(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-12
(45)【発行日】2022-05-20
(54)【発明の名称】組成物
(51)【国際特許分類】
C09J 4/02 20060101AFI20220513BHJP
C08F 290/06 20060101ALI20220513BHJP
C08G 73/02 20060101ALI20220513BHJP
C09J 11/06 20060101ALI20220513BHJP
C09J 11/08 20060101ALI20220513BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20220513BHJP
【FI】
C09J4/02
C08F290/06
C08G73/02
C09J11/06
C09J11/08
H01L21/304 631
(21)【出願番号】P 2018156546
(22)【出願日】2018-08-23
【審査請求日】2021-04-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000003296
【氏名又は名称】デンカ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】関谷 瑠璃子
(72)【発明者】
【氏名】後藤 慶次
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 淳
【審査官】牟田 博一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/003981(WO,A1)
【文献】特開平08-259660(JP,A)
【文献】特開昭60-190427(JP,A)
【文献】特表2017-517583(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(A)~(E)成分を含有する
仮固定接着剤。
(A)成分 単官能(メタ)アクリレート
(B)成分
多官能ウレタン(メタ)アクリレートを除く、分子量1000未満の多官能(メタ)アクリレート
(C)成分 ラジカル重合開始剤
(D)成分
非ラジカル重合性化合物であり、かつ(D-1)フッ素系化合物、(D-2)シリコーン系化合物、(D-3)オレフィン系化合物から選択される1種以上である離型性付与化合物
(E)成分 (E-1)
分子量1000以上の2官能(メタ)アクリレートと
、(E-2)
1分子中に1級アミノ基又は2級アミノ基を2個以上有するポリアミンとの
、マイケル付加反応物
【請求項2】
(A)成分の分子量が1000未満である請求項1に記載の
仮固定接着剤。
【請求項3】
(C)成分が、光ラジカル重合開始剤である
請求項1又は2に記載の
仮固定接着剤。
【請求項4】
(E-2)成分に含まれるアミノ基当量が、(E-1)成分に含まれる(メタ)アクリレート基1モルに対して0.01~10当量である
請求項1~3のうちの1項に記載の
仮固定接着剤。
【請求項5】
(E-2)成分が、(E-2-1)非複素環アミン化合物、(E-2-2)ピペラジン化合物、(E2-2-3)ピペリジン化合物から選択される1種以上である
請求項1~4のうちの1項に記載の
仮固定接着剤。
【請求項6】
(A)成分が、(A-1)アルキレンオキシド鎖を有するフェノキシポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート、(A-2)直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート、(A-3)脂環式アルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート、(A-4)1個の(メタ)アクリロイル基を有するシリコーンから選択される1種以上である
請求項1~5のうちの1項に記載の
仮固定接着剤。
【請求項7】
(B)成分が、1、3-アダマンチルジメタノールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレートから選択される1種以上である
請求項1~6のうちの1項に記載の
仮固定接着剤。
【請求項8】
更に(F)成分として、
4個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能ウレタン(メタ)アクリレートを含有する
請求項1~7のうちの1項に記載の
仮固定接着剤。
【請求項9】
更に、酸化防止剤を含有する
請求項1~8のうちの1項に記載の
仮固定接着剤。
【請求項10】
請求項1~9のうちの1項に記載の
仮固定接着剤からなる半導体製造用仮固定接着剤。
【請求項11】
請求項1~9のうちの1項に記載の
仮固定接着剤を硬化した硬化体。
【請求項12】
請求項10に記載の半導体製造用仮固定接着剤により基材を接着した接着体。
【請求項13】
請求項10に記載の半導体製造用仮固定接着剤を用いたウエハの製造方法。
【請求項14】
(E)成分が、(E-1)成分と(E-2)成分を予め反応させた後、残りの成分と混合することにより得られる
請求項1~9のうちの1項に記載の
仮固定接着剤の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
3次元の半導体実装は、より一層の高密度、大容量化を実現するために必須となってきている。3次元実装技術とは、1つの半導体チップを薄型化し、更にこれを多層に積層していく半導体作製技術である。これを実現するためには、半導体回路を形成した基板を非回路形成面(「裏面」ともいう)研削によって薄型化し、更に裏面に電極形成を行う工程が必要である。従来、シリコン基板の裏面研削工程では、研削面の反対側に裏面保護テープを貼り、研削時のウエハ破損を防いでいる。しかし、このテープは有機樹脂フィルムを基材に用いており、柔軟性がある反面、強度や耐熱性が不十分であり、電極形成工程や裏面での配線層形成工程を行うには適しない。
【0003】
そこで、半導体基板をシリコン、ガラス等の支持体に接着剤を介して接合することによって、裏面研削、裏面電極形成の工程に十分耐えうるシステムが提案されている。この際に重要なのが、基板を支持体に接合する際の接着剤層である。これは基板を支持体に隙間なく接合でき、後の工程に耐えるだけの十分な耐久性が必要で、最後に薄型化ウエハを支持体から簡便に剥離できることが必要である。
【0004】
接着剤の必要特性としては、塗布に適した粘度、シリコンを薄化する際に研削・研磨に耐えうるせん断接着力、絶縁膜形成やはんだリフロー工程に耐えうる耐熱性、薄型化やレジスト工程に耐えうる耐薬品性、ウエハを支持体から簡便に剥離できる易剥離性、易洗浄性が挙げられる。
【0005】
接着剤とその剥離方法としては、光吸収性物質を含む接着剤に高強度の光を照射し、接着剤層を分解することによって支持体から接着剤層を剥離する技術(特許文献1)、熱溶融性の炭化水素系化合物を接着剤に用い、加熱溶融状態で接合・剥離を行う技術(特許文献2)が提案されている。前者の技術はレーザ等の高価な装置が必要であり、かつ、基板1枚あたりの処理時間が長くなる等の問題があった。後者の技術は加熱だけで制御するため簡便である反面、200℃を超える高温での熱安定性が不十分であるため、適用範囲は狭かった。
【0006】
1個以上の(メタ)アクリロイル基を有する1種又は2種以上の(メタ)アクリレートを含有してなる接着剤組成物を用いて基材同士を貼り合わせ、該接着剤組成物を硬化させることにより形成した接着体に対して、中心波長が172nm又は193nmのエキシマ光を照射する工程を含み、少なくとも一方の基材は該エキシマ光に対して透過性である接着体の解体方法が開示されている(特許文献3)。しかし、剥離方法にエネルギーの強いエキシマ光を使用する必要がないといった、本発明について記載がない。
【0007】
加熱処理により接着力が低下し、接着性成分に反応性アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂を含む接着剤組成物が開示されている(特許文献4)。しかし、熱剥離の方法が有機系熱膨張粒子よるものであり、光硬化性樹脂を使用する記載はない。
【0008】
重剥離化を抑制しつつ、剥離力を容易に制御することができ、フッ素系モノマーを構成成分に含むアクリルポリマーを含む剥離材組成物が開示されている(特許文献5)。しかし、特許文献5は、加熱後の剥離力に関する記載はない。
数平均分子量が1000未満の単官能(メタ)アクリレート、数平均分子量が1000未満の多官能(メタ)アクリレート、ラジカル重合開始剤、離型性付与化合物、多官能ウレタン(メタ)アクリレートを含有する組成物が開示されている(特許文献6)。しかし、本発明の(E)成分を使用する記載はない。
【0009】
(メタ)アクリル基の0.5~60モル%が第1級又は第2級アミンとのマイケル付加物として存在する、少なくとも1個の遊離ヒドロキシ基を有するポリエーテル-、ポリエステル(メタ)アクリレート又はエポキシド(メタ)アクリレートと、イソシアネートとの反応により得られるウレタン(メタ)アクリレートが開示されている(特許文献7)。しかし、マイケル付加物以外の成分を使用する記載はない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】特開2004-64040号公報
【文献】特開2006-328104号公報
