるいはしわの軽減を容易にするような方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
皮膚の欠陥を修復するまたは改善するための要望は増大しつつあり、これらの欠陥は、加齢、太陽光への暴露、皮膚病、外傷、外科処置、遺伝などによる誘発される可能性がある。皮膚は、年をとるにつれてその色合いや滑らかな感触を失い、一般的にはしわやたるみが生じてくる。これは光によるダメージや、例えば外傷による傷跡、加齢に関連するしわおよび線条などの他の作用によってさらに悪化する可能性がある。年齢を重ねた皮膚は、平らになった真皮と表皮の結合、薄くなる表皮および真皮、繊維状コラーゲンの減少およびエラスチン組織における変質によって特徴付けられる。皮膚の若返り治療は、このようなダメージを受けた組織を除去する、および/または新たな健康なコラーゲン、弾性のある繊維および皮膚細胞の成長を刺激し、これにより皮膚の外観を改善するように作用する。
【0004】
しわの出現を抑えることは、多くの皮膚科的方法および処置の1つの目的である。例えばフェイスリフト作用は、皮膚が耳の前方または後方から除去される標準的な外科的処置であり、これは年を重ねる間にたるんでしまった顔や首から隣接する皮膚を引っ張り持ち上げる。しかしながらこのような方法の結果は、不自然に引っ張られたような外観になることが多い。皮膚の面積を縮小するために1つまたは複数の所与の方向を選択して、目立つ傷跡を残さずに皮膚の面積を縮小するような方法で顔または首にある皮膚自体を除去することが可能であるならば、その結果は自然な外観となり、またさらに望ましくない、たるんだ、または余った皮膚を除去することになるであろう。
【0005】
特定の処置を使用して、電磁エネルギーを皮膚に照射することによって皮膚の欠陥を改善することができ、これは処置される皮膚の状況を改善させるための有益な反応につながり得る。皮膚の若返りに関する一般的な方法、すなわちレーザによる表面修復は光エネルギーを利用して真皮上層を加熱し損傷させる。しかしながらレーザによる表面修復は、芳しくない副作用の特徴を有し、多くの患者は、長引く紅斑、傷跡および色素沈着異常を被る。
【0006】
近年、部分的な皮膚処置の開発および利用がより最適な結果を達成している。部分的な損傷は、健康な組織によって囲まれた組織における小さな領域の損傷(例えば焼灼または熱損傷)を形成することを含むことができる。損傷領域が小さいサイズであり(例えば一般に約1mmより小さい)かつ健康な組織が近傍にあることにより、損傷領域の迅速な治癒ならびに例えば組織の収縮などの他の望ましい作用を促進させることができる。レーザによる部分的な表面修復技術およびデバイスは、高価であり場合によっては危険なレーザや、損傷組織に対する強い光学エネルギーの他の供給源の利用を伴う。このような光学システムは高価であり、安全性の危険要因を呈し、その操作に関して熟練した医師や臨床医を必要とする可能性がある。さらに部分的な表面修復処置は、指向的な好みや偏りのない皮膚の全体的な締め付け作用を生じさせる傾向がある。
【0007】
しかしながら多くのしわは、全面的な向きで身体の特定の部分に現れる傾向にあり、例えばしわは目または口の角から横方向にあるいは顎の下の首に沿って延びる。皮膚の指向性の収縮は、適切な形状で皮膚の細長い範囲を除去し、その後残った皮膚の縁部を結合し(例えば縫合糸によって)皮膚を特定の方向に「引っ張って」戻すことによって実現させることができる。このような方法は、従来のフェイスリフトで使用されるように、慎重に位置付けられる必要がある大きな傷跡を形成し、皮膚を大規模に除去し元の位置に戻す作業を受けて何らかの不自然に見える収縮を生じさせる可能性がある。
【0008】
皮膚のより小さな部分、例えば数ミリメートルの幅を除去し、結果として生じる穴を縫合糸などによって閉じ、皮膚面積のより管理された縮小をもたらすことが提案されている。このような穴は、引き延ばされることで(例えばレンズ状のまたは楕円形状で)それぞれの長い方の縁部を近づけることによってこのような穴を容易に閉鎖し、このような穴がつぶされる際に縫合端皮膚変形が形成されることを避けるべきである。しかしながらこのような穴はそれでもなお治癒する際に目立つ印を形成するために十分な大きさであり、完全な治癒には数週間まで必要とする場合がある。さらにこのような穴の閉鎖は、個々の縫合作業または手作業などの操作、さらにこのような穴は治癒するまで穴を閉じた状態で保持するためのシアノアクリレート接着剤などの接着コーティングの塗布が後に続く接近を必要とする技術が集約された方法である。このような穴の閉鎖方法は、時間集約的であり、目立つ傷跡を形成し易い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって本来機械式であってよく、上記に記載したこのような例示の欠陥の少なくとも一部を克服し、目立つ傷跡を形成することなく、皮膚の表面積の指向性の削減をもたらす生物組織において部分的な損傷を形成するように構成することができる相対的に簡素で、安価であり、確固として安全である美容法およびシステムに対する要望が存在している場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示は、皮膚などの生物組織に例えば微小領域の損傷などの複数の小さな穴を機械的に形成し、処置した皮膚を向上させることができる、および/または特定のまたは好ましい方向を有する美容的に望ましい皮膚面積の削減を生じさせるように扱うことを目的とした簡素で、安価であり、安全な化粧法およびシステムの例示の実施形態に関する。このような例示の穴は、組織表面に沿って測定したとき例えば約0.2mmから0.7mmの間、または好ましくは約0.2mmから0.5mmの間などの特定の幅または直径を有することができる。このような穴は、真皮の全体の厚さへと延びる、または好ましくはその中を貫通するように延びることができる。このような穴の形成によって処置領域において除去される皮膚の部分的な面積は、約5%から50%の間、あるいは約10%から30%の間であってよい。このような1ミリメートル未満のサイズの範囲および面積の有効範囲における穴の形成は、傷跡の形成、感染または他の合併症の最小限のリスクで身体に良好に許容される。
【0011】
上記に記載した皮膚のある領域における複数の穴の形成、その後の治癒過程において処置領域に対して概ね皮膚の表面に沿った特定の方向で引張応力および/または圧縮応力の付加を含み得る本開示による美容法の一例の実施形態を提供することができる。このような応力は、処置領域における全体的な縮小を強化する、および/または結果として生じる収縮に対する指向性の偏りを提供することができる。付加される応力は、穴がほぼ閉鎖されるまで、および/または組織の再成長が効果的に改善されるまで、例えば4-6日以上の間、処置領域内で維持することができる。特定の例示の実施形態において、この時間は、さらに短い場合もあり、組織の粘着剤、接着剤などを使用して穴の閉鎖を促進させた場合、例えば数分または数時間ほどである場合もある。
【0012】
