(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-13
(45)【発行日】2022-05-23
(54)【発明の名称】超音波-電極-ナノ多孔膜カップリングによる水素製造滅菌システム
(51)【国際特許分類】
C02F 1/68 20060101AFI20220516BHJP
B01F 21/00 20220101ALI20220516BHJP
C02F 1/36 20060101ALI20220516BHJP
B01D 61/14 20060101ALI20220516BHJP
A61K 33/00 20060101ALI20220516BHJP
A61P 31/04 20060101ALI20220516BHJP
A23L 33/10 20160101ALI20220516BHJP
【FI】
C02F1/68 530A
C02F1/68 510B
C02F1/68 510Z
C02F1/68 520B
C02F1/68 540D
C02F1/68 540E
C02F1/68 540Z
B01F1/00 A
C02F1/36
B01D61/14 500
A61K33/00
A61P31/04
A23L33/10
(21)【出願番号】P 2020556235
(86)(22)【出願日】2020-05-20
(86)【国際出願番号】 CN2020091171
(87)【国際公開番号】W WO2021000662
(87)【国際公開日】2021-01-07
【審査請求日】2020-10-13
(31)【優先権主張番号】201910595760.4
(32)【優先日】2019-07-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】517312490
【氏名又は名称】ヂェァジァン ユニバーシティ
【氏名又は名称原語表記】ZHEJIANG UNIVERSITY
【住所又は居所原語表記】No.866,Yuhangtang Road,Xihu District,Hangzhou, Zhejiang China
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】特許業務法人梶・須原特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シュ エンブォ
(72)【発明者】
【氏名】リィゥ ドンホン
(72)【発明者】
【氏名】ヂョウ ジィェンウェイ
(72)【発明者】
【氏名】ワン ハオ
(72)【発明者】
【氏名】ディン ティェン
(72)【発明者】
【氏名】チォン ファン
(72)【発明者】
【氏名】イェ シンチィェン
【審査官】松井 一泰
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-001069(JP,A)
【文献】特開2013-231208(JP,A)
【文献】特開2011-157580(JP,A)
【文献】特開2009-106910(JP,A)
【文献】特開2009-101299(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2018-0052057(KR,A)
【文献】中国特許出願公開第110367426(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/46- 1/48
C02F 1/20- 1/26
C02F 1/30- 1/38
B01D 53/22
B01D 61/00- 71/82
C02F 1/44
B01F 1/00- 5/26
C25B 1/00- 9/77
C25B 13/00- 15/08
C01B 3/00- 6/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器、及び容器内に配置された複数の水素製造ユニットを含み、前記水素製造ユニットは、キャビティ、前記キャビティ内に位置する超音波発生器、及び、環状水素発生電極を含み、前記環状水素発生電極が前
記超音波発生器を包囲しており、前記キャビティの底にある底膜は内側が疎水性で外側が親水性を有する膜であり、前記キャビティの側膜は、内側が親水性で外側が疎水性を有する膜であり、垂直又は垂直から0°~45°傾斜して配置されており、トップカバーは非通気性材料によって構成されていることを特徴とする超音波-電極-ナノ多孔膜カップリングによる水素製造滅菌システム。
