(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-12
(45)【発行日】2022-05-20
(54)【発明の名称】改良型薬剤送達デバイスのための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
A61M 5/315 20060101AFI20220513BHJP
A61M 5/168 20060101ALI20220513BHJP
A61M 5/24 20060101ALI20220513BHJP
A61M 5/31 20060101ALI20220513BHJP
【FI】
A61M5/315
A61M5/168 530
A61M5/24
A61M5/31 520
A61M5/315 550P
(21)【出願番号】P 2019522922
(86)(22)【出願日】2017-10-26
(86)【国際出願番号】 EP2017077384
(87)【国際公開番号】W WO2018077993
(87)【国際公開日】2018-05-03
【審査請求日】2020-08-12
(32)【優先日】2016-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】516043328
【氏名又は名称】アセンシア・ディアベティス・ケア・ホールディングス・アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ニキル・エム・シャー
(72)【発明者】
【氏名】ユージーン・アール・プレイス
(72)【発明者】
【氏名】ニヒル・パテル
(72)【発明者】
【氏名】ジェニファー・エル・ガス
(72)【発明者】
【氏名】メーガン・エム・バーカースキー
【審査官】伊藤 孝佑
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-519028(JP,A)
【文献】特表2016-504116(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第3058970(EP,A1)
【文献】米国特許第06352523(US,B1)
【文献】国際公開第2015/138093(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/31 - 5/315
A61M 5/24
A61M 5/168
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤送達デバイスであって、
送達するべき薬剤の量を選択するための用量セレクタと;
前記用量セレクタに隣り合い、かつ薬剤送達中に前記用量セレクタの直線変位を検出するように動作可能な第1容量センサと;
前記用量セレクタに結合されたネジと;
前記ネジに隣り合い、かつ薬剤送達中に前記ネジの直線変位を検出するように動作可能な第2容量センサと;
トランシーバと;
前記第1容量センサ、前記第2容量センサ及び前記トランシーバに結合されたプロセッサであって、前記用量セレクタの検出された前記直線変位と、前記ネジの検出された前記直線変位と、の双方に基づいて前記薬剤送達デバイスによって実際に送達された薬剤の量を決定するように動作可能であり、かつ前記薬剤送達デバイスからデータ管理システム又は血糖計へ前記トランシーバを介して、決定された前記薬剤の量を通信するようにさらに動作可能である、プロセッサと;
を備え
、
前記プロセッサが、決定された前記薬剤の量に関する情報を記録するように動作可能であり、
決定された前記薬剤の量に関する前記情報が、
用量が投与された速度と;
前記薬剤送達デバイスの針が設置又は除去された日時と;
前記薬剤送達デバイスの薬剤カートリッジが挿入又は除去された日時と;
温度測定値と;
のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする薬剤送達デバイス。
【請求項2】
前記用量セレクタが、送達するべき薬剤の量を選択するために回転可能であることを特徴とする請求項1に記載の薬剤送達デバイス。
【請求項3】
前記プロセッサが、前記トランシーバを介して、前記薬剤送達デバイスから前記データ管理システム又は前記血糖計へ、記録された前記情報を通信するようにさらに動作可能であることを特徴とする請求項
1に記載の薬剤送達デバイス。
【請求項4】
前記薬剤送達デバイスが、インジケータをさらに備え、
前記プロセッサが、薬剤の不適切な量が前記薬剤送達デバイスによって送達されたこと又は前記薬剤送達デバイスの針が交換を必要とすることの少なくとも1つに応じて前記インジケータを作動させるように動作可能であることを特徴とする請求項1に記載の薬剤送達デバイス。
【請求項5】
前記インジケータが、音発生デバイス又はLEDを備えていることを特徴とする請求項
4に記載の薬剤送達デバイス。
【請求項6】
前記トランシーバが、無線周波数トランシーバ又はブルートゥース(登録商標)トランシーバを備えていることを特徴とする請求項1に記載の薬剤送達デバイス。
【請求項7】
前記プロセッサに結合された時計をさらに備えていることを特徴とする請求項1に記載の薬剤送達デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2016年10月28日付けで出願された米国仮特許出願第62/413,988号の優先権を主張するものであり、この出願は、すべての目的についてその全体を参照することによって本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、薬剤送達デバイス、より具体的に改良型薬剤送達デバイスのための装置、システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
