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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-13
(45)【発行日】2022-05-23
(54)【発明の名称】運動用ボール
(51)【国際特許分類】
   A63B 41/00 20060101AFI20220516BHJP
【FI】
A63B41/00 A
A63B41/00 C
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018020162
(22)【出願日】2018-02-07
(65)【公開番号】P2019136185
(43)【公開日】2019-08-22
【審査請求日】2021-01-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000138244
【氏名又は名称】株式会社モルテン
(74)【代理人】
【識別番号】100144048
【弁理士】
【氏名又は名称】坂本 智弘
(74)【代理人】
【識別番号】100204881
【弁理士】
【氏名又は名称】土井 伸次
(74)【代理人】
【識別番号】100186679
【弁理士】
【氏名又は名称】矢田 歩
(74)【代理人】
【識別番号】100189186
【弁理士】
【氏名又は名称】大石 敏弘
(72)【発明者】
【氏名】脇林 和幸
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 洋輔
(72)【発明者】
【氏名】稲林 亮
【審査官】槙 俊秋
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/099186(WO,A1)
【文献】特開2013-090945(JP,A)
【文献】登録実用新案第3162932(JP,U)
【文献】我楽免機,サッカーボールを多数の三角錐で凹ませた!,葛の蔓|多面体紙工作で数学を楽しむ - 行動の記録 - 楽天ブログ,1-2頁,Rakuten BLOG ,2006年06月02日,https://plaza.rakuten.co.jp/nisijohsyu/diary/200606010000/
【文献】HANA*MAU,三角つなぎのボール,Craft Cafe(クラフトカフェ),2013年12月16日,https://cafe.crafttown.jp/index.cgi?action=user_work_view&us_key=116101125001&wk_key=097113007001000
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 41/00
A63B 41/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
球面状の表面を形成する表皮層を備える運動用ボールであって、
前記表皮層は、三角形状の表皮パネルで構成されており、
前記表皮パネルには凹部又は凸部が形成されており、
前記表皮層は、前記表皮パネルが接続部であるシームを介して複数枚連接されて構成されており、
隣接する前記表皮パネルが2枚以上で一体成形された単位パネルを有し、
前記単位パネル内の前記表皮パネル間の接続はダミーシームを介して行われており、
前記表皮層は、前記単位パネルを前記シームにおいて複数枚連接して構成されている
ことを特徴とする運動用ボール。
【請求項2】
前記三角形状の三角形において、1つの頂点を共有するように隣接する前記表皮パネルが5枚配置された五角形部を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の運動用ボール。
【請求項3】
前記シームの縁領域にシーム部を有し、又は前記ダミーシームの両側の縁領域にダミーシーム部を有し、
前記シーム部又は前記ダミーシーム部は、前記シーム又は前記ダミーシームに直交する断面視で、前記シーム又は前記ダミーシームに向かって高さが低くなるように傾斜している、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の運動用ボール。
【請求項4】
前記シームの縁領域にシーム部を有し、又は前記ダミーシームの両側の縁領域にダミーシーム部を有し、
前記シーム部又は前記ダミーシーム部は、前記シーム又は前記ダミーシームに直交する断面視で、前記シーム又は前記ダミーシームに向かって高さが高くなるように傾斜している、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の運動用ボール。
【請求項5】
球面状の表面を形成する表皮層を備える運動用ボールであって、
前記表皮層は、三角形状の表皮パネルで構成されており、
