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特許7072688溝付きの操縦可能なチューブを備えるフレキシブルな器具
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-12
(45)【発行日】2022-05-20
(54)【発明の名称】溝付きの操縦可能なチューブを備えるフレキシブルな器具
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/092 20060101AFI20220513BHJP
   A61M 25/095 20060101ALI20220513BHJP
   A61M 25/14 20060101ALI20220513BHJP
   A61M 25/00 20060101ALI20220513BHJP
   A61B 34/35 20160101ALN20220513BHJP
【FI】
A61M25/092
A61M25/095
A61M25/14 510
A61M25/00 504
A61B34/35
【請求項の数】 15
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021012087
(22)【出願日】2021-01-28
(62)【分割の表示】P 2016525871の分割
【原出願日】2014-10-24
(65)【公開番号】P2021072933
(43)【公開日】2021-05-13
【審査請求日】2021-02-16
(31)【優先権主張番号】61/895,761
(32)【優先日】2013-10-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510253996
【氏名又は名称】インテュイティブ サージカル オペレーションズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】コウシク,アヌープ,ビー
(72)【発明者】
【氏名】フェネチ,キャロライン,エム
(72)【発明者】
【氏名】ブルメンクランズ,スティーブン,ジェイ
【審査官】磯野 光司
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-192269(JP,A)
【文献】特表2005-537063(JP,A)
【文献】特開2012-213505(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0097128(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 25/00
A61M 25/14
A61B 1/005
A61B 17/00-17/94
A61B 34/35
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
近位部分と、遠位部分と、前記近位部分と前記遠位部分との間の移行部分と、内側シースと、外側シースと、チューブ壁及び該チューブ壁にある複数の溝をみ、前記遠位部分内に延びる、操縦可能なチューブとを含む、細長いフレキシブルな本体と、
前記内側シース内に位置付けられ、前記内側シースを通じて延び且つ前記内側シース内で終端する、複数の導管であって、各導管は、導管管腔と、遠位端とを含み、前記遠位端は、前記移行部分で終端する、複数の導管と、
複数の腱と、を含み、該複数の腱の腱は、前記複数の導管のうちの対応する導管管腔を通じて、記近位部分から、前記複数の導管を越えて、前記遠位部分に延び、前記複数の腱は、前記操縦可能なチューブを曲げるように作動可能であり、
前記近位部分において、前記複数の腱の各腱は、前記複数の導管のうちの前記対応する導管管腔を通じて延び、前記遠位部分において、前記複数の腱の各腱は、前記複数の溝のうちの対応する溝内に延びる
最小侵襲的な医療器具。
【請求項2】
前記近位部分の外径は、前記遠位部分の外よりも大きい、請求項1に記載の最小侵襲的な医療器具。
【請求項3】
前記細長いフレキシブルな本体の前記内側シースと前記外側シースとの間に位置付けられる支持コンポーネントを更に含む、請求項1に記載の最小侵襲的な医療器具。
【請求項4】
前記支持コンポーネントは、管状の編み要素を含む、請求項3に記載の最小侵襲的な医療器具。
【請求項5】
前記複数の導管のうちの少なくとも1つの導管は、前記導管管腔内にセンサ要素を収容する、請求項1に記載の最小侵襲的な医療器具。
【請求項6】
前記複数の導管のうちの各導管は、コイルパイプを含む、請求項1に記載の最小侵襲的な医療器具。
【請求項7】
前記複数の腱のうちの少なくとも1つの腱は、前記遠位部分を曲げるようにアクチュエータによって作動可能である、請求項1に記載の最小侵襲的な医療器具。
【請求項8】
各腱は、その近位端で、アクチュエータに対して固定され、その遠位端で、前記遠位部分に固定される、請求項1に記載の最小侵襲的な医療器具。
【請求項9】
前記複数の腱は、前記細長いフレキシブルな本体の長手軸に対して実質的に平行に方向付けられる、請求項1に記載の最小侵襲的な医療器具。
【請求項10】
前記複数の溝のうちの少なくとも1つの溝は、前記細長いフレキシブルな本体の長手軸に対して湾曲したパターンにおいて方向付けられる、請求項1に記載の最小侵襲的な医療器具。
【請求項11】
前記操縦可能なチューブは、前記細長いフレキシブルな本体の前記遠位部分に連結される、請求項1に記載の最小侵襲的な医療器具。
【請求項12】
前記操縦可能なチューブは、前記操縦可能なチューブの前記チューブ壁に複数の切欠き構成を含む、請求項1に記載の最小侵襲的な医療器具。
【請求項13】
前記操縦可能なチューブの前記チューブ壁にある前記複数の切欠き構成は、前記操縦可能なチューブの長手軸に対して実質的に垂直に方向付けられる、請求項12に記載の最小侵襲的な医療器具。
【請求項14】
アクチュエータと、
請求項1に記載の最小侵襲的な医療器具とを含み、
前記内側シースは、内表面と外表面とを有するフレキシブルな内側シースであり、前記複数の導管は、前記内表面と前記外表面との間で前記フレキシブルな内側シース内に位置付けられ、
前記複数の腱のうちの少なくとも1つの腱は、前記アクチュエータに対する近位端で固定され、
前記少なくとも1つの腱は、前記操縦可能なチューブを曲げるよう前記アクチュエータによって作動可能である、
最小侵襲的な医療システム。
【請求項15】
前記近位部分の外径が前記遠位部分の外径よりも大きい、請求項14に記載の最小侵襲的な医療システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、最小侵襲的な処置を行うために患者の解剖学的構造をナビゲート(navigate)(操縦)するシステム及び方法に向けられており、より具体的には、低プロファイルのフレキシブルなインターベンション器具(介入器具)を患者の解剖学的構造内に操縦(steer)する装置及び方法に向けられている。
【背景技術】
【0002】
最小侵襲的な医療技法は、インターベンション処置中に損傷される組織の量を減少させ、それにより、患者の回復時間、不快感、及び有害な副作用を減少させることを意図する。そのような最小侵襲的な技法は、患者の解剖学的構造にある自然オリフィスを通じて或いは1つ又はそれよりも多くの外科的な切開部を通じて行われることがある。これらの自然オリフィス又は切開部を通じて、臨床医は標的組織場所に達するよう、(外科器具、診断器具、治療器具、又は生検器具を含む)インターベンション器具を挿入することがある。標的組織場所に達するために、最小侵襲的なインターベンション器具は、肺、結腸、腸、腎臓、心臓、循環系、又は類似の器官のような、解剖学的構造内の、自然の又は外科的に創り出される通路を進んでよい。幾つかの最小侵襲的な医療器具は、遠隔操作されてよく或いはその他の方法においてコンピュータ支援されてよい。患者の解剖学的構造を通じてナビゲートするために、遠隔ロボットインターベンション器具が用いられてよく、そのような器具は、それらの解剖学的管腔内に物理的に適合するのに十分な程に小さい必要がある。遠隔操作又は遠隔ロボット操作に適した機械的構造を含むような大きさにされ且つそのような小さな通路をナビゲートするのに十分な程に小さい外径を有するフレキシブルな遠隔ロボット器具は、挑戦的であり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
解剖学的な通路又は外科的に創り出される通路内への挿入のために構成される遠隔ロボット外科器具のために、改良された装置及びシステムが必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の実施態様は、本明細書に続く特許請求の範囲によって要約される。
【0005】
