(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-13
(45)【発行日】2022-05-23
(54)【発明の名称】枕の中芯の製造装置及びこれを用いた枕の中芯の製造方法
(51)【国際特許分類】
A47G 9/10 20060101AFI20220516BHJP
【FI】
A47G9/10 C
(21)【出願番号】P 2017210661
(22)【出願日】2017-10-31
【審査請求日】2020-10-12
(73)【特許権者】
【識別番号】592201793
【氏名又は名称】株式会社アライ
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】特許業務法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大薮 裕貴
(72)【発明者】
【氏名】荒井 稔也
(72)【発明者】
【氏名】荒井 泰博
【審査官】大内 康裕
(56)【参考文献】
【文献】特開昭58-004591(JP,A)
【文献】特開2003-293228(JP,A)
【文献】登録実用新案第3157709(JP,U)
【文献】実開昭51-077314(JP,U)
【文献】特開昭50-127765(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0101294(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G 9/10
A47G 9/02
B68G 7/02~ 7/04
D04H 1/02
D01G 9/00~ 9/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原綿を解す綿解し機と、
前記綿解し機により解された綿を袋状の側生地に詰める綿詰め機と
を備えた枕の中芯の製造装置であって、
前記綿解し機は、
前記原綿を開繊するとともに開繊した綿を解す一次綿解し部と、
前記一次綿解し部により解された綿を更に解す二次綿解し部と
を備え、
前記一次綿解し部は、
前記原綿を開繊する開繊機と、
前記開繊機より開繊された綿を供給され、綿を均一に解すミキシング機と
を備え、
前記二次綿解し部は、
前記一次綿解し部
の前記開繊機及び前記ミキシング機により解された前記綿を貯める綿貯め部と、
前記綿貯め部に貯められた前記綿を、所定の量で前記綿貯め部から出す綿取出部と、
前記綿取出部によって前記綿貯め部から出された前記所定の量の綿を解す解綿部と
、
前記解綿部によって解された綿を貯めるバッファタンクと
を有し、
前記綿取出部は、前記綿貯め部から前記所定の量の綿を連続して出すように構成され、
前記解綿部は、外周に複数の針が設けられたローラと、前記ローラを内部に収容するローラケースと、を有しており、前記綿貯め部から連続して出された綿を一定の角速度で回転した前記ローラに供給するように構成され、
前記ローラケースの内周面には、前記複数の針に対応する部分が切り欠かれた
複数の邪魔板が設けられ
、
各邪魔板は、前記ローラの径方向に沿って延び、かつ、前記ローラの回転軸方向に延びており、
前記複数の邪魔板は、前記ローラの外周面に沿って並んでおり、前記ローラの回転軸方向に間隔を置いて配置されている
ことを特徴とする枕の中芯の製造装置。
【請求項2】
前記綿詰め機は、
送風機と、
前記解綿部により解され
、前記バッファタンクに貯められた綿を、前記送風機から送られた空気と共に吹き出す吹き出し口と
を有する
ことを特徴とする請求項1記載の枕の中芯の製造装置。
【請求項3】
前記送風機は、風量を変更可能に構成されている
ことを特徴とする請求項2記載の枕の中芯の製造装置。
【請求項4】
前記吹き出し口を先端に有する筒状体をさらに備え、
前記筒状体は、前記袋状の側生地の開口に挿入可能で、かつ前記筒状体の外径が前記側生地の幅の30%以上で形成されている
ことを特徴とする請求項2又は請求項3記載の枕の中芯の製造装置。
【請求項5】
前記綿取出部は、前記綿詰め機の駆動に連動して、前記綿を前記綿貯め部から出すように構成される
請求項1~4のいずれか1項に記載の中芯の製造装置。
【請求項6】