1つの例示の実施形態では、穴が形成された後、事前に延伸されたまたは熱収縮性フィルムが処置領域の表面に付着されることができる。結果として生じる圧縮応力は、付加される応力の方向に穴の閉鎖を向上させる、ならびに/あるいはコラーゲンまたは小さな穴を囲む組織における治癒反応の一部として成長または発生する他の構造体の向きに影響を与える可能性がある。剛性フィルム、プレートまたは他の対象物が任意選択で延伸フィルムを覆うように付着されることで、一次治癒過程において処置領域の機械的安定性を実現し、処置領域の変形を維持することができる。
【0013】
別の例示の実施形態では、圧縮応力は、1つまたは複数の外科用ステープルおよび/または縫合糸をこの範囲に適用することによって皮膚の処置領域に圧縮応力を生成させることができる。ステープルおよび/または縫合糸は、それらが形成された複数の穴にわたり、任意選択で処置領域全体にわたるように大きいことが好ましい。特定の実施形態において、複数のステープルまたは縫合糸が異なる向きで単一の範囲に適用されることで、応力が付加されずに同様に処置された領域と比較して穴の閉鎖および処置領域の全体の縮小を高めることができる全方向性の圧縮応力を提供することができる。
【0014】
他の例示の実施形態では、圧縮応力は、中に穴が形成された後、皮膚表面に収縮性の物質を適用することによって生成することができる。収縮性の物質には、例えば皮膚表面に付着され、その後加熱される熱収縮フィルム、粘着性フィルムが形成する、硬化するまたは経年するなどの際にサイズが縮小する粘着性フィルムを形成するように重合または反応することができる液体層などが含まれてよい。
【0015】
他の例示の実施形態では、処置領域の表面に光活性化接着剤が塗布される場合もあり、接着剤を活性化するために処置領域に光エネルギーを誘導する間、圧縮または引張応力を処置領域に生成することができる。光活性化接着剤には、例えばローズベンガルまたは当分野で知られる光活性化生物接着剤が含まれてよい。
【0016】
さらに別の例示の実施形態において、処置領域を皮膚表面に沿って1つまたは複数の方向に引き延ばすことによって皮膚の処置領域内に引張応力を生成することができ、これにより穴の閉鎖および付加される引張応力の方向に直交する方向での収縮を容易にすることができる。このような引張応力は手作業で生成され、その後、例えば皮膚の引き延ばされた領域に対して剛性フィルム、プレートまたは他の対象物を付着させることによって維持することができる。
【0017】
本開示の別の例示の実施形態によって、皮膚に針を挿入し該針を引き抜くことによって組織の小さな核を取り除くことができる1つまたは複数のコアリング針を含む、皮膚のある領域に複数の穴を形成することを目的としたシステムを提供することができる。複数のこのような針は、特定の基体に添えられることで全ての針を同時に動作させ位置決めするのを容易にすることができる。針の挿入および引き抜きは、アクチュエータによって制御することができ、アクチュエータは、存在するならば電気または空気式の変換装置などの機械的結合または作動によって針および/または基体の位置決め作業を制御することができる。
【0018】
例示のシステムはさらに、中に穴が形成された後処置領域を変形させるために圧縮デバイスまたは基体を適用することが可能な、またはそのように構成された圧縮手段を含むことができる。例えば圧縮手段は、皮膚表面に対して外科用ステープラ、縫合デバイス、延伸フィルムまたは硬化可能/縮小可能な液体を適用することが可能なアプリケータなどを含むことができる。
【0019】
本明細書に記載される例示の実施形態は、美容法および装置に関係する。本明細書に記載される美容法はテストされており、美容院または他の環境において実施することができる安全かつ常用の方法であることにさらに留意されたい。提示される方法は、最小限の侵襲性の方法である。さらに例示の方法は、実質的な健康リスクを与えることがないため安全であり、専門的な医療の専門技術を果たす必要がない。本明細書に記載される方法の例示の実施形態を実施するために臨床医は必要とせず、以下の記載からより明らかになるように、標準的な清潔さと滅菌方法が利用されたならば前記美容法によって処置される人にとってほとんどまたは全くリスクが現れることがなく、ましてや健康状のリスクもほとんどまたは全く現れることはない。
【0020】
本明細書に記載される特徴および実施形態の様々な組み合わせより相乗効果が生じる場合があるが、全てのこのような組み合わせが詳細に記載される訳ではない。さらに本開示の例示の実施形態による方法またはシステムに関係する本開示の全ての実施形態は、記載されるステップまたは手順の順序で実行される場合もあるが、それでもなおこれは、この方法およびシステムの手順のステップの唯一の基本的な順序ではないことに留意されたい。ステップおよび手順の全ての様々な順序および組み合わせはこれにより記載される。
【0021】
本開示のこれらのおよび他の目的、特徴および利点は、添付の図面および特許請求の範囲と併せて用いられる際、本開示の例示の実施形態の以下の詳細な記載を読むことで明らかになるであろう。
【0022】
本開示の別の目的、特徴および利点は、本開示の例示の実施形態、結果および/または特徴を示す添付の図面と一緒に用いられる以下の詳細な記載から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1A】本開示の例示の実施形態による皮膚組織内に形成することができる円形の穴の頂面図である。
【
図1B】
図1Aに示されるものなどの穴の配列の頂面図である。
【
図1C】本開示の別の実施形態による皮膚組織内に形成することができる細長い穴の頂面図である。
【
図1D】皮膚組織内に形成することができるレンズ形状の穴の頂面図である。
【
図2】本開示の例示の実施形態による皮膚などの生物組織内に小さな穴を形成するために使用することができるコアリング針の概略図である。
【
図3A】本開示のさらなる例示の実施形態による延伸フィルムの概略側面図である。
【
図3B】中に穴を含む皮膚のある領域の表面に適用された
図3Aに示される例示にフィルムの概略側面図である。
【
図3C】皮膚の領域の表面に適用された例示のフィルムを備えた
図2Bに示される皮膚の領域の概略頂面図である。
【
図3D】延伸フィルムの頂部に付着されることで剛性の対象物を機械的に滅菌する剛性の対象物を備えた、
図3Bに示される皮膚の領域の表面に適用された例示のフィルムの概略側面図である。
【
図4A】本開示の別の例示の実施形態による皮膚組織のある領域を圧縮するために使用することができる外科用ステープルの概略側面図である。
【
図4B】中に穴を含む皮膚のある領域に適用された
図4Aに示されるステープルの概略側面図である。
【
図4C】本開示の特定の例示の実施形態による中に穴を含む皮膚のある領域に適用されたテンションクリップの概略側面図である。
【
図5A】本開示の別の例示の実施形態による皮膚組織のある領域を圧縮するために使用することができる縫合糸の概略側面図である。
【
図5B】第1の構成において中に穴を含む皮膚のある領域に適用された5Aに示されるものなどの複数の縫合糸の概略頂面図である。
【
図5C】第2の構成において中に穴を含む皮膚のある領域に適用された
図5Aに示されるものなどの複数の縫合糸の概略頂面図である。
【
