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特許7072753スクリーンおよび少なくとも2つの多感覚ケースを備えた没入型デバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-13
(45)【発行日】2022-05-23
(54)【発明の名称】スクリーンおよび少なくとも2つの多感覚ケースを備えた没入型デバイス
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/01 20060101AFI20220516BHJP
   H04R 1/02 20060101ALI20220516BHJP
   G03B 21/14 20060101ALI20220516BHJP
   G03B 21/56 20060101ALI20220516BHJP
   H04N 5/74 20060101ALI20220516BHJP
【FI】
G06F3/01 510
H04R1/02 102Z
G03B21/14 Z
G03B21/56
G06F3/01 560
H04N5/74 C
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2019560474
(86)(22)【出願日】2018-01-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-10-01
(86)【国際出願番号】 EP2018051462
(87)【国際公開番号】W WO2018134408
(87)【国際公開日】2018-07-26
【審査請求日】2021-01-08
(31)【優先権主張番号】1754720
(32)【優先日】2017-01-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(31)【優先権主張番号】1770070
(32)【優先日】2017-01-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】519264601
【氏名又は名称】ザ ラボ イン ザ バッグ
(74)【代理人】
【識別番号】110001656
【氏名又は名称】特許業務法人谷川国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ガッシェ,ジェローム
【審査官】菅原 浩二
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0310867(US,A1)
【文献】国際公開第2008/093721(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/188211(WO,A1)
【文献】国際公開第2008/072744(WO,A1)
【文献】特開2004-135789(JP,A)
【文献】特開2007-075578(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0238547(US,A1)
【文献】国際公開第2010/007988(WO,A1)
【文献】特開2008-270923(JP,A)
【文献】特開2000-078430(JP,A)
【文献】特開2012-047355(JP,A)
【文献】特開2006-295321(JP,A)
【文献】特開2013-169234(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0030013(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/01
H04R 1/02
G03B 21/14
G03B 21/56
H04N 5/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
没入型デバイス(1)であって、スクリーンと、当該スクリーン(2)と共に没入型ゾーン(6)を区切る複数の多感覚ケース(4)を備え、種々の多感覚ケース(4)が前記没入型ゾーン(6)の周辺に配置され、ここで当該多感覚ケース(4)はカラムタイプであって、前記多感覚ケース(4)に搭載される感覚デバイス(8)が互いに上下に垂直に積み重なるカラムタイプのケースであり、各多感覚ケース(4)が少なくとも1つのエアフロー生成用デバイス(32)および音生成デバイス(34)、ならびに前記各多感覚ケース(4)の独立制御による音および空気の放出を管理するように構成された制御装置(12、14)を備える、没入型デバイス。
【請求項2】
少なくとも1つの多感覚ケース(4)が、少なくとも1つの匂い拡散サポート(36’)および換気装置(36’’)から形成される少なくとも1つの匂い拡散装置(36)、ならびに当該エアフロー生成用デバイス(32)を備え、前記匂い拡散装置(36)および前記エアフロー生成用デバイス(32)が互いに上下に配置される、請求項1に記載の没入型デバイス。
【請求項3】
なくとも2つの多感覚ケース(4、4-AV)の間に配置された中央ケース(10)を含むことを特徴とする、請求項1または2のいずれか一項に記載の没入型デバイス。
【請求項4】
前記中央ケース(10)が、各多感覚ケース(4、4-AV)に配置される当該エアフロー生成用デバイス(32)によって混合される前記空気を再分配するように構成されている換気装置(10’)を含むことを特徴とする、請求項3に記載の没入型デバイス。
【請求項5】
前記スクリーン(2)が湾曲していることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の没入型デバイス。
【請求項6】
なくとも2つの多感覚ケースが、前記湾曲したスクリーン(2)の端部の長部それぞれに2つの前部多感覚ケース(4-AV)を含むことを特徴とする、請求項5に記載の没入型デバイス。
【請求項7】
前記中央ケース(10)が前記没入型ゾーン(6)の中央でかつその上に配置されることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の没入型デバイス。