請求項4に記載の枕の中芯の製造装置を用いた中芯の製造方法であって、
前記側生地の開口に前記吹き出し口を挿入した状態で、前記側生地の底部で前記吹き出し口を塞ぐように前記側生地をセットする準備工程と、
前記準備工程の後、前記送風機から空気を送り、前記空気と共に前記綿を吹き出しながら、前記側生地の内部に前記綿を詰める綿充填工程と
を備え、
前記綿充填工程は、前記側生地の内部に前記綿を詰めるときに、前記吹き出し口と前記底部との間の距離を伸ばしながら、所定の時間だけ前記綿を吹き出す
ことを特徴とする枕の中芯の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、枕の中芯の製造装置及びこれを用いた枕の中芯の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1には従来の枕の中芯が開示されている。この特許文献1の中芯は、例えば、繊維状の中綿材で構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ユーザーが枕を選ぶとき、柔らかい枕を好むことがある。中芯を綿で構成する場合、柔らかい枕を形成するには、綿を十分に解すことが必要である。
【0005】
しかし、枕の中芯を製造するに当たり、綿は、束状に固まった原綿から解されて生成されるが、解す程度が十分でないと、柔らかい中芯を製造することができない。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、十分な柔らかさを有する中芯を製造することができる枕の中芯の製造装置及びこれを用いた枕の中芯の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る一態様の枕の中芯の製造装置は、原綿を解す綿解し機と、前記綿解し機により解された綿を袋状の側生地に詰める綿詰め機とを備えた枕の中芯の製造装置である。前記綿解し機は、前記原綿を開繊するとともに開繊した綿を解す一次綿解し部と、前記一次綿解し部により解された綿を更に解す二次綿解し部とを備える。前記二次綿解し部は、前記一次綿解し部により解された前記綿を貯める綿貯め部と、前記綿貯め部に貯められた前記綿を、所定の量で前記綿貯め部から出す綿取出部と、前記綿取出部によって前記綿貯め部から出された前記所定の量の綿を解す解綿部とを有していることを特徴とする。
【0008】
本発明に係る一態様の枕の中芯の製造方法は、上記枕の中芯の製造装置を用いた中芯の製造方法であって、前記側生地の開口に前記吹き出し口を挿入した状態で、前記側生地の底部で前記吹き出し口を塞ぐように前記側生地をセットする準備工程と、前記準備工程の後、前記送風機から空気を送り、前記空気と共に前記綿を吹き出しながら、前記側生地の内部に前記綿を詰める綿充填工程とを備え、前記綿充填工程は、前記側生地の内部に前記綿を詰めるときに、前記吹き出し口と前記底部との間の距離を伸ばしながら、所定の時間だけ前記綿を吹き出すことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の枕の中芯の製造装置及びこれを用いた枕の中芯の製造方法によれば、十分な柔らかさを有する中芯を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態の枕のカバーを一部破断した斜視図である。
【
図3】同上の製造装置の解綿部の一部破断した斜視図である。
【
図5】同上の変形例1の中芯の製造装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(実施形態)
以下、本発明の一実施形態について添付図面に基づいて説明する。
【0012】
(1)枕
本実施形態の枕1は、例えば、約120cm×40cmの大きさの枕であり、寝るときに頭を支えることができるだけでなく、両腕の中に抱え込んだり、両脚で挟み込んだりされる、いわゆる抱き枕である。枕1は、
図1に示すように、カバー11と、カバー11の中に収められた中芯2とを備えている。
【0013】
カバー11は、中芯2の外面を覆う。カバー11は、例えば、布製であり、筒状に形成されている。カバー11の長手方向の一方の端部は、縫い合わせられており、他方の端部に開口(図示せず)が設けられている。カバー11の開口を通して、中芯2が挿入される。
