(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-12
(45)【発行日】2022-05-20
(54)【発明の名称】安全扉のための、保護ロック付きロック装置
(51)【国際特許分類】
E05B 47/06 20060101AFI20220513BHJP
E05B 47/00 20060101ALI20220513BHJP
E05B 41/00 20060101ALI20220513BHJP
【FI】
E05B47/06 A
E05B47/00 R
E05B41/00 F
E05B47/00 M
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019211242
(22)【出願日】2019-11-22
【審査請求日】2020-07-03
(31)【優先権主張番号】10 2018 009 217.9
(32)【優先日】2018-11-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】519418248
【氏名又は名称】カー.アー. シュメアザール ホールディング ゲーエムベーハー アンド コー. カーゲー
【氏名又は名称原語表記】K.A.Schmersal Holding GmbH & Co.KG
【住所又は居所原語表記】Moeddinghofe 30,42279 Wuppertal,GERMANY
(74)【代理人】
【識別番号】100102842
【氏名又は名称】葛和 清司
(72)【発明者】
【氏名】ウーレンブロック,クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】ブッフヴァルト,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】セヴィック,ヤシャル
(72)【発明者】
【氏名】ゲルブラフト,トビアス
【審査官】野尻 悠平
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2011/0277520(US,A1)
【文献】特開2017-036655(JP,A)
【文献】特開2008-057179(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 1/00 - 85/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
安全扉のための保護ロック付きロック装置であって、可動な扉部に固定できる機械的アクチュエーター(1)と、アクチュエーター(1)と協働し扉の対応相方に固定できるハウジング(2)とを含み、該ハウジングはアクチュエーター(1)を挿入することが出来るレセプター(3)を含み、そして、ハウジング(2)は、アクチュエーター(1)が解放されることの出来るアンロック位置と、アクチュエーター(1)がレセプター(3)に対して固定されることの出来るロック位置との間を移動可能なロッキングエレメント(4)を含み、アクチュエーター(1)は、係合プランジャー(8)の形のロッキングエレメント(4)のヘッドエンド(7)と機械的に動作可能に係合するための係合凹部(6)を有する係合トング(5)を含み、係合プランジャー(8)は、
先端が円錐ヘッドエンド(7)となっている中空スタッドとして構成され、ハウジング(2)内を案内されて、
突出方向にばね付勢されて
おり内部固定支持部(9)に対してプランジャーの長手方向に移動することが出来るものであり、内部固定支持部(9)は
前記中空スタッドの中空部に入れ子
となるように形成され
ており、
かつ径方向の移動と固定とが可能な係合要素(10)を保持しており、係合要素(10)は
係合プランジャー(8)が突出し係合凹部(6)と係合した状態で、規定の状態にある間係合プランジャー(8)をその内側輪郭(21)においてロック位置にロック
可能であり、この目的のために、係合プランジャー(8)は内側輪郭(21)において長手方向動に働く係合ストップ(11)を含んで
おり、
アクチュエーター(1)の係合トング(5)に形成された係合凹部(6)は、対応相方としての係合プランジャー(8)の円錐ヘッドエンド(7)と動作可能に係合するために、回転対称形であり、
レセプター(3)が、アンロック位置にある係合トング(5)の挿入/回動範囲として少なくとも180度を有するものである、前記ロック装置。
【請求項2】
前記規定の状態が、保護ロックの持ち上げ装置(12)において、係合要素(10)を固定押し込み位置または転換位置に移動保持してロック位置とする信号によって決定されるものである、請求項1に記載のロック装置。
【請求項3】
持ち上げ装置(12)が二安定ソレノイドである、請求項2に記載のロック装置。
【請求項4】
係合要素(10)が、ピン、ボール、ローラーまたは取り付け部品である、請求項1~3のいずれか一項に記載のロック装置。
【請求項5】
