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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-13
(45)【発行日】2022-05-23
(54)【発明の名称】開発支援装置及び開発支援プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 8/20 20180101AFI20220516BHJP
   G06F 8/70 20180101ALI20220516BHJP
【FI】
G06F8/20
G06F8/70
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020194898
(22)【出願日】2020-11-25
【審査請求日】2020-12-14
(73)【特許権者】
【識別番号】591102095
【氏名又は名称】三菱電機ソフトウエア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002491
【氏名又は名称】溝井国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】藤原 啓一
【審査官】金木 陽一
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-102745(JP,A)
【文献】国際公開第2017/122285(WO,A1)
【文献】特開2012-084019(JP,A)
【文献】特開2020-161025(JP,A)
【文献】北村 充晴ほか,ソフトウェア開発におけるトレーサビリティリンクの複雑さの表現と単純化方法,電子情報通信学会論文誌D,2014年03月01日,Vol. J97-D, No. 3,pp. 437-449,ISSN: 1880-4535
【文献】野尻 周平ほか,大規模並行開発での運用を考慮した成果物間整合保証方式の提案,情報処理学会研究報告,2008年09月19日,Vol. 2008, No. 93,pp. 25-32,ISSN: 0919-6072
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 8/20
G06F 8/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
システム開発工程で作成された1つ以上の項目を含む複数の成果物であって、成果物間で関連がある項目同士が関連付けされた複数の成果物を取得する成果物取得部と、
前記システム開発工程で作成される成果物間で関連付けされるべき項目が定義された接続定義を取得する定義取得部と、
前記成果物取得部によって取得された前記複数の成果物において関連付けされた項目と、前記定義取得部によって取得された前記接続定義で定義された関連付けされるべき項目とが一致するか否かを判定する判定部と
前記判定部によって一致しないと判定された項目について、前記複数の成果物において関連付けされていないが、前記接続定義で関連付けされるべき項目と定義されている不接続項目と、前記複数の成果物において関連付けされているが、前記接続定義で関連付けされるべき項目と定義されていない過接続項目とに区別して表示する結果表示部と
を備える開発支援装置。
【請求項2】
前記接続定義は、前記成果物間で関連付けされるべきか否かが、2つの成果物のうちのどちらからどちらへ関連付けがされるかを示す関係の方向性毎に別々に定義された
請求項1に記載の開発支援装置。
【請求項3】
前記開発支援装置は、さらに、
前記結果表示部によって表示された前記不接続項目と前記過接続項目との少なくともいずれかを許容することを示す許容入力を受け付ける受付部
を備え、
前記結果表示部は、前記不接続項目及び前記過接続項目のうち、前記受付部によって前記許容入力がされた項目については表示を変更する
請求項1又は2に記載の開発支援装置。
【請求項4】
前記接続定義は、前記システム開発工程で作成されるべき成果物が定義されており、
前記開発支援装置は、さらに、
前記接続定義で定義された成果物を、前記成果物取得部によってその成果物が取得されたか否かによって区別して表示する成果物表示部
を備える請求項1からまでのいずれか1項に記載の開発支援装置。
【請求項5】
システム開発工程で作成された1つ以上の項目を含む複数の成果物であって、成果物間で関連がある項目同士が関連付けされた複数の成果物を取得する成果物取得処理と、
前記システム開発工程で作成される成果物間で関連付けされるべき項目が定義された接続定義を取得する定義取得処理と、
前記成果物取得処理によって取得された前記複数の成果物において関連付けされた項目と、前記定義取得処理によって取得された前記接続定義で定義された関連付けされるべき項目とが一致するか否かを判定する判定処理と