1つの例示的な特徴において、本開示は、細長いフレキシブルな本体と、複数の導管と、複数の腱と、操縦可能なチューブとを含む、最小侵襲的な外科器具又は診断器具に向けられている。1つの特徴において、細長いフレキシブルな本体は、近位部分と、遠位部分とを含む。1つの特徴において、各導管は、管腔を含み、細長いフレキシブルな本体の近位部分を通じて延びる。1つの特徴において、複数の腱は、細長いフレキシブルな本体の近位部分から遠位部分まで延び、各腱は、操縦可能なチューブを曲げるよう作動可能である。1つの特徴において、操縦可能なチューブは、細長いフレキシブルな本体の遠位部分内に延び、内表面と、外表面と、内表面と外表面との間に延びる厚さを有する壁とを含む。1つの特徴において、操縦可能なチューブは、腱を受け入れるように構成される複数の流路を含む。
【0006】
他の例示的な特徴において、本開示は、アクチュエータと、細長いフレキシブルな本体と、操縦可能なチューブと、複数の導管と、複数の作動腱とを含む、最小侵襲的な外科システム又は診断システムに向けられている。1つの特徴において、細長いフレキシブルな本体は、近位部分と、遠位部分と、中央管腔を定め且つ近位部分を通じて延びるフレキシブルなシースとを含む。1つの特徴において、操縦可能なチューブは、細長いフレキシブルな本体の遠位部分に連結され、内表面と、外表面と、内表面と外表面との間に延びる厚さを有する壁とを含む。1つの特徴において、操縦可能なチューブは、導管を受け入れるように構成される複数の流路を含む。1つの特徴において、複数の導管は、フレキシブルなシース内に埋め込まれ、各導管は、管腔を含み、フレキシブルな内側シースを通じて延びる。1つの特徴において、複数の導管のうちの少なくとも1つの導管は、近位部分から操縦可能なチューブを通じて遠位部分内に延びる。1つの特徴において、各作動腱は、アクチュエータに対して近位端で固定され、複数の導管のうちの1つの導管の管腔を通じて操縦可能なチューブの壁内に延びる。1つの特徴において、複数の作動腱は、操縦可能なチューブを曲げるよう作動可能である。
【0007】
前述の一般的な記述及び後続の詳細な記述の両方は本質的に例示的であり且つ説明的であり、本開示の範囲を限定せずに本開示の理解をもたらすことを意図する。その点において、本開示の追加的な特徴、構成、及び利点は、以下の詳細な記述から当業者に明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本開示の特徴は、添付の図面と共に判読されるときに以下の詳細な記載から最良に理解される。業界における標準的な慣行に従って、様々な構成は原寸通りに描写されていない。実際には、議論の明瞭性のために、様々な構成の寸法は無作為に増大させられ或いは減少させられることがある。加えて、本開示は、様々な実施態様において参照番号及び/又は参照文字を反復することがある。この反復は簡潔性及び明瞭性の目的のためであり、それ自体が様々な実施態様及び/又は構成の間の関係を決定するものではない。
図1】本開示の実施態様に従った遠隔ロボットインターベンションシステムを示す図である。
図2】本開示の実施態様に従ったインターベンション器具システムを示す図である。
図3】カテーテルシステムの操縦可能な部分を示す図であり、本開示の実施態様に従ったシステムの接合を可能にする様々な要素の相対的な位置を示している。
図4】本開示の実施態様に従った図2に示す器具システムの例示的な近位部分を示す断面図である。
図5】本開示の実施態様に従った図2に示す器具システムの例示的な遠位部分を示す断面図である。
図6a】本開示の実施態様に従った例示的な操縦可能なチューブを示す斜視図である。
図6b図6aに示す例示的な操縦可能なチューブの部分を詳細に示す斜視図である。
図7図2に描写する器具システムの例示的な遠位部分を示す断面図である。
図8】本開示の1つの実施態様に従った例示的な操縦可能なチューブを示す斜視図である。
図9図2に描写する器具システムの例示的な遠位部分を示す断面図である。
図10】管状の構造内の回転をナビゲートする非例示的な器具システムの例示的な放射線画像を示す図である。
図11】管状の構造内の回転をナビゲートする例示的な器具システムの例示的な放射線画像を示す図であり、例示的な器具システムは、本開示の原理に従った埋設される導管と操縦可能なチューブとを含む。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示の原理の理解を促進する目的のために、図面に例示する実施態様を今や参照し、特定の言語を用いて図面に例示する実施態様を記載する。それにも拘わらず、本開示の範囲の限定は意図されていないことが理解されよう。本発明の特徴の以下の詳細な記述では、開示の実施態様の網羅的な理解をもたらすために、数多くの特定の詳細を説明する。しかしながら、この開示の実施態様がこれらの特定の詳細がなくても実施され得ることは当業者に明らかであろう。他の場合には、本発明の実施態様の特徴を不必要に曖昧にしないように、周知の方法、手順、構成部品、及び回路を詳細に記載していない。
【0010】
記載する装置、器具、方法、本開示の原理のあらゆる更なる適用に対する、あらゆる変更及び更なる修正は、開示が関係する当業者に普通に起こるように、十分に想起される。具体的には、1つの実施態様に関して記載する構成、構成部品、及び/又はステップは、本開示の他の実施態様に関して記載する構成、構成部品、及び/又はステップと組み合わせられてよい。加えて、ここで提供される寸法は、特定の実施態様についてであり、異なる大きさ、寸法、及び/又は比率が、本開示の着想を実施するために利用されてよいことが想起される。不要な記述的な反復を避けるために、1つの例示的な実施態様に従って記載する1つ又はそれよりも多くの構成部品又は行為を、他の例示的な実施態様から適用可能なように用い得るし、或いは省略し得る。簡潔性のために、これらの組み合わせの数多くの反復は、別個に記載されない。単純性のために、ある場合には、同じ又は同等の部品に言及するために、図面を通じて同じ参照番号が用いられる。
【0011】
以下の実施態様は、様々な器具及び器具の部分を、三次元空間におけるそれらの状態に関して記載する。ここで用いるとき、「位置」という用語は、三次元空間内の物体又は物体の場所(例えば、デカルトX,Y,Z座標に沿う3つの並進自由度)を指す。ここで用いるとき、「向き」(配向)という用語は、物体又は物体の回転配置(3つの回転自由度、例えば、ロール、ピッチ、及びヨー)を指す。ここで用いるとき、「姿勢」という用語は、少なくとも1つの並進自由度における物体又は物体の部分の位置及び少なくとも1つの回転自由度における物体又は物体の部分の向き(最大で全部で6つの自由度)を指す。ここで用いるとき、「形状」という用語は、細長い物体に沿って測定される姿勢、位置、又は向きのセット(組)を指す。
【0012】
「近位」及び「遠位」という用語は、臨床医から手術部位又は診断部位に延びる器具の端を操作する臨床医を基準にして用いられることが理解されるであろう。「近位」という用語は、臨床医により近い器具の部分を指し、「遠位」という用語は、臨床医から離れ且つ手術部位又は診断部位により近い器具の部分を指す。簡潔性及び明瞭性のために、「水平」、「垂直」、「上」、及び「下」のような空間的な用語が、ここにおいて図面に関して用いられることがある。しかしながら、外科器具及び診断器具は多くの向き及び位置において用いられ、それらの用語は限定的及び絶対的であることを意図しない。
【0013】
本開示は、一般的には、関節式に接合する装置(関節装置)の操作において用いられる操縦可能なチューブに関する。幾つかの例において、本開示の実施態様は、遠隔操作ロボットシステムの一部であるように構成される。当業者は、ここにおいて開示する操縦可能なチューブが操縦可能な遠位先端を必要とする類似の(例えば、非遠隔ロボット)用途において利用されてもよいことを認識するであろう。
【0014】
ここに開示する操縦可能なチューブは、フレキシブルな材料で形成され、制御ケーブル又は腱(テンドン)を支持するように構成される。ここに開示する操縦可能なチューブの壁は、制御ケーブル/腱を支持するように形作られ且つ構成される溝(groove)又は流路(channel)を含む。制御ケーブル/腱がこれらの溝又は流路内に位置するのを可能にすることによって、ここに開示する操縦可能なチューブは、関節式に接合する装置の操縦可能な部分の外径を望ましくなく増大させることなく、或いは関節式に接合する装置の内腔直径を望ましくなく減少させることなく、操縦可能なチューブの厚さの増大を可能にする。幾つかの実施態様において、溝又は通路は、操縦可能なチューブの接合カットアウト構成(articulation cut-out features)に対して知的に位置合わせ(整列)されて、操縦可能なチューブの機械的性能を最大化させる。よって、ここに開示する操縦可能なチューブは、関節式に接合する装置の操縦可能な部分の耐久性及び性能を向上させることがあり、そのような操縦可能なチューブを利用する関節式に接合する装置のための適切な用途の範囲を増大させることがある。
【0015】
