(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-13
(45)【発行日】2022-05-23
(54)【発明の名称】熱風発生装置及び乾燥機
(51)【国際特許分類】
F24H 3/00 20220101AFI20220516BHJP
F26B 3/00 20060101ALI20220516BHJP
F26B 21/00 20060101ALI20220516BHJP
【FI】
F24H3/00 A
F26B3/00
F26B21/00 B
(21)【出願番号】P 2017196691
(22)【出願日】2017-10-10
【審査請求日】2020-09-23
(73)【特許権者】
【識別番号】391055195
【氏名又は名称】関西産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092727
【氏名又は名称】岸本 忠昭
(74)【代理人】
【識別番号】100146891
【氏名又は名称】松下 ひろ美
(72)【発明者】
【氏名】児島 輝明
(72)【発明者】
【氏名】今谷 浩昭
(72)【発明者】
【氏名】猪熊 雅仁
【審査官】河野 俊二
(56)【参考文献】
【文献】実公昭34-012086(JP,Y1)
【文献】実開平06-006906(JP,U)
【文献】実開昭51-005767(JP,U)
【文献】特開昭51-150524(JP,A)
【文献】米国特許第02110209(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 3/00
F26B 3/00
F26B 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
混合室と、
前後方向に延び、バーナにより熱風を発生させて前記混合室へ供給するための燃焼炉と、
前記燃焼炉の外周に設けられ前記前後方向に延びる縦断面円環状の外気供給路と、
外気を導入して前記外気供給路へ供給するための外気導入路と、を備え、
前記燃焼炉で生成された熱風は、前記燃焼炉の前端に設けられた熱風吹出口を介して前記混合室へ供給され、
前記外気導入路の一端は前記外気供給路の後方部位に連通し、
前記外気導入路に導入された外気は、前記外気供給路を後方から前方へ流れて前記混合室に流れ込み、前記熱風と混合されて混合気を生成し、
前記外気導入路は、前記外気供給路の外周に位置し、上流側から下流側に向かうに従い断面積が漸減する渦巻状であることを特徴とする熱風発生装置。
【請求項2】
前記渦巻状の外気導入路の渦巻中心軸線は、前記
前後方向と平行であることを特徴とする請求項1に記載の熱風発生装置。
【請求項3】
前記バーナを制御するための制御部と、
前記燃焼炉の内部温度を検出する温度センサと、を更に備え、
前記バーナは、第1燃料噴射ノズルと、第2燃料噴射ノズルと、を有し、
前記温度センサにより計測された前記燃焼炉の内部温度が第1温度にまで上昇すると、前記制御部は前記第1燃料噴射ノズルをオンしたまま前記第2燃料噴射ノズルをオフし、
前記温度センサにより計測された前記燃焼炉の内部温度が前記第1温度よりも低い第2温度にまで低下すると、前記制御部は前記第2燃料噴射ノズルをオンすることを特徴とする請求項1又は2に記載の熱風発生装置。
【請求項4】
乾燥用気体を発生させるための熱風発生装置と、
前記熱風発生装置からの乾燥用気体により被乾燥物を乾燥させるための乾燥室と、を備え、
前記熱風発生装置は請求項1~3の何れかに記載の熱風発生装置であり、
前記混合気は前記乾燥用気体として前記乾燥室へ供給されることを特徴とする乾燥機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱風発生装置及びこれを備えた乾燥機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、穀物や野菜、生おから等の被乾燥物を乾燥させるための乾燥機が提案されている(例えば、特許文献1参照)。このような乾燥機としては、燃焼炉でバーナを点火させて生成した熱風と燃焼炉の外周に案内された外気空気とを混合して得られた混合気を乾燥用気体として乾燥室へ送り、被乾燥物を乾燥させるものが提案されている。
【0003】
図6に、このような乾燥機で用いられる従来の熱風発生装置102を示す。熱風発生装置102には、縦断面円環状の外気供給路R2が燃焼炉105の外周に設けられ、燃焼炉105の後面には複数個の導入口100が設けられている。外気W1は導入口100から外気供給路R2へ導入されて混合室R1へ流れ込み、燃焼炉105からの熱風W2と混合されて混合気W3を生成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図6に示す従来の熱風発生装置102では、外気供給路R2を流れる外気W1の風量が周方向において均一でないという問題があった。即ち、外気供給路R2のうち、導入孔100を介して外部に露出している部分と、燃焼炉105の後面により後端が塞がれている部分とでは、外気供給路R2を流れる風量にバラツキが生じていた。
【0006】
本発明は、外気供給路に外気を均一に導入可能な熱風発生装置及びこれを備えた乾燥機の提供を目的とする。
