(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-12
(45)【発行日】2022-05-20
(54)【発明の名称】新規な化合物及び使用
(51)【国際特許分類】
A61K 31/64 20060101AFI20220513BHJP
A61P 37/06 20060101ALI20220513BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20220513BHJP
A61P 1/16 20060101ALI20220513BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20220513BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20220513BHJP
A61P 5/50 20060101ALI20220513BHJP
A61P 9/00 20060101ALI20220513BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20220513BHJP
A61P 13/12 20060101ALI20220513BHJP
A61P 27/02 20060101ALI20220513BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20220513BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20220513BHJP
A61P 3/00 20060101ALI20220513BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20220513BHJP
C07D 241/24 20060101ALN20220513BHJP
C07D 261/18 20060101ALN20220513BHJP
C07D 217/24 20060101ALN20220513BHJP
C07D 207/38 20060101ALN20220513BHJP
C07D 307/68 20060101ALN20220513BHJP
C07D 271/12 20060101ALN20220513BHJP
C07D 311/16 20060101ALN20220513BHJP
C07D 213/71 20060101ALN20220513BHJP
C07D 249/04 20060101ALN20220513BHJP
C07D 307/77 20060101ALN20220513BHJP
C07D 493/04 20060101ALN20220513BHJP
C07D 413/12 20060101ALN20220513BHJP
C07D 495/04 20060101ALN20220513BHJP
C07D 307/79 20060101ALN20220513BHJP
C07D 471/04 20060101ALN20220513BHJP
C07D 239/28 20060101ALN20220513BHJP
C07D 213/56 20060101ALN20220513BHJP
C07D 211/60 20060101ALN20220513BHJP
C07D 211/62 20060101ALN20220513BHJP
C07D 231/14 20060101ALN20220513BHJP
C07D 295/15 20060101ALN20220513BHJP
C07D 211/78 20060101ALN20220513BHJP
C07D 309/04 20060101ALN20220513BHJP
C07D 309/14 20060101ALN20220513BHJP
C07D 213/75 20060101ALN20220513BHJP
C07D 403/12 20060101ALN20220513BHJP
C07D 401/06 20060101ALN20220513BHJP
C07D 231/18 20060101ALN20220513BHJP
C07C 311/60 20060101ALN20220513BHJP
【FI】
A61K31/64
A61P37/06
A61P29/00
A61P1/16
A61P35/00
A61P43/00 111
A61P43/00 123
A61P5/50
A61P9/00
A61P25/00
A61P13/12
A61P27/02
A61P17/00
A61P11/00
A61P3/00
A61P3/10
C07D241/24
C07D261/18
C07D217/24
C07D207/38
C07D307/68
C07D271/12
C07D311/16
C07D213/71
C07D249/04 503
C07D307/77
C07D493/04 101A
C07D413/12
C07D495/04 103
C07D307/79
C07D471/04 108A
C07D239/28
C07D213/56
C07D211/60
C07D211/62
C07D231/14
C07D295/15
C07D211/78
C07D471/04 108X
C07D309/04
C07D309/14
C07D213/75
C07D403/12
C07D401/06
C07D231/18
C07C311/60 CSP
(21)【出願番号】P 2019565269
(86)(22)【出願日】2017-05-24
(86)【国際出願番号】 IB2017053059
(87)【国際公開番号】W WO2018215818
(87)【国際公開日】2018-11-29
【審査請求日】2020-05-22
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 2016年11月25日にザ ユニバーシティ オブ クィーンズランドにおけるポスター発表
(73)【特許権者】
【識別番号】503319102
【氏名又は名称】ザ ユニバーシティ オブ クィーンズランド
(73)【特許権者】
【識別番号】517284599
【氏名又は名称】ザ・プロヴォースト・フェローズ・ファウンデーション・スカラーズ・アンド・ジ・アザー・メンバーズ・オブ・ボード・オブ・ザ・カレッジ・オブ・ザ・ホーリー・アンド・アンディヴァイデッド・トリニティ・オブ・クイーン・エリザベス・ニア・ダブリン
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ルーク・オニール
(72)【発明者】
【氏名】レベッカ・コル
(72)【発明者】
【氏名】マシュー・クーパー
(72)【発明者】
【氏名】アヴリル・ロバートソン
(72)【発明者】
【氏名】ケイト・シュローダー
(72)【発明者】
【氏名】アンガス・マレー・マクラウド
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィッド・ジョン・ミラー
【審査官】東 裕子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/131098(WO,A1)
【文献】特表2000-511200(JP,A)
【文献】特表2006-506391(JP,A)
【文献】特開2000-095796(JP,A)
【文献】特表2005-522495(JP,A)
【文献】特公昭51-033903(JP,B1)
【文献】特公昭50-015790(JP,B1)
【文献】米国特許第03917690(US,A)
【文献】特表2019-512009(JP,A)
【文献】LALIBERTE, Ronald E.,The Journal of Biological Chemistry,2003年,278(19),16567-16578
【文献】YILMAZ, Ozgur,Journal of Enzyme Inhibition and Medicinal Chemistry,2015年,30(6),967-980
【文献】STN International,CAS Registry No. 1332606-77-5,File REGISTRY (online),Enterd STN,2011年09月16日,2-(3-(3-Amino-4-(tert-butoxycarbonyl)phenylsulfonyl)ureido)-4-chlorobenzoic acid
【文献】STN International,CAS Registry No. 663215-37-0,File REGISTRY (online),Entered STN,2004年03月15日,1H-1,2,4-Triazole-1-carboxamide, N-(2-chlorophenyl)-5-[[[[(2-chlorophenyl)amino]carbonyl]amino]sulfonyl]- (CA INDEX NAME)
【文献】ABOU OUF, A.A.,Egyptian Journal of Pharmaceutical Sciences,1980年,21(3-4),189-198
【文献】SARGES, Reinhard,Journal of Medicinal Chemistry,1976年,19(5),695-709
【文献】MURTHY, G. Rama,Current Science,1987年,56(24),1263-1265
【文献】KHARBANDA, Chetna,Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters,2015年,25,4601-4605
【文献】AMBROGI, V.,ARZNEIMITTELFORSCHUNG,1972年,22(3),542-544
【文献】PLUEMPE, H.,ARZNEIMITTELFORSCHUNG,1974年,24(3a),363-374
【文献】WEYER, R.,ARZNEIMITTELFORSCHUNG,1974年,24(3),269-275
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C
C07D
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
疾患、障害、または状態を治療または予防するための医薬の製造における、式(I)の化合物:
【化1】
(式中、QはOまたはSであり;
R
1は、少なくとも1つの基Xで置換されている環状基であり、R
1は任意選択的に更に置換されていてもよく;
Xはカルボニル基を含む任意の基であり;
(i)R
2はα位で置換されている環状基であり、
α位の置換基は、-R
3
、-OR
3
、及び-COR
3
基から独立して選択され、各R
3
は、C
1
~C
6
アルキル、C
2
~C
6
アルケニル、C
2
~C
6
アルキニル、またはC
2
~C
6
環状基から独立して選択され、各R
3
は1つ以上のハロ基で任意選択的に更に置換され、R
2は任意選択的に更に置換されていてもよい
;あるいは
(ii)R
2
は縮合環状基であり、シクロアルキル、シクロアルケニル、非芳香族ヘテロ環、アリール、またはヘテロアリール環が、α位、β位をまたいで親環状基に縮合され、R
2
は任意選択的に更に置換されていてもよい)
又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物の使用であって、
前記疾患、障害、または状態が、NLRP3阻害とインスリン分泌の刺激の両方に応答する、使用。
【請求項2】
2つ以上の併存疾患、障害、または状態を治療または予防するための医薬の製造における、式(I)の化合物:
【化2】
(式中、QはOまたはSであり;
R
1
は、少なくとも1つの基Xで置換されている環状基であり、R
1
は任意選択的に更に置換されていてもよく;
Xはカルボニル基を含む任意の基であり;
(i)R
2
はα位で置換されている環状基であり、α位の置換基は、-R
3
、-OR
3
、及び-COR
3
基から独立して選択され、各R
3
は、C
1
~C
6
アルキル、C
2
~C
6
アルケニル、C
2
~C
6
アルキニル、またはC
2
~C
6
環状基から独立して選択され、各R
3
は1つ以上のハロ基で任意選択的に更に置換され、R
2
は任意選択的に更に置換されていてもよい;あるいは
(ii)R
2
は縮合環状基であり、シクロアルキル、シクロアルケニル、非芳香族ヘテロ環、アリール、またはヘテロアリール環が、α位、β位をまたいで親環状基に縮合され、R
2
は任意選択的に更に置換されていてもよい)
又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物の使用であって、
第1の疾患、障害、または状態がインスリン分泌の刺激に応答し、第2の疾患、障害、または状態がNLRP3の阻害に応答する、使用。
【請求項3】
前記第1の疾患、障害、または状態が糖尿病または前糖尿病から選択され、前記第2の疾患、障害、または状態が、
(i)炎症;
(ii)心臓血管疾患;
(iii)中枢神経系疾患;
(iv)腎疾患;
(v)眼疾患;
(vi)皮膚疾患;
(vii)肝疾患;
(viii)肺疾患;
(ix)がん;及び
(x)インスリン分泌の刺激に応答しない代謝性疾患;
から選択される、請求項
2に記載の使用。
【請求項4】
NLRP3を阻害し、かつインスリン分泌を刺激するための医薬の製造における、式(I)の化合物:
【化3】
(式中、QはOまたはSであり;
R
1
は、少なくとも1つの基Xで置換されている環状基であり、R
1
は任意選択的に更に置換されていてもよく;
Xはカルボニル基を含む任意の基であり;
(i)R
2
はα位で置換されている環状基であり、α位の置換基は、-R
3
、-OR
3
、及び-COR
3
基から独立して選択され、各R
3
は、C
1
~C
6
アルキル、C
2
~C
6
アルケニル、C
2
~C
6
アルキニル、またはC
2
~C
6
環状基から独立して選択され、各R
3
は1つ以上のハロ基で任意選択的に更に置換され、R
2
は任意選択的に更に置換されていてもよい;あるいは
(ii)R
2
は縮合環状基であり、シクロアルキル、シクロアルケニル、非芳香族ヘテロ環、アリール、またはヘテロアリール環が、α位、β位をまたいで親環状基に縮合され、R
2
は任意選択的に更に置換されていてもよい)
又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物の使用。
【請求項5】
式(I)の化合物:
【化4】
(式中、QはOまたはSであり;
R
1
は、少なくとも1つの基Xで置換されている環状基であり、R
1
は任意選択的に更に置換されていてもよく;
Xはカルボニル基を含む任意の基であり;
(i)R
2
はα位で置換されている環状基であり、α位の置換基は、-R
3
、-OR
3
、及び-COR
3
基から独立して選択され、各R
3
は、C
1
~C
6
アルキル、C
2
~C
6
アルケニル、C
2
~C
6
アルキニル、またはC
2
~C
6
環状基から独立して選択され、各R
3
は1つ以上のハロ基で任意選択的に更に置換され、R
2
は任意選択的に更に置換されていてもよい;あるいは
(ii)R
2
は縮合環状基であり、シクロアルキル、シクロアルケニル、非芳香族ヘテロ環、アリール、またはヘテロアリール環が、α位、β位をまたいで親環状基に縮合され、R
2
は任意選択的に更に置換されていてもよい)
又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物を使用して、NLRP3を阻害し、かつインスリン分泌を刺激することを含む、NLRP3を阻害し、かつインスリン分泌を刺激する方法であって、前記方法がex vivoまたはin vitroで実施される、方法。
【請求項6】
(i)R
2がアリールまたはヘテロアリール基であり、前記アリールまたは前記ヘテロアリール基が前記α位で置換されており、
α位の置換基は、-R
3
、-OR
3
、及び-COR
3
基から独立して選択され、各R
3
は、C
1
~C
6
アルキル、C
2
~C
6
アルケニル、C
2
~C
6
アルキニル、またはC
2
~C
6
環状基から独立して選択され、各R
3
は1つ以上のハロ基で任意選択的に更に置換され、R
2が任意選択的に更に置換されていてもよい
;あるいは
(ii)R
2
は縮合アリール又は縮合ヘテロアリール基であり、シクロアルキル、シクロアルケニル、非芳香族ヘテロ環、アリール、またはヘテロアリール環が、α位、β位をまたいでアリール又はヘテロアリール基に縮合され、R
2
は任意選択的に更に置換されていてもよい、請求項
1~5のいずれか一項に記載の
使用又は方法。
【請求項7】
(i)R
2がアリールまたはヘテロアリール基であり、前記アリールまたは前記ヘテロアリール基が前記α位及びα’位で置換されており、
α位及びα’位の各置換基は、-R
3
、-OR
3
、及び-COR
3
基から独立して選択され、各R
3
は、C
1
~C
6
アルキル、C
2
~C
6
アルケニル、C
2
~C
6
アルキニル、またはC
2
~C
6
環状基から独立して選択され、各R
3
は1つ以上のハロ基で任意選択的に更に置換され、R
2が任意選択的に更に置換されていてもよい
;あるいは
(ii)R
2
は縮合アリール又は縮合ヘテロアリール基であり、シクロアルキル、シクロアルケニル、非芳香族ヘテロ環、アリール、またはヘテロアリール環が、α位、β位をまたいでアリール又はヘテロアリール基に縮合され、前記アリールまたは前記ヘテロアリール基がα’位で置換されており、
α’位の置換基は、-R
3
、-OR
3
、及び-COR
3
基から独立して選択され、各R
3
は、C
1
~C
6
アルキル、C
2
~C
6
アルケニル、C
2
~C
6
アルキニル、またはC
2
~C
6
環状基から独立して選択され、各R
3
は1つ以上のハロ基で任意選択的に更に置換され、R
2
が任意選択的に更に置換されていてもよい;あるいは
(iii)R
2
は、縮合アリールまたは縮合ヘテロアリール基であり、第1のシクロアルキル、シクロアルケニル、非芳香族ヘテロ環、アリール、またはヘテロアリール環は、α位、β位をまたいでアリールまたはヘテロアリール基に縮合しており、第2のシクロアルキル、シクロアルケニル、非芳香族ヘテロ環、アリール、またはヘテロアリール環は、α’位、β’位をまたいでアリールまたはヘテロアリール基に縮合しており、R
2
は任意選択的に更に置換されていてもよい、請求項
6に記載の
使用又は方法。
【請求項8】
R
2が縮合アリールまたは縮合ヘテロアリール基であり、第1のシクロアルキル、シクロアルケニル、非芳香族ヘテロ環、アリール、またはヘテロアリール環が、α位、β位をまたいで前記アリールまたはヘテロアリール基に縮合しており、第2のシクロアルキル、シクロアルケニル、非芳香族ヘテロ環、アリール、またはヘテロアリール環が、α’位、β’位をまたいで前記アリールまたはヘテロアリール基に縮合しており、R
2が任意選択的に更に置換されていてもよい、請求項
7に記載の
使用又は方法。
【請求項9】
(i)R
2が前記α位及びα’位で置換されている環状基であり、
α位及びα’位の各置換基は、-R
3
、-OR
3
、及び-COR
3
基から独立して選択され、各R
3
は、C
1
~C
6
アルキル、C
2
~C
6
アルケニル、C
2
~C
6
アルキニル、またはC
2
~C
6
環状基から独立して選択され、各R
3
は1つ以上のハロ基で任意選択的に更に置換され、R
2が任意選択的に更に置換されていてもよい
;あるいは
(ii)R
2
は縮合環状基であり、シクロアルキル、シクロアルケニル、非芳香族ヘテロ環、アリール、またはヘテロアリール環が、α位、β位をまたいで親環状基に縮合され、前記親環状基がα’位で置換されており、α’位の置換基は、-R
3
、-OR
3
、及び-COR
3
基から独立して選択され、各R
3
は、C
1
~C
6
アルキル、C
2
~C
6
アルケニル、C
2
~C
6
アルキニル、またはC
2
~C
6
環状基から独立して選択され、各R
3
は1つ以上のハロ基で任意選択的に更に置換され、R
2
が任意選択的に更に置換されていてもよい;あるいは
(iii)R
2
は、縮合環状基であり、第1のシクロアルキル、シクロアルケニル、非芳香族ヘテロ環、アリール、またはヘテロアリール環は、α位、β位をまたいで親環状基に縮合しており、第2のシクロアルキル、シクロアルケニル、非芳香族ヘテロ環、アリール、またはヘテロアリール環は、α’位、β’位をまたいで親環状基に縮合しており、R
2
は任意選択的に更に置換されていてもよい、請求項1
~5のいずれか一項に記載の
使用又は方法。
【請求項10】
R
1が、少なくとも1つの基Xで置換されている6員環基であり、R
1が任意選択的に更に置換されていてもよい、請求項1~
9のいずれか1項に記載の
使用又は方法。
【請求項11】
R
1が、4位が少なくとも1つの基Xで置換されている6員環基であり、Xが4位のみを介して前記6員環基に結合しており、前記6員環基が任意選択的に更に置換されていてもよい、請求項
10に記載の
使用又は方法。
【請求項12】
R
1が、フェニル基または6員のヘテロアリール基であり、前記フェニル基または前記6員のヘテロアリール基が、4位が基Xで置換されており、Xが一価であり、前記フェニル基または前記6員のヘテロアリール基が任意選択的に更に置換されていてもよい、請求項
11に記載の
使用又は方法。
【請求項13】
R
1が少なくとも1つの基Xで置換されているヘテロ環基であり、R
1が任意選択的に更に置換されていてもよい、請求項1~
12のいずれか1項に記載の
使用又は方法。
【請求項14】
前記ヘテロ環基が前記ヘテロ環中に少なくとも1つの窒素原子を含む、請求項
13に記載の
使用又は方法。
【請求項15】
X-が、
【化5】
であり、式中、
Lは、結合、またはアルキレン、アルケニレン、もしくはアルキニレン基であり、前記アルキレン、アルケニレン、またはアルキニレン基は、その骨格中に1~6個の原子を含み、前記アルキレン、アルケニレン、またはアルキニレン基の前記骨格中の1つ以上の炭素原子は、1つ以上のヘテロ原子N、O、またはSで任意選択的に置き換えられていてもよく、前記アルキレン、アルケニレン、またはアルキニレン基は、任意選択的に置換されていてもよく;
R
a及びR
bは、これらが結合している原子と一緒になって環状基を形成していてもよく、あるいはR
a及びR
bは、水素、またはアルキル、アルケニル、アルキニル、Z-、Z-アルキレン-、Z-アルケニレン-、またはZ-アルキニレン基からそれぞれ独立して選択され、前記アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキレン、アルケニレン、またはアルキニレン基の前記骨格中の1つ以上の炭素原子は、1つ以上のヘテロ原子N、OまたはSで任意選択的に置き換えられていてもよく、各Z-は環状基であり;
任意のR
a及びR
bは任意選択的に置換されていてもよい;
請求項1~1
4のいずれか1項に記載の
使用又は方法。
【請求項16】
Lが、アルキレン、アルケニレン、またはアルキニレン基であり、前記アルキレン、アルケニレン、またはアルキニレン基が、その骨格中に1~6個の原子を含み、前記アルキレン、アルケニレン、またはアルキニレン基の前記骨格中の1つ以上の炭素原子が、1個以上のヘテロ原子N、O、またはSで任意選択的に置き換えられていてもよく、前記アルキレン、アルケニレン、またはアルキニレン基が任意選択的に置換されていてもよい、請求項1
5に記載の
使用又は方法。
【請求項17】
式(I)の化合物
が:
【化6】
【化7】
【化8】
【化9】
【化10】
【化11】
からなる群から選択される
、請求項1~16のいずれか一項の記載の使用又は方法。
【請求項18】
式(I)の化合物又はその塩若しくは溶媒和物が、前記化合物
又は前記薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物と、薬学的に許容される賦形剤とを含有する医薬組成物
として提供される、請求項1~17のいずれか一項に記載の使用又は方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カルボニル含有基で置換されている第1の環状基と、α位で置換されている第2の環状基とを含むスルホニル尿素、ならびに関連する塩、溶媒和物、プロドラッグ、及び医薬組成物に関する。本発明は、更に、とりわけNLRP3阻害とインスリン分泌の刺激の二重作用による、医学的障害及び疾患の治療及び予防におけるそのような化合物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
NOD様受容体(NLR)ファミリー、ピリンドメイン含有タンパク質3(NLRP3)インフラマソームは炎症プロセスの構成要素であり、その異常な活性は、クリオピリン関連周期熱症候群(CAPS)や複合疾患(多発性硬化症、2型糖尿病、アルツハイマー病、及びアテローム性動脈硬化等)などの遺伝性疾患の病原である。
【0003】
NLRP3は、多くの病原体由来、環境由来、及び宿主由来の因子を感知する細胞内シグナル伝達分子である。活性化すると、NLRP3は、カスパーゼ活性化及び誘引ドメインを含むアポトーシス関連スペック様タンパク質(ASC)に結合する。その後、ASCは重合してASCスペックとして知られている大きな凝集体を形成する。重合したASCは、次にシステインプロテアーゼカスパーゼ-1と相互作用して、インフラマソームと呼ばれる複合体を形成する。これにより、カスパーゼ-1が活性化され、これが炎症誘発性サイトカインIL-1β及びIL-18の前駆体形態(それぞれpro-IL-1β及びpro-IL-18と呼ばれる)を切断し、それによってこれらのサイトカインが活性化される。カスパーゼ-1は、ピロトーシスとして知られるある種の炎症性細胞死も媒介する。ASCスペックは、カスパーゼ8を動員及び活性化することもでき、これはpro-IL-1β及びpro-IL-18をプロセシングしてアポトーシス細胞死を引き起こすことができる。
【0004】
カスパーゼ-1は、pro-IL-1β及びpro-IL-18を、その活性型へと切断し、これは細胞から分泌される。活性カスパーゼ-1は、ガスデルミン-Dも切断してピロトーシスを引き起こす。カスパーゼ-1は、ピロトーシスによる細胞死の経路の制御により、IL-33や高移動度グループボックス1タンパク質(HMGB1)などのアラーミン分子の放出も媒介する。カスパーゼ-1は、細胞内IL-1R2も切断してこれを分解し、IL-1αの放出を可能にする。ヒト細胞では、カスパーゼ-1はIL-37のプロセシング及び分泌を制御することもできる。細胞骨格や解糖系の成分などの多数の他のカスパーゼ-1基質は、カスパーゼ-1依存性炎症の一因となる場合がある。
