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特許7072626通気孔制御を備えたインフォテインメントシステム
<図1>
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-12
(45)【発行日】2022-05-20
(54)【発明の名称】通気孔制御を備えたインフォテインメントシステム
(51)【国際特許分類】
   B60H 1/34 20060101AFI20220513BHJP
   B60H 1/00 20060101ALI20220513BHJP
   F24F 13/15 20060101ALI20220513BHJP
【FI】
B60H1/34 611B
B60H1/00 103Z
F24F13/15 B
【請求項の数】 21
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020199452
(22)【出願日】2020-12-01
(62)【分割の表示】P 2019530689の分割
【原出願日】2017-10-24
(65)【公開番号】P2021046199
(43)【公開日】2021-03-25
【審査請求日】2020-12-25
(31)【優先権主張番号】15/374,035
(32)【優先日】2016-12-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510192916
【氏名又は名称】テスラ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】特許業務法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ストイア,ジョナサン
(72)【発明者】
【氏名】バセレット,クリストファー
【審査官】安島 智也
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-170693(JP,A)
【文献】特開2008-265675(JP,A)
【文献】特開2014-069770(JP,A)
【文献】特許第6803983(JP,B2)
【文献】米国特許出願公開第2010/0163633(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0094862(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60H 1/00 - 3/06
F24F 13/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のHVACシステム内の換気アセンブリを制御するシステムであって、
ディスプレイと、
前記ディスプレイと通信するプロセッサと、
メニュー制御オプションからの1または複数の入力を受信するように構成された、前記プロセッサと通信するユーザインターフェースと、を備え、
前記プロセッサは、前記ディスプレイに制御オプションのメニューを表示させるように構成され、
少なくとも1つのメニューの制御オプション、前記HVACシステムの前記換気アセンブリ内の、第1の組の流れ案内ベーン、および、第2の組の流れ案内ベーンの位置を独立して制御するためのオプションであり、
前記メニューの制御オプションは、ベーン閉鎖位置、左方の流れ案内位置、前方の流れ案内位置、右方の流れ案内位置、部分的に分割された流れ案内位置、および、完全に分割された流れ案内位置のうちの1つに、前記第1の組の流れ案内ベーンおよび前記第2の組の流れ案内ベーンのそれぞれを位置決めするためのオプションを含む、システム。
【請求項2】
前記ユーザインターフェースを介した1または複数の入力の選択に応答して、前記第1の組の流れ案内ベーンおよび前記第2の組の流れ案内ベーンは、ベーン閉鎖位置、左方の流れ案内位置、前方の流れ案内位置、右方の流れ案内位置、部分的に分割された流れ案内位置、および、完全に分割された流れ案内位置から成る群から選択された位置へと独立して移動される、請求項に記載のシステム。
【請求項3】
前記部分的に分割された流れ案内位置において、前記第1の組の流れ案内ベーンおよび前記第2の組の流れ案内ベーンは、互いに対して第1の所定の角度位置で配置されており、前記完全に分割された流れ案内位置において、前記第1の組の流れ案内ベーンおよび前記第2の組の流れ案内ベーンは、互いに対して第2の所定の角度位置で配置されており、前記第2の所定の角度位置は前記第1の所定の角度位置よりも大きい、請求項に記載のシステム。
【請求項4】
前記第1の所定の角度位置および前記第2の所定の角度位置のそれぞれは、メニューの制御オプションによって設定可能である、請求項に記載のシステム。
【請求項5】
前記換気アセンブリはカバー部材を備え、前記カバー部材は、
互いに対向する位置に配置された一対の壁と、
前記一対の互いに対向する壁の後ろ側に配置され、前記カバー部材への空気の流入を可能にするように構成された入口と、を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記入口から前記カバー部材の前側に向かって延在する通気孔をさらに有し、前記通気孔は、空気の流れが前記カバー部材から出ることを可能にするように構成され、
前記通気孔は、
その中に配置された前記第1の組の流れ案内ベーンを有する第1の通気孔部分であって、前記第1の組の流れ案内ベーンからの各ベーンは、前記カバー部材の前記一対の互いに対向する壁に枢動可能に連結された第1の通気孔部分と、
前記第1の通気孔部分に隣接して配置された第2の通気孔部分であって、前記第2の組の流れ案内ベーンを有し、前記第2の組の流れ案内ベーンからの各ベーンは、前記カバー部材の前記一対の互いに対向する壁に枢動可能に連結された第2の通気孔部分と、を備える、請求項に記載のシステム。
【請求項7】