【0014】
中芯2は、枕1の主体を構成する。中芯2は、枕1を形作る部材であり、柔軟性を有している。中芯2は、側生地21と、側生地21に詰められた綿22とを備えている。
【0015】
側生地21は、中芯2の外側を囲む生地である。側生地21は、伸縮性を有しており、また、通気性も有している。本実施形態の側生地21は、例えば、ポリエステル製の布によって構成される。側生地21は、例えば、横長矩形状の2つの布地の周囲を縫い合わせて袋状に形成されており、綿22が詰められていない状態では、横長矩形状に形成されている。
【0016】
側生地21は、長手方向の一方の端部に開口を有する綿入れ部211が形成される。綿入れ部211は、綿22を側生地21の内部に詰めるときに、綿22を通すための部分である。この綿入れ部211は、ファスナー212によって開閉可能な開閉部214と、先端に開口を有する案内部213とを有している。なお、側生地21の長手方向の他方の端部は、縫い合わせられて底部を構成する。
【0017】
案内部213は、筒状に形成されている。案内部213の基端部は、開閉部214よりも側生地21の内部側に縫い付けられており、案内部213の先端部は開閉部214から側生地21の外側に引き出し可能である。案内部213の中は、側生地21の内部に通じており、案内部213の開口に綿22を通すことで、側生地21の内部に綿22を詰めることができる。側生地21の内部に綿22を詰め、案内部213を開閉部214の内側に押し込んだ状態で、開閉部214をファスナー212で閉じることで、側生地21の内部に綿22が充填した状態を保つことができる。
【0018】
綿(わた)22は、側生地21の内部に詰められる。綿22は、繊維素材により構成されており、例えば、ナイロン,ポリエステル,ビニロン,ポリエチレン又は天然綿等である。綿22は、塊状の原綿221aを綿解し機5で十分に解した状態で、側生地21の内部に充填される。このため、中芯2は高い柔軟性を有する。
【0019】
(2)中芯の製造装置
次に、本実施形態の中芯2を製造する製造装置3を説明する。本実施形態の中芯2の製造装置3は、
図2に示すように、原綿供給機4と、綿解し機5と、綿詰め機6とを備えている。原綿供給機4は、塊状(俵形状)の原綿221aを小さい塊の原綿221bに分割し、これを綿解し機5に供給する装置である。ここにおいて、塊状の原綿221aとは、繊維の束になった状態の原綿をいう。原綿供給機4は、塊状の原綿221aを移動する搬送機42と、搬送機42で移動する塊状の原綿221aを小さい塊の原綿221bに分割する粗解し機43と、粗解し機43で分割された原綿221bを等間隔で搬送するコンベア機41とを備えている。コンベア機41は、小さい塊の原綿221bを等間隔で綿解し機5に供給する。
【0020】
ここで、本実施形態でいう「原綿221」とは、開繊されていない綿22を言うものとし、塊状の原綿221a及び小さい塊の原綿221bも「原綿221」という。
【0021】
綿解し機5は、原綿221を解す装置である。綿解し機5は、一次綿解し部51と、二次綿解し部7とを備えている。綿解し機5は、原綿供給機4により供給された原綿221を、一次綿解し部51だけでなく、二次綿解し部7にも通すことで原綿221を十分に解すことができる。
【0022】
一次綿解し部51は、原綿221を開繊するとともに、開繊した綿22を解す装置である。従来の中芯は、この一次綿解し部51を通しただけの綿22が、側生地21に詰められる。一次綿解し部51は、開繊機52と、ミキシング機53とを備えている。
【0023】
開繊機52は、中心軸回りに回転可能な回転ドラム521と、回転ドラム521を駆動するモータ(図示せず)と、回転ドラム521を回転可能に収容するケース523とを備えている。回転ドラム521の周囲には、多数の刃522が形成されている。ケース523には、コンベア機41から送られた原綿221が供給可能に構成されている。コンベア機41からケース523内に供給された原綿221は、回転ドラム521が回転することで、開繊される。開繊機52により開繊された綿22は、ミキシング機53に送られる。