【0005】
NLRP3依存性ASCスペックは細胞外環境に放出され、これらはカスパーゼ1を活性化し、カスパーゼ1基質のプロセシングを引き起こし、炎症を伝播する。
【0006】
NLRP3インフラマソームの活性化により生じる活性サイトカインは、炎症の重要なドライバーであり、他のサイトカイン経路と相互作用して感染及び損傷に対する免疫応答を形成する。例えば、IL-1βシグナル伝達は、炎症誘発性サイトカインIL-6及びTNFの分泌を誘導する。IL-1β及びIL-18は、IL-23と相乗作用して、メモリーCD4 Th17細胞による、及びT細胞受容体関与がないγδT細胞による、IL-17産生を誘導する。IL-18とIL-12も相乗作用して、メモリーT細胞と、Th1応答を引き起こすNK細胞とからのIFN-γ産生を誘導する。
【0007】
遺伝性のCAPS疾患であるマックル・ウェルズ症候群(MWS)、家族性寒冷自己炎症症候群、及び新生児期発症多臓器性炎症性疾患は、NLRP3の機能獲得変異によって引き起こされ、そのためNLRP3は炎症プロセスの重要な要素として定義される。NLRP3は、2型糖尿病、アテローム性動脈硬化症、肥満、及び痛風などの代謝障害を特に含む、数多くの複合疾患の病因にも関与している。
【0008】
中枢神経系の疾患におけるNLRP3の役割が明らかになってきており、肺疾患もNLRP3の影響を受けることが示されている。更に、NLRP3は、肝疾患、腎疾患、及び老化の進行における役割を有している。これらの関連性の多くはNlrp3-/-マウスを使用して定義されたものの、これらの疾患におけるNLRP3の特異的活性化に関する洞察も存在している。2型糖尿病(T2D)では、膵臓における膵島アミロイドポリペプチドの沈着によりNLRP3及びIL-1βシグナル伝達が活性化され、細胞死及び炎症が引き起こされる。
【0009】
複数の小分子がNLRP3インフラマソームを阻害することが示されている。グリブリドは、NLRP3の活性化に応答してマイクロモル濃度でIL-1β産生を阻害するが、NLRC4またはNLRP1の活性化には応答しない。これまでに特徴付けられている他のNLRP3阻害剤としては、パルテノリド、3,4-メチレンジオキシ-β-ニトロスチレン、及びジメチルスルホキシド(DMSO)が挙げられるものの、これらの薬剤の有効性は限定的であり、また非特異的である。
【0010】
NLRP3関連疾患の現在の治療法としては、IL-1を標的とする生物学的製剤が挙げられる。これらは、組換えIL-1受容体アンタゴニストアナキンラ、中和IL-1β抗体カナキヌマブ、及び可溶性デコイIL-1受容体リロナセプトである。これらのアプローチはCAPSの治療に成功することが証明されており、これらの生物学的製剤は他のIL-1β関連疾患の臨床試験で使用されている。
【0011】
いくつかのジアリールスルホニル尿素含有化合物が、サイトカイン放出阻害薬(CRID)として特定されている(Perregaux et al.;J.Pharmacol.Exp.Ther.299,187-197,2001)。CRIDは、IL-1βの翻訳後プロセシングを阻害する化合物を含むジアリールスルホニル尿素含有化合物の分類である。IL-1βの翻訳後プロセシングは、カスパーゼ-1の活性化と細胞死を伴う。CRIDは活性化された単球を停止させるため、カスパーゼ-1は不活性なままであり、形質膜の潜在性は保たれる。
特定のスルホニル尿素含有化合物もNLRP3の阻害剤として開示されている(Baldwin et al.,J.Med.Chem.,59(5),1691-1710,2016)。
【0012】
いくつかのスルホニル尿素含有化合物は、別の目的のために用いられる。糖尿病は、血糖値の上昇により特徴付けられる代謝性疾患の一群である。これは、インスリンを産生する能力が実質的にまたは完全に失われるか、産生されるインスリンに応答する抵抗性と能力の低下を細胞が発現するために生じる。より具体的には、1型糖尿病(T1D)は、膵臓のランゲルハンス島のインスリン産生ベータ細胞の喪失によって特徴付けられ、インスリン欠乏をもたらす。このタイプの糖尿病は、免疫介在性または特発性として更に分類することができる。T1Dの大部分は免疫介在性であり、この場合自己免疫攻撃の結果としてベータ細胞が失われる。2型糖尿病(T2D)は、インスリン抵抗性によって特徴付けられ、しばしばインスリン分泌の低下と組み合わされる。T2Dは、主に生活要因と遺伝に起因する。T2Dの患者が利用可能な治療としては、経口薬の中では、特定のスルホニル尿素や「グリニド」(レパグリニド及びナテグリニド)などの分泌促進薬、メトホルミン、チアゾリジンジオン(TZD)、及びジペプチジルペプチダーゼ-4(DPP-4)阻害薬、非経口投与される薬剤の中では、インスリン及びグルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)受容体アゴニストが挙げられる。これらの分泌促進物質は膵臓を刺激してインスリンを放出する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0013】
【文献】Perregaux et al.;J.Pharmacol.Exp.Ther.299,187-197,2001
【文献】Baldwin et al.,J.Med.Chem.,59(5),1691-1710,2016
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
改善された薬理学的及び/または生理学的及び/または物理化学的特性を有する化合物、及び/または既知の化合物の有用な代替となる化合物を提供することが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、NLRP-3阻害活性とインスリン分泌促進活性の両方を有する分類の化合物を考え出すことが望まれているという認識に一部基づいている。注目すべきことに、スルホニル尿素置換基の適切な構造設計により、非常に強力なNLRP-3阻害剤とインスリン分泌の強力な誘導剤の両方である化合物を合成できることが見出された。この結果を達成するために、新規なカテゴリーのインスリン分泌促進剤と新規なカテゴリーのNLRP-3阻害剤が考案された。
【0016】
したがって、本発明の第1の態様は、式(I)の化合物:
【化1】
(式中、QはOまたはSであり;
R
1は、少なくとも1つの基Xで置換されている環状基であり、R
1は任意選択的に更に置換されていてもよく;
Xはカルボニル基を含む任意の基であり;
R
2はα位で置換されている環状基であり、R
2は任意選択的に更に置換されていてもよい)
に関する。
【0017】
好ましい実施形態では、QはOである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の化合物及び他の比較化合物のインスリン分泌活性を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本明細書の目的のためには、置換基、基、または部位が特定の基で「ある」と述べられている場合、その特定の基は分子の残りに直接結合しており、介在する原子(複数可)または基は存在しないと理解されるべきである。対照的に、置換基、基、または部位が特定の基を「含む」と述べられている場合、その特定の基が置換基、基、または部位の中に含まれていなければならないことのみ理解されるべきであり、そのためその特定の基は他の原子、基、または部位を介して分子の残りに結合していてもよい。したがって、本発明の第1の態様では、「R1が環状基である」と述べられている場合、環状基は、スルホニル基の硫黄原子に直接結合しており、介在する原子(複数可)または基は存在しないと理解されるべきである。同様に、「R2が環状基である」と述べられている場合、環状基は(チオ)尿素基の窒素原子に直接結合しており、介在する原子(複数可)または基は存在しないと理解されるべきである。逆に、本発明の第1の態様では、「Xはカルボニル基を含む任意の基である」と述べられている場合、基Xがカルボニル基(C=O)を含むことのみが理解されるべきである。そのような基Xは、カルボニル基をR1に結合し得る追加の原子、基、または部位を更に含んでいてもよい。
【0020】
本明細書の目的のためには、任意選択的に置換されていてもよい基または部位において:
(i)各水素原子は、ハロ、-CN、-NO2、-Rβ、-OH、-ORβ、-SH、-SRβ、-NH2、-NHRβ、-N(Rβ)2、-CHO、-CORβ、-COOH、-COORβ、または-OCORβ基から独立して選択される基で任意選択的に置換されていてもよい;及び/または
(ii)同じ炭素原子に結合している任意の2つの水素原子は、=O、=S、または=NRβから独立して選択されるπ結合している置換基で任意選択的に置換されていてもよい;及び/または
(iii)同じ任意選択的に置換されていてもよい基または部位の中の同じまたは異なる原子に結合している任意の2つの水素原子は、-O-、-S-、-NRβ-、または-Rα-から独立して選択される架橋置換基で任意選択的に置換されていてもよく;
これらの中で、各-Rα-は、アルキレン、アルケニレン、またはアルキニレン基から独立して選択され、アルキレン、アルケニレン、またはアルキニレン基は、その骨格中に1~6個の原子を含み、アルキレン、アルケニレン、またはアルキニレン基の骨格中の1つ以上の炭素原子は、1つ以上のヘテロ原子N、O、またはSで任意選択的に置き換えられていてもよく、アルキレン、アルケニレン、またはアルキニレン基は、1つ以上のハロ基及び/または-Rβ基で任意選択的に置換されていてもよく;
各Rβは、C1~C6アルキル、C2~C6アルケニル、C2~C6アルキニル、またはC2~C6環状基から独立して選択され、任意のRβは1つ以上のハロ基で任意選択的に置換されていてもよい。
【0021】
用語「ハロ」には、フルオロ、クロロ、ブロモ、及びヨードが含まれる。
【0022】
典型的には、置換基は、1個、2個、または3個の置換基、より典型的には1個または2個の置換基、更に典型的には1個の置換基を含む。
【0023】
別段の記載がない限り、任意選択的に置換されていてもよい基または部位(例えばR1)の任意の二価の架橋置換基(例えば-O-、-S-、-NRβ-、または-Rα-)は、指定されている基または部位のみに結合していなければならず、第2の基または部位(例えばR2)がそれ自体任意選択的に置換されている場合があったとしても、第2の基または部位(例えばR2)に結合できない。
【0024】
ヒドロカルビルまたは他の基の炭素原子がN、O、またはS原子で置き換えられているとして言及されている場合、これは以下のことが意図されている:
【化2】
が
【化3】
で置き換えられている;
-CH
2-が、-NH-、-O-、もしくは-S-で置き換えられている;
-CH
3-が、-NH
2、-OH、もしくは-SHで置き換えられている;
-CH=が、-N=で置き換えられている;
CH
2=が、NH=、O=、またはS=で置き換えられている;または
CH≡がN≡で置き換えられている。
【0025】
本明細書の文脈において、別段の記載がない限り、「アルキル」置換基または置換基中のアルキル部位は、直鎖であっても分岐であってもよい。アルキル基/部位の例としては、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、i-ブチル、t-ブチル、及びn-ペンチル基/部位が挙げられる。別段の記載がない限り、用語「アルキル」は「シクロアルキル」を含まない。典型的には、アルキル基はC1~C12アルキル基である。より典型的には、アルキル基はC1~C6アルキル基である。「アルキレン」基は、二価のアルキル基として同様に定義される。
【0026】
「アルケニル」置換基または置換基中のアルケニル部位は、1つ以上の炭素-炭素二重結合を有する不飽和アルキル基または部位を指す。アルケニル基/部位の例としては、エテニル、プロペニル、1-ブテニル、2-ブテニル、1-ペンテニル、1-ヘキセニル、1,3-ブタジエニル、1,3-ペンタジエニル、1,4-ペンタジエニル、及び1,4-ヘキサジエニル基/部位が挙げられる。別段の記載がない限り、用語「アルケニル」には「シクロアルケニル」は含まれない。典型的には、アルケニル基はC2~C12アルケニル基である。より典型的には、アルケニル基は2~C6アルケニル基である。「アルケニレン」基は、二価のアルケニル基として同様に定義される。
【0027】
「アルキニル」置換基または置換基中のアルキニル部位は、1つ以上の炭素-炭素三重結合を有する不飽和アルキル基または部位を指す。アルキニル基/部位の例としては、エチニル、プロパルギル、ブタ-1-イニル、及びブタ-2-イニルが挙げられる。典型的には、アルキニル基はC2~C12アルキニル基である。より典型的には、アルキニル基はC2~C6アルキニル基である。「アルキニレン」基は、二価のアルキニル基として同様に定義される。
【0028】
「環状」置換基または置換基中の環状部位は、任意のヒドロカルビル環を指し、このヒドロカルビル環は飽和であっても不飽和であってもよく、その炭素骨格中に例えばN、O、またはSなどの1つ以上のヘテロ原子を含んでいてもよい。環状基の例としては、以下で説明されるシクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロ環、アリール、及びヘテロアリール基が挙げられる。環状基は、単環式、二環式(例えば縮合またはスピロ)、または多環式であってもよい。典型的には、環状基は3~12員の環状基である、すなわち非環原子を除く環構造(複数可)は3~12個の原子を含む。より典型的には、環状基は単環式の3~7員の環状基である。
【0029】
本明細書において、環状基が単環であると述べられている場合、環状基は縮合またはスピロ置換基を形成するために二価の架橋置換基(例えば-O-、-S-、-NRβ-、または-Rα-)で置換されていないことが理解されるべきである。しかし、別段の記載がない限り、置換されている単環式基は、1つ以上の一価の環状基で置換されていてもよい。同様に、基が二環式であると述べられている場合、環状基に結合している任意の縮合またはスピロ二価架橋置換基を含むが一価の環状置換基を除く環状基が二環式であると理解されるべきである。
【0030】
「ヘテロ環」置換基または置換基中のヘテロ環部位は、環構造中に1つ以上の炭素原子と1つ以上のヘテロ原子(例えばN、O、またはS)とを含む環状基または部位を指す。ヘテロ環基の例としては、以下で説明するヘテロアリール基及び非芳香族ヘテロ環基(テトラヒドロフラニル、ピロリジニル、テトラヒドロチオフェニル、テトラヒドロピラニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、及びチオモルホリニル基など)が挙げられる。
【0031】
「シクロアルキル」置換基または置換基中のシクロアルキル部位は、例えば3~7個の炭素原子を含む飽和ヒドロカルビル環を指し、その例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、及びシクロヘキシルが挙げられる。別段の記載がない限り、シクロアルキル置換基または部位には、単環式、二環式、または多環式のヒドロカルビル環が含まれ得る。
【0032】
「シクロアルケニル」置換基または置換基中のシクロアルケニル部位は、1つ以上の炭素-炭素二重結合を有し、かつ例えば3~7個の炭素原子を含む、非芳香族不飽和ヒドロカルビル環を指し、その例としては、シクロペンタ-1-エン-1-イル、シクロヘクサ-1-エン-1-イル、及びシクロヘクサ-1,3-ジエン-1-イルが挙げられる。別段の記載がない限り、シクロアルケニル置換基または部位には、単環式、二環式、または多環式ヒドロカルビル環が含まれ得る。
【0033】
「アリール」置換基または置換基のアリール部位は、芳香族ヒドロカルビル環を指す。「アリール」という用語には、単環式芳香族炭化水素、及び全ての縮合環系(任意選択的な置換基を除く)が芳香族である多環式縮合環芳香族炭化水素が含まれる。アリール基/部位の例としては、フェニル、ナフチル、アントラセニル、及びフェナントレニルが挙げられる。
【0034】
「ヘテロアリール」置換基または置換基中のヘテロアリール部位は、芳香族ヘテロ環基または部位を指す。「ヘテロアリール」という用語には、縮合環系(任意選択的な置換基を除く)の全てが芳香族である単環式芳香族ヘテロ環及び多環式縮合環芳香族ヘテロ環が含まれる。ヘテロアリール基/部位の例としては、以下のものが挙げられる:
【化4】
【0035】
本明細書の目的のためには、部位の組み合わせが、例えばアリールアルキル、アリールアルケニル、アリールアルキニル、アルキルアリール、アルケニルアリール、またはアルキニルアリールなどの1つの基として言及される場合、最後に言及された部位は、分子の残りに基を結合させる原子を含む。アリールアルキル基の例はベンジルである。
【0036】
本明細書の文脈において、別段の記載がない限り、Cx~Cy基は、x~y個の炭素原子を含む基として定義される。例えば、C1~C4アルキル基は、1~4個の炭素原子を含むアルキル基として定義される。任意選択的な置換基で置換されている及び/または任意選択的な部位を含む親基の炭素原子の総数を計算する場合、任意選択的な置換基及び部位は考慮に入れられない。
【0037】
疑義を回避するために明記しておくと、窒素、酸素、及び硫黄などの代替ヘテロ原子は、Cx~Cy基中の炭素原子数を計算する際に炭素原子としてカウントされない。例えば、モルホリニル基はC6ヘテロ環基ではなくC4ヘテロ環基とみなされる。
【0038】
本発明の第1の態様の一実施形態では、R2はアリールまたはヘテロアリール基であり、このアリールまたはヘテロアリール基はα位で置換されており、R2は任意選択的に更に置換されていてもよい。典型的には、R2はアリールまたはヘテロアリール基であり、このアリールまたはヘテロアリール基はα位及びα’位で置換されており、R2は任意選択的に更に置換されていてもよい。例えば、R2は2位及び6位で置換されているフェニル基であってもよい。
【0039】
別の実施形態では、R2は、α位及びα’位で置換されている環状基であり、R2は任意選択的に更に置換されていてもよい。例えば、R2は、α位及びα’位で置換されているシクロアルキル、シクロアルケニル、または非芳香族ヘテロ環基であってもよい。
【0040】
本明細書で使用される用語α、β、α’、β’は、R
2などの部位が分子の残りの部分へ連結する場所に対する環状基の原子の位置を指す。例えばR
2が1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イル部位である場合、α位、β位、α’位、及びβ’位は以下の通りである:
【化5】
【0041】
同様に、nが整数である基に関連したn位での置換への言及は、分子の残りの部分へ基が連結する場所に対する置換の位置を指す。例えばR
1が6員のヘテロアリール基である場合、基の位置は次のように番号付けすることができる:
【化6】
【0042】
上の実施形態のいずれかにおいて、α位及び/またはα’位の典型的な置換基は、-R3、-OR3、及び-COR3基から独立して選択されてもよく、各R3は、C1~C6アルキル、C2~C6アルケニル、C2~C6アルキニル、またはC2~C6環状基から独立して選択され、各R3は1つ以上のハロ基で任意選択的に更に置換されていてもよい。より典型的には、α位及びα’位での置換基は、C3~C6分岐アルキル及びC3~C6シクロアルキル基(例えばイソプロピル、シクロプロピル、シクロヘキシル、またはt-ブチル基)などのアルキル及びシクロアルキル基から独立して選択され、このアルキル及びシクロアルキル基は、1つ以上のフルオロ及び/またはクロロ基で任意選択的に更に置換されていてもよい。
【0043】
α位及び/またはα’位の別の典型的な置換基としては、シクロアルキル、シクロアルケニル、非芳香族ヘテロ環、アリール、またはヘテロアリール環が挙げられ、これらはそれぞれα位、β位及び/またはα’位、β’位をまたいで親環状基に縮合している。そのような縮合環状基は、以下でより詳しく説明する。
【0044】
一実施形態では、R2は、縮合アリールまたは縮合ヘテロアリール基であり、これらのアリールまたはヘテロアリール基は、1つ以上のシクロアルキル、シクロアルケニル、非芳香族ヘテロ環、アリール、またはヘテロアリール環に縮合しており、R2は任意選択的に更に置換されていてもよい。
【0045】
別の実施形態では、R2は、縮合アリールまたは縮合ヘテロアリール基であり、これらのアリールまたはヘテロアリール基は、2つ以上の独立して選択されるシクロアルキル、シクロアルケニル、非芳香族ヘテロ環、アリール、またはヘテロアリール環に縮合しており、R2は任意選択的に更に置換されていてもよい。典型的には、2つ以上のシクロアルキル、シクロアルケニル、非芳香族ヘテロ環、アリール、またはヘテロアリール環は、それぞれアリールまたはヘテロアリール基にオルト縮合している。すなわち、それぞれ縮合しているシクロアルキル、シクロアルケニル、非芳香族ヘテロ環、アリール、またはヘテロアリール環は、アリールまたはヘテロアリール基と共通の2つの原子と1つの結合のみを有する。典型的にはR2は三環式である。
【0046】
また別の実施形態では、R2は、縮合アリールまたは縮合ヘテロアリール基であり、第1のシクロアルキル、シクロアルケニル、非芳香族ヘテロ環、アリール、またはヘテロアリール環は、α位、β位をまたいでアリールまたはヘテロアリール基に縮合しており、第2のシクロアルキル、シクロアルケニル、非芳香族ヘテロ環、アリール、またはヘテロアリール環は、α’位、β’位をまたいでアリールまたはヘテロアリール基に縮合しており、R2は任意選択的に更に置換されていてもよい。
【0047】
典型的には、R2が縮合アリールまたは縮合ヘテロアリール基である任意の実施形態において、QはOである。
【0048】
一実施形態では、-R
2は以下から選択される式:
【化7】
を有し、式中、
A
1及びA
2は、それぞれ独立して、任意選択的に置換されていてもよいアルキレンまたはアルケニレン基から選択され、これらのアルキレンまたはアルケニレン基の骨格中の1つ以上の炭素原子は、1つ以上のヘテロ原子N、O、またはSで任意選択的に置き換えられていてもよく、B
1は水素または任意選択的な任意の置換基である。B
1、及びA
1またはA
2に結合している任意選択的な任意の置換基は、それらが結合している原子と一緒に、更に縮合しているシクロアルキル、シクロアルケニル、非芳香族ヘテロ環、アリール、またはヘテロアリール環を形成していてもよく、これらはそれ自体が任意選択的に置換されていてもよい。同様に、A
1に結合している任意選択的な任意の置換基及びA
2に結合している任意選択的な任意の置換基は、それらが結合している原子と一緒に、更に縮合しているシクロアルキル、シクロアルケニル、非芳香族ヘテロ環、アリール、またはヘテロアリール環を形成していてもよく、これらはそれ自体が任意選択的に置換されていてもよい。
【0049】
典型的には、B1は水素またはハロ、ヒドロキシル、-CN、-NO2、-B2、または-OB2基であり、B2は任意選択的にハロ置換されていてもよいC1~C4アルキル基である。
【0050】
典型的には、A1またはA2を含む任意の環は5員環または6員環である。典型的には、A1及びA2は無置換であるか、1つ以上のハロ、ヒドロキシル、-CN、-NO2、-B3、または-OB3基で置換されており、B3は任意選択的にハロ置換されていてもよいC1~C4アルキル基である。
【0051】
更なる実施形態では、-R
2は以下から選択される式を有する:
【化8】
【0052】
【0053】
一実施形態では、R1は、少なくとも1つの基Xで置換されているアリールまたはヘテロアリール基であり、R1は任意選択的に更に置換されていてもよい。典型的にはR1は単環式である。
【0054】
一実施形態では、R
1は、少なくとも1つの基Xで置換されているアリールまたはヘテロアリール基などの6員環基であり、R
1は任意選択的に更に置換されていてもよい。そのような6員環基の例としては、フェニル、ピリジニル、シクロヘキシル、及びシクロヘキセニル基などが挙げられる。そのような実施形態の一態様では、R
2は、縮合アリールまたは縮合ヘテロアリール基であり、第1のシクロアルキル、シクロアルケニル、非芳香族ヘテロ環、アリール、またはヘテロアリール環は、α位、β位をまたいでアリールまたはヘテロアリール基に縮合しており、第2のシクロアルキル、シクロアルケニル、非芳香族ヘテロ環、アリール、またはヘテロアリール環は、α’位、β’位をまたいでアリールまたはヘテロアリール基に縮合しており、R
2は任意選択的に更に置換されていてもよい。そのような化合物としては以下のものが挙げられる:
【化10】
【化11】
【化12】
【化13】
【0055】
別の実施形態では、R1は、4位が少なくとも1つの基Xで置換されているアリールまたはヘテロアリール基などの6員環基であり、Xは4位のみを介して6員環基に結合しており、6員環基は任意選択的に更に置換されていてもよい。例えば、Xは一価であってもよい。あるいは、Xは二価であってもよいが、4位のみを介して、例えば二重結合を介してまたはスピロ基として6員環基に結合していてもよい。典型的には、6員環基は単環式である。そのような実施形態の一態様では、R2はアリールまたはヘテロアリール基であり、これらのアリールまたはヘテロアリール基はα位及びα’位で置換されており、R2は任意選択的に更に置換されていてもよい。
【0056】
また別の実施形態では、R
1はフェニル基または6員のヘテロアリール基であり、これらのフェニル基または6員のヘテロアリール基は4位が基Xで置換されており、Xは一価であり、これらのフェニル基または6員のヘテロアリール基(例えばピリジニル基)は任意選択的に更に置換されていてもよい。そのような実施形態の一態様では、R
2はアリールまたはヘテロアリール基であり、これらのアリールまたはヘテロアリール基はα位で置換されており、R
2は任意選択的に更に置換されていてもよい。そのような化合物の例としては以下のものが挙げられる:
【化14】
【化15】
【化16】
【0057】
