(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-12
(45)【発行日】2022-05-20
(54)【発明の名称】デューティ制御を用いた効果的なバッテリセルのバランシング方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
H02J 7/02 20160101AFI20220513BHJP
H02J 7/04 20060101ALI20220513BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20220513BHJP
【FI】
H02J7/02 H
H02J7/04 N
H02J7/02 J
H01M10/48 P
H01M10/48 301
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020117776
(22)【出願日】2020-07-08
(62)【分割の表示】P 2018535371の分割
【原出願日】2017-10-17
【審査請求日】2020-07-09
(31)【優先権主張番号】10-2016-0137840
(32)【優先日】2016-10-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ソン・ジュ・ホン
(72)【発明者】
【氏名】ドン・ヒョン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ソグ・ジン・ユン
【審査官】坂東 博司
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-115101(JP,A)
【文献】特開2015-133766(JP,A)
【文献】特開2014-183727(JP,A)
【文献】特開2015-070653(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0113280(US,A1)
【文献】国際公開第2013/021589(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/02
H02J 7/04
H01M 10/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリパックに組み込まれている少なくとも2つ以上の
直列接続されたバッテリセルの電圧をバランシングするバッテリセルのバランシングシステムにおいて、
2つ以上の
直列接続されたバッテリセルを備えてなるバッテリパックと、
バッテリセルバランシングを制御するバッテリ管理部と、
を備え、
前記バッテリ管理部は、
各バッテリセルのバランシング動作条件の充足の有無を判断し、その判断結果に基づいて、
各バッテリセルに対応して並列接続で設けられたセルバランシング制御電界効果トランジスタにオン/オフ信号を印加してセルバランシング動作を制御するセルバランシング動作制御部と、
セルバランシング動作が行われる間に
、前記セルバランシング制御電界効果トランジスタに直列接続されたセルバランシング抵抗を流れるセルバランシング電流の大きさを測定するセルバランシング電流算出部と、
セルバランシング動作が行われる間に流れる前記セルバランシング電流によって発生する
前記セルバランシング抵抗の温度を算出するセルバランシング抵抗温度算出部と、
前記算出されたセルバランシング抵抗の温度値に応じたセルバランシング制御電界効果トランジスタのオン/オフ周期に対するデューティ比を算出するデューティ比算出部と、
前記バッテリセルの電圧を検出する電圧検出部と、
を備え、
前記電圧検出部は、
前記バッテリセルの電圧の偏差を算出し、前記バッテリセルのそれぞれの電圧偏差のうちの少なくとも1つ以上が所定の基準値以上である場合、バッテリセルバランシングを行う必要があると判断して、バランシングを行う必要があるセルを検出するセル検出部と、
前記セルバランシング制御電界効果トランジスタがオフにされた後、セルバランシングが適用されたセルの電圧を検出し、所定の基準値と比較してセルバランシングの成否を判断するセルバランシング電圧検出部と、
を備え、
前記セルバランシング電圧検出部は、前記セルバランシング制御電界効果トランジスタがオフにされ所定の時間が経過してセル電圧が開回路電圧(OCV)に回復された後に動作し、
