(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-13
(45)【発行日】2022-05-23
(54)【発明の名称】低圧水銀ランプ及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01J 9/395 20060101AFI20220516BHJP
H01J 61/28 20060101ALI20220516BHJP
H01J 61/30 20060101ALI20220516BHJP
【FI】
H01J9/395 D
H01J61/28 L
H01J61/30 R
(21)【出願番号】P 2018170149
(22)【出願日】2018-09-12
【審査請求日】2021-04-15
(31)【優先権主張番号】P 2017190679
(32)【優先日】2017-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000192
【氏名又は名称】岩崎電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135965
【氏名又は名称】高橋 要泰
(74)【代理人】
【識別番号】100100169
【氏名又は名称】大塩 剛
(72)【発明者】
【氏名】鹿又 憲紀
(72)【発明者】
【氏名】西田 定治
(72)【発明者】
【氏名】伊比 隆史
【審査官】大門 清
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-165377(JP,A)
【文献】実開昭50-006983(JP,U)
【文献】特開昭50-026374(JP,A)
【文献】特開2006-209993(JP,A)
【文献】特開平04-280033(JP,A)
【文献】米国特許第05923121(US,A)
【文献】特開昭57-180040(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01J 9/395
H01J 61/28
H01J 61/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
低圧水銀ランプの製造方法において、
金属製押さえを有する電極マウントを発光管内に挿入し、
前記金属製押さえを、前記発光管の内面に形成された凹部近傍に位置決めし、
前記発光管の端部をピンチシールし、
前記発光管内に、排気管を経由してアマルガムを封入し、
前記発光管を排気し、
前記アマルガムを、前記金属製押さえと前記発光管に形成された凹部とに対して加熱溶着して該発光管の凹部に固定する、アマルガムの固定方法を含む、製造方法。
【請求項2】
低圧水銀ランプにおいて、
両端付近の内面に凹部が夫々形成された発光管と、
金属製押さえを有し、前記発光管内に挿入された電極マウントと、
前記凹部に位置決めされたアマルガムとを備え、
前記金属製押さえは、前記アマルガムの少なくとも一部を覆うように配置されている、低圧水銀ランプ。
【請求項3】
請求項2に記載の低圧水銀ランプにおいて、
前記アマルガムは、加熱溶着により前記凹部に位置決め固定されている、低圧水銀ランプ。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の低圧水銀ランプにおいて、
前記金属製押さえは、弾性を有する金属箔を有している、低圧水銀ランプ。
【請求項5】
請求項4に記載の低圧水銀ランプにおいて、
前記金属箔は、モリブデンMo、タングステンW、ニッケルNi、ニオブNb、及びアルミニウムAlからなる群から選択された金属から形成されている、低圧水銀ランプ。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の低圧水銀ランプにおいて、
前記電極マウントは、ガラス製のステイを有し、
前記金属箔は、前記ガラス製のステイに保持されたリード棒に取り付けられている、低圧水銀ランプ。
【請求項7】
請求項6に記載の低圧水銀ランプにおいて、
前記リード棒の一部は、前記発光管に形成された凹部の方向へ延在している、低圧水銀ランプ。
【請求項8】
請求項6又は7に記載の低圧水銀ランプにおいて、
前記リード棒は、前記ガラス製のステイに固定された第1のリード棒と、第1のリード棒に接続された第2のリード棒からなり、