異なる実施形態では、R1は、少なくとも1つの基Xで置換されているヘテロ環基であり、R1は任意選択的に更に置換されていてもよい。ヘテロ環基はヘテロアリール基であってもよい。典型的には、ヘテロ環基はヘテロ環の環中に少なくとも1つの窒素原子を含む。ヘテロ環基がヘテロ環中に少なくとも1つの窒素原子を含むそのような実施形態の一態様では、R2はα位及びα’位で置換されている環状基であり、R2は任意選択的に更に置換されていてもよい。例えば、R2はアリールまたはヘテロアリール基であってもよく、これらのアリールまたはヘテロアリール基はα位及びα’位で置換されており、R2は任意選択的に更に置換されていてもよい。
【0058】
典型的には、ヘテロ環基がヘテロ環中に少なくとも1つの窒素原子を含む場合、ヘテロ環基は、オキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、オキサジアゾリル、トリアゾリル、チアジアゾリル、またはピリジニル基などの5員または6員のヘテロアリール基である。より典型的には、5員または6員ヘテロアリール基は、ヘテロ環中に少なくとも2個の窒素原子を含む5員ヘテロアリール基などの、任意選択的に更に置換されていてもよい5員ヘテロアリール基である。そのような化合物の例としては以下のものが挙げられる:
【化17】
【化18】
【0059】
上述したように、Xはカルボニル基を含む任意の基、すなわちC=O部位を含む任意の基であってもよい。したがって、基Xは、アルデヒド、ケトン、エステル、カルボン酸、アミド、尿素などであってもよく、あるいはこれらを含んでいてもよい。疑義を回避するために明記しておくと、XはC=O部位の炭素原子と酸素原子の両方を含まなければならず、R1の環状基に直接結合しているオキソ(=O)置換基は置換基Xとはみなされない。基Xは、単一のカルボニル基を含んでいてもよく、2つ以上のカルボニル基を含んでいてもよい。典型的には、Xは1~20個の炭素原子を含む。より典型的には、Xは2~15個の炭素原子を含む。Xは飽和であっても不飽和であってもよい。
【0060】
別段の記載がない限り、Xは一価の置換基であってもよく、二価または多価の置換基であってもよい。Xが二価または多価の置換基である場合、Xは二重結合を介して及び/またはスピロもしくは縮合環構造として、R1の環状基に結合していてもよい。典型的には、Xは一価の置換基である。
【0061】
一実施形態では、X-は、
【化19】
であり、式中、
Lは、結合、またはアルキレン、アルケニレン、もしくはアルキニレン基であり、これらのアルキレン、アルケニレン、またはアルキニレン基は、その骨格中に1~6個の原子を含み、アルキレン、アルケニレン、またはアルキニレン基の骨格中の1つ以上の炭素原子は、1つ以上のヘテロ原子N、O、またはSで任意選択的に置き換えられていてもよく;
R
aは、水素、またはアルキル、アルケニル、アルキニル、Z-、Z-アルキレン-、Z-アルケニレン-、またはZ-アルキニレン-基から選択され、これらのアルキル、アルケニル、アルキニル、アルキレン、アルケニレン、またはアルキニレン基の骨格中の1つ以上の炭素原子は、1つ以上のヘテロ原子N、OまたはSで任意選択的に置き換えられていてもよく、各Z-は、シクロアルキル、シクロアルケニル、非芳香族ヘテロ環、アリール、またはヘテロアリール基などの環状基であり;
Xは任意選択的に置換されていてもよい。
【0062】
別の実施形態では、X-は、
【化20】
であり、式中、
Lは、結合、またはアルキレン、アルケニレン、もしくはアルキニレン基であり、これらのアルキレン、アルケニレン、またはアルキニレン基は、その骨格中に1~6個の原子を含み、アルキレン、アルケニレン、またはアルキニレン基の骨格中の1つ以上の炭素原子は、1つ以上のヘテロ原子N、O、またはSで任意選択的に置き換えられていてもよく、アルキレン、アルケニレン、またはアルキニレン基は、任意選択的に置換されていてもよく;
R
a及びR
bは、これらが結合している原子と一緒になって環状基を形成していてもよく、あるいはR
a及びR
bは、水素、またはアルキル、アルケニル、アルキニル、Z-、Z-アルキレン-、Z-アルケニレン-、またはZ-アルキニレン-基からそれぞれ独立して選択され、これらのアルキル、アルケニル、アルキニル、アルキレン、アルケニレン、またはアルキニレン基の骨格中の1つ以上の炭素原子は、1つ以上のヘテロ原子N、O、またはSで任意選択的に置き換えられていてもよく、各Z-は環状基であり;
任意のR
a及びR
bは任意選択的に置換されていてもよい。
【0063】
そのような基Xの例としては以下のものが挙げられる:
【化21】
【化22】
【0064】
典型的には、Xが
【化23】
ある場合、R
2はアリールまたはヘテロアリール基であり、これらのアリールまたはヘテロアリール基はα位で置換されており、R
2は任意選択的に更に置換されていてもよい。
【0065】
典型的には、Lは、アルキレン、アルケニレン、またはアルキニレン基であり、これらのアルキレン、アルケニレン、またはアルキニレン基は、その骨格中に1~6個の原子を含み、アルキレン、アルケニレン、またはアルキニレン基の骨格中の1つ以上の炭素原子は、1個以上のヘテロ原子N、O、またはSで任意選択的に置き換えられていてもよく、アルキレン、アルケニレン、またはアルキニレン基は任意選択的に置換されていてもよい。典型的には、アルキレン、アルケニレン、またはアルキニレン基が任意選択的に置換されている場合、これは1つ以上の一価の置換基及び/またはオキソ(=O)基で置換されている。
【0066】
理解されるように、Lのアルキレン、アルケニレン、またはアルキニレン基がヘテロ原子N、O、またはSで置き換えられた単一の炭素原子を含む場合、得られる基Lは-NH-、-O-、または-S-であってもよい。しかし、典型的にはX-が
【化24】
である場合、N-L結合はN-N、N-O、またはN-S結合ではない。
【0067】
一実施形態では、Lはアルキレンまたはアルケニレン基であり、これらのアルキレンまたはアルケニレン基は直鎖であり、その骨格中に2~4個の原子を含み、アルキレンまたはアルケニレン基の骨格中の1つ以上の炭素原子は、N-L結合がN-N、N-O、またはN-S結合ではないことを条件として、1つ以上のヘテロ原子N、O、またはSによって任意選択的に置き換えられていてもよく、アルキレンまたはアルケニレン基は任意選択的に置換されていてもよい。典型的には、そのようなアルキレンまたはアルケニレン基は無置換であるか、ハロ、メチル、メトキシ、ハロメチル、ハロメトキシ、及びオキソ基から独立して選択される1つ以上の基で任意選択的に置換されている。
【0068】
一実施形態では、Lは-(CH2)x-であり、xは1、2、3、4、5、または6である。より典型的には、xは2、3、または4である。最も典型的には、xは2である。
【0069】
典型的には、Ra(任意選択的な任意の置換を含む)は1~12個の炭素原子を含む。より典型的には、Ra(任意選択的な任意の置換を含む)は3~10個の炭素原子を含む。
【0070】
一実施形態では、Raは、アルキル、Z-、またはZ-アルキレン-基から選択され、アルキルまたはアルキレン基の骨格中の1つ以上の炭素原子は、1つ以上のヘテロ原子N、O、またはSで任意選択的に置き換えられていてもよく、各Z-は5~14員の単環式、二環式、または三環式基であり、Raは1つ以上のハロ、オキソ、C1~C4アルキル、C3~C4シクロアルキル、またはC2~C4アルケニル基で任意選択的に置換されていてもよく、C1~C4アルキル、C3~C4シクロアルキル、またはC2~C4アルケニル基のいずれかの骨格中の1つ以上の炭素原子は、1つ以上のヘテロ原子N、O、またはSで任意選択的に置き換えられていてもよく、C1~C4アルキル、C3~C4シクロアルキル、及びC2~C4アルケニル基のうちのいずれかは、1つ以上のハロ及び/またはオキソ基で任意選択的に置換されていてもよい。
【0071】
典型的には、上の実施形態では、RaはZ-またはZ-アルキレン-基から選択され、アルキレン基の骨格中の1つ以上の炭素原子は、1つ以上のヘテロ原子N、O、またはSで任意選択的に置換されていてもよく、各Z-は、5~7員の単環式または7~10員の縮合二環式基であり、各Z-は、1つ以上のハロ、オキソ、C1~C4アルキル、C3~C4シクロアルキル、C2~C4アルケニル、-O-(C1~C4アルキル)、-O-(C3~C4シクロアルキル)、または-O-(C2~C4アルケニル)基で任意選択的に置換されていてもよく、C1~C4アルキル、C3~C4シクロアルキル、C2~C4アルケニル、-O-(C1~C4アルキル)、-O-(C3~C4シクロアルキル)、または-O-(C2~C4アルケニル)基のうちのいずれかは、1つ以上のハロ基で任意選択的に置換されていてもよい。
【0072】
典型的には、Z-アルキレンのアルキレン基は、その骨格中に1~3個の原子を含む。任意選択的には、Z-アルキレンのアルキレン基がその骨格中に1~3個の原子を含む場合、骨格中の1個の炭素原子はヘテロ原子Nで置き換えられていてもよい。そのようなアルキレン基の例としては、-CH2-、-NH-、-CH(Me)-、-N(Me)-、CH2CH2-、-NHCH2-、CH2NH-、CH2CH2CH2-、CH2CH2NH-、NHCH2CH2-、CH2NHCH2-、CH(Me)CH2-、CH2CH(Me)-、-N(Me)CH2-、-NHCH(Me)-、CH(Me)NH-、CH2N(Me)-、及び-C(Me)2-が挙げられる。
【0073】
一実施形態では、Rbは、水素、またはRc、-COORc、または-CORc基であり、Rcは、C1~C10アルキル、C2~C10アルケニル、C2~C10アルキニル、C2~C10環状基、または-(CH2)y-(C2~C10環状)基(yは1、2、3、または4である)から選択され、各Rcは、1つ以上のハロ、ヒドロキシル、メチル、メトキシ、ハロメチル、またはハロメトキシ基で任意選択的に更に置換されていてもよい。任意選択的には、Rcは、C1~C6アルキル、C2~C6アルケニル、C3~C6環状基、または-CH2-(C3~C6環状)基から選択され、各Rcは1つ以上のクロロまたはフルオロ基で任意選択的に更に置換されていてもよい。
【0074】
典型的には、Rbは水素である。
【0075】
あるいは、RaとRbがこれらが結合している原子と一緒に環状基を形成する場合、得られる環状基は、5~14員の単環式、二環式、または三環式基であってもよく、得られる環状基は、1つ以上のハロ、オキソ、C1~C4アルキル、C3~C4シクロアルキル、またはC2~C4アルケニル基で任意選択的に置換されていてもよく、C1~C4アルキル、C3~C4シクロアルキル、またはC2~C4アルケニル基のいずれかの骨格中の1つ以上の炭素原子は、任意選択的に1つ以上のヘテロ原子N、O、またはSで置き換えられていてもよく、C1~C4アルキル、C3~C4シクロアルキル、及びC2~C4アルケニル基のいずれかは、1つ以上のハロ及び/またはオキソ基で任意選択的に置換されていてもよい。
【0076】
典型的には、Ra及びRbがそれらが結合している原子と一緒に環状基を形成する場合、得られる環状基は、5~7員の単環式または7~10員の縮合二環式基であり、得られる環状基は、1つ以上のハロ、オキソ、C1~C4アルキル、C3~C4シクロアルキル、C2~C4アルケニル、-O-(C1~C4アルキル)、-O-(C3~C4シクロアルキル)、または-O-(C2~C4アルケニル)基で任意選択的に置換されていてもよく、C1~C4アルキル、C3~C4シクロアルキル、C2~C4アルケニル、-O-(C1~C4アルキル)、-O-(C3~C4シクロアルキル)、または-O-(C2~C4アルケニル)基のいずれかは、1つ以上のハロ基で任意選択的に置換されていてもよい。
【0077】
上の実施形態のいずれかの一態様では、R1は単一の基Xで置換されている環状基であり、この環状基は任意選択的に更に置換されていてもよい。R1の環状基が更に置換されている場合、典型的には、更なる置換基はカルボニル基を含まない。
【0078】
一実施形態では、R1は少なくとも1つの基Xで置換されている環状基であり、R1の環状基は1つ以上の基Yで任意選択的に更に置換されていてもよく、各Yは、ハロ、オキソ、C1~C4アルキル、C3~C4シクロアルキル、またはC2~C4アルケニル基から独立して選択され、C1~C4アルキル、C3~C4シクロアルキル、またはC2~C4アルケニル基のいずれかの骨格中の1つ以上の炭素原子は、1つ以上のヘテロ原子N、O、またはSで任意選択的に置換されていてもよく、C1~C4アルキル、C3~C4シクロアルキル、及びC2~C4アルケニル基のいずれかは、1つ以上のハロ及び/またはオキソ基で任意選択的に置換されていてもよい。典型的には、R1は単一の基Xで置換されている環状基であり、R1の環状基は1個または2個の基Yで任意選択的に更に置換されていてもよく、各Yは、フルオロ、クロロ、オキソ、メチル、エチル、メトキシ、またはエトキシ基から独立して選択され、各メチル、エチル、メトキシ、またはエトキシ基は、1つ以上のクロロまたはフルオロ基で任意選択的に置換されていてもよい。より典型的には、R1は単一の基Xで置換されている環状基であり、R1の環状基は更には置換されない。
【0079】
上の実施形態のいずれかの一態様では、式(I)の化合物は200~2000Daの分子量を有する。典型的には、式(I)の化合物は350~800Daの分子量を有する。より典型的には、式(I)の化合物は、450~650Daの分子量を有する。
【0080】
本発明の第2の態様は、以下からなる群から選択される化合物に関する:
【化25】
【化26】
【化27】
【化28】
【化29】
【化30】
【0081】
本発明の第3の態様は、本発明の第1または第2の態様のいずれかの化合物の薬学的に許容される塩、溶媒和物、またはプロドラッグに関する。
【0082】
本発明の化合物は、遊離塩基形態及び酸付加塩形態の両方で使用することができる。本発明の目的のためには、本発明の化合物の「塩」には、酸付加塩が含まれる。酸付加塩は、好ましくは、限定するものではないが、ハロゲン化水素酸(例えばフッ化水素酸、塩酸、臭化水素酸、またはヨウ化水素酸)または他の無機酸(例えば硝酸、過塩素酸、硫酸、またはリン酸)などの無機酸;または有機カルボン酸(例えばプロピオン酸、酪酸、グリコール酸、乳酸、マンデル酸、クエン酸、酢酸、安息香酸、サリチル酸、コハク酸、リンゴ酸もしくはヒドロキシコハク酸、酒石酸、フマル酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、粘液酸もしくはガラクタル酸、グルコン酸、パントテン酸、またはパモ酸)、有機スルホン酸(例えばメタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、エタンスルホン酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエン-p-スルホン酸、ナフタレン-2-スルホン酸、またはカンファースルホン酸)、またはアミノ酸(例えばオルニチン酸、グルタミン酸、またはアスパラギン酸)などの有機酸;を含む適切な酸との薬学的に許容される毒性のない付加塩である。酸付加塩は、一酸、二酸、三酸、または多酸の付加塩であってもよい。好ましい塩は、ハロゲン化水素酸、硫酸、リン酸、または有機酸の付加塩である。より好ましい塩は、塩酸の付加塩である。
【0083】
本発明の化合物は、遊離酸形態及び塩形態の両方で使用することもできる。本発明の目的のためには、本発明の化合物の「塩」には、本発明の化合物のプロトン酸官能基(カルボン酸基など)と適切なカチオンとの間で形成されるものが含まれる。適切なカチオンとしては、限定するものではないが、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、及びアンモニウムが挙げられる。塩は、モノ-、ジ-、トリ-、またはそれ以上の塩であってもよい。好ましくは、塩はモノ-またはジ-リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、またはアンモニウム塩である。より好ましくは、塩は一ナトリウム塩または二ナトリウム塩である。好ましくは、塩は薬学的に許容される毒性のない塩である。
【0084】
薬学的に許容される塩に加えて、例えば薬学的に許容される塩などのその他のものの精製または調製における中間体として機能する可能性があるため、あるいは遊離酸または塩基の同定、特徴づけ、または精製に有用であるため、本発明には他の塩も含まれる。
【0085】
本発明の化合物及び/または塩は、無水物であってもよく、あるいは水和物(例えば半水和物、一水和物、二水和物、または三水和物)または他の溶媒和物の形態であってもよい。そのような溶媒和物は、限定するものではないが、例えばメタノール、エタノール、またはイソプロパノールなどのアルコール性溶媒を含む一般的な有機溶媒で形成されていてもよい。
【0086】
本発明のいくつかの実施形態では、治療上不活性なプロドラッグが提供される。プロドラッグは、ヒトなどの対象に投与されると、全体または一部が本発明の化合物に変換される化合物である。ほとんどの実施形態では、プロドラッグは、生体内で活性薬物分子に変換されて治療効果を発揮できる薬理学的に不活性な化学物質誘導体である。本明細書に記載の任意の化合物は、化合物の活性、バイオアベイラビリティ、または安定性を高めるために、あるいは化合物の特性を変更するために、プロドラッグとして投与することができる。プロドラッグの典型的な例としては、活性化合物の機能部位に生物学的に不安定な保護基を有する化合物が挙げられる。プロドラッグとしては、限定するものではないが、酸化、還元、アミノ化、脱アミノ化、ヒドロキシル化、脱ヒドロキシル化、加水分解、脱加水分解、アルキル化、脱アルキル化、アシル化、脱アシル化、リン酸化、及び/または脱リン酸化して活性化合物を生成できる化合物が挙げられる。本発明には、上述したようなプロドラッグの塩及び溶媒和物も含まれる。
【0087】
本発明の化合物、塩、溶媒和物、及びプロドラッグは、少なくとも1つのキラル中心を含み得る。そのため、化合物、塩、溶媒和物、及びプロドラッグは、少なくとも2つの異性体形態で存在する可能性がある。本発明は、本発明の化合物、塩、溶媒和物、及びプロドラッグのラセミ混合物、ならびに鏡像異性的に濃縮された、実質的に鏡像異性的に純粋な異性体を包含する。本発明の目的のためには、化合物の「実質的に鏡像異性的に純粋な」異性体は、同じ化合物の他の異性体を5%未満、より典型的には2%未満、最も典型的には0.5%未満含む。
【0088】
本発明の化合物、塩、溶媒和物、及びプロドラッグは、任意の多形形態であっても非晶質の形態であってもよい。
【0089】
本発明の第4の態様は、本発明の第1もしくは第2の態様の化合物、または本発明の第3の態様の薬学的に許容される塩、溶媒和物、もしくはプロドラッグと、薬学的に許容される賦形剤とを含有する医薬組成物に関する。
【0090】
適切な医薬製剤の選択及び調製のための従来の手順は、例えば、“Aulton’s Pharmaceutics-The Design and Manufacture of Medicines”,M.E.Aulton and K.M.G.Taylor,Churchill Livingstone Elsevier,4th Ed.,2013に記載されている。
【0091】
アジュバント、希釈剤、または担体などの、本発明の医薬組成物中で使用され得る薬学的に許容される賦形剤は、医薬製剤の分野で従来から使用されているものであり、これらとしては、限定するものではないが、糖、糖アルコール、デンプン、イオン交換物質、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、ヒト血清アルブミンなどの血清タンパク質、リン酸塩などの緩衝物質、グリセリン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物脂肪酸の一部グリセリド化された混合物、水、硫酸プロタミンなどの塩もしくは電解質、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイダルシリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロース系物質、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリレート、ワックス、ポリエチレン-ポリオキシプロピレン-ブロックポリマー、ポリエチレングリコール、及び羊毛脂が挙げられる。
【0092】
本発明の第5の態様は、疾患、障害、または状態を治療または予防する方法を提供し、この方法は、有効量の第1もしくは第2の態様の化合物、または第3の態様の薬学的に許容される塩、溶媒和物、もしくはプロドラッグ、または第4の態様の医薬組成物を投与し、それにより疾患、障害、または状態を治療または予防する工程を含む。典型的には、投与はそれを必要とする対象に対するものである。
【0093】
本明細書で使用される用語「治療」は、治療的療法、及び改善療法または緩和療法を等しく指す。この用語には、有益なまたは望ましい生理学的結果を得ることが含まれ、これは臨床的に認められても認められなくてもよい。有益なまたは望ましい臨床結果としては、限定するものではないが、検出可能であるか検出不可能であるかに関わらず、症状の緩和、症状の予防、疾患の程度の減少、状態の安定化(すなわち悪化しない)、状態/症状の進行/悪化の遅延または減速、状態/症状の改善または軽減、及び寛解(部位的であるか全体的であるかに関わらず)が挙げられる。本明細書で使用される用語「緩和」及びその変形は、本発明の化合物、塩、溶媒和物、プロドラッグ、または医薬組成物を投与しない場合と比較して、生理学的状態または症状の程度及び/または望ましくない徴候が軽減されること及び/または進行の時間経過が遅くなるか長くなることを意味する。疾患、障害、または状態に関連して本明細書で使用される用語「予防」は、予防または防止療法だけでなく、疾患、障害、または状態を発症するリスクを減らすための療法にも関する。用語「予防」には、疾患、障害、または状態の発生の回避と、疾患、障害、または状態の発症の遅延の両方が含まれる。比較臨床試験で測定された、統計的に有意な(p≦0.05)発生の回避、発症の遅延、またはリスクの低減は、疾患、障害、または状態の予防とみなすことができる。予防に適した対象としては、遺伝子マーカーまたは生化学的マーカーによって特定される疾患、障害、または状態のリスクが高い対象が挙げられる。典型的には、遺伝子マーカーまたは生化学的マーカーは、検討中の疾患、障害、または状態に適したものであり、例えば、炎症の場合のC反応性タンパク質(CRP)及び単球走化性タンパク質1(MCP-1)などの炎症性バイオマーカー;糖尿病の場合の血糖値及び糖化ヘモグロビン(HbA1c);NAFLD及びNASHの場合の、総コレステロール、トリグリセリド、インスリン抵抗性、及びC-ペプチドが挙げられる。
【0094】
本発明の第6の態様は、薬剤としての使用のための、及び/または疾患、障害、または状態の治療または予防における使用のための、第1の態様もしくは第2の態様の化合物、または第3の態様の薬学的に許容される塩、溶媒和物、もしくはプロドラッグ、または第4の態様の医薬組成物を提供する。典型的には、使用は、対象への化合物、塩、溶媒和物、プロドラッグ、または医薬組成物の投与を含む。
【0095】
本発明の第7の態様は、疾患、障害、または状態の治療または予防のための薬剤の製造における、第1もしくは第2の態様の化合物、または第3の態様の薬学的に有効な塩、溶媒和物、もしくはプロドラッグの使用を提供する。典型的には、治療または予防は、対象への化合物、塩、溶媒和物、プロドラッグ、または医薬組成物の投与を含む。
【0096】
一般的な実施形態では、疾患、障害、または状態は、免疫系、心血管系、内分泌系、胃腸管、腎臓系、肝臓系、代謝系、呼吸器系、中枢神経系の疾患、障害、または状態であってもよく、がんまたは他の悪性腫瘍であってもよく、及び/または病原体によって引き起こされるかそれと関連していてもよい。
【0097】
疾患、障害、及び状態の広範なカテゴリーに従って定義されたこれらの一般的な実施形態は、相互に排他的ではないことが理解されるであろう。これに関して、任意の具体的な疾患、障害、または状態は、上の一般的な実施形態のうちの2つ以上に従って分類されてもよい。非限定的な例は、自己免疫疾患かつ内分泌系の疾患であるI型糖尿病である。
【0098】
本発明の第5、第6、または第7の態様の一実施形態では、疾患、障害、または状態は、NLRP3阻害に応答する。本明細書で使用される用語「NLRP3阻害」は、NLRP3の活性レベルの完全なまたは部位的な低下を指し、例えば、活性NLRP3の阻害及び/またはNLPR3の活性化の阻害が含まれる。
【0099】
多数の異なる障害に関連して、またはその結果として生じる炎症応答におけるNLRP3誘導IL-1及びIL-18の役割の証拠が存在する(Menu et al.,Clinical and Experimental Immunology,166:1-15,2011;Strowig et al.,Nature,481:278-286,2012)。
【0100】
NLRP3は、家族性地中海熱(FMF)、TNF受容体関連周期性症候群(TRAPS)、高免疫グロブリン血症D及び周期性発熱症候群(HIDS)、化膿性関節炎、壊疽性膿皮症・アクネ症候群(PAPA)、スイート症候群、慢性非細菌性骨髄炎(CNO)、及び尋常性ざ瘡などの多数の自己炎症性疾患に関与している(Cook et al.,Eur.J.Immunol.,40:595-653,2010)。特に、NLRP3変異は、CAPSとして知られている一連の希少な自己炎症性疾患の原因であることが分かっている(Ozaki et al.,J.Inflammation Research,8:15-27,2015;Schroder et al.,Cell,140:821-832,2010;及びMenu et al.,Clinical and Experimental Immunology,166:1-15,2011)。CAPSは、再発性の発熱と炎症を特徴とする遺伝性の疾患であり、臨床的連続体を形成する3つの自己炎症性疾患で構成されている。これらの疾患は、重症度が増加する順に、家族性寒冷自己炎症症候群(FCAS)、Muckle-Wells症候群(MWS)、及び慢性乳児神経皮膚関節症候群(CINCA;新生児期発症多臓器性炎症性疾患、NOMIDとも呼ばれる)であり、全てNLRP3遺伝子の機能獲得変異に起因することが示されており、これはIL-1βの分泌の増加をもたらす。
【0101】