前記デューティ比算出部は、前記セルバランシング抵抗温度算出部において算出された抵抗の温度値が属する温度区間を検出し、前記検出された温度区間に対応するセルバランシング制御電界効果トランジスタのオン/オフ信号のデューティ比を算出して、前記セルバランシング動作制御部に与え、
前記温度区間が、30℃以下と、30℃超40℃以下と、40℃超50℃
以下と、50℃超60℃以下と、60℃超65℃以下と、65℃超とのうちのいずれかであることを特徴とするバッテリセルのバランシングシステム。
【請求項2】
前記セルバランシング動作制御部は、
セルバランシングが始まる段階では、セルバランシング制御電界効果トランジスタを所定のデューティ比を有するオン/オフ制御信号で制御し、その後、セルバランシング動作の際に発生する抵抗の温度に応じて算出されたデューティ比でセルバランシング制御電界効果トランジスタのオン/オフを制御することを特徴とする請求項1に記載のバッテリセルのバランシングシステム。
【請求項3】
バッテリパックに組み込まれている少なくとも2つ以上の
直接接続されたバッテリセルの電圧をバランシングするバッテリセルのバランシング方法において、
各バッテリセルのバランシング動作条件の充足の有無を判断し、その判断結果に基づいて、
各バッテリセルに対応して並列接続で設けられたセルバランシング制御電界効果トランジスタにオン/オフ信号を印加してセルバランシング動作を制御するセルバランシング動作判断ステップと、
セルバランシング動作が行われる間に
、前記セルバランシング制御電界効果トランジスタに直列接続されたセルバランシング抵抗を流れるセルバランシング電流の大きさを測定して算出するセルバランシング電流算出ステップと、
セルバランシング動作が行われる間に流れる
前記セルバランシング電流によって発生する
前記セルバランシング抵抗の温度を算出するセルバランシング抵抗温度算出ステップと、
前記算出されたセルバランシング抵抗の温度値に応じたセルバランシング制御電界効果トランジスタのオン/オフ周期に対するデューティ比を算出するデューティ比算出ステップと、
前記算出されたデューティ比に基づいて、セルバランシング制御電界効果トランジスタにオン/オフ信号を印加してセルバランシング動作を行うセルバランシング動作ステップと、
前記バッテリセルの電圧を検出する電圧検出ステップと、
を含み、
前記電圧検出ステップにおいては、前記セルバランシング制御電界効果トランジスタがオフにされ所定の時間が経過してセル電圧が開回路電圧(OCV)に回復された後にセルバランシングが適用されたセルの電圧を検出し、所定の基準値と比較してセルバランシングの成否を判断し、
前記デューティ比算出ステップにおいては、前記セルバランシング抵抗温度算出ステップにおいて算出された抵抗の温度値が属する温度区間を検出し、前記検出された温度区間に対応するセルバランシング制御電界効果トランジスタのオン/オフ信号のデューティ比を算出し、
前記温度区間が、30℃以下と、30℃超40℃以下と、40℃超50℃
以下と、50℃超60℃以下と、60℃超65℃以下と、65℃超とのうちのいずれかであることを特徴とするバッテリセルのバランシング方法。
【請求項4】
前記セルバランシング動作判断ステップにおいては、
セルバランシング動作が始まる段階では、セルバランシング制御電界効果トランジスタを所定のデューティ比を有するオン/オフ制御信号でオン/オフ制御し、その後、デューティ比算出ステップにおいて算出されるセルバランシング制御電界効果トランジスタ(FET)のオン/オフデューティ比に基づいて、オン/オフ信号を印加することを特徴とする請求項3に記載のバッテリセルのバランシング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デューティ比制御を用いたバッテリセルバランシングに係り、更に詳しくは、バッテリセルバランシングの際に前記セルに流れる電流によって発生する抵抗の温度を検出して、これに伴うセルバランシングのデューティ比を算出し、前記セルバランシング動作の開始から所定の時間が経過後にバッテリセルの電圧を検出することにより、正確性及び効率性が向上したバッテリセルバランシングの方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、エネルギー蓄積装置、電気自動車、携帯用電子機器などの充電可能な電気貯蔵装置を必要とする装置に搭載されるバッテリパックは、直列又は並列に接続された多数のバッテリセルを備える。