前記判定処理によって一致しないと判定された項目について、前記複数の成果物において関連付けされていないが、前記接続定義で関連付けされるべき項目と定義されている不接続項目と、前記複数の成果物において関連付けされているが、前記接続定義で関連付けされるべき項目と定義されていない過接続項目とに区別して表示する結果表示処理と
を行う開発支援装置としてコンピュータを機能させる開発支援プログラム。
【請求項6】
前記接続定義は、前記成果物間で関連付けされるべきか否かが、2つの成果物のうちのどちらからどちらへ関連付けがされるかを示す関係の方向性毎に別々に定義された
請求項に記載の開発支援プログラム。
【請求項7】
前記開発支援プログラムは、さらに、
前記表示処理によって表示された前記不接続項目と前記過接続項目との少なくともいずれかを許容することを示す許容入力を受け付ける受付処理
を行う開発支援装置としてコンピュータを機能させ、
前記表示処理では、前記不接続項目及び前記過接続項目のうち、前記受付処理によって前記許容入力がされた項目については表示を変更する
請求項5又は6に記載の開発支援プログラム。
【請求項8】
前記接続定義は、前記システム開発工程で作成されるべき成果物が定義されており、
前記開発支援プログラムは、さらに、
前記接続定義で定義された成果物を、前記成果物取得処理によってその成果物が取得されたか否かによって区別して表示する成果物表示処理
を行う開発支援装置としてコンピュータを機能させる請求項からまでのいずれか1項に記載の開発支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、システムの開発を支援する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ソフトウェアシステムと、機械と電子部品とソフトウェアとの複合システムといったシステムを開発する場合には、開発工程において様々な種類の設計書とプログラムのソースコード等の複数の成果物が生成される。
品質の高いシステムを開発するためには、各開発工程で適切な成果物が作成される必要がある。しかし、規模が大きいシステムを開発する場合には多くの作業者によって成果物が作成されることになり、成果物の品質管理が難しくなる。
【0003】
特許文献1には、V字モデルと呼ばれる開発モデルにおけるトレーサビリティ管理方式について記載されている。特許文献1では、トレーサビリティ管理を適切に行うことにより、要件漏れのない高品質な開発管理の実現を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2017/122285号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
V字モデルと呼ばれる開発モデルでは、上流工程から下流工程に順に開発工程が進められることが前提となっている。そのため、上流工程で作成された成果物の項目に対応して、下流工程で成果物が作成されるという流れになる。したがって、上流工程で作成された成果物から下流工程で作成された成果物へ順に対応関係を辿ることにより、トレーサビリティが確立されていることを確認可能であった。
しかし、実際の開発では、一部の要件が確定しない状態で他の要件については設計等を進める必要があるといった状況が発生する。この場合には、上流工程の成果物が完成する前に下流工程の一部の成果物が作成されるといったことが起こる。そのため、システム開発中にトレーサビリティが確立されているかを確認することは困難となる場合があった。
本開示は、様々なシステム開発の現場において品質の高いシステム開発を行えるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る開発支援装置は、
システム開発工程で作成された1つ以上の項目を含む複数の成果物であって、成果物間で関連がある項目同士が関連付けされた複数の成果物を取得する成果物取得部と、
前記システム開発工程で作成される成果物間で関連付けされるべき項目が定義された接続定義を取得する定義取得部と、
前記成果物取得部によって取得された前記複数の成果物において関連付けされた項目と、前記定義取得部によって取得された前記接続定義で定義された関連付けされるべき項目とが一致するか否かを判定する判定部と
を備える。
【0007】
前記開発支援装置は、さらに、
前記判定部によって一致しないと判定された項目について、前記複数の成果物において関連付けされていないが、前記接続定義で関連付けされるべき項目と定義されている不接続項目と、前記複数の成果物において関連付けされているが、前記接続定義で関連付けされるべき項目と定義されていない過接続項目とに区別して表示する結果表示部