【文献】国際公開第2011/158654号
【文献】特開2003-171648号公報
【文献】特開2016-79238号公報
【文献】国際公開第2018/3981号
【文献】特開平8-259660号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、例えば、耐熱性、剥離性といった課題を解決するために色々検討した結果、完成するに至った。
【課題を解決するための手段】
【0012】
即ち、本発明は、以下の通りである。
<1>下記(A)~(E)成分を含有する組成物。
(A)成分 単官能(メタ)アクリレート
(B)成分 多官能(メタ)アクリレート
(C)成分 ラジカル重合開始剤
(D)成分 離型性付与化合物
(E)成分 (E-1)(メタ)アクリレートと(E-2)アミンとの反応物
<2>(A)成分の分子量が1000未満である<1>に記載の組成物。
<3>(B)成分の分子量が1000未満である<1>又は<2>に記載の組成物。
<4>(C)成分が、光ラジカル重合開始剤である<1>~<3>のうちの1項に記載の組成物。
<5>(D)成分が、非ラジカル重合性化合物である<1>~<4>のうちの1項に記載の組成物。
<6>(D)成分が、(D-1)フッ素系化合物、(D-2)シリコーン系化合物、(D-3)オレフィン系化合物から選択される1種以上である<1>~<5>のうち1項に記載の組成物。
<7>(E)成分が、マイケル付加反応物である<1>~<6>のうちの1項に記載の組成物。
<8>(E-1)成分が、2個以上4個未満の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレートである<1>~<7>のうちの1項に記載の組成物。
<9>(E-2)成分が、1分子中に1級アミノ基又は2級アミノ基を2個以上有するポリアミンである<1>~<8>のうちの1項に記載の組成物。
<10>(E-2)成分に含まれるアミノ基当量が、(E-1)成分に含まれる(メタ)アクリレート基1モルに対して0.01~10当量である<1>~<9>のうちの1項に記載の組成物。
<11>(E-2)成分が、(E-2-1)非複素環アミン化合物、(E-2-2)ピペラジン化合物、(E2-2-3)ピペリジン化合物から選択される1種以上である<1>~<10>のうちの1項に記載の組成物。
<12>(A)成分が、(A-1)アルキレンオキシド鎖を有するフェノキシポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート、(A-2)直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート、(A-3)脂環式アルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート、(A-4)1個の(メタ)アクリロイル基を有するシリコーンから選択される1種以上である<1>~<11>のうちの1項に記載の組成物。
<13>(B)成分が、1、3-アダマンチルジメタノールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレートから選択される1種以上である<1>~<12>のうちの1項に記載の組成物。
<14>更に(F)成分として、多官能ウレタン(メタ)アクリレートを含有する<1>~<13>のうちの1項に記載の組成物。
<15>(F)成分が、4個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能ウレタン(メタ)アクリレートである<14>に記載の組成物。
<16>更に、酸化防止剤を含有する<1>~<15>のうちの1項に記載の組成物。
<17><1>~<16>のうちの1項に記載の組成物からなる硬化性樹脂組成物。
<18><1>~<16>のうちの1項に記載の組成物からなる接着剤。
<19><1>~<16>のうちの1項に記載の組成物からなる仮固定接着剤。
<20><1>~<16>のうちの1項に記載の組成物からなる半導体製造用仮固定接着剤。
<21><1>~<16>のうちの1項に記載の組成物を硬化した硬化体。
<22><20>に記載の半導体製造用仮固定接着剤により基材を接着した接着体。
<23><20>に記載の半導体製造用仮固定接着剤を用いたウエハの製造方法。
<24>(E)成分が、(E-1)成分と(E-2)成分を予め反応させた後、残りの成分と混合することにより得られる<1>~<16>のうちの1項に記載の組成物の製造方法。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、例えば、耐熱性、剥離性を有する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本明細書においては、別段の断りが無い限りは、数値範囲はその上限と下限の値を含むものである。
【0015】
以下本発明を説明する。単官能(メタ)アクリレートとは、1個の(メタ)アクリロイル基を有する化合物をいう。多官能(メタ)アクリレートとは、2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物をいう。例えば、2官能(メタ)アクリレートとは、2個の(メタ)アクリロイル基を有する化合物をいう。例えば、3官能(メタ)アクリレートとは、3個の(メタ)アクリロイル基を有する化合物をいう。例えば、4官能(メタ)アクリレートとは、4個の(メタ)アクリロイル基を有する化合物をいう。
【0016】
(A)単官能(メタ)アクリレートは、分子量が1000未満の単官能(メタ)アクリレートであることが好ましい。(A)単官能(メタ)アクリレートの分子量は1000未満が好ましく、900以下がより好ましく、800以下が最も好ましく、700以下が更に好ましい。(A)単官能(メタ)アクリレートとしては、モノマーが好ましい。(A)単官能(メタ)アクリレートが分子量分布を有する場合、(A)単官能(メタ)アクリレートの分子量としては、平均分子量が好ましい。平均分子量としては、数平均分子量が好ましい。
【0017】
重量平均分子量や数平均分子量は、溶剤としてテトラヒドロフランを用い、GPCシステム等を使用し、下記条件で、市販の標準ポリスチレンで検量線を作成して求める。
流速:1.0ml/min
設定温度:40℃
カラム構成:東ソー社製「TSK guardcolumn MP(×L)」6.0mmID×4.0cm1本、及び東ソー社製「TSK-GEL MULTIPOREHXL-M」 7.8mmID×30.0cm(理論段数16,000段)2本、計3本(全体として理論段数32,000段)、サンプル注入量:100μl(試料液濃度1mg/ml)
送液圧力:39kg/cm2
検出器:RI検出器
【0018】
(A)の中では、(A-1)アルキレンオキシド鎖を有するフェノキシポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート、(A-2)直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート、(A-3)脂環式アルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート、(A-4)1個の(メタ)アクリロイル基を有するシリコーンから選択される1種以上が好ましい。
【0019】
(A-1)アルキレンオキシド鎖を有するフェノキシポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレートとしては、下記式(1)の(メタ)アクリレートが好ましい。
【0020】
【0021】
R1は水素原子又はメチル基が好ましく、水素原子がより好ましい。R2は、炭素数2~3のアルキレン基が好ましく、炭素数2のエチレン基がより好ましい。R3は水素原子又は炭素数1~20のアルキル基が好ましく、炭素数1~20のアルキル基がより好ましく、炭素数9のノニル基が最も好ましい。nは1~15が好ましく、1~3がより好ましく、1が最も好ましい。これらの(メタ)アクリレートは1種以上を使用できる。
【0022】
R3がノニル基である(メタ)アクリレートとしては、ノニルフェノールエチレンオキサイド変性(メタ)アクリレート、ノニルフェノール(エチレンオキサイド4モル変性)(メタ)アクリレート、ノニルフェノール(エチレンオキサイド8モル変性)(メタ)アクリレート、ノニルフェノール(プロピレンオキサイド2.5モル変性)(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0023】
(A-2)直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートとしては、下記式(2)の(メタ)アクリレートが好ましい。
【0024】
式(2) CH2=CR5-COO-R4
(R4はアルキル基。R5は水素原子又はメチル基。)
【0025】
R4は、炭素数4~22のアルキル基が好ましく、炭素数8~20のアルキル基がより好ましく、炭素数10~18のアルキル基が最も好ましく、炭素数12~18のアルキル基が更に好ましく、炭素数18のアルキル基が尚更好ましい。これらの(メタ)アクリレートは1種以上を使用できる。R5は、水素原子がより好ましい。
【0026】