【請求項8】
前記スクリーン(2)が画像投影デバイス(16)と関連付けられていることを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載の没入型デバイス。
【請求項9】
前記画像投影デバイス(16)が前記没入型ゾーン(6)の反対側で前記スクリーン(2)の側に配置されたオーバーヘッドプロジェクタであることを特徴とする、求項に記載の没入型デバイス。
【請求項10】
前記スクリーン(2)の接的な近傍に配置される2つのいわゆる前部多感覚ケース(4-AV)と、前記没入型ゾーン(6)の対側端部に配置される2つのいわゆる後部多感覚ケース(4-AR)と、請求項3に記載の中央ケース(10)とを含むことを特徴とする、求項1~のいずれか一項に記載の没入型デバイス。
【請求項11】
前記制御デバイス(12、14)が、前記スクリーン(2)上の像の関数として、各前記多感覚ケース(4)の間の果のバランスの取れた分配のために構成されていることを特徴とする、請求項1~1のいずれか一項に記載の没入型デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、没入型デバイスに関し、より具体的には、感覚要素を生成するようにケースが配置されているデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
没入型デバイスは、コンシューマ製品のユーザの行動をテストするか、またはユーザによるこの製品の次の評価を容易にすることを目的とすることができる。コンシューマ製品は、それらが使われる実際の環境を再現しない条件の下で、ユーザによって評価されることが多い。これは、例えば、製品が研究室の研究班に付託されるときの場合である。この場合、ユーザは通常、テスト条件が生態学的な使用条件に対応しないという事実によって悩まされる。ユーザは、オブザーバとのインタラクションによって、さらに乱されることがあり得る。したがって、ユーザの行動は、ユーザが実環境で取る行動に対応しない可能性がある。
【0003】
没入型デバイスは、ユーザが適切な環境でコンシューマ製品をテストすることができるようにすることによって行動のテストまたはマーケティング評価を改善することを可能にすることができる。
【0004】
非限定的な例として、ビーチの画像および対応する音が投影される没入型デバイスにおいてサンスクリーンの香りをテストするか、またはレストランの画像および対応する音が投影される没入型デバイスにおいて食品の味をテストすることを提案することができる。
【0005】
既知の没入型デバイスは、ユーザの回りに画像の投影および音を組み合わせる。1つまたは複数のスクリーンが設けられて、音生成スピーカはデバイスがインストールされる部屋のいくつかのポイントに分配されており、それは、現実的な、すなわち、スクリーンに投影されているものに適切な音響効果を作り出すことを可能にする。
【0006】
これらの没入型デバイスは音響映像レクリエーションおよび娯楽用途ンのために実装されることもできて、これらの用途では、ユーザの要求はますます課題となっている。
【0007】
それでも、既知のデバイスで、ユーザ没入は、それが2つの感覚、すなわち、視覚および音に関するだけなので、完全ではない。
【0008】
追加感覚効果が、音以外、すなわち、風または匂いを発生する没入型デバイスも知られている。既知のデバイスの1つの問題は、追加感覚効果の放出源が周期的であるということであり、それは感覚の没入を相対的に効果が無いものにする。
【0009】
それでも、最も完全な没入が、これらの没入型デバイスに対する望ましい用途にかかわりなく求められる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
この文脈において、本発明は、これらの没入型デバイスを作成するための既存の機器に対して、そして、既知の没入型デバイスに対する代替案に対応している方法で、代替案を提唱することを意図する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
その目的のために、本発明は、スクリーンおよび少なくとも2つの多感覚ケースを含む没入型デバイスであって、各多感覚ケースは少なくとも1つのエアフロー生成用デバイスおよび音生成デバイス、ならびに各多感覚ケースの独立制御によって音および空気の放出を管理するように構成される制御デバイスを含む、没入型デバイスを提唱する。
【0012】
言い換えれば、本発明は、湾曲したものであり得るスクリーンおよび、スクリーンで没入型ゾーンを区切る複数の多感覚ケースを含む没入型デバイスを提案するものであり、異なる多感覚ケースが没入型ゾーンの周辺に配置されて、各多感覚ケースは、少なくとも1つのエアフロー生成用デバイスおよび音生成デバイス、ならびに、各多感覚ケースの独立制御を通して音および空気の放出を管理するように構成される制御デバイスを含む。
【0013】
少なくとも1つの多感覚ケースは、少なくとも1つの匂い拡散サポートおよび換気装置によって形成される少なくとも1つの匂い拡散デバイスと、エアフロー生成用デバイスと、を備えることができ、匂い拡散デバイスとエアフロー生成用デバイスとは互いに上下に配置される。
【0014】
本発明による、単独あるいは組み合わせて考慮される没入型デバイスの種々の特徴によれば、以下のことを提供することができる。
- 没入型デバイスは少なくとも2つの多感覚ケースの間に配置される中央ケースを含む。
- 没入型デバイスはスクリーンの両側に配置されるスクリーンサポートおよび多感覚ケースを含み、サポートが2つのケースの間に配置されて中央ケースを支持するバーを含む。
- 中央ケースは、各多感覚ケースに配置されるエアフロー生成用デバイスによって混合される空気を再分配するように構成される換気装置を含む。
- スクリーンは湾曲しており、湾曲したスクリーンとは、スクリーンの曲率が規則的であるという事実、および小面については、スクリーンの曲率が複雑であるという事実の両方をカバーするためのものであり、延長によって、スクリーンが全般的に湾曲したアセンブリを再現するように互いに対して角度をつけて傾けられる複数のフラットスクリーン部から構成されるようにすることができる。