様々な実施態様によれば、生検処置のような医療処置は、器具供給を案内するよう遠隔システムを用いて遂行されてよい。図面の図1を参照すると、例えば、診断処置、治療処置、又は手術処置を含む、医療処置における使用のための遠隔操作医療システムが、参照番号100によって概ね示されている。記載するように、この開示の遠隔操作医療システムは、外科医の遠隔操作制御の下にある。代替的な実施態様において、遠隔操作医療システムは、処置又はサブ処置を遂行するようプログラムされるコンピュータの部分的な制御の下にあってよい。更に他の代替的な実施態様では、処置又はサブ処置を遂行するために、処置又はサブ処置を遂行するようプログラムされたコンピュータの完全な制御の下で、完全に自動化された医療システムが用いられてよい。図1に示すように、遠隔操作医療システム100は、一般的には、患者を位置付ける手術台Oに又はその付近に取り付けられる、遠隔操作アセンブリ102を含む。医療器具システム104は、遠隔操作アセンブリ102に動作可能に連結される。操作者入力システム106は、外科医又は他の種類の臨床医Sが、手術部位の又は手術部位を表す画像を見て、医療器具システム104の動作を制御するのを可能にする。
【0016】
操作者入力システム106は、外科医コンソールに配置されてよく、外科医コンソールは、手術台Oと同じ部屋に配置されるのが普通である。しかしながら、外科医Sを患者Pと異なる部屋又は完全に異なる建物に配置し得ることが理解されるべきである。操作者入力システム106は、一般的には、医療器具システム104を制御するための1つ又はそれよりも多くの制御装置を含む。制御装置は、握り(hand grip)、ジョイスティック、トラックボール、データグローブ、トリガガン、手動コントローラ、音声認識装置、タッチスクリーン、身体動作センサ又は存在センサ、及び類似物のような、任意の数の様々な入力装置のうちの1つ又はそれよりも多くを含んでよい。幾つかの実施態様では、外科医が恰も手術部位に存在しているかのように器具を直接的に制御している強い感覚を有するよう、テレプレゼンス、即ち、制御装置が器具と一体であるという知覚をもたらすために、制御装置は遠隔操作アセンブリの医療器具と同じ自由度を備えよい。他の実施態様において、制御装置は関連する医療器具よりも多い又は少ない自由度を有してよく、外科医に依然としてテレプレゼンスをもたらす。幾つかの実施態様において、制御装置は、6つの自由度で動く手動入力装置であり、手動入力装置は、器具を作動させるための(例えば、把持ジョーを閉塞するための、電極に電位を印可するための、医療処置を提供するための、及び類似の目的のための)、作動可能なハンドルを含んでもよい。
【0017】
遠隔操作アセンブリ102は、医療器具システム104を支持し、1つ又はそれよりも多くの非サーボ制御リンク(例えば、概してセットアップ構造と呼ぶ、手動で位置付けられてよく、所定の場所にロックされてよい、1つ又はそれよりも多くのリンク)の運動学的構造と、遠隔操作マニピュレータとを含んでよい。遠隔操作アセンブリ102は、医療器具システム104上の入力を駆動させる)複数のモータを含む。これらのモータは、制御システム(例えば、制御システム112)からの命令に応答して動く。モータは、医療器具システム104に連結されるときに、医療器具を自然の又は外科的に創り出される解剖学的オリフィス内に前進させてよい、駆動システムを含む。他の電動駆動システムは、多数の自由度において医療器具の遠位端を動かしてよい。3つの程度の線形動作(例えば、X,Y,Zデカルト軸に沿う線形動作)及び3つの程度の回転動作(例えば、X,Y,Zデカルト軸についての回転)を含んでよい。追加的に、モータを用いて、生検装置又は類似の装置のジョー内に組織を掴むための器具の関節式に接合可能なエンドエフェクタを作動させてよい。
【0018】
遠隔操作医療システム100は、遠隔操作アセンブリの器具についての情報を受け取る1つ又はそれよりも多くのサブシステムを備える、センサシステム108を含む。そのようなサブシステムは、位置センサシステム(例えば、電磁(EM)センサシステム)、カテーテル先端の及び/又は器具システム104のフレキシブルな本体に沿う1つ又はそれよりも多くのセグメントの、位置、向き、速度(velocity)、速さ(speed)、姿勢、及び/又は形状を決定する、形状センサシステム、並びに/或いはカテーテルシステムの遠位端から画像をキャプチャ(捕捉)する視覚化システムを含んでよい。
【0019】
遠隔操作医療システム100は、センサシステム108のサブシステムによって生成される手術部位及び医療器具システムの画像(image)又は表現(representation)を表示するディスプレイシステム110も含む。ディスプレイ110及び操作者入力システム106は、操作者がテレプレゼンスの知覚を伴って医療器具システム104及び操作者入力システム106を制御し得るよう、向けられてよい。
【0020】
代替的に又は追加的に、ディスプレイシステム110は、コンピュータ断層撮影(CT)、磁気共鳴映像法(MRI)、蛍光透視法、サーモグラフィ、超音波、光コヒーレンストモグラフィ(OCT)、感熱映像法、インピーダンス映像法、レーザ映像法、ナノチューブX線映像法、及び類似の方法のような、画像化技術を用いて、術前に又は術中に記録され且つ/或いは画像化される手術部位の画像を提示してよい。提示される術前又は術中の画像は、二次元、三次元、又は(例えば、時間ベース又は速度ベースの情報を含む)四次元の画像と、画像を再現するための関連する画像データセットとを含んでよい。
【0021】
幾つかの実施態様において、ディスプレイシステム110は、医療器具の先端の場所での手術部位の仮想の画像を外科医に提示するよう、医療器具の実際の場所が従前又は術中の画像と合わせられる(registered)(例えば、動的に関係付けられる(referenced))、仮想の視覚化画像を表示してよい。
【0022】
他の実施態様において、ディスプレイシステム110は、手術部位での医療器具の仮想の画像を外科医に提示するよう、医療機器の実際の場所が(術前に記録された画像を含む)従前の画像又は同時の画像と合わせられる、仮想の視覚化画像を表示してよい。外科医が医療器具を制御するのを助けるよう、医療器具システム104の部分の画像が仮想の画像の上に重ね合わせられてよい。
【0023】
遠隔操作医療システム100は、制御システム112も含む。制御システム112は、少なくとも1つのメモリと、医療器具システム、操作者入力システム106、センサシステム108、及びディスプレイシステム110の間の制御をもたらすための、少なくとも1つのプロセッサ(図示せず)、典型的には、複数のプロセッサとを含む。制御システム112は、ここで開示する特徴に従って記載する方法の一部又は全部を実施するよう、プログラムされた命令(例えば、命令を格納するコンピュータ可読媒体)も含む。制御システム112は図1の単純化された図面において単一のブロックとして示されているが、システムは2つ又はそれよりも多くのデータ処理回路を含んでよく、処理の1つの部分は、遠隔操作アセンブリ102上で或いはそれに隣接して任意的に遂行され、処理の他の部分は、操作者入力システム106及び類似の場所で処理される。広範な集中型の又は分散型のデータ処理アーキテクチャのいずれかを利用してよい。同様に、プログラムされた命令は、多数の別個のプログラム又はサブルーチンとして実施されてよく、或いはそれらはここに記載する遠隔操作システムの多数の他の特徴に統合されてよい。1つの実施態様において、制御システム112は、Bluetooth(登録商標)、IrDA、HomeRF、IEEE802.11、DECT、及びWireless Telemetryのような、無線通信プロトコルをサポートする。
【0024】
幾つかの実施態様において、制御システム112は、医療器具システム104から力及び/又はトルクフィードバックを受け取る1つ又はそれよりも多くのサーボコントローラを含んでよい。フィードバックに応答して、サーボコントローラは、操作者入力システム106に信号を送信する。サーボコントローラは、遠隔操作アセンブリ102に命令して医療器具システム104を移動させる信号も送信し、医療器具システム104は、身体にある開口を介して患者の身体内の内部手術部位内に延びる。如何なる適切な従来的な又は特殊のサーボコントローラを用いてもよい。サーボコントローラは、遠隔操作アセンブリ102と別個であってよく、或いは遠隔操作アセンブリ102と一体でよい。幾つかの実施態様において、サーボコントローラ及び遠隔操作アセンブリは、患者の身体に隣接して位置付けられる遠隔操作アームカートの部分として提供される。
【0025】
制御システム112は、医療器具システム104にナビゲーション支援をもたらす、仮想視覚化システムを更に含んでよい。仮想視覚化システムを用いる仮想ナビゲーションは、解剖学的通路の三次元構造と関連付けられる取得データセットの参照に基づく。より具体的には、仮想視覚化システムは、コンピュータ断層撮影(CT)、磁気共鳴映像法(MRI)、蛍光透視法、サーモグラフィ、超音波、光コヒーレンストモグラフィ(OCT)、感熱映像法、インピーダンス映像法、レーザ映像法、ナノチューブX線映像法、又は類似の方法のような、画像化技術を用いて画像化される、手術部位の画像を処理する。記録される画像を部分的な又は全体的な解剖学的器官又は解剖学的領域の二次元又は三次元の複合的表現に変換するために、ソフトウェアが用いられる。画像データセットは、複合的表現と関連付けられる。複合的表現及び画像データセットは、通路の様々な場所及び形状並びにそれらの接続性を描く。複合的表現を生成するために用いられる画像は、臨床処理中に術前又は術中に記録されてよい。代替的な実施態様において、仮想視覚化システムは、標準表現(即ち、患者特異でない表現)又は標準表現及び患者特異データの混成を用いてよい。コンピュータ表現及びコンピュータ表現によって生成されるあらゆる仮想画像は、動作の1つ又はそれよりも多くの段階の間の(例えば、肺の吸気/呼気周期の間の)変形可能な解剖学的領域の静止的な姿勢を提示してよい。
