(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-13
(45)【発行日】2022-05-23
(54)【発明の名称】電動式移動体
(51)【国際特許分類】
A47L 9/28 20060101AFI20220516BHJP
A47L 9/00 20060101ALI20220516BHJP
【FI】
A47L9/28 E
A47L9/28 U
A47L9/00 104
(21)【出願番号】P 2020551722
(86)(22)【出願日】2018-10-22
(86)【国際出願番号】 JP2018039184
(87)【国際公開番号】W WO2020084658
(87)【国際公開日】2020-04-30
【審査請求日】2021-01-14
(73)【特許権者】
【識別番号】598163064
【氏名又は名称】学校法人千葉工業大学
(74)【代理人】
【識別番号】100167900
【氏名又は名称】福井 仁
(72)【発明者】
【氏名】古田 貴之
(72)【発明者】
【氏名】友納 正裕
(72)【発明者】
【氏名】大和 秀彰
(72)【発明者】
【氏名】吉田 智章
(72)【発明者】
【氏名】清水 正晴
(72)【発明者】
【氏名】奥村 悠
(72)【発明者】
【氏名】戸田 健吾
(72)【発明者】
【氏名】小太刀 崇
(72)【発明者】
【氏名】入江 清
(72)【発明者】
【氏名】原 祥尭
(72)【発明者】
【氏名】荻原 一輝
【審査官】大内 康裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-094390(JP,A)
【文献】特開2017-158806(JP,A)
【文献】特開2014-188062(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 9/00~ 9/32
B62H 3/00~ 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
環境内を移動する電動式移動体であって、
バッテリを有する移動体本体と、
前記移動体本体を格納するための格納装置と、を備え、
前記格納装置は、
前記移動体本体の一端側の一部を係止する係止部と、
前記係止部を昇降させる昇降手段と、
前記移動体本体の前記バッテリに充電するための充電手段と、
前記充電手段を給電可能な給電状態と、給電不能な非給電状態とに切り替える充電切替手段とを有し、
前記移動体本体の一部を係止した前記係止部を前記昇降手段によって上昇させることで、前記移動体本体を吊り上げて一端側を上方に向けた起立状態で格納可能に構成され、
前記充電切替手段は、前記昇降手段にて前記係止部を昇降させている場合に、前記充電手段を前記非給電状態に切り替え
、
前記格納装置は、
前記係止部が前記充電手段から前記移動体本体に向かって給電する給電端子として機能することを特徴とする電動式移動体。
【請求項2】
請求項1に記載された電動式移動体において、
前記格納装置は、
前記充電切替手段にて前記給電状態に切り替えた場合に、前記移動体本体の前記バッテリに給電できているか否かを判定する給電判定手段を備え、
前記充電切替手段は、前記給電判定手段にて前記移動体本体の前記バッテリに給電できていないと判定された場合に、前記充電手段を前記非給電状態に切り替えることを特徴とする電動式移動体。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載された電動式移動体において、
前記充電手段は、前記係止部に接触して給電可能な給電部を有し、
前記給電部は、前記移動体本体を吊り上げる前の係止位置にある前記係止部に接触可能な第1端子と、前記移動体本体を吊り上げた後の格納位置にある前記係止部に接触可能な第2端子と、を有して構成されていることを特徴とする電動式移動体。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載された電動式移動体において、
前記格納装置は、前記移動体本体が吊り上げ可能な所定位置にあるか否かを検知する検知手段を有し、
前記昇降手段は、前記検知手段による検知に基づき、前記移動体本体が所定位置にくるまでは前記係止部を退避位置に下降させ、前記移動体本体が所定位置にきた時に前記係止部を係止位置まで上昇させることを特徴とする電動式移動体。
【請求項5】
環境内を移動する電動式移動体であって、
バッテリを有する移動体本体と、
前記移動体本体を格納するための格納装置と、を備え、
前記格納装置は、
前記移動体本体の一端側の一部を係止する係止部と、
前記係止部を昇降させる昇降手段と、
前記移動体本体の前記バッテリに充電するための充電手段と、
前記充電手段を給電可能な給電状態と、給電不能な非給電状態とに切り替える充電切替手段とを有し、
前記移動体本体の一部を係止した前記係止部を前記昇降手段によって上昇させることで、前記移動体本体を吊り上げて一端側を上方に向けた起立状態で格納可能に構成され、
前記充電切替手段は、前記昇降手段にて前記係止部を昇降させている場合に、前記充電手段を前記非給電状態に切り替え、
前記格納装置は、
前記移動体本体が吊り上げ可能な所定位置にあるか否かを検知する検知手段と、
前記充電切替手段にて前記給電状態に切り替えた場合に、前記移動体本体の前記バッテリに給電できているか否かを判定する給電判定手段
とを備え、
前記昇降手段は、
前記検知手段による検知に基づき、前記移動体本体が所定位置にくるまでは前記係止部を退避位置に下降させ、前記移動体本体が所定位置にきた時に前記係止部を係止位置まで上昇させ、前記給電判定手段にて前記移動体本体の前記バッテリに給電できていないと判定された場合に、前記係止部を退避位置に下降させることを特徴とする電動式移動体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動式移動体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、走行手段と、床面から除去した塵埃を集塵する集塵部と、走行手段等に電力を供給するバッテリと、を備え、環境内を移動する自走式掃除機などの電動式移動体が知られており(例えば、特許文献1等参照)、この自走式掃除機のバッテリは、床面に別途設置されて電源に接続された充電台(格納装置)から充電されるようになっている。自走式掃除機は、充電台からの帰還用信号を頼りに、走行手段の駆動輪を制御して充電台に帰還し、自走式掃除機の充電端子と充電台の給電端子とが電気的に接続されることで、充電台への帰還が完了したことを検知し、走行手段や集塵部の駆動を停止させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されたような従来の自走式掃除機では、充電台に自走式掃除機が帰還して待機した待機状態において、自走式掃除機と充電台とが平面的に接続される。このため、自走式掃除機と充電台とを合わせた投影面積だけ床面のエリアを占有することになってしまい、待機状態における占有スペースが大きいという問題がある。
【0005】
本発明の目的は、待機状態における占有スペースを小さくすることができる自走式掃除機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電動式移動体は、環境内を移動する電動式移動体であって、バッテリを有する移動体本体と、前記移動体本体を格納するための格納装置と、を備え、前記格納装置は、前記移動体本体の一端側の一部を係止する係止部と、前記係止部を昇降させる昇降手段と、前記移動体本体の前記バッテリに充電するための充電手段と、前記充電手段を給電可能な給電状態と、給電不能な非給電状態とに切り替える充電切替手段とを有し、前記移動体本体の一部を係止した前記係止部を前記昇降手段によって上昇させることで、前記移動体本体を吊り上げて一端側を上方に向けた起立状態で格納可能に構成され、前記充電切替手段は、前記昇降手段にて前記係止部を昇降させている場合に、前記充電手段を前記非給電状態に切り替え、前記格納装置は、前記係止部が前記充電手段から前記移動体本体に向かって給電する給電端子として機能することを特徴とする。
【0007】