炭素数4~22のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートとしては、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、ノナデシル(メタ)アクリレート、エイコデシル(メタ)アクリレート等の、直鎖又は分岐のアルキル基を有する(メタ)アクリレートが挙げられる。これらの中では、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレートから選択される1種以上が好ましく、イソステアリル(メタ)アクリレートが最も好ましい。
【0027】
(A-3)脂環式アルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートとしては、アダマンチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、1-(1-アダマンチル)-1-メチルエチル(メタ)アクリレートが挙げられる。これらの中では、耐熱性の点で、1-アダマンチル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0028】
(A-4)1個の(メタ)アクリロイル基を有するシリコーンは、分子内に1個の(メタ)アクリロイル基を有するポリオルガノシロキサンである。上記シリコーンのベースポリマーとなるシリコーンは、主鎖がシロキサン結合からなるポリシロキサンであればよく、例えば、全ての側鎖、末端がメチル基からなるジメチルシリコーン、側鎖の一部にフェニル基を含むメチルフェニルシリコーン、側鎖の一部が水素であるメチルハイドロジェンシリコーン等が挙げられる。これらの中では、ジメチルシリコーンが好ましい。(メタ)アクリロイル基の導入位置は、特に限定されず、主鎖の片末端(片末端型)に有していてもよいし、側鎖(側鎖型)に有していてもよい。これらの中では、片末端に(メタ)アクリロイル基を有するポリオルガノシロキサンが好ましい。
【0029】
(A)単官能(メタ)アクリレートの含有量は、(A)、(B)、(E)、及び、必要に応じて使用する(F)の合計100質量部中、10~70質量部が好ましく、15~70質量部がより好ましく、15~65質量部が最も好ましく、20~65質量部が尚更好ましい。10質量部以上であれば硬化収縮が小さく、70質量部以下であれば耐熱性及び剥離性が低下するおそれがない。
【0030】
(B)多官能(メタ)アクリレートは、分子量が1000未満の多官能(メタ)アクリレートであることが好ましい。
(B)多官能(メタ)アクリレートは、多官能ウレタン(メタ)アクリレートを除くことが好ましい。
【0031】
(B)多官能(メタ)アクリレートの分子量は1000未満が好ましく、900以下がより好ましく、800以下が最も好ましく、700以下が更に好ましい。(B)多官能(メタ)アクリレートとしては、2官能(メタ)アクリレート、3官能(メタ)アクリレート、4官能以上の(メタ)アクリレート等が挙げられる。(B)多官能(メタ)アクリレートが分子量分布を有する場合、(B)多官能(メタ)アクリレートの分子量としては、平均分子量が好ましい。平均分子量としては、数平均分子量が好ましい。
【0032】
2官能(メタ)アクリレートとしては、1、3-アダマンチルジメタノールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、1,3-ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール変性トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ステアリン酸変性ペンタエリストールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、2,2-ビス(4-(メタ)アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-(メタ)アクリロキシプロポキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-(メタ)アクリロキシテトラエトキシフェニル)プロパン、ジメチロール-トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、1,10-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0033】
3官能(メタ)アクリレートとしては、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス[(メタ)アクリロイキシエチル]イソシアヌレート等が挙げられる。
【0034】
4官能以上の(メタ)アクリレートとしては、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールエトキシテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0035】
これらの中では、1、3-アダマンチルジメタノールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレートから選択される1種以上が好ましく、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートから選択される1種以上がより好ましく、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートから選択される1種以上が最も好ましい。
【0036】
(B)多官能(メタ)アクリレートの含有量は、(A)、(B)、(E)、及び、必要に応じて使用する(F)の合計100質量部中、1~30質量部が好ましく、2~20質量部がより好ましく、4~15質量部が最も好ましい。1質量部以上であれば耐熱性が低下するおそれがなく、30質量部以下であれば硬化収縮が小さい。
【0037】
(C)ラジカル重合開始剤としては、光ラジカル重合開始剤が好ましい。光ラジカル重合開始剤としては、耐熱性及び低アウトガス性の点で、2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]-フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)ブタノン-1、2-ジメチルアミノ-2-(4-メチル-ベンジル)-1-(4-モリフォリン-4-イル-フェニル)-ブタン-1-オン、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、オキシ-フェニル-アセチックアシッド2-[2-オキソ-2-フェニル-アセトキシ-エトキシ]-エチルエステル、オキシ-フェニル-アセチックアシッド2-[2-ヒドロキシ-エトキシ]-エチルエステルから選択される1種以上が好ましく、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)ブタノン-1、2-ジメチルアミノ-2-(4-メチル-ベンジル)-1-(4-モリフォリン-4-イル-フェニル)-ブタン-1-オン、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オンから選択される1種以上が好ましく、2-ジメチルアミノ-2-(4-メチル-ベンジル)-1-(4-モリフォリン-4-イル-フェニル)-ブタン-1-オン、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイドから選択される1種以上がより好ましく、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オンが最も好ましい。
【0038】
(C)ラジカル重合開始剤の含有量は、硬化性、低アウトガス性、耐熱性の点で、(A)、(B)、(E)、及び、必要に応じて使用する(F)の合計100質量部に対して、0.5~4質量部が好ましく、0.7~2.5質量部がより好ましい。0.1質量部以上であれば十分な硬化性が得られ、4質量部以下であれば低アウトガス性及び耐熱性が優れる。
【0039】
(D)離型性付与化合物とは、例えば、離型性を付与する化合物をいう。(D)成分は、常温で液状であるか、又は、非ラジカル重合性化合物であることが好ましく、常温で液状であり、かつ、非ラジカル重合性化合物であることが好ましい。常温とは、JIS 8703:1983に定義される温度であり、20±15℃の範囲をいう。(D)成分がスピンコート時に塗り斑ができないような性質を有する(例えば、常温では液状である等)ことにより、組成物の透明性を高めることができ、UV硬化を適切に行うことができ、かつ、組成物を塗布する際の表面平滑性を高めることができる。(D)離型性付与化合物としては、(D-1)フッ素系化合物、(D-2)シリコーン系化合物及び(D-3)オレフィン系化合物から選択される1種以上が好ましく、(D-1)フッ素系化合物と(D-2)シリコーン系化合物から選択される1種以上がより好ましく、(D-1)フッ素系化合物と(D-2)シリコーン系化合物を併用することが最も好ましい。
【0040】
(D-1)フッ素系化合物と(D-2)シリコーン系化合物を併用する場合、(D-1)フッ素系化合物と(D-2)シリコーン系化合物の使用比は、(D-1)フッ素系化合物と(D-2)シリコーン系化合物の合計100質量部中、質量比で、10~60:40~90が好ましく、30~45:55~70がより好ましい。
【0041】
