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特許7072760太陽電池モジュールのリサイクル方法及びこれに用いるリサイクル装置
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  • 特許-太陽電池モジュールのリサイクル方法及びこれに用いるリサイクル装置 図1
  • 特許-太陽電池モジュールのリサイクル方法及びこれに用いるリサイクル装置 図2
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  • 特許-太陽電池モジュールのリサイクル方法及びこれに用いるリサイクル装置 図8
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-13
(45)【発行日】2022-05-23
(54)【発明の名称】太陽電池モジュールのリサイクル方法及びこれに用いるリサイクル装置
(51)【国際特許分類】
   B09B 3/30 20220101AFI20220516BHJP
   H02S 40/00 20140101ALI20220516BHJP
【FI】
B09B3/00 Z ZAB
H02S40/00
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2018103462
(22)【出願日】2018-05-30
(65)【公開番号】P2019205982
(43)【公開日】2019-12-05
【審査請求日】2021-01-05
(73)【特許権者】
【識別番号】599114760
【氏名又は名称】東芝環境ソリューション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107928
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正則
(72)【発明者】
【氏名】諸澤 泰裕
(72)【発明者】
【氏名】瀬川 昇
【審査官】柴田 啓二
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-229211(JP,A)
【文献】特開2015-110201(JP,A)
【文献】特開2018-030123(JP,A)
【文献】特開2001-148486(JP,A)
【文献】特開2017-034004(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B09B 3/00
B09B 5/00
H02S 40/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス基盤を備え、太陽電池積層体とアルミフレームが有機性接着剤またはシーリング材を有する充填剤部を用いて接合された太陽電池モジュールを固定する第1工程と、
アームの基準線に沿った一次元方向に移動可能でかつ斜めにカットした刃先の先端部を有するアーム部を前記充填剤部に前記刃先が食い込む方向に前記アーム部を挿入する第2工程と、
前記アルミフレームの回転を抑えながら、前記アーム部を前記一次元方向に移動させて前記アルミフレームを前記太陽電池積層体から取り外す第3工程と、
を備える太陽電池モジュールのリサイクル方法。
【請求項2】
前記太陽電池積層体の表面と裏面に形成された充填剤部に前記刃先を同時に食い込ませる第2工程を有する請求項1に記載の太陽電池モジュールのリサイクル方法。
【請求項3】
前記アーム部の移動方向は前記太陽電池積層体の表面と平行する前記一次元方向である、請求項1に記載の太陽電池モジュールのリサイクル方法。
【請求項4】
前記アーム部の移動する方向とは反対方向でかつ前記アーム部の少なくとも中心線上の表面で前記太陽電池モジュールを固定する、請求項1に記載の太陽電池モジュールのリサイクル方法。
【請求項5】
前記アーム部の移動する方向とは反対方向でかつ前記アーム部の中心線を基準として左右対称となる2点の表面で前記太陽電池モジュールを固定する、請求項1に記載の太陽電池モジュールのリサイクル方法。
【請求項6】
前記太陽電池積層体は、前記ガラス基盤と、前記ガラス基盤の片面に平面状に配列された一つ以上の太陽電池単位セルと、前記一つ以上の太陽電池単位セルを覆う樹脂製のバックシートと、を有し、
