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特許7072617情報処理装置、制御方法、プログラム及び記録媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-12
(45)【発行日】2022-05-20
(54)【発明の名称】情報処理装置、制御方法、プログラム及び記録媒体
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/26 20060101AFI20220513BHJP
   G08G 1/0969 20060101ALI20220513BHJP
   G09B 29/00 20060101ALI20220513BHJP
   G06F 16/909 20190101ALI20220513BHJP
【FI】
G01C21/26 A
G08G1/0969
G09B29/00 Z
G06F16/909
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020140938
(22)【出願日】2020-08-24
(62)【分割の表示】P 2016044695の分割
【原出願日】2016-03-08
(65)【公開番号】P2020204615
(43)【公開日】2020-12-24
【審査請求日】2020-08-24
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】321011767
【氏名又は名称】ジオテクノロジーズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】特許業務法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤田 陽子
(72)【発明者】
【氏名】大石 淳也
(72)【発明者】
【氏名】阿部 聡智
(72)【発明者】
【氏名】天沼 正行
(72)【発明者】
【氏名】中尾 和浩
(72)【発明者】
【氏名】沓名 守通
(72)【発明者】
【氏名】菅原 拓矢
【審査官】秋山 誠
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-211491(JP,A)
【文献】特開2011-089977(JP,A)
【文献】特開2013-108837(JP,A)
【文献】特開2008-070291(JP,A)
【文献】特開2008-045967(JP,A)
【文献】特開2004-226341(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/26
G08G 1/0969
G09B 29/00
G06F 16/909
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、第1の道路を示す第1道路情報を、道路に対応する道路リンクのIDを含む道路情報を記憶する道路情報記憶部から取得する第1取得部と、
車線に対応する車線リンクのIDを含む車線情報を記憶する車線情報記憶部から、前記第1道路情報によって示される位置から第1距離以内に存在する車線を示す第1車線情報を取得する第2取得部と、
前記第2取得部が取得した前記第1車線情報から、前記第1道路情報が示す進行可能方向と同じ進行可能方向を示す前記第1車線情報を選択する選択部と、
前記第1道路情報に含まれる前記道路リンクのIDごとに、前記選択部が選択した前記第1車線情報に含まれる前記車線リンクのIDが関連付けられた対応情報を生成する生成部と、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記第1取得部は、移動体の現在位置に基づく所定エリア内に存在する道路を示す道路情報の各々を、前記第1道路情報として、前記道路情報記憶部から取得する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
移動体が移動する経路に関する経路情報を取得する第3取得部を更に有し、
前記第1取得部は、前記経路に含まれる道路を示す情報を、前記第1道路情報として取得する請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記第3取得部は、前記道路情報記憶部を参照して前記経路を探索することで、前記経路情報を取得し、
前記第1取得部は、前記経路に含まれる道路を示す道路情報を、前記第1道路情報として前記道路情報記憶部から取得することを特徴とする請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記生成部は、前記経路に沿った走行が可能な車線への車線変更が制限される車線を示す車線情報を少なくとも除外した前記第1車線情報を、前記第1道路情報と関連付けることを特徴とする請求項3または4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記第2取得部は、設定部によって設定された前記第1距離を取得する請求項1~5のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記第2取得部は、前記第1距離を、前記第1道路の幅に基づき決定する請求項1~5のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
情報処理装置が実行する制御方法であって、
少なくとも、第1の道路を示す第1道路情報を、道路に対応する道路リンクのIDを含む道路情報を記憶する道路情報記憶部から取得する第1取得工程と、
車線に対応する車線リンクのIDを含む車線情報を記憶する車線情報記憶部から、前記第1道路情報によって示される位置から第1距離以内に存在する車線を示す第1車線情報を取得する第2取得工程と、
前記第2取得工程が取得した前記第1車線情報から、前記第1道路情報が示す進行可能方向と同じ進行可能方向を示す前記第1車線情報を選択する選択工程と、
前記第1道路情報に含まれる前記道路リンクのIDごとに、前記選択工程が選択した前記第1車線情報に含まれる前記車線リンクのIDが関連付けられた対応情報を生成する生成工程と、
を有する制御方法。
【請求項9】
コンピュータが実行するプログラムであって、
少なくとも、第1の道路を示す第1道路情報を、道路に対応する道路リンクのIDを含む道路情報を記憶する道路情報記憶部から取得する第1取得部と、
車線に対応する車線リンクのIDを含む車線情報を記憶する車線情報記憶部から、前記第1道路情報によって示される位置から第1距離以内に存在する車線を示す第1車線情報を取得する第2取得部と、
前記第2取得部が取得した前記第1車線情報から、前記第1道路情報が示す進行可能方向と同じ進行可能方向を示す前記第1車線情報を選択する選択部と、
