(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-12
(45)【発行日】2022-05-20
(54)【発明の名称】LiOHを含むリチウム二次電池用電極、その製造方法、及び当該電極を含むリチウム二次電池
(51)【国際特許分類】
H01M 4/38 20060101AFI20220513BHJP
H01M 4/36 20060101ALI20220513BHJP
H01M 4/62 20060101ALI20220513BHJP
H01M 4/1397 20100101ALI20220513BHJP
H01M 4/136 20100101ALI20220513BHJP
【FI】
H01M4/38 Z
H01M4/36 A
H01M4/36 C
H01M4/62 Z
H01M4/1397
H01M4/136
(21)【出願番号】P 2020561630
(86)(22)【出願日】2019-09-17
(86)【国際出願番号】 KR2019011955
(87)【国際公開番号】W WO2020060131
(87)【国際公開日】2020-03-26
【審査請求日】2020-11-02
(31)【優先権主張番号】10-2018-0111952
(32)【優先日】2018-09-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2019-0113731
(32)【優先日】2019-09-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ウンキョン・チョ
(72)【発明者】
【氏名】ドゥ・キョン・ヤン
【審査官】宮田 透
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-503189(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2016-0038984(KR,A)
【文献】特表2018-511923(JP,A)
【文献】特表2017-517835(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 4/13- 4/1399
H01M 4/36- 4/62
H01M 10/05-10/0587
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
LiOHを含むリチウム二次電池用電極
であって、
前記リチウム二次電池用電極は、リチウム-硫黄電池用正極であり、
前記リチウム-硫黄電池用正極は、硫黄-炭素複合体活物質を含み、
LiOHは、硫黄-炭素複合体活物質の炭素材に含浸又はコーティングされた形態で存在する、リチウム二次電池用電極。
【請求項2】
前記LiOHは、活物質100重量部を基準として0超過~15重量部で含まれることを特徴とする、請求項1に記載のリチウム二次電池用電極。
【請求項3】
請求項1
又は2に記載の電極を含むリチウム二次電池。
【請求項4】
前記電池は、リチウム-硫黄電池であることを特徴とする、請求項
3に記載のリチウム二次電池。
【請求項5】
(a)LiOHを炭素材に含浸又はコーティングさせるか、又はLiOH粉末を炭素材と混合する段階;
(b)前記(a)段階で製造されたLiOHが含浸又はコーティングされた炭素材、又はLiOH粉末と混合された炭素材を硫黄と混合する段階;
(c)前記炭素材及び硫黄の混合物を熱処理して硫黄-炭素複合体を製造する段階;
(d)前記(c)段階で製造された硫黄-炭素複合体;導電剤;及びバインダー;を含むスラリー組成物を製造する段階;及び
(e)前記製造されたスラリー組成物を集電体上に塗布する段階;を含むLiOHを含むリチウム-硫黄電池用正極の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2018年9月19日付け韓国特許出願第10-2018-0111952号及び2019年9月16日付け韓国特許出願第10-2019-0113731号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容は本明細書の一部として含む。
【0002】
本発明は、LiOHを含むリチウム二次電池用電極、その製造方法、及び当該電極を含むリチウム二次電池に関する。
【背景技術】
【0003】
エネルギー貯蔵技術の適用分野が携帯電話、タブレット(tablet)、ラップトップ(laptop)及びビデオカメラ、さらには電気自動車(EV)及びハイブリッド電気自動車(HEV)にまで拡大されながら、エネルギー貯蔵用電気化学素子に関する研究及び開発が活発に行われている。特に、リチウム二次電池は高いエネルギー密度と電圧を有し、サイクル寿命が長く、自己放電率が低いため、広く用いられている。
【0004】
一般的に、リチウム二次電池は、初期充電時に正極として用いられるリチウム又はリチウム金属酸化物などからリチウムイオンが負極に移動して、負極の層間に挿入される。このとき、リチウムは反応性が強いので、リチウムが挿入された負極表面で電解液とリチウム塩が反応してLi2CO3、Li2O、LiOHなどの化合物を生成する。これらの化合物は、負極の表面に一種の不動態皮膜(passivation layer)を形成することになり、このような皮膜を固体電解質界面(solid electrolyte interface:SEI)膜という。
【0005】