【0024】
ミキシング機53は、開繊機52で開繊された綿22を、更に解して、均一の綿22にする装置である。ミキシング機53は、開繊機52から供給された綿22をミキシングして更に解す。これにより、開繊機52で開繊された状態で、束状に固まっている綿22を解すことができる。ミキシング機53は、送風機54に接続されており、送風機54から供給された空気で形成される気流によって、ミキシング機53で解された綿22を二次綿解し部7に送ることができる。
【0025】
なお、本実施形態では、一次綿解し部51が、開繊機52とミキシング機53とを備えていたが、ミキシング機53を有さなくてもよい。
【0026】
二次綿解し部7は、一次綿解し部51により解された綿22を更に解す装置である。二次綿解し部7は、綿貯め部55と、綿取出部57と、解綿部58と、バッファタンク59とを備えている。
【0027】
綿貯め部55は、一次綿解し部51により解された綿22を貯めることができる。綿貯め部55は、箱状の貯蔵庫によって構成されており、貯蔵庫の上部において、ミキシング機53とパイプ56でつながっている。ミキシング機53から送られた綿22は、パイプ56内を通って、綿貯め部55の上部から落下する。綿貯め部55に貯められた綿22は、綿取出部57によって外部に取り出され、解綿部58に送られる。
【0028】
綿取出部57は、綿貯め部55に貯められた綿22を、所定の量で綿貯め部55から出す。ここにおいて「所定の量」の綿22とは、解綿部58で十分に処理できる単位時間当たりの量の綿22を意味する。特に本実施形態において、綿取出部57によって取り出される綿22の単位時間当たりの量は、一次綿解し部51から綿貯め部55に送られる単位時間当たりの量よりも小さい。
【0029】
綿取出部57は、綿貯め部55の取出口551に設けられたフィードローラによって構成されている。フィードローラは、例えば、互いに離れた一対の供給ローラ571によって構成されており、供給ローラ571が互いに反対向きに回転することで、綿貯め部55の内部に貯められた綿22を外部に取り出すことができる。供給ローラ571は、一定の角速度で回転可能であり、これによって、綿取出部57は、綿貯め部55から所定の量の綿22を連続して出し、取り出した所定の量の綿22を解綿部58に供給する。
【0030】
解綿部58は、綿取出部57によって供給された綿22を更に解す。解綿部58は、
図3に示すように、外周に複数の針582が設けられたローラ581と、ローラ581を駆動するモータ(図示せず)と、ローラ581を内部に収容するローラケース583とを有している。ローラ581は、水平方向に延びた回転軸を有しており、回転軸回りに回転可能に構成されている。
【0031】
ローラ581の外周に設けられた複数の針582は、ローラ581の外周面から径方向に突出している。複数の針582は、回転軸に平行な直線上に並んでおり、直線上に並んだ複数の針582が周方向にも並んでいる。このローラ581は、モータによって、一定の角速度で回転する。
【0032】
ローラケース583の内周面には、複数の針582に対応する部分が切り欠かれた複数の邪魔板584が設けられている。各邪魔板584は、ローラ581の径方向に沿って延び、かつローラ581の回転軸方向にも延びている。複数の邪魔板584は、ローラ581の外周面に沿って並んでおり、ローラ581の回転方向に間隔を置いて配置されている。
【0033】
綿取出部57から供給された綿22は、回転しているローラ581の外周面に向かって落下する。すると、綿22は、対向する邪魔板584の間に保持されながら、複数の針582で解される。すると、綿貯め部55内に貯められた綿22よりも、更に細かくかつ多くの空気を含む状態となる。つまり、本解しされた綿22は、粗解しされた綿22よりも、空気量が多くかつ密度が小さい。
【0034】
解綿部58によって解された綿22は、
図2に示すように、バッファタンク59に一時的に貯められる。バッファタンク59は、綿詰め機6につながっている。
【0035】
綿詰め機6は、綿解し機5によって解された綿22を、側生地21の内部に詰める装置である。綿詰め機6は、送風路61と、送風機62と、吹き出し口631を有する筒状体63とを備えている。