【0026】
仮想ナビゲーション処置中、センサシステム108を用いて、患者の解剖学的構造に対する器具の大凡の場所を計算してよい。その場所を用いて、患者の解剖学的構造のマクロレベルの追跡画像及び患者の解剖学的構造の仮想の内部画像の両方を生成してよい。光ファイバセンサを用いて医療器具(medical implement)を仮想視覚化システムからの外科画像のような術前に記録される外科画像と共に合わせ且つ表示する様々なシステムが知られている。例えば、ここに参照としてその全文を援用する、(「Medical System Providing Dynamic Registration of a Model of an Anatomical Structure for Image-Guided Surgery」を開示する)(2011年5月13日に出願された)米国特許出願第13/107,562号は、そのようなシステムを開示している。
【0027】
遠隔操作医療システム100は、照明システム、操縦制御システム、洗浄システム、及び/又は吸引システムのような、任意的な操作及びサポートシステム(図示せず)を更に含んでよい。代替的な実施態様において、遠隔操作システムは、1つよりも多くの遠隔操作アセンブリ及び/又は1つよりも多くの操作者入力システムを含んでよい。マニピュレータアセンブリの正確な数は、他の要因の中でも、外科処置及び手術室内の空間制約に依存する。操作者入力システムは並置されてよく、或いはそれらは別個の場所に位置付けられてよい。多数の操作者入力システムは、1人よりも多くの操作者がマニピュレータアセンブリを様々な組み合わせにおいて制御するのを可能にする。
【0028】
図2は、遠隔ロボットインターベンションシステム100(遠隔ロボット介入システム)のインターベンション器具システム104(介入器具システム)として用いられてよいインターベンション器具システム200を例示している。代替的に、インターベンション器具システム200が、非ロボット式の診査処置のために又は内視鏡のような従来的な手動操作インターベンション器具(介入器具)において用いられてよい。様々な実施態様において、インターベンション器具システム200は、肺の検査、診断、生検、又は治療における使用のための気管支鏡又は気管支カテーテルのような、フレキシブルな気管支器具を含んでよい。システムは、結腸、腸、腎臓、脳、心臓、循環系、又は類似の器官を含む、様々な解剖学的システムのいずれにおける、自然の又は外科的に作り出される接続される通路を介した、他の組織のナビゲーション及び治療にも適する。
【0029】
器具システム200は、器具本体204に連結されるカテーテルシステム202を含む。カテーテルシステム202は、近位端217と遠位端又は先端部分218とを有する細長いフレキシブルな本体216を含む。遠位部分221が、遠位端218と移行区画230との間に延在する。近位部分220が、移行区画230と近位端217との間に延在する。1つの実施態様において、フレキシブルな本体216は、約3mmの外径を有する。他のフレキシブルな本体の外径は、より大きくてよく、或いはより小さくてよい。幾つかの実施態様において、フレキシブルな本体の外径は、近位端217から遠位端218まで先細る。他の実施態様において、近位端217でのフレキシブルな本体の外径は、遠位端218でのフレキシブルな本体の外径よりも大きい。幾つかの実施態様において、フレキシブルな本体の外径は、近位部分220を通じて実質的に不変である。幾つかの実施態様において、フレキシブルな本体の外径は、遠位部分221を通じて実質的に不変である。他の実施態様において、フレキシブルな本体の外径は、近位部分220及び/又は遠位部分221を通じて先細くてよい。他の実施態様では、より大きな外径の近位部分からより小さな外径が遠位部分221までの移行区画230に、フレキシブルな本体216における突然の変化又は停止があり得る。
【0030】
カテーテルシステム202は、遠位端218にあるカテーテル先端の及び/又は本体216に沿う1つ又はそれよりも多くのセグメント224の、位置、向き、速度、姿勢、及び/又は形状を決定するために、形状センサ222を任意的に含んでよい。遠位端218と近位端217との間の本体216の全長は、セグメント224に効果的に分割してよい。器具システム200が遠隔ロボットインターベンションシステム100のインターベンション器具システム104であるならば、形状センサ222は、センサシステム108の構成部品であってよい。器具システム200が非ロボット式の処置のために手動で操作され或いはその他の方法において用いられるならば、形状センサ222は、形状センサ222に呼掛け(interrogate)且つ受け取る形状データを処理する追跡システムに連結されてよい。
【0031】
形状センサシステム222は、(例えば、内部導管(図示せず)内に設けられる或いは外部的に取り付けられる)フレキシブルなカテーテル本体216と位置合わせされる光ファイバを含んでよい。形状センサシステム222の光ファイバは、カテーテルシステム202の少なくとも一部の形状を決定するための、光ファイバ屈曲センサを形成してよい。光ファイバの形状及び相対的な位置を三次元において監視する様々なシステム及び方法が、「Fiber optic position and shape sensing device and method relating thereto」を開示する2005年7月13日に出願された米国特許出願第11/180,389号、「Fiber-optic shape and relative position sensing」を開示する2004年7月16日に出願された米国仮特許出願第60/588,336号、及び「Optical Fibre Bend Sensor」を開示する1998年6月17日に出願された米国特許第6,389,187号に記載されており、それらの全文を参照としてここに援用する。他の代替では、レイリー散乱、ラマン散乱、ブリユアン散乱、及び蛍光散乱のような、他のひずみ感知技法を利用する、センサが適することがある。他の代替的な実施態様において、カテーテルの形状は、他の技法を用いて決定されてよい。
【0032】
より具体的には、光ファイバを通過する光は、カテーテルシステム202の形状を検出するために、並びにその情報を利用して外科処置を支援するために、処理される。センサシステム(例えば、センサシステム108又は図3に描写されるような他の種類の追跡システム)は、カテーテルシステム202の形状を決定するために用いられる光を生成し且つ検出する呼掛けシステム(interrogation system)を含んでよい。次に、この情報を用いて、インターベンション器具の部品の速度及び加速度のような、他の関連する変数を決定し得る。
【0033】
フレキシブルなカテーテル本体216は、補助工具226を受け入れるような大きさ及び形状にされる管腔225を含む。補助工具は、例えば、イメージキャプチャプローブ、生検装置、レーザ焼灼ファイバ、又は他の外科的、診断的、若しくは治療的な工具を含んでよい。補助工具は、メス、ブレード(blade)、光ファイバ、又は電極のような、単一の作動部材を有する、エンドエフェクタを含んでよい。他のエンドエフェクタは、例えば、鉗子、グラスパ(grasper)、ハサミ、又はクリップアプライヤ(clip applier)のような、一対の又は複数の作動部材を含んでよい。電気的に作動させられるエンドエフェクタの実施例は、電極、トランスデューサ、センサ、及び類似物を含む。
【0034】
様々な実施態様において、補助工具226は、表示のために処理される(ビデオ画像を含む)画像をキャプチャするためにフレキシブルなカテーテル本体216の遠位端218付近に配置される立体視又は平面視カメラを備える先端部分を含む、イメージキャプチャプローブであってよい。イメージキャプチャプローブは、キャプチャした画像データを送信するためにカメラに連結されるケーブルを含んでよい。代替的に、イメージキャプ器具は、画像化システムに連結する、ファイバスコープのような光ファイババンドル(束)であってよい。イメージキャプチャ器具は、単スペクトル又は多スペクトルであってよく、例えば、可視スペクトルにおいて画像データをキャプチャし、或いは可視スペクトル及び赤外又は紫外スペクトルにおいて画像データをキャプチャする。
【0035】