係合要素(10)が、軸方向に移動可能なロッキングシャフトまたはロッキングロッド(13)によって半径方向に移動可能であり、この目的で、ロッキングシャフトまたはロッキングロッド(13)が、係合要素(10)と係合するようにされ得る係合円錐(14)を有している、請求項1~4のいずれか一項に記載のロック装置。
【請求項6】
ハウジング(2)が、レセプター(3)を設けられた
、係合トング(5)を受け入れる開口であるハウジング開口を含むものである、請求項1~
5のいずれか一項に記載のロック装置。
【請求項7】
係合トング(5)に、電子同定素
子(16)が設けられている、請求項1~
6のいずれか一項に記載のロック装置。
【請求項8】
ハウジング(2)が、電子同定素子を検出するセンサー装置(17)をレセプター(3)の領域に含んでいる、請求項
7に記載のロック装置。
【請求項9】
扉、フラップ、カバー、フード、滑り扉、回転ドア等が、安全扉として提供されている、請求項1~
8のいずれか一項に記載のロック装置。
【請求項10】
機械の運転における安全連鎖のための安全スイッチの接続の、電気接続をスイッチングする装置
の、スイッチングのための装置を提供し、その場合電気接続のスイッチングのために、アクチュエーター(1)はスイッチの頭部と動作可能に連結するようにされている、請求項1~
9のいずれか一項に記載のロック装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、安全扉のための、保護ロック付きロック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
このような装置は、DE10 2010 007 388A1により公知である。これらの公知の装置は、機器や設備が稼働中に危険を生じるような、許されないアクセスから保護するために、広く用いられている。これらの機器の動作開始は、ロック装置がロック状態のときにのみ許されるべきであり、適切な場合には「扉閉め状態」信号を発する。これに加えて、機器への新たなアクセスは、機器がもはやいかなる危険もないときにのみ許されるべきである。これは所謂保護ロック(guard rock)により達成される、すなわちロック装置は機器からの解除信号またはそれに類する信号が来るまでは解放されないというものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ひとつの周知のロック装置は、前記の保護ロックを、ハウジングまたは枠部内の長手方向に移動可能なプッシュロッドであって、制御ホイールを定義された状態においてロックするプッシュロッドを用いて構成している。安全扉のロック動作は、ドア部上に固定されており、ハウジングまたは枠部内のレセプターに挿入される鍵(key)であるアクチュエーターによっておこなわれる。アクチュエーターは制御ホイールを回転させるが、これはプッシュロッドがばねの力によって制御ホイールの凹部に係合可能であることによってなされる。これにより、キーがレセプターから離脱してしまうことを防ぐ。機器が停止して制御されたキーの解除をするために、プッシュロッドは係合位置から解除位置へと移動される。
【0004】
しかしながら、制御ホイールは通常第一のハウジング部に位置し、プッシュロッドは第二のハウジング部に位置する必要があるという欠点がある。それゆえ、より大きな空間を必要とし、この周知のロック装置はコンパクトに設計できない。さらには、前記キーは、正しい位置にあるレセプターにしか挿入することができない。したがってフェイルセーフな保護ロックが常に保証されるものではなくなるか、または安全扉において追加的なの位置合わせの機械作業を必要とするであろう。
【0005】
US2013/0088024A1から、プランジャーを有するロック装置が公知である。このプランジャーは、圧力スプリングの付勢力に抗して移動可能であり、プランジャーの動きを制限するための凹部を有している。
【0006】
本発明の目的は、高いロック力を提供し、簡潔な構成で非常に程度の高い柔軟性を与える保護ロックを有するロック装置を提供することである。
この目的は、請求項1の技術事項によって達成される。
【0007】
ロック装置が提供され、この装置は安全ドアのための保護ロックのためのものであり、分離したアクチュエーターがロッキングプランジャー用の係合凹部としてのクランプ用凹部を含むものである。クランプ用凹部とロッキングプランジャーとで機械的なロック機能を提供する。ロッキングプランジャーはそれゆえ、スナップインのプランジャーである。さらに、機械的な受け止め機能が、ロックすることができることを提供する。ロックすること、またはロッキングプランジャーをブロックすることによって、保護ロックユニットとアクチュエーターとが、機械的に互いに結合される。受け止めの係合は、ロッキングプランジャーが付勢力に抗して駆動され、そしてアクチュエーターがそこにあるクランプ用凹部内へと作動することにより達成される。
