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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-12
(45)【発行日】2022-05-20
(54)【発明の名称】オンアクシス炭化珪素単結晶成長法
(51)【国際特許分類】
   C30B 29/36 20060101AFI20220513BHJP
   C30B 23/06 20060101ALI20220513BHJP
【FI】
C30B29/36 A
C30B23/06
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021019628
(22)【出願日】2021-02-10
【審査請求日】2021-02-10
(73)【特許権者】
【識別番号】514173696
【氏名又は名称】國家中山科學研究院
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】郭志偉
(72)【発明者】
【氏名】柯政栄
(72)【発明者】
【氏名】陳学儀
(72)【発明者】
【氏名】黄俊彬
(72)【発明者】
【氏名】趙英▲ソウ▼
(72)【発明者】
【氏名】戴嘉宏
【審査官】末松 佳記
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-030773(JP,A)
【文献】特表2013-504513(JP,A)
【文献】特表2015-514673(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第111254486(CN,A)
【文献】特表2012-521948(JP,A)
【文献】国際公開第2000/039372(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C30B 1/00-35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オンアクシス炭化珪素単結晶成長法であって、
(A)炭化珪素原料の選択を行い、全ての次元的大きさが1cmより大きなものを残し、選択された炭化珪素原料として用いるステップと、
(B)前記選択された炭化珪素原料を黒鉛坩堝の底部に充填するステップと、
(C)オンアクシス炭化珪素を前記黒鉛坩堝の頂部に設置し、種結晶として用いるステップと、
(D)前記選択された炭化珪素原料及び前記種結晶が収容された前記黒鉛坩堝を、物理的輸送法に用いる誘導炉中に設置するステップと、
(E)炭化珪素結晶成長工程を行うステップと、
(F)炭化珪素単結晶を得るステップと、を含むことを特徴とするオンアクシス炭化珪素単結晶成長法。
【請求項2】
前記選択された炭化珪素原料の形状は、三角以上の多角形板状、円形、リング状、柱状又は錐状であることを特徴とする請求項1に記載のオンアクシス炭化珪素単結晶成長法。
【請求項3】
前記選択された炭化珪素原料の密度は、3g/cm3以上であることを特徴とする請求項1に記載のオンアクシス炭化珪素単結晶成長法。
【請求項4】
前記選択された炭化珪素原料の純度は、99.99%以上であることを特徴とする請求項1に記載のオンアクシス炭化珪素単結晶成長法。
【請求項5】
前記選択された炭化珪素原料の窒素濃度は、1E16cm-3以下であることを特徴とする請求項1に記載のオンアクシス炭化珪素単結晶成長法。
【請求項6】
前記選択された炭化珪素原料のホウ素濃度は、1E16cm-3以下であることを特徴とする請求項1に記載のオンアクシス炭化珪素単結晶成長法。
【請求項7】
前記選択された炭化珪素原料の燐濃度は、1E16cm-3以下であることを特徴とする請求項1に記載のオンアクシス炭化珪素単結晶成長法。
【請求項8】
前記選択された炭化珪素原料のアルミニウム濃度は、1E16cm-3以下であることを特徴とする請求項1に記載のオンアクシス炭化珪素単結晶成長法。
【請求項9】