カテーテルシステム202は、例えば、手術室内の他の機器からの磁気干渉の故に信頼できなくなるならば、或いは他のナビゲーションシステムがより信頼できるならば、操作者によって或いは自動化システム(例えば、制御システム112の機能)によって使用不能にされてよい、位置センサシステム231(例えば、電磁(EM)センサシステム)を任意的に含んでよい。位置センサシステム231は、外部的に生成される電磁場に晒されることがある1つ又はそれよりも多くの導電コイルを含むEMセンサシステムであってよい。その場合、EMセンサシステム231の各コイルは、外部的に生成される電磁場に対するコイルの位置及び向きに依存する特性を有する誘導電気信号を生成する。1つの実施態様において、EMセンサシステムは、6つの自由度(「6-DOF」)、例えば、3つの位置座標X,Y,Z、並びに、基点のピッチ、ヨー及びロールを示す3つの配向角、或いは、5つの自由度、例えば、3つの位置座標X,Y,Z、並びに、基点のピッチ及びヨーを示す2つの配向角、を測定するように構成され且つ位置付けられてよい。EMセンサシステムの更なる記述は、「Six-Degree of Freedom Tracking System Having a Passive Transponder on the Object Being Tracked」を開示する1999年8月11日に出願された米国特許第6,380,732号中に提供されており、その全文を参照としてここに援用する。
【0036】
フレキシブルなカテーテル本体216は、ケーブル、リンク装置、又は、例えば、遠位部分の点線バージョンによって示すように、遠位部分221を制御可能に曲げ又は回転させるよう、器具本体204と遠位端との間に延在する、他の操縦制御(図2には示していない)を収容してもよい。幾つかの実施態様において、フレキシブルな本体216は、インターベンション器具、ケーブル、リンク装置、及び/又は(非限定的な一例として、コイルパイプ及び腱のような)他の操縦制御装置が延びる、1つ又はそれよりも多くの追加的な管腔を定め得る。
【0037】
器具システム200が遠隔ロボットアセンブリによって作動させられる実施態様において、器具本体204は、遠隔ロボットアセンブリの電動駆動要素に連結する駆動入力部を含んでよい。器具システム200が手動で操作される実施態様において、器具本体204は、把持構成、手動アクチュエータ、及び器具システムの動作を手動で制御する他の構成部品を含んでよい。カテーテルシステムは操縦可能であってよく、或いは、代替的に、操縦不能であってよく、器具屈曲の操作者制御のための統合的な機構を備えない。幾つかの実施態様において、近位部分220は、フレキシブルな本体に作用する力に応答して受動的に反る(deflect)ように構成され、遠位部分221は、遠隔ロボットアセンブリ及び/又は器具本体204からの制御信号に応答して能動的に関節式に接合するように構成される。
【0038】
図3は、近位部分320と、遠位部分304と、それらの間に配置される移行区画306とを有する、カテーテルシステム300の一部を例示している。カテーテルシステム300は、図2に関連して上述したカテーテルシステム202と同じであってよい。近位部分302は、カテーテルシステム202の近位部分220の最遠位セグメント224と同じであってよく、遠位部分306は、カテーテルシステム202の遠位部分221の最近位セグメント224と同じであってよい。幾つかの実施態様において、移行区画306は、図2に示す近位部分220と遠位部分221との間に示す移行区画230と同じである。描写の実施態様において、遠位部分304は、最近位の操縦可能なセグメント307を含む。操縦可能なセグメント307は、近位端308と、遠位端309とを含む。
【0039】
管腔310(例えば、管腔225)が、カテーテルシステム300の近位部分302、移行区画306、及び遠位部分304を中心的に通じて延びる。カテーテルシステム300は、明瞭性のために図3の例示から省略する層状の壁構成部品(図4及び5を参照)を備えるフレキシブルな壁312を含む。
【0040】
ボーデンケーブル314が、カテーテルシステム300のカテーテルのフレキシブルな本体(例えば、フレキシブルな本体216)の長さに沿って遠位セグメント300まで延びる。この実施態様において、ボーデンケーブル314は壁305内に完全に延び、或いは壁305内に少なくとも部分的に延びる。ボーデンケーブル314は、制御ワイヤ又は腱318が延びる、導管又はコイルパイプ316を含む。コイルパイプ316はフレキシブルな本体の長さに沿って腱318を収容し、腱318はコイルパイプ316内で長手に摺動し得る。コイルパイプ316は、遠位部分304内の操縦可能なセグメント307に対して近位に、移行区画306で終端する。腱318は移行区画306でコイルパイプ316から外に延び、近位端308に入り、セグメント307を通じて延び、そして、遠端309に付着する。
【0041】
描写の実施態様では、4つのコイルパイプ308が管腔310の周りの壁312内に円周方向に配置される。他の実施態様は、壁312内に様々な対称的な又は非対称的なパターンのいずれかにおいて配置される如何なる数のコイルパイプを含んでもよい。
【0042】
描写の実施態様において、コイルパイプ316は、管腔303に対して垂直なほぼ共通の平面においてセグメント300のフレキシブルな壁312内で終端する。図3に示すように、コイルパイプ316は、コイルパイプ316が壁312(又は類似のフレキシブルなシースのような構成)に埋め込まれ或いは固着される、壁312の非離散的な部分において終端する。描写の実施態様において、各コイルパイプ316の遠位端320は、遠位セグメント307に対して近位に壁312に直接的に固定される。幾つかの実施態様において、コイルパイプ316は、壁312に対する固定を助けるよう、表面処理を有してよい。幾つかの実施態様において、各コイルパイプ316の遠位端320は、非限定的な実施例として、接着又は融解を介して、壁312に固定されてよい。描写の実施態様において、コイルパイプ316の遠位端320は、フレキシブルな壁312又はカテーテルシステム300内の、剛性リングのような任意の別個の要素に固着されない。むしろ、各コイルパイプ316は、特定のコイルパイプ316内で支持される腱318によって操縦されるように構成される、どの操縦可能なセグメント(例えば、操縦可能なセグメント307)にも近接する位置で、壁312内で終端し或いは壁312に付けられる。他の実施態様において、コイルパイプ316の遠位端320は、カテーテルシステム300のフレキシブルな壁312内の別個の要素に固着されてよい。腱318はコイルパイプの遠位端320を越えて進み、操縦可能なセグメント307を通じて延び、操縦可能なセグメント307の遠位端309で終端する。追加的な構造的な支持のために、追加的なワイヤコイルが、コイルパイプ巻き内のコイルパイプ316の各々の周りに包まれてよい。
【0043】
描写の実施態様におけるコイルパイプ316は、近位部分302内の共通の平面において終端するが、個々のコイルパイプ316はフレキシブルな本体216の如何なる長さまで延びてもよく、コイルパイプは異なる長さで終端する(即ち、共通の平面において終端しない)ことが理解されるべきである。例えば、幾つかの実施態様において、コイルパイプ316のうちの少なくとも1つは、フレキシブルな本体の全長に又は実質的に全長に延びる(例えば、遠位部分304内の最遠位の操縦可能なセグメントまで延びる)。他の実施態様において、コイルパイプ316はフレキシブルな本体の長さに沿って部分的に延びるだけである。
【0044】
各腱318の近位端はアクチュエータ(図示せず)に連結される。幾つかの実施態様において、アクチュエータは図2に示す器具本体204内に配置されてよい。アクチュエータによって腱318に対して適用される張力は、コイルパイプ316の使用を通じて特定のセグメント307に隔離される。これらのボーデンケーブル314は遠隔に作動させられ得るし、選択的にセグメント300に力を適用し且つセグメント300を関節式に接合するために用いられ得る。腱318は、ステンレス鋼、チタン、ニチノール、超高分子量ポリエチレン、及び当業者に既知の任意の他の適切な材料を非限定的に含む、様々な材料のいずれから作製されてもよい。幾つかの実施態様において、ボーデンケーブル314は、その全文を参照としてここに援用する、2007年10月11日に出願され且つ2009年4月16日に公開された「System for Managing Bowden Cables in Articulating Instruments」という名称の米国特許出願公開第2009/0099420A1に開示されるケーブルに構成及び動作において実質的に類似する。上述のように、当業者は、カテーテルの近位又が遠位部分のより遠位のセグメントで終端するよう、追加的なコイルパイプがセグメント307を通じて或いはセグメント307の周りに進んでよいことを理解するであろう。
【0045】
