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  • 特許-折り畳み椅子の左右フレーム接続構造 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-13
(45)【発行日】2022-05-23
(54)【発明の名称】折り畳み椅子の左右フレーム接続構造
(51)【国際特許分類】
   A47C 4/28 20060101AFI20220516BHJP
   A47C 9/10 20060101ALI20220516BHJP
   A47C 5/10 20060101ALI20220516BHJP
【FI】
A47C4/28 A
A47C9/10 Z
A47C5/10 J
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019188367
(22)【出願日】2019-10-15
(65)【公開番号】P2021062019
(43)【公開日】2021-04-22
【審査請求日】2021-04-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000111867
【氏名又は名称】パール金属株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134050
【弁理士】
【氏名又は名称】岩崎 博孝
(72)【発明者】
【氏名】高波 文雄
【審査官】田中 佑果
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3145810(JP,U)
【文献】実開昭51-080307(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2018/0140098(US,A1)
【文献】登録実用新案第3084005(JP,U)
【文献】特開昭62-14812(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47C 4/28
A47C 9/10
A47C 5/10
A61G 5/02
A61G 5/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右に配置されるフレームが、座面の幅方向に接近・離間することによって展開及び折り畳みが可能な折り畳み椅子における左右フレーム接続構造であって、
左右のフレームにおける座面高さ位置近傍同士を接続し、頂点部分で互いに枢結され展開時V型となる2本のメインフレームと、
当該2本のメインフレームそれぞれの途中位置と前記左右のフレームにおける下端近傍とのみを繋ぐ補助フレームと、
前記2本のメインフレーム同士を接続し、頂点部分で互いに枢結され展開時直線状となる2本の突張りフレームと、を備える
ことを特徴とする折り畳み椅子の左右フレーム接続構造。
【請求項2】
請求項1において、
前記突張りフレームは、展開時、枢結された部分を下方に押さえ込むことにより直線状態が保持されるロック機構を備える
ことを特徴とする折り畳み椅子の左右フレーム接続構造。
【請求項3】
左右に配置される2本の前脚フレームと2本の座面フレームとが、座面の幅方向に接近・離間することによって展開及び折り畳みが可能な折り畳み椅子における前記前脚フレームと前記座面フレームの左右フレーム接続構造であって、
前記左右の座面フレーム同士を接続し、頂点部分で互いに枢結され展開時V型となる2本のメインフレームと、
当該2本のメインフレームそれぞれの途中位置と前記左右の前脚フレームにおける下端近傍とのみを繋ぐ補助フレームと、
前記2本のメインフレーム同士を接続し、頂点部分で互いに枢結され展開時直線状となる2本の突張りフレームと、を備える
ことを特徴とする折り畳み椅子の左右フレーム接続構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、折り畳み椅子に関し、特に詳しくは、左右に配置されるフレームが、座面の幅方向に接近・離間することによって展開及び折り畳みが可能な折り畳み椅子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、様々な種類の折り畳み椅子が存在する。一般的な折り畳み椅子としては、2本の前脚と、2本の後脚がそれぞれクロスリンクで接続されて幅方向に折り畳むことが可能となる構造である(特許文献1の特に図2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-118214号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されるような2本の前脚を単純にクロスリンクで繋いた構造の場合、座面を低く設定するには限界がある。即ち、単純に座面位置を低くしようとすれば、展開時における2本の前脚を繋ぐクロスリンクの角度(図14におけるθ部分)を小さくせざるを得ず、クロス中心部の金具への負担が増加する。