(D-1)フッ素系化合物とは、フッ素を有する化合物をいう。フッ素系化合物としては、フッ素系界面活性剤、フッ素系高分子等が挙げられる。これらの中では、フッ素系界面活性剤が好ましい。フッ素系界面活性剤としては、パーフルオロアルキル基を有する界面活性剤が好ましい。パーフルオロアルキル基を有する界面活性剤としては、パーフルオロアルキル基を有するフッ素系オリゴマー(例えばDIC社製「F-553」)、パーフルオロアルキル基を有する非ラジカル重合性化合物のフッ素系化合物(例えば、3M社製「FC-4430」及び「FC-4432」、AGCセイミケミカル社製「S-386」)から選択される1種以上が好ましく、パーフルオロアルキル基を有する非ラジカル重合性化合物のフッ素系化合物がより好ましい。パーフルオロアルキル基を有する非ラジカル重合性化合物のフッ素系化合物の中では、パーフルオロアルキルスルホン酸及び/又はその塩(例えば、3M社製「FC-4430」)が好ましい。
【0042】
(D-2)シリコーン系化合物としては、非ラジカル重合性化合物が好ましい。シリコーン系化合物としては、シロキサン化合物が好ましい。非ラジカル重合性化合物としては、非変性シリコーンオイル(非変性ポリジメチルシロキサン等、例えば、信越化学社製「KF-96-100cs」、「KF-96-1000cs」、「KF-96H-10000cs」)、非ラジカル重合性の官能基で変性した非反応性変性シリコーン(例えば、信越化学社製ポリエーテル変性シリコーンオイル「X-22-2516」(長鎖アルキル・アラルキル変性タイプ・ポリエーテル)、「X-22-4515」、信越化学社製フロロアルキル変性シリコーンオイル「FL-100-1000cs」、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製ポリエーテル変性シリコーンオイル「TSF4446」、「TSF4460」、「TSF4450」、「TSF4452」)から選択される1種以上が好ましく、非ラジカル重合性の官能基で変性した非反応性変性シリコーンがより好ましい。非ラジカル重合性の官能基で変性した非反応性変性シリコーンの中では、ポリエーテル変性シリコーンオイルから選択される1種以上が好ましい。シリコーン系化合物としては、20~20,000mm2/sの粘度を有する化合物を使用できる。
シリコーン系化合物の粘度は、JIS Z 8803に準拠して測定した値である。
【0043】
(D-3)オレフィン系化合物としては数平均分子量が1000~10000の非ラジカル重合性オレフィン系化合物が好ましい。非ラジカル重合性オレフィン系化合物の中では、ポリエチレン重合体、ポリプロピレン重合体、エチレン-プロピレン共重合体から選択される1種以上が好ましく、エチレン-プロピレン共重合体がより好ましい。エチレン-プロピレン共重合体としては、三井化学社製「ルーカント HC-600」(粘度:14,000mPa・s)、三井化学社製「ルーカント HC-2000」(粘度:89,000mPa・s)等が挙げられる。エチレン-プロピレン共重合体の粘度は、1,000~100,000mPa・sが好ましい。
【0044】
(D)離型性付与化合物の含有量は、(A)、(B)、(E)、及び、必要に応じて使用する(F)の合計100質量部に対して、0.01~5質量部が好ましい。フッ素系化合物に関しては、0.01~2質量部がより好ましく、0.05~1質量部が最も好ましい。シリコーン系化合物とオレフィン系化合物に関しては、0.05~3質量部がより好ましい。0.01質量部以上だと剥離性が確保され、5質量部以下だと良好な接着性が得られ、未硬化になることもない。
【0045】
(E)成分は、(E-1)(メタ)アクリレートと(E-2)アミンとの反応物である。(E)成分としては、(E-1)(メタ)アクリレートと(E-2)アミンとのマイケル付加反応により生成するマイケル付加反応物が好ましい。
【0046】
(E-1)(メタ)アクリレートの分子量は、300以上が好ましい。(E-1)(メタ)アクリレートが分子量分布を有する場合、分子量としては、平均分子量が好ましい。
(E-1)(メタ)アクリレートの中では、多官能(メタ)アクリレートが好ましい。多官能(メタ)アクリレートの中では、2個以上4個未満の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレートがより好ましく、2個の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレートが最も好ましい。
(E-1)多官能(メタ)アクリレートとしては、オリゴマー及び/又はポリマー(以下、オリゴマー/ポリマーで表す)等が挙げられる。
【0047】
多官能(メタ)アクリレートオリゴマー/ポリマーとしては、多官能ウレタン(メタ)アクリレート、ビスフェノールA型エポキシ(メタ)アクリレート、ジエン系又は水素添加されたジエン系の骨格を有する多官能(メタ)アクリレート、分子内に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有するシリコーン等が挙げられる。
【0048】
これらの中では、接着性、耐熱性及び剥離性が優れている点で、多官能ウレタン(メタ)アクリレートが好ましい。
【0049】
(E-1)多官能(メタ)アクリレートが多官能ウレタン(メタ)アクリレートである場合、多官能(メタ)アクリレートの分子量としては、平均分子量が好ましい。平均分子量としては、重量平均分子量が好ましい。
【0050】
(E-1)多官能ウレタン(メタ)アクリレート(以下ウレタン(メタ)アクリレートということもある)とは、ウレタン結合を有する(メタ)アクリレートである。(E-1)成分の分子量は40000以下が好ましい。(E-1)成分の分子量は、300以上が好ましい。(E-1)成分の分子量は、300以上40000以下が好ましく、500以上30000以下がより好ましく、1000以上15000以下が最も好ましく、5000以上12000以下が更に好ましい。(E-1)成分がこのような分子量を有することにより、組成物の表面のタックを減らすか若しくは無くし、組成物の剥離性を高め、かつ組成物に耐熱性を与えることができる。
【0051】
(E-1)多官能ウレタン(メタ)アクリレートは、(B)成分の多官能(メタ)アクリレートを除くことが好ましい。(E-1)多官能ウレタン(メタ)アクリレートとは、1分子中に2個以上の(メタ)アクリロイル基と1個以上のウレタン結合を有する化合物が好ましい。ウレタン(メタ)アクリレートは、例えば、ポリオール化合物(以後、Xで表す)と有機ポリイソシアネート化合物(以後、Yで表す)と(メタ)アクリレート(以後、Zで表す)とを反応(例えば、重縮合反応)する、又は、YとZとを反応することにより得られる。ここで、(メタ)アクリレートとは、(メタ)アクリル酸を包含する。ウレタン(メタ)アクリレートは、例えば、ポリオール化合物(X)と有機ポリイソシアネート化合物(Y)を反応させた後、残ったヒドロキシ基に(メタ)アクリロイル基を導入することにより得られる。
【0052】
ウレタン(メタ)アクリレートの製法は、例えば、特開平7-25957号公報、特開2002-173515号公報、特開平7-292048号公報、特開2000-351819号公報等に記載されている。
【0053】
ポリオール化合物としては、多価アルコールであれば如何なるものでも良く、例えばエリスリトール、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオール、2,2-ブチルエチル-1,3-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、水素化ビスフェノールA、ポリカプロラクトン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ポリトリメチロールプロパン、ポリペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール、グリセリン、ポリグリセリン、ポリブタジエンポリオール、水素化ポリブタジエンポリオール等が挙げられる。ポリブタジエンポリオールとは、2個以上の水酸基を有するポリブタジエンをいい、例えば、両末端に水酸基を有するポリブタジエンをいう。水素化ポリブタジエンポリオールとは、2個以上の水酸基を有する水素化ポリブタジエンをいい、例えば、両末端に水酸基を有する水素化ポリブタジエンをいう。ポリオール化合物の中では、ポリエーテルポリオールが好ましい。
【0054】
ポリエーテルポリオールとしては、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリアルキレングリコール、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイドのブロック又はランダム共重合の少なくとも1種の構造を有するポリエーテルポリオール等が挙げられる。ポリエーテルポリオールの中では、ポリプロピレングリコールとポリテトラメチレングリコールから選択される1種以上が好ましい。
【0055】
ポリエステルポリオールとしては、多価アルコール又はポリエーテルポリオールと、多塩基酸との縮合物であるポリエステルポリオールが挙げられる。ポリエステルポリオールの製造に使用する、多価アルコール又はポリエーテルポリオールとしては、前述の化合物が挙げられる。多塩基酸としては、無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸、無水イタコン酸、イタコン酸、アジピン酸、イソフタル酸等が挙げられる。