前記SEI膜は一旦形成されると、イオントンネル(Ion Tunnel)の役割を行って、リチウムイオンのみを通過させるようになり、リチウムイオンは再度負極又は他の物質と副反応をしないようになり、前記SEIフィルムの形成に消費された電荷量は不可逆容量で放電時に可逆的に反応しない特性を有する。したがって、それ以上の電解液の分解が発生せず、電解液中のリチウムイオンの量が可逆的に維持され、安定した充放電を維持することができる(J.Power Sources(1994)51:79~104)。結果として、SEI膜が一旦形成されると、リチウムイオンの量が可逆的に維持され、電池の寿命特性も改善される。
【0006】
一方、高いエネルギー密度を有し、既存のリチウムイオン電池を代替することができる次世代電池として研究されているリチウム-硫黄(Li-S)電池は、放電時に硫黄の還元反応とリチウム金属の酸化反応が起こり、このとき、硫黄は環構造のS8から線状構造のリチウムポリスルフィド(Li2S2、Li2S4、Li2S6、Li2S8)を形成することになる。このようなリチウム-硫黄電池は、ポリスルフィド(Polysulfide、PS)が完全にLi2Sに還元されるまで段階的放電電圧を示す特徴を有する。リチウム-硫黄電池でもSEI膜は電池の特性に好ましい効果を提供する。
【0007】
前記SEI膜の性質は、電解液に含まれた溶媒の種類や添加剤などの特性により異なり、イオン及び電荷移動に影響を及ぼし、電池の性能変化をもたらす主要な因子の内の1つとして知られている(Shoichiro Mori,Chemical properties of various organic electrolytes for lithium rechargeable batteries,J.Power Source(1997)Vol.68参照)。
【0008】
現在まで電極の表面にSEI膜を形成する方法としては、電解液にSEI膜を形成するのに寄与することができる添加剤を入れてSEI膜を形成する方法が知られている。
【0009】
しかし、リチウム二次電池の正極又は負極に前記方法よりも効率的に優れた特性を有するSEI膜を形成することができる方法に関する研究が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明者らは、リチウム二次電池用電極の表面に効果的にSEI膜を形成する方法を鋭意研究したところ、電極に活物質とともにLiOHが含まれる場合、電極表面にSEI膜が容易に形成されることを見出し、本発明を完成した。
【0012】
したがって、本発明は、表面に効率的にSEI膜を形成することができる、LiOHを含むリチウム二次電池用電極及び前記電極を含むリチウム二次電池を提供することを目的とする。
【0013】
また、本発明は、前記電極を効率的に製造することができるLiOHを含むリチウム二次電池用電極の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記目的を達成するために、
本発明は、LiOHを含むリチウム二次電池用電極を提供する。
【0015】
本発明の一実施形態において、前記LiOHは活物質100重量部を基準として0超過~15重量部で含まれることができる。
【0016】
また、本発明は、
前記電極を含むリチウム二次電池を提供する。
【0017】
また、本発明は、
(a)LiOH溶液を活物質に含浸又はコーティングさせるか、又はLiOH粉末を活物質と混合する段階;
(b)前記(a)段階で含浸又はコーティングされた活物質、又は混合された活物質;導電剤;及びバインダー;を含むスラリー組成物を製造する段階;及び
(c)前記製造されたスラリーを集電体上に塗布する段階;を含むLiOHを含むリチウム二次電池用電極の製造方法を提供する。
【0018】
また、本発明は、
(a)LiOHを炭素材に含浸又はコーティングさせるか、又はLiOH粉末を炭素材と混合する段階;
(b)前記(a)段階で製造されたLiOHが含浸又はコーティングされた炭素材、又はLiOH粉末と混合された炭素材を硫黄と混合する段階;
(c)前記炭素材及び硫黄の混合物を熱処理して硫黄-炭素複合体を製造する段階;
(d)前記(c)段階で製造された硫黄-炭素複合体;導電剤;及びバインダー;を含むスラリー組成物を製造する段階;及び
(e)前記製造されたスラリーを集電体上に塗布する段階;を含むLiOHを含むリチウム-硫黄電池用正極の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係るLiOHを含むリチウム二次電池用電極は、表面に効率的にSEI膜を形成する効果を提供する。
【0020】
また、本発明のリチウム二次電池は、前記電極を含むことにより、優れた駆動特性及び寿命特性を提供する。
【0021】
また、本発明のLiOHを含むリチウム二次電池用電極の製造方法は、非常に効率的にLiOHを含むリチウム二次電池用電極を製造する方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】製造例1~5で製造されたLiOH含浸カーボンナノチューブ(CNT)の熱重量分析(TGA)のグラフである(実験例1)。
【
図2】製造例1~5で製造されたLiOH含浸カーボンナノチューブ(CNT)の熱重量分析(TGA)のグラフである(実験例1)。
【
図3】前記実施例9~実施例10及び比較例2で製造された電池のサイクル寿命特性を評価した結果を示すグラフである(実験例2)。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者が容易に実施することができるように、本発明の実施例について添付の図面を参考にして詳細に説明する。しかし、本発明は様々に異なる形態で具現されることができ、ここで説明する実施例に限定されない。
