(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-12
(45)【発行日】2022-05-20
(54)【発明の名称】変色部を有する履物および色を変化させる方法
(51)【国際特許分類】
A43B 23/24 20060101AFI20220513BHJP
【FI】
A43B23/24 101
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020136324
(22)【出願日】2020-08-12
(62)【分割の表示】P 2019117478の分割
【原出願日】2011-06-20
【審査請求日】2020-09-04
(32)【優先日】2010-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514144250
【氏名又は名称】ナイキ イノベイト シーブイ
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】ハートフォード ショーン ディー
(72)【発明者】
【氏名】クベンモ ミッシェル エル
(72)【発明者】
【氏名】オーイングス アンドリュー エー
(72)【発明者】
【氏名】ウィルキンス ブラッドレー ダブリュー
(72)【発明者】
【氏名】ドノバン シャーナ エム
【審査官】渡邉 洋
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-505451(JP,A)
【文献】米国特許第07494237(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0193689(US,A1)
【文献】特表2011-519612(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0289971(US,A1)
【文献】国際公開第2007/128049(WO,A1)
【文献】国際公開第2007/121355(WO,A2)
【文献】国際公開第2009/134860(WO,A1)
【文献】米国特許第04748366(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A43B 1/00-23/30
A43C 1/00-19/00
A43D 1/00-999/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フットウェア製品であって、当該フットウェア製品は、
アッパー部と、
該アッパー部に関連付けられ、且つ第1の変色部と、該第1の変色部に隣接して配置された第2の変色部とを含む変色システムと、
前記第1の変色部及び前記第2の変色部と通信
する制御装置と、を含み、
該制御装置は、前記第1の変色部及び前記第2の変色部の
少なくとも一方の色を
、性能パラメータが第1の値の範囲内にあることに応答して第1の色から、前記性能パラメータが第2の値の範囲内にあることに応答して第2の色に選択的に変化させるように動作可能
である、
フットウェア製品。
【請求項2】
前記性能パラメータは、当該フットウェア製品のユーザが移動した距離に関連する、請求項
1に記載のフットウェア製品。
【請求項3】
前記性能パラメータは、当該フットウェア製品のユーザによって達成されたジャンプの回数に関連する、請求項
1に記載のフットウェア製品。
【請求項4】
前記制御装置は、前記第1の変色部及び前記第2の変色部を個別に制御するように動作可能である、請求項1に記載のフットウェア製品。
【請求項5】
前記制御装置は、前記第1の変色部及び前記第2の変色部を単一の構成要素として制御するように動作可能である、請求項1に記載のフットウェア製品。
【請求項6】
前記第1の変色部は電子ペーパーの第1のタイルであり、前記第2の変色部は電子ペーパーの第2のタイルである、請求項1に記載のフットウェア製品。
【請求項7】
前記第1のタイル及び前記第2のタイルの少なくとも1つが実質的に硬質である、請求項
6に記載のフットウェア製品。
【請求項8】
前記第1のタイル及び前記第2のタイルの少なくとも1つが実質的に柔軟性である、請求項
6に記載のフットウェア製品。
【請求項9】
前記第1の変色部及び前記第2の変色部の少なくとも1つが、エレクトロクロモグラフィック材料を含む、請求項1に記載のフットウェア製品。
【請求項10】
前記制御装置は、前記エレクトロクロモグラフィック材料に電気信号を印加することにより、前記第1の変色部の色及び前記第2の変色部の色を変化させるように動作可能である、請求項
9に記載のフットウェア製品。
【請求項11】
前記変色システムは、当該フットウェア製品の前記アッパー部の実質的大部分を含む、請求項1に記載のフットウェア製品。
【請求項12】
前記第1の変色部及び前記第2の変色部は、前記アッパー部の湾曲した領域に取り付けられる、請求項1に記載のフットウェア製品。
【請求項13】
前記湾曲した領域は、前記アッパー部の踵領域である、請求項
12に記載のフットウェア製品。
【請求項14】
前記第1の変色部及び前記第2の変色部は、前記アッパー部の内側又は前記アッパー部の外側に配置される、請求項1に記載のフットウェア製品。
【請求項15】
前記変色システムは湾曲している、請求項1に記載のフットウェア製品。
【請求項16】
前記変色システムは、前記アッパー部の踵領域に配置される、請求項
15に記載のフットウェア製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して履物に関し、詳しくは、変色部を有する履物に関する。
【背景技術】
【0002】
色を変化させる領域を備える物品は、これまでにも提案されている。Braynockら(米国特許第7,421,806号明細書)は、ユーザが色を変化させることができるように設計された履物を教示しており、この履物は、透明なパネルを備えている。このユーザは、自分の足とアッパーとの間でソックスやインナーライナを使用するとともに、透明のパネルを通して所望のどのような色も表示できるアッパーを使用する。
【0003】
Brewer(米国特許第5,289,301号明細書)は、LCD技術を用いる変色物品を教示している。LCDパネルが履物のアッパーに組み込まれている。パネルの色が、ポテンショメータからLCDパネルへ送られる電圧に依存して変化する。Taylor(米国特許第4,748,366号明細書)は、エレクトロクロモグラフィック材料が圧電電源とともに履物に組み込まれ得ることを教示している。
【0004】
Van Dorn(米国特許出願公開2008/0258999号明細書)は、色を変化させるサングラスを教示している。サングラスに埋め込まれたセンサが、ユーザの衣料品の色を検出して、これに似合うようにフレーム内に埋め込まれているLEDの色を変化させる。代替的に、ユーザが調和色(コーディネートカラー)を手動で選択することもできる。
【0005】
DiBenedettoら(米国特許出願公開2007/0000154号明細書)は、適応性のある履物を教示している。履物は、センサを含む様々な電気的特徴部を含む。センサは、ユーザが履物を履いているときにミッドソールの圧縮の度合を測定することができる。データは、履物のメモリシステム内に保存されている。このシステムは、内蔵型の様式で機能するように設計されているか或いは履物を修正する方法を命令するコンピュータと同期するように設計されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した技術に関係する技術の限界を越えるような物品が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様においては、本発明は、変色部を有する履物を扱う方法であって、性能パラメータを測定するステップと、性能パラメータが第1の値の範囲内にあるとき変色部を第1の色に色付けするステップと、性能パラメータが第2の値の範囲内にあるとき変色部を第2の色に色付けするステップと、を含み、第1の値の範囲と第2の値の範囲とは実質的に互いに異なり、第1の色と第2の色とは実質的に互いに異なり、変色部はエレクトロクロモグラフィック材料を含むことを特徴とする方法を提示する。
【0008】
他の態様においては、本発明は、変色部を有する履物を扱う方法であって、ユーザの選択した色を受けるステップと、変色部に関連するエレクトロクロモグラフィック材料へ電気信号を送るステップと、これにより、ユーザの選択した色とは異なる初期の色からユーザの選択した色へ変色部を変化させるステップと、を含む方法を提示する。
【0009】
他の態様においては、本発明は、変色部を有する履物を扱う方法であって、履物のユーザに関連する対象物の第1の色と関係のある情報を受けるステップと、第1の色に応じて変色部に施す第2の色を決定するステップと、変色部に関連するエレクトロクロモグラフィック材料に電気信号を送るステップと、これにより、変色部を第2の色へ変化させるステップと、を含む方法を提示する。
【0010】
本発明の他のシステム、方法、特徴および利点は、以下の図面および詳細な説明を参照することにより当業者に明らかとなろう。本発明の範囲を逸脱することなく、そのような追加のシステム、方法、特徴および利点のすべてがこの説明およびこの要約に含まれ、添付の特許請求の範囲によって保護され得る。
【0011】