多くのさまざまな薬剤送達デバイス及び生理学的流動性検体モニタリングシステムが、市販されている。このようなデバイスの一般的な用途は、糖尿病患者へのインスリンの注入及び糖尿病患者の血糖値のモニタリングである。このようなデバイスの高まった可搬性及び使用の容易性は、糖尿病患者が、患者の自主性及びプライバシーのレベルを高めることを提供する自己調整式医療処置体制を管理することを可能にした。これは、糖尿病患者の血糖値が毎日又は毎時間変化する可能性があるので、特に有益である。
【0004】
このような自己調整式糖尿病処置投薬計画は、しばしば、さまざまな薬剤、例えばインスリンの注射及び/又は接種による自己投与を含む。効率的かつ安全に行うためにこのような自己調整式体制についての服薬コンプライアンスの高い程度に加えて、患者は、投与量と薬剤が摂取される時間とを厳密にモニタリングすることを要求され、かつ対応する医療的に関連する自己モニタリング情報、例えば血糖値、インスリン投与量などを記録又は文書化する必要があることもある。このようなデータのモニタリングは、現在の状態と、将来的な行動の行動方針(例えば投薬計画変更)と、を決定することに役立つ。この情報の記録は、特にペン及び紙でなされる場合には時間がかかり、不便であるので、このタイプの情報の記録、編集及び追跡が、最小化され、できる限り患者にとって時間効率がよいことが望ましい。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【文献】Schneier, APPLIED CRYPTOGRAPHY, PROTOCOLS, ALGORITHMS, AND SOURCE CODE IN C, John Wiley & Sons, Inc. 2d ed., 1996
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、薬剤の患者調整式投与と、関連するモニタリングと、限定するものではないが薬物投与(例えば注射)時間及び投与量、検体濃度(例えば血糖値など)を含む薬剤情報の記録と、のための改良型デバイス及び方法を発展させることに継続的な関心がある。患者制御式薬剤投与と、患者に柔軟性及びコントロールを提供するモニタリングシステムと、の発展の特別な関心は、患者にとっての信頼性、精度、快適性、プライバシー及び使用の容易性を高めることと;システム構成要素の携帯性を強化することと;である。従って、改良型薬剤送達デバイスのためのシステム、装置及び方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
いくつかの態様では、本発明の実施形態は、薬剤送達デバイスの投与された投与量を自動的に追跡するための装置を提供する。例の薬剤送達デバイスは、送達するべき薬剤の量を選択するための用量セレクタと;用量セレクタに隣り合い、かつ薬剤送達中に用量セレクタの直線変位を検出するように動作可能な第1容量センサと;トランシーバと;第1容量センサ及びトランシーバに結合されたプロセッサであって、用量セレクタの検出された直線変位に基づいて薬剤送達デバイスによって実際に送達された薬剤の量を決定するように動作可能であり、かつ薬剤送達デバイスからデータ管理システム又は血糖計へトランシーバを介して、決定された薬剤の量を通信するようにさらに動作可能である、プロセッサと;を備えている。
【0008】
別の態様によれば、薬剤送達デバイスにより薬剤を送達する方法が提供される。方法は、用量セレクタを介して、送達するべき薬剤の量を選択するステップと;用量セレクタに隣り合う第1容量センサを介して、薬剤送達中に用量セレクタの直線変位を検出するステップと;ネジに隣り合う第2容量センサを介して、薬剤送達中に、用量セレクタに結合されたネジの直線変位を検出するステップと;第1容量センサ及び第2容量センサに結合されたプロセッサを介して、薬剤送達デバイスによって実際に送達された薬剤の量を決定するステップと;を含む。
【0009】
多くの他の態様が、本発明のこれらの態様及び他の態様に従って提供される。本発明の他の特徴及び態様は、以下の詳細な説明、添付の特許請求の範囲及び添付の図面から、より完全に明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施形態による改良型薬剤送達デバイスの等角図である。
【
図2】本発明の実施形態による改良型薬剤送達デバイスの平面図である。
【
図3A】本発明の実施形態による改良型薬剤送達デバイスの端面図である。
【
図3B】線A-Aに沿って得られた、
図3Aの改良型薬剤送達デバイスの側断面図である。
【
図4】本発明の実施形態による改良型薬剤送達デバイスの分解平面図である。
【
図5】本発明の実施形態によるシステムアーキテクチャの例を描くブロック図である。
【
図6】本発明に実施形態による例の方法を描くフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施形態の原理の理解を促進するために、これから図面に図示された例が参照され、例を説明するために特有の用語が使用される。にもかかわらず、それによる本発明の範囲の限定が意図されておらず、本発明が関連する当業者には通常分かる、図示された実施形態での任意の変更及びさらなる修正と、実施形態で示された本発明の原理の任意のさらなる応用と、が、本明細書で考えられることが理解されるであろう。
【0012】
本発明の実施形態は、薬剤(例えばインスリン)を自己投与するために患者によって使用されるよう意図された薬剤送達デバイスの向上を提供する。いくつかの実施形態では、(1)用量の量の情報、投与時間情報及び他の情報を自動的に追跡し、(2)例としてスマートホン又はコンピュータで実行するアプリケーション(例えば糖尿病管理アプリケーション(DMA))として実現されたデータ管理システム(DMS)へ無線プロトコル(例えばRF/ブルートゥース(登録商標))を介して情報を自動的に伝えるように動作可能な改良型薬剤送達デバイスが、提供される。改良型薬剤送達デバイスは、DMSから無線で情報、例えばエラーメッセージ、状態メッセージ並びに/又はブザー及び/もしくは状態発光ダイオード(LED)を作動させるといったコマンドを受信することもできる。