【0036】
送風機62は、送風路61内の空気を送って送風路61内に気流を作る。送風機62は、例えば、送風ファンである。送風機62は、制御装置に接続されており、制御装置によって制御される。送風機62は、例えば、制御装置によるインバータ制御によって、送風量が変更可能である。
【0037】
送風路61は、解綿部58のバッファタンク59と筒状体63とをつなぐ。送風路61の内部は、送風機62によって送られた空気が流れる。したがって、送風路61の上流側の端部から送られた綿22は、気流に乗って筒状体63に送られる。
【0038】
筒状体63は、側生地21に綿22を詰める部分である。筒状体63の内部は、送風路61に通じており、送風路61から送られた綿22が通るように構成される。
図4に示すように、筒状体63の一方の端部は、吹き出し口631であり、他方の端部は送風路61に接続されている。
【0039】
筒状体63は、円筒状に形成されている。筒状体63は、その外形が側生地21の開口綿入れ部211の開口よりも小さく形成されており、すなわち、筒状体63は側生地21の開口に挿入可能に構成されている。より詳しくいうと、筒状体63の直径は15cm以上23cm以下であるのに対し、側生地21の綿が詰められていないときの綿入れ部211を除く部分の幅は、約50cmである。つまり、筒状体63の外径は、側生地21の綿入れ部211を除く部分の幅の30%以上に形成されており、より好ましくは、側生地21の綿が詰められていないときの幅の30%以上50%以下に設定されている。この結果、本実施形態の吹き出し口631は、従来の綿詰め機6に比べて大口径であり、側生地21に均等に綿を詰め易い。
【0040】
(3)中芯の製造方法
以下、中芯2の製造方法を説明する。本実施形態の中芯2の製造方法は、上述の中芯2の製造装置3を用いた製造方法である。本実施形態の中芯2の製造方法は、準備工程と、綿充填工程とを備えている。
【0041】
準備工程は、製造装置3を動作させる前の準備を行う工程である。準備工程では、筒状体63の吹き出し口631側の端部に側生地21をセットする。より詳しくは、準備工程は、側生地21の綿入れ部211の開口に筒状体63の先端(吹き出し口631側の端部)を挿入し、側生地21の底部が吹き出し口631を塞ぐ位置まで側生地21を移動させる。このとき、作業者は、側生地21の綿入れ部211側の端部を、筒状体63の吹き出し口631に近い位置で保持するのが好ましい。この状態では、側生地21がたるんだ状態で、筒状体63の端部にセットされる。
【0042】
綿充填工程は、側生地21の内部に綿22を詰める工程であり、準備工程の後に実行される。綿充填工程では、筒状体63に側生地21がセットされた状態で、綿詰め機6を作動させる。このとき、前もって綿解し機5を作動し、バッファタンク59に一定以上の綿22を貯めておくことが好ましい。綿詰め機6を作動すると、バッファタンク59に貯められた綿22は、吹き出し口631から空気と共に吹き出される。
【0043】
この後、作業者は、筒状体63の吹き出し口631と側生地21の底部との間の距離を徐々に伸ばしながら(拡げながら)綿22を詰めてゆく。作業者は、吹き出し口631と側生地21の底部との間の距離を一定の速度で伸ばしてゆき、所定の時間経過した時点で、綿詰め機6を停止させる。
【0044】
送風機62は、一定の流量で空気を送るように制御されるため、吹き出し口631から吹き出される綿22も一定の量となる。このため、吹き出し口631から綿22を吹き出す時間を一定時間にすることで、中芯2ごとに綿22の量が変わることなく、常に一定量の綿22を中芯2に詰めることができる。
【0045】
なお、吹き出し口631から綿22を吹き出す時間の終点については、例えば、タイマーを有する報知装置によって報知することが好ましい。報知装置は、吹き出し口631から綿22の吹き出しを開始した時点から一定時間経過後に報知を行うように構成される。報知は、例えば、音,光又はテキスト表示等による。
【0046】