このような本発明によれば、格納装置は、昇降手段によって係止部を上昇させ、係止部で係止した電動式移動体を吊り上げて一端側を上方に向けた起立状態で格納することで、格納した電動式移動体の床面に対する投影面積を小さくすることができ、待機状態にある電動式移動体および格納装置を合わせた占有スペースを小さくすることができる。また、格納装置は、充電手段を給電可能な給電状態と、給電不能な非給電状態とに切り替える充電切替手段を有し、充電切替手段は、昇降手段にて係止部を昇降させている場合に、充電手段を非給電状態に切り替えている。したがって、昇降手段および充電手段は、同時に大きな電力を使用することはないので、充電手段を小型化することができ、ひいては格納装置を小型化することができる。また、充電切替手段は、昇降手段にて係止部を昇降させている場合に、充電手段を非給電状態に切り替えているので、昇降時の係止部の振動により発生するチャタリングに起因したノイズを防止することができる。
また、格納装置は、移動体本体を吊り上げるための係止部が給電端子として機能することで、別途の給電端子を準備しなくても吊り上げた移動体本体に向かって容易に給電することができる。
【0008】
本発明では、前記格納装置は、前記充電切替手段にて前記給電状態に切り替えた場合に、前記移動体本体の前記バッテリに給電できているか否かを判定する給電判定手段を備え、前記充電切替手段は、前記給電判定手段にて前記移動体本体の前記バッテリに給電できていないと判定された場合に、前記充電手段を前記非給電状態に切り替えることが好ましい。
【0009】
このような構成によれば、充電切替手段は、給電判定手段にて移動体本体のバッテリに給電できていないと判定された場合に、充電手段を非給電状態に切り替えるので、使用者の安全性を高めることができる。
【0012】
本発明では、前記充電手段は、前記係止部に接触して給電可能な給電部を有し、前記給電部は、前記移動体本体を吊り上げる前の係止位置にある前記係止部に接触可能な第1端子と、前記移動体本体を吊り上げた後の格納位置にある前記係止部に接触可能な第2端子と、を有して構成されていることが好ましい。
【0013】
このような構成によれば、充電手段は、係止部に接触して給電可能な給電部を有し、この給電部が第1端子と第2端子とを有することで、吊り上げ前の係止位置および吊り上げ後の格納位置の両位置において各端子が係止部に接触して通電させ、係止部を介して移動体本体に給電することができる。また、可動する係止部に給電用の配線を直接接続する必要がなくなるため、配線が絡んだり、配線が動くスペースを確保したりする必要がない。
【0014】
本発明では、前記格納装置は、前記移動体本体が吊り上げ可能な所定位置にあるか否かを検知する検知手段を有し、前記昇降手段は、前記検知手段による検知に基づき、前記移動体本体が所定位置にくるまでは前記係止部を退避位置に下降させ、前記移動体本体が所定位置にきた時に前記係止部を係止位置まで上昇させることが好ましい。
【0015】
このような構成によれば、格納装置は、移動体本体が所定位置にくるまで昇降手段が係止部を退避位置に下降させておくことで、係止部が突出しないようにして人の足や衣服などが引っ掛かることを防止するとともに、移動体本体の一部と係止部とが摺接することを防止し、係止部の摩耗を低減させることができる。また、格納装置は、移動体本体が所定位置にきたことを検知手段が検知してから、昇降手段が係止部を係止位置まで上昇させることで、係止部によって移動体本体の一部を確実に係止することができ、移動体本体を安定して吊り上げることができる。
【0016】
本発明の電動式移動体は、環境内を移動する電動式移動体であって、バッテリを有する移動体本体と、前記移動体本体を格納するための格納装置と、を備え、前記格納装置は、前記移動体本体の一端側の一部を係止する係止部と、前記係止部を昇降させる昇降手段と、前記移動体本体の前記バッテリに充電するための充電手段と、前記充電手段を給電可能な給電状態と、給電不能な非給電状態とに切り替える充電切替手段とを有し、前記移動体本体の一部を係止した前記係止部を前記昇降手段によって上昇させることで、前記移動体本体を吊り上げて一端側を上方に向けた起立状態で格納可能に構成され、前記充電切替手段は、前記昇降手段にて前記係止部を昇降させている場合に、前記充電手段を前記非給電状態に切り替え、前記格納装置は、前記移動体本体が吊り上げ可能な所定位置にあるか否かを検知する検知手段と、前記充電切替手段にて前記給電状態に切り替えた場合に、前記移動体本体の前記バッテリに給電できているか否かを判定する給電判定手段とを備え、前記昇降手段は、前記検知手段による検知に基づき、前記移動体本体が所定位置にくるまでは前記係止部を退避位置に下降させ、前記移動体本体が所定位置にきた時に前記係止部を係止位置まで上昇させ、前記給電判定手段にて前記移動体本体の前記バッテリに給電できていないと判定された場合に、前記係止部を退避位置に下降させることを特徴とする。
【0017】
このような本発明によれば、格納装置は、昇降手段によって係止部を上昇させ、係止部で係止した電動式移動体を吊り上げて一端側を上方に向けた起立状態で格納することで、格納した電動式移動体の床面に対する投影面積を小さくすることができ、待機状態にある電動式移動体および格納装置を合わせた占有スペースを小さくすることができる。また、格納装置は、充電手段を給電可能な給電状態と、給電不能な非給電状態とに切り替える充電切替手段を有し、充電切替手段は、昇降手段にて係止部を昇降させている場合に、充電手段を非給電状態に切り替えている。したがって、昇降手段および充電手段は、同時に大きな電力を使用することはないので、充電手段を小型化することができ、ひいては格納装置を小型化することができる。また、充電切替手段は、昇降手段にて係止部を昇降させている場合に、充電手段を非給電状態に切り替えているので、昇降時の係止部の振動により発生するチャタリングに起因したノイズを防止することができる。
また、格納装置は、移動体本体が所定位置にくるまで昇降手段が係止部を退避位置に下降させておくことで、係止部が突出しないようにして人の足や衣服などが引っ掛かることを防止するとともに、移動体本体の一部と係止部とが摺接することを防止し、係止部の摩耗を低減させることができる。また、格納装置は、移動体本体が所定位置にきたことを検知手段が検知してから、昇降手段が係止部を係止位置まで上昇させることで、係止部によって移動体本体の一部を確実に係止することができ、移動体本体を安定して吊り上げることができる。
さらに、昇降手段は、給電判定手段にて移動体本体のバッテリに給電できていないと判定された場合に、係止部を退避位置に下降させるので、係止部が突出しないようにして人の足や衣服などが引っ掛かることを防止するとともに、使用者の安全性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施形態に係る自走式掃除機の正面図
【
図2】前記自走式掃除機における掃除機本体の側面図および格納装置の断面図
【
図3】前記自走式掃除機における掃除機本体の吊り上げ状態を示す側面図
【
図4】前記自走式掃除機における掃除機本体の格納状態を示す側面図
【
図5】前記自走式掃除機の概略構成を示す機能ブロック図
【
図8】前記掃除機本体における周囲清掃手段の突出状態を上方から見た斜視図
【
図9】前記掃除機本体における周囲清掃手段の突出状態を下方から見た斜視図
【
図10】前記掃除機本体における周囲清掃手段の突出状態を示す正面図
【
図11】前記掃除機本体における周囲清掃手段の突出状態を示す右側面図
【
図12】前記掃除機本体における周囲清掃手段の突出状態を示す背面図
【
図16】(A)~(D)は、前記格納装置の動作を示す断面図
【
図17】(A),(B)は、前記格納装置の一部を拡大して示す断面図
【
図19】(A),(B)は、前記格納装置の昇降手段を示す断面図
【
図20】前記格納装置の昇降手段を拡大して示す断面図
【
図21】前記格納装置の昇降手段を拡大して示す断面図
【
図22】前記格納装置の動作を示す側面図および断面図
【
図23】
図22に続く前記格納装置の動作を示す側面図および断面図
【
図24】
図23に続く前記格納装置の動作を示す側面図および断面図
【
図25】
図24に続く前記格納装置の動作を示す側面図および断面図
【
図26】(A)~(C)は、前記格納装置の充電手段を拡大して示す断面図
【