本発明は、以下の説明および図面を参照することにより、さらによく理解されよう。図面に示される構成要素は、必ずしも正しい縮尺で示されているものではなく、本発明の原理を示すことを主眼としている。加えて、各図における同様の参照符号は、様々な見方での互いに対応する部品を指示している。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】変色部を有する履物の一実施例を概略的に示す図。
【
図2】変色部を有する履物を履いているユーザの一実施例を概略的に示す図。
【
図3】変色部を有する履物を履いているユーザの一実施例を概略的に示す図。
【
図4】変色部を有する履物を履いているユーザの一実施例を概略的に示す図。
【
図5】変色部を制御するプロセスの一実施例を示す図。
【
図6】変色部を制御するプロセスの一実施例を示す図。
【
図7】コンピュータと通信する変色部を有する物品の一実施例を概略的に示す図。
【
図8】コンピュータと通信する変色部を有する物品の一実施例を概略的に示す図。
【
図9】コンピュータと通信する変色部を有する物品の一実施例を概略的に示す図。
【
図10】コンピュータと通信する変色部を有する物品の一実施例を概略的に示す図。
【
図11】コンピュータと通信する変色部を有する物品の一実施例を概略的に示す図。
【
図12】コンピュータと通信する変色部を有する物品の一実施例を概略的に示す図。
【
図13】コンピュータと通信する変色部を有する物品の一実施例を概略的に示す図。
【
図14】コンピュータと通信する変色部を有する物品の一実施例を概略的に示す図。
【
図15】変色システムを有して使用される衣料品を検出する方法の一実施例を概略的に示す図。
【
図16】変色システムを制御する目的で衣料品を選択する方法の一実施例を概略的に示す図。
【
図17】変色システムを制御する目的で衣料品を検出する方法の一実施例を概略的に示す図。
【
図18】変色システムを利用してカラーデザインを移行させる方法の一実施例を概略的に示す図。
【
図19】変色システムを有して使用される衣料品を検出する方法であって、携帯デバイスを使って検出する方法の一実施例を概略的に示す図。
【
図20】変色システムを有して使用される衣料品を検出する方法であって、携帯デバイスを使って検出する方法の一実施例を概略的に示す図。
【
図21】変色システムを制御するプロセスの一実施例を示す図。
【
図22】変色部を有する履物の代替的な一実施例を示す図。
【
図23】変色部を有する履物の代替的な一実施例を示す図。
【
図24】変色部を有する履物の代替的な一実施例の背面を示す図。
【
図25】変色部を有する履物の代替的な一実施例の背面を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、履物100の一実施例を概略的に示している。簡潔に示すために、以下の詳細な説明はランニングシューズの形態の一実施例に即して説明するが、本発明は、ハイキングブーツ、サッカーシューズ、フットボールシューズ、スニーカー、ラグビーシューズ、バスケットボールシューズ、ベースボールシューズ(これらに限定しない)および他の種類のシューズを含む種々の履物の形態をとり得ることに留意されたい。
図1で、履物100(簡単に物品100とも呼ぶ)は、右足用履物として示されているが、以下の詳細な説明は、履物100とは鏡写しの左足用履物にも等しく適用され得ることを理解されたい。
【0014】
履物100は、アッパー102とソール104とで構成され得る。簡潔に示す目的で、物品100のいくつかの部分は実線で示され、他の部分は点線で示されている。さらには、この実施例は履物100のいくつかの構成要素を示しているが、物品100のすべての構成要素を示すものとは限らない。
【0015】
物品100は変色システム120を含み得る。この詳細な説明および特許請求の範囲に亘って使われる「変色システム」という用語は、物品100の1つまたは複数の部分に様々な色を付けることができる種々のシステムのことである。変色システム120は変色部122を備え得る。この詳細な説明および特許請求の範囲に亘って使われる「変色部」という用語は、ある形態の色の変化が生じるように構成された物品の部分のことである。この「変色部」という用語は、特定の位置を限定するものではない。変色部は、物品の、アッパーの種々の部分、ソールの種々の部分のみならず、靴紐、ストラップ、ライナおよび他の構成要素などの履物に関連する他の構成要素を含む物品の種々の部分に配置され得る。変色部はまた、寸法および/または形状を限定するものではない。例示した実施形態においては、変色部122は、物品100に施された菱形のロゴに関連している。他の実施例においては、変色部は、ストライプ、パネル、多角形、規則的形状、不規則的形状、並びに他の形状を含む種々の形状に形成され得るが、これらの形状に限定するものではない。加えて、この実施例においては、単一の変色部として示されているが、他の実施例においては、2つ以上の変色部を有する場合がある。
【0016】
1つまたは複数の変色部は、物品の種々の領域に施され得る。例えば、一実施例においては、変色部を含むトリムを有する物品がある。他の実施例においては、アッパーのほぼ半分以上が変色部となっている。さらに他の実施例においては、アッパーが、変色部を有する特異的なパネルを含んでいる。さらに他の実施例においては、ミッドソールが変色部を含んでいる。さらに他の実施例においては、アウトソールが変色部を含んでいる。
【0017】
変色部は、複数の色を同時に表示するように構成され得ることを理解されたい。例えば、いくつかの実施例においては、変色部は、模様および/またはグラフィックを表示するように構成され得る。いくつかの実施例においては、変色部は、数字を表示するように構成され得る。他の実施例においては、変色部は、言葉を表示するように構成され得る。他の実施例においては、変色部は、色付きストライプ柄を表示するとともに、この色付きストライプ柄とは異なる背景色を表示するように構成されている。さらに他の実施例においては、アッパーは、該アッパーの半分以上に第1の色を表示するとともに、該アッパーの側方部にロゴ用の第2の色を表示するように構成された単一の変色部を有する。
【0018】
様々な実施例において、変色部は、様々な変色技術と関連し得る。特には、この詳細な説明に亘って言及される変色部は、特定の種類の変色技術を使うものとは限らない。変色技術の例としては、当技術分野において周知の、変色技術に基づく電気化学トランジスタ、LCDパネル技術、LEDスクリーン技術、光ファイバ技術、エレクトロクロモグラフィック材料、電子ペーパー技術(電気泳動技術、電気湿潤技術および電気流体技術を含む)、電気発光ストライプ並びに他の変色技術があるが、これらに限らない。他の実施例においては、変色部は、電子ペーパー技術と関連している。そのような例としては、米国特許第7,535,624号明細書、第7,528,822号明細書、第7,420,549号明細書、第7,167,155号明細書、第7,201,952号明細書、第6,987,603号明細書、第6,922,276号明細書、第6,864,875号明細書があり、これらの各明細書が本願の参照となる。
【0019】
一実施例においては、変色部は、印加電圧を除いた後も色の変化を保持する柔軟な電子ペーパー技術に関連する。そのような例を開示しているものとしては、米国特許出願公開第2010/0117975号明細書、米国特許出願公開第2010/0053724号明細書、米国特許第7,675,672号明細書、米国特許第7,195,170号明細書および米国特許第6,936,190号明細書があり、これらの全体が本願の参照となる。
【0020】
他の実施例においては、変色部は、1つまたは複数の薄い有機フィルムトランジスタ技術、有機発光ダイオード(OLED)技術、柔軟なOLED技術並びに他の電気発光素子に関連している。そのような例を開示しているものとしては、米国特許出願公開第2010/0032660号明細書、米国特許出願公開2009/0278449号明細書、米国特許出願公開2007/0222370号明細書、米国特許第7,075,226号明細書および米国特許第6,969,291号明細書があり、これらの全体が本願の参照となる。
【0021】
他の実施例においては、変色部は、電子的に制御可能な視覚的に動的の繊維製品つまり柔軟な基材と関連し得るものであり、そのような例を開示しているものとしては、米国特許出願公開第2003/0224155号明細書があり、これの全体が本願の参照となる。他の実施例においては、変色部は、電気発光ストライプを有し得る。そのような例を開示しているものとしては、米国特許出願公開第2008/0062677号明細書があり、これの全体が本願の参照となる。さらに他の実施例においては、変色部は、エレクトロクロミック材料を含み得る。そのような例を開示しているものとしては、米国特許出願公開第2006/0275660号明細書があり、これの全体が本願の参照となる。加えて、他の型式の変色技術が使用可能であって、そのような技術を開示しているものとしては、米国特許第5,289,301号明細書、米国特許出願公開第2006/0221596号明細書、米国特許出願公開第2004/0100792号明細書、米国特許出願公開第2009/0007458号明細書、米国特許第4,4748,366号明細書、米国特許出願公開第2008/0258999号明細書および米国特許第6,080,690号明細書があり、これらの各明細書の全体が本願の参照となる。
【0022】