を備える。
【0008】
前記開発支援装置は、さらに、
前記結果表示部によって表示された前記不接続項目と前記過接続項目との少なくともいずれかを許容することを示す許容入力を受け付ける受付部
を備え、
前記結果表示部は、前記不接続項目及び前記過接続項目のうち、前記受付部によって前記許容入力がされた項目については表示を変更する。
【0009】
前記接続定義は、前記システム開発工程で作成されるべき成果物が定義されており、
前記開発支援装置は、さらに、
前記接続定義で定義された成果物を、前記成果物取得部によってその成果物が取得されたか否かによって区別して表示する成果物表示部
を備える。
【0010】
本開示に係る開発支援プログラムは、
システム開発工程で作成された1つ以上の項目を含む複数の成果物であって、成果物間で関連がある項目同士が関連付けされた複数の成果物を取得する成果物取得処理と、
前記システム開発工程で作成される成果物間で関連付けされるべき項目が定義された接続定義を取得する定義取得処理と、
前記成果物取得処理によって取得された前記複数の成果物において関連付けされた項目と、前記定義取得処理によって取得された前記接続定義で定義された関連付けされるべき項目とが一致するか否かを判定する判定処理と
を行う開発支援装置としてコンピュータを機能させる。
【0011】
前記開発支援プログラムは、さらに、
前記判定処理によって一致しないと判定された項目について、前記複数の成果物において関連付けされていないが、前記接続定義で関連付けされるべき項目と定義されている不接続項目と、前記複数の成果物において関連付けされているが、前記接続定義で関連付けされるべき項目と定義されていない過接続項目とに区別して表示する結果表示処理
を行う開発支援装置としてコンピュータを機能させる。
【0012】
前記開発支援プログラムは、さらに、
前記表示処理によって表示された前記不接続項目と前記過接続項目との少なくともいずれかを許容することを示す許容入力を受け付ける受付処理
を行う開発支援装置としてコンピュータを機能させ、
前記表示処理では、前記不接続項目及び前記過接続項目のうち、前記受付処理によって前記許容入力がされた項目については表示を変更する。
【0013】
前記接続定義は、前記システム開発工程で作成されるべき成果物が定義されており、
前記開発支援プログラムは、さらに、
前記接続定義で定義された成果物を、前記成果物取得処理によってその成果物が取得されたか否かによって区別して表示する成果物表示処理
を行う開発支援装置としてコンピュータを機能させる。
【発明の効果】
【0014】
本開示では、システム開発工程で作成される成果物間で関連付けされるべき項目を接続定義として定義しておき、接続定義に基づき実際に作成された成果物において関連付けされた項目が適切か判定される。これにより、作成された成果物について、トレーサビリティが確立されていない不適切な可能性がある箇所が特定される。特定された箇所について検討を行うことで、成果物の品質を高くすることが可能であり、その結果として品質の高いシステムを開発することが可能である。
特に、本開示では、どのような流れでシステム開発を行った場合においても、システムの開発中に不適切な可能性がある箇所を特定することが可能である。そのため、様々なシステム開発の現場において品質の高いシステム開発を行えるようにすることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施の形態1に係る開発支援装置10の構成図。
図2】実施の形態1に係る接続定義31の説明図。
図3】実施の形態1に係る接続定義31の接続関係の説明図。
図4】実施の形態1に係る接続定義31の具体例の説明図。
図5】実施の形態1に係る運用コンセプト定義41の説明図。
図6】実施の形態1に係る運用ノード系統図42の説明図。
図7】実施の形態1に係るビジネスユースケース定義43の説明図。
図8】実施の形態1に係る運用フローモデル44の説明図。
図9】実施の形態1に係るシステム要件仕様45の説明図。
図10】実施の形態1に係る開発支援装置10の処理のフローチャート。
図11】実施の形態1に係る結果表示部24の表示例を示す図。
図12】変形例1に係る開発支援装置10の構成図。
図13】実施の形態2に係る開発支援装置10の構成図。
図14】実施の形態2に係る開発支援装置10の処理のフローチャート。
図15】実施の形態2に係る結果表示部24の表示例を示す図。
図16】実施の形態3に係る開発支援装置10の構成図。
図17】実施の形態3に係る開発支援装置10の処理のフローチャート。
図18】実施の形態3に係る成果物表示部26の表示例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
実施の形態1.