前記第1道路情報に含まれる前記道路リンクのIDごとに、前記選択部が選択した前記第1車線情報に含まれる前記車線リンクのIDが関連付けられた対応情報を生成する生成部として前記コンピュータを機能させるプログラム。
【請求項10】
請求項9に記載のプログラムが記録されていることを特徴とする記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経路探索及び経路案内等に用いる道路データに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、走行支援技術として、道路地図を示す道路地図情報を用いて、車両の経路を誘導するための誘導情報を、画像や音声によって車両の運転者に提供するナビゲーションシステムが実用化されている。例えば、特許文献1には、道路に沿った道路基準線に基づいた道路地図を示す道路基準情報と、車線に沿った車線基準線に基づいた道路地図を示す車線基準情報と、道路基準情報及び車線基準情報を対応付ける対応情報とを記憶部に記憶させたナビゲーション装置が開示されている。このナビゲーション装置は、車両が走行する経路を道路基準情報によって探索し、探索された経路を、対応情報を用いて車線基準情報によって特定し、車線基準情報によって特定される経路に基づいて誘導情報を生成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-266865号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
自動運転等では高精度な制御が求められ、道路単位の地図データを用いての案内情報の生成では不十分であり、車線単位の地図データに基づく案内情報が必要となる。一方、車線単位の地図データに基づき経路探索を行うと、経路の候補が増えるため、探索に時間がかかる。そのため、経路探索は道路単位での地図データを利用して行い、探索した経路に基づく誘導案内情報は車線単位での地図データを元に生成するのが効率的であると考えられる。このような構成とする場合には、道路単位の地図データに登録された道路リンクと、車線単位の地図データに登録された車線リンクとの対応付けが必要となる。
【0005】
一方、特許文献1には、道路リンクと車線リンクとを対応付ける対応情報により道路リンクと車線リンクとの対応付けを行う点が開示されているものの、この対応情報の生成方法については、何ら言及されていない。
【0006】
本発明の解決しようとする課題としては、上記のものが一例として挙げられる。本発明は、道路情報と車線情報との関連付けを好適に実行することが可能な情報処理装置を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項に記載の発明は、情報処理装置であって、少なくとも、第1の道路を示す第1道路情報を、道路情報を記憶する道路情報記憶部から取得する第1取得部と、車線を示す車線情報を記憶する車線情報記憶部から、前記第1道路情報によって示される位置から第1距離以内に存在する車線を示す第1車線情報を取得する第2取得部と、前記第2取得部が取得した第1車線情報から、前記第1道路情報が示す進行可能方向と同じ進行可能方向を示す前記第1車線情報を選択する選択部と、前記第1道路情報と、前記選択部が選択した前記第1車線情報と、が対応することを示す対応情報を生成する生成部と、を備えることを特徴とする。
【0009】
また、請求項に記載の発明は、情報処理装置が実行する制御方法であって、少なくとも、第1の道路を示す第1道路情報を、道路情報を記憶する道路情報記憶部から取得する第1取得工程と、車線を示す車線情報を記憶する車線情報記憶部から、前記第1道路情報によって示される位置から第1距離以内に存在する車線を示す第1車線情報を取得する第2取得工程と、前記第2取得工程が取得した第1車線情報から、前記第1道路情報が示す進行可能方向と同じ進行可能方向を示す前記第1車線情報を選択する選択工程と、前記第1道路情報と、前記選択工程が選択した前記第1車線情報と、が対応することを示す対応情報を生成する生成工程と、を有することを特徴とする。
【0010】
また、請求項に記載の発明は、コンピュータが実行するプログラムであって、少なくとも、第1の道路を示す第1道路情報を、道路情報を記憶する道路情報記憶部から取得する第1取得部と、車線を示す車線情報を記憶する車線情報記憶部から、前記第1道路情報によって示される位置から第1距離以内に存在する車線を示す第1車線情報を取得する第2取得部と、前記第2取得部が取得した第1車線情報から、前記第1道路情報が示す進行可能方向と同じ進行可能方向を示す前記第1車線情報を選択する選択部と、前記第1道路情報と、前記選択部が選択した前記第1車線情報と、が対応することを示す対応情報を生成する生成部として前記コンピュータを機能させることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】ナビゲーション装置の概略構成を示す。
図2】一方通行の道路を道路リンクと車線リンクとを用いて表した図である。
図3】上り方向及び下り方向の各方向に2車線存在する片側2車線道路に対応する道路リンクと、車線リンク列とを表した図である。
図4図3に示す片側2車線道路に対応する道路リンクが1つである場合の道路リンクと、車線リンク列とを表した図である。
図5】第1実施例に係る対応情報の生成処理を示すフローチャートである。
図6】交差点を含む道路を表示した地図上において、道路リンク及び車線リンクを可視化した図である。
図7】第2実施例に係る対応情報の生成処理を示すフローチャートである。
図8】変形例1に係るナビゲーションシステムの構成を示す。
図9】変形例2に係る道路リンク及び車線リンクを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の好適な実施形態では、情報処理装置は、少なくとも、第1の道路を示す第1道路情報を取得する第1取得部と、車線を示す車線情報を記憶した車線情報記憶部から、前記第1道路情報によって示される位置から第1距離以内に存在する車線を示す第1車線情報を検索し、前記第1車線情報を取得する第2取得部と、前記第1道路情報と、前記第1車線情報と、を関連付けて記憶部に記憶する関連付け部と、を備える。
【0013】
上記情報処理装置は、第1取得部と、第2取得部と、関連付け部とを有する。第1取得部は、少なくとも、第1の道路を示す第1道路情報を取得する。第2取得部は、車線を示す車線情報を記憶した車線情報記憶部から、第1道路情報によって示される位置から第1距離以内に存在する車線を示す第1車線情報を検索することで、第1車線情報を取得する。関連付け部は、第1取得部が取得した第1道路情報と、第2取得部が取得した第1車線情報とを関連付けて記憶部に記憶する。この態様では、情報処理装置は、第1道路情報を車線情報と関連付ける場合に、第1の道路の位置から第1距離以内に存在する車線を示す第1車線情報を検索し、第1道路情報に関連付けることができる。
【0014】