図6A】中に穴を含む皮膚のある領域に付加される引張応力の概略頂面図である。
【
図6B】穴の上での
図6Aに示される引張応力の作用を示す概略頂面図である。
【
図7】本開示の別の例示の実施形態による組織内に機械的に部分的な損傷を形成し組織に対して圧縮応力を与えることを目的とした一例の装置の概略側面図である。
【
図8A】豚の皮膚のある領域に形成され、その後に応力の付加が続く部分的な損傷から生じるサイズおよび形状の変化を示す、それぞれの時間の豚の皮膚のある領域の例示の画像である。
【
図8B】豚の皮膚のある領域に形成され、その後に応力の付加が続く部分的な損傷から生じるサイズおよび形状の変化を示す、それぞれの時間の豚の皮膚のある領域の例示の画像である。
【
図8C】豚の皮膚のある領域に形成され、その後に応力の付加が続く部分的な損傷から生じるサイズおよび形状の変化を示す、それぞれの時間の豚の皮膚のある領域の例示の画像である。
【
図9A】処置されない領域に対応するサイズの変化によって正規化された、コアリング針によって部分的に損傷された豚の皮膚の領域の観察された幅および高さの変化を示す例示のデータのバーグラフである。
【
図9B】処置されない領域に対応するサイズの変化によって正規化された、コアリング針によって部分的に損傷された豚の皮膚の領域の観察された幅および高さの変化を示す例示のデータのバーグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図面を通して、同一の参照番号はそうでないことが述べられていなければ、例示の実施形態の同様の特徴、要素、構成要素または部分を指すために使用される。よって同様の特徴は、同一の参照番号によって記載されてよく、これははっきりと述べられていなければ種々の実施形態の間で特徴の交換を行うことができることを熟練した読み手に示唆している。さらに本開示は次に図面を参照して詳細に記載されるが、それは例示の実施形態と関連してそのように行われており、図面に示される特定の実施形態によって制限されるものではない。添付の特許請求の範囲によって定義される本開示の範囲および精神から逸脱することなく、変更および修正を行うことができることが意図されている。
【0025】
本開示の例示の実施形態は、皮膚組織内に複数の穴を形成し、その後処置領域を特定の方向に操作または圧縮することを目的とし、これにより目立つ傷跡を残さずに皮膚表面積の局所的な指向性の削減をもたらすことができる美容法およびシステムに関する。
【0026】
本開示の例示の実施形態によって、
図1Aの頂面図に示される穴のような複数の小さな穴100を以下でより詳細に記載するコアリング法によって皮膚組織内に機械的に形成することができる。穴100の幅または直径は、200ミクロンから700ミクロンの間である、または200ミクロンから500ミクロンの間であってよい。小さいサイズのこのような穴は、周辺組織が治癒した後目立つ印や傷跡の形成を回避することができる。このようなサイズの範囲内で穴を形成することはまた、形成される損傷領域が極めて小さいサイズであり、迅速な治癒を促進するために損傷を受けない隣接する組織が存在するため、許容され易く安全である。
【0027】
穴100は、
図1Aに示されるようにほぼ円形であってよい。複数のこのような穴100は、例えば
図1Bに示されるように皮膚または他の組織の処置領域内に形成されることで処置領域の全面にわたる全体的な治癒反応を促進させることができる。このような治癒反応は、穴100の形成によって生成される機械的損傷に応じた、例えば処置領域内の既存のコラーゲンの収縮および/または新たなコラーゲンの成長を刺激することができる。
【0028】
例えば穴100は、
図2に示されるものなど先が分かれた中空の針200を使用して形成することができる。この例示の針200は、尖った先を有し、例えば針の軸に対して一定の角度で中空の針の遠位端の対向する側部をすり減らすことによって形成することができる。他の針の幾何学形状も使用することができ、例えば針200は3つ以上の尖った先を有する。このような先が分かれた針200(例えば、円形の切断面を有する従来のバイオプシータイプの針とは対照的に)は、針200を回転させることなく組織の穴100を形成するために針200の端部の皮膚への貫入、および組織の小さな核の除去を促進させることができる。このような針200は例えば、約19から27のゲージを有し例えば約700ミクロン(0.7mm)から約200ミクロン(0.2mm)の内径を有する従来の注射針から形成することができる。好ましくは針のゲージは、21から27の間であってよく、これは約0.5mmから約0.2mmの内径に相当する。コアリング針200はまた、所望の穴の幅に対応する内径を有する他のタイプの中空の管から形成されることもできる。
【0029】
針200を皮膚組織へと挿入し、その後そこから引き抜くことで、組織の核を除去し微細な穴100を形成することができる。針200は、少なくとも部分的に下にある真皮層へと延出する、または好ましくは、真皮層全体を貫通して下にある皮下脂肪層まで延出する特定の深さまで挿入することができる。少なくとも皮下脂肪の深さまで針200を挿入することで、周辺組織からの針の内腔における組織の核の除去を容易にすることができ、例えばこれは組織の核が隣接する真皮組織から切り離され、組織の核の底部が下にある脂肪によって強く保持されないためである。穴100を形成するために使用されるこのような機械的なコアリング法は、何らかのわずかな出血を伴う場合があり、これは重大なことではなく、穴のサイズが小さいためすぐに止まる傾向にある場合がある。
【0030】
2つに先が分かれた針200によって形成される穴100は、
図1Cに示されるように幾分細長い形状であってよい。この非円形形状によって、針200の2つの先が組織を突き刺しその中を進む際に生じる可能性があるわずかに非対称の組織の延伸および切断となり得る。例えば2つに先が分かれたコアリング針200を使用して形成された穴100は、組織表面においてまたはその付近で約3:2のアスペクト比(例えば断面における長さと幅の比)を有することができる。
【0031】
図1Dに示されるレンズ形状の穴100など本開示の特定の例示の実施形態によって他の穴の形状が形成されることができる。例えば
図1Dにおけるレンズ状の穴100のアスペクト比は、例えば約3:1であってよく、湾曲した側部が合致する角度は約30度であってよい。このような比率(またはこれに近いアスペクト比)および幾何学形状によって、周辺組織における関連する応力や変形を軽減させることによって穴10の閉鎖を容易にすることができる。柔軟な組織に形成される実際のレンズ状の穴100の形状は、
図1Dに例示されるように全く滑らかな縁部や鋭利な角を持たなくてもよいが、おおよそレンズ形状であることによって、このような穴100が治癒する際、穴100の閉鎖を容易にすることができる。
【0032】
一般に穴100の特有の形状は重要ではないおよび/または決定的なことではない場合があり、これは小さいサイズの規模が、穴が閉鎖し共に治癒する際「縫合端皮膚変形」などの望ましくない結果を生じさせることなく、任意の所望の方向において穴の縁部を容易に近づけるためである。より多くの先、例えば3または4つの先を有する針200が別の実施形態において使用される場合があり、この場合針200は、