【0056】
有機ポリイソシアネート化合物(Y)としては、格別に限定される必要はないが、例えば、芳香族系、脂肪族系、環式脂肪族系、脂環式系等のポリイソシアネートが使用でき、中でもトリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、水添化ジフェニルメタンジイソシアネート(H-MDI)、ポリフェニルメタンポリイソシアネート(クルードMDI)、変性ジフェニルメタンジイソシアネート(変性MDI)、水添化キシリレンジイソシアネート(H-XDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMXDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(m-TMXDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ノルボルネンジイソシアネート(NBDI)、1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(H6XDI)等のポリイソシアネート又はこれらポリイソシアネートの三量体化合物、これらポリイソシアネートとポリオールの反応生成物等が好適に用いられる。これらの中では、トリレンジイソシアネート(TDI)、水添化キシリレンジイソシアネート(H-XDI)及びイソホロンジイソシアネート(IPDI)から選択される1種以上が好ましく、イソホロンジイソシアネートがより好ましい。
【0057】
(メタ)アクリレート(以後、Zで表す)とは、(メタ)アクリロイル基を導入する化合物をいう。(メタ)アクリロイル基を導入する化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸クロライド、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリロイルホスフェート、2-(メタ)アクリロイロキシエチル-2-ヒドロキシプロピルフタレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-(メタ)アクリロイロキシプロピル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中では、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸クロライド、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートから選択される1種以上が好ましく、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートがより好ましい。ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの中では、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0058】
ウレタン(メタ)アクリレートとしては、ポリエステル系ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエーテル系ウレタン(メタ)アクリレート、1,2-ポリブタジエン末端ウレタン(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0059】
ポリエステル系ウレタン(メタ)アクリレートは、分子の末端又は側鎖に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有し、かつ、分子内にポリエステル構造を有する。ポリエステル系ウレタン(メタ)アクリレートとしては、例えば、日本合成社製「UV-3000B」、共栄社化学製「UF-C02」等が挙げられる。
【0060】
ポリエーテル系ウレタン(メタ)アクリレートは、分子の末端又は側鎖に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有し、かつ、分子内にポリエーテル構造を有する。ポリエーテル構造を有する化合物としては、ポリエーテルポリオール化合物が挙げられる。ポリエーテルポリオール化合物としては、前述のポリエーテルポリオール等が挙げられる。ポリエーテルポリオール化合物の中では、ポリアルキレングリコールが好ましい。ポリアルキレングリコールの中では、ポリプロピレングリコール及びポリテトラメチレングリコールから選択される1種以上が好ましい。ポリエーテル系ウレタン(メタ)アクリレートとしては、例えば、日本合成社製「UV-3700B」、根上工業社製「UN-6200」、根上工業社製「UN-6202」、共栄社化学製「UF-07DF」、新中村化学社製「UA-160TM」等が挙げられる。
【0061】
1,2-ポリブタジエン末端ウレタン(メタ)アクリレートとしては、ポリオール化合物(X)がポリブタジエンポリオールであるウレタン(メタ)アクリレート等が挙げられる。1,2-ポリブタジエン末端ウレタン(メタ)アクリレートとしては、日本曹達社製「TE-2000」等が挙げられる。
【0062】
多官能ウレタン(メタ)アクリレートとしては、2官能ウレタン(メタ)アクリレート、3官能ウレタン(メタ)アクリレートが挙げられる。これらの中では、2官能ウレタン(メタ)アクリレートが好ましい。
【0063】
多官能ウレタン(メタ)アクリレートとしては、2官能ウレタン(メタ)アクリレート(例えば、根上工業社製ポリエステル系ウレタンアクリレート「UN-7700」、ポリエーテル系ウレタンアクリレート「UN-6200」、「UN-6202」、ポリカーボネート系ウレタンアクリレート「UN-900PEP」、「UN-9200A」、共栄社化学製ウレタンアクリレート「UF-07DF」、「UF-C012」、新中村化学社製ポリエーテル系ウレタンアクリレート「UA-160TM」)等が挙げられる。
【0064】
多官能(メタ)アクリレートとしては、分子内に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有し、かつ、ジエン系又は水素添加されたジエン系の骨格を有する多官能(メタ)アクリレートオリゴマー等も挙げられる。ジエン系の骨格としては、ポリブタジエン、ポリイソプレン等が挙げられる。水素添加されたジエン系の骨格としては、ポリブタジエンの水素添加物、ポリイソプレンの水素添加物等が挙げられる。ジエン系又は水素添加されたジエン系の骨格の中では、ポリイソプレンが好ましい。分子内に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有し、かつ、ジエン系又は水素添加されたジエン系の骨格を有する多官能(メタ)アクリレートオリゴマーの中では、イソプレン重合物の無水マレイン酸付加物と2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとのエステル化物オリゴマー(例えば、クラレ社製「UC-203」、「UC-102」等)が好ましい。イソプレン重合物の無水マレイン酸付加物と2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとのエステル化物オリゴマーの構造は、下記式(3)で示される。
【0065】
【0066】
(E-1)(メタ)アクリレートが、イソプレン重合物の無水マレイン酸付加物と2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとのエステル化物オリゴマーである場合、(E-1)成分の分子量としては、平均分子量が好ましい。平均分子量としては、数平均分子量が好ましい。
【0067】
(E-1)(メタ)アクリレートが、イソプレン重合物の無水マレイン酸付加物と2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとのエステル化物オリゴマーである場合、数平均分子量は、300以上40000以下が好ましく、10000以上30000以下がより好ましい。(E-1)成分がこのような分子量を有することにより、組成物の表面のタックを減らすか若しくは無くし、組成物の剥離性を高め、かつ、組成物に耐熱性を与えることができる。
【0068】
Yは炭素数1~5個のアルキレン基が好ましく、エチレン基がより好ましい。mは100~1500が好ましい。kは1~20が好ましく、1~10がより好ましい。
【0069】
(E-1)多官能(メタ)アクリレートとしては、分子内に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有するシリコーン等も挙げられる。
【0070】
分子内に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有するシリコーンは、分子内に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有するポリオルガノシロキサンである。上記シリコーンのベースポリマーとなるシリコーンは、主鎖がシロキサン結合からなるポリシロキサンであればよく、例えば、全ての側鎖や末端がメチル基からなるジメチルシリコーン、側鎖の一部にフェニル基を含むメチルフェニルシリコーン、側鎖の一部が水素であるメチルハイドロジェンシリコーン等が挙げられる。これらの中では、ジメチルシリコーンが好ましい。(メタ)アクリロイル基の導入位置は、特に限定されず、主鎖の両末端(両末端型)に有していてもよいし、側鎖(側鎖型)に有していてもよい。これらの中では、両末端に(メタ)アクリロイル基を有するポリオルガノシロキサンが好ましい。