前記アルミフレームは、前記太陽電池積層体の外周部に額縁状に装着され、前記アルミフレームの内部に充填された前記充填剤部を介して前記太陽電池積層体に接合されている請求項1に記載の太陽電池モジュールのリサイクル方法。
【請求項7】
ガラス基板を備え、太陽電池積層体とアルミフレームが有機性接着剤またはシーリング材を有する充填剤部を用いて接合された太陽電池モジュールを固定するクランプ部と、
アームの基準線に沿った一次元方向に移動可能でかつ斜めにカットした刃先のアーム先端部を有し、前記充填剤部に前記刃先が食い込む方向に挿入可能なアーム部と、
前記アルミフレームの回転を抑えながら、前記アーム部を前記一次元方向に移動させて前記アルミフレームを前記太陽電池積層体から取り外す圧力駆動部と、
を備える太陽電池モジュールのリサイクル装置。
【請求項8】
前記アーム部は、前記太陽電池積層体の表面と裏面に形成された充填剤部に前記刃先を食い込ませる複数の前記アーム先端部を有する請求項に記載の太陽電池モジュールのリサイクル装置。
【請求項9】
前記刃先は、前記一次元方向に対しての角度θが、45°以上、80°以下である請求項に記載の太陽電池モジュールのリサイクル装置。
【請求項10】
前記クランプ部は、前記アーム部の移動する方向とは反対方向でかつ前記アーム部の少なくとも中心線上に配置された請求項に記載の太陽電池モジュールのリサイクル装置。
【請求項11】
前記クランプ部は、前記アーム部の移動する方向とは反対方向でかつ前記アーム部の中心線を基準として左右対称となる2点に配置された請求項に記載の太陽電池モジュールのリサイクル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、ガラス基盤の片面に1つ以上の太陽電池単位セルを平面状に配列し、それらを樹脂性のバックシートで覆うことで形成される太陽電池積層体に対し、この積層体の強度向上、または架台設置工事時における作業性の向上を目的として、太陽電池積層体外周部に額縁状に装着されるアルミフレームの取り外しについての太陽電池モジュールのリサイクル方法及びこれに用いるリサイクル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池モジュールは図1に示すように太陽電池積層体1、集電ボックス2、太陽電池積層体1の辺ごとに分割された複数のアルミフレーム3から構成される。太陽電池モジュールのリサイクル工程においては、前処理工程として太陽電池積層体1から集電ボックス2及びアルミフレーム3の取外し処理を行い、後処理工程として太陽電池積層体1の破壊、分別処理を行うことが一般的である。これは集電ボックス2やアルミフレーム3が太陽電池積層体1に比べて資源価値(銅、アルミ等)が高く、また分別が容易なためである。
【0003】
以下に太陽電池モジュールの詳細な構造および従来のアルミフレーム3の取り外しにおける問題点を記載する。
尚、以下の図面では、同一部分は同一番号を付し、一度説明した部分はその詳細な説明を省略する。
【0004】
図2は、図1に示した太陽電池モジュールの一部である太陽電池積層体1とアルミフレーム3の断面図を示す。太陽電池積層体1は、構成するアルミフレーム3のコの字部分4に挿し込むように固定され、このコの字部分4の内部に充填された有機性接着剤5、またはシーリング材を用いて接合される。また、この太陽電池モジュールは、太陽電池モジュール設置用架台に接続する設置部6を有する。
【0005】
図3に太陽電池モジュールの一部であるアルミフレーム角接合部の透過図を示す。アルミフレームの角の接合部はねじ7(図3(a))、または返しのついたL型楔状のアルミ部材8(図3(b))によって接合されており、図2に示すような外周部に比べアルミフレーム接合の鉛直方向に対して数倍から数十倍の非常に高い強度をもつ。
【0006】
アルミフレームの取外し方法としては、設置部6等に対しては外方向の外力21、22を加えて外す方法、また専用の解体装置を用いた方法が知られている(特許文献1)。
【0007】
太陽電池モジュールのアルミフレーム3は、この外力21、22を加えて押し出しする方法により、太陽電池積層体1から取り外すことが可能となる。