【0024】
本発明は、LiOHを含むリチウム二次電池用電極に関する。
【0025】
前記LiOHは、活物質100重量部を基準として0超過~15重量部で含まれ、好ましくは0.012~10重量部、より好ましくは0.12~10重量部、より好ましくは0.15~5重量部で含まれることができる。
【0026】
前記においてLiOHが15重量部を超える場合には、それ以上のSEI膜の形成を促進する効果は増加しないのに対し、活物質の含有量を減少させる結果をもたらすので好ましくない。
【0027】
前記LiOHは、活物質に含浸又はコーティングされるか、又は活物質と混合された形態で存在することができる。
【0028】
前記電極は、正極又は負極であってもよい。すなわち、リチウムイオン電池においてSEI膜は、電池の種類によって正極に必要な場合もあり、負極に必要な場合もある。そのため、本発明においてLiOHは、負極活物質又は正極活物質とともに用いることができる。
【0029】
本発明において、前記リチウム二次電池がLi-S電池である場合、前記LiOHを含むリチウム二次電池用電極は正極であってもよく、この場合、前記正極は硫黄-炭素複合体活物質を含むものであってもよい。
【0030】
前記硫黄-炭素複合体活物質において、LiOHは炭素系物質に含浸又はコーティングされたものであってもよいが、これに限定されるものではなく、LiOHが炭素系物質及び硫黄又は硫黄化合物と混合された形態で含まれてもよい。
【0031】
前記リチウム二次電池がリチウムを含む正極を含む場合、前記LiOHを含むリチウム二次電池用電極は負極であってもよく、前記において負極は炭素系物質を含むものであってもよい。
【0032】
前記炭素系物質は、LiOHが含浸又はコーティングされた形態で含まれてもよく、LiOHと混合された形態で含まれてもよいが、これに限定されるものではない。
【0033】
前記において炭素系物質は、黒鉛、カーボンナノチューブ、グラフェン、黒鉛、非晶質炭素、カーボンブラック、及び活性炭などからなる群より選ばれる1種以上であってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0034】
また、本発明は、
(a)LiOH溶液を活物質に含浸又はコーティングさせるか、又はLiOH粉末を活物質と混合する段階;
(b)前記(a)段階で含浸又はコーティングされた活物質、又は混合された活物質;導電剤;及びバインダー;を含むスラリー組成物を製造する段階;及び
(c)前記製造されたスラリーを集電体上に塗布する段階;を含むLiOHを含むリチウム二次電池用電極の製造方法に関する。
【0035】
前記製造方法には、前述したLiOHを含むリチウム二次電池用電極に関する内容がそのまま適用されることができる。
【0036】
前記(a)段階で含浸、コーティング及び混合方法;前記(b)段階でスラリー組成物の成分及び組成比;及び前記(c)段階で集電体、スラリーの塗布方法などについては、この分野における公知の方法がそのまま適用されることができる。
【0037】
前記(a)段階でLiOH溶液において溶媒としては水又は有機溶媒、又はこれらの混合物を用いることができるが、前記溶媒としては水を用いることがLiOHを溶かして含浸を容易に行うことができるという点で、より好ましいことがある。
【0038】
前記有機溶媒はLiOHを溶かすことができ、炭素を分解することなく気化が可能な溶媒であれば、その種類は特に限定されない。
【0039】
前記(a)段階及び(b)段階の間に、(a)段階で含浸又はコーティングされた活物質、又は混合された活物質を乾燥させる段階;をさらに含むことができる。
【0040】
前記(a)段階で活物質は炭素系物質であってもよく、炭素系物質とともに硫黄又は硫黄化合物がさらに含まれた物質、例えば、硫黄-炭素複合体であってもよい。
【0041】
また、本発明は、
(a)LiOHを炭素材に含浸又はコーティングさせるか、又はLiOH粉末を炭素材と混合する段階;
(b)前記(a)段階で製造されたLiOHが含浸又はコーティングされた炭素材、又はLiOH粉末と混合された炭素材を硫黄と混合する段階;
(c)前記炭素材及び硫黄の混合物を熱処理して硫黄-炭素複合体を製造する段階;
(d)前記(c)段階で製造された硫黄-炭素複合体;導電剤;及びバインダー;を含むスラリー組成物を製造する段階;及び
(e)前記製造されたスラリーを集電体上に塗布する段階;を含むLiOHを含むリチウム-硫黄電池用正極の製造方法に関する。
【0042】
前記(a)段階で含浸、コーティング及び混合方法;前記(c)段階で熱処理方法;前記(d)段階でスラリー組成物の成分及び組成比;及び前記(e)段階で集電体、スラリーの塗布方法などについては、この分野における公知の方法がそのまま適用されることができる。
【0043】
前記(a)段階でLiOHの含浸又はコーティングはLiOH溶液を用いて行うことができ、溶媒としては水又は有機溶媒、又はこれらの混合物を用いることができるが、前記溶媒としては水を用いることがLiOHを溶かして含浸又はコーティングを容易に行うことができるという点で、より好ましいことがある。
【0044】
前記有機溶媒はLiOHを溶かすことができ、炭素を分解することなく気化が可能な溶媒であれば、その種類は特に限定されない。
【0045】
前記(a)段階及び(b)段階の間に、(a)段階で含浸又はコーティングされた活物質、又は混合された活物質を乾燥させる段階;をさらに含むことができる。
【0046】
