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▶ ジョイント・ストック・カンパニー エクスペリメンタル アンド デザイン オーガナイゼーション 「ギドロプレス」 アワーデッド ジ オーダー オブ ザ レッド バナー オブ レイバー アンド シーゼットエスアール オーダー オブ レイバーの特許一覧

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  • 特許-原子炉用燃料集合体 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-12
(45)【発行日】2022-05-20
(54)【発明の名称】原子炉用燃料集合体
(51)【国際特許分類】
   G21C 3/33 20060101AFI20220513BHJP
   G21C 3/30 20060101ALI20220513BHJP
【FI】
G21C3/33
G21C3/30 100
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2020565917
(86)(22)【出願日】2018-12-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-11-18
(86)【国際出願番号】 RU2018000912
(87)【国際公開番号】W WO2020040657
(87)【国際公開日】2020-02-27
【審査請求日】2021-01-07
(31)【優先権主張番号】2018130533
(32)【優先日】2018-08-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】RU
(73)【特許権者】
【識別番号】517206856
【氏名又は名称】ジョイント・ストック・カンパニー エクスペリメンタル アンド デザイン オーガナイゼーション 「ギドロプレス」 アワーデッド ジ オーダー オブ ザ レッド バナー オブ レイバー アンド シーゼットエスアール オーダー オブ レイバー
(74)【代理人】
【識別番号】110001900
【氏名又は名称】特許業務法人 ナカジマ知的財産綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヴャリツィン ビクトール ヴァシリエヴィチ
(72)【発明者】
【氏名】クシュマノフ セルゲイ アレクサンドロヴィチ
(72)【発明者】
【氏名】プザノフ ドミトリー ニコラエヴィチ
(72)【発明者】
【氏名】ヴャリツィン ドミトリー ヴィクトロヴィチ
【審査官】右▲高▼ 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】RU2212065(RU,C2)
【文献】RU2079171(RU,C1)
【文献】RU2325715(RU,C2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21C 3/33
G21C 3/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガイドチャンネル(2)及び支持グリッド(3)から形成されるフレームに設置された燃料棒束(1)と、下部ノズル(4)と、取り外し可能なヘッド(5)とを備える原子炉用燃料集合体であって、
前記取り外し可能なヘッド(5)は、上部バレル(6)と支持部材(7)と複数のスプリング(8)とコレット部材(17)とを含み、
前記上部バレル(6)は、前記スプリング(8)と接触する固定ベースプレート(10)を有するパイプ(9)の形で形成され、
前記コレット部材(17)は、下部パイプ(18)と前記固定ベースプレート(10)に固定された上部パイプ(19)とを同軸上に配してなると共に、前記上部パイプ(19)の内面及び前記下部パイプ(18)の外面に互いに接触する支持プラットフォーム(20)が配されており、
前記支持部材(7)は、前記パイプ(9)に対し、必要な取り付け隙間(12)を有して同軸上に配され、かつ、下部及び上部にそれぞれ前記スプリング(8)と接触するボス(13)及び上部バレル(6)のパイプ(9)と接触するストップ部材(14)とを有するパイプ(11)の形で形成され、
前記固定ベースプレート(10)には、前記支持部材(7)のボス(13)に対向する部分に当該ボス(13)の形状に合う切欠き(15)が設けられており、
前記上部バレル(6)の固定ベースプレート(10)の切欠き(15)と前記ボス(13)との隙間の大きさが前記支持部材(7)のパイプ(11)と前記上部バレル(6)のパイプ(9)との取り付け隙間(12)の大きさ以上になっている
ことを特徴とする原子炉用燃料集合体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本発明は原子力工学、特に加圧水型原子炉用の燃料集合体に関する。
【背景技術】
【0002】
ガイドチャンネル及び支持グリッドから形成されるフレーム内に設置された燃料棒束、下部ノズル、取り外し可能なヘッドを備える原子炉用燃料集合体(プロトタイプ、非特許
文献1のページ130~131図6.18と6.19)が知られている。
【0003】