特に多発性硬化症、1型糖尿病(T1D)、乾癬、関節リウマチ(RA)、ベーチェット病、シュニッツラー症候群、及びマクロファージ活性化症候群などの多数の自己免疫性疾患にNLRP3が関与することが示されている(Masters Clin.Immunol.2013;Braddock et al.,Nat.Rev.Drug Disc.,3:1-10,2004;及びInoue et al.,Immunology,139,11-18)。NLRP3は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、喘息、石綿肺、及び珪肺などの多数の肺疾患でも役割を果たすことが示されている(De Nardo et al.,Am.J.Pathol.,184:42-54,2014)。NLRP3は、パーキンソン病(PD)、アルツハイマー病(AD)、認知症、ハンチントン病、大脳マラリア、及び肺炎球菌性髄膜炎による脳損傷などの中枢神経系の多数の疾患にも関与することが示されている(Walsh et al., Nature Reviews,15:84-97,2014)。NRLP3活性は、2型糖尿病(T2D)、アテローム性動脈硬化、肥満、痛風、偽痛風、及びメタボリックシンドロームなどの様々な代謝性疾患にも関与することが示されている(Wen et al.,Nature Immunology,13:352-357,2012;Duewell et al.,Nature,464:1357-1361,2010;Strowig et al.,Nature,481:278-286,2012)。NLRP3が関与することが示されている他の疾患としては、加齢黄斑変性などの眼疾患(Doyle et al.,Nature Medicine,18:791-798,2012)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)などの肝疾患(Henao-Meija et al.,Nature,482:179-185,2012)、接触過敏症及びUVB照射を含む皮膚の炎症応答(Schroder et al.,Science,327:296-300,2010)、関節の炎症応答(Braddock et al.,Nat.Rev.Drug Disc.,3:1-10,2004)、脳卒中(Walsh et al.,Nature Reviews,15:84-97,2014)、及び潰瘍性大腸炎やクローン病などの炎症性腸疾患(Braddock et al.,Nat.Rev.Drug Disc.,3:1-10,2004)が挙げられる。
【0102】
NLRP3は多くのがんの病因にも関与しており(Menu et al.,Clinical and Experimental Immunology 166:1-15,2011;及びMasters Clin.Immunol.2013)、ウイルス、細菌、真菌、及び蠕虫の病原体感染の効率的な防除に必要であることが示されている(Strowig et al.,Nature,481:278-286,2012)。
【0103】
したがって、NLRP3阻害に応答することができ、本発明の第5、第6、または第7の態様に従って治療または予防できる疾患、障害、または状態の例としては、以下のものが挙げられる:
(i)炎症性障害の結果として生じる炎症を含む炎症、例えば自己炎症性疾患、非炎症性疾患の症状として起こる炎症、感染の結果として起こる炎症、または外傷、損傷、または自己免疫に続発する炎症;
(ii)急性散在性脳脊髄炎、アジソン病、強直性脊椎炎、抗リン脂質抗体症候群(APS)、抗合成酵素症候群、再生不良性貧血、自己免疫性副腎炎、自己免疫性肝炎、自己免疫性卵巣炎、自己免疫性多腺性内分泌不全、自己免疫性多発性甲状腺炎、セリアック病、クローン病、1型糖尿病(T1D)、グッドパスチャー症候群、グレーブス病、ギランバレー症候群(GBS)、橋本病、特発性血小板減少性紫斑病、川崎病、全身性エリテマトーデス(SLE)を含むエリテマトーデス、多発性硬化症(MS)、重症筋無力症、オプソクローヌス・ミオクローヌス症候群(OMS)、視神経炎、オルド(Ord’s)甲状腺炎、天疱瘡、悪性貧血、多発性関節炎、原発性胆汁性肝硬変、関節リウマチ(RA)、乾癬性関節炎、若年性特発性関節炎、ライター症候群、シェーグレン症候群、全身性結合組織障害、高安動脈炎、側頭動脈炎、温式自己免疫性溶血性貧血、ヴェグナー肉芽腫症、全身性脱毛症、ベーチェット病、シャーガス病、自律神経失調症、子宮内膜症、化膿性汗腺炎(HS)、間質性膀胱炎、ニューロミオトニア、乾癬、サルコイドーシス、強皮症、潰瘍性大腸炎、シュニッツラー症候群、マクロファージ活性化症候群、ブラウ症候群、白斑、または外陰部痛などの自己免疫性疾患;
(iii)肺癌転移、膵臓癌、胃癌、骨髄異形成症候群、及び白血病などのがん;
(iv)ウイルス感染症(例えばインフルエンザウイルス、サイトメガロウイルス、エプスタインバールウイルス、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、チクングニアウイルスやロスリバーウイルスなどのアルファウイルス、デングウイルスやジカウイルスなどのフラビウイルス、またはパピローマウイルスから)、細菌感染症(例えばStaphylococcus aureus、Helicobacter pylori、Bacillus anthracis、Bordatella pertussis、Burkholderia pseudomallei、Corynebacterium diptheriae、Clostridium tetani、Clostridium botulinum、Streptococcus pneumoniae、Streptococcus pyogenes、Listeria monocytogenes、Hemophilus influenzae、Pasteurella multicida、Shigella dysenteriae、Mycobacterium tuberculosis、Mycobacterium leprae、Mycoplasma pneumoniae、Mycoplasma hominis、Neisseria meningitidis、Neisseria gonorrhoeae、Rickettsia rickettsii、Legionella pneumophila、Klebsiella pneumoniae、Pseudomonas aeruginosa、Propionibacterium acnes、Treponema pallidum、Chlamydia trachomatis、Vibrio cholerae、Salmonella typhimurium、Salmonella typhi、Borrelia burgdorferi、またはYersinia pestis由来、真菌感染症(例えばカンジダまたはアスペルギルス種由来)、原虫感染症(例えばマラリア原虫、バベシア、ジアルジア、アメーバ、リーシュマニア、またはトリパノソーマ由来)、蠕虫感染症(例えば住血吸虫、回虫、条虫、または吸虫由来)、及びプリオン感染症などの感染症;
(v)パーキンソン病、アルツハイマー病、認知症、運動ニューロン病、ハンチントン病、脳マラリア、及び肺炎球菌性髄膜炎による脳損傷などの中枢神経系疾患;
(vi)2型糖尿病(T2D)、アテローム性動脈硬化、肥満、痛風、及び偽痛風などの代謝性疾患;
(vii)高血圧、虚血、再灌流障害、虚血性脳卒中を含む脳卒中、再発性心筋梗塞を含む心筋梗塞、うっ血性心不全、塞栓症、腹部大動脈瘤、及びドレスラー症候群を含む心膜炎などの心血管疾患;
(viii)慢性閉塞性肺障害(COPD)、アレルギー性喘息やステロイド抵抗性喘息などの喘息、石綿肺、珪肺、ナノ粒子誘発炎症、嚢胞性線維症、及び特発性肺線維症などの呼吸器疾患;
(ix)非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)及びアルコール性肝疾患を含む肝疾患;
(x)慢性腎疾患、シュウ酸塩腎症、腎石灰化症、糸球体腎炎、及び糖尿病性腎症などの腎疾患;
(xi)眼の上皮組織のもの、加齢黄斑変性症(AMD)、ぶどう膜炎、角膜感染、及びドライアイなどの眼疾患;
(xii)接触性皮膚炎、接触性過敏症、日焼け、皮膚病変、化膿性汗腺炎(HS)、及びその他の嚢胞を生じさせる皮膚疾患などの皮膚疾患;
(xiii)うつ病や心理的ストレスなどの精神的疾患;
(xiv)移植片対宿主病;ならびに
(xv)個々にNLRP3に生殖細胞または体細胞の非サイレント変異があると判断された任意の疾患。
【0104】
本発明の第5、第6、または第7の態様に従って治療または予防され得る炎症の例としては、以下に関連して、またはその結果として生じる炎症応答が挙げられる:
(i)接触過敏症、日焼け、乾癬、アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎、アレルギー性接触性皮膚炎、脂漏性皮膚炎、扁平苔癬、強皮症、天疱瘡、表皮水疱症、蕁麻疹、紅斑、または脱毛症などの皮膚状態;
(ii)変形性関節症、全身性若年性特発性関節炎、成人発症Still病、再発性多発性軟骨炎、関節リウマチ、変形性関節症、若年性慢性関節炎、痛風、または血清反応陰性脊椎関節炎(例えば強直性脊椎炎、乾癬性関節炎、またはライター病)などの関節状態;
(iii)多発性筋炎や重症筋無力症などの筋肉の状態;
(iv)炎症性腸疾患(クローン病及び潰瘍性大腸炎を含む)、胃潰瘍、セリアック病、直腸炎、膵炎、好酸球性胃腸炎、マスト細胞症、抗リン脂質抗体症候群、または消化管から遠いところで作用し得る食物関連アレルギー(例えば片頭痛、鼻炎、または湿疹)などの消化管の状態;
(v)慢性閉塞性肺疾患(COPD)、喘息(気管支、アレルギー、内因性、外因性、または粉塵喘息、特に後期喘息や気道過敏性などの慢性または切迫性の喘息を含む)、気管支炎、鼻炎(急性鼻炎、アレルギー性鼻炎、萎縮性鼻炎、慢性鼻炎、乾酪性鼻炎、肥厚性鼻炎、rhinitis pumlenta、乾燥性鼻炎、薬物性鼻炎、膜性鼻炎、季節性鼻炎(例えば花粉症や血管運動性鼻炎)を含む)、副鼻腔炎、特発性肺線維症(IPF)、サルコイドーシス、農夫肺、珪肺、石綿肺、成人性呼吸促迫症候群、過敏性肺炎、または特発性間質性肺炎などの呼吸器系の状態;
(vi)アテローム性動脈硬化症、ベーチェット病、血管炎、またはウェゲナー肉芽腫症などの血管の状態;
(vii)全身性エリテマトーデス、シェーグレン症候群、全身性硬皮症、橋本病、I型糖尿病、特発性血小板減少性紫斑病、またはグレーブス病などの自己免疫状態;
(viii)ぶどう膜炎、アレルギー性結膜炎、または春季結膜炎などの眼の状態;
(ix)多発性硬化症または脳脊髄炎などの神経の状態;
(x)後天性免疫不全症候群(AIDS)、急性もしくは慢性の細菌感染、急性または慢性の寄生虫感染、急性もしくは慢性のウイルス感染、急性もしくは慢性の真菌感染、髄膜炎、肝炎(A、BもしくはC、またはその他のウイルス性肝炎)、腹膜炎、肺炎、喉頭蓋炎、マラリア、デング出血熱、リーシュマニア症、レンサ球菌性筋炎、mycobacterium tuberculosis、mycobacterium avium intracellulare、カリニ肺炎、睾丸炎/副睾丸炎、レジオネラ、ライム病、インフルエンザA、エプスタインバールウイルス、ウイルス性脳炎/無菌性髄膜炎、または骨盤内炎症性疾患などの感染もしくは感染関連状態;
(xi)メサンギウム増殖性糸球体腎炎、ネフローゼ症候群、腎炎、糸球体腎炎、急性腎不全、尿毒症、または腎炎症候群などの腎臓の状態;
(xii)キャッスルマン病などのリンパの状態;
(xiii)高IgE症候群、らい腫型ハンセン病、家族性血球貪食性リンパ組織球症、または移植片対宿主病などの免疫系の状態またはこれらが関与する状態;
(xiv)慢性活動性肝炎、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、アルコール誘発性肝炎、または原発性胆汁性肝硬変などの肝臓の状態;
(xv)以降に列挙するがんを含むがん;
(xvi)熱傷、創傷、外傷、出血、または脳卒中;
(xvii)放射線被ばく;及び/または
(xviii)肥満。
【0105】
本発明の第5、第6、または第7の態様の一実施形態では、疾患、障害、または状態は以下から選択される:
(i)クリオピリン関連周期性症候群(CAPS)、マックルウェル症候群(MWS)、家族性寒冷自己炎症症候群(FCAS)、家族性地中海熱(FMF)、新生児期発症多臓器性炎症性疾患(NOMID)、腫瘍壊死因子(TNF)受容体関連周期性症候群(TRAPS)、高免疫グロブリン血症D及び周期性発熱症候群(HIDS)、インターロイキンI受容体拮抗分子欠損症(DIRA)、Majeed症候群、化膿性関節炎、壊疽性膿皮症・アクネ症候群(PAPA)、成人発症Still病(AOSD)、A20ハプロ不全(HA20)、小児肉芽腫性関節炎(PGA)、PLCG2関連抗体欠乏及び免疫調節障害(PLAID)、PLCG2関連自己炎症、抗体欠乏及び免疫調節障害(APLAID)、またはB細胞免疫不全、周期性発熱、及び発達遅延を伴う鉄芽球性貧血(SIFD)などの自己炎症疾患;
(ii)非アルコール性脂肪性肝炎(NASH);または
(iii)肺癌、膵臓癌、胃癌、骨髄異形成症候群、急性リンパ性白血病(ALL)及び急性骨髄性白血病(AML)を含む白血病、副腎癌、肛門癌、基底及び扁平上皮皮膚癌、胆管癌、膀胱癌、骨癌、脳腫瘍及び脊髄腫瘍、乳癌、キャッスルマン病、子宮頸癌、慢性リンパ性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、大腸癌、子宮内膜癌、食道癌、ユーイングファミリー腫瘍、眼癌、胆嚢癌、消化管カルチノイド腫瘍、消化管間質腫瘍(GIST)、妊娠性絨毛性疾患、ホジキンリンパ腫、カポジ肉腫、腎臓癌、喉頭及び下咽頭癌、肝臓癌、肺カルチノイド腫瘍、リンパ腫、悪性中皮腫、悪性黒色腫皮膚癌、メルケル細胞皮膚癌、多発性骨髄腫、鼻腔及び副鼻腔癌、鼻咽頭癌、神経芽細胞腫、非ホジキンリンパ腫、非小細胞肺癌、口腔及び中咽頭癌、骨肉腫、卵巣癌、陰茎癌、下垂体腺腫、前立腺癌、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、唾液腺癌、皮膚癌、小細胞肺癌、小腸癌、軟部組織肉腫、胃癌、精巣癌、胸腺癌、甲状腺癌、子宮肉腫、膣癌、外陰癌、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、またはウィルムス腫瘍などのがん。
【0106】
本発明の第5、第6、または第7の態様の別の実施形態では、疾患、障害、または状態はインスリン分泌の刺激に応答する。インスリン分泌の刺激に応答することができ、本発明の第5、第6、または第7の態様に従って治療または予防することができる疾患、障害、または状態の例としては、全ての形態の糖尿病及び前糖尿病、特に1型糖尿病(T1D)(特にインスリン分泌が検出可能な1型糖尿病(T1D))、2型糖尿病(T2D)、前糖尿病、及び妊娠糖尿病が挙げられる。
【0107】
本発明の第5、第6、または第7の態様の更なる実施形態では、疾患、障害、または状態は、NLRP3阻害とインスリン分泌の刺激の両方に応答する。そのような疾患、障害、または状態としては、特に炎症性成分を有し得る肝臓及び/または膵臓の障害が挙げられる。そのような場合、例えばピロトーシスを阻害し、線維症を予防または回復させるために抗炎症剤として作用する第1の薬物と、例えばグルコースレベルを制御する及び/または脂肪症を予防もしくは回復させるために代謝を調節できる第2の薬物を用いて患者を使用することが有用である。
【0108】
例えば、メタボリックシンドロームの肝臓徴候として、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)は西洋世界における慢性肝疾患の主な原因であり、T2Dと組み合わせてしばしば観察される。NAFLDは、アルコールを乱用しない人々の肝臓への過剰な脂肪の蓄積を特徴とし、広範囲の肝臓病理学と関連する。NAFLDの第1段階は脂肪症であり、NAFLD症例の20%は、脂肪症と炎症の組み合わせを特徴とする非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)に進行し、肝線維症(持続的な高レベルの炎症の結果として)、肝硬変、肝細胞癌、及び死亡率の増加をもたらし得る。NAFLDからNASH及びNASH関連炎症への進行における(Henao-Meija et al.,Nature,482:179-185,2012)、特に肝線維症の原因である炎症における、NLRP3インフラマソームの役割についての証拠が存在する。そのため、NAFLD及びNASHは、NLRP3依存炎症性成分と、脂肪症を引き起こす代謝成分の両方を有している(これは、ひいては炎症及びこれに関連する肝炎の更なるドライバーになり得る)。
【0109】
本発明の化合物、塩、溶媒和物、プロドラッグ、及び医薬組成物は、NLRP3依存性炎症を標的とすることと、インスリン分泌の刺激により代謝を調節することの両方の可能性を有しているため、特に有利である。そのため、NLRP3依存性炎症成分とNASHなどの障害の代謝成分の両方を、単一の活性な医薬成分によって標的化することができる。
【0110】
NLRP3阻害とインスリン分泌の刺激の両方に応答することができ、本発明の第5、第6、または第7の態様に従って治療または予防できる疾患、障害、または状態の具体的な例としては、2型糖尿病(T2D);非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)及び非アルコール性脂肪性肝炎(NASH);アルコール性脂肪肝疾患(AFLD)及びアルコール性脂肪性肝炎(ASH);膵臓癌や慢性及び急性膵炎などの膵臓の障害を含む、インスリン産生及び/または分泌の低下を伴う障害;ならびに高グルカゴン血症;などのインスリン抵抗性に関連する状態が挙げられる。
【0111】
本発明の第5、第6、または第7の態様の更に別の実施形態では、治療または予防には、2つ以上の併存疾患、障害、または状態の治療または予防が含まれる。典型的には、第1の疾患、障害、または状態がインスリン分泌の刺激に応答し、第2の疾患、障害、または状態がNLRP3阻害に応答する。例えば、本発明の第5、第6、または第7の態様は、糖尿病または前糖尿病から選択される第1の疾患、障害、または状態と、以下から選択される第2の疾患、障害、または状態の治療または予防に関する場合がある:
(i)炎症;
(ii)心血管疾患;
(iii)中枢神経系疾患;
(iv)腎疾患;
(v)眼疾患;
(vi)皮膚疾患;
(vii)肝疾患;
(viii)肺疾患;
(ix)がん;または
(x)インスリン分泌の刺激に応答しない代謝性疾患。
【0112】
本発明の第8の態様は、NLRP3を阻害する及び/またはインスリン分泌を刺激する方法を提供し、この方法は、NLRP3を阻害する及び/またはインスリン分泌を刺激するために、第1もしくは第2の態様の化合物、または第3の態様の薬学的に許容される塩、溶媒和物、もしくはプロドラッグ、または第4の態様の医薬組成物を使用することを含む。典型的には、この方法はNLRP3を阻害し、インスリン分泌を刺激する方法である。
【0113】
本発明の第8の態様の一実施形態では、方法は、例えばNLRP3の阻害及び/またはインスリン分泌の刺激の細胞に対する効果を分析するために、生体外または試験管内で行われる。
【0114】
本発明の第8の態様の別の実施形態では、方法は生体内で行われる。例えば、方法は、有効量の第1もしくは第2の態様の化合物、または第3の態様の薬学的に許容される塩、溶媒和物、もしくはプロドラッグ、または第4の態様の医薬組成物を投与し、それによりNLRP3を阻害する及び/またはインスリン分泌を刺激する工程を含み得る。典型的には、投与はそれを必要とする対象に対して行われる。
【0115】
あるいは、本発明の第8の態様の方法は、化合物、塩、溶媒和物、プロドラッグ、または医薬組成物を非ヒト動物対象に投与する工程を含み、任意選択的には引き続き非ヒト動物対象を切断または犠死させる工程も含む、非ヒト動物対象におけるNLRP3を阻害する及び/またはインスリン分泌を刺激する方法であってもよい。典型的には、そのような方法は、任意選択的に切断または犠死させた非ヒト動物対象からの1つ以上の組織または体液サンプルを分析する工程を更に含む。
【0116】
本発明の第9の態様は、NLRP3の阻害に使用するための、及び/またはインスリン分泌の刺激において使用するための、第1の態様または第2の態様の化合物、または第3の態様の薬学的に許容される塩、溶媒和物、もしくはプロドラッグ、または第4の態様の医薬組成物を提供する。典型的には、化合物、塩、溶媒和物、プロドラッグ、または医薬組成物は、NLRP3の阻害及びインスリン分泌の刺激における使用のためのものである。典型的には、使用は、対象への化合物、塩、溶媒和物、プロドラッグ、または医薬組成物の投与を含む。
【0117】
本発明の第10の態様は、NLRP3の阻害及び/またはインスリン分泌の刺激のための薬剤の製造における、第1または第2の態様の化合物、または第3の態様の薬学的に有効な塩、溶媒和物、もしくはプロドラッグの使用を提供する。典型的には、薬剤は、NLRP3の阻害とインスリン分泌の刺激のためのものである。典型的には、阻害及び/または刺激は、対象への化合物、塩、溶媒和物、プロドラッグ、または医薬組成物の投与を含む。
【0118】
別段の記載がない限り、本発明の第5~第10の態様のいずれかにおいて、対象は任意のヒトまたは他の動物であってもよい。典型的には、対象は哺乳動物、より典型的にはヒトまたは家畜哺乳動物(ウシ、ブタ、子羊、ヤギ、ウマ、ネコ、イヌなど)である。最も典型的には、対象はヒトである。
【0119】
本発明で使用される任意の薬剤は、経口、非経口(静脈内、皮下、筋肉内、皮内、気管内、腹腔内、関節内、頭蓋内、及び硬膜外を含む)、気道(エアロゾル)、直腸、膣、または局所(経皮、頬、粘膜、及び舌下を含む)投与によって投与することができる。
【0120】
典型的には、選択される投与形式は、治療または予防される障害または疾患に最も適切なものである。
【0121】
経口投与の場合、本発明の化合物、塩、溶媒和物、またはプロドラッグは、通常、錠剤、カプセル、ハードまたはソフトゼラチンカプセル、カプレット、トローチ、またはロゼンジの形態で、粉末もしくは顆粒として、または水溶液、懸濁液、または分散液として提供される。
【0122】
経口使用のための錠剤は、不活性希釈剤、崩壊剤、結合剤、潤滑剤、甘味剤、風味剤、着色剤、及び防腐剤などの薬学的に許容される賦形剤と混合された有効成分を含み得る。好適な不活性希釈剤としては、炭酸ナトリウム及び炭酸カルシウム、リン酸ナトリウム及びリン酸カルシウム、ならびに乳糖が挙げられる。コーンスターチ及びアルギン酸が適切な崩壊剤である。結合剤としては、デンプン及びゼラチンを挙げることができる。潤滑剤は、存在する場合、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、またはタルクであってもよい。必要に応じて、錠剤は、消化管での吸収を遅らせるために、モノステアリン酸グリセリルまたはジステアリン酸グリセリルなどの材料でコーティングされてもよい。錠剤は、発泡性及び/または溶解性の錠剤でもあってもよい。
【0123】
経口使用のためのカプセルとしては、有効成分が固体希釈剤と混合されたハードゼラチンカプセル、及び有効成分が水または油(落花生油、流動パラフィン、またはオリーブ油など)と混合されているソフトゼラチンカプセルが挙げられる。
【0124】
経口使用のための粉末または顆粒は、小袋またはタブで提供されてもよい。粉末、顆粒、または錠剤に水を添加することにより、水溶液、懸濁液、または分散液を調製することができる。
【0125】
経口投与に適した任意の形態は、糖などの甘味剤、風味剤、着色剤、及び/または防腐剤を任意選択的に含んでいてもよい。
【0126】
直腸投与用の製剤は、例えばカカオバターやサリチル酸塩などの適切な基剤を含む坐剤として提供されてもよい。
【0127】
膣内投与に適した製剤は、有効成分に加えて、当該技術分野で適切であることが知られている担体を含むペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、フォーム、またはスプレー製剤として提供されてもよい。
【0128】
非経口使用のためには、本発明の化合物、塩、溶媒和物、またはプロドラッグは、通常、適切なpH及び等張性に緩衝された滅菌水溶液または懸濁液で提供される。適切な水性ビヒクルとしては、リンゲル液及び等張性塩化ナトリウムまたはグルコースが挙げられる。本発明による水性懸濁液は、セルロース誘導体、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、及びトラガカントゴムなどの懸濁剤、ならびにレシチンなどの湿潤剤を含んでいてもよい。水性懸濁液に適した防腐剤としては、p-ヒドロキシ安息香酸エチル及びp-ヒドロキシ安息香酸n-プロピルが挙げられる。本発明の化合物は、リポソーム製剤として提供することもできる。
【0129】
経皮投与及び他の局所投与のためには、本発明の化合物、塩、溶媒和物、またはプロドラッグは、通常、軟膏、パップ剤(湿布)、ペースト、粉末、包帯、クリーム、硬膏、またはパッチの形態で提供される。
【0130】
適切な懸濁液及び溶液は、気道(エアロゾル)投与用の吸入器中で使用することができる。
【0131】
本発明の化合物、塩、溶媒和物、またはプロドラッグの用量は、当然、治療または予防される障害または疾患によって変動する。通常、適切な用量は、投与を受ける者の体重1キログラム当たり、1日に0.01~500mgの範囲である。望まれる用量は、1日おきに1回、1日に1回、1日2回、1日3回、または1日4回などの適切な間隔で提供されてもよい。望まれる用量は、例えば単位剤形あたり1mg~50gの有効成分を含む単位剤形で投与することができる。
【0132】
疑義を回避するために明記しておくと、実施可能な限り、本発明の所定の態様の任意の実施形態は、本発明の同じ態様の任意の他の実施形態と組み合わせて行われてもよい。更に、実施可能な限り、本発明の任意の態様の任意の好ましい、典型的な、または任意選択的な実施形態は、本発明の任意の他の態様の好ましい、典型的な、または任意選択的な実施形態としてもみなされるべきであると理解されるべきである。
【実施例】
【0133】
実施例-化合物の合成
別段の記載がない限り、全ての溶媒、試薬、及び化合物は購入してから更に精製することなく使用した。
【0134】
中間体I-3~I-17及び実施例1-22について:
1H NMR及び13C NMRスペクトルは、Bruker Avance 600 MHz分光計(1H NMRについては600MHz、13C NMRについては151MHzで稼働)を使用して記録し、ppm単位で報告される13C及び1Hのケミカルシフト(δ)はテトラメチルシラン(TMS)を内部標準とした。LC-MS分析は、40℃に維持されているAgilent Eclipse XDB-Phenylカラム(3.5×100mm、3μm)と、SPD-M20AダイオードアレイUV-Vis検出器と、ELSD-LT II蒸発光散乱検出器(ELSD)と、LC-MS-2020質量分析計とを備えたShimadzu Prominence装置上で、0.05%(v/v)のギ酸(aq)/0.05%ギ酸が入っているCH3CN溶媒系を使用して行った。高分解能質量分析(HRMS)は、エレクトロスプレーイオン化(ESI)を用いるBruker MicroTOF質量分析計で行った。中圧液体クロマトグラフィー(MPLC)精製は、30mL/minで流れる10mMのNH4HCO3(aq)/CH3CN溶媒系を用いる2本の連続した12gのGrace C18カラムを使用して、Grace Reveleris(登録商標)X1上で行った。HPLC精製は、20mL/minで流れる10mMのNH4HCO3(aq)/CH3CN溶媒系を用いるAgilent Eclipse XDB-Phenylカラム(21.2mm×100mm、5μm)を使用して、Gilson PLC2020装置上で行った。
【0135】
中間体I-23及び実施例23-31について:
分析方法:NMRスペクトルは、TopSpinプログラム制御下で、ICON-NMRを使用してBruker 400MHz分光計で行った。別段の記載がない限り、スペクトルは298Kで測定し、溶媒の共鳴を参照基準とした。
【0136】
LC-MS法:SHIMADZU LCMS-2020、Agilent1200LC/G1956A MSD及びAgilent1200\G6110A、Agilent1200LC&Agilent6110MSDを使用。
【0137】
精製方法:自動逆相カラムクロマトグラフィーは、Gilson322ポンプによって動かされるGilson281システム、Gilson156UV/Vis検出ユニット、及びGilson GX-281フラクションコレクターを使用して行った。Phenomenex Geminiカラム(150mm×25mm×10um)は、使用前にCH
3CNでコンディショニング(2分)してから0.3分で5%の水(0.05%水酸化アンモニアvol/vol)にし、5%の水(0.05%水酸化アンモニアvol/vol)で2分間保った。流量=25mL/min。分離の実行:
【表1】
【0138】
検出波長=220及び254nm。それぞれの新しい実行の前に、カートリッジはコンディショニング方法を使用して洗浄した。
【0139】
基本合成方法
基本方法A:
【化31】
ジ-tert-ブチルジカーボネート(1.1当量)をテトラヒドロフラン(THF)(3mL/mmolアミン)に溶解し、N,N-ジメチルピリジン-4-アミン(DMAP)(1.1当量)で処理し、室温で5分間撹拌した後、アミン(1当量)を添加し、更に20分間撹拌することによって、対応するアミンからイソシアネートを系内で調製した。その一方で、スルホンアミド(1当量)をTHF(3mL/mmol)に溶解し、NaH(1.0当量、60%のオイル分散液)で処理し、発泡が終わるまで(約5~10分)減圧下で撹拌することにより、スルホンアミド・ナトリウム塩を系内で調製した。スルホンアミド塩とイソシアネート溶液を合わせ、N
2雰囲気下で室温で15時間撹拌し、LC-MSで監視した。反応混合物を真空で濃縮し、最少量の1:1のCH
3CN/ジメチルホルムアミド(DMF)に溶解し、逆相MPLCにより精製した。典型的には4分間の水洗の後、10mMのNH
4HCO
3(aq)/CH
3CNの勾配を15分間行った。
【0140】
基本方法A1:
【化32】
テトラヒドロフランまたはジクロロメタンなどの無水非プロトン性溶媒中、トリエチルアミンなどの塩基(1.2当量)を含むまたは含まないR
2アミン中間体(1当量)の溶液に、トリホスゲン(0.4~1.1当量)を添加した。反応を周囲温度で撹拌するか、必要な場合には、完了するまで(典型的には2~18時間)加熱還流した。
【0141】
基本方法A2:
【化33】
無水アセトニトリルまたはTHF中のジ-t-ブチルカーボネート(1.2~1.4当量)にDMAP(15~100mol%)を添加し、5分後、R
2アミン中間体(1.0当量)のアセトニトリル溶液を添加した。反応混合物を室温で30~60分間撹拌した。
【0142】
基本方法B1:
【化34】
無水THF(5mL/mmol)中のR
1スルホンアミド中間体(1当量)に、0℃でNaH(1当量)を添加し、窒素雰囲気下、周囲温度で30分から2時間または完了するまで撹拌した。再び0℃まで冷却し、THF中のR
2イソシアネート(1.0当量)を添加し、完了するまで(典型的には2~16時間)周囲温度で撹拌した。
【0143】
基本方法B2:
【化35】
無水THFまたはDCM(5~11mL/mmol)中の粗製R
2イソシアネート(1.0当量)に、R
1スルホンアミド(1.0当量)を添加し、引き続きトリエチルアミン、DIPEA、またはDBUなどの塩基(1~2当量)を添加し、反応混合物を周囲温度で一晩撹拌した。
【0144】
基本方法B3:
【化36】
R
1スルホンアミド(1.0当量)を窒素雰囲気下で無水THFに溶解させた。固体のナトリウムメトキシド(1.0当量)を一度に添加した。この混合物を周囲温度で3時間撹拌した。R
2イソシアネート(1.17当量)のTHF溶液を滴加した。反応混合物を室温で一晩撹拌した。
【0145】
基本方法C:
【化37】
アルキン(1当量)及びアジド(1.2当量)、5mol%のCuSO
4、10mol%のNaAscが入っているDMSO溶液(500μL)を、室温で完了するまで(典型的には12時間)撹拌した。
【0146】
基本方法D1:
R
1が置換ピラゾール部位である前駆体スルホンアミドは、以下の合成スキームに従って調製することができる:
【化38】
【0147】
基本方法D2:
R
1がピラゾール部位でありXがアミド部位を含む式Iの化合物は、以下の合成スキームに従って調製することができる:
【化39】
【0148】
基本方法D3:
R
1がピラゾール部位でありXが尿素部位を含む式Iの化合物は、以下の合成スキームに従って調製することができる:
【化40】
【0149】
R1が異なる位置化学を有するピラゾール部位である式Iの他の化合物は、基本方法D1~D3に類似した方法によって調製することができる。
【0150】
中間体の合成:
中間体I-3:5-メチル-N-(4-スルファモイルフェネチル)ピラジン-2-カルボキサミド
【化41】
ピリジン(8mL)に溶解させたN-(4-(N-(シクロヘキシルカルバモイル)スルファモイル)フェネチル)-5-メチルピラジン-2-カルボキサミド(250mg、0.56mmol)を無水フタル酸(83mg、0.56mmol)及びDMAP(10mg、0.082mmol)で処理し、その後N
2雰囲気下で5時間加熱還流した。反応混合物をMPLCにより精製することで、表題の化合物をアモルファスの白色固体として得た(113mg、63%):
1H NMR (600 MHz, DMSO-d
6) δ 9.03 (d, J = 1.4 Hz, 1H), 8.96 (t, J = 6.0 Hz, 1H), 8.61 (m, 1H), 7.73 (d, J = 8.4 Hz, 2H, 7.42 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 7.30 (s, 2H), 3.57 (dt, J = 7.3, 6.0 Hz, 2H, 2.95 (t, J = 7.3 Hz, 2H), 2.58 (s, 3H);
13C NMR (151 MHz, DMSO-d
6) δ 162.8, 156.7, 143.4 (C-1), 142.7 (C-11), 142.3 (C-14), 141.9 (C- 12), 141.9 (C-6), 129.0 (C-4, 5), 125.6, 39.8, 34.6, 21.2;HRMS (ESI-TOF) m/z C
14H
17N
4O
3S [M+H]
+に対する計算値321.1016、実測値 321.1029;LC-MS m/z 321.0[M+H]
+、純度>95%(ELSD)。
【0151】
中間体I-4:5-メチル-N-(4-スルファモイルフェネチル)イソオキサゾール-3-カルボキサミド
【化42】
トルエン(2mL)に溶解させた5-メチルイソオキサゾール-3-カルボン酸(150mg、1.18mmol)を、DMF(1滴)及び塩化チオニル(1.42mmol、103μL)で処理し、その後5時間加熱還流した。溶媒を真空下で除去することで、粗製5-メチルイソオキサゾール-3-カルボニルクロリド(155mg、1.06mmol)を褐色オイルとして得た。この粗製酸塩化物を精製せずにTHF(4mL)に溶解し、Et
3N(155μL、1.06mmol)で処理し、5分間撹拌した後、4-(2-アミノエチル)ベンゼンスルホンアミド(220mg、1.10mmol)を添加し、N
2雰囲気下、室温で15時間撹拌した。反応混合物を真空で濃縮し、MPLCにより精製することで、表題の化合物をアモルファスの白色固体として得た(205mg、62%):
1H NMR (600 MHz, DMSO-d
6) δ 8.79 (t, J = 5.8 Hz, 1H), 7.74 (d, J = 8.3 Hz, 2H), 7.41 (d, J = 8.3 Hz, 2H), 7.30 (s, 2H), 6.50 (q, J = 0.8 Hz, 1H), 3.49 (m, 2H), 2.91 (t, J = 7.2 Hz, 2H), 2.45 (d, J = 0.8 Hz, 3H);
13C NMR (151 MHz, DMSO-d
6) δ 171.0, 158.8, 158.5, 143.3, 142.0, 129.0, 125. 6, 101.1, 39.8, 34.3, 11.7;HRMS (ESI-TOF) m/z C
13H
14N
3O
4[M-H]
-に対する計算値308.0711、実測値 308.0708;LC-MS m/z 308.0 [M+H]
+、純度 >99% (ELSD)。
【0152】
中間体I-5:4-(2-(7-メトキシ-4,4-ジメチル-1,3-ジオキソ-3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル)エチル)ベンゼンスルホンアミド
【化43】
ピリジン(8mL)に溶解させたN-(シクロヘキシルカルバモイル)-4-(2-(7-メトキシ-4,4-ジメチル-1,3-ジオキソ-3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル)エチル)ベンゼンスルホンアミド(504mg、0.96mmol)を、無水フタル酸(143mg、0.97mmol)及びDMAP(11.8mg、0.097mmol)で処理した後、N
2雰囲気下で5時間加熱還流した。反応混合物をMPLCにより精製することで、表題の化合物をアモルファスの白色固体として得た(291mg、77%):
1H NMR (600 MHz, DMSO-d
6) δ 7.72 (d, J = 8.5 Hz, 2H), 7.61 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 7.53 (d, J = 2.9 Hz, 1H), 7.40 (d, J = 8.5 Hz, 2H), 7.33 - 7.26 (m, 3H), 4.13 (t, J = 7.4 Hz, 2H), 3.84 (s, 3H), 2.93 (t, J = 7.4 Hz, 2H), 1.45 (s, 6H);
13C NMR (151 MHz, DMSO-d
6) δ 176.3, 163.1, 158.0, 142. 6, 142.2, 137.2, 129.1, 127.4, 125.6, 124.1, 121. 5, 110.5, 55.3, 42.3, 40.4, 32.9, 28.8;HRMS (ESI-TOF) m/zC
20H
21N
2O
5S [M-H]
-に対する計算値401.1177、実測値401.1174;LC-MS m/z: 403.1 [M+H]
+、純度 >95% (ELSD)。
【0153】
中間体I-9:3-スルファモイル安息香酸メチル
【化44】
3-(クロロスルホニル)安息香酸メチル(1.00g、4.26mmol)を無水テトラヒドロフラン(15mL)に溶解させ、溶液を0℃まで冷却した。アンモニア水(5.0mL)を滴加し、混合物を周囲温度で2時間撹拌した。完了した後、反応混合物を冷水の中に注ぎ入れ、酢酸エチルで抽出した。合わせた有機抽出物を食塩水で洗浄し、乾燥し(Na
2SO
4)、真空で濃縮した。得られた固体をペンタンでトリチュレーションすることで、表題の化合物を淡褐色固体として得た(0.75g、82%)。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6): δ = 8.40 (s, 1H), 8.19 (d, J = 8 Hz, 1H), 8.1 (d, J = 8 Hz, 1H), 7.77 (t, J = 8 Hz, 1H), 7.6 (s, 2H), 3.92 (s, 3H);m/z 214.0 [M -H
+]
-。
【0154】
中間体I-12:N-(3-スルファモイルフェニル)ペンタ-4-インアミド
【化45】
乾燥DMF(5.0ml)中のペンタ-4-イン酸(0.1g、1.02mmol)及び3-アミノベンゼンスルホンアミド(0.21g、1.22mmol)の溶液に、HBTU(0.46g、1.22mmol)を添加し、続いてDIPEA(212uL、1.22mmol)を添加した。反応混合物を周囲温度で2時間、または完了するまで撹拌した。混合物をEtOAc(30mL)で希釈し、H
2O(20mL)、食塩水(20mL)で洗浄し、次いで有機物を乾燥し(MgSO
4)、真空で濃縮した。粗生成物を、100%ヘキサンの溶離液を使用するシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーにより精製することで、表題の化合物を淡黄色固体として得た(0.2g、79%)。
1H NMR (400 MHz, CD
3OD) δ = 8.22 (dd, J = 2.2, 1.7 Hz, 1H), 7.75 - 7.68 (m, 1H), 7.65 - 7.58 (m, 1H), 7.51 - 7.42 (m, 2H), 2.64 - 2.59 (m, 2H), 2.58 - 2.54 (m, 2H), 2.32 - 2.25 (m, 1H)。
13C NMR (101 MHz, CD
3OD) δ = 171.3, 143.8, 138.9, 129.2, 122.9, 121.0, 117.1, 82.1, 69.1, 35.4, 14.0。
【0155】
中間体I-13:N-(プロパ-2-イン-1-イル)-3-(4-スルファモイルフェニル)プロパンアミド
【化46】
3-(4-スルファモイルフェニル)プロパン酸(0.3g、1.5mmol)及びプロパルギルアミン(0.11g、1.5mmol)の乾燥DMF(5.0ml)溶液に、HBTU(0.74g、1.5mmol)を添加し、続いてDIPEA(342uL、1.22mmol)を添加した。反応混合物を室温で2時間撹拌した。反応をLCMSで監視し、反応が完了した後、これをEtOAc(30mL)で希釈し、H2O(20mL)、食塩水(20mL)で洗浄した。有機層を分離し、乾燥し(MgSO
4)、留去することで粗生成物を得た。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(1:1、EtOAc:ヘキサン)により精製することで、表題の化合物を白色固体として単離した(0.22g、63%)。
1H NMR (400 MHz, CD
3OD) δ = 7.85 (d, J = 7.9 Hz, 2H), 7.38 (d, J = 7.9 Hz, 2H), 3.97 (t, J = 2.4 Hz, 2H), 3.04 (t, J = 7.6 Hz, 2H), 2.55 (t, J = 7.6 Hz, 2H), 2.33 (d, J = 2.8 Hz, 1H)。
【0156】
中間体I-14:2-(メチル(7-ニトロベンゾ[c][1,2,5]オキサジアゾール-4-イル)アミノ)-N-(4-スルファモイルフェネチル)アセトアミド
【化47】
2-(メチルアミノ)酢酸(0.24g、2.75mmol)及び炭酸水素ナトリウム(0.694g、8.26mmol)を水(10mL)及びMeOH(20mL)の混合物に溶解した。次いで、4-クロロ-7-ニトロベンゾ[c][1,2,5]オキサジアゾール(0.50g、2.50mmol)を添加し、混合物を60℃で2時間撹拌した。反応が完了した後、揮発性物質を減圧下で除去し、得られた粗製残渣を、ジクロロメタン中のメタノールの0~5%の勾配を使用するシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーにより精製することで、2-(メチル(7-ニトロベンゾ[c][1,2,5]オキサジアゾール-4-イル)アミノ)酢酸を赤レンガ色の固体として得た(1.10g、87%)。
【0157】
2-(メチル(7-ニトロベンゾ[c][1,2,5]オキサジアゾール-4-イル)アミノ)酢酸(1.00g、3.96mmol)を、窒素雰囲気下で無水テトラヒドロフラン(25mL)に溶解し、溶液を0℃まで冷却した。ジイソプロピルエチルアミン(0.76g、5.55mmol)及び1,1’-カルボニルジイミダゾール(0.90g、4.75mmol)を添加し、全ての2-(メチル(7-ニトロベンゾ[c][1、2,5]オキサジアゾール-4-イル)アミノ)酢酸が反応するまで混合物を50℃で撹拌した。その後、反応混合物を0℃まで冷却し、4-(2-アミノエチル)-ベンゼンスルホンアミド(0.95g、4.75mmol)を添加し、完了するまで(典型的には6時間)周囲温度で撹拌した。溶媒を真空下で除去し、残渣を逆相分取HPLCにより精製することで、表題の化合物を赤レンガ色の固体として得た(1.20g、70%)。LCMS(m/z):435.4(M+1)+。
【0158】
中間体I-15:2-(7-(ジメチルアミノ)-2-オキソ-2H-クロメン-4-イル)-N-(4-スルファモイルフェネチル)アセトアミド
【化48】
2-(7-(ジメチルアミノ)-2-オキソ-2H-クロメン-4-イル)酢酸(0.50g、2.02mmol)、EDC・HCl(0.47g、3.03mmol)、HOBt(0.464g、3.03mmol)、及びN-メチルモルホリン(0.409g、4.04mmol)を、無水テトラヒドロフラン(5mL)中で混合し、0℃で30分間撹拌した。4-(2-アミノエチル)ベンゼンスルホンアミド(0.445g、2.224mmol)を添加し、周囲温度で18時間撹拌を継続した。完了した後、反応物を冷水の中に注ぎ入れ、酢酸エチルで抽出した。溶媒を真空で除去し、残渣を、ジクロロメタン中のメタノールの0~5%の勾配を使用するシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーにより精製することで、2-(7-(ジメチルアミノ)-2-オキソ-2H-クロメン-4-イル-N-(4-スルファモイルフェネチル)アセトアミドを緑がかった黄色の固体として得た(0.25g、29%)。LCMS(m/z):430.2(M+1)
+。
【0159】
中間体I-16:3,5,6,7-テトラヒドロ-2H-インデノ[5,6-b]フラン-8-アミン
【化49】
2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-カルボアルデヒド(10g、67.6mmol)、マロン酸(10.5g、101.35mmol)、及びピペリジン(0.47mL、4.73mmol、0.07当量)の溶液を、ピリジン(60mL)中で5時間、100℃で加熱した。反応混合物を、1NのHClを使用して約pH3まで酸性にし、10%のIPA/クロロホルム(2×250mL)を使用して生成物を抽出した。合わせた有機抽出物を水(250mL)、食塩水(250mL)で洗浄し、乾燥し(Na
2SO
4)、真空で濃縮した。粗生成物をジエチルエーテルを使用してトリチュレーションすることで、(E)-3-(2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-イル)アクリル酸を黄色固体として得た(10g、78%)。
1H NMR (300 MHz, クロロホルム-d) δ = 7.73 (d, J = 15.9 Hz, 1H), 7.43 (s, 1H), 7.33 (dd, J = 8.1, 1.8 Hz, 1H), 6.80 (d, J = 8.1 Hz, 1H), 6.29 (d, J = 15.9 Hz, 1H), 4.64 (t, J = 8.7 Hz, 2H), 3.24 (t, J = 8.7 Hz, 2H)。
【0160】
酢酸(80mL)及び水(1.0mL)中に(E)-3-(2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-イル)アクリル酸(8.0g、42.1mmol)が入っている溶液を、10%のパラジウム炭素(1.0g)で2回に分けて処理した。反応混合物を大気下または水素ガス(風船)下で、完了するまで(典型的には4時間)撹拌した。混合物を酢酸エチル(100mL)を使用して希釈し、セライトの層を通して濾過し、追加の酢酸エチルで洗浄した。溶媒を真空で除去し、粗製残渣をトルエン(2×50mL)を用いて共沸することで、灰白色の固体を得た。これを、ジエチルエーテル(50mL)を用いてトリチュレーションすることで、3-(2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-イル)プロパン酸を白色固体として得た(6.5g、80%)。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ = 7.04 (s, 1H), 6.93 (d, J = 8.4, 1H), 6.7 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 4.55 (t, J = 8.4 Hz, 2H), 3.18 (t, J = 8.4 Hz, 2H), 2.89 (t, J = 7.6 Hz, 2H), 2.64 (t, J = 7.6 Hz, 2H)。
【0161】
3-(2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-イル)プロパン酸(6.0g、31mmol)の塩化チオニル(8mL)溶液を、80℃で1時間加熱した。反応が完了した後、塩化チオニルを真空で除去し、粗製3-(2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-イル)プロパノイルクロリドを無水1,2-ジクロロエタン(30mL)に溶解させた。別のフラスコで、三塩化アルミニウム(2g、15mmol)を0℃の無水1,2-ジクロロエタン(40mL)に添加し、次いで酸塩化物溶液(10mL)を5分かけて滴加し、得られた溶液を0℃で30分間撹拌した。追加分の三塩化アルミニウム(3g、22.5mmol)を添加した後、残りの酸塩化物溶液(20mL)を0℃で滴加した。反応混合物を室温で1時間または完了するまで撹拌し、水で希釈し、EtOAc(2×50mL)を使用して抽出した。合わせた有機抽出物を1NのHCl(50mL)、1NのNaOH(50mL)、水(25mL)、食塩水(25mL)で洗浄し、乾燥し(Na2SO4)、真空で濃縮した。粗生成物を、10%EtOAc-ヘキサン溶離液を使用するシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーにより精製することで、2,3,5,6-テトラヒドロ-7H-インデノ[5,6-b]フラン-7-オンを白色固体として得た(3.8g、70%)。1H NMR (300 MHz, CD3OD) δ = 7.36 (s, 1H), 6.91 (s, 1H), 4.61 (t, J = 8.6 Hz, 3H), 3.26 (t, J = 8.6 Hz, 2H), 3.05 (t, J = 5.5 Hz, 3H), 2.68 (t, J = 5.5 Hz, 2H)。
【0162】
2,3,5,6-テトラヒドロ-7H-インデノ[5,6-b]フラン-7-オン(1.5g、8.61mmol)をc.H2SO4(6.0mL)に0℃で溶解した後、f.HNO3:c.H2SO4、1:1(1.2mL)を滴加し、撹拌を0℃で1時間継続した。反応混合物を氷冷水(60mL)に入れ、10分間撹拌し、得られた淡褐色のpptを濾過により除去し、氷冷水(20mL)で洗浄し、真空乾燥することで、8-ニトロ-2,3,5,6-テトラヒドロ-7H-インデノ[5,6-b]フラン-7-オン(1.2g、64%)を得た。1H NMR (300 MHz, CD3OD) δ = 7.54 (s, 1H), 4.80 (t, J = 8.6 Hz, 2H), 3.42 (t, J = 8.6 Hz, 2H), 3.09 (t, J = 5.6 Hz, 2H), 2.74 (t, J = 5.6 Hz, 2H)。
【0163】
0℃のメタノール(20mL)中の8-ニトロ-2,3,5,6-テトラヒドロ-7H-インデノ[5,6-b]フラン-7-オン(1.0g、4.57mmol)の溶液を、メタンスルホン酸(0.2mL)で処理し、次いで20%水酸化パラジウム(0.5g)で処理した。完了するまで反応混合物を大気下または60psiの水素ガス下で撹拌した。反応混合物をセライトの層を通して濾過し、メタノール(50mL)で洗浄し、真空で濃縮した。残渣を酢酸エチル(50mL)で希釈し、飽和水溶液NaHCO3(50mL)、水(20mL)、食塩水(20mL)で洗浄し、乾燥し(Na2SO4)、真空で濃縮した。粗生成物を、10%EtOAc-ヘキサン溶離液を使用するシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーにより精製することで、3,5,6,7-テトラヒドロ-2H-インデノ[5,6-b]フラン-8-アミンを白色固体として得た(0.5g、63%)。1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ = 6.54 (s, 1H), 5.30 (s, 2H), 4.61 (t, J = 8.7 Hz, 2H), 3.21 (t, J = 8.7 Hz, 2H), 2.95 (t, J = 5.5 Hz, 2H), 2.66 (t, J = 5.5 Hz, 2H)。