前記メニューの制御オプションの選択からの前記1または複数の入力は、音声コマンドを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記ユーザインターフェースはタッチスクリーンを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記メニューの制御オプションの少なくとも1つは、前記換気アセンブリ内の前記第1の組の流れ案内ベーンおよび前記第2の組の流れ案内ベーンの配置を独立して同時に制御するオプションを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記第1の組の流れ案内ベーンおよび前記第2の組の流れ案内ベーンのそれぞれと動作可能に連結された作動機構をさらに備え、前記作動機構はロータリーアクチュエータを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記プロセッサは、選択されたオプションに基づいて前記ロータリーアクチュエータを制御する、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記作動機構は、
前記第1の組の流れ案内ベーンのそれぞれのベーンと係合するように構成された第1のリンク部材を備える第1の作動部材と、
前記第2の組の流れ案内ベーンのそれぞれのベーンと係合するように構成された第2のリンク部材を備える第2の作動部材と、をさらに備える、請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
前記ユーザインターフェースは、車両のダッシュコンソールの中間部分に配置される、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
車両のHVACシステム内の換気アセンブリを制御するシステムを備える車両であって、
前記システムは、
プロセッサと、
前記プロセッサと通信するユーザインターフェースであって、前記ユーザインターフェースは、メニューの制御オプションの選択と関連付けられた1または複数の入力を受信するように構成された、ユーザインターフェースと、を備え、
前記プロセッサは、オプションのメニューを出力するように構成され、
前記メニューのオプションの少なくとも1つは、前記HVACシステム内の前記換気アセンブリの第1の組の流れ案内ベーンおよび第2の組の流れ案内ベーンの位置を独立して制御するためのオプションであり、
前記メニューの制御オプションに関連付けられた1または複数の入力の選択に応答して、前記第1の組の流れ案内ベーンおよび前記第2の組の流れ案内ベーンは、ベーン閉鎖位置、左方の流れ案内位置、前方の流れ案内位置、右方の流れ案内位置、部分的に分割された流れ案内位置、および、完全に分割された流れ案内位置からなる群から選択された位置に独立して移動される、車両。
【請求項15】
前記ユーザインターフェースはタッチスクリーンを備える、請求項14に記載の車両。
【請求項16】
前記第1の組の流れ案内ベーンおよび前記第2の組の流れ案内ベーンのそれぞれと動作可能に連結された作動機構をさらに備え、前記作動機構はロータリーアクチュエータを備える、請求項14に記載の車両。
【請求項17】
前記プロセッサは前記ロータリーアクチュエータに動作可能に連結される、請求項16に記載の車両。
【請求項18】
前記プロセッサは選択されたオプションに基づいて前記ロータリーアクチュエータを制御する、請求項16に記載の車両。
【請求項19】
前記作動機構は、
前記第1の組の流れ案内ベーンのそれぞれのベーンと係合するように構成された第1のリンク部材を備える第1の作動部材と、
前記第2の組の流れ案内ベーンのそれぞれのベーンと係合するように構成された第2のリンク部材を備える第2の作動部材と、をさらに備える、請求項16に記載の車両。
【請求項20】
前記換気アセンブリは、
入口を備えるカバー部材と、
前記入口から延在する通気孔であって、前記通気孔は前記第1の組の流れ案内ベーンおよび前記第2の組の流れ案内ベーンを備える通気孔と、
前記第1の組の流れ案内ベーンおよび前記第2の組の流れ案内ベーンのそれぞれと動作可能に結合する作動機構と、を備える、請求項14に記載の車両。
【請求項21】
前記作動機構は、
ロータリーアクチュエータと、
前記第1の組の流れ案内ベーンのそれぞれのベーンと係合するように構成された第1のリンク部材を備える第1の作動部材と、
前記第2の組の流れ案内ベーンのそれぞれのベーンと係合するように構成された第2のリンク部材を備える第2の作動部材と、を備え、
前記第1の組の流れ案内ベーン、および、前記第2の組の流れ案内ベーンが互いに独立して移動可能である、請求項14に記載の車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本PCT出願は、2016年12月9日に出願された「通気孔制御を備えたインフォテインメントシステム」という名称の米国実用特許出願第15/374,035号明細書の優先権を主張するものであり、その全体があらゆる目的のために本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、車両の車内空間内の空気流を制御するためにHVAC(HVAC:Heating,Ventilation,and Air-Conditioning)システムの動作を制御するインフォテインメントシステムに関する。より具体的には、本開示は、インフォテインメントシステムを使用して電子的に制御され得るHVACシステムの換気アセンブリに関する。
【背景技術】
【0003】
当技術分野では、HVACシステムから車両の車内空間に空気を送るための換気アセンブリを提供することがよく知られている。多くの場合、従来の換気アセンブリには、運転者および同乗者が車両の車内空間内に着座した場合の快適性を保証するための所望の空気流の選択肢が不十分である。また、他の場合には、多くの伝統的に知られている換気アセンブリは、典型的には、限定されないが、物理的ボタンおよび/またはノブを含む入力装置で制御され、したがって、そのような入力装置の適切な動作状態に応じて換気アセンブリを作動させる。しかしながら、車両内の空気流は、車両の運転者および同乗者にとって快適な環境を生成するための重要な側面であるので、HVACシステムの信頼性、特に換気アセンブリの信頼性を保証することが望まれる可能性がある。加えて、伝統的に、車両は運転者および/または同乗者のそれぞれに対して複数の通気孔を有する。ただし、ダッシュボードの空間は、フロントガラスの大型化やメータ用の空間など、その他の配慮のために、貴重なものになることが多い。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