図1Aに示されるものなどより丸みのある穴100を形成する傾向がある場合がある。
【0033】
本開示のさらなる例示の実施形態では、
図1Cに示される穴100など非対称的または非円形である微小穴100の組織内での形成が、局所的および/または巨視的に指向性である穴100の閉鎖を生じさせるために望ましい場合がある。非対称的であるこのような穴100は、例えば狭い方の幅をさらに狭くし、穴100の対向する側部が互いに近接するまたは接触するように組織を圧縮することによってより容易に閉鎖させることができる。非対称的な穴100は、本開示の実施形態による様々な技術および装置を利用して形成することができる。
【0034】
1つの例示の実施形態において、組織を特定の方向に引っ張り、その後例えば機械的なコアリング針200または別の機械的デバイスを利用して組織内に穴100を形成することによって組織内に細長い穴100が形成されることができる。組織を緩めた後、穴100は、
図1Cに示される穴100など幾分細長くなる傾向にあるであろう。
【0035】
別の例示の実施形態では、コアリング針200が、例えば細長い非円形の断面を有するなど様々な形状で提供され得ることにより、針200を挿入し引き抜くことによって皮膚または他の組織内に形成される穴100は、細長い形状になるであろう。
【0036】
一般に柔軟な皮膚組織内に形成される微小穴100の形状は、全く滑らかな縁部および十分に画定された形状を持たない場合があり、穴100の正確な形状は、それぞれのサイズが小さい(例えば0.7mm以下)であるため、その後の指向性の収縮または閉鎖動作に有意な影響を与える可能性はない。
【0037】
穴100を機械的に形成することができるため、処置領域において除去される部分的な表面積は、約5%から50%の間、例えば約10%から30%の間である。除去される組織のこのような面積の一部は、各々の穴100の周りに十分な大きさの健康な組織を保持することによって機械的に損傷された皮膚の治癒または回復を促進させるために十分小さいものであってよく、その一方で本明細書に記載されるように処置領域に対して行われる単独の例示の方法において美容上望ましい大きさの収縮を生じさせるために十分な大きさである。穴100の特定の面積の一部は、例えば望ましい収縮の範囲、処置領域の場所(例えば顔、首、腕など)、全体的な皮膚の特徴などの要因に基づいて選択することができる。
【0038】
穴100の分布は、ほぼ不規則である、あるいは種々のパターンのいずれかで形成することができる。例えばほぼ正方形または矩形の配列で皮膚または他の組織内に複数の穴100を形成することができる。別の実施形態では、穴100は、互い違いの列の配列で、または不規則なパターンで形成することができる。穴の特定の配置またはパターンは、収縮動作に関して特に重要ではなく、これは例えば処置領域における穴100の数が大きくサイズが小さいためである。
【0039】
例えば
図1Bに示されるものなどの穴100のパターンは、様々な技術を利用して形成することができる。例えば穴100は、例えばパターンを形成するように組織を横切る往復機構を利用して機械的に形成することができる。この機構は、1つまたは複数の列のコアリング針200を含むことで、互い違いの列の穴100を皮膚組織内に形成することができる。別の例示の実施形態では、穴100は、例えば空間的に不規則な配置で列にならない他のパターンで形成されることができ、これは処置領域における様々な場所で1つまたは複数の針200を繰り返し手作業で挿入し引き抜くことによって実現することができる。
【0040】
穴100の密集度または近接もまた、処置されている組織の異なる領域において変わることができる。例えば穴は、特定の処置領域の周辺範囲または縁部においてさらに離れるように離間されることができる。除去される組織の体積をこのように「フェザリング」することによって、処置領域の範囲内での収縮したまたはきつく張った皮膚と、それを囲む組織の処置されない領域とのより滑らかな、または段階的な移行を容易にすることができる。しかしながら穴100のこのような「フェザリング」または密集度の変化度は、処置領域全体にわたる連続する指向性の収縮を達成するために特に重要ではなく、これは多数の小さい穴100が、その後の治癒過程における皮膚の変形の変化度を調節することができるためである。例えば多数の中程度から高度の密集度の微小穴100は、各々の個々の穴100の閉鎖および治癒動作において極めて小さな局所的な差のみで収縮における巨視的な変化度に適応することができる。このような変化度および指向性は、以下に本明細書に記載されるように例えば穴100が形成された後、処置領域の例示の操作によってもたらすことができる。
【0041】
穴100が形成される処置領域の特定の形状およびサイズは任意であり、本明細書に記載される例示の方法から利益を得ることができる皮膚の部分に基づいて選択することができる。このような方法は、小さい領域(例えば1平方cm以下ほどの)とより大きな領域の両方に対して有効であってよく、これは本明細書に記載される美容上の効果を達成するために使用される多数の1mm未満の穴100のためである。例えば約5%から50%の部分的な面積に形成される小さいサイズの穴100は、約1cm以上のサイズ規模で見たとき、このような穴100のほぼ均一な分散を実現することができる。よって本明細書に記載される例示の方法は、多数の小さい穴100の指向性の閉鎖を含むことができ、これは特定の処置領域の範囲内でまたはこれに隣接して生じる可能性のある収縮におけるいずれの変化度にも十分に適応することができ、かつ任意の形状および範囲を有する処置領域内に適用させることができる。
【0042】
上記に記載したように皮膚または他の組織内に穴100が形成された後、組織が治癒する際、処置領域における組織に対して適切な横方向の力(例えば圧縮または引張力)を加えることによって穴100の閉鎖を促進することが可能である。このような力は、穴100の対向する縁部の間で、特に組織表面付近での接触を容易にし、閉鎖構成において穴100が治癒する際組織の全体の収縮を高めることができる。さらに穴の形成の後の処置領域における全体の皮膚の収縮の異方性または指向性は、その後の治癒または回復過程において特定の方向でこのような力を付加することによって達成することができる。
【0043】
本開示の1つの例示の実施形態において、延伸フィルム300を使用して、処理領域における組織表面に圧縮表面力を与え、穴の閉鎖を促進することができる。例えば
図3Aに示されるようにフィルム300は、矢印の方向に事前に引き延ばすことができる。延伸フィルム300はその後、
図3Bにおける処置領域の例示の断面図に示されるように組織表面に付着させることができる。事前延伸フィルム300はその後、
図3Bにおける矢印によって示されるように組織表面に沿って指向性の圧縮力を生成することができる。この力は、穴100の縁部を特に組織表面付近で一緒に引っ張ることで穴の閉鎖を容易にし、治癒過程における組織の収縮を高めることができる。例えば延伸フィルム300は、組織表面における圧縮力の方向(