【0164】
中間体I-17:ベンゾ[1,2-b:4,5-b’]ジフラン-4-アミン
【化50】
2,3,6,7-テトラヒドロベンゾ[1,2-b:4,5-b’]ジフラン-4-カルボン酸の合成を、ヒドロキノンから、Monte et al.,J.Med.Chem.,1996,39,2953-2961に詳述されている手順を使用して行うことで、2,3,6,7-テトラヒドロベンゾ[1,2-b:4,5-b’]ジフラン-4-カルボアルデヒドを明るい黄色の固体として得た;
1H NMR (400 MHz, CDCl
3): δ = 10.27 (s, 1H), 6.87 (s, 1H), 4.67 (t, J = 8.8 Hz, 2H), 4.59 (t, J = 8.8 Hz, 2H), 4.59 (t, J = 8.8 Hz, 2H), 3.46 (t, J = 8.8 Hz, 2H), 3.18 (t, J = 8.8 Hz, 2H)。
【0165】
アルデヒド(0.68g、3.58mmol)を、20日間、室温で5%水酸化ナトリウム水溶液中の酸化銀(I)(1.5当量)を使用して酸化した。粗製反応混合物をセライトを通して濾過し、ジエチルエーテル(2×50mL)で抽出して未反応アルデヒドを除去し、次いで3.0MのHCl水溶液を0℃で滴下して水相をpH1まで酸性にした。生成物をジクロロメタン(2×50mL)を使用して抽出し、合わせた有機物を食塩水(50mL)を使用して洗浄し、乾燥し(MgSO4)、真空で濃縮することで、2,3,6,7-テトラヒドロベンゾ[1,2-b:4,5-b’]ジフラン-4-カルボン酸を白色固体として得た(0.44g;60%)。
【0166】
あるいは、アセトン(5.0mL)中のアルデヒド(0.5g、2.77mmol)を、0℃で2回に分けてスルファミン酸(0.4g、4.17mmol)で処理した。2分後、亜塩素酸ナトリウム(0.32g、3.6mmol)の水(1.0mL)溶液を滴加し、0℃で4時間撹拌を継続した。反応混合物を水(20mL)で希釈し、10%のIPA/クロロホルム(2×20mL)を使用して抽出した。合わせた有機相を水(25mL)、食塩水(25mL)で洗浄し、乾燥し(Na2SO4)、真空で濃縮した。粗製固体をジエチルエーテルでトリチュレーションすることで、2,3,6,7-テトラヒドロベンゾ[1,2-b:4,5-b’]ジフラン-4-カルボン酸(0.4g;70%)を得た。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 6.86 (s, 1H), 4.52 (t, J = 8.8 Hz, 2H), 4.47 (t, J = 8.8 Hz, 2H), 3.30 (t, J = 8.8 Hz, 2H), 3.10 (t, J = 8.8 Hz, 2H)。13C (100 MHz, DMSO-d6): δ = 166.4, 154.2, 153.9, 128.9, 127.2, 111.4, 110.43, 71.9, 71.6, 31.5, 29.5。
【0167】
無水ジオキサン(20mL)中の2,3,6,7-テトラヒドロベンゾ[1,2-b:4,5-b’]ジフラン-4-カルボン酸(0.8g、3.88mmol)、2,3-ジクロロ-5,6-ジシアノベンゾキノン(2.64g、11.65mmol)を密閉したチューブの中で120℃で18時間加熱した。反応混合物を室温まで冷却し、飽和Na2S2O3水溶液(30mL)を添加した後、酢酸エチル(2×25mL)で抽出した。合わせた有機相を乾燥し(Na2SO4)、真空で濃縮することで、粗製ベンゾ[1,2-b:4,5-b’]ジフラン-4-カルボン酸(1.5g)を得た。tert-ブタノール(20mL)中の粗製酸(1.5g)、トリエチルアミン(2.05mL)、及びジフェニルホスホリルアジド(4.08g、14.85mmol)を密閉したチューブの中で90℃で12時間加熱した。溶液を室温まで冷却し、水(50mL)で希釈し、EtOAc(2×50mL)を使用して抽出した。合わせた有機抽出物を水(25mL)、食塩水(25mL)で洗浄し、乾燥し(Na2SO4)、真空で濃縮した。粗生成物を、10%EtOAc-ヘキサン溶離液を使用するシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーにより精製することで、ホスフィン試薬からの少量の不純物を含むtert-ブチルベンゾ[1,2-b:4,5-b’]ジフラン-4-イルカルバメート(0.75g)を得た。生成物をDCM(10mL)に溶解し、TFA(3.0mL)を0℃で5分かけて滴加した。反応を周囲温度で2時間撹拌し、次いで飽和NaHCO3水溶液(50mL)に注意深く添加した。DCM(2×30mL)を使用して水相を抽出し、合わせた有機抽出物を水(25mL)、食塩水(25mL)で洗浄し、乾燥し(Na2SO4)、真空で濃縮した。粗生成物を、10%EtOAc-ヘキサン溶離液を使用するシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーにより精製することで、ベンゾ[1,2-b:4,5-b’]ジフラン-4-アミンを灰白色固体として得た(0.2g、3工程で30%)。1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ = 7.6 (d, J = 2.2 Hz, 1H), 7.53 (d, J = 2.2 Hz, 1H), 7.12 (s, 1H), 6.78 (m, 2H), 4.17 (br.s., 1H)。
【0168】
中間体I-23:4-(2-アミノエチル)-N-((1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イル)カルバモイル)ベンゼンスルホンアミド
工程A:tert-ブチル(4-スルファモイルフェネチル)カルバメート
【化51】
4-(2-アミノエチル)ベンゼンスルホンアミド(5g、24.97mmol)のTHF(100mL)溶液に、Boc
2O(6.5g、29.96mmol、6.88mL)及びトリエチルアミン(5.1g、49.94mmol、6.95mL)を添加した。混合物を25℃で2時間撹拌した後、反応を水(100mL)でクエンチし、ジクロロメタン(3×150mL)の中に抽出した。合わせた有機抽出物を食塩水(2×100mL)で洗浄し、乾燥し(Na
2SO
4)、濾過し、真空で濃縮した。粗生成物を酢酸エチル(100mL)でトリチュレーションし、次いで濾過により単離することで、表題の化合物を黄色固体として得た(7.0g、収率93%)。粗生成物は更に精製することなく次の工程で直接使用した。
1H NMR (DMSO-d
6) δ 7.75 - 7.73 (d, 2 H), 7.39 - 7.37 (d, 2 H), 7.30 (s, 2 H), 6.93 (s, 1 H), 3.17 - 3.14 (m, 2 H), 2.79 - 2.75 (m, 2 H) 及び1.37 (s, 9 H)。
LCMS: m/z 323.0 (M+Na)
+
【0169】
工程B:tert-ブチル4-(N-((1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イル)カルバモイル)スルファモイル)-フェネチルカルバメート。
【化52】
THF(30mL)中のtert-ブチル(4-スルファモイルフェネチル)カルバメート(3.0g、10.0mmol)の混合物に、ナトリウムメトキシド(539.6mg、10.0mmol)を添加した。混合物を25℃で2時間撹拌した後、THF(10mL)中の4-イソシアナト-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン(3.0g、12.0mmol)を滴加した。混合物を70℃で更に0.5時間撹拌した後、反応を水(30mL)でクエンチし、次いで塩酸(1M)でpHを5~6に調整した。得られた固体を濾過し、真空で乾燥させることで、表題の化合物を白色固体として得た(4.2g、収率84%)。粗生成物は更に精製することなく次の工程で直接使用した。
1H NMR (DMSO-d
6) δ 10.64 (s, 1 H) 8.08 (s, 1 H), 7.86 - 7.84 (d, 2 H), 7.44 - 7.42 (d, 2 H), 6.93 (s, 2 H), 3.18 - 3.17 (m, 2 H), 2.81 - 2.75 (m, 7 H), 2.54-2.52(m, 3 H), 1.98-1.88 (m, 4 H) 及び1.35 (s, 9 H)
LCMS: m/z 444.1 (M+H-56)
+
【0170】
工程C:4-(2-アミノエチル)-N-((1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イル)-カルバモイル)-ベンゼンスルホンアミド。
【化53】
tert-ブチル4-(N-((1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イル)カルバモイル)-スルファモイル)フェネチルカルバメート(4.2g、8.4mmol)のジクロロメタン(25mL)溶液に、塩化水素の酢酸エチル溶液(25mL、100.0mmol)を添加した。反応を25℃で2時間撹拌した後、混合物を水(50mL)の中に注ぎ入れ、水酸化ナトリウム水溶液(1M)でpH7に調整した。得られた析出物を濾過し、メタノール(20mL)で洗浄することで、表題の化合物である中間体I-23(2.8g、収率75%)を白色固体として得た。
1H NMR (DMSO-d
6) δ 10.97 (s, 1 H) 8.55 (s, 1 H), 7.92 (s, 2 H) 7.82 - 7.80 (d, 2 H), 7.44 - 7.42 (d, 2 H), 6.83 (s, 2 H), 2.98 - 2.91 (m, 2 H), 2.89 - 2.70 (m, 2 H), 2.68 - 2.63 (m, 5 H), 2.61-2.59 (m, 2 H) 及び1.85 - 1.81 (m, 4 H)。
LCMS m/z 400.1 (M+H)
+
【0171】
スルホニル尿素の合成
実施例1:4-アセチル-N-((1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イル)カルバモイル)ベンゼンスルホンアミド
【化54】
4-アセチルベンゼンスルホンアミド(100mg、0.50mmol)を基本方法Aに従って処理することで、表題の化合物を白色固体として得た(31mg、16%):
1H NMR (600 MHz, DMSO-d
6) δ 11.03 (br s, 1H), 8.08 (d, J = 8.5 Hz, 2H), 7.99 (d, J = 8.5 Hz, 2H), 7.07 (br s, 1H), 6.87 (s, 1H), 2.75 (t, J = 7.4 Hz, 4H), 2.62 (s, 3H), 2.56 (t, J = 7.4 Hz, 4H), 1.90 (p, J = 7.4 Hz, 4H);
13C NMR (151 MHz, DMSO-d
6) δ 197.3, 151.8, 142.6, 138.9, 136.9, 129.7, 128.2, 127.2, 117.1, 32.4, 30.1, 26.9, 24.9;HRMS (ESI-TOF) m/z C
21H
21N
2O
4S [M-H]
-に対する計算値397.1228、実測値397.1225;LC-MS m/z 399.1 [M+H]
+、純度>95% (ELSD)。
【0172】
実施例2:5-クロロ-N-(4-(N-((1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イル)カルバモイル)スルファモイル)フェネチル)-2-メトキシベンズアミド
【化55】
5-クロロ-2-メトキシ-N-(4-スルファモイルフェネチル)ベンズアミド(300mg、0.81mmol)を基本方法Aに従って処理することで、表題の化合物を白色固体として得た(325mg、70%);
1H NMR (600 MHz, DMSO-d
6) δ 10.74 (br s, 1H), 8.27 (t, J = 5.7 Hz, 1H), 8.01 (s, 1H), 7.86 (d, J = 8.3 Hz, 2H), 7.65 (d, J
= 2.8 Hz, 1H), 7.50 (dd, J= 8.9, 2.8 Hz, 1H), 7.47 (d, J = 8.3 Hz, 2H), 7.13 (d, J
= 8.9 Hz, 1H), 6.89 (s, 1H), 3.78 (s, 3H), 3.59 - 3.49 (m, 2H), 2.92 (t, J = 7.1 Hz, 2H), 2.75 (t, J = 7.4 Hz, 4H), 2.53 (t, J = 7.4 Hz, 4H), 1.89 (p, J = 7.5 Hz, 4H);
13C NMR (151 MHz, DMSO-d
6) δ 163.5, 155.6, 153.8, 144.4, 142.8, 136.9, 136.9, 131.4, 129.4, 129.4, 128.9, 127.1, 124.6, 124.2, 117.4, 114.0, 56.1, 40.2, 34.6, 32.3, 30.0, 24.9;HRMS (ESI-TOF) m/z C
29H
29ClN
3O
5S [M-H]
-に対する計算値566.1522、実測値566.1543;LC-MS m/z 566.2 [M-H]
-、純度>95% (ELSD)。
【0173】
実施例3:N-(4-(N-((1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イル)カルバモイル)スルファモイル)フェネチル)-5-メチルピラジン-2-カルボキサミド
【化56】
5-メチル-N-(4-スルファモイルフェネチル)ピラジン-2-カルボキサミド(中間体I-3)(100mg、0.312mmol)を、基本方法Aに従って処理することで、粗製白色固体(72mg)を得た。HPLCにより更に精製することで、白色固体(14mg、9%)を得た。
1H NMR (600 MHz, DMSO-d
6) δ 10.79 (br s, 1H), 9.03 (d, J
= 1.4 Hz, 1H), 8.96 (t, J
= 6.0 Hz, 1H), 8.59 (m, 1H), 7.79 (d, J = 8.3 Hz, 2H), 7.47 (d, J
= 8.3 Hz, 2H), 7.30 (s, 1H), 6.86 (s, 1H), 3.58 - 3.52 (m, 2H), 2.94 (t, J
= 7.3 Hz, 2H), 2.75 (t, J = 7.5 Hz, 4H), 2.58 (br s, 3H), 2.54 (t, J = 7.5 Hz, 4H), 1.88 (p, J = 7.5 Hz, 4H);
13C NMR (151 MHz, DMSO-d
6) δ 162.8, 156.7, 152. 1, 143.4, 142.7, 142.6, 142.3, 141.9, 136.8, 129.9, 129.0, 128.5, 126.9, 125.6, 117.0, 40.0, 34.6, 32.4, 30.1, 24.9, 21.2;HRMS (ESI-TOF) m/z C
27H
30N
5O
4S [M+H]
+に対する計算値520.2020、実測値520.2030;LC-MS m/z 518.2 [M-H]
-、純度>95% (ELSD)。
【0174】
実施例4:N-(4-(N-((1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イル)カルバモイル)スルファモイル)フェネチル)-5-メチルイソオキサゾール-3-カルボキサミド
【化57】
5-メチル-N-(4-スルファモイルフェネチル)イソオキサゾール-3-カルボキサミド(中間体I-4)(14mg、0.044mmol)を、基本方法Aに従って処理した。0.05%のギ酸
(aq))/CH
3CN中の0.05%のギ酸の勾配溶離を使用するMPLC精製を更に行った。適切なフラクションを凍結乾燥することにより、表題の化合物を白色固体として得た(14mg、62%):
1H NMR (600 MHz, DMSO-d
6) δ 10.73 (br s, 1H), 8.81 (t, J = 5.8 Hz, 1H) 8.09 (s, 1H), 7.86 (d, J = 8.2 Hz, 2H), 7.47 (d, J = 8.2 Hz, 2H), 6.92 (s, 1H), 6.49 (s, 1H), 3.49 (m, 2H), 2.93 (t, J = 7.2 Hz, 2H), 2.76 (t, J = 7.2 Hz, 4H), 2.52 (m, 4H), 2.44 (s, 3H), 1.90 (p, J = 7.2 Hz, 4H);
13C NMR (151 MHz, DMSO) δ 171.0, 158.7, 158.5, 148.9, 145.0, 142.9, 137.8, 137.1, 129.1, 128.5, 127.2, 117.9, 101.1, 39. 7, 34.4, 32.3, 29.9, 24.9, 11.70;HRMS (ESI-TOF) m/z C
26H
27N
4O
5S [M-H]
-に対する計算値507.1708、実測値507.1709;LC-MS m/z 509.4 [M+H]
+、純度>95% (ELSD)。
【0175】
実施例5:N-((1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イル)カルバモイル)-4-(2-(7-メトキシ-4,4-ジメチル-1,3-ジオキソ-3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル)エチル)ベンゼンスルホンアミド
【化58】
4-(2-(7-メトキシ-4,4-ジメチル-1,3-ジオキソ-3,4-ジヒドロイソキノリン-2(1H)-イル)エチル)ベンゼンスルホンアミド(中間体I-5)(111mg、0.276mmol)を基本方法Aに従って処理することで、表題の化合物を白色固体として得た(85mg、52%):
1H NMR (600 MHz, DMSO-d
6) δ 10.72 (br s, 1H), 7.91 (s, 1H), 7.80 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 7.58 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 7.53 (d, J= 2.9 Hz, 1H), 7.39 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 7.29 (dd, J = 8.7, 2.9 Hz, 1H), 6.88 (s, 1H), 4.13 (t, J = 7.5 Hz, 2H), 3.83 (s, 3H), 2.93 (t, J = 7.4 Hz, 2H), 2.76 (t, J = 7.4 Hz, 4H), 2.55 (t, J = 7.4 Hz, 4H), 1.90 (p, J = 7.4 Hz, 4H), 1.42 (s, 6H);
13C NMR (151 MHz, DMSO) δ 176.3, 163.1, 158.0, 150.1, 143.5, 142.8, 137.1, 136.9, 129.1, 129.0, 127.4, 127.1, 125.6, 124.1, 121.4, 117.4, 110.4, 55.3, 42.3, 40.3, 33.0, 32.3, 30.0, 28.8, 24.9;HRMS (ESI-TOF) m/z C
33H
34N
3O
6S [M-H]
-に対する計算値600.2174、実測値600.2183;LC-MS m/z 602.4 [M+H]
+、純度 >95%(ELSD)。
【0176】
実施例6:3-エチル-N-(4-(N-((1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イル)カルバモイル)スルファモイル)フェネチル)-4-メチル-2-オキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-カルボキサミド
【化59】
3-エチル-4-メチル-2-オキソ-N-(4-スルファモイルフェネチル)-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-カルボキサミド(100mg、0.29mmol)を基本方法Aに従って処理することで、表題の化合物を白色固体として得た(78mg、50%)。
1H NMR (600 MHz, DMSO-d
6) δ 10.73 (br s, 1H), 8.38 (t, J = 5.8 Hz, 1H), 8.04 (s, 1H), 7.84 (d, J = 8.4 Hz, 2H,), 7.45 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 6.90 (s, 1H), 4.16 (s, 2H), 3.52 - 3.45 (m, 2H), 2.89 (t, J = 7.2 Hz, 2H), 2.75 (t, J = 7.5 Hz, 4H), 2.52 (d, J = 7.4 Hz, 4H), 2.18 (q, J = 7.5 Hz, 2H,), 2.00 (s, 3H), 1.90 (p, J = 7.5 Hz, 4H), 0.97 (t, J = 7.5 Hz, 3H)。
13C NMR (151 MHz, DMSO-d
6) δ 171.8, 152.1, 151.7, 149.8, 144.7, 143.0, 138.6, 137.2, 131.9, 129.1, 129.0, 127.4, 117.8, 51.9, 40.2, 35.3, 32.5, 30.1, 25.0, 16.0, 12.9, 12.8。HRMS (ESI-TOF) m/z:C
29H
33N
4O
5S [M-H]
- に対する計算値549.2177;実測値549.2169。LCMS: m/z 573.47 [M+Na]
+、純度>95% (ELSD)。
【0177】
実施例7:エチル5-(N-((1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イル)カルバモイル)スルファモイル)-フラン-3-カルボキシレート
【化60】
4-イソシアナト-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン(基本方法A2を使用して調製)及びエチル5-スルファモイルフラン-3-カルボキシレートを基本方法B1で使用した。反応混合物を水(50mL)を使用してクエンチし、酢酸エチル(2×25mL)を使用して抽出し、有機相を食塩水(25mL)で洗浄し、乾燥し(Na
2SO
4)、真空で濃縮した。粗生成物を、50%EtOAc-ヘキサン溶離液を使用するシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーにより精製することで、表題の化合物を白色固体として得た(0.45g、63%)。
1H NMR (300 MHz, DMSO-d
6) δ = 8.31 (s, 1H), 7.59 (s, 1H), 6.77 (s, 1H), 4.22 (q, J = 7.2 Hz, 2H), 2.75 (t, J = 7.3 Hz, 4H), 2.65 (t, J = 7.3 Hz, 4H) 1.90 (五重項, J = 7.6 Hz, 4H), 1.26 (t, J = 7.2 Hz, 3H)。
【0178】
実施例8:5-(N-((1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イル)カルバモイル)スルファモイル)フラン-3-カルボン酸
【化61】
0℃のTHF(8mL)中のエチル5-(N-((1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イル)カルバモイル)スルファモイル)フラン-3-カルボキシレート(実施例7)(0.1g、0.24mmol)を、LiOH(0.1g、2.4mmol)の水(2mL)溶液で処理した。冷却浴を外し、反応混合物を3時間撹拌した。10%クエン酸を使用して溶液を酸性にし、すぐに酢酸エチル(2×25mL)を使用して抽出した。有機相を水(20mL)、食塩水(20mL)を使用して洗浄し、乾燥し(Na
2SO
4)、真空で濃縮した。粗生成物を逆相HPLCにより精製することで、表題の化合物を白色固体として得た(5.0mg、5%)。
1H NMR (400 MHz, CD
3OD): δ = 8.14 (s, 1H), 7.28 (s, 1H), 6.93 (s, 1H), 2.85 (t, J = 7.6 Hz, 4H), 2.74 (t, J = 7.6 Hz, 4H), 2.04 (五重項, J = 7.6 Hz, 4H)。
【0179】
実施例9:3-(N-((1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イル)カルバモイル)-スルファモイル)安息香酸メチル
【化62】
4-イソシアナト-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン(基本方法A1を使用して調製)を、周囲温度で3-スルファモイル安息香酸メチル(中間体I-9)(0.447g、2.07mmol、1.20当量)に直接添加し、混合物を一晩撹拌した。反応混合物を冷水の中に注ぎ入れ、酢酸エチルで抽出した。合わせた有機抽出物を食塩水で洗浄し、乾燥し(Na
2SO
4)、真空で濃縮した。得られた残渣を、ジクロロメタン中のメタノールの0~10%の勾配を使用するシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーにより精製することで、3-(N-((1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イル)カルバモイル)スルファモイル)安息香酸メチルを淡褐色固体として得た(0.36g、50%)。
【0180】
実施例10:3-(N-((1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イル)カルバモイル)スルファモイル)-安息香酸