前記選択された炭化珪素原料の全ての次元的大きさは、1.5~2cmであることを特徴とする請求項1に記載のオンアクシス炭化珪素単結晶成長法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オンアクシス炭化珪素単結晶成長法(On-Axis Silicon Carbide Single Crystal)に関し、特に、炭化珪素原料の大きさを調整、制御するオンアクシス炭化珪素単結晶成長法に関する。
【背景技術】
【0002】
科学技術の発展に伴い、高出力密度かつデバイスの小型化及び高周波化は既に必要不可欠な条件となっている。多くのセラミック材料において、炭化珪素基板は、従来のシリコン基板に無かった高性能を有する上、高周波も次第に指標の一つとなってきている。そのため、炭化珪素ウェーハは、非常に重要な役割を担っている。しかし、シリコンの発展がほぼ極限に達し、デバイスの性能の向上も材料自体により制限を受けるため、従来の産業で使用していた材料の代わりに、従来の問題点を克服することができる新しい材料を積極的に開発することが求められていた。炭化珪素の優れた条件は、従来のシリコンでは達成することができなかった規格を解決することができる。例えば、炭化珪素は、従来のシリコン基板と比べ、バンドギャップ(band gap)が3倍以上であり、破壊電界が10倍以上であり、飽和電子ドリフト速度が2倍以上である。炭化珪素結晶は、一般にオフアクシス種結晶により成長され、表面成長ステップが形成され、結晶の品質を制御し、欠陥密度を下げることができる。近年、5G(第5世代移動体通信システム)の市場が急速に発展しているが、高周波デバイスに使用される基板はオンアクシス基板がほとんどであり、従来、オフアクシス結晶を加工してオンアクシス結晶を得ていたが、この方式では、結晶の利用率が下がり、オンアクシス基板のコストが大幅に増大した。
【0003】
現在、炭化珪素結晶の製造には、オフアクシス種結晶が使用されるものが大部分であるが、それは欠陥密度の低下と、結晶形の維持とがその主な理由である。
【0004】
欠陥密度の低下:大型で欠陥密度が低い炭化珪素結晶の製造は常に研究の重点項目であり、過去の研究経験によると、種結晶がC軸方向で成長するときに欠陥が生じ易かった。この欠陥には、マイクロパイプ(Micropipes:MPs)、貫通転位(Threading Dislocations:TDs)、積層欠陥(Stacking Faults:SFs)及びLAGDs(Large Angle Grain Boundary)が含まれる。炭化珪素結晶の欠陥を減らすために、従来技術ではオフアクシス種結晶を使用することが一般的であった。また、コストを減らすために、初期に8度のオフアクシス種結晶は4度のオフアクシス種結晶に徐々に調整されている。種結晶は炭化珪素結晶の成長にとって有利であったが、後続のアプリケーションがオンアクシス基板である場合、オフアクシス種結晶の利用率は大幅に下がった。米国のCREE社は、炭化珪素結晶の成長に関して研究を長年行い、種結晶ホルダーを公開した。この種結晶ホルダーは、種結晶の成長面と水平方向との間に形成される夾角を0°<a≦20°にするが、PVT(Physical Vapor Transport)法の熱場(thermal field)が軸方向で大きな差異があったため、もしホルダーを使用して種結晶を制御してオフアクシスにすると、結晶の周りの温場が一致しなくなり、制御が困難となることがあった。
【0005】
結晶形の維持:その目的は、表面ステップ(surface step)モデルにより結晶形を安定的に成長させることであり、図1に示すように、原子が結晶表面に吸着(adsorption)されると、エネルギー平衡原則の下、原子がステップに移動するかキンクによりそのエネルギーが安定し、距離に問題が無い限り、原子がこれらの位置に結合されるが、このような表面ステップ成長モデルは、コッセル(Kossel)モデル又はラテラル成長(Lateral growth)モデルと称される。
【0006】