- 少なくとも2つの多感覚ケースは、湾曲したスクリーンの端の延長部で、それぞれ2つの横の多感覚ケースを含む。
- 没入型デバイスは、スクリーンで没入型ゾーンを区切る複数の多感覚ケースを含む。
- 中央ケースは、没入型ゾーンの中央に、そして、それの上に配置され、没入型ゾーンの「中央」とは、没入型ゾーンの幅がスクリーンの近くに配置される2つの側部ケースの間の分離によって定められて、中央ケースがこれらの2つの側部ケースの間の中線に配置される、ということを意味し、「上」とは、中央ケースが没入型ゾーンに置かれるユーザの上にかかることを意味する。
- スクリーンは、画像投影デバイスと関連付けられ、そして、画像投影デバイスは、没入型ゾーンの反対のスクリーン側に配置されるオーバーヘッドプロジェクタである。
- 没入型ゾーンはスクリーンの直接的な近傍に配置される2つのいわゆる前部多感覚ケース、没入型ゾーンの反対側端部に配置される2つのいわゆる後部多感覚ケース、および中央ケースを含む。
- 制御モジュール、または制御デバイスは、スクリーン上の画像の関数として、各多感覚ケースの間の効果のバランスの取れた分配のために構成される。
【0015】
本発明の他の特徴および利点は、説明および図面を使用してより明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は複数の多感覚ケースを備えている没入型デバイスおよび没入型ゾーンを区切っているスクリーンの斜視概要図であり、斜視図は、スクリーン上に画像を送るように構成されるオーバーヘッドプロジェクタデバイスも示す。
図2図2は、図1の没入型デバイスの平面図である。
図3図3は、図1の没入型デバイスに備えている多感覚ケースの詳細図である。
図4図4は、図3に示す第1のタイプの2つの多感覚ケースの概略前面図である。
図5図5は、第1のタイプの多感覚ケースの、図4の平面A-Aに沿った部分断面図である。
図6図6は、第2のタイプの多感覚ケースの概略前面図である。
図7図7は、複数の関連する制御モジュールを介して多感覚ケースを備えている感覚デバイスの制御を例示している没入型デバイスの概略図である。
図8図8は、本発明による没入型デバイスの実施形態の変形の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図面が本発明を実行するために詳細に配置している点にまず留意すべきであり、前記図面は勿論、必要に応じてよりよく本発明を定めるために用いることが可能である。しかしながら、これらの図面は、本発明による可能な実施形態の変形の一部を配置するだけである点に留意すべきである。
【0018】
以下の説明においては、参照は縦のL軸、垂直のV軸および横のT軸を使用した向きに対してなされるが、それらが図に示される三面体L、V、Tを使用して任意に定められるからである。特に、垂直軸Vはグラウンドに対して垂直な方向に対応し、そのため、下の位置または下側とは、この垂直軸Vに沿った垂直性の関数として定められる。
【0019】
本発明の一態様による没入型デバイス1は、画像またはビデオ用の投影媒体として役立つ少なくとも1つのスクリーン2、および、スクリーンに同時に投影される画像の関数としていくつかの感覚効果を放出するように構成される、少なくとも2つの多感覚ケース4を含む。このようなデバイスの目的は、レクリエーションであるか、専門的であるか、医学的である前後関係においても、ユーザに没入型体験を提供することである。感覚の体験を最もよく利用するために、ユーザは、ユーザの前か後ろの、そして、ユーザのそれぞれの側部の、そして、スクリーン2の位置のそばであるのが好都合である、多感覚ケース4の位置によって画定される没入型ゾーン6の座位または立位にある。複数の多感覚ボックスは、スクリーンで、この没入型ゾーンのサイズおよび形状を区切り、したがって間接的に、一度にこの没入型ゾーンを使用することが可能なユーザ数を区切る。
【0020】
図の例では、没入型デバイス1は、本発明の一態様による少なくとも4つの多感覚ケース4、すなわち、このケースに搭載される感覚デバイス8が互いに上下に垂直に積み重なるカラムタイプのケースを含む。以下では、これらのカラムタイプケースにおける感覚デバイスの特定の配置を説明する。
【0021】
4つの多感覚ケースの中では、スクリーン2のすぐ近くに配置されて前部多感覚ケース4-AVと呼ばれる2つの第1の多感覚ケース、後部多感覚ケース4-ARと呼ばれてスクリーン2に対して没入型ゾーン6の反対側端部で配置される2つの第2の多感覚ケース、および、スクリーン2の近くでかつ2つの前部多感覚ケース4-AVの間に配置される中央ケース10の間での区別がなされる。
【0022】
没入型デバイスは多感覚ケース4を制御するために少なくとも1つの制御デバイスをさらに含み、これは、その目的に都合が良いように、主制御モジュール12および各多感覚ケース4に専用の複数の特定制御モジュール14を含む。
【0023】
主制御モジュール12は、スクリーンに投影されるビデオの定義済みのモーメントのために、感覚デバイスの一方および/または他方に、ならびに、感覚ケースの一方および/または他方にそれぞれ専用の複数の制御命令を定めるように構成される。主制御モジュールまたは特定制御モジュールのいずれも、各ケースの独立制御によって感覚要素の放出を管理するように構成され、そのことにより、スクリーン上の画像の関数として、各多感覚ケースの間の感覚効果のバランスの取れた分配を提供する。
【0024】
各ケース間の効果のバランスの取れた分配が意味するのは、スクリーン上の第1の画像の関数として、制御される各ケースが同じ規模で同じ感覚の放出を実行することができ、そして、第2の画像の関数として、ケースのうちの1つだけが、他が不活発なままである一方で、感覚の放出を実行するために制御されることができる、ということである。
【0025】
以下に説明するように、本発明による多感覚ケース4は、互いに上下に積み重ねられた複数の感覚デバイス8を含むことができ、それにより、ユーザが、スクリーンへの画像の投影により提供される視覚に加えて少なくとも1つの聴覚、嗅覚または触覚的感覚を持つように、変化のある感覚効果を提供する。