【請求項2】
前記底膜が、孔径が1000nmよりも小さいナノスケールのセラミック、繊維、金属有機構造体
から選択された無毒材料からなることを特徴とする請求項1に記載の超音波-電極-ナノ多孔膜カップリングによる水素製造滅菌システム。
【請求項3】
前
記超音波発生器の周波数調節可能範囲は20KHz~400KHzであり、反応器の中心に位置し周囲に超音波を放射することを特徴とする請求項1に記載の超音波-電極-ナノ多孔膜カップリングによる水素製造滅菌システム。
【請求項4】
前記システムの
前記容器の排出口に水素テスターが配置されていることを特徴とする請求項1に記載の超音波-電極-ナノ多孔膜カップリングによる水素製造滅菌システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水素リッチナノバブルを生成するユニット組み合わせシステム及びこれによって抗菌機能性飲料を製造する方法に関するものであり、液体食品加工技術領域に属する。
【背景技術】
【0002】
水素科学が日々進展するにつれ、水素と人類健康医療・飲食に対する人々の認知と需要も高まりつつある。水素は自然界において最もシンプルで、分子の大きさが最も小さく、最も広く分布する元素であり、早くも2007年に日本の科学者によって水素の選択的抗酸化力が発見されて以来、多くの学者が競って研究を行ってきた。水素は浸透力が強く、拡散速度が速いとの特徴を持ち、有機体のすべての部位に進入し、抗酸化・抗炎症・抗アポトーシスなどのメカニズムを発揮できる。他の常用食品グレード抗酸化剤(例えばビタミンC、ポリフェノール類物質など)と比べ、水素は構造自体がシンプルであり、反応生成物もシンプルで無害であり、排出しやすく残留せず、しかも、ほかの重要な活性酸素シグナル分子を破壊せずに、選択的に活性/毒性のつよい活性酸素フリーラジカルと結合する。
【0003】
水素の最も応用される方法は水素リッチ液体を製造することであり、特に水素リッチウォーターである。しかし現在の技術では、水素リッチ液体飲料の種類が単一であるほかに、水素を溶かす方式も基本的には水素を注入し、高圧で溶存量を増やすことがメインであり、とりわけイオンと溶質を帯びる飲料系は溶存水素含有量が普遍的に低く(0.2~2.2ppm)、溶存水素体積が比較的に大きく(肉眼で見えるバブル又はマイクロメートル級バブル)、水素バブルが浮上すると破裂しやすく、安定性がわるい。純電解法、化学反応法による水素製造は副産物を生成しやすく、液体への二次汚染になり、水素リッチ飲料の抗酸化、抗菌と保健機能、及び上質で多層な口当たりとカテゴリー多様化への影響が極めて大きい。最近の研究によると、気体をナノスケールザイズで水中に溶解させると、マクロ原理(ヘンリーの法則)で解釈できない過飽和溶解率とバブル安定現象が存在し、特に疎水性表面において、ナノバブルの微小界面張力、表面エネルギー、ナノ効果などの作用により、ナノバブルは持続的かつ安定的に存在できることが分かった。したがって、水素リッチ飲料に対しての多くの消費者の日々増している健康的かつ美味しいといった多方向のニーズに応えるように、従来の水素リッチ飲料の製造方法は早急に科学的にレベルアップされるべきである。
【発明の概要】
【0004】
本発明は既存技術に存在する不足を解決することを目的として、超音波-電極-ナノ多孔膜カップリングによる水素製造滅菌システムを提供する。このシステムは、直径が20~1000nmに分布する水素リッチナノバブルを便利、知的で、環境保全的に生成でき、溶存水素(3~6ppm)の浮上が遅く、密封しない状態でも安定的に8~36時間以上持続でき、これによって製造された水素リッチ飲料の抗酸化及び抗菌機能が著しく、元の飲料と比べるとさらに豊かで、多様的で重層的な味わいである。
【0005】
上記の目的を実現するために、本発明の具体的な技術解決手段は下記の通りである。
【0006】
容器、及び容器内に配置する複数の水素製造ユニットを含む超音波-電極-ナノ多孔膜カップリングによる水素製造滅菌システムであり、前記水素製造ユニットはキャビティ、キャビティ内に位置する広帯域超音波発生器、及び、環状水素発生電極を含む。前記環状水素発生電極が広帯域超音波発生器を包囲し、前記キャビティの底にある底膜は内側が疎水性で外側が親水性を有する膜で、前記側膜は内側が親水性で外側が疎水性を有する膜であり、垂直又は垂直から0°~45°傾斜して配置されている。当該膜が自己循環システムを組み立て水素ナノバブルを生成すると同時に、液体中の大粒子と巨大分子が反応環境に進入することを防止し、水素のアップヒル拡散を促進し、反応副産物による二次汚染を避ける。トップカバーは非通気性材料によって構成されている。