上記情報処理装置の一態様では、情報処理装置は、移動体が移動する経路に関する経路情報を取得する第3取得部を更に有し、前記第1取得部は、前記経路に含まれる道路を示す情報を、前記第1道路情報として取得する。この態様により、情報処理装置は、道路情報と車線情報との関連付け処理を、経路案内の案内情報の生成等に必要な範囲に好適に限定することができる。
【0015】
上記情報処理装置の他の一態様では、前記第3取得部は、第1の道路を含む道路を示す道路情報を記憶する道路情報記憶部を参照して前記経路を探索することで、前記経路情報を取得し、前記第1取得部は、前記経路に含まれる道路を示す道路情報を、前記第1道路情報として前記道路情報記憶部から取得する。この態様により、情報処理装置は、道路情報記憶部に記憶された道路情報を参照して経路探索を行い、かつ、経路に含まれる道路の道路情報に対して車線情報を関連付けることができる。
【0016】
上記情報処理装置の他の一態様では、前記関連付け部は、前記経路に沿った走行が可能な車線への車線変更が制限される車線を示す車線情報を少なくとも除外した前記第1車線情報を、前記第1道路情報と関連付けて前記記憶部に記憶する。この態様により、情報処理装置は、経路に沿った走行に適さない車線の車線情報を、不要に第1道路情報に関連付けるのを防ぐことができる。
【0017】
上記情報処理装置の他の一態様では、前記第2取得部は、設定部によって設定された前記第1距離を取得する。これにより、情報処理装置は、関連付ける車線と道路との許容可能な距離差を好適に調整することができる。
【0018】
上記情報処理装置の他の一態様では、前記第2取得部は、前記第1距離を、前記第1道路の幅に基づき決定する。この態様により、情報処理装置は、道路情報と車線情報との適切な関連付けがなされるように第1距離を的確に定めることができる。
【0019】
上記情報処理装置の他の一態様では、前記第1取得部は、現在位置を基準とした所定エリアに含まれる道路を示す情報を、前記第1道路情報として取得する。この態様によっても、情報処理装置は、経路探索前などに予め必要な道路情報と車線情報との関連付けを行うことができる。
【0020】
本発明の他の好適な実施形態では、情報処理装置は、少なくとも、第1の道路を示す第1道路情報を取得する第1取得部と、車線を示す車線情報を記憶した車線情報記憶部から、前記第1道路情報によって示される位置から第1距離以内に存在する車線を示す第1車線情報を取得する第2取得部と、前記第1道路情報と、前記第1車線情報と、が対応することを示す対応情報を生成する生成部と、を備える。この態様により、情報処理装置は、第1道路情報と第1車線情報とを関連付ける対応情報を好適に生成することができる。
【0021】
本発明の他の好適な実施形態では、情報処理装置が実行する制御方法であって、少なくとも、第1の道路を示す第1道路情報を取得する第1取得工程と、車線を示す車線情報を記憶した車線情報記憶部から、前記第1道路情報によって示される位置から第1距離以内に存在する車線を示す第1車線情報を検索し、前記第1車線情報を少なくとも取得する第2取得工程と、前記第1道路情報と、前記第1車線情報と、を関連付けて記憶部に記憶する関連付け工程と、を有する。情報処理装置は、この制御方法を実行することで、第1道路情報を車線情報と関連付ける場合に、第1の道路の位置から第1距離以内に存在する車線を示す第1車線情報を検索し、第1道路情報に関連付けることができる。
【0022】
本発明の他の好適な実施形態では、コンピュータが実行するプログラムであって、少なくとも、第1の道路を示す第1道路情報を取得する第1取得部と、車線を示す車線情報を記憶した車線情報記憶部から、前記第1道路情報によって示される位置から第1距離以内に存在する車線を示す第1車線情報を検索し、前記第1車線情報を少なくとも取得する第2取得部と、前記第1道路情報と、前記第1車線情報と、を関連付けて記憶部に記憶する関連付け部として前記コンピュータを機能させる。コンピュータは、このプログラムを実行することで、第1道路情報を車線情報と関連付ける場合に、第1の道路の位置から第1距離以内に存在する車線を示す第1車線情報を検索し、第1道路情報に関連付けることができる。好適には、上記プログラムは、記録媒体に記録されている。
【実施例
【0023】
以下、図面を参照して本発明の好適な各実施例について説明する。
【0024】
<第1実施例>
[ナビゲーション装置の構成]
図1は、第1実施例に係るナビゲーション装置1の概略構成を示す。
【0025】
図1に示すように、ナビゲーション装置1は、自立測位装置10、GPS受信機18、システムコントローラ20、データ記憶ユニット31、通信装置38、表示ユニット40、音声出力ユニット50及び入力装置60を備える。
【0026】
自立測位装置10は、加速度センサ11、角速度センサ12及び距離センサ13を備える。加速度センサ11は、例えば圧電素子からなり、車両の加速度を検出し、加速度データを出力する。角速度センサ12は、例えば振動ジャイロからなり、車両の方向変換時における車両の角速度を検出し、角速度データ及び相対方位データを出力する。距離センサ13は、車両の車輪の回転に伴って発生されているパルス信号からなる車速パルスを計測する。
【0027】
GPS受信機18は、複数のGPS衛星から、測位用データを含む下り回線データを搬送する電波19を受信する。測位用データは、緯度及び経度情報等から車両の絶対的な位置を検出するために用いられる。
【0028】
システムコントローラ20は、インタフェース21、CPU22、ROM23及びRAM24を含んでおり、ナビゲーション装置1全体の制御を行う。
【0029】
インタフェース21は、加速度センサ11、角速度センサ12及び距離センサ13並びにGPS受信機18とのインタフェース動作を行う。そして、これらから、車速パルス、加速度データ、相対方位データ、角速度データ、GPS測位データ、絶対方位データ等をシステムコントローラ20に入力する。CPU22は、システムコントローラ20全体を制御する。ROM23は、システムコントローラ20を制御する制御プログラム等が格納された図示しない不揮発性メモリ等を有する。RAM24は、入力装置60を介して使用者により予め設定された経路データ等の各種データを読み出し可能に格納したり、CPU22に対してワーキングエリアを提供したりする。
【0030】
システムコントローラ20、データ記憶ユニット31、表示ユニット40、音声出力ユニット50及び入力装置60は、バスライン30を介して相互に接続されている。
【0031】
データ記憶ユニット31は、例えば、HDD又はSDカード(登録商標)などの記憶媒体などにより構成され、地図データや施設データなどのナビゲーション処理に用いられる各種データを記憶する。本実施例では、データ記憶ユニット31は、地図データの一部として、道路リンクDB32と、車線リンクDB33と、対応情報34とを有する。データ記憶ユニット31は、本発明における「車線情報記憶部」、「道路情報記憶部」、「記憶部」の一例である。