上述したことから分かるように、従来の炭化珪素結晶成長原料の粒径は一般に約300~800μmであり、この小さめの結晶粒径は、初期の結晶成長段階において原料の表面積を大きくし、C/Si蒸気を制御不能なほど大量に発生させ、オンアクシス種結晶の表面の堆積モデルが制御不能となった。そのため、結晶形が制御できず、多結晶が成長された。そのため、本出願人は鋭意検討を重ねた結果、結晶成長初期の制御不能な要素であったC/Si蒸気を効果的に低減し、成長表面の反応条件により所望の結晶形を成長し易くし、最終的に炭化珪素単結晶が得られる、オンアクシス炭化珪素単結晶成長法を完成させた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明者は、前述した課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、本発明を完成させたものである。
【0008】
本発明は、物理的輸送法(Physical Vapor Transport:PVT)を使用し、オンアクシスの種結晶により炭化珪素結晶成長原料の大きさを調整、制御し、原料の蒸気濃度及び蒸発率を制御し、結晶体の欠陥密度を効果的に下げるとともに、所望の結晶形を維持し、炭化珪素結晶の成長に必要なオフアクシス炭化珪素が種結晶を制限してしまうことを防ぎ、オンアクシス基板の製造コストを下げることができる、オンアクシス炭化珪素単結晶成長法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の第1の形態によれば、オンアクシス炭化珪素単結晶成長法であって、(A)炭化珪素原料の選択を行い、大きさが1cmより大きなものを残し、選択された炭化珪素原料として用いるステップと、(B)前記選択された炭化珪素原料を黒鉛坩堝の底部に充填するステップと、(C)オンアクシス炭化珪素を前記黒鉛坩堝の頂部に設置し、種結晶として用いるステップと、(D)前記選択された炭化珪素原料及び前記種結晶が収容された前記黒鉛坩堝を、物理的輸送法に用いる誘導炉中に設置するステップと、(E)炭化珪素結晶成長工程を行うステップと、(F)炭化珪素単結晶を得るステップと、を含むことを特徴とするオンアクシス炭化珪素単結晶成長法を提供する。
【0010】
前記選択された炭化珪素原料の形状は、三角以上の多角形板状、円形、リング状、柱状又は錐状であることが好ましい。
【0011】
前記選択された炭化珪素原料の任意の次元的大きさは、1cmより大きいことが好ましい。
【0012】
前記選択された炭化珪素原料の密度は、3g/cm以上であることが好ましい。
【0013】
前記選択された炭化珪素原料の純度は、99.99%以上であることが好ましい。
【0014】
前記選択された炭化珪素原料の窒素濃度は、1E16cm-3以下であることが好ましい。
【0015】
前記選択された炭化珪素原料のホウ素濃度は、1E16cm-3以下であることが好ましい。
【0016】
前記選択された炭化珪素原料の燐濃度は、1E16cm-3以下であることが好ましい。
前記選択された炭化珪素原料のアルミニウム濃度は、1E16cm-3以下であることが好ましい。
【0017】
前記選択された炭化珪素原料の任意の次元的大きさは、1.5~2cmであることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】結晶ラテラル成長のメカニズムを示す概念図である。
図2】本発明の二次元核種を形成するメカニズムを示す概念図である。
図3】本発明の炭化珪素結晶成長黒鉛坩堝を示す概念部である。
図4】本発明の4H炭化珪素単結晶を示す写真である。
図5】本発明のオンアクシス炭化珪素単結晶成長法を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の目的、特徴及び効果をより分かりやすくするために、具体的な実施形態について図に基づいて詳しく説明する。
【0020】