前記金属箔は、前記第2のリード棒の先端に取り付けられている、低圧水銀ランプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低圧水銀ランプ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
低圧水銀ランプは、点灯中の発光管内の水銀蒸気圧が、100 Pa以下のアーク放電を利用したランプである。低圧水銀ランプは、主として、流水殺菌装置、紫外線酸化水処理装置等に利用されている。低圧水銀ランプを使用した水処理槽の代表例として、飲料用の浄化槽で使用される流水殺菌処理装置、半導体製造で使用される超純水生成のための紫外線酸化水処理装置がある。
【0003】
紫外線酸化水処理装置を例にとって説明する。
図1Aは、複数本の水冷ジャケット(「スリーブ」ともいう。)6が、水平方向に配置された横型水処理槽10-1を示す図である。一方、
図1Bは、複数本の水冷ジャケット6が、垂直方向に配置された縦型水処理槽10-2を示す図である。いずれの水処理槽10-1,10-2においても、処理対象の水は、給水口2から水処理槽内部に給水され、水冷ジャケット6の周囲を通過しながら紫外線処理され、排水口4から外部へ排水される。大規模なプラントの水処理槽では、数百本の低圧水銀ランプ8が備えられ、処理される水量は40万トン/日にも達する。
【0004】
図2Aは、低圧水銀ランプの構成を説明する図である。各水冷ジャケット6の内部には、
図2Aに示すように、両端部にベース12-1,12-2を夫々有する1本の発光管8-1が挿入され、ベース12-1,12-2は、水冷ジャケット6の内周面に接触した状態になっている。
【0005】
低圧水銀ランプ8の発光効率は、ベース12-1,12-2近傍に位置するランプの最冷部温度で決定される。ランプ点灯中は、ベース12-1,12-2を冷却してランプ最冷部温度を所定の温度(35~45℃)に維持することで、ランプを高い照度で点灯させることが出来る。
低圧水銀ランプ8には、水銀又はアマルガム(水銀と他の金属との合金)が封入されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2006-209993「低圧水銀蒸気放電ランプの製造方法及び低圧水銀蒸気放電ランプ」(公開日2006/08/10)出願人:ニッポ電機株式会社(特許第4621508号)
【文献】特表2010-535396「アマルガム室を持つアマルガムカプセルを備えた低圧水銀放電ランプ」(公表日2010/11/18)出願人:コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ(特許第5174148号)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
低圧水銀ランプにおいて、ランプの発光効率を安定的に維持するため、アマルガムは、発光管内の電極付近に位置する最冷部に固定することが好ましい。このため、アマルガムを最冷部に位置する発光管の内壁に加熱溶着して固定していた。
【0008】
しかし、アマルガムはランプを輸送する際の振動等の外力や縦型水処理槽でランプを点灯する際に、発光管の所定の個所から移動することがあった。
アマルガムは、発光管の所定の箇所から移動すると、ランプ発光時の発光管内の水銀蒸気圧が変動し、適正な動作温度から外れてしまい、紫外線放射量が減衰してしまう。
【0009】
従って、本願発明は、発光管内のアマルガムを所定の箇所に安定的に固定し、紫外線強度を高く維持した低圧水銀ランプ及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的に鑑みて、本発明に係る低圧水銀ランプの製造方法は、発明の一面では、金属製押さえを有する電極マウントを発光管内に挿入し、前記金属製押さえを、前記発光管の内面に形成された凹部近傍に位置決めし、前記発光管の端部をピンチシールし、前記発光管内に、排気管を経由してアマルガムを封入し、前記発光管を排気し、前記アマルガムを、前記金属製押さえと前記発光管に形成された凹部とに対して加熱溶着して該発光管の凹部に固定する、アマルガムの固定方法を含んでいる。
【0011】