図27】本発明の変形例に係る掃除機本体を下方から見た斜視図
【
図28】前記掃除機本体における周囲清掃手段の突出状態を下方から見た斜視図
【
図29】本発明の変形例に係る掃除機本体を下方から見た斜視図
【
図30】本発明の変形例に係る自走式掃除機の格納装置を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態を
図1~
図26に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る自走式掃除機の正面図であり、
図2は、自走式掃除機における掃除機本体の側面図および格納装置の断面図である。
自走式掃除機1は、床面Fに沿って走行しつつ床面Fを清掃する電動式移動体である。この自走式掃除機1は、移動体本体としての掃除ロボットである掃除機本体2と、非清掃時に掃除機本体2を格納するための格納装置としての充電ステーション6と、を備える。
なお、本実施形態では、移動体本体として掃除機本体2を例示して説明するが、移動体本体は、掃除機本体2とは異なるものであってもよい。例えば、移動体本体は、車両や、キックボードや、電動式自転車や、ドローンなどであってもよい。要するに、移動体本体は、電力を利用して環境内を移動することができるものであればよい。
【0020】
掃除機本体2は、後述するように、自走するための左右一対の車輪121を有した走行駆動部12と、ボディ10の上面部101から上方に昇降自在に設けられた昇降部13と、床面Fの塵や埃を吸い込むための吸込み部14と、掃除機本体2を操作するための本体操作部15(
図5参照)と、走行駆動部12および昇降部13等に電力を供給するバッテリ18(
図5参照)と、を備える。充電ステーション6は、部屋の中の所定位置に移動不能に設置されるとともに、コンセント等の電源に接続されている。
【0021】
図3は、自走式掃除機における掃除機本体の吊り上げ状態を示す側面図であり、
図4は、自走式掃除機における掃除機本体の格納状態を示す側面図である。
図3、4に示すように、充電ステーション6は、掃除機本体2を吊り上げて一端側である後部側を上方に向けた起立状態で格納可能に構成されている。充電ステーション6は、掃除機本体2の後部側に設けられた被係止部16(後述)を係止する係止部としてのフック64と、このフック64を昇降させる昇降手段としての昇降駆動部51(後述)と、を有して構成されている。
【0022】
図5は、自走式掃除機の概略構成を示す機能ブロック図である。
図5に示すように、掃除機本体2は、掃除機本体2の周囲を清掃するための周囲清掃手段3と、掃除機本体2の周囲の障害物を検知するためのセンサ部4と、掃除機本体2、周囲清掃手段3およびセンサ部4を駆動制御する制御手段としての制御部5と、を備えている。
【0023】
周囲清掃手段3は、掃除機本体2の前部において左右一対で設けられ、掃除機本体2から側方に突出して回動可能なアーム21と、アーム21を回動駆動するモータ22と、モータ22に外部から作用する負荷を検出する負荷センサ23と、アーム21の回動角度を検出する角度センサ24と、を備える。
【0024】
センサ部4は、掃除機本体2の前部に設けられた前方センサ31と、昇降部13に設けられた周囲センサ32と、掃除機本体2の後部に設けられた後方センサ33と、掃除機本体2の内部に設けられた姿勢検知センサ34とを備える。この姿勢検知センサ34は、掃除機本体2の姿勢の変化を検知する姿勢検知手段として機能する。なお、姿勢検知センサ34は、掃除機本体2の姿勢の変化を検知することができれば、どのようなセンサであってもよく、例えば、加速度センサや、ジャイロセンサなどを採用できる。
【0025】
制御部5は、走行駆動部12を制御する走行制御部41と、吸込み部14を制御する吸込制御部42と、センサ部4の前方センサ31、周囲センサ32、後方センサ33、姿勢検知センサ34および周囲清掃手段3の負荷センサ23、角度センサ24からの検出信号を処理する検出演算部43と、周囲清掃手段3のモータ22を駆動制御してアーム21を回動させるアーム制御部44と、を備える。
【0026】
充電ステーション6は、フック64を昇降させる昇降手段としての昇降駆動部51と、掃除機本体2のバッテリ18に給電して充電するための充電手段としての充電部52と、充電ステーション6に帰還してきた掃除機本体2の位置を検出する検知手段としての位置検出部53と、充電部52による給電を制御する充電制御部54と、を備える。
【0027】
次に、
図6~
図12に基づいて掃除機本体2の構造を説明する。
図6は、掃除機本体を上方から見た斜視図であり、
図7は、掃除機本体を下方から見た斜視図である。
図8は、掃除機本体において周囲清掃手段の突出状態を上方から見た斜視図であり、
図9は、掃除機本体において周囲清掃手段の突出状態を下方から見た斜視図である。
図10~
図12は、掃除機本体において周囲清掃手段の突出状態を示す正面図、右側面図および背面図である。
【0028】
掃除機本体2は、上面部101、前面部102、左右の側面部103および背面部104を有したボディ10と、底面部105を構成するシャーシ11と、自走するための左右一対の車輪121を有した走行駆動部12と、ボディ10の上面部101から上方に昇降自在に設けられた昇降部13と、ボディ10の底面部105に設けられて床面Fの塵や埃を吸い込むための吸込み部14と、掃除機本体2を操作するための本体操作部15(
図5)と、を備える。本体操作部15は、例えば、掃除機本体2の上面部101に設けられたタッチセンサ式のスイッチ(不図示)であって、使用者によるタッチ操作によって掃除機本体2を作動させ、作動中のタッチ操作によって掃除機本体2を停止させる。
【0029】
周囲清掃手段3のアーム21は、掃除機本体2に一端側が回転自在に支持された第1アーム21Aと、第1アーム21Aの他端側に回転自在に支持された第2アーム21Bと、を有して構成されている。第1アーム21Aは、全体中空状に形成され、その一端側がシャーシ11に回転自在に支持されている。第2アーム21Bは、下方に開口した全体長尺椀状に形成され、その中間部が第1アーム21Aの他端側に回転自在に支持されている。第2アーム21Bは、下方に開口して床面Fの埃等を吸い込む副吸込み口25を有し、副吸込み口25は、第2アーム21Bおよび第1アーム21Aの内部空間を通して吸込み部14のダクトおよび集塵室に連通されている。また、第2アーム21Bの下面には、後述するように、充電ステーション6によって吊り上げ途中の掃除機本体2の前部側(他端側)を転動案内する案内手段としての回転球26が設けられている。
【0030】
センサ部4は、ボディ10の前面部102に設けられた前方センサ31と、昇降部13に設けられた周囲検知手段としての周囲センサ32と、ボディ10の背面部104に設けられた後方センサ33と、前述した姿勢検知センサ34と、を有して構成されている。前方センサ31は、超音波センサや赤外線センサ等で構成され、掃除機本体2の前方の障害物を検知する。周囲センサ32は、昇降部13の内部で回転駆動されるとともに、赤外線レーザー等のレーザー光を照射して距離を測定するレーザースキャナ(LIDAR(Light Detection and RangingまたはLaser Imaging Detection and Ranging))であって、障害物までの距離や障害物の形状を算出するものである。なお、周囲センサ32は、昇降部13に設けられたものに限らず、ボディ10の任意の位置に設けられていればよい。後方センサ33は、充電ステーション6に対する距離や位置を検出するためのものであって、充電ステーション6の位置検出部53の赤外線発光部53C(
図13参照)との間で赤外線等による通信を行う。
【0031】
走行駆動部12は、左右一対の車輪121と、一対の車輪121を各々独立して回転駆動するモータ(不図示)と、を備えている。また、シャーシ11の後部には、補助輪122が設けられている。吸込み部14には、ローラーブラシ141、図示しないダクト、吸引ファン、集塵室および排気口が接続されており、吸い込んだ塵等を集塵室のフィルタで集塵するとともに、吸い込んだ空気を排気口から排気するようになっている。吸込み部14のダクトと周囲清掃手段3のアーム21の内部空間とが連通されている。
【0032】
次に、
図13~
図18を参照して充電ステーション6の構造を説明する。