前記(c)段階で熱処理は、120~200℃の温度で行うことができるが、これに限定されるものではない。
【0047】
また、本発明は、
前記LiOHを含むリチウム二次電池用電極を含むリチウム二次電池に関する。
【0048】
前記において電池の種類は特に限定されないが、代表的にリチウム-硫黄電池が挙げられる。
【0049】
以下で、リチウム-硫黄電池により本発明をさらに詳細に説明する。しかし、本発明はリチウム-硫黄電池に限定されるものではない。
【0050】
LiOHを含む硫黄-炭素複合体
本発明のLiOHを含む硫黄-炭素複合体は、不導体である硫黄と電気伝導性を有する炭素系物質を含み、リチウム-硫黄電池用正極活物質として用いることができる。
【0051】
前記LiOHを含む硫黄-炭素複合体は、まず、炭素系物質にLiOHを含浸、コーティングさせるか、又はLiOHと炭素系物質を混合した後、硫黄を付加する方法で製造することができる。しかし、これに限定されるものではなく、硫黄-炭素複合体をまず製造した後、LiOHを前記のような方法で添加することもできる。
【0052】
リチウム-硫黄電池は、放電時に硫黄系化合物の硫黄-硫黄結合(sulfur-sulfur bond)が切断され、Sの酸化数が減少し、充電時にS-S結合が再度生成され、Sの酸化数が増加する酸化-還元反応を利用して電気的エネルギーを生成する。
【0053】
本発明の硫黄-炭素複合体に用いることができる炭素系物質は、絶縁体である硫黄に導電性を付与することができるものを用いる。具体的には、前記炭素系物質は、カーボンナノチューブ、グラフェン、黒鉛、非晶質炭素、カーボンブラック、及び活性炭などからなる群より選ばれる1種以上であってもよい。このうち、電気伝導度、比表面積及び硫黄担持量に優れる点で、カーボンナノチューブ、黒鉛、及びカーボンブラックがより好ましい。
【0054】
前記カーボンナノチューブ(CNT)は、単層カーボンナノチューブ(SWCNT)又は多層カーボンナノチューブ(MWCNT)であってもよい。前記CNTの直径は1~200nmであることが好ましく、1~100nmであることがさらに好ましく、1~50nmであることが最も好ましい。CNTの直径が200nmを超える場合、比表面積が小さくなり、電解液との反応面積が減る問題がある。
【0055】
前記黒鉛は、人造黒鉛及び天然黒鉛のうち1つ以上を用いることができる。天然黒鉛としては、鱗状(flake)黒鉛、高結晶質(high crystalline)黒鉛、微晶質(微晶質又は隠微晶質;非晶質(microcrystalline or cryptocrystalline;amorphous))黒鉛などがあり、人造黒鉛としては、一次(primary)あるいは電気黒鉛(electrographite)、二次(secondary)黒鉛、黒鉛繊維(graphite fiber)などがある。前記黒鉛粒子は、上述した黒鉛の種類を1種単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0056】
前記カーボンブラックは、例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、ファーネスブラック、オイル-ファーネスブラック、コロンビア炭素、チャンネルブラック、ランプブラック、サマーブラックからなる群より選ばれた1つ以上であってもよい。このようなカーボンブラックの粒度は限定されないが、平均粒径が0.01~0.5μmであることが電解液との反応面積の確保の面で好ましい。
【0057】
前記硫黄としては、無機硫黄又は元素硫黄(elemental sulfur、S8)を好ましく用いることができる。
【0058】
本発明に係る硫黄-炭素複合体において炭素系物質と硫黄は1:1~1:9の重量比で混合されることが好ましい。炭素系物質の含有量が前記範囲を超えると、活物質である硫黄の含有量が低くなり、電池容量の確保において問題が発生し、前記範囲未満であれば、炭素系物質の含有量が電気伝導度を付与するのに不足するので、前記範囲内で適切に調節する。
【0059】
本発明の硫黄-炭素複合体の複合化方法は本発明において特に限定せず、当業界において通常用いられる方法を用いることができる。
【0060】
本発明において提示する硫黄-炭素複合体は、硫黄と炭素系物質が単純混合されて複合化されたり、コアシェル構造のコーティング形態又は担持形態を有してもよい。前記コアシェル構造のコーティング形態は、硫黄又は炭素系物質のいずれかが他の物質をコーティングしたもので、一例として、炭素系物質の表面を硫黄で包むか、又はこの反対になってもよい。また、担持形態は、炭素系物質が多孔質であるとき、この内部に硫黄が担持された形態であってもよい。前記硫黄-炭素複合体の形態は、前記提示した硫黄と炭素系物質の含量比を満足するものであればいずれの形でも使用可能であり、本発明において限定しない。
【0061】
このような硫黄-炭素複合体の直径は本発明において特に限定せず、多様にすることができるが、好ましくは0.1~20μm、より好ましくは1~10μmである。前記範囲を満足するとき、高コーディング電極を製造することができる利点がある。
【0062】
リチウム-硫黄電池用電極
前記リチウム-硫黄電池用電極は、LiOHを含む活物質として硫黄-炭素複合体を用いる。前記リチウム-硫黄電池用電極は、集電体上に形成された活物質層を含み、前記活物質層は、本発明のLiOHを含む硫黄-炭素複合体、導電材、バインダー及びその他の添加剤を含む。
【0063】