図2及び図3を参照する。図2は、本発明の二次元核種を形成するメカニズムを示す概念図である。図3は、本発明の炭化珪素結晶成長黒鉛坩堝を示す概念部である。図2及び図3に示すように、本発明に係るオンアクシス炭化珪素単結晶成長法は、物理的輸送法(Physical Vapor Transport:PVT)により炭化珪素単結晶を製造する際、一般に高温により炭化珪素原料を昇華させる方法を採用する。種結晶4及び選択された炭化珪素原料5が収容された坩堝3を、不活性ガスで満たされた雰囲気中で減圧し、約2000~2400℃まで加熱し、選択された炭化珪素原料5を減圧及び加熱により昇華させ、ガス源7により種結晶4の表面に行う結晶成長を制御する。種結晶4は、4インチ、6インチのオンアクシス炭化珪素単結晶でもよい。
【0021】
さらに詳細には、図5を参照する。図5は、本発明のオンアクシス炭化珪素単結晶成長法を示す流れ図である。図5に示すように、本発明のオンアクシス炭化珪素単結晶成長法は、以下のステップ(S1)~(S6)を含む。
【0022】
ステップ(S1):炭化珪素原料の選択を行い、大きさが1cmより大きなものを残し、選択された炭化珪素原料5として用いる。
【0023】
ステップ(S2):選択された炭化珪素原料5を黒鉛坩堝3の底部に充填する。
【0024】
ステップ(S3):オンアクシス炭化珪素を黒鉛坩堝3の頂部に設置し、種結晶4として用いる。
【0025】
ステップ(S4):選択された炭化珪素原料5及び種結晶4が収容された黒鉛坩堝3を、物理的輸送法に用いる誘導炉1中に設置する。
【0026】
ステップ(S5):炭化珪素結晶成長工程を行う。
【0027】
ステップ(S6):炭化珪素単結晶を得る。
【0028】
本実施形態の炭化珪素結晶成長工程には、物理的輸送法(Physical Vapor Transport:PVT)が利用される。一般に物理的輸送法は、成長温度が約2000~2400℃であり、圧力が0.1~50Torrであり、成長速度が100~200μm/hrであり、製造材料のコストが高価であり、成長時間が長時間であった。そのため、収率を高めてコストを減らすことは非常に重要であった。そのため、オンアクシス種結晶を使用して結晶体を製造するときの欠陥密度を下げ、結晶体の可用率を高めることが求められていた。本発明は、炭化珪素原料の大きさを調整、制御することにより、炭化珪素原料の濃度及び蒸発率を制御し、成長表面の反応条件により所望の結晶形を得て、最終的に炭化珪素単結晶を得る。
【0029】
背景技術で述べたように、従来の炭化珪素原料は一般に粒径が300~800μmであり、この粒径の原料は、成長初期にあり、粒径が小さめなため、表面積が比較的大きめであり、C/Si蒸気が大量に発生して制御が困難である上、オンアクシス種結晶の表面上の堆積モデルの制御が困難であり、結晶形が制御し難く、多結晶を発生させた。そのため、本発明は、炭化珪素原料の大きさを調整、制御することにより、選択された炭化珪素原料5の任意の次元的大きさを1cmより大きくするか、好適には、選択された炭化珪素原料5の任意の次元的大きさを1.5~2cmにし、C/Si蒸気が結晶成長初期に制御することが困難であった問題を改善させることができる。次に、成長温度及び熱場分布を適切に制御し、炭化珪素の成長初期において、種結晶4の中心が核生成されて二次元核種6が形成される(図2を参照する)。この二次元核種6は、異なる成長温度に制御して特定の結晶形(4H又は6H)を形成するが、結晶形が確認されると、原子は種結晶により堆積を開始し、単結晶の炭化珪素結晶が得られる。
【0030】
本実施形態の選択された炭化珪素原料5は、任意の次元的大きさが1cmより大きく、形状が三角以上の多角形板状、円形、リング状、柱状、錐状などの不規則形状でもよく、その純度は99.99%以上でもよい。また、炭化珪素結晶成長工程の材料は非常に高価であり、成長時間が長いが、本発明は、選択された炭化珪素原料5の密度が3g/cm以上であるため、同様の成長時間下で大きめの炭化珪素単結晶が得られる。
【0031】