側生地21の内部に綿22が詰められた後、側生地21の綿入れ部211のファスナー212を閉じることで、中芯2が完成する。なお、綿入れ部211には案内部213が設けられているため、案内部213を開閉部214内に押し込みながら綿入れ部211の開口を閉じることで、ファスナー212が綿22を噛み込むことを防ぐことができる。この結果、本実施形態の枕1の中芯2によれば、比較的容易に、ファスナー212の閉じ作業を行うことができる。また、案内部213が設けられていることで、使用開始後、一定期間経過した後に、ユーザーが自ら綿を追加しようとした場合にも、追加作業及びファスナー212を閉じる作業を行いやすい。
【0047】
(変形例)
(1)変形例1
上記実施形態は、本発明の様々な実施形態の一つに過ぎない。上記実施形態は、本発明の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。以下、変形例1を説明する。
【0048】
上記実施形態の枕1の中芯2の製造装置3は、綿解し機5がバッファタンク59を有していたが、バッファタンク59は無くてもよく、解綿部58から直接、綿22を綿詰め機6に送ってもよい。
【0049】
変形例1に係る中芯2の製造装置3は、
図5に示すように、一次綿解し部51の構成が上記実施形態の構成と同じであり、二次綿解し部7の構成が上記実施形態の構成と異なる。変形例1に係る中芯2の製造装置3は、綿貯め部55と、綿取出部57と、解綿部58とを備えている。
【0050】
綿取出部57を構成するフィードローラは、一対の供給ローラ571を有する。一対の供給ローラ571は、制御装置により制御される。制御装置は、綿詰め機6の送風機62が駆動するのに連動して、一対の供給ローラ571及び解綿部58を回転させる。つまり、本変形例では、綿詰め機6が動作すると、それに連動して、綿取出部57が解綿部58に綿22を供給するため、綿詰め機6は、解した直後の綿22を側生地21に詰めることができる。これにより、解綿部58で解された綿22が、バッファタンクで貯められているときに潰れてしまうのを抑えることができ、より解された綿22を側生地21に詰めることができる。
【0051】
(2)他の変形例
以下、上記実施形態の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
【0052】
上記実施形態のフィードローラの一対の供給ローラ571は、断面円形に形成されていたが、例えば、各供給ローラ571の外周面に引っ掛かり部を設け、所定量の綿22を綿貯め部55から取り出し易くしてもよい。引っ掛かり部は、綿貯め部55の内部の綿22を引掛け可能に形成されている。引っ掛かり部は、例えば、供給ローラ571の外周面から放射状に突出し、かつ供給ローラ571の軸方向に延びた板状の引っ掻き板で構成されてもよいし、供給ローラ571の外周面から放射状に突出した多数の針で構成されてもよい。なお、引っ掻き板の先端は、綿22が引っ掛かるように形成されていればよく、例えば、長手方向にギザギザ状に形成される。
【0053】
また、上記実施形態では、ローラケース583の内周面に複数の邪魔板584が設けられたが、この邪魔板584は無くてもよい。
【0054】
上記実施形態の綿詰め部6の吹き出し口631の外径は、側生地21の内径よりも十分小さくてもよく、上記実施形態の数値に限定されない。
【0055】
吹き出し口の形状は、断面円形状が好ましいが、楕円形又は多角形等であってもよく、特に限定されない。
【0056】
上記実施形態では、塊状(俵状)の原綿221aから小さい塊の原綿221bに分割した上で、綿解し機5に供給されたが、塊状(俵状)の原綿221aを綿解し機5に直接供給してもよい。
【0057】
変形例1において、制御装置は、解綿部58及び綿取出部57が、綿詰め機6に連動したが、綿詰め機6に対して、少なくとも綿取出部57が連動すればよい。つまり、綿詰め機6の動作の如何にかかわらず、解綿部58は駆動し続けてもよい。
【0058】
その他、上記実施形態の構成は、本発明の主旨を逸脱しない範囲であれば、適宜設計変更を行うことができる。
【0059】
(まとめ)