したがって、前述の欠点の1つまたは複数を克服する換気アセンブリが必要とされている。さらに、車両内の車内空間の所望の状態を促進するための容易で直感的制御を可能にする、インフォテインメントシステムを介した換気アセンブリの制御が改善される必要がある。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】本発明の特定の実施形態による、インフォテインメントシステムによって制御され得るHVACシステムの換気アセンブリを示す車両の内部を示す図である。
【0006】
図2】本発明の特定の実施形態による、様々な高レベルメニューオプションを示すインフォテインメントシステムのインターフェースを示す図である。
【0007】
図3】本発明の特定の実施形態による、HVACシステムを制御するための様々な低レベルメニューオプションを示すインフォテインメントシステムのインターフェースを示す図である。
【0008】
図4】本発明の特定の実施形態による、HVACシステムの換気アセンブリの分解上面斜視図である。
【0009】
図5】本発明の特定の実施形態による、換気アセンブリの組み立てられた上面斜視図である。
【0010】
図6】本発明の特定の実施形態による、カバー部材を除いた換気アセンブリの部分的に組み立てられた上面斜視図である。
【0011】
図7】本発明の特定の実施形態による、カバー部材を除いた換気アセンブリの側面斜視図である。
【0012】
図8】本発明の特定の実施形態による、ベーン閉鎖位置に配置されたベーンを示す換気アセンブリの上面図である。
【0013】
図9】本発明の特定の実施形態による、右方の流れ案内位置に配置されたベーンを示す換気アセンブリの底面図である。
【0014】
図10】本発明の特定の実施形態による、前方の流れ案内位置に配置されたベーンを示す換気アセンブリの底面図である。
【0015】
図11】本発明の特定の実施形態による、左方の流れ案内位置に配置されたベーンを示す換気アセンブリの底面図である。
【0016】
図12】本発明の特定の実施形態による、前方の流れ案内位置に配置されたベーンを示す換気アセンブリの底面図である。
【0017】
図13】本発明の特定の実施形態による、分割された流れ案内位置に配置されたベーンを示す換気アセンブリの底面図である。
【0018】
図14A】本発明の特定の実施形態による、換気アセンブリの第1の作動部材および第2の作動部材のためのカム溝幾何形状を示す図である。
【0019】
図14B】本発明の特定の実施形態による、図4の換気アセンブリに従って第1の作動部材および第2の作動部材のためのカム溝幾何形状を示す図である。
【0020】
本開示の実施形態およびそれらの利点は、以下の詳細な説明を参照することによって最もよく理解される。1つまたは複数の図面に示されている同様の要素を識別するために同様の参照符号が使用されていることを理解すべきであり、図面中の表示は本開示の実施形態を例示する目的であり、本開示を限定する目的ではない。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本開示は、換気アセンブリに関する。より具体的には、本開示は、特定の換気アセンブリ、および車両の車内空間内の空気流を制御するために換気アセンブリを含むHVACシステムを制御するインフォテインメントシステムに関する。
【0022】
本開示による換気アセンブリは、空気流をユーザに送る新規な方法を導入する。特定の実施形態によれば、換気アセンブリは、運転者の前方に配置された第1の通気孔部分と、同乗者の前方に配置された第2の通気孔部分とを含む。これらの通気孔部分は、それらがより円形または箱形の通気孔ではなく、より長く、より直線的な通気孔を有するという点で、従来から知られている換気アセンブリの設計と比較して細長くすることができる。さらに、本開示の換気アセンブリからの各通気孔部分は、典型的には、運転者および同乗者
のそれぞれに対して2つ以上の通気孔を含む。
【0023】
本開示の実施形態は、この換気アセンブリの能力を向上させて、単一のロータリーアクチュエータを使用して、左方、右方、前方、および分割された構成で空気流を提供する。特定の実施形態では、ユーザインターフェースは、通気孔が空気を右方、左方または分割された方向に流すことができる程度をユーザが定義することをさらに可能にし得る。他の特定の実施形態では、インフォテインメントディスプレイは、空気を運転者または同乗者の周りに流すために所定の程度の移動を通気孔に提供するように構成され得る。
【0024】
特定の実施形態によれば、運転者および/または同乗者は、インフォテインメント装置のユーザインターフェース上に提供されるメニューオプションを使用して通気孔を制御することができる。作動時にユーザインターフェース上に提供されるメニューオプションのいくつかは、ロータリーアクチュエータが通気孔を閉じるように、または通気孔が右方の空気流、左方の空気流、前方の空気流、または分割された空気流を実現するように構成することができる。
【0025】
特定の実施形態によれば、換気アセンブリは、一対の作動部材、すなわち第1の作動部材および第2の作動部材を制御するための単一のロータリーアクチュエータを内部に有する作動機構を含む。各作動部材はベーンの半分を制御することができるが、他の特定の実施形態では、各作動部材は換気アセンブリの通気孔部分に設けられたベーンの概ね半分より多くを制御することができる。一対の作動部材を単一のロータリーアクチュエータと共に使用することにより、ベーンはそれぞれの回転軸線を中心として回転されることができ、空気を左方、右方、前方へ、または空気の流れが運転者および/または車両の同乗者の周囲に向けられる分割された流れ構成で流すことができる。特定の実施形態では、ユーザは気流、例えば気流の特定の方向をカスタマイズする。これは、車両の乗員にとってより快適な経験を可能にし得る。例えば、特定の乗員は、空気が自分自身に向けられることを望むことがあり、一方で他の乗員は、空気が直接当たらないようにして車両室内の温度を特定の値に設定することを望む可能性がある。
【0026】
特定の実施形態によれば、作動機構は、180度の範囲でロータリーアクチュエータによって回転駆動されるカム部材を含み、他の実施形態では、それらそれぞれのベーン閉鎖位置、左方の流れ案内位置、前方の流れ案内位置、右方の流れ案内位置、および分割された流れ案内位置にベーンの移動を実現するための他の範囲の角運動を含むことができる。