図4は、近位部分330(例えば、図2に描写する例示的なカテーテルシステム202の近位部分220)の断面図を例示している。近位部分330で、フレキシブルな本体332は、管腔334を定める多層の中空の円筒形チューブを含む。近位部分330において、フレキシブルな本体332は、外側シース350と、支持層355と、コイル層360と、内側シース365とを含み、それらの各々は、管腔334について同心状に同軸に配置される。外側シース350は、位置センサシステム372(例えば、EMセンサワイヤ及び/又は関連する位置信号ワイヤ)の少なくとも一部を支持するように構成される管腔370を含む。描写の実施態様において、支持層355は、埋設された支持構成部品375を含み、支持構成部品375は、細長いフレキシブルな本体332の接合(articulation)の間に管腔334(及び任意の他の管腔)の開通性を維持するのを助ける。幾つかの実施態様において、支持構成部品375は、非限定的な一例として、ポリイミド組紐(braid)のような、管状の編み要素(braided element)を含む。支持構成部品は径方向の膨張に抗することがあり、且つ/或いはねじり剛性を増大させることがある。支持構成部品375は、支持層355内に挟装され、支持層355は、2つの別個に押し出された長さの、互いに結合されて且つ/或いは支持要素375に結合されてよい、フレキシブルな管組織で製造されてよい。コイル層360は、細長いフレキシブルな本体332の接合中の管腔334(及び任意の他の管腔)の開通性も助けてよい。幾つかの実施態様において、コイル層360は、開放ピッチ又は閉塞ピッチのいずれかを有する巻かれた要素を含む。他の実施態様において、コイル層360は、織られた又は編まれた要素を含む。他の実施態様は、支持層355及び/又はコイル層360を欠いてよい。他の実施態様は、外側シース350と内側シース365との間の支持層及び/又はコイル層の如何なる数の構成を含んでもよい。
【0046】
内側シース365は、内表面405から外表面410まで延びる厚さTを備える、ある長さのフレキシブルな管組織を含む。内側シース365は、5つの導管を含み、腱401を支持するように構成される4つの腱400a,400b,400c,400dと、センサ要素415を支持するように構成されるセンサ導管400eとを含む。幾つかの実施態様において、導管400a-eは、円筒形コイル又はコイルパイプ(例えば、コイルパイプ316)に形作られる狭いリボン状の材料を含む。そのような導管のコイル状の性質は、それが張力及び圧縮の下で良好に作動するのを可能にする。各導管400a-eは、内側シースが導管の周りに押し出されるときに、内側シースを通じる予成形流路内を延びてよく或いは内側シース内に埋め込まれてよい。導管400は、内側シース365について非対称的に配置されてよい。他の実施態様において、内側シース365は、器具システム200の用途及び構造に応じて、如何なる数、種類、及び構成の導管400を含んでもよい。
【0047】
図4の実施態様において、導管400は、内側シース365の外表面410よりも内表面405により近い内側シース365内に配置され、突起420を創り出す。描写の実施態様において、突起420は、腔内突起である。換言すれば、突起420は、管腔334内に延びる。他の実施態様において、導管400は、描写の実施態様に示すよりも外表面により近い内側シース365内に配置されてよく、突起420は図示よりも小さくてよく、外表面410にあってよく、或いは存在しなくてよい。
【0048】
幾つかの実施態様において、内側シース365、支持層355、及び/又は支持構成部品375は、フレキシブルな本体216の長さ又は長さの一部を通じて実質的に既知の径方向位置に導管400を維持するように構成される。これはフレキシブルな本体332(例えば、センサ要素415及び/又は位置センサシステム230)を通じて延びる知覚ファイバ(sensory fiber)の形状及び向き並びにフレキシブルな本体332の形状及び向きの間の信頼できる相関を可能にする。幾つかの実施態様において、導管400の径方向位置は、フレキシブルな本体332の長さに沿って、内表面405及び外表面410に対して異なる。例えば、幾つかの実施態様において、導管400がフレキシブルな本体332を通じて遠位部分に向かって延びるとき、導管400は外表面410により近くシフトする。
【0049】
腱401(例えば、腱310)は、導管400a,400b,400c,400d内に同軸に配置される。幾つかの実施態様において、導管400a-eは、腱401が導管内を自由に摺動し或いは浮動し得るよう、フレキシブルな本体管腔334の開通性又は開放性を維持し且つ摩擦を最小限化するように構成される。幾つかの実施態様において、導管400a-eは、フレキシブルな本体332の長さに沿って腱310の確実な位置決めをもたらすように構成される。
【0050】
この実施態様において、導管400a-eは、導管400a-eの実質的に全長に沿って内側シース365内に延びる。幾つかの従来技術のカテーテルシステムにおいて、操縦ケーブル(例えば、ボーデンケーブル)は、管腔壁への取付けを伴わずに或いはカテーテル壁上の周期的な固着場所又はケーブル終端場所のみを伴って、カテーテル管腔を通じて延びる。他の従来技術のシステムにおいて、操縦ケーブルは、カテーテルの外表面に周期的に取り付けられる。これらの従来技術の構成の両方において、操縦ケーブルは、カテーテル壁と別個であり、取付け地点の間に直線(一般的にチーズワイヤリング(cheese-wiring)として知られる状況)を創り出す。図4の実施態様において、内側シースは導管を捕捉し、カテーテル壁からの分離を防止する。図10及び11について更に記載するように、導管固着又は終端のために剛性リングを使用せずに、フレキシブルな本体332の壁内に導管を完全に又は部分的に埋め込むことは、フレキシブルな本体が抗することを可能にして、曲がりくねった解剖学的通路内で用いられるときに(剛性リングの部位で又はその付近で)鋭い曲げを形成することがある。
【0051】
導管400は、ナイロン、ポリイミド、PTFE、Pebax、及び当業者に既知の任意の他の適切な材料を非限定的に含む、様々なフレキシブルな材料のいずれで構成されてよい。導管400は、コイル又は編み構造で構成されてもよい。内側シース365は、ポリウレタン、FEP、Pebax、及び当業者に既知の任意の他の適切な材料を非限定的に含む、様々なフレキシブルな材料のいずれで構成されてもよい。
【0052】
図5は、遠位部分331(例えば、図2に描写する例示的なカテーテルシステム202の遠位部分221)の断面図を例示している。遠位部分331で、フレキシブルな本体332は、管腔334を定める多層の中空の円筒形のチューブを含む。遠位部分331におけるフレキシブルな本体332は、外側シース440と、操縦可能なチューブ450と、内側シース365とを含み、それらの各々は、管腔225について同心に同軸に配置される。幾つかの実施態様において、外側シース440は、図4に関して上述した外側シース350と同じであり、或いは外側シース350に続く。描写の実施態様において、外側シース440は、操縦可能なチューブ450を包み、操縦可能なチューブ450は、内側シース365を同心状に取り囲み、それは管腔334を定める。外側シース440は、操縦可能なチューブ450が曲がる或いは撓むときに、操縦可能なチューブ450を支持し且つ拘束するように構成されてよい。幾つかの実施態様において、外側シース440は、操縦可能なチューブ450の動きを過度に制約せずに、操縦可能なチューブ450の動きと共に曲がり且つ撓むように構成される。
【0053】
図4に関して上述したように、内側シース365は、腱401を支持するように構成される4つの腱導管400a,400b,400c,400dと、センサ要素415を支持するように構成されるセンサ導管400eとを含む、5つの導管を含む。遠位部分331において、導管400a-eは内側シースの外表面410により近接し、管腔334内への突出は解消される。様々な代替的な実施態様では、導管ではなく、腱のみが、カテーテルの遠位部分内に延びるよう、導管の全部又は一部は、近位部分の遠位端で(例えば、図2の移行区画230で)終端してよい。幾つかの代替的な実施態様は、カテーテルの遠位部分331における内側シース365を欠いてよく、導管400a-eは、以下に更に詳細に記載するように、操縦可能なチューブ450によって捕捉されてよい。
【0054】
操縦可能なチューブ450は、操縦可能なチューブ450は、内側シース365と外側シース440との間に配置される管状の部材を含む。操縦可能なチューブ450は、壁451と、壁451の内表面452と外表面454との間に延びる厚さT2とを有する。遠位部分331は、管腔334に亘る内径D1と、外側シース440に亘る外径D2とを有する。内径D1は、1.5~2.5mmに亘ってよく、外径D2は、2.5~4mmに亘ってよい。これらの測定値は例示的な目的のために提供されるに過ぎず、限定的であることは意図されない。操縦可能なチューブ450は、内側シース365と外側シース440との間の制約された環状空間内の軸方向の剛性を最大限化しながら、導管400を以下に更に記載する窪み又は溝470a-e内に支持するように形作られ且つ構成される。
【0055】
図6aは、本開示の1つの実施態様に従った操縦可能なチューブ450の斜視図である。図6に描写する実施態様において、操縦可能なチューブ450は、近位端500から遠位端505まで延びる長さLを有する、中空の細長い管状の部材を含む。描写の実施態様において、操縦可能なチューブ450は、非撓み状態において円筒形の形状を有し、長手軸AAに沿って延びる。
【0056】