【0032】
道路リンクDB32は、道路網を交差点等の道路の接続部分に相当するノードとノード間を結ぶリンクとに表した場合の道路毎のリンク(「道路リンク」とも呼ぶ。)のデータベースである。道路リンクDB32には、道路リンクごとに、当該道路リンクに対応する区間の属性情報が記録されている。道路リンクの属性情報は、例えば、道路リンクのID、始点及び終点に対応する位置情報又は始点及び終点に対応する各道路ノードのID、道路幅員、道路形状データなどを含む。後述するように、道路リンクDB32は、案内対象となる目的地までの経路(「案内経路」とも呼ぶ。)を決定する処理に用いられる。道路リンクDB32に登録される道路リンクの属性情報は、本発明における「道路情報」の一例である。
【0033】
車線リンクDB33は、道路を構成する各車線を所定の基準に基づき区切った区間に対応する車線毎のリンク(「車線リンク」とも呼ぶ。)のデータベースである。車線リンクDB33には、車線リンクのID、始点及び終点に対応する位置情報又は始点及び終点に対応する各車線ノードのID、車線番号、車線種類、車線幅員、車線変更禁止などの交通規制情報、車線形状データなどを含む。後述するように、車線リンクDB33は、決定された案内経路に対する案内情報を生成する処理に用いられる。車線リンクDB33に登録される車線リンク又はその属性情報は、本発明における「車線情報」の一例である。
【0034】
なお、各車線リンクは、道路リンクと同様の基準により区切られてもよく、道路リンクと異なる基準により区切られてもよい。本実施例では、各車線は、長さが所定長(例えば1m)となる車線リンクにより表されるものとする。なお、システムコントローラ20は、後述する対応情報34の生成処理において、車線リンクDB33に登録された初期状態の車線リンクを所定長ごとに分割することで、所定長となる車線リンクを新たに生成して車線リンクDB33に記憶させてもよい。このように、道路リンクよりも短い車線リンクを用いて案内情報を生成することで、システムコントローラ20は、経路案内においてより詳細な案内表示や音声案内を行うことが可能となる。
【0035】
対応情報34は、道路リンクDB32に登録された道路リンクと、車線リンクDB33に登録された車線リンクとを関連付ける情報である。例えば、対応情報34には、道路リンクIDごとに、対応する車線リンクIDが関連付けられている。後述するように、システムコントローラ20は、経路探索を実行する前に、現在位置を含む所定エリア内の道路リンクを対象として対応情報34を生成する。なお、本実施例では、道路リンクDB32と車線リンクDB33とは、例えばそれぞれ異なる会社により提供されることにより、道路リンクDB32と車線リンクDB33とを関連付ける対応情報34が初期状態では存在しないものとする。
【0036】
なお、データ記憶ユニット31は、道路リンクDB32に登録された道路リンクの接続点である道路ノードのデータベース、及び、車線リンクDB33に登録された車線リンクの接続点である車線ノードのデータベースをさらに記憶してもよい。
【0037】
通信装置38は、VICS(登録商標、Vehicle Information Communication System)センタから配信される道路交通情報、その他の情報を受信する。なお、通信装置38は、システムコントローラ20の制御に基づき、地図データを管理するサーバ等から、データ記憶ユニット31に記憶させる道路リンクDB32又は/及び車線リンクDB33の一部又は全部のデータを受信してもよい。
【0038】
表示ユニット40は、システムコントローラ20の制御の下、各種表示データをディスプレイなどの表示装置に表示する。具体的には、システムコントローラ20は、データ記憶ユニット31から地図データを読み出す。表示ユニット40は、システムコントローラ20によってデータ記憶ユニット31から読み出された地図データを、ディスプレイなどの表示画面上に表示する。表示ユニット40は、バスライン30を介してCPU22から送られる制御データに基づいて表示ユニット40全体の制御を行うグラフィックコントローラ41と、VRAM(Video RAM)等のメモリからなり即時表示可能な画像情報を一時的に記憶するバッファメモリ42と、グラフィックコントローラ41から出力される画像データに基づいて、液晶、CRT(Cathode Ray Tube)等のディスプレイ44を表示制御する表示制御部43と、ディスプレイ44とを備える。ディスプレイ44は、例えば対角5~10インチ程度の液晶表示装置等からなり、車内のフロントパネル付近に装着される。
【0039】
音声出力ユニット50は、システムコントローラ20の制御の下、RAM24等からバスライン30を介して送られる音声デジタルデータのD/A変換を行うD/Aコンバータ51と、D/Aコンバータ51から出力される音声アナログ信号を増幅する増幅器(AMP)52と、増幅された音声アナログ信号を音声に変換して車内に出力するスピーカ53とを備えて構成されている。
【0040】
入力装置60は、各種コマンドやデータを入力するための、キー、スイッチ、ボタン、リモコン、音声入力装置等から構成されている。入力装置60は、車内に搭載された当該車載用電子システムの本体のフロントパネルやディスプレイ44の周囲に配置される。また、ディスプレイ44がタッチパネル方式である場合には、ディスプレイ44の表示画面上に設けられたタッチパネルも入力装置60として機能する。入力装置60は、本発明における「設定部」の一例である。
【0041】
システムコントローラ20は、目的地等を指定した経路探索要求の入力を入力装置60等により検知した場合、道路リンクDB32を参照して現在位置から目的地までの経路探索を行い、案内経路を決定する。そして、システムコントローラ20は、案内経路を構成する道路リンクに対応する車線リンクを、対応情報34を参照して特定し、特定した車線リンクの情報に基づき、決定された案内経路の案内情報を生成して表示ユニット40や音声出力ユニット50により出力する。また、システムコントローラ20は、経路探索を実行する前の所定のタイミングにおいて、対応情報34の生成処理を行う。この場合、システムコントローラ20は、関連付けを行う対象となる道路リンクを指定するエリア(「道路リンク抽出エリアAR」とも呼ぶ。)を決定し、道路リンク抽出エリアAR内の各道路リンクに対する対応情報34を生成する。対応情報34の生成方法については後述する。例えば、道路リンク抽出エリアARは、現在位置を基準とした所定範囲(例えば現在位置から所定距離以内)に設定される。道路リンク抽出エリアARは、本発明における「所定エリア」の一例であり、道路リンク抽出エリアAR内の任意の道路は、本発明における「第1の道路」、道路リンク抽出エリアAR内の任意の道路に対応する道路リンク又はその属性情報は、本発明における「第1道路情報」の一例である。
【0042】