【化63】
3-(N-(1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イルカルバモイル)スルファモイル)安息香酸メチル(実施例9)(0.25g、0.603mmol)を、テトラヒドロフラン:メタノール:水の混合物(9mL、1:1:1)に溶解し、混合物を0℃に冷却した。水酸化リチウム一水和物(0.75g、1.81mmol、3当量)を添加し、混合物を周囲温度で3時間撹拌した。完了した後、反応混合物を冷水の中に注ぎ入れ、酢酸エチルで抽出した。合わせた有機抽出物を食塩水で洗浄し、乾燥し(Na
2SO
4)、真空で濃縮した。生成物を逆相分取HPLCにより精製することで、表題の化合物を白色固体として得た(0.017g、3%)。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6): δ = 13.26 (bs, 1H), 8.43 (s, 1H), 8.13-8.08 (m, 2H), 7.99 (bs, 1H), 7.67 (t, J = 8.0 Hz, 1H), 6.87 (s, 1H), 6.52 (s, 1H), 2.75 (t, J = 7.2 Hz, 4H), 2.55(t, J = 7.6 Hz, 4H), 1.89 (五重項, J = 7.6 Hz, 4H)。LCMS、純度: 96%、m/z 400.98 (M+H
+)。HRMS (FAB
+)C
20H
20N
2O
5S [M+H]
+に対する計算値:401.1093、実測値: 401.4514。
【0181】
実施例11:3-(N-(1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イルカルバモイル)スルファモイル)-ベンズアミド
【化64】
3-(N-((1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イル)カルバモイル)スルファモイル)安息香酸(実施例10)(0.06g、0.074mmol)を、無水N,N-ジメチルホルムアミド(4mL)に溶解し、溶液を0℃まで冷却した。ジイソプロピルエチルアミン(3.0当量)及びHATU(2.0当量)を添加し、混合物を0℃で15分間撹拌した。塩化アンモニウム(3.0当量)を添加し、混合物を周囲温度で5時間撹拌した。完了した後、反応混合物を食塩水(20mL)の中に注ぎ入れ、酢酸エチル(2×10mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を食塩水(10mL)で洗浄し、乾燥し(Na
2SO
4)、真空で濃縮した。粗製残渣を逆相分取HPLCにより精製することで、表題の化合物を白色固体として得た(0.011g、37%)。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6): δ = 8.23 (d, J = 9.2 Hz, 2H), 8.02 (s, 1H), 7.89 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 7.84 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 7.42 (t, J = 8.0 Hz, 1H), 7.38 (s, 1H), 7.33 (s, 1H). 6.74 (s, 1H), 2.73 (t, J = 6.8 Hz, 4H), 2.62 (t, J = 6.8 Hz, 4H), 1.87 (五重項, J = 7.6 Hz, 4H)。LCMS、純度: 93%, m/z 400.05 (M+H
+)。HRMS (FAB
+)C
20H
21N
3O
4S [M+H]
+に対する計算値: 400.1253、実測値: 400.1378。
【0182】
実施例12:N-(3-(N-((1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イル)カルバモイル)スルファモイル)-フェニル)ペンタ-4-インアミド
【化65】
基本方法B3において、4-イソシアナト-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン(基本方法A2を使用して調製)及びN-(3-スルファモイルフェニル)ペンタ-4-インアミド(中間体I-12)を使用することで、表題の化合物を白色固体として得た(116mg、61%)。
1H NMR (400 MHz, CD
3OD) δ = 8.18 (s, 1H), 7.81 (d, J = 8.3 Hz, 1H), 7.68 (d, J = 8.3 Hz, 1H), 7.43 (dd, J = 8.3, 7.8 Hz, 1H), 6.87 (s, 1H), 2.79 (t, J = 7.2 Hz, 4H), 2.67 - 2.60 (m, 4H), 2.60 - 2.48 (m, 4H), 2.28 - 2.22 (m, 1H), 2.04 - 1.89 (m, 4H)。
13C NMR (101 MHz, CD
3OD) δ = 170.9, 143.3, 143.0, 138.8, 137.7, 128.7, 128.3, 126.4, 122.8, 122.0, 117.9, 117.7, 82.0, 68.9, 35.4, 32.4, 29.9, 25.1, 13.9。HRMS (ESI) C
24H
26N
3O
4S
[M+H]に対する計算値452.1639、実測値452.1658。
【0183】
実施例13:3-(4-(N-((1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イル)カルバモイル)スルファモイル)-フェニル)-N-(プロパ-2-イン-1-イル)プロパンアミド
【化66】
基本方法B3において、4-イソシアナト-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン(基本方法A2を使用して調製)及びN-(プロパ-2-イン-1-イル)-3-(4-スルファモイルフェニル)プロパンアミド(中間体I-13)を使用することで、表題の化合物を白色固体として得た(120mg、68%)。
1H NMR (400 MHz, CD
3OD) δ = 7.91 (d, J = 7.8 Hz, 2H), 7.39 (d, J = 7.8 Hz, 2H), 6.98 (s, 1H), 3.95 (d, J = 2.9 Hz, 2H), 3.03 (t, J = 7.7 Hz, 2H), 2.85 (t, J = 7.4 Hz, 4H), 2.62 (t, J = 6.9 Hz, 4H), 2.55 - 2.46 (m, 2H), 2.25 (t, J = 2.6 Hz, 1H), 2.02 (m, 4H)。
13C NMR (101 MHz, CD
3OD) δ = 172.0, 147.2, 144.1, 143.8, 137.5, 129.0, 128.8, 128.1, 127.4, 126.5, 118.9, 79.2, 71.0, 36.8, 32.8, 32.8, 31.2, 30.7, 28.8, 28.7, 25.4, 25.3。HRMS (ESI)C
25H
28N
3O
4S
[M+H]に対する計算値466.1795、実測値466.1794。
【0184】
実施例14:N-(4-(N-(1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イルカルバモイル)スルファモイル)-フェネチル)-2-(メチル(7-ニトロベンゾ[c][1,2,5]オキサジアゾール-4-イル)アミノ)アセトアミド
【化67】
基本方法B2において、4-イソシアナト-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン(基本方法A1を使用して調製)及び2-(メチル(7-ニトロベンゾ[c][1,2,5]オキサジアゾール-4-イル)アミノ)-N-(4-スルファモイルフェネチル)アセトアミド(中間体I-14)を使用することで、表題の化合物をオレンジ色の固体として得た(0.003g、1%)。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6): δ = 10.74 (s, 1H), 8.51 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 8.31 (t, J = 7.6 Hz, 1H), 8.09-7.96 (m, 1H), 7.82 (d, J = 8.4Hz, 2H), 7.41 (d, J = 7.6 Hz, 2H), 6.89 (s, 1H), 6.42-6.32 (m, 1H), 4.74(bs, 2H), 3.44-3.30 (m, 5H), 2.80 (t, J = 7.6 Hz, 2H), 2.73-2.69 (m, 4H), 2.61-2.50 (m, 4H), 1.92-1.88 (m, 4H)。LCMS、純度: 92.20%、m/z 632.35(M-H
+)。
【0185】
実施例15:2-(7-(ジメチルアミノ)-2-オキソ-2H-クロメン-4-イル)-N-(4-(N-(1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イルカルバモイル)スルファモイル)フェネチル)アセトアミド
【化68】
基本方法B2において、4-イソシアナト-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン(基本方法A1を使用して調製)及び2-(7-(ジメチルアミノ)-2-オキソ-2H-クロメン-4-イル)-N-(4-スルファモイルフェネチル)アセトアミド(中間体I-15)を使用することで、表題の化合物を淡黄色の固体として得た(0.008g、0.44%)。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6): δ = 9.53 (s, 1H), 8.29 (t, J = 4.8 Hz, 1H), 8.22 (s, 1H), 7.68 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 7.46 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 8.42 (s, 1H), 7.16 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 6.74-6.70 (m, 2H), 6.54 (d J = 2.4 Hz, 1H), 5.99 (s, 1H), 3.56-3.52 (m, 2H), 3.48 (t, J = 6.0 Hz, 2H), 3.31-3.24 (m, 2H), 2.76-2.70 (m, 4H), 3.02 (s, 6H), 2.63 (t, J = 7.2 Hz, 4H), 1.88 (五重項, J = 7.6 Hz, 4H)。LCMS、純度: 92.26%、m/z 629.40 (MH
+)。
【0186】
実施例16:エチル5-(N-((3,5,6,7-テトラヒドロ-2H-インデノ[5,6-b]フラン-8-イル)カルバモイル)-スルファモイル)フラン-3-カルボキシレート
【化69】
基本方法B1において、8-イソシアナト-3,5,6,7-テトラヒドロ-2H-インデノ[5,6-b]フラン(中間体I-16から基本方法A1を使用して調製)及びエチル5-スルファモイルフラン-3-カルボキシレートを使用することで、エチル5-(N-((3,5,6,7-テトラヒドロ-2H-インデノ[5,6-b]フラン-8-イル)カルバモイル)スルファモイル)フラン-3-カルボキシレートを淡褐色固体として得た(0.25g、50%)。
1H NMR (300 MHz, DMSO-d
6) δ 8.32 (s, 1H), 7.17 (s, 1H), 6.77 (d, J = 5.2 Hz, 1H), 4.43 (t, J = 8.6 Hz, 2H), 4.23 (q, J = 7.1 Hz, 2H), 3.07 (t, J = 8.6 Hz, 2H), 2.71 (t, J = 7.3 Hz, 2H), 2.63 (t, J = 7.3 Hz, 2H), 1.89 (p, J = 7.4 Hz, 2H), 1.26 (t, J = 7.1 Hz, 3H)。
【0187】
実施例17:エチル5-(N-(ベンゾ[1,2-b:4,5-b’]ジフラン-4-イルカルバモイル)スルファモイル)フラン-3-カルボキシレート
【化70】
基本方法B1において、4-イソシアナトベンゾ[1,2-b:4,5-b’]ジフラン(中間体I-17から基本方法A1を使用して調製)及びエチル5-スルファモイルフラン-3-カルボキシレート使用することで、エチル5-(N-(ベンゾ[1,2-b:4,5-b’]ジフラン-4-イルカルバモイル)スルファモイル)フラン-3-カルボキシレートを白色固体として得た(0.05g、53%)。
1H NMR (300 MHz, CD
3OD) δ = 8.25 (s, 1H), 7.72 (d, J 2.1 Hz, 1H), 7.63 (d, J 2.1 Hz, 1H), 7.46 (s, 1H), 7.27 (s, 1H), 6.93 (s, 1H), 6.89 (d, J 2.1 Hz, 1H), 6.86 (d, J 2.1 Hz, 1H), 4.30 (q, J 6.9 Hz, 2H), 1.4 (t, J 6.9 Hz, 3H)。
【0188】
実施例18:メチル2-(N-(1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イルカルバモイル)スルファモイル)-イソニコチネート
【化71】
1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-アミン(0.20g、1.15mmol)の無水THF(5mL)溶液に、トリエチルアミン(0.35g、3.47mmol、3.0当量)を添加し、引き続き0℃でトリホスゲン(0.265g、0.86mmol、0.5当量)を添加し、混合物を周囲温度で3時間撹拌した。混合物を0℃まで冷却し、メチル2-スルファモイルイソニコチネート(0.27g、1.27mmol、1.1当量)を添加し、周囲温度で一晩撹拌を継続した。完了した後、反応混合物を食塩水の中に注ぎ入れ、酢酸エチルで抽出した。合わせた有機抽出物を食塩水で洗浄し、乾燥し(Na
2SO
4)、真空で濃縮した。粗生成物を、EtOAc-ヘキサン溶離液の20~50%の勾配を使用するシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーにより精製することで、メチル2-(N-(1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イルカルバモイル)スルファモイル)イソニコチネートを淡褐色固体として得た(0.31g、65%)。
【0189】
実施例19:3-(1-(3-アミノプロピル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)-N-(3-(N-((1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イル)カルバモイル)スルファモイル)フェニル)プロパンアミド
【化72】
基本方法Cにおいて、N-(3-(N-((1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イル)カルバモイル)スルファモイル)フェニル)ペンタ-4-インアミド(実施例12)及び3-アジドプロパン-1-アミンを使用することで、表題の化合物を白色固体として得た(6mg、43%)。
1H NMR (600 MHz, CD
3OD) δ = 7.85 (s, 1H), 7.55 (t, J = 3.8 Hz, 2H), 7.50 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 7.29 (t, J = 7.9 Hz, 1H), 6.78 (s, 1H), 4.26 (t, J = 6.4 Hz, 2H), 3.00 (t, J = 6.6 Hz, 2H), 2.71 (t, J = 7.3 Hz, 4H), 2.64 - 2.50 (m, 8H), 1.94-2.02 (m, 2H), 1.92 - 1.83 (m, 4H)。
13C NMR (151 MHz, CD
3OD) δ = 173.0, 147.4, 146.8, 144.7, 144.6, 139.5, 139.2, 131.6, 130.0, 129.8, 124.2, 123.9, 123.2, 119.5, 118.6, 48.3, 37.7, 34.0, 31.6, 26.7, 26.6, 22.9。HRMS (ESI)C
27H
34N
7O
4S
[M+H]に対する計算値552.2387、実測値552.2368。
【0190】
実施例20:N-(3-(N-((1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イル)カルバモイル)スルファモイル)-フェニル)-3-(1-(3-((7-ニトロベンゾ[c][1,2,5]オキサジアゾール-4-イル)アミノ)プロピル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)プロパンアミド
【化73】
N-(2-アジドプロピル)-7-ニトロベンゾ[c][1,2,5]オキサジアゾール-4-アミンは、Chun Li,Etienne Henry,Naresh Kumar Mani,Jie Tang,Jean-Claude Brochon,Eric Deprez,and Juan Xie,Eur.J.Org.Chem., 2010,2395-2405に含まれる方法により合成した。4-クロロ-7-ニトロベンゾ[c][1,2,5]オキサジアゾール(300mg、1.5mmol)のTHF(10mL)溶液に、3-アジドプロピルアミン(160mg、1.65mmol)及びCs
2CO
3(480mg、1.5mmol)を添加した。反応混合物を50℃で4時間撹拌した。反応混合物をEtOAc(50mL)に分配し、真空で濃縮した。残渣を、30%EtOAc-石油エーテル溶離液を使用するシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーにより精製することで、N-(2-アジドプロピル)-7-ニトロベンゾ[c][1,2,5]オキサジアゾール-4-アミンを得た(240mg、76%)。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3): δ = 8.50 (d, J = 8.8 Hz, 1 H), 6.57 (s, 1 H, NH), 6.23 (d, J = 8.8 Hz, 1 H), 3.66 (q, J = 6.8 Hz, 2 H),3.59 (J = 6.0 Hz, 2 H), 2.00-2.16 (m, 2H)。
13C NMR (101 MHz, CDCl
3) δ 144.2, 144.0, 143.8, 136.7, 123.7, 98.8, 49.1, 41.6, 27.6。HRMS (ESI):C
9H
10N
7O
3に対する計算値264.0840;実測値264.0711。
【0191】
DMSO(500uL)中で、N-(3-(N-((1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イル)カルバモイル)スルファモイル)フェニル)ペンタ-4-インアミド(実施例12)(10mg、0.022mmol)及びN-(2-アジドプロピル)-7-ニトロベンゾ[c][1,2,5]オキサジアゾール-4-アミン(7.0mg、0.026mmol)、10mol%のTHPTA、5mol%CuSO4、10mol%アスコルビン酸ナトリウムを室温で12時間撹拌した。反応混合物を逆相(Revelerisフラッシュカラムクロマトグラフィー、4g、18mL/min、移動相;10mmolのNH4CO3水溶液、MeCN)を使用して精製し、凍結乾燥することで、生成物を白色固体として得た(7.0mg、44%)。1H NMR (600 MHz, CD3OD) δ = 8.46 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 8.18 (s, 1H), 7.79 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.67 (d, J = 7.9 Hz, 1H), 7.61 (s, 1H), 6.94 (s, 1H), 6.15 (d, J = 9.0 Hz, 1H), 4.46 (t, J = 6.7 Hz, 2H), 3.09 (t, J = 7.0 Hz, 2H), 2.82 (t, J = 7.4 Hz, 4H), 2.77 (t, J = 7.0 Hz, 2H), 2.70 - 2.56 (m, 6H), 2.37 - 2.26 (m, 2H), 1.99 (q, J = 7.3 Hz, 4H)。13C NMR (151 MHz, CD3OD) δ = 172.9, 147.9, 145.4, 140.5, 139.0, 138.4, 130.6, 129.1, 128.0, 125.6, 124.2, 123.6, 120.3, 119.6, 112.4, 70.6, 48.9, 37.2, 34.3, 34.2, 31.7, 30.2, 26.8, 22.3;HRMS (ESI)C33H34N10O7S[M-H]に対する計算値713.2260、実測値713.2290。
【0192】
実施例21:N-(3-(4-(3-((3-(N-((1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イル)カルバモイル)スルファモイル)フェニル)アミノ)-3-オキソプロピル)-1H-1,2,3-トリアゾール-1-イル)プロピル)-5-((3aS,4S,6aR)-2-オキソヘキサヒドロ-1H-チエノ[3,4-d]イミダゾール-4-イル)ペンタンアミド
【化74】
乾燥DMF(10.0ml)中のビオチン(0.4g、1.63mmol)及び3-アジドプロピルアミン(0.2g、1.96mmol)の溶液に、HBTU(0.93g、2.45mmol)を添加し、続いてDIPEA(428uL、2.45mmol)を添加した。反応混合物を室温で12時間撹拌した。反応をLCMSで監視し、反応が完了した後、これをEtOAc(50mL)で希釈し、H
2O(25mL)、食塩水(25mL)で洗浄した。有機層を分離し、乾燥し(MgSO
4)、留去することで粗生成物を得た。粗生成物を、50%EtOAc-ヘキサン溶離液を使用するシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィーにより精製することで、N-(3-アジドプロピル)-5-((3aS,4S,6aR)-2-オキソヘキサヒドロ-1H-チエノ[3,4-d]イミダゾール-4-イル)ペンタンアミドを白色固体として単離した(0.13g、24%)。
1H NMR (400 MHz, CD
3OD) δ = 4.52 (dd, J = 7.9, 5.0 Hz, 1H), 4.32 (dd, J = 7.9, 4.5 Hz, 1H), 3.36 (t, J = 6.7 Hz, 2H), 3.28 (d, J = 6.8 Hz, 2H), 3.21 - 3.14 (m, 1H), 2.93 (dd, J = 12.8, 5.0 Hz, 1H), 2.75 (d, J = 12.8 Hz, 1H), 2.20 (t, J = 7.3 Hz, 2H), 1.78 (q, J = 6.8 Hz, 2H), 1.74 - 1.57 (m, 4H), 1.45 (q, J = 7.5 Hz, 2H)。
13C NMR (101 MHz, CD
3OD) δ = 173.5, 163.4, 61.0, 59.3, 54.7, 48.2, 39.4, 35.8, 34.8, 27.7, 27.5, 27.2, 24.6。
【0193】
DMSO中で、N-(3-(N-((1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イル)カルバモイル)スルファモイル)フェニル)ペンタ-4-インアミド(実施例12)(1.0mmol)及びN-(3-アジドプロピル)-5-((3aS,4S,6aR)-2-オキソヘキサヒドロ-1H-チエノ[3,4-d]イミダゾール-4-イル)ペンタンアミド(2.0mmol)、10mol%のTHPTA、5mol%のCuSO4、10mol%アスコルビン酸ナトリウムを室温で12時間撹拌した。反応混合物を逆相カラムクロマトグラフィーを使用して精製することで、表題の化合物を白色固体として得た(8.0mg、31%);1H NMR (600 MHz, CD3OD) δ = 8.26 (s, 1H), 7.83 - 7.68 (m, 3H), 7.50 - 7.43 (m, 1H), 6.92 (s, 1H), 4.48 (dd, J = 8.0, 4.8 Hz, 1H), 4.41 - 4.22 (m, 3H), 3.18 (dd, J = 6.9, 3.5 Hz, 1H), 3.14 (td, J = 6.7, 1.7 Hz, 2H), 3.12 - 3.06 (m, 2H), 2.90 (dd, J = 12.8, 4.9 Hz, 1H), 2.81 (t, J = 7.7 Hz, 4H), 2.77 (d, J = 7.1 Hz, 1H), 2.71 (s, 1H), 2.62 (t, J = 7.3 Hz, 4H), 2.19 (td, J = 7.4, 1.7 Hz, 2H), 2.05 - 2.01 (m, 2H), 2.00 - 1.95 (m, 4H), 1.76 - 1.57 (m, 4H), 1.43 (q, J = 7.6, 7.1 Hz, 2H)。13C NMR (151 MHz, CD3OD) δ = 174.8, 174.8, 171.6, 171.5, 164.5, 146.2, 143.6, 139.1, 137.7, 129.1, 129.1, 128.7, 128.1, 126.5, 123.7, 122.9, 122.4, 122.2, 120.9, 118.4, 118.4, 118.3, 118.2, 118.2, 117.2, 110.5, 69.0, 61.9, 60.2, 55.6, 39.8, 36.1, 36.0, 35.8, 35.4, 35.4, 32.6, 32.6, 30.0, 29.7, 29.7, 28.6, 28.3, 28.0, 25.3, 25.2, 25.2, 20.9。HRMS (ESI)C37H48N9O6S2 [M+H]に対する計算値778.3163、実測値778.3145。