前記多数のバッテリセルが組み込まれているバッテリパックを放電すれば、各セルの自己放電率の違いによって、時間の経過に伴い前記各セルの充電状態の違いが生じる。このような充電状態のバラツキがある状態でバッテリパックの放電が行われ続ければ、充電状態が低い特定のセルが過放電されて前記バッテリパックの安定的な動作が行われ難くなる。なお、充電過程において特定のバッテリセルが過充電される場合も同様に、バッテリパックの安定的な動作を妨げる要因である。
【0003】
このようにして発生する特定のバッテリセルの過充電又は過放電は、バッテリパックの容量を減らすだけではなく、前記バッテリパックを劣化させ、しかも、寿命を短縮させるという問題を引き起こす虞がある。
【0004】
したがって、バッテリパックを効率よく管理するための方法であって、前記バッテリパックを構成するバッテリセルのそれぞれの電圧差が所定の許容範囲内に収まるように、或いは、それに等しくなるように調節するバッテリセルのバランシングは必ず行われなければならない。
【0005】
従来には、バッテリセルの充電状態に対する前記バッテリセルの開放電圧の変化が基準値以上であるか、或いは、基準値以下である場合、バランシングの対象となるセルを選択して所定の時間の間にバランシング動作を行う方法、バッテリセルのバランシング制御動作の間にリアルタイムにて各バッテリセルの電圧をモニタリングして前記バランシング動作の完了の有無を判断する方法、又はバッテリセルのそれぞれの電圧を測定し、前記測定された電圧のうちのいずれか1つをバランシング基準電圧に設定して基準電圧に従う充放電を通じてバランシングを行う方法などを用いてバッテリセル間のバランシングを行っていた。
【0006】
しかしながら、上記の従来の方法は、バッテリセルバランシング中に流れる持続的な電流による抵抗の発熱問題が存在し、前記バッテリセルバランシングの開始から電圧検出時点までの所要時間がセルバランシングの際に流れる電流の大きさを問わずに一定しているため、前記バッテリセルバランシングの正確性及び効率性が低下するという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上述した問題を解消するために案出されたものであり、セルバランシングの際に流れる電流によって抵抗に発生する発熱問題を極力抑え、前記セルバランシングの開始から電圧検出時点までの時間を制御して効率性を向上させるバッテリのセルバランシング方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の目的を達成するためのバッテリセルのバランシングシステムは、2つ以上のバッテリセルを備えてなるバッテリパックと、前記バッテリセルバランシングを制御するバッテリ管理部と、を備えてなり、前記バッテリ管理部は、バッテリセルのバランシング動作条件の充足の有無を判断し、その判断結果に基づいて、セルバランシング制御電界効果トランジスタ(FET)にオン/オフ信号を印加してセルバランシング動作を制御するセルバランシング動作制御部と、セルバランシング動作が行われる間にセルバランシング電流の大きさを測定するセルバランシング電流算出部と、セルバランシング動作が行われる間に流れる前記セルバランシング電流によって発生するセルバランシング抵抗の温度を算出するセルバランシング抵抗温度算出部と、前記算出されたセルバランシング抵抗の温度値に応じたセルバランシング制御電界効果トランジスタ(FET)のオン/オフ周期に対するデューティ比を算出するデューティ比算出部と、前記バッテリセルの電圧を検出する電圧検出部と、を備えてなる。
【0009】
一方、前記デューティ比算出部は、前記セルバランシング抵抗温度算出部において算出された抵抗の温度値が属する温度区間を検出し、前記検出された温度区間に対応するセルバランシング制御電界効果トランジスタ(FET)のオン/オフ信号のデューティ比を算出して、前記セルバランシング動作制御部に与えることを特徴とする。
【0010】