なお、システムコントローラ20のCPU22は、予めROM23などに記憶されたプログラムを実行することにより、本発明の「第1取得部」、「第2取得部」、「第3取得部」、「関連付け部」、「生成部」、及び本発明のプログラムを実行する「コンピュータ」として機能する。
【0043】
[対応情報の生成]
次に、道路リンクと車線リンクとを関連付ける対応情報34の生成方法について説明する。概略的には、システムコントローラ20は、道路リンク抽出エリアAR内の各道路リンクについて、当該道路リンクの道路から所定距離(「第1距離Lth1」とも呼ぶ。)以内に存在する車線リンクを抽出した後、抽出した車線リンクから車線リンクの列(「車線リンク列」とも呼ぶ。)を認識し、当該車線リンク列を道路リンクと関連付けた対応情報34を生成する。
【0044】
図2は、一方通行の道路を、道路リンクR1~R3と車線リンクL1~L14とを用いて表した図である。図2の例では、道路リンクR1は、一車線道路であり、分岐点に相当する道路ノード「N1」において、道路リンクR2に相当する3車線道路に切り替わる。また、道路リンクR2は、道路ノード「N2」において、同じく3車線道路を示す道路リンクR3と接続している。図2では、道路リンク及び車線リンクの矢印がある端が各リンクの終点を表し、他端が各リンクの始点を表す。
【0045】
ここで、図2を参照し、道路リンクR2と関連付ける車線リンクを特定する方法について説明する。
【0046】
まず、システムコントローラ20は、道路リンクDB32に登録された道路リンクR2の属性情報と、車線リンクDB33に登録された各車線リンクの属性情報とに基づき、道路リンクR2及び車線リンクL1~L14を含む各車線リンクの2次元座標(例えば緯度経度)での位置を特定する。次に、システムコントローラ20は、図2に示すように、対象の道路リンクR2から第1距離Lth1以内となる範囲(「車線リンク抽出エリアAL」とも呼ぶ。)を特定する。なお、車線リンク抽出エリアALは、図2に示す例に代えて、対象の道路リンクR2の横方向(垂直方向)のみに広がる範囲に設定されてもよい。そして、システムコントローラ20は、車線リンク抽出エリアALと一部又は全部が重なる車線リンク(図2では車線リンクL1~L14)を抽出する。車線リンク抽出エリアALに基づき抽出された車線リンク又はその属性情報は、本発明における「第1車線情報」の一例である。
【0047】
ここで、システムコントローラ20は、第1距離Lth1を、データ記憶ユニット31等に予め記憶された既定値に設定してもよく、入力装置60へのユーザ入力により指定された値に設定してもよい。後者のように、第1距離Lth1をユーザ入力により変更可能とすることで、第1距離Lth1の柔軟な調整が可能となり、道路リンクと車線リンクとの関連付けの精度を好適に向上させることができる。
【0048】
次に、システムコントローラ20は、車線リンク抽出エリアALと重なる車線リンクL1~L14から、各々の進行可能な方向に基づき、対象の道路リンクR2と関連付ける車線リンク列「LL1」、「LL2」、「LL3」を認識する。この場合、システムコントローラ20は、各車線リンクL1~L14の始点と終点の位置を認識し、一方の車線リンクの始点と他方の車線リンクの終点とが一致する(即ち同一の車線ノードに接続する)ことで繋がった一連の車線リンク群を、車線リンク列として認識する。
【0049】
図2の例では、システムコントローラ20は、車線リンクDB33に登録された車線リンクL1~L14の属性情報に基づき、車線リンクL1~L5が隣接する車線リンクの一方の始点と他方の終点とが重なる一連の車線リンク群に相当すると判断し、車線リンクL1~L5から構成される車線リンク列LL1を認識する。同様に、システムコントローラ20は、車線リンクL1、L6~L10が隣接する車線リンクの一方の始点と他方の終点とが重なる一連の車線リンク群に相当すると判断し、車線リンクL1、L6~L10から構成される車線リンク列LL2を認識する。同様に、システムコントローラ20は、車線リンクL1、L6、L11~L14から構成される車線リンク列LL3を特定する。
【0050】
次に、システムコントローラ20は、道路リンクR2に対し、認識した各車線リンク列LL1~LL3を関連付けた対応情報34を生成する。例えば、システムコントローラ20は、道路リンクR2のリンクIDに対し、車線リンク列LL1~LL3ごとに、車線リンク列を構成する車線リンクのリンクIDを対応付けた対応情報34を、データ記憶ユニット31に記憶させる。
【0051】
次に、対向車線が存在する道路に対する具体例について、図3及び図4を参照して説明する。
【0052】
図3は、上り方向及び下り方向の各方向に2車線存在する道路に対応する道路リンクR4、R5及び車線リンク列LL4~LL7を表した図である。図3の例では、上り方向の2車線と下り方向の2車線との各々に対応する道路リンクR4、R5が道路リンクDB32に登録されている。また、図3では、道路リンクR4に対応する車線リンク抽出エリアALが図示されている。
【0053】
この場合、まず、システムコントローラ20は、図2で説明した手順と同様の手順に基づき、図3に示す車線リンク抽出エリアALと重なる範囲に存在する車線リンクを抽出し、抽出した車線リンクから、図3に示す各車線リンク列LL4~LL6を認識する。次に、システムコントローラ20は、特定した各車線リンク列LL4~LL6の進行可能な方向と、道路リンクR4の進行可能な方向とを比較する。この場合、システムコントローラ20は、車線リンク列LL6の進行可能な方向は、道路リンクR4の進行可能な方向と異なると判断し、道路リンクR2に対し、車線リンク列LL6を除く車線リンク列LL4、LL5を関連付けた対応情報34を生成する。
【0054】
なお、好適には、システムコントローラ20は、車線リンク抽出エリアALを決定する第1距離Lth1を、対象となる道路リンクの属性情報に含まれる道路幅員に応じて設定するとよい。図3の例では、システムコントローラ20は、例えば道路リンクR4の属性情報に含まれる道路幅員の1/2に第1距離Lthを設定することで、車線リンク列LL4、LL5を含み、車線リンク列LL6を含まない範囲に車線リンク抽出エリアALを決定する。このように、システムコントローラ20は、車線リンク抽出エリアALを道路幅員に応じて的確に設定することで、対向車線の車線リンク列LL6を道路リンクR4の関連付けの対象から外す処理を行う必要がなくなる。
【0055】
図4は、図3に示す片側2車線道路に対応する道路リンクが1つである場合の道路リンクR6と、車線リンク列LL4~LL7とを表した図である。この場合、道路リンクR6は、中央分離帯に沿った位置に設定され、かつ、上下両方向に走行が可能である旨の属性が付される。この場合、道路リンクR6に対応する車線リンク抽出エリアALは、上下2車線に対応する車線リンク列LL4~LL7を含む範囲に設定されている。この場合、システムコントローラ20は、車線リンク抽出エリアAL内の全ての車線リンク列LL4~LL7を、道路リンクR6と関連付ける対応情報34を生成する。なお、後述する第2実施例のように、経路に沿った特定の一方向のみに対応する車線リンクを道路リンクR6に関連付ける場合、システムコントローラ20は、例えば、特定した各車線リンク列LL4~LL7のそれぞれの進行可能な方向を参照し、関連付ける車線リンク列を選定する。