【0013】
いくつかの実施形態では、ユーザは、(例えば内部ネジに結合された)用量セレクタを所望の量に回転させることによって用量をダイアルで入力する(dial-in)ために、改良型薬剤送達デバイスの機械的用量セレクタを手動で操作することができる。投与は、キャップを押すことによって行われ、キャップは、プランジャが、ニードルを通じて選択された用量を投与するために、薬剤カートリッジに圧力を付与することを可能にする。
【0014】
いくつかの実施形態では、送達デバイスは、キャップが押された後の用量セレクタの直線変位を測定するために容量センサを使用する。いくつかの実施形態では、デバイスは、ネジの直線変位、従ってプランジャの変位を測定するために容量センサを使用する。いくつかの実施形態では、デバイスは、用量セレクタ及びネジ双方の直線変位を測定するために容量センサを使用する。いずれの場合でも、デバイスは、用量が投与された日時と、用量が投与された速度と、を記録することができる。本発明の実施形態は、1つ以上の容量センサとともに、再使用可能な薬剤カートリッジホルダも含む。いくつかの実施形態では、熱センサが、例としてデバイスの回路基板上で、デバイス内に含まれ、取り付けられる。
【0015】
時計及びメモリに結合されたプロセッサが、上述したものに加えて、複数のセンサからのさまざまな情報を格納するように動作可能である。例として、プロセッサは、針に関する情報(例えば針が除去されるか又はデバイス内に設置された日時)、薬剤に関する情報(例えば薬剤カートリッジが設置又は交換された日時)及び熱センサによって検出される、デバイス(及び任意の設置された薬剤カートリッジ)がさらされた環境温度に関する情報を格納することができる。いくつかの実施形態では、デバイスは、データ管理システム(例えば糖尿病管理アプリケーション)と無線通信するためにプロセッサと結合されたトランシーバを使用するように動作可能である。デバイスは、デバイス使用(例えば用量の投与)に関する情報、針に関する情報、薬剤に関する情報、温度に関する情報などをDMA及び/又は検体モニタリングシステム(例えば血糖計)又は他のヘルスデータ管理デバイス(例えばスマートホン、タブレット、PC、リストコンピュータなど)に送信することができる。
【0016】
図1から
図4を参照すると、本発明の実施形態による例の改良型薬剤送達デバイス100の等角図が、
図1に描かれている。
図2は、例のデバイス100の平面図である。
図3Aは、端面図であり、
図3Bは、線A-Aに沿って得られた、例のデバイス100の側断面図である。
図4は、例のデバイス100の分解平面図である。例のデバイス100は、デバイス本体104に取り外し可能に結合された薬剤カートリッジホルダ102を含んでいる。デバイス本体104は、電源ボタン106、LEDインジケータ108及び制御(例えば設定)ボタン110を含んでいる。用量セレクタ112が、デバイス本体104から延在している。用量スケール(すなわち容量センサ)の下方でステータトラックを有するフォロワ114が、用量セレクタ112に隣り合って取り付けられている。キャップ116は、用量セレクタ112の端部に取り付けられている。
【0017】
図3B及び
図4でよりはっきりと示されるように、ネジ302が、ネジハウジング304内に配置され、回路基板が、回路基板ハウジング306内に収容されている。他の形態が可能である。例として、用量セレクタ上のフォロワ114に加えて、投与された用量をより直接的に測定することができる第2フォロワ及び容量センサが、ネジ302上にかつ/又はネジ302に隣り合って設けられ得る。
【0018】
図5を参照すると、システムアーキテクチャ500の例を描くブロック図が描かれている。薬剤送達デバイス502は、薬剤送達構成要素508(例えばネジ302、薬剤カートリッジなど)及びフォロワ510双方を駆動する用量セレクタ506といったさまざまな機械的構成要素504を含むことができる。フォロワ510上のステータプレート512は、用量セレクタ506の移動量を示す信号をプロセッサ516に送信することができる容量センサ514を通り過ぎるように移動する。時計518からの時間情報と組み合わせて、プロセッサ516は、薬剤の投与時間と、薬剤が送達された速度と、の双方を決定することができる。いくつかの実施形態では、プロセッサ516は、投与された用量をより直接的にかつより正確に測定するために、ネジ302に近接して配置された代わりの又は追加の容量センサに結合され得る。プロセッサ516は、メモリ(図示せず)、アラーム520(例えば可聴ブザー又は他の音発生デバイス)、状態インジケータLED522及びトランシーバ524(例えばブルートゥース(登録商標)トランシーバといった無線周波数(RF)トランスミッタ/レシーバ)にも結合される。トランシーバ524は、プロセッサ516によって発生された情報を、例として容量センサ514及び時計518からDMSアプリケーション526及び/又はBG計528へ通信することを可能にする。同様に、情報(例えば状態情報、制御コマンドなど)は、トランシーバ524を介してプロセッサ516へ通信され得る。
【0019】
いくつかの実施形態では、DMSアプリケーション526は、上述した機能をサポートするようにかつ情報を格納するように構成されたデータ構造(例えばデータベース、対象の階層、ソフトウェアアーキテクチャ)を含むことができる。
【0020】