一方、前記電圧検出部は、前記バッテリセルの電圧の偏差を算出し、前記バッテリセルのそれぞれの電圧偏差のうちの少なくとも1つ以上が所定の基準値以上である場合、バッテリセルバランシングを行う必要があると判断して、バランシングを行う必要があるセルを検出するセル検出部と、前記セルバランシング制御電界効果トランジスタ(FET)がターンオフされた後、セルバランシングが適用されたセルの電圧を検出し、所定の基準値と比較してセルバランシングの成否を判断するセルバランシング電圧検出部と、を備えてなることを特徴とする。
【0011】
ここで、前記セルバランシング電圧検出部は、前記セルバランシング制御電界効果トランジスタ(FET)がターンオフされた後、所定の時間が経過した後に動作することを特徴とする。
【0012】
前記セルバランシング動作制御部は、セルバランシングが始まる段階では、セルバランシング制御電界効果トランジスタ(FET)を所定のデューティ比を有するオン/オフ制御信号で制御し、その後、セルバランシング動作の際に発生する抵抗の温度に応じて算出されたデューティ比でセルバランシング制御電界効果トランジスタ(FET)のオン/オフを制御することを特徴とする。
【0013】
また、本発明の目的を達成するためのバッテリセルのバランシング方法は、バッテリセルのバランシング動作条件の充足の有無を判断し、その判断結果に基づいて、セルバランシング制御電界効果トランジスタ(FET)にオン/オフ信号を印加してセルバランシング動作を制御するセルバランシング動作判断ステップと、セルバランシング動作が行われる間に流れるセルバランシング電流の大きさを測定して算出するセルバランシング電流算出ステップと、セルバランシング動作が行われる間に流れるセルバランシング電流によって発生するセルバランシング抵抗の温度を算出するセルバランシング抵抗温度算出ステップと、前記算出されたセルバランシング抵抗の温度値に応じたセルバランシング制御電界効果トランジスタ(FET)のオン/オフ周期に対するデューティ比を算出するデューティ比算出ステップと、前記算出されたデューティ比に基づいて、セルバランシング制御電界効果トランジスタ(FET)にオン/オフ信号を印加してセルバランシング動作を行うセルバランシング動作ステップと、前記バッテリセルの電圧を検出する電圧検出ステップと、を含んでなる。
【0014】
一方、前記デューティ比算出ステップにおいては、前記セルバランシング抵抗温度算出ステップにおいて算出された抵抗の温度値が属する温度区間を検出し、前記検出された温度区間に対応するセルバランシング制御電界効果トランジスタ(FET)のオン/オフ信号のデューティ比を算出することを特徴とする。
【0015】
一方、前記電圧検出ステップにおいては、前記セルバランシング制御電界効果トランジスタ(FET)がターンオフされた後、所定の時間が経過した後に前記セルバランシングが適用されたセルの電圧を検出し、所定の基準値と比較してセルバランシングの成否を判断することを特徴とする。
【0016】
一方、前記セルバランシング動作判断ステップにおいては、セルバランシング動作が始まる段階では、セルバランシング制御電界効果トランジスタ(FET)を所定のデューティ比を有するオン/オフ制御信号でオン/オフ制御し、その後、デューティ比算出ステップにおいて算出されるセルバランシング制御電界効果トランジスタ(FET)のオン/オフデューティ比に基づいて、オン/オフ信号を印加することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、バッテリのセルバランシング動作の際に流れる電流によって発生する抵抗の温度に応じて算出されたセルバランシングデューティ比を用いてセルバランシングを行い、所定の時間が経過した後に電圧を検出することにより、電圧の測定の正確性を向上させ、前記セルバランシング動作の際に流れる電流によって発生する抵抗の発熱問題を効果的に制御することができて、効率性が向上したバッテリセル間のバランシングが行われる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の構成の実施形態を示す回路図である。
【
図2】本発明の全体的なシステムのブロック図である。
【