【0026】
スクリーン2は、特に、例えばビデオプロジェクタまたはオーバーヘッドプロジェクタタイプの、画像投影デバイス16に関連した画像投影媒体から成り得る。
【0027】
図示するように、スクリーンは、オーバーヘッドプロジェクタタイプの画像投影デバイスと関連付けられている。このようにして、画像投影デバイス16はスクリーンの後ろに配置されて、それは没入型ゾーンには存在しない。これは結果としてユーザにとってより良好な没入となり、ユーザは、一方ではスクリーンに投影される画像のソースをデバイスが形成しているのが見えず、その一方でプロジェクタの操作のための継続的なブローイングが聞こえないかまたはわずかに聞こえるだけである。
【0028】
図示するように、オーバーヘッドプロジェクタは、没入型デバイス1のコンパクト性を改善するためにミラー18と関連付けることができる。オーバーヘッドプロジェクタはスクリーンの反対側に光線を発して、このビームはミラーによってスクリーン2の後面、すなわち、没入型ゾーン6の反対側の面に向かって反射される。それから、オーバーヘッドプロジェクタはスクリーン2とミラー18の間に配置されて、投影される画像が、スクリーン全体にわたって広がるために非常に大きな距離を有することは必要でない。
【0029】
図8に例示して以下で説明する実施形態の変形において、画像投影デバイスは、スクリーンの上で少なくとも部分的に没入型ゾーンの上に配置されるビデオプロジェクタから成り得る。この配置は、ユーザが没入型ゾーンの中央に存在して画像の投影をじゃまするということ無しに画像をスクリーンに投影することを可能にして、スクリーンの後ろの、特に制御電子機器用の容積を制限するか、または、ゾーンを解放することを可能にする。
【0030】
この文脈において、ミラー18の位置はスクリーン2と関連して定められて、次にプロジェクタ16の位置はミラー18と関連して定められる。ミラーは第1のプラテン20に固定され、プロジェクタは第2のプラテン22に固定されて、両方のプラテンが同じ部分の一部であることが可能であり、そのため、ミラーに関するプロジェクタの相対位置がすでに分かっており、残っているのは、ミラーの位置をスクリーンに関して調整することだけである。図1および2において見ることができるサポート24は、スクリーンに関してミラーの固定を容易にして、没入型デバイスのインストールのたびに信頼性が高い位置、したがって鮮明な画像を保証することができ、インストールのたびに画像の歪みを調整する必要が無い。
【0031】
特にサポートは、スクリーン2の中央、および、該当する場合は、スクリーンを支持しているシャシーの上部、ミラーを支持している第1のプラテン20を接続している、サポート梁26を含む。このようにして、ミラー、したがって、プロジェクタの横方向の中央に置かれた位置がスクリーンに関して定められて、ミラーとスクリーン間の分離の実装は、それが前もって行われる歪みの調整の関数として理論的に定められたように、確実にされる。
【0032】
サポートは、グラウンドに配置されるように求められるベース28をさらに含むことができ、それは、ミラーを支持している第1のプラテン20を、一方では前部多感覚ケース4-AVに、かつ他方ではスクリーンを支持しているシャシーの下部に接続することを可能にする。したがって、サポートは、画像の鮮明度のための、投影システムに属しているスクリーンおよびミラーの適切な相対位置、ならびに投影される画像に対する多感覚ケースの適切な位置を同時に確実にする。
【0033】
正に指定されたように、スクリーンはシャシーによって支持されることができ、それはスクリーンを成形することを可能にしている湾曲形状を仮定する。ユーザのための没入型効果を強化するために、湾曲したスクリーンによって区切られる没入型ゾーンにそれを状態調節することは、事実興味深いことであり得る。シャシーは、スクリーン2の上下の端が引っ張られる上部および下部を含む。
【0034】
シャシーのこれらの上下の部分は、それらの側端部のそれぞれでスクリーンの側端を定めている垂直ガントリに固定することができ、そして、図示の例において、これは本発明に関して限定的でなくて、スクリーンシャシーの上下の部分は、特に1/4回転ねじ切りシステムによって、スクリーン2の両側に配置された前部多感覚ケース4-AV上に、それぞれ固定されることが理解されよう。
【0035】
図2にて示したように、スクリーンの両側に配置した2つの前部多感覚ケース4-AVはスクリーン2の端の延長部にそれぞれ配置され、それはここで湾曲している。
【0036】
スクリーンは特に、スクリーンの全面が没入型ゾーンの中央に置かれるユーザから等価な距離であるように湾曲しており、それはユーザの眼精疲労を最小化して、ユーザの視聴の快適さ、したがってユーザの没入を最大化する。
【0037】
サポートは、2つの前部多感覚ケース4-AVの間に配置されて、スクリーンの上に延びるようにケースの頂部上のその横端に載置される、バー30を含むことができる。サポートのこのバーは、実質的にその中央で、中央ケース10が配置されるサポートフレームを担持するように構成される。このようにして、中央ケース10は、没入型ゾーン6の中央に、かつそれの上に配置される。
【0038】
前述の実施形態変形において、ビデオプロジェクタは、没入型ゾーンに対応するスクリーン側に画像を投影することが可能な投影デバイス16を形成して、このバー30に載置することができる。バー30がケースの頂部上の横端に載置されるという事実が、特にさらに詳細に以下に記載するガントリを配置することによって、本発明の文脈を越えずに修正され得ることも留意すべきである。
【0039】
種々の多感覚ケース4は没入型ゾーンの周辺に配置されており、各ケースは、カラムタイプケース内で互いに積み重なる感覚デバイス8の文脈において、少なくとも1つのエアフロー生成用デバイス32および音生成デバイス34を含む点に留意すべきである。
【0040】
本明細書に説明されて特に図5において示される例示的実施形態において、各多感覚ケース4は、カラムタイプケース内で互いに積み重なる感覚デバイスの文脈において、少なくとも1つのエアフロー生成用デバイス32、音生成デバイス34ならびに匂い拡散デバイス36を含み、中央ケース10がこれらの同じ感覚デバイスの少なくとも1つを含むということに留意すべきである。