【0056】
[処理フロー]
図5は、第1実施例においてシステムコントローラ20が実行する対応情報34の生成処理の手順を示すフローチャートである。システムコントローラ20は、図5に示すフローチャートの処理を、経路探索の要求があった場合、車線リンクDB33を他のサーバから取得した場合、又は所定の時間間隔ごと等に実行する。
【0057】
まず、システムコントローラ20は、道路リンク抽出エリアARを決定する(ステップS101)。例えば、システムコントローラ20は、GPS受信機18が生成する現在位置情報が示す位置から所定距離以内のエリアを、道路リンク抽出エリアARとして設定する。この場合、システムコントローラ20は、例えば、目的地として設定され得る地点を含む大きさとなるように、道路リンク抽出エリアARを設定するとよい。
【0058】
次に、システムコントローラ20は、道路リンク抽出エリアAR内の道路リンクを道路リンクDB32から抽出し、抽出した各道路リンクに対して第1距離Lth1以内の車線リンクを車線リンクDB33から抽出する(ステップS102)。具体的には、システムコントローラ20は、抽出された各道路リンクに対し、第1距離Lth1に基づき車線リンク抽出エリアALを設定し、当該車線リンク抽出エリアALと重なる車線リンクを、道路リンクごとに特定する。この場合、システムコントローラ20は、各道路リンクに対応する第1距離Lth1を、当該道路リンクの属性情報に含まれる道路幅員に応じて決定してもよい。例えば、システムコントローラ20は、第1距離Lth1を、対象の道路リンクの属性情報に含まれる道路幅員が長いほど長く設定する。
【0059】
次に、システムコントローラ20は、道路リンク抽出エリアAR内の道路リンクごとに、ステップS102で抽出した車線リンク群に対し、進行可能な車線リンクを繋げた車線リンク列を認識する(ステップS103)。そして、システムコントローラ20は、道路リンク抽出エリアAR内の各道路リンクと、ステップS103で認識した車線リンク列とを関連付けた対応情報34を生成する(ステップS104)。なお、この場合、システムコントローラ20は、関連付ける車線リンク列の各車線リンクを、所定長の長さになるように分割して車線リンクDB33に登録した上で、対応情報34を生成してもよい。
【0060】
次に、システムコントローラ20は、目的地等を指定した経路探索要求があるか否か判定する(ステップS105)。そして、システムコントローラ20は、経路探索要求があった場合(ステップS105;Yes)、道路リンクDB32に登録された道路リンクに基づき経路探索を行い、案内経路を決定する(ステップS106)。なお、システムコントローラ20は、ステップS101で設定した道路リンク抽出エリアAR外に目的地が存在する場合には、目的地を含むように道路リンク抽出エリアARを再設定してステップS102~S104を実行してもよい。
【0061】
次に、システムコントローラ20は、ステップS106で決定した案内経路を構成する道路リンクに対応する車線リンクを抽出する(ステップS107)。具体的には、システムコントローラ20は、対応情報34を参照することで、案内経路を構成する道路リンクの各々に関連付けられた車線リンク列の各車線リンクを、車線リンクDB33から抽出する。
【0062】
次に、システムコントローラ20は、ステップS107で抽出した車線リンクに基づき、経路案内に必要な案内情報を生成し、表示ユニット40や音声出力ユニット50により出力する。例えば、システムコントローラ20は、自立測位装置10及びGPS受信機18の出力に基づき認識した自車位置と、ステップS107で抽出した車線リンクの属性情報とに基づき、自車位置が存在する車線リンクを特定する。そして、システムコントローラ20は、表示ユニット40に表示させる地図画像上に、自車位置を表示すると共に、ステップS107で抽出した車線リンクに沿った線を、案内経路として表示させる。また、システムコントローラ20は、一般的な経路案内と同様に、次の右左折地点に所定距離以内に接近した場合等に、音声出力ユニット50により進行すべき方向等を出力する。
【0063】
以上説明したように、第1実施例に係るナビゲーション装置1は、関連付けを行う道路リンクを道路リンクDB32から抽出し、抽出した各道路リンクの位置から第1距離Lth1以内に存在する車線リンクを車線リンクDB33から抽出する。そして、ナビゲーション装置1は、道路リンクDB32から抽出した道路リンクごとに、車線リンクDB33から抽出した車線リンクを関連付けた対応情報34を生成する。これにより、ナビゲーション装置1は、道路リンクDB32を利用して経路探索を実行した後、案内経路を構成する道路リンクに対応情報34上で対応する車線リンクを車線リンクDB33から抽出することで、経路案内のための案内情報を車線リンクに基づき生成することができる。
【0064】
また、例えば、ナビゲーション装置1が初期状態で道路リンクDB32のみを有し、外部装置が有する車線リンクDB33を受信して当該車線リンクDB33を利用するような態様では、特許文献1のように予め対応情報34を記憶させておくことは困難である。このように、道路リンクDB32と車線リンクDB33とをそれぞれ提供する会社が異なる等により、道路リンクDB32と車線リンクDB33とを関連付ける対応情報34が初期状態では存在しない場合であっても、ナビゲーション装置1は、好適に対応情報34を生成することができる。
【0065】
<第2実施例>
第2実施例では、システムコントローラ20は、経路探索の実行後に、案内経路を構成する各道路リンク(「経路上道路リンク」とも呼ぶ。)に対応する対応情報34を生成する点で、第1実施例と異なる。ナビゲーション装置1の構成等については、第1実施例と同様のため、その説明を省略する。
【0066】
第2実施例では、システムコントローラ20は、経路探索要求があるまでは、対応情報34の生成処理を実行しない。そして、システムコントローラ20は、経路探索要求があった場合に、道路リンクDB32に登録された道路リンクを利用して案内経路を決定し、決定した案内経路を構成する各経路上道路リンクを、車線リンクの関連付けを行う対象として定める。その後、第1実施例と同様に、システムコントローラ20は、経路上道路リンクごとに、第1距離Lth以内に存在する車線リンクを抽出し、抽出した車線リンクから進行可能な方向に基づき車線リンク列を認識する。そして、システムコントローラ20は、対応する経路上道路リンクと車線リンク列とを関連付ける対応情報34を生成する。
【0067】