図4】セルバランシングの全体的な動作に伴う比較例である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面に基づいて、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者が実施し易いように本発明の実施形態について詳細に説明する。しかしながら、本発明は色々な異なる形態に具体化可能であり、ここで説明する実施形態に何ら限定されない。なお、図中、本発明を明確に説明するために説明とは無関係な部分は省略し、明細書の全般に亘って、類似する部分に対しては類似する図面符号を付している。
【0020】
明細書の全般に亘って、ある部分が他の部分と「接続」されているとしたとき、これは、「直結」されている場合だけではなく、これらの間に他の素子を挟んで「電気的に接続」されている場合も含む。なお、ある部分がある構成要素を「備える」としたとき、これは、特に断りのない限り、他の構成要素を排除するものではなく、他の構成要素を更に備え得るということを意味する。本願明細書の全体において用いられる程度の用語「~するステップ」又は「~のステップ」は、「~のためのステップ」を意味しない。
【0021】
本発明によれば、バッテリパックに組み込まれている少なくとも2つ以上のバッテリセルの電圧をバランシングするバッテリセルのバランシング方法は、バッテリセルのバランシング動作条件の充足の有無を判断し、その判断結果に基づいて、セルバランシング制御電界効果トランジスタ(FET)にオン/オフ信号を印加してセルバランシング動作を制御するセルバランシング動作判断ステップと、セルバランシング動作が行われる間に流れるセルバランシング電流の大きさを測定して算出するセルバランシング電流算出ステップと、セルバランシング動作が行われる間に前記セルバランシング電流によって発生するセルバランシング抵抗の温度を算出するセルバランシング抵抗温度算出ステップと、前記算出されたセルバランシング抵抗の温度値に応じたセルバランシング制御電界効果トランジスタ(FET)のオン/オフ周期に対するデューティ比を算出するデューティ比算出ステップと、前記算出されたデューティ比に基づいて、セルバランシング制御電界効果トランジスタ(FET)にオン/オフ信号を印加してセルバランシング動作を行うセルバランシング動作ステップと、前記バッテリセルの電圧を検出する電圧検出ステップと、を含んでなる。
【0022】
本発明において言及するデューティ比とは、前記セルバランシング制御電界効果トランジスタ(FET)のオン/オフ信号が印加される時間の比を意味する。
【0023】
詳細な説明に先立って、
図1に基づいて本発明の構成について説明する。
【0024】
前記
図1の回路図を参照すると、Aで示された部分は、本発明において言及されるセルバランシング制御電界効果トランジスタ(FET)である。前記セルバランシング制御電界効果トランジスタ(FET)のオン/オフに応じて、セルバランシングのための電流が流れたり遮断されたりする。
【0025】
本発明において言及されるセルバランシング電流は、セルバランシング動作が行われる間に流れる電流である。例えば、前記セルバランシング制御電界効果トランジスタ(FET)がターンオンされた後、a-b端子の間に流れる電流を意味する。
【0026】
また、本発明において言及されるセルバランシング抵抗は、セルバランシング動作が行われる間に前記セルバランシング電流が流れる区間に設けられている抵抗である。例えば、
図1のa-b端子の間に設けられているR21及びR20であってもよい。
【0027】
したがって、本発明は、セルバランシング電流によって発生するセルバランシング抵抗の温度に応じて、セルバランシング制御電界効果トランジスタ(FET)のオン/オフ周期を制御することができる。
【0028】
以下、残りの図面に基づいて、本発明について詳細に説明する。
【0029】
図2は、本発明に係る全体のシステム構成を示すブロック図である。
【0030】
図2を参照すると、本発明に係るバッテリのセルバランシングのためのシステムは、バッテリパック100と、バッテリ管理部200と、により構成される。
【0031】
前記バッテリパック100は、直列及び並列に接続されたそれぞれのバッテリセル110を少なくとも2つ以上備えてなることが好ましい。
【0032】
前記バッテリパック100を構成するバッテリセル110のバランシングを制御するバッテリ管理部200は、セルバランシング動作制御部210と、セルバランシング電流算出部220と、セルバランシング抵抗温度算出部230と、デューティ比算出部240及び電圧検出部250を備えてなることが好ましく、前記電圧検出部250は、セル検出部251と、セルバランシング電圧検出部252と、を備えてなることが好ましい。