操縦可能なチューブ450は、複数の切口又は切取り構成461を含んでよい。切取り構成461は、軸方向剛性、曲げ剛性、及びねじり剛性の最適なバランスをもたらすパターンで形成される。描写の実施態様において、切取り構成は、長手軸AAに対して実質的に垂直に形成される。切取り構成461は、操縦可能なチューブ450が多次元において曲がるのを可能にする。幾つかの実施態様において、操縦可能なチューブ450の任意の所与の部分における切口の頻度及びパターンは、その部分の可撓性を決定することがある。幾つかの実施態様において、より高い空間頻度の切口は、より高い可撓性に対応することがある。描写の実施態様において、切取り構成461は、操縦可能なチューブ450の一部に沿って延在するに過ぎない。他の実施態様において、切取り構成は、操縦可能なチューブ450の全長に或いは操縦可能なチューブ450の異なる部分に沿って延在してよい。図面に例示する切取り構成461は例示的であるに過ぎず、数、種類、配置、又は形状を限定することを意図しない。様々な実施態様において、操縦可能なチューブ450は、如何なる数、種類、形状、及び配置の切取り構成461を有してもよい。
【0057】
上述のように、操縦可能なチューブ450は、導管400を受け入れるように構成される流路又は溝470a-eを含む。流路470a-eは、窪み、溝、又は取り囲まれた通路を含んでよい。描写の実施態様において、操縦可能なチューブ450は、内側シース365に沿って延びる導管400a,400b,400c,400dに対応する5つの溝470a,470b,470c,470d,470eを含む。描写の実施態様において、溝470a-eは、概ね半球状の断面形状を有する。他の実施態様において、溝470a-eは、非限定的な一例として、完全な若しくは閉塞された円、不完全な若しくは部分的な円、不完全な若しくは部分的な多角形、又は完全な若しくは閉塞された多角形を含む、様々な断面形状のうちのいずれかを有してよい。幾つかの実施態様において、溝470a-eは、開放した断面形状を有してよい。他の実施態様において、溝470a-eは、閉塞した断面形状を有してよい。導管400がフレキシブルな本体216の近位部分330の長手軸に対して特定の径方向パターンにおいて配置される幾つかの実施態様において、溝470は、導管400がフレキシブルな本体332の近位部分220から遠位部分331まで同じ径方向パターンを維持するよう、操縦可能なチューブ450の長手軸AAに対して同じ径方向パターンにおいて配置される。
【0058】
溝470a,470b,470c,470d,470eは、操縦可能なチューブ450の内表面452上で操縦可能なチューブ450の周りに円周状に配置される。操縦可能なチューブ450にある溝470a-eの円周方向位置は、内側シース365上の導管400の円周方向位置と相関し、操縦可能なチューブ450の長手軸AAと概ね平行である。よって、導管400(又は、導管が近位に終端させられるならば、腱)は、導管400を終端させずに或いはキンクさせずに、操縦可能なチューブ450の溝470内に摺動可能に受け入れられてよい。この構成は、導管400が操縦可能なチューブ450と並んで延びながら、管腔334の潜在的な内径D1を最大限化させ、フレキシブルな本体の遠位部分331の外径D2を最小限化させ、且つ操縦可能なチューブ450の壁厚を最大限化させるのを可能にする。
【0059】
図6aに示すように、溝470は、内表面452上で近位端500から遠位端505まで延びる。溝470は、操縦可能なチューブ450の長手軸AAと平行に実質的に直線的な経路において延びる。他の実施態様において、溝470は、操縦可能なチューブ450内で非直線的な(例えば、湾曲した或いは螺旋状の)経路を形成してよい。
【0060】
幾つかの実施態様において、溝470は、操縦可能なチューブ450の切取り構成461に対して知的に位置合わせされて、操縦可能なチューブ450の機械的性能を最大限化させる。具体的には、溝470は、溝470がチューブ材料の概ね軸方向のウェブ(即ち、操縦可能なチューブ450の「支材」(“strut”))から離れる方向に回転的にシフトされるように、操縦可能なチューブ450上に配置されてよい。図6に示すように(そして、同様に図8に示す実施態様に示すように)、溝470は操縦可能なチューブ450の「リング」を通じて延びる又は通過するが、操縦可能なチューブ450の「支材」は避ける。この構成は軸方向圧縮を支持するために最大の操縦可能なチューブ材料をもたらす。しかしながら、操縦可能なチューブ450がねじりにおいて最も弱いならば、溝470は操縦可能なチューブ450上の「支材」に対して他の場所にシフトされてよい。換言すれば、溝470の配置は、操縦可能なチューブ450の最も弱い部分を切り取ること及び溝470での撓み(flexure)を避けるように選択されてよい。
【0061】
図6a及び6bに示すように、操縦可能なチューブ450の厚さT2は、溝470のない領域において実質的に均一であってよく、壁厚は、溝470の領域において実質的に均一な量だけ減少してよい。操縦可能なチューブ450は、溝470の領域において実質的に均一な壁厚T3を有してよい。壁厚T3は、壁厚T2未満である。幾つかの実施態様において、壁厚T2は、0.25~0.38mmに亘る。幾つかの実施態様において、壁厚T3は、0.07~0.127mmに亘る。これらの測定値は例示的な目的のために提示されているに過ぎず、限定的であることは意図されない。他の壁厚が想起される。
【0062】
操縦可能なチューブ450は、必須の引張り特性及び曲げ特性をもたらす任意の適切な生体適合性材料で作製されてよい。適切な材料は、非限定的な一例として、ニチノールのような形状記憶材料、ステンレス鋼、及びプラスチックを含んでよい。幾つかの実施態様において、操縦可能なチューブ450は、隅から隅まで同じ材料(例えば、近位端500から遠位端505までニチノール)で作製される。他の実施態様において、操縦可能なチューブ450は、2つ又はそれよりも多くの異なる材料(例えば、撓みのより少ない領域においてステンレス鋼、そして、撓みのより多い領域においてニチノール)で作製されてよい。
【0063】
操縦可能なチューブ450の構造のための1つの技法は、レーザ切断技術であり、それは自動的な方法において(例えば、コンピュータ数値制御切断によって)操縦可能なチューブ450を製造することがある。壁厚(例えば、T2及びT3)、長さL、内径D1、及び外径D2における精密な変化は、レーザ切断技術を用いて自動的にプログラムされ且つ生成されてよい。他の適切な製造方法は、非限定的な一例として、ウォータージェット切断、電気化学エッチング処理、放電加工、ダイアモンド切断を含んでよい。幾つかの実施態様において、切取り構成461及び溝470の創成の後に、非限定的な一例として、エッチング処理又は電解研磨のような、適切な表面処理が続いて、不規則な表面をデバリングし或いは鋭利な縁を鈍らせる。
【0064】
図7及び8に示すような幾つかの実施態様において、溝470a’-e’は、操縦可能なチューブの外表面454’に形成されてよい。図7は、例示的な器具システムの例示的な遠位部分331’の断面図を例示している。遠位部分331’で、フレキシブルな本体は、管腔334を定める多層の中空の円筒形チューブを含む。描写の実施態様において、遠位部分331’は、外側シース700と、操縦可能なチューブ450’と、内側シース705と、内腔シース710とを含み、それらの各々は、管腔334について同心状に同軸に配置される。幾つかの実施態様において、外側シース700は、図5に関して上述した外側シース440と実質的に同じである。幾つかの実施態様において、内側シース705は、図4及び5に関して上述した内側シース365と実質的に同じである。描写の実施態様において、外側シース700は内側シース705を包み、内側シース705は操縦可能なチューブ450’を包み、操縦可能なチューブ450’は内腔シース710を同心状に取り囲み、それは管腔334を定める。幾つかの実施態様は、内腔シース710を欠いてよい。
【0065】
図4-6bに示す内側シース365に関して上述したように、内側シース705は、腱310を支持するように構成される4つの腱導管400a,400b,400c,400dと、センサ要素415を支持するように構成されるセンサ導管400eとを含む、5つの導管を含む。操縦可能なチューブ450’は、内側シース705と内腔シース710との間に配置される管状の部材を含む。操縦可能なチューブ450’は、以下に更に記載する窪み又は溝470’内に導管400を支持するように形作られ且つ構成される。
【0066】
図8は、本開示の1つの実施態様に従った操縦可能なチューブ450’の斜視図である。操縦可能なチューブ450’は、ここに記載する相違を除き、図5-6bを参照して上述した操縦可能なチューブ450と実質的に類似する。操縦可能なチューブ450’は、導管400を受け入れるように構成される窪み又は溝470’を含む。溝470’は、ここに記載する相違を除き、図5-6bを参照して上述した溝470と実質的に類似する。図7及び8中の描写の実施態様において、操縦可能なチューブ450’は、内側シース705の導管400a,400b,400c,400d,400eに対応する5つの溝470a’,470b’,470c’,470d’,470e’を含む。描写の実施態様において、溝470’は、操縦可能なチューブ450’の外表面454’に配置される。具体的には、溝470a’,470b’,470c’,470d’,470e’は、操縦可能なチューブの外表面454’上で操縦可能なチューブ450’の周りに円周状に配置される。操縦可能なチューブ450’にある溝470’の円周方向位置は、内側シース705上の導管400の円周方向位置と相関する。よって、内側シース705の導管400は、操縦可能なチューブ450’の溝470’内に摺動可能に受け入れられてよい。この構成は、導管400が操縦可能なチューブ450’と並んで延びながら、フレキシブルな本体216の遠位部分331の外径D2’を最小限化させるのを可能にする。