【0008】
しかし、アルミフレーム3を太陽電池積層体1から取り外す場合、図2に示した外周部で数100N以上、図3に示した補強された角接合部では1kN以上の大きな力を必要とする。これらの力を外力21、22としてアルミフレーム3に加えた場合、コの字部分4を支点として引抜き方向にモーメントが発生し太陽電池積層体1を破壊してしまう(図4(a))。ここで、太陽電池積層体1のガラス基盤40を含めた詳細な構造の断面図を図4(b)に示した。ガラス基盤40の片面に太陽電池単位セルとバックシート41を積層した構造となっている。ここでの太陽電池積層体1の破壊について、特にこのガラス基盤40が破壊されることが問題となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2014-116363号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、アルミフレームに対して回転方向の力を加えることなく、安定して取り外し方向の力を加えることにより、太陽電池積層体のガラス基盤の破損を伴わずアルミフレームの取外しが可能な太陽電池モジュールのリサイクル方法及びこれに用いるリサイクル装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一実施形態に係る太陽電池モジュールのアルミフレーム取り外しのリサイクル装置は、ガラス基板を備え、太陽電池積層体とアルミフレームが有機性接着剤またはシーリング材を有する充填剤部を用いて接合された太陽電池モジュールを固定するクランプ部と、アームの基準線に沿った一次元方向に移動可能でかつ斜めにカットした刃先のアーム先端部を有し、前記充填剤部に前記刃先が食い込む方向に挿入可能なアーム部と、前記アルミフレームの回転を抑えながら、前記アーム部を前記一次元方向に移動させて前記アルミフレームを前記太陽電池積層体から取り外す圧力駆動部と、を備える。
【0012】
また、本発明の一実施形態に係る、太陽電池モジュールのアルミフレーム取り外しによる太陽電池モジュールリサイクル方法は、ガラス基盤を備え、太陽電池積層体とアルミフレームが有機性接着剤またはシーリング材を有する充填剤部を用いて接合された太陽電池モジュールを固定する第1工程と、アームの基準線に沿った一次元方向に移動可能でかつ斜めにカットした刃先の先端部を有するアーム部を前記充填剤部に前記刃先が食い込む方向に前記アーム部を挿入する第2工程と、前記アルミフレームの回転を抑えながら、前記アーム部を前記一次元方向に移動させて前記アルミフレームを前記太陽電池積層体から取り外す第3工程と、を備えるものである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】従来技術に係る太陽電池モジュール背面図
図2】アルミフレーム断面図
図3】アルミフレーム接合図
図4】アルミフレームの回転による太陽電池積層体の破壊を説明する図。
図5】本発明の実施形態に係るアルミフレーム取外し装置の外略図(平面図)
図6】本発明の実施形態に係るアルミフレーム取外し装置の外略図(側面図)
図7】本発明の実施形態に係る装置の要部拡大図
図8】本発明の実施形態に係る装置の要部拡大図
【発明を実施するための形態】
【0014】
(第1の実施形態)
この実施形態として、本発明の太陽電池モジュールのリサイクル方法に主として使用するアルミフレームの取外し装置を、図5図8を参照して説明する。尚、この装置は、本発明の太陽電池モジュールのリサイクル方法以外の方法にも使用可能である事はいうまでもない。
【0015】
本発明に係る装置は、太陽電池積層体1を作業台15上に置いて動かないように固定するクランプ部10、11を有する。また、係る装置は、アルミフレームを取り外す治具であるアーム部12を有し、取外し方向に油圧で動作する圧力駆動部13を有する(図5)。圧力駆動部13は油圧で動作するものに限定されるものではなく、電動モーター等で作動する電機式・機械式のアクチュエーターであっても良い。15は、被処理用の太陽電池モジュールを置く作業台である。
【0016】