***構成の説明***
図1を参照して、実施の形態1に係る開発支援装置10の構成を説明する。
開発支援装置10は、コンピュータである。
開発支援装置10は、プロセッサ11と、メモリ12と、ストレージ13と、通信インタフェース14とのハードウェアを備える。プロセッサ11は、信号線を介して他のハードウェアと接続され、これら他のハードウェアを制御する。
【0017】
プロセッサ11は、プロセッシングを行うIC(Integrated Circuit)である。プロセッサ11は、具体例としては、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、GPU(Graphics Processing Unit)である。
【0018】
メモリ12は、データを一時的に記憶する記憶装置である。メモリ12は、具体例としては、SRAM(Static Random Access Memory)、DRAM(Dynamic Random Access Memory)である。
【0019】
ストレージ13は、データを保管する記憶装置である。ストレージ13は、具体例としては、HDD(Hard Disk Drive)である。また、ストレージ13は、SD(登録商標,Secure Digital)メモリカード、CF(CompactFlash,登録商標)、NANDフラッシュ、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ブルーレイ(登録商標)ディスク、DVD(Digital Versatile Disk)といった可搬記録媒体であってもよい。
【0020】
通信インタフェース14は、外部の装置と通信するためのインタフェースである。通信インタフェース14は、具体例としては、Ethernet(登録商標)、USB(Universal Serial Bus)、HDMI(登録商標,High-Definition Multimedia Interface)のポートである。
【0021】
開発支援装置10は、機能構成要素として、成果物取得部21と、定義取得部22と、判定部23と、結果表示部24とを備える。開発支援装置10の各機能構成要素の機能はソフトウェアにより実現される。
ストレージ13には、開発支援装置10の各機能構成要素の機能を実現するプログラムが格納されている。このプログラムは、プロセッサ11によりメモリ12に読み込まれ、プロセッサ11によって実行される。これにより、開発支援装置10の各機能構成要素の機能が実現される。
【0022】
また、ストレージ13には、接続定義31が記憶される。
【0023】
図1では、プロセッサ11は、1つだけ示されていた。しかし、プロセッサ11は、複数であってもよく、複数のプロセッサ11が、各機能を実現するプログラムを連携して実行してもよい。
【0024】
***動作の説明***
図2から図11を参照して、実施の形態1に係る開発支援装置10の動作を説明する。
実施の形態1に係る開発支援装置10の動作手順は、実施の形態1に係る開発支援方法に相当する。また、実施の形態1に係る開発支援装置10の動作を実現するプログラムは、実施の形態1に係る開発支援プログラムに相当する。
【0025】
図2から図9を参照して、実施の形態1に係る接続定義31を説明する。
図2に示すように、接続定義31は、システム開発工程で作成されるべき成果物と、成果物間で関連付けされるべき関係を示した接続関係とが定義されている。
図2では、システム開発工程で作成されるべき成果物として、運用コンセプト定義41と、運用ノード系統図42と、ビジネスユースケース定義43と、運用フローモデル44と、システム要件仕様45とが定義されている。そして、運用コンセプト定義41と運用ノード系統図42とが関連付けられ、運用ノード系統図42とビジネスユースケース定義43とが関連付けられ、ビジネスユースケース定義43と運用フローモデル44とが関連付けられ、運用フローモデル44とシステム要件仕様45とが関連付けられ、システム要件仕様45と運用コンセプト定義41とが関連付けられるべきであるとする接続関係が定義されている。
なお、図2は、接続定義31によって定義される成果物の一部を示しており、実際には、図2に示すよりも多くの成果物が定義されることが想定される。
【0026】