更に、本発明に係る低圧水銀ランプは、発明の一面では、両端付近の内面に凹部が夫々形成された発光管と、金属製押さえを有し、前記発光管内に挿入された電極マウントと、前記凹部に位置決めされたアマルガムとを備え、前記金属製押さえは、前記アマルガムの少なくとも一部を覆うように配置されている。
【0012】
更に、本発明に係る低圧水銀ランプでは、前記アマルガムは、加熱溶着により前記凹部に位置決め固定されていてもよい。
更に、本発明に係る低圧水銀ランプでは、前記金属製押さえが弾性を有する金属箔を備えていてもよい。
更に、本発明に係る低圧水銀ランプでは、前記金属製押さえは、弾性を有する金属箔を有していてもよい。
【0013】
更に、本発明に係る低圧水銀ランプでは、前記金属箔は、モリブデンMo、タングステンW、ニッケルNi、ニオブNb、及びアルミニウムAlからなる群から選択された金属から形成されていてもよい。
更に、本発明に係る低圧水銀ランプでは、前記電極マウントは、ガラス製のステイを有し、前記金属箔は、前記ガラス製のステイに保持されたリード棒に取り付けられていてもよい。
更に、本発明に係る低圧水銀ランプでは、前記リード棒の一部は、前記発光管に形成された凹部の方向へ延在していてもよい。
更に、本発明に係る低圧水銀ランプでは、前記リード棒は、前記ガラス製のステイに固定された第1のリード棒と、第1のリード棒に接続された第2のリード棒からなり、前記金属箔は、前記第2のリード棒の先端に取り付けられていてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本願発明によれば、発光管内のアマルガムを所定の箇所に安定的に固定し、紫外線強度を高く維持した低圧水銀ランプ及びその製造方法を提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1A】
図1Aは、低圧水銀ランプが使用されている紫外線酸化水処理装置を示す図であり、複数本の水冷ジャケットが、水平方向に配置された横型水処理槽を説明する図である。
【
図1B】
図1Bは、低圧水銀ランプが使用されている紫外線酸化水処理装置を示す図であり、複数本の水冷ジャケットが、垂直方向に配置された縦型水処理槽を説明する図である。
【
図2A】
図2Aは、低圧水銀ランプの構成を説明する図である。
【
図2B】
図2Bは、
図2Aに示す低圧水銀ランプの発光管の端部付近の発光管、ベース、水冷ジャケットの位置関係を説明する図である。
【
図3A】
図3Aは、一方の側の金属製押さえを有する電極マウント単体の側面図である。
【
図3B】
図3Bは、一方の側の金属製押さえを有する電極マウント単体の正面図である。
【
図3C】
図3Cは、
図2A示す低圧水銀ランプの発光管の凹部を切断し、且つランプ軸線を含む面で見た発光管端部付近の部分切断面図である。
【
図3D】
図3Dは、
図3Cの切断面と垂直な関係で、低圧水銀ランプのランプ軸線を含む面で見た発光管端部付近の部分切断面図である。
【
図4A】
図4Aは、発光管の凹部と電極マウントの金属製押さえとを利用して、アマルガムを固定した発光管の状態を説明する模式図である。
【
図4B】
図4Bは、発光管の凹部を真上から見た模式図である。
【
図4C】
図4Cは、発光管の凹部に入ったアマルガムを、電極マウントの金属製押さえを利用して固定した状態を真上から見た模式図である。
【
図5】
図5は、低圧水銀ランプの製造方法の内、本実施例に関するアマルガムの固定方法を説明するフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る本発明は、低圧水銀ランプ及びその製造方法の実施形態に関し、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。図中、同じ要素に対しては同じ参照符号を付して、重複した説明を省略する。
【0017】
[低圧水銀ランプ]
(低圧水銀ランプの構造)
図2Aは、低圧水銀ランプ8を示す図である。低圧水銀ランプ8の発光管8-1は、石英ガラスから形成されている。発光管8-1の内部には、アマルガムが封入されている。アマルガムは、水銀Hgに加えて、インジウムIn、ビスマスBi、スズSn、及び鉛Pbの少なくとも1種類の金属が含まれる合金である。一般に、他の金属の割合は、水銀Hgに対し5 重量%以下である。
【0018】
なお、