このように、第2実施例では、システムコントローラ20は、経路案内に必要な必要最小限の対応情報34のみを生成すればよいため、処理負荷等を好適に低減することができる。
【0068】
また、好適には、第2実施例では、システムコントローラ20は、車線変更禁止などの法規上の制限等に基づき実質的に案内経路に沿った走行が法規上又は安全上できない案内経路上の車線区間(「走行禁止区間」とも呼ぶ。)に対応する車線リンクを、関連付けの対象から除外するとよい。以下では、上述の走行禁止区間に基づく車線リンクの除外処理を、「車線リンク除外処理」とも呼ぶ。
【0069】
図6は、交差点を含む道路を表示した地図上において、道路リンク及び車線リンクを可視化した図である。図6において、道路リンク「Ra」、「Rb」、「Rc」は、経路上道路リンクを示す。また、実線矢印の複数の車線リンク「La」は、経路上道路リンクに関連付けられた車線リンクを示し、破線矢印の複数の車線リンク「Lb」は、車線リンク除外処理によらずに経路上道路リンクに関連付けられなかった車線リンクを示し、「×」印付き矢印の車線リンク「Lc」は、車線リンク除外処理により経路上道路リンクへの関連付けの対象から除外された車線リンクを示す。また、破線枠70内のエリアは、法規上車線変更が禁止されている区間(「車線変更禁止区間」とも呼ぶ。)を示す。
【0070】
この場合、システムコントローラ20は、各車線リンクの属性情報に含まれる交通規制情報を参照し、破線枠70内の車線の区間が車線変更禁止区間であることを認識する。そして、システムコントローラ20は、破線枠70が示す車線変更禁止区間内の車線区間のうち、案内経路に沿った進行が可能な車線(即ち左車線)とは異なる車線(即ち中央車線と右車線)の区間を走行禁止区間とみなし、当該走行禁止区間内の車線リンクについては、経路上道路リンクに対する関連付けの候補から除外する。
【0071】
このように、システムコントローラ20は、案内経路に沿って走行するための車線への車線変更が法規上制限される車線に対応する車線リンクについては、経路上道路リンクに対する関連付けの候補から除外する。これにより、案内経路に沿った走行が不可能な車線区間に対応する車線リンクを、不要に経路上道路リンクに関連付けるのを防ぐことができる。
【0072】
また、システムコントローラ20は、案内経路に沿った進行ができない車線上において、車線変更禁止区間までの距離が所定距離(「第2距離Lth2」とも呼ぶ。)以内の区間(破線枠71参照)についても、案内経路に沿った進行が可能な車線への車線変更が困難な区間であると判断し、走行禁止区間とみなす。そして、システムコントローラ20は、当該走行禁止区間内の車線リンクを経路上道路リンクに対する関連付けの候補から除外する。好適には、第2距離Lth2は、車線ごとにそれぞれ設定され、案内経路に沿った走行が可能な車線(図6では左車線)へ移動するのに必要な車線変更の回数が多いほど、長い距離に設定される。図6の例では、案内経路に沿った走行が可能な左車線への車線変更が2回必要な右車線に対する第2距離Lth2については、2個分の車線リンクの長さに設定され、左車線への車線変更が1回必要な中央車線に対する第2距離Lth2については、1個分の車線リンクの長さに設定されている。このように、システムコントローラ20は、車線変更に必要な走行距離を勘案し、案内経路に沿った走行が安全にできない車線区間を走行禁止区間として特定することで、経路上道路リンクへの不要な車線リンクの関連付けを防ぐことができる。
【0073】
また、図6の例では、システムコントローラ20は、車線変更禁止区間及びその手前の区間に加え、左折直後に車線変更が必要な車線区間(破線枠72参照)についても走行禁止区間とみなし、当該走行禁止区間内の車線リンクを経路上道路リンクに対する関連付けの候補から除外する。このように、好適には、システムコントローラ20は、右左折地点での右左折直後に車線変更が必要な車線のうち当該右左折地点から第2距離Lth2以内の車線区間を、走行禁止区間に設定する。
【0074】
さらに、図6の例では、道路ノードNbに対応する車線変更禁止区間が存在しない右折地点の直前区間においても、システムコントローラ20は、車線変更に必要な距離を勘案し、案内経路に沿った走行が可能な車線以外の車線の右折地点から第2距離Lth2以内の区間(破線枠73参照)を、走行禁止区間に設定している。このように、好適には、システムコントローラ20は、車線変更禁止の交通規制情報の有無によらず、案内経路に沿った進行が可能な車線に第2距離Lth2以内に車線変更する必要がある車線の区間についても、走行禁止区間に設定する。これによっても、案内経路に沿った走行が安全にできない車線区間に対応する車線リンクを、不要に経路上道路リンクに関連付けるのを防ぐことができる。
【0075】
図7は、第2実施例においてシステムコントローラ20が実行する対応情報34の生成処理の手順を示すフローチャートである。システムコントローラ20は、図7に示すフローチャートの処理を、経路探索の要求があった場合に実行する。
【0076】
まず、システムコントローラ20は、目的地等を指定した経路探索要求があるか否か判定する(ステップS201)。そして、システムコントローラ20は、経路探索要求があった場合(ステップS201;Yes)、道路リンクDB32に登録された道路リンクを利用した経路探索を行い、案内経路を決定する(ステップS202)。
【0077】
次に、システムコントローラ20は、案内経路に対応する経路上道路リンクを道路リンクDB32から抽出し、抽出した各道路リンクに対して第1距離Lth1以内の車線リンクを車線リンクDB33から抽出する(ステップS203)。この場合、システムコントローラ20は、抽出された各道路リンクに対し、第1距離Lth1に基づき車線リンク抽出エリアALを設定し、当該車線リンク抽出エリアALと重なる車線リンクを、道路リンクごとに抽出する。
【0078】
次に、システムコントローラ20は、案内経路に沿った走行が法規上又は安全上困難な走行禁止区間内に対応する車線リンクを、ステップS203で特定した車線リンクから除外する(ステップS204)。具体的には、システムコントローラ20は、案回経路に沿った走行が可能な車線への車線変更が制限される車線区間(図6の破線枠70、71、73)等を、第2距離Lth2に基づき走行禁止区間として特定し、当該走行禁止区間に対応する車線リンクを除外する。
【0079】
次に、システムコントローラ20は、ステップS203で特定した車線リンクのうち、ステップS204で除外されていない車線リンクから、進行可能な方向に基づき車線リンク列を認識する(ステップS205)。そして、システムコントローラ20は、各経路上道路リンクと、ステップS205で認識した車線リンク列とを関連付けた対応情報34を生成する(ステップS206)。その後、システムコントローラ20は、ステップS206で経路上道路リンクと関連付けた車線リンクに基づき、経路案内に必要な案内情報を生成し、表示ユニット40や音声出力ユニット50により出力する(ステップS207)。