【0008】
保護ロックは、例えばロッキングプランジャー内に円周状に配置された4個の球体のような係合要素を動かすシャフトまたはロッキングロッドによって達成され、それはラチェット動作の原理に類似したものとして動作する。係合要素はロッキングプランジャーをロッキングシャフトに対して固定し、かくしてロッキングプランジャーの下降を防ぐ。ロッキングシャフト/ロッキングロッドは、2安定ソレノイドにより駆動できる。ロッキングシャフト/ロッキングロッドの位置、そしてそれに伴うロック装置のロック動作は、安全に監視することができる。
【0009】
アクチュエーターは、ロッキング凹部に加えて電気的識別要素、とりわけRFIDタグを含んでもよい。RFIDタグの位置、つまり安全装置の位置は、保護ロック装置ユニットに設置されたRFIDセンサによって信頼できる検出が可能である。従って、非接触動作センサ(RFID)と安全保護ロックの組み合わせが形成され安全装置の保護ができる。
【0010】
本発明によるロック装置は、保護ロックユニットと、書き込み可能RFIDタグおよびロッキングプランジャー/係合プランジャー用のロッキング凹部/係合凹部を有するアクチュエーターとを含む。RFIDタグは、誤作動発生時における規定された動作を有する近接スイッチの機能を提供することを可能とする。ロッキング凹部/係合凹部はアクチュエーターが継続的に180度の角度をもってヘッドまたはアクチュエータースロット内に挿入されることを許し、それは好ましくは開口を有するものとし手設計される。接近の方向は従って非常に許容度が大きく角度自由度も高い。
【0011】
本発明のさらなる詳細は、以下の説明および従属請求項において記述される。
本発明は、添付図面に表される例示実施例を参照して以下により詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、挿入されたアクチュエーターが非ロック位置にある状態の、安全扉のための保護ロック付きロック装置の長手方向断面図を示す概略図である。
【
図2】
図2は、
図1のロック装置の係合プランジャーの部分の長手方向部分断面図を、拡大図で示す概略図である。
【
図3】
図3は、
図1のロック装置の、ばね付勢された係合プランジャーの長手方向部分断面図を、拡大図で示す概略図である。
【
図4】
図4は、係合プランジャーがロック位置にある
図1のロック装置の、長手方向部分断面図を、拡大図で示す概略図である。
【
図5】
図5は、内側面輪郭を示した係合プランジャーの長手方向断面図を示す概略図である。
【
図6】
図6は、本発明による、アクチュエーターがロック装置のハウジングに向かう可能な方向を示す概略図である。
【0013】
図1に示すように、本発明は安全扉のための保護ロックを有するロック装置に関し、運動可能なドア部に固定され得る機械的アクチュエーター1と、アクチュエーター1と相互作用しドア部と対応する箇所に固定され得るハウジング2とを含む。ハウジング2は、アクチュエーター1が送り入れられるレセプター3を有する。
図1はアクチュエーターが挿入位置にある状態を示す。
【0014】
ハウジング2は、ロッキングエレメント4を含み、ロッキングエレメント4は、以下に詳細に説明されるように、アクチュエーター1がレセプター3から解放されることのできる位置であるアンロック位置と、アクチュエーター1がレセプター3に対して固定されることのできる位置であるロック位置との間を移動できる。
【0015】
アクチュエーター1は、係合プランジャー8として設計されたロッキングエレメント4のヘッドエンド7が機械的に係合するための係合凹部6を有する係合トング5をさらに含む。係合プランジャー8は、
図2および3に示す通り、ばね付勢されており、ハウジング2の内部をプランジャーの長手方向に案内されて長手方向縦移動が可能である。それゆえ、アクチュエーター1の係合トング5が押し込まれた時、係合プランジャー8は
図3に示すようにアンロック位置に引っ込むことが可能であり、かくしてアクチュエーター1は単純なやり方で挿入されることが可能となる。このときに、係合凹部6とヘッドエンド7とは適切な形状適合によって、互いの芯出しを行うことが可能となっている。
【0016】
係合プランジャー8は、中空スタッドとして構成され、入れ子の形で構成された内側固定支持部9に対して相対的に、ハウジング2内を長手方向に案内され移動可能であり、該内側固定支持部9は径方向の移動と固定とが可能な係合要素10を保持している。係合要素10は規定の状態にある間係合プランジャーをロック位置にロックしておくために使用される。この目的のために、係合プランジャー8は内側輪郭21および内側輪郭における長手方向について有効な係合ストップ11を含んでいる。付勢ばね18が内側固定支持部9に支持されて、また係合プランジャー8に係合するが、係合プランジャーはそのために、