図6を参照すると、本発明の実施形態による例の方法600が、フローチャートで図示されている。ステップの特定の順番が示されているが、例の方法600は、任意の実行可能な順番で行われ得る。加えて、具体的な数のステップが示されているが、例の方法600は、追加の、代わりの又はより少ないステップを含むことができる。ユーザは、薬剤送達デバイスの用量セレクタを回転させることによって用量を選択し、その後、キャップを押すことによって薬剤を投与する(602)。いくつかの実施形態では、用量セレクタの直線変位が、用量が投与されるときに、第1容量センサを使用して追跡される(604)。いくつかの実施形態では、ネジの直線変位が、用量が投与されるときに、第2容量センサを使用して追跡される(606)。プロセッサは、センサからの情報を格納する(608)。いくつかの実施形態では、送達の速度の情報を含む薬剤投与の2つの独立した測定値を提供することができる、用量セレクタ及びネジ上の容量センサに加えて、他のセンサが含まれ得、これら他のセンサは、針が設置/除去された日時、薬剤カートリッジが挿入/除去された日時並びに環境温度の測定値といった追加の情報の取得を可能にする。格納された情報は、スマートホンで実行する糖尿病管理アプリケーションといったデータ管理システムにかつ/又はBG計に通信される(610)。
【0021】
本発明の実施形態は、ユーザからの最小の入力で又はユーザからの入力なく、重要な糖尿病管理データをシームレスにかつ自動的に集めることに役立つ。加えて、さまざまな実施形態は、薬剤の用量の投与中のユーザによるエラーの可能性を減少させ、薬剤の用量のデータを手動で記録する必要性を排除し、ユーザの負担を和らげ、薬剤カートリッジの最初の開放に対して期限切れの薬剤を使用する可能性を減少させ、送達デバイス内で機械的システムの精度をモニタリングし、方法が用量の投与の適切な速度をモニタリングすることを可能にし、送達の適切な速度に関してユーザを指導し、用量を選択するより正確な手段を提供し、適切な針の使用を保証し、実際の投与前に針がプライミングされることを保証し、置き忘れられた薬剤送達デバイスの場所が無線トランシーバ特徴部を使用して(例えばブルートゥース(登録商標)範囲内でデバイスを感知することによって)決定されることを可能にし、デバイスが許容可能な温度範囲内に格納されたことを保証し、予め規定されたインスリン投薬計画をモニタリングすること及び指導することを可能にし、(例えばDMAを介して)ユーザによる実際の糖尿病管理行動をユーザの医療提供者(HCP)に知らせる。
【0022】
本発明の実施形態は、複数の課題を解決する。これら課題は、以下を含む。
【0023】
(A)有効期限は、典型的には従来の再使用可能な薬剤送達デバイスには記載されていない。時間が経つにつれて、又は極度の熱といった他の不具合により、機械的な摩耗がある場合、インスリンペンの精度は減少する可能性があり、用量の投与が許容可能な限界外になる可能性がある。
【0024】
(B)従来のインスリンペンは、患者が1単位分又は半単位分の増加よりも少ない用量を投与することが可能ではない。
【0025】
(C)開放されたインスリンカートリッジは、開放から30日の使用可能期間を有する。30日後には、インスリンは、インスリンの量がカートリッジ内に残っているにも関わらず、投与されることが許容されない。これは、患者が容易に忘れ、期限切れのインスリンがユーザに注射されることをもたらす可能性がある。
【0026】
(D)現在の自動送達インスリンペン(例えばノボノルディスクによるフレックスタッチモデル)の平均的な最大注射スピードは、手動適用よりも高い。例として、フレックスタッチは、毎秒15.61単位の平均的な最大流量を有する一方で、手動適用は、毎秒当たり6単位~10単位の範囲である。インスリン送達の流量は、ペン使用の快適性を決定するキーとなる要素である。結果として、自動注射デバイスの送達のより高い速度は、患者へのより大きな乱流の流れと、比較的痛みを伴う経験と、を届けると考えられる。従来のインスリンペンの構成は、ユーザが注射速度を制御及びモニタリングすることを困難にする機構を組み込む。
【0027】
(E)インスリンペンの針は、用量毎に交換され、針が取り付けられていない状態で格納されることが推奨される。これは、針が無菌であり、漏れが防止され、気泡が入らず、針が塞がれることを防止することを保証する。ユーザは、これをすることを忘れる可能性がある。
【0028】
(F)プライミングは、針内に空気がなく、カートリッジ交換後にネジとプランジャとの間に間隙がないことを保証する。ユーザは、プライミングすることを忘れる可能性がある。
【0029】
(G)インスリンペンは、置き忘れるか又は持っていくことを忘れる可能性があるポケットサイズの物品である。仕事のために出発する人は、家にインスリンペンを忘れる可能性があり、又は、帰宅する前に職場に自身のペンを置いていく可能性がある。インスリンペンは、車内又はハンドバッグ内といったブルートゥース(登録商標)範囲内に置き忘れられる可能性がある。
【0030】
(H)インスリンペン及び開放カートリッジは、常に室温で維持されなければならず、高温の車内又は冷蔵庫内といった極度の温度から離れて維持されるべきである。インスリンの体積の変化は、漏れ及び/又は濃度変化に起因した用量の抵抗力の変化を引き起こす可能性がある。
【0031】
(I)エラーは、医者によって予め規定された用量と異なる用量を摂取する患者によって引き起こされる可能性がある。さらに、用量を間違える可能性がある。
【0032】
(J)医者は、糖尿病のケアに関する情報を患者に与える。これは、インスリン投薬計画を含む。医者は、指示に従っているかどうかを容易に確かめることはできない。
【0033】
上述した課題は、以下のように本発明の実施形態によって対処される。
【0034】
(A)選択された用量を実際に投与された用量と比較することは、デバイスの信用を保証し、不一致が検出された場合には、デバイスが正確に動作していないことをユーザに警告することができる。ネジ及び用量セレクタ双方上の容量変位センサは、比較されるためにDMAに送信され得る用量の量及び時間を追跡することができる。許容可能な限界よりも大きいいかなる変化もアラームを作動させる。
【0035】
(B)容量センサを使用することは、容量が、1単位分又は半単位分の増加よりも小さく設定されることを可能にする。これは、インスリンに過敏な患者にとって有益である。
【0036】