【0027】
ここで、特定の態様または特徴について詳細に言及するが、それらの例は添付の図面に示されている。可能な限り、同じまたは対応する部分を言及するために、対応するまたは同様の参照符号が図面全体にわたって使用される。
【0028】
図1は、本発明の特定の実施形態による車両100の内部102を示す。図示のように、ダッシュコンソール104は、車両100の前方領域106に配置されている。ダッシュコンソール104は、限定されないが、インフォテインメント装置108、HVACシステム110の換気アセンブリ112、スピードメータ114、オドメータ116、ステレオシステム118、および車両用途の特定の要件に応じて車両100に提供される他の同様の装置を含む様々な装置の多くの取付けスペースを提供するように構成される。本開示の実施形態は、HVACシステム110の換気アセンブリ112、および特に、HVACシステム110の換気アセンブリ112内のベーン120の移動を動作可能に制御するように構成されたインフォテインメント装置108を対象とする。
【0029】
図2は、本発明の特定の実施形態による、様々な高レベルメニューオプション202を示すインフォテインメント装置108のインターフェース206を示す。各メニューオプ
ション202は、インフォテインメント装置108に関連するディスプレイ204のユーザインターフェース206上に提供される。このようにして、ユーザは、インフォテインメント装置108のユーザインターフェース206上の適切なメニューオプション202を選択することができる。その結果、インフォテインメント装置108のプロセッサ208は、ユーザによって選択されているメニューオプション202を検出し、所望の装置の動作が制御されるように、車両100内に存在する、選択されたメニューオプション202に対応する所望の装置に適切な制御信号を提供する。この実施形態で上記に開示したように、ユーザ入力は、ユーザインターフェース206上に列挙されたメニューオプション202から選択することによって提供される。本発明の他の特定の実施形態によれば、ユーザは、車両100内の空気流を制御するためのメニューオプションを物理的に選択する代わりに、音声コマンドをユーザインターフェース206に提供することができる。
【0030】
図2の図示の実施形態に示されるように、インフォテインメント装置108のユーザインターフェース206上に提供される多くの高レベルメニューオプション202が示される。これらの高レベルメニューオプション202のそれぞれは、所望の装置の動作を制御するためにユーザが選択可能である。例えば、図2に示すように、選択された場合のメニューオプション202aは、ステレオシステム118をオンにするようにプロセッサ208に指示するように構成され得る。同様に、選択された場合のメニューオプション202bは、プロセッサ208にブルートゥース(登録商標)デバイスをオンにするように指示し、一方、ユーザによって選択された場合のメニューオプション202cは、プロセッサ208に車両100の後部トランク蓋を開くように指示する。同様に、選択された場合のメニューオプション202dは、車両100のHVACシステム110をオンにするようにプロセッサ208を構成することができる。限定されないが、メニューオプション202eおよび202fを含む他のメニューオプションは、ステレオシステム118でのAUX入力を容易にし、ユーザインターフェース206自体でそれぞれナビゲーションマップを可能にするために、追加または任意選択でユーザインターフェース206上に提供され得る。
【0031】
プロセッサ208は、本開示と一致する機能を実行するための構成要素を含む単一のマイクロプロセッサまたは複数のマイクロプロセッサであり得ることに留意されたい。本明細書に開示されているプロセッサ208の機能を実行するように、多数の市販のマイクロプロセッサは構成され得る。プロセッサ208は、車両100内に存在する各装置に関連する多数の機能を制御することができる汎用マイクロプロセッサで容易に実施され得ることを理解されたい。プロセッサ208はまた、メモリ、二次記憶装置、およびアプリケーションを実行するための他の任意の構成要素を含み得る。電源回路、ソレノイドドライバ回路、例えばアナログ―デジタル変換器回路のための信号調整回路、および他の種類の回路などの様々な回路をプロセッサ208に付随させることができる。プロセッサ208を実行するために、プロセッサ208内に様々なルーチン、アルゴリズム、および/またはプログラムをプログラムすることができる。さらに、本明細書で開示されるプロセッサ208は、独立型プロセッサ208であることができ、または既存のプロセッサ、例えば、本開示と一致する機能を実行するために車両100に提供される電子制御モジュール(ECM)(ECM:electronic control module)(図示せず)と協働するように構成され得る。
【0032】
図3を参照すると、本発明の特定の実施形態による、多数の低レベルメニューオプション302が、インフォテインメント装置108のユーザインターフェース206上に表示されている。特に、図2の高レベルメニューオプション202に列挙されたHVACメニューオプション202dを以前に選択したユーザに応答して、図3に示す低レベルメニューオプション302が、ユーザインターフェース206上に表示され得る。図3に示すように、低レベルメニューオプション302は、温度設定メニューオプション302f、車
両100内の空調の再循環モードを可能にするためのメニューオプション302g、車両100内の環境制御を可能にするためのメニューオプション302hを含むことができるが、それらに限定されない。
【0033】
本発明の特定の実施形態によれば、特に換気アセンブリ112のベーン120を制御するために、少なくともいくつかの低レベルメニューオプション302がユーザに追加的に提供される。図3に示すように、これらの低レベルメニューオプション302は、ベーン120をベーン閉鎖位置に移動させるように指示するためのメニューオプション302a、ベーン120を左方の流れ案内位置に移動させるように指示するためのメニューオプション302b、ベーン120を前方の流れ案内位置に移動させるように指示するためのメニューオプション302c、ベーン120を右方の流れ案内位置に向けるためのメニューオプション302d、換気アセンブリ112のベーン120を部分的に分割された流れ案内位置に向けるためのメニューオプション302e、および換気アセンブリ112のベーン120を完全に分割された流れ案内位置に向けるための別のメニューオプション302iを含む。