図3Bにおいて矢印によって示される)が収縮の好ましい方向であるように適用させることができる。このような圧縮力により生じる穴の閉鎖は、
図3Cの処置領域の頂面図に示される例示の構成と同様に閉鎖した穴の構成となり、ここでは矢印は圧縮力の方向を表しており、小さな垂直線310は皮膚表面における穴100の近接した縁部を表している。
【0044】
フィルム300を形成するために使用することができる材料には、Tegaderm(登録商標、別の延伸ポリマーなどが含まれる。例えばTegaderm(登録商標)は粘着特性を有し、約30-40%までの引き延ばされた後、組織表面に適用させることができる。他のフィルム材も別の実施形態で使用することができる。このようなフィルムは、粘着表面を備えることができる、あるいは何らかの適切な生体適合性接着剤、セメントまたは粘着剤を使用して組織表面に付着させることができる。
【0045】
例えば圧縮フィルム300を数日間、例えば4-6日間組織表面上で維持することで、皮膚組織が圧縮状態で保持される間、その十分な治癒または変形を容易にすることができ、例えば穴100が再び開くあるいは外部の力によって圧縮方向にコラーゲンが膨張するのを最小限にするまたは阻止することができる。
【0046】
別の例示の実施形態において、滅菌フィルム330(
図3Dに示される)、例えば非延伸フィルムまたは剛性プレートなどをフィルム300が緩み組織表面を圧縮した後フィルム300の上部表面に付着させることができる。この滅菌フィルム330は、圧縮された組織表面に機械的な安定性を提供することで圧縮状態を維持し、治癒過程において圧縮された組織のさらなる変位(例えば弛緩)を抑制することで、例えば回復過程におけるフィルム300の弛緩を阻止する、または皮膚表面からのフィルム300の脱離を阻止することができる。特定の例示の実施形態において、滅菌フィルムは、延伸フィルム300の頂部に付着される代わりに、あるいはこれに加えて延伸フィルム300の縁部を超えて処置領域を囲む皮膚表面に直接付着させることができる。
【0047】
本開示の別の例示の実施形態において、
図4Aおよび
図4Bにおける処置領域の例示の断面図に示されるように1つまたは複数の外科用ステープル400を使用して処置領域に圧縮力を加え該圧縮力を維持することができる。一例の大きな外科用ステープル400(例えば複数の穴100の両端に及ぶために十分に大きいステープル)が
図4Aにおいて処置領域の全面に位置決めされる。
図4Bは、挿入されたステープル400による処置領域の圧縮による変形を示している。例示のステープル400を使用して皮膚の処置領域の全体の圧縮を実現し、これにより単独の切開部または傷の2つの対向する縁部を近づけるのではなく(外科用ステープルの従来の用途により典型的に行われるように)、
図4Bに示されるように複数の穴100の縁部を近づけることができる。1つまたは複数の外科用ステープル400のこのような例示の利用によって、延伸フィルム300を皮膚表面に適用することによって実現されるもの(
図3Bに示される)と比べて、処置領域の表面より下で皮膚を大きく圧縮させることができ、これはステープル400によって表面より下で組織を一緒に固定し引っ張るためである。
【0048】
別の例示の実施形態において、
図4Cに示されるようにテンションクリップ450を使用して圧縮応力を処置領域内に付加し該圧縮応力を維持することができる。クリップ450は、皮膚に挿入することが可能な2つの尖った先構成460を含んでいる。尖った先構成460は、それぞれの遠位端に鋭利な先端または縁部を有することで皮膚への貫入を容易にすることができ、有意に破損や変形することなく以下に記載したように応力を支持するために十分に剛性なまたは強固な任意の材料から作製することができる(例えば金属または剛性プラスチックなど)。尖った先構成460は、弾性材470によって接続することができ、これはストラップ、コードなどとして提供することができる(例えばゴムバンド、小型のバンジーコードなど)。弾性材470は引き延ばされ、その後、本明細書に記載されるように形成された穴を含む処置領域の範囲内でおよび/またはそこに隣接して尖った先構成460を皮膚に挿入させることができる。引き延ばされた弾性材470はその後、
図4Cにおける矢印によって示されるように尖った先構成460がそれらの間で圧縮力を及ぼすようにすることができる。この方法において、容易に皮膚に挿入され皮膚から除去することができるテンションクリップ450を利用して、圧縮応力を生成することができ処置範囲の少なくとも一部にわたってそれを維持することができる。尖った先構成460および弾性材470のサイズは、処置領域および/または応力が維持されるべきこのような領域の一部のサイズに基づいて選択することができる。
【0049】
特定の例示の実施形態によって、複数のステープル400および/またはテンションクリップ450が処置領域全体あるいはその一部の範囲内および/またはその両端にわたるように適用されることができる。別の実施形態において、ステープル400および/またはテンションクリップ450が、処置領域上にまたはその両端にわたって異なる方向に配向されることで収縮の局所的な好ましい方向を変えるおよび/または(例えば穴100が形成された後処置領域を圧縮しない従来の部分的な損傷法と比べて)処置領域の非指向性の収縮を高めることができる。
【0050】
ステープル400および/またはテンションクリップ450は、使用される場合、数日間、例えば4-6日間処置領域に保持されることで治癒/回復過程においてそこでの圧縮状態を維持し、これにより皮膚組織が圧縮状態に保持される間、その十分な治癒または変位を可能にすることができる。さらにステープル400および/またはテンションクリップ450は、少なくとも一方向において小さいまたは薄いことでそれらを除去する際に目立つ印を形成することを避けることができる。特定の例示の実施形態において、薄い、および/または皮膚を突き刺すように構成された複数の尖った先を含むステープル400およびテンションクリップ450を使用することができる。このようなステープル400および/またはテンションクリップ450は、単一のステープル400またはクリップ450に匹敵する圧縮力を提供することができ、その一方で個々の尖った先をより小さいサイズにすることでこのようなステープル400および/またはテンションクリップ450が除去される際、印が形成されるのを軽減する、またはなくすことを可能にする。
【0051】
本開示のさらに別の例示の実施形態において、
図5Aの例示の断面図に示されるように1つまたは複数の縫合糸500を処置領域適用に適用することで処置領域に対する圧縮力を維持することができる。各々の縫合糸500は、複数の穴100の両端に及ぶために十分な大きさであってよく、これにより
図5Aに示されるように穴100の対向する表面の指向性の接近を促進させることができる。
図4Bに示されるステープル400と同様に、縫合糸500は、皮膚表面に延伸フィルム300を適用することによって実現されるものと比べて、処置領域の表面より下で皮膚の圧縮を高めることができる。
【0052】
特定の例示の実施形態によって、複数の縫合糸500が処置領域全体またはその一部の範囲内におよび/またはその両端にわたって適用されることができる。例えば複数の縫合糸500は、