変色システムは、1つまたは複数の変色部に電力を供給する装置を備え得る。一実施例においては、変色システム120は、電力貯蔵デバイス126を含む。一般に、電力貯蔵デバイス126は、変色システム120用の電力を蓄えることができる種々のデバイスとすることができる。一実施例においては、電力貯蔵デバイス126は、電池である。いくつかの実施例においては、電力貯蔵デバイス126は、使い捨て電池である。様々な種類の使い捨て電池としては、亜鉛電池、塩化亜鉛電池、アルカリ電池、酸化銀電池、リチウム電池、塩化チオニールリチウム電池、水銀電池、亜鉛空気電池、熱電池、水活性電池、オキシ水酸化ニッケル電池およびペーパー電池があるが、これらに限定しない。他の実施例においては、電力貯蔵デバイス126は、ある種の充電式電池である。充電式電池の例としては、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池および充電式アルカリ電池があるが、これらに限定しない。さらに他の実施例においては、電力貯蔵デバイス126は、電気を発生させかつ蓄えることができる他の種類のデバイスである。例えば、一実施例においては、電力貯蔵デバイス126は、電気を発生させかつ蓄えることができる圧電素子である。
【0023】
変色システムは、変色部を制御する装置を備え得る。一実施例においては、変色システム120は制御装置124を備える。いくつかの実施例においては、制御装置は、ある種の中央演算装置(CPU)である。他の実施例においては、制御装置は、電気的入力を受けるとともに、この入力に応じて電気的出力を発する、ある種の単純回路である。一実施例においては、制御装置124はプリント回路基板である。
【0024】
制御装置124は、情報と電力の入力および出力を容易にする多くのポートを有し得る。この「ポート」という用語は、2つの伝導体間の種々のインターフェイスつまり境界領域を意味する。いくつかの場合、ポートは、伝導体の差し込みと取り外しを容易なことにする。これらの種類のポートの例としては、機械的コネクタがある。他の場合、ポートは、概して差し込みや取り外しを容易にはしないインターフェイスである。これらの種類のポートの例としては、回路基板上のはんだ付けないし電子トレースがある。
【0025】
この実施例においては、制御装置124は、変色部122との間で情報を送信および/または受信するポート131を有する。加えて、いくつかの場合、ポート131は、変色部122との間で給電および/または受電する機能を有する。制御装置124は、電力貯蔵デバイス126との間で情報を送信および/または受信するポート132を有し得る。加えて、いくつかの場合、ポート132は、電力貯蔵デバイス126との間で給電および/または受電する機能を有する。例示した実施形態においては、制御装置124は、電力貯蔵デバイス126からのエネルギを使って変色部122の色の変化を制御することができる。例えば、一実施例においては、制御部124は、変色部122に電流変化および/または電圧変化の形式の信号を送って、変色部122の色を制御する。
【0026】
変色システムは、履物に関連する1つまたは複数の性能パラメータを測定する機能を備え得る。この「性能パラメータ」という用語は、履物が履かれているときに測定され得る種々のパラメータのことである。例えば、ユーザが履物を履いているときに踵で踏む回数は、ユーザが移動した距離を示す性能パラメータである。他の例としては、足の裏が所定の大きさの力で地面に衝撃を与える回数が、バスケットボールの選手がバスケットの試合中にジャンプする回数を示し得る性能パラメータである。他の性能パラメータとしては、物品の一部分の温度、物品の湿度および他の測定可能なパラメータが考えられる。
【0027】
いくつかの実施例においては、変色システム122は、様々な性能パラメータを測定する1つまたは複数のセンサを有するように構成されている。力、温度、湿度および他のパラメータを測定するための当技術分野で周知の種々の型式のセンサが使用され得る。しかし、他の実施例においては、性能パラメータを測定する機能は、制御装置124に統合されている。例えば、一実施例においては、制御装置124は、足の裏が地面に衝突した回数を測定する力センサを有する。さらに他の実施例においては、性能パラメータを測定する機能は、電力貯蔵デバイス126に統合されている。例えば、電力貯蔵デバイス126が圧電素子である実施例においては、この素子で発生するエネルギ量は、踵で踏んだ回数に比例し得る。この構成を有することにより、制御装置124は、圧電素子の帯電レベルを監視することによって、ユーザの踏んだ歩数のおよその回数を決定することができる。
【0028】
変色システムは、様々なスポーツ活動においてユーザの進歩を示すように変色部の色を変化させる装置を備え得る。いくつかの場合、制御装置は、特定の種類の活動に関連する1つまたは複数の性能パラメータの変化を検出するように構成されている。加えて、制御装置は、性能パラメータが所定の閾値に達したときに変色部の色を変えるように構成され得る。
【0029】
図2~
図4は、変色部を有する物品を着用しているユーザの実施例を示す。
図2~
図4を参照すると、ユーザ200は、一足の履物202を履いている。一足の履物202は、第1の物品204および第2の物品206からなり得る。いくつかの場合、第1の物品206は、第1の変色部208を含む。簡潔にする目的で、第1の物品204のみが変色部を有するものとして示されているが、他の実施例においては、第2の物品206もまた、同様の変色部を有し得ることを理解されたい。
【0030】
最初に、ユーザ200が走り始める前に、第1の変色部208は第1の色222を表示する。概して、第1の色222は、様々な色にすることができる。この実施例においては、第1の色222は白色とされている。この後、ユーザ200が1マイル標230を過ぎると、第1の変色部208が第1の色222から第2の色224に変化し得る。この実施例においては、第2の色224は黄色とされている。この色の遷移が生じるのは、ユーザ200が所定の歩数を踏んだことを第1の物品204の制御装置(図示せず)が判定したときである。いくつかの場合、制御装置は、約2,000歩(約1マイルに相当する)踏んだ後に変色部122の色を黄色に変化させるように較正されている。これに続いて、ユーザ200が5マイル標232を過ぎると、変色部208は、第2の色224から第3の色226に変化し得る。この実施例においては、第3の色226はオレンジ色とされている。このような色の遷移が生じるのは、ユーザ200が約10,000歩(約5マイルに相当する)を踏破したことを、第1の物品204の制御装置が判定したときである。
【0031】
この構成を利用して、ユーザの走りの実績における様々なマイル標石を示すように変色部が色付けされ得る。図示した実施例においては、この構成は、ユーザ200が変色部の色を見ることにより自分の走破した距離を監視することを可能にする。この構成はまた、ユーザ200の走破した距離を他の走者に知らせる。いくつかの場合、変色部は、様々なスポーツ活動で頑張った結果を視覚的に示すのに使用される、パッチ、リボンまたは他の評価物と同様に機能する。
【0032】
図5は、変色部を制御する一般的なプロセスの一実施例を示す。この実施例においては、以下のステップは、制御装置124によって実行され得るが、いくつかの実施例においては、これらのステップは、物品100に関連する追加のシステムないしデバイスによって実行される。例えば、様々な性能パラメータを測定するセンサないしデバイスを有するいくつかの場合においては、1つまたは複数のステップがそのセンサないしデバイスによって実行され得る。さらには、物品124がコンピュータと通信する実施例においては、1つまたは複数のステップがそのコンピュータによって実行され得る。加えて、他の実施例においては、以下のステップのうちの1つまたは複数が選択的であることを理解されたい。
【0033】
ステップ502で、制御装置124は、性能パラメータを測定し得る。性能パラメータとしては、踵踏み回数、歩数、ジャンプした回数、物品の一領域の温度、物品の一領域の湿度並びに他の性能パラメータなどの種々のパラメータがあるが、これらに限定しない。例えば、一実施例においては、踵で踏む度に所定量の電気を発生させる圧電素子が使用される。この実施例においては、制御装置124は、圧電素子によって発生した電気の全体量を測定することにより、踵踏み回数を測定するように構成されている。他の実施例においては、踵踏みまたは他の性能パラメータを検出するためにスタンドアロンのセンサが使用される。続いてステップ504で、制御装置124がパラメータ値を保存し得る。いくつかの場合、パラメータ値は、制御装置に関連するメモリ内に保存される。他の場合、パラメータ値は、物品のセンサまたは他の素子に関連するメモリ内に保存される。
【0034】
ステップ504に続いて、制御装置124は、ステップ506に進み得る。ステップ506で、制御装置124は、パラメータ値に応じて色を決めることができる。いくつかの場合、制御装置124は、各パラメータ値に連続的な色値(明度)を割り当てる。他の場合、制御装置124は、様々な色を割り当てて、パラメータ値の範囲を区別できるようにする。例えば、上述した実施例においては、踵踏み回数が2,000より少ないときに、制御装置124は白色を使用する。さらには、踵踏み回数が2,000~10,000であるときには、制御装置124は黄色を使用し得る。他の実施例においては、制御装置124は、パラメータ値に従って他の様式で色を決めることができる。