【0005】
それを嫌って座面位置を下げると同時に当該クロスリンク部分の角度を大きくしようとすれば、不可避的に座面幅を小さくせざるを得ず、座り心地が犠牲となる。
【0006】
そこで本発明は、こういった問題点を解決するべくなされたものであって、座面幅を変えることなく座面の位置を下げることが可能な、折り畳み椅子を提供する事をその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するべく、本願発明は、左右に配置されるフレームが、座面の幅方向に接近・離間することによって展開及び折り畳みが可能な折り畳み椅子における左右フレーム接続構造であって、左右のフレームにおける座面高さ位置近傍同士を接続し、頂点部分で互いに枢結され展開時V型となる2本のメインフレームと、当該2本のメインフレームそれぞれの途中位置と前記左右のフレームにおける下端近傍とを繋ぐ補助フレームと、前記2本のメインフレーム同士を接続し、頂点部分で互いに枢結され展開時直線状となる2本の突張りフレームと、を備えることを特徴とする。
【0008】
このような構成を採用することより、座面幅を狭めることなく、座面高さを低く設定することが可能となった。また、突張りフレームの存在によって、着席時に左右のフレームが接近しようとする力を効率的に受け止めることができる。
【0009】
また、前記突張りフレームは、展開時、枢結された部分を下方に押さえ込むことにより直線状態が保持されるロック機構を備えることが望ましい。
【0010】
このような構成を採用することにより、意図せず左右のフレームが接近して折り畳まれてしまうのを防止することができる。
【0011】
より具体的には、例えば、左右に配置される2本の前脚フレームと2本の座面フレームとが、座面の幅方向に接近・離間することによって展開及び折り畳みが可能な折り畳み椅子における前記前脚フレームと前記座面フレームの左右フレーム接続構造であって、前記左右の座面フレーム同士を接続し、頂点部分で互いに枢結され展開時V型となる2本のメインフレームと、当該2本のメインフレームそれぞれの途中位置と前記左右の前脚フレームにおける下端近傍とを繋ぐ補助フレームと、前記2本のメインフレーム同士を接続し、頂点部分で互いに枢結され展開時直線状となる2本の突張りフレームと、を備える構造である。
【発明の効果】
【0012】
本発明を適用することで、座面幅を変えることなく座面の位置を下げることが可能な、折り畳み椅子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】折り畳み椅子の展開時の全体斜視図である。
図2】シート生地を取り外した状態の折り畳み椅子の展開時の全体斜視図である。
図3】同、シート生地を取り外した状態の折り畳み椅子の折り畳む途中の状態を示した斜視図である。
図4】同、シート生地を取り外した状態の折り畳み椅子の更に折り畳んだ状態を示した斜視図である。
図5】同、シート生地を取り外した状態の折り畳み椅子の折り畳み時の斜視図である。
図6】同、シート生地を取り外した状態の折り畳み椅子の展開時の右側面図である。
図7】同、シート生地を取り外した状態の折り畳み椅子の展開時の右側面図であって、背もたれを倒した状態を示した図である。
図8】フロント側左右フレーム接続構造を示した展開時の正面図である。
図9】同、フロント側左右フレーム接続構造の折り畳む途中の状態を示した正面図である。
図10】同、フロント側左右フレーム接続構造の折り畳み時の正面図である。
図11】リア側左右フレーム接続構造を示した展開時の背面図である。
図12】同、リア側左右フレーム接続構造の折り畳む途中の状態を示した背面図である。
図13】同、リア側左右フレーム接続構造の折り畳み時の背面図である。
図14】(a)が本願発明にかかる折り畳み椅子を構成するフレーム構造体の折り畳み時の側面図、(b)が特開2016-93475号に開示される折り畳み椅子のフレーム構造体の折り畳み時の側面図である。
図15】特許文献1において開示されている左右フレーム(前脚)のクロスリンク構造を示した正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の実施形態の一例である折り畳み椅子10及び当該折り畳み椅子の左右フレーム接続構造120、150について説明を加える。なお、図面理解容易の為、各部の大きさや寸法を誇張して表現している部分があり、実際の製品と必ずしも一致しない部分があることを付記しておく。また各図面は符号の向きに見るものとし、当該向きを基本に上下左右、手前、奥と表現する。