図3に示すように、各成果物には、1つ以上の項目が含まれている。接続定義31は、単に成果物間で関連付けされるべき関係を示した接続関係が定義されているのではなく、成果物間で関連付けされるべき項目の関係を示した接続関係が定義されている。つまり、接続定義31は、単に成果物Xと成果物Yとが関連付けされるべきであると定義されるのではなく、成果物Xの項目Iと成果物Yの項目Jとが関連付けされるべきであると定義される。あるいは、接続定義31は、成果物Xの項目Kと成果物Z(成果物Zの全項目)とが関連付けされるべきであると定義される。
【0027】
図4から図9を参照して、図2に示す成果物において、どのように項目間の接続関係が定義されるかを説明する。図4は、以下の図5から図9を参照して説明する接続関係を示している。
【0028】
図5に示すように、運用コンセプト定義41は、開発対象のシステムのミッション毎に、ステークホルダと、ビジョンと、ゴールとが定義される。ミッションは、システムの意義又は使命である。ステークホルダは、利害関係者である。ビジョンは、真の目的である。ゴールは、具体的なイメージである。ゴールには、その背景を表す根拠が定義されている。
【0029】
図6に示すように、運用ノード系統図42は、運用コンセプト定義41で定義された全てのステークホルダがどのように関係しているかが定義される。具体的には、全てのステークホルダ間におけるサービスと物と金銭との少なくともいずれかの流れが定義される。
そのため、図4に示すように、接続定義31は、運用コンセプト定義41のステークホルダの項目と、運用ノード系統図42とが関連付けされるべきであると定義される。また、運用コンセプト定義41のゴールについても運用ノード系統図42に表される可能性がある。そのため、接続定義31は、運用コンセプト定義41のステークホルダの項目及びゴールの項目と運用ノード系統図42とが関連付けされるべきであると定義されてもよい。
【0030】
図7に示すように、ビジネスユースケース定義43は、運用ノード系統図42で定義された各関係がビジネスユースケースとされ、各ステークホルダをアクタとして、処理が分解され階層化されて定義される。
そのため、図4に示すように、接続定義31は、運用ノード系統図42の各ステークホルダを表すノードの項目と、ビジネスユースケース定義43におけるアクタの項目とが関連付けされるべきであると定義される。
【0031】
図8に示すように、運用フローモデル44は、ビジネスユースケース定義43における最下層の各ビジネスユースケースについて、運用フロー及びシステムユースケースが紐づけられて定義される。
そのため、図4に示すように、接続定義31は、ビジネスユースケース定義43のビジネスユースケースの項目と、運用フローモデル44とが関連付けされるべきであると定義される。
【0032】
図9に示すように、システム要件仕様45は、運用フローモデル44における各システムユースケースについて、システム要件が定義される。また、システム要件仕様45は、運用コンセプト定義41で定義されたゴールが根拠となっている必要がある。
そのため、図4に示すように、接続定義31は、運用フローモデル44のシステムユースケースの項目と、システム要件仕様45とが関連付けされるべきであると定義される。また、接続定義31は、システム要件仕様45と、運用コンセプト定義41のゴールの項目とが関連付けされるべきであると定義される。
【0033】
なお、図4では、関連付けされるべき項目間に〇を設定している。しかし、関係に方向性がある場合には、方向性まで定義されてもよい。例えば、ある行から対応する列への作図トレースがある場合と、ある列から対応する行への作図トレースがある場合と、ある行と対応する列とで双方向の作図トレースがある場合とが考えられる。この場合には、それぞれの場合が区別して定義されてもよい。つまり、接続定義31は、成果物間で関連付けされるべきか否かが、2つの成果物のうちのどちらからどちらへ関連付けがされるかを示す関係の方向性毎に別々に定義されてもよい。
【0034】
図10を参照して、実施の形態1に係る開発支援装置10の処理を説明する。
図10に示す処理は、開発支援装置10のユーザによって実行の指示がされた場合に開始される。
【0035】