【0041】
特に中央ケース10は、前部多感覚ケース4-AVに配置されて、スクリーン2の両側に位置するエアフロー生成用デバイス32によって混合される空気を再分配するように構成される中央換気装置10’を含む。例えば、各前部多感覚ケースに配置されるエアフロー生成用デバイス32は、中央ケースにそれぞれ適応する。
【0042】
以下さらに詳細に説明されているように、各感覚デバイスが所与の方向に放出するように多感覚ケース4の中に配置され得る点に留意することが事実可能であり、それは同じケースの別の感覚デバイスが放出する方向と異なるものであり得るか、または別のケースの等価な感覚デバイスが放出する方向と異なるものであり得る。一例として、各多感覚ケースの音生成デバイスは、音が没入型ゾーンの中央の方へ放出されるように配置されるが、前部多感覚デバイスによって放出されるエアフローおよび匂いは、この中央ケースの換気装置を介して混合されるように中央ケースに向けられる。
【0043】
キャンバスはスクリーンの延長部において引っ張られて、スクリーンと前部多感覚ケースの間の接合、すなわち、スクリーンを見ているユーザによって最も気付かれそうであるケースを隠すことができる。このキャンバスは、少なくとも感覚デバイスの放出口がないゾーン上において、スクリーンに投影されているものに近い色で、ケースを整えることができる。
【0044】
ビデオマッピングを作り出すことを可能にしている追加保護手段を提供することがさらにでき、それによって、スクリーンに投影される画像と相補的である画像バックグラウンドが投影される。
【0045】
ここで、図3~6を特に参照して、本発明による没入型デバイスの一部をなしている多感覚ケース4のより詳細な説明を提供する。
【0046】
多感覚ケース4は、感覚デバイス用のサポートを形成しているフレーム40を含む。フレームは通常、正方形断面を有する図示したケースにおいてカラムの形状であり、このフレームは感覚デバイス8を配置するための複数のサポート41を含む。一例として、そして、図5に示すように、ケースは、重ね合わされて、感覚デバイス8および関連する特定の制御モジュール14が配置される、サポート41を形成している、いくつかのトレイを有する棚の形である。
【0047】
ケースのセットがスクリーン周辺に、または、その近くに配置されると、フレームの前面42を、その面が没入型ゾーンの中央の方に向けられるものであるとして定めることが可能である。感覚デバイスは、主にフレームの同一表面、すなわち、フレームのこの前面上に現れて放出するように構成される。しかしながら、本発明の範囲を逸脱せずに、1つまたは複数の感覚デバイスがこの前面に隣接して直接表面に配置される放出口を有することが可能であると理解することができよう。
【0048】
本発明の態様による各ケースは、複数の感覚デバイス8を含み、特徴的な感覚効果を発生させ、カラムタイプケースを形成するように互いに上下に垂直に配置される。
【0049】
好ましくは、フレーム40の寸法は、没入型ゾーン6の前かまたはその後ろにインストールされることを意図するカラムタイプケースを形成するために、ケースの基部の定義に関しては実質的に同じで、そして、その幅およびその深さは例えば50cm程度であり、ケースの高さを定めるために変化する。したがって、高さは、前部多感覚ケース4-AVについては2.10mに等しく、後部多感覚ケース4-ARについては1.4mに等しくすることができる。
【0050】
以下で説明するように、前部4-AVおよび後部4-AR多感覚ケースは、それらの高さを除いて、前部多感覚ケースのためのグラウンドと平行の壁および後部多感覚ケースのためのグラウンドに対して傾斜した壁を有するそれらの前面壁44の形状によって、異なることができる。
【0051】
最初に、図3~5を特に参照して、前部多感覚ケース4-AVを説明する。
【0052】
図示する例として、多感覚ケースは、上から下まで、エアフロー生成用デバイス32、匂い拡散デバイス36、高周波音生成用デバイス34’、追加エアフロー生成用デバイス38および低周波音生成用デバイス34”を含むことができる。
【0053】
匂い拡散デバイス36は、図5において見えるように、少なくとも1つの匂い拡散サポート36’および換気装置36”によって形成される。図示の例では、前部多感覚ケース4-AV(図4)に5つの匂い拡散デバイス36を備えて、後部多感覚ケース4-AR(図6)に2つの匂い拡散デバイス36を備えることが示される。
【0054】
各匂い拡散デバイス36のために、匂い拡散サポート36’は香りがする物質を含んでいる貯蔵部から成り、貯蔵部は電磁弁を用いて開閉することが可能である。貯蔵部が開いていると、そこから発散する香りが換気装置によって動かされるものと理解される。
【0055】
多感覚ケースにおいて、特に匂い拡散デバイス36および拡散サポート36’専用の換気装置36”、および匂い拡散デバイス36とは別に配置されるエアフロー生成用デバイス32を見ることができる。貯蔵部が開いていて、香料入りの物質を放出する場合にだけ、拡散サポートと関連付けられた換気装置36”は起動する。したがって、換気装置は香料入りの物質が放出されるパイプ37の終端に配置されて、換気装置36”および拡散サポート36’の貯蔵部は実質的に同じ水平面に、そして、本発明に従ってカラムタイプの多感覚ケースの同じステージ41に配置される。エアフロー生成用デバイス32は、拡散サポート36’および関連付けられた換気装置36”が配置されるものとは異なる垂直の水平面に次に配置されて、それは匂い拡散デバイス36の起動とは無関係に起動することができる。
【0056】
これは前に説明したように、ここでの多感覚ケース4は、複数の匂い拡散デバイス36を備えており、各匂い拡散デバイスは特定の換気装置36”を含み、そしてエアフロー生成用デバイス32は匂い拡散デバイスの全てによって共有される。都合のよいことに、各匂い拡散デバイスにそれぞれ含まれる香料入りの物質は互いに異なり、1番目またはn番目の匂いの拡散は、投影された画像および人がそれと関連付けることを望む匂いの関数として、1番目またはn番目の貯蔵部を開いて、同時に1番目またはn番目の換気装置を作動させることによって、ならびに、匂い拡散デバイスの上に配置される匂い拡散デバイスを起動させることによって、制御される。