図13は、自走式掃除機の格納装置を示す斜視図であり、
図14は、格納装置を示す正面図である。
図15は、格納装置を示す断面図であり、
図14にA-A線で示す位置の断面図である。
図16(A)~(D)は、格納装置の動作を示す断面図である。
図17(A),(B)は、格納装置の一部を拡大して示す断面図であり、
図2の部分拡大図である。
図18は、格納装置の検知手段を示す断面図である。
【0033】
格納装置としての充電ステーション6は、
図13~
図15に示すように、床面Fに載置される基部61と、基部61の左右から立ち上がる左右一対の柱部62と、柱部62の上端部を連結するアーチ状の頂部63と、係止部としての一対のフック64と、を備えている。基部61は、前方側から後方側(
図13の左下側から右上側)に向かって上方に傾斜した楔形の基部前部61Aと、基部前部61Aの後方にて立ち上がる箱形の基部後部61Bと、を有し、全体中空状に形成されている。柱部62は、基部後部61Bに連続して立ち上がり、柱前面部62A、柱内側面部62B、柱外側面部62C、および柱背面部62Dを有し、全体筒状に形成されている。このような基部61および柱部62の内部には、昇降駆動部51、充電部52、位置検出部53および充電制御部(制御基板)54が設けられている。
【0034】
基部前部61Aの上面中央部には、掃除機本体2の補助輪122を案内するスロープ61Cが設けられている。このスロープ61Cは、前方側から後方側に向かって上り傾斜を有し、充電ステーション6に向かって後退しつつ接近してきた掃除機本体2の補助輪122がスロープ61Cに乗り上げることで、
図2に示すように、掃除機本体2の後部側(一端側)が斜め上方に向かって案内されるようになっている。スロープ61Cの後端部には、略水平な平坦部(
図18参照)が設けられ、平坦部に補助輪122が乗り上げることで、掃除機本体2が前方側に向かって滑り落ちにくくなっている。また、基部前部61Aの上面における左右両端部には、第2スロープ61Dが設けられ、この第2スロープ61Dによって
図4に示すように、掃除機本体2の前部側(他端側)に設けられた回転球26を案内するように構成されている。
【0035】
基部後部61Bの前面には、位置検出部53を構成する複数の赤外線発光部53Cが設けられている。これらの赤外線発光部53Cが発光した赤外線を掃除機本体2の後方センサ33が受光することで、掃除機本体2は、充電ステーション6に向かって後退しつつ充電ステーション6に対する自身の左右位置や距離を検出する。掃除機本体2は、後方センサ33の検出に基づいて走行駆動部12を適宜に調節しつつ後退し、充電ステーション6における所定の吊り上げ可能位置(
図2に示すドッキング位置)まで進入する。また、基部後部61Bから柱部62の柱内側面部62Bには、フック64を上下に案内するスリット62Eが形成されている。柱部62の柱前面部62Aおよびスリット62Eは、上方に向かうにしたがって後方に傾斜して設けられており、これにより
図2~
図4に示すように、掃除機本体2の後部側が斜め上方に向かって吊り上げられるようになっている。
【0036】
頂部63の上面中央部には、清掃開始スイッチ63Aが設けられている(
図13参照)。この清掃開始スイッチ63Aが押下されることで、掃除機本体2は、清掃を開始するようになっている。
【0037】
フック64は、
図16に示すように、昇降駆動部51に駆動されて基部61から柱部62に亘って昇降可能に設けられている。すなわち、フック64は、
図16(A)に示す退避位置から、
図16(B)に示す係止位置、
図16(C)に示す吊り上げ途中位置を通って、
図16(D)に示す格納位置までの間を昇降可能に構成されている。
【0038】
フック64は、
図17に示すように、昇降駆動部51に連結されるフック基部64Aと、フック基部64Aから前方すなわち掃除機本体2に向かって略水平に延びる延出片64Bと、を有し、延出片64Bの先端部上面には、円弧状に凹んだ係止凹部64Cが形成されている。一方、掃除機本体2の底面部の後部側(一端側)には、
図7、
図9および
図17に示すように、フック64に係止される一対の被係止部16が設けられている。被係止部16は、係止凹部64Cよりも小径な円柱状に形成され、係止凹部64Cの内部で前後に微小距離だけ移動可能、かつ、係止凹部64Cに対して回転可能に係止されるようになっている。また、被係止部16は、掃除機本体2のバッテリ18に電気的に接続され、後述するように掃除機本体2の充電端子として機能する。
【0039】
位置検出部53は、赤外線発光部53Cに加えて、
図18に示すように、基部前部61Aの内部に設けられたホールセンサ基板53Aと、このホールセンサ基板53Aに設けられたホール素子53Bと、を備える。一方、掃除機本体2の底面部の後部側(一端側)には、磁石17が設けられている。掃除機本体2が後退して補助輪122がスロープ61Cを越えて平坦部に乗り上げると、掃除機本体2がフック64によって吊り上げ可能なドッキング位置に戻ったことになる。この際、ホール素子53Bが磁石17を検知し、掃除機本体2がドッキング位置に戻ったことを位置検出部53が検出する。
【0040】
このように位置検出部53によって掃除機本体2がドッキング位置に戻ったことを検知するまでは、
図17(A)に示すように、昇降駆動部51は、フック64を退避位置に下降させておき、掃除機本体2の後退中にフック64と被係止部16とが接触しないようになっている。一方、掃除機本体2がドッキング位置に戻ったことを位置検出部53が検知したら、
図17(B)に示すように、昇降駆動部51は、フック64を係止位置まで上昇させ、係止凹部64Cによって被係止部16を係止させる。また、フック64は、充電部52から掃除機本体2に向かって給電する給電端子として機能し、被係止部16は、掃除機本体2内部のバッテリ18に電気的に接続される。そして、充電制御部54は、充電部52を給電可能な給電状態に切り替える。これによって、フック64から給電される電力が被係止部16を介してバッテリ18に供給されるようになっている。
【0041】
ここで、本実施形態では、係止位置は、フック64の係止凹部64Cと、被係止部16とが接触した位置よりも更に数mm程度だけフック64を上昇させた位置に設定されている。換言すれば、係止位置は、フック64の係止凹部64Cと、被係止部16とを接触させたことによって、掃除機本体2を僅かに持ち上げた位置となるように設定されている。
これによれば、充電ステーション6は、フック64の係止凹部64Cと、被係止部16との接触圧を高めることができるので、フック64の係止凹部64Cと、被係止部16とを確実に導通させることができる。
また、係止凹部64Cは、円弧状に凹むように形成されているので、フック64の係止凹部64Cと、被係止部16とが接触した位置よりも更に数mm程度だけフック64を上昇させた位置に設定することによって、充電ステーション6に対して掃除機本体2がずれていた場合に、これを修正することができる。
【0042】
次に、
図19~
図21を参照して充電ステーション6の昇降駆動部(昇降手段)51を説明する。
図19(A)、
図19(B)は、それぞれ格納装置の昇降手段を示す断面図であり、
図14にB-B線およびC-C線で示す位置の断面図である。
図20は、格納装置の昇降手段を拡大して示す断面図であり、
図21は、格納装置の昇降手段を拡大して示す断面図である。
【0043】
昇降駆動部51は、
図19~
図21に示すように、モータ71と、ドライブシャフト72と、左右一対のボールねじ軸73と、左右のフック64にそれぞれ固定されたボールねじ74と、ボールねじ74を上下に案内するリニアガイド75と、を備える。
【0044】
ドライブシャフト72は、左右に延びて設けられ、その両端部にウォームギア72Aが固定されている。
図20に示すように、モータ71の出力軸にはピニオンギア71Aが固定され、ドライブシャフト72の一方側(図の左側)の中間部に従動ギア72Bが固定されている。モータ71のピニオンギア71Aと従動ギア72Bとの間には、第1ギア76Aおよび第2ギア76Bからなるギア列が設けられ、これらの各ギア71A,76A,76B,72Bを介してモータ71の出力がドライブシャフト72に伝達され、ドライブシャフト72が回転する。
【0045】