【0194】
実施例22:N-((1-(3-(N-((1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イル)カルバモイル)スルファモイル)フェニル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)メチル)-5-((3aS,4S,6aR)-2-オキソヘキサヒドロ-1H-チエノ[3,4-d]イミダゾール-4-イル)ペンタンアミド
【化75】
5-((3aS,4S,6aR)-2-オキソヘキサヒドロ-1H-チエノ[3,4-d]イミダゾール-4-イル)-N-((1-(3-スルファモイルフェニル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)メチル)ペンタンアミドは、DMSO中で、5-((3aS,4S,6aR)-2-オキソヘキサヒドロ-1H-チエノ[3,4-d]イミダゾール-4-イル)-N-(プロパ-2-イン-1-イル)ペンタンアミド(1.0mmol)及び3-アジドベンゼンスルホンアミド(2.0mmol)、10mol%のTHPTA、5mol%のCuSO
4、10mol%のNaAscを室温で12時間撹拌することを使用して合成した。生成物の形成はLCMSで観察した。反応が完了した後、反応混合物をHPLC精製(Revelerisフラッシュカラムクロマトグラフィー、4g、18mL/min、移動相;10mmolのNH
4CO
3水溶液、MeCN)することで、5-((3aS,4S,6aR)-2-オキソヘキサヒドロ-1H-チエノ[3,4-d]イミダゾール-4-イル)-N-((1-(3-スルファモイルフェニル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)メチル)ペンタンアミドを白色固体として単離し(24mg、47%)、これを直接使用した。
【0195】
窒素雰囲気下、5-((3aS,4S,6aR)-2-オキソヘキサヒドロ-1H-チエノ[3,4-d]イミダゾール-4-イル)-N-((1-(3-スルファモイルフェニル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)メチル)ペンタンアミド(15mg、0.031mmol)のTHF(5.0mL)溶液に、DIPEA(605μL、0.037mmol)を添加した。この混合物を室温で15分間撹拌した。4-イソシアナト-1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン(基本方法A2を使用して調製)(705mg、0.037mmol)のTHF溶液を滴加した。反応混合物を室温で一晩撹拌し、次いで溶媒を真空下で除去することで粗製化合物を得た。これを10mMの(NH4)2CO3水溶液及びMeCN移動相を使用する逆相カラムクロマトグラフィーにより精製することで、表題の化合物を白色固体として単離した(5.2mg、24%)。1H NMR (600 MHz, CD3OD) δ = 8.53 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 8.50 (d, J = 7.5 Hz, 1H), 8.22 - 8.11 (m, 2H), 7.86 - 7.78 (m, 1H), 6.99 (s, 1H), 4.62 (s, 2H), 4.57 - 4.49 (m, 1H), 4.38 - 4.31 (m, 1H), 3.27 - 3.20 (m, 1H), 3.00 - 2.84 (m, 4H), 2.78 - 2.70 (m, 4H), 2.36 (t, J = 7.2 Hz, 2H), 2.06 (q, J = 7.4 Hz, 4H), 1.83 - 1.73 (m, 3H), 1.71 - 1.63 (m, 1H), 1.54 - 1.43 (m, 3H)。13C NMR (151 MHz, CD3OD) δ = 174.6, 164.5, 146.1, 145.4, 143.6, 137.7, 137.2, 130.5, 125.9, 123.4, 121.1, 117.8, 110.6, 61.8, 60.2, 55.5, 47.7, 47.6, 39.8, 3.2, 34.3, 32.6, 30.14, 28.2, 27.9, 25.3, 25.2。HRMS (ESI)C32H39N8O5S2 [M+H]に対する計算値679.2479、実測値679.2456。
【0196】
実施例23:N-(4-(N-((1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イル)カルバモイル)スルファモイル)-フェネチル)-2-メトキシベンズアミド
【化76】
4-(2-アミノエチル)-N-((1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イル)カルバモイル)-ベンゼンスルホンアミド(中間体I-23;50mg、125.2umol)のDMF(1mL)溶液に、2-メトキシ安息香酸(21mg、137.7umol)、HATU(57mg、150.2umol)、及びトリエチルアミン(25mg、250umol)を添加した。混合物を25℃で1時間撹拌した後、水(5mL)で反応をクエンチし、ジクロロメタン(3×15mL)で抽出した。合わせた有機層を食塩水(3×15mL)で洗浄し、乾燥し(Na
2SO
4)、濾過し、揮発性物質を減圧下で除去した。残渣を分取HPLCにより精製することで、表題の化合物を白色として得た(5.3mg、収率8%)。
1H NMR (CD
3OD) δ 7.97-7.95 (d, 2 H), 7.92-7.90 (dd, 1 H), 7.48 - 7.43 (m, 3 H), 7.06 - 7.03 (m, 2 H), 6.87 (s, 1 H), 3.77 (s, 3 H), 3.74-3.70 (t, 2 H), 3.01 (t, 2 H), 2.82-2.78 (m, 4 H), 2.69-2.65 (m, 4 H) 及び1.00-1.92 (m, 4 H)。
LCMS:m/z 534.2 (M+H)
+
【0197】
実施例24:N-(4-(N-((1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イル)カルバモイル)スルファモイル)-フェネチル)-2,3-ジヒドロベンゾフラン-7-カルボキサミド
【化77】
N-(4-(N-((1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イル)カルバモイル)-スルファモイル)フェネチル)-2-メトキシベンズアミド(実施例23)について記載した通りに調製することで、表題の化合物を白色固体として得た(17%)。
1H NMR (CD
3OD) δ 8.00 - 7.98 (d, 2 H), 7.73 - 7.71 (d, 1 H), 7.51 - 7.49 (d, 2 H), 7.36-7.34 (d, 1 H), 6.97-6.93 (m, 1 H), 6.90 (s, 1 H), 4.59 - 4.55 (t, 2 H), 3.74-3.72 (m, 2 H), 3.15 - 3.11 (m, 2 H), 3.05 -3.03 (m, 2 H), 2.80 - 2.79 (t, 4 H), 2.62 - 2.58 (t, 4 H) 及び1.98-1.92 (m, 4 H)。
LCMS: m/z 546.3 (M+H)
+
【0198】
実施例25:N-(4-(N-((1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イル)カルバモイル)-スルファモイル)フェネチル)-5,6,7,8-テトラヒドロイミダゾ[1,2-a]ピリジン-2-カルボキサミド
【化78】
N-(4-(N-((1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イル)カルバモイル)-スルファモイル)フェネチル)-2-メトキシベンズアミド(実施例23)について記載した通りに調製することで、表題の化合物を白色固体として得た(17%)。
【0199】
1H NMR (CD3OD) δ 7.96-7.94 (d, 2 H), 7.49 - 7.47 (m, 3 H), 6.94 (s, 1 H), 4.05 - 4.02 (t, 2 H), 3.66-3.62 (t, 2 H), 3.03 - 3.00 (m, 2 H), 2.85 - 2.82 (m, 6 H), 2.64 - 2.61 (m, 4 H) 及び2.03 - 1.97 (m, 8 H)。
LCMS: m/z 548.3 (M+H)+
【0200】
実施例26:4-(2-(3-シクロペンチルウレイド)エチル)-N-((1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イル)カルバモイル)ベンゼンスルホンアミド
【化79】
4-(2-アミノエチル)-N-((1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イル)カルバモイル)-ベンゼンスルホンアミド(中間体I-23;60mg、150.2umol)のTHF(1.5mL)溶液に、イソシアナトシクロペンタン(17mg、150.2umol)を添加した。混合物を25℃で2時間撹拌した後、反応混合物を真空で濃縮した。残渣を分取HPLCにより精製することで、表題の化合物を白色固体として得た(5.1mg、収率7%)。
1H NMR (CD
3OD) δ 7.93-7.91 (d, 2 H), 7.38-7.36 (d, 2 H), 6.90 (s, 1 H), 3.98- 3.95 (m, 1 H), 3.41 - 3.38 (m, 2 H), 2.92 - 2.78 (m, 6 H), 2.67 (t, 4 H), 2.04-1.96 (m, 4 H), 1.93 - 1.84 (m, 2 H), 1.76 - 1.52 (m, 4 H) 及び1.42 - 1.29 (m, 2 H)。
LCMS: m/z 511.2 (M+H)
+
【0201】
実施例27:4-(2-(3-ベンジルウレイド)エチル)-N-((1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イル)カルバモイル)ベンゼンスルホンアミド
【化80】
4-(2-(3-シクロペンチルウレイド)エチル)-N-((1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イル)カルバモイル)ベンゼンスルホンアミド(実施例26)について記載した通りに調製することで、表題の化合物を白色固体として得た(15%)。
1H NMR (CD
3OD) δ 7.93 - 7.91 (d, 2 H), 7.38 - 7.23 (m, 7 H), 6.90 (s, 1 H), 4.30 (s, 2 H), 3.44 - 3.42 (m, 2 H), 2.89 - 2.80 (m, 6 H), 2.68 - 2.66 (m, 4 H) 及び 2.03-1.97 (m, 4 H)。
LCMS: m/z 533.3 (M+H)
+
【0202】
実施例28:N-((1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イル)カルバモイル)-4-(2-(3-フェネチルウレイド)エチル)ベンゼンスルホンアミド
【化81】
4-(2-(3-シクロペンチルウレイド)エチル)-N-((1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イル)カルバモイル)ベンゼンスルホンアミド(実施例26)について記載した通りに調製することで、表題の化合物を白色固体として得た(8%)。
1H NMR (DMSO-d
6) δ 7.82 (s, 1 H), 7.78 - 7.76 (d, 2 H), 7.31 - 7.27 (m, 4 H), 7.20 - 7.17 (m, 3 H), 6.84 (s, 1 H), 5.92 -5.88 (m, 2 H), 3.25-3.20 (m, 4 H), 2.76 - 2.72 (m, 6 H), 2.68 - 2.66 (m, 2 H), 2.60 - 2.56 (m, 4 H), 及び 1.92 - 1.89 (m, 4 H)。
LCMS: m/z 547.2 (M+H)
+
【0203】
実施例29:2-エチル-N-(4-(N-((1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イル)カルバモイル)-スルファモイル)フェネチル)ピリミジン-5-カルボキサミド
【化82】
N-(4-(N-((1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イル)カルバモイル)-スルファモイル)フェネチル)-2-メトキシベンズアミド(実施例23)について記載した通りに調製することで、表題の化合物を白色固体として得た(8%)。
1H NMR (DMSO-d
6) δ 10.75 (s, 1 H), 9.03 (s, 2 H), 8.90 - 8.87 (br t, 1 H), 8.03 (s, 1 H), 7.86 -7.84 (d, 2 H), 7.48 - 7.46 (d, 2 H), 6.90 (s, 1 H), 3.55-3.53 (m, 2 H), 3.01-2.88, (m, 4 H), 2.76-2.74 (m, 4 H), 2.54-2.51 (m, 4 H), 1.92-1.88 (m, 4 H) 及び 1.31 - 1.27 (t, 3 H)。
LCMS: m/z 534.1 (M+H)
+
【0204】
実施例30:N-(4-(N-((1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イル)カルバモイル)-スルファモイル)-フェネチル)-4-メトキシベンズアミド
【化83】
N-(4-(N-((1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イル)カルバモイル)-スルファモイル)フェネチル)-2-メトキシベンズアミド(実施例23)について記載した通りに調製することで、表題の化合物を白色固体として得た(15%)。
1H NMR (DMSO-d
6) δ 10.80 (br, s, 1 H), 8.46-7.43 (m, 1 H), 8.01 - 8.00 (m, 1 H), 7.85-7.78 (m, 4 H), 7.46-7.44 (m, 2 H), 7.01-6.99 (d, 2 H), 6.90 (s, 1 H), 3.79 (s, 3 H), 3.51-3.47, (m, 2 H), 2.92 (br t, 2 H), 2.77- 2.73 (m, 4 H), 2.53-2.51 (m, 4H) 及び1.94-1.89 (m, 4 H)。
LCMS: m/z 534.2 (M+H)
+
【0205】
実施例31:N-((1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イル)カルバモイル)-4-(2-(3-(4-メトキシフェニル)ウレイド)エチル)ベンゼンスルホンアミド
【化84】
4-(2-(3-シクロペンチルウレイド)エチル)-N-((1,2,3,5,6,7-ヘキサヒドロ-s-インダセン-4-イル)カルバモイル)ベンゼンスルホンアミド(実施例26)について記載した通りに調製することで、表題の化合物を白色固体として得た(8%)。
1H NMR (DMSO-d
6) δ 8.27 (s, 1 H), 7.94 (s, 1 H), 7.84-7.82 (d, 2 H), 7.42-7.40 (d, 2 H), 7.28-7.26 (d, 2 H), 6.88 (s, 1 H), 6.81-6.79 (d, 2 H), 6.05-6.02 (t, 1 H), 3.69 (s, 3 H), 3.30-3.32 (m, 2 H), 2.83-2.80 (t, 2 H), 2.78-2.74 (t, 4 H), 2.58-2.55 (m, 4 H) 及び 1.98-1.87 (m, 4 H)。
LCMS: m/z 549.2 (M+H)
+
【0206】
実施例-生物学的試験
NLRP3阻害
多数の上記化合物のNLRP3阻害効果は、リポ多糖(LPS)でプライミングし、試験化合物(最大濃度200μM)で処理し、最後にNLRP3刺激ATPで刺激したマウス骨髄由来マクロファージ(BMDM)からのIL-1β分泌を測定することにより試験した。50%阻害濃度(IC50)を各化合物について決定し、市販の経口スルホニル尿素(CE1~6)及び既知のNLRP3阻害剤MCC950(CE7)を含む多数の比較例(CE1~10)と比較した。実験プロトコルは以下の通りであった。結果は下の表1に示されている。
【0207】
マウス初代マクロファージ細胞培養:C57BL/6マウスからのマクロファージを、以前に記載されている通りに骨髄から分化させた(Schroder et al. Proceedings of the National Academy of Sciences, 2012, 109, E944-E953)。The University of Queensland Animal Ethics Committeeは、マウスを含む全ての実験プロトコルを承認した。マウス骨髄由来マクロファージ(BMDM)は、10%熱不活性化ウシ胎児血清、2mMのGlutaMAX(Life Technologies)、及び50U/mLのペニシリン-ストレプトマイシン(Life Technologies)、及び100ng/mLの組換えヒトM-CSF(エンドトキシンフリー、University of Queensland Protein Expression Facilityにより発現及び精製)を添加したRPMI1640培地(Life Technologies)中で培養した。
【0208】
NLRP3インフラマソームアッセイ:BMDMを96ウェルプレートに1×106細胞/mLで播種した。翌日、一晩おいた培地をOpti-MEM(登録商標)還元血清培地(Life Technologies)と交換し、細胞を100ng/mLの超高純度E.coliK12LPS(Invivogen)で3時間刺激した。化合物は、DMSO80%/10mM重炭酸アンモニウム20%で段階希釈することにより、10mMストックから調製した。化合物(0.001~200μM)または媒体対照を、LPSによりプライミングした細胞に30分間添加してから、2.5mMのアデノシン5’-三リン酸二ナトリウム塩水和物(ATP)(Sigma Aldrich)で1時間刺激した。無細胞上清のIL-1βレベルをELISA(ReadySetGo!(登録商標)eBioscience)により分析した。
【0209】
NLRP3データ分析:IC
50値は、Prism Software(GraphPad)を使用して、阻害剤対正規化応答(可変傾斜)の非線形回帰分析を行うことにより、ELISAデータから決定した。
【表2A】
【表2B】
【0210】
上から明らかなように、驚くべきことに、本発明の化合物は、構造の相違にもかかわらず、公知のNLRP3阻害剤MCC950に匹敵するNLRP3阻害活性を示し、比較例CE1~6の市販のスルホニル尿素よりも非常に優れた阻害活性を示す。したがって、本発明の化合物は、NLRP3の過剰活性に関連する障害の治療に応用されるであろう。
【0211】
本発明の化合物のNLRP3阻害活性を更に確認するために、以下のプロトコルに従って、マウス骨髄由来マクロファージ(BMDM)またはヒト単球由来マクロファージ(HMDM)のいずれかを使用してIL-1β分泌を測定することにより、追加のアッセイを行った。結果は下の表2に示されている。表から分かるように、本発明の化合物は、高レベルの有効性を示す。
【0212】
HMDM細胞培養:HMDMを生成するために、Ficoll-Plaque Plus(GE Healthcare)及び密度遠心分離法を使用して、バフィコート血液からヒト単球を分離する。CD14+細胞の選択は、MACS磁気ビーズ(Miltenyl Biotec)を使用して行う。分離したCD14+単球は、Croker et al.,Immunol Cell Biol 2013,vol.91,p.625に記載の通りに10%FBS及び1%ペニシリン/ストレプトマイシン(Life Technologies)が補給されたL-グルタミンを含むイスコフ改変ダルベッコ培地(IMDM)中で10ng/mlのヒトCSF-1(Miltenyl Biotec)を用いて7日間培養して分化させる。
【0213】
BMDM細胞培養:マウス骨髄由来マクロファージ(BMDM)は、C57BL/6マウスの大腿骨及び脛骨から分離された骨髄前駆細胞由来であった。骨を培地で洗い流し、骨髄細胞を、10%の熱不活性化FCS、2mMのGlutaMAX(Life Technologies)、50U/mlのペニシリン-ストレプトマイシン(Life Technologies)、及び150ng/mlの組換えヒトM-CSF(エンドトキシンフリー、The University of Queensland Protein Expression Facilityにより発現及び精製)が補給されたRPMI1640培地中で7日間培養した。
【0214】
HMDM NLRP3インフラマソームアッセイ:HMDMは1×105/mlで播種する。翌日、一晩おいた培地を交換し、細胞をEscherichia coli血清型0111:B4(Sigma Aldrich)で3時間刺激する。NLRP3刺激の30分前に、培地を除去し、試験化合物を含む無血清培地(SFM)と交換する。その後、アデノシン5’-三リン酸二ナトリウム塩水和物(5mM、1時間)、ニゲリシン(10μM、1時間)、LeuLeu-OMe(1mM、2時間)、またはMSU(200μg/ml、15時間)で細胞を刺激する。ATPはSigma Aldrichから、ニゲリシン及びMSUはInvivogenから、LeuLeu-OmeはChem-Impex Internationalから調達することができる。
【0215】
BMDM NLRP3インフラマソームアッセイ:BMDMは1×105/mlで播種する。翌日、一晩おいた培地を交換し、細胞をEscherichia coliK12株(InvivoGen)由来のUltrapureリポ多糖で3時間刺激する。NLRP3刺激の30分前に、培地を除去し、試験化合物を含む無血清培地(SFM)と交換する。その後、アデノシン5’-三リン酸二ナトリウム塩水和物(1.25~5mM、1時間)、ニゲリシン(5μM、1時間)、LeuLeu-OMe(1mM、2時間)、またはMSU(200μg/ml、15時間)で細胞を刺激する。ATPはSigma Aldrichから、ニゲリシン及びMSUはInvivogenから、LeuLeu-OmeはChem-Impex Internationalから調達することができる。
【0216】
IL-1β分泌の測定:ELISAアッセイのために、細胞を96ウェルプレートに播種する。上清を除去し、製造元の指示(DuoSet(登録商標)R&D Systems、ReadySetGo!(登録商標)eBioscience、BD OptEIA(商標)、またはPerkin Elmer AlphaLISA(登録商標))に従ってELISAキットを使用して分析する。
【表3A】
【表3B】
【0217】
インスリン分泌
本発明の化合物のインスリン分泌刺激特性を確認するために、単一濃度(10μM)でのMIN6細胞からのインスリン分泌を刺激する能力を以下のプロトコルを使用して試験した。試験は、the Garvan Institute of Medical Research,Sydney,Australiaによって行われた。
【0218】
MIN6インスリンアッセイプロトコル:MIN6細胞(29~37継代)を、2.8mMのグルコースを含むKrebs-Ringer緩衝液(KRB)中で1時間インキュベートした。その後、細胞を、2.8mMのグルコースKRB、20mMのグルコースKRB、または2.8mMのグルコースKRBと試験化合物のいずれかで1時間刺激した。上清を回収し、その後ラットインスリン放射免疫測定キット(RI-13K、Merck Millipore)を使用してアッセイを行った。
【0219】
インスリン分泌を刺激する本発明の化合物の能力を、市販のインスリン分泌刺激剤グリブリド(CE2)及び多数のNLRP3阻害剤(CE7~10)(阻害剤MCC-950(CE7)等)と比較した。結果を
図1示す。
【0220】
明らかなように、本発明の化合物は、注目すべきことに、尿素置換基の大幅な構造修飾にもかかわらず、グリブリド(CE2)に匹敵する、あるいは更に優れた有効性を示す。しかし、グリブリドはNLRP3阻害剤としては弱い活性しか有さない。対照的に、上述したように、本発明の化合物は強力なNLRP3阻害剤である。
【0221】
図1は更に、全てのNLRP3阻害剤がインスリン分泌を誘導する能力を持っているわけではないことを示している。例えば、公知のNLRP3阻害剤MCC-950(CE7)は、基礎レベルのインスリン分泌をもたらすのみである一方で、比較のNLRP3阻害剤であるCE8~10についても同じことがいえる。理論に拘束されることを望むものではないが、環状スルホニル置換基に結合しているカルボニル含有基の存在は、本発明の化合物にインスリン分泌を誘導する能力を付与すると考えられる。
【0222】
そのため、NLRP3の阻害とインスリン分泌の刺激の両方の能力を有する二重の活性を特異的に有する新規な分類の化合物が発見されたことが明らかである。このような化合物は、NLRP3の阻害とインスリン分泌の刺激の両方に応答する障害の治療、及び適切な併存疾患のある患者の治療において、明確な薬物動態、調節、及び臨床上の利点を提供する。
【0223】
本発明は例示目的のみで上で説明されたことが理解されるであろう。実施例は、本発明の範囲の限定を意図するものではない。添付の特許請求の範囲によってのみ定義される本発明の範囲及び趣旨から逸脱することなしに、様々な修正及び実施形態を行うことができる。