【0007】
さらに、前記底膜はナノスケール(<1000nm孔径)のセラミック、繊維、金属有機構造体などの無毒な材料からなる。
【0008】
さらに、前記広帯域超音波発生器の周波数調節可能範囲は20KHz~400KHzを含むが、これに限定されず、反応器の中心に位置し周囲に超音波を放射する。
【0009】
さらに、当該システムの筐体の排出口に水素テスターが配置されている。
【0010】
本発明の有益な効果は以下の通りである。本発明の超音波-電極-ナノ多孔膜カップリングによる水素製造滅菌システムは、液体系自己循環微流動、水素溶存(ナノバブル形態)及び界面-バルクバブル転化、分散、殺菌などを連続的効率的に促進する機能を有し、これによって製造される抗菌機能性飲料は溶存水素量が高い(3~6ppm)。水素リッチナノバブルの直径は20~1000nmに分布し、密封しない状態でも安定的に8~36時間以上持続でき、これによって製造された水素リッチ飲料の抗酸化及び抗菌機能が著しく、元の飲料と比べると更に豊かで多様的で重層的な味わいである。本発明はシステムが簡単、知的で、効率的であり、なお製品が高品質、環境保全、健康的であり、水素の大量注入による浪費と高圧によるエネルギー消費を避け、系への加工による二次汚染を防止し、食品グレードの要求を満たす。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は本発明が用いる超音波-電極-ナノ多孔膜カップリングにより水素ナノバブルを製造するマイクロ循環システム及びその筐体の設計である。
【
図2】
図2は本発明が用いるナノ多孔膜及び過程の説明である。
【
図3】
図3は本発明が用いる水素製造マイクロシステム配列である。 図中において、1は広帯域超音波発生器、2は環状水素発生電極、3は食品グレードナノ多孔側膜、4は食品グレードナノ多孔底膜、5はトップカバー、6は界面ナノバブル、7はバルクナノバブル、8は容器、9は供給口、10は排出口、11は液体循環水素溶解管である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1と
図3に示すように、超音波-電極-ナノ多孔膜カップリングによる水素製造滅菌システムは、容器8、及び容器8内に配置された複数の水素製造ユニットを含んでいる。前記水素製造ユニットは、キャビティ、キャビティ内に位置する広帯域超音波発生器1、及び、環状水素発生電極2を含んでいる。環状水素発生電極2は、広帯域超音波発生器1を包囲している。キャビティの底にある底膜4は内側が疎水性で外側が親水性を有する膜である。側膜3は内側が親水性で外側が疎水性を有する膜であり、垂直又は垂直から0°~45°傾斜して配置されている。傾斜角度があると、バルクナノバブルの生成過程を延長し、さらにバブルの直径を減少することに有利である。当該膜が自己循環システムを組み立て水素ナノバブルを生成すると同時に、液体中の大粒子と巨大分子が反応環境に進入することを防止し、水素のアップヒル拡散を促進し、反応副産物による二次汚染を避ける。トップカバーは非通気性材料によって構成されている。
【0013】
使用時、容器8全体が充たされかつ水素製造ユニットが隠れるまで、液体を容器8に導入する。
図2で示すように、内側が疎水性で外側が親水性を有する膜である底膜4を通して水素製造ユニットに液体が進入し、そして環状電極2の作用によって反応が生じて水素が生成される。大量の水素が側膜3に富化したときに、環状電極2をOFFにし、水素液体混合系に線形振動とキャビテーションが発生するように広帯域超音波発生器1を制御し、多孔膜の作用と協同し界面に水素ナノバブルを形成させ、そして次第に20~1000nmのバルク水素ナノバブルに転化させる。バルク水素ナノバブルは水素製造ユニットの内側が親水性で外側が疎水性を有する膜である側膜3を通して、再び容器8に戻される。以上のようにして、水素溶解が完了する。なお、密度の差により、水素リッチナノバブル液体はわずかに浮上傾向があり、非水素リッチナノバブル液体はわずかに沈下し、そして水圧の作用(P=ρgh、液体飲料のρが大きければ大きいほど、底膜と液面とのhが深ければ深いほど、流れを促す圧力であるPが高くなる)と膜吸引力の作用により、再び水素製造ユニットに進入し、マイクロ通路内循環水素溶解を形成し、液体の大量、均等の水素溶解を実現する。水素を一定時間製造してから、筐体上部の排出口を開き水素リッチ液体を排出して充填する。