(C)カートリッジが30日よりも長くデバイスにあることをユーザに警告することは、デバイス内に現在あるインスリンが使用可能ではないことをユーザに気づかせる。容量タッチフィルム又は機械的スイッチは、いつカートリッジが設置されたか及びカートリッジを交換するためにいつカートリッジが除去されたかを記録することができる。プロセッサに結合された回路基板上の時計は、最後の交換からどのくらい経過したかを追跡することができる。ペアとされた電話機上のLEDインジケータ及び/又は警告は、ユーザにインスリンが期限切れであることを気づかせることができる。
【0037】
(D)インスリン送達デバイスは、ユーザがそれらデバイスの注射スピードを追跡及び手動制御し、従ってリアルタイムで調節するための手段を提供するはずである。容量センサは、リアルタイムの変位を検出することが可能である。これをプロセッサのタイミング機能と組み合わせると、速さ(スピード)が、計算されることが可能である。フィードバックは、デバイスのインジケータ光、ディスプレイ、ブザー、振動モータ又はDMA上のディスプレイスクリーンのいずれかにリアルタイムで出力され得る。このようにして、ユーザは、送達経験が快適性の意味で最適となるように最適な速度で薬剤を送達するために、視覚的、聴覚的及び/又は周到に指導される。さらに、速度は、経時的に集められ、DMAに格納され、これにより、ユーザの薬剤送達体制に分析的な洞察(例えば注射部位ごとの患者特有の薬剤送達速度)を提供する。従って、薬剤投与は、より快適になされ得る。
【0038】
(E)デバイスが注射後に針とともに格納されたことをユーザに警告することは、ユーザに針を除去することを気づかせる。針が、それでも除去されない場合、別のアラームが、ユーザが次の用量をセットするときにデバイス上に現在ある針が古いことをユーザに警告する。容量タッチフィルム又は機械的スイッチが、針が設置されたとき及び針が除去されたときを記録することができる。LEDインジケータ及び/又は(例えばDMAを動作させている)ペアとなった電話機上での警告は、インスリンが期限切れであることをユーザに気づかせることができる。
【0039】
(F)2単位より多くの用量を設定しようとするユーザに警告することは、投薬ごとの前にプライミングショットが行われることを必要とすることのリマインダーである。例として、デバイス上のLEDインジケータは、ダイアルされた最初の用量が2単位よりも多い場合、所定の色(例えば赤)に変化する。針と、2単位よりも多く設定された用量と、の変更も、インジケータを始動させる。
【0040】
(G)デバイスがユーザの電話機とペアとされていないときにユーザに警告することは、インスリンペンがユーザとともにないことをユーザに気づかせることができる。例として、手動でなされない、ブルートゥース(登録商標)のペアリングの終了は、デバイスがユーザとともにないことの、ユーザの電話機での警告を作動させることができる。ブルートゥース(登録商標)範囲内にあるペンに対して、ペアとなった電話機上でDMAを使用することは、デバイス上の聴覚的又は視覚的インジケータを作動させる。デバイスがブルートゥース(登録商標)範囲内にあると、デバイス上のLEDによって見ることができるか又はデバイス内のスピーカーによって聞くことができる。
【0041】
(H)デバイスが極度の温度にさらされていることをユーザに警告することは、ユーザが、使用可能ではないペンを廃棄することを可能にする。サーミスタといった温度センサが、断続的にかつ電話機とペアとされているときに温度を記録することができ、デバイスが使用可能でないことをユーザに警告することができる。LEDインジケータは、投薬の前にユーザに警告することもできる。
【0042】
(I)現在設定されている用量が、摂取されることを意図された用量でないことをユーザに警告することは、ユーザが、用量をダブルチェックし、正確な用量を設定することを可能にする。誤った用量は、ユーザのためのリマインダーを作動させる。例として、DMAは、用量投薬計画を含み、それをデバイスからの実際の値と比較することができる。一致していない用量又は誤った用量のあらゆる場合が、アラームを作動させる。
【0043】
(J)DMAからHCPへすべての情報を送信することは、薬剤使用のすべての状況をHCPに知らせる。デバイスからDMAに送信されたすべての情報は、HCPに送信されることができ、その後、HCPが、ユーザが予め規定されたように薬剤を正確に摂取することを確実にするために情報をレビューすることができる。従って、用量の量及び時間情報双方を追跡する、ブルートゥース(登録商標)使用可能なペンは、糖尿病ケア管理に有益である。この情報は、(A)薬剤送達デバイス(例えばインスリンペン)の精度をモニタリングするため、(B)期限切れのインスリンの使用の可能性を減少させるため、(C)用量の投与のスピードをモニタリングするため、(D)用量を選択するためにより正確な方式を提供するため、(E)適切な針の使用を保証するため、(F)プライミングショットが使用されることを保証するため、(G)置き忘れたペンをブルートゥース(登録商標)範囲内に配置するため、(H)デバイスが許容可能な温度範囲内に維持されることを保証するため、(I)予め規定されたインスリン投薬計画をモニタリング及び指導するため、(J)患者の実際の糖尿病管理をHCPに知らせるために使用され得る。
【0044】
多くの実施形態が、本開示では説明され、説明することのみのために表される。説明される実施形態は、いかなる意味でも限定せず、いかなる意味でも限定するよう意図されない。開示された発明は、本開示から容易に明らかなように、多くの実施形態に幅広く適用可能である。当業者は、開示された発明が、構造的、論理的、ソフトウェア及び電気的修正といったさまざまな修正及び変更を施して実施されてもよいことを理解する。開示された発明の特定の特徴は、1つ以上の特定の実施形態及び/又は図を参照して説明されるが、このような特徴は、明示的に別段の記載をした場合を除き、説明される1つ以上の特定の実施形態又は図での使用に限定されるものではないことが理解されるべきである。