前提として、図4に示すような接続定義31が作成され、ストレージ13に記憶されているものとする。また、開発対象のシステムについての開発作業が進められ、少なくとも一部の成果物が作成されているものとする。なお、成果物の作成に当たっては、指定された設計ツール等が用いられ、成果物間で関連がある項目同士が関連付けされているものとする。
【0036】
(ステップS11:成果物取得処理)
成果物取得部21は、システム開発工程で作成された1つ以上の項目を含む複数の成果物であって、成果物間で関連がある項目同士が関連付けされた複数の成果物を取得する。つまり、成果物取得部21は、開発対象のシステムについての開発作業が進められ、既に作成された成果物を取得する。
具体的には、作成された成果物がユーザによって指定の記憶装置に記憶される。そして、成果物取得部21は、指定の記憶装置から成果物を読み出すことにより、成果物を取得する。
【0037】
(ステップS12:定義取得処理)
定義取得部22は、システム開発工程で作成される成果物間で関連付けされるべき項目が定義された接続定義31を取得する。
具体的には、定義取得部22は、ストレージ13から接続定義31を読み出すことにより、接続定義31を取得する。
【0038】
(ステップS13:判定処理)
判定部23は、ステップS11で取得された複数の成果物において関連付けされた項目と、ステップS12で取得された接続定義31で定義された関連付けされるべき項目とが一致するか否かを判定する。
具体的には、判定部23は、ステップS11で取得された成果物において関連付けされた項目毎に、接続定義31で関連付けされるべきであると定義されているか否かを判定する。また、判定部23は、接続定義31で定義された関連付けされるべき項目毎に、ステップS11で取得された成果物において関連付けされているか否かを判定する。
【0039】
(ステップS14:結果表示処理)
結果表示部24は、ステップS13で判定された結果を表示する。
具体的には、結果表示部24は、ステップS13で一致しないと判定された項目について、複数の成果物において関連付けされていないが、接続定義31で関連付けされるべき項目と定義されている不接続項目Xと、複数の成果物において関連付けされているが、接続定義31で関連付けされるべき項目と定義されていない過接続項目Yとに区別して表示する。
具体例としては、図11に示すように、結果表示部24は、図4に示す接続定義31と同様の表に、不接続項目X及び過接続項目Yを表示する。
【0040】
***実施の形態1の効果***
以上のように、実施の形態1に係る開発支援装置10は、システム開発工程で作成される成果物間で関連付けされるべき項目を接続定義31として定義しておく。そして、開発支援装置10は、接続定義31に基づき実際に作成された成果物において関連付けされた項目が適切であるかを判定する。
これにより、作成された成果物について、トレーサビリティが確立されていない不適切な可能性がある箇所が特定される。特定された箇所について検討を行うことで、成果物の品質を高くすることが可能である。具体的には、不接続項目Xと表示された箇所については、関連付けされていないことによってトレースが確立されなくならないかが検討され、必要に応じて関連付けが行われる。また、過接続項目Yと表示された箇所については、関連付けが適切であるかが検討され、必要に応じて関連付けが外される。そして、その結果として品質の高いシステムを開発することが可能である。
【0041】
実施の形態1に係る開発支援装置10では、接続定義31を事前に準備しておくことにより、どのような流れでシステム開発を行った場合においても、システムの開発中に不適切な可能性がある箇所を特定することが可能である。そのため、様々なシステム開発の現場において品質の高いシステム開発を行えるようにすることが可能である。
なお、接続定義31は、システムによらず同じものを使用することが可能である。したがって、接続定義31は、システム開発前に事前に準備しておくことが可能である。接続定義31は、システムの種別に応じて多少変更してもよい。例えば、ソフトウェアシステムであるか、複合システムであるかといった種別の違いによって、一部変更してもよい。
【0042】
***他の構成***
<変形例1>
実施の形態1では、各機能構成要素がソフトウェアで実現された。しかし、変形例1として、各機能構成要素はハードウェアで実現されてもよい。この変形例1について、実施の形態1と異なる点を説明する。