前記表皮パネルには凹部又は凸部が形成されており、
前記表皮層は、前記表皮パネルが接続部であるシームを介して複数枚連接されて構成されており、
前記三角形状の前記表皮パネルは、その三角形のすべての辺が前記シームを介して連接されており、
前記表皮パネルに前記凹部が形成されている場合は、前記シームは凸条状に形成されるとともに前記シームには微小な凹凸模様が形成され、
前記表皮パネルに前記凸部が形成されている場合は、前記シームは凹溝状に形成されている、
ことを特徴とする運動用ボール。
【請求項6】
前記表皮パネルは、前記シーム又は前記ダミーシームに微小な凹凸模様が形成されている、
ことを特徴とする請求項1から5までのいずれか1項に記載の運動用ボール。
【請求項7】
前記表皮パネルは、主面に微小な凹凸模様が形成されている、
ことを特徴とする請求項1から6までのいずれか1項に記載の運動用ボール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、競技、トレーニング、遊戯などに使用される運動用ボールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、競技、トレーニング、遊戯などに使用される運動用ボールは、ユーザが手で持ち又は掴み易いように、円形、三角形、多角形など種々の形状をした凹部が表皮層に形成されている(特許文献1参照)。また、飛翔中の回転性や軌道安定性の観点から、運動用ボールの表皮層に、円形、三角形、多角形など種々の形状をした凹部又は凸部を形成することも行われている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2015/099186号
【文献】国際公開第2009/144897号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1及び2にみられる運動用ボールでも、ユーザの手で確実に持ち又は掴めず、滑ることがあった。
【0005】
そこで、本発明は以上の課題に鑑みてなされたものであり、手で掴み易い運動用ボールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明に係る1つの態様は、球面状の表面を形成する表皮層を備える運動用ボールであって、前記表皮層は、三角形状の凹部又は凸部が形成された表皮パネルで構成されているものである。
(2)上記(1)の態様において、前記表皮パネルは、三角形状のものであり、前記表皮層は、前記表皮パネルがシーム又はダミーシームを介して複数枚連接されて構成されるとともに、1つの頂点を共有するように隣接する前記表皮パネルが5枚配置された五角形部を有してもよい。
(3)上記(2)の態様において、前記表皮パネルは、前記シーム又は前記ダミーシームに向かって直径が小さくなるシーム部又はダミーシーム部を有してもよい。
(4)上記(2)の態様において、前記表皮パネルは、前記シーム又は前記ダミーシームに向かって直径が大きくなるシーム部又はダミーシーム部を有してもよい。
(5)上記(3)又は(4)の態様において、前記表皮パネルは、前記シーム部又は前記ダミーシーム部に微小な凹凸模様が形成されていてもよい。
(6)上記(2)から(5)までのいずれか1つの態様において、前記シーム又は前記ダミーシームは、球面全周で一直線状につながらなくてもよい。
(7)上記(2)から(6)までのいずれか1つの態様において、前記表皮パネルは、すべての辺が前記シームを介して連接されていてもよい。
(8)上記(1)から(6)までのいずれか1つの態様において、前記表皮パネルは、前記表皮パネルは、隣接する2枚以上が一体成形されていてもよい。
(9)上記(1)から(8)までのいずれか1つの態様において、前記表皮パネルは、主面に微小な凹凸模様が形成されていてもよい。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、手で掴み易い運動用ボールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明に係る第1実施形態の運動用ボールを示す正面図である。
図2】第1実施形態の運動用ボールの背面図である。
図3】第1実施形態の運動用ボールの左側面図である。
図4】第1実施形態の運動用ボールの右側面図である。
図5】第1実施形態の運動用ボールの平面図である。
図6】第1実施形態の運動用ボールの底面図である。
図7】第1実施形態の運動用ボールのA-A線断面図である。
図8】第1実施形態の運動用ボールの内部構造を示す拡大断面図である。
図9】第1実施形態の単位パネルを示す概略図である。
図10】第1実施形態の変形例の単位パネルを示す概略図である。
図11】本発明に係る第2実施形態の運動用ボールを示す正面図である。
図12】第2実施形態の運動用ボールの背面図である
図13】第2実施形態の運動用ボールの左側面図である。