図5Bの例示の頂部面において示されるように処置領域の両端にわたってほぼ平行に適用させることができる。
図5Bにおける矢印は、圧縮力の方向を示しており、小さな垂直線310は、皮膚表面における穴100の接近した縁部を表している。別の例示の実施形態において、縫合糸500が、
図5Cの頂面図に示される例示の構成のように処置領域全面に異なる方向で適用されることで、処置領域の非指向性の収縮を高めることができる。
図5Cにおける矢印は圧縮力の局所的な方向を表しており、これは皮膚表面において穴100の縁部を全方向的にまたは等方的に圧縮する傾向にある場合がある。さらに別の例示の実施形態において、縫合糸500は、処置領域の範囲内またはその両端にわたって異なる方向で配向されることで処置領域における収縮の局所的な好ましい方向を変えることができる。
【0053】
延伸フィルム300およびステープル400と同様に、縫合糸500は、使用される場合、数日間、例えば約4-6日間処置領域内に保持されることで治癒/回復過程において処置領域での圧縮状態を維持し、これにより皮膚組織が圧縮状態に保持される間その十分な治癒または変形を可能にすることができる。
【0054】
別の例示の実施形態によって、他のデバイスおよび技術を使用して処置領域内で穴が開けられた組織に対して圧縮力を付加し該圧縮力を維持することができ、例えば鉗子、粘着性の熱収縮フィルム、硬化する際皮膚表面を収縮させこれに付着することができるポリマー前駆物質などの硬化可能な液体の表面塗布などである。当分野で知られる任意のこのような熱収縮フィルム、硬化可能な縮小液体などが、本開示の特定の実施形態と共に使用されてよい。
【0055】
さらに別の例示の実施形態において、延伸フィルム300、ステープル400、縫合糸500、熱収縮フィルムおよび/または硬化可能液体の任意の組み合わせを使用して穴100が治癒する際、処置領域内に応力または変形を加えるおよび/または維持することができる。
【0056】
さらに別の例示の実施形態によって、引張力が組織の表面領域に付加されることで中に形成された穴100の閉鎖を促進させることができる。例えば本明細書に記載され
図6Aに示されるように複数の穴100を組織内に形成することができる。引張力を
図6Aに示される矢印の方向で組織に付加することができる。このような例示の引張力は矢印の方向で組織を局所的に引き延ばすことができ、これにより
図6Bに示されるように穴の側面を互いに接近および/または接触させることができる。このように穴100の幅を狭めることによって閉鎖および治癒を容易にし、穴が治癒する際、付加される引張力に直交する方向に組織の局所的な指向性の収縮が生じることになり、その一方で穴100の形成によって生じた組織の損傷が治癒する際、引張力の方向に皮膚を維持する、またはさらにはわずかに膨張させる傾向がある。
【0057】
図6Aに示されるような引張力は、種々の技術および/またはデバイスのいずれかを使用して付加することができる。例えばこのような力は、手作業で、例えば処置領域の周辺部に隣接して処置領域の対向する側部で皮膚に指を押し付けることによって付加することができる。指をその後離れるように広げることにより組織に引張力を加え、例えば指との接触地点の間で組織の領域を引き延ばすことができる。剛性または非延伸可能な粘着フィルムあるいはプレートをその後引き延ばされた組織に付着させることで、穴が治癒する際組織が弛緩するのを抑制または阻止し、これにより組織を引き延ばされたまたは引っ張られた状態に維持することができる。別の一実施形態では、離れるように広げることができる2つ以上の接触面を含むエキスパンダデバイスを使用することができ、例えば各々の先端の端部に平坦な接触範囲を有する一対の鉗子などである。同様の方法で、接触範囲を組織に押し付け、その後離れるように機械的に移動させることで接触範囲の間で組織を引き延ばすことができる。接触範囲は、粗く、滑らないおよび/または粘着性の表面を備えることで引張力が付加される際皮膚または組織表面の特定の場所との接触を維持することができ、エキスパンダデバイスは、皮膚表面に付着される間拡張した構成を維持するように構成することができる。皮膚を局所的に引き延ばす他の技術もまた本開示の実施形態と共に使用される場合がある。
【0058】
種々の付加的な方法を使用して穴100が組織内に形成された後、穴の閉鎖および穴100の治癒を促進させることができる。例えば穴100は、穴100が形成された後食塩水または他の溶液に曝されることで治癒の前の組織の水和および軟化を促進させることができる。このような溶液はまた、穴の中の残屑や不純物を容易に除去することができ、例えば穴100が1つまたは複数のコアリング針200を利用して機械的に形成された後に存在し得る血液の除去などを容易にすることができる。
【0059】
別の例示の実施形態において、生体適合性の接着剤または粘着剤を使用して、例えば治癒過程において閉鎖した穴100のより迅速な密着を容易にすることができる。例えば光化学組織接着(PTB)技法を使用して治癒過程において閉鎖構成に穴100を置くのを助けることができる。PTB工程において、穴100が組織に形成された後ではあり、但し本明細書に記載されるように圧縮フィルム300あるいは圧縮力または引張力を付加する前に光増感剤(例えばローズベンガル、リボフラビン、ポルフィリン、クロリンなど)を組織に適用することができる。例えばこのような光増感剤のプロドラッグを含めた光増感剤前駆体を使用することもでき、この場合このような前駆体は、組織内に光増感剤を形成するために代謝させるまたは活性化させることができる。このような光活性物質(例えば光増感剤または前駆体)は、組織に適用される際、任意選択で活性化される、または代謝することが認められる際、組織の接着を促進させることができ、その後1つまたは複数の適切な波長を有する光に曝すことができる。
【0060】
延伸フィルム300、ステープル400、縫合糸500ならびに/あるいは他の圧縮力または引張力を利用して穴100が指向的に圧縮された後、組織は適切な波長を有する光に曝されることで組織の接着を活性化し、数分の間のうちに穴の壁の密着を促進させることができる。波長の選択は、使用される特定の光増感剤または前駆体に基づいてよい。処置領域内に圧縮力および/または引張力を課す物質および/または対象物はその後除去することができ、その一方で穴100は組織表面において閉鎖したままであり治癒を続ける。
【0061】
さらに別の例示の実施形態によって、延伸フィルム300は、1つまたは複数の光増感剤または前駆体の層を備えることができるため、フィルム300が組織の表面に適用される際、光活性物質の少なくとも一部が組織表面に移動する。例えば光活性物質は、皮膚表面に当たるように配置されたフィルム300の表面におけるゲルまたはマイクロカプセル化した層内に設けられてよい。活性化する光はその後、フィルム300の頂部面を通り抜けて圧縮された組織表面および該組織表面に適用された光活性物質へと誘導することができる。一般に1つまたは複数の種々の従来の光化学組織接着システム、物質および方法を利用して、本開示の実施形態によるより迅速な穴の閉鎖を促進させることができる。
【0062】