【0043】
図12を参照して、変形例1に係る開発支援装置10の構成を説明する。
各機能構成要素がハードウェアで実現される場合には、開発支援装置10は、プロセッサ11とメモリ12とストレージ13とに代えて、電子回路15を備える。電子回路15は、各機能構成要素と、メモリ12と、ストレージ13との機能とを実現する専用の回路である。
【0044】
電子回路15としては、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ロジックIC、GA(Gate Array)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)が想定される。
各機能構成要素を1つの電子回路15で実現してもよいし、各機能構成要素を複数の電子回路15に分散させて実現してもよい。
【0045】
<変形例2>
変形例2として、一部の各機能構成要素がハードウェアで実現され、他の各機能構成要素がソフトウェアで実現されてもよい。
【0046】
プロセッサ11とメモリ12とストレージ13と電子回路15とを処理回路という。つまり、各機能構成要素の機能は、処理回路により実現される。
【0047】
また、以上の説明における「部」を、「回路」、「工程」、「手順」、「処理」又は「処理回路」に読み替えてもよい。
【0048】
実施の形態2.
実施の形態2は、一致しないと判定された項目について許容することを示す許容入力を受け付ける点が実施の形態1と異なる。実施の形態2では、この異なる点を説明し、同一の点については説明を省略する。
【0049】
***構成の説明***
図13を参照して、実施の形態2に係る開発支援装置10の構成を説明する。
開発支援装置10は、機能構成要素として、受付部25を備える点が図1に示す開発支援装置10と異なる。受付部25は、他の機能構成要素と同様に、ソフトウェア又はハードウェアによって実現される。
【0050】
***動作の説明***
図14及び図15を参照して、実施の形態2に係る開発支援装置10の動作を説明する。
実施の形態2に係る開発支援装置10の動作手順は、実施の形態2に係る開発支援方法に相当する。また、実施の形態2に係る開発支援装置10の動作を実現するプログラムは、実施の形態2に係る開発支援プログラムに相当する。
【0051】
図14を参照して、実施の形態2に係る開発支援装置10の処理を説明する。
ステップS21からステップS23の処理は図10に示すステップS11からステップS13の処理と同じである。
【0052】
(ステップS24:結果表示処理)
結果表示部24は、図10のステップS14と同様に、ステップS23で判定された結果を表示する。つまり、結果表示部24は、ステップS13で一致しないと判定された項目について、不接続項目X又は過接続項目Yを表示する。
但し、結果表示部24は、後述するステップS25で過去に許容入力がされた項目については表示を変更する。具体例としては、結果表示部24は、許容入力がされた項目については不接続項目X又は過接続項目Yの表示をしない、あるいは、図15に示すように、許容入力がされた項目については網掛けをした上で不接続項目X又は過接続項目Yを表示する。
【0053】
(ステップS25:受付処理)
受付部25は、ステップS24で表示された不接続項目と過接続項目との少なくともいずれかを許容することを示す許容入力を受け付ける。
具体的には、ユーザによって許容する不接続項目又は過接続項目が指定される。すると、受付部25は、指定された不接続項目又は過接続項目については許容するものとして扱う。
【0054】
***実施の形態2の効果***
以上のように、実施の形態2に係る開発支援装置10は、一致しないと判定された項目について許容することを示す許容入力を受け付ける。これにより、不要な検討作業を行うことを防止可能である。
接続定義31と一致しない箇所についても、システムによっては妥当であるという場合がある。そのため、既に妥当であるという検討結果が得られた箇所については、妥当であるという検討結果が得られていない箇所と区別して表示することで、既に検討済の箇所を改めて検討対象にすることを防止できる。
【0055】
実施の形態3.