ボールねじ軸73は、基部61から柱部62に亘って上下に延びて設けられ、その上下端部が軸支されている。ボールねじ軸73の下端部には、ウォームホイール73Aが固定され、このウォームホイール73Aは、ドライブシャフト72のウォームギア72Aに噛合し、ドライブシャフト72が回転すると、その回転がボールねじ軸73の回転に変換される。ボールねじ74は、ボールねじ軸73に噛合し、ボールねじ軸73が回転すると、ボールねじ74およびフック64が上下に移動する。リニアガイド75は、基部61から柱部62に亘って上下に延びて固定されたレール75Aと、ボールねじ74に固定されてレール75Aに案内される可動部75Bと、を備え、ボールねじ74およびフック64を直線移動可能に案内する。
【0046】
ここで、充電制御部54は、昇降駆動部51にてフック64を昇降させている場合に、充電部52を給電不能な非給電状態に切り替える。
このように、本実施形態では、充電制御部54は、充電部52を給電可能な給電状態と、給電不能な非給電状態とに切り替える充電切替手段として機能する。
【0047】
ここで、充電部52は、掃除機本体2のバッテリ18に充電するための充電手段として機能しているが、移動体としての掃除機本体2に動力源となるエネルギーを供給する供給手段としても機能している。
【0048】
また、充電制御部54は、充電部52をエネルギーの供給可能な供給状態と、エネルギーの供給不能な非供給状態とに切り替える供給切替手段としても機能している。
なお、本実施形態では、移動体の動力源となるエネルギーとして電力を例示しているが、例えば、ガソリンや、水素などの他のエネルギーを採用してもよい。そして、移動体の動力源となるエネルギーとして電力以外のエネルギーを採用する場合には、移動体は、電動式でなくてもよい。
【0049】
次に、
図22~
図26を参照して充電ステーション6の充電部(充電手段)52を説明する。
図22~
図25は、格納装置の動作を示す側面図および断面図であり、各図(B)は、各図(A)にA-A線で示す位置の断面図である。
図26(A)~(C)は、格納装置の充電手段を拡大して示す断面図であり、
図26(A)は、
図22(B)の一部を拡大した断面図であり、
図26(B)は、
図23(B)の一部を拡大した断面図であり、
図26(C)は、
図25(B)の一部を拡大した断面図である。
【0050】
充電部52は、コンセントによって電源に接続された電源部52A(
図17~
図21参照)を備え、この電源部52Aには、
図22~
図25に示すように、左右の柱部62の内部下方から基部後部61Bの内部に亘って設けられた第1端子52Bと、左右の柱部62の内部上方に設けられた第2端子52Cと、が電気的に接続されている。第1端子52Bは、柱外側面部62C内面の端子固定部52Dに上端部が固定され、下方に向かって片持ち状に取り付けられている。第2端子52Cは、柱外側面部62C内面の端子固定部52Eに下端部が固定され、上方に向かって片持ち状に取り付けられている。第1端子52Bは、
図26(A),(B)に示すように、左右方向内方に向かって突出した第1接点部52Fを有し、第2端子52Cは、
図26(C)に示すように、左右方向内方に向かって突出した第2接点部52Gを有して形成されている。一方、フック64には、左右方向外方に向かって突出して第1接点部52Fおよび第2接点部52Gに接触可能な導通部64Dが形成されている。
【0051】
第1端子52Bの第1接点部52Fは、
図26(A)に示すように、フック64が退避位置にあるときは導通部64Dに接触せず、
図26(B)に示すように、フック64が係止位置にあるときに導通部64Dに接触する。第2端子52Cの第2接点部52Gは、
図26(C)に示すように、フック64が格納位置にあるときに導通部64Dに接触する。一方、
図24に示すように、フック64が吊り上げ途中位置にある場合、導通部64Dは第1接点部52Fおよび第2接点部52Gのいずれにも接触しないようになっている。
【0052】
以上のように、係止位置にあるフック64は、第1端子52Bを介して充電部52に導通され、格納位置にあるフック64は、第2端子52Cを介して充電部52に導通されている。掃除機本体2の被係止部16がフック64に係止されていることから、充電制御部54によって充電部52からの電力がフック64および被係止部16を介して掃除機本体2内部のバッテリ18に供給され、バッテリ18が充電されるようになっている。
具体的には、充電制御部54は、係止位置または格納位置にフック64がある場合には、充電部52を給電可能な給電状態に切り替える。これによって、フック64から給電される電力が被係止部16を介してバッテリ18に供給されるようになっている。
【0053】
なお、充電ステーション6は、掃除機本体2のバッテリ18への充電を実行する際、フック64を係止位置および格納位置のいずれの位置に停止させるかを使用者の操作入力に応じて選択できるようになっている。例えば、充電ステーション6は、清掃開始スイッチ63Aを使用者が長押しした場合に、フック64を係止位置から格納位置に上昇させたり、フック64を格納位置から係止位置に下降させたりするように構成されていてもよい。
【0054】
また、充電制御部54は、充電部52の通電状態を確認している。したがって、本実施形態では、充電制御部54は、充電制御部54にて給電状態に切り替えた場合に、掃除機本体2のバッテリ18に給電できているか否かを判定する給電判定手段としても機能する。
そして、充電制御部54は、充電制御部54にて掃除機本体2のバッテリ18に給電できていないと判定された場合に、充電部52を非給電状態に切り替える。
また、昇降駆動部51は、充電制御部54にて掃除機本体2のバッテリ18に給電できていないと判定された場合に、フック64を退避位置に下降させる。
【0055】
次に、自走式掃除機1の動作について説明する。床面Fの清掃を終えた掃除機本体2は、充電ステーション6の近傍まで戻ってくると、その後部側(背面部104側)を充電ステーション6に向け、後方センサ33によって充電ステーション6の赤外線発光部53Cからの赤外線を受光し、充電ステーション6に対する距離や位置を検出しながら後退する。さらに、掃除機本体2は、補助輪122が基部前部61Aのスロープ61Cに乗り上げて斜め上方に案内され、
図2、17、18に示すドッキング位置まで後退する。
図18に示すように、位置検出部53のホール素子53Bが磁石17を検知することで、掃除機本体2がドッキング位置まで後退したことが検出されると、掃除機本体2は走行駆動部12の駆動を停止する。
【0056】
なお、本実施形態では、掃除機本体2は、充電ステーション6の近傍まで戻ってくると、その後部側(背面部104側)を充電ステーション6に向け、後方センサ33によって充電ステーション6の赤外線発光部53Cからの赤外線を受光し、充電ステーション6に対する距離や位置を検出しながら後退していた。
これに対して、例えば、掃除機本体2は、充電ステーション6の水平断面形状を予め記憶しておき、この充電ステーション6の水平断面形状と、周囲センサ32にて算出された障害物の形状とを照合することによって、充電ステーション6に対する距離や位置を検出し、その後、本実施形態と同様に後退してもよい。
これによれば、掃除機本体2は、充電ステーション6の近傍まで戻ってきたときの充電ステーション6の設置位置と、清掃を開始した際の充電ステーション6の設置位置とが異なっていた場合であっても充電ステーション6の設置位置を確実に把握することができ、更に確実にドッキング位置まで後退することができる。
【0057】
掃除機本体2がドッキング位置まで後退したら、充電ステーション6の昇降駆動部51は、フック64を
図17(A)に示す退避位置から
図17(B)に示す係止位置まで上昇させ、係止凹部64Cによって被係止部16を係止させる。このようにフック64が係止位置にあって被係止部16を係止することで、
図26(B)に示すように、第1端子52B、フック64および被係止部16を介して充電部52と掃除機本体2のバッテリ18とが導通され、充電制御部54によって充電部52から給電することによりバッテリ18が充電される。
【0058】
このようにドッキング位置にてバッテリ18に充電した後、再び清掃を開始する場合には、使用者は、清掃開始スイッチ63Aを押下すればよい。