【0033】
前記セルバランシング動作制御部210は、前記バッテリセル110のバランシング動作条件の充足の有無を判断し、前記判断の結果に基づいて、セルバランシング制御電界効果トランジスタ(FET)にオン/オフ信号を印加してセルバランシング動作を制御してもよい。
【0034】
前記セルバランシング動作制御部210は、前記セルバランシング動作が始まる段階でセルバランシング制御電界効果トランジスタ(FET)を所定のデューティ比を有するオン/オフ制御信号でオン/オフ制御し、その後には、前記デューティ比算出部240において算出されたデューティ比に基づいて、セルバランシング制御電界効果トランジスタ(FET)にオン/オフ信号を印加して制御してもよい。
【0035】
前記セルバランシングの動作条件の充足の有無の判断に際しては、前記セル検出部251に提供する、バランシングを行う必要があるセルに関する情報を用いて動作有無を判断してもよい。
【0036】
前記セル検出部251の詳細については、電圧検出部250について説明するときに説明する。
【0037】
また、セルバランシング動作制御部210は、前記セル検出部251が提供する情報に加えて、前記セルバランシング電流算出部220において算出されるセルバランシング動作が行われる間に流れる電流の状態などを含めて、一般的にセルバランシングの動作条件として用いられる各種の要素を含んでなることが好ましい。
【0038】
前記セルバランシング電流算出部220は、前記セルバランシング動作が行われる間に流れるセルバランシング電流の大きさを測定して算出してもよい。前記電流の大きさの算出に際しては、一般的に用いられる公式、つまり、電流=電圧/抵抗の公式を用いて算出する方法が採用可能である。
【0039】
更に、前記セルバランシング電流算出部220は、セルバランシング動作が行われる間に流れる電流の状態を検出して前記セルバランシング動作制御部210に与えてもよい。
【0040】
前記セルバランシング動作が行われる間に流れる電流を算出する方法においては、前記バッテリセル110に直列に接続された電流センシング抵抗を接続して前記セル110の両端の電位差を測定する。前記測定された電位差を用いて前記バッテリセル110の電流が流れる方向を把握して、電流の充電、放電又は電流が流れない状態を検出してもよい。
【0041】
前記電流センシング抵抗は、回路の特定の部分にどれ位の電流が流れるかを確認するために用いるものであって、非常に低い抵抗値を有している。前記抵抗値が非常に低いため、電流の流れを大きく妨げず、その結果、より正確に前記バッテリセル110の電流量を測定することができる。
【0042】
前記セルバランシング抵抗温度算出部230は、前記セルバランシング動作が行われる間に流れる前記セルバランシング電流によって発生するセルバランシング抵抗の温度値を算出してもよい。
【0043】
前記セルバランシング抵抗の温度値の算出に際しては、サーミスタ(Themistor)を用いる。アナログ‐デジタル変換気器(ADC)を用いてサーミスタ(Themistor)にかかる電圧を測定し、これを用いて逆に抵抗値を算出して温度値を計算してもよい。
【0044】
前記サーミスタ(Themistor)の接続方式としては、ワイヤ方式及びチップ抵抗方式が挙げられ、本発明においては、一般的に、セルバランシング回路を構成する抵抗の周りにチップを設計するチップ抵抗方式を採用してもよい。
【0045】
前記デューティ比算出部240は、前記セルバランシング抵抗温度算出部230において算出されたセルバランシング抵抗の温度値が属する温度区間を検出し、前記検出された温度区間に対応するセルバランシング制御電界効果トランジスタ(FET)のオン/オフ周期に対するデューティ比を算出してもよく、その例は、下記表の通りである。
【0046】
【0047】
また、前記デューティ比算出部240は、算出されたセルバランシング制御電界効果トランジスタ(FET)のオン/オフに対するデューティ比を前記セルバランシング動作制御部210に与えてもよい。
【0048】
前記電圧検出部250は、セル検出部251と、セルバランシング電圧検出部252と、を備えてなることが好ましい。
【0049】