【0035】
続いてステップ508で、制御装置508は、ステップ506で決められた色に応じて、変色部を制御し得る。例えば、ステップ506で1,500回の踵踏みのパラメータ値に対して制御装置124が白色を決めた場合、制御装置124は、変色部が白色になるように制御し得る。一方で、踵踏み回数が1,999から2,000に変わるときに、制御装置124は、変色部の色を白から黄に変化させ得る。
【0036】
制御装置124は、能動的方法または受動的方法を使って変色部の色を制御するように構成され得ることを理解されたい。いくつかの場合、制御装置124は、変色部へ(電流または電圧の形態で)電気信号を連続的に送ることにより、変色部の色を能動的に維持する。他の場合、制御装置124は、色の変化(カラーシフト)が必要であるときにのみ、変色部へ電気信号を送ることにより、変色部を受動的に制御し得る。能動的制御方法または受動的制御方法のいずれを利用するかは、使用される変色技術の型式に応じて変化し得る。加えて、いくつかの技術においては、能動的制御方法と受動的制御方法との組合せを利用してもよい。
【0037】
図6は、変色部を制御する具体的方法の一実施例を示す。特には、
図6は、
図2~
図4に示される様式で変色部を制御するのに使用され得る方法を示している。この実施例においては、以下のステップは制御装置124によって実行され得るが、いくつかの実施例においては、これらのステップは、物品100に関連する追加のシステムないし素子によって実行される。例えば、様々な性能パラメータを測定するセンサないし素子を有するいくつかの場合、そのセンサないし素子によって1つまたは複数のステップが実行される。さらには、物品124がコンピュータと通信する実施例においては、そのコンピュータによって1つまたは複数のステップが実行される。加えて、他の実施例においては、以下のステップのうちの1つまたは複数が選択的であることを理解されたい。
【0038】
ステップ602で、制御装置124は、踵踏み情報を受けることができる。特には、制御装置124は、踵で踏んだ事実と関係のある情報を受けることができる。いくつかの場合、踵踏み情報は、スタンドアロンの踵踏みセンサから受信される。他の場合、踵踏み情報は、踵で踏んだときに電力を発生させるように構成された圧電素子などの電力貯蔵デバイスから受信される。さらに他の場合、踵踏み情報を測定することができる他の素子から踵踏み情報が受信される。
【0039】
ステップ602に続いて、ステップ604で、制御装置124は、踵踏みカウント(このカウントは、実際に踵で踏んだことの総歩数を追跡する変数である)を更新することができる。次に、ステップ606で、制御装置124は、踵踏みカウントが2,000より大きいかを判定する。踵踏みカウントが2,000より小さい場合、制御装置124は、ステップ602へ戻って新しい踵踏み情報を受けることができる。しかし、踵踏みカウントが2,000より大きい場合、制御装置124はステップ608へ進む。ステップ608で、制御装置124は、踵踏みカウントが10,000より大きいかを判定する。10,000より大きければ、制御装置124はステップ612へ進むことができる。10,000より大きくなければ、制御装置124はステップ610へ進む。ステップ610で、制御装置124は変色部を黄色に変える。色が既に黄色である場合には色の変化は生じず、制御装置124は変色部を黄色の状態に維持し得る。しかし、色が元より黄色でない場合には、制御装置124は変色部を黄色に変化させる。
【0040】
ステップ612で、制御装置124は、踵踏みカウントが20,000より大きいかを判定する。20,000より大きくなければ、制御装置124はステップ614へ進む。ステップ614で、制御装置124は変色部をオレンジ色に変える。ステップ612で、踵踏みカウントが20,000より大きいことを制御装置124が判定した場合、制御装置124はステップ616へ進み、変色部を赤色に変化させる。
【0041】
他の実施例においては、様々な閾値が選択され得ることを理解されたい。上述したように、例示した実施形態においては、2,000,10,000および20,000の踵踏み閾値が使用され、これらはそれぞれ、約1マイル、約5マイルおよび約10マイルに相当する。しかし、他の実施例においては、変色部は、他の閾値に達したときに変色する。他の場合、例えば、変色部は、1,000回踵踏みする毎に変色するように構成されている。さらに他の場合、変色部は、100,000回踵踏みする毎に変色するように構成されている。
【0042】
図7~
図9は、コンピュータまたは同様のデバイスを使って変色部の色を制御するシステムの実施例を示す。
図7~
図9に示されるように、物品100がコンピュータ702に直接接続され得る。一般に、コンピュータ702は、デスクトップ型コンピュータまたはラップトップ型コンピュータ(これらに限定しない)を含む種々の型式のコンピュータ装置とすることができる。これに加え、コンピュータという用語はまた、ディスプレイおよびプロセッサを備える種々の他の装置を含むことがある。そのような装置の例としては、携帯情報端末(PDA)、携帯電話(これらの装置に限定しない)、並びに他の型式の装置がある。
【0043】
いくつかの実施例においては、物品100は、有線接続704を利用してコンピュータ702に接続されている。一般に、有線接続704は、物品100とコンピュータ702との間で情報を交換するために使用され得る種々のケーブルないしワイヤ集合体とすることができる。加えて、有線接続704は、物品100とコンピュータ702との間で送電するように構成され得る。いくつかの場合、有線接続704は物品100の電力貯蔵デバイスを充電するために使用される。さらには、有線接続704は種々の型式の接続と関連し得る。例えば、一実施例においては、有線接続704は、コンピュータ702と物品100との間で情報を交換するため並びに物品100へ電力を供給するために使用されるUSBケーブルとすることができる。他の場合、種々の型式の接続が使用され得る。例えば、他の実施例においては、IEEE13394インターフェイス(「ファイヤーワイヤー(登録商標)」)がデータの転送に使用される。
【0044】
いくつかの実施例においては、物品100は、無線接続708を利用してコンピュータ702と接続している。いくつかの場合、コンピュータ702は、情報を送受信する第1のアンテナ710を有する。加えて、いくつかの場合、物品100は、情報を送受信する第2のアンテナ712を有し得る。第2のアンテナ712は選択的であり、すべての実施例に含まれるとは限らないことを理解されたい。さらには、物品100とともにアンテナが使用される実施例においては、制御装置124は、アンテナとの間で情報を送信および/または受信するポートを備える。この実施例においては、制御装置124は、第2のアンテナ712と通信するポート134を備えている。
【0045】
一般に、無線接続708は、種々の型式の無線通信をサポートする種々の型式の無線接続とすることができる。いくつかの場合、コンピュータ702と物品100は、無線ネットワークを利用して通信する。そのようなネットワークの例としては、パーソナルエリアネットワーク、ローカルエリアネットワーク、ワイドエリアネットワーク、クライアント-サーバ・ネットワーク、ピアツーピア・ネットワークおよび他の型式のネットワークがあるが、これらに限定しない。他の場合、無線接続708は、ブルートゥース(登録商標)規格の無線プロトコルを利用することができる。さらに他の場合、無線接続708は、無線USBなどの他の短距離無線技術を利用する。
【0046】
簡潔に示す目的で、この実施例においては、物品100とコンピュータ702とが互いに隣接して配置されている。しかし、他の実施例においては、物品100は、無線ネットワークを利用してコンピュータ702と遠隔通信する。さらに、いくつかの実施例においては、物品100は、インターネットなどのパケット交換方式の通信システムを利用してコンピュータ702に接続されている。
【0047】
いくつかの実施例においては、変色システムは、コンピュータ上で動作するソフトウェアインターフェイスと関連している。この「ソフトウェアインターフェイス」という用語は、変色システムへ情報を入力するため或いは変色システムから情報を受けるためのインターフェイスとして使用され得る種々のコンピュータプログラムないしコンピュータプログラム集合体のことである。いくつかの場合、変色システムと相互作用するソフトウェアは、コンピュータに保存される。他の場合、変色システムと相互作用するソフトウェアは、物品がコンピュータに接続されているときにそのコンピュータを介してアクセスされる、物品の制御装置と関連している。この構成を有することにより、変色システムと相互作用するソフトウェアが、物品と接続可能な種々のコンピュータで使用できるようになる。
【0048】
いくつかの実施例においては、物品がコンピュータと接続されているときは常に、変色システムは、変色部を自動制御する装置を備えている。例えば、一実施例においては、コンピュータが、性能パラメータと関係のある情報をダウンロードしかつその性能パラメータの値に従って変色部を制御するように構成されている。
【0049】