【0007】
本発明は更に、燃焼炉内部の温度制御を容易に行うことのできる熱風発生装置及びこれを備えた乾燥機の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の熱風発生装置は、混合室と、バーナにより熱風を発生させて前記混合室へ供給するための燃焼炉と、前記混合室に連通し所定方向に延びる外気供給路と、外気を導入して前記外気供給路へ供給するための外気導入路と、を備え、前記外気導入路に導入された外気は、前記外気供給路を前記所定方向に流れて前記混合室に流れ込み、前記熱風と混合されて混合気を生成し、前記外気導入路は、上流側から下流側に向かうに従い断面積が漸減する渦巻状であることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の熱風発生装置は、前記バーナを制御するための制御部と、前記燃焼炉の内部温度を検出する温度センサと、を更に備え、前記バーナは、第1燃料噴射ノズルと、第2燃料噴射ノズルと、を有し、前記温度センサにより計測された前記燃焼炉の内部温度が第1温度にまで上昇すると、前記制御部は前記第1燃料噴射ノズルをオンしたまま前記第2燃料噴射ノズルをオフし、前記温度センサにより計測された前記燃焼炉の内部温度が前記第1温度よりも低い第2温度に下がると、前記制御部は前記第2燃料噴射ノズルをオンすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の熱風発生装置によれば、外気導入路は、上流側から下流側に向かうに従い断面積が漸減する渦巻状であるので、外気導入路を通過する外気は自由渦となり、圧力は一定のまま下流側に向かうに従い加速する。よって、外気導入路から外気供給路へ外気が流れ込む接続口が1箇所であっても、外気は外気供給路の周方向全体に均一に行き渡り、外気供給路内を偏りなく混合室に向けて流れる。
【0011】
また、前記燃焼炉の内部温度が第1温度にまで上昇すると、前記制御部は前記第1燃料噴射ノズルをオンしたまま前記第2燃料噴射ノズルをオフし、前記燃焼炉の内部温度が前記第1温度よりも低い第2温度に下がると前記第2燃料噴射ノズルをオンするので、第1温度に達した際に全ての燃料噴射ノズルをオフする制御と比較して、燃焼炉の内部温度が下がり過ぎるのを防止できる。また、燃焼炉内部の温度制御を燃料噴射ノズルのオン/オフ制御のみで行うので、燃焼炉の内部温度制御に係る構成を簡単にできる。更に、燃焼炉の内部温度が必要以上に上昇するのを防止するので、燃費効率を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施形態に係る乾燥機の概略正面図。
【
図2】
図1に示す乾燥機が備える熱風発生装置の縦断面図。
【
図5】
図1に示す乾燥機において実行される制御処理を示すフローチャート。
【
図6】従来の熱風発生装置を示す図であって、(a)は縦断面図、(b)は後面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態に係る乾燥機について説明する。
図1に示すように、本実施形態の乾燥機1は、乾燥用気体を生成するための熱風発生装置2と、熱風発生装置2に接続された乾燥炉3と、乾燥炉3から延びるダクト4と、ダクト4に設けられた誘引ファン(図示せず)とを備え、熱風発生装置2で生成された乾燥用気体を誘引ファンにより乾燥炉3へ引き込んで、被乾燥物(図示せず)を乾燥させるように構成されている。
【0014】
図2及び
図3に示す様に、熱風発生装置2は、前後方向(所定方向)D1に延びる円筒状の燃焼炉5と、燃焼炉5を収容する枠体6と、枠体6に装着された通風箱7と、を有し、燃焼炉5の前方には混合室R1が設けられている。燃焼炉5の内部には前後方向D1に延びる燃焼室51が設けられている。燃焼室51の前方(燃焼炉5の前端)には熱風吹出口52が設けられ、燃焼室52は熱風吹出口52を介して混合室R1に連通している。燃焼室51の後方にはバーナ挿入口53が設けられ、ここにバーナ9(
図4)が挿入されて取り付けられる。バーナ9が点火すると熱風(燃焼ガス)W1が生成され、このようにして燃焼炉5で生成された熱風W1は燃焼室51から熱風吹出口52を介して混合室R1へ吹き出す。
【0015】
燃焼炉5の外周には縦断面円環状の外気供給路R2が設けられている。通風箱7には渦状の外気導入路R3が形成されており、外気導入路R3の一端(内端)は外気供給路R2の後方部位に連通している。外気導入路R3へは誘引ファンの作用により外気W2が導入され、このように導入された外気W2は外気供給路R2を通って混合室R1に流れ込み、燃焼炉5で生成された熱風W1と混合されて乾燥用気体としての混合気W3となる。このように燃焼炉5で生成された高温の熱風W1を室温の外気W2と混合させることにより、被乾燥物の乾燥に適した温度の混合気W3を生成することができる。
【0016】
外気導入路R3について詳述する。外気導入路R3は、外気供給路R2の外周に位置し、上流側から下流側に向かうに従い断面積が漸減する渦巻状であり、下流側に向かうに従い渦巻中心軸線Cからの距離が漸減する。また、外気導入路R3の渦巻中心軸線Cは前後方向D1に延びている。このように、下流側に向かうに従い断面積が漸減する渦巻状とすることにより、外気導入路R3を通過する外気は自由渦となり、圧力は一定のまま下流側に向かうに従い加速する。