前記セル検出部251は、前記バッテリセル110の電圧の偏差を算出し、前記バッテリセル110のそれぞれの電圧偏差と所定の基準値とを比較して、バランシングを行う必要があるセル110を検出してもよい。算出されたバッテリセルのそれぞれの電圧偏差のうちの少なくとも1つ以上が所定の基準値以上である場合、バッテリセルバランシングを行う必要があると判断して、バランシングを行う必要があるセル110を検出してもよい。なお、検出されたセルに関する情報をセルバランシング動作制御部210に提供してもよい。
【0050】
前記セルバランシング電圧検出部252は、前記セルバランシング制御電界効果トランジスタ(FET)がターンオフされた後、前記バランシングが適用されたセルの電圧を検出し、所定の基準値と比較してセルバランシングの成否を判断してもよい。なお、バッテリセル110の電圧検出は、所定の時間が経過した後に動作してもよい。
【0051】
前記所定の時間は、前記バッテリセル110の電圧を測定するシステムの性能や特徴に応じて決定される。
【0052】
図3は、本発明に係るバッテリセルをバランシングするステップを示すブロック図である。
【0053】
図3を参照すると、前記バッテリセルのバランシング動作条件の充足の有無を判断し、前記判断の結果に基づいて、セルバランシング制御電界効果トランジスタ(FET)にオン/オフ信号を印加してセルバランシング動作を制御するセルバランシング動作判断ステップ(S10)と、前記セルバランシング動作が行われる間にセルバランシング電流の大きさを測定して算出するセルバランシング電流算出ステップ(S20)と、前記セルバランシング動作が行われる間に前記セルバランシング電流によって発生するセルバランシング抵抗の温度を算出する抵抗温度算出ステップ(S30)と、前記算出されたセルバランシング抵抗の温度値に応じたバッテリセルバランシング制御電界効果トランジスタ(FET)のオン/オフ周期に対するデューティ比を算出するデューティ比算出ステップ(S40)と、前記算出されたデューティ比に基づいて、セルバランシング制御電界効果トランジスタ(FET)にオン/オフ信号を印加してセルバランシング動作を行うセルバランシング動作ステップ(S50)と、前記バッテリセルの電圧を検出する電圧検出ステップ(S60)と、を含んでなることが好ましい。
【0054】
前記セルバランシング動作判断ステップ(S10)においては、前記バッテリセル110のバランシング動作条件の充足の有無を判断し、前記判断の結果に基づいて、セルバランシング制御電界効果トランジスタ(FET)にオン/オフ信号を印加してセルバランシング動作を制御するステップであってもよい。
【0055】
前記セルバランシング動作判断ステップ(S10)においては、前記セルバランシング動作の開始段階では、セルバランシング制御電界効果トランジスタ(FET)を所定のデューティ比を有するオン/オフ制御信号でオン/オフ制御し、前記セルバランシング動作が行われた後には、前記デューティ比算出ステップ(S40)において算出されたデューティ比に基づいて、セルバランシング制御電界効果トランジスタ(FET)にオン/オフを印加してセルバランシング動作を制御してもよい。
【0056】
前記セルバランシングの動作条件を判断する方法においては、それぞれのバッテリセル110の電圧の偏差を算出し、前記算出された電圧偏差と所定の基準値とを比較してバッテリセル110のバランシング動作の充足の有無を判断してもよい。
【0057】
前記算出された電圧偏差のうちの少なくとも1つが所定の基準値以上である場合、前記バッテリセルバランシングを行う必要があると判断してもよい。
【0058】
また、前記セルバランシングの動作条件を判断する方法は、前記バッテリセルの電圧偏差に加えて、前記バッテリセルに流れる電流状態に関する情報などを含めて、一般的にセルバランシングの動作条件として用いられる各種の要素を含んでなることが好ましい。
【0059】
前記セルバランシング電流算出ステップ(S20)は、前記セルバランシング動作が行われる間にセルバランシング電流の大きさを測定して算出するステップであってもよい。前記電流の大きさを算出する方法としては、一般的に用いられる公式、つまり、電流=電圧/抵抗の公式が採用可能である。
【0060】
前記セルバランシング抵抗温度算出ステップ(S30)は、前記セルバランシング動作が行われる間に流れるセルバランシング電流によって発生するセルバランシング抵抗の温度を算出するステップであってもよい。