前記電極集電体は、活物質で電気化学反応が起きるように電子を外部から伝達するか、又は活物質から電子を受けて外部に流す通路の役割を果たすもので、当該電池に化学的変化を誘発することなくかつ導電性を有するものであれば特に制限されない。その例として、銅、ステンレススチール、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼成炭素、銅やステンレススチールの表面にカーボン、ニッケル、チタン、銀などで表面処理したもの、アルミニウム-カドミウム合金などを用いることができる。また、前記電極集電体は、表面に微細な凹凸を形成して活物質の接着力を高めることもでき、フィルム、シート、ホイル、ネット、多孔質体、発泡体、不織布体などの多様な形態を用いることができる。
【0064】
前記導電材は、当該電池に化学的変化を誘発することなくかつ導電性を有するものであれば特に制限されるものではなく、例えば、天然黒鉛や人造黒鉛などの黒鉛;カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、デンカブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サマーブラックなどのカーボンブラック;グラフェン(graphene);カーボンナノチューブ(CNT)、カーボンナノファイバー(CNF)などの炭素繊維や金属繊維などの導電性繊維;フッ化カーボン、アルミニウム、ニッケル粉末などの金属粉末;酸化亜鉛、チタン酸カリウムなどの導電性ウィスカー;酸化チタンなどの導電性金属酸化物;ポリフェニレン誘導体などを用いることができる。
【0065】
前記バインダーは、活物質と導電材の結合、活物質と集電体の結合のために添加されるものであって、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂であってもよい。前記バインダーは、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン-クロロトリフルオロエチレン共重合体、エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン、フッ化ビニリデン-ペンタフルオロプロピレン共重合体、プロピレン-テトラフルオロエチレン共重合体、エチレン-クロロトリフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン-テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン-パーフルオロメチルビニルエーテル-テトラフルオロエチレン共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体などを単独又は混合して用いることができるが、必ずこれらに限定せず、当該技術分野においてバインダーとして用いることができるものであればいずれも可能である。
【0066】
本発明のリチウム-硫黄電池用電極は、通常の方法によって製造することができ、具体的には、活物質である本発明のLiOHを含む硫黄-炭素複合体と導電材及びバインダーを有機溶媒上で混合して製造したスラリー組成物を集電体上に塗布及び乾燥し、選択的に電極密度の向上のために集電体に圧縮成形して製造することができる。このとき、前記有機溶媒としては、正極活物質、バインダー及び導電材を均一に分散させることができ、容易に蒸発するものを用いることが好ましい。具体的には、N-メチル-2-ピロリドン、アセトニトリル、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン、水、イソプロピルアルコールなどが挙げられる。
【0067】
リチウム-硫黄電池
本発明に係るリチウム-硫黄電池は、正極及び負極とこれらの間に存在する電解液を含み、正極として本発明に係るリチウム-硫黄電池用電極を用いる。このとき、前記電池は、正極及び負極の間に介在される分離膜をさらに含むことができる。
【0068】
前記リチウム-硫黄電池の負極、分離膜及び電解液の構成は、本発明において特に限定せず、この分野において公知となっているところに従う。
【0069】
負極
本発明に係る負極は、負極集電体上に形成された負極活物質を含む。
【0070】
前記負極集電体は、具体的に銅、ステンレススチール、チタン、銀、パラジウム、ニッケル、これらの合金及びこれらの組み合わせからなる群より選ばれるものであってもよい。前記ステンレススチールは、カーボン、ニッケル、チタン又は銀で表面処理されることができ、前記合金としては、アルミニウム-カドミウム合金を用いることができる。その他にも、焼成炭素、導電材で表面処理された非伝導性高分子、又は伝導性高分子などを用いることもできる。
【0071】
前記負極活物質としては、リチウムイオン(Li+)を可逆的に吸蔵(Intercalation)又は放出(Deintercalation)することができる物質、リチウムイオンと反応して可逆的にリチウム含有化合物を形成することができる物質、リチウム金属又はリチウム合金を用いることができる。前記リチウムイオン(Li+)を可逆的に吸蔵又は放出することができる物質は、例えば結晶質炭素、非晶質炭素又はこれらの混合物であってもよい。前記リチウムイオン(Li+)と反応して可逆的にリチウム含有化合物を形成することができる物質は、例えば、酸化スズ、チタンナイトレート又はシリコンであってもよい。前記リチウム合金は、例えば、リチウム(Li)とナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)、フランシウム(Fr)、ベリリウム(Be)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、ラジウム(Ra)、アルミニウム(Al)及びスズ(Sn)からなる群より選ばれる金属の合金であってもよい。