図8,9に示されるように、物品100は、有線接続704を利用してコンピュータ702と接続され得る。物品100がコンピュータ702と接続されているとき、コンピュータ702は、1つまたは複数の性能パラメータと関係のある情報を自動的にダウンロードするように構成され得る。例示した実施形態においては、コンピュータ702は、ユーザの移動マイル数を見積もるのに使われ得る踵踏みと関係のある情報を、制御装置124からダウンロードすることができる。最初に、物品100が初期の接続をされると、移動マイル数の表示は、1マイル~5マイルの範囲にある。いくつかの場合、この情報は、ソフトウェアインターフェイス750を使って表示される。この時点で、変色部122は、第1の色802を有する。性能パラメータ情報が完全にダウンロードされると、コンピュータ702は、ソフトウェアインターフェイス750を使って、移動したマイル数の更新記録を表示する。この場合、ユーザは、5マイルより多く移動している。さらには、コンピュータ702は、変色部122を第2の色804に変化させることを命じる信号を制御装置124へ送る。その後、ユーザが物品100の接続を解除しても、変色部122は第2の色804を表示し続ける。
【0050】
図8および
図9に示される構成を用いることにより、変色部122は、コンピュータ702で自動制御され得る。いくつかの場合、このシステムは、制御装置124で要求される計算量を減らす。つまり主要な計算の出力が、制御装置124ではなくコンピュータ702によって実行されるので、この構成は、製造コストを節約することができる。
【0051】
いくつかの実施例においては、変色システムは、変色部を手動で制御するための装置を備える。いくつかの場合、物品が、変色部の色を手動で制御するために使用される1つまたは複数の制御ボタンに関連している。加えて、いくつかの場合、物品が、性能パラメータの値をリセット(再設定)するリセットボタンに関連している。例えば、ユーザは、自分の能力(達成度)の追跡を始めからやり直したいことがあろう。1つまたは複数の制御ボタンが、変色部を有する物品の一部に直接提供される場合もあれば、変色システムの制御装置と通信する遠隔の制御装置に提供される場合もある。加えて、変色システムを手動で制御する装置が、変色システム用ソフトウェアインターフェイスの一部として提供される場合もある。例えば、色の変化がコンピュータによって制御される実施例においては、ソフトウェアインターフェイスが、性能パラメータをクリア(消去)し或いはリセットする装置を備え得る。
【0052】
変色システムは、変色部全体の制御のレベルを高める装置を備え得る。いくつかの場合、変色部を有する物品が、様々な型式の外部入力に応じて制御される。いくつかの場合、入力は、ユーザから直接受信される。他の場合、入力は、他の源から受信される。
【0053】
図10および
図11は、ユーザの入力情報に応じて制御される変色部の一実施例を示す。
図10および
図11に示されるように、物品1000は、バスケットボールシューズとすることができる。加えて、物品1000は、ロゴの形態の第1の変色部1002を有するとともに、トリムの形態の第2の変色部1004を有する。さらには、物品1000は、アッパーのほぼ半分以上を占める第3の変色部1006を有する。上述したように、各変色部は、模様ないしパターンを含む様々な色を有するように構成され得る。
【0054】
この場合、物品1000は、コンピュータ702と接続している。この実施例においては、コンピュータ702は、ユーザが参加予定の来たるバスケットボールの試合が行われる試合場所のタイプを選択するように、ユーザに促すことができる。
図10に示されるように、ユーザは、ソフトウェアインターフェイス750を利用して、試合が本拠地での試合であることを表す「ホーム」を選択することができる。ホームチームは通常白色を着るので、コンピュータ702は、第1の色1020で第3の変色部1006を色付けすることを命じる制御信号を物品1000へ送る。例示した実施形態においては、第1の色1020は白色である。これに加え、コンピュータ702は、第2の色1022を表示させるように第1の変色部1002および第2の変色部1004を制御することができる。いくつかの場合、第2の色1022は、非白色である。例えば、ユーザの所属するバスケットボールチームのチームカラーが赤である場合、第2の色1022は赤である。この構成を有することで、物品1000の半分以上が白に着色される一方で、ロゴとトリムがチームカラーで色付けされ得る。
【0055】
図11に示されるように、他の時に、ユーザがソフトウェアインターフェイス750を利用して、試合が敵地での試合であることを表す「アウェイ」を選択した場合、コンピュータ702は、第3の変色部1006が第2の色1022を有するように制御することができる。加えて、コンピュータ702は、第1の色1022を有するように第1の変色部1002および第2の変色部1004を制御することができる。この構成を有することで、物品1000の半分以上がチームカラーで色付けされるとともに、ロゴとトリムが白に色付けされ得る。
【0056】
変色システムは、1つまたは複数の変色部を有する物品に、ユーザの選択した色および/または所定のデザインを施す装置を備え得る。いくつかの実施例においては、変色システムは、ユーザの選択した色をこのユーザが入力することを可能にする装置を備える。制御装置は、ユーザの選択した色を受けると、ユーザの選択した色に変色部を変化させるように構成されている。例えば、エレクトロクロモグラフィック材料が変色部に使用される実施例においては、制御装置は、変色部に所定の電流および/または電圧をかけて、変色部の色を初期の色からユーザの選択した色へ変化させる。他の実施例においては、変色システムは、複数の色を採用する履物のデザインに従って、1つまたは複数の変色部に複数の色を施す装置を備える。
【0057】
図12に示されるように、物品1200は、アッパーのほぼ半分以上を占める変色部1202を有する。物品1200は、コンピュータ702と接続している。この場合、ユーザには、第1のデザイン1211、第2のデザイン1212、第3のデザイン1213および第4のデザイン1214を含む4つの所定のデザインが提供される。この場合、ユーザは、ストライプ状の模様を含む第3のデザイン1213を選択している。ユーザが第3のデザイン1213を選択すると、コンピュータ702は、この選択されたデザインで変色部1202を色付けすることを命じる制御信号を物品1200へ送る。特には、変色部がエレクトロクロモグラフィック材料を含む実施例においては、制御装置は、変色部1202の1つまたは複数の色を変化させることを命じる電気信号を変色部1202へ送り、変色部1202が選択されたデザインになるようにする。
【0058】
この実施例においては、4つのデザインのみが示されているが、他の実施例においては、追加のデザインを含み得る。いくつかの場合、ユーザの手作業でデザインがソフトウェアインターフェイス750内へ取り込まれる。他の場合、デザインはソフトウェアパッケージ内に含まれている。さらに他の場合、ユーザが、他の型式のグラフィックソフトウェアを使ってデザインを作り出すことができる。
【0059】
変色部は、物品のアッパーに限定されないことを理解されたい。他の場合、変色部は、物品の他の部分と関連している。例えば、いくつかの場合、物品のソールが1つまたは複数の変色部を有することで、ソールの色が変化し得る。他の場合、レース部の色が変化するように、物品に関連するレース部が変色部を有するように構成されている。さらに他の実施例においては、物品の他の部分が変色部に関連している。他の例としては、いくつかの場合、物品用のインサートが1つまたは複数の変色部を有する。
【0060】
図13を参照すると、物品1800は、アッパー1802とソール1804を含む。加えて、物品1800は、第1の変色部1822と第2の変色部1824を含む。第1の変色部1822は、アッパー1802のほぼ半分以上を占めている場合がある。さらに、第2の変色部1824は、ソール1804のほぼ半分以上を占めている場合がある。この構成を有することで、第1の変色部1822と第2の変色部1824が、物品1800のほぼ全体の色を変えるように使用され得る。
【0061】
いくつかの場合、
図13に示されるように、第2の変色部1824は、第1の変色部1822とは異なるように色付けされている。しかし、
図14に示されるように、いくつかの場合、第1の変色部1822と第2の変色部1824は、同系色を有する。この構成により、ユーザは、実質的に物品1800のどの部分も変化させることができるようになる。さらには、他の場合、第1の変色部1822と第2の変色部1824との互いに異なる領域が、互いに異なる色を有し得ることが理解されよう。
【0062】
変色システムは、ユーザの着用する或いはユーザに関連する他の対象物について受け取った情報に応じて自動的に物品を色付けする装置を備え得る。いくつかの実施例においては、変色システムは、ユーザに関連する対象物の第1の色と関係のある情報を受ける装置を備える。加えて、変色システムは、第1の色に応じて変色部に施す第2の色を決める装置を備え得る。例えば、いくつかの場合、変色システムは、第1の色とカラーコーディネートするように第2の色を決めることができる。変色部がエレクトロクロモグラフック材料を含む実施例においては、制御装置は、変色部の色を第2の色に変化させることを命じる電気信号を変色部へ送る。
【0063】
いくつかの場合、変色システムは、ユーザの着用する1つまたは複数の他の物品の色についての情報を受け、これらの他の物品の色に応じて変色部に施す色を決める。
【0064】
図15は、変色システム120の一実施例を示す。