図2Aに示す発光管は、直管形であるが、これに限定されない。本実施形態は、U形、W形、M形等の他の形状の発光管に関しても、電極部の構造が同じであるため適用可能である。
【0019】
低圧水銀ランプ8は、発光管8-1の両端部にベース(口金)12-1,12-2を夫々備え、ベース12-1,12-2が、発光管の最冷部である発光管端部を覆っている。ベース12-1,12-2は、発光管8-1を固定し、発光管端部の破損防止のカバーである。ベース12-1,12-2は、セラミックス、金属、耐紫外線性を有する弾性体樹脂(例えば、フッ素樹脂)によって形成される。
【0020】
(低圧水銀ランプが水冷ジャケット内で位置決め・保持されている構造)
図2Bは、低圧水銀ランプが、水冷ジャケット内の所定位置に位置決め・保持されている構造を説明する図である。ここで、(A)は、ランプ端部付近のランプ軸線に沿って切断した一部切断面図であり、(B)は、B-B切断面図である。
【0021】
水冷ジャケット6の内部に発光管8-1が配置されている。水冷ジャケット6は、ランプと被処理水の間の絶縁及びランプ破損保護のために設けられ、紫外線透過性を有する部材(例えば、石英ガラス)から成る。
【0022】
発光管8-1は、一端で、ベース12-2に取り付けられている。ベース12-2は、ベース位置決め保持部材16によって、水冷ジャケット6の内部の所定の位置に保持されている。ランプの反対側端部も同様の構造である。
【0023】
図2Bに示すように、ベース12-1,12-2は、水冷ジャケット6に接触した状態で発光管8-1を支えている。従って、発光管8-1の最冷部は、点灯時の高温の発光管8-1の温度と、被処理水で冷やされた水冷ジャケット6に接触した低温のベース12の温度との両方の影響を受ける。被処理水の水温は、通常、25°C程度である。
【0024】
一般に、低圧水銀ランプ8の紫外線出力は、ランプ点灯時の発光管内のアマルガムの蒸気圧によって左右される。発光管管璧の最冷部を温度制御することにより、ランプ内部の水銀蒸気圧を制御することが出来る。発光管管璧の最冷部を約40°Cに維持し、アマルガムを約80~120℃に維持することにより、低圧水銀ランプ8から放射される波長254nmの紫外線出力が最大となる。
【0025】
(アマルガムの固定手段)
図3Aは、一方の側の金属製押さえを有する電極マウント単体の側面図である。
図3Bは、一方の側の金属製押さえを有する電極マウント単体の正面図である。低圧水銀ランプ8は交流駆動であり、反対側の端部も同じ電極マウント構造となっている。
【0026】
発光管外部から延在する電極リード線22の先端にアノード22-1が接合されている。アノード22-1の手前に、電子放射物質が塗布されたフィラメント22-2が接合されている。電極リード線22は、2本のガラス製部材で形成されたステイ24により、両側から挟持して保持されている。
【0027】
電極マウントの一部を構成する金属製押さえ18は、ガラス製のステイ24によって保持されたモリブデンMoで形成された第1のリード棒18-1と、この第1のリードの先端に取り付けられたニッケルNiで形成された第2のリード棒18-2、更にこの第2のリード棒の先端に板状の金属箔18-3とを有している。第1のリード棒18-1の一部はL字に折れ曲がって、発光管8-1に形成された凹部20の方向へ延在している。この第1のリード棒18-1の先端に第2のリード棒18-2が取り付けられ、この第2のリード棒の先端に板状の金属箔18-3が取り付けられ、この金属箔18-3は発光管8-1の凹部20の少なくとも一部を覆っている。
金属箔18-3は、モリブデンMo、タングステンW、ニッケルNi、ニオブNb、及びアルミニウムAlのいずれかから形成される。これらの材質の選定理由は、次の通りである。
(1)水銀とアマルガムを形成しない材質であること、
(2)後で説明する製造方法のステップ7の加熱溶融工程に耐えうる高融点材質であること、
(3)一定の弾性を有して、アマルガムを押さえる機能を有する材質であること。
【0028】
次に、
図3A及び
図3Bに示した電極マウントを発光管内に位置決めし、その後、封入したアマルガムを発光管凹部及び金属製押さえに対して溶着した状態を説明する。
図3Cは、
図2A示す低圧水銀ランプの発光管8-1の凹部20を切断し、且つランプ軸線を含む面で見た発光管端部付近の部分切断図である。
図3Dは、