【0080】
このように、第2実施例によれば、システムコントローラ20は、経路案内に必要最小限の範囲で車線リンクと道路リンクとの関連付けを行い、効率的に経路案内を実行することができる。
【0081】
<変形例1>
第1及び第2実施例においてナビゲーション装置1が実行する処理の一部を、ナビゲーション装置1と通信可能なサーバ装置が実行してもよい。
【0082】
図8は、変形例1に係るナビゲーションシステムの構成を示す。図8の例では、ナビゲーション装置1は、ネットワークを介してサーバ装置2とデータ通信が可能である。そして、サーバ装置2は、ナビゲーション装置1の代わりに道路リンクDB32、車線リンクDB33、及び対応情報34を有し、ナビゲーション装置1から現在位置及び目的地等を指定した経路検索要求を受信した場合に、当該経路検索要求に基づき経路を検索し、案内経路を決定する。そして、サーバ装置2は、決定した案内経路の情報及びナビゲーション装置1が出力すべき経路案内情報等を、ナビゲーション装置1へ送信する。
【0083】
このナビゲーションシステムでは、第1実施例の場合、例えば、サーバ装置2は、所定のタイミングで図5のステップS101~S104を実行することで、予め対応情報34を生成しておき、ナビゲーション装置1から経路探索要求があった場合に、経路探索を行い、決定した案内経路に対する案内情報の生成及びナビゲーション装置1への案内情報の送信を行う。同様に、第2実施例の場合、サーバ装置2は、ナビゲーション装置1から経路探索要求を受信した場合に、図7のステップS202~S207の処理を実行し、生成した案内情報等をナビゲーション装置1へ送信する。このように、図8のナビゲーションシステムによっても、サーバ装置2は、好適に対応情報34を生成することができる。
【0084】
なお、ナビゲーション装置1は、サーバ装置2から、道路リンクDB32、車線リンクDB33、及びサーバ装置1が生成した対応情報34を受信することで、経路探索処理及び案内情報の生成及び出力等を行ってもよい。また、サーバ装置2は、複数のサーバ装置から構成されたサーバシステムであってもよい。本変形例では、サーバ装置2は、本発明における「情報処理装置」の一例である。
【0085】
<変形例2>
図9は、変形例2に係る道路リンク及び車線リンクを説明するための図である。変形例2におけるナビゲーションシステムにおいては、車線毎での車両の誘導を可能にする。変形例2において、第1実施例と同様に、システムコントローラ20は、目的地等を指定した経路探索要求の入力を入力装置60等により検知した場合、道路リンクDB32を参照して現在位置から目的地までの経路探索を行い、案内経路を決定する。そして、対応情報34から必要な道路リンクを抽出する。そして、第1実施例と同様に、システムコントローラ20は、対応情報34を参照することで、案内経路を構成する道路リンクの各々に関連付けられた車線リンク列の各車線リンクを、車線リンクDB33から抽出する。
【0086】
そして、システムコントローラ20は、抽出された各車線リンクの始点または終点を示すノードポイント情報を抽出する。ここで、各車線リンクは、始点ノードと終点ノードが繋がれていることでリンクが生成されている為、各車線リンクのそれぞれに対応するノードポイント情報を抽出することが可能となっている。なお、図9において丸で囲われた数字の部分が、各ノードポイント情報を示している。以後では、図面上で丸で囲まれた数値を、明細書中では「丸N」(Nは数値)と表記する。
【0087】
さらに、システムコントローラ20は、抽出された各車線リンクに対応する車線変更禁止などの交通規制情報を抽出する。また、システムコントローラ20は、抽出された交通規制情報に基づいて、ノードポイント情報にもそれぞれ車線変更可否の規制情報を付与し、対応情報34にこれらの情報を(例えば一時的に)記憶させるようにする。
【0088】
そして、システムコントローラ20は、抽出された各車線リンクについて、車線リンク毎の繋がり(接続性の有無)を認識する。例えば、図9のように各車線リンクが抽出された場合、システムコントローラ20は、道路リンクRaの右車線に対応する車線リンク丸1から丸5までが一つの繋がりであると認識する。同様に、システムコントローラ20は、道路リンクRaの中央車線に対応する車線リンク丸1から丸5まで、道路リンクRa、Rbに沿った左車線の車線リンク丸1から丸14まで、道路リンクRb、Rcに沿った右車線の車線リンク丸1から丸15までがそれぞれ一つの繋がりであると認識する。
【0089】
そして、システムコントローラ20は、認識した各繋がりに基づいて、各ノードポイント情報に、車線変更の推奨度合いに関する情報(車線変更を推奨する、または推奨しない情報、または、車線変更を禁止する情報等を含む)を付与する。例えば、システムコントローラ20は、図9の破線枠81内の中央車線及び右車線の丸1~丸4までの車線リンクに対応するノードポイント情報には、左車線への車線変更を推奨する情報を付与する。また、システムコントローラ20は、破線枠82内の中央車線及び右車線の丸5の車線リンクに対応するノードポイント情報には、車線変更不可とする情報を付与する。同様に、システムコントローラ20は、破線枠84内の左車線の丸8から丸13の車線リンクに対応するノードポイント情報には右車線への車線変更を推奨する情報を付与し、同車線の破線枠86内の丸14の車線リンクに対応するノードポイント情報には、車線変更を不可とする情報を付与する。なお、もともと接続性が確保されている車線リンクに対応するノードポイント情報に、車線変更を推奨しない情報を付与するようにしてもよい。例えば、システムコントローラ20は、破線枠83内の車線の丸1~丸5の車線リンク及び線枠85内の車線の丸1~丸8に対応するノードポイント情報には、車線変更を推奨しない情報を付与してもよい。
【0090】
上記の通り付与された車線変更の推奨度合いに関する情報を用いて案内情報を生成することで、システムコントローラ20は、経路案内において車線毎(車線単位)での細やかな車両の誘導が可能となる。
【0091】
好適には、システムコントローラ20は、道路リンクRa~Rcに沿った案内経路が設定されている場合に、破線枠86内の丸14に対応するノードポイント情報及び破線枠82内の丸5に対応するノードポイント情報の位置を通過したときには、案内経路の再探索(リルート)を行うとよい。即ち、システムコントローラ20は、第1及び第2実施例の走行禁止区間に対応する車線リンクを通過した場合に、案内経路の再探索(リルート)を行うとよい。
【符号の説明】
【0092】
1 ナビゲーション装置
2 サーバ装置
10 自立測位装置
18 GPS受信機
20 システムコントローラ
22 CPU
31 データ記憶ユニット
38 通信装置
40 表示ユニット
44 ディスプレイ
60 入力装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9