【0034】
図1に戻って参照すると、ダッシュコンソール104上の運転者席および助手席の前方に典型的に配置された換気アセンブリ112が示されている。したがって、例えば閉鎖、左方、右方、前方、および分割された位置などのベーン120の流れ案内位置への言及は、通常は車両100の前部124に配置される車両100の座席または乗員に関連するものと解釈されたい。前述の流れ案内位置のそれぞれについての追加の詳細は、他の図の詳細な説明の中で以下に表示される。
【0035】
さらに、図1の図示の実施形態では2つの換気アセンブリがダッシュコンソール104上に配置されていることを開示しており、一方は運転者席の前にあり、他方は同乗者席の前にあるが、車両100の内部102内の1つまたは複数の換気アセンブリ112の数および位置は、本発明を限定するものではない。車両100の内部102内の他の代替位置は、コンソールの中心、車両100の右方の内側、車両100の左方の内側、車両100の頂部内側、または車両100の右方から車両100の左方に伸張している位置を含み得るが、それらに限定されない。そのような代替位置は、車両用途の特定の要件に応じて考察され得る。
【0036】
図4は、本発明の特定の実施形態による、換気アセンブリ112の分解上面斜視図を示す。図示されるように、換気アセンブリ112はカバー部材402を含む。カバー部材402の外形および大きさは、車両100のダッシュコンソール104によって提供されるスペースの大きさおよび形状に対応するように選択され得る(図1参照)。換気アセンブリ112がダッシュコンソール104によって提供される空間以外の場所、例えば、車両100の左方の内側、右方の内側、または頂部の内側に設置される場合には、カバー部材402の外側寸法および形状は、その空間の寸法および形状に対応するように適切に選択され得る。
【0037】
続けて図4を参照すると、カバー部材402は、互いに対向関係で配置された一対の細長い壁404aおよび404bを有する。カバー部材402は、その後側408上に画定された入口406を有する。特に、HVACメニューオプション202dを示すインターフェースでのユーザ入力に応答して、HVACシステム110がオンにされた場合、入口406は空気の流れがカバー部材402に入ることを可能にする。
【0038】
カバー部材402は、入口406からカバー部材402の前側412に向かって延在する通気孔410をさらに有する。通気孔410は、空気の流れがカバー部材402から出ることを可能にするように構成される。通気孔410は、第1の通気孔部分410aと、
第1の通気孔部分410aに隣接して配置された第2の通気孔部分410bとからなる。図示されるように、第1の通気孔部分410aはその中に配置されたベーン120を有する。簡単にするために、第1の通気孔部分410aからのベーン120を、以下では「第1の組の流れ案内ベーン」と呼び、同様のアルファベット符号「120a」で示す。同様に、第2の通気孔部分410bは、その中に配置された第2の組の流れ案内ベーンを有し、簡単にするため、かつ第1の組の流れ案内ベーン120aと区別するために、同様のアルファベット符号「120b」で示す。
【0039】
図4の図示の実施形態では、第1の組の流れ案内ベーン120aは5つのベーン120からなるように示されている。同様に、第2の組の流れ案内ベーン120bは、その中の5つのベーン120からなる。第1の組の流れ案内ベーン120aと第2の組の流れ案内ベーン120bとの間のベーン120の数および分布は、単に設計上の選択事項であり、したがって、第1の組の流れ案内ベーン120aと第2の組の流れ案内ベーン120bとの間のベーン120の数および分布は、用途の特定の要件に応じて用途ごとに異なり得る。さらに、本開示の換気アセンブリ112内のベーン120の数は、第1の組の流れ案内ベーン120aおよび第2の組の流れ案内ベーン120bのそれぞれにおいて5つに限定されているが、用途の特定の要件に応じて、第1の組の流れ案内ベーン120aおよび第2の組の流れ案内ベーン120bの中に等しくない数のベーン120が存在することができることを当業者なら認識するであろう。
【0040】
さらに、第1の組の流れ案内ベーンおよび第2の組の流れ案内ベーン120bからのベーン120のそれぞれは、互いに離隔配置されている。さらに、第1の通気孔部分410aおよび第2の通気孔部分410bからのベーン120は、カバー部材402の後側408と前側412との間に少なくとも部分的に延在する。さらに、第1の組の流れ案内ベーン120aおよび第2の組の流れ案内ベーン120bからの各ベーン120は、カバー部材402の一対の互いに対向する細長い壁404a、404bに枢動可能に連結されている。図4図7の図示の実施形態では、3組のカバープレート418が設けられて、第1の組の流れ案内ベーン120aおよび第2の組の流れ案内ベーン120bからの各ベーン120とカバー部材402の一対の互いに対向する細長い壁404a、404bとの枢動結合を確立する。図4に最もよく示されているように、互いに対向するカバープレート418の各対は、複数の対応する凹部420を画定する。カバープレート418上の凹部420のそれぞれは、第1の流れ案内ベーンまたは第2の組の流れ案内ベーン120bのいずれかからのベーンに関連する枢動ピン422を受ける。
【0041】
本発明の特定の実施形態によれば、第1の組の流れ案内ベーン120aおよび第2の組の流れ案内ベーン120bは、第1の組の流れ案内ベーン120aおよび第2の組の流れ案内ベーン120bのそれぞれに連結された作動機構424を使用して、互いに対して独立して移動可能である。作動機構424は、第1の作動部材426を含む。第1の作動部材426は、第1のベース部428と、第1のベース部428から延在する第1のリンク部材430とを有する。第1のリンク部材430は、第1の組の流れ案内ベーン120aからの各ベーン120と係合する。第1のリンク部材430は、第1の組の流れ案内ベーン120aからの各ベーン120をその対応する回転軸線AA´を中心として枢動させるように動作可能である。
【0042】