【0014】
水素製造の全過程において、環状電極2が生成する熱は30℃未満にコントロールすべきで、温度が低ければ低いほど、水分子間の充填間隙が大きくなり、水和作用が強く、水素の発生と溶解におけるバランスを保つのに有利である。広帯域超音波発生器1の周波数調節可能範囲は20KHz~400KHzを含むが、これに限定されず、反応器の中心に位置し周囲に超音波を放射する。余分な高圧を必要とせず、低周波はナノバブルの成長を促進し、側面の外側疎水性膜の振動に基づいて界面ナノ気泡帯の拡散を保護し、高周波は液体のガスのキャビテーション形成を促進し、バルクナノバブルの大量生成を補助する。さらに、水素製造ユニットの底膜4から液体を導入し、先ず電極の作用によって水素を生成させ、しかる後に低周波と高周波が短時間で交替する超音波(5~20min)と多孔膜の作用との協働によって20~1000nmの水素ナノバブルを形成させ、水クラスタを小さくしそしてそれと混合分散させる。
【0015】
なお、水素製造過程において、超音波キャビテーションと一部気泡の破裂によるエネルギー放出とマイクロジェット効果が液体を素早く殺菌できる。充填した後の水素リッチナノバブル(Young-Laplaceの式により、内部高圧は3-30kPa又はそれ以上になると推算)は貯蔵過程において長時間微放出し飲料の殺菌をさらに続ける。
【0016】
さらに、当該システムの筐体の排出口に水素テスターを配置することができ、排出口にある液体の水素溶存量が基準(3~6ppm)に達しているかどうかをリアルタイムで測定でき、基準に達しているのであれば製品を排出する。
【0017】
さらに、前記底膜はナノスケール(<1000nm孔径)のセラミック、繊維、金属有機構造体などの無毒な材料によって製造されている。そのため、水体の滲み込みに有利であり、液体への異物進入と反応副産物の溶出を遮断する。水素発生電極としては貴金属(例えばPt)、非貴金属(例えばMg)そしてガラス状カーボン電極などを用いることが可能であり、反応過程における副産物は膜で浄化・ブロックされ、従来の電気分解と比べると、飲料への汚染を避け、安全性をよりしっかり確保できる。
【0018】
本発明のシステムを適用可能な食品系は、純相の水、ミネラルウォーター、希釈果汁(果肉入り又は果肉なし)、ミルク類、酒類などの液体となる。大部分の液体飲料と保健機能性飲料に適用する。以下、実施例を通して本発明について詳細に説明する。下記の実施例は説明を目的として用いられ、本発明の範囲を限定するものではない。
【0019】
以下の実施例では、使用する各原料はすべて市販汎用品であり、加工に際し使用する生産設備は自らの設計した超音波-電極-ナノ多孔膜カップリングマイクロシステムであり、水素溶存量及び水素ナノバブルは水素テスター又は現在常用方法を用いて測定する。
【0020】
<実施例1>
反応筐体全体が充たされかつ水素製造ユニットが隠れるまで、純水を筐体底部の管路口から導入すると、水素製造ユニット底部の多孔膜を通して液体が進入し、環状電極の作用で反応が生じて水素が生成された。このとき温度を0℃にコントロールした。水素が大量に富化しそしてマイクロ反応器側面のナノ多孔金属膜を透過する際に(孔径200nm、θ=45°)、環状電極をOFFにし、それと同時に広帯域超音波発生器(20KHz低周波5min、400KHz高周波15min)を、水素液体混合系に線形振動とキャビテーションが発生するように制御し、これによって界面水素ナノバブル(~300nm)が形成され、そして次第にバルク水素ナノバブル(~50nm)に転化された。超音波キャビテーションと一部気泡の破裂によるエネルギー放出とマイクロジェット効果で純水の殺菌が素早く完了し、筐体上部にある排出口を開き水素リッチウォーター(6ppm、非密封状態で気泡は少なくとも約24h安定する)を排出した。
【0021】
<実施例2>
反応筐体全体が充たされかつ水素製造ユニットが隠れるまで、ミネラルウォーターを筐体底部の管路口から導入すると、水素製造ユニット底部の多孔膜を通して液体が進入し、電極の作用で反応が生じて水素が生成された。このとき温度を5℃にコントロールした。水素が大量に富化しそしてマイクロ反応器側面のナノ多孔繊維膜を透過する際に(孔径100nm、θ=30°)、電極をOFFにし、それと同時に、広帯域超音波発生器(50KHz低周波3min、400KHz高周波10min)を、水素液体混合系に線形振動とキャビテーションが発生するように制御し、これによって界面水素ナノバブル(~150nm)が形成され、そして次第にバルク水素ナノバブル(~20nm)に転化された。超音波キャビテーションと一部気泡の破裂によるエネルギー放出とマイクロジェット効果で純水の殺菌が素早く完了し、筐体上部にある排出口を開き水素リッチウォーター(4ppm、非密封状態で気泡は少なくとも約36h安定する)を排出した。