【0057】
図に示される各多感覚ケース4において、匂い拡散デバイス36およびエアフロー生成用デバイス32が互いに上下に配置されたものであることは、事実注目に値する。特に、エアフロー生成用デバイスは、匂い拡散デバイスの上に配置される。より具体的には、本発明の一態様による多感覚ケース4は、ちょうど今述べられたような、エアフロー生成用デバイスおよび匂い拡散デバイスとは別の少なくとも1つを含む、複数の感覚デバイスを含む一方で、これらの感覚デバイス8は、エアフロー生成用デバイス32が直接匂い拡散デバイス36の上にあるように配置される。
【0058】
この配置は、エアフロー生成用デバイスの効果によって、没入型ゾーン6の中央に向かって、換気装置によって動かされてケースの前面42の放出口で上昇する香料入りの物質を押すことを可能にする。それは、この文脈において、ユーザの頭部の上に各多感覚ケースのエアフロー生成用デバイス32を配置することも可能にして、それにより、それが共に運ぶエアフローおよび香料入りの物質は、ユーザの上を通過して、嗅覚をより拡散してより強力でないようにする。
【0059】
さらに、エアフロー生成用デバイス32は匂い拡散デバイス36を起動せずに起動することができ、そして、特定の匂いは伴わずに、空気、および風の存在を示す感覚効果を作り出すだけであることが理解されよう。
【0060】
前部および後部多感覚ケースは、それらが含む感覚デバイスの数および配置に関して、次では異なることができる。
【0061】
前部多感覚ケース4-AVは、特に、ユーザの没入を最適化するため、補完的なエアフローをスクリーン上の画像がそれを必要とするときに―匂い拡散デバイスの上に配置されたエアフロー生成用デバイスが単独で実装することができない著しいエアフローを―作り出すために用いる追加エアフロー生成用デバイス38を含む。この追加エアフロー生成用デバイス38は、カラムタイプケースの下部に配置されて、必要であれば、没入がグラウンドに沿った吹き出しを発生させることを必要とするときに用いることができる。
【0062】
追加エアフロー生成用デバイス38は単にエアフローを生成して風の効果を再現すること専用であり、これに対して、前に明示したように、匂い拡散デバイス36のすぐ近くで配置されるエアフロー生成用デバイス32は、それが生成された匂いを拡散することを可能にするという点で、そして、それが風の効果を再現することに関与することを可能にするという点で、二機能をもつ。エアフロー生成用デバイス32は主要なものとして実装され、追加エアフロー生成用デバイス38は、空気の必要量が、エアフロー生成用デバイスが届けることができるものを上回るときに実装されるだけである。
【0063】
エアフロー生成用デバイス32および追加エアフロー生成用デバイス38の存在は、概して生成されたエアフローの力を定量化する提供された可能性を除いて、没入の必要に応じて異なってエアフローを和らげることを可能にする。
【0064】
一例として、1つまたは複数の高圧噴霧器33はエアフロー生成用デバイス32と関連付けられ、熱処理デバイスは、この追加エアフロー生成用デバイスを通過させる空気を加熱するかまたは冷やすように追加エアフロー生成用デバイス38と関連付けられる。それから、一方では、エアフロー生成用デバイスおよび噴霧器をオンにすることにより液滴をユーザの表皮に放出することによって触覚効果を作り出すことが可能であり、噴霧器の口はこのエアフロー生成用デバイスの刃にできるだけ近くに配置され、そして他方では、追加エアフロー生成用デバイスおよびその関連付けられた熱処理デバイスを起動させることによる熱さまたは冷たさの感覚によって別の触覚効果を作り出すことが可能である。これらの各場合では、多感覚ケースに特定の制御モジュール14は、各コンポーネントに対して別々に起動命令を送信するように構成されて、それによって、噴霧器を同時に始動することの有無にかかわらずエアフロー生成用デバイス32を起動させることが可能であり、そして空気の熱処理デバイスを同時に起動することの有無にかかわらず追加エアフロー生成用デバイス36を起動させることが可能であることが理解されよう。
【0065】
噴霧器33は、例えば15本のバーで、ノズルの近くに配置される液体貯蔵ソース33’から来ている液体のための高圧スプレーノズルから成ることができる。これらのノズルは、ノズルを出ている液体がエアフロー生成用デバイス32によって吹きつけられるエアフローの効果で液滴の形ですぐ噴霧されるように、フレームの前面42にできるだけ近くに配置される。
【0066】
追加エアフロー生成用デバイス38と関連付けられた熱処理デバイスは、セラミックから成形される抵抗体を任意選択的に有する電気加熱システム、および/またはエアコンディショナから成ることができる。
【0067】
前部多感覚ケース4-AVはまた、それが互いからある距離をおいて配置される複数のスピーカを含むという点で特有である、音生成デバイス34を含んでおり、そして特に、高周波音生成デバイス34’および低周波音生成デバイス34”を含む。
【0068】
前述のことに続いて、感覚デバイス8は、低周波音生成デバイス34”が、高周波音生成デバイス34’の下に位置する追加エアフロー生成デバイス38の下に位置するように配置される。加えて、高周波音生成デバイスはほぼ人の高さに置かれ、その目的のために、没入型デバイスが使用される国の男性と女性の平均身長を使用することができるという理解によって、フランスの場合それは、例えば、大体において1.68mに等しい。
【0069】
音生成デバイスを含んでいるケースの部分は、高周波か低周波であるにせよ、ファブリックによってカバーすることが可能であり、その結果これらのデバイスを、音の伝搬をじゃませずにユーザによって見えないようにする。
【0070】
さらに、多感覚ケースのカモフラージュのこの文脈において、エアフロー生成用デバイス32および追加エアフロー生成用デバイス38の通風口が着脱可能なシステムによって閉じることができるようにすることが可能であり、そのためシステムが使用中でないときにはこれらのデバイスは見えない。