図5に示されるように支持面19を有している。ハウジング2に接している固定支持部9は、また、固定支持部9に底表面20を設けて係合プランジャー8の挿入移動長を規定するためにも使用される。さらに、固定支持部9は、ハウジング2に相対的に異なった長手方向位置を占めることもできる。
【0017】
前記規定の状態は、保護ロックが動作して、係合要素10を、ロック位置である固定された押し込めまたは転換位置へと移動し保持することを引き起こす持ち上げ装置への信号によって決定されることが出来る。
【0018】
図1によれば、持ち上げ装置12は、例えば二安定ソレノイドとして設計され、係合プランジャーのロック位置とアンロック位置との間でプランジャーの長手方向にロッキングロッドまたはロッキングシャフト13を軸方向移動させる。係合要素10は、例えばピン、ボール、ローラーまたは取り付け部品として設計され、前記軸方向移動可能なロッキングシャフト/ロッキングロッド13の手段によって半径方向に移動可能に動かされる。ロッキングシャフト/ロッキングロッド13は、
図2および3に示すように、係合円錐14を含んでおり、係合要素10と係合する位置に持ち来たすことが出来る。
【0019】
図2は係合要素10がアンロック位置にあるところを示しており、係合プランジャー8の内側輪郭上の係合ストップ11との間の締め付け係合が発生しないように、係合円錐14がその小さい端部直径で係合要素10を自由に動ける状態に置く。
図4によれば、係合円錐14はその大きい端部直径で係合要素10と係合して、これらを係合ストップ11に対して締め付け/押し付けて、これによりロック力が係合プランジャー8に加えられ、係合プランジャーはもはや沈み込むことが出来ないこととなる。かくして、
図4に示すように、係合プランジャー8はロック位置に置かれる。
【0020】
アクチュエーター1の係合トング5は、係合凹部6を有しており、係合凹部は、係合プランジャー8の円錐形状ヘッドエンド7との動作可能な係合のために、好ましくは回転対称の形状を有している。係合凹部6は形状適合した相方である。
【0021】
ハウジング2は、好ましくは、レセプター3が設けられたハウジング開口15を有している。レセプター3は、
図6に示すように、アンロック位置にある係合トング5の挿入/回転範囲として少なくとも180度の範囲を有している。
【0022】
係合トング5は、電子同定素子、とりわけRFIDタグ16をさらに備えることが出来る。ハウジング2は、電子同定素子を検出するためのセンサー装置17をレセプター3の領域に有することが出来る。
【0023】
本発明によれば、いかなる形式の扉、フラップ、カバー、フード、滑り扉、回転ドア等も、安全扉であると考えることが出来る。本発明の更なる態様によれば、電気接続、とりわけ機械の運転における安全連鎖のための安全スイッチの接続の、スイッチングのための装置を提供することができ、その場合電気接続のスイッチングのために、アクチュエーター1はスイッチの頭部(図示していない)と動作可能に連結するようにされる。さらにその上、予備的開放を提供することもできる。
【0024】
図1に示すように、ハウジング2は、電子機器ハウジング部2.1と機械ハウジング部2.2とに分けることが出来る。電子機器と機械とを分けるという考えは、機構を他の製品群のために使用可能にするというモジュラーコンセプトに従うことを可能とする。ハウジング2は、それゆえに、2つに分割することが有利である。
【0025】
本発明の保護ロック付きロック装置の、機械的な作用は、以下の様に記述される。
安全扉(図示していない)が閉じている状態、すなわちアクチュエーター1は、アクチュエータートング5が係合凹部6内に位置しており、係合プランジャー8はそのヘッドエンド7が係合凹部6内に位置している、状態から出発する。もしこの状態が達成され、好ましくは追加的にアクチュエータートング5に位置するRFIDタグ16が、同様にハウジング2に好ましくは設けられたセンサー装置7によって検出されれば、保護ロック、即ち安全ドアは、保護/ロックされることが出来る。
【0026】
ロックは、例えば、ロッキングシャフト/ロッキングロッド13を、係合プランジャー8の方向に動かすことによって達成される。このことが、係合要素10、例えば固定支持部9のボール保持部に位置するボール、を半径方向、ここではたとえば外方向、に移動させる。もし係合要素10、とりわけボール、例えば円周方向に分配された4個のボール、が外向きに押され係合プランジャー8のストップに形状適合/摩擦係合すれば、係合プランジャー8はこれ以上引っ込まなくなる。結果として、アクチュエタートング5を引き抜くことはもはや不可能となり、それはアクチュエーター1についても同じである。かくして安全扉はブロック/ロックされる。
【0027】
ロッキング凹部/係合凹部6は、アクチュエーター1が180度以内の無段階の角度でレセプター3内またはアクチュエーター溝内に挿入されることを可能とするものであり、好ましくは口のような状態に設計される。
図6に示すように、接近する方向はそれゆえ、極めて自由度があり、角度もフレキシブルである。