【0022】
<実施例3>
反応筐体全体が充たされかつ水素製造ユニットが隠れるまで、果汁を筐体底部の管路口から導入すると、水素製造ユニット底部の多孔膜を通して液体が進入し、電極の作用で反応が生じて水素が生成された。このとき温度を30℃にコントロールした。水素が大量に富化しそしてマイクロ反応器側面のナノ多孔セラミック膜を透過する際に(孔径1000nm、θ=15°)、電極をOFFにし、それと同時に、超音波発生器(20KHz低周波5min、200KHz高周波5min)を、水素液体混合系に線形振動とキャビテーションが発生するように制御し、これによって界面水素ナノバブル(~1000nm)が形成され、そして次第にバルク水素ナノバブル(~800nm)に転化された。超音波キャビテーションと一部気泡の破裂によるエネルギー放出とマイクロジェット効果で純水の殺菌が素早く完了し、筐体上部にある排出口を開き水素リッチウォーター(3ppm、非密封状態で気泡は少なくとも約8h安定する)を排出した。
【0023】
<実施例4>
反応筐体全体が充たされかつ水素製造ユニットが隠れるまで、牛乳を筐体底部の管路口から導入すると、水素製造ユニット底部の多孔膜を通して液体が進入し、電極の作用で反応が生じて水素が生成された。このとき温度を0℃にコントロールした。水素が大量に富化しそしてマイクロ反応器側面のナノ多孔金属膜を透過する際に(孔径500nm、θ=0°)、電極をOFFにし、それと同時に、超音波発生器(30KHz低周波2min、300KHz高周波8min)を、水素液体混合系に線形振動とキャビテーションが発生するように制御し、これによって界面水素ナノバブル(~550nm)が形成され、そして次第にバルク水素ナノバブル(~300nm)に転化された。超音波キャビテーションと一部気泡の破裂によるエネルギー放出とマイクロジェット効果で純水の殺菌が素早く完了し、筐体上部にある排出口を開き水素リッチウォーター(3.5ppm、非密封状態で気泡は少なくとも約12h安定する)を排出した。
【0024】
<比較例1>
反応筐体全体が充たされかつ水素製造ユニットが隠れるまで、純水を筐体底部の管路口から導入すると、水素製造ユニット底部の多孔膜を通して液体が進入し、環状電極の作用で反応が生じて水素が生成された。このとき温度を0℃にコントロールした。水素が大量に富化し(側膜なし)、環状電極をOFFにし、それと同時に、広帯域超音波発生器(20KHz低周波5min、400KHz高周波15min)を、水素液体混合系に線形振動とキャビテーションが発生するように制御し、これによってある程度の溶解水素が形成された。超音波キャビテーションと一部気泡の破裂によるエネルギー放出とマイクロジェット効果で純水の殺菌が素早く完了し、筐体上部にある排出口を開き水素リッチウォーター(0.6ppm、非密封状態で気泡は20min以下安定する)を排出した。
【0025】
比較例における側膜なしで製造された水素リッチウォーターと比較すると、実施例では、疎水性表面において、ナノバブルの微小界面張力、表面エネルギー、ナノ効果などの作用により、ナノバブルが過飽和溶解率を有し、したがって実施例で製造された水素リッチウォーターは水素含有量が著しく増加し、そしてバブルが持続的かつ安定的に存在できる。本発明は、自ら設計した超音波-電極-ナノ多孔膜カップリングによる水素ナノバブル生成のマイクロ循環システムを採用し、直径が20~1000nmに分布する水素リッチ(3~6ppm)ナノバブルを便利、知的で、環境保全的に生成できるだけでなく、密封しない状態でも安定的に8~36時間以上持続でき、そしてこれによって製造された水素リッチ飲料の抗酸化及び抗菌機能が著しく、種類が多様化し、更に豊かで多様的で重層的な味わいであり、ビジネスとして巨大な将来性がある。
【0026】
以上をまとめ、上記の一般的な文字説明及び具体的な実施例では、すでに本発明を詳細に説明したが、本発明の水素製造ユニットと飲料製造において改良できるところがあることは当業者にとって明らかであり、したがってこれらも本発明の請求範囲となる。