取り外し可能なヘッドは、上部バレル及び下部バレル、ベースプレート、スプリング、コレットパイプを備える。コレットパイプの下端部はガイドチャンネルに取り付けられている一方、上端部はプレッシャープレート及び上部バレルプレートの穴を通り、その端部にスラストブッシュが付いている。そして、ヘッドの動作の際に、レギュレーター(regulator:制御装置)を上部バレル内に配置することができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】シメリョフV.D.、ドラグノフYu.G.等「原子力発電所用VVER型炉心」、モスクワ市、出版書籍販売センター・アカデムクニガ、2004年(Shmelev V.D., Dragunov Yu.G. et al. "WWER cores for nuclear power plants" - M .: ICC "Akademkniga", 2004)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記公知の燃料集合体の欠点は、レギュレーターの落下の際にベースプレートが、一端及び他端がそれぞれガイドチャンネル及び上部バレルプレートの穴に取り付けられた18本のコレットパイプに沿って動くことである。
【0006】
引っ掛かり(jamming)の防止にはコレットパイプをベースプレート及び上部バレルプ
レートに通すための穴の正確な位置決定が必要である。また、このような技術的解決策では、燃料集合体の外形寸法を変更せずに燃料の積込量を増加させることを目指して取り外し可能なヘッドの高さを減少させることが困難である。
【0007】
更に、公知の燃料集合体では、コレットによって取り外し可能なヘッドがガイドチャンネルに固定されるため、取り外し可能なヘッドが圧縮される際にコレットパイプが上部バレルプレートに対して上方に移動するという欠点も抱えている。
【0008】
このためコレットがレギュレーターの要素に接触しないように上部バレルの高さを選択しなければならないが、そうすると取り外し可能なヘッドの高さが増大するため、燃料集合体のウラン容量の減少につながるという欠点がある。
【0009】
本発明の目的は、外形寸法を維持しながら高いウラン容量を有する燃料集合体の構造開発である。本発明の課題は、燃料集合体の取り外し可能なヘッドの軸方向の寸法を減少させて、燃料柱の高さの延長を可能にすることである。
【0010】
そして、本発明の技術的結果は、圧縮機能を果たす取り外し可能なヘッドの設計の変更であり、これにより取り外し可能なヘッドの軸方向寸法を減少させつつ、レギュレーターの落下エネルギーを減衰させる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の目的は、原子炉用燃料集合体が、ガイドチャンネル(2)及び支持グリッド(3)から形成されるフレームに設置された燃料棒束(1)と、下部ノズル(4)と、取り外し可能なヘッド(5)とを備え、前記取り外し可能なヘッド(5)が、上部バレル(6)と支持部材(7)と複数のスプリング(8)とコレット部材(17)とを含むことにより達成される。
【0012】
革新的なことは、前記上部バレル(6)が、スプリング(8)と接触する固定ベースプレート(10)を有するパイプ(9)の形で形成され、支持部材(7)が、前記パイプ(9)に対し、必要な取り付け隙間(12)を有して同軸上に配され、かつ、下部及び上部にそれぞれスプリング(8)と接触するボス(13)及び上部バレル(6)のパイプ(9)と接触するストップ部材(14)とを有するパイプ(11)の形で形成され、前記コレット部材(17)は、下部パイプ(18)と、前記固定ベースプレート(10)に固定された上部パイプ(19)とを同軸上に配してなると共に、前記上部パイプ(19)の内面及び前記下部パイプ(18)の外面に互いに接触する支持プラットフォーム(20)が配され、前記上部バレル(6)の固定ベースプレート(10)には、前記支持部材(7)のボス(13)に対向する部分に前記支持部材(7)のボス(13)の形状に合う切欠き(15)が設けられており、固定ベースプレート(10)の切欠き(15)とボス(13)との隙間の大きさが前記支持部材(7)のパイプ(11)と前記上部バレル(6)のパイプ(9)との取り付け隙間(12)の大きさ以上になっていることである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】原子炉用燃料集合体の全体図である。
図2】原子炉燃料集合体の取り外し可能なヘッドの垂直断面図であり、レギュレーターが変形中のヘッドの位置を示している。
図3ボスを有する支持部材を示す図である。
図4上部バレルの固定ベースプレートを示す図である。
図5上部パイプ及び下部パイプを備えるコレット部材の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
原子炉用燃料集合体は、ガイドチャンネル(2)及び支持グリッド(3)から形成されるフレームに設置された燃料棒束(1)と、下部ノズル(4)と、取り外し可能なヘッド(5)とを備え、前記取り外し可能なヘッド(5)は、上部バレル(6)と支持部材(7)と複数のスプリング(8)とコレット部材(17)とを含む。前記コレット部材(17)は、下部パイプ(18)及び固定ベースプレート(10)に固定され下部パイプ(18)と同軸上に配された上部パイプ(19)を備え、当該上部パイプ(19)の内面及び下部パイプ(18)の外面に互いに接触する支持プラットフォーム(20)が配置される。
【0015】