図14】第2実施形態の運動用ボールの右側面図である。
図15】第2実施形態の運動用ボールの平面図である。
図16】第2実施形態の運動用ボールの底面図である。
図17】第2実施形態の運動用ボールのB-B線断面図である。
図18】第2実施形態の単位パネルを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、本明細書の実施形態においては、全体を通じて、同一の部材には同一の符号を付している。
【0010】
まず、本発明に係る第1実施形態の運動用ボール1について説明する。図1は、本発明に係る第1実施形態の運動用ボール1を示す正面図である。図2は、第1実施形態の運動用ボール1の背面図である。図3は、第1実施形態の運動用ボール1の左側面図である。図4は、第1実施形態の運動用ボール1の右側面図である。図5は、第1実施形態の運動用ボール1の平面図である。図6は、第1実施形態の運動用ボール1の底面図である。図7は、第1実施形態の運動用ボール1のA-A線断面図である。図8は、第1実施形態の運動用ボール1の内部構造を示す拡大断面図である。図9は、第1実施形態の単位パネル20Uを示す拡大図である。図10は、第1実施形態の変形例の単位パネル220Uを示す概略図である。なお、図9において、実線は一単位の単位パネル20Uを、破線は他の単位パネル20Uを示す。また、図10において、実線は一単位の単位パネル220Uを、細線は他の単位パネル220Uを、一点鎖線は五角形部PE(あるいは、ダミーシームDS)を示す。
【0011】
図1から図7に示される運動用ボール1は、バスケットボール、バレーボール、サッカーボール、ハンドボールなど各種競技、トレーニング、遊戯に使用される直径6cmから直径25cm程度のボールである。
【0012】
運動用ボール1は、球面状の表面を形成する表皮層20と、空気が充填される略球形のチューブ10と、を少なくとも備えており、さらに、例えば、バレーボール向けなどでは、必要に応じて、チューブ10を覆い、真球性及び強度を維持又は補強する補強層11や、補強層11を覆うカバーゴム層12などを、最外面の表皮層20の内側に備えることもある(図8参照)。
【0013】
チューブ10は、空気を透過し難いブチルゴムやラテックスゴム(天然ゴム)などを用いて形成されており、図示されないバルブを介して空気が充填される。
【0014】
補強層11は、ナイロン繊維などを、あらゆる角度の円周方向に巻回した糸巻き層や、複数枚の織布片を略球形に縫い合わせた布層で形成されている。
【0015】
カバーゴム層12は、ラテックスゴムなどを用いて形成されている。
【0016】
そして、表皮層20は、複数枚の三角形状の表皮パネル21が連接されて構成されており、カバーゴム層12に接着剤で接着されている。
【0017】
表皮パネル21は、三角形の一辺が約2cmから約8cm程度であり、天然皮革、人工皮革又は合成皮革、エラストマーなどを用いて形成されている。
【0018】
また、表皮パネル21は、平坦な主面に、例えば、三角形状の凹(細溝)及び凸を繰り返す微小な凹凸模様22が形成されている。この凹凸模様22の深さは、0.5mmから2.0mm程度である。なお、微小な凹凸模様22は、これに限らず、直線状の細溝模様や指紋のような模様やシボ加工模様であってもよい。
【0019】
ところで、表皮パネル21は、例えば、2枚から6枚程度の複数枚の表皮パネル21が、ダミーシームDSを介して一体成形されている。第1実施形態では、表皮パネル21は、隣接する同一の三角形状の表皮パネル21が、1つの頂点Vを共有するように5枚配置されることで、五角形部PEを形成している(図9参照)。
【0020】
また、この五角形部PEは、一単位の単位パネル20Uとして一体成形されており、12個の五角形部PE(単位パネル20U)で、球面状の表皮層20が形成されている。言い換えると、表皮層20は、60枚の三角形状の表皮パネル21で形成されている。
【0021】
そして、五角形部PEは、外形五辺をシームSとし、シームSの縁領域にシーム部30を有し、また、頂点Vから放射状に延びる5本の線をダミーシームDSとし、ダミーシームDSの両側の縁領域にダミーシーム部40を有している。
【0022】
これらのシーム部30及びダミーシーム部40は、シームS又はダミーシームDSに直交する断面視で、シームS又はダミーシームDSに向かって直径が小さくなっており(高さが低くなるように傾斜しており)、実際にはシームS又はダミーシームDSを中心に略V字状(凹溝状)になっていてもよい。すなわち、主面のうち、微小な凹凸模様22が形成された領域が、シーム部30及びダミーシーム部40に対して相対的に盛り上がった状態となり、表皮パネル21には、三角錐台形状の凸部が形成されていることになる。
【0023】