【0072】
前記負極は、負極活物質と導電材の結合と集電体への結合のためにバインダーをさらに含むことができ、具体的に前記バインダーは、前記正極のバインダーにおいて説明したことと同一である。
【0073】
また、前記負極は、リチウム金属又はリチウム合金であってもよい。非制限的な例として、負極はリチウム金属の薄膜であってもよく、リチウムとNa、K、Rb、Cs、Fr、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Ra、Al及びSn群より選ばれる1種以上の金属との合金であってもよい。
【0074】
分離膜
正極と負極の間には、通常の分離膜が介在されることができる。前記分離膜は、電極を物理的に分離する機能を有する物理的な分離膜であって、通常の分離膜として用いられるものであれば特に制限なく使用可能であり、特に電解液のイオン移動に対して低抵抗でありながら電解液含湿能力に優れたものが好ましい。
【0075】
また、前記分離膜は、正極と負極を互いに分離又は絶縁させながら、正極と負極との間にリチウムイオンの輸送を可能にする。このような分離膜は多孔性であり、非伝導性又は絶縁性である物質からなってもよい。前記分離膜はフィルムのような独立した部材であるか、又は正極及び/又は負極に付加されたコーティング層であってもよい。
【0076】
具体的には、多孔性高分子フィルム、例えば、エチレン単独重合体、プロピレン単独重合体、エチレン/ブテン共重合体、エチレン/ヘキセン共重合体及びエチレン/メタクリレート共重合体などのようなポリオレフィン系高分子で製造した多孔性高分子フィルムを単独又はこれらを積層して用いることができ、または通常の多孔性不織布、例えば高融点のガラス繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維などからなる不織布を用いることができるが、これに限定されるものではない。
【0077】
電解質
本発明に係る電解質は、リチウム塩を含有する非水系電解液、有機固体電解質及び無機固体電解質などであり得、非水系電解液は、リチウム塩と溶媒で構成されており、溶媒は非水系有機溶媒であり得る。
【0078】
前記リチウム塩は、非水系有機溶媒に容易に溶解することができる物質として、例えば、LiCl、LiBr、LiI、LiClO4、LiBF4、LiB10Cl10
、LiC4BO8、LiPF6、LiCF3SO3、LiCF3CO2、LiAsF6、LiSbF6、LiAlCl4、LiSO3CH3、LiSO3CF3、LiSCN、LiC(CF3SO2)3、LiN(CF3SO2)2、LiN(C2F5SO2)2、LiN(SO2F)2、クロロボランリチウム、低級脂肪族カルボン酸リチウム、4フェニルホウ酸リチウム、イミドからなる群より選ばれる1つ以上であってもよい。
【0079】
前記リチウム塩の濃度は、電解液混合物の正確な組成、塩の溶解度、溶解した塩の伝導性、電池の充電及び放電条件、作業温度及びリチウム-硫黄電池の分野に公知の他の要因のような様々な要因に応じて、0.1~4.0M、好ましくは0.5~2.0Mであってもよい。もし、リチウム塩の濃度が前記範囲未満であれば、電解液の伝導度が低くなって電池の性能が低下することができ、前記範囲を超えると、電解液の粘度が増加してリチウムイオン(Li+)の移動度が減少することができるので、前記範囲内で適正濃度を選択することが好ましい。
【0080】
前記非水系有機溶媒は、リチウム塩をよく溶解させることができる物質として、好ましくはN-メチル-2-ピロリドン、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、γ-ブチロラクトン、1,2-ジメトキシエタン、1,2-ジエトキシエタン、1-エトキシ-2-メトキシエタン、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロキシフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、1,3-ジオキソラン、4-メチル-1,3-ジオキサン、ジエチルエーテル、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ジオキソラン、アセトニトリル、ニトロメタン、ギ酸メチル、酢酸メチル、リン酸トリエステル、トリメトキシメタン、ジオキソラン誘導体、スルホラン、メチルスルホラン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、プロピレンカーボネート誘導体、テトラヒドロフラン誘導体、エーテル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチルなどの非プロトン有機溶媒を用いることができ、これらのうち1つ又は2つ以上の混合溶媒の形態で用いることができる。
【0081】
前記有機固体電解質としては、好ましくは、ポリエチレン誘導体、ポリエチレンオキシド誘導体、ポリプロピレンオキシド誘導体、リン酸エステルポリマー、ポリアルギン酸リシン(Agitation lysine)、ポリエステルスルフィド、ポリビニルアルコール、ポリフッ化ビニリデン、イオン性解離基を含む重合体などを用いることができる。
【0082】