前記取り外し可能なヘッド(5)の上部バレル(6)は、スプリング(8)と接触する固定ベースプレート(10)を有するパイプ(9)の形で形成され、支持部材(7)は、前記パイプ(9)に対し、必要な取り付け隙間(12)を有して同軸上に配され、かつ、下部及び上部にそれぞれスプリング(8)と接触するボス(13)及び上部バレル(6)のパイプ(9)と接触するストップ部材(14)とを有するパイプ(11)の形で形成される。
【0016】
前記上部バレル(6)の固定ベースプレート(10)には、前記支持部材(7)の各ボ
ス(13)に対向する部分に前記支持部材(7)のボス(13)の形状に合う切欠き((15)が設けられており、上部バレル(6)の固定ベースプレート(10)の切欠き(15)とボス(13)との隙間の大きさが前記支持部材(7)のパイプ(11)と前記上部バレル(6)のパイプ(9)との取り付け隙間(12)の大きさ以上になっている。
【0017】
原子炉用燃料集合体の動作の詳細は以下のとおりである。
コレット部材(17)は、スプリット型(分割型)であって、上部パイプ(19)、下部パイプ(18)、及び上部パイプ(19)の内面及び下部パイプ(18)の外面に接触して配置される支持プラットフォーム(support platform)(20)を備える。
コレット部材(17)の上部パイプ(19)は、上記ヘッドの上部バレル(6)の固定ベースプレート(10)に(例えば、溶接により)しっかりと固定される。
事前に初期圧縮されたスプリングが、コレット部材(17)に対して同軸上に設置され、コレット部材(17)の上部パイプ(19)及び下部パイプ(18)に応力を与える。
取り外し可能なヘッドに圧縮が加えられていないときには、上記応力によりコレット部
材(17)の上部パイプ(19)及び下部パイプ(18)が、内部の支持プラットフォーム(20)を介して軸方向に互いに押し付けられたようになる。
これらの支持プラットフォーム(20)、上部パイプ(19)、下部パイプ(18)の相対的位置および寸法は、上部パイプ(19)と固定ベースプレート(10)およびヘッドの上部バレル(6)とのしっかりとした固定を考慮した上で、上部バレル及び下部バレルのそれぞれのプレート間の最大距離が決まり、それによって、燃料集合体の無負荷時のヘッド(図示せず)の全体的な垂直寸法やヘッドのスプリングユニットの事前圧縮量が決定する。
【0018】
原子炉用燃料集合体の取り外し可能なヘッド(5)における複数のスプリング(8)の一部は、上端が上部バレル(6)に固定された固定ベースプレート(10)(以下、単にプレート(10)ともいう。)に当接するが、その他のスプリング(8)は、その上端が支持部材(7)のボス(13)に当接する。
【0019】
原子炉内に設置された取り外し可能なヘッド(5)付きの燃料集合体は、原子炉内部の装置によって圧縮される。
燃料集合体の取り外しヘッド(5)が圧縮されると、当該ヘッドの上部バレル(6)は、プレート(10)及び当該プレートに結合する上部パイプ(19)と共に、下部パイプ(18)に沿って下降し、上部パイプ(19)のストップ部材(:支持プラットフォーム)(20)と下部コレットパイプ(18)のストップ部材(20)との間に隙間ができる。
スプリングは、上端がプレート(10)に、下端が特殊ブッシュを介してコレット部材(17)の下部パイプ(18)の下部突出部にそれぞれ当接する。
各ガイドチャンネル(図示せず)は、対応するコレット部材(17)の下部パイプ(18)内部に入り込んでストップ部材(20)に当接し、これにより燃料集合体への圧縮力がガイドチャンネルに伝達される。
燃料集合体のヘッドが押圧されると、プレート(10)と、下部パイプ(18)を支持するガイドチャンネル上端部との距離が縮小し、これによって、スプリングユニットのスプリングの(事前圧縮を超える)追加圧縮が生じ、個々のガイドチャンネルを押圧する力が増大する。
料集合体の取り外し可能なヘッド(5)が圧縮される際、支持部材(7)は、上部バレル(6)のプレート(10)と共に下降しながら燃料集合体のスプリングユニットの全てのスプリング(8)を圧縮させる。スプリング(8)が生む応力は全ての運転モードにおける燃料集合体の非浮上を保証する。
【0020】
緊急保護装置が作動した場合、レギュレーターの構造要素は上部バレル(6)のプレート(10)に接触する。レギュレーターの落下のエネルギーは上部バレル(6)のプレート(10)に直接接触するスプリングに吸収される。
上部バレル(6)及びコレット部材(17)の上部パイプ(19)が移動すると、スプリングが圧縮され、燃料集合体の圧縮の場合と同様にして、下部パイプ(18)とガイドチャンネルを介して、追加の負荷を与える。
また、緊急保護装置が作動した場合、レギュレーターの構造要素(プレート(16))は上部バレル(6)のプレート(10)と相互作用して同プレート(10)を下方に押し付ける。
【0021】
レギュレーターの構成要素の落下のエネルギーは上部バレル(6)のプレート(10)に直接に当接するスプリング(8)により吸収される。
【0022】
一方、支持部材(7)のボス(13)に当接するスプリング(8)は、上部バレル(6)のプレート(10)に設けられた、ボス(13)が収まる切欠き(15)の存在により静止したままである。
【0023】
したがって、緊急保護装置が作動した場合、原子炉保護管ユニットのプレート内における原子炉用燃料集合体の固定が保証される。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明は、加圧水型原子炉の運転への用途が好適である。
図1
図2
図3
図4
図5