【0045】
本開示は、すべての実施形態の文字通りの説明でも、すべての実施形態に存在しなければならない本発明の特徴を列挙するものでもない。
【0046】
(本開示の最初のページの冒頭に記載されている)名称は、開示された発明の範囲をいかなるようにも限定するとして解釈されない。
【0047】
用語“製品”は、明示的に別段の記載をした場合を除き、米国特許法第101条で考えられる事項の任意の機械、製造品及び/又は組成物を意味する。
【0048】
各プロセス(方法、クラス動作、アルゴリズム又はそれ以外と呼ばれるかどうかにかかわらず)は、本質的に1つ以上のステップを含み、従って、プロセスのステップ(“step”又は“steps”)のすべての参照は、本質的に、単なる用語‘プロセス’又は同様の用語の記載での先行詞を有する。従って、プロセスのステップ(‘step’又は‘steps’)のクレーム中の任意の参照は、十分な先行詞を有する。
【0049】
(“第1”、“第2”、“第3”などといった)序数が、用語の前に形容詞として使用されている場合、この序数は、この特定の特徴を同じ用語又は同様の用語によって説明されている別の特徴と区別するためといった、(明示的に別段の記載をした場合を除き)単に特定の特徴を示すために使用される。例として、“第1部品”は、それを、単に例えば“第2部品”から区別するために呼称される。従って、用語“部品”の前の序数“第1”及び“第2”の単なる使用は、2つの部品のいかなる他の関係も示さず、同様に、いずれか又は双方の部品のいかなる他の特徴も示さない。例として、用語“部品”の前の序数“第1”及び“第2”の単なる使用は、(1)いずれかの部品が、順番又は場所的に任意の他の部品の前又は後に来ることを示さず、(2)いずれかの部品が、時間的に任意の他の部品の前又は後に生じるか又は作用することを示さず、(3)いずれかの部品が、重要性又は品質として、任意の他の部品の上又は下にランク付けされることを示さない。加えて、序数の単なる使用は、序数で特定された特徴への数値的な限界を規定しない。例として、用語“部品”の前の序数“第1”及び“第2”の単なる使用は、2つよりも多くの部品があってはならないことを示さない。
【0050】
単一のデバイス、構成要素、構造又は物品が、本明細書で説明されている場合(それらが協働するかどうかにかかわらず)、1つよりも多いデバイス、構成要素、構造又は物品が、説明された単一のデバイス、構成要素、構造又は物品の代わりに代替的に使用されてもよい。従って、デバイスが有すると説明されている機能は、1つよりも多いデバイス、構成要素又は物品が(それらが協働するかどうかにかかわらず)代替的に有していてもよい。
【0051】
同様に、1つよりも多いデバイス、構成要素、構造又は物品が、本明細書に説明されている場合(それらが協働するかどうかにかかわらず)、単一のデバイス、構成要素、構造又は物品が、説明された1つよりも多いデバイス、構成要素、構造又は物品の代わりに代替的に使用されてもよい。例として、複数のコンピュータベースのデバイスは、単一のコンピュータベースのデバイスで代用されてもよい。従って、1つよりも多いデバイス、構成要素、構造又は物品が有すると説明されているさまざまな機能は、単一のデバイス、構成要素、構造又は物品が代替的に有していてもよい。
【0052】
説明された単一のデバイスの機能及び/又は特徴は、説明されているがこのような機能及び/又は特徴を有するとは明確に説明されていない1つ以上の他のデバイスによって代替的に実現されてもよい。従って、他の実施形態は、説明されたデバイス自体を含むことを必要とせず、むしろ、これら他の実施形態でこのような機能/特徴を有する1つ以上の他のデバイスを含むことができる。
【0053】
互いに通信するデバイスは、明示的に別段の記載をした場合を除き、互いに継続的に通信する必要はない。逆に、このようなデバイスは、必要に応じて又は所望により、互いに信号を送ることのみ必要とし、実際には、ほとんどの時間、データを交換しなくてもよい。例として、インターネットを介して別の機械と通信する機械は、一度に数週間、他の機械にデータを伝達しなくてもよい。加えて、互いに通信するデバイスは、直接的に、又は1つ以上の仲介を介して間接的に通信してもよい。
【0054】
いくつかの構成要素又は特徴を有する実施形態の説明は、このような構成要素及び/又は特徴のすべて又はいずれかさえが必要とされることを意味しない。逆に、さまざまな選択的構成要素が、本発明の広くさまざまな考えられる実施形態を示すために説明される。明示的に別段の記載をした場合を除き、構成要素又は特徴は、必須ではないか、又は必要とされない。
【0055】
さらに、プロセスステップ、アルゴリズム又は同様のものが、一連の順番で説明されるが、このようなプロセスは、異なる順番で行うように構成されてもよい。言い換えると、明確に説明されているステップの任意のシーケンス又は順番が、ステップがこの順番で行われるという要件を必ずしも示すものではない。本明細書で説明されたプロセスのステップは、任意の実用的な順番で行われてもよい。さらに、いくつかのステップは、(例えば1つのステップが他のステップの後に説明されるので)同時でなく起こると説明されかつ示されているにも関わらず、同時に行われてもよい。さらに、図でのプロセスの描写によるプロセスの図示は、図示されたプロセスが他の変化形態及びその修正に排他的であることを意味せず、図示されたプロセス又はそのステップのいずれかが本発明に必須であることを意味せず、図示されたプロセスが好ましいことを意味しない。
【0056】
プロセスは、複数のステップを含むとして説明されているが、これは、ステップのすべて又はいずれかさえが必須であるか又は必要とされることを示さない。説明された発明の範囲内のさまざまな他の実施形態が、説明されたステップのいくつか又はすべてを省略した他のプロセスを含む。明示的に別段の記載をした場合を除き、ステップは、必須ではないか又は必要とされない。
【0057】