【0071】
(E-1)(メタ)アクリレートが、シリコーンである場合、(E-1)成分の分子量としては、平均分子量が好ましい。平均分子量としては、数平均分子量が好ましい。
(E-1)(メタ)アクリレートが、シリコーンである場合、数平均分子量は、300以上40000以下が好ましく、500以上5000以下がより好ましい。(E-1)成分がこのような分子量を有することにより、組成物の表面のタックを減らすか若しくは無くし、組成物の剥離性を高め、かつ組成物に耐熱性を与えることができる。
【0072】
(E-2)アミンとしては、1分子中にアミノ基を2個以上有するポリアミンが好ましい。
(E-2)アミンとしては、芳香族アミン化合物、脂肪族アミン化合物等が挙げられる。これらの中では、脂肪族アミン化合物が好ましい。
(E-2)成分のアミノ基としては、1級アミノ基又は2級アミノ基から選択される1種以上が好ましい。
(E-2)アミンは、アミノ基が芳香環に直接結合していないことが好ましい。
【0073】
(E-2)の中では、(E-2-1)非複素環アミン化合物、(E-2-2)ピペラジン化合物、(E2-2-3)ピペリジン化合物から選択される1種以上が好ましい。
【0074】
(E-2-1)非複素環アミン化合物
(E-2-1)非複素環アミン化合物とは、複素環構造を有しない化合物をいう。(E-2-1)非複素環アミン化合物としては、下記式(4)の化合物が好ましい。
【0075】
式(4) R11NH-R13-R15-R14-NHR12
(R11、R12は水素原子、1価の脂肪族炭化水素基又は1価の脂環式炭化水素基であり、R13、R14、R15は単結合又は2価の置換基である。1価の脂肪族炭化水素基又は1価の脂環式炭化水素基は、ヘテロ原子を含んでも良い。2価の置換基は、ヘテロ原子を含んでも良い。)
2価の置換基としては、2価の脂肪族炭化水素基又は2価の脂環式炭化水素基が好ましい。
ヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子、ケイ素原子等が挙げられる。
【0076】
式(4)で示す(E-2-1)成分の中では、下記式(5)の化合物が好ましい。
【0077】
式(5) R21NH-(CH2)p-Z-(CH2)q-NHR22
(R21、R22は水素原子又はアルキル基であり、Zは単結合、置換基を有するメチレン基、置換基を有するイミノ基、酸素原子又はシクロアルキレン基であり、p及びqは0~6の数を示す)。
【0078】
(E-2-2)ピペラジン化合物
(E-2-2)ピペラジン化合物とは、ピペラジン構造を有する化合物をいう。(E-2-2)ピペラジン化合物としては、下記式(6)の化合物が好ましい。
【0079】
【0080】
(E-2-3)ピペリジン化合物
(E-2-3)ピペリジン化合物とは、ピペリジン構造を有する化合物をいう。(E-2-3)ピペリジン化合物としては、下記式(7)の化合物が好ましい。
【0081】
【0082】
(E-2-1)としては、エチレンジアミン、1,3-ジアミノプロパン、1,4-ジアミノプロパン、1,5-ジアミノペンタン、1,6-ジアミノヘキサン、1,7-ジアミノヘプタン、1,8-ジアミノオクタン、1,10-ジアミノデカン、1,11-ジアミノウンデカン、1,12-ジアミノドデカン、1,2-シクロヘキサンジアミン、1,3-シクロヘキサンジアミン、1,4-シクロヘキサンジアミン、アミノ変性シリコーンオイル、1,2-プロピレンジアミン、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、4,4‘-メチレンビス(2-シクロヘキシルアミン)、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジアミン、ジエチレントリアミン、3,3’-ジアミノジプロピルアミン、3,3’-ジアミノ-N-メチルジプロピルアミン、N-(2-アミノエチル)-1,3-プロパンジアミン、N,N’-ビス(3-アミノプロピル)エチレンジアミン、ジエチレングリコールビス(3-アミノプロピル)エーテル、1,4-ブタンジオールビス(3-アミノプロピル)エーテル、N,N-ジメチルエチレンジアミン、N,N-ジエチルエチレンジアミン、N-メチルエチレンジアミン、N-(3-アミノプロピル)シクロヘキシルアミン等が挙げられる。アミノ変性シリコーンオイルとしては、両末端アミノ基変性オルガノシロキサン等が挙げられる。
【0083】
(E-2-2)としては、ピペラジン、2-メチルピペラジン、2-ピペラジノン、2,6-ピペラジンジオン、2,5-ピペラジンジオン、ピペラジン-2,3-ジオン、6-メチル-2-ピペラジンジオン、3-メチルピペラジン-2-オン、5-メチル-2-ピペラジノン等が挙げられる。
【0084】
(E-2-3)としては、4-(アミノメチル)ピペリジン、3-(アミノメチル)ピペリジン、2-(アミノメチル)ピペリジン、3-アミノピペリジン、4-アミノピペリジン、4,4’-ビピペリジン、2,2’-ビピペリジン等が挙げられる。
【0085】
(E)成分は、(E-1)成分と(E-2)成分を予め反応させた後、残りの成分と混合することによりマイケル付加反応物を得ることが好ましい。例えば、(E)成分は、10~100℃の環境下で、(E-2)成分を(E-1)成分に添加することにより得られる。
【0086】
(E-2)成分に含まれるアミノ基当量(単位はモル当量である)は、(E-1)成分に含まれる(メタ)アクリレート基1モルに対して0.01~10当量が好ましく、0.05~5当量がより好ましく、0.1~3当量が最も好ましい。0.01当量以上であれば高温での弾性率低下が抑えられ、10当量以下であれば粘度が低いためにハンドリング性が向上し、加熱工程後に剥離しない。
【0087】
(E)(E-1)(メタ)アクリレートと(E-2)アミンとの反応物の含有量は、(A)、(B)、(E)、必要に応じて使用する(F)の合計100質量部中、15~80質量部が好ましく、20~75質量部がより好ましく、25~70質量部が最も好ましい。15質量部以上であればタック性がなくなり、80質量部以下であれば粘度が低いのでハンドリング性が向上する。
【0088】
本発明の組成物は、タック性をなくし高温に暴露された後の剥離性を維持するために、(F)成分として、多官能ウレタン(メタ)アクリレートを含有することが好ましい。特に、タック性をなくすためには、4官能以上の多官能ウレタン(メタ)アクリレート、即ち、4個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能ウレタン(メタ)アクリレートを含有することが好ましい。
(F)成分としては、(B)成分を除くことが好ましい。
(F)多官能ウレタン(メタ)アクリレートは、4個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能ウレタン(メタ)アクリレートに特定していることを除けば、(E-1)多官能ウレタン(メタ)アクリレートと同じである。
【0089】
(F)成分の分子量は40000以下が好ましい。(F)成分の分子量は、300以上40000以下が好ましく、400以上10000以下がより好ましく、500以上5000以下が最も好ましく、800以上2000以下が更に好ましい。
(F)成分が分子量分布を有する場合、(F)成分の分子量としては、平均分子量が好ましい。平均分子量としては、重量平均分子量が好ましい。
【0090】
4官能以上の多官能ウレタン(メタ)アクリレートの中では、6~10官能の多官能ウレタン(メタ)アクリレートが好ましく、6官能の多官能ウレタン(メタ)アクリレート、10官能の多官能ウレタン(メタ)アクリレートから選択される1種以上がより好ましい。
【0091】
(F)4個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能ウレタン(メタ)アクリレートとしては、6官能ウレタン(メタ)アクリレート(例えば、根上工業社製ウレタンアクリレート「UN-3320HA」)、10官能ウレタン(メタ)アクリレート(例えば、新中村化学社製ウレタンアクリレート「U-10PA」)等が挙げられる。
【0092】
(F)成分の含有量は、(A)、(B)、(E)、必要に応じて使用する(F)の合計100質量部中、0.1~40質量部が好ましく、1~30質量部がより好ましく、3~20質量部が最も好ましい。0.1質量部以上であればタック性がなくなり、40質量部以下であれば硬化収縮が小さい。
【0093】
本発明の組成物は、高温に暴露されたあとの剥離性を維持するために、酸化防止剤を使用できる。酸化防止剤としては、メチルハイドロキノン、ハイドロキノン、2,2-メチレン-ビス(4-メチル-6-ターシャリーブチルフェノール)、カテコール、ハイドロキノンモノメチルエーテル、モノターシャリーブチルハイドロキノン、2,5-ジターシャリーブチルハイドロキノン、p-ベンゾキノン、2,5-ジフェニル-p-ベンゾキノン、2,5-ジターシャリーブチル-p-ベンゾキノン、ピクリン酸、クエン酸、フェノチアジン、ターシャリーブチルカテコール、2-ブチル-4-ヒドロキシアニソール、2,6-ジターシャリーブチル-p-クレゾール及び4-[[4,6-ビス(オクチルチオ)-1,3,5-トリアジン-2-イル]アミノ]-2,6-ジターシャリーブチルフェノール等が挙げられる。これらの中では、4-[[4,6-ビス(オクチルチオ)-1,3,5-トリアジン-2-イル]アミノ]-2,6-ジターシャリーブチルフェノールが好ましい。