【0067】
図8に示すように、溝470’は、外表面454’上で近位端500’から遠位端505’まで延びる。溝470’は、操縦可能なチューブ450’の長手軸AAと同軸に、実質的に直線的な経路において延びる。他の実施態様において、溝470’は、操縦可能なチューブ450’内で非直線的な(例えば、湾曲した或いは螺旋状の)経路を形成してよい。
【0068】
図9に示すような幾つかの実施態様において、溝470は、操縦可能なチューブ450の内表面452と外表面454との間で操縦可能なチューブ450の壁内に形成されてよい。例えば、図9は、図2に描写する例示的な器具システム200の例示的な遠位部分331”の断面図である。遠位端331”で、器具システム200のフレキシブルな本体216”は、管腔334を定める多層の中空の円筒形のチューブを含む。描写の実施態様において、フレキシブルな本体216”は、外側シース800と、操縦可能なチューブ450”と、内腔シース810とを含み、それらの各々は、管腔334について同心状に同軸に配置される。幾つかの実施態様において、外側シース800は、図5に関して上述した外側シース440と実質的に同じである。幾つかの実施態様において、内腔シース810は、図7に関して上述した内腔シース710と実質的に同じである。描写の実施態様において、外側シース800は操縦可能なチューブ450”を包み、操縦可能なチューブ450”は内腔シース810を同心状に取り囲み、それは管腔334を定める。幾つかの実施態様は、内腔シース810を欠いてよい。
【0069】
操縦可能なチューブ450”は、ここに記載する相違を除き、図5-6bを参照して上述した操縦可能なチューブ450と実質的に類似する。操縦可能なチューブ450”は、導管400を受け入れるように構成される流路820を含む。描写の実施態様において、操縦可能なチューブ450”は、導管400a,400b,400c,400d,400eに対応する5つの流路820a,820b,820c,820d,820eを含む。描写の実施態様において、流路820は、操縦可能なチューブ450”の内表面452”と外表面454”との間で操縦可能なチューブ450”の壁830内に配置される、取り囲まれた円筒形の通路を含む。具体的には、流路820a,820b,820c,820d,820eは、操縦可能なチューブ450”の壁830内で操縦可能なチューブ450”の周りに円周状に配置される。操縦可能なチューブ450”にある流路820の円周方向位置は、(例えば、図4に示すような)フレキシブルな本体332の近位部分330内の内側シース365上の導管400の円周方向位置と相関する。よって、内側シース365の導管400は、操縦可能なチューブ450”の流路820内に摺動可能に受け入れられてよい。この構成は、導管400が操縦可能なチューブ450”内に延びながら、フレキシブルな本体332”の遠位部分331”の外径D2”を最小限化させ且つフレキシブルな本体332”の内径D1”を最大限化させるのを可能にする。
【0070】
図10は、例示的な解剖学的構造内の回転をナビゲートするフレキシブルな本体900の例示的な放射線画像を例示している。フレキシブルな本体900は、図3-9に開示する埋設される導管及び操縦可能なチューブ450を欠く。フレキシブルな本体900内で、制御腱310を支持する導管(例えば、コイルパイプ)は、移行部930でフレキシブルな本体900の近位部分920と遠位部分921との間に配置される別個の要素(例えば、剛性リング)で、フレキシブルな本体900に固着されてよい。フレキシブルな本体900が湾曲するとき、フレキシブルな本体900は、矢印Bによって示すように、フレキシブルな本体900の近位部分920と遠位部分921との間の移行部930で鋭い曲げを表示する。鋭い曲げは形状センサ構成部品を誤作動させ得るし、操縦ケーブルをキンクさせ或いは拘束することによって操縦を制限し得る。そのような鋭い曲げは、フレキシブルな本体を引っ込める臨床医の能力を阻害することもある。
【0071】
図11は、本開示の原理に従って埋設される導管400を組み込み、任意的に、操縦可能なチューブ450を組み込む、フレキシブルな本体216の例示的な放射線画像を例示している。図2及び4に関して上述したように、導管400は、導管400の全長に沿って内側シース365内に埋め込まれ或いはその他の方法において収容される。描写の実施態様において、(図11に示していない)内側シース365は、近位部分220から遠位部分221までフレキシブルな本体216の長さに沿って連続的に延び、操縦可能なチューブ450と並んで或いは操縦可能なチューブ450内に延びる。移行区画230、導管終端場所、又は他の固着場所で剛性アンカ要素(例えば、剛性リング)に固定的に取り付けられる代わりに、導管400は、フレキシブルな本体216を通じて連続的に延び、フレキシブルな本体216の壁内で終端する。幾つかの実施態様において、(図11に示していない)導管400は、(図2に示す)フレキシブルな本体216の近位部分220から遠位部分221まで移行部230を通じて延びてよい内側シース365内を連続的に延びる。幾つかの実施態様において、内側シース365は、移行部230を通じて延びるに過ぎない。他の実施態様において、導管400及び/又は内側シース365は、フレキシブルな本体216の遠位端で終端する。
【0072】
図11に示すように、埋め込まれる導管400(及び移行部230での剛性固着要素の結果としての欠如)は、フレキシブルな本体216が解剖学的回転をナビゲートするときに、フレキシブルな本体216が、図10に例示するように(例えば、剛性固着要素で)突然の曲げを受ける代わりに、徐々に湾曲するのを可能にする。よって、フレキシブルな本体216は、移行部230でフレキシブルなままであると同時に、遠位部分221に対して隔離されてよい接合を維持する。埋設される導管400及び溝付き操縦可能なチューブ450は、フレキシブルな本体216が、近位部分220から遠位部分221までの、連続的な不断の湾曲を維持するのを可能にする。キンクすることなく連続的な湾曲として曲がるフレキシブルな本体216の能力は、解剖学的構造を通じるより効率的でより安全なナビゲーションを促進する。具体的には、フレキシブルな本体216の前進中に(例えば、鋭く曲がった或いはキンクした移行部230で適用される力の故に)周囲の解剖学的構造を不注意に刺す或いはその他の方法において傷付ける可能性は少なくなる。何故ならば、(移行部230を通じて内側シース365内に埋め込まれる導管400を有する)フレキシブルな本体216はより容易に湾曲し得るし、導管400のために移行部230に剛性固着要素を有するフレキシブルな本体よりも自然の解剖学的な通路に近似し得るからである。
【0073】
本発明の実施態様中の1つ又はそれよりも多くの要素は、制御システム112のようなコンピュータシステムを実行するソフトウェアにおいて実施されてよい。ソフトウェアにおいて実施されるとき、本発明の実施態様の要素は、本質的に、必要なタスクを行うコードセグメントである。プログラム又はコードセグメントは、伝送媒体又は通信リンクを通じて搬送波において具現されるコンピュータデータ信号を経由してダウンロードされてよいプロセッサ可読記憶媒体又は装置内に格納されてよい。プロセッサ可読記憶装置は、光媒体、半導体媒体、及び磁気媒体を含む、情報を格納し得る如何なる媒体を含んでもよい。プロセッサ可読記憶装置の実施例は、電子回路、半導体装置、半導体メモリ装置、読出し専用記憶装置(ROM)、フラッシュメモリ、消去可能なプログラム可能読取り専用記憶装置(EPROM)、フロッピーディスク、CD-ROM、光ディスク、ハードディスク、又は他の記憶装置を含む。コードセグメントは、インターネット、イントラネット等のような、コンピュータネットワークを介してダウンロードされてよい。
【0074】
提示されるプロセス及びディスプレイは、如何なる特定のコンピュータ又は他の装置に本質的に関連しなくてもよいことに留意のこと。様々なこれらのシステムのための所要の構造は、請求項中に要素として現れる。加えて、本発明の実施態様は、如何なる特定のプログラミング言語をも参照して記載されていない。ここに記載するような本発明の教示を実施するために様々なプログラミング言語を用いてよいことが理解されるであろう。
【0075】
本発明の特定の例示的な実施態様を記載し且つ添付の図面に示したが、そのような実施態様は、広義の発明の例示であるに過ぎず、広義の本発明を限定しないこと、並びに、本発明の実施態様は、図示し且つ記載する特定の構成及び配置に限定されないことが理解されるべきである。何故ならば、様々な他の変形が当業者の思い浮かぶことがあるからである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6a
図6b
図7
図8
図9
図10
図11