図4図7を参照すると、作動機構424は、第1の作動部材426に隣接して配置された第2の作動部材434をさらに含む。第2の作動部材434は、第1の作動部材426の第1のベース部428の下方に配置された第2のベース部436を有する。第2の作動部材434はまた、第2のベース部436から延在する第2のリンク部材438を有する。第2のリンク部材438は、第2の組の流れ案内ベーン120bからの各ベーン120と枢動可能に係合する。第2のリンク部材438は、第2の組の流れ案内ベーン120
bから各ベーン120をその対応する回転軸線AA´を中心として枢動させるように選択的に動作可能である。
【0043】
加えて、第1の作動部材426の第1のベース部428は、その中に第1のカム溝440を画定する。第1のカム溝440は、第1の部分442と、第1の部分442から離隔配置された第2の部分444と、第1の部分442と第2の部分444との間に配置された中間部分446とを含む。図示されるように、第1のカム溝440の中間部分446は、第1のカム溝440の第1の部分442と第2の部分444とを結合する軸線BB´から離れて湾曲している。
【0044】
第2の作動部材434の第2のベース部436は、その中に第2のカム溝448を画定する。第2のカム溝448は、第1の部分450と、第1の部分450から離隔配置された第2の部分452と、第1の部分450と第2の部分452との間に配置された中間部分454とを含む。図示されるように、第2のカム溝448の中間部分454は、第2のカム溝448の第1の部分450と第2の部分452とを結合する軸線CC´から離れて湾曲している。
加えて、第2のカム溝448は、第2の部分452の遠位端から延在する第3の部分456を含む。第3の部分456は、第2の部分452に対して円弧状に配置されている。特定の実施形態によれば、第1のカム溝440の第1の部分442、第2の部分444、および中間部分446、ならびに第2のカム溝448の第1の部分450、第2の部分452および中間部分454は互いに対応する。しかし、本発明の特徴を実現するために、当業者によって、第1のカム溝440および第2のカム溝448の他の構成が実施され得ることに留意されたい。
【0045】
作動機構424は、インフォテインメント装置108のプロセッサ208と通信可能に接続されたロータリーアクチュエータ458をさらに含む。作動機構424は、ロータリーアクチュエータ458に連結された中央部分462を有するカム部材460をさらに含む。ロータリーアクチュエータ458は、プロセッサ208によって出力された制御信号に応答して、カム部材460をその中央部分462を中心として動作可能に回転させる。カム部材460はまた、一次ピン464および二次ピン466を有する。一次ピン464は、カム部材460の第1の端部468に配置されている。二次ピン466は、カム部材460の第2の端部470に配置されている。一次ピン464は、それぞれ第1の作動部材426の第1のカム溝440および第2の作動部材434の第2のカム溝448と係合するように配置される。
【0046】
加えて、図6に最もよく示されているように、第2の作動部材434の第2のリンク部材438は、スロットピン配置の助けにより、第1の作動部材426の第1のリンク部材430に摺動可能に連結され、スロットピン配置の内では各スロットは符号414で示され、一方、各摺動ピンは符号416で示されている。さらに、図6に最もよく示されるように、第2のリンク部材438は、カバー部材402に連結されたばね472によって弾力的に付勢され得る。ばね472は、第1の作動部材426および第2の作動部材434のそれぞれに対してデフォルト位置を促進し、次いでそれによって第1の組の流れ案内ベーン120aおよび第2の組の流れ案内ベーン120bはそれらの各デフォルト位置に概ね配置される。ばねは、第2のリンク部材438を中央位置に引き戻すために、二次ピン466を引っ張るのを助けることができる。さらに、HVACシステム110をオンにするための、またはベーン閉鎖位置以外の特定の流れ案内位置をもたらすためのユーザ入力がユーザインターフェース206で受信されない場合、ばね472が、第1の作動部材426および第2の作動部材434をそれらの各デフォルト位置に通常は付勢するので、第1の作動部材426および第2の作動部材434のデフォルト位置はばね472によってもたらされることが可能であって、このデフォルト位置は、本開示の特定の実施形態によ
れば、ベーン閉鎖位置である。別法として、HVACシステム110をオフにするための高レベルメニューオプション202dに対してユーザ入力が受信される場合、ばね472が第1の作動部材426および第2の作動部材434のそれぞれに付勢力を提供することもまた考察されており、それにより、第1の組の流れ案内ベーン120aおよび第2の組の流れ案内ベーン120bがそれらのそれぞれのベーン閉鎖位置に配置される。本明細書に開示される「ベーン閉鎖位置」という用語は、第1の組の流れ案内ベーン120aおよび第2の組の流れ案内ベーン120bからのベーン120が、車両100の内部102に向かう換気アセンブリ112からの空気の流れを完全に妨げる位置と見なされ得ることに留意されたい。
【0047】
特定の実施形態によれば、中央部分462の軸線DD´を中心とするカム部材460の回転が、それぞれ第1のカム溝440の第1の部分442、第2の部分444、および中間部分446、ならびに第2のカム溝448の第1の部分450、第2の部分452、および中間部分454の1つとの一次ピン464の係合を引き起こして、第1の組の流れ案内ベーン120aおよび第2の組の流れ案内ベーン120bを、ベーン閉鎖位置、右方の流れ案内位置、前方の流れ案内位置、および左方の流れ案内位置のうちの1つに配置する。これらの機能の各々に対する説明は、添付の開示においてなされる。
【0048】
図8に示すような特定の実施形態によれば、カム部材460の一次ピン464が、それぞれ第1のカム溝440の第1の部分442および第2のカム溝448の第1の部分450と係合するように動作可能に移動され(図4参照)、それぞれ第1のカム溝440の中間部分446および第2のカム溝448の中間部分454から離れて遠位に配置される場合、第1の作動部材426および第2の作動部材434の対応する移動が、それぞれ第1の組の流れ案内ベーン120aおよび第2の組の流れ案内ベーン120bの1つをそれぞれのベーン閉鎖位置に配置させる。
【0049】