【0094】
酸化防止剤の含有量は、(A)、(B)、(E)、必要に応じて使用する(F)の合計100質量部に対して、0.001~3質量部が好ましい。0.001質量部以上だと高温に暴露されたあとの剥離性の維持が確保され、3質量部以下だと良好な接着性が得られ、未硬化になることもない。
【0095】
本発明の組成物は、耐熱性を確保するため、分子量を小さくすることにつながる成分(チオール化合物等)を含まないことが好ましい。
【0096】
本発明の組成物は、接着剤として使用できる。本発明の接着剤は、仮固定用の接着剤として使用できる。
【0097】
本発明の組成物を用いて基材同士を接着する際は、可視光線若しくは紫外線を波長365nmにおいてエネルギー量が1~10000mJ/cm2の範囲になるように照射することが好ましい。エネルギー量が1mJ/cm2以上であると十分な接着性が得られ、10000mJ/cm2以下であると生産性が優れ、ラジカル重合開始剤(特に、光ラジカル重合開始剤)からの分解生成物が発生しにくく、アウトガスの発生も抑制される。生産性、接着性、低アウトガス性、易剥離性の点で、2000~7000mJ/cm2の範囲であることがより好ましい。
【0098】
本発明の組成物により接着される基材には、特に制限はないものの、少なくとも一方の基材は半導体が好ましい。半導体としては、シリコン、ゲルマニウム等の単元素半導体、ガリウム-ヒ素、ガリウム-リン、ガリウム-ヒ素-アルミニウム等といった2個以上の異なる元素からなる化合物半導体等が挙げられる。半導体の中では、単元素半導体が好ましい。単元素半導体の中では、シリコンが好ましい。半導体の中では、ウエハが好ましい。
【0099】
本発明の組成物により接着される基材には、特に制限がないものの、少なくとも一方の基材は光を透過する透明基材が好ましい。透明基材としては、水晶、ガラス、石英、フッ化カルシウム等の無機基材、プラスチック等の有機基材等が挙げられる。これらの中では、汎用性があり、大きい効果が得られる点で、ガラス、石英から選択される1種以上が好ましい。
【0100】
本発明の組成物は一実施形態において、光硬化型であり、その硬化体は優れた耐熱性及び剥離性を有することができる。本発明の組成物の硬化体は一実施形態において、高温で暴露されてもアウトガス量が少なく、剥離も容易であることから種々の光学部品や光学デバイス、電子部品の接合、封止、コーティングに好適である。例として仮固定剤、接着剤、保護シート、低複屈折性光学フィルム、層間応力緩和剤等に用いることができ、特に半導体製造プロセス、SAWデバイス加工プロセス、LED加工プロセスのように耐溶剤性、耐熱性、接着性等の多岐にわたる耐久性が必要とされる用途に適している。
【0101】
本発明の組成物の硬化体は、耐熱性の点で、好ましくは350℃以下、より好ましくは300℃以下、最も好ましくは270℃以下で使用できる。本発明の組成物の硬化体は、剥離性の点で、好ましくは60℃以上、より好ましくは100℃以上、最も好ましくは150℃以上、尚更好ましくは200℃以上で使用できる。本発明の組成物で接着した接着体は、高いせん断接着力を有するため薄化工程等に耐えることができ、絶縁膜形成等の加熱工程を経た後には容易に剥離できる。本発明の組成物で接着した接着体は、特に、薄型化ウエハを製造する際に好適である。
【0102】
更に本発明では一実施形態において、接着剤により基材を接着した接着体に外力を加えることにより剥離できる。例えば、シート、ワイヤー、ブレード等を基材と接着剤の間に差し込むことにより剥離できる。
【実施例】
【0103】
以下、実験例をあげて、本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0104】
(実験例)
特記しない限り、23℃、湿度50%で、実験した。実施例及び比較例において示すデータは、下記方法に従って測定した。
【0105】
組成物の核磁気共鳴スペクトル(以下、1H-NMR、13C-NMRという)は、次の条件で測定した。
測定装置:AVANCE III 500(Bruker Bio Spin)
溶媒:重水素クロロホルム
試料液濃度:2質量%
【0106】
((E-1)成分と(E-2)成分の反応物の製造例)
250mlポリ容器に、ウレタンアクリレートC100質量部とピペラジン0.08質量部を加え(アミノ基当量は0.05である)、自転・公転ミキサー(自転20000rpm、公転2000rpm)で30分間攪拌することにより、反応生成物(以下、反応物という)1を得た。得られた反応物1のNMR測定により、ピペラジンのアミンに由来するピークの消失を確認した。
以下、表1に示す量の(E-1)成分と表1に示す量の(E-2)成分を同様に加えることにより、表1に示す反応物を得た。
【0107】
(実験例)
表2~3に示す組成の硬化性樹脂組成物を調製し、評価した。結果を表4~5に示した。
【0108】
実験例の硬化性樹脂組成物中の各成分としては、以下の化合物を選択した。
【0109】
(A)単官能(メタ)アクリレートとして、以下の化合物を選択した。
(a-1)ノニルフェノールエチレンオキサイド変性アクリレート(東亜合成社製「M-111」、構造は式(1)において、R1は水素原子であり、R2はエチレン基であり、R3はノニル基であり、nは1である)
(a-2)イソステアリルアクリレート(大阪有機社製「ISTA」)
(a-3)1-アダマンチルメタクリレート(大阪有機社製「ADMA」)
【0110】
(B)多官能(メタ)アクリレートとして、以下の化合物を選択した。
(b-1)トリメチロールプロパントリメタクリレート(新中村化学社製「TMPTM」)
(b-2)トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(新中村化学社製「A-DCP」)
(b-3)ペンタエリスリトールテトラアクリレート(新中村化学社製「A-TMMT」)
(b-4)ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(新中村化学社製「A-DPH」)
【0111】
(C)ラジカル重合開始剤として、以下の化合物(光ラジカル重合開始剤)を選択した。
(c-1)2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン(BASF社製「Irgacure651」、以下「I-651」と略す)
(c-2)2-ジメチルアミノ-2-(4-メチル-ベンジル)-1-(4-モリフォリン-4-イル-フェニル)-ブタン-1-オン(BASF社製「Irgacure379」、以下「I-379」と略す)
(c-3)ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド(BASF社製「Irgacure819」、以下「I-819」と略す)
【0112】
(D)離型性付与化合物として、以下の化合物を選択した。
(d-1)含フッ素オリゴマー(DIC社製「F-553」、パーフルオロアルキル基を含む)
(d-2)パーフルオロアルキル基含有オリゴマー(3M社製「FC-4430」、2-[N-ペルフルオロブチルスルホニル-N-メチルアミノ]エチル=アクリレート・ポリ(オキシアルキレングリコール)=モノアクリレート・ポリ(オキシアルキレングリコール)=ジアクリレートの共重合物)
(d-3)長鎖アルキル・アラルキル・ポリエーテル変性オルガノシロキサン(信越化学社製「X-22-2516」粘度:70mm2/s)
(d-4)ポリエーテル変性オルガノシロキサン(信越化学社製「X-22-4515」粘度:4,000mm2/s)
(d-5)ポリエーテル変性オルガノシロキサン(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製ポリエーテル変性シリコーンオイル「TSF4446」粘度:1,400mm2/s)
(d-6)エチレン-プロピレン共重合体(三井化学社製「ルーカント HC-600」粘度:14,000mPa・s、数平均分子量2700、以下「HC-600」と略す)
【0113】
(E-1)(メタ)アクリレートとして、以下の化合物を選択した。
(e-1-1)ウレタンアクリレートA(重量平均分子量が6000であるポリエーテル系ウレタンアクリレート。ポリオール化合物は、ポリプロピレングリコールである。有機ポリイソシアネート化合物はIPDIである。(メタ)アクリレートは2-ヒドロキシエチルアクリレートである。2官能である。)
(e-1-2)ウレタンアクリレートB(重量平均分子量が11000であるポリエーテル系ウレタンアクリレート。ポリオール化合物は、ポリプロピレングリコールである。有機ポリイソシアネート化合物はIPDIである。(メタ)アクリレートは2-ヒドロキシエチルアクリレートである。2官能である。)
(e-1-3)ウレタンアクリレートC(重量平均分子量が5200であるポリエーテル系ウレタンアクリレート。ポリオール化合物はポリテトラメチレングリコールである。有機ポリイソシアネート化合物はIPDIである。(メタ)アクリレートは2-ヒドロキシエチルアクリレートである。2官能である。)