別の例示の実施形態において、他の組織接着剤、例えばシアノアクリレートを使用して穴100が形成され圧縮され、引き延ばされるおよび/または閉鎖された後、穴100を一緒に接着することができる。このような接着剤の組織への適用を制限し、穴100の内部の接着剤の取り込みを回避し、その後の穴の閉鎖および収縮を妨げる可能性のある望ましくない物質で接着剤が満たされるのを阻止することが好ましい場合がある。本明細書に記載されるものを含めたいずれの従来の組織接着技法または組織接着剤の利用は、圧縮フィルム300または他のドレッシングが、処置された組織範囲が治癒する際、処置された組織範囲上に維持される時間を短縮させることができ、その一方で段階的な治癒過程において閉鎖した穴100が再び開くのを阻止することができる。
【0063】
本明細書で記載されるように、穴100の形状、密集度または間隔、およびパターンまたは空間分布、ならびに/あるいは処置領域の表面に付加される圧縮力または引張力の向きは、組織が治癒する際、組織の指向的に配向された収縮を実現することができる。このような指向性を利用することで、機械的な部分的表面修復方法において好ましい局所的な方向で大きな収縮を生成することによって改善された美容結果を実現することができる。複数のこのような方法を特的の処置領域に適用することで皮膚または他の組織のより大きな全体の収縮を実現することができ、好ましくは特定の範囲におけるその後の処置の間で十分な治癒時間を可能にする。圧縮および/または引っ張る方向が、単一の範囲の異なる処置において変わることでこの範囲においてより均質な収縮を実現することができる。隣接する処置領域のサイズおよび好ましい収縮方向はまた、皮膚または他の組織に関して望ましい全体の収縮パターンを達成するように選択され変更することができる。
【0064】
穴の閉鎖を促進させるための組織への引張力または圧縮力の付加はまた、穴100が形成された後に起こる穴の閉鎖および組織の治癒過程において形成され得るコラーゲンの特性に影響を及ぼす可能性がある。例えばコラーゲンは、本明細書に記載されるように穴100の形成の後外部の力の付加によって変形される組織において形成する際特定の方向に成長および/または整列することができる。処置される組織内でこのようなコラーゲン成長および/または整列の変化によって、さらに望ましい美容効果を与えることができる。
【0065】
本開示の別の例示の実施形態において、特定のシステムが設けられることで皮膚の処置領域内に複数の穴100を形成し、その後処置領域に圧縮力または引張力を付加することができる。例えば、
図7に示されるように下部表面715を有するハンドピース710、複数の格納式のコアリング針200、アクチュエータハンドル720および圧縮
手段730を含む例示のシステム700を設けることができる。針200は、例えば針アレイなどとしての可動式の基板725に取り付けることで、その制御可能な動作および下部表面715に対するおよび位置決めを容易にすることができる。特定の例示の実施形態によって、針200および基板725は、使い捨てまたは再利用可能/滅菌可能な単一のユニットまたはカートリッジとして一緒に設けられることができる。下部表面715は、処置領域の表面に配置されるように構成されるおよび/または構築されてよく、アクチュエータハンドル720は、下部表面715に対して1つまたは複数の場所で針200および/または基板725を位置決めするおよび/または維持することが可能であってよい。
【0066】
針200の数および針アレイの範囲は、種々の要因に基づいて選択することができる。例えば針200の数は、皮膚の大きな範囲の迅速な処置を容易にするために十分な大きさであってよいが、針アレイのコストおよび複雑さが法外なものになるほど大きなものではない。さらに多数の針200を皮膚に同時に挿入することは困難である場合がある。例えば針200のこのような数は、例えば1から50、または6から25であってよい。特定の例示の実施形態において、多数の針200がシステム700内に設けられることができる。針200の平均的な間隔は、簡単な幾何学的な計算を利用して針200の内径、および針200の単独の挿入および引き抜きによって除去すべき皮膚の所望される部分的な範囲に基づいて選択することができる。
【0067】
例示の構成において、システム700は(例えば最初は)針200の遠位端が下部表面715より下の特定の距離に突き出るように構成されてよい。このような例示の距離は、例えば処置領域の局所的な真皮の適切な深さであってよい。特定の実施形態において、このような距離は、(例えばねじ込み調節器または止め具、複数の段差の付いた調節具などを使用して)調節可能であることにより、システム700は、種々の厚さを有する処置される皮膚に対して使用することができる。
【0068】
例示のシステム700は、システム700の下部表面715が皮膚表面に接触するまで処置領域に適用させることができ、そのため針200は、例えば真皮の全体の厚さを通り抜けて皮膚へと特定の距離まで皮膚組織を貫通する。アクチュエータハンドル720は、その後強く握ることで針を皮膚から後退させ、針200の遠位端を下部表面715より上に引っ張り、皮膚内に複数の穴100を形成することができる。アクチュエータハンドル720はさらに、圧縮手段(図示せず)の活性化が可能であるため針200が処置領域から引き抜かれた後処置領域に圧縮要素を付加することができる。
【0069】
1つの例示の実施形態において、圧縮手段730は、アクチュエータハンドル720によって機械的または電気的に始動されるように構成された外科用ステープラを含むことで、アクチュエータハンドル720を強く握ることでまず針200を処置の場所から引き抜き、その後本明細書で記載するように1つまたは複数の大型のステープル400および/またはテンションクリップ450を処置領域の少なくとも一部の両端に適用することができる。
【0070】
別の例示の実施形態によって、圧縮手段730は、縫合針(例えば湾曲した針)と、縫合糸とを含むことができる。圧縮手段730は、1つまたは複数の長さの縫合糸を処置領域の表面より下に導入することが可能である、またはそのように構成されてよく、例えば、針200が処置の場所から引き抜かれた後、それがアクチュエータハンドル720によって始動される際、糸の端部は皮膚の表面から飛び出している。縫合糸の端部は併せて結ばれることで、上記で記載したように処置領域内で皮膚組織に圧縮力を付加することができる縫合糸500を形成することができる。任意選択で圧縮手段730は、始動される際、事前選択された引張力で縫合糸を結ぶことが可能である、またはそのように構成されてよい。
【0071】
さらに別の例示の実施形態において、圧縮手段730は、針200が皮膚から引き抜かれた後処置領域全面に延伸フィルムなどを付着させることが可能なおよび/またはそのように構成された延伸フィルムアプリケータを含むことができる。例えば圧縮手段730は、パッキングテープディスペンサと同様に構成された延伸フィルム300の小さなロールを含むことができる。システム700は、針200が引き抜かれた後処置領域の全面にわたって並進されることで、ちょうど形成された穴100を覆うようにフィルム300を適用することができる。フィルム300はまた、処置領域を覆うように適合するように大きさが決められた事前カットされた切片で提供されることもできる。