図9に示す他の実施形態によれば、カム部材460の一次ピン464がそれぞれ第1のカム溝440の第1の部分442および第2のカム溝448の第1の部分450と係合するように動作可能に移動されて(図4参照)、それぞれ第1のカム溝440の第1の部分442および第2のカム溝448の第1の部分450の部分的長さに沿って配置される場合、第1の作動部材426および第2の作動部材434の対応する移動が、それぞれ第1の組の流れ案内ベーン120aおよび第2の組の流れ案内ベーン120bの1つをそれぞれの右方流れ案内位置に配置させる。図9に示されるような流れ案内ベーン120a、120bは、図9の図が換気アセンブリ112の底面図であるので、左方下方を向いていることに留意されたい。
【0050】
図10に示す他の実施形態によれば、カム部材460の一次ピン464が、それぞれ第1のカム溝440の第1の部分442および第2のカム溝448の第2の部分450と係合するように動作可能に移動されて(図4参照)、それぞれ第1のカム溝440の中間部分446および第2のカム溝448の中間部分454の近傍に配置される場合、第1の作動部材426および第2の作動部材434の対応する移動が、それぞれ第1の組の流れ案内ベーン120aおよび第2の組の流れ案内ベーン120bの1つをそれぞれの前方流れ案内位置に配置させる。
【0051】
図11に示す他の実施形態によれば、カム部材460の一次ピン464が、それぞれ第1のカム溝440の中間部分446および第2のカム溝448の中間部分454と係合するように動作可能に移動され(図4参照)、それぞれ第1のカム溝440の中間部分446および第2のカム溝448の中間部分454の中央に配置される場合、第1の作動部材426および第2の作動部材434の対応する移動が、それぞれ第1の組の流れ案内ベーン120aおよび第2の組の流れ案内ベーン120bの1つをそれぞれの左方流れ案内位
置に配置させる。図11に示されるような流れ案内ベーン120a、120bは、図9の図が換気アセンブリ112の底面図であるので、右方下方を向いている。
【0052】
図12に示す他の実施形態によれば、カム部材460の一次ピン464が、それぞれ第1のカム溝440の中間部分446および第2のカム溝448の中間部分454と係合するように動作可能に移動されて(図4参照)、それぞれ第1のカム溝440の第2の部分444および第2のカム溝448の第2の部分452の近傍に配置される場合、第1の作動部材426および第2の作動部材434の対応する移動が、それぞれ第1の組の流れ案内ベーン120aおよび第2の組の流れ案内ベーン120bの1つをそれぞれの前方流れ案内位置に配置させる。
【0053】
特定の実施形態によれば、図13に示されるように、中央部分462の軸線DD´を中心とするカム部材460の回転は、部分的に分割された流れ案内位置をもたらし、回転がさらに続けられる場合、完全に分割された流れ案内位置をもたらす。一次ピン464が、第1のカム溝440の第2の部分442と係合して、第1のカム溝440の中間部分446および第2のカム溝448の中間部分454から遠位に離れて配置される場合。この場合、カム部材460がさらに回転すると、第1の組の流れ案内ベーン120bは、それぞれの回転軸線AA´を中心にして左方の流れ案内位置に向かって回転する。第2のカム溝448が第3の部分456を含むので、回転するカム部材460の一次ピン464は第2の組の流れ案内ベーン120aを回転させない。逆に、カム部材460の二次ピン466は、第2のベース部436上に画定された保持溝474と係合し、第2の組の流れ案内ベーン120bからのベーン120をそれらのそれぞれの回転軸線AA´を中心として、右方の流れ案内位置に向かって回転させる。
【0054】
本開示の目的のために、前述の実施形態からのそれぞれ第1の組の流れ案内ベーン120aおよび第2の組の流れ案内ベーン120bの右方の流れ案内位置および左方の流れ案内位置は、分割された流れ案内位置と見なすことができ、その位置では、第1の流れ案内ベーン120および第2の流れ案内ベーン120のそれぞれ1つの角度位置が、第1の流れ案内ベーン120および第2の流れ案内ベーン120の両方が左方の流れ案内位置または右方への流れ案内位置のいずれかに配置される場合の第1および第2の流れ案内ベーン120の角度位置とは異なることが可能である。本明細書に開示される「部分的に分割された流れ案内位置」という用語は、第1の組の流れ案内ベーン120aおよび第2の組の流れ案内ベーン120bが、互いに対する第1の所定の角度に配置される種類の分割された流れ案内位置を指すために使用される。本明細書に開示される第1の所定の角度は、一例では、第1の組の流れ案内ベーン120aと第2の組の流れ案内ベーン120bとの間で45度であり得る。別の例では、本明細書に開示されている第1の所定の角度は60度であり得る。しかしながら、「完全に分割された流れ案内位置」という用語は、第1の組の流れ案内ベーン120aおよび第2の組の流れ案内ベーン120bが、互いに対する第2の所定の角度に配置される別の種類の分割された流れ案内位置であり、第2の所定の角度は第1の所定の角度よりも大きい。一例では、第1の所定の角度が45度である場合、第2の所定の角度は、第1の組の流れ案内ベーン120aと第2の組の流れ案内ベーン120bの間の90度の角度によって実施され得る。別の例では、第1の所定の角度が60度である場合、そのとき第2の所定の角度は120度の角度によって実施され得る。
【0055】
別の実施形態では、第1の所定の角度および第2の所定の角度により、2組のベーンが互いに非対称になる結果がもたらされ得る。第1のカム溝440および第2のカム溝448の所定の長さ、特に第2のカム溝448の第3の部分456の所定の長さを選択することによって、他の値の第2の所定の角度を実現するが、しかしながら、そのような値は第1の所定の角度に対してより大きくなる。例えば、第1の所定の角度が45度である場合、第2の所定の角度は、第1の組の流れ案内ベーン120aと第2の組の流れ案内ベーン
120bの間の60度の角度によって実施され得る。別の例では、第1の所定の角度は45度であり得る一方、第2の所定の角度は120度である。
【0056】