【0015】
〈折り畳み椅子の構成〉
図1に示しているように、折り畳み椅子100は、主にアルミ製のフレーム材を組み合わせたフレーム構造体100に対して、座面から背面まで一体化されたシート生地101を装着して構成される。
【0016】
図2に示しているように、フレーム構造体100は、左右対象に配置されたフレームが、前後2つの左右フレーム接続構造120、150によって接続された構造となっている。なお、符号末尾に示した「a」の文字は左右フレームのうち左側フレームを構成する部材を意味し、一方「b」の文字は左右フレームのうち右側フレームを構成する部材を意味している。
【0017】
展開時において、前脚フレーム102と後脚フレーム104とはそれぞれの上端近傍位置にて枢結されて逆V字型となるように構成される。前脚フレーム102の途中には、座面フレーム106が枢結される。座面フレーム106の後端には、背面フレーム110が枢結される。
【0018】
座面フレーム106の後端近傍位置は、後脚104に挿嵌され当該後脚104に対してスライド可能なジョイント103を介して後脚104と接続される。なお、符号105は、ジョイント103のスライドを制限するためのストッパーである。
【0019】
背面フレーム110の途中には、肘掛け108が枢結される。なお、本実施形態においてこの肘掛け108は木製となっている。この肘掛け108の下面には、調整金具109が取り付けられている。当該調整金具109は、前脚フレーム102と後脚フレーム104との枢結部分に係合可能となっており、段階的に設定された所望の位置で係合させることによって、背面フレーム110の角度を段階的に変化させることが可能となっている(図6および図7を参照)。
【0020】
なお、図2は、フレーム構造体101の展開時の構成であるが、折り畳まれるに従って、図3図5のような形状へと変化する。
【0021】
図8に示しているように、フロント側左右フレーム接続構造120は、座面高さ位置近傍にある左右の座面フレーム106a、106b同士を接続し、頂点部分(一端側)で互いに枢結され展開時V型となる2本のメインフレーム122a、122bを備える。このメインフレーム122と座面フレーム106とは接続パーツ121を介して枢結される。また、2本のメインフレーム122a、122b同士は接続パーツ123を介して枢結される。
【0022】
2本のメインフレーム122a、122bそれぞれの途中位置と、左右の前脚フレーム102a、102bにおける下端近傍とは補助フレーム124a、124bで繋がれている。補助フレーム124とメインフレーム122とは接続パーツ125を介して枢結される。補助フレーム124と前脚フレーム102の下端近傍とは接続パーツ121を介して枢結される。
【0023】
また、2本のメインフレーム122a、122bは、突張りフレーム126によって接続されている。メインフレーム122と突張りフレーム126とは枢結されている。この突張りフレーム126は、頂点部分(一端側)で互いに枢結され展開時直線状となる2本の部材126a、126bと、両者を枢結すると共に、ロック機構(下方に押さえ込むことにより直線状態が保持される)としても機能するロックパーツ128により構成される。なお、突張りフレーム126はメインフレーム122の前後にそれぞれ備わっており、前後2つで1セットとして機能する(図2参照)。
【0024】
なお、図8は、フロント側左右フレーム接続構造120の展開時の構成であるが、折り畳まれるに従って、図9図10のような形状へと変化する。
【0025】
図11に示しているように、リア側左右フレーム接続構造150は、2本の背座フレーム110a、110bをクロスリンクするように架設されている。2本のメインフレーム(リア側)152a、152bの上端近傍はそれぞれ、背面フレーム110の上方位置に枢結している。更に、交差部分で互いに枢結している。また、メインフレーム(リア側)152の下端近傍は、補助フレーム(リア側)154と枢結している。この補助フレーム(リア側)154は、背面フレーム110の下方に枢結している。
【0026】
また、2本のメインフレーム(リア側)152a、152bは、突張りフレーム(リア側)156によって接続されている。メインフレーム(リア側)152と突張りフレーム(リア側)156とは枢結されている。この突張りフレーム(リア側)156は、頂点部分(一端側)で互いに枢結され展開時直線状となる2本の部材156a、156bと、両者を枢結すると共に、ロック機構(下方に押さえ込むことにより直線状態が保持される)としても機能するロックパーツ158により構成される。なお、突張りフレーム(リア側)156及びロックパーツ(リア側)158と、フロント側左右フレーム接続構造120における突張りフレーム(フロント側)126及びロックパーツ(フロント側)128とは共通部品となっており、部品の管理のし易さ、組み立て時における取り付けミスの減少、コスト削減等に寄与している。