【0071】
多感覚ケースの少なくとも1つについて、そして、特に、図4において示される場合には、前部多感覚ケースの1つについて、発煙機39を提供することもでき、それの起動はまたケースに特定の制御モジュールによって制御される。
【0072】
第2に、図6を参照して、後部多感覚ケースを説明することができる。前に明示して、図4および6の模式的な比較によって理解可能であるように、後部多感覚ケースは特にそのサイズおよびそれがフレームにおいて含む感覚デバイスの数によって異なる。
【0073】
フレームは、図3において見えるように上方壁44において異なる形状を有し、かつグラウンドの面と平行でなくて傾けられており、そのため前面が没入型ゾーンに向けられることが意図され、それにより感覚デバイスの現れ方は対向する後面ほど高くない。
【0074】
後部多感覚ケースは、それが、多感覚ケースの上に、したがって、ユーザの上に光のビームを発するように構成される発光デバイス46を含むという点で、さらに異なる。したがって、没入型デバイスが配置される部屋の天井上に、または、没入型ゾーンの上に引っ張られるキャンバス上に、スクリーンに投影される画像の関数として放出することが可能な周辺光を投影することが可能である。
【0075】
発光デバイス46は多色の点灯デバイスから成り、それは特に多数の発光ダイオードで構成することができる。したがって、スクリーンに投影されるビデオの異なるシーンの支配的な色は、光の形で投影される。
【0076】
1つの低周波音生成デバイス34”だけが多感覚ケースにおいて設けられているという事実によってもたらされる差に留意することもできる。
【0077】
反対に、そして、前部多感覚ケースのために説明されたことによれば、後部多感覚ケース4-ARは、直接互いに上下に、すなわち、それらの間に配置される感覚デバイスなしで、カラムタイプケースにおいて、積み重ねられた感覚デバイスのセットを備えた積み重ねられたエアフロー生成用デバイス32および匂い拡散デバイス36を含む。前部多感覚ケースにおいて提案されるものとは逆に、そして、匂い拡散デバイスが後部多感覚ケースに配置されることができる高さのため、ここでエアフロー生成用デバイスは、ユーザによる匂いの認識を容易にするために匂い拡散デバイスの下に置かれる。
【0078】
このようにして、本発明による没入型デバイスは、マルチポイント放出、すなわち、没入型ゾーンに存在しているユーザの周辺のいくつかの位置から同時に、この没入型ゾーンを区切ることに関与しているスクリーン上の画像の拡散と同期する方法で異なる感覚効果を放出することのためのケースを含む。
【0079】
特に図2に示される本実施例によれば、同じ第1の高さを有する2つの前部多感覚ケース4-AVの第1のグループ、および同じ第2の高さを有する2つの後部多感覚ケース4-ARの第2のグループを提供することができる。多感覚ケースの同じグループについて、感覚デバイスが音および他の感覚要素の等質性のための同じ高さにあることが重要である。言い換えれば、スクリーンの左側に多感覚ケースに置かれる匂い拡散デバイスが、スクリーンの右側に多感覚ケースに置かれる匂い拡散デバイスとグラウンド対して同じ高さで位置することは、重要である。
【0080】
後部多感覚ケースはより小さいものであり得て、前部多感覚ケースにおいてより少ない感覚デバイスを含むことができるが、本発明によれば、各ケースが、互いに上下に積み重ねられた、それが含む感覚デバイスを有するカラム形状を有することは重要である。
【0081】
ここで、様々な感覚デバイスが、スクリーン上に投影される画像との同期した方法で、そしてユーザのまわりのいくつかの異なる位置において、良好な没入型効果を作り出すように感覚効果を放出するような、様々な感覚デバイスの制御のより詳細な説明を、特に図7を参照して提供する。
【0082】
没入型デバイス1は、一方では投影デバイス16に、そして他方では感覚デバイス8のセットに接続している、主制御モジュール12を含む。主制御モジュール12は、一方では投影デバイス16に接続していて、他方ではDMXタイプのデジタル多重化インタフェース50に、例えばUSBタイプの配線接続49を介して、好ましくは接続している、コンピュータ48を含む。
【0083】
主制御モジュール12のコンピュータ48は、スクリーンに投影される画像のシーケンスまたはビデオをモデル化しているトラック51により実装されて、このトラックの総持続時間の各モーメントで、投影される画像に従って作り出される感覚効果を関連付ける。したがって、制御モジュールは、スクリーンに投影される画像の関数として、各多感覚ケースに存在する感覚デバイスの全てを制御することが可能である。
【0084】
デジタル多重化インタフェース50またはDMXディストリビュータは、それぞれ各多感覚ケース4のボードに搭載されるDMXレシーバ52またはコンタクタに、対応するケースに存在する各ケースのための全般的制御命令I1を同時に送信する。
【0085】
レシーバまたはコンタクタ52は、各感覚デバイス用の特定の制御命令、そして特に、これらのデバイス用の起動停止命令をその後送る、各ケースに特定の制御モジュール14に実装される。
【0086】
図の例では、全般的制御命令I1は、左右の前部多感覚ケース4-AVに対して各ケースに専用の特定の制御モジュール14に、同時に送信される。第2に、特定の制御モジュール14は、対応する前部多感覚ケース4-AVに存在する各感覚デバイス8に対する特定の第1の制御命令I2、および最も近い後部多感覚ケース4-ARに存在する各感覚デバイス8に対する特定の第2の制御命令I3を送信する。
【0087】
さらに、特定の制御モジュールの一方および/または他方は、中央ケース10に存在する各感覚デバイスに対する第3の特定の制御命令I4を送信する。
【0088】
このようにして、特定のゾーンにおいて放出される特定の感覚効果は、所与の画像に対応するようにされ得る。
【0089】