そして、これらのシーム部30及びダミーシーム部40にも、表皮パネル21の主面と同様の又は異なる微小な凹凸模様22が形成されてもよい。
【0024】
とことろで、第1実施形態では、五角形部PEと、単位パネル20Uとが一致するが、必ずしも一致する必要はなく、例えば、1本のダミーシームDSで連接された2枚の表皮パネル21を、菱形状の単位パネル220Uとし、菱形状の単位パネル220Uを、1つの頂点Vを共有するように5枚配置することで、単位パネル220Uにおける頂点V側の5枚の各表皮パネル21のダミーシームDSで五角形部PEを形成してもよい(図10参照)。
【0025】
つづいて、本発明に係る第2実施形態の運動用ボール100について説明する。図11は、本発明に係る第2実施形態の運動用ボール100を示す正面図である。図12は、第2実施形態の運動用ボール100の背面図である。図13は、第2実施形態の運動用ボール100の左側面図である。図14は、第2実施形態の運動用ボール100の右側面図である。図15は、第2実施形態の運動用ボール100の平面図である。図16は、第2実施形態の運動用ボール100の底面図である。図17は、第2実施形態の運動用ボール100のB-B線断面図である。図18は、第2実施形態の単位パネル120Uを示す拡大図である。なお、図18において、実線は一単位の単位パネル120Uを、細線は他の単位パネル120U(又は表皮パネル121)を、一点鎖線は五角形部PEを示す。
【0026】
図11から図18に示される第2実施形態の運動用ボール100は、表皮層120が第1実施形態の運動用ボール1の表皮層20と異なっているだけであり、その他は実質的に同様であるから、表皮層120について説明し、その他については説明を省略する。
【0027】
表皮層120は、複数枚の三角形状の表皮パネル121が連接されて構成されており、カバーゴム層12に接着剤で接着されている。
【0028】
表皮パネル121は、三角形の一辺が約1cmから約4cm程度であり、天然皮革、人工皮革又は合成皮革などを用いて形成されている。
【0029】
また、三角形状の表皮パネル121は、三角錐台形状の凹み(凹部)123が主面に形成されている(図18参照)。この凹み123の深さは、0.1mmから1.0mm程度である。なお、凹み123の斜面又は底面の少なくとも一方に、第1実施形態と同様の図示されない微小な凹凸模様22が形成されてもよい。
【0030】
ところで、表皮パネル121は、例えば、2枚から25枚程度の複数枚の表皮パネル121が、ダミーシームDSを介して一体成形されている。第2実施形態では、表皮パネル121は、隣接する同一の三角形状の表皮パネル121が、三角形状(1段目が1枚、2段目が3枚、3段目が5枚、4段目が7枚)に16枚配置されることで、一単位の三角形部TRを形成している。
【0031】
また、この三角形部TRは、一単位の単位パネル120Uとして一体成形されている。さらに、一単位の三角形部TR(単位パネル120U)が、1つの頂点Wを共有するように5個配置されることで、五角形部PEが形成され、そして、4個の五角形部PEで、球面状の表皮層120が形成されている。言い換えると、表皮層120は、20個の三角形部TRで形成されている。更に言い換えると、表皮層120は、320枚の三角形状の表皮パネル121で形成されている。
【0032】
そして、三角形部TRは、外形三辺をシームSとし、シームSの縁領域にシーム部130を有し、また、内側の表皮パネル121同士の間をダミーシームDSとし、ダミーシームDSの両側の縁領域にダミーシーム部140を有している。言い換えると、五角形部PEは、外形五辺をシームSとし、シームSの縁領域にシーム部130を有し、また、頂点Wから放射状に延びる5本のシームSの両側の縁領域にシーム部130を有している。
【0033】
これらのシーム部130及びダミーシーム部140は、シームS又はダミーシームDSに直交する断面視で、シームS又はダミーシームDSに向かって直径が大きくなっており(高さが高くなるように傾斜しており)、実際にはシームS又はダミーシームDSを中心に逆V字状(凸条状)になっていてもよい。なお、これらのシーム部130及びダミーシーム部140の頂天面及び傾斜面にも、表皮パネル21の主面と同様の微小な凹凸模様22が形成されてもよく、あるいは、シームS又はダミーシームDSと平行な又は交差する直線などの微小な凹凸模様22が形成されてもよい。
【0034】
なお、第2実施形態では、五角形部PEは、5個の三角形部TR(単位パネル120U)で形成されるが、この三角形部TRは、16枚の表皮パネル121を配置したものでなく、例えば、9枚あるいは25枚の表皮パネル121を配置したものであってもよい。
【0035】