クランプ部10、11は、アルミフレームの取外し時に太陽電池モジュールの太陽電池積層体1が移動、回転することを抑制するための固定器具である。また、クランプ部10、11は、アーム部12の移動する方向とは反対方向でかつアーム部12の中心線上14を基準として、少なくとも中心線上の1点10、望ましくは左右対称となる2点11を含む複数点を抑えることが可能な構造を有する。これにより、アルミフレームの取外しの際に確実に太陽電池積層体1を固定し、太陽電池積層体1と相対的な位置関係においてアルミフレームの回転を防止することができる。
【0017】
図7は、アーム部分12を示したもので、開いた状態の拡大図である(図7(a) )。また、このアーム部分12が閉じた状態も示した(図7(b))。
この上下の複数の刃先を有するアーム先端部17に分かれたアーム部12の形状をここでは楔形のアーム部12と呼ぶ。この楔形のアーム部12のアーム先端部17の各サイズについて説明する(図7(b))。
【0018】
具体的なサイズとしてa=30mm~50mm、 b≧50mm、c=a-10mm~20mmであることが望ましい。また、d=0~5mmであることが望ましい。これは、以下の理由による。即ち、太陽電池積層体とアルミフレームの接合部であるコの字部分4は(図4(a))、バックシート41面側に比べガラス基盤40面側の方が短い場合が多い(図4(b))。これは、太陽電池モジュールの受光面にあたるガラス基盤40面側の接合面積を減らすことで受光面の面積を広く確保するためであり、また背面側にあたるバックシート41面側を長くすることで接合面積を増やし強度を確保することが可能となる。このため、引抜きアームのアーム先端部17はガラス基盤40面側を0~5mm長い構造とすることでアルミフレームを太陽電池積層体1から平行に引き抜くことが可能となる。この際、実際のコの字部分4の寸法とアーム先端部17上下の長さ寸法が多少異なっていたとしても、ガラス基盤40面側のアーム先端部17が長いことで、引抜き時においてアルミフレームの回転によるガラス基盤40の破壊9を抑制することができる為である。
【0019】
また、e=50~80mmであることが望ましい。これは、太陽電池モジュール厚と下刃の隙間分の幅の合計との理由からである。また、アーム先端部の刃先は斜めにカットされておりこの角度θは、アーム部をアーム先端部の刃先が充填剤部に食い込む一次元方向を基準とした角度にもなっている。この角度θは、45°≦θ≦80°であることが望ましい。それは、アーム先端部17における上刃に対して下刃が外れる場合があるため、アルミフレームの隙間に入りこむ構造上必要だからである。この実施形態では例えばθは70°とした。また、上刃及び下刃の刃先の材質は、例えばS45Cである。アルミフレーム(モース硬度比較(以下同様)として硬度2.5~3.0)に対し先の材質が鉄(硬度4~5)の場合引抜き時に摩耗があるため、硬度6以上の材料が望ましい為である。
【0020】
楔形のアーム先端部17を有するアーム部分12は、開いた状態からスプリング機構70を介して外力50方向に閉じる構造になっている(図7(a))。図6に示す如く、アーム部分12の先端部17が、太陽電池積層体1とアルミフレーム3との間に形成された充填材5に、閉じた状態で食い込む様になっている。
【0021】
以上の実施形態に係る装置は、太陽電池積層体の受光面を構成するガラス基盤が、外部からの衝撃に対して脆く、容易に破壊されるといった問題を解消できる効果を有する。また、ガラス基板が破壊された場合、運搬やリサイクル処理の際に小さなガラス片となって周囲に飛散するため、作業の安全性の確保といった問題も解消できるという効果を有する。さらに、ガラス基板が破壊された太陽電池積層体は、背面のバックシートを内側とした強い反りを生じる性質がある。その為、本来、板状の太陽電池積層体を処理することを想定したリサイクル方法は、反りが生じてロール状となった太陽電池積層体には適用が困難となり、処理コストの増大といった問題も解消できるという効果を有する。
【0022】
(第2の実施形態)
太陽電池モジュールのリサイクル方法について、一例として上記太陽電池モジュールのリサイクル装置を用いたアルミフレームのリサイクル方法を説明する。
【0023】
まず、第1工程として、被処理用の太陽電池モジュールの太陽電池積層体1を回転させることなく確実に固定する(図6)。上記アルミフレームのリサイクル装置を使用することにより、作業台15上に被処理用の太陽電池モジュールを置いて準備し、クランプ10で太陽電池積層体1を固定することで、太陽電池モジュール全体を確実に固定することができる。