【0027】
なお、図11は、リア側左右フレーム接続構造150の展開時の構成であるが、折り畳まれるに従って、図12図13のような形状へと変化する。
【0028】
上記構成で説明したように、本発明の実施形態の一例として示した折り畳み椅子10におけるフロント側左右フレーム接続構造120は、左右のフレームにおける座面高さ位置近傍同士を接続し、頂点部分(一端側)で互いに枢結され展開時V型となる2本のメインフレーム122a、122bと、当該2本のメインフレーム122a、122bそれぞれの途中位置と左右のフレームにおける下端近傍(前客102の下端近傍)とを繋ぐ補助フレーム124a、124bと、2本のメインフレーム122a、122b同士を接続し、頂点部分(一端側)で互いに枢結され展開時直線状となる2本の突張りフレーム126a、126bと、を備えていた。
【0029】
このような構成を採用したことより、座面幅(即ち展開時における2本の座面フレーム106a、106bの距離)を狭めることなく、座面高さ(即ち展開時における2本の座面フレーム106a、106bの高さ)を低く設定することが可能となった。また、突張りフレーム126の存在によって、着席時に左右の座面フレーム106a、106bが接近しようとする力を効率的に受け止めることができる。
【0030】
〈その他〉
なお、リア側左右フレーム接続構造150は、例えば特開2016-93475号において開示されている、背面(背もたれ面)の接続構造(折り畳み構造)の問題点を解決せんとするものである。当該特開2016-93475号に開示される背面(背もたれ面)の接続構造(折り畳み構造)では、折り畳み時に左右を接続する部材の全体が「上方」に移動する形で折り畳まれるものであるが、このような構成では折り畳み時のサイズ(長さ)が大きくなり、収納・運搬がし難いといった問題があった。
【0031】
そこでリア側左右フレーム接続構造150においては、2本のメインフレーム(リア側)152a、152bの交差部分(枢結部分)よりも下方位置に、メインフレーム(リア側)152と補助フレーム(リア側)154との枢結箇所を設けることにより、折り畳み時において、これら全体が「上方」ではなく「下方」に移動しながら折り畳まれるという構成を採用しているのである。
【0032】
このような構成を採用したことによって、折り畳み時に、背面(背もたれ面)を構成するパーツが、脚部(前脚や後脚)を構成するパーツと重なるように折り畳まれることとなり、折り畳み時の高さ(長さ)を抑えることが可能となっている(図14参照)。
【0033】
左右に配置されるフレームが、座面の幅方向に接近・離間することによって展開及び折り畳みが可能な折り畳み椅子における左右フレーム接続構造であって、左右それぞれの背面フレームと座面フレームとが両者の一端を尽き合わした状態で枢結され、両者が重なるように折り畳まれた状態から、展開するに従って側面視略「L字」型に変化する構成を有し、左右の背面フレーム110a、110bにおける上方位置に一端が接続されると共に、互いに枢結して交差配置させた2本のメインフレーム(リア側)152a、152bと、2本のメインフレーム(リア側)152a、152bの他端(下端)と背面フレーム110a、110bの下方とを繋ぐ2本の補助フレーム(リア側)154a、154bと、を備えることを特徴とする折り畳み椅子の左右フレーム接続構造。即ち、2本のメインフレーム(リア側)152a、152bの交差部分(枢結部分)よりも下方位置に、メインフレーム(リア側)152と補助フレーム(リア側)154との枢結箇所が設けられている構造である。
【符号の説明】
【0034】
10・・・折り畳み椅子
100・・・フレーム構造体
101・・・シート生地
102・・・前脚フレーム
104・・・後脚フレーム
106・・・座面フレーム
108・・・肘掛け
110・・・背面フレーム
120・・・フロント側左右フレーム接続構造
122・・・メインフレーム(フロント側)
124・・・補助フレーム(フロント側)
126・・・突張りフレーム(フロント側)
128・・・ロックパーツ(フロント側)
150・・・リア側左右フレーム接続構造
152・・・メインフレーム(リア側)
154・・・補助フレーム(リア側)
156・・・突張りフレーム(リア側)
158・・・ロックパーツ(リア側)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15