以上のとおり、本発明の第1実施形態及び第2実施形態に係る運動用ボール1,100は、球面状の表面を形成する表皮層20,120を備える運動用ボール1,100であって、表皮層20,120は、三角形状の表皮パネル21,121がシームS又はダミーシームDSを介して複数枚連接されて構成されるとともに、1つの頂点V,Wを共有するように隣接する表皮パネル21,121が5枚配置された五角形部PEを有するものである。これにより、表皮層20,120は、少なくとも1つの五角形部PEを有するため、シームS又はダミーシームDSは、球面の直径全周で一直線状につながることがない。そのため、運動用ボール1,100を手で掴み易く、あるいは、指に引っ掛かり易くすることができるとともに、運動用ボール1,100が回転する場合に、シームS又はダミーシームDS、あるいは、シーム部30,130又はダミーシーム部40,140の延在方向と、回転方向とが、一致することがなく、運動用ボール1,100の回転方向による飛翔抵抗及び回転抵抗の差(回転ムラ)を抑制することができ、運動用ボール1,100をどの方向に回転させても、ほぼ一定の飛翔軌道又は回転運動を得ることができる。また、運動用ボール1,100は、表皮層20,120が三角形の集合体であるため、統一感があり、意匠性にも優れている。
【0036】
第1及び第2実施形態では、表皮パネル21,121は、隣接する2枚以上が一体成形されている。これにより、チューブ10を覆う際に、表皮パネル21,121を1枚ずつ接着又は貼合せする必要がなくなり、作業効率を向上させることができる。
【0037】
第1実施形態では、表皮パネル21は、シームS又はダミーシームDSに向かって直径が小さくなるシーム部30又はダミーシーム部40を有する。これにより、シームS又はダミーシームDS付近が凹溝状となり、更に手で掴み易く、あるいは、指に引っ掛かり易くすることができる。
【0038】
第2実施形態では、表皮パネル121は、シームS又はダミーシームDSに向かって直径が大きくなるシーム部130又はダミーシーム部140を有する。これにより、シームS又はダミーシームDS付近が凸条状となり、更に手で掴み易く、あるいは、指に引っ掛かり易くすることができる。
【0039】
第1及び第2実施形態では、表皮パネル21,121は、シーム部30,130又はダミーシーム部40,140に微小な凹凸模様22が形成されている。これにより、より一層手で掴み易く、あるいは、指に引っ掛かり易くすることができる。
【0040】
第1実施形態では、表皮パネル21は、主面に微小な凹凸模様22が形成されている。これにより、より一層手で掴み易く、あるいは、指に引っ掛かり易くすることができる。
【0041】
第2実施形態では、表皮パネル121は、主面に三角形状の凹み123を有する。これにより、凹み123に対してシームS又はダミーシームDS付近が凸条状となり、より一層手で掴み易く、あるいは、指に引っ掛かり易くすることができる。
【0042】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。
【0043】
(変形例)
第2実施形態では、表皮パネル121に三角錐台形状の凹み123が形成されていたが、三角柱状の凹み123であってもよい。あるいは、凹み123ではなく、三角錐台形状又は三角柱形状の凸部が表皮パネル121の主面に形成されていてもよい。この場合、表皮パネル121の縁領域におけるシーム部130又はダミーシーム部140も、凹溝状になる。
【0044】
上記各実施形態では、例えば、2枚から25枚の複数枚の表皮パネル21,121が、一体成形されたものを一単位としたが、1枚のみの三角形状の表皮パネル21,121を一単位として、チューブ10の表面に複数枚接着してもよい。言い換えると、三角形状の表皮パネル21,121は、すべての辺がダミーシームDSではなく、シームSを介して連接されていてもよい。
【0045】
上記各実施形態では、運動用ボール1,100は、チューブ10を有する中空ボールとしたが、これに限られず、ベースボールやソフトボールなど芯材を有する中実ボール(ただし、ゴルフボールを除く。)であってもよく、あるいは、重いトレーニングボール(メディシンボール)などであってもよい。
【0046】
また、上記各実施形態では、運動用ボール1,100は、表皮パネル21,121が接着剤で接着された貼りボールであったが、表皮パネル21,121の端辺を縫い合わせた縫いボールであってもよい。
【符号の説明】
【0047】
1 運動用ボール
10 チューブ、11 補強層、12 カバーゴム層
20 表皮層、20U 単位パネル、21 表皮パネル、22 凹凸模様、220U 単位パネル
30 シーム部
40 ダミーシーム部
100 運動用ボール
120 表皮層、120U 単位パネル、121 表皮パネル、123 凹み(凹部)
130 シーム部
140 ダミーシーム部
S シーム、DS ダミーシーム
PE 五角形部、TR 三角形部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18