製品は、複数の構成要素、外観、品質、特徴部及び/又は機能を含むとして説明されているが、これは、複数のうちのすべてが必須であるか又は必要とされることを示さない。説明された発明の範囲内のさまざまな他の実施形態は、説明された複数のうちのいくつか又はすべてを省略した他の製品を含む。
【0058】
(参照符号が付されていてもいなくてよい)要素の列挙されたリストは、明示的に別段の記載をした場合を除き、要素のいずれか又はすべてが相互に排他的であることを意味しない。同様に、(参照符号が付されていてもいなくてよい)要素の列挙されたリストは、明示的に別段の記載をした場合を除き、要素のいずれか又はすべてが任意のカテゴリーに包括的であることを意味しない。例として、列挙されたリスト“コンピュータ、ラップトップ、PDA”は、このリストの3つの要素のいずれか又はすべてが相互に排他的であることを意味せず、このリストの3つの要素のいずれか又はすべてが任意のカテゴリーに包括的であることを意味しない。
【0059】
本開示に提供されたセクションの見出しは、利便性のためだけのもので、いかなるようにも本開示を限定すると解釈されない。
【0060】
何かを“決定する”ことは、さまざまな方式で行われ、従って、用語“決定する”(及び同様の用語)は、計算すること、算出すること、導くこと、(例えばテーブル、データベース又はデータベース構造内で)探すこと、解明すること、認めること、関連付けること及び同様のことを含む。
【0061】
“ディスプレイ”という用語が本明細書で使用される場合、“ディスプレイ”は、見ている人に情報を伝えるエリアである。情報は、動的であり、この場合、LCD、LED、CRT、デジタル光処理(DLP)、背面投影、正面投影又は同様のものがディスプレイを形成するために使用される。
【0062】
本開示は、“制御システム”、アプリケーション又はプログラムに言及する。制御システム、アプリケーション又はプログラムは、これら用語が本明細書で使用される場合、動作システムと結合されたコンピュータプロセッサと、デバイスドライバと、制御システムについて説明された機能を提供する指令を有する適切なプログラム(まとめて“ソフトウェア”)と、である。ソフトウェアは、(コンピュータ可読媒体と称されることもある)関連するメモリデバイス内に格納されている。適切にプログラムされた汎用コンピュータ又はコンピューティングデバイスが使用されることも考えられるが、配線接続型回路又はカスタムハードウェア(例えば特定用途向け集積回路(ASIC))が、さまざまな実施形態のプロセスの実施のためのソフトウェア指令の代わりに又はこのソフトウェア指令と組み合わせて使用されてもよいことも考えられる。従って、実施形態は、ハードウェア及びソフトウェアのいかなる具体的な組み合わせにも限定されない。
【0063】
“プロセッサ”は、任意の1つ以上のマイクロプロセッサ、中央処理装置(CPU)デバイス、コンピューティングデバイス、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ又は同様のデバイスを意味する。例示的なプロセッサは、INTEL PENTIUM(登録商標)又はAMD ATHLONプロセッサである。
【0064】
用語“コンピュータ可読媒体”は、データ(例えば指令)を提供することに関与する任意の法定媒体に言及し、このデータは、コンピュータ、プロセッサ又は同様のデバイスによって読み取られる。このような媒体は、限定されないが非揮発性媒体、揮発性媒体及び特有の法定タイプの伝達媒体を含む多くの形態をとる。非揮発性媒体は、例として、光又は磁気ディスク及び他の持続性メモリを含む。揮発性媒体は、典型的にはメインメモリを構成するDRAMを含む。法定タイプの伝達媒体は、同軸ケーブル、銅線及び光ファイバを含み、プロセッサに結合されたシステムバスを含む電線を含む。コンピュータ可読媒体の一般的な形態は、例として、フロッピーディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、任意の他の磁気媒体、CD-ROM、デジタルビデオディスク(DVD)、任意の他の光媒体、パンチカード、紙テープ、孔のパターンを有する任意の他の物理的媒体、RAM、PROM、EPROM、FRASH-EEPROM、USBメモリスティック、ドングル、任意の他のメモリチップ又はカートリッジ、搬送波又はコンピュータが読み取ることができる任意の他の媒体を含む。用語“コンピュータ可読媒体”及び/又は“有形的表現媒体”は、信号、波及び波形又はコンピュータによって読み取り可能であっても他の無形的もしくは非一時的媒体を具体的に除く。
【0065】
コンピュータ可読媒体のさまざまな形態は、指令をプロセッサに伝えるシーケンスに伴っていてもよい。例として、指令のシーケンスは、(i)RAMからプロセッサへ送達され、(ii)無線伝達媒体で伝えられ、かつ/又は(iii)多数のフォーマット、規格又はプロトコルに従ってフォーマットされてもよい。より網羅的なプロトコルのリストについては、用語“ネットワーク”が、以下で規定され、本明細書で適用可能な多くの例示的なプロトコルを含んでいる。
【0066】
本明細書で説明されるさまざまな方法及びアルゴリズムが、制御システムによって実施されてもよく、かつ/又はソフトウェアの指令が、本発明のプロセスを実行するように構成されてもよいことが容易に明らかである。
【0067】