充電制御部54は、清掃開始スイッチ63Aが押下されると、充電部52を非給電状態に切り替える。
また、昇降駆動部51は、前述したように、充電制御部54にて掃除機本体2のバッテリ18に給電できていないと判定された場合に、フック64を係止位置から退避位置に下降させる。
掃除機本体2の制御部5は、充電ステーション6の充電部52が給電状態から非給電状態に切り替わったか否かを判定し、充電部52が非供給状態に切り替わったと判定された場合に、充電ステーション6から離脱し、掃除機本体2に清掃を開始させる。
【0059】
このように、本実施形態では、掃除機本体2の制御部5は、充電ステーション6の充電部52が給電状態から非給電状態に切り替わったか否か(供給手段が供給状態から非供給状態に切り替わったか否か)を判定する供給判定手段として機能する。
また、掃除機本体2の制御部5は、掃除機本体2の制御部5にて充電部52が非供給状態に切り替わったと判定された場合に、所定の動作として清掃の開始を実行する移動体側動作実行手段として機能する。
なお、本実施形態では、所定の動作として清掃の開始を例示しているが、これ以外の動作を採用してもよい。
【0060】
そして、本実施形態では、清掃開始スイッチ63Aは、使用者の指示に基づき、充電制御部54にて充電部52を非給電状態に切り替えることによって、掃除機本体2に清掃の開始を実行させる装置側動作実行手段として機能する。
【0061】
掃除機本体2を充電ステーション6に格納する場合には、被係止部16を係止したフック64を昇降駆動部51が上昇させる。このようにフック64が上昇することで、
図3に示すように、掃除機本体2の後部側が斜め上方に吊り上げられる。この吊り上げの際、掃除機本体2の前部側に設けた回転球26が床面Fに沿って転動し、さらに回転球26が基部前部61Aの第2スロープ61Dに乗り上げて第2スロープ61Dに沿って回転球26が転動することで、掃除機本体2が円滑に案内されるようになっている。昇降駆動部51がフック64をさらに上昇させ、フック64が格納位置まで到達すると
図4に示すように、掃除機本体2が後部側を上方に向けた起立状態で充電ステーション6に格納される。
【0062】
このように掃除機本体2が格納された状態において、
図26(C)に示すように、第2端子52C、フック64および被係止部16を介して充電部52と掃除機本体2のバッテリ18とが導通され、充電制御部54によって充電部52から給電することによりバッテリ18が充電される。
【0063】
再び清掃を開始する場合には、使用者は、清掃開始スイッチ63Aを押下すればよい。
充電制御部54は、清掃開始スイッチ63Aが押下されると、充電部52を非給電状態に切り替える。
なお、掃除機本体2の制御部5は、充電ステーション6の充電部52にて給電できているか否かを判定し、給電できていないと判定された場合であっても、姿勢検知センサ34にて掃除機本体2の姿勢が傾斜していること、すなわち掃除機本体2の姿勢が起立状態となっていることを検知した場合には、掃除機本体2に清掃を開始させることはない。
【0064】
その後、昇降駆動部51は、被係止部16を係止したフック64を下降させる。この際、掃除機本体2は、自重によって下降するだけでなく、フック64がシャーシ11を押し下げることによっても下降することになる。このようにフック64が下降することで、掃除機本体2の後部側が斜め下方に案内される。この際、掃除機本体2の前部側に設けた回転球26が基部前部61Aの第2スロープ61Dに沿って転動し、さらに回転球26が床面Fに沿って転動することで、掃除機本体2が円滑に案内されるようになっている。
【0065】
また、昇降駆動部51は、前述したように、充電制御部54にて掃除機本体2のバッテリ18に給電できていないと判定された場合に、フック64を係止位置から退避位置に下降させる。
掃除機本体2の制御部5は、充電ステーション6の充電部52にて給電できているか否かを判定し、給電できていないと判定された場合に、充電ステーション6から離脱し、掃除機本体2に清掃を開始させる。
ここで、掃除機本体2の制御部5は、充電ステーション6の充電部52にて給電できているか否かを判定し、給電できていないと判定された場合であって、姿勢検知センサ34にて掃除機本体2の姿勢が傾斜していること、すなわち掃除機本体2の姿勢が起立状態となっていることを検知しなかった場合には、掃除機本体2に清掃を開始させる。
【0066】
なお、本実施形態では、掃除機本体2の制御部5は、充電ステーション6の充電部52にて給電できているか否かを判定し、給電できていないと判定された場合であって、姿勢検知センサ34にて掃除機本体2の姿勢が傾斜していること、すなわち掃除機本体2の姿勢が起立状態となっていることを検知しなかった場合には、掃除機本体2に清掃を開始させていた。
これに対して、掃除機本体2の制御部5は、姿勢検知センサ34にて掃除機本体2の姿勢が傾斜していること、すなわち掃除機本体2の姿勢が起立状態となっていることを検知しなかった場合には、充電ステーション6の充電部52にて給電できているか否かに関わらず、掃除機本体2に清掃を開始させるようにしてもよい。
【0067】
このように、本実施形態では、掃除機本体2の制御部5は、姿勢検知センサ34にて掃除機本体2の姿勢の変化を検知した場合に、所定の動作として清掃の開始を実行する移動体側動作実行手段として機能する。
なお、本実施形態では、所定の動作として清掃の開始を例示しているが、これ以外の動作を採用してもよい。
【0068】
そして、本実施形態では、清掃開始スイッチ63Aは、使用者の指示に基づき、掃除機本体2の一部を係止したフック64を昇降駆動部51によって下降させて掃除機本体2の姿勢を変化させることによって、掃除機本体2に清掃の開始を実行させる装置側動作実行手段として機能する。
【0069】
このような本実施形態によれば、以下の作用・効果を奏することができる。
(1)充電ステーション6は、掃除機本体2の後部側を吊り上げて起立状態で格納することで、格納した掃除機本体2の床面Fに対する投影面積を小さくすることができ、格納状態にある掃除機本体2および充電ステーション6を合わせた占有スペースを小さくすることができる。また、充電制御部54は、昇降駆動部51にてフック64を昇降させている場合に、充電部52を非給電状態に切り替えているので、昇降時のフック64の振動により発生するチャタリングに起因したノイズを防止することができる。
【0070】
(2)充電ステーション6は、掃除機本体2を吊り上げるためのフック64が給電端子として機能することで、別途の給電端子を準備しなくても吊り上げた掃除機本体2のバッテリ18に容易に給電し、バッテリ18を充電することができる。
【0071】
(3)充電部52は、フック64に接触して給電可能な第1端子52Bと第2端子52Cとを有し、吊り上げ前の係止位置にてフック64が第1端子52Bと導通し、吊り上げ後の格納位置にてフック64が第2端子52Cと導通することで、可動するフック64に配線を直接接続することなく、ドッキング位置と格納位置の両位置においてフック64を介して掃除機本体2のバッテリ18に充電することができる。
【0072】
(4)充電ステーション6は、掃除機本体2がドッキング位置にくるまで昇降駆動部51がフック64を退避位置に下降させておくことで、掃除機本体2の一部とフック64とが摺接することを防止し、フック64の摩耗を低減させることができるとともに、掃除機本体2が充電ステーション6に不在のときにも、基部61からのフック64の突出をなくし、フック64に人の足や衣服が引っ掛かることを防止することができる。
【0073】
(5)充電ステーション6は、掃除機本体2がドッキング位置にきたことを位置検出部53が検知してから、昇降駆動部51がフック64を係止位置まで上昇させることで、フック64によって掃除機本体2の被係止部16を確実に係止することができ、掃除機本体2を安定して吊り上げることができる。
【0074】
(6)後方に向かう傾斜方向に沿って昇降駆動部51がフック64を昇降させることで、掃除機本体2の後部側を斜め上方に吊り上げることができ、鉛直方向に向かって吊り上げる場合に比較して、安定的かつスムーズに掃除機本体2を吊り上げることができる。
【0075】
(7)後退する掃除機本体2の補助輪122をスロープ61Cによって斜め上方に案内することで、掃除機本体2の後部側を上向きに傾けてからフック64によって吊り上げることができ、よりスムーズに掃除機本体2を吊り上げることができる。