本実施形態の選択された炭化珪素原料5は、窒素濃度が1E16cm-3以下であり、ホウ素濃度が1E16cm-3以下であり、燐濃度が1E16cm-3以下であり、アルミニウム濃度が1E16cm-3以下であり、これら4つの元素は、炭化珪素の電気特性に影響を与える代表的な元素であり、近年、高周波デバイスの使用量が増えるに従い、半絶縁(Semi-insulating)炭化珪素ウェーハに対する需要も急速に増えている。そのため、元素濃度の低減は、ドーピング(Doping)により炭化珪素結晶が導電されることを防ぐことができる。最終的に、選択された炭化珪素原料5の濃度を調整、制御し、成長温度及び熱場分布を適切に制御することにより、炭化珪素の成長初期に種結晶4の縁部に集中させずに、種結晶4の中心で核生成させることができる。
【0032】
図3を参照する。図3に示すように、本実施例で使用する大きさが1cmより大きな選択された炭化珪素原料5は、選択された炭化珪素原料5を脱イオン水により洗浄した後に乾燥させ、成長させたい炭化珪素の黒鉛坩堝3の底部に収容する。オンアクシス炭化珪素ウェーハを種結晶4として用い、黒鉛坩堝3の頂部に固定し、最終的に黒鉛坩堝3を断熱材2中に挿入し、炭化珪素単結晶成長の黒鉛坩堝3の組立を完成させる。黒鉛坩堝3を誘導炉1に設置し、炭化珪素結晶成長工程を行い、その成長温度が2000~2200℃であり、圧力が0.1~10Torrであり、成長時間が50~100時間であり、厚さが7.5~20mmの炭化珪素単結晶を得る(図4を参照する)。
【0033】
上述したことから分かるように、本発明は、オンアクシス炭化珪素を種結晶4として用い、炭化珪素単結晶の成長を制御する方法であり、炭化珪素原料の大きさを調整、制御し、炭化珪素原料のガス源7の蒸発率及び成長表面濃度を制御することにより、特定の結晶形の炭化珪素を成長させ、均一な炭化珪素単結晶が得られる。そのため、本発明は、炭化珪素成長にオフアクシス種結晶を使用しなければならず、結晶の利用率が下がって製造コストが高かった従来の問題点を改善することができる。本発明は、成長コストを減らすことができる長所を有する上、成長させる結晶をオフアクシス配向からオンアクシス配向に制御する必要がないため、結晶加工の工程が減り、利用率を高めるとともに、煩雑な加工ステップを減らすこともできる。
【0034】
また、オンアクシスウェーハのニーズを満たすために、従来技術では、オフアクシス結晶配向をオンアクシス結晶配向に制御してウェーハをダイシングしていた。そのため、大量の残余ロス及び配向加工の工程が必要であった。それに対して、本発明は、オンアクシス種結晶4を代わりに用いることにより、製造する炭化珪素単結晶の利用率を高め、配向加工工程を減らすことができる。そのため、本発明は、結晶に対して直接、ウェーハダイシング加工、研削及び研磨を行い、オフアクシス結晶のロスと、ウェーハダイシング工程の複雑さを低減し、炭化珪素の製造工程のコストを減らすことができる。
【0035】
当該分野の当業者にとって理解できるように、本発明の好適な実施形態を前述の通り開示したが、これらは決して本発明を限定するものではない。本発明の主旨と領域を逸脱しない範囲内で各種の変更や修正を加えることができる。従って、本発明の特許請求の範囲は、このような変更や修正を含めて広く解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0036】
1 誘導炉
2 断熱材
3 黒鉛坩堝
4 種結晶
5 選択された炭化珪素原料
6 二次元核種
7 ガス源
【要約】
【課題】炭化珪素原料の大きさを調整、制御するオンアクシス炭化珪素単結晶成長法を提供する。
【解決手段】オンアクシス炭化珪素単結晶成長法は、(S1)炭化珪素原料の選択を行い、大きさが1cmより大きなものを残し、選択された炭化珪素原料として用いるステップと、(S2)前記選択された炭化珪素原料を黒鉛坩堝の底部に充填するステップと、(S3)オンアクシス炭化珪素を前記黒鉛坩堝の頂部に設置し、種結晶として用いるステップと、(S4)前記選択された炭化珪素原料及び前記種結晶が収容された前記黒鉛坩堝を、物理的輸送法に用いる誘導炉中に設置するステップと、(S5)炭化珪素結晶成長工程を行うステップと、(S6)炭化珪素単結晶を得るステップと、を含む。
【選択図】図5
図1
図2
図3
図4
図5