本発明の無機固体電解質としては、好ましくは、Li3N、LiI、Li5NI2、Li3N-LiI-LiOH、LiSiO4、LiSiO4-LiI-LiOH、Li2SiS3、Li4SiO4、Li4SiO4-LiI-LiOH、Li3PO4-Li2S-SiS2などのLiの窒化物、ハロゲン化物、硫酸塩などを用いることができる。
【0083】
本発明のリチウム-硫黄電池用非水系電解液は、添加剤として硝酸又は亜硝酸系化合物をさらに含むことができる。前記硝酸又は亜硝酸系化合物はリチウム電極に安定した被膜を形成し、充放電効率を向上させる効果がある。このような硝酸又は亜硝酸系化合物としては、本発明において特に限定されないが、硝酸リチウム(LiNO3)、硝酸カリウム(KNO3)、硝酸セシウム(CsNO3)、硝酸バリウム(Ba(NO3)2)、硝酸アンモニウム(NH4NO3)、亜硝酸リチウム(LiNO2)、亜硝酸カリウム(KNO2)、亜硝酸セシウム(CsNO2)、亜硝酸アンモニウム(NH4NO2)などの無機系硝酸又は亜硝酸化合物;メチルニトレート、ジアルキルイミダゾリウムニトレート、グアニジンニトレート、イミダゾリウムニトレート、ピリジニウムニトレート、エチルニトライト、プロプルニトライト、ブチルニトライト、ペンチルニトライト、オクチルニトライトなどの有機系硝酸又は亜硝酸化合物;ニトロメタン、ニトロプロパン、ニトロブタン、ニトロベンゼン、ジニトロベンゼン、ニトロピリジン、ジニトロピリジン、ニトロトルエン、ジニトロトルエンなどの有機ニトロ化合物及びこれらの組み合わせからなる群より選ばれた1種が可能であり、好ましくは硝酸リチウムを用いる。
【0084】
また、前記非水系電解液は充放電特性、難燃性などの改善を目的としてその他の添加剤をさらに含むことができる。前記添加剤の例としては、ピリジン、トリエチルホスファイト、トリエタノールアミン、環状エーテル、エチレンジアミン、N-グライム(glyme)、ヘキサリン酸トリアミド、ニトロベンゼン誘導体、硫黄、キノンイミン染料、N-置換オキサゾリジノン、N,N-置換イミダゾリジン、エチレングリコールジアルキルエーテル、アンモニウム塩、ピロール、2-メトキシエタノール、三塩化アルミニウム、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、プロペンスルトン(PRS)、ビニレンカーボネート(VC)などが挙げられる。
【0085】
前記リチウム-硫黄電池に含まれる前記正極、負極及び分離膜は、それぞれ通常の成分と製造方法によって準備することができ、また、リチウム-硫黄電池の外形は特に制限はないが、円筒形、角形、ポーチ(Pouch)形又はコイン(Coin)形などになり得る。
【0086】
前記においてリチウム-硫黄電池を中心に本発明を説明したが、本発明はリチウム-硫黄電池に限定されるものではなく、一般的なリチウム二次電池にも同様に適用することができる。そして、一般的なリチウム二次電池に適用される場合、前記において特に限定しない場合には、公知の技術に基づいて本発明を適用することができる。
【0087】
以下、本発明の理解を助けるために好ましい実施例を提示するが、下記実施例は本発明を例示するに過ぎず、本発明の範疇及び技術思想の範囲内で様々な変更及び修正が可能であることは通常の技術者にとって明らかであり、このような変形及び修正が添付された特許請求の範囲に属するのも当然である。
【0088】
製造例1:LiOH含浸硫黄-炭素複合体活物質の製造
LiOH 4mgを50gの水に溶かしてLiOH水溶液を製造した後、9.996gのカーボンナノチューブ(CNT)にインシピエントウェットネス含浸(incipient wetness impregnation)法により含浸させた。含浸されたCNTを真空乾燥して水を除去し、LiOHが含浸されたCNTを製造した。
【0089】
前記LiOH含浸CNT 9g(LiOH 3.6mgを含む)を硫黄(S)21gと混合して、オーブンに入れ、155℃で30分間加熱してLiOH含浸硫黄-炭素複合体を製造した。
【0090】
製造例2:LiOH含浸硫黄-炭素複合体活物質の製造
LiOH 10mgを水50gの水に溶かしてLiOH水溶液を製造した後、9.990gのカーボンナノチューブ(CNT)にインシピエントウェットネス含浸(incipient wetness impregnation)法により含浸させた。含浸されたCNTを真空乾燥して水を除去し、LiOHが含浸されたCNTを製造した。
【0091】
前記LiOH含浸CNT 9g(LiOH 9mgを含む)を硫黄(S)21gと混合して、オーブンに入れ、155℃で30分間加熱してLiOH含浸硫黄-炭素複合体を製造した。
【0092】
製造例3:LiOH含浸硫黄-炭素複合体活物質の製造
LiOH 20mgを水50gの水に溶かしてLiOH水溶液を製造した後、9.980gのカーボンナノチューブ(CNT)にインシピエントウェットネス含浸(incipient wetness impregnation)法により含浸させた。含浸されたCNTを真空乾燥して水を除去し、LiOHが含浸されたCNTを製造した。
【0093】
前記LiOH含浸CNT 9g(LiOH 18mgを含む)を硫黄(S)21gと混合して、オーブンに入れ、155℃で30分間加熱してLiOH含浸硫黄-炭素複合体を製造した。
【0094】
製造例4:LiOH含浸硫黄-炭素複合体活物質の製造
LiOH 50mgを水50gの水に溶かしてLiOH水溶液を製造した後、9.950gのカーボンナノチューブ(CNT)にインシピエントウェットネス含浸(incipient wetness impregnation)法により含浸させた。含浸されたCNTを真空乾燥して水を除去し、LiOHが含浸されたCNTを製造した。
【0095】