【0072】
別の例示の実施形態によって、圧縮手段730は、上記で本明細書に記載されるように硬化性コーティング材の貯蔵所を含むことができ、それは針200を皮膚から引き抜いた後処置領域の表面にこのようなコーティング材を適用することが可能である。別の実施形態において、圧縮手段730は、上記で本明細書に記載されるように処置領域の少なくとも一部に光活性剤(またはこのような物質の前駆体)を適用するように構成されるまたは適合されてよく、この領域に光エネルギーを誘導することで光活性剤を活性化することができる。穴100が形成された後、圧縮手段730が他のタイプの圧縮またはテンション要素を処置領域に適用することが可能であるシステム700の実施形態もまた、本開示の範囲内にある。
【0073】
(実施例)
本開示の特定の例示の実施形態による一例の方法が、指向性の収縮をもたらす能力を例示するために豚の動物モデルの下腹部に対して実施された。各々おおよそ3cm掛ける3cmの正方形である6つのテスト部位が0日目にこの動物の皮膚に彫られた。同一サイズの7つのコントロール部位もテスト部位の間で印が付けられた。コントロール部位は、観察の過程にわたってこの動物の有効な成長を考慮に入れるために含められた。
【0074】
例えば144個の均一に分散された穴が、特別に設計された真空補助の19ゲージのコアリング針を使用して各々のテスト部位において皮膚の深さを貫通するように形成された。穴は、コアリング針を手作業でテスト部位における任意の場所で144回挿入し引き抜くことによってほぼ無作為に形成された。形成された穴の幅は、針の内径とおおよそ同じであり、例えば約0.69mmであった。これは、約6%の各々のテスト部位における部分的な表面積の除去に相当する。これは本明細書に記載される好ましい範囲において除去される皮膚組織の比較的小さな部分に相当する。
【0075】
事前に引き延ばされた粘着性のドレッシング(Tegaderm(登録商標))がその後テスト部位に付着され、その元のサイズへと縮むことによって上記本明細書で記載したように組織を圧縮することを可能にする。テスト部位1、2、4、5および6は、頭から尾までおおよそ水平方向に(例えばX方向に)伸びるランゲル線に沿って圧縮された。テスト部位3は、ランゲル線を横切るように(垂直方向またはY方向)圧縮された。7つのコントロール部位に延伸フィルムは適用されなかった。
【0076】
ドレッシングは、7日間の間各々のテスト部位における所定の場所に残され、その後除去された。この動物は観察され、写真撮影され、各々のテストおよびコントロール部位の幅および高さが28日目まで測定された。
【0077】
0日目(事前処置)、7日目(ドレッシングが除去されたとき)および28日目に撮影されたテスト部位6の写真画像が
図8A、
図8Bおよび
図8Cにそれぞれ示されている。このような画像のサイズは、各々におけるルーラ長が同一になるように調節された。テスト部位の全体の形状は0日目から28日目までほぼ正方形から矩形に変化し、テスト部位の幅(圧縮方向でランゲル線に沿った)は、テスト部位の最初のサイズと比べて観察の終わりには約12%小さくなった。テスト部位の高さ(圧縮方向に直交する)は、0日目における処置前の高さと比べて28日目では約17%増加した。さらにこれらの画像には明らかな傷跡や印は見て取れず、多くの極めて小さな穴を形成することによって皮膚の面積を縮小することの予測される美容上の利点と一致している。
【0078】
表1は以下で、0日目、7日目、および28日目における各々のテスト部位の測定された幅および高さ(それぞれXおよびY)を示す。データは、この箇所1、2、4、5および6の幅が、観察の過程にわたってわずかに減少したこと、7日目(圧縮ドレッシングが除去されたとき)と28日目の間でわずかに広くなる傾向にあったことを示唆し、これは一部拘束されない皮膚の弛緩のためである可能性がある。テスト部位3の幅は0日目と7日目の間で増大したが、これはこの部位が本開示のテスト部位に直行する垂直方向に圧縮されたためである。同様に圧縮方向に直交するテスト部位の高さ(箇所3を除く)は、0日目と20日目の間で同一のままか、わずかに増大したように思われる。
【表1】
【0079】
観察の過程にわたって動物被験体の何らかの有効成長が存在したことに留意されたい。これを補正するために、各々のコントロール部位の幅および高さが0日目、7日目および28日目において測定された。各々のテスト部位の測定された幅および高さはその後、同一の日に測定されたコントロール部位の平均の幅および高さそれぞれによって正規化された。これにより、テスト部位寸法の測定値における動物被検体の全体の成長(すなわち皮膚範囲における全体の増大)のおおまかな補正を行う。表2は以下で、0日目、7日目および28日目に測定された各々のコントロール部位の幅と高さとを含む。
【表2】
【0080】
各々のテスト部位の正規化された幅と高さ(それぞれXおよびY)を示すバーグラフが
図9Aおよび
図9Bにそれぞれ示される。このようなグラフのデータは、動物被検体の全体の成長が考慮された場合、最初の処置の後4週間にわたってテスト部位1、2、4、5および6の幅の顕著な増加が生じたことを示唆している。同一の期間にわたってこのようなテスト部位の高さ(圧縮方向に直交する)がわずかにそれ程目立たないように減少していることも見られる。よって本開示の実施形態によって処置された場合、テスト被検体の皮膚の収縮に何らかの好ましい指向性が見られる。
【0081】
観察された結果(およびXおよびY方向における挙動の差)は、この例示の研究において幾分控えめなものである。このような測定された結果を評価する際、いくつかの要因に留意すべきである。まずヒトと豚の皮膚では性質的な差がある。ヒトの皮膚は、これより薄く弾性が小さく、同様の処置条件下ではより大きく影響される可能性があることが予測される。2番目に、各々のテスト範囲において除去される皮膚の部分的な面積は、わずか6%であり、これは相対的に低いものである。より多数の穴がテスト範囲内に形成されたならば(除去される皮膚のより大きな部分に相当する、例えば25-30%以上)より著しい結果が現れる可能性がある。またドレッシングは常に動物被検体の皮膚に良好に付着する訳ではなく、ヒトの皮膚にはより強力に付着する傾向があるためより有効な圧縮力が提供される。さらに観察期間における動物被検体の有効成長は、データ分析において対処されるが、それでもなお正規化された結果に影響を与える可能性がある。このような「有効成長」作用は典型的には哺乳類のヒトの患者では生じないため、実際の皮膚の収縮はより大きくなり、関連する指向的な差もより大きくなる可能性がある。
【0082】
(概要)
よって当業者は、本明細書にはっきりと示されるか記載されてはいないが本開示の原理を具現化し、これにより本開示の精神および範囲内にある多くのシステム、構成および方法を考案することが可能であることを理解されたい。加えて、本明細書で参照される全ての公報、特許および特許出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。