本発明の他の特定の実施形態によれば、第1および第2の流れ案内ベーン120の部分的に、および完全に分割された流れ案内位置に対応する第1および第2の所定の角度は、ユーザによってユーザインターフェース206に予め定義され得る。例えば、インフォテインメント装置108のユーザインターフェース206は、他のメニューオプション(図示せず)、すなわちロータリーアクチュエータ458を介してカム部材460を回転させるためにプロセッサ208によってその後実施される第1および第2の所定の角度のそれぞれを選択するための値の範囲を介してユーザに提示することができる。
【0057】
図14Aは、本発明の特定の他の実施形態による、換気アセンブリの一対の作動部材のためのカム溝幾何形状を示す。図14Aは、直線状の第1の作動部材426のためのカム溝幾何形状と、その中に「J」字形部分478を画定するように湾曲した第2の作動部材434のためのカム溝幾何形状とを示す。図14Bは、本発明の特定の実施形態による、換気アセンブリ112の一対の作動部材426、434のための異なる一組のカム溝幾何形状を示す。図14Bは、主に直線状であるが屈曲部480を含む第1の作動部材426のためのカム溝幾何形状と、「J」字形部分482で湾曲し、カム溝の直線部分486の中にさらに屈曲部484を含む第2の作動部材434のためのカム溝幾何形状とを示す。第1の作動部材426上に画定されたカム溝490および第2の作動部材434上に画定されたカム溝492の特定の幾何形状は、本発明の特定の実施形態によって異なる可能性がある。
【0058】
図14aおよび図14bに示すカム溝幾何形状の両方において、カム溝幾何形状の一部は同じであり、カム溝幾何形状の一部は異なる。これにより、カム部材460が同じ幾何形状を有するカム溝の部分と係合する場合、単一のカム部材460が、第1の組の流れ案内ベーン120aおよび第2の組の流れ案内ベーン120bの両方からのベーン120を同じ方向に移動させ、さらに、一次ピン464が第1の作動部材426および第2の作動部材434のそれぞれのカム溝からの異なる部分と係合する場合、第1の組の流れ案内ベーン120aに関連するベーン120が、第2の組の流れ案内ベーン120bに関連するベーン120とは異なる方向にあるように、カム部材460がベーン120を移動させることも可能にする。これは、本明細書に開示されている部分的および完全に分割された流れ案内位置を生成するために特に重要である。
【0059】
ベーン120を閉じる、またはそれぞれ第1の組の流れ案内ベーン120aおよび第2の組の流れ案内ベーン120bの1つからのベーン120を左方、右方、および分割された流れ案内位置に移動させるための上述の第1の作動部材426および第2の作動部材434の特定の構成は、本開示を限定しない。むしろ、本開示の精神から逸脱することなく、本明細書に開示されている第1の作動部材426および第2の作動部材434の代わりに様々な他の機構が使用され得ることを当業者は認識するであろう。
【0060】
前述の開示は、本開示を開示された厳密な形態または特定の使用分野に限定することを意図するものではない。このように、本明細書に明示的に記載されているか暗示されているかにかかわらず、本開示に対する様々な代替形態および/または修正形態が開示の観点から可能であると考慮されたい。このように本開示の実施形態を説明してきたが、当業者であれば、本開示の範囲から逸脱することなく形態および詳細に変更を加えることができることを理解するであろう。したがって、本開示は特許請求の範囲によってのみ限定される。
【0061】
前述の明細書において、本開示は特定の実施形態を参照して説明されてきた。しかしな
がら、当業者には理解されるように、本明細書に開示された様々な実施形態は、本開示の精神および範囲から逸脱することなく、様々な他の方法で修正され、または他の方法で実施され得る。したがって、この説明は例示的なものと考慮されるべきであり、開示された換気アセンブリの様々な実施形態の製造方法および使用方法を当業者に教示するためのものである。本明細書に示され、記載された開示の形態は、代表的な実施形態として解釈されるべきであることを理解されたい。均等な要素、材料、プロセスまたはステップは、本明細書において代表的に例示され、および記載されたものの代わりに用いられることが可能である。さらに、本開示のこの説明の利益を得た後に当業者にはすべて明らかになるように、本開示の特定の特徴は、他の特徴の使用から独立して利用され得る。本開示を説明し、特許請求するために使用される「含む」、「備える」、「組み込む」、「からなる」、「有する」、「である」などの表現は、非排他的な方法で解釈されることを意図しており、すなわち明示的に記載されていない項目、構成要素または要素もまた存在することを許容する。単数形への言及は、複数形にもまた関連すると解釈されたい。
【0062】
さらに、本明細書に開示された様々な実施形態は、例示および説明の意味で解釈されるべきであり、決して本開示を限定するものとして解釈されるべきではない。すべての接続の言及(例えば、取付け、添付、連結、接続など)は、本開示の読者の理解を助けるために使用されているに過ぎず、特にシステムの位置、向き、または使用、および/または本明細書に開示されている方法に関して制限を設けるものではない。したがって、接続の言及がある場合は、それは広く解釈されるべきである。さらに、そのような接続の言及は、2つの要素が互いに直接接続されていることを必ずしも推定するものではない。
【0063】
さらに、限定されないが「第1」、「第2」、「第3」、「一次」、「二次」、「主要」などのすべての数値用語、または任意の他の通常の用語、および/または数値用語などもまた、本開示の様々な要素、実施形態、変形形態、および/または修正形態についての読者の理解を助けるための識別子としてのみ解釈すべきであり、特に任意の要素、実施形態、変形形態および/または他の要素、実施形態、変形および/または修正に対する、またはそれを超える修正形態の順序、または優先傾向に関していかなる制限も設けるものではない。
【0064】
特定の用途によって有用であるように、図面および図に描かれた要素の1つまたは複数は、より分離され、または統合された方法でもまた実施され、あるいは特定の場合には動作不能として取り除かれ、または見なされる可能性さえもある。さらに、図面および図のいかなる信号ハッチングも、他に具体的に指定されない限り、例示としてのみ考慮されるべきであり、限定として考慮されるべきではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14A
図14B