図15を参照すると、ユーザ1300がシャツ1302を着ている。いくつかの場合、シャツ1302は、電子識別デバイス1304を備えている。この「電子識別デバイス」という用語は、対象物を識別する目的で物品に適用され或いは組み込まれた種々のデバイスのことである。例えば、いくつかの場合、電子識別デバイス1304は、無線周波数識別(RFID)タグである。電子識別デバイス1304がRFIDタグである場合、電子識別デバイス1304は、能動型タグまたは受動型タグのいずれであってもよい。
【0065】
この場合、コンピュータ702は、デバイス1304からの送信を受けることができるアンテナ725を備えている。コンピュータ702は、電子識別デバイス1304から受けた信号を使ってシャツ1302を特定する。特には、識別情報は、物品の色だけでなく物品の種類も含む。この場合、コンピュータ702は、シャツ1302が第1の色1358に関連していることを判定する。これに続いて、コンピュータ702は、第1の色1358と調和(コーディネート)するように物品1350に施す色付けスキームを決定する。この場合、コンピュータ702は、シャツ1302とカラーコーディネートするように物品1350に施す第2の色1360を選択する。特には、コンピュータ702は、変色部1352を第2の色1360へ変化させるように制御する。変色部1352がエレクトロクロモグラフィック材料を含む実施例においては、変色部1352に関連する制御装置が、変色部1352を第2の色1360へ変化させることを命じる電気信号を、変色部1352へ送る。この構成を有することで、ユーザは、自分の履いている靴と着ている他の衣料品とを容易にカラーコーディネートすることができる。この実施例は、履物の色とシャツとをコーディネートすることを説明しているが、他の実施例においては、履物の色と、シャツ、パンツ、ソックス、帽子、スカーフ(これらに限定しない)、並びに着用するか持ち運ぶアクセサリなどの他の物品と、をコーディネートする装置を含み得る。コーディネートされ得る他の対象物の例としては、スポーツ用品、リュックサック、鞄、旅行鞄(これらに限定しない)、並びにカラーコーディネートすることが望ましい他の対象物などの種々の品物がある。
【0066】
図16に示されているように、ユーザは、履物とコーディネートする目的で、物品のリストから手動で物品を選択することができる。この実施例においては、ユーザは、シャツリスト1402、パンツリスト1404および帽子リスト1406から物品を選択することができる。変色システム120は、ユーザが自分の着用するべき1つまたは複数の物品を選択した後、物品1400の1つまたは複数の変色部を自動的に変色させることによってその選択された物品とコーディネートするように構成され得る。
【0067】
この実施例において説明した物品のリストは、種々の様式で生み出すことができる。いくつかの場合、ユーザは、手作業で物品のリストをつくり出すことができる。一実施例においては、変色プログラムは、シャツ、パンツおよび帽子などの一般的な物品カテゴリーを含む。各カテゴリー内で、ユーザは、自分の所有する各物品についてのエントリーをすることができるとともに、そのエントリーの各々に色付けすることができる。例えば、ユーザは、半袖Tシャツについて第1のエントリーをすることができ、このシャツの色を手動で選択することができる。このエントリーは種々の方法で実現することができ、方法としては、ユーザにカラーチャートから色を選択させること或いはユーザにスキャナで物品の一部をスキャンさせることがある。他の実施例においては、物品のリストは、ユーザが自分の新規に購入した物品の商品タグのバーコードをスキャンすることにより生み出される。さらに他の実施例においては、物品は、他のタグを備えているか、或いは、ユーザによって変色プログラム内へスキャンされ得る情報若しくは手作業でエントリーされ得る情報を備えている。さらに他の実施例においては、ユーザは、様々な製造業者からの様々な衣料品のデータベースにアクセスすることができる。
【0068】
図17は、ユーザの着ている衣料品の色を決める他の方法の一実施例を示す。
図17に示されるように、コンピュータ702はカメラ1500を備えている。一般に、カメラ1500は、コンピュータ702と通信するように構成された種々の型式の撮像デバイスであって、そのような撮像デバイスとしては、デジタルカメラ、ビデオカメラ、スキャナ並びに種々の他の撮像デバイスがある。例示的な一実施例においては、カメラ1500はウェブカメラである。
【0069】
この場合、ユーザは、カメラ1500でシャツ1502の写真を撮ることができる。この写真は、画像1504としてコンピュータ702に保存され得る。加えて、コンピュータ702は、画像1504を分析して衣料品の色を判定するように構成され得る。例えば、コンピュータ702は、シャツ1502が赤色であることを判定することができる。この情報を使って、コンピュータ702は、物品1552の変色部1550がシャツ1502と合う(マッチする)赤色となるように制御することができる。
【0070】
上述した実施例は、衣料品の色を識別するための特定の種類のセンサを使用することに限定されないことを理解されたい。他の実施例においては、ユーザの着ている衣料品の色を検出するために他の種類のセンサが使用され得る。
【0071】
変色システムは、ユーザの着ている様々な他の衣料品の色に応じて履物の変色部の1つまたは複数の色を自動的に決めるように構成され得る。いくつかの実施例においては、変色システムは、ユーザの着ている1つまたは複数の衣料品に使われているのと同じ色を使って、変色部を色付けすることができる。しかし、他の実施例においては、変色システムは、ユーザの着ている1つまたは複数の物品から検出された色とは異なる色を使用する。いくつかの場合、例えば、変色システムは、ユーザの着ている他の物品に使われている色と合う調和色(コーディネートカラー)を使って、変色部を色付けすることができる。他の場合、変色システムは、ユーザの着ている他の物品に使われている色とは合わない相反色を、敢えて変色部に選択することもできる。さらに他の場合、変色システムは、ユーザの着ている他の物品の色に応じて、変色部に施す1つまたは複数の色を決定するための種々の基準を使うことができる。
【0072】
変色システムは、1つまたは複数のカラーデザインと関連し得る。この「カラーデザイン」という用語は、物品の1つまたは複数の変色部をどのように色付けするかを決めるために変色システムが使用することのできる情報の集まりのことである。いくつかの場合、カラーデザインは、変色システムに関連するソフトウェアで簡単に読むことができる標準化ファイルフォーマット内に保存することができる。標準化ファイルフォーマットを使うことにより、カラーデザインが、第3者によって簡単につくり出され、複数のユーザ間で交換され得る。しかし、他の実施例においては、カラーデザインは、標準化フォーマットとは関連がなく、概して、履物の様々な変色部に施される特定の色に関する情報を含む。
【0073】
変色システムは、第2者がカラーデザインをつくり出すことを可能にするとともに、変色部を有する物品を所有するユーザへカラーデザインを送ることを可能にする装置を備える。
図18に示されるように、ユーザ1600は、コンピュータ702と物品1602とへのアクセスができる。物品1602は、物品1602のアッパーのほぼ半分以上を占める変色部1604をさらに有する。加えて、コンピュータ702は、ネットワーク1650を介して遠隔のコンピュータ1620と通信する。
【0074】
一般に、ネットワーク1650は、コンピュータ702と遠隔のコンピュータ1620との間で情報を交換することを可能にするシステムとすることができる。そのようなネットワークの例としては、パーソナルエリアネットワーク、ローカルエリアネットワーク、ワイドエリアネットワーク、クライアント-サーバ・ネットワーク、ピアツーピア・ネットワークおよび他の型式のネットワークがあるが、これらに限定しない。加えて、ネットワークは、有線通信、無線通信または有線・無線通信両方をサポートすることができる。いくつかの実施例においては、ネットワーク1650は、パケット交換方式の通信システムである。好ましい実施例においては、ネットワーク1650は、インターネットである。
【0075】
いくつかの実施例においては、デザイナ1670は、変色部を有する物品用のカラーデザインをつくり出すために、遠隔のコンピュータ1620を使用する。一例においては、デザイナ1670は、プロのデザイナである。この構成を有することで、デザイナ1670は、ネットワーク1650を介して、物品に施すカラーデザイン1672をユーザ1600へ提出することができる。変色システム120は、カラーデザイン1672を受けた後、そのカラーデザイン1672に従って自動的に物品1602を色付けするように構成され得る。
【0076】
図19は、携帯デバイス1900の1つまたは複数の特徴を利用する変色システム1901の一実施例の概略を示す。一般に、携帯デバイスは、運動選手つまりユーザがトレーニングの指示を得るために使用する携帯可能なデバイスとすることができる。様々な携帯デバイスの例としては、モバイルフォン、デジタル音楽プレーヤ、携帯情報端末(PDA)、携帯ゲーム機、超軽量ラップトップ(これらに限定しない)、並びに種々の他の種類の携帯デバイスがある。例示した実施形態においては、携帯デバイス1300は、アップル・コンピュータ(Apple Computer,Inc.)製のiPhone(登録商標)やiPod(登録商標)とすることができる。