【0061】
前記セルバランシング抵抗の温度値を算出する方法としては、サーミスタ(Themistor)を用いた算出方式が採用されてもよい。アナログ-デジタル変換器(ADC)を用いて前記サーミスタ(Themistor)にかかる電圧を測定し、これを用いて逆に抵抗値を算出して温度値を計算してもよい。
【0062】
前記サーミスタ(Themistor)の接続方式としては、ワイヤ方式及びチップ抵抗方式が挙げられ、本発明においては、一般的に、セルバランシング回路を構成する抵抗の周りにチップを設計するチップ抵抗方式を採用してもよい。
【0063】
前記デューティ比算出ステップ(S40)は、前記セルバランシング抵抗温度算出ステップ(S30)において算出されたセルバランシング抵抗の温度値が属する温度区間を検出し、前記検出された温度区間に対応するセルバランシング制御電界効果トランジスタ(FET)のオン/オフ周期に対するデューティ比を算出するステップであってもよい。
【0064】
前記セルバランシング抵抗の温度値に応じた所定のデューティ比を算出する方法においては、前記
図2において説明したように、表1を参考にして算出してもよい。
【0065】
前記セルバランシング動作ステップ(S50)は、前記デューティ比算出ステップ(S40)において算出されたデューティ比に基づいて、セルバランシング制御電界効果トランジスタ(FET)にオン/オフ信号を印加してセルバランシング動作を行うステップであってもよい。
【0066】
前記電圧検出ステップ(S60)においては、前記セルバランシング動作ステップ(S50)においてセルバランシング制御電界効果トランジスタ(FET)がターンオフされた後、所定の時間が経過した後にバランシングが適用されたセルの電圧を検出してもよい。前記所定の時間は、前記バッテリセル110の電圧を測定するシステムの性能や特徴に応じて決定される。
【0067】
図4は、既存及び本発明に係る全体的なセルバランシング動作の比較例を示す図である。
【0068】
図4の(a)は、既存のセルバランシングの制御方法が適用された動作を示す図である。前記
図4の(a)に示すように、セルバランシング制御電界効果トランジスタ(FET)にオン/オフが一定の比で動作することを確認することができる。また、前記セルバランシング制御電界効果トランジスタ(FET)がターンオフされた後、セルの電圧を検出する時点も一定していることを確認することができる。しかしながら、この場合には、セルバランシング動作が行われる間に流れるセルバランシング電流によるセルバランシング抵抗の発熱問題とは無関係に一定の時間の比でセルバランシング動作が行われる。これにより、セルバランシング抵抗の発熱問題によりバッテリセル110が損なわれ、且つ、これは、前記セルバランシングの正確性及び効率性を低下させる原因となる虞がある。
【0069】
また、一般に、セルバランシング制御電界効果トランジスタ(FET)がターンオフされた後、セル電圧は十分に時間が経過した後に元の開回路電圧(OCV)に回復される。しかしながら、既存には、セルバランシング制御電界効果トランジスタ(FET)がターンオフされた後、セル電圧が開回路電圧(OCV)に回復される時間を考慮せず、一定の時点に電圧を検出し、これは、セル電圧の検出の正確性の低下につながる虞がある。
【0070】
これに対し、本発明が適用された
図4の(b)を参照すると、セルバランシング動作が行われる間に流れるセルバランシング電流によって発生するセルバランシング抵抗の温度に応じて前記セルバランシング制御電界効果トランジスタ(FET)のオン/オフ周期に対するデューティ比を検出し、これにより、セルバランシング動作が行われることを確認することができる。なお、前記セルバランシング制御電界効果トランジスタ(FET)がターンオフされた後、セル110の電圧を検出する時点もセルの特徴やシステムの特徴に応じて流動的に制御して、セル電圧が開回路電圧(OCV)に回復された後に測定するので、正確性及び効率性が向上したセルバランシング動作が行われる。
【符号の説明】
【0071】
100:バッテリパック
110:バッテリセル
200:バッテリ管理部
210:セルバランシング動作制御部
220:セルバランシング電流算出部
230:セルバランシング抵抗温度算出部
240:デューティ比算出部
250:電圧検出部