【0076】
(8)フック64の延出片64Bの上面に円弧状に凹んだ係止凹部64Cが形成され、掃除機本体2に係止凹部64Cよりも小径な円柱状の被係止部16が設けられていることで、係止凹部64Cによって被係止部16を確実に係止することができる。
【0077】
(9)掃除機本体2の後部側を吊り上げるにしたがって掃除機本体2と充電ステーション6との角度が変動することになるが、円弧状の係止凹部64Cの中で円柱状の被係止部16が回転することができるので、安定した係止状態を維持しつつ抵抗を抑制してスムーズに掃除機本体2を吊り上げることができる。
【0078】
(10)掃除機本体2の前部側に回転球26が設けられ、回転球26が床面Fや充電ステーション6の第2スロープ61Dに沿って転動することで、上げ下げに伴って角度が変動する掃除機本体2の前部側と床面Fや充電ステーション6との摺接抵抗を低減させることができ、より一層スムーズに掃除機本体2を上げ下げすることができる。
【0079】
(11)充電ステーション6の第2スロープ61Dによって掃除機本体2の後部側を斜め下方に案内することで、掃除機本体2の被係止部16を係止したフック64を昇降駆動部51によって下降させる場合に、よりスムーズに掃除機本体2を下降させることができ、掃除機本体2の充電ステーション6側への倒れ込みを防止することができる。
【0080】
(12)フック64は、掃除機本体2の後部側の一部を係止するので、掃除機本体2は、充電ステーション6に向かって後退し、吊り上げ可能な所定位置にきた時に掃除機本体2の後部側の一部をフック64に係止されることになる。このため、掃除機本体2は、充電ステーション6に対する自身の左右位置や距離を検出する後方センサ33を掃除機本体2の後部側に備えていればよく、掃除機本体2の前部側に設けなくてよいので、掃除機本体2の前部側のスペースを有効に利用することができる。
【0081】
(13)充電ステーション6は、充電部52を給電可能な給電状態と、給電不能な非給電状態とに切り替える充電制御部54を有し、充電制御部54は、昇降駆動部51にてフック64を昇降させている場合に、充電部52を非給電状態に切り替えている。したがって、昇降駆動部51および充電部52は、同時に大きな電力を使用することはないので、充電部52を小型化することができ、ひいては充電ステーション6を小型化することができる。
【0082】
(14)充電制御部54は、充電制御部54にて掃除機本体2のバッテリ18に給電できていないと判定された場合に、充電部52を非給電状態に切り替えるので、使用者の安全性を高めることができる。
【0083】
(15)昇降駆動部51は、充電制御部54にて掃除機本体2のバッテリ18に給電できていないと判定された場合に、フック64を退避位置に下降させるので、フック64が突出しないようにして人の足や衣服などが引っ掛かることを防止するとともに、使用者の安全性を高めることができる。
【0084】
(16)充電ステーション6は、掃除機本体2に動力源となるエネルギーを供給するための充電部52と、掃除機本体2に所定の動作を実行させる清掃開始スイッチ63Aとを有している。そして、清掃開始スイッチ63Aは、使用者の指示に基づき、掃除機本体2に所定の動作を実行させるので、使用者は、掃除機本体2に対して指示することなく、充電ステーション6に指示することによって、掃除機本体2に所定の動作を実行させることができ、充電ステーション6の利便性を向上させることができる。
【0085】
(17)清掃開始スイッチ63Aは、使用者の指示に基づき、充電制御部54にて充電部52を非供給状態に切り替えることによって、掃除機本体2に所定の動作を実行させるので、使用者は、充電部52を非供給状態に切り替える指示のみによって、掃除機本体2に所定の動作を実行させることができる。
【0086】
(18)清掃開始スイッチ63Aは、使用者の指示に基づき、掃除機本体2の一部を係止したフック64を昇降駆動部51によって下降させて掃除機本体2の姿勢を変化させることによって、掃除機本体2に所定の動作を実行させるので、使用者は、掃除機本体2の一部を係止したフック64を昇降駆動部51によって下降させる指示のみによって、掃除機本体2に所定の動作を実行させることができる。
【0087】
〔実施形態の変形〕
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、前記実施形態の自走式掃除機1では、掃除機本体2に周囲清掃手段3が設けられていたが、周囲清掃手段3は省略されてもよい。また、周囲清掃手段3のアーム21に回転球26が設けられ、回転球26が床面Fや充電ステーション6の第2スロープ61Dに沿って転動することで案内手段が構成されていたが、回転球26は掃除機本体2のボディ10の前部下部に設けられていてもよい。また、案内手段は、回転球26が転動案内されるものに限らず、摩擦抵抗の小さな摺動面が掃除機本体2の前部に設けられ、この摺動面が床面Fや第2スロープ61Dに沿って摺動案内される構成であってもよい。さらに、案内手段としては、掃除機本体に設けられるものに限らず、格納装置(例えば、第2スロープ61Dなど)に設けられた転動部や摺動部によって構成されていてもよい。
【0088】
前記実施形態では、フック64が給電端子として機能し、フック64および被係止部16を介して掃除機本体2のバッテリ18に給電される構成であったが、フック64とは別に給電端子が設けられていてもよい。この場合、格納装置において、給電端子が係止部と同期して昇降するように構成されていてもよいし、給電端子が昇降せずに所定の高さに1つまたは複数設けられていてもよい。さらに、掃除機本体2のバッテリ18に給電する給電構造としては、端子同士が接触する接触式のものに限らず、例えば、電磁誘導方式の非接触給電構造であってもよい。
【0089】
前記実施形態では、充電部52が第1端子52Bと第2端子52Cとを有し、吊り上げ前の係止位置と吊り上げ後の格納位置にて掃除機本体2のバッテリ18に充電する構成であったが、充電可能な位置は係止位置および格納位置の2位置に限らず、係止位置および格納位置のいずれかであってもよいし、係止位置および格納位置の2位置に加えて3以上の充電可能な位置が設けられていてもよい。また、充電部(充電手段)52としては、第1端子52Bと第2端子52Cとがそれぞれ別個に設けられたものに限らず、これらの各端子が連続する一体の端子部材で構成されていてもよい。
【0090】
前記実施形態では、充電ステーション6の位置検出部(検知手段)53のホール素子53Bが掃除機本体2の磁石17を検知することで、掃除機本体2が吊り上げ可能なドッキング位置にあることが検出され、この検出に基づいてフック64の上昇を開始したが、検知手段の構成は限定されず、例えば接触式のセンサが用いられてもよい。また、掃除機本体2がドッキング位置にくるまでフック(係止部)64が退避位置に下降しているものに限らず、掃除機本体の被係止部が係止位置まで下降して係止部と係止する構成であってもよい。
【0091】
前記実施形態では、フック(係止部)64が係止凹部64Cを有し、被係止部16が円柱状に形成されていたが、係止部および被係止部の構造は前記実施形態に限らず、任意の係止構造が採用可能である。例えば、係止部が円柱状に形成され、被係止部の下面に上方に凹んだ凹部が形成され、この凹部に係止部が係止するものであってもよい。
【0092】
前記実施形態では、充電ステーション6の昇降駆動部(昇降手段)51がモータ71、ドライブシャフト72、左右一対のボールねじ軸73、ボールねじ74、およびリニアガイド75を備えて構成されていたが、昇降手段の構成は特に限定されない。昇降手段としては、例えば、係止部を昇降させるためのワイヤやベルト等を備えて構成されたものであってもよいし、直動モータによって係止部を昇降させるものであってもよい。
【0093】
前記実施形態では、フック64は、掃除機本体2の後部側の一部を係止し、回転球26は、掃除機本体2の前部側に設けられていたが、係止部によって係止する掃除機本体の部位や案内手段を設ける位置は特に限定されない。例えば、係止部は、掃除機本体の前部側の一部を係止し、案内手段は、掃除機本体の後部側に設けられていてもよい。
【0094】