【0077】
携帯デバイス1900は、表示画面1902を有するように構成することができる。また、携帯デバイス1900は、入力ボタン1904を有し得る。さらに、いくつかの場合、携帯デバイス1900は、タッチセンサ式画面を有するように構成されている。他の場合、携帯デバイス1900は、種々の他の入力デバイスを有し得る。携帯デバイス1900は、スピーカ、マイクロフォン、携帯デバイス1900を同期するため及び/または充電するのに使用されるポート、ヘッドホンジャック、並びに
図19に見られない様々な他の装置を含み得ることを理解されたい。
【0078】
携帯デバイス1900が、1つまたは複数のソフトウェア・アプリケーションを動作させるように構成され得る。いくつかの場合、ソフトウェア・アプリケーションは、製造の時点で携帯デバイス1900にインストールされている。他の場合、ソフトウェア・アプリケーションは、サービス・プロバイダからダウンロードされる。一実施例においては、ユーザは、iTunes(登録商標)などのオンライン小売業者からアプリケーションを購入する。
【0079】
この実施例においては、携帯デバイス1900は、情報を送受信するために利用され得るアンテナ1930を備えている。いくつかの場合、アンテナ1930は、シャツ1940の電子識別デバイス1934から情報を受けることができる。いくつかの場合、電子識別デバイス1934は、無線周波数識別(RFID)タグとすることができる。
【0080】
携帯デバイス1900は、履物1920に接続され得る。いくつかの場合、携帯デバイス1900は、有線接続1918を使って物品1920に接続されている。特には、携帯デバイス1900は、物品1920から有線接続1918を介して情報を受けるポート1914を備えている。しかし、他の場合、携帯デバイス1900は、無線接続を含む種々の他の様式で物品1920と通信する。
【0081】
この実施例においては、携帯デバイス1900は、電子識別デバイス1934から受けた情報を使ってシャツ1940を特定する。特には、識別情報としては、物品の色だけでなく物品の種類がある。この場合、携帯デバイス1900は、シャツ1934が第1の色1958に関連していることを判定する。これに続いて、携帯デバイス1900は、第1の色1958と調和するように物品1920に施す色付けスキームを決定し得る。この場合、携帯デバイス1900は、シャツ1940とカラーコーディネートするように物品1920に施す第2の色1960を選択する。特には、携帯デバイス1900は、変色部1922を第2の色1960に変化させるように制御する。変色部1922がエレクトロクロモグラフィック材料を含む実施例においては、変色部1922に関連する制御装置は、変色部1922に電気信号を送って、変色部1922を第2の色1960に変化させる。この構成により、変色システム1901の携帯性が向上する。
【0082】
いくつかの実施例においては、携帯デバイス1900は、物品についての情報を検出する追加の装置を備える。いくつかの場合、例えば、携帯デバイス1900は、物品についての光学的情報を検出する光学デバイスを備える。携帯デバイスに組み込まれ得る様々な光学デバイスの例としては、デジタルカメラ、ビデオカメラ、スキャナ(これらに限定しない)、並びに種々の他の撮像デバイスがある。
【0083】
図20に示されるように、携帯デバイス1900は、カメラ1970を有するように構成され得る。様々な実施例においては、カメラ1970の位置は、様々な位置とされ得る。この実施例においては、カメラ1970は、表示画面1902とは反対側の携帯デバイス1900の側に配置されている。この場合、ユーザ1990は、携帯デバイス1900を使って鏡2000に映っているシャツ1942の写真を撮ることができる。そして、携帯デバイス1900は、シャツ1942の写真を分析して、変色部1922に施すべき調和色を導き出す。
【0084】
変色システムは、様々な出力モードで動作するための装置を備え得る。いくつかの実施例においては、変色システムは、物品が外部電源に直接接続されているときに高出力モードで動作するように構成されている。加えて、変色システムは、物品が内部電源のみに接続されているときに低出力モードで動作するように構成され得る。ここで、高出力モードとは、豊富な電力を使って変色システムが変色部を素早く変色させるモードであり得る。これと対比して、低出力モードとは、電力の供給量が限られていることにより変色システムが変色部の色をゆっくり変色させるか単に色を持続させるモードであり得る。この構成は、比較的高い出力を要求する変色技術が使われる実施例において、電力を温存するのに有用である。
【0085】
図21は、様々な出力モードで変色システムを動作させるプロセスの一実施例を示す。この実施例においては、以下のステップは、制御装置124によって実行され得る。しかし、いくつかの実施例においては、これらのステップは、物品100に関連する追加のシステムないし装置によって実行される。例えば、様々な性能パラメータを測定するセンサないし装置を含むいくつかの場合、1つまたは複数のステップがセンサないし装置によって実行され得る。加えて、物品124がコンピュータと通信する実施例においては、1つまたは複数のステップがコンピュータによって実行され得る。なお、他の実施例においては、1つまたは複数の以下のステップが選択的であることを理解されたい。
【0086】
ステップ1702で、制御装置124が電力源情報を受け得る。一般に、電力源情報を検出するための当技術分野において周知の種々の方法が使用され得る。次に、ステップ1704で、制御装置124は、物品が外部電源に接続されているかを判定する。接続されていれば、制御装置124は、ステップ1706へ進み、高出力モードへ入る。高出力モードでは、制御装置124は、変色部を動作させるための出力の可用性が高いことにより1つまたは複数の変色部を素早く変化させることができる。
【0087】
ステップ1704で、物品が外部電力に接続されてないことを制御装置124が判定した場合、制御装置124は、ステップ1708へ進み得る。ステップ1708で、制御装置124は、物品が内部電源を使っていることを判定し得る。内部電源の例としては、上述したものと、種々の型式の電池および/または圧電素子並びに他の型式の携帯電源と、がある。ステップ1708に続いて、制御装置124は、ステップ1710へ進み、低出力モードへ入る。低出力モードでは、制御装置124は、電力を温存するために1つまたは複数の変色部の色をゆるやかに変化させ得る。いくつかの場合、低出力モードでは色の変化が生じることがなく、低出力モードは、変色部に特定の色を能動的または受動的に維持するためにある。
【0088】
今度は
図22を参照すると、履物2200の代替的な一実施例が示されている。物品2200は、アッパー102および/またはソール104(これらに限定しない)などの、上述した物品100に関連する構成要素とほぼ同じ1つまたは複数の構成要素を備え得る。いくつかの実施例においては、物品(履物)2200は、変色システム2220を備える。変色システム2220は、制御装置124、電力貯蔵デバイス126、ポート131および/またはポート132(これらに限定しない)などの、上述した変色システム120に関連する構成要素とほぼ同じ1つまたは複数の構成要素を備え得る。一実施例においては、変色システム2220は、変色部2222を備える。変色部2222は、上述した変色部122とほぼ同じものとすることができる。
【0089】
いくつかの実施例においては、変色システム2220は、複数の個々の変色部に関連する変色部2222を備える。一実施例においては、変色部2222は、第1の変色部2223、第2の変色部2224、第3の変色部2225および/または第4の変色部2226を含む。第1の変色部2223、第2の変色部2224、第3の変色部2225および/または第4の変色部2226の各々は、上述した変色部122とほぼ同じ個々の変色部からなり得る。いくつかの実施例においては、制御装置124は、第1の変色部2223、第2の変色部2224、第3の変色部2224、第3の変色部2225および第4の変色部2226を別個に制御する。他の実施例においては、制御装置124は、単一の構成要素としての変色部2222を制御する。
【0090】
一実施例においては、第1の変色部2223、第2の変色部2224、第3の変色部2225および/または第4の変色部2226のうちのいくつかを含む変色部2222が、電子ペーパー技術に関連している。一実施例においては、第1の変色部2223、第2の変色部2224、第3の変色部2225および/または第4の変色部2226は、一緒に変色部2222を構成する個々のタイルである。この構成を有することで、電子ペーパーの個々のタイルは、物品上に大きな変色部を形成するように配置され得る。いくつかの場合、実質的に硬質の電子ペーパーが、第1の変色部2223、第2の変色部2224、第3の変色部2225および/または第4の変色部2226のうちのいくつかと関連している。実質的に硬質の電子ペーパーが使用される実施例においては、タイル貼りされていることで変色部2222に柔軟性がもたらされる。他の場合、実質的に柔軟な電子ペーパーおよび/または本明細書中で説明した種々の他の変色技術が、第1の変色部2223、第2の変色部2224、第3の変色部2225および/または第4の変色部2226のうちのいくつかと関連している。
【0091】