図3Cの切断面と垂直な関係で、低圧水銀ランプ8のランプ軸線を含む面で見た発光管端部付近の部分切断図である。発光管8-1の端部付近には、内面から凹部20が形成されている。
【0029】
低圧水銀ランプ8の実施例の1つの仕様は、次の通りである。
ランプ:直管形、 ランプ電力110 W、 ランプ電流1.38 A、 ランプ長(ベース端部間)1,020 mm、 ランプ径φ17 mm、
凹部形状:縦5 mm×横5 mm×深さ1 mmの角が丸まった四角形
金属製押さえの第1のリード棒18-1:φ0.4mm×7mm(延べ長さ)
金属製押さえの第2のリード棒18-2:φ0.6mm×3mm
金属製押さえの金属箔:幅5 mm×厚み35μm×長さ10 mm
【0030】
図4Aは、発光管8-1の凹部20と電極マウントの金属製押さえ18とを利用して、アマルガム26を固定した発光管8-1の状態を説明する模式図である。石英製の発光管8-1の内面に凹部20が形成されている。金属製押さえ18を利用して、凹部20の内部にアマルガム26が固定され、両者に溶着されている。ここで、
図4A(a)は、金属製押さえ18aが、凹部20の開口面積の約1/3を覆った状態である。
図4A(b)は、金属製押さえ18bが、凹部20の開口面積の約2/3を覆った状態である。
【0031】
図4A(a)の約1/3を覆った状態では、アマルガム26の表面形状は符号26aに示すようになる。アマルガム26は、凹部20及び金属製押さえ18aの両方に溶着している。
図4A(b)の約2/3を覆った状態では、アマルガム26の表面形状は符号26bに示すようになる。アマルガム26は、凹部20及び金属製押さえ18bの両方に溶着している。
表面形状26a、26bの相違は、金属製押さえ18の凹部に対する接触面積の大小に起因するバラツキである。
【0032】
図4Bは、発光管の凹部20を真上から見た模式図である。凹部20のサイズは、代表的には、縦5 mm×横5 mm×深さ1 mmの角が丸まった四角形であるが、このサイズ及び形状は、例示であってこれに限定されない。
【0033】
図4Cは、発光管の凹部20に入ったアマルガム26を、凹部20及び電極マウントの金属製押さえ18を利用して固定した状態を真上から見た模式図である。
【0034】
(低圧水銀ランプの製造方法)
図5は、低圧水銀ランプの製造方法の内、本実施例に関するアマルガムの固定方法を説明するフロー図である。
【0035】
ステップS1において、発光管の製造時に、両端部付近にあるランプ最冷部に凹部を夫々形成する。凹部の形成は、発光管の外側から加熱しながら、内側から専用の治具を用いて押圧して形成する。
ステップS2において、電極マウントを形成する。電極マウントのアノード溶接工程において、金属製押さえを取り付ける。
ステップS3において、電極マウントを発光管内に挿入し、金属製押さえを発光管の凹部を覆うように位置決め固定する。
ステップS4において、発光管のピンチシールを行う。
ステップS5において、排気管を経由して、発光管内にアマルガムを含む添加物を封入する。
ステップS6において、排気管を経由して、発光管内を排気する。その後、排気管はチップオフして取り去る。
ステップS7において、アマルガムを発光管凹部に位置決め固定する。ランプを動かしながらアマルガムを移動させて発光管凹部に入れ、この状態で発光管凹部を外側から加熱してアマルガムを溶融し、電極マウントの金属製押さえと発光管凹部とに対して溶着し、固定させる。
【0036】
[まとめ]
以上、本発明に係る低圧水銀ランプ及びその製造方法の実施形態に関し説明したが、これらは本発明を理解するための例示であって、本発明の範囲を何等限定するものではない。これら実施形態に関して、当業者が容易に成し得る追加・削除・変更・改良は、本発明の範囲内である。本発明の技術的範囲は、添付の特許請求の範囲の記載によって定められる。
【符号の説明】
【0037】
2:給水口、 4:排水口、 6:水冷ジャケット、 8:低圧水銀ランプ、 8-1:発光管、 10-1:横型水処理槽、 10-2:縦型水処理槽、 12,12-1,12-2:ベース、 16:保持部材、 18,18a,18b:金属製押さえ、 18-1:第1のリード棒、 18-2:第2のリード棒、 18-3:金属箔、 20:凹部、 22:電極リード線、 22-1:アノード、 22-2:フィラメント、 24:ステイ、 26:アマルガム、 26a,26b:アマルガムの表面、