図27は、本発明の変形例に係る掃除機本体を下方から見た斜視図である。
図28は、掃除機本体において周囲清掃手段の突出状態を下方から見た斜視図である。
前記実施形態では、掃除機本体2の底面部の後部側には、フック64に係止される一対の被係止部16が設けられていたが、本変形例では、掃除機本体2の底面部の前部側(一端側)には、
図27および
図28に示すように、フック64に係止される一対の被係止部16Aが設けられている。
【0095】
また、前記実施形態では、第2アーム21Bの下面には、充電ステーション6によって吊り上げ途中の掃除機本体2の前部側を転動案内する案内手段としての回転球26が設けられていたが、本変形例では、掃除機本体2の底面部の後部側には、充電ステーション6によって吊り上げ途中の掃除機本体2の後部側を転動案内する案内手段としての回転球26Aが設けられている。
【0096】
なお、本変形例では、第2アーム21Bは、一対の被係止部16Aを掃除機本体2の底面部に配置すべく前記実施形態と比較して短くなっている。また、本変形例では、磁石17は、掃除機本体2の底面部の前部側に設けられ、後方センサ33は、掃除機本体2の前部に設けられている(不図示)。
【0097】
このような変形例によれば、フック64は、掃除機本体2の前部側の一部を係止するので、掃除機本体2は、充電ステーション6に向かって前進し、吊り上げ可能な所定位置にきた時に掃除機本体2の前部側の一部をフック64に係止されることになる。このため、掃除機本体2は、充電ステーション6に対する自身の左右位置や距離を検出する後方センサ33を掃除機本体2の前部側に備えていればよいので、掃除機本体2の後部側に設けられた回転球26Aの大きさを大きくすることができ、より一層スムーズに掃除機本体2を上げ下げすることができる。
【0098】
また、掃除機本体2の前部に設けられた前方センサ31などの他のセンサを後方センサ33と共に充電ステーション6に対する自身の左右位置や距離を検出するために利用することができるので、掃除機本体2は、充電ステーション6における所定の吊り上げ可能位置まで確実に進入することができる。
また、掃除機本体2は、その後部側の幅よりも前部側の幅が広くなるように形成されているので、一対の被係止部16Aの間隔は、前記実施形態における一対の被係止部16の間隔と比較して広くすることができる。これによれば、充電ステーション6は、掃除機本体2を安定して吊り上げることができる。なお、このように一対の被係止部16Aの間隔を広くする場合には、一対のフック64の間隔も一対の被係止部16Aの間隔に合わせて広くすればよい。
【0099】
前記実施形態では、移動体側動作実行手段は、掃除機本体2の制御部5にて充電部52が非供給状態に切り替わったと判定された場合に、所定の動作として清掃の開始を実行し、装置側動作実行手段は、使用者の指示に基づき、充電制御部54にて充電部52を非給電状態に切り替えることによって、掃除機本体2に清掃の開始を実行させていた。また、移動体側動作実行手段は、姿勢検知センサ34にて掃除機本体2の姿勢の変化を検知した場合に、所定の動作として清掃の開始を実行し、装置側動作実行手段は、使用者の指示に基づき、掃除機本体2の一部を係止したフック64を昇降駆動部51によって下降させて掃除機本体2の姿勢を変化させることによって、掃除機本体2に清掃の開始を実行させていた。
【0100】
これに対して、格納装置は、移動体に情報を送信する送信手段を有し、移動体は、送信手段から送信された情報を受信する受信手段と、送信手段から送信された情報を受信手段にて受信した場合に、所定の動作を実行する移動体側動作実行手段を備えていてもよい。そして、装置側動作実行手段は、使用者の指示に基づき、送信手段にて移動体に情報を送信することによって、掃除機本体2に所定の動作を実行させるように構成してもよい。
【0101】
図29は、本発明の変形例に係る掃除機本体を下方から見た斜視図である。
図30は、本発明の変形例に係る自走式掃除機の格納装置を示す斜視図である。
本変形例では、掃除機本体2の底面部の後部側には、
図29に示すように、赤外線送受信部131が設けられている。
また、充電ステーション6の第2スロープ61Dには、
図30に示すように、赤外線送受信部61Eが設けられている。充電ステーション6の柱部62には、赤外線送受信部62Fが設けられている。
【0102】
赤外線送受信部61Eは、掃除機本体2がドッキング位置にある場合に、掃除機本体2の赤外線送受信部131と対応する位置に設けられている。
赤外線送受信部62Fは、掃除機本体2が吊り上げられた位置にある場合に、掃除機本体2の赤外線送受信部131と対応する位置に設けられている。
【0103】
掃除機本体2がドッキング位置にある場合において、再び清掃を開始する場合には、使用者は、前記実施形態と同様に、清掃開始スイッチ63Aを押下すればよい。
充電制御部54は、清掃開始スイッチ63Aが押下されると、充電部52を非給電状態に切り替える。
また、昇降駆動部51は、前述したように、充電制御部54にて掃除機本体2のバッテリ18に給電できていないと判定された場合に、フック64を係止位置から退避位置に下降させる。
【0104】
その後、充電ステーション6は、赤外線送受信部61Eを介して掃除機本体2の赤外線送受信部131に情報を送信し、掃除機本体2の制御部5は、赤外線送受信部61E(送信手段)から送信された情報を赤外線送受信部131(受信手段)にて受信した場合に、充電ステーション6から離脱し、掃除機本体2に清掃を開始させる。
【0105】
このように、本変形例では、掃除機本体2の制御部5は、赤外線送受信部61Eから送信された情報を赤外線送受信部131にて受信した場合に、所定の動作として清掃の開始を実行する移動体側動作実行手段として機能する。
なお、本実施形態では、所定の動作として清掃の開始を例示しているが、これ以外の動作を採用してもよい。
【0106】
そして、本実施形態では、清掃開始スイッチ63Aは、使用者の指示に基づき、赤外線送受信部61Eにて掃除機本体2に情報を送信することによって、掃除機本体2に清掃の開始を実行させる装置側動作実行手段として機能する。
【0107】
これによれば、清掃開始スイッチ63Aは、使用者の指示に基づき、赤外線送受信部61Eにて掃除機本体2に情報を送信することによって、掃除機本体2に所定の動作を実行させるので、掃除機本体2に所定の動作を確実に実行させることができ、充電ステーション6の構成を簡素にすることができる。
【0108】
なお、本変形例では、掃除機本体2が吊り上げられた位置にある場合において、再び清掃を開始する場合には、使用者は、前記実施形態と同様に、清掃開始スイッチ63Aを押下すればよい。これによれば、前記実施形態と同様に、昇降駆動部51は、被係止部16を係止したフック64を下降させることができる。その後、前述したように、掃除機本体2は、充電ステーション6から離脱し、清掃を開始することができる。
【0109】
また、本変形例では、掃除機本体2が吊り上げられた位置にある場合において、再び清掃を開始する場合には、使用者は、掃除機本体2の本体操作部15を操作してもよい。
これによれば、掃除機本体2の制御部5は、赤外線送受信部131を介して充電ステーション6の赤外線送受信部62Fに情報を送信し、前記実施形態と同様に、昇降駆動部51は、被係止部16を係止したフック64を下降させることができる。その後、前述したように、掃除機本体2は、充電ステーション6から離脱し、清掃を開始することができる。
【産業上の利用可能性】
【0110】
以上のように、本発明は、環境内を移動する自走式掃除機などの電動式移動体に好適に利用できる。
【符号の説明】
【0111】
1 自走式掃除機
2 掃除機本体
5 制御部(移動体側動作実行手段)
6 充電ステーション(格納装置)
26 回転球(案内手段)
14 吸込み部(清掃手段)
16 被係止部
18 バッテリ
34 姿勢検知センサ34(姿勢検出手段)
51 昇降駆動部(昇降手段)
52 充電部(充電手段,供給手段)
54 充電制御部(充電切替手段,供給切替手段,給電判定手段,供給判定手段)
52B 第1端子
52C 第2端子
53 位置検出部(検知手段)
61C スロープ
63A 清掃開始スイッチ(装置側動作実行手段)
64 フック(係止部)
64B 延出片
64C 係止凹部
121 車輪
F 床面