実施の形態3は、成果物が作成されたか否かを表示する点が実施の形態1,2と異なる。実施の形態3では、この異なる点を説明して、同一の点については説明を省略する。
実施の形態3では、実施の形態1に機能を加えた場合について説明するが、実施の形態2に機能を加えることも可能である。
【0056】
***構成の説明***
図16を参照して、実施の形態3に係る開発支援装置10の構成を説明する。
開発支援装置10は、機能構成要素として、成果物表示部26を備える点が図1に示す開発支援装置10と異なる。成果物表示部26は、他の機能構成要素と同様に、ソフトウェア又はハードウェアによって実現される。
【0057】
***動作の説明***
図17及び図18を参照して、実施の形態3に係る開発支援装置10の動作を説明する。
実施の形態3に係る開発支援装置10の動作手順は、実施の形態3に係る開発支援方法に相当する。また、実施の形態3に係る開発支援装置10の動作を実現するプログラムは、実施の形態3に係る開発支援プログラムに相当する。
【0058】
図17を参照して、実施の形態3に係る開発支援装置10の処理を説明する。
図17に示す処理は、開発支援装置10のユーザによって実行の指示がされた場合に開始される。
【0059】
ステップS31の処理は図10に示すステップS11の処理と同じである。
【0060】
(ステップS32:成果物表示処理)
成果物表示部26は、接続定義31で定義された成果物を、ステップS31でその成果物が取得されたか否かによって区別して表示する。
具体例としては、図18に示すように、成果物表示部26は、接続定義31で定義された、システム開発工程で作成されるべき成果物を箱で示し、成果物間で関連付けされるべき関係を箱間を接続することによって示す。そして、成果物表示部26は、ステップS31で成果物が取得されていない場合には、その成果物に対応する箱を空き箱として表示し、ステップS31で成果物が取得された場合には、その成果物に対応する箱を成果物が入った状態として表示する。
【0061】
***実施の形態3の効果***
以上のように、実施の形態3に係る開発支援装置10は、接続定義31で定義された接続関係とともに、各成果物が作成されたか否かを表示する。これにより、どの成果物が作成され、どの成果物が作成されていないかを容易に特定することが可能である。
実際の開発では、一部の要件が確定しない状態で他の要件については設計等を進める必要があるといった状況が発生する。このような場合には、上流工程の成果物から順に作成されるわけではなくなる。システムの規模が大きいと作成される成果物も多くなり、成果物の管理が煩雑になる。実施の形態3に係る開発支援装置10では、容易に成果物を管理することが可能になる。
【0062】
以上、本開示の実施の形態及び変形例について説明した。これらの実施の形態及び変形例のうち、いくつかを組み合わせて実施してもよい。また、いずれか1つ又はいくつかを部分的に実施してもよい。なお、本開示は、以上の実施の形態及び変形例に限定されるものではなく、必要に応じて種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0063】
10 開発支援装置、11 プロセッサ、12 メモリ、13 ストレージ、14 通信インタフェース、15 電子回路、21 成果物取得部、22 定義取得部、23 判定部、24 結果表示部、25 受付部、26 成果物表示部、31 接続定義、41 運用コンセプト定義、42 運用ノード系統図、43 ビジネスユースケース定義、44 運用フローモデル、45 システム要件仕様。
【要約】
【課題】様々なシステム開発の現場において品質の高いシステム開発を行えるようにする。
【解決手段】成果物取得部21は、システム開発工程で作成された1つ以上の項目を含む複数の成果物であって、成果物間で関連がある項目同士が関連付けされた複数の成果物を取得する。定義取得部22は、システム開発工程で作成される成果物間で関連付けされるべき項目が定義された接続定義を取得する。判定部23は、成果物取得部21によって取得された複数の成果物において関連付けされた項目と、定義取得部22によって取得された接続定義31で定義された関連付けされるべき項目とが一致するか否かを判定する。
【選択図】図1
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