本発明による没入型デバイスの一実施形態変形は、図8に示される。前に説明されたことによれば、没入型デバイス1は、湾曲したスクリーン2および没入型ゾーン6を定める複数の多感覚ケース4を含む。没入型ゾーンは湾曲したスクリーンによって特に区切られて、多感覚ケースは没入ゾーンの周辺に配置される。主多感覚ケース、または前述の前方ケースは、湾曲したスクリーンの両側の端部に置かれ、それは特に、湾曲したチューブ構造周辺に滑り込むキャンバスから成ることができるが、それはキャンバスによってカバーされているのでここでは見えていない。
【0090】
没入型デバイス1は、湾曲したスクリーンが約270°の円輪郭の弧を有するという点で、そして、ここでは、それぞれ湾曲したスクリーンの各先端に配置される2つの多感覚ケースがカラムにあるという点で、前述のものとは異なる。
【0091】
投影デバイス16は、3つの保護デバイスがここで設けられるように、ここでは90°を超えて広がっている、スクリーンの一部と特に関連付けられ、各投影デバイスは、それが最終的にユーザによって認められなければならないので、全体画像の一部をその関連付けられたスクリーン部分に投影するように構成される。
【0092】
各投影デバイス16はガントリ54に載置され、それの中央バー56は関連付けられたスクリーンの部分の上に延びる。より具体的には、ガントリは、ここでは4つあってグラウンドに固定されて規則的に分布される支柱58、ならびに、各中央バー56がスクリーン部分の1つの上に延びるように支柱を2つずつ接続する中央バーを有する。
【0093】
したがって、それは、90°の円輪郭の弧を備え、さらに、この湾曲したスクリーン部分、中央バーがその間に延びる支柱および各モジュールに特有の投影デバイスを備える、スクリーン部分を有する、複数のモジュール100を形成するものと理解される。
【0094】
このようにして、本発明の範囲を逸脱すること無く、ユーザのニーズに適切なサイズの没入型ゾーンを提供し、その一方で、並んで配置される1つまたは複数のモジュールによって、投影デバイスを制御し、そして、直列に配置されるモジュールの数の関数として、ユーザによって見られる最終画像の部分のための各投影デバイスによる投影を適応させるように構成される、没入型システムの制御モジュール12を備える、没入型デバイス1を作成することが可能である。
【0095】
この実施形態変形による没入型デバイスにおいて、そして、投影システムがいくつかの投影デバイスを含む特に270°で湾曲するスクリーンの図示されたシナリオにおいて、制御モジュールは、一方のモジュールから他方に投影される画像重複ゾーンにおいて適用できる場合、これらの投影デバイスを調整して湾曲したスクリーンに沿って連続画像を投影するように構成される。
【0096】
ここでの各投影デバイスは、没入型ゾーンの上に配置されるビデオプロジェクタを含み、ビデオプロジェクタ16はバルクを最適化するためにミラー18と以前のように関連付けられる。ビデオプロジェクタはガントリの中央バーに固着するケーシング60に固定されて、ミラーは没入型ゾーンの中央に向かってケーシングから延びているアーム先端62で支持される。ビデオプロジェクタによる画像の投影はスクリーンの反対側の方向になされて、ミラーはスクリーンの方へ、没入型ゾーンの上にかかる位置から、そして、それと関連付けられるスクリーン部分の近くに、画像を戻すように調整されて、そのため、没入型ゾーンの実質的に中央のユーザの存在は、画像の製作を妨げず、この投影の没入型性質に害を与えない。
【0097】
没入型デバイスは、各モジュールに特定の中央ケース10を含み、それは、図示の例において、クリアランスゾーン66の上に、スクリーンから引き出されて配置されるバー64によって支持される。この中央ケースがプロジェクタのサポートケースの近くで、中央バー上のスクリーンの上にかかって配置され得る点に留意すべきである。
【0098】
クリアランスゾーン66は、電子機器および特に、該当する場合、これらのクリアランスゾーンを隠すための、ここでは四角の、パーティション68を備える制御モジュールを収容するのを可能にする。パーティション68は、没入型ゾーン6へのユーザによるアクセスのための開口70を有する。
【0099】
次に、本発明による没入型デバイスの例示的な用途について説明するが、この用途では、ユーザに、適切な環境で製品をテストさせ、例えばビーチを表す環境で日焼けオイルをテストさせることを目的とする。
【0100】
引用できる例示的な用途のほとんどの場合と同様に、多感覚ケースは、空気の拡散と音の拡散をほぼ体系的に生成するように制御され、したがって、他のあらゆる感覚効果の生成と同時に行われる。音は連続的に拡散されて、特に各感覚効果の動作ノイズをカバーする。加えて、ユーザに風の存在を感じてもらいたい場合と、臭いの拡散に関与するために嗅覚効果を生成したい場合の両方で、エアフローが拡散される。各ケースのエアフロー生成用デバイスを形成している換気装置の存在により、風の認識の最適再現が没入型ゾーンの任意の場所から到来する風の知覚を最適に再現でき、噴霧および匂い効果の適切な搬送を改善することができる。
【0101】
投影画像が、風の影響で葉が動くヤシの木に対応する場合、制御モジュールはDMXインタフェースを介して各エアフロー生成用デバイスに、また該当する場合には追加エアフロー生成用デバイスに命令を送信し、葉を動かす一陣の風を表すエアフローを生成する。
【0102】
その後で、投影された画像がより強い風の影響で形成される波に対応する場合、制御モジュールは、DMXインタフェースを介して各エアフロー生成用デバイスに、また該当する場合には追加エアフロー生成用デバイスに命令を送信して、このより強い一陣の風を表すエアフローを生成し、そして各噴霧器に他の命令を送信して、ユーザが波によって形成される湿気を感じるように、エアフロー生成用デバイスによって分散される液滴の形成を引き起こす。
【0103】
したがって、ユーザは、テスト対象の製品が使用されるであろう状況で、自分がビーチにいるように本当に感じることができ、製品をテストすることに完全に取り込まれる。
【産業上の利用可能性】
【0104】
ほかの用途、例えばレクリエーションまたは医療の用途を実装することもできる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8