【0017】
また、このように外気導入路R3に沿って渦を巻いて流れる外気は、外気供給路R2の内面に沿って外気供給路R2に流れ込む。よって、外気導入路R3から外気供給路R2へ外気が流れ込む接続口Pが1箇所であっても、外気は断面円環状の外気供給路R2の周方向全体に均一に行き渡り、外気供給路R2内を偏りなく混合室R1へ向けて流れる。
【0018】
乾燥機1は更に調整具8を備え、調整具8は、混合室R1に熱風吹出口52に対向して設けられたバッフルプレート81と、バッフルプレート81に固定された操作部としての管部材82と、を備える。管部材82の後端部はバッフルプレート81に固定され、管部材82の前端部は混合室R1(枠体6)の外方に延びている。よって、作業者は管部材82の前端部を把持して調整具8全体を前後方向D1へ移動させ、バッフルプレート81と燃焼炉5との間の間隔(隙間G)を手動で調整することができ、隙間Gを調整することにより燃焼室51の圧力を調整することができる。また、管部材82の前側開口部82aには蓋部材83が着脱可能に装着されており、作業者は蓋部材83を取り外すことで管部材82を介して燃焼室51の内部を目視することができる。
【0019】
このようにして混合室R1で生成された混合気W3は、上述した誘引ファン(図示せず)の作用によって乾燥炉3の乾燥室(図示せず)に誘引され、ダクト4を介して外部へ排出される、そして、混合気W3が乾燥室を通過する際に、乾燥室内の被乾燥物が乾燥される。
【0020】
このように、本実施形態に係る乾燥機1によれば、渦巻き状の外気導入路R3を介して外気供給路R2へ外気が導入されるので、空気供給路R2へ外気を均等に取り込むことができ、乾燥ムラの発生を抑制できる。
【0021】
図4を参照して、熱風発生装置2は更に、バーナ9を制御するための制御部10と、燃焼炉5に設置されて燃焼炉5の内部温度(即ち、熱風W2の温度/燃焼室51の室温)を検出する温度センサ11と、を備える。バーナ9は第1及び第2ノズル(燃料噴射ノズル)91,92を有し、制御部10は温度センサ11による検出温度に基づき第2ノズル92をオン/オフ制御し、熱風W2の温度を所定の温度範囲内に維持する。
【0022】
制御部10が実行する制御制御について
図5のフローチャットを参照して説明する。
図5に示す制御処理は、図示しない操作スイッチの操作によりバーナ9の点火指令を受けると開始される。制御処理が開始すると、まずバーナ9を着火させる(S1)。このとき、第1及び第2ノズル91,92は共にオンされて燃料を噴射する。
【0023】
燃焼炉5の内部温度が第1温度にまで上昇すると(S3:YES)、第2ノズル92をオフし(S5)、第1ノズル91のみで燃焼を継続させる。すると、燃焼炉5の内部温度は徐々に下がり始める。そして、燃焼炉5の内部温度が第1温度よりも低い第2温度にまで低下すると(S7:YES)、第2ノズル92を再びオンし(S9)、第1及び第2ノズル91,92の双方を用いた燃焼を再開して、S3へ戻る。
【0024】
これにより、燃焼炉5の内部温度は第1温度と第2温度との間の所定の温度領域に維持される。このように、本実施形態では、第2ノズル92のオン/オフ制御のみにより燃焼炉5の内部温度管理を行い、第1ノズル91については燃焼炉5の内部温度に関係なくオン状態に維持される。よって、燃焼炉5の内部温度が第1温度に達した際に全てのノズルをオフする制御と比較して、燃焼炉5の内部温度が下がり過ぎるのを防止できる。即ち、全てのノズルをオフすると、第2温度に低下した際に再びノズルをオンしても実際に着火するまでには一定時間を有するため、この間も燃焼炉5の内部温度は下がり続けることになる。この点、本実施形態においては、第1温度に達しても第1ノズル91はオフせずに継続的にオン状態を維持するので、燃焼炉5の内部温度の低下速度は比較的緩やかであり、燃焼炉5の内部温度が下がり過ぎるのを防止でき、被乾燥物の乾燥をムラなく行うことができる。
【0025】
以上、本発明の実施形態に係る乾燥機について添付の図面を参照して説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されず、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形、修正が可能である。
【0026】
例えば、上記実施形態では、バーナ9は2個のノズル91,92を備えるが、バーナ9が備えるノズルの個数は2個に限定されず、3個以上であっても良い。この場合、常時オンさせるノズルの個数は1個であっても複数個であっても良く、同様に燃焼炉5の内部温度によりオン/オフ制御されるノズルの個数も1個であっても複数個であってもよく、少なくとも1個のノズルについてオン状態を維持し、残りの1個以上のノズルについて検出温度に基づくオン/オフ制御を行えばよい。
【符号の説明】
【0027】
1 乾燥機
3 乾燥炉
4 ダクト
5 燃焼炉
51 燃焼室
52 熱風吹出口
R1 混合室
R2 外気供給路
R3 外気導入路
W1 熱風
W2 外気
W3 混合気(乾燥用気体)