【0024】
次いで、第2工程として、このアルミフレーム3に密着する充填剤部5にアーム部17の刃先が食い込む方向にアーム部12を挿入する(図8(a))。図8は、楔形のアーム部12が太陽電池モジュールを処理している状況を説明する図である。
【0025】
この工程では、図5図8に示す如く、アーム部12は、アルミフレーム側面部16に密着して支持し、アルミフレーム3に回転方向への力が加わることを防ぐとともに、アルミフレーム3のコの字部分上下4、5に爪がかかる様に、アーム先端部17を斜めにカットした楔型のアーム部12の刃先を充填材部5に食い込ませる(図8(a))。太陽電池積層体1の表面及び裏面にそれぞれアーム先端部17の刃先がそれぞれの充填材に食い込む様になっている(図8(a))。即ち、太陽電池積層体1は表面とこれに対抗する裏面を有しているが、その太陽電池積層体1の表面と裏面に形成された充填剤部に上下2つに分かれた複数のアーム先端部17の刃先を同時に食い込ませることができる(図8(a))。上記アーム部12は、アルミフレーム3の側面部16に密着して支持し、回転方向への力が加わることを防ぐとともに、アルミフレーム3のコの字部分上下4、5に上刃及び下刃のそれぞれが、かかる構造を有する(図8(a))。ここで、コの字部分のアルミは厚さが1mm未満と薄く、取外し時に数100N~1kN以上の力を加えた場合、アーム部12が外れてしまう危険性があるが、アーム部12の先端部を斜めにカットした楔型構造とすることにより、充填材部に食い込ませることでこれを抑制している。
【0026】
最後に、第3の工程として、太陽電池積層体の回転を抑えながら、アーム部12をその上下の刃先が食い込む方向に移動させてアルミフレーム3を取り外す。アーム部12 を圧力駆動部によって太陽電池モジュールとは反対方向50、即ち太陽電池積層体1の表面と平行する方向50に引っ張る(図8(b)) 。このアーム部先端部17を食い込ませるアーム部12の移動方向と、圧力駆動部の取外し方向は一致している。ここで、圧力駆動部は取外し方向に最大2kN、駆動幅20cm以上の機能を有することが望ましく、これにより確実にアルミフレームの除去を可能にする(図8(b))。
【0027】
本実施形態の装置を用いたアルミフレームの取外し方法では、アルミフレームの取外しの際、太陽電池モジュールの各辺の中央部から開始した場合、アルミの変形によって生じる太陽電池積層体の歪みによって、太陽電池積層体のガラス基盤を破壊してしまう方向に力が働くことが抑えられる。このため、ガラス基盤の破壊を抑えつつ、太陽電池モジュール短辺の角接合部から30cm以内を1点目とし、時計回り、または反時計回りに順に取り外しを行うことが可能である。
【0028】
太陽電池モジュールが長方形でない多角形(三角形、台形、五角形等)の場合も短辺の角接合部から30cm以内を1点目とし、同様の手順にて取り外しを行うことができる。
【0029】
本発明により、太陽電池モジュールのリサイクル処理における前処理工程において、ガラス基盤を破壊することなくアルミフレームの取外しを行うことができる。これにより、様々なリサイクル方法が検討されている太陽電池モジュールの後処理工程に対し、安定して太陽電池積層体を供給することができる。
【0030】
また、本発明における装置はクランプ部、アーム部、圧力駆動部から構成されるが、外部機器(電源、モーター等)を必要とするのは圧力駆動部のみである。このため装置の小型化、低コスト化が容易であり、作業時における操作を簡便にすることが可能である。
【符号の説明】
【0031】
1 太陽電池積層体
2 集電ボックス
3 アルミフレーム
4 アルミフレームのコの字部分
5 充填材
6 架台接続用設置部
7 固定用ネジ
8 L型楔状のアルミ部材
9 アルミフレームの回転による太陽電池積層体の破壊部
10 アーム直線上のクランプ
11 アームに対して左右対称な2点クランプ
12 アーム部
13 圧力駆動部
14 アームの基準線
15 作業台
16 アルミフレーム側面部
17 楔形のアーム先端部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8