以上説明した枕1の中芯2の製造装置3は、原綿221を解す綿解し機5と、綿解し機5により解された綿22を袋状の側生地21に詰める綿詰め機6とを備える。綿解し機5は、一次綿解し部51と、二次綿解し部7とを備える。一次綿解し部51は、原綿221を開繊するとともに開繊した綿22を解す。二次綿解し部7は、一次綿解し部51により解された綿22を更に解す。二次綿解し部7は、綿貯め部55と、綿取出部57と、解綿部58とを有する。綿貯め部55は、一次綿解し部51により解された綿22を貯める。綿取出部57は、綿貯め部55に貯められた綿22を、所定の量で綿貯め部55から出す。解綿部58は、綿取出部57によって綿貯め部55から出された所定の量の綿22を解す。
【0060】
この構成によれば、綿22を、解綿部58で所定の量ごとに処理することができるため、十分に解した綿22を中芯2の側生地21に詰めることができる。
【0061】
また、上記実施形態の中芯2の製造装置3は、以下に示す付加的な特徴を有する。すなわち、枕1の中芯2の製造装置3において、綿取出部57は、綿貯め部55から所定の量の綿22を連続して出すように構成される。解綿部58は、外周に複数の針582が設けられたローラ581を有しており、綿貯め部55から連続して出された綿22を一定の角速度で回転したローラ581に供給するように構成される。
【0062】
この構成によれば、解綿部58による処理を、連続的に行うことができるため、製造性がよい。
【0063】
また、上記実施形態の中芯2の製造装置3は、以下に示す付加的な構成を有する。すなわち、枕1の中芯2の製造装置3において、綿詰め機6は、送風機62と、解綿部58により解された綿22を、送風機62から送られた空気と共に吹き出す吹き出し口631とを有する。
【0064】
この構成によれば、十分に解された綿22であるため、空気と一緒に吹き出すことで、側生地21に綿22を詰めることができる。
【0065】
また、上記実施形態の中芯2の製造装置3は、以下に示す付加的な構成を有する。すなわち、枕1の中芯2の製造装置3において、送風機62は、風量を変更可能に構成されている。
【0066】
この構成によれば、側生地21に詰める綿22の量に応じて、風量を設定することができ、製造性を向上することができる。
【0067】
また、上記実施形態の中芯2の製造装置3は、以下に示す付加的な構成を有する。すなわち、枕1の中芯2の製造装置3において、吹き出し口631を先端に有する筒状体63をさらに備える。筒状体63は、袋状の側生地21の綿入れ部211の開口に挿入可能で、かつ筒状体63の外径が側生地21の幅(綿が詰められていないときの幅)の30%以上で形成されている。
【0068】
この構成によれば、大口径の筒状体63を用いて、側生地21に綿22を詰めることができるため、製造性がよい。さらに、長尺な中芯2を製造する場合にも、側生地21の底部まで十分な量の綿22を充填することができる。
【0069】
また、上記変形例の中芯2の製造装置3は、以下に示す付加的な構成を有する。すなわち、枕1の中芯2の製造装置3において、綿取出部57は、綿詰め機6の駆動に連動して、綿22を綿貯め部55から出すように構成される。
【0070】
この構成によれば、綿詰め機6により詰める分量の綿22を、解綿部58に供給することができるため、解綿部58により解された直後の綿22を側生地21に詰めることができる。このため、より十分に解された綿22を有する中芯2とすることができる。
【0071】
上記実施形態の枕1の中芯2の製造方法は、上記製造装置3を用いた方法である。枕1の中芯2の製造方法は、準備工程と、綿充填工程とを備える。準備工程は、側生地21の綿入れ部211の開口に吹き出し口631を挿入した状態で、側生地21の底部で吹き出し口631を塞ぐように側生地21をセットする。綿充填工程は、準備工程の後、送風機62から空気を送り、空気と共に綿22を吹き出しながら、側生地21の内部に綿22を詰める。
【0072】
この構成によれば、長尺な中芯2を製造する場合にも、側生地21の底部まで十分な量の綿22を充填することができる上に、中芯2の全体にわたって均一に綿22を充填することができる。
【符号の説明】
【0073】
1 枕
2 中芯
21 側生地
211 開口
22 綿
221 原綿
3 中芯の製造装置
5 綿解し機
51 一次綿解し部
55 綿貯め部
57 綿取出部
58 解綿部
581 ローラ
582 針
6 綿詰め機
62 送風機
63 筒状体
631 吹き出し口
7 二次綿解し部