データベース及び/又はデータ構造が説明されている場合、当業者には、(i)説明されているデータベース構造と代替的なデータベース構造が、容易に採用されてもよく、(ii)データベースに加えて他のメモリ構造が、容易に採用されてもよいことが理解される。本明細書で表されている任意のサンプルデータベース/データ構造の任意の図示又は説明は、情報の格納された表示のための図示配置である。任意の数の他の配置が、例えば図又は他の場所に示されたテーブルによって、示唆されたこれら配置に加えて採用されてもよい。同様に、データベースの任意の示されたエントリーは、例示的な情報のみを表し、当業者は、エントリーの数及び内容が、本明細書で説明されたものと異なることができることを理解する。さらに、テーブルとしてのデータベースの任意の描写に関わらず、(関係するデータベース、オブジェクトベースのモデル、階層的電子ファイル構造及び/又は分配型データベースを含む)他のフォーマットが、本明細書で説明されたデータタイプを格納及び操作するために使用され得る。同様に、対象となる方法又はデータベースの動作は、本明細書で説明されるプロセスといったさまざまなプロセスを実施するために使用され得る。加えて、データベースは、公知の方式で、このようなデータベースにデータをアクセスするデバイスにローカルに又はデバイスからリモートで格納されてもよい。さらに、統合型データベースが考えられるが、データベースが分配されかつ/又はさまざまなデバイスの間で重複することも可能である。
【0068】
本明細書で使用されるように、“ネットワーク”は、通常、1つ以上のコンピューティングデバイスが互いに通信する環境を提供するために使用される情報又はコンピューティングネットワークに言及する。このようなデバイスは、直接的に通信するか、又はインターネット、LAN、WAN又はイーサネット(登録商標)(もしくはIEEE802.3)、トークンリングといった有線又は無線媒体を介して、又は任意の適切な通信手段もしくは通信手段の組み合わせを介して間接的に通信する。例示的なプロトコルは、限定されないが、ブルートゥース(登録商標)、時分割多元接続(TDMA)、符号分割多元接続(CDMA)、汎欧州デジタル移動電話方式(GSM(登録商標))、GSM(登録商標)進化型高速データレート(EDGE)、汎用パケット無線サービス(GPRS)、広帯域CDMA(WCDMA(登録商標))、高度携帯電話システム(AMPS)、デジタルAMPS(D-AMPS)、IEEE802.11(WI-FI)、IEEE802.3、SAP、ベストオブブリード(BOB)、システムトゥーシステム(S2S)又は同様のものを含む。ビデオ信号又は大きなファイルが、ネットワークを通して送信される場合、ブロードバンドネットワークが、このような大きなファイルの伝達と関連する遅延を緩和するために使用されてもよいが、これは、厳密には必要とされないことに留意されたい。デバイスのそれぞれは、このような通信手段で通信するように構成される。任意の数及びタイプの機械が、ネットワークを介して通信してもよい。ネットワークがインターネットであると、インターネットを通じた通信は、リモートサーバ上でコンピュータによって維持されたウェブサイトを通じてもよく、又は民間のオンラインサービスプロバイダ、電子掲示板及び同様のものを含むオンラインデータネットワーク上であってもよい。さらなる他の実施形態では、デバイスは、RF、ケーブルTV、衛星リンク及び同様のものを通じて互いに通信してもよい。適切な場合、暗号化、又はログイン及びパスワードといった他のセキュリティ手段が、私有又は機密情報を保護するために提供されてもよい。
【0069】
コンピュータ及びデバイスの間の通信は、プライバシーを保証するために暗号化され、当分野で周知のさまざまな方式のいずれかで不正を防止してもよい。システムセキュリティを支えるための適切な暗号プロトコルは、非特許文献1で説明され、この文献は、参照することによってその全体が本明細書に組み込まれる。
【0070】
本明細書で説明されたさまざまな方法及びアルゴリズムは、例えば適切にプログラムされた汎用コンピュータ及びコンピューティングデバイスによって実施されてもよいことが容易に明らかである。典型的に、プロセッサ(例えば1つ以上のマイクロプロセッサ)は、メモリ又は同様のデバイスから指令を受信し、これら指令を実行し、それにより、これら指令によって規定された1つ以上のプロセスを行う。さらに、このような方法及びアルゴリズムを実施するプログラムは、複数の方式でさまざまな媒体(例えばコンピュータ可読媒体)に格納されて伝達されてもよい。いくつかの実施形態では、配線接続型回路又はカスタムハードウェアが、さまざまな実施形態のプロセスの実施のためのソフトウェア指令の代わりに又はこれらソフトウェア指令と組み合わせて使用されてもよい。従って、実施形態は、ハードウェア及びソフトウェアのいかなる具体的な組み合わせにも限定されない。従って、同様に、プロセスの説明は、プロセスを行うための少なくとも1つの装置を説明し、同様に、プロセスを行うための少なくとも1つのコンピュータ可読媒体及び/又はメモリを説明する。プロセスを行う装置は、プロセスを行うのに適切な構成要素及びデバイス(例えばプロセッサ、入力及び出力デバイス)を含むことができる。コンピュータ可読媒体は、方法を行うのに適切なプログラム要素を格納することができる。
【0071】
この開示は、当業者に、いくつかの実施形態及び/又は発明の説明を可能にすることを提供する。これら実施形態及び/又は発明のいくつかは、本出願ではクレームされていなくてもよく、にもかかわらず、本出願の優先権の利益を主張する1つ以上の継続出願でクレームされてもよい。出願人は、本出願に開示されて可能であるがクレームされていない要旨について特許を追求するために追加の出願を行うことを意図する。
【0072】
上述の説明は、本発明の例示的な実施形態のみを開示する。本発明の範囲内にある、上記で開示した装置及び方法の修正は、当業者には容易に明らかである。例として、上述した例は、ヘルスケア市場について説明されているが、本発明の実施形態は、他の市場のために実施され得る。
【0073】
従って、本発明は、その例示的な実施形態と関連して開示されているが、他の実施形態が、以下の特許請求の範囲で規定されるように本発明の精神及び範囲内にあることが理解されるべきである。
【符号の説明】
【0074】
100,502 薬剤送達デバイス、108,522 インジケータ,LED、112,506 用量セレクタ、302 ネジ、514 センサ,第1容量センサ、516 プロセッサ、518 時計、520 音発生デバイス、524 トランシーバ、526 データ管理システム、528 血糖計