(e-1-4)ウレタンアクリレートD(重量平均分子量が8500であるポリエーテル系ウレタンアクリレート。ポリオール化合物はポリテトラメチレングリコールである。有機ポリイソシアネート化合物はIPDIである。(メタ)アクリレートは2-ヒドロキシエチルアクリレートである。2官能である。)
(e-1-5)イソプレンオリゴマー(クラレ社製「UC-102」)(GPCによるポリスチレン換算の数平均分子量17000、イソプレン重合物の無水マレイン酸付加物と2-ヒドロキシエチルメタクリレートとのエステル化物オリゴマー、式(3)にてYはエチレン基、R6はメチル基、2官能である。)
(e-1-6)両末端アクリル変性オルガノシロキサン(信越化学社製X-22-1602、数平均分子量1200、2官能である。)
【0114】
(E-2)アミンとして、以下の化合物を選択した。
(e-2-1)ピペラジン
(e-2-2)1,4-シクロヘキサンジアミン
(e-2-3)N,N-ジエチルエチレンジアミン
(e-2-4)両末端アミノ基変性オルガノシロキサン(信越化学社製「KF-8010」)
【0115】
(F)多官能ウレタン(メタ)アクリレートとして、以下の化合物を選択した。
(f-1)ウレタンアクリレートE(重量平均分子量が1500である多価アルコール系ウレタンアクリート。ポリオール化合物は、ペンタエリスリトールトリアクリレートである。有機ポリイソシアネート化合物はIPDIである。6官能である。)
(f-2)ウレタンアクリレートF(重量平均分子量が1000である多価アルコール系ウレタンアクリート。ポリオール化合物は、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートである。有機ポリイソシアネート化合物はIPDIである。10官能である。)
【0116】
酸化防止剤として、以下の化合物を選択した。
4-[[4,6-ビス(オクチルチオ)-1,3,5-トリアジン-2-イル]アミノ]-2,6-ジターシャリーブチルフェノール(BASF社製「IRGANOX565」、以下「IRGANOX565」と略す)
【0117】
硬化体の加熱質量減少率(表の「硬化体の1%加熱質量減少温度」):作製した樹脂組成物をPETフィルムに挟み込んだ。樹脂組成物を、ブラックライトにより、365nmの波長の積算光量5000mJ/cm2の条件にて硬化させ、硬化体を作製した。得られた硬化体10mgを、ブルカー・エイエックスエス社製示差熱・熱質量同時測定装置「TG-DTA2000SA」により、窒素気流下、30℃から昇温速度10℃/分で350℃まで昇温し、得られた硬化体加熱質量減少率を測定した。硬化体の1質量%加熱質量減少温度を示した。加熱質量減少率が1質量%となる温度が200℃以上であることが、半導体製造の高温プロセス適合性の点で、好ましい。
【0118】
硬化体の250℃での加熱質量減少率:作製した樹脂組成物をPETフィルムに挟み込んだ。樹脂組成物を、ブラックライトにより、365nmの波長の積算光量5000mJ/cm2の条件にて硬化させ、硬化体を作製した。得られた硬化体10mgを、ブルカー・エイエックスエス社製示差熱・熱質量同時測定装置「TG-DTA2000SA」により、窒素気流下、30℃から昇温速度10℃/分で250℃まで昇温し、得られた硬化体加熱質量減少率を測定した。
【0119】
硬化体の300℃での加熱質量減少率:作製した樹脂組成物をPETフィルムに挟み込んだ。樹脂組成物を、ブラックライトにより、365nmの波長の積算光量5000mJ/cm2の条件にて硬化させ、硬化体を作製した。得られた硬化体10mgを、ブルカー・エイエックスエス社製示差熱・熱質量同時測定装置「TG-DTA2000SA」により、窒素気流下、30℃から昇温速度10℃/分で300℃まで昇温し、得られた硬化体加熱質量減少率を測定した。
【0120】
250℃と200℃での弾性率比(表の「弾性率比250℃/200℃」)、300℃と200℃での弾性率比(表の「弾性率比300℃/200℃」)、200℃での弾性率との比が0.8を下回る温度:樹脂組成物を、ブラックライトにより、365nmの波長の積算光量5000mJ/cm2の条件にて硬化させ、硬化体を作製した。幅8mm、チャック間距離10mm、厚み1.0mmに硬化体を切り出し、ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン社動的粘弾性測定機「RSAIII」により、空気下、25℃から昇温速度4℃/分で250℃又は300℃まで昇温し、得られた硬化体弾性率を測定した。250℃と200℃での貯蔵弾性率比及び300℃と200℃での貯蔵弾性率比を示した。同様に、200℃での弾性率との比が0.8を下回る温度を測定した。弾性率比が1に近いほど、半導体製造の高温プロセス適合性の点で、好ましい。
【0121】
剥離・解体試験(表の「剥離力」):バンプ付きシリコンウエハの剥離力を測定した。作製した樹脂組成物にて、8インチバンプ付きシリコンウエハ(バンプ径50μm、高さ27μm、ピッチ75μm、ウエハ厚さ0.7mm)と4インチガラスウエハ(直径10mm×厚さ0.7mm)を貼り合わせ、ブラックライトにより、365nmの波長の積算光量5000mJ/cm2の条件にて硬化させ、剥離・解体試験片を作製した。樹脂組成物は貼り合わせ面の全面に塗布した。ブラックライトは、4インチガラスウエハ表面から照射した。ブラックライト照射後の接着体を、210℃の環境下で10分間真空加熱処理して作成した試験片を、試験体とした。得られた試験体の間にペットシート又はブレードを差し込み、続けてダイシングテープでポーラスチャックに試験体を、ガラスウエハ面を上にして真空吸着させた。ガラスウエハにチャックを吸着して上に引っ張り、シリコンウエハからガラスウエハが外れる時の剥離力を測定した。剥離力が小さい方が、剥離性に優れる。
【0122】
タック性(表の「タック性」):剥離・解体試験で剥離した樹脂組成物の硬化体の表面のタック性を指触により評価した。タック性があるものを「あり」、ないものを「なし」とした。
【0123】
【0124】
【0125】
【0126】
【0127】
【0128】
表1、表2から、本発明の樹脂組成物は、接着性、耐熱性及び剥離性に優れることが分かる。(E)を用いないと、高温での弾性率低下が大きく、300℃での耐熱性が低下する(比較例1)。(D)を用いないと剥離性を有さない(比較例2)。(E)と(F)のどちらも用いないと、耐熱性を有さず、剥離性を有さない(比較例3)。
例えば、(E-2)の使用量が適量だと剥離力が大きい(例えば、実施例5と実施例6の対比)。
【0129】
本発明は、例えば、以下の効果を有する。
本発明は、例えば、半導体製造用仮固定接着剤として使用した場合に、耐熱性と接着性と剥離性を有する。
【0130】
本発明は(E)成分を使用することにより柔軟性を保持しつつ表面のタックを減らすので、ウエハが破損することなく、剥離速度を向上でき、生産性向上が期待される。本発明は(E)成分を使用することにより、弾性率が向上し、接着剤がちぎれることなく剥離できるため、接着剤残渣がパーティクルとなりにくく、後の洗浄工程が簡略化できる。更に、従来は加熱により粘着力が増加する特徴があったため、剥離工程前に行われる絶縁膜形成工程等の加熱工程を経ると、粘着力が増加し、剥離性が低下する課題があった。本発明における樹脂組成物は、加熱前には高い接着性を有しており、加熱により接着性が低下するため、加熱後でも容易に剥離できる。(F)成分を加えると更に剥離性向上の効果が高くなる。(E)成分を加えることにより、弾性率低下が抑制されるため、加熱処理工程でのウエハ破損が減少する。即ち、本発明の樹脂組成物は、ウエハ加工時の破損等が減少すると共に、剥離時のウエハの破損も減少し、製品の品質向上に大きく寄与する。
【産業上の利用可能性】
【0131】
本発明は、例えば、以下の特徴を有する。
本発明は、特に、(E)(E-1)数平均分子量300以上の2個以上4個未満の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレートと(E-2)1分子中に1級アミノ基又は2級アミノ基を2つ以上含む化合物の反応物の使用により、剥離性と耐熱性が向上する。本発明は(E)の使用により、表面のタックが小さくなるので剥離時間が短く、生産性を向上できる。本発明は、弾性率低下を抑制できるために、より高温プロセスに適用できる。本発明は、更に(F)成分を加えることで、タックが小さくなり、剥離性向上の効果が高くなる。
【0132】
本発明の組成物は、種々の電子部品、光学部品や光学デバイスの製造において、紫外線又は可視光線を照射するだけで容易に強い接着性を発現するために、作業性、生産性に優れる。本発明の組成物の硬化体は、更に200℃という高温でも弾性率低下を抑制できる。そのため、本発明の組成物を用いて接着した種々の電子部品、光学部品、光学デバイスは、200℃以上の高温での蒸着処理や、高温での焼付塗装が施される場合でも、適用可能である。
【0133】
ICや抵抗、インダクタ等の電子部品以外に、イメージセンサ等の光学部品へも回路基板への表面実装が適用されつつある。その場合は高温のハンダリフローに通される。近年、特にハンダの鉛フリー化に伴い、ハンダリフローの温度条件も厳しくなっている。このような生産工程において、光学部品や光学デバイスの品質を高めるために、又は、生産性や生産歩留まりを向上するために、組成物の使用箇所が高温加熱処理に十分に耐えることが要求される。本発明の組成物を使用して製造された光学部品や光学デバイスは、前記高温加熱処理に十分耐えることができるため、産業上大変有用である。