他の実施例においては、変色システムは、履物の湾曲した部分と関連している。今度は
図23および
図24を参照すると、代替的な履物2300の一実施例が示されている。物品2300は、アッパー102および/またはソール104(これらに限定しない)などの、上述した物品100に関連する構成要素とほぼ同じ1つまたは複数の構成要素を含み得る。いくつかの実施例においては、変色システム2320は、物品2300の湾曲した部分と関連している。例えば、一実施例においては、変色システム2320は、ユーザの踵に関連する物品2300の一部分に関連している。変色システム2320は、制御装置124、電力貯蔵デバイス126、ポート131および/またはポート132(これらに限定しない)などの、上述した変色システム120に関連する構成要素とほぼ同じ1つまたは複数の構成要素を含み得る。一実施例においては、変色システム2320は、湾曲した変色部2322を含む。湾曲した変色部2322は、上述した変色部122とほぼ同じものであってもよい。
【0092】
一実施例においては、湾曲した変色部2322は、物品2300の1つまたは複数の湾曲した部分に関連している。一実施例においては、湾曲した変色部2322は、物品2300の踵部の一部に関連している。
図24に示されるように、湾曲した変色部2322は、物品2300の踵部の一部を覆っている場合がある。いくつかの場合、印加電圧を除いた後にも変色を保持できる実質的に柔軟な電子ペーパー技術が、湾曲した変色部2322に関連している。実質的に柔軟な電子ペーパー技術が使用される実施例においては、湾曲した変色部2322は、物品2300の踵部の湾曲した形状とほぼ合致するように構成されている。他の場合、湾曲した変色部2322に、上述した種々の他の柔軟な変色技術が関連している。
【0093】
いくつかの実施例においては、湾曲した変色部2322は、複数の個々の変色部に関連している。
図25に示されるように、湾曲した変色部2322の代替的な一実施例が、タイル貼りの構成に配置された複数の個々の変色部に関連し得る。一実施例においては、湾曲した変色部2322は、第1の変色部2500、第2の変色部2502、第3の変色部2504、第4の変色部2510、第5の変色部2512、第6の変色部2514、第7の変色部2520、第8の変色部2522および/または第9の変色部2524を含む。湾曲した変色部2322を構成する個々の変色部の各々は、上述した、第1の変色部2223、第2の変色部2224、第3の変色部2225および/または第4の変色部2226のいずれかとほぼ同じものとすることができる。加えて、
図22を参照して説明したように、制御装置124は、複数の個々の変色部の各々を別個に制御するか或いは単一の構成要素としての湾曲した変色部2322を制御する。
【0094】
いくつかの実施例においては、湾曲した変色部2322のうちの1つまたは複数の個々の変色部が、グループをつくるように配置されている。一実施例においては、個々の変色部がタイル貼りされた構成において、グループは一行または一列に並べられている。いくつかの場合、様々なグループが様々な変色技術に関連している。
【0095】
例えば、一実施例においては、第1の変色部2500、第2の変色部2502および第3の変色部2504を含む個々の変色部からなる第1のグループが、物品2300の踵の一方の側の湾曲した部分に関連している。同様に、第7の変色部2520、第8の変色部2522および第9の変色部2524を含む個々の変色部からなる第2のグループが、物品2300の踵の他方の側の湾曲した部分に関連している。第4の変色部2510、第5の変色部2512および第6の変色部2514を含む個々の変色部からなる第3のグループが、第1のグループと第2のグループとの間の踵の中央部に関連している。この実施例においては、第1のグループと第2のグループが実質的に柔軟な電子ペーパーと関連している一方で、第3のグループが実質的に硬質の電子ペーパーに関連している。この構成を有することで、湾曲した変色部2322は、物品2300の踵部の湾曲した形状とほぼ合致するように構成され得る。
【0096】
他の実施例においては、湾曲した変色部2322は、実質的に硬質の電子ペーパー、実質的に柔軟な電子ペーパー(これらに限定しない)および/または本明細中で説明した種々の他の変色技術のうちの1つまたは複数などと実質的に同じ変色技術を有する個々の変色部のうちの複数のものと関連している。様々な実施例においては、実質的に硬質の電子ペーパー、実質的に柔軟な電子ペーパーおよび/または上述した種々の他の変色技術のいずれか1つまたは組み合わせが、第1の変色部2500、第2の変色部2502、第3の変色部2504、第4の変色部2510、第5の変色部2512、第6の変色部2514、第7の変色部2520、第8の変色部2522および/または第9の変色部2524のいずれかと関連している。
【0097】
本発明の様々な実施例を説明したが、この説明は限定するためのものではなく例示するためのものであって、当業者には、本発明の範囲を逸脱することなく、さらに多くの実施形態および適用形態が可能であることが理解されよう。従って、本発明は、添付の特許請求の範囲およびその均等物に照らすこと以外には限定されない。また、添付の特許請求の範囲内において様々な変更や変形がなされ得る。
【0098】
以下に、出願当初の特許請求の範囲に記載の内容を実施例として記載しておく。
[実施例1]
変色部を有する履物を扱う方法であって、
性能パラメータを測定するステップと、
性能パラメータが第1の値の範囲内にあるとき上記変色部を第1の色に色付けするステップと、
性能パラメータが第2の値の範囲内にあるとき上記変色部を第2の色に色付けするステップと、
を含み、
第1の値の範囲と第2の値の範囲とは実質的に互いに異なり、第1の色と第2の色とは実質的に互いに異なり、
上記変色部はエレクトロクロモグラフィック材料を含むことを特徴とする方法。
[実施例2]
上記性能パラメータは、履物のユーザが移動した距離と関係があることを特徴とする請求項1に記載の方法。
[実施例3]
上記性能パラメータは、履物のユーザが行ったジャンプの回数と関係があることを特徴とする請求項1に記載の方法。
[実施例4]
上記変色部は、エレクトロクロモグラフィック材料に基づくトランジスタを備えることを特徴とする請求項1に記載の方法。
[実施例5]
上記変色部を色付けするステップは、上記エレクトロクロモグラフィック材料にかける電圧を変化させるステップを含む、請求項1に記載の方法。
[実施例6]
上記変色部を色付けするステップは、上記エレクトロクロモグラフィック材料に流れる電流を変化させるステップを含む、請求項1に記載の方法。
[実施例7]
上記変色部は、第2の色を含む模様を表示するように色付けされることを特徴とする請求項1に記載の方法。
[実施例8]
上記変色部は、第2の色を含むグラフィックを表示するように色付けされることを特徴とする請求項1に記載の方法。
[実施例9]
上記変色部は、第2の色を含む言葉を表示するように色付けされることを特徴とする請求項1に記載の方法。
[実施例10]
上記変色部は、第2の色を含む数を表示するように色付けされることを特徴とする請求項1に記載の方法。
[実施例11]
変色部を有する履物を扱う方法であって、
ユーザの選択した色を受けるステップと、
上記変色部に関連するエレクトロクロモグラフィック材料へ電気信号を送るステップと、
これにより、上記ユーザの選択した色とは異なる初期の色から上記ユーザの選択した色へ上記変色部を変化させるステップと、
を含む方法。
[実施例12]
上記履物は、複数の変色部を有し、上記ユーザの選択した色は、上記複数の変色部に対応する複数の色に関連することを特徴とする請求項11に記載の方法。
[実施例13]
上記変色部は、上記履物のアッパーのほぼ半分以上を占めることを特徴とする請求項11に記載の方法。
[実施例14]
上記変色部は、上記履物のロゴに関連することを特徴とする請求項11に記載の方法。
[実施例15]
上記変色部は、上記履物のトリムに関連することを特徴とする請求項11に記載の方法。
[実施例16]
上記ユーザの選択した色は、上記履物に施す所定のデザインに関連することを特徴とする請求項11に記載の方法。
[実施例17]
変色部を有する履物を扱う方法であって、
履物のユーザに関連する対象物の第1の色と関係のある情報を受けるステップと、
第1の色に応じて上記変色部に施す第2の色を決定するステップと、
上記変色部に関連するエレクトロクロモグラフィック材料に電気信号を送るステップと、
これにより、上記変色部を第2の色へ変化させるステップと、
を含む方法。
[実施例18]
第1の色と第2の色とが同系色であることを特徴とする請求項17に記載の方法。
[実施例19]
第1の色と第2の色とが実質的に互いに異なることを特徴とする請求項17に記載の方法。
[実施例20]
第1の色と第2の色とがカラーコーディネートされていることを特徴とする請求項19に記載の方法。
[実施例21]
第1の色と関係のある情報を受けるステップは、上記対象物から無線信号を受けるステップを含む、請求項17に記載の方法。
[実施例22]
第1の色と関係のある情報を受けるステップは、上記対象物の画像を受けるステップを含む、請求項17に記載の方法。
[実施例23]
第1の色と関係のある情報を受けるステップは、上記対象物に関連するバーコードから情報を受けるステップを含む、請求項17に記載の方法。
[実施例24]
上記対象物が衣料品であることを特徴とする請求項17に記載の方法。