前記LiOH含浸CNT 9g(LiOH 45mgを含む)を硫黄(S)21gと混合して、オーブンに入れ、155℃で30分間加熱してLiOH含浸硫黄-炭素複合体を製造した。
【0096】
製造例5:LiOH含浸硫黄-炭素複合体活物質の製造
LiOH 0.5gを水50gの水に溶かしてLiOH水溶液を製造した後、9.500gのカーボンナノチューブ(CNT)にインシピエントウェットネス含浸(incipient wetness impregnation)法により含浸させた。含浸されたCNTを真空乾燥して水を除去し、LiOHが含浸されたCNTを製造した。
【0097】
前記LiOH含浸CNT 9g(LiOH 450mgを含む)を硫黄(S)21gと混合して、オーブンに入れ、155℃で30分間加熱してLiOH含浸硫黄-炭素複合体を製造した。
【0098】
製造例6:LiOH含浸人造黒鉛活物質の製造
LiOH 50mgを50gの水に溶かしてLiOH水溶液を製造した後、9.950gの人造黒鉛にインシピエントウェットネス含浸(incipient wetness impregnation)法により含浸させた。含浸されたCNTを真空乾燥して水を除去し、LiOHが含浸された人造黒鉛を製造した。
【0099】
比較製造例1:硫黄-炭素複合体活物質の製造
9gのカーボンナノチューブ(CNT)を硫黄(S)21gと混合して、オーブンに入れ、155℃で30分間加熱して硫硫黄-炭素複合体を製造した。
【0100】
実施例1~5:LiOHを含むリチウム-硫黄電池用正極の製造
前記製造例1~5で製造されたLiOH含浸硫黄-炭素複合体88重量%、導電材5重量%、及びバインダー7重量%を蒸留水と混合して活物質層形成用組成物を製造した。前記組成物をアルミニウム集電体上に6mg/cm2の量でコーティングして、通常の正極を製造した。
【0101】
実施例6:LiOHを含むリチウム二次電池用負極の製造
前記製造例6で製造されたLiOH含浸人造黒鉛88重量%、導電材5重量%、及びバインダー7重量%を蒸留水と混合して活物質層形成用組成物を製造した。前記組成物をアルミニウム集電体上に6mg/cm2の量でコーティングして、通常の正極を製造した。
【0102】
比較例1:LiOHを含まないリチウム-硫黄電池用正極の製造
前記比較製造例1で製造されたLiOH含浸硫黄-炭素複合体88重量%、導電材5重量%、及びバインダー7重量%を蒸留水と混合して活物質層形成用組成物を製造した。前記組成物をアルミニウム集電体上に6mg/cm2の量でコーティングして、通常の正極を製造した。
【0103】
実施例7~11:リチウム-硫黄電池の製造
前記実施例1~5のLiOHを含むリチウム-硫黄電池用正極をコインセルの大きさに合わせて打抜きし、これを正極とする5つのコインセル電池を製造した。
【0104】
アルゴン雰囲気のグローブボックスでステンレススチールの下板に正極、分離膜(polyethylene)、リチウム負極、ガスケット、ステンレススチールコイン、スプリング、ステンレススチールの上板を順次載せ、圧力をかけてコインセルを組み立てた。
【0105】
電解液は1M LiFSI 1wt%のLiNO3が溶解されたDOL(1,3-dioxolane)、DEGDME(diethylene glycol dimethyl ether)混合液を打抜きされた正極上に注液して用いた。
【0106】
【0107】
比較例2:リチウム-硫黄電池の製造
前記実施例7において、実施例1のLiOHを含むリチウム-硫黄電池用正極を用いた代わりに、比較例1のリチウム-硫黄電池用正極を用いたことを除いては、実施例7と同様の方法によりリチウム-硫黄電池を製造した。
【0108】
実施例12:リチウム二次電池の製造
実施例6のLiOHを含むリチウム二次電池用負極(人造黒鉛を使用)をコインセルの大きさに合わせて打抜きし、これを負極とするコインセル電池を製造した。
【0109】
アルゴン雰囲気のグローブボックスでステンレススチールの下板にLiCoO2正極、分離膜(polyethylene)、前記負極、ガスケット、ステンレススチールコイン、スプリング、ステンレススチールの上板を順次載せ、圧力をかけてコインセルを組み立てた。
【0110】
電解液は、LiPF6をEC:EMC(1:2の体積比)に溶解させた1.0M電解液を打抜きされた正極上に注液して用いた。
【0111】
実験例1:LiOH含浸CNTの特性分析
製造例1~5でLiOHを含浸させた後、乾燥したCNTとLiOH未含浸CNTの分解温度を熱重量分析器(METTLER-TOLEDO社TGA/DSC 2)を用いて確認した。
【0112】
前記実験結果は
図1及び2に示した。
図1及び2において確認されるように、LiOHの含有量が増加することによってLiOH含浸CNTの分解温度が低くなることが確認された。また、LiOHが含浸されたCNTのSを再度含浸した後、TGAでS含有量を分析し、Sの含有量が製造された試料ですべて同一に70重量%で存在することを確認した。
【0113】
実験例2:電池の性能評価
前記実施例9~実施例10及び比較例2で製造された電池の性能を評価した。初期放電-充電-放電-充電-放電の2.5サイクルの間に0.1Cの速度で進行し、その後、充電-放電0.2C、3サイクル進行した後、充電は0.3C放電は0.5Cの速度で進行し、120サイクルまで電池性能を評価した。
【0114】
【0115】
図3に示すように、LiOHを含むリチウム二次電池用負極を用いた実施例9及び10のリチウム二次電池は、比較例2のLiOH非包含リチウム二次電池用負極を用いた場合と比較して大幅に向上したサイクル寿命を示した。